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殲神封神大戦⑰〜濫觴

#封神武侠界 #殲神封神大戦 #殲神封神大戦⑰ #渾沌氏『鴻鈞道人』

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#渾沌氏『鴻鈞道人』


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●神怪の道士
 それは、耳無く、口無く、鼻も無く――目も、無い。
 渾沌たる怪異の謂れであるが、と冬・鷙灰(忍冬・f32991)は目を伏せる。
「しかし、我らの前に立ち塞がるのは、渾沌氏『鴻鈞道人』である――これを討ち果たさずして、勝利は無い」
 仙界の最深部にある、いまだ形定まらぬ「渾沌の地」――鴻鈞道人は自らを骸の海と称し、その通り、再孵化という能力を擁している。
 ただし、この戦場において、その力への警戒は不要である。
 鴻鈞道人は、この渾沌の地と一体化することで『渾沌の諸相』を無差別に発現させた不定形の怪物に変異して襲いかかってくるという。
「敵の攻撃は必ず先に来る。詳細不明のそれを、如何に凌ぎ反撃するか。それがお前達の試練となるだろう」
 まず、鴻鈞道人の先制攻撃からは逃れられぬ。
 心得て挑むようにと彼は警告する。
「現時点で鴻鈞道人を完全に滅ぼす方法はない。だが、ここに現れる存在を斃すことは可能であり、通常の戦通り、戦場から撤退させることはできる」
 要するに、敵は強い。
 語るべきはそれしかないのだ。
 鷙灰は片耳を動かしながら、だが、だからこそ面白いのではなかろうか、と呟いた。

●仙界・渾沌の地にて
 はたして白きものは、猟兵達の前に立ち塞がるだろう。

(私は常より名乗っており、隠しても居ない)
(私は渾沌氏……すなわち【骸の海】である)
(お前達が生きるために踏みしめてきた、全ての過去である)

 強大なる存在がささめくや、全身を悪寒が駆け抜ける。
 そして、攻撃の前触れなどなく――それは猟兵達を呑み込んだ。


黒塚婁
どうも、黒塚です。
気付けば、いつもクライマックス。

●プレイングボーナス
鴻鈞道人の「詳細不明な先制攻撃」に対処する。

先制攻撃への対処系ボスと変わりませんが、「undefined」でどんな攻撃が来るか隠されています。
やや難という設定ですので、それを基準とした判定をさせていただきます。
技能列挙・詳細の判断を任せるような内容のプレイングですと、採用率は低くなります。

※余談
いずれ答えが判明した後も、不明として挑んでいるものを優先させていただきます。

●プレイング受付に関して
公開時から送信可能な限り、受けつけております。
いつ締め切るかなど、特にアナウンスはしません。
先着順ではないこと・全員採用はできないこと、ご了承の上、参加いただければ幸いです。

それでは、皆様の活躍を楽しみにしております。
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第1章 ボス戦 『渾沌氏『鴻鈞道人』undefined』

POW   :    渾沌災炎 undefined inferno
【undefined】が命中した対象を燃やす。放たれた【undefined】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    渾沌解放 undefined infinity
【undefined】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    渾沌収束 undefined gravity
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【undefined】で包囲攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

溟・哀上
連携・アドリブ歓迎です。

こっ、ここここ……こわいぃ〜〜っ!
で、でも、今がこの戦争の正念場。ひぅ、がんばらないと……!

先制攻撃には正面から〈盾受け〉を図ります。
わたしは回避に慣れてないので、下手に避けるほうが危ないはず。
それに、手の内がわからないなんて考えてみればふつうのこと。
たとえ炎に手を焼かれても、盾に〈手をつな〉いで離しませんっ。

でも〈継戦能力〉があるとはいえ防戦一方では明らかに不利。
そこで折を見て、あらかじめ潜んでいたぶーちゃんがその左目を狙っての〈咄嗟の一撃〉を。
視界を奪ってもらったその一瞬にUCをねじこみます!
どれだけ大きく強くても、わたしたちが一緒ならふっとばしちゃえるんですから!



