●噂話
「えー、ほんとにー?」
「ほんとだって、稲垣くんが見たって言ってたんだよ」
「やだー」
よくある噂話。
だが、それは好奇心を煽り立て、真偽を確かめたくさせるものであった。
●依頼
「とある学校で、取り壊しが決まった旧校舎に地縛霊が巣食っててね、その学校の生徒が被害に遭う前に退治してほしいんだ」
千早・鴉綺(武装機械・f02816)は端末を持っている者には資料データを。そうでない者へは紙ベースの資料を渡していく。
曰く、その学校で噂される七不思議のうち二つがオブリビオンとして蘇った地縛霊の仕業だという。
「まず、一つ目に対処してほしいのが旧校舎裏にある池だ」
「池?」
「ああ。深夜に池のあたりをうろつくとスガリっていうゴースト型オブリビオンが現れる。そこそこの数が出てくる筈だが、そこまで強くないので蹴散らすのは難しくないと思う。」
「そして二つ目、面倒だと思うが旧校舎内で七不思議の元となった心霊スポットを巡ってほしい」
旧校舎は取り壊しが決まるまでは一部の部活動が部室として使用していた様である。
「ほら、よくあるだろ13階段とか、人がいないのに鳴る音楽室とか、ひとりでに揺れるサンドバッグとか、あと池の近くには首塚って言われてる石碑もあるみたいでな」。いくつかの心霊スポットを巡ることが旧校舎に巣食った主を誘き出すことになる。
「そして三つ目は、誘き出した主のオブリビオンを倒す」
それで依頼は完了だ。と彼は言う。
「ともあれ、何が起きるかわからないからな。無事帰還までが皆への依頼だ。よろしく頼む」
そう締めくくり、転送の準備へと入った。
林言音
初めまして。林言音と申します。
初シナリオをシルバーレイン世界にてお送りさせていただきます。
●1章
集団戦パート
オープニングの通り、深夜に校舎裏を歩くとスガリが現れますので、そいつらを退治してください。
月明かりがあるかなくらいなので、何かしらの対策をしていただくと良いかもしれません。
●2章
探索パート
学校内の七不思議がありそうな場所に向かっていただきます。ご指定の場合は1箇所が限界かと。ご指定がなければこちらで用意させていただきます。
●3章
ボス戦パート
大体どこの学校でもある怪談をご用意しております。
詳細は断章に譲りますが、明かりの準備はあってもなくても大丈夫です。
それではみなさま、良い青春をお送りくださいませ。
第1章 集団戦
『スガリ』
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POW : スガリツキ
【ベトベトした手】が命中した対象に対し、高威力高命中の【生命力を吸い取るすがりつき】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : スガリボディ
自身の肉体を【もっとネバネバした粘液】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ : ベトベトフォール
【ベトベトした液体】を降らせる事で、戦場全体が【水辺】と同じ環境に変化する。[水辺]に適応した者の行動成功率が上昇する。
👑11
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夜も深く、丑三つ時が近い時間。
月明かりの下、池の周りでざわめく人ならざる声。
転送された猟兵たちが目にするのは、池の周りでざわざわと遊んでいるスガリたちだった。
「あそんでよー」
「あそぼーよー」
まとわりついてくるスガリたちを殲滅し、目指すは旧校舎の中である。
クリス・フェルディナント
ふむ、あの時はなんとかせねばという気持ちで、力の質もよく確認出来ていないからな。
まあ、言われた通りであれば苦戦はしないのだろう。けれども、世界結界やゴーストの質も変わっているようだ。オブリビオン……と言ったか。慢心はせずにいこう。
