●
毎年、海に藻クラゲが出現する季節があった。
海底からたまたま浮き上がってくるのか、出所は分かっていない。
秋が深くなり、冬を待つ僅かな時期に浜辺へと流れ着く藻クラゲ。
この藻クラゲを収穫祭の大火に与えたり、調理したり、繊維を糸にして紡いだりすれば次の年までの一年間、あらゆる豊穣の恩恵を受けるという。
けれどもここ数年、藻クラゲはひとつも見つかっていない。
●
「遺跡都市ヴェルニスの港、漁師の網元からの依頼を皆さんにお願いしてもいいかしら?」
猟兵たちへと声をかけるポノ・エトランゼ(ウルのリコ・f00385)。
誰かの頷きを見てにっこりと微笑んだ。
「世間では今、ハロウィン真っ盛りね。アックス&ウィザーズは収穫の季節で、秋から冬にかけて収穫祭があちこちの地域で開かれていくの。豊穣の祭事は場所によって色々あるんだけど、儀式の道具を使う地域もあってね」
そういった場所は魔法の力が働いている。
その地域で使われていたり、ダンジョンにあったりするという豊穣の魔法具を調達してきてほしいという依頼が遺跡都市から上がった。
「今回はその一つをご紹介するわ。旅の吟遊詩人から『豊穣の藻クラゲ』の情報を聞いた網元が冒険者たちに調達依頼をここ数年出していたのね。当然ダメ元で今年も依頼を出しているんだけど、現地でもずっと目撃されていないみたいで――実はこの藻クラゲ、モンスターの鷲獅子に食べられちゃっていたのよね……」
海にぷかぷか浮かぶ藻クラゲは発見しやすく、オブリビオンの餌となってしまっているようだ。
「しかも豊穣の魔法具というだけあって魔力をたっぷり含んでいてね、これが豊穣の恩恵の力となっているのでしょうね」
「…………その、藻クラゲって、そもそもクラゲ? 藻類?」
疑問に思った猟兵が尋ねればポノが「成分はほぼ海藻だから、藻類の方ね」と答えた。
ってことは――何やら神妙な顔つきになる猟兵たち。やっぱり神妙な顔つきになってポノが頷き言う。
「そう。豊穣の魔法『具』(みそ汁の具的な)なのよ」
クラゲでも中華クラゲ的な『具』になるのだが…………まあそこは野暮なツッコミというものだろう。
「皆さんが到着する頃に、ちょうど件のモンスターが空を横切って行くからそれを追いかけていってほしいの」
「あの、海だよね? 船とかは……」
「今回は自力で頑張って」
上手くアッシーを調達できなかったのよね、とポノが呟いた。自力での飛行や、自身の空飛ぶ乗り物や生き物などを使っていくのが良いだろう。
「空を行くモンスターは『氷雪の鷲獅子』。羽ばたきひとつで一時的な氷結を周囲に与えていくの。食べていた藻クラゲのおかげで結構魔力は高めみたい。僅かな時間だけど、海に氷結の道ができるからそれを辿っていけば確かだと思う」
海原にて、藻場なる藻クラゲの漂う場所へと辿り着くことが出来るだろう。
もっとも足場は超不安定というか無いに等しい。すぐに消える氷結の道は歩いたり走ったりするのには適さない。
だが氷雪の鷲獅子は戦闘になれば、容易に周囲を凍らせて足場を作ってくれる。
ちょっとしたスケートリンクっぽくなるので戦闘時は存分に動けるようになるだろう。
「なんていい奴なんだ……」
「まあ倒すけどね……」
呟く猟兵たち。
苦笑しながら「説明はこれくらいかしら」とポノが言う。
「ヴェルニス港の網元は藻クラゲで糸を作って、魔法具にした豊穣の漁網を収穫祭の奉納に使おうと思っているみたいね。それに藻クラゲを食らい尽くしていたモンスターを退治すれば現地の人も助かると思うし」
魔力たっぷりの藻クラゲは海からの貴重な秋の恵みだ。
その恩恵は海とともに生き、海を育てたり海に育てられてきた生き物たちが本来受け取るべきものなのだ。
決して一体のモンスターが食べ尽くしていいものではない。
「自然からの恵みは平等に。そして次年の豊穣を願って、恵みが成るように土壌を育てていく――今回は海の農事暦みたいなものかしら。現地の人が作っている藻場より遠くにあるから、本当に海からの恵みでしかないのだけど――こういった伝承は大切にしてきたいわね」
自然界と時が紡ぎ合った贈り物だ。
含まれた魔法の力は収穫祭を介して大地へと奉納したい。
繋がれてきた歴史をこれからも繋いでいく。それを示し、願うのが祭りというものなのかもしれない。
ねこあじ
ねこあじです。
アックス&ウィザーズの収穫祭(ハロウィン)シナリオとなっています。
よろしくお願いします。
1章は、藻クラゲ(豊穣の魔法具)のありかを目指して冒険します。
案内するのは飛行モンスターである鷲獅子や、翼から発生する力によって海上に作られた氷結の道。
海上を行くので、飛行系などがオススメかもです。
断章はありません。
2章は鷲獅子との戦闘になります。
氷原みたいな足場を作ってくれます。
断章あります。
受付期間やもしかしたら再送が発生するかもしれません。再送はなるべく無いように頑張ります。
サポートさんのお力を借りる時もあります。
プレイング締め切りなど、タグやマスターページ、Twitterなどでお知らせしますね。
基本のんびり進行となります。
それでは、プレイングお待ちしています。
第1章 冒険
『水上を走る〇〇を追え!』
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POW : 気合で水上を走ったり、水を割って追いかける
SPD : 飛行や水泳を活かして追いかける
WIZ : 情報収集を行い行先を予測して迂回する
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クラリス・シドルヴァニス
天馬「エクレール」に騎乗して、空を飛行していきます。
いくわよ、エクレール。出発前に沢山えさをあげたのだから、
頑張って働いてね。
それにしても、藻クラゲとは不思議な生き物がいるのね。
世界は広いわ。
藻寄りのクラゲなのかしら、それともクラゲ寄りの藻?