●小さきもの
 言葉では言い尽くせぬものが、存在そのものが、渦巻いている。
 仙界・渾沌の地――遙か高みより見下ろしてくる白い存在を見上げ、溟・哀上(🐢まいごの小ガメ🐍・f35080)はぎゅっと盾を握りしめた。それしかよすががないかのように。
 瑞獣であるからこそ、渾沌氏『鴻鈞道人』の強大さが全身に伝わる。ささめくように羽が音を立てて、足元で触手が蠢いている。
「こっ、ここここ……こわいぃ〜〜っ!」
 黒い瞳は潤んで、足が震える。だが、不思議と、逃げようとは思わない。
(「で、でも、今がこの戦争の正念場。ひぅ、がんばらないと……!」)
 盾にただ隠れるようだった哀上は怯えながらも、大盾を正面に構え、立つ。
 下手に避けるほうが危ない――その自覚から、大盾で受けて立つと覚悟を決めたのだ。
(「それに、手の内がわからないなんて考えてみればふつうのこと」)
 彼女をたったひとつの左孔で見つめ、それは腕を差し伸べた。
 ひゅ、と風が唸った。哀上が見たのは、視界を埋め尽くすような羽毛。『渾沌の諸相』――増殖した羽が、一気に燃え上がる。
(「あ、あつい……!」)
 目も開けておられぬ熱。
 高熱に煽られて生じた風が、長い髪をめちゃくちゃに乱す。
 盾を掴んで離さぬ手も爛れていく――正直なところ、恐ろしくて、己の状態を正視しがたい。
(そのまま滅ぶがよい。小さきものよ)
 その頭の中に、鴻鈞道人の声が響き渡る。どこか哀れむような声音に、哀上は大きく頭を振った。
「い、いいえっ……!」
 しかし、このままでは、まさに甲羅の中に閉じこもった亀状態――。
「ぶーちゃん!」
 哀上が名を呼べば、盾の裏側から、黒影が矢のように放たれた。
 無数の白き羽が舞い散る空間を貫いて、鴻鈞道人の左目に、牙剥く黒き大蛇が跳びかかったのだ。その牙だけでは、決してこの敵を傷つける事など叶わぬ。
 だが、狙いは、彼の視界を一時でも闇に包むこと。
「こわいけど……ぜったいに退がりませんっ」
 即座――彼女は突進する。傷つき、痛む身体であることを忘れたような、砲弾のごとき一躍は。
 その腹に、大盾を叩きつけ、吹き飛ばす――哀上の身が小さいからこそ、一点に穿たれた衝撃たるや、強烈であっただろう。散った翼と、千切れた触手が、その証左。
 恐怖を捻じ伏せ、見たか、と彼女は一喝する。
「どれだけ大きく強くても、わたしたちが一緒ならふっとばしちゃえるんですから!」

成功 🔵​🔵​🔴​

ルキヴァ・レイヴンビーク
成る程、Chaosの権化なのデスねユーは…面白い

ハハ、未来は何時だってundefinedじゃありマセンか!
向こうが攻撃の意思を見せている、それだけ解れば充分デス
予知無き戦いはコレがDefaultだったのデスから
身を魔力結界で包み、如何様な攻撃が来ようと耐えマショウ
痛みには強いと自負してマスしクスリもキメて来マシタ
最悪頭と心臓と意識さえ残っていれば良いんデスよ

その邪悪さ、四凶と称されただけ有りマス
この鴉が今まで出会った中で最凶最悪だと認めマス
さぁ、この痛みを分かち合いマセンか
歓喜と共にUC発動、カウンターアタックのプレゼント
過去も未来もundefinedなもの――確実なモノは今この瞬間だけデスよ