ユーベルコードはクレセント・スラッシャーを使う。
バスタードソードを地面に突き立て軸としながら、極超音速の回し蹴りを放とう。数体なら纏めて攻撃に巻き込める筈だ。
(アドリブ・連携お好きにどうぞ)
●蒼狼
月明かりの下、旧校舎裏の池が見える場所に着いたクリス・フェルディナント(蒼狼・f35796)は銀誓館を卒業し、故郷で遭遇した過去よりの脅威……オブリビオンとの遭遇で猟兵として覚醒し、未来を護るための力を手にしたという経緯がある。
「ふむ、あの時はなんとかせねばという気持ちで、力の質もよく確認出来ていないからな」
聞いた話の通り、池の近くへと足を運べばスガリたちはねばねばした体をさらにねばねばさせ、伸縮性と弾力性を強めながらクリスの側へと寄ってくる。
「あそぼー」
「あそんでー」
「あそぼーよー」
苦戦はしないだろうという話ではあったが、世界結界やゴーストの質も変わっていることを実感する。
オブリビオン……と言ったか。
「慢心はせずにいこう」
彼女はそう呟くと、バスタードソードを地面に突き立て、それを軸としながら極超音速の回し蹴りを放つ。その蹴りの軌跡はその場へと鮮やかな三日月型の衝撃波を残し、さらに湧いてきていたスガリたちをも消し去っていくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
シン・クレスケンス
【WIZ】
闇色の狼の姿のUDC「ツキ」と梟の姿の精霊「ノクス」を伴って。
一般の方がオブリビオン事件に巻き込まれるような事態は避けなければなりません。
早急に対処しなければ。
ノクスの夜彩の翼やツキの四肢の蒼炎で仄かに明るいですが…もっと明るくなるので灯りの心配は要りません。
「【異界の炎(指定UC)】よ!」
まとわりつこうとするスガリも、彼らの降らす液体も、作り出された水辺も、蒼き炎が焼き尽くし、その熱気で蒸発させて。
勿論、本来在る池や旧校舎の建物には延焼どころか焦げ痕ひとつ付けませんよ。
「容赦無いな。まぁ、アイツらはあまり美味そうじゃなかったから、別に良いが」
ツキが少しだけ不満そうに言う。
●真理を探究する眼
「あそぼー」
「あそんでー」
「あそぼーよー」
なおもべちゃべちゃと湧き出すスガリたち。
それに対峙するシン・クレスケンス(真理を探求する眼・f09866)の伴う、フクロウの精霊「ノクス」の夜彩の翼や闇色をした狼のUDC「ツキ」の四肢の蒼炎によって辺りは仄かに明るく照らされている。
猟兵ならば対処が難しくない話だとは言え、早急に対処し、一般の方がオブリビオン事件に巻き込まれるような事態は避けなければ。とスガリたちへと魔術を展開していく。
『業火よ、我が命に従い、立ち塞がるモノを焼き尽くせ!』
シンの放つ混沌の深淵から召喚した超高熱の蒼き炎は、まとわりつこうとするスガリだけでなく、彼らの降らす液体も、そして作り出された水辺すらも焼き尽くし、蒸発させていく。
「容赦無いな。まぁ、アイツらはあまり美味そうじゃなかったから、別に良いが」
スガリたちを飲み込み消えていく炎を見やりながら、ツキはシンへとこぼした。
大成功
🔵🔵🔵
アイ・キャンディ
「学校! 深夜! おばけ! ステキシチュエーションだね!」
雰囲気たっぷりな夜の旧校舎にうちはわっくわく。
でもやり口はえげつなくマップ攻撃なのさ。
スガリ達を確認するや否や、アイテムのエアスケートシューズでお空に飛び上がり、ペットボトルロケットを背負って上空を旋回しながら、拡声器で爆音を出して攻撃だ。
「こんな時、著作権にもひっかからず、かつ幽霊特効のある万能ソング! そう、お経!」
拡声器から流れるなんまいだーなんまいだー(音波攻撃です)
旧校舎中に響き渡る爆音なんまいだで雰囲気も更にアップだぜ!
てれびうむ(てらうまれ)ってすごい。
え、明かり? タブレットPCのバックライトでなんとかならない? だめ?
●顔のモニタは広告用!
