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怪奇! 極寒の雪山に筋肉を見た!!

#キマイラフューチャー

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#キマイラフューチャー


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●吹き荒ぶ白の中で
 キマイラフューチャーにある雪山、夏になれば登山をする者で賑わう山であるがこのシーズンに登ろうという者は無い。吹雪く中、無理に登ろうものなら遭難間違いなしである。その極寒の世界の只中で叫びが木霊した。

「マッソーーゥッ!!」

 彼は何故、この吹雪のなか雪山の頂を目指したのか。それは誰にも分からない。むしろ彼にも分からない。
 突き刺すような寒さがむき出しの皮膚を刺す。何も知らない者がその姿を見たら目を疑う事だろう。この雪山の中、海パン一丁なのだから。いや、首から上は毛皮を纏いガードしているが。だが彼は知っている。筋肉とは熱を発生させ身体を温める事を。ならば全身に纏った筋肉こそが己が防寒具なのだという事を。

「私の鍛え上げた肉体をもってすれば、この程度の吹雪などーーッ!!」

 白く染まる山頂で己の寒さを紛らわせるように。ただひたすら雄たけびを上げ、ポージングする。手下の怪人が倒れて凍っている中、己の宿敵たるイェーガーを待ち続けるのだった。

●グリモアベースにて
「すみません。キマイラフューチャーにかわいそうなオブリビオンが居るので骸の海に還してもらえませんか?」
 アルトリンデ・エーデルシュタインの言葉に何人かの猟兵が振り向く。オブリビオンにかわいそうも何もないだろう、と。
「いえ、どうやらこのオブリビオン、雪山で遭難し、なんとか山頂までたどり着いたもののそこで動けなくなってしまっているようなんです。」
 なんでこの時期に雪山に登ろうとしたのか。オブリビオンなのに遭難したのか。言いたい事はあるだろうが、オブリビオンならば倒さねばならない。万一、春まで生き残っていたら下山してくる可能性もあるし。
「問題は場所なのですが……急な斜面や切り立った岩肌の上に雪が積もっているようです。猟兵ならば専門の道具とかなくても登れると思いますが、雪は結構深いようですので気を付けてください。」
 さらに頻繁に猛吹雪が襲ってくるため視界も悪い。雪崩でも起きようものなら、巻き込まれたらどうなるか分からない。今回に限っては、最大の敵はオブリビオンではなく自然現象だろう。
「幸いというべきでしょうか、オブリビオンは配下含めて防寒対策を全くしていないため満足に戦えないと思います。
 ですが、それは猟兵も同じです。くれぐれも防寒対策はしっかりと。」
 重ね着をするでも暖房器具を持って行くでもユーベルコードで暖を取るでもいいだろう。無対策で登れるほど冬の雪山は甘くはない。
「この寒い中、雪山へ行ってもらうのは心苦しいのですが……無事の帰還をお祈りします。」
 遭難にも気を付けてくださいね、と言葉を結んでアルトリンデは猟兵たちを誘うのだった。


こげとら
 しばらくぶりです。こげとらです。

 戦闘難易度はネタ依頼と同じく緩めですが、雪山対策はしっかりしましょう。
 そこまでしっかりしてなくても、何かしか対策をしていただければOKとします。ブレイズキャリバーの炎があるから寒くないぜ、とか、こたつむりは無敵、とかでも大丈夫なので思いついた事をやってもらえたらと思います。
 吹雪は弱まる事もあります。その時は太陽の位置が確認できる程度には明るくなります。

 戦闘中も吹雪いたりしますので、防寒対策や視界をどうするかなど考えていただければ。配下の怪人も死んでいないので猟兵が辿り着いたら動き出します。かじかんで動きは鈍いですが。

 それでは、皆さんのご参加をお待ちしています!
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第1章 冒険 『恐怖、雪の中の怪人!』

POW   :    とにかく気合と体力で冬山を踏破する。根性!!

SPD   :    吹雪や雪崩をスキーを使って華麗にかわし、スマートに冬山を踏破する

WIZ   :    炬燵やファンヒーターを魔改造して自走化。冬山を踏破する! あったかーい

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

轟・富士王
おじさんホームレスだったからね、野宿とか慣れてるからね、ゆるキャンじゃなくてハードキャンだよ。
暖房といえばこれ、ダンボール!
なんでダンボールっていうかわかる? 漢字だと暖房るって書くんだよ、だからあったかい訳。風よけにもなるし。
まあそれはそれとして、いきなりアタックして制覇なんてできないから、余力があるうちにテント設営、他の猟兵がビバークできるスポットを設置しておくよ。なんかクッカーであったかい料理作ってやろう。
肉まんをワッフル器ではさみ焼くと美味いんだよ、ほら食ってみ?
何事もセーブポイントがあると安心だよね。みんなも頑張ってね。


ゾーク・ディナイアル
「なんで雪山に?
ま、いっか…そこに敵がいるなら倒すだけだよねん!
万事ゾークにお任せだよ、アルトリンデちゃん!」

☆雪山登り
【ハルシオン起動】でハルシオンに乗って、スラスターで飛行しながら山を登るよ。
「ん〜楽ちんだなぁ、ハルシオンは優秀だぞ♪」
視界は悪いけど魔導センサーを使ったレーダーで位置確認はバッチリ、吹雪だって高機動機ハルシオンの出力ならへっちゃらだしね。
雪崩を起こさないように接触だけは気をつけて、暖かいコックピットの中で慎重に操縦桿を握り目的地を目指そう。
「でもホント、なんでオブリビオンがこんな雪山にいるんだろ…」

※アドリブ歓迎

※ハルシオンはいわゆる人型ロボット、騎士甲冑のような外見です


神羅・アマミ
最近自分が動画配信勢であることを忘れつつあったので「ジャンプで雪山登ってみた」に挑戦してみようと思う。
装備についてはムートンコートやブーツで一通り防寒対策しとけば十分じゃろ。

コード『箱馬』による連続ジャンプならば雪に足を取られることはなく軽快に進めるぞい。
最短距離を攻めるため敢えて切り立った急斜面に挑戦。
一回の跳躍につき2m、それを20回繰り返せば40mということは、単純計算で30回も発動すれば1200mは行ける計算になるのー(実質600回超の跳躍、高度の上昇については一切計算してない。バカだから)。

