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殲神封神大戦⑥〜始皇帝は水銀の御座に坐し

#封神武侠界 #殲神封神大戦 #殲神封神大戦⑥ #始皇帝


●水銀と始皇帝
 銀色のギラギラとした鋭い光沢が、その楼閣を異様に輝かせている。
 水銀楼閣『阿房宮』。かつて、人界を統一した皇帝が建造を命じ、しかし生前落成を見届けることが叶わなかった巨大宮殿が、大量の水銀をもってして再現されているのだ。
 これぞ、蘇りし『始皇帝』の業である。
 楼閣の中央で、始皇帝は笑う。しかしその眼は焦点を結ばずに胡乱。言動もところどころ知性に欠いて見える。
「朕こそが、永遠不滅の『始皇帝』なり! フハハハハ、フハハハハハハ……!」
 今なお冴え渡る強大な力に反して、その哄笑はひどく愚かしい色を響かせていた。

●グリモアベース:ゲネ
「封神武侠界『殲神封神大戦』、大物が現れた! その名も秦の『始皇帝』!」
 ゲネ・ストレイ(フリーダムダイバー・f14843)は速やかにその者の姿をホロモニターに映し出す。
 かつて人界を統べた覇者。不老長寿を求めたが叶わず、彼の死後ほどなくして秦朝は滅んでいる。
 それが今回の戦争で蘇り、兵馬俑軍団を従えて、五胡と呼ばれる遊牧民族のひとつ「羌族」を支配してしまったようだ。
 楼閣は何から何まで水銀製。内部は、吸引した者の内蔵を破壊する猛毒の水銀蒸気に満たされており、猟兵と言えど吸い込めば無事には済まない。
 だが、付け入る隙がないわけではないようだ。
「死因は水銀中毒とも言われているし、埋葬のされ方も悪かったんだろうなぁ……この始皇帝、今あんまり賢い状態じゃない」
 なにぶん、猟兵のことをどこぞの遊牧民族だと思い込んでいるようなのだ。
 その他状況判断なども甘いところがたびたび出るだろう。そこを突けば、勝利は難しくないはずだ。
「永遠の命を得るための手段だったはずの水銀が原因で、死後蘇ってみたら哀れな知能だったってのも皮肉な話だ。かつての立派な覇者だった頃に敬意を表して、すっきりさっぱり討伐してやってくれ!」
 ゲネは反転したモニターに転送術式を輝かせ、戦乱の封神武侠界へと猟兵を導いた。


そらばる
 封神武侠界『殲神封神大戦』、『始皇帝』戦。
 水銀楼閣『阿房宮』にて、水銀に対処しつつ、ちょっとおバカな始皇帝を撃破して下さい!

●プレイングボーナス
 このシナリオでは、特別なプレイングボーナスが発生します。
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プレイングボーナス……水銀蒸気に対抗する。/始皇帝の愚かさを利用する。
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 上記に基づく行動をすると有利になります。

●ボス戦『『始皇帝』』
 史上初めて人界を統一した「秦の始皇帝」です。
 現在の始皇帝は、水銀の影響かあまり賢い状態ではありません。

 始皇帝のユーベルコードで再現された水銀楼閣『阿房宮』で戦うことになります。

 執筆の進捗やプレイング締め切りなどは、マスターの自己紹介ページで呟いております。目安にどうぞ。
 それでは、皆さんの自由なプレイングをお待ちしています!
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第1章 ボス戦 『『始皇帝』』

POW   :    変幻自在水銀剣
【自在に変形する水銀の剣】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    辰砂兵馬俑親衛隊
自身の【操る水銀】を代償に、1〜12体の【自在に変形する液体金属の兵馬俑】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
WIZ   :    万里水銀陣
戦場全体に【水銀の大渦】を発生させる。敵にはダメージを、味方には【覇者の気を帯びた水銀】による攻撃力と防御力の強化を与える。
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朱酉・逢真
心情)金属でありながら液体である水銀は、矛盾した存在として神秘とされた。西洋でもよく魔術師らが特別視してたな。マ・猛毒だから扱った奴の大半はくたばったがね。この皇帝サマも〈過去(*オブリビオン)〉なら、一度はくたばってるンだろ? 不老不死なンてその程度のモンさ。しっかり寝りゃア、アタマもすっきりするンじゃないかい。
行動)水銀蒸気は毒、なら俺の権能〈毒〉で防げるはずさ。結界も張っておこうか。水銀は液体、なら俺の《水》で操れるはずさ。相手がアタマ使わンならなおさらだ。水銀の兵馬俑を動けなくして、相手が苛立ちにどっさり喚んだら、操って皇帝攻撃させよう。12体分水銀使ってりゃ、防護も薄くなってるだろ。