…まだまだ私も勉強が足りないわね。
魔力をタップリ含んでいるのなら、一口食すだけで
かなりのパワーが貰えそうね。
…そうね、海鮮スープなんかに使うのもよさそうね。
そんなことを《動物と話す》技能で話しながら、鷲獅子が
残した痕跡を辿っていくわよ。
ええ、いざ戦いの時には頼りにしているわ、エクレール。
しゃくり、と林檎を噛み砕く心地良い音。
「おいしい? エクレール」
天馬エクレールを優しく撫でながらクラリス・シドルヴァニス(人間のパラディン・f27359)が声を掛ける。
満足げに頭を振り柔らかな鬣を揺らしたエクレールが前脚をカツカツとさせた。
その様子にクラリスも微笑み頷く。
「準備万端というのなら。いくわよ、エクレール」
頑張って働いてね、と背を叩き、クラリスは軽やかに乗り上げ馬上の人となった。
清廉な真白。新雪の如き色。エクレールが翼を広げれば羽根のひとつひとつが陽光を弾き照り輝いた。
「はっ!」
クラリスの鋭い呼気とともに翔ける――羽ばたく翼は空気の圧を捉え、風を含み、空中がまるで草原であるかのように大気の原を叩く蹄。
空の青と海の青。
違う青の中にふわふわとした雲、常に煌く海の波。
ひとときとして同じ光景、時はなく、人の手が届かぬここは同時に手をつけることを躊躇うような佳景。
「エクレール。痕跡を見つけたわ」
クラリスの声にエクレールが首を僅かに動かした。
進む方向が若干変化した途端に冷たい空気がクラリスの頬を打った。明らかな温度変化。
遥か上空より落ちてきた氷の結晶が降ってくる。
鷲獅子により刹那の滞空状態となった冷気の層が上空にはあるようだ。
「それにしても、藻クラゲとは不思議な生き物がいるのね。……世界は広いわ」
藻寄りのクラゲなのかしら、それともクラゲ寄りの藻?
クラリスの疑問に同調しているのか、エクレールも不思議そうだ。
「エクレールも見たことがないのね。……まだまだ私も勉強が足りないわね」
ほうっと息を零すエクレール。
貴族として生まれたクラリスは勤勉に学び生きてきた。聖騎士の試練を受ける時は更に世界のことを学んだ。
それでも世界に伝わる伝承は多様で、財宝探しの旅中で新しく知ることは多い。
「魔力をタップリ含んでいるのなら、一口食すだけでかなりのパワーが貰えそうね」
クラリスがそう言えば、楽しみだという風にエクレールが翔けた。
『クラリス』
名を呼ぶ声も弾んでいるようだ。
そうして空を翔けて見えてきた藻場――滑らかそうな濃い緑色がぷかぷかと浮いている。一見まりもが浮いているような光景だ。
『おいしそう』
とエクレールが言った。ペガサスの瞳には魔力たっぷりな藻クラゲの姿にも見えるのだろう。そわそわとした様子で高度を落としていく。
「……そうね、海鮮スープなんかに使うのもよさそうね」
逸りそうなエクレールの背でクラリスは太腿に力を込めた。
眼下の海には分類としては海藻となる藻クラゲ。意思なき生き物と、場を荒らす獰猛な敵が一体。急降下しては藻クラゲを捕らえ、空中に放っては砕き食べる鷲獅子の姿。
「行くわよ、エクレール」
倒すべき敵を捉えた一人と一体が急降下していく――。
大成功
🔵🔵🔵
春乃・結希
この前は花祭りだったけど、今日は収穫祭
歴史も、感謝の気持ちも大事にして、ほんとに素敵な街だなぁ
今日は漁のお祭りなんですね
お魚…スルメなら食べれるんやけど…
ちょうど横切るって言ってましたね、えーと…
空を見上げてきょろきょろ
あっ、あの子かな?…って、はやっ!
ま、待って待って!with、行くよっ
慌てて風を纏って空へ
近過ぎず、離れ過ぎない距離を保って追跡します【空中戦】
海の上を伸びて行く氷の道は神秘的で素敵
すごいすごい!ほんとに海に道が出来てる!
これも魔法具をたくさん食べたおかげ?
よく食べる子は元気に育ちますもんね
藻くらげ…わかめとか海苔みたいな感じなのかな?