華麗で優美な景色を楽しませる撮影を目論んでいるが、多分途中から半泣きでそれどころじゃなくなる。



 猟兵たちが転送されてきた場所、そこは白い世界だった。見渡す限りとかいうレベルではなく、視界が吹雪で白く鎖される。今はまだ風もさほどではなく日の明るさもぼんやりと感じられるが、本格的に吹雪いてきたらどうなる事か。これからオブリビオンを倒しに行こうというのに、この寒さでは心が折れる人も居るかもしれない。
 そんな中、雪にザッと荷物を置いた者が居た。轟・富士王である。

「おじさんホームレスだったからね、野宿とか慣れてるからね、ゆるキャンじゃなくてハードキャンだよ。」

 雪山で野宿できるくらいならたしかに緩くはない。そんな富士王はこれから来る猟兵たちの事を考え、余力のあるうちにテントの設営をしようとしていた。雪山を登るのにビバークできるスポットは必要だろう。いきなりアタックして制覇はできないと踏んだ富士王は手際よく準備を進めていた。そこへ続いて転送されてきたゾーク・ディナイアルと神羅・アマミがやって来た。

「うわ、さすが雪山は寒いね。」
「汝、いつもの格好じゃしのぅ……その点、妾は抜かりないのじゃ。」

 アマミはムートンコートにブーツなどで一通り防寒対策をしていた。今日の雪山登りは動画配信するつもりなので雪に映えるコーディネートで纏めている。その二人の視線の先に、富士王が設営したテントが見えた。

「先に拠点を作った者もいるようじゃし、そこで温まればいいじゃろ……う……?」

 しっかりした外観、しかしてそのテントの材質は。

「ダン、ボール……?」
「そう! 暖房といえばこれ、ダンボール!」

 富士王がダンボールをふんだんに使ったテントに招く。彼曰くには、ダンボールは漢字で“暖房る”と書くくらい暖かく、また風よけにもなるという。そんなバカなと思うかもしれない。だが実際、中は暖かい。その中で富士王はクッカーを使いあったかい食事を作って二人に渡した。

「肉まんをワッフル器ではさみ焼くと美味いんだよ、ほら食ってみ?」

 いつもとは違う食感、だがそれゆえに新鮮な口当たり。何より身体が温まる。一息入れた二人は気力も十分に雪山を目指す。ゾークは身体が冷える前に試作人型魔導騎士《ハルシオン》を起動しその胸部に乗り込んだ。即座にコックピット内の暖房をフルで入れる。温まった頭に改めて疑問がよぎる。なぜ、オブリビオンが雪山に?

「ま、いっか……そこに敵がいるなら倒すだけだよねん! 万事ゾークにお任せだよ、アルトリンデちゃん!」

 スラスターを吹かしハルシオンが飛び立つ。それを見送りアマミも準備を始めた。登山の……ではなく、動画の撮影のためだ。アマミには登る為の道具は必要ない。己が技、ユーベルコードをもって山頂を制するのだ。さっそく撮影を開始する。今回挑戦する動画のタイトルは。

『ジャンプで雪山登ってみた。』

 【箱馬】を使って連続ジャンプを繰り返して登ろうというのだ。これなら足場も関係ない。

「雪舞う中、白く染まる山麗を翔ける……華麗で優美な景色を楽しめる動画となるじゃろう。」

 その光景を思い描けばこの寒さもなにするものぞ。周りはホワイトアウトな吹雪だが、まだぼんやりと日は見えるし跳んでみればいい絵も撮れるだろう。期待を胸にアマミは雪の舞う空へ跳び上がっていった。
 先を行く二人を見送り、富士王はテントに戻り中を暖めながらいつでも人が休めるように整える。

「何事もセーブポイントがあると安心だよね。みんなも頑張ってね。」

 何かあっても戻る場所がある。その安心は何物にも代えがたいだろう。
 一方、空へ跳んで行ったアマミはひたすらに上空を目指して宙を跳ねるように駆けていた。

「なんじゃ、雪が、風が強くなりおって……視界が悪いのじゃ。」

 天候が悪化したか徐々に厚くなる雲、強まる風、下はおろか前も後も見えるは吹雪く雪ばかり。それでも吹雪が弱まっていた間は雪に覆われた険しい山がその威容を見せていた。上空から捉えた景色は圧巻であったろう。だが。

「さむ……さむいのじゃ! 上に行くほど寒くなってくるのじゃ!」

 単純に【箱馬】を30回使えば1200mくらいいけるじゃろ、と考えていたアマミ。だが、その為に行う跳躍回数は600回。さらに上空に上がれば上がるほど気温も下がる。だが、跳躍を止めれば真っ逆さま。疲れてきた足腰、容赦なく吹き付ける冷たい風、もはや動画撮影どころではなかった。半泣きになりながら何度目かの【箱馬】で跳躍する。
 後日、公開された動画を見たキマイラたちは「イェーガーでも泣くほどつらいんだから、吹雪の雪山に行くのはやめよう。」と思ったという。

「ん〜楽ちんだなぁ、ハルシオンは優秀だぞ♪」

 対照的にゾークは暖かなコックピットで軽快に進んでいた。風も強くなってきているが、ハルシオンの出力ならば問題はない。位置や地形の確認も魔導レーダーで完璧である。

「でもホント、なんでオブリビオンがこんな雪山にいるんだろ……」

 コックピットから見える景色は吹雪と果てしなく積もりゆく雪。場所によってはじっとしてたら埋まってしまいそうなほどだ。キマイラも居ないような雪山にオブリビオンが出たのは謎である。考えても仕方ないか、と意識を操縦桿に向け雪崩を起こさないように慎重に飛ぶ。その時、レーダーに何かの反応があった。

「ん? あれは……アマミちゃん!?」

 飛行するゾークのハルシオンのさらに上をアマミが跳んでいた。が、さすがに疲れてきたのか徐々に高度が落ちてきていた。その様子にゾークはハルシオンを寄せていった。

「疲れたのじゃ……寒いのじゃ……」
「もう大丈夫だから泣かないの。」

 ハルシオンの手で包むようにアマミを受け止め、風を防ぐ。そのまま二人は山頂を目指していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

チェリカ・ロンド
この季節に雪山に登るなんて、ホント、頭オブリビオンなんだから……
あでも、町の男子にも冬なのに半袖短パンの人がいたわ。あれと似たようなもんね。

魔法のアイテム【マジックポンチョ】の設定温度を「つよい」にして登るわ!
ポンチョにはフードもついてるから、ぽかぽかよ。
登山で体を動かして暑くなったら、設定温度を「ふつう」か「よわい」にするわ。いつでも適温!
仲間に寒がってる人がいたら、炎の魔法を軽く灯して暖めてあげるわ。魔法の火なら雪とか風じゃ消えないものね。

さっさとオブリビオンをブチ転がして、帰ってこたつでぬくぬくしましょ!