●水銀を操る水
「金属でありながら液体である水銀は、矛盾した存在として神秘とされた。西洋でもよく魔術師らが特別視してたな。マ・猛毒だから扱った奴の大半はくたばったがね」
 朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)は、〈毒〉の権能を持ってして水銀蒸気を結界で退けながら呟いた。
「うぬ? 貴様が……猟兵?とかいう者か。たかが遊牧民の分際で、朕に挑もうとは豪胆なことよ。ゆけい、我が下僕!」
 始皇帝は逢真の姿を認めるや即座に水銀を操り、辰砂兵馬俑を三体作り出した。
 が、兵馬俑はなぜか動かない。始皇帝の命令通りに動こうとはしているのだが、何らかの力に阻まれ動けないようだ。
 しかしまともに頭の働いていない始皇帝は、それに気づけない。まして、水銀に擬態するように密かに紛れ込んだ《水》が、兵馬俑を巻き取っているのが原因だなどと思いもしない。
「ええい、なぜ動かん! 朕はかの始皇帝なるぞォ!!」
 始皇帝は苛立ちに任せてさらなる兵馬俑を水銀から作り出す。その数、最大数の十二体。
 あまりに思い通りの動きに、逢真は皮肉げな笑みを浮かべる。
「この皇帝サマも〈過去(オブリビオン)〉なら、一度はくたばってるンだろ? 不老不死なンてその程度のモンさ。もういっぺんしっかり寝りゃア、アタマもすっきりするンじゃないかい」
 水に纏わりつかれた辰砂兵馬俑達が動き出す。まるで、操り人形が主の命に反抗するような、ぎこちない仕草で。
 十二対の平坦な瞳が、流体金属のギラリとした光沢を走らせて、始皇帝をまっすぐに見据える。
「な、何……!? 貴様ら朕に歯向かうなど許されるとでも……ぐああああぁぁ!!」
 考えなしに水銀を浪費した代償は、銀色にきらめく十二の凶器となって、丸腰の始皇帝に容赦なく降り注ぐのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミリアリア・アーデルハイム
屏氷万里鏡による【結界】と【オーラ防御】で水銀蒸気を防ぎ、近付きます

敵UCの発動と共に【カウンター】でUCを発動し、
辺りの豪華な調度品や水銀を操り『錆龍召喚』
今回は素材がゴージャスなので綺麗な龍になりましたね。

始皇帝を【威厳】で制し呼びかけます

今あなたの前で龍を召したのは私が神であることを証すため、
水銀を消したのはあなたの内にある力が満ちて欠けるところが無くなったためです
今こそ大願成就の時
龍の前へ進み、祝福の炎を受けるように

【浄化】の【呪殺弾】と化したブレスを【全力魔法】で。
「不老不死」だなんて・・・骸の海から還って来た時点であなたはもう死んでいるのに。
その妄執が晴れるようせめて【祈り】を。