「学校! 深夜! おばけ! ステキシチュエーションだね!」アイ・キャンディ(顔のモニタは広告用・f06686)は雰囲気たっぷりな夜の旧校舎にわっくわく。
そう、草木もねむる丑三つ時なのだ!それはそれは雰囲気もたっぷりなのである。
タブレットPCのバックライトを頼りにてっくてっくとスガリたちが湧くという池の方へと歩いていくアイ。
スガリ達が見えるところへ辿り着くと、エアスケートシューズで空へと駆け上がり、ペットボトルロケットで上空を旋回しつつ、なんと上高音質のハンドメガホンから爆音を出してえげつなくマップ攻撃だ!
「こんな時、著作権にもひっかからず、かつ幽霊特効のある万能ソング! そう、お経!」
拡声器からえげつない爆音で流れるなんまいだーなんまいだー(音波攻撃です)
えげつない爆音にスガリたちも耳の辺りを押さえながらありがたいお経に浄化されるようにばったばったと倒れていく。
爆音のお経は旧校舎中に流れ、雰囲気も更にアップだ!!
てらうまれのてれびうむすごい!かっこいい!!
大成功
🔵🔵🔵
天城・千歳(サポート)
本体で行動出来る場所なら本体で、本体の入れない場所の場合は戦闘用リモート義体で行動し本体は義体からの情報を元に【情報収取】【戦闘知識】【世界知識】【瞬間思考力】を使い状況分析及び支援行動を行う。
戦闘状態になったら【誘導弾】の【一斉発射】による【範囲攻撃】で【先制攻撃】を行い、その後は【スナイパー】【砲撃】【レーザー射撃】で攻撃する。
敵の攻撃は状況に応じて【盾受け】で防御するか【見切り】【ダッシュ】【推力移動】を使った回避で対応。
味方とのコミュニケーションはリモート義体が【コミュ力】【礼儀作法】場合により【言いくるめ】を使って対応する。
協力体制を構築した味方に対しては、通信による情報支援を行う。
徳川・家光(サポート)
『将軍なんだから、戦わなきゃね』
『この家光、悪は決して許せぬ!』
『一か八か……嫌いな言葉じゃありません!』
サムライエンパイアの将軍ですが、普通の猟兵として描写していただけるとありがたいです。ユーベルコードは指定した物をどれでも使いますが、全般的な特徴として「悪事を許せない」直情的な傾向と、「負傷を厭わない」捨て身の戦法を得意とします。
嫁が何百人もいるので色仕掛けには反応しません。また、エンパイアの偉い人には会いません(話がややこしくなるので)。
よく使う武器は「大天狗正宗」「千子村正権現」「鎚曇斬剣」です。
普段の一人称は「僕」、真剣な時は「余」です。
あとはおまかせ。よろしくです!
● 自立型コアユニットと江戸幕府将軍
徳川・家光(江戸幕府将軍・f04430)が転送されたのは池が見える裏門の内側であった。
この先に見えている池にゴースト型オブリビオンが出ているらしい。戦闘音が聞こえる気もする。
ともあれ、池の方へと向かわなければ。
「学校の七不思議……あれかな、大奥のみんなが夏の夜にやってる百物語みたいなものなのかな」と呟く。怖さで暑さを凌ぐためにやるんです!とかなんとか。
「あの、すいません。貴方も依頼を受けてきた方ですよね」
家光が振り返ると、そこには戦闘用リモート義体の天城・千歳(自立型コアユニット・f06941)が立っていた。
「あ、はい」
「よかった……あ、私は天城千歳と申します」
「これはご丁寧にありがとうございます。僕は徳川家光です」
千歳は既に数体の偵察用義体を使い、スガリたちを誘き出し、集めていると言う。だが、あまりに数が多いのと、場所が場所だけに手伝ってほしいとのことだった。
池の周辺は既に戦場となっていた。
蒼炎が上がり、三日月の軌跡が走る。そしてながれるお経。
各々がきっちりと殲滅を行なっていく。
「あそぼー」
「あそんでー」
「あそぼーよー」
わらわらとすがりつこうとしてくるスガリたち。
「すまぬな、遊びに来たわけではないのだ」
持ち場にたどり着いた家光は映像デバイスを召喚し、己の闘う姿を大奥へと映し出す。
「さあ、余も負けてられぬな」
ベタベタと降ってくる液体を千子村正権現で振り払い、千歳より送られてくるスガリの位置情報を確認しながら、スガリ一体一体を確実に屠っていくのであった。
「いや、それにしてもこの数は多すぎません……?」
