孤独のハロウィン
元々お祭り騒ぎなことが多いキマイラフューチャーだけれども。
実際にお祭りな日となれば、もっと盛り上がるというわけで。
恒例の『きのこたけのこ武道会』なんてものも開催されている中で。
ペンキの缶を両手に持ち、背中のリュックにカラースプレーの缶を詰め込んだテレビウムのソリ・テュードも、賑やかな街に繰り出していた。
「ソリー。ほら、早く早く。この辺、まだ塗られてないよー」
「うむ。いい壁だな」
「ハロウィンカラーに塗りまくるっしょ」
ソリを呼ぶ声は、もちろんいつもの友人達。
銀髪のネコキマイラな少女は、早速、大きな刷毛を手に取り。体格のいいホワイトライオンのキマイラは、まずは腕を組み、何を描こうか思案するように壁を見て。ジャングルの奥地こそが似合いそうなヒーローマスクをつけた少女は、どの色を開けようかとペンキの缶を品定め。
そこに、ソリが持って来た分の缶も置いて。
「誰にも怒られずに落書きできるって、いい日だねー」
「うむ。ハロウィンが終わると消えるがな」
「一瞬で消えるって都市伝説あったっしょ?」
「まさかそんなー」
「うむ。しかし、この世界であるしな」
「まあ、大事なのは、落書き大会万歳ってことっしょ!」
無地のキャンパスに見えてくる壁を前に、やる気満々。
「ソリ、何描くー?」
「え、ええと」
ネコキマイラな少女に問われたソリも、ぎゅっと真新しい刷毛を握りしめて。
「僕は……」
「トリック・オア・トリート?」
集まった猟兵達を前に、九瀬・夏梅(白鷺は塵土の穢れを禁ぜず・f06453)は悪戯っぽく笑うと、小さな籠を差し出した。
中に入っていたのは、透明なセロファンフィルムでくるりと包装された、色とりどりな丸い飴。味が心配になるぐらいビビッドな色合いのそれを、ご自由にと勧めると。
「キマイラフューチャーもハロウィンでお祭り状態でね。
街の一角が特に賑やかなことになっているようだよ」
夏梅は説明を始めた。
何でもそこは、ハロウィンのその日だけだが、好きなだけ飾って遊んでいい場所となっているそうで。勝手にでっかいカボチャを置いても、勝手に外灯にガーランドを巻き付けても、勝手に壁に落書きしても、怒られるどころかもっとやれと煽られる程。
そして、好きなように飾り立てたその場所で、好きな仮装をして集まって。ハロウィンの一時を楽しむのだというのだが。
「その賑やかさを嫌うオブリビオンが現れるようでね」
わくわくした表情を見せていた猟兵達に、夏梅は苦笑した。
バーチャルキャラクターのオブリビオン『クラリス『暗裏素』』は、静かで殺風景な世界を作ろうと『陰鬱怪人』を率いてやってきて、カラフルに楽しく染められた街をネガティブに塗り替えようとするらしい。
「せっかくの楽しい祭りだ。心置きなく楽しめるようにしてやってくれ」
猟兵がいれば、オブリビオンに襲われてもキマイラ達は喜ぶだろうし。
むしろ猟兵の活躍や仮装が見れるなら、さらに盛り上がること間違いなし。
いつもの彼もいるし、と、馴染みのテレビウムの名前も告げて。
「皆も楽しんでおいで」
にやりと笑って、夏梅は猟兵達を送り出した。
佐和
こんにちは。サワです。
街も仮装させちゃおう! ……ってすごいこと言ってるな。
ソリ君は、ごく普通のテレビウムです。
何となく独りでいましたが、友達ができて一緒にいろいろわいわいやってる模様。
今回は、いつもの友人達と一緒に街の壁を塗っているようです。
ソリ君達について知りたい方は、タグを利用して過去の登場作をご確認ください。
尚、未読で全く問題ありませんし、無理に声をかける必要もありません。
第1章は、街でハロウィンを準備しつつ楽しみます。
飾ったり塗ったりご自由に。大きく壊さなければ、何をしても大丈夫。
猟兵が現れるだけでもハロウィンが盛り上がります。
なので、無理に何か準備をしなくても、街の様子を眺めているだけでもOKです。
もちろん、仮装していればさらに盛り上がります。
仮装に南瓜SDを指定することも可能です。
複数お持ちの方は、どの仮装にするかご指定ください。
街がハロウィンで盛り上がっていると『クラリス『暗裏素』』が現れます。
一応、第2章はボス戦です。
ネガティブに替えられようとしている街をまた塗り直したり。
召喚される『陰鬱怪人』を蹴散らして、活躍してみせたり。
無音の空間をキマイラ達の歓声で満たしたり。
クラリスを仮装させちゃったり。
いろいろとご自由に。
それでは、ハッピーハロウィンを、どうぞ。
第1章 日常
『ハロウィンカラーに染めよう』
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POW : カボチャのオブジェなどを作って飾る
SPD : ハロウィンカラーに街を塗りまくる
WIZ : ファッションをハロウィン仕様にコーディネートする
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ティエル・ティエリエル
ようし、ハロウィンを楽しんじゃうぞー☆
今年の南瓜SDの探偵風の仮装をしてきちゃうよ♪
ふふーん、今日のボクはフェアリー界一の名探偵だぞ☆
さっそく遊びにきたらハロウィンのお菓子を隠した宝探しゲームをやってるね!
ボクもお宝探しに参戦だー!
カボチャのオブジェの中に飛び込んだり、虫眼鏡で怪しい場所を観察したりしてお菓子を探すね♪
無事に見つけ出せたら、一緒に探してた子と仲良く分け合ってお菓子パーティーの開催だ!
※アドリブや他の方との連携も大歓迎です
「ようし、ハロウィンを楽しんじゃうぞー☆」
カラフルに様変わりしていくその街へやってきたティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)は、手にした虫眼鏡を掲げて、わくわく楽し気な笑みを見せた。
オレンジ色の頭の上に、前面がチェック柄の茶色いハンチング帽を被り。同じチェック柄で揃えたケープを羽織ったその下には、白いシャツに、サスペンダー付きのやはりチェック柄のキュロット。すらりとした脚には、ソックスガーター付きの白い靴下と、茶色い革靴を履いて。首元にはきゅっと蝶ネクタイを締める。
そんなティエルの仮装は、キマイラ達にもすぐに分かってもらえて。
「ちっちゃい探偵さんだ」
「可愛いー!」
「ふふーん、今日のボクはフェアリー界一の名探偵だぞ☆」
背中に透き通った4枚翅を広げて、空中で小さな胸を張るティエルに、キマイラ達の黄色い声が降り注いだ。
登場だけで盛り上がってくれるキマイラ達に、気を良くしたティエルが、くるくると辺りを飛んで見せて、更なる歓声を集めていると。
「それじゃ探偵さん、宝探しゲームはどう?」
「ハロウィンのお菓子を隠してあるんだ」
壁に直接『宝探しはこちら→』と描かれているその前で、それを描いた当人らしき2人のキマイラが誘いの声をかけてくる。
矢印が示す先は、少し細い路地になっていて。ジャック・オー・ランタンや、コウモリのガーランドなど、ハロウィンらしい飾りが施されているようだった。
「準備できたばっかりなんだって」
「挑戦者第一号、って感じ?」
「猟兵さ……じゃなかった、探偵さん。一緒に探してみない?」
女の子キマイラ達が、宝探しゲームに、そして猟兵と一緒にという部分に、期待の眼差しを向けて来ていたから。
「む。探偵っぽい! ボクも参戦だー!」
断る理由などないと二つ返事で挑みかかったティエルに、女の子達もわっと盛り上がって、小さな背中の後を追うようにハロウィンな路地へと飛び込んでいった。
あそこかな? ここかな? とわいわい楽し気に探し始める彼女達と共に。ティエルもカボチャのオブジェの中に飛び込んだり、ガーランドの裏側をひっくり返したり、高い位置に浮かぶ風船をチェックしたり。
そして、手の込んだ飾り付けの中で、子供の背丈程に積み上げた何かに白い布を被せただけという雑なオバケのオブジェに、怪しい、とティエルは手にした虫眼鏡を向け。
スカートの裾のようにひらりと揺れる布の下から中を覗き込めば。
「見つけた♪」
そこにはお菓子の山が!
「すごいすごーい」
「さすが探偵さん!」
大喜びで集まってきた女の子達に褒められて、誘ってくれた開催者らしきキマイラも称賛の拍手を送る中で。ティエルは、えっへん、とまた胸を張り。
「そしたら次はお菓子パーティーだー!」
続けた宣言に、さらに歓声が高まった。
大成功
🔵🔵🔵
木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と
ふふ、わたしは小悪魔・杏(今年のハロウィン衣装でくるり♪)
ん、ソリ?
まってまつりん
ぱたぱた駆け出し、ふと見ると
カラフルに塗られた街はいつもより更に楽しそう
まつりんに倣い虹色スプレーで壁をしゅー
……楽しい♪
壁には更にうさぎをぷしゅー
ガラス窓に星を
看板には、たまこ(飼い鶏)をぷしゅー
さ、うさみん☆も一緒に
まつりんに突撃ー♪(ぷしゅー!
ソリ、見つけた
描きたいもの悩んでる?
そんな時はね、何も考えずにとりあえず塗る!
楽しくなれば、描きたいものがふっと頭に浮かんでくるよ
さ、楽しくなれば
トリックオアトリート!(ソリにもスプレーでぷしゅー
まつりんと一緒にイタズラして回っていくね
木元・祭莉
アンちゃん(f16565)、ソリたちがお絵かきしてるー♪
おいらたちも混ざろー!(ひらひらと飛び込む小天使)
閉まったシャッターに、スプレーでしゅーってするんだよね!