●神の託宣
「ぬぐぅ、遊牧民にしてはやりよる……ぬ、新手か!」
 目前に歩み出た新たな猟兵を認めた瞬間、始皇帝は反射的に水銀の大渦を展開した。
 ミリアリア・アーデルハイム(永劫炉の使徒・f32606)は水銀蒸気を結界とオーラでいなしながら、即座にユーベルコードを発動して対抗する。
「汝 万象を再生へと導く者よ、我が招び声に応えよ!」
 凛とした呼びかけに応えるように、宮殿が一瞬、震撼した。
 次いで周囲の豪華な調度品が溶け落ちるように液体に戻り、大渦を成している水銀を根こそぎ巻き込みながら急速に巨大なシルエットへと集束していく
「……何ィ!?」
「今回は素材がゴージャスなので綺麗な龍になりましたね」
 始皇帝が驚愕の眼差しで、ミリアリアが笑顔で見上げたそれは、水銀の美しい肢体を持つ錆竜。
「──聞きなさい、かつての覇王よ」
 眼差しを翻すと同時に表情を変え、ミリアリアは威厳に満ちた声で始皇帝に呼びかけた。
「今あなたの前で龍を召したのは私が神であることを証すため、水銀を消したのはあなたの内にある力が満ちて欠けるところが無くなったためです」
「神……神だと……おお……なんという……」
 龍の神々しさとミリアリアの威厳にころりとやられて、始皇帝はすっかり信じ込んでいるようだ。
「今こそ大願成就の時。龍の前へ進み、祝福の炎を受けるように」
 ダメ押しのアルカイックスマイルを浮かべるミリアリア。
「我が大願がここで叶うと……! おお神よ、感謝する……!」
 感涙すら流しながら無防備に龍の前に出る始皇帝。その頭の上から降り注ぐ、神々しい龍の吐息……
「これで朕はついに不老不──いぎゃあぁッ!?」
 もちろん、錆竜のブレスにそんな効果はない。
 浄化の呪殺弾と化したブレスがごうごうと音を立てて始皇帝に注がれていく様に、ミリアリアは小さな嘆息を零す。
「「不老不死」だなんて……骸の海から還って来た時点であなたはもう死んでいるのに」
 龍のブレスに押し流されゆく「おのれ騙しよったなああああ!」という恨みがましい絶叫を聞き流しながら、せめてその妄執が晴れるようにとミリアリアは祈りを送った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

霧沢・仁美
…流石に生きてた頃はもっとまともだったよね?歴史の授業で習ったトコからいって。

気化した水銀っていったら、確かに危険な毒だよね…!
何とかして防がないと。
【念動力】で自分の周りに斥力場を形成、これで水銀蒸気を防ぐよ。
同時に、ユーベルコードの水銀の渦を食い止めるのにも利用。

プラズマブーツの【推力移動】で空中を飛行、基本的に空中から攻撃を仕掛けるよ。
ワイヤーロープの【投擲】は躱されるけど、そのまま切り離して床に落とし、後々の攻撃の布石にする。
引き続き【衝撃波】で攻撃、始皇帝の意識が頭上に向いたところで、落としておいたワイヤーロープを念動力で操作し【捕縛】。
先端に付けておいた念動砕刃で急所を突き抉る!



●足元にご注意
「……流石に生きてた頃はもっとまともだったよね?」
 霧沢・仁美(普通でありたい女子大生・f02862)はちょっと残念なことになっている始皇帝の現実に、なんとも言えない視線を送った。歴史の授業で習った偉人とは、とても同一人物とは思えない。
「ええい、遊牧民風情がごちゃごちゃと五月蝿いわ!」
 始皇帝は考えなしに水銀の大渦を放ってきた。一気に立ち込める銀色の蒸気。
「気化した水銀っていったら、確かに危険な毒だよね……!」
 仁美は自身の周囲に形成した念動力の斥力場で水銀蒸気をいなすと同時、打ち付ける水銀の大渦を押しのけて耐えた。渦の勢いが弱まる瞬間を狙って、ブーツの機能を開放。プラズマによる推力を爆発させて一気に空中へと飛翔する。
「何!? 昨今の遊牧民は空を飛ぶのか……!?」
 頭の悪い驚き方をしつつも、始皇帝は投げつけられたワイヤーロープの攻撃を反射的に躱した。
 仁美は構わずロープを切り離して床に落とし、空中を飛翔したまま衝撃波で追撃していく。が、始皇帝が自在に操る水銀によってことごとく防がれてしまう。豊富な水銀量でもって押し返してくる勢いだ。頭を使う必要のない戦いに関しては、やはり油断ならない手練らしい。
「フハハハハ甘い甘い! この程度、朕には届かぬわ!」
「でも、これならどうかな……!」
 完全に始皇帝の注意が上を向いているのを認め、仁美は水銀の重圧に耐えながら力を解放した。念動力が床を這うように迸り、お留守になっている始皇帝の足元に勢いよく絡みつく。
「何!? なんだこの紐は!?」
「さっき落としたロープだよ」
 念動力で自在に動くロープは、始皇帝を捕縛したまま、蛇が鎌首をもたげるが如く、その先端に取り付けられた高周波振動刃をギラつかせた。
 足首を手ひどく切り裂かれる激痛を乗せて、始皇帝の絶叫が宮殿内に轟いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