そう呟きながらも千歳は誘導弾の一斉発射による範囲攻撃やレーザー射撃によりスガリたちへ攻撃をしていく。その傍らで戦場を把握、そして湧き出すスガリたちにマーキングをしたデータを猟兵たちに送っていく。
マーキングは徐々に数を減らしていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 冒険
『心霊スポット巡り』
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POW : 古戦場跡地、処刑場跡地を巡る
SPD : 事故物件、曰く付きの廃屋を巡る
WIZ : 自殺の名所、幽霊の出るトンネルを巡る
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●静寂の訪れ
無事、スガリたちをとことん殲滅し、そして更に湧いてこないことを確認した猟兵たちは、問題の旧校舎の入り口へと向かう。
誰ともなく扉に手をかけると、きぃ……と音を立てて、入り口は開くのだった。
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学校の七不思議パートになります。能力値による選択肢は今回無視していただいて構いません。
遭遇したい七不思議ひとつと、対応方法を記入してください。ない場合はこちらでご用意させていただきます。
それでは2章、よろしくお願いします。
シン・クレスケンス
ノクスの夜彩の翼とツキの四肢の蒼炎を灯り代わりに旧校舎内を進みます。
「大義を宣っちゃいるが、内心はナナフシギとやらに興味津々なんだろう?物好きめ」
並んで歩く闇色狼のツキの皮肉に怒りもせず、さすがに見抜かれてますね、と苦笑し
「無論、一般の方の安全が第一です。けれど、何が起こるか興味が無いかと言えば嘘になりますね」
【七不思議の内容、対応方法はお任せします】
どんな怪異に襲われようと、全く動じず冷静に対処して
「興味深い現象ですね」といつもと変わらず微笑んでいます。
●月明かりの中
フクロウの精霊ノクスの夜彩の翼と闇色狼ツキの四肢の蒼炎を灯り代わりにシン・クレスケンス(真理を探求する眼・f09866)
は、少し埃っぽさを感じつつも、廊下の窓から月明かりの差し込む旧校舎の中を七不思議の起こりそうな場所へと歩いていく。
私の世界とこれだけ似ている世界であれば、七不思議と呼ばれる怪異が起きる場所も似ているのではないでしょうか。
「大義を宣っちゃいるが、内心はナナフシギとやらに興味津々なんだろう?物好きめ」
シンは並んで歩くツキの皮肉に怒りもせず、さすがに見抜かれてましたか。と少しの苦笑とともに言葉を返す。
「無論、一般の方の安全が第一です。けれど、何が起こるか興味が無いかと言えば嘘になりますね」
ふっと廊下の向こうの方で光が見えた気がした。
「おや
………?」
タタタタと歩く足音も聞こえる。
他の階を探索している猟兵の足音だろうか。いや、それにしては何か違和感を感じ、光が見えた方向へと歩き出す。
そこには、大きな鏡があった。
「鏡ですか」
「鏡だな」
薄暗い廊下に立っているシン達が立っている。なんてことはない鏡だったか、と立ち去ろうとした瞬間に気づいてしまう。
鏡の中の自分はノクスやツキの明かりで浮かび上がって見えるのだが、鏡には大きな窓から入ってくる月明かりがはいっていないことに。
「なるほど、これも一つの怪異ですか」
興味深い現象ですねと微笑みながら、しげしげと鏡を注意深く観察していく。すると、鏡の中のシンは上を指差しながら困った顔をして消えてしまうのだった。
「……ふむ、上に何かあるんですかね」
「何かあるんだろうよ」
自分の方のが消えなかったのはなんでだ?と鏡の向こうの自分と睨みあいながらツキが返す。
「では、上の方へ向かいますか」
シンは薄暗いままの鏡に背を向けて階段を探しに向かうのであった。
大成功
🔵🔵🔵
スピレイル・ナトゥア(サポート)
精霊を信仰する部族の巫女姫です
好奇心旺盛な性格で、世界をオブリビオンのいない平和な状態に戻して、楽しく旅をするために戦っています
自分の生命を危険に晒してでも、被害者の方々の生命を救おうとします
技能は【第六感】と【援護射撃】と【オーラ防御】を主に使用します
精霊印の突撃銃を武器に、弾幕を張ったり、味方を援護したりする専用スタイルです(前衛はみなさんに任せました!)
情報収集や交渉のときには、自前の猫耳をふりふり揺らして【誘惑】を
接近戦の場合は精霊の護身用ナイフで【捨て身の一撃】を繰り出します
マスター様ごとの描写の違いを楽しみにしている改造巫女服娘なので、ぜひサポート参加させてくださると嬉しいです!
アラン・スミシー(サポート)
基本突然現れて仕事を終えたら去っていく人物です。
情報収集が必要なら他の猟兵の手の回らない所に赴き集めて聞き込みをしてからメイン参加者に渡し、足止めが必要ならガラスのラビリンスを展開し、一般NPCがピンチなら白馬の王子様で救出…みたいな手の足りない所に何故か居るみたいな感じです。
説得や交渉等が必要ならなんか良い感じの言葉を言います。
例:君の正義は分かった。しかしその正義は君を救ったかい?
ユーベルコードのセリフを参照し、MSの言って欲しい都合の良い言葉をアレンジしてやってください。
武器はリボルバー銃メイン。
「手伝いが必要かい?
「この程度なんて事はないさ
「君は君のやるべき事を
●トレンチコートと巫女服と
アラン・スミシー(パッセンジャー・f23395)は、旧校舎を探索しているうちに、好奇心の塊のような少女、スピレイル・ナトゥア(蒼色の螺旋の巫女姫・f06014)と行動を共にしていた。
遊牧民であるスピレイル自身、学校という存在を知ってはいたものの、身近な存在ではなかった。だからこそ、学校という建物、教室、廊下。目に映る全てが好奇心を擽ってくる。
「アランさん、ここは何でしょうか?」
「ここは、音楽室だねぇ」
「音楽室……歌を歌ったり楽器を弾いたりするところでしたでしょうか?」
「そうそう。先ほどの教室で見つけたメモに書かれていた七不思議、ひとりでに鳴り出すピアノが置かれてる筈の教室だよ」
アランは懐に忍ばせているピースメーカーへ無意識に手を伸ばしながら音楽室の扉を開ける。
「鳴ってませんね」
「鳴ってないね」
ピアノどころか、2人の足音以外の音もせず、ハズレか。と踵を返して音楽室を立ち去ろうとした瞬間。
「えぇー。待ってよ、聞いてってよー」
「……スピレイルさん、今喋ったかい?」
「いえ、アランさんこそ喋りました?」
「ここ、ここだよー」
パカンパカンと蓋を開け閉めしながら、語りかけてくる声。それはピアノからしていた。
ピアノが喋っているのである。
アランは無言でピースメーカーを撃鉄を上げて構え、スピレイルは精霊印の突撃銃の安全装置を外しながら構える。
「僕は怪しくない無害なピアノだよー。音楽を奏でることしかできないピアノなんだよー」
必死にピアノは無害アピールをしながら話しかけてくる。だが、動いて喋るピアノという時点で怪しさ満点である。
「いや、怪しいでしょ。しかも音楽を奏でることしかって言いながら喋ってるよねぇ」
アランの言葉に、スピレイルはこくこくと頷き同意する。もちろん2人とも武器はおろしていない。
「たーしーかーにー」
じゃ、そういうことで。とばかりに2人がトリガーを引こうとした瞬間。
「待って待って。君たちここの主を誘き出しにきたんでしょ?ヒントを教えてあげるから僕を見逃しておくれよ」
「内容によります」
喋るピアノは、僕と廊下の大鏡を確認してから上の階に行くと、自己主張の激しいここの主がでてくる筈だよぽろろん。と鍵盤を動かしながら2人へと告げた。
「そういえば、さっき廊下の突き当たりへ向かう人影があったから、条件はクリアしてるだろうねぇ」
「はい、では他の方々にもお伝えして上に向かいましょう」
アランとスピレイルは後片付けをして、音楽室を後にするのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 ボス戦
『トイレの精』
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POW : トイレの支配者
【撃ち出した水】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD : 拘束具たる布
【セーラー服のスカートを身につける】事で【戦闘向きの女学生リリス】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : 七不思議「出られないトイレ」
戦場全体に、【無数に連なる学校のトイレ】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
👑11
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●大体どこの学校でも七不思議に入ってるよね
旧校舎を探索していた猟兵たちは、4階の女子トイレ前で合流をした。
すると、特殊空間の気配が強くなり、女子トイレの中から廊下の猟兵たちに声がかかる。
「あーそびーましょー」
扉が開く。そこに現れたのは、旧校舎怪異の主である。
「わたしね、はなこっていうの。はなこっていうのよ」
白き蛇のようなものに腰掛けた少女に見える。が、猟兵ならばよく見なくてもわかる。これが地縛霊化オブリビオンであると。
「わたしね、いっぱいいっぱいあそんでたの!そしたらいたくなってなにもなくなったとおもったらここにいたの!」
「ねえ、あなたたちはわたしといっしょにずっとあそんでくれるんでしょ?」
にっこりと笑いながら、そしてとてもとても楽しそうに捲し立てる地縛霊化オブリビオン。
コレを倒して無事に帰還すること。それが猟兵達の任務である。
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3章開始となります。彼の地縛霊化オブリビオンは過去に何かあったのでしょう、が今はオブリビオンです。
容赦なく闘って倒すことをおすすめしますが、何か話したいことがあれば会話を行って想いを聞いてみるのもよいかもしれません。うまく話を聞けた場合には倒しやすくなることもあります。
3章からでもグリモア猟兵が近場に転送しますので、気にせずご参加下さい。
それでは、よろしくお願いします。
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シン・クレスケンス
【POW】
鏡が示していたのは、彼女だったのですね。
あそんでいた?どなたと?お友達と、でしょうか?
いたくなった、なにもなくなった…
何となく彼女に何があったか察してしまいますが…。
飽くまで穏やかに接します。
申し訳ありませんが、ずっとは遊んであげられません。
攻撃は【指定UC】で返します(【カウンター】)。
抵抗しないで頂くと有難いのですが。
いつか彼女の魂に安寧を。
また楽しく遊ぶことが出来ますようにと【祈って】―
●遊宴
白蛇のようなものに腰掛け、水を撃ち出してくるトイレの怪談『はなこさん』。
「鏡が示していたのは、彼女だったのですね」
シン・クレスケンス(真理を探求する眼・f09866)はあそんであそんでと、無邪気に言葉を話す少女を確認する。
戦場は特殊空間へと変化し、無数に連なる学校のトイレが現れていく。
「いっぱいいっぱいあそんでたの!」
「あそんでいた?どなたと?お友達と、でしょうか?」
「そうなの、おともだちといっぱいいっぱいあそんでたのよ」
シンは飽くまで穏やかに応対しながらも、名も無き古書を自然と構える。
「あなたたちがずっと、ずっとあそんでくれるんでしょ」
「遊んであげたいのは山々ですが、ずっとは遊んであげられません」彼女に何があったのか。それは想像することしかできず。だが想像できてしまった優しい彼は少し眦を下げつつ。
「ここはあそぶばしょなのよ!」
一際勢いのある撃ち出された水を、名も無き古書の一ページー乾いた血で塗り潰された頁が喰らう。
「おやおや、お行儀の悪い頁ですね。さぁ、お返ししてください」
頁から放たれる水は勢いよくはなこさんへと向かっていく。「抵抗しないで頂くとありがたいのですが」
はなこさんへと水は命中する。その言葉がルールとなったのか、抵抗をしようと動くはなこさんへとダメージが蓄積されていく。
シンは攻撃の手を休ませることはない。だが、祈る。
