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春の訪れは毛玉と共に

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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 暖かくなってきた今日この日。
 とある村近くにある川岸で、人々が集まり酒を飲み交わして語り合い、時折頭上を見上げていた。
 彼らの視線の先にあるのは、薄桃色の花を咲かせる木々。
 この花が咲いたということは、春が始まるということ。開花を見たら川岸に集まって春の訪れを祝い、賑やかな宴――"花見"をするのが、この村の習わしだ。

 そんな花見の最中、村のお調子者が宴会芸と称して、酒の空き瓶でお手玉をしはじめた頃。

「あまいにおいがするぴよ」
「ぴよ。たくさんのご飯のにおいもするぴよ」
「あれはぴよのものぴよ。もらいにいかないといけないぴよ。すべてのご飯はぴよのためにあるぴよ」
「ほんそれぴよ」
「「「ぴよー」」」

 ……遠くの方で、ぴよぴよと語り合う白と黒の塊が、なんだか不穏な会話をしていた。

 ●橄欖は語る
「……ということで、今回はサムライエンパイアに行ってもらいたいの」

 白と黒のふかふかした毛玉が花見会場を襲撃する予知。それを防いでもらいたいと、オリヴィエ・ベルジェ(飛び跳ねる橄欖・f05788)は言う。
 今から駆けつければ、毛玉――鳥の妖怪達が人々を襲撃する直前に割って入り、戦闘を開始することができるだろう。
 最初はお菓子を貰いに来た白い鳥の集団を追い返し、そして遅れてやってきた黒い鳥をしばきたおすだけの、単純明快なお仕事だ。

 向かう先は桜の咲く川岸。暖かな日差しに照らされながらの戦いになる。
「戦う時に邪魔なものはないし、十分な広さはあるけどー……皆で宴会してたから、あんまり広い範囲に被害が出るようなユーベルコードは、ちょっと気をつけたほうが良いかも?」
 戦いが始まれば村人達は自主的に避難を始めてくれるが、人の足で逃げられる速度などたかが知れている。黒い鳥を相手にする時は大方逃げ終わっているが、猟兵達の介入直後、白い鳥との戦闘では注意しておくといいかもしれない。
 何にせよ、無事に鳥の集団を追い払えば任務完了だ。村人達も花見に戻り、また賑やかに春の訪れを祝い出す。
「せっかくだから、みんなもお花見を楽しんできていいと思うの! 村の人達も素敵に戦ってたみんなの事を知ってるから、きっと歓迎してくれるわ!」
 村人達にとって猟兵は、自分達を助けてくれた勇士だ。猟兵達が宴に混ざることを歓迎するし、腰を下ろすためのゴザも用意してくれる。もっと言えば、食事も勧めてくれるだろう。
 町で食べられるような凝ったものはないが、村人達がこの日のために用意した料理も振る舞われるし、酒も出る。飲めない者には砂糖で味をつけた水が出されるらしい。水菓子もあったりする。
 もちろん持ち込みもOKだし、親しい友人を誘って来て大勢で楽しむのもいい。周りの迷惑にさえならなければ、好きなように過ごしてもらって大丈夫なようだ。

「そのためにも、まずはオブリビオン退治ね! みんな、頑張ってきてねーっ」
 そう言ってオリヴィエは、元気よく猟兵達を送り出した。


すずのほし
 こんにちは&はじめまして、すずのほしです。
 ゆるい雰囲気でサムライエンパイア、いってみましょう。

 1章…集団戦。お菓子をねだろうと押し寄せる白い鳥を叩く事になります。白くてふかふかです。
 2章…ボス戦。遅れてやってきた黒い鳥にお帰り願う(物理)事になります。黒くてふかふかです。
 そして、戦闘後はお花見をお楽しみ下さい。食事をしたり花を見たり、宴会芸で盛り上げたり。知ってる人を誘って過ごしたり。
 3章では出来る限りのプレイングを採用して、花見の様子を描写しようと思っています。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしています。
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第1章 集団戦 『まっしろピヨすけ』

POW   :    超もふもふもーど
全身を【膨らませてめちゃくちゃモフモフな状態】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    もふもふあたっく
【もふもふ体当たり】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    もふもふソルジャーズ
レベル×1体の、【額】に1と刻印された戦闘用【ミニまっしろピヨすけ】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

佐々・真子
時代劇の世界ですかぁ

ちょっとファンタジーというか、童話みたいな世界なのですかね
ふわっふわ!
ふわっふわです!!

ふふふっ、あなたたちのことはお見通しです
そう、ここでしょう
ここがくすぐったいのでしょう?
(愛でることの呪縛)

動かないのならこちらの思うまま!
もっふもふの体を抱えて堪能……おっと、弱点を突いて降伏させましょう!

ポップコーンですよほらほら
のど元が良いんですか?
逃がしませんよぉ

影の手も喉元をくすぐり堪能です


アーサー・ツヴァイク
※アドリブ協力大歓迎

いくら可愛いピヨピヨでも、花見を邪魔するってのは頂けねぇな!

さて…まず村の人に用意してもらいたいものがあるんだ。「きな粉」だ。あるかな? 水菓子も少し分けてもらいたい。何に使うかって? この仕事が終わったら皆にも見せてあげるさ。だからまずはちょっともらうな!

で、今回使うのは…この蜜ぷにシロップだ。【料理】…つっても簡単だが、水菓子にきなこをまぶし、蜜ぷにシロップをたっぷりかける。それだけだ。
それだけだが…美味そうじゃないか?

後はこれでピヨピヨを花見の場所から引きはがすように【おびき寄せ】だ。
食べる時は、UCでナイフを出して小さく切り分けとこう。

ほら、これ食ったら帰りな。



 花見会場に向かって、ぴよぴよと騒がしい白い毛玉が迫ってくる――。
 そんな光景を見て、佐々・真子(無個性派女子(主張)・f12501)は、ほへーと声をあげた。
「ここが時代劇の世界ですかぁ。童話みたいな世界なのですかね?」
 所変われば、悪事を働くオブリビオンと殺伐とた命のやり取りが行われるサムライエンパイア。だが本日の戦場は、ふわふわぽわぽわした柔らかそうな毛の塊が相手である。なんとなく締まらないが、食料目当てに人を襲うのだ。すごく悪いオブリビオンなのだろう。
「ああー……もう見るからにふわっふわ! よーし、もふもふをたんの……いえ、成敗してきましょう!」

 そして、佐々とは少し離れた場所にて。
 白い毛玉が押しかけてくるのを目にして、思わず逃げようと腰を浮かした村人達の中に、アーサー・ツヴァイク(ドーンブレイカー・f03446)がいた。
「逃げようとしてるところ悪い! ちょっと用意してもらいたいものがあるんだ」
 そう言って頼んだのは、何の変哲もないきな粉。村人は首を傾げつつ、餅にまぶして食べる予定だったそれをアーサーに渡す。
「あとは……水菓子だな。少し分けてもらいたい」
「水菓子も?」
 真っ赤に熟れた苺を渡されかけたが、事前にきな粉を貰っていたことで察したのだろう。器に盛られて、まだ何もかかっていない状態のわらび餅が用意される。
「だが、あんさん。きな粉とわらび餅だけで、いったい何をするんだい?」
「俺にいい考えがあるんだ。この仕事が終わったら、皆にも見せてあげるさ」
 そのためにも、今は危なくないように逃げていてほしい。
 怪訝な表情を――一部はアーサーの行動に興味津々な表情を浮かべた村人達が避難していくのを見てから、アーサーは準備を始める。取り出したのは、アルダワ魔法学園で異常発生していた『蜜ぷに』から確保していたシロップだ。
「こいつを、これに……こう!」
 きな粉をまぶしたわらび餅の上に、甘くて濃厚なシロップをこれでもかと振りかける。アーサーの手にあった黄色の塊は、一瞬にして暴力的な甘さを宿すぷるぷるの物体へと変貌した。
 そんな恐ろしい甘味を手に、アーサーは白い群れへと駆けていく。

「ふわっふわですね! 話に聞いていた通り!」
 白の群れの中、佐々がふかふかとまっしろピヨすけを堪能していた。なでなでふわふわと、モフモフしたオブリビオンを触りまくっている。彼女は遊んでいるわけではない。全身を膨らませて、めちゃくちゃモフモフな状態になったオブリビオン――まっしろピヨすけの弱点を探しているのだ。あらゆる攻撃に対して無敵になるこの状態、その弱点を見つけるための行動である。
 ふかふかに取り囲まれつつ、しばし弱点探しに専念していると――
「待たせたな!」
 両手に硝子の器を持ったアーサーが飛び込んできた。彼の手には、暴力的に甘いシロップがたっぷりかけられたわらび餅。
 そんな素敵なものが飛び込んできたなら、奪い取るのが当たり前。そんな態度を顕にしつつ、体当たりを放つピヨすけを【ウェポン・アーカイブ】で召喚したナイフであしらいつつ、アーサーは花見会場から離れていく。
「おいおい、無理に奪わなくたっていいだろ? あとで食わせてやるから。……あ、食ったら帰れよ?」
『あとで食わせてやる』――甘い香りとアーサーの言葉に釣られたピヨすけが、ぞろぞろと列をなして青年を追いかけていく。体を膨らませていた個体は、悲しげな表情でそれを見送った。
 そんな悲しそうなピヨすけに、佐々はあるものを突きつける。
「あなたの弱点、それは――動けないことですよね。攻撃に無敵になっても動けなかったら……ほらほら、甘いものが遠くにいっちゃいますよ~?」
 動けないピヨすけの鼻先に突きつけられたキャラメルポップコーン。ぷよぷよぷるぷると震えながら離れていくわらび餅。甘味に執着するまっしろピヨすけにとって、目の前にある甘味が食べられないのは大変耐え難い事なのだろう。
 我慢できないと、一匹、また一匹ともふもふモードを解除していき、甘味を貰いに行こうと動き始める。
「ふふーん、チャンスです!」
 その隙を見逃さず、すかさず佐々がピヨすけに抱きついた。そして、彼女の手はピヨすけの喉元へと伸びていく。
「ふふふ、分かりますよお。ここがいいんでしょう? もう逃しませんよぉ」
 さわさわ、ふかふか。現れた影の手も一緒にさわさわと喉元をくすぐっていく。その片手間として、ピヨすけの鼻先にキャラメルポップコーンを突きつける事を忘れない。
「ほらほら、降参しません?」
「ぴっ、ぴよっ、ぴっ、ぴぷっ、ぴぴっ……!」
 猛烈なくすぐり責めに、細かく震え始めるピヨすけ。少しの間くすぐられると、その震えが一層激しくなり――ぽふん! と音を立てて、白い毛玉が無数の羽毛に変わり、空へと飛んでいくの羽に紛れて、小さな白い小鳥もまた、空へと羽ばたいていった。
 仲間がやられたのを見て、これはまずいと悟り全身を膨らませてやり過ごそうとしても、周囲から甘い香りが漂ってくるのだ。甘味に執着するまっしろピヨすけが大人しくできるはずがない。ましてや、今は満腹ではなく、どちらかと言えば空腹な状態。
「おーい、そこで固まってるやつ。餅いらないのか? まだ数はあるぞー」
 アーサーが餅を小さく切り分けながら呼びかければ、その忍耐はあっという間に崩壊する。
「ぴよー!」
 歓声(?)と共に、アーサーがわらび餅を切り分ける輪の中に飛び込むピヨすけ。しかしそこで待っていたのは、ふかふかと手を動かす少女が一人。
「お一人様、ご案内でーす」
「ぴーっ!?」
 喉元をくすぐられ、無防備な全身をふかふかと堪能され――白い羽がまた一つ、空へと消えていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ラムル・クルトア
アドリブ連携歓迎です

もふもふしてて寝心地よさそう…
暖かな日差し、流れる川のせせらぎ、そしてもふもふ
昼寝に最適な組あわs…と、違った
可愛い見た目だけどオブビリオン、油断はしないよ

甘味に誘われたのなら、甘味で釣れるかな?
近くの甘味をもふもふに投げ餌付けしつつ一般人から引離し戦いやすい場所に誘導

戦闘
UC【守護の剣】で手数を増やして自身も双剣で戦う
敵の動きをよく観察【情報収集】し攻撃を【見切り】【武器受け】で受け流し【残像】等で【フェイント】を入れつつ【カウンター】

対もふもふもーど
飛びつきたいけど……我慢

対もふもふあたっく
近くのもふもふを盾にして凌ごう【敵を盾にする】

対ソルジャーズ
合体される前に倒すよ



 暖かな日差し、すぐ傍を流れる川のせせらぎ。そして、ふかふかもふもふとした塊。
 のどかな戦場を前にしたラムル・クルトア(ヤドリガミのウィザード・f10895)の脳裏にぽわんと浮かんだのは、柔らかな布団の上で微睡む己の姿。ああ、それは何て幸せな光景か――。
「うん、昼寝に最適な組み合わせ……と、違った」
 あやうく理性が夢の世界に飛ぶところだった。いくら可愛らしい見た目でも、彼らはオブリビオン。他人の食料を奪う悪い毛玉だ。見た目に騙されて油断していては、こちらの命が危ない。
「さて、俺も行かないとね」
 軽く両の頬を叩いて気合を入れつつ、ラムルも川辺へと駆け下りた。

「ぴよ、お菓子ぴよっ!」
 甘味の列から弾かれたピヨすけが、遠くよりやってきたラムルの方を見る。彼の手にもまた、お菓子が握られていた。
「こっちだ、欲しかったらついて来い」
 花見会場より拝借した饅頭をちらつかせ、無人となった花見会場から離れるようにラムルは走る。十分引き離したところで、饅頭を一つだけ白いピヨすけの中へと投げ込んだ。
 行儀が良くないとは思うが、今回ばかりは仕方ない。これを見せたまま逃げ続けるわけにはいかないのだ。顔も名前も知らない、饅頭を作った村人へと心の中で頭を下げながら、ラムルはすかさず方向を変えて走る。
「ぴよーっ、ぴよっぴよっぴよっ!」
 興奮しきった喜びの声と共に、甘味へと雪崩を打って押し寄せるピヨすけ。そこへ向かって駆け寄りながら、ラムルは黒白の双剣を抜き払う。光と闇、異なる精霊の加護を受ける魔法剣へと、青年は語りかけた。
「……力を借りるよ」
 その言葉と共に、彼の周囲に浮遊する【守護の剣】が現れる。己が装備する双剣と全く同じものが、十五対。空中に浮かぶ剣を念力で操作して先行させつつ、ラムル自身も双剣を振るい、最後尾にいたピヨすけを斬りつけた。
「ぴぃーっ!」
 背後から襲いかかった双剣に切り払われて、そしてタイミングをずらして降り注ぐ剣に貫かれ、まっしろピヨすけ達から悲鳴が上がる。
 白い羽毛が風に飛ばされて消える中、双剣を駆使して斬り込むラムル。周囲から飛び掛かってくる毛玉は、浮遊する双剣を落とし、旋回させて追い払う。剣の操作はラムル自身の意識が及ぶ範疇となるため複雑な事は行えないが、このぐらいの動作なら問題なく行えそうだ。
 戦いながら相手の行動に注視し、毛玉の群れの中であっても巧みに立ち回る青年に、白いピヨすけ達が地団駄を踏むように飛び跳ねる。
「甘い物くれないなら、帰ってほしいぴよー!」
 菓子はもらえない。体当たりは防がれる。ついでとばかりに、これでもかと刻まれる。そんな理不尽に晒されてイライラが最高潮になった毛玉達が、一際高く跳躍した。地上に残った個体は、この場から逃さないとばかりにラムルの周囲へと詰め寄ってくる。
 高さと重さを乗せた、頭上からの体当たり――もといボディプレス。お互いぶつかりあって弾き飛ばし合いながらラムルの上へと、包囲する仲間を諸共に押し潰して、山となってのしかかった。
 周囲の地面が軽く揺さぶられる程の衝撃。もうもうと立ち込める砂煙の中、勝利を確信したオブリビオンがぴよぴよと愛らしい勝鬨を上げる。
「お前達は、どこを見ているんだ?」
 そなピヨすけ達へ、潰したと思ったはずの青年の声が、すぐ傍から投げかけられる。
「ぴ――」
 ピヨすけが押し潰したのは、包囲を抜け出していたラムルが生み出した残像。何故青年が無事なのか理解できないピヨすけの山を、黒白の剣閃が雨霰と襲い――白い羽毛として、その体を散らしていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

真宮・響
【真宮家】で参加。

ここにも食糧を求めて集まってきた白い群れが・・・可愛い外見だけど、これだけの群れだとお菓子だけじゃなくて他の食糧も危ないね。被害が広がる前に対処させて貰うよ。

まず真紅の竜を呼び出し、【ダッシュ】で白い群れに飛び込み、【残像】も併用しながら、【先生攻撃】【二回攻撃】【範囲攻撃】で攻撃していくよ。防御を固められたり、合体して強くなる前に叩かせて貰うよ!!


真宮・奏
【真宮家】で参加。

あら、ここにも白ひよが・・・相変わらず食べ物を求めてるんですね。お腹空いてるのは良くわかるんですが、これだけの群れだと村の食材が危ないので。申し訳ないんですが、倒させて頂きます。

これだけ数が多いと、攻撃に重点置いた方がいいですかね。トリニティエンハンスで攻撃力を強化して【二回攻撃】【範囲攻撃】で無敵になるのと合体される前に機先を制します。遠距離攻撃が必要なら【衝撃波】を使います


神城・瞬
【真宮家】で参加。

白ひよこはサムライエンパイアの至る所に出現してますが、今度は花見会場襲撃ですか。食べ物を狙うに飽き足らず、宴の会場に乱入とは。絶対阻止しましょう。

時間を掛けると戦況が悪くなるので、最初から全力で行きます。【高速詠唱】【全力魔法】で氷晶の矢を【範囲攻撃】で撃ちます。【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】も併用して【二回攻撃】で攻撃回数も増やします。



 白い羽毛と鳥が空に消えていく戦場。花見会場より十分引き離された白い群れへと、三人の猟兵が現れる。

「あの白ひよこは、サムライエンパイアの至る所に出現しますね。今度は花見会場ですか」
 どこに行ってもやる事は相変わらずというか、何というか。いつぞや交戦したまっしろピヨすけを思い出して、呆れ半分で苦笑する神城・瞬(清光の月・f06558)。彼に寄り添う真宮・奏(絢爛の星・f03210)もまた、困ったような微笑みを浮かべた。
「お腹を空かせているのは、とってもよく分かるんですが……これだけの群れだと、ちょっと」
「ああ、他の食糧も根こそぎ持っていかれそうだね。被害が広がる前に、対処させてもらおう」
 娘と息子の言葉にしっかりと頷き、真宮・響(赫灼の炎・f00434)が光剣を抜く。かつて遭遇したことがあるからこその警戒だ。
 可哀想だが、仕方ない話でもある。今はまだ甘味に満足して大人しくしている個体もいるが、いつ『もっとよこせ』と騒いで暴れ始めるか分からない。それに、今のところ使っている姿は見えないが、あのオブリビオンは戦闘用の分身を召喚する能力を持っている。時間をかければかける程、不利な戦いになるだろう。
 ならば求められるのは速攻。真宮家の三人は視線を交わし、散開する。

「さて、一緒に行くよ!! 気張りな!!」
 先陣を切る響の声に答えたのは、彼女の相棒たる真紅の竜。虚空より召喚された竜に飛び乗った響は、まっすぐに白い群れへと飛び込んでいく。すれ違いざまに響が武器を振るい、もふもふした塊を蹴散らした。
 剣が届かない個体には竜の尾をしならせて、広範囲を薙ぎ払わせる。
 直接攻撃されなくても、余波でごろごろ転がっていく白い毛玉達。転がりながら体勢を立て直し、響と竜に突撃しようとしたピヨすけへと迫る影があった。
「とにかく、数を減らしましょう!」
 三種の魔力で己に強化を施した奏が、氷炎を纏う剣を振り下ろす。風に乗って加速し、勢いを乗せて振り下ろされた剣がピヨすけを斬り裂いた。
 体を膨らませて無敵状態になったり、戦闘用の分身を合体させて強くなる前に機先を制し、数を減らしていく方針だ。風の加護を受けることで、平常時では辿り着けない速度で動き回り、異なる属性で強化された斬撃で、蒼と朱の鮮やかな残光を引きながら、白の塊を屠っていく。
「これは、これはー、せんりゃくてき、てったいぴ、よっ!?」
 戦場に吹き荒れる、"新手"という名の暴風。現れた新手からとにかく距離を取ろうとバサバサと羽を動かしながら、散り散りになって逃げようとするもふピヨに氷が突き刺さった。硬化する暇もなく羽毛の塊として散らされ、あっという間に白い羽が飛び交う事態となる。
「ぴょーっ!?」
 空より落ちてくる氷にぴぃぴぃと騒いで逃げ回る毛玉達。それを少し離れた場所から確認した瞬は、再び杖を掲げる。
「さて、これを見切れますか?」
 六花の杖を弓に見立てた瞬が放つのは、驟雨の如く降り注ぐ氷の矢。高速詠唱を駆使した【氷晶の矢】が、慌てた様子で呼び出されたミニまっしろピヨすけごと、容赦なく本体を穿っていく。厄介な敵が相手ならば、出し惜しみはしない。素質のない者でも目視できる程に高まった魔力を操り、戦場一帯に氷晶を落としていく。
「ぴよ、ぴっ、あっちはだめぴよ、痛いぴよ!」
「おいしくない物ふらせてるぴよ! ゆめがないぴよ!」
 まだ食べ物の事で騒げるのは、余裕の現れというより染み付いた習性か。締まらない事を言いながら、数匹の白い毛玉が遠方より狙い撃ってくる瞬を仕留めようと、高く跳躍する。超もふもふもーどで防御しながら落下して距離を詰めつつ、あわよくば押し潰すつもりだろう。
「兄さんの方には絶対、行かせません!」
 そんな蛮行を許す奏ではない。風精の名を冠した靴に魔力を纏わせて、空へと舞い上がる。彼らよりもさらに早く、その上へ。奏の願いを受けた風が唸りを上げて勢いを増し、少女をピヨすけ達の更に上へと到達させる。そして、体を膨らませ始めたピヨすけの上から、すかさず一撃。怯んだところへ更にもう一撃を叩き込めば、義兄を狙おうとする不届きな毛玉たちが、一瞬で羽毛の塊となって散った。
「いまだぴよ、ちゃくちがり――」
「うちの娘に何の用かい? え?」
 そのまま白い群れの中に着地しようとした奏を体当たりで狙う毛玉の背後から、冷ややかな声が浴びせられる。
「ぴぇ、ぴっ……ぴぇぇ……」
 体当たりのための助走を付けていた体が竦み、振り返って確かめるのも恐ろしくなってしまう程の、冷たい気配。あまりの冷気に涙目になりながらも、勇気を出して振り向いたピヨすけが見たのは、自身へ向けて剣を振り下ろす、響の姿だった。
 巻き添えとして周囲の毛玉を竜の尾で薙ぎ払いつつ、奏の元へと駆け寄る。
「ありがとう、母さん」
「何、気にすんなって……っと!」
 飛び掛かってくる毛玉を炎の光剣と氷炎の剣で払い飛ばし、二人は表情を固くする。弾き飛ばされて転がるピヨすけが行き着いたのは、白い毛玉の壁。他の個体の身体だ。いつの間にか大量のもふもふソルジャーズと、その本体であるピヨすけに取り囲まれていたらしい。
「ぴっぴっぴ、もう逃げられないぴよ」
「いっせいにいくぴよ。もふもふでぼふぼふするぴよー!」
 気の抜ける鳴き声を上げて、もふもふソルジャーズと共に包囲網狭めてくるピヨすけ達。それに対処しようと二人が身構える。
「「「ぴぃぃーっっっ!!!?」」」
 だが、白い鳥の群れがこれ以上何かする前に、無数の氷晶がもふもふした体に突き刺さった。群れに取り囲まれた母娘を器用に避けて降り注ぐ氷の矢が、まっしろピヨすけとその分身ごと纏めて蹴散らしていく。
「……そうはいかない、という事ですよ」
 矢を放った瞬が、そっと呟く。大切な母と妹に手出しなど、見過ごせるどころか許せずはずがない。笑みを浮かべて感謝を示す二人に、瞬も同じく笑みを返して答え、すぐに表情を引き締める。未だに諦め悪く二人に群がろうとする毛玉を殲滅すべく、再び"矢"を番えた。

 氷と斬撃。そして、誘惑。猟兵達の攻撃が飛び交う戦場は――白い羽毛がふわふわと漂い、風に吹かれて何処に飛ばされていくだけの、静かな川辺へと戻っていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『まっくろピヨたろう』

POW   :    超もふもふひっぷあたっく
単純で重い【もふもふなお尻 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    ぱくぱくもぐもぐ
戦闘中に食べた【食べ物 】の量と質に応じて【眠くなってしまうが】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    もふもふあたっくはいぱー
【もふもふ体当たり 】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠御剣・誉です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 まっしろピヨすけを散らした猟兵達の頭上に、巨大な影が差す。
 その影の下からすばやく離れた直後、地響きと共に"それ"は落ちてきた。
「……ぴ?」
 真っ黒な塊――まっくろピヨたろうと呼ばれるオブリビオンが、きょろきょろと周囲を見渡す。
 愛らしい仕草だが、周辺に目当てのものが無いと気づくと、徐々に剣呑な雰囲気を纏い始めた。
「ご飯がないぴよ」
 そうだろう。花見会場からずっと離れた場所が主戦場なのだから、見える範囲にそれらしい食べ物がないのは当然だ。
「おかしいぴよ。ぴよはたしかに、ご飯のにおいをかいだぴよ。……かくすとロクなことにならないぴよ」
 どうやら、食べ物を隠したのは猟兵達だと思っているらしい。誤解だと言っても聞いてくれないだろう。この鳥が行き着くのは、食べ物のある場所。そこへ向かうのを阻止する猟兵は、この鳥にとっては許しがたい敵である。

 よっこいしょ、と気の抜ける声と共にクレーターから腰を上げたまっくろピヨたろうは、威嚇のつもりか、ぽてぽてとその場で飛び跳ねた。
真宮・響
【真宮家】で参加。

危うく白い群れに埋まりそうだったよ。侮れないね。更に大物の黒ひよこが現れたか。あいかわらず潰されそうな大きさだね。本気を出さないと危ないか・・・(真の姿解放。黒髪金眼になり、赤いオーラを纏う)

本気で狩る勢いで行くよ。【目立たない】と【忍び足】で敵のお尻と体当たりの範囲から逃れつつ、【ダッシュ】【残像】で敵に接近。【先制攻撃】で奥の手で敵の技を封じるよ。身体を拘束すれば、部位での攻撃は出来ないはずだ!!がっちり縛らせて貰うよ!!


真宮・奏
【真宮家】で参加。

白いもこもこに埋もれなくてよかったです。かなり危なかった。2回ほど黒ひよこと戦闘の経験がありますが、案外侮れない強さを持っていますね。本気で行きませんと(真の姿解放。黒髪金眼になり、青いオーラを纏う)

うかつに近づくとお尻に潰されてしまうので、トリニティエンハンスで攻撃力を強化し、【属性攻撃】【二回攻撃】【衝撃波】で遠距離から攻撃。体当たりは【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】でなるべく家族の代わりに受けます。(【かばう】)トリニティエンハンスで解除されても攻撃の手は緩めませんよ。


神城・瞬
【真宮家】で参加。

相変わらず黒ひよこは食欲旺盛ですね・・それ自体は構わないのですが、他人に迷惑を掛けるのは頂けませんね。ただ、強さはかなりのものですので、本気で行きませんとね(両目が赤になり、銀髪になり銀のオーラを纏う)

最初から全力で行きます。【高速詠唱】【全力魔法】で氷晶の槍を【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】も乗せて撃ちます。【二回攻撃】で攻撃回数も増やしますよ。食べ物を食べる隙は与えませんよ!!



 脅威がさっぱり感じられない威嚇を前にしても、真宮家の三人は警戒を解かない。つい先程、白い毛玉の群れに危うく飲み込まれそうになったのもあるが、何より過去に交戦した経験もある。だが、それにしても。
「あの黒いひよこは、相変わらず食欲旺盛ですね……」
 過去の経験を思い出しつつ、再び神城・瞬(清光の月・f06558)は苦笑を零す。それ自体は構わないが、他人に迷惑を掛ける振る舞いは頂けない。
「色々と染み付いているのかもしれませんね、食に関して……でも、あれで相当強いから、侮れませんよね」
 真宮・奏(絢爛の星・f03210)も苦笑いを浮かべかけ、表情を引き締める。二人の言葉に、真宮・響(赫灼の炎・f00434)も剣を構え直して頷いた。
「ああ、それでいて相変わらず潰されそうな大きさだ。これは……本気を出さないと、危ないか」
 独り言ちる響に、奏と瞬も静かに首肯する。思うことは二人とも同じようだ。それに頼もしさを感じながら、響はす、と目を閉じる。
 途端、響の柔らかな茶髪が、宵闇の色へと変わりゆく。愛用の黒衣と同じ、昏い色へと沈んでいく。そんな外見とは対象的に溢れ出すのは、熱情を示す赤の闘気。
 響の傍らで奏の姿も変わっていく。母譲りの茶髪が黒へと、彼女の白銀の武装とは対象的な色に染まっていった。体の裡から噴き出すのは、静かな青の闘気だ。
 ただ一人、瞬の姿だけ、艷やかな金髪から色素が抜けて、銀へと変ずる。彼の魔力を表すような銀の闘気を纏い、杖の石突で大地を突いた。
「――さあ、本気で狩る勢いで行くよ」
 その音を合図に、金の瞳を開く響。自身と同じ金の瞳となった奏と、纏うオーラと同じ銀の瞳になった瞬と目を合わせ、オブリビオン――まっくろピヨたろうへと向かっていった。

 先陣を切るのは、まっしろピヨすけとの戦った時と同じく、響だ。
「おっと、それは食らってやれないね!」
 真正面から潰そうとする体当たりを避けながら、響は剣の鞘で毛玉を殴打し、赤い光を残して距離を取る。
 元より接近戦は考えていない。広い川辺という戦場、遮蔽物のない空間でありながら、響の存在感が薄れていく。砂利を踏む足音すらも最小限に抑え、攻撃範囲から静かに逃れていく。
 気配は薄れたが、姿が完全に消えるわけではない。響を目視で追いかけようとしたオブリビオンに、青い衝撃波が突き刺さった。
「あなたの戦い方には、付き合いませんよ!」
 もふもふの体を活かした攻撃はどれも脅威。ならば、あちらが得意とする間合いに踏み入らぬように戦おうと、奏は愛用の剣から放つ水の衝撃波で牽制する。【トリニティ・エンハンス】で強化された青い斬撃が、もっふりした毛玉に受け止められた。
「あの体、鎧代わりでもあるんですね……」
「でもうっとうしいぴよ!」
 攻撃されている当事者が訴えるように、まったく効いていないわけではない。斬撃が当たる度に毛玉が震え、体当たりとヒップアタックの針路が逸れる。先に奏を押し潰そうと迫っても、斬り上げと斬り返しの動作で放たれる二つの衝撃波を受けて、あらぬ方向へと飛ばされた。
 それでも、厄介なのは見えない敵より見える敵。遠距離から斬撃を飛ばす奏に狙いを変えて、ピヨたろうは助走をつけて無理やり衝撃波を抜ける。
「おっと、奏の方には行かせないよ」
「ぴょっ!?」
 だが、その強引な攻撃を許す者など、この場には存在しない。音もなく忍び寄った響が、攻撃の軌道を逸らすべく強烈な打撃を入れて、反撃を貰う前に俊足と共に離れていく。
「ぴよっ、ぴよっ、ぴよっ!」
 狙い通りの場所に攻撃できない。時たま捉える事があっても、それは響の残像であり、ロクな手応えを感じられない。そんな状況に、ついにピヨたろうは嘴を鳴らして苛立ちを示す。あまりの当たらなさにじれたのか、はぱたぱたと翼を動かし始めた。空から状況を把握しようという魂胆だろう。
「逃しませんよ!!」
 空を飛ぼうとするピヨたろうへ、瞬が愛用する杖を差し向ける。真の姿を解放した事でもはや災厄の域に到達した魔力が、青年の周囲すらも凍りつかせて絶対零度の力場を形成した。
「貫いて見せます!!」
 先端より生み出されるのは、氷で形作られた槍。本物と遜色ない鋭さを宿して飛来する【氷晶の槍】は、瞬の宣言通り黒い鳥の腹を貫き、もふもふした綿毛を散らしていく。
「びっ、ぴぃぃぃぃぃーっっ!!」
 ふかふかの鎧を貫かれた痛みに大袈裟なぐらい号泣しながら、ピヨたろうは地響きを立てながらあちらこちらへ跳ね回る。跳躍のために踏みしめた大地が割れ、着地の度に落下地点となった大地が叩き砕かれた。
 めちゃくちゃに暴れ回る巨体。次の攻撃先が読めないという点で、狙い定めていない攻撃は"狙う"と意識した攻撃よりもある意味脅威だ。
 一際高く飛んで周辺の地形を砕こうとするピヨたろうの下へ、青い光が駆けていく。
「止まりなさい!」
 暴風の勢いを以て割り込んできた奏が、もふもふの体を盾で受け止める。重力が加わった巨体の重さに奏の足元が陥没し、盾を掲げる腕が軋む。だからと言って、ここで引こうとは思えなかった。
「絶対に、響母さんも瞬兄さんも、この場所だって……守って、みせます……っ!」
 四方八方に不規則に跳ねる巨体の流れ弾が、いつ兄と母を捉えるか分かったものではない。それに、長閑だった川辺をこれ以上荒らされるのを見過ごす事もできなかった。己を強化する風の力を受けて、渾身の力で腕を動かす。
「はぁっ!!」
 裂帛の気合と共に盾を押し出して、黒い毛玉を弾き飛ばした。ぼふぼふと音を立てて転がり、距離を取ろうとするピヨたろうの進む先に、氷の槍が突き刺さる。
「ぴゅっ!」
 刺さった槍に体をぶつけて起き上がるピヨたろう。また刺されるのはごめんだと、慌てた様子で聳え立つ槍の間をすり抜けていこうとする。
「逃さないと言ったでしょう!」
 そんな黒い毛玉に向かって、瞬が六花の杖を差し向ける。先端から放たれたのは、氷の突撃槍だ。空を裂いて襲来した槍はピヨたろうに刺さるのではなく、進行方向の前方へと突き刺さった。
「ぴっ、もしかしなくても、さっきのはまぐれあたりだったぴよ……? どこをねらってるぴよ!」
 先程自分の体を貫いた脅威が、自分から離れた場所に突き刺さる。それを見て安心しつつ、ぴっぴっと飛び跳ねる黒い毛玉。
「いいえ、あなたの気が引けたなら十分ですよ」
 聞こえないように呟かれた瞬の言葉は、当然遠くにいるピヨたろうに届かない。あえて攻撃を外されたと気付いていないピヨたろうは追撃が来ないと分かると、その場で軽くジャンプした。飛び跳ねた事で毛玉の中から転がり落ちてきた木の実を、趾で蹴って宙に浮かせて、大きな口を開けて飲み込もうとする。
「お取り込み中悪いね、ちょっとがっちり縛らせてもらうよ」
「ぴっ!?」
 そんなピヨたろうのすぐ後ろから、声がかけられる。同時に飛来した猿轡が口を塞ぎ、嘴の先にぶつかった木の実を涙目で見送るピヨたろうへと、更なる追い打ちが迫った。
「こういうのは、余り使いたくないんだけどね。いざという時は必要なのさ!!」
 響の狙いは、最初からこのユーベルコードの使用にあった。自慢の体を活かした戦いをするなら、体を封じてしまえば戦闘力はガタ落ちする。動きを止めた隙を狙って、次々にピヨたろうに襲いかかる【奥の手】。手枷と拘束ロープが別個の生命体のように襲いかかり、翼と全身を縛り上げる。
 いびつな洋梨を思わせる姿となったオブリビオンを締めつけながら、響は声を張った。
「奏、瞬! 盛大にやりな!」
 母の言葉が届くのと同時に、二人は動き出す。盛大と言うなら答えなければならないと、青と銀の闘気が眩しく鮮やかな色へと変化する。
「ええ――任せてください、響母さん」
 瞬が再び杖を掲げ、槍を作り出す。銀のオーラと魔力で形成された、長大な白銀の槍が撃ち出された。
「全力の一撃、叩き込んでみせます!」
 奏の持つ剣からは、青い炎が噴き上がる。纏う炎と闘気で青い大剣というサイズにまで巨大化した剣を手に、奏は大地を蹴った。
 銀の魔力を乗せた氷槍が突き刺さり、もふもふの体を更に変形させる。そして静かに燃え盛る闘志を乗せた大剣による一撃が横合いから叩き込まれ――拘束具を引きちぎる勢いで、ピヨたろうの体を吹き飛ばした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アーサー・ツヴァイク
※引き続き協力アドリブ大歓迎

こいつがピヨピヨの親玉か。…黒いな 。
…そういやさっき白いのに食わせたのが残ってんじゃねえの? あれで【おびき寄せ】できそうだな。むしろ食わせたら無防備になりそうじゃん?
じゃあそこにユーベルコードぶちかましちゃうよね!

なあ、黒いの。このシロップはサムライエンパイアじゃ手に入らないんだよ。これがもっと食いたいなら…旅にでも出るしかないなあ。
今日は特別に俺が旅立たせてやるよ、…物理的になあ!


佐々・真子
ビックサイズもふもふです――!!!

あぁ、なんて素敵なUDC……えーっと、いや、うん

おのれ、おぶびりおん、ゆるさないぞー
おまえなんてもふもふしt


たいじしてみせます


戦闘力のない影の追跡者を召喚です
もふっとした体当たり、さぁ、きなさい!!

影の追跡者にももふらせて二倍もふを堪能しますよ!!!


あ、やっぱ体当たり受け止めるのは影の追跡者に任せますね
私は横からもふります


あれ?
なんで消えるんです

そんなー(´・ω・`)



「あっ、ビックサイズもふもふです! もふもふがこっちにきました!」

 思いきり吹き飛ばされてきたまっくろピヨたろうを前に、佐々・真子(無個性派女子(主張)・f12501)ははしゃいだ声をあげた。
 見るも悍しいUDCとは違う、かわいいを体現したような塊。先程散々撫で回した白い毛玉達の感触を思い出して、えへへ、と笑う。あれはとても良いものだった。無害なぬいぐるみとして店に並んでいたら、そのままお買い上げしたいぐらいだ。
「ああっ、なんて素敵なUDC……じゃなかった。おのれオブリビオン、花見を台無しにするなんてゆるさないぞー」
 だが、相手はオブリビオン。気合を入れ直し、どこか棒読みじみた事をのたまいながら、佐々は靴の踵で数度地面を叩く。叩かれた地面から沸き上がってくるように現れるのは、黒い切り絵じみた姿を持つ影の追跡者だ。【影の追跡者の召喚】で呼び出された追跡者と並び、佐々は大きく両手を広げる。
「さあさあ、もふっとした体当たり、どこからでも来なさい!」
「ぴーっ!」
 来いというなら遠慮なくと、八つ当たりじみた速度で佐々と追跡者を潰そうと黒い毛玉が走り、あっという間に最高速度に達する。
「あ、やっぱなしです。受け止め役、お願いしまーす」
 そんな迫る毛玉を前にして、佐々がするりとその場を離れた。ピヨたろうが方向転換しようにも、自力では簡単に進路を変えられないギリギリの距離を見計らっての行動だ。
「ぴよっ!」
 止まる事もできない毛玉が、影の追跡者と衝突して、押しつぶす。命中したのが佐々であれば、ユーベルコードを封じられてしまっただろうが、下敷きになったのは影の追跡者の方だ。既に召喚された物を消す力は、この体当たりにない。
「今です、そのままもふもふです!」
 主命を受けて、影の追跡者がぺったりと毛玉に張り付き、もふもふと腕を動かした。腕の動きに合わせて、ピヨたろうの体がこね回されていく。
「ぴっ、やめるぴよっ、じゃまぴよっ、ぴぷ、ぴっ、ぴぇえ……!」
 飛び跳ねて振り落とそうとしても、ぺたりと張り付く追跡者は剥がれてくれない。
「えへへ、私も失礼しまーす」
 追い打ちとばかりに横から飛びついた佐々も、全身を使ってふかふかの黒い毛玉をもふもふする。もふもふの無限地獄、佐々を振り落とそうと飛び上がり、地面に体を擦り付けようにも、その前に少女は素早く離れて距離を取って逃げる。そしてまた飛びついて、ふかふかと体を触りまくるのだ。