うどんとかに入れても美味しそうじゃね~
遺跡都市ヴェルニス。
始まりの遺跡からの建国。歴史ある都市で交易が盛んだからこそ他都市の風習や伝承を取り入れる傾向があるのだろうか。
今回、そんな遺跡都市が行なう収穫祭を、準備段階から関わることとなった春乃・結希(withと歩む旅人・f24164)は以前訪れた花祭りのことを思い出す。
(「歴史も、感謝の気持ちも大事にして、ほんとに素敵な街だなぁ」)
漁の豊穣を感謝し、願う祭り。この時期の魚は脂ののったとても美味しいものなのだろう。
が。
「漁……お魚……スルメなら食べれるんやけど」
ぽそっと呟いた結希はお魚が苦手なようだ。
海辺に立ち、ええと、と結希がどこか噛みしめるように考える。
「確か、鷲獅子が横切ると言ってたようやけど……」
どこだろう、と海を眺めて、空を見上げたその時。大きな影が地上を流れてきた。
ぴしりぱしりと大気の音が鳴る。
「!」
頭上には地上への陽射しを阻害し、大きな鷲の翼を広げるモンスター。一瞬猛禽類のそれと目が合った。
「あっ、あの子かな? ――って、はやっ!」
あっという間に氷雪の鷲獅子は通り過ぎて大海の空へ。
「ま、待って待って! with、行くよっ」
背のwithに声を掛けて結希は風を纏った。強大なエネルギーを持つ風で自身を覆い、駆けは翔けに。
身ひとつで大海原へと出れば陸地付近独特の潮の香は薄れ、どこか薄い空気。
鷲獅子の後を追うように飛翔すればそこは刹那の氷世界が待っていた。
遥か上に凍った大気の層が出来上がっていて、氷の結晶を降らす。
氷雪の鷲獅子という通り名は伊達ではない。空と海を繋げるように魔力の残滓があり、影響を受けた海が作る氷の道。
飛翔線上だけ冬が訪れたみたいだ。
「すごいすごい! ほんとに海に道が出来てる!」
高度を落として結希が氷の道に近付く。
周囲の海水は乗り上げたその瞬間に氷結化し、岸のように寄せては返す波が出来上がっていく。
高密度な凍結の範囲は狭いせいか、あっという間に蓮葉氷化していく氷の道。否、薄い氷葉の道。
海にさらわれ、陽射しにとけて。
煉瓦みたいに連なる蓮葉氷。ほんのりと白が掛かる海色の道。
「ひとときの景色やね」
withに呟く結希。
今までもたくさんの佳景を一緒に見てきた。旅をしていると新しい景色、どこか懐かしい景色と、たくさんのひとときと出逢う。
その時限りの風景は儚いものだと結希は知っている。それ故か心への残り方は鮮明。
「この景色が見れたのも、あの子が魔法具をたくさん食べたおかげかな?」
遥か先へと向かっていった鷲獅子――冷気の層が留まった場所がある。前方を注視しながら結希は飛翔し、ふっと微笑んだ。
「よく食べる子は元気に育ちますもんね」
先には意思なき生き物と、場を荒らす獰猛な敵が一体。急降下しては藻クラゲを捕らえ、空中に放っては砕き食べる鷲獅子の姿が見えた。
周囲にはぷかぷかと浮く滑らかな藻。一見緑色のクラゲっぽくも見えるが、鷲獅子が喰い散らかした残骸を見るに、やっぱり海藻だ。
「うどんとかに入れても美味しそうじゃね~」
もずくみたいに。
卵をいれて月見にするのも良さげだ。
食事に夢中なのか鷲獅子は猟兵の接近に気付かない。
結希はwithに手を伸ばし、柄を握った――。
大成功
🔵🔵🔵
鳳凰院・ひりょ
アドリブ歓迎
飛行出来る状況が良さそうだ
なら黄昏の翼を使うか…
鷲獅子を見かけても交戦にならないよう距離を取りつつ【追跡】し、【道案内】をしてもらうとしようか
氷結の道もかなり重要な情報源になるだろう
しっかりと痕跡を調査し【情報収集】
藻クラゲの元まで辿り着かないとね
【動物と話す】とかも使えるかな?
藻クラゲのありかまではわからないまでも、鷲獅子が飛んで行った方向を教えてもらえるだけでもかなり助かるし
ビーストマスターとしての力も発揮出来れば…
【召喚術】で鳥系の使い魔を召喚し【式神使い】として使役
鷲獅子のいる方向を探る
もし周囲に同じように探る猟兵がいるなら協力するのも大事だと思うしね。
地上を、大きな影が流れていく。
「っ!」
咄嗟に視線を上げれば氷結の鷲獅子が海原へと出る瞬間であった。
羽撃ちの風音が大地を叩く。
鷲獅子を追うように、鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)が向いた先には大海原。どんなに目を凝らしても海には一艘もなく、島のような陸地もない。
常人の行路が絶えているのは明らかで。ひりょは思考を巡らせた。
(「状況的に飛んで追った方が良さそうだ……なら黄昏の翼を使うか……」)
「翼よ、今こそ顕現せよ!」
告げれば黒と白のオーラが自身を覆う。
それは刹那の黄昏に宿る黒と白。染まる黄昏の景色に映る深淵、白は沈みゆく太陽の最後の猛り。
二度はない光の交差を顕現する翼はひりょの身を空中へと送り出した。
「――真っ直ぐ向かったのか……?」
頭上には氷結した大気の層が出来ていた。
海原には氷の道――空と海を繋ぐ冷気が飛翔の軌跡となって世界を割ったようにすら思える。
大気が凍れば氷結の粒がちらちらと降ってきた。
黄昏の翼で飛行し、警戒しながらもひりょは情報を得るべく周囲を見回す。
この飛翔線上からひとたび抜ければ温度差が強くなっていることが分かった。
「飛ぶだけでこれなら……鷲獅子が暮らしているところは大変なことになってそうな気がする」
呟きはどこか予知めいたものだった。
氷結の鷲獅子は普段は高山に住まいを設けているのだろう。雪とけぬ地に。
魔力の強い鷲獅子本来のホームグラウンドで戦うのは得策ではなく、やはり今回――住処から抜けてきた鷲獅子を捉え倒すのがベストだ。
だがこの場に敵の魔力が残っているのも一時的なものだろう。
氷結の名残は空中から霧散し始めて、氷の道は薄葉氷となり波に呑みこまれていく。
符を取り出したひりょは小さな鳥の群れを召喚した。小鳥たちは鰯みたいに一度周囲を旋回したあと散開していく。
飛行し進みながら待っていると小鳥が一羽のカモメを連れてきた。
「やあ、カモメさん。大きな鷲を見かけなかった?」
カモメはくるんと旋回したあと、先導するように飛んだ。一瞬のことであったそれは方角を教えてくれた動作。
「ありがとう」
ひりょが礼を言えば「クゥー」と声を返し、カモメは飛んでいく。
鷲獅子は僅かに方向転換したようだ。大きく弧を描いた飛翔線上より内側を飛行していくひりょ。
自然の藻場が見えてくる――クラゲのような緑色の藻がいくつも浮いた海原に場を荒らす獰猛な大鷲が一体。
急降下しては藻クラゲを捕らえ、空中に放っては砕き食べ散らかしている。
藻クラゲの残骸が海の藻屑となって消えていく様に、なんてことだ、とひりょは呟くのだった。
大成功
🔵🔵🔵
コイスル・スズリズム
仲良しのオーナーさん(f03848)と同行だよ!