アドリブ、連携歓迎よ!



 吹き荒ぶ白が視界を染めていく。すでに標高も高く、強まる風も相まって冬の雪山に登ろうという者を容赦なく凍てつかせんとしているかのようだ。そんな中を一人の少女が行く。フードを目深にかぶり、吹雪に抗うように歩を進めているチェリカ・ロンドだ。極寒の地において、懸命に雪山を登るチェリカの口から白い吐息と共に想いが漏れる。

「この季節に雪山に登るなんて、ホント、頭オブリビオンなんだから……」

 まったくである。普通、冬に雪山など意図しなければ登る事も無く、意図して登ろうという者も無いだろう。だというのに、このオブリビオンと来たら。

「あでも、町の男子にも冬なのに半袖短パンの人がいたわ。」

 あれと似たようなもんね、と納得したように一人頷くチェリカ。子供は風の子と同類という事は、もしかするとオブリビオンは吹雪の申し子なのかもしれない。だとしても誰も居ない雪山にいても意味はない。オブリビオンでなければ放置されただろう。
 吹雪く雪山と聞いて相応の準備をしてきたチェリカだったが、転送された地点で目にしたのはテントが設営された拠点だった。そこで温かい軽食を食べ、雪山を登る途中で出会った猟兵に魔法の火を灯して暖め。そして今に至る。天候は悪化していく一方だが、チェリカの表情は涼しげ……いや、ぬくぬくと温かそうだった。

「だいぶ登ってきたけど、この【マジックポンチョ】のおかげであったかいわね!」

 そう、チェリカの着ているフード付きポンチョはただのポンチョではなかった。内部を暖かな空気で満たす事で常に適温を保てるのだ。寒さとは無縁、むしろ運動してちょっと暑くなってきちゃったかな? 設定温度を『つよい』から『ふつう』に下げようかしら、などと考える余裕まである。通称、歩くこたつの力、恐るべし。
 目的の山頂までは、もう少し。吹雪で視界は悪いが、終わりが見えてくればやる気も出ようというものだ。

「さっさとオブリビオンをブチ転がして、帰ってこたつでぬくぬくしましょ!」

 歩くこたつの通称を持つマジックポンチョより、やはり。まだ寒いこの季節はこたつでぬくぬくしたいのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『イソギンチャク怪人』

POW   :    テンタクル・テンペスト
予め【触手を振り回しておく】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    ウネウネ・アネモネ
自身の肉体を【ウネウネモード】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    ポイゾナス・ポリプ
【頭部】から【毒針のついた触手】を放ち、【麻痺毒】により対象の動きを一時的に封じる。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちが辿り着いた頂、そこで目にしたモノは。あたり一面に倒れ伏し、凍り付いていた多数のイソギンチャク怪人だった。すでに死屍累々と言った様相を呈しているが、彼らは死んだわけではない。
「きた! 猟兵がきたぞー!」
「みんな、起きろ! このまま寝たら死ぬぞ!」
「くそっ! 身体が、かじかんで……!」
「案ずるな! 動けば温まる!」
 そう、イソギンチャク怪人たちは吹き荒ぶ風を除ける為、あえて地に伏していたのだ。彼らはかしこいので。
 だがそれは諸刃の剣。時が経つにつれ、積もった雪が容赦なく体温を奪い、凍てつかせていた。自慢の触手もカチカチである。
「くおぉーっ! だれだ、ウェットスーツがあれば大丈夫何て言ったやつはーっ!」
「そもそも俺らのスーツ、腕も腹も頭も丸出しだし!」

 ついに対峙する猟兵と怪人。高まる緊張は強まる吹雪に鎖される。これはいかに倒すかよりも、数メートルしか見えない視界の中いかに怪人を見つけるかという戦いと言えるだろう。
 むしろ満足に戦える怪人は見たところ、いない。
ゾーク・ディナイアル
「ホントに怪人いるし、もう死にかけてるし…何してるんだろ…」

☆容赦なく戦術
SPD勝負
「なんか可哀想になってきたなぁ、見逃してあげようか?」
引き続き【ハルシオン起動】を続行でコクピットからこんにちはだよ。
視界は悪いけど魔導センサーを使ったレーダーで敵の位置を確認して。
「なんちゃって、撃っちゃうんだなぁこれが!」
一切の容赦無くハイ・ビームライフルを『クイックドロウ』で『二回攻撃』して乱射。
「ビームって暖かいでしょ?溶けちゃうくらい!キャハハハハハ!」
更にビームサーベルを雪山に突き立てて『傷口をえぐる』ようにそのまま怪人に向けてスラスターで飛行前進、ゆっくりビームで焼き殺していくよ。

※アドリブ歓迎


チェリカ・ロンド
えー……なんだかかわいそうになってきたわ。
でも敵に変わりはないし、手加減するわけにはいかないわね。せめて炎の魔法で、ちょっとでも温めてあげながらボコしましょ!

てわけで、【魔導の奔流】で火炎魔法ぶっぱなすわよ!魔法の触媒になってる髪は、真っ赤になりそうね。
【属性攻撃】で火力マシマシの火炎放射を、両手から放つわ!くるくる回っておけば、薙ぎ払えるんじゃないかしら?
頭の触手も、麻痺が怖いし気持ち悪いから燃やしておきましょ。

「遠慮しないで、しっかり火に当たっていくといいわ。あ、こら! 逃げるなー!」 

逃げちゃう奴には火球(でかい)で追撃よ!

山頂ならここらが雪崩に巻き込まれることもないわよね、たぶん……。



 広がるは氷雪の獄。吹き荒ぶ零下の風の中、次々とイソギンチャク怪人たちが立ち上がる。このまま伏せていても凍えてしまうからだ。少しでも身体を暖めようと身を震わせ謎の構えを取る彼らの前に現れたのは2人の猟兵、ゾーク・ディナイアルとチェリカ・ロンドだった。

「ホントに怪人いるし、もう死にかけてるし……何してるんだろ……」
「えー……なんだかかわいそうになってきたわ。」

 ぼやくゾークは【ハルシオン起動】で乗り込んだ暖房の効いたコックピットの中、そしてチェリカはマジックポンチョの暖かな空気に包まれている。対するは吹きさらしのイソギンチャク怪人。あまりの差にゾークは思う所があったのか、怪人たちに声をかけた。

「なんか可哀想になってきたなぁ、見逃してあげようか?」

 その言葉に怪人たちの耳……はないので触手がピクリと反応する。もしや下山させてくれるのか、あわよくばその暖かそうなコックピットに乗せてもらえるのか……!? 期待に騒めくイソギンチャク怪人たちにゾークはにこりと微笑んだ。

「なんちゃって、撃っちゃうんだなぁこれが!」

 吹雪の中、怪人を一切の容赦なくハルシオンの手にするハイ・ビームライフルが撃ち抜いていく。ハルシオンに搭載されている魔導センサーがあれば、標的の位置を知るなど造作もない。
「逃げろ、捕捉されて……うわぁーーっ!」
「イソギンチャク怪人Aぇぇーーっ!」
 方々に逃げ出す怪人たち。その先に炎が灯る。寒さが見せた幻想か、否、それはチェリカが灯す魔法の炎だ。先ほど可哀想と言っていた彼女なら……わずかな望みをかけ怪人はそちらへ向かう。

「でも敵に変わりはないし、手加減するわけにはいかないわね。」

 え、と動きが止まる怪人の前でチェリカの髪が焔に染まる。魔法の触媒となっている髪が真っ赤に染まったのだ。

「せめて炎の魔法で、ちょっとでも温めてあげながらボコしましょ!」

 チェリカの広げた両の腕、その手から【魔導の奔流(エレメンタルデストラクション)】が放たれる。吹雪の中で炎を舞わせ、両手を広げてくるくると回る姿は幻想的な光景だった。が、炎の直撃を食らった者はそうも言っていられない。
「あち! あちち!」
「イソギンチャク怪人Bぃぃーーっ!」
 火炎放射のような炎にこんがり焼かれて倒れ伏す怪人。それを間近で目撃したイソギンチャク怪人は、むしろ温かさに涙した。
 だが、黙ってやられるばかりの怪人ではない。曲がりなりにもオブリビオンである。その身体がぐにゃりと歪みウネウネモードに移行する。狙うはゾークの駆るハルシオン。次々と仲間を撃ち抜いていくゾークに向かって、複数のイソギンチャク怪人の触腕が伸びる。
 あ、凍った。
 正確には寒さで弾性が失われて固まったというべきか。その様子にゾークはハルシオンを向ける。その手にあるのはビームサーベル。

「ビームって暖かいでしょ? 溶けちゃうくらい! キャハハハハハ!」

 雪山に突き立てたビームサーベルがその熱で雪を溶かす。そのままゆっくりと飛行し、寒さで固まったイソギンチャク怪人をビーム刃で焼いていった。
 やはり巨大兵器相手は分が悪い。となれば狙うは炎を撒いているチェリカ……そう考えたイソギンチャク怪人が、その触手で狙いを定める。先端に光るは麻痺の毒針。

「頭の触手も、麻痺が怖いし気持ち悪いから燃やしておきましょ。」

 あ、燃えた。
 こっちを見ながらうねうねし始めた触手にチェリカの炎が炸裂したのだ。その火力、容赦なさに慄く怪人にチェリカは笑顔で炎を構える。

「遠慮しないで、しっかり火に当たっていくといいわ。あ、こら! 逃げるなー!」

 一目散にダッシュで逃げるイソギンチャク怪人の背に向かってチェリカが一際大きい火球を放つ。着弾と共に弾ける炎が周囲の怪人を纏めて吹き飛ばした。

「どこに行こうとしてるのかなぁ?」

 そして爆発に紛れて逃げ出そうとした怪人はゾークに捕捉されて撃ち抜かれていく。正確に捕捉し倒していくゾーク、広範囲を焼き尽くすチェリカの二人によって着々とイソギンチャク怪人は討ち取られていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


 吹雪の向こうに炎とビームが躍るのが見える。イソギンチャク怪人たちの残り半数ほどは風を除ける為に身を伏せていた窪地からその光景を見ていた。

「猟兵が来たようだな。」
「ああ。だがここまでは、まだ来るまい。」

 見れば窪地にびっしりとイソギンチャク怪人が身を寄せている。何も知らずに見たら卒倒する人も居るかもしれない。でも、離れると寒いんだもの。

「く、くくく……積もる雪がカモフラージュになっているからな。」
「見つかりにくいが、これ、ちょっと寒いぞ。」
「お前の触手、凍ってね?」
神羅・アマミ
やだ…もう寒いし…眠いし…妾もとっとと帰りたいんじゃけど…。

とにかく動きたくないので動かなくて済むコード『特機』を発動するぞ。
そんで互いに身を寄せ合っている怪人をソードビットでチクチク刺す。
散り散りにできれば勝手に体力は奪われていくじゃろうし、余計に固まるようなら一網打尽って奴じゃろ。

「もう…もうゴールインしていいんじゃぜ…?好きなだけ眠ってええんじゃ…。躯の海へお帰り…。」
とかなんとか諭してやりたいが、猛吹雪の中だとただブツブツ何か呟いてるだけのヤベー奴にしか見えないかもしれない。
というか、寒さでテンションおかしくなって、鼻水垂らしながらウェヘッウェヘヘッとか笑う本当にヘンな奴になってそう。



 徐々に強まる吹雪の中、一人の少女の影が雪をかき分けるように歩いている。まだ幼さの残る少女、それは神羅・アマミの姿だった。コートやブーツで一通りの防寒をしているものの、この猛吹雪の中では心もとない。

「やだ……もう寒いし……眠いし……妾もとっとと帰りたいんじゃけど……。」

 冷える手をコートの中に入れるも、沁み込むような冷気に指先がかじかむ。だが、それでもオブリビオンを倒さずに帰るのを良しとしないのは流石というべきだろう。でも寒い。どこか、せめて風を除けれる場所でじっとしていたい……そんなアマミの想いが届いたか、ちょうど風を凌げそうな窪地を見つけた。だが、そこには先客が。
「はっ!? 猟兵!?」
「みんな起きろ、猟兵が来たぞ!」
 そう、窪地で身を寄せ合っていたイソギンチャク怪人たちである。そんな怪人たちをしり目にアマミは窪地の中で居心地の良さそうな場所を見つけるとそこにうずくまった。もう、このまま動きたくない……そんなアマミをイソギンチャク怪人たちはゆっくりと取り囲もうとしていた。彼らも凍えて機敏に動けないのだ。それでもなお戦おうとする怪人たちにアマミはいっそ優しさも感じる声音で言葉を紡いだ。

「もう……もうゴールインしていいんじゃぜ……?」

 雪の中にうずくまるアマミの周囲に何かが浮かぶ。それは【特機】により召喚されたソードビットだ。この寒い中、動き回りたくない。それはアマミと怪人たち共通の想い。加えてソードビットには寒さは関係ない。トス、と軽い音を立てて怪人の身体にソードビットが突き刺さる。そのまま眠るように倒れる怪人。寒さを凌ぐために密集していた怪人たちに多数のソードビットが降り注ぎ、その身をチクチクと刺していく。

「好きなだけ眠ってええんじゃ……。骸の海へお帰り……。」

 諭すように優しげな口調で語るアマミ、だがその声は猛吹雪に掻き消されうずくまってブツブツと呟いているようにしか見えない。周囲を飛び回り怪人を仕留めていくソードビットと合わさって軽くホラーである。
「く、くそぅ! このまま黙ってやられるか!」
 一体のイソギンチャク怪人が意を決してウネウネモードへと己が肉体を変容させる。自在に伸縮する身体ならば、あのビットも柔らかく受け止められるはず。そう考え、飛んでくるビットを迎え撃つ。その身に突き立つソードビットの切先を包み受け止めるべく肉が柔らかくたわみ。
「あふん。」
 あ、刺さった。
 そう、かじかんでいたのは手足だけではない。その肉体もまた寒さで弾性を失っていたのだ。自分たちのユーベルコードも役に立たず、ついには鼻水垂らしながらウェヘッウェヘヘッと笑い始めたアマミにイソギンチャク怪人たちは慄いた。
「ひぃ!? こんなところに居られるかー!」
「まて、イソギンチャク怪人C! ここを出ても……うぐっ」
「イソギンチャク怪人Dぃぃーーっ! お、おれはもう逃げるぞー!」
 倒れる仲間とおかしな笑いを繰り返すアマミを見たイソギンチャク怪人がたまらず逃げ出した。それを見た他の怪人たちも我先にと窪地の外へと走り出す。

「あの吹雪の中には戻りたくないのじゃ……怪人らもこんなとこ居らんと、早う骸の海に帰れればいいのじゃが……」

 風は当たらぬ窪地の中はまだ、耐えれぬ寒さではない。ようやく人心地ついたアマミは逃げた怪人を見て、そう呟いた。この吹雪の中、散り散りになれば体力ももつまいに。

大成功 🔵​🔵​🔵​


 窪地から逃げたしたイソギンチャク怪人たちは強まる吹雪の中、どうしようか相談していた。まだそれなりに数は居るとはいえ、すでに大半が倒され骸の海に還っている。いっそこのまま還ったほうがマシなんじゃないかと思う者も出る中、一人の怪人が声をあげる。
「みんな、マッソーゥさんはまだ山頂で頑張ってるんだぞ!」
「え、あの人そんな名前だっけ。それに雪山で海パン一丁でポージングしてるのは頑張ってると言えない。」
「あの人はあったかそうだしなぁ……(主に頭が)」
 そう言いながらも彼らが取れる手段はそう多くはない。下山しようにも無事に降りれる訳もなく、雪解けまで生き残る術も無し。なので。
「……動いて温まるか。」
 吹雪の中では逆効果だと思うが。
ゾーク・ディナイアル
「まだ残ってる奴がいるみたいだねぇ…くふふふ」

☆殲滅
SPD勝負
「まだこんなところにいたのぉ?」
引き続き【ハルシオン起動】を続行でコクピットからスピーカーで声をかけるよ。
視界は魔導センサーを使ったレーダーを頼りに敵の位置を確認して。
「じゃあボクの鬱憤ばらしに付き合ってね」
一切の容赦無くハイ・ビームライフルを『クイックドロウ』で『二回攻撃』して乱射。
「ねぇねぇ、下山させてあげようか?
ゾーク様カワイイ、ゾーク様は失敗作じゃないって言ったら助けてあげるよ?」
素直に言うかな?言わないかな?
ま、どっちにしても『傷口をえぐる』ように1匹ずつ踏み潰して殺すんだけど。
「残念、嘘でしたぁ♪」

※アドリブ歓迎



 吹雪く雪山に灰銀の騎士の姿が浮かぶ。比喩ではなく実際にスラスターを吹かして浮遊しているそれは、ゾーク・ディナイアルの駆る試作人型魔導騎士《ハルシオン》だ。つい先ほどまでイソギンチャク怪人たちをビームで撃ち抜き、斬り抉り、周囲の掃討を終えていた。さて残りは……と、魔導センサーの感度を上げレーダーの索敵範囲を広げる。

「まだ残ってる奴がいるみたいだねぇ……くふふふ。」

 残る怪人の数も僅か、今補足している集団が最後の残りだろう。ハルシオンで吹雪の中を翔けながらゾークは口の端に笑みを刻む。あれで終わりなら、少しは遊んでもいいよね、と。やがて見えてきたのは集まりながらグルグルと駆け回るイソギンチャク怪人の集団だった。吹きさらしで駆け回ったためか触手が凍っている。