 前から横からもふもふと体を触られて、体を何度も震わせながら振り落とそうとするオブリビオンに、アーサー・ツヴァイク(ドーンブレイカー・f03446)はそっと語りかけた。
「なあ、黒いの。お前も大変だなあ」
 心底同情するような口ぶりに、ピヨたろうは潤んだ目を青年に向ける。真宮家の三人に攻撃されて、今は佐々と追跡者に体を撫でられる疲労。肉体的にも精神的にも耐えられなくなってきたのか、涙目になって訴えてきた。
「ぴっ、たいへんだと思うなら、ごはん。ぴよに、ごはん……」
 巣から落ちた小鳥を連想するか弱げな姿。この期に及んでまだ食べ物をねだる毛玉に、アーサーはしっかりと頷いた。彼の手には、先程まっしろピヨすけに食べさせた、みつぷにシロップがたっぷりかかったわらび餅。
「ああ、白いやつらに食べさせていた分がある。まだ残ってるから――おっと!」
 そう言った途端に、反転して猛烈なヒップアタックを叩きつけてくるオブリビオンを避けて、バスターホーンを構える。
 川辺にまた一つ、丸いクレーターを作った毛玉は、ぴいぴいと餌をねだる雛鳥のように騒ぎ出した。
「ぴっぴっ。あるなら出すぴよ、ぴよにご飯をだすぴよ! そろそろ限界ぴよー!!」
 地団駄を踏む黒い鳥。空腹への辛抱も、未だにもふもふし続けて離れない佐々のもふもふ攻撃への我慢も、そろそろストレスで振り切れそうなのだろう。
「まあまあ、慌てるなって。俺が潰れたら、この食べ物も巻き添えだぞ?」
 ピヨたろうの超もふもふなお尻の餌食になれば、アーサーだけでなく彼の持った甘味も巻き添えになる。かちかちと嘴を鳴らすオブリビオンにわらび餅の皿を見せつけて、ある程度離れたところで、持っていた硝子の器をその場に置いた。
「ほら、菓子だ。あんま量はないけどな」
 そう言って、アーサーは甘味から距離を取った。甘味から離れていく青年にやっと安心したのか、ピヨたろうも自分用に置かれた甘味にありつこうと、機嫌良さげな鳴き声と共に近付いていく。アーサーはそんなピヨたろうを見守りつつ、もふもふを続ける佐々に降りるようにジェスチャーで促した。自分の企みに彼女を巻き込んではいけない。
 褐色の蜜に塗れたわらび餅を輝いた目で見つめる毛玉に再度近寄り、悲しげな雰囲気で語りかける。
「ああ、そうだ。実はこのシロップ、ここじゃ手に入らないんだよ。だからお菓子は、これっきりだな」
「ぴっ――」
 甘い香りが漂う、見るからに美味しそうなお菓子。二口三口で食べきってしまう量しかない上に、おかわりもない。絶望しきった顔で見つめてくるピヨたろうに、とにかく今は食べるように促して、アーサーは言葉を続けた。
「とにかく、これがもっと食いたいなら……旅にでも出るしかないなあ」
「ぴ、ぴ?」
 また新天地に行かないといけないのか……と思うが、青年の口ぶりから何だかそういう気は感じられない。というより、どこか不穏な気配が漂っているし、嫌な予感がする。目の前の甘味を食べていいのか、ピヨたろうの中に迷いが生まれた。
「安心しろよ。今日は特別に俺が旅立たせてやるよ」
 再び毛玉の傍に戻り、盾だけを構えたアーサーが、気安い感じで黒いもふもふの背を叩く。そして――
「……物理的になあっ!」
『Select……SMASH ACTION!』
 強制的に世界旅行を楽しませる宣言。グリモアベースを経由せず、どうやってアルダワ魔法学園へ行くのかなど、そういった諸々の問題を投げ捨てたアーサーの言葉と共に、掲げていたバスターホーンが巨大なハンマーに変形する。
「バスターホーンの馬力……受け止めてみろおおおおッ!!」
 鎚に変形したバスターホーンが振り抜かれ、ピヨたろうの黒い巨体が拉げる。
 単純に重く、破壊的な一撃。周囲の地形を抉れさせる程の衝撃が生まれ、完全に鎚が振り抜かれた時には、黒い毛玉は蒼空へと吹き飛ばされていた。

 遠ざかる鳥の悲鳴。暫く経って――大量の黒い綿毛が川辺に降り、空の彼方へと黒い鳥の群れが飛び去っていく。

「あっ、やっぱり消えちゃうんですね。……そんなー」
 飛び去る鳥を見送った、佐々の残念そうな言葉がぽつりと響いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 日常 『花宴の喧騒はすぐそこに』

POW   :    花見よりご飯食べたい!

SPD   :    宴には余興がつきもの。面白い芸を見せてやろう

WIZ   :    花を眺めながら、のんびりと休憩したい

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 無事にオブリビオンを退散させた猟兵達に、戻ってきた村人が口々に感謝を述べる。
 川辺はボコボコになってしまったが、戦場を花見会場から離していたことで、花宴は問題なく続行できそうだ。
 気を取り直して宴を続ける村人は、人の食事を狙う災厄を追い払った猟兵に、声をかけた。

 せっかくだから、少し休憩していってはどうだ、と。

 グリモアベースに帰るまでの、少しの間。
 賑やかな花宴の中に、戦いを終えた猟兵達の姿があった。
佐々・真子
んー、アーサーさんの姿を探しましょう
なんだかすっごくお世話になっちゃいましたので!

アーサーさん、お菓子の支援ありがとうございます!
おかげでもふもふを堪能……オブリビオンの弱点を発見できました!

いない、もしくはお礼を言い終えましたら
皆さんに影の追跡者と二人で鏡合わせの動作をする芸を披露しますね
シンクロ!!

やや、目の前に不思議な影が!
んん~?(首をかしげる/影も首を)

ん?(左手をあげる/影は右手)

お?(目の前に壁がある動作をする/影はぴったり鏡合わせの動作)

これは……
レッツダンシング!!

あ、ダンスと言いつつほとんどパントマイム風味です
普段は《目立たない》ようにしていますが、無駄に《勇気》を発揮中


ラムル・クルトア
アドリブ・交流歓迎です

楽しいお花見が中止にならなくてよかったね
折角だからお言葉に甘えて少しお邪魔させてもらおうかな

【WIZ】
とはいえ、あまり賑やかなのは得意じゃないから、水菓子を分けてもらったら、少し離れた所で皆の様子を眺めたり、花を楽しんだりしてのんびり過ごそうかな
「うん…美味しい
水菓子のほのかな甘さに笑みが溢れる

横笛を取出してのんびり穏やかな今の気分を曲に乗せて奏でる
…そうだ、UC【黒猫の輪舞】でタマさんも呼んでしまおうか

演奏が終わればタマさんを撫でつつ木に寄りかかり一休み
ぽかぽか暖かな陽気に、綺麗な桜の花、皆の楽しそうな笑い声、そしてもふもふのタマさん、昼寝にぴったりだね…おやすみなさい


アーサー・ツヴァイク
※最後まで協力アドリブ大歓迎

ふー…ピヨたろうを無事に送り届けて一件落着!
いやー良い事したなー(棒)

さて…白ピヨに撒いた「アレ」…村の人も食べたいよな? つーわけで【料理】で蜜ぷにシロップと果物や餅を合わせてお菓子作っちゃうぜー! 一緒に戦った猟兵達の分も用意しておくから、遠慮せずに食べてくれな!
こうやって桜を眺めて甘味を食って…風情って奴なんかねこれが。

…また来年も来るよ。この蜜はここじゃ採れないものなのはホントだしさ…村の人もこれっきりじゃあね?
次、桜が花を咲かせる時期にも持ってくるからさ…またこうやって花見をしようぜ!



 賑やかな花宴の中、戦いを終えた猟兵達が思い思いに過ごしていた。

「いやー俺ってばいいことしたなー」
 アーサー・ツヴァイク(ドーンブレイカー・f03446)は、清々しい表情で餅を切り分けていた。甘味を求めて彷徨う哀れなひよこを、無事に新天地へ送り届けたのだ。これをいい事と言わずに、何というのだろう。
「うん、本当に。お花見が中止にならなくてよかったね」
 彼の隣でラムル・クルトア(ヤドリガミのウィザード・f10895)が柔らかな笑みを浮かべて、同意を示す。彼も手際よく果物をカットして、器にどんどん盛り付けていた。
「きっとひよこ達も喜んでいるよ。……この世ではない場所で」
 恐ろしく不穏な言葉が付け足されたが、アーサーはしっかりと頷いた。ついでに皿に乗った餅と果物に、残った蜜ぷにシロップを振り掛ける。
「ああ、この世ではない場所な。どこまでいったんだろうなー」
 あの黒ひよこが殴り飛ばされた先は、少なくともサムライエンパイアではないし、間違ってもアルダワ魔法学園でもない。あのオブリビオンは無事、間違っても立ち入りたくない領域にいってしまっただろう、きっと。
「アーサーさーん!」
 そんな事で、和やかに菓子の用意をしている青年達の下へ、駆け寄ってくる少女が一人。先程までたっぷりともふもふを堪能していた佐々・真子(無個性派女子(主張)・f12501)だ。
「いっぱいお世話になっちゃいましたので、お礼を言いに来たのですよ!」
「ああ、いいっていいって。佐々の役に立ったなら何よりだ」
 お陰でもふもふを堪能、否、オブリビオンの弱点を発見することができたのだ。佐々が戦いやすくなったのは、アーサーの策のお陰だろう。
 笑顔で礼を述べる佐々に、アーサーは器を差し出す。季節の果物とわらび餅、そして蜜ぷにシロップを組み合わせた出来たての甘味が盛られていた。
「それより、これ食うか? ひよこも群がる美味さだぜ」
「やったっ! えへへ、ありがたくいただいちゃいますね!」
 ぺこりと最後にお辞儀をして、明るい足取りで佐々が去っていく。彼女を見送ったラムルも、期待を込めた目でアーサーを見た。
「……それ、俺も頂いても?」
「ああ。ていうか、村人達にも配るつもりだったからな。今日はシロップの大盤振る舞いだ!」

 甘酸っぱい果実に、更に甘いシロップ。甘さが雪崩の如く押し寄せる。近所のケーキショップでは味わえない、異世界同士のコラボレーションだ。
 たっぷりと甘味を楽しみ、佐々は両頬を押さえてぱたぱたと足を振る。思う存分もふもふを楽しめただけでなく、素敵なお菓子も食べられた。気持ちも心も舞い上がり、この楽しさを誰かにお裾分けしたくなるような、そんな気分にもなってしまう。
「い、今なら、今ならいけますね……!」
 普段は努めて目立たないようにしているが、今は甘味のお陰でふわふわと明るい気分だ。この気持ちを誰かに――自分が守りきった人たちにも、お裾分けしたいぐらい、明るい気分。
 思い切って村人達の中に飛び込めば、歓声と、ついでに口笛も聞こえてきた。
「おっ、嬢ちゃんも何かやるか?」
 酒瓶でお手玉をしていた男が、佐々のために場所を開ける。先程まで男がいた場所へと進み出た佐々は、手を振って村人達に挨拶する。
「そうですねー。とっておきを見せてあげます! それではいきますよー……シンクロ!」
 佐々が踵を鳴らすと、ずるりと這い出てくる影の追跡者。突如現れた黒い切り絵じみた存在に、村人から悲鳴やら驚愕の声やら、興味津々なはしゃぎ声が上がった。佐々もまた、『この存在を初めて見た』とばかりにわざとらしい動きでのけぞる。
「やや、目の前に不思議な影が! ……んん~?」
 こてりと佐々が首を傾げると、向かい合った影も合わせて首を傾げる。
「ん?」
 不思議そうな顔で佐々が左手をあげると、影も合わせて右手を上げる。
「お?」
 今度は目の前に見えない壁があるように、ぺたぺたと空中を触る動作。影も全く同じように、目の前の見えない壁に触り始める。
「ふんふんふん、これはあれですね……レッツ、ダンシング!!」
 空中で手を動かし、実際には存在しないものが目の前にあるかのように踊り始める佐々。影の追跡者もまた、佐々の動作を真似して、軽やかに舞う。
 鏡合わせの不思議な舞踏。彼女のそれは踊りというより、パントマイムのパフォーマンスに近しい物だったが、村人達にとっては未知の踊りだ。一部のお調子者な村人が加わり、佐々を中心にして更に賑やかな様相と化していった。

 佐々のパフォーマンスを見ながら、甘味を皆に振る舞い終わったアーサーも休息に入る。敷いてもらったござに腰を降ろして、自分用に確保していた手作りの盛り合わせを一口。
 程よい餅の食感と、とろりと甘く濃厚なシロップが絡まる果物の酸味。この絶妙なバランスが堪らない。本当に、『美味しい』は万国共通の正義だ――そう思って表情をほころばせていると、目の前にはらりと薄桃色の欠片が落ちてきた。
 ひらひらと風に飛ばされて何処へと去る花弁を見送って、上を――はらはらと花弁を降らせる木を仰ぎ見る。
「……こうやって花を眺めて、甘味を食って……風情って奴なんかね、これが」
 果物をもう一口齧り、しみじみ呟いた。こうして自分が心穏やかに過ごして、花を見る日が来るとは。昔、囚われていた頃は、まさかこんな時間を楽しめる時が来ると思っていただろうか。
「ふぜー? それおいしい?」
「ねえねえ兄ちゃん、またくる? おやつ、またもってくる?」
 いつの間にか、アーサーを取り囲むように集まっていた子どもたちが、口々に訊ねてくる。どうやら甘いおやつを作ってくれるお兄さんと認識されているようだ。
 期待に満ちた表情を向けてくる子どもたちに、アーサーはにっと笑いかける。
「ああ、もちろんだ。また来年も来るよ。このシロップ、えーと、蜜のおやつもこれっきりじゃあ、残念すぎるだろ?」
 その言葉に、アーサーを囲む子どもたちから歓声が上がる。こういう風に、子どもたちが無邪気に来年を期待できる世界。それを守れた喜びを噛み締めながら、アーサーは拳を天に突き上げた。
「その時は、またこうやって花見しようぜ!」

 少し離れた場所では、ラムルが賑やかな宴会を眺めていた。あまり賑やかなものは得意ではないし、こうして静かにのんびりと過ごす人がいても良いだろう。
 風に乗って空を舞う花弁を見送りながら、もらった甘味を食べる。蜜が絡んだ果物と程よい弾力の餅、染み渡る甘さと酸味に体の疲労が癒やされる気分になって、そっと笑みを零した。
「うん、美味しい」
 肉体を得た事で味わえる甘露。そういったささやかな幸せと、かつての持ち主が願った『平和な日常』を守り抜いた喜びに浸りながら、ラムルは自分用に貰った甘味を平らげていく。
 そして徐に横笛を取り出して、目を伏せて奏で始めた。今のラムル自身の心境を表した、優しく穏やかな春の曲だ。宴の喧騒に紛れてしまって、村人にも、他の猟兵たちにも、誰にも届かない静かな独奏曲。花見を楽しむ人々がそれを聞きに来る事はないが――笛の音に誘われてやってくる者はいる。
 虚空より突如現れた黒猫が、音もなく着地して、ラムルの傍にぴったり寄り添った。【黒猫の輪舞】に誘われた黒猫にちらと視線を向けて、ラムルは笛を吹き続ける。そうして、一人と一匹、誰にも邪魔される事ない静かな時間が過ぎていく。
「やあ、タマさん」
 曲が終わると横笛を仕舞い、黒猫の名前を呼び、頭を撫でる。にゃあにゃあと甘えた鳴き声を上げて擦り寄る猫に微笑みかけて、ラムルは木に寄り掛かった。そのまま暫くタマさんを構って過ごそうと思ったが――
「ぁふ……」
 心の底から安らげる時間。降り注ぐ暖かな陽気と花弁、彼方より聞こえる楽しげな声。お昼寝には最適すぎるシチュエーションに、思わずあくびが出てしまう。傍で横たわるふかふかの黒猫の柔らかさも合わさって、うとうととラムルの瞼が重くなっていく。
「ん、じゃあ……おやすみなさい」
 そう言ってタマさんのお腹に顔を寄せて、ラムルの意識はゆっくりと沈んでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加。

奏がご飯食べたい、瞬が花を眺めて過ごしたい、か。どっちも取ろうか。ご飯食べながら花見だ。これなら満足できるだろ?

奏が笑顔で一杯食べているのに笑顔を浮かべながら、飲み物のみながらゆっくりと花を眺めようか。いずれは散る花も精一杯咲き誇っている。こういう時間を家族で過ごす事がアタシに取って最高の幸せだ。


真宮・奏
【真宮家】で参加。

何か被害が出たようですが、花見は予定通りに開催されるようでよかったです。宴と言えば美味しいご馳走!!一杯食べますよ~(目をキラキラ)

一杯動いたのでお腹空きました!!(食べるのに夢中でご飯つぶがほっぺに)あ、瞬兄さん、ありがとです。(どきどき)はい、家族皆が笑顔でいる事が一番です!!その笑顔の為なら、私、頑張ります!!


神城・瞬
【真宮家】で参加。

川辺を荒らしたのは責任を感じないでもありませんが(川辺に沢山の氷の槍を降らせた張本人)まあ、折角の花見の宴です。楽しみましょう。

僕はゆっくり花を眺めていたいのですが、すぐ傍にご飯つぶをほっぺにくっつけても気付かない人がいるので、もっぱら配膳など食事の世話をしてしまうかと。(奏のご飯つぶを取ってあげながら)僕も、家族の笑顔の為ならなんでもしますよ。奏の笑顔はいつまでも見ていたいですからね。



 遠くに見える、戦場だった大地。そこかしこ大穴が穿たれ、氷の槍が盛大に突き刺さっているようだが、至って平和に花見は行われる。
 真宮家の三人も元の姿に戻り、暖かな日差しの下で花見の真っ最中だ。その中には川辺に氷の槍を雨霰と降らせたり、攻撃の余波で地面を焼いたりした者もいるが、それはそれ。今は三人ともござの上に腰を下ろし、振る舞われた料理と甘味を囲んで花見を楽しんでいる。
 花を見て過ごすか、食事を楽しむか。意見が二つに分かれた一家は「どちらも取る」という選択――即ち、食事をしながら花を眺めて過ごすことにしていた。

「いっぱい動いた後は、お腹が空きますよね!」
 食事を楽しむ筆頭――元気よく食事しているのは真宮・奏(絢爛の星・f03210)の手には、おにぎりが握られている。海苔もなく具も入っていない塩のおにぎりだが、奏は幸せそのものの表情で咀嚼していた。感謝を込めて出されたものであるし、もっというと動き回った後の食事は、いつも以上に美味しく感じられるものだ。
 そんな奏の隣で、神城・瞬(清光の月・f06558)が、手慣れた手つきでおかずと甘味を取り分けている。ついでに湯呑の減り具合も確認して、茶を注いでいった。お茶など農村では中々口にできない代物だが、祭りの日ぐらい良いだろうと出されたものだ。
「はい、奏。響母さんも、どうぞ」
「ああ、悪いね。瞬も好きに過ごしていいんだよ?」
 湯呑と甘味の皿を受け取った真宮・響(赫灼の炎・f00434)は、いつものように自分達の世話を焼く瞬にほら、と腕を振って、木の下を示す。薄桃色の花弁が時折ひらひらと落ちてくるが、少し視線を上げれば川岸に咲く並木を眺めることができる、いいポジションだ。少しだけ響と奏から離れてしまうのが難点だが、瞬は元々花を見て過ごしたがっていた。ゆっくりと花を眺めて過ごすとするなら、あまり問題ではないだろう。
 示された場所を見て、母が自分の本来の希望を汲み取ろうとしていることに気付いた瞬は、ふっと微笑みかける。
「いいえ、いいんですよ。僕が好きでやっていることですから」
 そう言いながら、すっと手を伸ばす。手の先にいるのは、義妹の奏だ。
「こういう風に……ご飯つぶをほっぺにくっつけても、気付かない人がいますからね」
 奏が食べるのに夢中になりすぎて、知らない間にくっついていたご飯粒。奏の頬からご飯の粒を摘みとり、瞬の口元は悪戯っぽいものへと変わっていく。花を楽しもうにも、こういう風につい構ってしまいたくなるので、花は時間がある時に見ておこうという気分だ。
「あっ……。えっと、えっと、瞬兄さん、ありがとです」
 僅かに頬をかすめた指の感触。高鳴る胸を押さえて、なるべく平静な気持ちでお礼を言う。
 それでもほのかに朱に染まった頬と、不意の接触で上ずりそうな声はごまかしきれず、奏は小さな鳴き声を上げて顔を伏せた。

 二人のやり取りと様子を温かな気持ちで見守り、響は湯呑を片手に木を見上げる。柔らかな風が吹く度に数枚の花弁が散っていくのを見ながら、ぽつりと独り言ちた。
「……平和だねえ」
 戦場から離れて暖かな日差しを浴びながら、家族三人でのんびりと過ごす。これを平和と言わずして、何と言うのだろう。
 どうせなら、この平和な時間が永遠に続けば良いのに。そんな益体もない考えが浮かび、すぐさま軽く頭を振って打ち消した。
 いずれ散る花も、三人の頭上で精一杯咲き誇っている。村人達の話によれば、あまり長い期間咲かない種類らしい。それがまた良いと言った村人に、響は笑って同意した。
 永遠にあり続けるものなんて、つまらないにも程がある。いつか終わってしまうと心の片隅で分かっているからこそ、花も、この時間も、とても愛おしくて大切なものに違いないのだ。
「ああ……こういう時間を家族を過ごす事が、アタシにとって最高の幸せだ。家族が笑顔なら、もう言うことはないね」
 噛みしめるように、しみじみと呟かれた響の幸せ。
 母の言葉が聞こえ、食事を再開していた奏が顔を上げてしっかりと頷く。瞬もまた、シロップが絡んだ果物を齧るのを止めて目を細めた。
「はい、今もとっても楽しいですけど……家族みんなが笑顔でいる事が一番です!」
「そうですね。僕も家族の笑顔の為なら、なんでもしますよ」
 瞬は一旦言葉を切り、もらった甘味を一口食べる。それを飲み込んでから、さらりと話の続きのように付け足した。
「それに、奏の笑顔はいつまでも見ていたいですからね」
「ふぇっ!?」
 不意打ち気味に付け加えられた言葉に、奏が再び赤面する。言うだろうと予測できるのならまだしも、唐突に言われては心構えもできない。
 動揺しまくって、落としかけたおにぎりを慌てて持ち直す奏。響と瞬はそんな彼女を微笑ましい気分で見つめている。……少しばかり面白がっている感じにも見えなくはないが、これもまた愛の形だ。
 何とか心身共に立て直した奏は、ほんの少しだけ照れを交えて、今日一番の綺麗な笑顔を浮かべた。
「そうですね! 私も瞬兄さんと響母さんの笑顔の為なら、何だって頑張れます!」
 力強い宣言。響も笑みを返して、拳を突き出す。
「アタシもさ。アンタ達二人を守るためなら――どんな事でもやってみせるよ」
 改めて口に出せば、三人とも考える事は同じだとよく分かる。本当に、お互いよく似た親子だ。それが堪らなく嬉しく感じて、誰からともなく笑い声が溢れる。

 花弁の舞う空に、笑いさざめく声が吸い込まれていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月22日


挿絵イラスト