●悪しきもの
(これが罪深き刃を刻まれし者達の力……)
 渾沌たる存在は、悠然と浮上した。ひとつ孔しかもたぬ無貌の者――渾沌氏『鴻鈞道人』は、新たなる猟兵を見下ろす。
「成る程、Chaosの権化なのデスねユーは……面白い」
 クッ、と喉を鳴らすようにルキヴァ・レイヴンビーク(宵鳴の瑪瑙・f29939)は笑う。
 それは強がりでも、侮っているわけでもない。
 面白い――言葉通りに、未知であることに歓喜し、期待しているのだ。
「ハハ、未来は何時だってundefinedじゃありマセンか!」
 昏き灰色の瞳を、キラキラと輝かせ、ルキヴァは腕を広げる。さあ、と招くように。
 果たして、表情なども存在しない鴻鈞道人は、気配だけで彼を観察しているようであった。その不気味な感覚に、背筋から震える――期待だ。
(「――向こうが攻撃の意思を見せている、それだけ解れば充分デス」)
 口の端を持ち上げて笑い、囁く。
「予知無き戦いはコレがDefaultだったのデスから」
 相手の手の内が解らぬ程度。
 既に、挑むために身構えている――あらん限りの魔力で結界を張り、中枢興奮薬もキメてきた。
 衝動は抑制され、集中力は高まっている。敵の一挙一動をつぶさに見て取れるほど。
(「最悪頭と心臓と意識さえ残っていれば良いんデスよ」)
 そんなルキヴァへ、鴻鈞道人は軽く片腕を突き出した。
(――その覚悟と共に、破滅を受けよ)
 刹那、空間が動く。
 鴻鈞道人の意識に従い、その地が揺らめき、のたうつ。
 彼の足元に存在する白きおぞましき触手が、瞬く間に伸びると、ルキヴァの全身を次々と貫いた。
「……ッ」
 勝手に迫り上がる血を、堰き止められずに吐く。触手に刺し貫かれるために斃れることも出来ず、身動ぎもできぬ――縫い止められた四肢、肩、腹が灼けるように熱を帯び、異分子によって押しのけられる肉が不快そうに抵抗する。
 唇の端から鮮血を流した儘、ルキヴァはフ、フフ、と笑う。俯いた黒髪は、不吉な様子で揺れている。
 無貌なるものが、その様子に軽く顎をあげた――掠れたその声が、未だに愉しそうだったからだ。
「その邪悪さ、四凶と称されただけ有りマス――この鴉が今まで出会った中で最凶最悪だと認めマス」
 低く、告げ。貌を上げたルキヴァの表情は――歓喜の笑み。恍惚を隠さぬそれを、鴻鈞道人がどう受け止めたかは解らぬ。
「さぁ、この痛みを分かち合いマセンか……! その邪悪な魂こそワタシの糧。更に深く蝕む闇――」
 高らかと笑うルキヴァから放たれるは、闇の波動。
 それは触手を通じ、一気に逆流する。
 闇に引き裂かれ、触手が爆ぜたように消えていき――鴻鈞道人をも、ばちんと裂く。
 白い肉片と羽が舞い散る下で。
「過去も未来もundefinedなもの――確実なモノは今この瞬間だけデスよ」
 触手から逃れ、己の血に染まった男は浅く笑った。

成功 🔵​🔵​🔴​

夜刀神・鏡介
奴はこの戦いにおいては間違いなく最強格……
だが、どれだけ強くとも絶対に勝てない相手ではない。これまでもそう信じて戦ってきたのだから

神刀の封印を解き、神気によって身体能力を強化
攻撃の詳細は読めないので、食らう事を前提に敢えて敵の至近距離へと踏み込む
接近したことで視線や身体の動きが観察しやすい。そこから攻撃が来るタイミングを見切って斬撃波を放つ事で威力を相殺、かつ物理的な攻撃であれば刀で受け流そう

先制攻撃を凌いだら即座に漆の型【柳葉】の構えから反撃
もし敵の攻撃の正体が掴めずとも、こちらの斬撃によって威力を削いでいくことが出来る
敵の攻撃を落ち着いて凌ぎながら、確実に反撃して体力を削っていこう