(SDのワルい顔で)
なんか難しい漢字がいいかな?
そうだ。夜 露 死 苦、っと♪(カラフルに)
(ぷしゅー)あ。手に付いた。
(ぺたぺた)あ。衣装汚れた。
………。
みんなも同じ色にしてやろーかー!
(羽根ぱたぱた空中散歩)
お菓子をくれないと……ソリをコンコンするぞー!(えっへん)
わー、嘘ウソ。ソリは何を描くの?
あまぞんらいおんねこは、ちょっと悪魔合体ぽい?
そう、アンちゃんは小悪魔なんだー♪
おいらとお揃い!
ダブルでいたずらするよー♪(きゃっきゃ)
わあっと歓声が聞こえて、ソリはふと振り返る。
カラフルな壁に『宝探しはこちら→』と描かれたその前で、キマイラの女の子達がお菓子を抱えて何やら盛り上がっていた。
そこ以外の壁にも、色々な絵が次々と増えている。今もまた、芸術的な太陽の下でポップな女の子が楽しそうに南瓜を持っている絵が出来上がりかけていた。
どこかからギターの演奏も聞こえてきていて。
どんどん賑やかになっていく街中。
それらをさっと見渡してから。
視線を戻せば、友人達も楽し気に壁に向き合っている。
ホワイトライオンのキマイラは、黄色いペンキでひたすら壁を塗っていて。そこに銀髪のネコキマイラが、ピンク色のスプレーで、文字だか絵だか分からない不可思議に曲がった線を縦横無尽に引いていく。ヒーローマスクの少女は、ピンク色の線に足をつけたり、空いたスペースに変な生き物を描いたりと、ちまちま刷毛を動かしていた。
だからソリも、よし、と頷いて。
オレンジ色のカラースプレーを手に、壁の前に立って。
でも何を描けばいいのだろうと戸惑っていると。
「ソリたちお絵かきしてるー♪」
そこにひらひらと、小天使が舞い込んできた。
にかっと笑いかけたその顔は、ソリも知っているもの。
元気に跳ねる短い赤茶髪に狼耳を生やし、その上に金色の輪っかを浮かべた木元・祭莉(マイペースぶらざー・f16554)は、背中につけた白く小さな翼の下で、先っぽの白から段々黒を混ぜて根本の赤茶色になっていくグラデーションを見せる狼尻尾をパタパタ揺らしながら、ひらふわした白い服でくるんと回る。
「おいらたちも混ざろー!」
その両手にはいつの間にかスプレー缶が握られていて。
テレビ画面を瞬かせるソリの前で、早速壁に向かっていった。
思わずぽかんとその様子を見てしまったソリだけれども。
「おいら……たち?」
祭莉の言葉のそこにこくんと首を傾げる。
そういえば、祭莉は双子だったと思い出し。いつも一緒の印象があった妹の木元・杏(焼肉処・杏・f16565)の姿が見えないことに気付いて。逆方向に首を傾げながら、それを問おうとした、その時。
「ふふ、わたしは小悪魔・杏」
静かに響いてきた声に振り向けば。
そこには、コウモリのようなオレンジの羽を背中に、先っぽがスペード型になった長い黒尻尾をスカートの下に、そして髪色と同じ黒い角を頭につけた黒いドレス姿の杏が、くーるにポーズを決めていた。
白いレースで縁取った黒いヘッドドレスは、角に結び付けるかのようにオレンジ色のリボンを添えて。黒いドレスもオレンジ色のレースで縁取られ、下に白いスカートを重ねてのハロウィンカラー。胸元を飾る大きなリボンもオレンジ色で、中央に走る白いラインが可愛らしさを増している。白とオレンジのしましま靴下と黒いヒールも、全体に意匠を合わせたもので。手にしたバッグは、お供のように、お茶目ででっかい顔のコウモリ型。
そんな見事なハロウィン小悪魔を見せつけるように、杏も、祭莉がしたようにくるんと回って見せると。
「そう、アンちゃんは小悪魔なんだー♪ おいらとお揃い!」
お絵描きしようとしていた手を止めて、祭莉がたたっと駆け寄り。杏の周りをぐるっと飛び回るように走り抜けた。
そして、特に何の合図もなく、双子はびしっと対のポーズを決め。
「ダブルでいたずらするよー♪」
「うん。いたずら」
きゃっきゃと楽しそうに笑い合う。
その見事な仮装に、そして何より息の合った仲の良い様子に。
ソリはまたぽかんとしながら、反射的にぱちぱちと拍手を送り。
「まずは、閉まったシャッターに、スプレーでしゅーってするんだよね!」
にやり、とワルい顔を見せた祭莉が、壁に戻っていくのを。
「まってまつりん。わたしも」
慌ててそれを追いかける杏を。
どこか呆然と見送っていた。
「なんか難しい漢字がいいかな?」
そんなソリの様子に気付かないまま、うきうき祭莉は、シャカシャカとスプレー缶を振りながら、ワルい絵柄をと考えて。
そうだ! と描き出したのは、『夜』『露』『死』『苦』の4文字。しかも1文字毎にスプレー缶の色を変えるというカラフルっぷりです。
そこに、杏がしゅーっと大きな弧を描いたスプレーは、次々と色が変わっていく虹色スプレーだったから。手軽にカラフルな虹が描き出されて。
「……楽しい♪」
杏の金瞳がキラキラと輝いていました。
「わー。よく分からないけど何だかカッコいー」
「うむ。ワルだな」
「でも何でワルくするっしょ?」
あっと言う間に1つの作品を仕上げた双子に、友人達が称賛の声を送るのを、また画面を瞬かせてソリが聞いていると。
「ソリ、何描くの?」
くるんと振り返った祭莉が、にかっとワルく笑いながら聞いてきた。
「ええと……」
咄嗟に、手にしていたスプレー缶をぎゅっと握り。
でも、決めてなかったソリには答えることができなくて。
「描きたいもの悩んでる?」
そこに杏が、とととっと駆け寄ってくる。
「そんな時はね、何も考えずにとりあえず塗る!
楽しくなれば、描きたいものがふっと頭に浮かんでくるよ」
ほら、と促す小悪魔に、おずおずと頷いたソリは。
言われた通り、目の前の壁に無造作にスプレーを向けた。
しゅーっとオレンジ色に染まっていく壁。
もちろんそれは何かの形になるわけもなく、ただ色がついただけだけれども。
それでも、それだけでも、楽しいって気持ちが湧いてきて。
そのオレンジの上に、杏がピンク色のスプレーでウサギの絵をぷしゅーっとすれば。
あっという間に作品が1つ出来上がったから。
「ね?」
「う、うん……」
笑いかけてくる杏に、ソリもはにかむような笑みを返した。
杏はさらに、近くの窓に黄色のスプレーで大きな星を描き。看板には見慣れた雌鶏の姿を描き。操るうさ耳付メイドさん人形にもスプレーを持たせて。
思いつくまま勢いのままに、どんどん絵を増やしていく。
「そうだ。友達を描くのもいいよね」
雌鶏の絵を見た祭莉が、村にいる守り鶏を思い出してソリに提案し。
ジャングルの奥地こそが似合いそうなヒーローマスクの少女と、体格のいいホワイトライオンのキマイラと、陽気な銀髪のネコキマイラを見回して。
「あまぞんらいおんねこ? ちょっと悪魔合体ぽくない?」
何故混ぜるのか。
ソリがツッコむべきかと迷う間に、祭莉は早速描き始める。
ぷしゅーと赤いスプレーを出せば。
「あ。手に付いた」
ぺたぺたと黒いペンキを塗れば。
「あ。衣装汚れた」
真っ白だったはずの小天使衣装はおろか、手も顔も足も髪も、どんどんカラフルになっていって。
「うさみん☆、まつりんに突撃ー♪」
「うわー」
そこに杏がけしかけたうさ耳付メイドさん人形がさらにぷしゅー。
「みんなも同じ色にしてやろーかー!」
またワルい笑顔を見せながら、羽根をぱたぱた動かしつつ、ぴょんぴょん跳ね飛んでの空中散歩から祭莉が無差別にカラフル攻撃を繰り出した。
「やったなー」
「うむ。応戦だな」
「負けないっしょ」
何だか落書きから違う遊びになってきた様子を、ソリは呆然と眺め。
「ソリも、トリックオアトリート!」
「うわわ!?」
そこに杏のスプレーがぷしゅー。
「ソリが南瓜色になったー」
「うむ。ジャック・オー・ランタンのようだな」
「驚き顔のジャックっしょ」
突然の展開に、ソリはテレビ画面をちかちかさせていたけれども。
「お菓子をくれないと……そうだ、ソリをコンコンするぞー!」
「そうはさせないっしょ!」
「うむ。コンコンコンは壁にすべきだな」
「ソリ防衛戦だー。かかれー」
「わー、嘘ウソ。逃げろー」
スプレー缶やペンキ缶を手に小天使を追いかける友人達の楽しそうな様子を見て。
「ふふ。カラフルハロウィン」
虹色のスプレーで頬を汚しながら微笑む杏を見て。
いつしか、ソリも笑顔を浮かべていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふえ、これは美白の魔法の出番ですね。
あのテレビウムさんがいますから間違いありません。
それにハロウィンが過ぎれば消えるのでしょうが、それまではそのままですから・・・。
ご高説はいいからはやくしろって、アヒルさんはせっかちですよ。
ところで、アヒルさんは何を描くのですか?
って聞くのも野暮ですね。
その大量の白のペンキと黄色のペンキを見れば分かります。
私は・・・。
聞いてくれないんですか?
私が描くものも単純だから分かるって
ふええ、せっかくアヒルさんの絵に素敵な帽子を被せようと思ったのに。
バレてしまいました。
いろんなところでわいわいと、カラフルに彩られていく街並み。
元々ポップでサイバーパンクな街ではあったけれども、普段以上の色彩に陽気に染め上げられていく景色を眺めたフリル・インレアン(大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)は、ぽんっと手を打った。
「ふえ、これは美白の魔法の出番ですね」
分かりました、と告げた言葉に、いつも一緒のアヒルちゃん型のガジェットが、どこかツッコむような鳴き声を上げる。
フリルの言う『しっとり艶々なお肌を守る美白の魔法』とは、蒸気で肌をスキンケアすることで、摩擦抵抗を極限まで減らすユーベルコード。紫外線など、ありとあらゆる『有害な光』からその身を守る能力だけれども。
何故、ペイントされまくってる街でそれなのか。
鳴き声だけでなく、その黄色いくちばしをフリルへ向けるガジェットだが。
「あのテレビウムさんがいますから間違いありません」
カラフルになっていく街の一角を指差して、自信満々にフリルは言い切った。
示した先にいるのは、友人達と共にペンキまみれになっているソリ。
これまでも様々なオブリビオンがらみのトラブルに巻き込まれ、その度に猟兵に助けられてきたテレビウムで。その事件の幾つかでは、確かに『しっとり艶々なお肌を守る美白の魔法』が有用だったのだけれども。
その時の印象が強すぎて、フリルの中で『ソリ=美白の魔法』の方程式が確定してしまっているのは何なのか。
まあ、今回も、ペンキまみれになりやすい状況だから、汚れにくい状態を作り出すという意味では間違ってはいないのだけれども。何かハロウィンが過ぎると勝手に消えるらしいとはいえ、ハロウィンの間である今は汚れる一方なわけですし。別にこのユーベルコードで不利になったり害になったりするわけでもないので。
細かい事は放っておいて、折角のお祭り騒ぎを早く楽しもうという気持ちは、ある。
でもやっぱり、ソリがいる、というだけで、状況をしっかり把握しないままにユーベルコードを発動させるのはどうかとツッコみたい部分もあり。
今度は鳴き声と共に、ガジェットのくちばしがフリルに突き刺さった。
「ご高説はいいから早くしろ、ってアヒルさんはせっかちですよ」
突かれた頭を帽子の上から押さえながら、フリルは涙目で訴える。
その間にも、ガジェットは、転がるようにしてペンキの缶へと近づいていき。着々と落書きの準備を進めていった。
「ところで、アヒルさんは何を描くのですか?」
その様子に、フリルはつい問いかけたけれども。
真っ白な身体に黄色いくちばしがついたアヒルちゃん型ガジェットの周りに集められていたのは、大量の白色ペンキ缶。その中に1つだけある黄色のペンキ缶。
その色の選択と量で、聞くまでもなかった、とフリルは悟る。
「では、私は……」
だからフリルは、自分の帽子と同じ青色のペンキ缶を手に取って、何を描くか分かりますか? と聞くかのように、ちょっと悪戯っぽくガジェットに笑いかけた。
けれどもガジェットはフリルをちらりと見ただけで何も鳴かず。
「聞いてくれないんですか?」
少しむっとしつつも悲し気な表情で尋ねれば。
返ってきたのはため息のような鳴き声。
「私が描くものも単純だから分かる、って……そっ、そんなことは……」
ガア。
「……ふええ、その通りです。
アヒルさんの絵に素敵な帽子を被せようと思ってました」
バレてしまいました、と困ったように苦笑するフリルへ、またガジェットが鳴き。
呆れたような、でもさっきよりも優しいようなその声を聞いて。
フリルは、壁に描かれた大きなアヒルに、青色の帽子を描き始めた。
大成功
🔵🔵🔵
木霊・ウタ
心情
街ごと仮装ってのは
如何にもキマフューのハロウィンらしいな
折角だから目一杯楽しむぜ
行動
南瓜のマスクを被って
隙間から地獄の炎をちらちらと燃やす仮装
火力は調整して
すぐに南瓜が黒焦げにはならないように
ゆっくりと焼き南瓜になるようにしとく
んでワイルドウィンドをじゃかじゃんと奏でながら
カラフルな街中を散策して
皆の作品を鑑賞するぜ
作業中なら応援するようなメロディを
完成してんなら
そのアートにインスピレーションをうけての即興を奏でる
盛り上げていくぜ
思い思いが楽しんでいて
賑やかでいいよな
刹那的な世界だけど
皆、好きなことに夢中になっていて、自由で
生命力を感じるぜ
っとあれはソリか
何を描いてんだろうな
ダチの姿とか?
南瓜のマスクを被った木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)は、じゃかじゃんとギターをかき鳴らしながらカラフルな街を歩く。
「街ごと仮装ってのは、如何にもキマフューのハロウィンらしいな」
様々な世界で様々な人々が仮装を楽しむのを見たことはあるし、猟兵達の驚くほど多彩な仮装行列も見てきているけれども。街を、しかも飾るを通り越したレベルでハロウィンに塗り替えてしまうのを見るのは、さすがキマイラフューチャーと言うしかない。
いつも以上に陽気で騒がしくなっている街中を眺め、マスクの下でにこにこと笑いながら、ウタは愛用のギター『ワイルドウィンド』を奏でる手に力を込めた。
「折角だから目一杯楽しむぜ」
じゃかじゃん。
まだ色彩の少ない壁を前に、何を描こうかわいわい話しながらペンキ缶や刷毛を手にしていた男性キマイラ達へ、応援するような力強い曲を届ければ。それに応えた彼らは、折角だから超大作に挑もうと、大きな大きな南瓜を目指して動き始め。
カラフルな背景を前に魔女が躍っている絵を壁に描いたキマイラの少女達が、その絵の前で絵と同じように踊って楽しんでいるのを見ると。その踊りに合わせて、テンポのいい元気で弾むような曲を奏でてさらに盛り上げる。
毛の1本1本すら躍動的な見事な狼男の絵や、濃く鮮やかな色合いで強烈に目を惹くハロウィン定番の合言葉の絵文字など、とっくに完成して描いた当人達が既にそこに居ない作品にも、鑑賞しながらその感想を伝えるように、絵に合わせた曲を演奏し。
カラフルな壁に『宝探しはこちら→』と描かれたその前で、お菓子パーティーを繰り広げていたキマイラ達からは、ポップな曲をリクエストされ。
大きな白いアヒルに青い帽子を描いていた少女が、急な音楽に驚いて、被っていた帽子を引き寄せるようにしてしゃがみ込んでしまったりもしたけれども。
「賑やかでいいよな」
思い思いに楽しんでいる彼らの様子に、ウタの笑みが深くなる。
「刹那的な世界だけど、皆、好きなことに夢中になっていて、自由で……
生命力を感じるぜ」
そしてその『好きな事』を応援するかのように。
感じた『自由』を『生命力』を表現していくかのように。
ウタは曲を奏で続けた。
大好評だったのは、そのギターの奏でだけでなく。
「ねえねえ、あの仮装すごくない?」
「え、あれ、燃えてるよね? 本物の火だよね?」
ウタが被った南瓜のマスクにもキマイラ達の視線が注がれる。
何しろ、マスクの隙間からちらちらと、炎が見えているのだから。
普通に考えれば、火のついたマスクなんて、被ってる人も焼ける危険物だけれども。
何しろウタはブレイズキャリバー。
そしてこの炎は、ウタ自身が出している地獄の炎だから。
むしろ、あっという間に南瓜を黒焦げにしないように火力調整して、ゆっくりと焼き南瓜を作っている状態だった。
「南瓜が焼けたら食べるのかな?」
「いやいや、中身くり抜いてるでしょ。被ってるんだから」
「そっか。残念」
ちょっとズレた意見も聞こえて、ウタは苦笑しながらも。仮装でもキマイラ達を楽しませることができていることに、嬉しく心を弾ませて。
その気持ちをまたギターに乗せようとして、気付く。
「……っと、あれはソリか」
見知ったテレビウムの友人の姿に。
その周囲に、いつもの仲間達もいることに気が付いて、また嬉しそうに笑い。
壁を前におろおろしているそちらへと足を向けた。
ソリは何を描くのだろう?
近くには、黄色を背景にピンク色の不可思議な物体が描かれていたり、オレンジ色のラインにウサギの絵が並んでいたり、不穏な漢字4文字が刻まれていたりと賑やかで。
そして、ソリの目の前の壁よりも、ソリ自身やその仲間達の方が、カラースプレーでだろうか、カラフルに染め上げられていたけれども。
ソリはそんな仲間達を楽しそうに見ながら、刷毛を握りしめていたから。
「ダチの姿でも描くのか?」
問いかけたウタに、南瓜色に染まったソリが振り返った。
大成功
🔵🔵🔵
コイスル・スズリズム
仲良しのオーナーさん(f03848)同行だよ!
衣装は2021年、今年のかぼちゃの妖精の衣装で参加!
キマイラフューチャーの世界は久しぶり
いろんなものがあって、ポップで可愛い世界
この世界で、大好きなハロウィン。どんなお祭りなのか楽しみだよ!
街の一角で好きに飾るんだね
スケールが大きい。さすがキマイラフューチャー!
スプレーですずも壁にひたすら描いてみよう!
オーナーさんとそれぞれ分かれて、壁を描く。
後でお互い完成したのを眺めよう
絵はそれなりに得意だから
オレンジや緑、紫といった南瓜カラーのスプレーをもって
一緒に同行する仲良しのオーナーさんを描いちゃおう!
デフォルメされた、ポップで可愛い感じの絵柄で
ついでに周囲にはかぼちゃの絵をたくさん描いて
オーナーさんの手にもかぼちゃをもたせちゃおう!
あとはハートのエフェクトだとか
キマイラフューチャーが大好きだから、そういった気持ちも込めて
完成したら
オーナーさん!何描いたの?
オーナーさんが描いていたものを見にいくよ
なんだろこれ?
い、いい感じだね!
とフォローしておくわ
小宮・あき
すずちゃん(f02317)と。
明確な仮装はないけれど、何も無しはちょっと寂しいね。
いつものディアンドルに、赤いポンチョを着て。
ねえ、すずちゃんは何を描く? 私こういうの初めてなの。
雑談をしながらスプレー缶を確認。あれ、意外に色の種類は少ない?
なるほど、吹きかける時間や強度に応じて、色合いが変化するんですね。
薄く重ねる事で下の色と混ぜて使う事も…?
何はともあれ、実践あるのみ!
私はすずちゃんを描きます。
ハロウィンの世界に妖精さん、可愛いと思うんだぁ。
黄色のスプレーは、すずちゃんの髪の色。
シャカシャカと振り、ツインテールを強調するように吹きかけます。
あれ、高さが違ったかな、こっちは上手くカーブが描けない…。
もう少し強く押して…、ああっ、押しすぎて顔の部分が黄一色に!
し、しかたない、肌色がちょっと黄色くなっただけとして、そうだわ、顔、顔を描きましょう。
黒スプレーで瞳を。む、最初は出にくいのね。少し強く……、あああ。
す、すずちゃーん、どう? 私、太陽書いてみました。
く、黒い部分? 黒点だよ。うん。
「すずね、いろんなものがあってポップで可愛いこの世界、大好きなの」
久しぶりのキマイラフューチャーに弾む心のままに、コイスル・スズリズム(人間のシンフォニア・f02317)は軽やかな足取りで街中を進む。
「ハロウィンも大好き。
だから、大好きの大好きでどんなお祭りなのか楽しみだよ!」
くるりと踊るように回るその仮装は、かぼちゃの妖精。
ストレートビスチェに近い、細い肩紐を飾るスクエアネックのドレスはかぼちゃに合わせたオレンジ色。胸元を不思議で妖しくも可愛らしい模様で飾り、腰にはノブドウの蔓が巻き付いたかのように何枚もの葉をつけている。ふわっふわのスカートには雨雫を思わせる大粒ビーズが輝いて。首には肩紐と同じシンプルな黒い紐で、リボンを結ぶ。
妖精らしく、背中には小さな蝶の翅を淡く黄色く光らせて。長い金髪は、右側はピンク色、左側は紫色のリボンを巻き込み花のように可愛らしく飾りながらふんわりおだんごにして、さらに長く伸ばした部分が、楽し気な動きに合わせて踊っていた。
ハロウィンを思いっきり楽しもうという気持ちが溢れ出しているうきうきわくわくな仮装で、コイスルが辺りを見れば。普段からサイバーパンクでポップな街は、それ以上に賑やかで鮮やかな装飾を様々に施されていて。コイスルに負けないくらい、ハロウィンを楽しんでいたから。
道や壁……どころか街の一角全てが、蛍光塗料やら華やかな原色やらで、どんどん彩られていくのを眺めて、コイスルは藍色の瞳をさらに輝かせる。
「スケールが大きい。さすがキマイラフューチャー!」
準備中とはいえ期待以上の光景に、いつの間にか満面の笑みが浮かんでいた。
その後を追うように、こちらも周囲に目移りしながら行く小宮・あき(人間の聖者・f03848)も、華やかな街に驚いたような笑顔を浮かべる。
その服装は、黒地にそっと花柄のラインを添え、前をボタンで留めたボディスと。肩口で短くも揺れる袖の縁に葉模様をあしらい、襟を深く刳った白いブラウス。裾に白いフリルをつけた空色のスカートの上でふわりと揺れるエプロンでは、中央に黄緑色のラインを挟んだピンク色の縦ストライプが、縁側で花葉の模様を挟みながら、清潔感のある白い布の上を走って。ピンク色の髪の上では白いフリルと赤い花を添えたヘッドドレスが、すらりと健康的に伸びた脚の先にはヒールが、ボディスと同じ黒色で印象を引き締める。
そんな、伝統的な衣装であるディアンドルは、今はオクトーバーフェストなどのお祭りの服装になっているのだけれど。あきにとってはいつもの格好だったから。
ハロウィンらしく何か仮装を、と考えて。
あきはディアンドルの上から赤いポンチョを着ていた。
フードがあったなら童話の『赤ずきん』にもなれそうな赤色は、あきの白い肌や長いピンク色の髪を引き立て、鮮やかに彩りを加えている。
そんなちょっとした仮装だけれども。一緒に楽しもうとしてくれている、そんなあきの気持ちが感じられて。
「オーナーさん、すず達もやってみよう!」
コイスルはさらに笑みを深め、ご自由にどうぞと用意されていたカラースプレーの缶をぽんぽんっと手に取った。
くるくるしていた足を止めたのは、まだ誰にも何も描かれていない壁。
ここを2人のキャンバスにしようと、もっと楽しいを作り出そうと、コイスルは未だ無地の……といっても今でも充分にポップな壁にスプレーを向ける。
どんなもんだろうとまずはお試しでスプレーを押せば、ぶわっと広がる紫色。
おおー、とその鮮やかさと色合い、そして手軽さを実感して。じゃあこっちのスプレーは、とコイスルは次々と、夢中になってスプレーを押した。
「きれいですね」
それを見たあきも、オレンジ色のスプレー缶を手にして、ぷしゅー。
自分で彩ることができた壁に、わくわくする感覚に、わあっと表情を輝かせる。
けれども。用意されていたスプレー缶を見下ろして、ふと首を傾げた。
「あれ、意外に色の種類は少ない?」
確かに、スプレー缶はかなりの本数が用意されてはいたものの、同じ色ばかりに見えるほどにその色数は限られていて。10色あるかないかといったところ。
あきが見てきた色鮮やかな壁のアートには、もっと色味があったと思うのに、と不思議に思っていると。
「これだけあれば充分なんだなー」
通りかかった、クマのキマイラらしき穏やかなおじさんが、見てるんだなー、とスプレー缶を手にすると。あきが試しに描いていた壁に、緑色のスプレーを、緩急をつけて吹き付けて。さらにそこに、黄色のスプレーを薄く重ねて見せる。
「なるほど、吹きかける時間や強度に応じて、色合いが変化するんですね。
薄く重ねる事で下の色と混ざって別の色にも……」
「わー。なるほどなるほど。すごいすごい!」
感心して頷くあきの横から、コイスルもひょいっと覗き込んで。薄緑から濃緑、そして黄緑色にと変化した緑の壁を見て大喜び。
早速、白と赤のスプレーで試してみれば、ピンク色が出来上がり。コイスルは、やったぁと飛び上がった。
そして、練習は終わりとばかりに壁を見渡すコイスルに、尋ねたのはあき。
「ねえ、すずちゃんは何を描く? 私こういうの初めてなの」
「何を描いてもいいんだよ」
ほら、とコイスルが指し示した先には、大きな大きなかぼちゃに踊る魔女、躍動感に溢れた狼男や派手な『Happy Halloween』の文字など、ハロウィンらしい絵柄だけでなく、アヒルやウサギ、ピンク色の不可思議な生き物から『宝探しはこちら→』という案内文字まで、本当に色々と、何でもあったから。
よし、とあきは気合いを入れて。
「そうね。何はともあれ、実践あるのみ!」
「すずもやるよ!」
「んー。めんこい妖精さん達、がんばってなー」
応援しながらその場を立ち去るクマキマイラにお礼の手を振ってから。
「それじゃ、すずがあっちでオーナーさんはこっちの壁。後でお互い眺めようね」
「ええ」
2人はスプレー缶を手に、それぞれの壁に向き合って、絵を描き始めた。
「私はすずちゃんを描きましょう」
ふふっと微笑んだあきは、先ほどまで見ていたコイスルの姿を思い出して。
「ハロウィンの世界に妖精さん、可愛いと思うんだぁ」
まずはシャカシャカとオレンジ色のスプレー缶を振る。
ぷしゅーっと白色と重ねて吹き付けて、顔の元にするつもりでちょっと歪な薄橙色の円を大きく描くと、今度は黄色のスプレー缶に持ち替えて。頭の部分から描くのは、コイスルの特徴である、金髪のおだんごツインテール……だったけれども。
「あれ? 高さが違ったかな」
左右でおだんごの大きさも高さも、髪の長さも変わってしまい。
「こっちは上手くカーブが描けない……もう少し強く押して……ああっ、押しすぎ!」
前髪どころか顔の半分以上が黄色く染まってしまう結果に。
「し、しかたない、肌色がちょっと黄色くなっただけとして……
そうだわ、顔。顔を描きましょう」
それを取り戻そうと、黒色のスプレーを手にして。にっこり笑っている目を描こうとするけれども。
「む、最初は出にくいのね。少し強く……あああ!」
……そんな惨劇の最中。
コイスルの方は順調に絵を描き進めていた。
仲良し同士、同じことを考えていたらしく、壁でオレンジ色のかぼちゃに囲まれて笑うのは、デフォルメされたポップで可愛いあきの姿。もちろん、赤いポンチョを羽織ったディアンドル姿です。
ちゃんとデフォルメあきの手にもかぼちゃを持たせて、周囲にハートも飛ばして。キマイラフューチャーが大好きな気持ちを、ハロウィンを楽しむ気持ちを、そして何よりあきと一緒に居れる幸せな気持ちを、ぎゅぎゅっと詰め込んで。
完成! と思って、達成感溢れる息を吐くと。
「す、すずちゃーん、どう?」
「オーナーさん! 見て見て」
