※警告! クリスマスとの接続が切断されました!
●年に一度の聖なる日
「今日は12月24日……そして明日は12月25日……! 食事、ロケーション、そして指輪……! この日の為に一年かけて準備をしたんだ!」
そう気合いと魂を燃やす者もいれば。
「あ、そーいや今年は25日が土曜か。ちょうどいいし久しぶりにあいつん家集まって飲むか。ケーキとか買ってったらウケるかな?」
そう軽く考える者もおり。
「プレゼント何貰えるかな……それにあと一週間すればお年玉もあるし、冬大好き!」
そんな現金なことを考える子供もいたりする。
そんな誰もが浮かれる日、その名は……。
「……何だっけ?」
そんな日は、『今』のカクリヨファンタズムには存在しなかった。
●それでも猟兵は休めない
「メリークリスマス……お仕事の時間です……」
アレクサンドラ・ヒュンディン(狗孤鈍狼・f25572)が無表情に猟兵たちにそう告げた。
「カクリヨファンタズムから、『祝祭』という概念がなくなってしまいました……様々な概念がなくなるのは今までもあったことなのですが、カクリヨファンタズムにおいて祝祭は危険なオブリビオンを弱体化させる力を持ちます。今回は特に大変なことです……」
あくまで普通の依頼のように淡々と説明するアレクサンドラだが、頭には一応赤いサンタ帽を乗せている。どうやらクリスマスを祝うつもりがないわけではないらしい。
「放っておけばクリスマスはもちろん、続くお正月やバレンタイン、その他諸々のイベントが全てなくなってしまいます……」
それは今後カクリヨファンタズム有事の際、一気にオブリビオンの力が増してしまうということでもある。またそうでなくても、ハレの日の一切ない生活など楽しみがないだろう。
「というわけで、皆さんには原因となった妖怪を退治してきていただきます。『縁切り屋』という妖怪で、その名の通り縁切りの神だったものが妖怪に取り付いたものです。あらゆる縁を切ることに喜びを感じているようで、祝祭を潰すことでそれに連なる全ての縁を崩壊させるつもりのようです……」
それは邪悪な……というよりはなんか今日行われると別の感情が満ちているように聞こえてしまうのはなぜだろうか。
「ちなみに依代は男性の妖怪ですが、こちらの方もかなりノリノリで骸魂に協力してしまっているようです……イケメンなんですけど……」
どうやら骸魂と妖怪の意思が一致していることでより強い力を発揮できているらしい。あるいはそこの結合を乱せばより有利に立ち回れるかもしれない。
「ただ、オブリビオンの力がお祭りで弱体化されるという性質は変わっていません。なので皆さん、思いっきりクリスマスを楽しみながら戦ってください。何なら戦闘よりそっちに力を入れても構いません……」
何しろカクリヨファンタズムである。時に戦うより効果的な骸魂駆除術があるのは大祓百鬼夜行でも証明されていることだ。
「今年も全ての世界でクリスマスが祝われています。それにカクリヨファンタズムだけお祭りな死なんて寂しいので、どうか皆さん、クリスマスを取り戻してください……」
そう言ってアレクサンドラは、猟兵たちをカクリヨファンタズムへ送り出すのであった。
鳴声海矢
メリークリスマス。鳴声海矢です。今年はカクリヨファンタズムでバトリクリスマス。
一章完結の短いシナリオとなります。また、時節ネタですので遅くとも年内の完結を目指したいと思います。ご参加を検討の方はお早目のプレイングをお勧めいたします。
第一章では『縁切り屋』とのボス戦です。男性の妖狐に縁切り神の骸魂が取り付いたもので、あらゆる縁を切ることを喜びとしています。匕首による切断攻撃の他、巨大狐召喚による破壊や狐火での爆発的な延焼などなんか妙に破壊的な攻撃が多いです。
骸魂と依代が何がしかの意思の元結束してしまっているので、依代の方に働きかけて結束を乱したりすると有利に戦えるかもしれません。
今回はプレイングボーナスとして『クリスマスを祝うような行動をする』というものがあります。
とにかく楽しくド派手にクリスマスを祝う程、骸魂(とやり方によっては依代の妖怪)が弱体化し、簡単に倒せるようになります。祝い方、楽しみ方は各自にお任せ。恋人と甘くだけでなく、同性の仲間とバカ騒ぎしたり、あるいは一人で楽しむ方法だっていくらでもあるはずです。あなたなりのクリスマスを見せつけてやりましょう。何なら戦闘よりこっちに注力するくらいでもOK。