リューイン・ランサード
(始皇帝の有様を見て)うわあ、お爺ちゃんボケちゃっている。
臣下が骸の海で泣いていそう<汗>。

まあでも水銀は厄介ですね。
厄介だから吸い込んで解決しましょう。
と、UCで左手をブラックホールに変換して水銀を吸い込み対象にして水銀蒸気や水銀による攻撃を無効化。
勿論、液体金属の兵馬俑も吸い込み対象にします。

更にビームシールドを周囲に滞空させて盾受けし、身体にはオーラ防御を纏って護りを固めます。

仙術で剣を持った自分の分身を多数作り出し、始皇帝を襲う素振りを見せて注意を引き付けます。
その間に多重詠唱による風と炎の属性攻撃・全力魔法・高速詠唱による炎の竜巻を始皇帝に放ち、炎で焼いて風で斬り刻みます。



●デコイ
 始皇帝の有様を前に、リューイン・ランサード(乗り越える若龍・f13950)は他人事ながらに汗を浮かべずにはいられない。
「うわあ、お爺ちゃんボケちゃっている。臣下が骸の海で泣いていそう」
「わけのわからぬことを!」
 意味がわからないなりにイラッときたのか、大量の水銀を操り始める始皇帝。
 リューインはすっと表情を改め、正面に左手を翳した。
「まあでも水銀は厄介ですね。厄介だから吸い込んで解決しましょう」
 差し出した左手が黒くぐにゃりと歪み、小さなブラックホールへと変じると、辺りの水銀やその蒸気を吸い込み始めた。始皇帝の周囲を守る水銀はもちろん、形を成し始めた兵馬俑軍団まで呑み込まれていく。
「ぬう、こしゃくな。しかし吸い込まれるならさらなる量で押し流せば良いのだ!」
 ザ・脳筋な答えを弾き出し、大量の水銀を大渦にして解き放つ始皇帝。
 リューインは周囲に滞空させたビームシールドで奔流を受け流し、オーラで護りを固めて衝撃や毒素を軽減しながら、仙術による分身を多数生み出した。
 分身はいずれも剣を持ったリューイン自身の姿をして、大渦もものともせず、今にも始皇帝に襲いかからんと身構えている。
「む、来よるか……!」
 そのまま大渦で押し流せばいいものを、剣を持ち出されたとあって、単純な始皇帝は反射的に手元に水銀剣を構えた。注意が逸れたことで大渦の制御は荒くなり、まとまった量の水銀が始皇帝の周囲に戻っていく。
 分身達と睨み合い牽制し合う始皇帝。分身の後方で、「本体」が着々と術を完成させようとしているのにも気づかずに。
「……ええい、さっさとかかってこぬか腑抜けどもめが! 朕の手を煩わせるでないわッ!」
 痺れを切らした始皇帝が、水銀剣を対集団戦型の戦輪へと変形させたのと、リューインの多重詠唱が成ったのは同時。
 突如視界に膨れ上がった炎の赤に、始皇帝は瞠目する。
「──何!?」
「紅蓮の炎よ、吹き荒れる疾風よ、蘇りし古き覇者を討ち倒せ!」
 始皇帝が大渦を巻き起こすも、焼け石に水。
 宮殿内に吹き荒れた炎の竜巻は、分身も、水銀剣も、大渦も何もかも巻き込んで、始皇帝を焦熱の嵐で蹂躙した。

