●
バウナハ村。
小さな村だ。領主の騎士も、ここまではやってこない。
そんな村で村人たちはささやかに暮らしていた。彼らにあるのは、蝋燭の炎にも似た小さな幸せ。けれど村人たちは、その幸せをしっかりと抱き、生きていた。が――。
ある日、その暮らしは突如破られた。
村の中央。そこに建物があった。村の家屋は基本木材と漆喰の壁でできているのだが、その建物は違う。石造りであった。教会だ。
「いいところだな」
入口のドアを蹴破るようにして乱入してきた者があった。兇猛そうな面付きをした数人の男たちである。山賊であった。
「ひっ」
祈りを捧げていた数人の男女が驚いて立ち上がった。その中の一人に目をとめると、リーダーらしき男がニタリと笑った。
「良い女がいるじゃねえか」
「あなたたちは何なのですか?」
女が気丈に問いかけた。十八歳ほどの娘である。金髪碧眼で、整った顔は美形といっていい。名をリディアといい、村長の娘であった。
「俺はバシリオス。まあ、山賊って奴だ」
こたえると、バシリオスは教会の神父である老人に歩み寄っていった。
「村長のところにいって伝えろ。食物と酒をもってこいってな。でないとここにいる奴らを殺す」
神父に命じると、リディアを見やり、バシリオスはニヤリと笑った。
●
「バウナハという村に趣いてほしいの」
妖しく美しい少女が口を開いた。シモン・ブリリアント(ダンピールの剣豪・f11966)である。
アックス&ウィザーズ。剣と魔法と竜の世界であった。その世界の片隅に、バウナハという村はある。
「教会が山賊に襲われた。彼らは立てこもり、食料などを要求しているわ」
人質がとられているため、逆らうことはできない。領主の騎士団も辺境の村などに趣いてはくれない。それが現状であった。
「村を救うことのできる者は猟兵だけ。教会を制圧、山賊を討伐してちょうだい」
夜風の囁きのように、しずかにシモンは告げた。
雪村彩乃
雪村ともうします。
今回はアックス&ウィザーズの世界に趣いていただきます。
教会の内部。広い礼拝堂と神父の執務室に分かれています。
入口は表のドアが一つだけ。他にはステンドグラスの窓があります。
人質は八人。山賊の数は十人。剣と短剣で武装しています。
外からはわかりませんが、入口にいつも見張りを一人立たせています。単純に入口から突入した場合、人質に危害が及ぶかも。
猟兵のことは噂で聞いているらしく、あらためて信用させる必要はありません。
第1章 冒険
『家屋の解放』
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POW : 肉体言語でお話合う
SPD : インフラの切断など工作活動
WIZ : 説得
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
星宮・亜希
「どの世界にもいますよねーこういうやつ。生きるのに必死なのか、味しめちゃったのか……ま、どっちにせよ軽く吹っ飛ばしちゃいましょう!」
とはいえ人質の存在が厄介ですね…何とかして人質の懐へ飛び込まなくては
人質と入り口で一人ずつとして、余った一人が他の侵入経路を見張っててもおかしくないですね。警戒してステンドグラスの近くへ忍び込み、中の様子を出来る限り情報収集してみましょう。
そしてタイミングを第六感で判断し、槍投げをステンドグラスごと一人にぶち当てて、びっくりしてる隙に人質達の所へ忍び寄って守護結界を発動します!
これで私が防御している間は人質は何とかなるでしょう!盗賊の処理はみなさんに任せましたよ!
ニトロ・トリニィ
【WIZ】を選択
領主も助けてくれないのか…
辺境の村だから、贅沢は出来ないだろうけど、そこから生まれる幸せもあるんだよね…
その幸せを守る為にも、出来る事を全力でやるしか無いね!
【行動】
優先すべきは教会内部がどうなっているのか、どの位置に誰がいるのか、調べる事だね。
最初に山賊の頭と交渉を試みるよ。〈礼儀作法〉を使って相手を刺激しないようにしないとね。
《蛸の追跡者の召喚》は交渉相手が出てくる時を狙ってこっそりと〈情報収集/忍び足/目立たない〉を使いながら忍び込ませるよ。
交渉に応じない場合はどこか入れる場所を探すよ。 煙突とか無いかな?
もしダメだった場合は他の人の手伝いかな?
アドリブ歓迎です!
叢雲・源次
なるほど、山賊。
牙を持たぬ者のみを標的にする事しか出来ない輩か…愚かしいな。
人質の無事を確保しつつ彼らを駆逐すればいいんだな?
了解した。そのように行動する。
【連携歓迎】
破壊工作や隠密行動をしている猟兵がいると前提して行動する。
まずは教会の構造を把握。入り口は正面にひとつ。それとステンドグラスか
内部の様子を見ることは難しいのであれば音や入り口の様子を注視すべきか。
なんらかの動きがあったなら便乗してステンドグラスから突入する
バリシオス、といったな。なるほど、牙を持たぬ者にしか刃を振るうことの出来ない哀れな男そのものだな。
いいだろう、お前のその性根を断ち切らせて貰うぞ。
ノイジー・ハムズ
【連携歓迎】
どうしてこういうのどかな村に、わざわざ来たんでしょうね、山賊
ははーん、さては、そういう趣味ですね!
●潜入
食料を要求しているんですね。
はっ! 私ひらめいちゃいました!
小さくて可愛いフェアリーである私が、食料と一緒に紛れ込むとかどうでしょう!
服の中に隠れて一緒に入るとか!
スカートとかなら多分目立ちません。大丈夫です!
●潜入できたら
調度品などの影に隠れてこっそり移動します
神父さんの所にいる人が偉そうなので、あの人を逆に人質にします!
デッドオアライブは、山賊さんの出方次第ですね☆
見つかったら【誘惑】を試みますが、だめそうならぶち転がします!
私を見つけた自分の才能と悲運を恨みましょう!
宮落・ライア
む?悪だな!斬るべき悪だ!