「まだこんなところにいたのぉ?」

 スピーカーを通して聞こえるゾークの声に、怪人たちの動きがぴたりと止まる。そして声のした方を見ればこちらに向かってくる7mもの巨体の灰銀の騎士。
「あ、あれは……!」
「なに!? 知っているのか、イソギンチャク怪人E!」
「先ほどビームで同胞を蹴散らしていた灰銀の……ぎゃぁぁーーっ!」
「イソギンチャク怪人Eぃぃーー!」
 怪人の茶番など気にせずにハイ・ビームライフルを撃ち放ったゾーク。慌てて散開をする怪人を見ながら、舌先で唇を舐める。狙いをつけるのもそこそこにトリガーを引いた。

「じゃあボクの鬱憤ばらしに付き合ってね。」

 ハイ・ビームライフルから連射されるビームが驟雨の如く雪の斜面を叩く。狙いが甘いかと思いきや、射程外へと逃げ出そうとする者は容赦なく撃ち抜かれていた。
「こいつ……遊んでいるのか!?」

「だってさぁ……すぐに終わっちゃったら、つまらないじゃないかぁ!」

 答えるゾークもテンションが上がって来たのかハルシオンの脚でイソギンチャク怪人を踏み抜いた。その傍で余波で吹き飛ばされて転がる怪人に目を向ける。

「ねぇねぇ、下山させてあげようか?
 ゾーク様カワイイ、ゾーク様は失敗作じゃないって言ったら助けてあげるよ?」

 雪から引き抜いた脚をそのまま逃げ出そうとした怪人に振り下ろす。哀れ怪人は雪の上にスタンプされたかのようにペチャンコである。
「ゾ、ゾーク様カワイイ、ゾーク様は失敗作じゃな……ぎゃーーっ!!」
「なん、だと……ちゃんと言ったのぎゃーーっ!!」

「残念、嘘でしたぁ♪」

 下山したい一心で言葉を口にした怪人も容赦なく踏みつぶしていく。どのみちオブリビオンは死すべし、慈悲はないのである。イソギンチャク怪人をビームで撃ち抜き、逃げ場を塞いで踏みつぶす事しばし。

「これで最後、っと。」

 ついにイソギンチャク怪人たちはすべて、雪山から骸の海へと還っていったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『怪人アルパカマッスル』

POW   :    ポージング
自身の【肉体美の誇示】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    鋼の筋肉
全身を【力ませて筋肉を鋼の如き硬度】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
WIZ   :    つぶらな瞳
【つぶらな瞳で見つめること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【瞳から放たれるビーム】で攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はニィ・ハンブルビーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 雪山が震える。戦闘の衝撃で一角が崩れ、雪崩が起きたのだ。人の寄り付かない季節ゆえに人的被害はないし、猟兵が巻き込まれる事もなかった。が、その雪崩はその奥深くに封じられていたモノを解き放った。吹雪の中ぼんやりと浮かぶのは、筋肉。否、それは……。

「マッソーーゥ!!

 そう、それは太古よりの猟兵の宿敵。並々ならぬ筋肉の牙城。今明かされる強敵こそは怪人アルパカマッスルである!
 今、白く煙る吹雪の山で今世紀最大の、へっくちょーーいっ!!」

 思わせぶりなナレーション風のセリフを言っているが、単にポージングしてたら降り積もる雪に埋まっていただけである。ついでに風邪も引いたか。なお筋肉が浮かんだのはアルパカの頭部が雪の白で見えにくかっただけのようだ。
 ついに姿を現した可愛そうなオブリビオン、怪人アルパカマッスルを骸の海へと還してあげれるのは猟兵のみ。今までの鬱憤をぶつけるのもいいかもしれない。
神羅・アマミ
ま、まさか…奴め、こんな雪山でパン一という不利とかそんな概念を画期的に超越した行為によって自らの肉体を極限まで強化しておるのか…?
ふ、震えが止まらねー!まるで脊髄に氷柱をブッ込まれたみたいじゃぜ…!妾にこれほどの戦慄を叩き込むとは!
※物理的に寒いだけです

安易に奴の懐に潜ろうとするのは、虎の口に飛び込むようなもんじゃぜ!
コード『見切』を発動し、奴の攻撃を巧みに交わしながら反撃の機会を伺う!

お、おぉう…!なんというマッスルポーズ!荒ぶる鷲のようじゃぜ!
なッ…胸筋が小刻みに痙攣しだしたぞ!く、来るのか!?奴の必殺奥義が!?

等と相手の周囲をピョンピョン飛び回ってるうちに、時間だけが無駄に刻まれていく…


ゾーク・ディナイアル
「うわ、アレが元凶って言うか親玉なんだ…なんかメンドくさそう…」

☆戦術
SPD勝負
引き続きUC【ハルシオン起動】でハルシオンに搭乗して戦うよ。
「その筋肉でビームを耐え切れるか…見せてみなよぉ!」
魔導センサーを使ったレーダーで敵の位置を確認して、まずはハイ・ビームライフルを『クイックドロウ』で『二回攻撃』で連射しまくって。
「キャハハハハハ!」
更に接近して『怪力』機構でビームサーベルを突き刺して『傷口を抉る』ようにグリグリと焼き尽くしていく。
「そろそろウザいから死になよぉ!」
攻撃が効かないようなら、周辺を焼き溶かして山を崩し生き埋めにするよ。

※アドリブ歓迎
※ハルシオンは騎士甲冑のようなロボット



 盛大にくしゃみをしたアルパカマッスルは鼻をすすりながら改めてポージングをし直す。吹き荒ぶ吹雪の中、雄々しくそそり立つ筋肉。その光景を目にした神羅・アマミは体の震えが止まらないのを感じていた。

「ま、まさか……奴め、こんな雪山でパン一という不利とかそんな概念を画期的に超越した行為によって自らの肉体を極限まで強化しておるのか……?」

 そう、アルパカマッスルの持つユーベルコード【ポージング】はこの状況において最大の効果を発揮するだろう。それは怪人にすら御しきれぬほどに。己の健康すら度外視したその装い、その行為を目にしたアマミの言葉はヒリつくような凍てる空気に吐き出された。