彼女の魂に安寧を。
また、楽しくあそぶことができますようにと。
大成功
🔵🔵🔵
禍沼・黒絵(サポート)
『クロエと遊んでくれる?』
人間の人形遣い×ビーストマスター、13歳の女の子です。
普段の口調は「無感情(自分の愛称、アナタ、ね、よ、なの、かしら?)」、独り言は「ちょっと病んでる(自分の愛称、アナタ、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
一人称はクロエ、人からクロエと呼ばれると喜ぶ。
ちょっと暗い感じの無表情なキャラ
武器は装備している物を自由に使って構いません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
赤星・緋色(サポート)
なんやかんやで事件を解決に導こうとします
フリーダムかつアグレッシブなアドリブも可
合わせ等も自由にどうぞ
●赤い星と黒い災禍
無数のトイレが乱立した特殊空間の中。
「あなたもいっしょにあーそびーましょー!」
セーラー服のスカートを身につけ、女学生リリスへと変身したハナコさんは、戦場に立つ可憐なゴスロリ服を着た少女……禍沼・黒絵(災禍の輩・f19241)を目に止めると、そちらへと襲いかかっていく。
「クロエと遊んでくれる?」
黒絵は、無数の暗器へと呪術を込めて展開していく。
「ええ!ええ!!ずっとずっと!ずうっとあそびましょ!!」
そう言いながら、とても楽しそうに飛び掛かってくるはなこさん。黒絵はぎゅっとクロームを抱きしめ、身構える。
「ふはははははー、私さんじょーう!!」
はなこさんからの攻撃を防いだのは、眩しい逆光を浴びて立つ赤星・緋色(サンプルキャラクター・f03675)であった。
とてもかっこいい登場シーンに一瞬怯むはなこさん。だが、はなこさんは遊び相手が増えたとばかりに、喜びながら緋色へも飛び掛かっていく。
『皆、クロエの声に応えてね』
その言葉を黒絵が発した瞬間、彼女の展開していた、呪術が込められた無数の暗器は、はなこさんへと襲いかかる。
「グッドタイミング!」
「アナタも良いタイミングよ、ありがとう」
黒絵の呪われた無限の刃による攻撃に合わせ、緋色もブースターレッドを駆り、時にテレポートを使い、はなこさんへと攻撃を加えていく。
赤い星のフリーダムな煌めきと、黒き災禍の輩による攻撃は、時に光となり、影となり、静と動の共演となる。
「私もあなたとずっと遊べるとよかったのだけど」
「はなこさんはオブリビオンだからね!」
そう、過去からの禍いであるオブリビオンは倒さなければならない。だからこそ猟兵である自分達は戦っているのである。
あそぼう、あそぼうと手を伸ばしてくるはなこさん。
そんなはなこさんへと、黒絵も緋色も攻撃の手を休めることもなく、淡々とオブリビオンの力を削り取っていくのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
一郷・亞衿(サポート)
廃墟探索中に呪われ、その結果として力を得た猟兵です。独自開発した混沌魔術や呪詛を纏わせたカッターナイフ、金属バット、伸縮式の山刀(蛇腹剣)等を用いて戦います。
各種オカルト話を好みますが、オブリビオンに対しては基本的に容赦しません。
外見特徴として、マスクで常時顔を隠しています。
一人称は「あたし」。
年下~同年代にはくだけた感じの口調で話し、年上や偉い人には敬語(さん付け、ですます口調)を使います。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使いますが、寿命が減る系の物はタイミングを見計らい極力短時間の使用で済ませるようにしています。
軽口を叩いたりもしますが、戦闘時は真面目に役割を果たそうとするタイプです。
●オカルトと怪談
確かにトイレのはなこさんは鉄板だよね。と一郷・亞衿(奇譚綴り・f00351)は呟きながら迷宮化していくトイレの中で、はなこさんの居場所を探りながら進んでいく。