成功 🔵​🔵​🔴​

木霊・ウタ
心情
オブリビオンのくせに
猟兵のことも判らないなんて
確かにちょいと哀れだよな
始皇帝を海へと還してやろう

戦闘
纏った紅蓮の火力を挙げて
阿房宮ごと燃やし尽くすつもりで
地獄の炎を燃え盛らせて
水銀蒸気を焼却したり
炎が呼ぶ風で吹き飛ばす

万が一吸い込んじまったら
体内で焼却

銀の空間を紅蓮で切り裂きながら突撃

大渦の流れにあえて逆らわずいなし
炎の螺旋を描きながら
渦の中心にいる始皇帝との間合いを詰める

渦の中心は無風のはず
渦を抜け出したら更に爆炎で加速

その勢いも乗せて
獄炎纏う焔摩天を振り抜き
水銀を浄化・蒸発させながら始皇帝を砕く

事後
鎮魂曲を奏でる
安らかに



●炎VS水銀
「オブリビオンのくせに猟兵のことも判らないなんて、確かにちょいと哀れだよな」
 狂乱というにはあまりに間が抜けている始皇帝の現状に、木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)は思わずぼやいた。骸の海へと還してやるのが親切だろう。
「ふん。人界の覇者たる朕を憐れむなど片腹痛いわ!」
 始皇帝は直情的に水銀の大渦を巻き起こした。高速で打ち付ける水銀流、湧き立つ危険な水銀蒸気。
 ウタは全身に纏わせた紅蓮の火力を上げ、阿房宮まるごと燃やし尽くすつもりで地獄の炎を燃え盛らせた。蒸気は灼熱に焼却され、あるいは炎が作り出す暴風によって吹き飛ばされていく。
 わずかに吸い込んだ感覚があったが、問題ない。体内の地獄が毒素を焼却してくれる。
「その程度の炎で朕の水銀が呑まれることなどありえぬわ!」
 始皇帝は水銀の量で対抗する。渦の激しさはいやまし、視界は銀色の流動に埋め尽くされる。
 銀の空間を紅蓮が切り裂く。ウタは大渦の流れにあえて逆らわずにいなし、炎が螺旋を描く。大回りのループが徐々に狭まり、渦の中心が見えてくる。
 円状に切り取られた無風の中心部に、佇む始皇帝の姿が。
 渦から抜け出した瞬間、ウタの全身は爆炎を上げてさらに加速した。遠心力に上乗せされた爆発の勢いのままに、獄炎纏う焔摩天を振り抜き──
「──見えておるわ!」
 振り返りざまギロリとウタを睨みつけ、始皇帝が水銀剣を翻した。炎の輝きは水銀の嵐の中でもあまりに明るく、灼熱は遠くにあっても熱源の位置を伝える。頭を使わずとも拾える情報が多すぎるのだ。
 だがウタは止まらない。まっすぐに突き刺してくる水銀剣へ、真正面から焔摩天の刃を振り下ろす。
「……焔摩天、転生!」
 振り抜かれた刃が、不死鳥の嘶きの如き風切り音を高らかに響かせた。
 水銀の刀身は地獄の炎に潰される如く蒸発し、驚愕に瞠目する始皇帝へ、炎の斬撃が落とされる。
「安らかに」
 灼熱を浴びて絶叫する始皇帝と荒れ狂う大渦を背後に、枯れた音色の鎮魂曲が戦場を彩った。

成功 🔵​🔵​🔴​

月凪・ハルマ
かつての統治者がこんなんなっちゃうか
いやー怖いね、水銀中毒

◆SPD

そんじゃま、水銀蒸気に対抗してまずは【天津太刀風】発動
風刃で周囲の蒸気を吹き飛ばしつつ、同時に始皇帝も攻撃

さらに【武器改造】で手裏剣に爆破機能を付与後、それらを【投擲】
コイツの爆風でも水銀蒸気を吹き飛ばす効果が得られる筈
なので始皇帝を狙う他に、周囲にもばら撒く感じで(【範囲攻撃】)