●断つもの
 渾沌氏『鴻鈞道人』の身体は瞬く間に再構成された。不足はなく。過分も無い。混沌の体現たる存在は、舞い落ちる翼の残滓だけを許し、そこにあった。
 それを見つめ、夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)はそっと息を吐く。
 この、圧力――猟兵として、武人として、敵に臆することはないものの、その強大さを膚で感じる。
「奴はこの戦いにおいては間違いなく最強格……」
 白鞘を握る手が強ばる。
 それは畏れではなく――武者震いと呼べよう。証左、鏡介は静かに、笑んだ。
(「だが、どれだけ強くとも絶対に勝てない相手ではない。これまでもそう信じて戦ってきたのだから」)
 そして鏡介は淀みなく、自然な所作で白き柄の封を解き、抜刀する――するやいなや、辺りに神気が満ちていく。
 その力が己の身にも及ぶを認めると、鏡介は素早く前へと躍る。
 距離を詰める彼を見下ろし、
(見えている)
 鴻鈞道人の全身が蠢いた。攻撃が来る、と身を低く潜り抜けようとした鏡介であるが、彼の身を襲ったのは画一の攻撃ではなかった。
 柔らかに注ぐ天使の羽。
 うねり、軌道を読ませぬ白き触手。
 最短を隙無く穿つ殺戮する刃。
(ここまで猟兵たちに遅れをとったのだ。ひとつ捻った――)
 鴻鈞道人はたんたんと零す。一辺倒の攻撃ではなく、自らが持ちうる手段を混ぜて、襲いかかって来た――渾沌の諸相とはよくいったものだ。
 視界が白で塗りつぶされて、無差別な混沌が好き好きに奔る。
 接触の直前まで、鏡介は距離を測り見切ろうとしたが、やはり一筋縄ではいかぬ相手であった――斬撃で威力を殺すも、さんざと雨のように注ぐ翼が背を穿つ。
 神気の守りすら貫くのも相手を考えれば仕方ない。
(「――だが、」)
 しかし、集中を高めるべく、鏡介はそっと息を吐き、柄を握り直す。
「斬り堕とす――漆の型【柳葉】」
 彼は、見た。
 鴻鈞道人のもつ武器を。その攻撃の軌道を。
 なれば無心で、迫る触手を斬り、貫く刃を弾き返し、前へと駆る。その速度で羽を振り切り、鴻鈞道人を守るように閉ざした翼へと刃を滑らせる。
 柳のようにしなやかに、鋭利に、剣を操り――自分に近づくものを削ると同時、相手の守りを削ぐことにも繋がる。
 白刃を閃かせれば、肉片を掻き裂き。
 いよいよ道人の貌を間近に認める――無傷とはいえぬ姿で、鏡介は柔和に笑むと、大上段に剣を掲げた。
 必殺の構えであるが、無防備でもある。しかし、道人はその瞬間、反撃することも身を守ることも叶わぬほどに、翼も触手も、すべて斬り落とされていた。
(「けれど、チャンスは長くない」)
 鏡介も解っている。真っ直ぐ見つめる先、鴻鈞道人の左の孔だけが青く澄んで此方を見ている。
 相手を斬り伏すその一念だけを胸に、一息に振り下ろす。
 鋭く引き絞られた一閃は、白い身体に、深々と赤い線を刻んだ――。

成功 🔵​🔵​🔴​

シキ・ジルモント
宇宙バイクに乗って現地へ
攻め手を緩めてでも相手の動きを観察、攻撃の発動を察知したい
しかしバイクで駆けたところで範囲攻撃を使われては逃げ切れるか分からない

先制攻撃が来たらバイクを盾として使用
咄嗟に停止し、その影に飛び込んでダメージを抑えたい
まともに攻撃を受けたバイクはその場に置いて交戦を続行
ユーベルコードを発動、銃での遠距離攻撃や接近しての肉弾戦を織り交ぜて攻め続ける

攻め続ける事で敵の目を引きつつ、バイクの正面へ敵を誘導する
狙いの位置へ誘導したら相手に組み付き押さえつける
その上で放棄したようにみせたバイクに搭載したバイクブラスターを遠隔操作で発射し反撃を試みる
…自身の離脱が間に合うかは、賭けだな