正面?窓?いいえ横から。
壁を【ダッシュ・怪力・グラウンドクラッシャー】でぶち破り
土煙に紛れて勢いのままに突入。
人質の居場所を【野生の感・見切り】で判断して
走っていく。
山賊が近くにいるなら【グラップル】【薙ぎ払い】で遠くに吹き飛ばす。
人質確保後は【かばう・覚悟・カウンター】で守勢。
【存在感・殺気】で笑顔の上で近づけば殺すと無言で主張する。
鞍馬・景正
清貧と例えるのに相応しき村です。
なればこそ賊の土足に踏み荒らさせる訳にはいかぬ。
◆作戦
上泉武蔵守様の逸話に倣うには、人質と賊の数が多すぎる。
奇襲で仕留めに懸りましょう。
まず気付かれぬよう教会周囲を観察。
中の様子も伺えれば、【視力】を凝らし山賊と人質の位置関係も把握。
その上で突入に適した窓を選定。
それを体当たりで突き破り、【霰】で射抜いて参る。
武装している者全員を素早く【見切り】、【2回攻撃】で矢を喰らわしていきましょう。
万一にも人質を誤射せぬよう、狙いは【スナイパー】の如く正確に。
◆備考
他猟兵の作戦の邪魔にならぬように。
より人質の安全重視で良い策があればそれに従います。
(連携・アドリブ歓迎)
●
「なるほど、山賊」
表情のない顔で呟くと、男は紅く光る瞳を石造りの建物にむけた。教会である。
男は手近にあった石を手にとった。義手の出力を上げる。石がビスケットのように砕けた。
男は二十代半ばほど。名を叢雲・源次(黒風白雨・f14403)という。サイボーグであった。
「牙を持たぬ者のみを標的にする事しか出来ない輩か…愚かしいな」
「そんな輩がどうしてこういうのどかな村に、わざわざ来たんでしょうね」
ピンクの髪をゆらし、良く動く大きな瞳が特徴的な可愛らしい顔立ちの少女が首を傾げた。
背丈は三十センチにも満たないだろう。背には蜉蝣のもののような羽根がある。フェアリーであった。
少女――ノイジー・ハムズ(あたまもかるい・f14307)は何を思いついたのか、目を見開かせると、
「ははーん、さては、そういう趣味ですね!」
「どういう趣味だよ」
ニトロ・トリニィ(楽観的な旅人・f07375)という名の若者が声を発した。
そのニトロであるが、影のように黒い肌の若者で、人間ではなかった。黒いタール状の液体生命体なのである。どのようにして生まれたかなどの記憶はなく、覚えているのは自身の名前のみであった。
「それは」
「いい、いい」
手をひらひらと振ってノイジーを遮ると、ニトロは小さくため息を零した。
「領主も助けてくれないのか…辺境の村だから、贅沢は出来ないだろうけど、そこから生まれる幸せもあるんだよね…その幸せを守る為にも、出来る事を全力でやるしかないね!」
「どの世界にもいますよねーこういうやつ」
黒髪黒瞳の少女が、その美麗な顔をしかめてみせた。覗く胸元がむっちりと豊かであるところからみて、かなりの巨乳であろうと思われる。心に闇を抱えているのだが、その溌剌とした様子からは、その真実が窺い知れることはなかった。名を星宮・亜希(双星の守護天使・f00558)は続けていった。
「生きるのに必死なのか、味しめちゃったのか……ま、どっちにせよ軽く吹っ飛ばしちゃいましょう!」
「然り」
声がした。教会の周囲を見回っていた男で、名は鞍馬・景正(天雷无妄・f02972)。羅刹であった。
「内部の様子は?」
ニトロが問うと、景正は、その妖しく美しい顔を横に振った。
「だめですね。中は見えませんでした」
「じゃあ山賊と人質の方々の位置はわからないということですね」
さすがに亜希の顔から笑みが消えた。突入するにしても、やはり内部の様子は知っておいた方がいい。
「ええ。けれど私たちがやらなければ。清貧と例えるのに相応しき村。なればこそ賊の土足に踏み荒らさせる訳にはいかぬ。とはいえ上泉武蔵守様の逸話に倣うには、人質と賊の数が多すぎる。奇襲で仕留めに懸りましょう」
「それしかないでしょうね」
ニトロがうなずいた。するとノイジーが瞳を輝かせた。
「はっ! 私ひらめいちゃいました!」
「ひらめいた?」
「はい。山賊は食料を要求しているんですよね。小さくて可愛いフェアリーである私が、食料と一緒に紛れ込むとかどうでしょう! 服の中に隠れて一緒に入るとか! スカートとかなら多分目立ちません。大丈夫です!」
「ううむ」
源次は唸った。
「可愛いかどうかはともかく、それは良い考えかもしれん」
「でしょ。可愛いフェアリーである私の作戦なので間違いはありません!」
ノイジーは薄い胸をはった。
●
声がかけられ、ドアがわずかに開いた。覗く目が声の主を確認する。
「何だ、てめえ。村の奴らじゃねえな」
「猟兵だよ。君たちのリーダーに話があるんだ」
ニトロがいった。
「俺が頭だ」
別の声が教会内部から響いた。顔は見えない。
「猟兵が何の用だ?」
「とらえている村の人たちを解放してくれないかな。そうすれば君たちに危害はくわえない」
「馬鹿か、貴様」
嘲笑が響いた。
「おとなしく人質を手放すはずがないだろうが。危害をくわえる? 面白い。やってみろよ。人質がどうなってもいいのならな。それより早く飯と酒をもってこい。愚図愚図してやがると、人質を一人殺すぞ」
ドアが音をたてて閉められた。取り付く島のない態度である。
苦笑するとニトロは背を返した。予想された結果ではある。
「守備は?」
戻ってきたニトロに景正が訊いた。するとニトロは微笑みでこたえた。
「潜入は成功だよ。内部の様子は――」
ニトロは教会内部の様子を他の猟兵たちに伝え始めた。ドアが開かれた際、その隙間から彼は教会内部に蛸のような姿をした宇宙生物を忍び込ませたのである。その宇宙生物とニトロは五感を共有しているのであった。
「次は私の番ですね」
にこりとノイジーは微笑んだ。
「クハハ」
酒のはいったグラスを口に運びつつ、バシリオスは嗤った。
「人質を解放しろだとよ。笑わせるぜ。なあ。そうは思わねえか」
バシリオスがリディアに笑いかけた。
刹那である。ステンドグラスが砕け散った。光の砕片の中、疾ったのは槍である。
槍は、驚倒して呆然とする山賊の一人の身体をかすめて流れすぎた。
直後である。ステンドグラスの破れ目から人影が飛び込んだ。亜希である。
山賊たたちが気づいた時は遅かった。人質たちに駆け寄ると、亜希は天使のものの如き純白の翼を広げたのである。
「貴様――」
バシリオスの絶叫は、ステンドグラスの砕け散る音でかき消された。空に二つの影が躍り上がっている。源次と景正だ。
「村の方たちは私が守ります。盗賊の処理はみなさんに任せましたよ!」
亜希が叫んだ。
「小娘が。何をほざく」