兵馬俑も可能ならUC,及び改造手裏剣で吹き飛ばす
無理なら【迷彩】で姿を隠し、【忍び足】で逃げ回る

水銀蒸気以外の攻撃に関しては
【見切り】【残像】【武器受け】【第六感】で回避

※アドリブ・連携歓迎



●風と爆発
「かつての統治者がこんなんなっちゃうか。いやー怖いね、水銀中毒」
 猟兵に完全にしてやられている始皇帝の姿に肩をすくめて、月凪・ハルマ(天津甕星・f05346)は早々に風を巻き起こした。
「そんじゃま、まずは蒸気をどうにかしないとな。──吹き祓え、風刃……!」
 吹き荒れる風は数多の風刃となって宮殿内を駆け抜け、蒸気を吹き飛ばしつつ始皇帝へと殺到する。
「ぐぬ……っ」
 そのあまりの素早さに、始皇帝は咄嗟に水銀の幕を張って対抗する。分厚い水銀の質量に防がれれば、風刃はいなされてしまう。
 が、ハルマの攻勢はそれだけではなかった。武器改造を施した手裏剣を重ねてばら撒けば、辺りに小さくはない爆発が連鎖し、水銀の蒸気も盾も吹き飛ばされていく。
「……小賢しい! 兵馬俑どもよ、奴を引き裂けい!」
 始皇帝は守備に注力しながら、余剰の水銀で数体の兵馬俑を作り出した。
 様々な武器を手に襲いくる兵馬俑。銀色の視界の中で認識しづらい敵の攻撃を、ハルマは直感的に武器でいなし、残像を描きながら着実に回避していく。
 風刃と爆発で削られていく兵馬俑。しかし水銀製の兵士達は多少削られてもすぐに復元してしまう。
「キリがないか……」
 呟き、ハルマは迷彩を纏って銀色の背景に溶けるように姿を消した。
 これに反応したのは始皇帝である。
「な、何!? 一体どこへ消えよった!? ぬぅ、なんと恐ろしい妖術よ……兵馬俑ども、なんとしても奴を見つけ出せ!」
 たちまち顕現する兵馬俑は最大数の十二体。
 すなわち、始皇帝を護る水銀は、ほぼ使い尽くされた。
 足音を消して敵の背後に回り込んだハルマは、思わず呆れの声を上げてしまう。
「いやほんと、面白いくらい単純だねぇ」
「ハッ! しまっ──」
 己の愚を悟ろうと、時すでに遅し。
 無数の風刃と爆発が一点へと殺到し、始皇帝の絶叫をかき消した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーフィ・バウム
永遠不滅の存在などありえません!
むしろ、生前の貴方の彼の名誉を守るためにも
速やかに骸の海に返しましょう

水銀蒸気に対しては、
自慢の【オーラ防御】を体から放出し、
体の周囲に纏わせ吸い込むことを防ぎます
風の【属性攻撃】で吹き散らすことも併用して。
全て防げなくても、【毒耐性】もある体です。
倒すまで持てばいいっ

戦闘では【挑発】し、隙を作ることを心がけましょう
「暗愚とは、貴方のことではないでしょうかっ」
出来た隙に対して――【ダッシュ】からの
【鎧砕き】の攻撃をねじ込む!
元の貴方ならこの挑発にも乗ることは――いえ

今はただ倒すのみ
【グラップル】で転がした始皇帝へ
【トランスクラッシュ】のヒップドロップで決着ですっ



●挑発覿面
「永遠不滅の存在などありえません! むしろ、生前の貴方の彼の名誉を守るためにも速やかに骸の海に返しましょう」
 ユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)は凛と宣言すると、全身から放出した自慢のオーラで自分自身を覆い、水銀蒸気を自分の周囲から退けた。同時に力強く打ち付けた両手のナックルが風を巻き起こし、毒素を吹き散らす。
「遊牧民の分際で覇者たる朕に歯向かおうとは、猟兵族とやらの暗愚は見るに耐えんな」
 負けが込みまくっている現実が見えていないのか、始皇帝は水銀剣を構えて偉そうに胸をそらした。ユーフィも真正面から受けて立つ。
 大渦の中心で斬り結ぶ二人。決して無視できない質量の水銀が勢いよく打ち付けてくるが、ユーフィのオーラの護りに隙はない。たとえ全てが防げなかったとしても、
「倒すまで持てばいいっ」
 ユーフィの一撃が水銀剣を弾き、始皇帝を押し込む形で二人の間に距離が生まれた。
 わずかな体幹のぶれを即座に取り繕うように身構える始皇帝へ、ユーフィは声を張り上げる。
「音に聞く始皇帝がこの有様とは……暗愚とは、貴方のことではないでしょうかっ」
「──何だと!」
 暗愚の謗りに相応しく、容易く挑発に乗ってうかつにもまっすぐ突っ込んでくる始皇帝。
 あまりにもわかりやすい隙に対して、ユーフィもまた真正面から全速力で突撃を仕掛ける。
 激突するナックルと水銀剣。
 ねじ込まれた拳の生み出す風と衝撃が、水銀剣も、咄嗟に守備に回された水銀の幕も、まとめて微塵に砕き消す。瞠目する始皇帝。
「……元の貴方ならこの挑発にも乗ることは──いえ」
 今はただ倒すのみ。
 目にも留まらぬ速さで組み付かれ、床に転がされた始皇帝の腹に、息つく暇なく落とされる凶悪なヒップドロップ。
 その衝撃は声を上げることすら許さず始皇帝の全身の骨を砕き、流体であるはずの水銀の床すら細かに破砕せしめたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年01月16日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト