聖夜のショッピングモールより
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「みんなー! クリスマスを楽しんでいるところ悪いけど、お願いしたい事があるんだぞー!」
12月24日、クリスマスの話題で賑わうグリモアベース。
そこに現れた少年、エスクルール・ラカーユ(奇跡の迷子・f12324)も類に違わずクリスマスの話を引き連れてきた。
「ショッピングモールって知ってるか? 大きな建物の中に小さなお店がいっぱい入っている施設なんだけど、そのショッピングモールもクリスマスのため忙しいんだ。
そんなところに『危険なアイテム』が出てくることが分かったんだぞ!」
その『危険なアイテム』とは触った者を狂気へと落とし、時には「UDC怪物化」へと誘う危険な物。たまたま紛れ込んだのか、誰かが混入したか。
それともその物が自ら出向いたのか――。
詳しい事は現時点では不明だが、放っておくことはできない。
「この『危険なアイテム』は人間をある程度選ぶらしくてな、今はまだこれに触った人はいないんだ。でもそれも時間の問題だぞ」
一般人がこのアイテムと接触すれば幸せな一夜を、これからの人生を滅茶苦茶にする可能性だってある。
そうなる前に猟兵達が先にこのアイテムを見つけ、破壊する必要があるのだ。
「でも問題があって……この『危険なアイテム』、一個じゃないんだ。そしていろんなお店に散らばっててな。探すのも一苦労なんだ」
危険なアイテム。それは本の形をとっている物もあれば人形の形をと様々な物が存在しているようだ。
様々な店舗を見て回って対象物を探さねばならないだろう。
「あともう一個問題があるぞ。
そう、ショッピングモールは普通に人がいるって事……さ!」
かなり大事なことを後から言う少年。どや顔です。
つまり一般のお客さんもいるのでアイテム見つけたからってその場で武器振り回して破壊するムーヴはNGなのだ。
「ということで、君たちは一般人としてお買い物を楽しみつつ、猟兵として『危険なアイテム』を買って来て欲しいな!」
ちなみに『危険なアイテム』の代金はUDCがちゃんと精算してくれるから安心してほしい。
「皆のクリスマス、楽しく過ごせるよう、ご協力お願いしますだぞー!」
えいえいおーという少年の元気な掛け声とともに彼の頭の上のひよこもぴよーと鳴くのだった。
遭去
遭去です。
今回はクリスマスの買い物を楽しみつつ『危険なアイテム』なる物を回収する依頼となります。
●危険なアイテム
普通の人が触るとSUN値がヤバイことになるヤバイ奴です。
人形や本といった物はもちろん、おもちゃやら食べ物やらと色んな形で存在しています。
イイ感じに見つけ出していい感じに購入して回収してください。
お金はUDCが払ってくれるので多少高い物が危険なアイテムとしても大丈夫さ!UDC泣いちゃうけど私は泣かないから大丈夫。
●ショッピング
危険なアイテム探すついでにショッピングも楽しめます。
家族や友達のプレゼントを買ったり、カフェでのんびりしたり、ウィンドウショッピングをしたり……ショッピングモールでできることは何でもできます。
●NPC
お声がけがあればご一緒させていただきます。
それでは皆様が織りなすクリスマスの一幕、お待ちしております。
第1章 日常
『巨大ショッピングモールでお買い物。』
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POW : 見た目も機能も気にしない。自分が気に入った物を買う。
SPD : 見た目より機能重視。使いやすい物を買う。
WIZ : 機能より見た目重視。おしゃれな物を買う。
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ラファエラ・エヴァンジェリスタ
買い物か、任せよ
危険なアイテムとやらの対価は払って貰えるのであろう?であれば幾らでも…何?その他の品は自腹だと…?
我が騎士よ、荷物は任せる
買い込むぞ
とは言え欲しいものなど今更別に…嗚呼
宝石店か、悪くないな
この指輪のコーンフラワーブルーのサファイアなどまるで我が騎士の瞳の様だ
このイヤリングのエメラルドなんて友人の瞳に瓜二つ
このネックレスのアメジストは…いや、良い
とりあえず欲しい、売ってくれ
…何だ、我が騎士よ
…危険なアイテム?
いや別に…忘れてなどは…とりあえず一通り見て回…あ、そのダイヤも欲しい
あれこれ買っても宝石だけでは大した荷物にならぬな
我が騎士よ、他の店にも行こう
聖夜が何かは知らぬが楽しむぞ
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聖夜のショッピングモール。そこはプレゼントやディナーを買い求める客とそれに応えるべく店頭に立つ売り子たちが忙しなく動き回っている。
クリスマスソングが鳴り響くモール内を歩くのはラファエラ・エヴァンジェリスタ(貴腐の薔薇・f32871)。傍らに白銀の甲冑を身に纏う騎士『パーシヴァル』を侍らせ、獲物を見定める。
「さて、どこで買い物をするか。危険なアイテムとやらの対価は貰えるのであろう? であれば幾らでも買い物を……」
何を買うか考える彼女の口は綺麗な弧を描く。そんな彼女の横に控えていた騎士はタブレットの画面を主の方へと向けた。
「何?その他の品は自腹だと……?」
聖夜はよく分からないラファエラだが仮にも祝いの日に働かせるのだから少しくらい出してくれても良いのではと思うが、そんな事で購買意欲が失せる彼女ではない。
とはいえ欲しい物が特になく、何を買うか悩んだところで彼女の目に入ったのは宝石店。
「悪くない……決まりだ。我が騎士よ、荷物は任せる。買い込むぞ」
ショッピングモールの一角に入っているその店は少しばかり敬遠したくなる空気を放つ。だが、そんな空気を意にも解せず彼女は足を踏み入れると店内の奥、自身を迎え入れる人を待つかのように整然と並ぶ宝石の前へと歩み寄る。
「ああ、良い物がある。特にこの指輪とイヤリング」
彼女が指さすそこには混じりけのない青……コーンフラワーブルーと呼ばれる青のサファイアがはめ込まれた銀の指輪と、金の装飾を施されたエメラルドのネックレス。
騎士に、友人の瞳の色に似たその宝石はショーケースに納められた他の装飾品より輝きを発しているようで。
即決で2点の購入を決め、他にもあれこれ買い始めたラファエラに騎士が視線を向けた。何か忘れてないかと。
「いや別に……忘れてなどは……とりあえず一通り見て回……あ、そのダイヤも欲しい。そのトパーズのイヤリングも」
そんな勢いで一目で気に入った物を次々と買うものを決めていくのだった。
「どうした、我が騎士?」
自分の物を買っていく中、禍々しい雰囲気を放つバロックパールの装飾品を見つけた。
これが危険なアイテムだと直感で判断すると即座に購入を決め、買い物は仕舞いだとラファエラは隣に立つパーシヴァルを見やる。いつもなら彼女が声をかける前には視線が合うのだが今回はなぜか視線が合わない。
パーシヴァルの視線の先を追うと、そこにはラファエラが先ほど購入を止めたアメジストのネックレス。
良い印象はない。あの紫の石に、否、あの色には。
「それはいいのだ。なぜ拘る」
主人の問いに騎士はただ視線を合わせる。
先程ラファエラが自身を、友人を重ねて買ったアクセサリーと同じなのだと。
「……気が変わった。店主よ、それも包んでくれ」
「全く、いらん買い物をしてしまった。我が騎士よ、アメジストのそれは貴公が管理するように」
買った装飾品が入った紙袋を騎士に持たせ店を出た。
「ああ、装飾品だけだとまだ片手で収まってしまうな。他の店にも行こう。聖夜が何かは知らぬが楽しむぞ」
ラファエラは騎士へと微笑むと次の店へと歩を進めるのだった。
かの騎士の両手が塞がるまでラファエラは買い物を楽しむことになるのは、また別のお話。
大成功
🔵🔵🔵
大宝寺・風蘭
「おいおい。結構、笑えない状況みたいじゃん」
猟兵ならば本能的に『危険なアイテム』の存在を察知できるのだろうか。まあ、やればできそうな気はするが。
念のためモチズキを召喚して、彼女の嗅覚もあてにしつつ探す。
資金はUDC組織の援助だけでなく、ポケットマネーも利用。これでも各世界を巡って得た報酬で、懐には余裕がある。
大荷物になるかもしれないが、アイテムの性質上UDC組織の職員に荷物持ちさせるわけにもいかないし、自力で全部運ぶ。
「どれかわかる、モチズキ? ふむ、あのモンブランが怪しい……って、自分が食べたいってわけじゃないよな? 言っとくけど、アイテムは後で全部お焚き上げするんだかんね。食べないかんね」
「おいおい。結構、笑えない状況みたいじゃん」
大宝寺・風蘭(狂拳猫・f19776)はショッピングモールにて険しい顔をしていた。
それもそうだろう。いたって普通なショッピングモールに大層危険と思しきアイテムが点在しているのだから。
「こういう時は頭数は多い方がいいよな」
風蘭はずんだ餅を包みから取りだす。すると、風蘭の影からにじみ出るように獣人が顔をのぞかせるではないか。
「モチズキ、危険なアイテムとやらがこの施設の中にあるみたい。探すのを手伝ってちょうだい」
風蘭がずんだ餅を獣人へと差し出す。モチズキと呼ばれた獣人、否、オウガはしばし逡巡すると風蘭からずんだ餅を受け取った。
「じゃあ行こうか」
風蘭はモチズキへ微笑むとまずは彼女の嗅覚を頼りに店舗内を回り始めた。
「それっぽい物はあったかな」
数時間後。はっきり言えば大収穫だった。
モチズキの嗅覚と風蘭の勘により服やゴルフクラブといった多種多様な危険なアイテムが回収できた。
それゆえに端から見れば色んなものを買い込んだちょっと変わった人に見えてしまうかもしれないが、アイテムの性質上UDC職員に荷物持ちさせるのも危険と判断したうえでの行動だ。
「……ん、モチズキ。どうした?」
モチズキは何かに気付くとどこかへと歩を進める。まだ危険なアイテムがあるのかと判断した風蘭は急ぎモチズキの後を追った。
モチズキの足取りは軽やかに、かつはっきりと。数分は歩いただろうか、遂にモチズキはある店の前で止まった。
「……モチズキ……」
モチズキが止まった店――それは洋菓子店。
「あのモンブランが怪しい……って、自分が食べたいってわけじゃないよな?」
モチズキの鼻が指す方向、そこは時期もあってかイチゴの乗ったショートケーキ、オペラをはじめ多種多様なお菓子が並んでいた。
「言っとくけど、アイテムは後で全部お焚き上げするんだかんね。食べないかんね」
風蘭の言葉にモチズキはこの世の終わりが如く凹んだ。
だが、彼女は諦めなかった。
「この中に確実に危険なアイテムがある? でもどれかは分からないから手あたり次第買う必要があるのではないか? ……だって? そんな都合のいい話があるわけないだろう」
モチヅキの下手な言い訳にしばし考え込む風蘭。
(「急にどれが危険なアイテムか分からなくなるなんて、そんな都合がいい話があるか。
でも、色々手伝ってくれたしな……」)
十秒ほどの逡巡をもって彼女は一つため息をつく。
「危険なアイテムがどれか分からないなら仕方ない、何個か買っていこう。
……その中内危険なアイテムに当てはまら無いケーキがあったら食べてもいいかもね」
風蘭の言葉に今度はモチズキは満面の笑みを浮かべた。
「ただし全部は買えないから。一人2個までだからね」
牽制しつつも風蘭もケーキを選ぶべくショーケースの中に並ぶケーキを見繕うのだった。
ちなみにケーキは全部危険ないアイテムじゃなかったし、そもそもこのケーキ屋に危険なアイテムに相当する物は無かったので、購入したケーキは二人で美味しく食べたのはまた別のお話。
大成功
🔵🔵🔵
六道銭・千里
ショッピングモールに、んな危険なアイテムが複数?
たまたまにしては不自然ちゃうか?と思いつつ、今回は回収がメイン
黒幕的な意図はUDCの人等の調査に任せてさっさと回収しようか…
カフェでコーヒーを一口のんびりしてる振りをしながら
このショッピングモールのフロアマップ、こいつの上に五円玉を乗せて
ダウジング…アイテムの場所を探るわ【失せ物探し】
それにしてもクリスマス、もう年の瀬か…
大学入学して忙しくてあまり猟兵活動出来んかったからな…
来年はもうちょい頑張れたらいいなぁ
っと…場所は本屋か、ほんじゃあ回収といこうか
おぉ、そうや知り合いへのクリスマスプレゼントになんか少女漫画でも探してみようか
ショッピングモールの一角にあるカフェは今日も静かに賑わっている。
いつもなら教科書やパソコンを広げる人も今日は数は少なく、替わりに相手を今か今かとそわそわしながら外をちらちらと視線を向ける人が多い。
そのカフェの一角で黒髪の青年、六道銭・千里(あの世への水先案内人・f05038)はコーヒーを嗜んでいた。
(「しかし……ショッピングモールに、んな危険なアイテムが複数? たまたまにしては不自然ちゃうか?」)
このショッピングモールに危険なアイテムが、それも複数個集まるのはどう考えてもおかしい事だ。
人為的なのかはUDCに任せることにして、まずは自分が成せる事を――そう判断すると千里は机にパンフレットを広げ、その上に500円玉を乗せ指を置く。
500円玉は千里の意志に関係なく、パンフレット上をゆっくり這いまわる。
「それにしてもクリスマス、もう年の瀬か…」
つい言葉が漏れてしまった。
しかし仕方がない事だ。生活は大学に通いはじめてからかなり変わり……あっという間に時間が過ぎたような気がしたのだ。
そのため猟兵活動は昨年より縮小せざる得なかったわけだが……来年度の試験さえ終われば多少の自由は効くようになる。
「そのためには期末どうにかせんとな……」
来年度こそはと心に決めるも、未来の試験を想像し苦笑ひとつ。
来年の事に物思いに耽るとふいに指の先の動きが治まった。
パンフレットに描かれた地図。500円玉がある場所は3階の一角――。
「……っと、所は本屋か、ほんじゃあ回収といこうか」
善は急げ。千里は立ち上がり、カフェから出る。
「おぉ、そうや。ついでにクリスマスプレゼントも買いに行こうか」
本屋への道中、ふと思い出したのは友人の顔。
少女漫画が好きな彼女。彼女へのプレゼントは何が良いだろうか。
彼女が好きな白馬に乗った王子様が壁ドンしてくる様な漫画か。それともちょっと普段と路線をずらしてみるか。
有名な漫画は既に持っているかもしれないからちょっとマイナーな物がいいか――。
そうこう考えていると……気が付いたら本屋に立っていた。
「……と、もう着いた。んじゃ危険なアイテムも、クリスマスプレゼントも探してみますか」
どんな本を買うか悩みながら、千里は本屋へと足を踏み入れるのだった。
相手へ贈るプレゼントを選ぶのは難しい。しかし、この時間こそが楽しいのだ。
大成功
🔵🔵🔵
揺歌語・なびき
ニールニャスくん(f33800)
今日は職員としては有給とった筈なんだけど?
かわいいあの子と丸一日過ごす予定だったんだけど?
猟兵の仕事だから仕方ないけど…
呪物なんかじゃなくて
普通のクリスマスプレゼントが買いたいなぁ
ふわふわモールを歩く
知覚で異常な気配を探し【第六感、野生の勘
スイーツとかわいい品物を普通のお客のフリして買い込み
あ、このバスボムいいな、うんうん
見つけた呪物のぬいぐるみを手に【呪詛耐性
はい、ひとつめ回収…あ、子分猫ちゃん
ニールニャスくんが呼んでる?
ちょっと待ってね、これお会計するから(なでなで
うわ、またえぐい奴見つけたね
組織も、あとで特選和牛くらいは食べさせてくれるんじゃないかなぁ
ニールニャス・ヒサハル
にゃびき(なびき(f02050)と
まったくクリスマスまで働くのはサンタだけで十分って親ににゃらわにゃかったにょかぁ?
っと、いてて……
恥ずかしいにゃいい歳こいて転ぶにゃん……ざ……
(幕が掛かるセールワゴンの内、蠢きニヤつく仮面と目が合う
うへぇ……
あれかぁ?みゃったく……こにょや、ろっ!!(紅白のワゴンの幕を破り素早く包むと爪を立て
おめー、俺様の休み削った値段にはにゃるよにゃあ?にゃ?
んーと……(船員に見つけたUDC職員なびきを呼びに行かせ
よっにゃびき
いやこれワゴンの下んとこ隠してあったぞ
やべーにゃ呪物……
うししっ、焼肉ぐらいにはにゃる……(和牛と聞いて目を開き
ほんとかー?!
うへへ、にゃったー!
●
「今日は職員としては有給とった筈なんだけど? かわいいあの子と丸一日過ごす予定だったんだけど?」
ショッピングモールの中で揺歌語・なびき(春怨・f02050)が不満をこぼした。
普段はUDC職員として働く彼だが今日はオフ。しかも今日は彼と過ごす予定だったのに。
「まったく、クリスマスまで働くのはサンタだけで十分って親ににゃらわにゃかったにょかぁ?」
なびきの横でオス三毛猫のニールニャス・ヒサハル(全世界通貨マタタビ化計画・f33800)もなびきの言葉にほぼ同意するように頷いた。
そう、なびきは今日このニールニャスと一緒にクリスマスを過ごす予定だったのだ。
「全く、なびきも人がイイにゃ。炬燵で俺とまりゅくなってればよかったにゃ」
「猟兵の仕事だから仕方ないよ……」
なびきは一つため息をつく。しかし、何だかんだ二人(?)で一緒にショッピングにこれたのだ。家で楽しむのもいいがせっかくならばクリスマスのものを買ってもいいのではないか。本来はオフなのだから。
「ひとまず普通にショッピングしながら例のアイテム見つけよう。ニールニャスくん、一緒に行こう」
「分かったにゃぁ」
今日はクリスマス。楽しんでいこう。
「あっ……これかわいい」
ケーキ、クラッカー、スノードーム……様々な物を購入していくうちになびきはある雑貨屋へと足を踏み入れていた。
そうして眺めていたのは桜色のバスボム。二人でお風呂に入るときに使ったらいいかなぁと思案に耽たとき、ふと横を見ると先ほどは無かったお風呂に入れる小さなウサギのぬいぐるみが棚に鎮座していた。
「ああ、何かここにあるなと思ったら……君だったんだね」
連れて行って欲しいのか、なびきが視線をずらしてもぬいぐるみと目ずっと合わさる。
なびきに迷う理由は無くその人形を優しく手に取り、一般人に被害が及ばないよう魔力を込める。
後は普通に購入すれば回収が完了だ。
「ん……? あ、子分猫ちゃん」
カゴにバスボムとぬいぐるみを入れると白い幽霊子猫船員がなびきの足元をぐるぐると回り何かを訴える。
「えっ、ニールニャス君が呼んでる……?まってて、お会計したらすぐ行くからね」
――なびきがバスボムを見つける少し前。ニールニャスは雑貨屋の入り口に置かれているワゴンの中を眺めていた。
「なびきはいつ出てくるかにゃ」
別に寂しくは無いが暇なのでワゴンを上ったり下りたりを繰り返していく……うちに着地に失敗して滑ってしまった。
「恥ずかしいにゃいい歳こいて転ぶにゃん……ざ……」
ぶつけた顔を抑え痛みを堪えて顔を上げるとふとぬいぐるみが積んであるワゴンの中にある仮面と目が合った。
目が合うだけならまぁ言いがかりだが、蠢きニヤついているではないか。
完全に怪しいアイテムです。
「おみゃー!」
その声は転んだのを見られたのが恥ずかしいのか、危険なアイテムを見つけた事への言葉からか。何にしても呪術のお面はニールニャスを見て、へっ、と明らか小ばかにした様に笑う。
「みゃったく……こにょや、ろっ!!」
ニールニャスはワゴンにかかる紅白の幕を破ると危険なアイテムの上へ覆いかぶせ、そのまま包み込む!
「にゃっしゃー!」
完全勝利したニールニャスは勝利の雄たけびを上げると白い幽霊子猫船員になびきを呼びに行かせる。
「ところで……おめー、俺様の休み削った値段にはにゃるよにゃあ?にゃ?」
待っている間、布の中で蠢いている仮面に対して期待値が膨らむニールシャスだった。
「うわ、またえぐい奴見つけたね」
店から出たなびきがみたのは布に包まれている何かの上で自信に溢れた表情をするニールニャスの姿。
それだけでもその布に包まれている物がどんなもの分かってしまった。
「よっにゃびき。いやこれワゴンの下んとこ隠してあったぞ」
ニールニャスが爪をさした先にはワゴンとそれにかけれていたであろうボロボロになった幕。
これは幕の分も弁償だなぁとちょっぴり心の中で思いながらアイテムを回収する。
「組織も、あとで特選和牛くらいは食べさせてくれるんじゃないかなぁ」
「肉!」
ニールニャスの表情がぱぁぁと日が差したかのように明るくなる。
「うん、肉以外にもいっぱい買えたし、後はケーキ買って帰ろうか。ニールニャスくんは何が良い?」
「にゃやむにゃ……あっ、子分のぶんみょ買うにゃ!」
呪いのアイテムを購入すると、二人でこの後のクリスマスの予定を話間ながら。雑貨屋を後にするのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ネフラ・ノーヴァ
詩乃殿(f17458)と。
今日は冬コーデでスイーツ巡りだ。
危険なアイテム? ああ、ついでに見つけるとしよう。
私の服装はモスグレーのミリタリーワンピース。
巡る店は主に食べ歩きできるものにしよう。モール内の飾りやイベントを楽しみつつ、クレープやタピオカ、たい焼きにフルーツ飴等々。
こういう店にも危険なアイテムがありそうだね。詩乃殿の感性なら見つけられるんじゃないかな。
(ランジェリーを手に取ったのを見て)おや、そのアイテムの危険性は方向が違うようだが、チャレンジするのも一興だね。
取り敢えず支払いは私に任せてもらおう。ああ、UDCに諸々経費で請求できそうかな。となればもう一巡り行くとしようか。
大町・詩乃
ネフラさん(f04313)と
私服(上はセーターにコートを羽織り、下はミニスカートとストッキング)で行動。
人々に危害が及ばないよう頑張ります!(むん)
でもスイーツ巡りやショッピングもしてみたいです。
タピオカがおいしいですし、たい焼きや焼き芋も暖かくて良いですよね~♪
とネフラさんと談笑しつつ、第六感と幸運で危険なアイテムを捜す。
時節柄、プレゼントになるオモチャやアクセサリーのお店が危ないかな。ファッション関連のアイテムもですね。
と次々と危険なアイテムを見つけていきます。
むむっ、これも危険なアイテムかも!?
と露出の多いセクシーランジェリーを手に取って考え込んでしまうのでした(UDCとは無関係でした)
「人々に危害が及ばないよう頑張ります!」
大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)はむんっ!と腕を引き締める。
戦闘時の巫女服は今日はお休み。今日はセーターにコートを羽織り、下はミニスカートと黒のストッキングの出で立ち、つまり完全オフの姿だ。
そんな詩乃の姿を見てモスグレーのミリタリーワンピースに身を包んだ女性はネフラ・ノーヴァ(羊脂玉のクリスタリアン・f04313)は小さな笑みを浮かべる。
「ああ、危険なアイテムも見つけるとしよう。
……だがせっかくのショッピングモールだ。楽しむのを優先しても良いんじゃないか」
「いえ、危険なものを優先です」
詩乃はきっぱりと宣言する。
それは神としての威厳に満ちた言葉だった。
「……それならいいんだが」
「……でもスイーツ巡りやショッピングもしてみたいです」
素直だった。実際にケーキや雑貨をはじめクリスマスならではの商品というのも数多く存在する中、真面目に危険なアイテムを探すだけというのも酷である。
「危険なアイテムがどこに何があるか分からないからね。買い物しながら巡っていった方が効率よく、かつ楽しいと思うよ」
「た、確かに……! それでは行きましょう!」
「ああ。今日はいつもの店舗のほかにも期間限定で出店している店もあるみたいだからね」
「タピオカがおいしいですし、たい焼きや焼き芋も暖かくて良いですよね~」
「ならここの店で白たい焼きが売っているようだぞ」
今から食べるスイーツの話に花を咲かせながら、二人は人々が行き交う雑踏へとまぎれていった。
クリスマス限定の某喫茶店のイチゴとチョコがふんだんに使われたフラペチーノはもちろん美味しかった。
クリスマスツリーに見立てた抹茶ソフトクリームや緑のきな粉餅は見ていて心のワクワクが止まらなかった。
他クレープ、たい焼き、タピオカ、ドーナッツ……クリスマス限定で入っていた店舗のお菓子も食べ回った。
危険なアイテム回収も詩乃の第六感か神としての直観か。季節柄おもちゃ屋さんや雑貨屋といったプレゼントが置かれる場所が怪しいと睨んだところに入ると呪いのトランプやこすると魔人が出てきそうなランプといったアイテムを回収することができた。
「色々見て回ったしそろそろ退散しようか」
目的は果たしたので帰ってゆっくりしようかとネフラがちらと詩乃をみやる。しかしそこにいた詩乃の表情は先ほどとは打って変わって真剣で。
「いえっ……まだ危ない気がします! あそこに感じます!」
詩乃が服屋の店舗へと入っていくのを慌てて追いかけるネフラ。
服屋の一角へ迷わず進み、その服へ手をかける!
「これも危険なアイテムかも!?」
詩乃がその手に持っていたのは――黒を基調としたランジェリー。
花をあしらったレースが使われたそれは大事なところがギリギリ隠れるかという布面積の少なさで。着た人の肉体美を存分に引き立てるだろう。
「おや、そのアイテムの危険性は方向が違うようだが、チャレンジするのも一興だね」
「ちゃ、チャレンジ……!? あれ、呪いのアイテムと関係ないのですか!?」
「ああ」
「い、いや着たいわけでは……!」
自身が着ることなどまるで頭になかった詩乃は途端に恥ずかしくなってその場に蹲ってしまった。
「せっかくだ。支払ってこよう」
「ネフラさん楽しんでませんか!?」
「楽しいとも、友人へのプレゼントを贈れるのだしね」
「プレゼントは嬉しいのですが……あのっ、その、もっと別な物を……!」
ネフラの笑い声と詩乃の羞恥に満ちた泣きそうな声が店内に響き渡った。
二人の買い物はまだまだ続く――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
栗花落・澪
【鯱兎】
え、そんなに珍しいかなぁ?
だってさ…晃君、お誕生日でしょ?
1月2日
ちょっと早いけど、なにかプレゼントしたいなって
あ、晃君びっくりしてるー珍しー!
えへへ、いい表情見ーれた♪
だって晃君自分の情報全然教えてくれないんだもん
なにが好きか考えたけど全然浮かばないから
いっそ一緒に選ぶのも楽しいかなって
で、晃君ってどういうのが好きなの?
それか今欲しいものでもいいけど
栞かぁ…読書ならアロマとかもいいかもね
好きな香りがあると捗りそう
あ、このお店見てみよう!
晃君カラーの紫が入ったお洒落な栞があればいいな
高価でもいいから買ったらその場でプレゼント
一足早いけど、誕生日おめでとう
言わないけど、サプライズは当日に
堺・晃
【鯱兎】
珍しいですね、澪君からプライベートでお誘いいただけるなんて
しかも二人っきりで
微笑しつつ茶化すように言うが
澪の言葉に珍しくきょとんとした様子で
…こほん
別に驚いたわけではないですが
本人にプレゼントを選ばせるんですね
澪君らしいですが
危険なアイテムとやらを探しながら
澪君と一緒にお店をめぐりましょう
そうですねぇ……物に対するこだわりはあまり無いのですが
どちらかといえばアンティーク系等お洒落なものが好みでしょうか
あぁ、最近読書にハマっているので栞等もいいですね
澪君と共に入ったお店で色々と見て
黒に紫で上品な花が描かれた栞を選択
ええ、ありがとうございます
危険なアイテムは見つけたら回収しましょう
「珍しいですね、澪君からプライベートでお誘いいただけるなんて」
――しかも二人っきりで。
茶化す様に、意地悪の様に堺・晃(元龍狼師団師団長・f10769)は言う。
「え、そんなに珍しいかなぁ? だってさ…晃君、お誕生日でしょ?」
そんな言葉に栗花落・澪(泡沫の花・f03165)はきょとんとしながら返した。
「……誕生日?」
「うん、1月2日。ちょっと早いけど、なにかプレゼントしたいなって」
澪の言葉に今度は晃がきょとんとする番で。
こんなに素直に言われると調子が狂ってしまう。
「あ、晃君びっくりしてるー珍しー!」
晃の表情に澪は悪戯が成功した子供のような表情をして言葉を返す。
いつもどんな時も、微笑みながら毒を吐く晃。そんな彼が今鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしているのだ。澪が珍しいというのも当然だろう。
「……別に驚いたわけではないですが、本人にプレゼントを選ばせるんですね。澪君らしいですが」
晃は澪の言葉に反応し咳払い一つして気持ちを切り替えるとまたいつもの爽やかな微笑みを湛え、すぐさま少しの毒のある言い方で返す。
「だって晃君自分の情報全然教えてくれないんだもん。なにが好きか考えたけど全然浮かばないから、いっそ一緒に選ぶのも楽しいかなって」
「そんなに僕の事喋ってなかったですかね。とりあえず、危険なアイテムとやらを探しながら考えます」
「うんっ、それもあったね。じゃあいこっか!」
澪は晃の手を取ると近いお店へと入っていくのだった。
数店の店を回った後、二人は何店目かの雑貨屋へと足を踏み入れる。
物欲がない晃が欲しい物というとアンティークだったのだが、中々彼のお目にかかる物が見つからなかったのだ。
……まぁ半分くらいは晃が意地悪も兼ねてわざと数十万する物を欲しがって澪を困らせていたパターンだったが。
「あっ……これいいな」
棚の一角を眺めていた晃がぽつりと言葉をこぼしたのを澪は聞き逃さなかった。
「どれ?」
ぴょこっと顔をのぞかせると晃の手にあったのは金属製の黒い栞。
黒い金属にシラーの花が彫られているその栞は晃が持っていても違和感がないだろう。
「最近読書にハマっているのでこういうのも良いかなと」
「よしっ、それじゃあこれにしようか! あと読書ならアロマとかもいいかもね。好きな香りがあると捗りそう」
「でも大分高いですよ?」
数万円と書かれた値札がぶら下がっているが、澪はあっけらかんとして。
「いいよ。さっきの数十万のアンティーク強請られた時より欲しそうだなって見えたもん」
ぱっと晃の手から栞を取ると澪はニコリと笑みを浮かべる。
「あっ、そうだ晃君」
「?」
「一足早いけど、誕生日おめでとう」
澪はとびきりの笑みを浮かべる。
「……あ、ありがとうございます」
再び晃は言葉を失う。
今自分の誕生日プレゼントを買ってもらっているのに、いざ言葉に出して祝われると胸の奥が暖かくなる気がして。
「よしっ、次はアロマ選ぼう! はやくはやく!」
「……えっ、ええ。今行きますね」
澪は晃を置いてアロマが置いてあるコーナーへと向かっていく。
「……もっと高いのを選べばよかったか」
――彼に分かる位、栞を見ていた自分の表情は変わっていただろうか。
澪の後ろ姿を見て、晃はちょっと悔しそうに呟いた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