盗賊の一人が剣で斬りかかった。が、見えぬ壁に阻まれたように剣がはじき返された。
「何っ」
呻くとバシリオスは源次と景正を睨みつけた。
「何だ、貴様らは?」
「猟兵だ」
源次がこたえた。
「バリシオス、といったな。なるほど、牙を持たぬ者にしか刃を振るうことの出来ない哀れな男そのものだな。いいだろう、お前のその性根を断ち切らせて貰うぞ」
「はっ」
バシリオスは嘲笑った。
「できるか。たった二人で」
「私たちを誰だと思っている?」
景正はすばやく視線を巡らせた。一瞬で標的を確定する。
「矢並み繕う籠手の上――たばしる霰が如く」
景正は矢を放った。彼のかまえる弓から幾つもの光流が乱れ飛ぶ。矢を受けた数人の山賊が倒れた。
源次はするすると滑るようにバシリオスに迫った。すると一人の山賊が立ちはだかった。
きらっ。
光がはねた。その一瞬後のことだ。源次の手の刀が鍔鳴りの音を響かせた。続いて胴斬りされた山賊がばたりと倒れる。
居合。
目にもとまらぬ抜刀により、源次は山賊を切り捨て、しかる後、納刀したのである。おそらく山賊は己がいつ斬られたか自覚はなかったであろう。
「邪魔はさせん」
再び景正の弓が光を噴いた。疾る幾つもの矢が山賊たちを射抜く。
「ぬうん」
源次が抜刀した。が、閃く刃は空をうっている。バシリオスが躱したのだ。のみか、彼は源次を袈裟に斬り下げ――。
小さな影が物陰から飛び出した。ノイジーである。食事を運んだ女性のスカートの内に隠れ、彼女は潜入を果たしていたのであった。「
「そろそろ本気を出す時が来たようですね…!」
一種の自己催眠により身体能力を賦活化させたノイジーが魔法剣で斬りかかった。が、彼女の一撃もまた空をうった。
源次もノイジーも攻撃を命中させる確率は五分。これではバシリオスは斃せない。
「はっはは。妖精か。面白い。まずはお前からころしてくれる」
バシリオスの手の剣がノイジーめがけて疾った。
その時だ。教会の壁が爆裂した。粉塵と瓦礫がバシリオスを襲う。さすがにたまらず、バシリオスは後退った。
「な、何が――」
呻くバシリオスの眼前、粉塵を突き破って姿をみせた者がいる。
銀の髪をポニーテールにした少女。快活そうな美少女で、その繊手は無骨で巨大な剣をひっ掴んでいる。
誰が知ろう。宮落・ライア(英雄こそが守り手!(志望)・f05053)という名の、この華奢といってもいい少女が教会の壁をぶち破ったと。化物じみた膂力であった。
「ははあ。お前がリーダーだな」
バシリオスを見るライアの目が赤光を放った。野性の勘で彼女はバシリオスがリーダーであると悟ったのである。
次の瞬間、ライアは豹のように襲った。反射的にバシリオスも刃を舞わせたが、遅い。一瞬速く、ライアの剣がバシリオスを斬り下げた。
●
猟兵が教会に攻め入る数日前のことである。
バウナハ村から少し離れたところにあるキルキス村を災厄が襲った。
一軒の家屋。そこには三人が住んでいた。父と母、そして十七歳になる娘である。
そこを幾つもの小さな影が襲った。数は三十ほどもあるだろうか。気づいた父親が棒で殴りつけ、一匹を殺したが、そこまでであった。
殺到する小さな影たちはまず父親を殺した。それから母親を殺した。が、少女は殺さなかった。
父母を殺され、気死した少女に襲いかかると、小さな影たちは彼女を連れ去ったである。目的は陵辱するためだ。彼らは異種交配することが可能なのだった。
「お願いしたいことがあります」
喜びにわくバウナハ村の人々を、微笑みをうかべて眺める猟兵たちに、一人の男が声をかけてきた。彼はキルキス村の村民で、偶然バウナハ村に来合わせており、猟兵たちの活躍を目にしたのであった。
「村を……連れ去られた娘たちを助けてください。村近くの洞穴に住むゴブリンどもを斃していただけませんか」
すがるような目で、男は懇願した。
成功
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第2章 集団戦
『ゴブリン』
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POW : ゴブリンアタック
【粗雑な武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 粗雑な武器
【ダッシュ】による素早い一撃を放つ。また、【盾を捨てる】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 足払い
【低い位置】から【不意打ちの蹴り】を放ち、【体勢を崩すこと】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
小宮・あき
あら、教会に立て籠った山賊退治と聞いたのですが…出遅れたようですね。
けれど、次はゴブリンですか。聖者として見過ごせません。
(共闘・アレンジ歓迎)
腰下げランタンを持参。
マッチで火を着火したり、消して【暗視】で動いたり。
多少の知能があるかもしれない。【罠使い】の目線で罠に注意しましょう。
【忍び足】【目立たない】で移動。
【視力】【暗視】でしっかり見て【聞き耳】で音を拾う。
【第六感】【野生の勘】を信じ【ジャンプ】【ダッシュ】【逃げ足】で回避します。
低い位置の不意打ちの蹴りは、ジャンプで交わして【早業】で反撃しちゃおう!
UC【ジャッジメント・クルセイド】を指先から【全力魔法】で放ちます。
ニトロ・トリニィ
数日前に連れ去られたのか…
しかも相手はゴブリン…
もしかしたら、連れ去られた子はもう… いや、希望を捨ててはいけないね!
無事かもしれないし、急いで助けに行こう!
【行動】
ゴブリンって素早いし身体も小さいから大きくて重い武器は不利みたいだね。僕はククリナイフで戦うよ。
…戦い慣れた個体がいない事を祈るよ。 ブラックタールの特徴と〈地形の利用〉を使いながら、〈忍び足/目立たない/暗視〉を発動しつつ進むよ!
見つけた敵は、〈2回攻撃/カウンター〉で各個撃破だね。
《蛸の追跡者の召喚》は〈情報収集〉を使いながら連れ去られた子を探す為に使うよ。
手に入れた情報は、仲間と共有しないとね。
アドリブ歓迎です!
ノイジー・ハムズ
なるほど、今日はゴブリン料理が捗りますね!
ああ、冗談ですよ、きっと☆
●戦闘
敵の動きや攻撃範囲は単純そうですが、数が多くて面倒ですね
懸命な私は【空中戦】を心がけて、死角からの不意打ちや背後を取られないよう注意します!
敵の攻撃は【見切り】、上方向に飛んで避けます!
攻撃は敵が空振ったタイミングを狙います
単体には剣を使います!