自分のいる世界とどことなくどころではなく、とてもよく似た世界であるシルバーレイン。違うといえば自分達の世界ではUDが起こしそうな事件をゴーストが起こしていることだろうか。
「これはちょっと厄介なやつだね」
と探索を進めながら進んだ先には、かくれんぼをしているつもりなのだろうか。尻尾にあたる部分が影から見えていた。
「あれー?はなこさんはどこかなー、ここかなー?」
ひとつひとつ扉を開けていく。亞衿が近づくにつれてはなこさんであろうしっぽは焦燥感を感じて、ぷるぷるしている。よし……。
「出でよデスワーム!……こ、こっち向くなぁーっ!?」
巨大なミミズ状の生物を召喚するが、あそんでくれるの?とばかりにその巨大なミミズ状の生物……デスワームが振り向いてくるのを見ないようにしてしまう亞衿。
「あっち!あっちだからあそび相手!!」
そうなの?と身をくねらせつつ、デスワームは見えた尻尾へと向かっていき、強酸性の毒液を飛ばす。
かくして、はなこさんがダメージを受けたことにより、迷宮化していたトイレは、瓦解していくのであった。
成功
🔵🔵🔴
クリス・フェルディナント
だいたいこういうのは人体模型とかそういうやつだろう。当てが外れたようだ。悲しみ。
遅れてしまったが仕事はするぞ。
ずっとか……ずっとは困ってしまうな、困りみ。
俺は果たすべき責務の為にまた日本に来たし、あなたも恐らく帰らなければならない場所があるだろう。
だからずっとは……困ってしまう。
さあ、帰る時間だ。すまないな。
フロストファングを使い、バスタードソードと同じくらいの大きさの絶対零度の剣を創造し、二刀流で戦おう。
俺は何も知らない、知らないからかけるべき言葉もない。だから、俺に出来る事をしよう。
●蒼き狼
迷宮トイレが瓦解していき、はなこさんの目の前にはクリス・フェルディナント(蒼狼・f35796)が忽然と現れた。
「遅れてしまったが仕事はするぞ」
バスタードソードを構え、自身の間合いへと持ち込んでいく。
「わたしとずっと、ずうぅぅっと、あそびましょー!」
きゃっきゃと水の弾を飛ばしてくるはなこさん。
「遊んでやりたいのもやまやまだが」。言葉を区切りバスタードソードで水の弾を切り払い、さらに肉薄していく。
「ずっとか……ずっとは困ってしまうな、困りみ」
「あそぶのよー!こまることなんてないのよー」
はなこも近づかれないように、と水の弾を飛ばしながら距離を測っていく。
クリスは何も知らない。だから、かける言葉もない。だが。幼子のような振る舞いの地縛霊化オブリビオン……はなこさんを邪険に扱うことが、なぜかできなかった。
「俺は果たすべき責務の為にまた日本に来たし、あなたも恐らく帰らなければならない場所があるだろう」
帰る場所。その言葉をきっかけにはなこさんからの攻撃は苛烈になっていく。
「わたしはここであそぶの!!ずっとずっとずううっとあそぶの!!」
すまない。ずっとは困ってしまうな。……俺にはやることがあるから。
下がっていく体温、クリアになっていく思考、視界。そして凍えるほどの吐息。そうしてクリスは自身の熱を代償に、絶対零度の剣を創り上げていく。
左手にもつバスタードソードと同等のサイズとなった絶対零度の剣を右手に携え、自身の間合いへと持っていく。
「いや、かえらない、かえらないんだからぁ!」
今までの攻撃と比較にならない水の弾、それを左手のバスタードソードで切り払い、反対の手にある絶対零度の剣を振り下ろす。
「さあ、帰る時間だ」
●世は全てこともなし。
かくして、猟兵たちの健闘により旧校舎のオブリビオンは無事消滅した。
「だいたいこういうのは人体模型とかそういうやつだろうと思ったんだ。当てが外れしまってな。悲しみ」
「確かに、動く人体模型とかも有名ですよね。他はどうだったんです?」
「13階段は15段あったよ!ふっしぎー」
「美術室は……!」
月夜の下、暗く静まり返った旧校舎を後ろに、わいわいと帰還準備に入る猟兵達であった。
大成功
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