●焼きつくすもの
 定まらぬ混沌の地にて――猟兵達の猛攻に、傷つきながらも未だ悠然と君臨する渾沌氏『鴻鈞道人』を前に、一陣の風が吹いた。
 低い唸りから、エンジンが高音で轟くや、銀影が鋭く斬り込む――宇宙バイクに身を委ね、銀の髪を、尾を靡かせたシキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)は、ただ寡黙に、疾走する。
 他の猟兵とは違い、かなりの速度で突き進んでいるにも関わらず。鴻鈞道人は、シキを見ている。
 膚が粟立つような悪寒。これぞ、鴻鈞道人の眼差しだろう。ひとつ切り開かれた左の目のみが、それの感覚器ではないのだ。
(――如何に馳せようとも、破滅からは逃れられぬ)
 それが脳裏に語りかけてくる。
 集中を切らさず、シキは敵を睨めた。青の双眸が見て取ったのは、白き無貌の牛頭。
 生首かと思えば、鴻鈞道人から伸びている。おぞましき触手と共に、角持つそれが頭突きを仕掛けてくる。
 シキは冷静にハンドルを捌く。重心を傾け、バイクを盾と、蹴り跳び降りる。
 鋼鉄の機体は、白き触手に呑まれる――その影に身を潜め、シキは銃を構える。そのまま正面から向かってきた混沌の群れをやり過ごすが、無論、すべてを受け流せるわけではない。攻撃は直線的ではなく、無軌道であった。
 鞭のようにしなり身を叩く触手を無視し、シキは数発、発砲する。
 その瞳はぎらりと獣のように輝き、人狼の耳や尾は毛を逆立っている――普段は抑えている人狼の獣性を解き放ったシキは、銃声とともに前へと躍った。
 白銀の毛並みが、白い影を引く。そこに、目を瞠るような朱の珠が続くも、彼は微塵も揺るがない。
 まずは残る鴻鈞道人との距離を縮めることだ。
 攻撃の波はひとたび凪いだ。バイクの速度に勝る足で、シキはその肩口へと蹴りを放つ。聳つ耳は風切りの音を聞き分け、薙ぐような翼の気配に、銃撃で応える。
 兎角、相手の余裕を切り崩す。
 銃と体術を駆使し、シキはさる地点まで、道人の身体を引きつけねばならぬ。
(それで私を抑え込めると?)
 脳裏に響く声に、はっ、と息を吐く。同時にその足元から触手が溢れ出て、広げた両腕から輝く刃が覗いた。
 即座に道人の翼を蹴って、上へと舞い上がる。追いかけてくる触手を撃ち払い、
「できる」
 とだけ告げるや、その首根から力業で押さえ込む。リミッターを解除された膂力は、道人の抵抗すら捻じ伏せるが、自身の身体にも負担を掛ける。筋肉が悲鳴を上げ、疵口から血が霧のように噴き上がる。
(笑止……)
 白き怪奇は、押さえ込まれながらも変幻する身体を以てシキを呑み込もうとする。
 されど涼しい表情の儘――シキは、握りしめた手の内で、何かを押し込む。
 刹那。
 ごう、と極大の熱線が迸り、道人の身体を呑み込んだ――常人であらば、骨まで焼き尽くせるであろう熱線は、放棄したバイクに搭載された大型熱線銃から放たれた。
(……これが狙いであったか――)
 半ば千切れた身で、道人が呟く。
「……離脱が間に合うかは、賭けだったが」
 触手が焼き尽くされた瞬間に、横へと退いたシキは全身を赤く染めながら、双眸を細めたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大豪傑・麗刃
相手の攻撃はわからない。ただひとつ言えるのは、POW系は何が飛んでくるかわからないが、どうやら炎で燃やす攻撃だということらしいと。なので対炎防御を強化することで対応。まず飛んできたundefinedを武器受けし、延焼がきたら全身にオーラを張り、念動力によるガードと火炎耐性のついたオーラ防御。それでも十分熱いだろうけど、そこは覚悟をきめて気合と根性で限界突破してなんとかする。

ユベコ解禁後はスーパー変態人2を発動。右手にサムライブレイド左手にフライングシャドウの二刀流+浮いてる随行大剣で三刀流。全力で突撃かましてundefinedを吹っ飛ばしつつ、その勢いで敵本人に思いっきり突っ込み全力で斬る。