盾で防御しきれないよう【属性攻撃】をプレゼントです
今日の属性は、びりびり雷な気分です☆
複数相手に攻撃時はトライデント・フォークを発動です!
短い付き合いでしたが、潔くサクっと逝っちゃいましょう!
●戦闘後
必要なら【救助活動】も行いますが、さてさて?
さすがノイジーちゃん、優しいなぁ☆
湿った空気の満ちた闇。その中を小さな光が揺れている。カンテラの光であった。
その光に浮かび上がったのは十代半ばほどの少女である。薄紅色の髪が鮮やかで、秋の空を思わせる澄んだ蒼い瞳が美しい。
小宮・あき(人間の聖者・f03848)。猟兵であった。
「ゴブリンですか。聖者として見過ごせません」
足をとめると、あきは洞窟内を見回した。罠を警戒しているのである。
ゴブリンには多少の知恵があるという。何らかの侵入者対策を施しているかもしれなかった。
「聖者じゃなくても見過ごせませんよー」
あきの傍ら。別の人影から声が発せられた。
三十センチメートルにも満たぬ小躯。蜉蝣のごとき薄羽で飛翔している。
無論、人間ではなかった。フェアリーである。薄く笑んだ可愛らしい顔は勝気そうで、あまりゴブリンを恐れていないようであった。
「今日はゴブリン料理が捗りますね!」
フェアリー――ノイジー・ハムズ(あたまもかるい・f14307)が冗談めかしていった。
ちらり。
三人めの猟兵がノイジーを見やり、苦笑した。ニトロ・トリニィ(楽観的な旅人・f07375)という名の若者であるのだが、彼もまた人間ではなかった。
闇に染まったわけではないのに、肌が黒い。ブラックタールなのであった。
「数日前に連れ去られたのか…」
ニトロの顔から笑みが消えた。代わって現れたのは陰鬱な翳りだ。
「しかも相手はゴブリン…もしかしたら、連れ去られた子はもう…」
ニトロの脳裏に最悪の光景がよぎった。大勢のゴブリンに陵辱された挙句、殺されてしまっている少女の無残な姿である。
慌ててニトロはその想像を首を横に振って打ち消した。
「…いや、希望を捨ててはいけないね」
ニトロがいった。
刹那である。あきが跳び上がった。その足下を緑色の汚らしい足が疾りすぎる。ゴブリンだ。岩陰に隠れていたのであった。
「ギイィィィ!」
獣のようにゴブリンが吠えた。咆哮が洞窟内に響き渡る。
「まずいですね」
カンテラの光をはね、ニトロの手のナイフが疾った。くの字型の刀身をもつナイフで、ククリという。刃がゴブリンの首を刎ねた。
その時である。無数の足音が響いてきた。潜んでいたゴブリンの咆哮を聞いて駆けつけてきたゴブリンたちだ。
「来ましたね」
ごくりとあきは唾を飲み込んだ。殺到してくるゴブリンは緑色の津波のようだ。たった三人で防ぎきれるだろうかと思ったのだ。もし負けてしまった場合、ニトロやノイジーは殺され、あきは陵辱されてしまうだろう。
「負けません」
あきはゴブリンの一体を指さした。すると洞窟内が一瞬眩い光に満たされた。
「ぎゃあ」
あきが降らせた天からの光に撃たれ、ゴブリンが倒れた。が、他のゴブリンたちはとまらない。倒れたゴブリンを踏みつけ、猟兵たちに迫った。
「数が多くて面倒ですね」
ニッと笑うノイジー。その身から放たれたのは無数の巨大なフォークだ。
矢のように空を裂いて飛んだフォークがゴブリンたちを貫いた。が、盾で防いだ者もいる。
「ぎゃあ」
耳を塞ぎたくような耳障りな雄叫びをあげると、ゴブリンたちは猟兵たちを襲った。
「ぬんっ」
ニトロのククリナイフが二度閃き、ゴブリンの首を裂く。止めを刺したかを確認する余裕はない。激痛が足を走り抜けたからだ。想像以上の素早さでゴブリンの剣が彼の足を切り裂いたのであった。
「ニトロさん!」
あきが叫んだ。すると清らかな白光がニトロを切り裂いたゴブリンを撃った。悲鳴をあげてゴブリンが倒れる。
その時、別のゴブリンの足がはねあがった。さすがに今度は躱せない。ゴブリンに蹴られ、あきが倒れた。
「ぎゃははは」
数体のゴブリンがあきにのしかかった。あきを殴りつける。剣で殺さないのは、後で陵辱するためであった。
「あきさんになんてことするんですか!」
ノイジーがあきに群がるゴブリンを睨みつけた。次の瞬間、疾風のように飛んだフォークがゴブリンたちを切り刻んだ。と――。
幾つかの光が散った。ゴブリンが投擲した短剣がカンテラの光をはねたのだ。
「あっ」
咄嗟にノイジーは身を舞わせた。飛燕のような飛翔。が、すべてを躱すことはできなかった。刃に切られて、ノイジーが地に落ちる。
「があっ」
ゴブリンの一匹がノイジーめがけて剣を振り下ろした。
キィン。
澄んだ音を響かせて、ニトロが剣をククリナイフではじき返した。
直後だ。別のゴブリンの剣がニトロの背を切り裂いた。
「まずいですね。数が多すぎる」
振り返り、ククリナイフをかまえながら、ニトロはごちた。
ゴブリンの多くは斃した。が、まだかなり数が残っている。傷ついた三人で、果たしてどこまで戦えるか。
じり、とゴブリンが迫った。
その時――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
叢雲・源次
この地域はつくづく幸運に見放されているらしい。
山賊の次はゴブリン…か
…しかし…いや、多くは問うまい…乞われたのならば応えるが本懐。いいだろう、その依頼、承った。
洞窟の入り口にて【インターセプター】を起動し洞窟内をスキャン、索敵を実行する
兵は神速を尊ぶ。
【先制攻撃】を以ってして奇襲を掛け敵の気勢を殺ぐ事を第一とする
乱戦になったのならば【残像】【見切り】を用い、敵の攻撃をかい潜りつつ確実に一体ずつ仕留めるべく【電磁抜刀】で攻撃
救出した娘たちがどういう状態であれ、俺から掛けられる言葉はあるまい。
帰りを切に願う者がいる。それで十分だ
鞍馬・景正
一仕事終えたと気を抜く暇もありませんな。
領主が民を顧みぬなら、我々が救出せねばなりますまい。
◆作戦
洞穴近辺に見張りや罠がないか確認。