アックス&ウィザーズが大好きなオーナーさんのテンションが上がってるのがわかって、こっちまで嬉しい!
オーナーさんのピーちゃんにのるのは久しぶり!
もっふもふだー
その魔法的な乗り心地に自然とはしゃいでる
クラゲってどんな味なんだろ
モンスターが探すくらいだから
きっと魔力的においしいんだね!
すずは魔力に集中させながら
周囲を探索して
敵の姿や魔法具がないか探すよ
オーナーさんとあっちにない?
なんて指さしながら、手分けしよう
そうだ、探す時にこの子にも手伝ってもらおう
といって、UCで「ユニコーン」を召喚
黒いサングラスをかけた料理人のユニコーンだから
おいしい素材がありそうなとこ見つけてくれるはず!
ピーちゃんの周囲を一緒に飛んでもらって探してもらうよ
すずは料理のお店でであったんだよね、この子と!
無口だけどいい子なんだよ
オーナーさんはピーちゃんとはどこで出会ったの?
ファンタジー!確かにイメージ通りかも。絵本みたいだもんね!
空を飛ぶファンタジー、こんな収穫祭も面白いね!
小宮・あき
すずちゃん(f02317)と。
「行こう、ピーちゃん!」
どんっ!とまんまる可愛い青い鳥を召喚。
すずちゃんは何回目だっけ、この子に乗るの。
ピーちゃん、今日は宜しくね。まずは追いかけっこをするのよ。
すずちゃんの手を引いて、ピーちゃんのふかふかの背中へ。
もふっ、と柔らかい羽に包まれて、高速の飛行も何のその。
あったかい背中で、すずちゃんと相談と雑談。
私はピーちゃんの操縦と、周囲の警戒。上空での索敵をします。
すずちゃんはグリモア猟兵さんの言ってた海の痕跡捜しをお願いできる?
視界が広がるよう、雲を避ける。
ピーちゃんは可愛い子だけどUCだから、操作は私の能力で。
え? ピーちゃんとの出会い、ですか?
この子はユーベルコードだから、出会いらしい出会いっていうのは無いかなぁ。
私はアックス&ウィザーズで猟兵稼業をしているから、空を飛ぶならファンタジーがいいなって。
ユニコーンか青い鳥か悩んで、青い鳥に…。わ、すずちゃんの、ユニコーン!?
可愛い~~~、なんか想像するユニコーンとは違うけど、これはこれで可愛い!
冬を前にした秋の海と空はどこまでも澄んでいて穏やかだ。
「海だね~!」
「海ね!」
寄せては返す波、潮騒の音、コイスル・スズリズム(人間のシンフォニア・f02317)が渡るような声を上げれば小宮・あき(人間の聖者・f03848)も楽しげに頷き言った。
その声にコイスルが目を向ければ、テンションが上がっているのかあきの頬は色付いている。
嬉しそうで楽しそうなあきの表情に、コイスルも嬉しくなってきてにっこり笑顔。
「ね、オーナー、今日は海をゆくんだっけ?」
でも視線の先は船も何もない大海原。ちょっと不安そうな表情となったコイスルに「任せて!」と言ったあきが召喚したのは――、
「おいで、ピーちゃん!」
あきの声に応えてどんっ! と現れたのはまんまるの青い鳥。秋風に吹かれ、一度プルプルと身を震わせたピーちゃんは羽毛を立たせてもっふりとした姿に。
あきが手を差し出せば手のひらに嘴をのせてそのままもふっと頭突きをしてくるピーちゃん。
「ピーちゃん、久しぶり!」
「すずちゃんがピーちゃんと会うのは久しぶりね」
コイスルが両手を軽く挙げればピーちゃんがやっぱり頭突きをしてきた。もっふりとした羽毛と繊細な丸みある頭が可愛らしい。
「もっふもふだー」
嘴を掻いてあげればピーちゃんは身を起こして囀り始めた。
その時、大地を駆ける影。大きな影が流れ迫り、二人とピーちゃんが空を振り仰げば大きな鷲獅子が大海原へと飛びこんでいく姿。
あきとコイスルが視線を合わせ、頷き合った。
ピーちゃんは翼や足を伸ばす開始行動。準備は万端のようだ。
頼もしいピーちゃんの様子にあきは笑みを零す。
「行こう、すずちゃん、ピーちゃん」
コイスルの手を引いてピーちゃんのふかふかな背中へ。ふわふわした羽毛とあたたかなピーちゃんの体温に包まれると、陽射しにあたったお布団のよう。
飛翔したピーちゃんは広げた翼に空気の圧を捉え、風を含ませて、空をゆく。
決して遅くはない速度だが、あきとピーちゃんの力が働いているのか頬にあたる風は穏やかだ。
羽毛のひとつひとつが陽射しを受けて煌く様は限定的な青の草原のみたいに。
ピーちゃんの鮮やかな青、秋空の澄み渡る青、揺蕩う海原の青。
多様な一色に染まった世界はまさしく佳景で、あきもコイスルも思わず見惚れてしまうもの。
「ね、オーナー。クラゲってどんな味なんだろね?」
「海藻とのことですから……もずくみたいな感じになるのかな?」
でもクラゲ。歯ごたえはありそうだ。
コイスルの瞳は好奇心に満ちている。
「藻クラゲも海の幸になるんだろうね。それに、モンスターが探すくらいだからきっと魔力的においしいんだね!」
先ほど目撃した鷲獅子の姿は無く、かわりに飛翔線上に凍るような冷気の層が海と空を繋いでいた。