丁度タイミングよくかけられたあきの声に、コイスルはぱあっと顔を輝かせた。
近寄ってくるあきの手を片手で握り、早く早くと言うように引っ張って、もう片方の手で壁を示せば。
「これ、私?」
「そう、オーナーさんだよ!」
可愛らしくハロウィンを楽しむ自分の姿に、あきが驚きと喜びを露わにする。
「ふふっ。可愛い」
「ありがとう!」
その喜びをお礼の言葉にすれば、コイスルもまたにっこり笑って。
「オーナーさんは何描いたの?」
そのまま止める間もなくコイスルはあきの壁へと振り返った。
そこにあったのは、白とオレンジが一部混ざった、歪な黄色の円。ちょっと丸く出っ張っていたり、尻尾か蔓かというようににょろんとはみ出している部分もあったけれども、全体的には大きな大きな黄色い円形の……何か。
「なんだろこれ?」
「私は、その……太陽書いてみました!」
「この黒いのは……」
「く、黒……えっと……あ、黒点だよ。うん」
重なるコイスルの質問に、しどろもどろにあきは答え。
そして、頭の大きい蛇みたいにも見える黒色の不思議な柄が、そもそも黄色の部分それ自体が、太陽にすら見えないコイスルも悩み、考えて。
「い、いい感じだね!」
「そ、そう? ありがとう」
頑張ったフォローに、あきも少し引きつった笑みを返した。
あはは、と乾いた笑いが2人の間を流れ。
陽気なギターの音が、何とも言えない空気を醸し出して。
「えっと、その……
あっ、すずちゃんの描いてくれた私、手に何か持ってる?」
気を取り直すかのように、あきはコイスルの描いた絵を指し示す。
コイスルに引かれたその時のまま繋がれた手を、今度はあきが引いて。
ハロウィンなデフォルメあきの絵へと向き直れば。
「うん。ハロウィンだから、かぼちゃ持たせてみたのね」
嬉しそうに説明するコイスルと、絵と同じように楽しそうに微笑んだあき。
2人並んだ背中を、黄色い太陽が大きく大きく見守っていた。
大成功
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第2章 ボス戦
『クラリス『暗裏素』』
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POW : 羨望と喪失のサイトライン
【技能を用いた活躍を見せつけられること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【技能レベルをマイナスにする視線】で攻撃する。
SPD : もっと不幸なパッシングネイバーズ
戦闘力のない、レベル×1体の【陰鬱怪人(不幸型)】を召喚する。応援や助言、技能「【かばう、目立たない、闇に紛れる】」を使った支援をしてくれる。
WIZ : 魂沈めのサウンドシャッター
【無音の空間】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全対象を眠らせる。また、睡眠中の対象は負傷が回復する。
👑11
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どんどん華やかに、どんどん明るく、どんどん賑やかになっていく街並み。
そんなハロウィン騒ぎ真っ只中な場所にまた1人、足を踏み入れた者がいた。
だがその少女の姿は、鮮やかなハロウィンムードとは真逆のもので。
灰色のシャツに、首元の黒色のリボン。スカートも黒な上、裾にあるフリルは暗色の紫だから、デザインは華やかなのに地味な印象を与える。短いマントのように羽織った上着や、色彩を拒否するような灰色のツインテールを飾るリボンも、同じくすんだ紫色で。青い瞳もどこかどんよりと濁っている。
表情も晴れやかとは程遠く。どこか疲れ切った、そして、賑やかな街を呆れて嫌悪するかのような、そんな陰鬱な雰囲気を持っていた。
ふらふらと力ない、というか、歩くことすら憂鬱と言わんばかりの足取りで、少女は、色とりどりの壁の間を忌々しく進んで。
「……だからキマイラフューチャーは嫌いなのよ」
「え……?」
ぽつりと零した声が聞こえて、オレンジ色のソリは振り向いた。
陰鬱な少女……オブリビオン『クラリス』(ちなみに漢字表記だと『暗裏素』になるそうです)は、大きく大きくため息を吐くと。
その周囲に、不幸型の陰鬱怪人が大勢現れる。
そして、陰鬱怪人が触れた壁から、色が消えた。
「え!?」
「ああ、殺風景で、いいわね……
この世界が全部ネガティブに、目立たなくなればいいのよ」
にやり、と歪んだ笑みを浮かべるクラリス。
「だって、明るいことや賑やかなことは続かないわ。
ハロウィンだって終わってしまえば寂しいものよ。
だから、暗くて静かで、殺風景な世界を作るの。
ずっと暗くて静かなら、寂しさなんてないわ。
明るくて賑やかなことがあるから、寂しいのだもの」
呆然と見つめるソリに、クラリスはどんよりした瞳を向けて。
その間にも、陰鬱怪人が壁の鮮やかな色彩の絵を、目立たない白黒に変えていって。
「ねえ、そうでしょう?」
重ねられた問いかけに、ソリの手からカラフルなスプレー缶が、落ちた。
木霊・ウタ
心情
ずっと暗くて静かなら寂しいと思うけど
そんな世界なんで御免だぜ
戦闘
ソリはじめ戦場内の一般人を庇い避難させる
UC発動
皆の想いや情熱込めて
さっきの様々なアートやパフォーマンスに合わせた即興曲を弾く
無音の空間を
音で打ち破り押し返す
そして地獄の炎は何でも燃やす
無音という事象を焼却し灰に
皆の想いを止められるものか
眠りそうな者を庇う
自分が眠りそうになったら
爆熱の衝撃で覚醒
楽しい時を
その後を考えて楽しめないなんて
可哀そうな奴だな
祭りも
その後の日常も俺は好きだぜ
…まあキマフューは毎日が祭りっぽいけど
紅蓮に抱かれて眠れ
演奏を続け炎の旋律で暗裏素を灰に
事後
そのまま演奏を鎮魂曲とする
ノれば楽しかったのにな
安らかに
「こんな、明るくて賑やかなキマイラフューチャーなんて。
全部ネガティブに、暗くて静かで殺風景な世界になればいいのよ」
歪んだ笑みを浮かべたオブリビオン『クラリス』が、どこかやる気なく、無造作に片手を振ると、周囲から音が消えた。
陰鬱怪人が色を奪い、クラリスが音を奪う。
広がる静寂。無音の空間。
唐突に、白黒で静かな世界となった辺りを、ソリは戸惑うように見回して。
友人達も驚き、慌てだす。
「もしかして一瞬で消えるってこれー!? 都市伝説は本当だったー!?」
「うむ。しかしハロウィンはまだ終わってないな」
「それに何だか眠くなって、きた……しょ……」
その騒がしくも賑やかな声すらも奪おうと思われてしまったのか。
不意に眠気が襲い来て。
ソリもふらりとテレビ画面な頭を傾がせ、力の抜けた手からスプレー缶が落ちた。
しかしそこに。
激しくかき鳴らされたのは木霊・ウタ(f03893)のギター。
眠気を吹き飛ばすかのように。
そして、無音の空間を打ち破り、押し返すかのように。
「楽しい時を、その後を考えて楽しめないなんて……可哀そうな奴だな」
じっとクラリスにその視線を向け。
眠らされかけた者達を、一部眠らされてしまった者達を、庇い、そして覚醒させながら即興曲を弾き続ける。
それは、ハロウィンを楽しんでいる皆の想いや情熱を込めた曲。
ウタが見てきた様々なアートやパフォーマンスに合わせて作り上げた、今この時の楽しさを凝縮した旋律。
「こんなことで、皆の想いを止められるものか」
クラリスに奪わせはしないと、取り戻していく祭りの一時。
でも、それだけではなく。
「それに、祭りも、その後の日常も、俺は好きだ。
毎日の『いつも』の中にも、楽しい事はあるからな」
楽しい音は、いつどこにでもあるのだと。
祭りだけが楽しいなんてことはないのだと。
それも伝えるように、ウタはギターに思いを込めた。
祭りに比べたら小さいけれど、日々の中にある楽しいを、曲の中に散りばめるように。
そして、祭りを思い出すことで、祭りも日常もより楽しめると教えるように。
(「まあ、キマフューは毎日が祭りっぽいけど」)
ちょっと苦笑も混ぜながら。
ウタは愛用のギターに思いを乗せる。
「ずっと暗くて静かな方が寂しいと思うぜ。
そんな世界なんで御免だ」
魔女の絵と共に踊っていたキマイラ達が、また踊り出すのを見て。
頷いていたソリが、友人達に誘われて、巻き込まれるかのように踊り出すのを見て。
「あんたもノれば楽しかったのにな」
明るさと賑やかさを取り戻した周囲を、苦々しく鬱々と見ているクラリスの姿に、残念そうに苦笑したウタは。
ギターの旋律に地獄の炎を乗せて。
不死鳥の嘶きの如き音と轟かせると共に、空を裂き。
「紅蓮に抱かれて眠れ」
無音という事象ごと灰にするかのように、クラリスを燃やした。
大成功
🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふえ?今日は移動はしないんですね。
つまり、猟書家さんは関係なかったんですね。
でも、たった1日限りのハロウィンアートの邪魔はさせませんよ。
ふえ?このユーベルコード、私知っているような気がします。
クラリスさんとは今日初めてお会いしますし、どこででしょうか?