何かあれば排除してから侵入。
内部に明りが無ければ松明などを光源とし、【暗視】で注意怠りなく。
刀が自在に振れぬほど狭隘なら短い脇差を主武装に。
もし不穏な気配を察知するか、【第六感】が警鐘を鳴らせば、応戦体勢を取りつつ他の猟兵にも警戒呼びかけ。
◆戦闘
ゴブリンが出現すれば動きを【見切り】、【燕切】にて斬り捨てて参ります。
【2回攻撃】の【早業】で一匹ずつ確実に仕留め、攻撃を受けそうな仲間がいれば極力【かばう】。
――攫われた娘たちが無事か気懸りなれど、今は敵を排除するのみ。
●
「この地域はつくづく幸運に見放されているらしい。山賊の次はゴブリン…か」
洞窟の入口に立った男は静かな面を眼前の闇にむけた。
とろりとした昏い闇。胸の悪くなるような悪意が充満しているようだ。
「…しかし…いや」
身体のみならず精神も鋼の硬度をもつ男――叢雲・源次(黒風白雨・f14403)は闇を睨めつけた。
もはや問うことはない。戦う理由ならあった。乞われた。それで十分だ。
「一仕事終えたと気を抜く暇もありませんな。領主が民を顧みぬなら、我々が救出せねばなりますまい」
鞍馬・景正(天雷无妄・f02972)もまた洞窟を見つめた。ただ佇んでいる。そうしているだけで豪宕の剣気を放つ彼は羅刹の剣士であった。
「うん?」
源次は訝しげに目を眇めた。腕時計型の機器とリンクした彼の前では闇はあまり意味を成さない。電子機器で武装した源次には敵の位置が手に取るがごとくわかった。が――。
ゴブリンらしき動体。それとは違う動体が三つある。まさか――。
「すでに猟兵が入っている」
「ならば急ぎましょう」
景正の決断は一刀両断。闇の中に足を踏み入れた。彼の手の松明が闇を切り裂いて疾る。
地を蹴るのはサイボーグと羅刹の足。荒れた洞窟の地も彼らの妨げにはならなかった。
飛ぶように疾駆する二人はたちまち目的の位置まで走破した。松明の光に浮かび上がったのは十匹に満たない異形であった。
子供ほどの体躯。獣のような牙の覗く口からは汚らしい涎を滴らせている。赤く濁った目は獣欲に濡れ光っていた。――ゴブリンだ。
その前には三人の男女。猟兵であるのは間違いない。身体に負った傷、そして彼らが斃したであろうゴブリンたちの数がそれを物語っている。
二十以上もの敵をたった三人で。通常の人間には成し得ぬ業であった。
「ほう」
羅刹の男の口から感嘆の声がもれた。これだけのゴブリンを斃すのに、どれだけの時間を要したか。どれだけの傷を負ったか。
満身創痍となりながら、彼らはまだ挫けてはいない。それは救うべき者がいるからだ。同じ猟兵である彼にはわかった。だから、いう。
「後は任せてください」
政景がコブリンを見回した。闇に浮かぶ蒼星。それは荒ぶる羅刹の眼光であった。
その景正の脳裏を娘たちの安否を気遣う思いがよぎった。が、すぐに景正はその迷いを払った。その娘たちを救うには、今は戦いに専念しなければならぬ。
新たな敵の来襲に、小鬼どもは一瞬だが戸惑ったようだ。
兵は神速を尊ぶ。その兵法にならい、源次は颶風と化して襲った。
義足が生み出した源次の機動速度は亜音速。残像すら残し疾る源次の姿を捉えることは小鬼ごときではほぼ不可能であった。
「……その間合い…戴くぞ」
刀の柄に手をかけた彼の姿はまるで豹。瞬時に切り捨てた後の納刀は居合の極意であった。
電磁抜刀。鞘を砲身とし、源次は超電磁砲のように刃を射出する。ゴブリンごときに剣影が見えるはずもなかった。両断されたゴブリンの肉体が左右に分かれた時、すでに源次の刃は再び鞘に納められている。
チン。
銀鈴の鳴る音にも似た鍔鳴り。それに遅れて切り裂かれたゴブリンから黒血がしぶいた。
と、息継ぎのように源次の動きがとまった。それを狙ったかのようにゴブリンが襲いかかる。満身の力を込めて地を蹴ったそれは獣の襲撃速度を超えていた。
が、その襲撃すら景正は見抜いていた。見切りという業だ。
松明の光が二度はねた。二筋切り裂かれたゴブリンがもんどりうって倒れる。
燕切。
かつて剣豪の天才のみがなし得た超絶の剣技である。
景正の抜きうった剣がゴブリンを斬り、さらに翻って第二の斬撃を浴びせたと見とめ得た者がいたか、どうか。
倒れたゴブリンの硬玉のような目が景正にむいていた。その顔を景正が踏みにじる。彼奴らがやってきたように。
あっという間に三匹のゴブリンが屠られた。残る数はわずかである。
さすがに恐怖したか、ゴブリンが背をむけた。
逃走か。もしくは人質をとるつもりか。
あくまで卑劣、下劣な連中であった。数を頼んでの暴力しかふるえぬ下衆である。そのような鬼畜に、一体何人の者が苦しめられてきたのだろうか。
サイボーグと羅刹は追った。疾走速度は無論二人の方が速い。
もはや戦意を喪失した小鬼など、戦鬼たる二人の猟兵にとってさしたる敵ではなかった。洞窟の奥に行き着くまでに二人の猟兵はゴブリンどもを屠ってのけている。
戦いの終焉。が、まだ猟兵たちにはやらなければならないことがあった。囚われた娘たちの救出だ。
「あれは――」
洞窟の最奥。源次は白い影を見出した。
二十歳ほどの全裸の娘。乳房には噛み痕、股間からは血を流している。全身傷だらけであった。
五人の猟兵に気づいたはずだが、娘に反応はなかった。死んだような目に光はない。壊れた人形のように身じろぎもしなかった。すでに心は死に果てているのかもしれない。それでも――。
「……帰りを切に願う者がいる。それで十分だ」
切実な祈りを込めて、源次は上着を娘にそっとかけた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『ミノタウロス』
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POW : マキ割りクラッシャー
単純で重い【大斧 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : 暴れ牛の咆哮
【強烈な咆哮 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【突進】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ : ベジタリアン・テンポラリーヒール
戦闘中に食べた【野菜 】の量と質に応じて【身体に出来た傷が塞がり、気分が高揚し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「クロ・ネコノ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
娘は一人であった。
洞窟の中。五人の猟兵がいくら探しても他の娘は見つからなかった。
全員殺され、どこかに捨てられた。
最悪の結果を想像し、五人の猟兵たちの面に暗鬱な翳が落ちた。彼女たちの帰りを待っている者たちの嘆きの声が聞こえるようだ。と――。
一人の猟兵が疑念をもった。先日浚われた少女の姿が見えないことに。
少女はゴブリンどもにとっては新たな獲物である。だからこそ浚っていったのであろう。それを簡単に殺してしまうだろうか。
「うん?」
別の猟兵が違和感を覚えた。洞窟最奥の壁。居たのな岩が立てかけてある。
重く巨大な岩であった。三人の猟兵の手によりようやく動かせるほどの。ゴブリンならば十匹以上の力が必要であろう。
ギリギリと音たてて、岩が動いた。後に現れたのは空洞である。下方に続く隧道にも似た道があった。奥からもれる光がある。
用心しつつ猟兵たちは道を下った。やがて響いてくる小さな物音。
肉が肉を打つような音。そしてすすり泣くような声。
道をたどり終えると、その先には広い空間が開けていた。篝火がタカレテり、それほど暗くはない。
その篝火に照らされて異様な光景が繰り広げられていた。
空間の端の方に幾つもの白い塊。横たえられた裸の女である。死んでいるのか、生きているのか、猟兵たちが隠れている陰からはよくわからなかつた。
そして、空間の中央。
そこに少女がいた。全裸で四つん這いになっている。
高く掲げられた彼女の白い尻に、腰を打ち付けている者があった。
人間ではない。毛むくじゃらの巨躯と牛の頭をもつ異形。ミノタウロスであった。
「ああ。も、もう許して」
少女が哀願した。すると牛頭の怪物は嗤った。
「グハハハ。久シブリ二手二入レタ新シイ女ダ。許スワケガナカロウ。タップリ可愛ガッテヤル。飽キタラ、ゴブリン共二下ゲ渡ス。奴ラハ数ガ多イカラナ。眠ル間モナイホド犯ラレルカラ覚悟シテオクンダナ」
可笑しそうにミノタウロスは哄笑をあげ、さらに腰の動きを速めた。
ニトロ・トリニィ
くっ…! 遅かったか…!
だけどまだ生きている!
待っててね… 今助けるから!
【行動】
優先するべきは生存者の救出だね。
〈目立たない/忍び足〉で近づき、〈優しさ/礼儀作法〉を使い安心させ、〈念動力〉を発動して移動させようかな!時間があれば〈医術〉を使って治療出来るかも?
救出後は〈鎧砕き/2回攻撃/なぎ払い〉を使ったり〈盾受け/激痛耐性/オーラ防御/かばう〉で攻撃を防ぐよ!
《蒼炎ノ一撃》は〈カウンター〉と合わせて発動したり、クランクソードを熱する際に使っても良さそうだね!
ミノタウロス! 報いは受けてもらうぞ!
そうだね… 君には骨の髄まで炭になってもらおうかな?
…拒否権はないよ?
アドリブ・協力歓迎です!
鞍馬・景正
――地獄の牛頭馬頭とて咎無き者を虐げはすまい。
悪鬼、報いを受けよ。
◆戦闘
今すぐあの頭蓋を拝み打ちにしたいが、少女が近くにいたままでは迂闊に手出しも出来ん。
まず【紅葉賀】の火矢を以て射抜き、此方に誘き寄せる。
あの大斧で地面を砕くほど暴れて、その礫が他の娘たちにぶつからぬよう注意。
万一には我が身を盾に【かばう】。
攻撃は事前の挙動から軌道を【見切り】、回避。
斧の間合の一歩外から【2回攻撃】の【早業】で次々と火矢を連射。
仕掛ける仲間がいれば【援護射撃】も務めましょう。
敵を舐める炎は決して消去せず、存分に炙られて貰う。
この少女たちと、今まで殺められた者たちの苦痛に較べれば億分の一にもならぬだろうがな。
ノイジー・ハムズ
突入タイミングは他の方に合わせます!
●救出
周りに女性がいると、戦いづらいですよね
というわけで、私はまず救出メインに動きます!
まずは攻撃に参加せず、女性達をフェアリーランドで回収します
敵の攻撃を【見切り】つつ、【救助活動】を進めます!
重い空気はワクワク(?)しちゃいますので、生への【誘惑】をします。生きてたら、美味しい牛を食べれる日が、きっと来ますよ☆
待ち時間に、きのこか干し肉食べます?
あ!
よかったら、望みを聞かせてくれませんか?
良ければ、代わりにアイツに一撃いれてきますよ!
●攻撃
【属性攻撃】で、剣に炎を宿した斬撃を行います!
重い一撃は受けたくないので、【見切り】で最小限のダメージにしたいです!
叢雲・源次
人、ゴブリン、そして異形たる雄牛…己が欲望がままに牙無き者を蹂躙する。それもまた意思を持った者の性か……そうか…貴様、よほどその四肢が不要と見える。
少女の身柄が無事確保されたのを確認した上で、討滅行動に移行する。
【先制攻撃【早業】【残像】を用いた【電磁抜刀】で両腕、両足を切断せしめんとする。攻撃を受けても【激痛耐性】にて戦闘続行。
再起不能に出来たならば異形を見下ろし、もし少女にその気があるのならばと刀を差し出す
その気があるのならば殺れ。この異形はお前を深く傷付けた
このまま俺達が滅するのも構わんが…それではお前に禍根が残るというならば、お前が滅するがいい
応報は、復讐は、先へ進む為にある
小宮・あき
少女になんて無体を。
そして私を殴ったわね。
お前は死ね。
●連携、アドリブ歓迎
●後衛
●SPD
【先制攻撃】【早業】【高速詠唱】で【全力魔法】の【神罰】を叩き込む!