こんなクリスマスなので当然ながらネタシナリオです。敵に思う所のある方はプレイングに乗せてぶつけてみるといいんじゃないでしょうか。
それでは、縁の繋がったプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『縁切り屋』
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POW : 妖刀解放
【匕首】で攻撃する。[匕首]に施された【妖気】の封印を解除する毎に威力が増加するが、解除度に応じた寿命を削る。
SPD : 眷属召喚
【召喚した狐霊】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ : 妖焔
レベル×1個の【狐火】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
👑11
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今日は12月24日金曜日。特に何のイベントもない平日である。
それだけではない。明日の25日も、来週の1月1日も、2月14日も3月3日も、特に何もイベントは行われない普通の日である。
「当然だよな……? この世界にそんなものは必要ない……」
ただ一人町を見下ろす丘に立ち、静まり返るその姿を見て暗い笑いを浮かべる狐面をつけた男。
「この世界に祝福など必要ない。ただ、無限に続くつまらない日常に沈んでいくがいい……」
危うい魅力もあるスマートで涼やかないでたちだが、男の声は徐々に熱を帯びていく。
「元より祝祭などという熱に浮かされなければ繋げぬ縁なのだ、なくても同じだろう? さあ、全ての祝いと縁を切り裂いてやろう。この俺を捨てた世界よ!」
興奮極まったか男は顔を上げ、月を仰ぎ。
「……彼女いない歴年齢のこの俺をなぁ!!」
一際大きな声で月に向かって吠えた。
この『縁切り屋』を放置すればクリスマスはじめ全ての祝祭がカクリヨファンタズムから永遠に失われてしまう。
少々声をかけづらいかもしれないが猟兵よ、この残念なイケメンをぶっ飛ばして、クリスマスを取り戻せ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・同行:【豊饒狐】
・アド/絡◎
■行動
確かに、クリスマスが無いのは残念ですねぇ。
何とかやってみましょう。
【炳輦】を発動、同行の全員を『防御結界』の範囲に含めてガードすると共に、飛行することで『相手からよく見え、且つ射程外に逃れる』状態を作りますねぇ。
必要に応じて『瞬間移動』による回避も可能ですので、備えは十分ですぅ。
そして『FTS』から様々な品を取り出し、パーティを開始しましょう。
私からは、定番の『ガーリックステーキピラフ』と『ミネストローネ』を。
皆さんの食事量を考えても、問題の無い量を御用意しましたぁ。
後は、十分に楽しんで弱ったところで『時空切断の嵐』を発動、皆と共に一気に叩きますねぇ。
豊雛院・叶葉
■方針
・同行:【豊饒狐】
・アド/絡◎
■行動
くりすます、という祝祭は数年前に知りましたが、素敵なお祭りに御座いますね。
楽しめないのは、残念に御座います。
夢ヶ枝様の防護を受けつつ、宴を楽しむことに致しましょう。
此の面々の中では小食な方ですが、それでも人並み以上には頂けます故。
私がご用意したのは『ちらし寿司』に御座います。
『甘海老』や『錦糸卵』に加え、『いくら』や『鮭』『鮪の赤身』の赤と『胡瓜』や『さやいんげん』の緑を加え、くりすますの祝祭の色に合わせた品に御座いますね。
勿論、全員が満足出来るだけの量を御用意致しました。
十分に楽しめましたら【雷苑】を発動、皆様と力を合わせ縁切り屋殿を叩きましょうや。
鞠丘・麻陽
■方針
・同行:【豊饒狐】
・アド/絡◎
■行動
折角の楽しいクリスマスなのに、妨害は良くないんだよ。
何とか頑張ってみるんだよ。
るこるさんのガードが有るから、ゆっくりパーティを楽しむんだよ。
私は色々な『ピザ』を買い込んできたんだよ。
『マルゲリータ』や『ペスカトーレ』みたいな定番や、『テリヤキチキン』なんかも有るね。
かなり大型の『シカゴピザ』も含めて、全員分を大量に用意してきたから、量も大丈夫だと思うんだよ。
十分に楽しんだら、【白虹陣】を発動するんだよ。
これで、全員の攻撃全ての『威力』や『射程』が合体、人数倍になるんだよ。
後は『カルテットフォート』で『炎』を乗せた[属性攻撃]付きの[砲撃]を行うんだよ。
鞠丘・月麻
■方針
・同行:【豊饒狐】
・アド/絡◎
■行動
ええ、これは色々と酷いですね。
何とかしてみましょう。
るこるさんのガードが有りますから、パーティの方に専念出来そうです。
一応『狐霊』が出たら警告出来る様にはしておきますね。
私は、様々な種類の『チキン』を御用意しました。
定番の『ローストチキン』は醤油系に加え、塩胡椒で味付けした品や、カレー粉やパプリカパウダーを合わせたスパイシーな品も有ります。
『フライドチキン』はプレーンやホットに加え、BBQソースやチーズソース等のディップも御用意しました。
勿論、全員が満足出来るだけの量ですね。
十分に楽しめましたら【天満玉】を発動、皆と共に『光の帯』で攻撃を行いましょう。
艶守・娃羽
■方針
・同行:【豊饒狐】
・アド/絡◎
■行動
何とも残念な方ですわ。
とは言え、行動には対処が必要ですわね。
るこるさんの防護が有るなら、守りは心配無用ですわね。
食事量は人並よりも幾らか上程度ですし、パーティを楽しみつつ『狐火』の動きは確認しておきますわ。
私は『飲物』と『パーティグッズ』を御用意しましたわ。
『飲物』は『ワイン風のぶどうジュース』と『シャンメリー』を。
『パーティグッズ』は全員分の『サンタ帽』と『クラッカー』他、ですわ。
全員分の衣装は、サイズが(目を逸らして)。
十分に楽しんだ後は対処ですわ。
【仁蝴】を発動、全員を強化&再行動させ対応を早めた上で『扇』による『超音波』で攻撃に参加しますわね。
甘露島・てこの
■方針
・同行:【豊饒狐】
・アド/絡◎
■行動
普通に一人でも楽しい祝祭だと思うんだけど、人によっては違うのかなぁ?
まあ、妨害には対処するんだけど。
るこるさんがガードしてくれるから、パーティに専念出来そうだねぇ。
私は『ケーキ類』を色々と用意したんだよぉ。
『ブッシュドノエル』や『ショートケーキ』は当然、『チョコケーキ』や『チーズケーキ』もホールで複数用意してあるから、何とか足りるんじゃないかなぁ?
全部終わって残ったら、グリモア猟兵さん達を誘ってもう1回パーティしてもいいねぇ。
しっかり楽しんだら、後は対処だねぇ。
【顫攪】を発動し攻撃、『攻撃回数』を優先して『合体』の効果を活かし易い様にしておくんだよぉ。
稲荷・こん子
【豊饒狐】
・方針
アド/絡み◎
・行動
今回は皆のサポートに回るのです!
「クリスマスなのです!楽しみなのです!」
サンタの衣装着て、料理の配膳などを手伝って、皆とパーティーなのです!
特に何か持ってきた訳ではないので、クリスマスに合う歌をうたって場を盛り上げるのです♪
周囲がアレの大きい人ばかりなので、いっぱい食べれば大きくなるかなと頬ばる。だけど無理はしない。
そんな感じでパーティーを満喫していくのです。
さて、対処の方をしていくのです。
【秘技】を使って味方を強化
その際、何かしら弄るので皆様の『胸』をサイズアップさせておくのです(大きさはお任せ)
後は手裏剣で対応
「楽しいことは、なくしちゃ駄目なのです!」
祝祭の概念を失い、平日に静まり返るカクリヨファンタズム。静かなその街を狂気の笑いで見下ろす男の前に、圧倒的な質量を持つ一団がやってきた。
「くりすます、という祝祭は数年前に知りましたが、素敵なお祭りに御座いますね。
楽しめないのは、残念に御座います」
先頭に立つのはある種カクリヨファンタズムにも似つかわしい和装の女性。最も和装とは言えど各所色々とはみ出してはいるのだが、ともあれ豊雛院・叶葉(豊饒の使徒・叶・f05905)はその台詞やクリスマスの発音が若干不自然なところから分かる通り、クリスマスにはなじみのない出身であった。
とはいえそこは神職の巫女、祝祭、祭礼がなくなることの重大さは分かっているし、猟兵として事件の対応は必要だ。
「確かに、クリスマスが無いのは残念ですねぇ。何とかやってみましょう」
その対処のため場を広げるのは夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その衣を纏いて典礼を捧げましょう」
【豊乳女神の加護・炳輦】で飛行可能な防御結界を形成し、同行者全員をその中に入れる。そしてそのまま男の目の前でよく見えるように浮遊して始めるのは戦闘……ではなく。
「私からは、定番の『ガーリックステーキピラフ』と『ミネストローネ』を」
大量の料理を取り出してのパーティである。まずはるこるが取り出したものだが、まず量が半端じゃない。ステーキピラフと言えばさいころステーキがピラフの中に入っているような、それでも十分に見栄えよく豪華と言えるものであるが、今取り出されたのは升単位のピラフにポンド単位のステーキが乗っているような超巨大なものである。そしてミネストローネも、学校給食でも作ったのかという程の巨大鍋がずっしりと。
「るこるさんのガードが有りますから、パーティの方に専念出来そうです」
「るこるさんのガードが有るから、ゆっくりパーティを楽しむんだよ」
それに続いて動きだすのはさらに目を引く赤青二つの巨峰。
鞠丘・麻陽(豊饒の使徒・陽・f13598)が大量のピザを取り出し、鞠丘・月麻(豊饒の使徒・月・f13599)はこちらも大量のチキンを取り出す。
どちらもクリスマスの大定番、巷ではサンタ服を着たスタッフが核店舗で対応に追われているのを見ることも多いだろう。だがもちろんピザやチキンと言ってもその種類は単純ではない。
「『マルゲリータ』や『ペスカトーレ』みたいな定番や、『テリヤキチキン』なんかも有るね」
本家イタリアでも定番のピッツァに、アメリカや日本で開発されたローカルなピザ。レストランや宅配で人気のメニューは当然抑えており。
「それから『シカゴピザ』も全員分、大量に用意してきたから足りると思うんだよ」
パイのように分厚い生地に乗った巨大ピザが一人1ホール分以上。これはまさに圧巻という他ない。
「私は、様々な種類の『チキン』を御用意しました。定番の『ローストチキン』は醤油系に加え、塩胡椒で味付けした品や、カレー粉やパプリカパウダーを合わせたスパイシーな品も有ります」
月麻のチキンも一筋縄ではいかない。まず焼いたものからして味付けは様々。焼く時に着けるタレやスパイスだけで様々に味の変わるチキンは、元が同一の食材とは思えないほどに多種多様だ。
「『フライドチキン』はプレーンやホットに加え、BBQソースやチーズソース等のディップも御用意しました。勿論、全員が満足出来るだけの量ですね」
もちろん焼くだけがチキンの料理法ではない。大人から子供まで、みんな大好きフライドチキンは衣の味付けだけでなく、外からかけるソースでも全く別物と言えるくらいに味は変化する。当然こちらも大量爆盛り、牧場ごと買ってきたんじゃないかというくらいのチキンが山積みとなっている。
だが肉類、洋食ばかりでは空きが来るというのも否定は出来ない所。
「私がご用意したのは『ちらし寿司』に御座います。此の面々の中では小食な方ですが、それでも人並み以上には頂けます故」
なればこそクリスマスに疎い叶葉の出番。なれど全く意識していないわけでは当然なく。
「『甘海老』や『錦糸卵』に加え、『いくら』や『鮭』『鮪の赤身』の赤と『胡瓜』や『さやいんげん』の緑を加え、くりすますの祝祭の色に合わせた品に御座いますね」
サンタとツリーというイメージカラーはばっちり抑えている。パーティというのは見た目も大事。腹に入れば一緒と言ってしまっては楽しみも半減というものだ。
そしてもちろん、クリスマスの主役級大定番も忘れてはいない。
「るこるさんがガードしてくれるから、パーティに専念出来そうだねぇ。私は『ケーキ類』を色々と用意したんだよぉ」
そこの担当は甘露島・てこの(豊饒の使徒・甘・f24503)。何しろ戦闘スタイルからしてフォークを構えてケーキを食べながらの彼女である。大食い揃いの中でも特に甘味に一家言あるのは当然のことと言えるだろう。
「『ブッシュドノエル』や『ショートケーキ』は当然、『チョコケーキ』や『チーズケーキ』もホールで複数用意してあるから、何とか足りるんじゃないかなぁ?」
イチゴショートとブッシュドノエル、クリスマスの二大巨頭と言ってもいいケーキに、これまた定番のチーズとチョコ。当然ホールで複数の用意だが、同じ種類のケーキでもホールごとにタイプは違う。バスクチーズケーキにレアチーズ、チョコもチョコショートやガトーショコラ、一見ショートケーキにも見えるホワイトチョコ、さらには丸い外見はまるで何も乗っていないように見え、切ってみれば中には何層ものチョコやクリームが詰め込まれているものなど枚挙に暇がない。
もちろん食べるだけが楽しみではない。
「私は『飲物』と『パーティグッズ』を御用意しましたわ。『飲物』は『ワイン風のぶどうジュース』と『シャンメリー』を」
そこを用意したのは艶守・娃羽(豊饒の使徒・娃・f22781)だ。そのサイズから想像もつかないが、意外なことに全員が未成年とあってノンアルコールオンリー。だが少しでも雰囲気を出したいということでこちらのチョイス。なかでもぶどうジュースは甘みを抑えてボディも感じさせる、ノンアルコールワインと言えるもの。
「『パーティグッズ』は全員分の『サンタ帽』と『クラッカー』他、ですわ」
そしてグッズはお手軽に、帽子やクラッカー、後はちょっとしたアクセサリーや小物類など。確かに散らからなくて良いが、食べ物類に比べれば随分大人しいチョイスのようにも見える。
「全員分の衣装は、サイズが」
目を反らしながら言う娃羽。用意しなかったのではない。用意できなかったのだ。まあこういう事態には全員慣れっこなので、特にそこには誰も何も言わない。
そして揃いに揃った超大量の食事類を、稲荷・こん子(七変化妖狐・f06041)が手早く全員に取り分ける。
「クリスマスなのです! 楽しみなのです!」
サンタ衣装を着て食べ物を配り分けるこん子の姿はまさに小さなサンタクロース。
もう一度言う。こん子はサンタ衣装を『着て』配り分けている。
彼女はただ一人、この場で市販サイズの服が平気で着れるサイズの体をしていた。それも小サイズの子供服である。
だがそれだからと言ってこの場で仲間外れになったりすることなどない。全員に食事とドリンクが配り終えられ、コップを構える。
「「「「「「「メリークリスマス
!」」」」」」」
乾杯、そして鳴り響くクラッカー。何もかもがビッグサイズ(ごく一部除く)の、楽しいクリスマスパーティが始まった。
そんな光景を、地上から恨めしげに眺める男が一人。
「この世から祝祭を奪ってやったというのに……わざわざここに来てあんなことを始めるなんて、俺に喧嘩を売ってるのか! 」
実際その通りなのだが、そもそも彼にはこの世の全てが敵に見えているような状態なのだろう。そんな『縁切り屋』の怒りのオーラは本物の炎となってパーティ会場へと襲い掛かった。
その炎がパーティを包む瞬間、娃羽が扇を大きく振るいその炎を吹き飛ばした。
「何とも残念な方ですわ。とは言え、行動には対処が必要ですわね」
そう、分かって喧嘩を売りに来たということは、攻撃されるのも分かっていたことなのだ。娃羽は食べる量は『人並みよりも少し上』ということで、特に敵の攻撃に対して注意を割いている余裕があった。もっともその人並みとやらが本当に一般的な『人並み』なのかは甚だ疑問が残るところなのだが……
「普通に一人でも楽しい祝祭だと思うんだけど、人によっては違うのかなぁ?
まあ、妨害には対処するんだけど」
てこのの素朴な疑問。まあ沈んでいる時には明るいものが全て敵に見えてしまうものだし、もしかしたら祝祭を敵視することで自分を保っているのかもしれない。そんなんだから友達も恋人もできないのかもしれないが。
【豊乳女神の恵賜・翻牆】で炎を反射し守りを万全にするが、遠隔攻撃が通じないならと縁切り屋の方もより破壊的な手段に訴える。
「うるさい! あれを破壊しつくせ、我が眷属よ!」
巨大な狐の霊を召喚し殴り掛からせる。その勢いは余りにも無差別で召喚主以外の全てを見境なく殴り飛ばしていくが、そもそも仲間のいない彼にはその無差別さも関係ない。
「折角の楽しいクリスマスなのに、妨害は良くないんだよ。何とか頑張ってみるんだよ」
「ええ、これは色々と酷いですね。何とかしてみましょう」
だが、そういう眷属が現れるのも事前に分かっていたこと。そちらに注意していた月麻の合図と共に、【豊乳女神の陽精・白虹陣】と【豊乳女神の月精・天満玉】で狐を攻撃する。
光の帯に滅多打ちにされ、狐の霊はしゅんとして縮んでいき、その場から退散する。
「あ、おい、お前まで逃げるのか! こうなったら……俺が直接やってやる!」
懐に飲んでいた匕首を抜き放つ縁切り屋。それは短い刃ながら、全てを断たんとする危険な輝きを放っていた。その輝きに導かれるように縁切り屋は高く跳躍、パーティ会場まで一足飛びに飛ぶ。
「切れろ……全て!」
その匕首の斬撃は妖刀、名剣にも劣らぬとばかりに会場を守る結界を切り裂こうとする。それをるこるの斬撃が押し返すが、短い刃を素早く返してそれさえ切り返す縁切り屋。言動は残念だが、なんだかんだ相当に強いらしい。
「天雷の理以て打ち掃ふ事の如く遺る罪は在らじと。 祓へ給ひ清め給ふ事を」
ここはリーダーの出番とばかりに、その縁切り屋を叶葉が【豊乳女神の神勅・雷苑】の刃で押し返す。雷の刃は匕首を伝って縁切り屋にダメージを与え、その体を揺らがせる。
そしてそこからも、娃羽の【豊乳女神の印形・仁蝴】による回復の援護をうけつつ全員で攻めかかっていく豊穣の巫女たち。
「くそっ……数で押してきやがって……ん?」
多勢に無勢に歯噛みする縁切り屋の目に入ったのは、周囲がアレの大きい人ばかりなので、いっぱい食べれば大きくなるかなと頬ばる。だけど無理はしない。そんな勢いで食事をしていたこん子の姿。彼女の姿は、何というか見れば分かるほどに周囲から浮いていた。
「おい、お前……もしかして、無理して付き合ってるんじゃないか? そんな縁、切ってしまえ……お前も、こっち側に来い……!」
刃を向けて誘いをかける縁切り屋。だがこん子は平然と表情を変えない。
「色々、弄っちゃうのです♪」
そう言って何かをなぞるように指を動かすこん子。そうするとその場にいた全員の胸が、一気に倍以上の大きさへと巨大化した。
「なにぃっ!?」
あまりの事に思わず攻撃の手を止める縁切り屋。それは【秘技・改造の術】による味方強化であると共に、自分が大きくなりたくはあるが回りを妬んでいるわけではないというこん子の意思表示であった。
「それでは皆様」
ゆさっと動きながら叶葉が音頭を取り。それに合わせて残る巨峰も一斉に動き出す。
先頭を切る叶葉の胸だけでも視界が塞がれそうだがそれだけではない。元が特に巨大な月麻と陽麻は最早全身が見えないほどだし、てこのの重量感はとりわけ半端じゃない。娃羽は他と比べて一回り小さいことを気にしているらしいのだが、それもう気にするところじゃないだろというサイズであるのは見て明らか。とりわけ元のレベルが飛びぬけて高いるこるなどは、強化割合も大きいのかそこにいるだけでその圧でこちらが押し潰されそうになる。
そしてその上に手裏剣を構えて堂々と立つこん子。
「楽しいことは、なくしちゃ駄目なのです!」
その宣言と共に、全員分の一斉攻撃が縁切り屋に叩きつけられた。
「くそ……くそぉぉぉぉぉっ!!」
絶叫と共に落ちていく縁切り屋。まずはKOを取ったということで、パーティの再開だ。
「全部終わって残ったら、グリモア猟兵さん達を誘ってもう1回パーティしてもいいねぇ」
てこのがそう言ってみるが、戻らぬ巨体に見合った勢いで摂取しはじめた面々の前ではこの大量の食事でさえ残るかどうか疑わしい。
そして何も持ってこなかったからとして、こん子が肉の舞台の上に立ってクリスマスソングを歌い出す。歌に合わせてステップを踏むたびびくびくと誰かが痙攣する様は、何かしらのゲームのようですらあり。
ともあれ、小サイズサンタと肉のプレゼントをもらった6人の宴は、冬の星空の上でまだまだ続くのであった。
大成功
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死絡・送
アドリブOK共闘OK
人々から祝祭の楽しみを奪うのは許せない。
「メリークリスマス、今日はクリスマスていうお祭りの日だぜ~♪」
クリスマス仕様に飾り付けたスーパーロボットジガンソーレに乗って
現われてクリスマスを宣伝する。
ブームの仕掛け人と誘惑でクリスマスソングを流し
「クリスマスにはケーキやチキンを食べて楽しむんだ」
ロボの中で作ったクリスマスケーキやチキンを周囲の住民達に振舞う。
敵には「俺も彼女はいないが、クリスマスを取り戻す!」
と言い戦いを挑む。
オーラ防御で敵の攻撃から身を守り、除霊と範囲攻撃でビーム攻撃。
「止めのイルミネーションだ!」
と仲間達の動きに合わせて光子魚雷一万発発射!! を使用する。
縁切り屋の力でクリスマスを忘れ去ったカクリヨファンタズム。街中ではただの冬の平日の夜として、着込んだ妖怪や竜神たちが背中を丸めて歩いていた。
そこに降り立つ、場違いなくらいに明るい装飾を施された鋼の巨体。
「メリークリスマス、今日はクリスマスていうお祭りの日だぜ~♪」
そしてスピーカーから大きく喧伝される男の声。降り立ったのは死絡・送(ノーブルバット・f00528)の愛機ジガンソーレのクリスマスデコレートバージョンであった。
胸の部分には横切るようにきらきらした房飾りが尽き、そこにはいくつも鈴やリースが吊るされている。顔には髭のように白い綿をつけ、腕や脚にはオーナメントがいくつもぶら下がっている。背中の後光も今日ばかりは袋を被ってサンタクロース仕様だ。
宣言の後はスピーカーからクリスマスソングが流れては人々を引き付ける。
「え、何だあれ……?」
「でもどこかで見たことあるような……」
クリスマスは元からなかったわけではなく、骸魂によって抹消されているだけ。それらしいものを見れば当然記憶は蘇ってくるし、それによって影響も揺らいでくる。
「クリスマスにはケーキやチキンを食べて楽しむんだ」
そうして颯爽とロボから降りて送が振舞うのはケーキやチキン。クリスマスの定番商品であり、『なぜか』余ってしまっていたカクリヨファンタズム各所から安く調達することもできたので材料費もそこまでかかっていない。
「ケーキ! ケーキだ!」
「ねーパパ、あのロボ欲しい!」
それにまず食いつくのはやはり子供たち。ケーキやチキンに群がってくるし、売り物とも言っていないはずなのにロボを親にねだりはじめる。これは良い兆候だとさらに料理を配っていれば、今度はカップルが近づいてきて。
「あのー、これって持ち帰りは出来ます?」
どうやら二人で家で楽しみたいらしい。送はあくまで冷静を装いながら、快くそれを承諾した。
活気づく人々に手ごたえを感じた送は、次の行動に移る。
「それでは次のプレゼントを配りに行くので、サンタクロースは忙しいのだ!」
キチンとそれらしい名前と理由を出し、その場から離れる送。向かった先は、祝祭消滅を引き起こした元凶の下。
「貴様……なぜ俺の邪魔をする」
怒りの形相で匕首を構える縁切り屋。町の活気を察したのか、予知にあった場所より町の近くへ来ている。
思考は残念だが相手は相応の実力者、町の中で暴れさせるわけにはいかない。
「俺も彼女はいないが、クリスマスを取り戻す!」
クリスマスを守る防壁となるべく、送は堂々と敵に立ち向かった。その宣言に、縁切り屋はより激昂する。
「なぜだ! それならば俺の気持ちが分かるはず! 今からでも遅くはない、お前も同志になれ!」
怒りのままに匕首を振り回す縁切り屋。その動きは鋭く、刃の短さを補って余りある身のこなし。命を削らんばかりのその妖気に、オーラの守りを張ってなんとか機体を守る。
その相手には広くビームを放ち押し返そうとするが、純粋な域にまで高められた邪念がそのビームさえ切り裂いていく。
「その力で爆破しろ、お前は憎いと思わないのか! 本来の意味を忘れ欲に溺れ、盛り合う者どもが!」
戦いながらなおも勧誘をかける縁切り屋。その言葉に、送の脳裏にさっきケーキをテイクアウトしたカップルの姿が思い浮かぶ。
本来ならば自分だって欲に溺れてみたい。だが、それはあくまで自分が築くべき自分の幸せであり、他人を犠牲に成り立たせるようなものではないはずだ。
「止めのイルミネーションだ!」
今爆破させるべきはこっちだと、送は搭載された兵器を全弾発射する。
「全てを光に変えて消す!!光子魚雷、射て~~~~~~~っ!!」
【光子魚雷一万発発射!!】の光が、縁切り屋を光の中に飲み込んだ。送は知らぬことだがその輝きは遠く町からも観測でき、その光に子供や恋人たちは頬を緩めて見とれていた。
「俺とお前……何が違うというんだ……」
端正な顔を歪め膝をつく縁切り屋。その内の苦しみは察しつつも、送はただ正義のサンタとしてその場に立つのであった。
大成功
🔵🔵🔵
フランツィスカ・フロイデ
クリスマスやお祭りを否定する気持ちはわかるわ
私もそうなの
でも理由が気になるわ
その日だけ騒ぐ、というのが理解できないから?それとも一緒に過ごす相手がいなくて寂しいから?
私は年中頭の中がお祭り騒ぎだから前者なのだけど…♥
なんとなくだけど後者っぽいのよね
破壊に走っているあたり、相当にひねくれてしまっているわね
私のUCで純真な子供の心に戻って…あるいは植え付けられて…
今日はクリスマスだと教えるわ
楽しい事をどれだけやってもいい日なの
(※私は年中だけど)
何がしたい?
街に行っておいしい物を食べてもいいし
思いつく限りの遊びをしてもいい
今日は私があなたについて行くわ
骸の海に還る前に思い出をたくさん作ってね
祝祭を拒絶し、その存在を消滅させた縁切り屋。それは骸魂の意思であり、同時に依代の意思でもある。
「クリスマスやお祭りを否定する気持ちはわかるわ。私もそうなの」
その縁切り屋に、フランツィスカ・フロイデ(歓喜・f35698)は同意の言葉を向けた。
「ああ、分かるか……ならばお前も……」
戦闘の都度同志を探すような言動をとっていた縁切り屋は対に現れた賛同者に何かの誘いをかけようとするが、それより早くフランツィスカは彼に対し質問を投げる。
「でも理由が気になるわ。その日だけ騒ぐ、というのが理解できないから? それとも一緒に過ごす相手がいなくて寂しいから?」
改めて投げかけられた問いに、縁切り屋は険しい表情を作る。
「理由だと?」
「そう。私は年中頭の中がお祭り騒ぎだから前者なのだけど……♥」
「そんなもの、俺を省みず捨てたこの世界と、理由を忘れ享楽に耽る愚か者どもを永遠の孤独と退屈に鎮めるために決まっている」
仰々しく言葉を飾ったその答えに、少し呆れながらフランツィスカはさらに返した。
「破壊に走っているあたり、相当にひねくれてしまっているわね」
何となく後者っぽい、その予想は当たっていたようだ。だが図星を刺されたためか、縁切り屋の周囲にはその怒りが顕現したかのように炎が巻き上がる。
「……やはり、俺には縁を切ることしかできないようだ。お前も炎で焼き切られろ!」
燃え盛る狐火。その炎を、フランツィスカはひらりと踊って振り払う。
そして踊りながら思う。骸魂である縁切り神はともかく、依代である妖狐には無邪気にクリスマスを喜んでいた日があったはずだと。
「私のUCで純真な子供の心に戻って……あるいは植え付けられて……」
フランツィスカの踊りに招かれるように、小さくつぶらな瞳の白い鳥が現れた。その鳥の名はシマエナガ。1.2m程の巨大サイズのそれは、またの名を『絶対かわいい明王』と言う。
シマエナガは一切を救うと言わんばかりに羽を広げ縁切り屋を包み込む。その羽は炎を遮り、そして男の冷たい体を暖かく抱き寄せた。
「やめろ、放せ! 俺は……!」
羽根の中でシマエナガの呪詛が縁切り屋を侵し、その体を幼い少年……それもかなりの美少年へと変化させた。
低くなった目線に合わせるように顔を下ろし、フランツィスカはその顔を覗き込む。
「今日はクリスマスよ。楽しい事をどれだけやってもいい日なの」
彼自身が消し去った日を、改めて彼に教えるフランツィスカ。そして教えるだけではない、その小さな手を取り、町の方へ歩き出そうとする。
「は、放せ! 俺は縁を切る神で……」
その手を振り払おうとするが、子供になった力は弱い。そしてそれ以上に、クリスマスを教えられた子供の心が抵抗する力を削ぎ、骸魂と依代の結合を弱めていた。
「何がしたい? 街に行っておいしい物を食べてもいいし思いつく限りの遊びをしてもいい。今日は私があなたについて行くわ」
彼がクリスマスを消したのは、誰とも良縁結ばれぬ孤独から。嫉みから来る力はそれを癒されればあっけなく消え失せる。あるいはそれが、祝祭が骸魂の力を弱める採用の一端を担っているのかもしれない。
(私は年中だけど)
ある意味縁切り屋の望んだ世界と真逆の思考を持つフランツィスカが誘う祝祭の力が骸魂を弱め、引き剥がしていく。それに合わせるように、小さくなった縁切り屋も足を進め、友に待ちへと歩き出す。
「俺は……誰かと、一緒にいたい……」
子供が恥ずかしがるように言うその声とともに向かう先は、思い出したように灯りが多く灯り、そして俄かにクリスマスソングが聞こえだした町の方。
「骸の海に還る前に思い出をたくさん作ってね」
縁切るばかりの骸魂も共に祝祭を楽しみ、依代の方も変な拗らせを収めることができれば。
フランツィスカは寂しがり屋の我が儘坊主の手を引き、祝祭の戻った町へと消えていくのであった。
大成功
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