それにここまで強力なものではなかったような気がします。
考え込んでいたら指定されてしまったようです。
おやすみなさい・・・ZZZ。
ふえ?アヒルさん起こす時は優しくしてって、あれからどうなったんですか?
えっと、つまり
アヒルさん、真っ白だからクラリスさんに気付かれなかったんですね。
嫌悪の表情と共に現れた『クラリス』を見つけたフリル・インレアン(f19557)は、だが相手よりも自分の周囲をおどおどと見回して。
「ふえ? 今日は移動はしないんですね。
つまり、猟書家さんは関係なかったんですね」
キマイラフューチャーで猟書家と関わることの多いフリルは、猟書家の定番、悪の拠点みたいなところへなんやかんや転送される、という事象に慣れ過ぎてしまっていて。ゆえに、ただ現れただけのクラリスに、戸惑っているようだった。
しかしそれも束の間。すぐに倒すべき敵に向き直って。
「でも、たった1日限りのハロウィンアートの邪魔はさせませんよ」
むんっ、と頑張って気合を入れる。
その時、クラリスがどこかやる気なく、無造作に片手を振るった。
発動するのは『魂沈めのサウンドシャッター』。
「ふえ? このユーベルコード、私知っているような気がします」
広がる無音の空間に、だがフリルは何となく既視感を覚える。
クラリスと会った記憶なんてないから、今日が初対面で間違いない。
となれば、クラリスの使うユーベルコードも、見るのは初めてのはずなのに。
どこで知ったというのか。
「それに、ここまで強力なものではなかったような気がします」
不思議な感覚に、フリルは、むむ、と考え込む。
クラリスが誰かを真似ていて、その誰かをフリルが知っているのか。
でも、そんな『誰か』の心当たりもすぐには浮かばないし。
覚えていないのなら、考えても答えは出ないのだけれども。
それでもフリルは、つい、考え込んでしまって。
そのまま、ユーベルコードが誘う眠りに落ちていった。
音のない世界。
だからこそ静かで平穏で。
とてもとても……寂しい、世界。
スコーン!
「ふえええ!?」
唐突な衝撃に、フリルはがばっと起き上がる。
眠り閉じていた赤い瞳をぱちっと開いて、痛む額を押さえながら。
「アヒルさん起こす時は優しくしてって……」
恐らく、その黄色いくちばしを体当たりな勢いでぶつけてきたであろう、アヒルちゃん型のガジェットに非難がましい視線を向けて。
ふと、思い出して辺りを見回した。
「あれからどうなったんですか?」
フリルは、猟書家ではないとはいえオブリビオンと対峙したところだったはず。
そしてそのユーベルコードで眠らされて。
気付けば周囲にはかぼちゃ型のカラフルな紙片が舞い、数多のウサギが走り回って、そこにウサミミメイドな人形も混じっていて。
そこにクラリスの姿は、ない。
「えっと……」
混乱するフリルに、ガジェットが、どやっと胸を張っていたから。
はっとフリルは気付く。
自身のユーベルコードの中に、自身が敵のユーベルコードを受けたその隙に死角からガジェットが攻撃する、アヒル真拳『フリルを斬らせて敵を断つ』があったことを。
だとするならば、フリルが眠らされている間にガジェットが活躍してくれたのだろう。
そう判断して、フリルは、ほうっと息を吐く。
胸に満ちるのは、無事に戦いが終わった安堵感。そしてさらに、自分を犠牲にして活躍したであろうガジェットのドヤ顔への思いが、ふつふつと湧き上がってきて。
「つまり、アヒルさん、真っ白だからクラリスさんに気付かれなかったんですね」
白いそのボディを見やり、少し恨みがましく告げると。
またガジェットのくちばしが、フリルの頭部に炸裂した。
スコーン!
「ふえええ……」
大成功
🔵🔵🔵
ティエル・ティエリエル
むむむー、ハロウィンを楽しんでないヤツ発見だ!
世界をネガティブにするなんて、そんなことさせないよ♪
それに、楽しいことが終わったら、次の楽しいことを見つければいいだけなんだぞ☆
とりっくおあとりーと!お菓子をくれないみたいだからイタズラをしかけちゃうぞ☆
【妖精姫のいたずら】を使ってクラリスの服の中に潜り込んじゃう!
無音の空間を放とうとしても、テクニシャンなボクのこちょこちょで笑わせて無音になんてさせないよ♪
ふふーん、これでクラリスも笑顔でみんなの仲間入りだね!
※アドリブや他の方との連携も大歓迎です
探偵コスプレでお菓子を抱え、陽気にくるくると宙を舞っていたティエル・ティエリエル(f01244)だったけれども。
周囲の壁に描かれていた色とりどりの絵が、次々と色を失っていくのに気付いて、お菓子を虫眼鏡にまた持ち替える。
「むむ? むむむー!」
拡大してもやっぱり殺風景な景色をずっと辿って。どんどん殺風景にしていく陰鬱怪人の間をすり抜け。眠そうに目を擦るキマイラ達も超えた先で。
「ハロウィンを楽しんでないヤツ発見だ!」
見開いた青い瞳に虫眼鏡を当てたまま、空いたもう片方の手で、ティエルはオブリビオン『クラリス』をびしぃっと指差した。
その声に、クラリスがちらりとティエルを見やるけれども。
小さなフェアリーが騒いでも何もできないと思ったのか、それとも陽気なティエルの相手をするのも賑やかで嫌なのか、はたまた単にやる気がないだけか。無感動で暗い視線はすぐに、どうでもよさげに反れていく。
そんな反応を、ティエルは無駄に虫眼鏡越しに、また、むむむーと凝視して。
「世界をネガティブにするなんて、そんなことさせないよ♪」
そっちがその気なら騒いでやると言わんばかりに、くるんと回って踊ってみせた。
その踊りに合わせたかのように、ギターの力強い旋律が響いてきて。
さらに、ティエルにとっては大きな、かぼちゃ型の紙片がカラフルに舞い散る。
奪われた賑やかさが戻ってきたかのような光景。
両手を広げてそれらを指し示したティエルは。
「楽しいことが終わったら、次の楽しいことを見つければいいだけなんだぞ☆」
ほら見つかってるでしょう? と言うように、紙片を虫眼鏡でじっと観察する様子を見せてから。よいしょ、と紙片を両手で持って、一緒にくるくる踊っていく。
それでも、クラリスの暗い表情は晴れないままだったから。
それならば、とティエルはぽいっと虫眼鏡を放り投げ。
「とりっくおあとりーと!
お菓子をくれないみたいだから、イタズラしちゃうぞ☆」
狙うのは妖精姫のいたずら。
クラリスの纏うくすんだ色合いの地味な服は、手と顔以外に露出がなく、ぴったりと隙のないものだったけれども。今は何故かその服に少しだけ乱れが見え、潜り込む隙間が作られていたから。
そこからするりと小さなティエルは潜り込んで。
「こちょこちょこちょー☆」
「ふひはひゃはふふふふあははははは!」
小さな手の巧みな動きでくすぐられたクラリスが、さすがに笑い声を上げた。
自身が生み出した無音の空間を、自身で打ち壊していくかのような明るい声。
引きつった顔にも、たまらず笑みが混ざっていくから。
「ふふーん、これでクラリスも笑顔でみんなの仲間入りだね!」
明るくて賑やかで楽しい中にクラリスを引きずり込んで。
ティエルも笑顔で、小さな手を動かし続けた。
「こちょこちょこちょー☆」
大成功
🔵🔵🔵
小宮・あき
すずちゃん(f02317)と。
モノクロが好き、カラフルが嫌い。
なるほど、賑やかなのが嫌いなのね。
クラリスさんと対話するのは、すずちゃん。
彼女なら、きっと楽しく誘うんじゃないかな。
なので私は、召喚される陰鬱怪人を抑えにいきますね。
UC【助けてウサギさん】
レベル×5体、575匹のウサギを召喚。
ウサギの色は、カラフルに行きましょう。
ホワイト、ブラック、オレンジ、グレー、ブルー。
種類も色々、サイズも色々。
え~い、と賑やかに楽しく召喚して、陰鬱怪人を抑えに掛かります。
攻撃されたらすぐ消えちゃうけど、数の暴力で。
ハロウィンは、黒とオレンジのイメージ。
この後は、クリスマスですね。赤と緑。
それが終わったら、ニューイヤー。
ジャパニーズニューイヤーだと赤と白ね。
モノクロが好きな人にとっては、目に痛い時期かもしれないね。
カラフルが好き、モノクロが好き。
好みは良いと思うけど、押しつけは良くないわ。
皆楽しく、楽しめたらいいのにね。
この辺、ホテル経営に盛り込めないかな。モノクロが好きな人も、楽しんでもらうには…。
コイスル・スズリズム
引き続きオーナーさん(f03848)と同行だよ!
衣装は前回と同じかぼちゃの妖精の装いで参加する
カラフルだらけなキマイラフューチャーが、もっとカラフルになったね!
敵さんの姿を見たら
ツインテールも服装もカワイイ!とまずは挨拶するよ
すずはハロウィンが大好きだから
終わっちゃう寂しさっていうのが、すずにもなんとなくわかるよ
だから今は、そんな寂しさも吹っ飛ばすくらい、明るく染めよう!
いつだって何度だって世界は明るくも暗くもできるもの
一緒にすずとも、このお祭りで遊ばない?
といってUCを発動する。
カラフルなかぼちゃカラーに染めて
かぼちゃの形をした紙幣をあたり一面にばらまく
そんな紙幣を足場に攻撃力を高めながら、ドラゴンランスで攻撃する
オーナーさんの数えきれない……え、マジで何匹いるの?