私の光の柱は【祈り】の力で威力が強くなる。
聖職者の祈りと、そうね、私の怒りで、潰れてしまうがいい。
☆真の姿
髪が赤色に、瞳が藍色に変化。
姿形は同じ、表情は怒りで溢れている。
殴ったのは別個体ですが、ボスリーダーへの怒りが凄まじい。
(真の姿不可の場合は、怒りの感情のみ)
【オーラ防御】【激痛耐性】【呪詛耐性】
強烈な咆哮ね。息を吸う音に注意し【聞き耳】。
【第六感】【野生の勘】を信じ、
脚武器レガリアスシューズの加速で【ダッシュ】【スライディング】回避。
宮落・ライア
ああ、悪だな。殺すべき悪だ。
死ぬべき悪だ。消えるべき悪だ。
ただただ醜い畜生だ。
存分に絶望させてやる。
意識があることを嘆くほどに醜く成形してやる。
綺麗になんて殺してやらない。
隠す気もないほど【殺気】を垂れ流しながら
【ダッシュ】で突っ込む。
女の子を盾にしようとするなら
「弔いはするさ…」と呟くき止まらない。意思として【恫喝】
初撃は指狙いの刀での一閃。【見切り】
初撃がすめばそのまま刀を捨て、大剣を両手持ち。【二回攻撃】
膝狙いで
【怪力・衝撃波・覚悟・鎧砕き・グラウンドクラッシャー】
反撃が来ていても【激痛耐性・捨て身の一撃】で決行
●
「くっ…! 遅かったか…!」
ニトロ・トリニィ(楽観的な旅人・f07375)はごちた。穏やかな顔に今、いつもの笑みはない。
儚い望みではあった。連れ去られた少女に危難が及ぶことはないように、という。
その望みは無残に打ち砕かれた。猟兵たちの眼前に、今、それは最悪の形で結実している。
怪物による陵辱。少女は今、この世ならぬ地獄の中で苛まれていた。けれど――。
「まだ生きている!」
ニトロの目が薄闇の中で蒼く光った。
命は希望だ。生きてある限り、必ず明日は来る。凍てつく夜は終わり、暖かな朝がきっと訪れる。その明日を壊させるわけにはいかなかった。
「待っててね… 今助けるから!」
ニトロの蒼い射るような視線は、その時、空間の隅に横たわる女性たちの上でとまった。何人かが身動ぎしている。
そのニトロの耳に、きりきりと歯を軋らせる音が届いた。ニトロが振り向くと、羅刹の若者の秀麗な顔がゆがんでいた。怒りによる血の奔騰を抑えかねているのだった。
「――地獄の牛頭馬頭とて咎無き者を虐げはすまい。 悪鬼め。必ず報いを受けさせてやる」
「しかし」
「ああ」
と羅刹の若者――鞍馬・景正(天雷无妄・f02972)はうなずいた。
「今すぐあの頭蓋を拝み打ちにしたいが、少女が近くにいたままでは迂闊に手出しも出来ん」
悔しげに景正は呻いた。その耳を少女の悲鳴が打つ。必死になって律しなければ、少女の元に飛び出してしまいそうであった。
「優先するべきは生存者の救出だね」
ニトロの目の輝きが増した。極度の精神集中による念動。横たわたままの女たちの身体がゆっくりと動き出した。
その時だ。少女の尻に打ち付けていたミノタウロスの腰の動きがとまった。その牛顔が猟兵たちが身を潜めている陰にむけられている。
怪物は感得したのだ。熱風のごとくに吹き付けてくる悽愴の殺気を。
「……誰ダ。ゴブリン共デハ、ナイナ」
嗄れた声で怪物は誰何の声を発した。すると、一人の女が陰から現れた。透けるほど白い肌の少女だ。その美麗な容姿は造られたキマイラとは思えなかった。
宮落・ライア(英雄こそが守り手!(志望)・f05053)というその少女からは、熱泥のごとき殺気が噴きこぼれていた。面もむけられぬ凄絶の鬼気めいたそれを、キマイラの少女は少しも隠してはいなかったのだ。
「ああ、悪だな。殺すべき悪だ」
ライアはミノタウロスを睨めつけた。恐い笑みをその美麗な顔に滲ませて。
「死ぬべき悪だ。消えるべき悪だ。ただただ醜い畜生だ」
「小娘カ」
ニタリとミノタウロスは笑った。そして舌なめずりする。新たな獲物の来訪にほくそ笑んでいるのだった。
「何ヲ、ホザイテイル? コッチヘ、来イ。オ前モ、壊レルマデ、可愛ガッテヤル」
「可愛ガル?」
ライアの唇がゆがんだ。
「なら、礼として存分に絶望させてやる。意識があることを嘆くほどに醜く成形してやる。綺麗になんて殺してやらない」
宣告すると、ライアは地を蹴った。衝撃に巻き上がった砂塵を後に残して。
●
咄嗟にミノタウロスは傍らに置いてあった斧をひっ掴んだ。破壊するためだけに鍛え上げられた大斧だ。
さらにミノタウロスは他方の手で少女の首を掴んだ。盾とするためである。あくまでミノタウロスは下劣な怪物であった。
「止マレ!」
壊れた人形のように少女をミノタウロスは差し出した。
いいや。ライアは、しかし、とまらない。むしろ速度を増して接近する。
「弔いはするさ…」
少女にむけて一言。ミノタウロスにむけての恫喝でもあるのだが、その冷えた声音はそうと悟ることはできないものであった。
涙に汚れ、哀しみに暮れ、絶望に打ちひしがれた少女に答えはない。ただ目を閉じた。死こそ救いであるとでもいうように。
獰猛苛烈なライアに対して少女は盾にならぬ。そう思ったミノタウロスは大斧を横薙ぎ。加速し迫るライアの一撃を寸でで止めた。寸ででしか、止められなかった。そして、振り抜く。
「うっ」
呻く声は、空に高々とはねられたライアの口から発せられた。圧倒的ともいえるミノタウロスのパワーによって。
「小癪ナ、人間如キガ――ヌッ」
愕然たる呻き声はミノタウロスからも上がった。左手にあるはずの少女の感触が消えている。慌ててむけた視線の先、三十センチメートルほどの小さな人影が飛翔していた。その手は小さな壺を掴んでいる。
蜉蝣のような羽を翻らせた小さな人影は、すぐさま猟兵たちが潜んでいた陰に着地した。壺を振り、少女をこの世界に解放。壺の内部は特殊空間となっており、対象者を吸い込むことが可能なのだった。
助かった。そうと、まだ実感のもてない少女にむかって小さな人影――可憐で不敵に微笑むノイジー・ハムズ(あたまもかるい・f14307)は声をかけた。
「今は生きていてくれて、ありがとう。生きてたら、美味しい牛を食べれる日が、きっと来ますよ☆ あ!」
ノイジーは無邪気そうに目を見開いた。ミノタウロスの暴虐など何ほどのことでもないというように。
「よかったら、望みを聞かせてくれませんか? 良ければ、代わりにアイツに一撃いれてきますよ!」
少女は割れた唇をぎゅっと引き結んだ。そして、小さくこくりと首を縦に振った。