「ふ、震えが止まらねー! まるで脊髄に氷柱をブッ込まれたみたいじゃぜ……! 妾にこれほどの戦慄を叩き込むとは!」

 先ほどから身体の震えが止まらない。それもそのはず、着ている物は変わらずコートなどの防寒具一式だ。寒い。寒さが身に染みる。それこそ物理的に氷柱をブッ込まれたように。アマミの身体の冷えからくる震えを、己への恐れと勘違いしたアルパカマッスルも得意げに大胸筋を見せびらかす。

「うわ、アレが元凶って言うか親玉なんだ……なんかメンドくさそう……」

 その様子を見ていたゾーク・ディナイアルの感想は至極まっとうと言えよう。ちなみにゾークが居るのは人型機動兵器であるハルシオンのコックピットである。こちらは外のメンツと対照的に快適な室温だ。ハルシオンの魔導センサーはしっかりと怪人を補足している。アマミに意識を向けている今ならば外す事も無いだろう。

「その筋肉でビームを耐え切れるか……見せてみなよぉ!」

 ハルシオンのハイ・ビームライフルから放たれたビームが吹雪を貫き、アルバカマッスルが見せつけていた大胸筋に撃ち込まれる。回避する事あたわず、それでも抗するかのように筋肉に力を込めるアルパカマッスル。突き立ったビームの熱が余波となり周囲の雪を蒸発させて爆発を起こした。その中に屹立する一つの影。
「筋肉とは……即ち、鎧である!」
 よく分からない事を言いながら力を込めた【鋼の筋肉】でビームを防いだアルパカマッスル。自信に溢れるその姿、しかしゾークはその胸にビームが残した痕を見逃さなかった。完全に防げては居ない。内部にダメージは残っている、そう確信したゾークの口元が笑みに歪んだ。
 一方、その光景を見ていたアマミはいくぶん震えの収まった身体でどう攻めようかと伺っていた。先ほどの爆発で若干温度が上がったのが幸いしたか。

「安易に奴の懐に潜ろうとするのは、虎の口に飛び込むようなもんじゃぜ!」

 だが攻めねば倒せない。ならばと怪人の攻撃範囲に踏み込み、殴りかかる筋肉の一撃を【見切(ミキレ)】で躱す。反撃の機会は、必ずあるはず。そう考えアマミは怪人が続けざまに放った拳を躱す。

「クハハハ……見える!見えるぞ!其方の攻撃が手に取るようにわかるのじゃ!」

 だがどう攻めたものか……さらに反撃の隙を伺うアマミが身を翻し怪人の拳を躱したその時、ビームの光が連続でアルパカマッスルの胸の痕に叩き込まれた。アマミの方に注意が向かった隙を狙い、ゾークが先ほど撃った所にハイ・ビームライフルを集中的に連射したのだ。

「キャハハハハハ!」

 ダメージの蓄積があるのは分かっている。ならばその傷痕を広げるまで。アルパカマッスルは力んだ筋肉で耐えているが、いつまでもつかと思うと笑いが止まらない。やがてビームが収まった後には、胸に明確な傷、確かなダメージを負ったアルパカマッスルの姿があった。その傷めがけてゾークはハルシオンの手にするビームサーベルを構えて突き進む。対する怪人はゆらり、とその両腕を広げ。

「お、おぉう……!なんというマッスルポーズ!荒ぶる鷲のようじゃぜ!
 なッ……胸筋が小刻みに痙攣しだしたぞ!く、来るのか!?奴の必殺奥義が!?」

 興奮気味に実況するかのようなアマミはアルパカマッスルの周りをピョンピョン飛び回っていた。一見無駄な動き……いや、当人もそれで何かしようと思ったかは定かではない。だが、それはアルパカマッスルの集中力を乱していた。ゾークを迎え撃つため筋肉に力を込めようとしていたアルパカマッスルは、アマミの行動で一瞬気が緩み。
「へっくしょーーいっ!!」
 思わずくしゃみをしていた。くしゃみと共に抜ける力、そこへ突き立つビームサーベル。傷口を抉り穿つような一撃は、周囲をもろともに焼き溶かしていく。

「そろそろウザいから死になよぉ!」

 爆発と轟音。抉られた山肌が崩れ落ちたその後には。
「マッソーーウッ!!」
 自らを鼓舞するかのように叫び立ち上がる怪人アルパカマッスルの姿があった。だが、その鋼の筋肉はいたる所に傷がつき、体力もかなり消耗してきているようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

チェリカ・ロンド
筋肉ねー。私は細マッチョが好きだから、あんたはちょっとキモいわ!(子供特有の直球表現)

接近したらぶたれて痛そうだし、遠距離戦にしましょうか。
【全力魔法】の光【属性攻撃】マシマシ【チェリカ砲】で、目からビームとの撃ち合いよ!
筋肉は硬そうだけど、さすがにノーダメージってことは……ないと思いたいわ。

だんだん出力を上げて、アルパカがひるんだり味方が隙を作ってくれたら、【力溜め】した【全力魔法】の光【属性攻撃】マシマシカラメ【超チェリカ砲】をぶちこむわ!

雪崩とかは……まーたぶん大丈夫でしょ! キマイラフューチャーだし!

アドリブ、絡み大歓迎よ!