うさぎさんのパレードに
すずのハロウィンの紙幣が飛び交ってって
キマイラフューチャーの今年のハロウィンの中で
あなたのその素敵な装いの色合いも、カラフルなうちの一つだね!
とことんにぎやかなこの世界のハロウィンに、付き合ってもらうよ
「ようやくできました」
「カラフルだらけなキマイラフューチャーが、もっとカラフルになったね!」
合作で今度こそかぼちゃ妖精を描き上げた小宮・あき(f03848)とコイスル・スズリズム(f02317)は、華やかに並ぶ絵を見て笑い合う。
黒点も大きな黄色い太陽が、やたら存在を主張していたけれどもそれはそれ。
赤いポンチョを羽織ったディアンドル姿と、絵にも負けない程に可愛いかぼちゃの妖精は、それじゃ次はとカラースプレーの色を選び始めて。
そこに現れたのは、陰鬱怪人とオブリビオン『クラリス』。
ぱちくりと目を瞬かせている間に、2人の前に駆け込んできた陰鬱怪人は、無造作に壁に触れて。そこに描かれていた2人と太陽から、色が、消えた。
「あれーっ!?」
「ああ、殺風景で、いいわね……
この世界が全部ネガティブに、目立たなくなればいいのよ」
びっくりして声を上げるコイスルに、クラリスの鬱々とした声が届く。
あきも驚きながら振り返って、地味で落ち着いた姿のオブリビオンを見つめ。
「モノクロが好き、カラフルが嫌い……なるほど、賑やかなのが嫌いなのね」
まずはその趣向を理解する。
でもその『嫌い』は、賑やかなことそれ自体にではなく、賑やかなことの後へと向けられている気がしたから。終わった後の寂しさこそを、嫌っていると思えたから。
クラリスは、賑やかなのもカラフルも、本当は嫌いではないのではないだろうか?
あきはそう思い至って。
でも、自身では動かずに。
(「すずちゃんなら、きっと……」)
信頼を込めて空色の瞳を向けた先で、コイスルがクラリスに笑いかけていた。
「ツインテールも服装もカワイイ!」
挨拶代わりの唐突な賛辞に、だがクラリスはどんよりした青い瞳をちらりとコイスルに向けただけでにこりともせず。
しかしコイスルもそんな反応を気にもせず、自身のツインテールを元気に揺らしながら笑顔と言葉を向け続ける。
「すずはハロウィンが大好き。
だから、終わっちゃう寂しさっていうのが、すずにもなんとなくわかるよ」
うんうん、と頷いて同意を見せて。
でもすぐに両手を大きく広げて、さらに笑顔を輝かせて。
「だからこそ今は、そんな寂しさも吹っ飛ばすくらい、明るく染めよう!
いつだって何度だって世界は明るくも暗くもできるもの」
誘うように差し出されたその手元から、そしてふわっふわのスカートの至る所から、カボチャの形をした紙片が飛び出すようにばらまかれた。
色を無くした壁画に、再び色をつけるかのように。
オレンジや緑だけでなく、赤に黄色に青に紫に、色とりどりの紙片が舞い。
「一緒にすずとも、このお祭りで遊ばない?」
その中に、白と黒のカボチャも混じる。
「あなたのその素敵な装いの色合いも、カラフルなうちの1つだね!」
黒いカボチャの紙片を示して、嬉しそうに笑うコイスルに。
今度は、クラリスは虚ろだった青暗い瞳を少しだけ見開いて、僅かに驚いた顔を見せ。
でもすぐに、ふいっとコイスルから顔を反らした。
そして、その動きに反応したかのように、辺りにいた陰鬱怪人達が、カラフルな壁からカラフルなコイスルにその狙いを定め、動き始める。
しかしあきはしっかりとその変化を見ていたから。
「え~い。ウサギさん助けて!」
「わわっ、うさぎさん」
召喚するのはカラフルなウサギ達。
「数えきれない……え、マジで何匹いるの?」
コイスルまでもが驚くその数は、ユーベルコードの性質ゆえ、レベルの5倍の数。つまり、軽く五百を超える数の、群れとか言ってる場合じゃない大群だったから。
凶暴なウサギ達は、戦闘能力のない陰鬱怪人をあっさり圧倒していく。いや、凶暴じゃなくてもこの数の差だけで充分脅威です。
しかし、そのウサギの姿は、大柄なものから小柄なもの、長毛種に短毛種、ぴんっと耳が立ったものもいれば垂れ耳もと様々で。そしてその色も、オレンジ、グレー、ブルーにホワイト、ブラックなどなど、色とりどりでとってもカラフル。
そんな賑やかで楽し気なウサギのパレードは陰鬱怪人を抑え。
ぴょんぴょんと、あきの周囲を楽しく賑やかに跳び回る。
「ハロウィンは、黒とオレンジのイメージ」
その中の黒い1羽をそっと抱き上げようとしながら、あきが呟き。
「この後は、クリスマスですね。赤と緑」
凶暴ゆえに手の中から逃げられ、ついでに頭にぺしっとウサキックをくらいながらも、他の色を見回して。
「それが終わったら、ニューイヤー。ジャパニーズニューイヤーだと赤と白?
モノクロが好きな人にとっては、目に痛い時期かもしれないね」
抱っこを諦め苦笑しつつ、あきもクラリスに語りかける。
「カラフルが好き。モノクロが好き。
好みは良いと思うけど、押しつけは良くないわ」
そして、コイスルに倣うように、あきも指し示す。
カラフルなウサギ達の中にいる、黒や白のウサギを。
そして、そこに舞い落ちてくる、黒と白を含むカボチャ型の紙片を。
カラフルと共に遊び踊るモノクロを。
「皆楽しく、楽しめたらいいのにね」
晴れやかな空を閉じ込めたかのような水色の瞳で、見つめる。
カラフルが好きな人も。モノクロが好きな人も。
金色の髪のコイスルも。ピンク色の髪のあき自身も。灰色の髪のクラリスも。
ウサギや紙片のように、一緒に遊び踊れたらいいのにと。
(「どうしたら、モノクロが好きな人も楽しんでもらえるかな」)
その答えはきっと、クラリスのためだけでなく。あきが経営するホテルにもプラスになるものだと思うから。
皆で素敵な一時を共有し、紡ぎ上げていけるようにと。
願って。考えて。
陰鬱怪人を消し去ってから、改めてクラリスを見つめると。
「ふひはひゃはふふふふあははははは!」
人混みから逃れ出てきたクラリスが、唐突に笑い出した。
どうしたのだろうと驚きながら、あきはコイスルと顔を見合わせる。
でもコイスルは、すぐににっと少し悪戯っぽく笑うと。
「とことんにぎやかなこの世界のハロウィンに、付き合ってもらうよ」
ざっとカラフルなウサギ達が退いて開かれた道を真っ直ぐ駆け抜け。
陽気なギターの旋律にステップを踏むような軽やかさでクラリスへ近づくと。
カボチャ型の紙片を鮮やかに巻き込みながら。
手にしたドラゴンランスを、歌うように明るく突き出した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘NG
グロ描写NG
WIZ
プラスが失われてマイナスになるくらいなら
最初からゼロの方が良い。
一理あるけど、それは妥協だわ
守護霊の憑依【ドーピング】で戦闘力増強。
オブリビオンへの愛を叫ぶ事で【気合い】を高め
自身を【鼓舞】すると共に【衝撃波】が発生し
無音の空間も眠気も吹き飛ばす
ラァァァーーーヴ!!!
『愛の想起・妖狐桃源郷』で116人の妖狐忍を召喚し
一斉に【誘惑・催眠術・全力魔法】のフェロモン放出♥
同性をも魅了する私達の色香はクラリスにも有効よ
貪欲に永遠の幸福を望みなさい。
私が叶えてあげる。この子達のようにね♥
【怪力・捕縛】の抱擁から
髪や背中を撫でて心身を【慰め】
温もりに包んだまま【生命力吸収】のキス
色が、音が、奪われていく世界の中で。
それでも鮮やかに咲く笑顔から逃げるように、クラリスはふっと顔を背ける。
そこに。
「ラァァァーーーヴ!」
ユーベルコードによってもたらされた眠気どころか無音の空間すら吹き飛ばす勢いで、ドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)が迫ってきた。
「プラスが失われてマイナスになるくらいなら、最初からゼロの方が良い……
一理あるけど、それは妥協だわ」
ツインテールにした長い漆黒の髪に、血の気すらないような真っ白な肌。
華奢な肩に羽織った長い黒マントに、大きな胸を覆う真っ白なワンピース。
クラリスが生み出すモノクロのような色合いのドゥルールだけれども、その印象は地味とはかけ離れた、艶やかで妖しい魅力的なもの。
周囲のハロウィンなカラフルさよりも鮮やかにすら見えるから。
クラリスに動揺の気配が広がり、その表情が困惑に染まっていく。
だがドゥルールは、クラリスの心中よりも。その視線が虚ろながらも自身に向けられ、微かにも興味を惹けたことに、にやりと笑いつつ。
「貪欲に永遠の幸福を望みなさい。
私が叶えてあげる。この子達のようにね」
ユーベルコードで百人を超える妖狐忍を召喚した。
魅惑の妖狐達は、恐ろしい程の美貌と艶やかな肢体を見せつけつつ、クラリスを取り囲み。甘い香りで、同じ女性をも魅了する程の色気で、誘惑し惹き付ける。
そして、戸惑うクラリスにできた隙を逃さず。
その懐に飛び込んだドゥルールは、クラリスを抱きしめた。
怪力で逃がさぬように巧みに捕えながらも。その灰色の髪を梳き、紫色の上着の下に手を這わせ、優しく心身を慰めて。
温もりに包み込んだまま、そっと唇を重ねる。
そこではっと我に返ったクラリスは、咄嗟にドゥルールを突き放し。
いつの間にか緩んでいた胸元の黒いリボンをぎゅっと握りしめ、乱れた服を何とか抑えながら、妖狐達の輪を突破した。
必死に去り行く後姿を見送ったドゥルールは、あーあ、とさほど残念そうではない声を漏らし。クラリスの髪に絡めていた繊手をそっと口元に当てる。
「望みに素直になれば、私が永遠をあげるのに、ね」
ふふっと妖しく微笑むその頬は、ほんのり赤く、愉し気に染まっていた。
大成功
🔵🔵🔵
木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と
ソリ達が絡まれてる!