●耐えるもの
 混沌の地は大きく戦慄いた。
 渾沌氏『鴻鈞道人』の受けた負荷を反映するかのように、ぐわりと歪む。
 そこに――妙に真面目くさった顔をして、大豪傑・麗刃(23歳児・f01156)がどんと佇む。なお、彼は真面目でも不真面目でも顔面はさほど変わらない。
「相手の攻撃はわからない」
 神妙な様子で、状況を確認するよう、呟く。
 考えるよう、ひとたび目を瞑り――誰にでも無く、滔滔と続ける。
「ただひとつ言えるのは――何が飛んでくるかわからないが、どうやら炎で燃やす攻撃だということらしい」
 ならばッ、と。くわっと目を開く。
「炎に耐えきれば良いのである! さあ、来い! こん……こう……きんこんなんとか!」
 さしもの鴻鈞道人もその珍妙な呼び名に、返す言葉が思いつかなかったらしい。
 ――或いは、今までの負傷から、余裕を失ったのか、それの纏う気配は随分と堅くなり、形も怪奇さを増していた。
 人型は変わらぬが、翼や触手の数が増え、好き好きに蠢いている。
 それに臆するような麗刃ではないが、そわそわしている。
(「シリアス耐久が保たないので、早くしてほしいのだ」)
 このきりっとした表情(当社比)も、長時間は保たない。本来なら、時に必殺技になるくらいのあれであるからして。
 白き醜怪は声無く語る。
(――望み通りに。炎の破滅を、喰らうがいい)
 そして、羽が舞う。純白の羽毛が麗刃を包み――触れた途端、燃え上がる。
 無論、彼はサムライブレイドを構え、直に触れぬよう一閃した。
 だが、燃える。面白い程に燃える。
 オーラ防御や念動力と持ちうる手段を駆使して、熱から身を守るが、到底逃れられるものではない――空間そのものが発火したような惨状だ。
 盛んに燃える火の雨が降り、呼吸すらままならぬ熱量が周囲を灼く。それは麗刃自身を燃やしているのだから、身動ぎしてもついてくる。
 だが、耐えきった。五体満足で立っている間に、痛みを振り切り、麗刃は叫ぶ。
「わたしは超怒ったのだーーー!!!!!」
 青白いスパークを伴う金色のオーラ――超麗ちゃんと化し、二振りの刀を構えて駆ける。更には、随行大剣が追いかけてくる。立派な三刀流である。
 オーラを纏った麗刃は――早くお笑い領域に戻りたいという一念で加速した。それは、それほど彼に力を与えるのか。纏わり付く炎の元となる羽を吹き飛ばし、ソニックブームで近づこうとするものも弾き飛ばし、瞬く間に鴻鈞道人までの距離を詰めた。
(……!)
 道人が絶句するほどに。決して、彼の顔面に驚いたわけではない。あしからず。
「わたしの怒りを受けるのだ!」
 交錯は刹那。素早く鋭く、麗刃は三刀を奔らせる。剣閃は確かに三つ、黄金のオーラの残影を描いて、道人の身体を裂いたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

柊・はとり
俺が滅ぼした故郷の敵達も
あんたの一部だったのか?
…厭な後出しだ

先制で焼かれる事は確定
正直またかと項垂れたいが
散々燃やされた俺の学習力をなめるな

放たれる某かは偽神兵器で地形を隆起させ
壁を作り射線を遮る事で防御
炎には天候操作による豪雨が安定して有効だ
尤も油断しちゃいない
絶えず思考を巡らせ攻撃の特性を見極め
俺の力で取れうる最善の手段を考える