「だってさ」
ノイジーが顔を上げた。そして他の女たちを救うべく飛び立つ。
見下ろしていたのは二人の男女であった。
一人は冷たい機械の身に熱い情熱を秘めた剣客。もう一人は聖なる魂に大いなる野望を刻みつけた聖職者。叢雲・源次(黒風白雨・f14403)と小宮・あき(人間の聖者・f03848)であった。
源次が口を開いた。
「その願い、確かに聞いた」
「少女になんて無体を」
痛ましげに細めていた目を、あきはミノタウロスに転じた。そのあきの姿が変わっていく。
薄紅の髪が紅蓮の炎のように紅く紅く染め上げられ、逆立つ。綺麗なマリンブルーの色であった瞳は、まるで夜が満ちていくように藍色となった。
「私を殴ったわね。お前は死ね」
戦う聖者は託宣のようにミノタウロスに告げた。
その時だ。
グオォォォ。
地鳴りのような轟きが響いた。
●
咆哮をあげ、ミノタウロスが突進した。地を蹴立て、洞窟を揺るがせて。
巨体でありながら、ミノタウロスは俊敏であった。あっという間に彼我の距離を走破する。
ミノタウロスの動きを見て取っていたあきは跳び退った。レガリアスシューズで加速し、回避する。
一方の源次は間に合わなかった。鋼の筋肉に覆われた巨躯が源次に激突する。
爆発。
そうとしか思えぬ破壊力がぶちまけられ、源次は吹き飛ばされた。岩壁に激突、陥没させる。
源次の機体がギシギシと軋んだ。通常の人間であれば血まみれの肉塊と化していただろう。
「グハハハ。脆イ。ヤハリ人間ハ脆イ」
ミノタウロスが喜悦の哄笑をあげる。その様を冷たく見据えるあきの瞳がさらに昏さを増した。
「聖職者の祈りと、そうね、私の怒りで、潰れてしまうがいい」
光、あれ。
神は、おそらく待っていたのだろう。彼の下衆に神罰を下すことのできる代行者を。あきの祈りが力となり、力は光となり、ミノタウロスを撃った。
「ギャア」
肉体を灼かれる感覚にミノタウロスは苦悶した。焦熱地獄というやつか。
が、まだこいつには足りない。そうニトロは思う。
「ミノタウロス! 報いは受けてもらうぞ! そうだね… 君には骨の髄まで炭になってもらおうかな? 君には地獄の炎がお似合いだ」
ニトロの手から噴出するは蒼き炎。それは意思あるものののように地を舐め、ミノタウロスの肉体を燃やした。
「グウウ。オ、オノレ」
ミノタウロスが血筋のからみついた目をニトロにむけた。激痛が彼を狂憤させたらしい。
ミノタウロスが大斧を振り下ろした。技も何もない単純な一撃は、それ故に重い。ざっくり斬られたニトロは地に叩きつけられ、その地は衝撃で爆ぜた。
●
爆ぜ飛んだ礫を、景正は手の一振りで無造作に打ち落とした。そして流れるように動きで弓をかまえる。
虎落笛。鳴弦が真冬の凄風と似る故に名付けられた剛弓だ。
「外道。まだ燃えたりぬらしいな。――焼き滅ぼさむ、天の火もがも」
ヒュウルルルル。
景正の放つ火矢は空間そのものの灼きながら疾った。それは新たな灼熱地獄への誘い。矢に射抜かれ、さらに炎を追加されたミノタウロスを眺めやり、景正はしかし解けぬ怒りに目を眇めた。
「この少女たちと、今まで殺められた者たちの苦痛に較べれば億分の一にもならぬだろうがな。うん?」
景正は気づいた。ミノタウロスの手に野菜が握られていることに。
回復と戦闘力の増加。
その意図を見抜いたノイジーが飛燕のように空を翔けた。すれ違いざま炎の斬撃でミノタウロスの腕を切り裂く。ぽとりと野菜が落ちた。
一撃入れてやったぜ。
会心のノイジーの笑み。その身をミノタウロスの大斧がかすめて過ぎた。
「クソガッ」
ノイジーを仕留め損なったミノタウロスが毒づく。
次の瞬間、はじかれたようにミノタウロスは振り向いた。彼をして、そうせざるを得ないほどの凄絶の殺気の風が吹き付けてきたからだ。
するすると滑るように接近してくる。源次が。
「ブチ殺シテクレル!」
無造作ととも思える足運びの源次に、ミノタウロスは渾身の一撃を放った。源次が両断される様を、彼は幻視すらしている。が――。
空を撃った大斧が勢い殺せず地を穿った。噴き上がる土塊を躱しつつ、なおも源次が迫る。
「貴様如きに俺の動きを見切ることはできぬ。……そうか…貴様、よほどその四肢が不要と見える」
電磁抜刀。超電磁砲の如く電磁誘導により加速して抜きうたれた刃はミノタウロスの目では追いきれない。腕を切断されて、初めてミノタウロスは己が斬られたと気づいた。
「グアッ。アアッ!? 手ガ……キサマァ!」
ミノタウロスは狂った。捕食者の地位から転げ落ちつつあることを悟って。その狂った憤怒は、しかし彼に驚異的な力を与えた。必殺の威力が込められた大斧の一撃が源次を襲う。
カアンッ。
金属と金属の相博つ音が響いた。驚愕にミノタウロスの目がカッと開かれている。ものすごい衝撃を受け、彼の大斧がはじかれたのだ。
はじいたのはライアであった。無骨な大剣を、振り上げた姿勢から袈裟に薙ぎ下ろす。
「いったよね。綺麗になんて殺してやらないって」
ククク。獰猛に笑いながらライアはミノタウロスの斬り潰した。
もはや虫の息のミノタウロスを見下ろし、源次はいった。少女にむかって。
「その気があるのならば殺れ。この異形はお前を深く傷付けた。このまま俺達が滅するのも構わんが…それではお前に禍根が残るというならば、お前が滅するがいい。応報は、復讐は、先へ進む為にある」
源次は刀を差し出した。心臓を一突きすれば怪物は息絶えるだろう。
少女は刀を受け取り、振りかぶった。が、すぐにその手はゆらりと垂れた。少女の口からは、呪いのの言葉の代わりに嗚咽がもれる。
「……そうか」
少女の手から刀をとると、源次は振り下ろした。
●
村から迎えの馬車が来た。中に運ばれても娘たちには何の反応もない。心が殺されてしまったのかもしれない。
やがて馬車は村に着いた。泣きながら走り寄ってくるのは娘たちの家族であろう。
お帰り。そう言いながら、母親らしき女が娘を抱きしめた。その顔を母親の涙が濡らす。ぴくりと娘の指が動いたのを、あきは見とめた。
もう心配はいらない。沈んでいたあきの顔に明るさが戻った。
彼女たちは愛されている。その想いが、いつか、きっと彼女たちの凍てついた心を溶かすはずであるから。
季節は春。もう冬は終わったのだ。
大成功
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