慌てて駆け寄り、背中に庇い守る
ソリ、リディ、コート、デイン、大丈夫?
きっと前を見ると、…シックな女の子
ん、とても似合ってる
でも何故そんなに浮かない顔?
明るい色は嫌い?好みはそれぞれだし、それは致し方ない事だけど…
「明るく賑やか」があるからこそ、「暗く静か」な良さがわかるし、逆もまた然り
皆が一緒になる必要はない、違っても寂しくない
だって、わたしは元気で明るいまつりんがいれば、毎日が楽しいもの
【うさみみメイドさんΩ】
メイドさんズ、白黒に変わっていく場所に怪人がいる
各所に散らばり倒していって?
また遊ぼうね
灯る陽光は輝かせずそのままでクラリスを刺す
木元・祭莉
アンちゃん(f16565)と!
うん、よくできた!(自分の作品を眺め)
あれ、ソリ。どしたの?(駆け寄る)
キレイになる魔法、掛けてもらった?
アンタ、誰?
なんでソリの絵を消しちゃうの?
ねがてぃぶやさっぷーけーが好きなのは、おいら気にしないケド。
他の人の作ったモノが気に入らないからって勝手に壊す奴は、悪いヤツだよ!(ぷんぷん)
え、さっぷーけーじゃなくてシック?
びょーきってこと?
そっかー、じゃあしょうがないね。
ダッシュで接近、グラップルで攻撃!
あれ、身体が重い?(ゆべこ喰らい)
なら。
ふわりと回って舞妓さん気分!
舞扇連射で攻撃だー!
好きなのは仕方ないケド。
迷惑かけちゃダメだって、母ちゃん言ってたよ!
「うん、よくできた!」
めちゃくちゃカラフルになった壁を前に、木元・祭莉(f16554)は、満足気に頷いた。
だがしかし、壁以上に祭莉自身がカラフルになっていて。真っ白だったはずの小天使仮装が、ありとあらゆる色にまだらに染まっている。
手も足も、そして頬っぺたにもカラースプレーやペンキをつけた祭莉は、他の皆の様子をと振り返り。
「あれ、ソリ。どしたの?
キレイになる魔法、掛けてもらった?」
オレンジ色に染まったテレビウムのソリが、ぽかんとしているのにようやく気付いた。
小天使らしく飛ぶように、ぴょこぴょこ跳んで近づけば。
ソリが見つめる壁の色がなくなっていた。
「んー?」
黄色ベースで、ピンク色の不可思議な線や変な生き物が描かれていたところも。
オレンジ色ベースで、ピンク色のウサギが描かれていたところも。
カラフルに4文字の漢字がワルく描かれていたところも。
陰鬱怪人達が、不幸そうな顔で触れた途端に、色を奪われて。
次々と、黒と白のモノクロに変わっていく。
「アンタ、誰? なんでソリの絵を消しちゃうの?」
むう、と怒ったような悲しむようなそんな表情で祭莉が陰鬱怪人に詰め寄ると。
怪人達は、元来た方向へと走り戻っていって。
その先に、オブリビオン『クラリス』がぽつんと立っているのが見えた。
「ソリ。リディ、コート、デイン、大丈夫?」
木元・杏(f16565)が咄嗟に、ソリとその友人達を背中に庇い守るように立ち。
クラリスに向けて、金色の大きな瞳を頑張ってキッと釣り上げる。
その姿は、黒と、暗めの赤紫をベースにした地味な色合いのスカートで。露出を極力抑え、灰色のツインテールも大人しければ、少し俯き気味な顔も暗く。モノクロな世界にとても合う、陰鬱な印象を与えていた。
祭莉もきょとんと銀色の瞳でクラリスを見て。
「えーと、さっぷーけー?」
「ちがう、まつりん。あれはシック。とても似合ってる」
こくんと首を傾げた祭莉に、杏がふるふると首を横に振る。
上品で落ち着きつつも洒落ている、そんな様子を表したのだけれども。
「シック? びょーきってこと?
そっかー、じゃあしょうがないね」
音の似た違う意味に受け取った祭莉は、違う納得を見せた。
もう一度ちがうと訂正しようとした杏だけど、でも陰鬱な表情は確かにそちらの意味にも見えてきたから。
「……何故そんなに浮かない顔?」
杏は、双子の兄にではなく、クラリスに話しかける。
「だって、明るいことや賑やかなことは続かないわ。
ハロウィンだって終わってしまえば寂しいものよ」
返ってきたのは、訥々とした声。
どんよりとした青暗い瞳を杏に、そしてその後ろにいるソリに向けて。
陰鬱怪人がモノクロにしていく街並みに、にやり、と歪んだ笑みを浮かべて。
「だから、暗くて静かで、殺風景な世界を作るの。
ずっと暗くて静かなら、寂しさなんてないわ。
明るくて賑やかなことがあるから、寂しいのだもの」
クラリスは、陰鬱な胸の内を、語る。
それはモノクロの世界に染み入って、さらに色を奪っていくような響きだったから。
「好みはそれぞれだし、それは致し方ない事だけど……」
その言葉に込められた思いを感じ、杏は少し俯き呟く。
「おいらも、ねがてぃぶやさっぷーけーが好きなのは、気にしないケド」
祭莉も、うーん、と考えて。
クラリスのような趣向があることを受け入れつつも。
「他の人の作ったモノが気に入らないからって勝手に壊す奴は、悪いヤツだよ!」
自分の描いた絵が、ソリが友人達と楽しく過ごしていた明るい時間が、勝手に奪われてしまったことに、ぷんすかと怒りを見せた。
俯いていた杏も顔を上げ、そう、と1つ頷くと。
「『明るく賑やか』があるからこそ、『暗く静か』な良さがわかるし、逆もまた然り。
皆が一緒になる必要はない、違っても寂しくない」
モノクロもいい。カラフルもいい。
でも、どちらかだけに限ることはしなくていい。
両方あるからこそ、それぞれがより活きるのだから。
「だって、わたしは元気で明るいまつりんがいれば、毎日が楽しいもの」
大人しい杏の雰囲気は、どちらかといえばクラリスに近いものだけれども。
祭莉のおひさま笑顔が傍にあるからこその杏だから。
モノクロが好きなクラリスは肯定するけれども。
モノクロだけの世界にしようとするクラリスは否定して。
「メイドさんズ、陰鬱怪人を倒していって?」
ぎゅっと抱いていたうさ耳付メイドさん人形をユーベルコードで大量に複製すると、念力で操作し、陰鬱怪人へ向かわせた。
そこにカラフルなカボチャ型の紙片が舞い散り。
カラフルなウサギの群れが、うさみみメイドさんと一緒に陰鬱怪人に襲い掛かって。
辺りがわちゃわちゃと賑やかに、そしてカラフルになっていく。
奪われた色を、音を、楽しさを、取り戻していくかのように。
その賑やかさの中で、何故か唐突に人混みに囲まれていたクラリスは、静寂を求めるかのようにそこから必死に逃げ出してきて。
ほっと息をつく間もなく、唐突に笑い出す。
楽しむというよりも無理矢理笑わされているかのようなクラリスから、小さな何かが飛び離れていったように見えたところで、ようやく笑い声は止まり。
疲れたように肩で息を整えるそこに、祭莉は飛び込んだ。
その動きに気付いて、クラリスの暗い視線が祭莉を捉えると。
「あれ、身体が重い?」
ユーベルコードで技能を封じられ、がくんとその動きが落ちた。
しかし祭莉はすぐに、にぱっと笑みを浮かべ。
「なら」
お返しとばかりにこちらもユーベルコードでふわりと舞う。
カラフルな紙片をも巻き込んで、舞妓さん気分で放つのは、舞扇の幻影。
「好きなのは仕方ないケド。
迷惑かけちゃダメだって、母ちゃん言ってたよ!」
美しい扇は、槍をその身に受けたクラリスへと向かって行って。
命中したと思ったそこで爆発を引き起こす。
その規模は小さいけれども、扇は幾つも幾つも飛来して。
次々と起こる爆発の連鎖。
そこに、白いガジェットが飛び込むと、すこんっとクラリスの頭を直撃し。
くらりと揺れた姿を、ギターの旋律と共に炎が包み燃やし上げた。
その間に、ウサギとうさみみメイド人形によって、陰鬱怪人は全て姿を消していて。
曲に合わせてキマイラ達や、ソリ達までもがなんだか楽しそうに踊っていて。
賑やかで色鮮やかなハロウィンが戻ってきていたから。
杏は、ふっと微笑み、手にした灯る陽光を握りしめる。
明るいのを好まないと言っていたクラリスのために、それを輝かせることはせず。
でも、共に過ごした時間が、楽しい思い出が、きっとこの後を輝かせ続けてくれるはずと確信しながら。
「また遊ぼうね」
炎に包まれた姿をそっと刺して。
消えゆく姿に、杏は優しく微笑んだ。
大成功
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