アレクシア・アークライト
 寒い。
 吹雪は10層の力場で防いでいるものの、このままでは身体が芯まで冷えて確実に、そうコーラを飲んだらゲップが出るっていうくらい確実に風邪を引いてしまう。
 さっさと倒して帰る!
 と、その前にこんな雪山くんだりまで来る原因を作ったアレからお土産を貰うことにする。

・【UC】を用いて毛を綺麗に刈り上げ、[念動力]で引き寄せてマフラーに編み上げる。

「うん、これは暖かそう……って、臭っ」
「裏切ったわね! 私の期待を裏切ったわね! 何処かの誰かと同じに裏切ったのよ!」

 雪山の隅で(毛が無い寒さで)ガタガタ震えて命乞いをしようが許さない。

・マフラーで縛り上げて躱せないようにした上で、【UC】を放つ。



 山肌が削れ崩れ、雪と土埃が舞う。抉れた地形が戦闘の激しさを物語る。その戦場に降り立ったアレクシア・アークライトは思った。

 寒い。

 アレクシアが纏う10層の力場は冷気を防いでいるものの、このままでは身体が芯まで冷えて確実に、そうコーラを飲んだらゲップが出るっていうくらい確実に風邪を引いてしまう。ならばどうするか、などと考えるまでもない。
 さっさと倒して帰る!
 行動方針を固めたアレクシアは己の職務をまっとうすべく歩を進めた。

 一方、アレクシアと同様に怪人を倒すべく進んでいたチェリカ・ロンド。吹雪の中、お互いの視線が交錯する。自慢気に己の鋼の筋肉を盛り上げて見せつけるアルパカマッスルにチェリカの率直な感想は。

「筋肉ねー。私は細マッチョが好きだから、あんたはちょっとキモいわ!」

 容赦ない直球表現がアルパカマッスルの心に突き刺さった。子供特有の言葉にアルパカマッスルの心に寒風が吹き荒ぶ。接近したらぶたれて痛そうだし、とアルパカマッスルに向けた両手に光が集まっていく。それは吹雪の中においても消えぬ聖なる光は柔らかく。それを見つめる怪人の瞳は心なしか潤んでいた。その瞳に映る光の密度が変わる。

「チェ、リ、カ、砲ぅぅぅぅッ!」

 先ほどまでの優しさはなく苛烈なまでの破壊へと転化したその光、【チェリカ砲(チェリカキャノン)】を全力で放つチェリカ。その光景にクワッと目を見開いたアルパカマッスルの瞳からもビームが放たれる。拮抗する光の中、アルパカマッスルも全力を賭すべく力を込める。ビームに熱量を奪われたかのように冷える首周り……いや、実際に首周りの毛が、ない! 驚愕に染まる怪人の視線の先には何やら白いもこもこした物を手にするアレクシアの姿が。じょり、と耳元で聞こえる音。軽くなる頭、寒さが際立つ頭部。そして、アルパカマッスルから離れていく白くモフモフした、毛。

「うん、これは暖かそう。」

 さっさと倒して帰りたい。その想いに偽りはないが、その前にこんな雪山くんだりまで来る原因を作ったアレからお土産を貰おうというのだ。アレクシアは【空間操作(スペイシオキネシス)】により根元から切断したアルパカの毛を念動力で毛糸にし、マフラーに編み上げていく。アルパカマッスルの頭部には一本の刈り残しもなく、つるりとした皮膚が凍てつく風に晒される。
「さむッ!?」
 急激な温度変化に緩む目力。たちまち光の拮抗は崩れ去り、チェリカ砲はアルパカマッスルを吹き飛ばした。頭から雪に突っ込んだ怪人は、かつてない冷たさに慌てて頭を雪から引っこ抜く。そんな様子はお構いなしにアレクシアは出来たマフラーをさっそく首に巻いてみる。刈りたてのアルパカ毛は柔らかく、暖かく包み込む。まるでふんわりとアルパカに包まれているような香りが……。

「……って、臭っ」

 思わずマフラーを放り出すアレクシア。洗ってもいない毛で編んだマフラーは怪人アルパカマッスルの香りをたっぷりと含んでいた。その様子を見ていたチェリカはちょっと同情。どちらにかはあえて言うまい。

「……うん、さすがにダメージはあるみたいね!」

 よろよろと立ち上がった怪人の姿に、チェリカは気持ちを切り替えるように言う。怪人の受けたダメージとは身体の傷か心の傷か、あるいは頭髪を丸刈りされた事か。一方、怪人を丸刈りにしたアレクシアはキッとアルパカマッスルを睨む。アルパカと聞いて、さぞ心地の良いマフラーだろうと思ったのに……。

「裏切ったわね! 私の期待を裏切ったわね! 何処かの誰かと同じに裏切ったのよ!」

 雪山に悲壮な叫びが木霊する。それは想いを踏みにじられた少女の心の叫び。だが誰がその想いを意図せずして潰してしまったアルパカを責められようか。もはや毛もなく、海パン一丁で吹雪に震えるその姿を。

「いや、オブリビオンだし遠慮はしないけど!」

 先ほどより威力を増したチェリカ砲が怪人を再び吹き飛ばした。立ち上がろうとした怪人の身体に白い帯が絡みつく。それは先ほど放り捨てられたマフラー。アレクシアが念動力で操り、縛り上げたのだ。この程度の戒め、自慢の肉体美の前には……怪人は、今までならばポージングを決めながら言ったであろう。だがしかし。アルパカマッスルの肉体美とは、隆々たる筋肉とフワモコのアルパカ頭の対比があってこそ。すでにそれが崩れ去った丸刈りの頭では魅せつける事は叶わない。
「さむ、さむ……! たのむ、せめて頭に巻いてくれ……!」
 ガタガタと震えながら懇願する怪人をアレクシアは一蹴する。

「裏切ったくせに! 今更、命乞いしたって許さないから!!」
「よーし、私も全力でぶちこむわ!」

 アレクシアがもはや身動きもできない怪人を周囲の空間ごと引き裂いていき、チェリカもこの機を逃すまいと溜めに溜めた光を解き放つ。縦一文字に真っ二つに裂かれた怪人、その身体を光属性マシマシカラメの【超チェリカ砲】が吹き飛ばしていく。カケラも残さず吹き飛ぶ怪人アルパカマッスル。猟兵たちはついに雪山で遭難していたオブリビオンを倒しきったのだ。

「全力でやっちゃったけど、雪崩とかは……まーたぶん大丈夫でしょ! キマイラフューチャーだし!」

 にっこり笑って振り返ったチェリカの背後で盛大に積もった雪が崩れていく。シーズンオフでキマイラは居ないしグリモア猟兵いるのは別の方向だし。雪崩は見なかったことにしてアレクシアは身を翻した。

「オブリビオンも倒したし、寒いからさっさと帰りましょ。」

 こうして雪山でのオブリビオン遭難事件は解決したのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月07日


挿絵イラスト