魔力の名残なのだろう。
雪のような結晶が空に舞い、海原に出来た氷の道はすぐに解けていく。
「見て、オーナー。蓮の葉みたいになってるよ」
本来の海面温度と鷲獅子の魔力の滾りの差異に、数多の蓮葉氷が出現していた。
コイスルが指す海原へすっと伸びる蓮葉氷の道。
飛翔線上に冬独特の透き通った風が吹いて、肺が冷めていく。
ピーちゃんを誘導し風を避けるあき。冷気の層から離れれば海の香りが甦る。凍った大気が煙り霧状となっていた。
「すずちゃん、海の痕跡を辿れそう?」
刹那に出来ていた蓮葉氷が大海に呑みこまれていく――時間の経過とともに痕跡は直ぐに失われていく。あきの言葉にコイスルは頷いた。
「探索ならこの子が手伝えるかも」
コイスルが口遊んだのは街角を通るフレーズ。
現れたのは冷たい風を蹄で叩く天馬――、
「わ、ユニコーン!?」
びっくりしたあきが目を瞬かせた。
呼んだコイスルに応えるべく、翼を広げたユニコーンはいななき大気の原を翔けはじめた。
ピーちゃんを中心に、四方八方へゆっくりとした弧を描きながら同じスピードで。
「可愛い~~~、なんか想像するユニコーンとは違うけど、これはこれで可愛い! すずさんのユニコーンはサングラスを掛けているのね」
「うん。黒いサングラスをかけた料理人のユニコーンなんだよ。だからおいしい素材がありそうなとこ見つけてくれるはず!」
食材の目利きができるのだ。
コイスルの言葉通り素材探しに適した天馬なのだろう。
陸地から離れて消えていた潮香を再び嗅ぎ取るユニコーン。風に乗って伝わってくる藻場の香り。
空高く在れば逃すそれを捉え、翔ける先を僅かに左前方に。ピーちゃんに乗ったあきとコイスルを先導するユニコーン。
「とってもいい子。素敵な子に出会えたのね、すずちゃん」
ほわっと微笑みを浮かべたあきに、コイスルは「うんっ」と思い切り頷いた。
「すずは料理のお店でであったんだよね、この子と! 無口だけどいい子なんだよ」
その時、少しだけユニコーンが振り返ったのでコイスルは手を振って応えた。
「オーナーさんはピーちゃんとはどこで出会ったの?」
「え? 私とピーちゃんの出会いですか? この子はユーベルコードだから、出会いらしい出会いっていうのは無いかなぁ」
ほら、とあきが披露するのはピーちゃんを繰る様子。
あきが意識を向けた方へとピーちゃんは飛翔する。
「私はこの世界……アックス&ウィザーズで猟兵稼業をしているから、空を飛ぶならファンタジーなのがいいなって」
「ファンタジー! 確かにイメージ通りかも!」
絵本みたいだもんね!
ふっかふかのピーちゃん。空の青を映す海のように、この世界を渡る鳥はあきとともに青の軌跡を描く。
「ユニコーンか青い鳥か悩んで、青い鳥にしたんですけど――ふふっ」
あきから咲いた花のような笑みが零れた。
「どうしたの、オーナー?」
「ううん、今、まさに私の思い描いていた世界だな、って思って」
一瞬キョトンとしたコイスルがアックス&ウィザーズ世界を見る。
陽射しを弾くユニコーンは眩いばかり飛翔。追う青い鳥。
鷲獅子が視界に映り、雪のような結晶がちらちらと舞い始める。
氷の道は刹那の蓮葉氷と成り果てる、同じ景色など一瞬としてない時の流れ。
オーナーの言ってることが分かるなぁと思ってコイスルも微笑んだ。
「空を飛ぶファンタジー、こんな収穫祭も面白いね!」
そして藻クラゲも発見。
海原にぷかぷか浮かぶ、滑らかな丸い藻。クラゲのように揺蕩っている。
そんな中に自然に出来た藻場を荒らす氷結の鷲獅子の姿があった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『氷雪の鷲獅子』
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POW : 極寒の風
【両翼】から【自身を中心に凍てつかせる風】を放ち、【耐性や対策のないものは氷結】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD : 爪による連撃
【飛翔してからの爪による攻撃】が命中した対象を切断する。
WIZ : 凍てつく息吹
【氷の息吹】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を凍らせ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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●
藻クラゲの浮かぶ、自然の藻場を食い散らかす氷雪の鷲獅子。
氷る魔力を纏う鷲獅子の周囲は、鷲獅子の滞在とともにどんどん凍結していく。
周囲の温度との差異に気流が乱れ、海面にあった蓮葉氷がくっつき氷の大地と化していく――。
食事に夢中になっていたモンスターであったが、猟兵が到達とともに一撃を叩きこめば大きな翼を広げて飛翔する。
『ギエエェェェッ!!』
耳を劈く雄叫びに――魔力宿る声に氷結の層が構築されていく。
凍てつかせる風には氷刃が混じり、凍気に乗った翔けは素早い。
凍てつく息吹は氷の地を隆起させた。
海原はあっという間に極寒の大地という戦場に。
飛翔する鷲獅子――氷の軋む地に降り立つ猟兵、空に在り続ける猟兵、イニシアチブを得るべく、それぞれが動き出す。
緋神・美麗(サポート)
絡み・アドリブ歓迎
技能を駆使して命中と威力を底上げした一撃必殺UCを選択して使用しボスに向かって全力攻撃する
「なるほど。魔力が蓄積した藻クラゲを食べて、こんなにも強大な魔力を得たってワケね」
ライトニングオーラを纏う緋神・美麗(白翼極光砲・f01866)が降り立った氷上で駆ければ、まるで翼のようなサイキックエナジーの残滓。
『クエエエェェッ!』
空飛ぶ氷雪の鷲獅子が凍てつく息吹を地面へ――美麗に向かって叩きつけようとしてくる。
「甘いわよ!」
軽やかに繰り出したステップは跳躍を兼ねた方向転換の精度を上げるもの。
ジグザグに駆けた美麗が手にするのはライトニングセイバー。
高度に位置する敵の視界を逆手に取って翻弄するように先読めぬ走りを披露する。狙うは敵の死角だ。
敵の視認から抜けた美麗は身を屈め、這うように跳んだ。
氷上という戦場特徴を利用して滑るような着地。身を捻った上半身に伴う遠心から振るわれた腕の射線上には氷雪の鷲獅子。
ライトニングセイバーの残像が捉えた線は、美麗が脳裏に描いた理想そのもの。
「イメージ転写、ゴー!」
発動したライトニングヴァイパーはまるで雷の奔流だった。
広範な刃の如き紫電が氷雪の鷲獅子へと到達し、冷たき羽毛を捲り上げる雷電の一撃が敵の全身を覆う。
『グエッグエエッ!』
内包せんとする雷を払う鷲獅子の羽ばたきが氷結の世界にスパークを起こしていくのだった。
成功
🔵🔵🔴
春乃・結希
追いついたぞー!…そして寒っ
これがあなたの本気?すごい魔力やね…!
興味津々で氷の上に降りてみます
『wanderer』の蒸気魔導力のおかげで氷の上でも滑りません【地形体制】
そのまま【ダッシュ】で走り回って狙いを付け難くして…それに動いてないと寒いし…!
避けた爪とか、『with』を叩き付けたりして氷が砕けたら、その破片を投げます【怪力】【投擲】
あの子は速いから、しっかり狙うよりも数を投げます
こんなにすごい魔法の具やもん、独り占めにしたい気持ちはわかるよ
でも、ヴェルニスの人達が喜んでる顔も見たいから
藻クラゲは持てるだけ持って帰って、街の人のお土産にしよー
ついでに美味しい食べ方も教えて貰えたらいいなっ
クラリス・シドルヴァニス
引き続き、エクレールに騎乗して空中で戦います。
あの鷲獅子が、藻クラゲを食い荒らしていたのね。
いくわよ、エクレール。大丈夫、私達ならあの魔物にも負けないわ。
敵は冷気を操るのね。聖骸布に宿った聖なる力で《オーラ防御》。
さらに蒸気ガントレットを作動させて発熱させ、高温の蒸気を
放って敵の冷気への対策とします。
エクレールの《空中機動》で敵に近づきながら、プリンセスハートを
飛ばして【愛】【聖】属性の《精神攻撃》。敵の戦意を下げて
攻撃の勢いを弱めたら、【聖戦の印】を発現させて《切り込み》。
敵は強力なので、ここは命中率を重視して強化するわ。
自分だけお腹一杯になろうなんて、悪い子ね!
皆の分も残してあげなさい!
「あの子が藻クラゲなんだ」
凍りついた海から逃れぷかぷか浮かぶ藻クラゲの姿に春乃・結希は微笑んだ。
(「帰りは持てるだけ持って帰って、街の人のお土産にしよーっと♪」)
天ぷらみたいに衣を纏わせて揚げたり、スープにしたり、色々と食べ方もありそうだ。
お楽しみに思いを馳せたところで結希は気を引き締めた。その時、戦場を覆ったのは味方の放った紫電の奔流。
スパークが空を翔け抜けていくなか擦れ違うように降下する結希。
「追いついたぞー! ……って寒っ!」
wandererの蒸気魔導力が結希に安全な着地を与える。滑りそうな氷上でも影響が出ない、脚力を強めるブーツは結希の体幹をも安定させていた。
『クエエエェェッ!』
飛翔からの急降下。結希を狙った氷雪の鷲獅子の爪撃はしかし空振った。
鷲獅子の攻撃を注視しての回避――方向転換して結希が駆けたのだ。
爪が氷地を数メートル砕き削ったのち、羽撃って地面を叩き上げるように再びの飛翔。
氷結の大地と周囲の海温により生まれる上昇気流に乗ったようだ。
「!」
その時、飛翔線上へ現れたのはペガサスのエクレールに騎乗したクラリス・シドルヴァニスだった。
緩やかな弧を描き、けれど加速した鷲獅子をいなすようにエクレールは一瞬さらに浮上した。ペガサスの翼が旋回する風を捉える。
身を切るような鋭い冷気にクラリスはスチームガントレットを作動させた。一気に蒸気が吹き荒れる――冷刃の如き軌道が明らかとなり、大気を翔けたエクレールが回避する。
蒸気を厚く噴出させて、空中に漂う、凍結による殺傷力を相殺しながらクラリスは呟いた。
「あの鷲獅子が、藻クラゲを食い荒らしていたのね」
貴婦人用のドレスに身を包むクラリスのそれは、エクレールの飛行を邪魔しないように戦闘用として機能するもの。纏う聖骸布に宿った聖なる力がオーラとなって彼女とペガサスを包みこむ。
気高き声がペガサスに語りかけた。
「――いくわよ、エクレール。大丈夫、私達ならあの魔物にも負けないわ」
エクレールがいななき、再び降下し始める鷲獅子を追った。
敵爪が砕いた地から氷塊が突きだし、更に結希が『with』で叩き割れば鋭利な氷刃が出来上がった。
それをひとつ、ふたつ。
駆けながら回収し、降下し背後に迫ろうとしている鷲獅子へと振り向きざまの投擲。
手にした氷が無くなる前に再び『with』で氷結の地を叩く――その衝撃に飛び散る氷の破片が落ち切る三拍に、三つの投擲。
『!』
一方向からとはいえ複数の氷塊が当たればたまったものではない、と鷲獅子の本能も告げているのだろう。
急降下にブレーキが掛かるも、氷塊をまともに喰らって体勢を崩しての浮上。それ故に時間を得た結希は更なる手数で攻める。
(「こんなにすごい魔法の具やもん、独り占めにしたい気持ちはわかるよ……でも、ヴェルニスの人達が喜んでる顔も見たいから」)
活気ある遺跡都市。収穫祭の儀式はこれからも都市が繁栄するようにと願いもこめられるものだ。謎多き遺跡群を愛する者は多く、定住すると決めた旅人や冒険者も多い。
速い鷲獅子に対して、しっかり狙うよりも数を投げる――結希のその行動は好機を作るということでもあった。
その時。
「あっ、ハート?」
結希の呟き。視認したのは空飛ぶハート。
投擲に全面警戒しどこかわたわたと翻弄される鷲獅子へ迫ったのはクラリスのプリンセスハートだった。愛の属性は真っ赤なハート。聖の属性は白金のハート。
鷲獅子が極寒の風を送り出すも、冷気の対策をしたクラリスには効き目がない。プリンセスハートも吹き飛ばされることなくしっかりと鷲獅子へと届いた。
『ク、グエッ!?』
――この場にいる誰も判別できぬことだが、この時、鷲獅子の中で罪悪感が芽生えた。愛と聖なるハートは獰猛な獣にも影響を及ぼす。
怯んだ氷雪の鷲獅子に、とてつもなく大きな氷塊がぶつけられる。
「クラリスさんっ」
「ええ!」
敵の両翼から放たれる凍てつく風。大気を凍らせ数多の氷粒が周囲に出現する。攻撃にはびくともしないクラリスたちであったが、今のこれは目くらましも兼ねたものだった。
クラリスは目を眇めた。
クロスクレイモアの紋章が光り、聖戦の印が発現する。
「自分だけお腹一杯になろうなんて、悪い子ね! 皆の分も残してあげなさい!」
鷲獅子の罪悪感を煽る言葉と共に迷いなき一刀。
風と風の合間を抜ける斬撃が鷲獅子へ到達し、灰青の羽毛を赤く染め上げた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
コイスル・スズリズム
引き続きオーナーさん(f03848)同行だよ!
あれが敵さん!
けっこうもふもふしてそうで
作られた氷もとってもキレイ
敵じゃなきゃ仲良く出来そうでカワイイのになと思っちゃうよ
オーナーさんもああいうまるっこくて大きいの好みじゃない?
少し季節のはやい氷上での戦いだね。ファンタジー
スケートはあんまりかも!
じゃあ、すずもハロウィンちっくな足場を作っちゃおうかな。
UCを起動して
リーディングブックスで紙片を大量に氷の上にばらまいていく
UCには環境適応と氷結耐性を込めておく
狙いは、氷の上にすずたちの戦闘に有利な足場を作っていく
そっちが氷なら、こっちは紙!
えーと、あわさると、なんだろ?
スケートリンクっぽいペーパーとかだね!
紙の色はハロウィンカラーにしちゃおう
カラフルな気分も大事だよね
オーナーさんもどうぞ!
といって足場へ飛び乗って
すずの紙の上での戦闘には慣れてるでしょ?とウインク
相手の氷の攻撃は間近で受けたくないので
自身側が作り出した紙の足場を移動しながら行動
攻撃は、ドラゴンランスの槍投げを中心に攻撃していくよ
小宮・あき
すずちゃん(f02317)と。
作戦は空の上で相談済み。
グリモア猟兵さんから氷の足場になってると聞いて。
「すずちゃん、氷の足場って話だけど、スケートとかいけます?」
私は小さい頃に数回だけ経験があります。…が、靴は冒険靴のまま。
氷の上、しかも凹凸がある場所では心配が残ります。
あら、すずちゃん、足場いける?
ああ、ハートの紙片! じゃあ、着地と同時に引いてもらったりできます?
鳥が飛び立ったり氷が壊されたりしても丈夫な足場をお願いしたいな。
遠距離攻撃で対応するから、距離は離れていても大丈夫よ。
(すずちゃんが足場を作って、私が攻撃メインで動きます)
ええ…、あれ可愛い…?