第一波を凌げればUC発動
ここからは攻撃をどう変化させようが
必ず俺がその先を読む
時間をかける程あんたが不利だ
どうする

挑発すれば敵も焦り
大がかりな攻撃を考えるだろう
その時生まれる隙をつき
氷の刃で奴の命運を断つ

今滅する事が叶わずとも
お前の真実も必ず暴く
俺は…探偵だからな



●封じるもの
 お前達が生きるために踏みしめてきた、全ての過去である――だと。
 ――骸の海、だと。
 怒りと諦念に、元から血の気の薄い膚は白く。偽神兵器を握る指が強ばる。
 柊・はとり(死に損ないのニケ・f25213)は低く問う。
「俺が滅ぼした故郷の敵達も、あんたの一部だったのか? ……厭な後出しだ」
(そういうことになる)
 渾沌氏『鴻鈞道人』は応じる。尤も、それがはとりの問いに正確に答えたといえるのかは解らない。
 此方が思う事。彼方が思う事が正しく噛み合っているかは解らぬのだ。骸の海や、オブリビオンとはなんぞやという世界の謎に踏み込む問題だろう。
 あくまで自称、というやつだ。
 果たして敵は既に、弱り切っている。存在が、ではない。畏怖すべき神奇――ただの探偵が対峙するには、荷が重い相手だ。
 だが道人の身に刻みつけられた数多の疵は、その形の崩壊の兆しを見せている。叩きつけられ、灼かれ、斬られ――猟兵達の積み重ねた攻撃が、白きものの形状を不安定にしていた。
 片孔は澄んだ色をしている。ぞっとする眼差しだ、とはとりは眉を寄せる。しかし、これはあの目だけで此方を見ているわけではあるまい。
(「うんざりだ」)
 超常に振り回されるのは――思いながら、大剣を構える。
(この身の最後だ。すべてを尽くそうぞ)
 此所に到って、全力を出すなどという。そして当然、はとりの反応を待つことも無く、刹那、翼を広げた道人の身体から、無数の何かが飛び出してきた。渾沌の諸相とはよくいったもの――白き無貌の牛頭、白きおぞましき触手がはとりの逃げ場を奪うように膨れあがると、はらはらと羽が落ちてくる。
 小手調べの抵抗に、剣を薙いでみたが、剣風を嫌い、ふわりと躍った羽が肩に触れるや、発火する。
 ――またか。はとりは思わず苦笑する。また焼かれるのか、と項垂れたい気持ちを堪え、前を向いた儘。
「散々燃やされた俺の学習力をなめるな」
 言うや、氷の壁を作る。地形を操るつもりだったが、渾沌の地は、道人の領域。はとりの影響を抑え込んでくるためだ――氷は、道を埋め尽くす触手を遮る。
 炎が勝手に氷を溶かし、雨を降らす。すべて消すことは叶わずとも、火勢を弱めることはできる。
(「俺の力で取れうる最善の手段を」)
 油断なく、これ以上の隙を与えず――はとりは第六感を研ぎ澄ませる。
「推理ショーが見たけりゃ見ていけよ」
 不敵に告げる。その直後にしなり迫った触手を、大剣を大ぶりに斬り上げることで裂く。即座に前へ駆け、正面から突進してくる牛頭を垂直に割る。
 道人は反応を示す表情をもたぬが、畳みかける攻撃の手に迷いが生じたかのように止まる。
「ここからは攻撃をどう変化させようが、必ず俺がその先を読む。時間をかける程あんたが不利だ……どうする」
 薄く微笑み、駆け抜ける――迎撃する様々な白きものを冷静に斬り払い、はとりが大きく掲げた大剣は、周囲を白く染めていく。
「今滅する事が叶わずとも、お前の真実も必ず暴く――俺は……探偵だからな」
 大気を凍らせる偽神兵器の刀身で、道人の身体を深々と割った。

成功 🔵​🔵​🔴​

春・鷙呂
全ての過去というのであれば、尚のこと
お前に負ける訳にはいかん

幽静を抜き、来るモノに対応する
最後は私を狙ってくるのであれば手はある
無茶ではあるが…無謀ではあるまい

剣で受け止め、斬れぬものであれば残雪を展開する
毀れよ我が呪い、我が汚泥

呪殺の符と剣で、致命傷だけは避けるさ
喉を鳴らせ、耳を立てろ

来る一瞬に対応する為に意識を集中させる
腕の一本でもくれてやる。食らい付くための牙であれば持っている
この身が動く内に反撃に踏み込む

呪式を展開
流した血の全ても利用して一気に踏み込む
傷は気にしない。…無様は見せん
幽静か拳か、一撃は確実に叩き込む

ひとの世は、自らの意志を紡ぎ、継いで来た
お前には帰ってもらおう。鴻鈞道人よ



●呪われしもの
 翼が、散る。次々と切り落とされた触手が、腐り落ちる。
 その肉体が大きく損なわれつつあれど、渾沌氏『鴻鈞道人』は呼気を乱さぬ。乱す口がないからだ。神気を帯びたような姿も、刻みつけられた疵で爛れ、然れどそれは最後に立ち塞がる猟兵の前で、泰然と佇む。
 春・鷙呂(春宵・f32995)は呪を刻んだマスクの下、禍々しき敵を見つめた。
「全ての過去というのであれば、尚のこと――お前に負ける訳にはいかん」
 鞘から解き放った星宿や予言詩の刻まれた直剣を手に、琥珀色の瞳で睨み付ける。
(絶えず時は運び、全ては土へと還る)
 鴻鈞道人はささやく。それは、お前を含むのか――鷙呂の声なき問い掛けに、それは笑ったような気がした。
 ――私は渾沌氏……すなわち【骸の海】……。
 だから、どうした。瞬き、眼差しで射る。
 どんな攻撃が来ようとも、それは己を目指し、来る。それに応じるまでだ。
 覚悟を決めた瑞獣は黒衣を翻し、印を切る。
「無茶ではあるが……無謀ではあるまい」
 その言葉を契機と、道人が翼を大きく広げた。純白の双翼が強く輝いたかと思うと、細身の剣が次々放出される。
 空に複雑な幾何学模様を描きながら飛翔する剣の軌道は、読めぬ。視界が白光に埋め尽くされる――静かに、鷙呂は目を伏せる。黒い耳を聳て、呪を刻んだ右手で術符を広げる。
「毀れよ我が呪い、我が汚泥」
 己の血で描いた、呪われた術符は空中に固定され、鷙呂を守るよう展開する。
(「喉を鳴らせ、耳を立てろ」)
 光が、襲いかかってくる。その中央で、鷙呂は剣を水平に構えた。
 凄まじい衝撃とともに、術符が砕けていく。剣に当たった光は掻き消えたが、背を貫かれた。次々と、四肢を鋭い痛みが貫いていく。
(況んや、)
 道人はひとつ孔を細めた。
(そなたに反撃ができようか)
 五感を惑わすような閃光の中でも鮮明に響く声は、脳裏に直接届くものだからだろう。
 鷙呂は、はっと笑う。こんな痛みなど、あの日の恐怖に比べれば。そして――あの日の恐怖こそ、己に力を与えた。
「喩え腕を失おうが――食らい付くための牙であれば持っている」
 奥歯を食いしばり、鷙呂は足に力を加えた。獣のようにしなやかに、前へと跳躍しながら、剣を斜めに振り下ろす。彼を追尾する光の筋が一気に収束するが、それを剣で迎える。それでも上がった血霞を置き去りに飛び出した鷙呂の姿は朱に染まり、言霊ではないが、片腕は上がらぬ。
「気を定め、身を定め——飲み干せ、浸せ、凡てを」
 反転の呪い――疵口から流れる鮮やかな血が黒く淀むと、蔦のように鷙呂の身体を這い、その身に起きた負を反転させ、力に変える。
 全身が黒く禍々しき姿に変じたが、一足で道人との距離を詰める。敵は逃げぬが、互いの間に新たな鋒の輝きを見る。
 送り出した白虎の眼差しを思い出し、髪の向こうで、密かに微笑んだ。
「……無様は見せん」
 髪が逆立つような感覚、研ぎ澄まされた世界の中で、鷙呂は片手を無造作に薙ぐ。
 彼に向けて放たれる剣を素手で払い落とし、無防備となった道人に叩き込むは、深い踏み込みと合わせた渾身の一太刀。
「ひとの世は、自らの意志を紡ぎ、継いで来た――お前には帰ってもらおう。鴻鈞道人よ」
 毅然と告げた、最終勧告を。

 白きものは全身に光の亀裂を奔らせながら、明らかに朽ちていく。
(……全ては土へと還る――如何なるものでも)
 最後に響いた声音は、寂寥を湛え。脳裏から残響が消えるより先に、鴻鈞道人は砕け散り、消えた。
 神奇の怪物の真実は未だ不明である。その探求は、この戦いを終結させてこそ、始まるのであろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年01月30日


挿絵イラスト