ん~、私の好みではないなぁ。
同じ鳥類でもピーちゃんの方が好きです。
大きいのは好きだけど、こう…、丸いのがね。私の好みなんですよ。
UC発動。
スポットライトのような物質を透過する光の柱を落とします。
【祈り】を媒体にした、光の【属性攻撃】。
標的は選択可能。他の猟兵を外し、敵だけを祈りの力で焼き払います。
距離を取って【氷結耐性】をしっかりと。
真っ青な海の上。
空の色を映し、海の色を取り込んだかのような氷の地が出来上がっていた。
絶えず氷の粒がちらちらと舞う戦場にて、その力が羽根にも伝わっているのか、灰青の羽毛を持つ氷雪の鷲獅子が猟兵たちとの攻防を繰り広げている。
降り立った氷の地は滑りやすい――伝わってくる攻防の振動をやりすごす。
「あれが、敵の鷲獅子さん!」
コイスル・スズリズムが澄んだ藍の目を凝らして鷲獅子の動きを追った。
冷たい風を羽毛に含ませた敵の姿はまるで冬地の鳥のよう。
「けっこうもふもふしてそうだね。敵じゃなきゃ仲良く出来そうでカワイイのになと思っちゃうよ」
コイスルの言葉にちょっぴり眉を寄せる小宮・あきは疑問の声。
「ええ……、あれ可愛い……?」
「あれ? オーナーさんはああいうまるっこくて大きいの、好みかなって思ったんだけど」
「ん~、私の好みではないなぁ。同じ鳥類でもピーちゃんの方が好きです」
そう言ったあきの手がふんわりと動いた。まるっこい軌道を描く。
「大きいのは好きだけど、こう……、丸いのがね。私の好みなんですよ」
まるっこいものは愛らしい。もっふりとした小鳥、コロコロ転がり遊ぶ子犬たち、よちりと歩く赤ん坊の動物。
彼女の様子にふふっとコイスルが微笑んだ。
「ピーちゃんのまるっこさは最強だよね」
その時、どん! と一際大きな振動と空振が場に駆けて、慌てたように二人はバランスを取った。
「こ、これは、砕けるのも時間の問題なのかも? すずちゃん、スケートとかいけます?」
「うーん、スケートはあんまりかも!」
あきの問いかけに良い返事をするコイスル。
「私は小さい頃に数回だけ経験があります
。…………が」
が。
靴は冒険靴のままだ。頑丈な確りと作りではあるが氷上に対応できるスパイクが付いているわけでもなく。
困ったわ、という風に頬に手をあて、あきは氷雪の鷲獅子との彼我の距離を確かめるようにして戦場へ目を遣った。
重なる攻撃に氷塊が突きだし、またクレーターを作り砕けた場所。結構な凹凸がありスムーズな動きは出来なさそうだ。
純度の高い魔力で作られた氷地の塊は深部が仄かなエメラルドグリーン。綺麗ではあるのだが……、
「オーナーさん、こういう時は自分にぴったりな足場を作ったりしちゃおう」
「あら、すずちゃん、足場いける?」
「うん!」
元気に答えたコイスルが袖口から小冊の紙片を滑らせた。指先で摘んだページ。
「ああ、ハートの紙片! じゃあ、着地と同時に引いてもらったりできます?」
コイスルの意図を察したあきが笑顔になった。あきが笑顔になればコイスルも嬉しくなって笑顔になる。
「オーナーさん、リクエストはあるー?」
「そうね――鷲獅子が飛び立ったり氷が壊されたりしても大丈夫な、丈夫な足場をお願いしたいです」
実戦向けなリクエストに「お任せ!」とコイスル。
「誰かに恋する時のよに誰かを待つよに深く甘く続いてく――」
リーディング・ブックスの展開とともに紡ぐ声の調べは恋する空ある街の灯。
淡いオレンジから深いオレンジ、藍と紫のハート型の紙片は、夜の帳が落ちてゆく黄昏。
時の経過を表現するかのようにばら撒かれた紙片たちはハロウィンカラー。
夜空のハートに、灯りの色を映したハート。
ハロウィンの夜と、賑やかなパレードを思わせるハートの乱舞。
「さあ、行こう! オーナーさん!」
ハロウィンカラーが踊る道に飛び乗り、「すずの紙の上での戦闘には慣れてるでしょ?」とウインクするコイスル。
「ふふ、すずちゃんのエスコートね」
ふわりと髪をなびかせて飛び乗るあき。
まるでパレードに参加したみたいなワクワク感があった。
氷上では維持の難しかった体幹が安堵したように、しっかりとしたものとなったのに気付く。
『クエエエェェッ!』
ハロウィンカラーの地に気付いた氷雪の鷲獅子が上書きしようと飛翔し、接近してきた。
威嚇するような擦れ違いに起こった風は身を切る冷たさ。
否、実質風刃だ。
氷結の魔力含むそれを払うようにあきは飛び退いた。
『ギャギャギャ!』
飛翔する鷲獅子から凍てつく息吹が放たれるが彼我あるうちに注視していたコイスルの回避判断は的確なものだった。
作りだした足場を駆けて移動し、新たな小冊の紙片が『道』を作る。紙片は階段を構築していた。
段差を利用したステップ。振り向きざまに投擲したパステル・チョコパラソルドラゴンは遠心が掛かって鋭いものに。
螺旋の如きとなった穂先が氷雪の鷲獅子に突き刺さる。
「オーナーさん!」
「ええ!」
あきが祈れば破魔の力が発現する。
スポットライトのように物質を透過する強き光柱が鷲獅子を貫く――光条に刹那に反映するのは緩やかに弧を描く虹光。
「神罰を与えましょう」
聞いたものに神々しささえ抱かせるあきの声。
それは罪を重ねてきたものを灼ききる力だった。
神罰が氷雪の鷲獅子に与えられる――先の猟兵との戦いで宿った意思に与えられる罰。
『クエ……』
観念か、安堵か。鳴いた鷲獅子が瞬時に凍りパァンと砕けた。氷雪が舞う。
落ちてくるドラゴンランスを受け止めれば、ランスに当たった氷雪が、タンッと雨のような音を立てた。
氷雪が海風にさらわれ溶けていく。
鷲獅子から残されたその徴は海へと還りゆく、世界の魔力だったのかもしれない。
●
「すずちゃんっ」
「オーナーさん、おみごとだね!」
埋め尽くされた紙片の上をお互いに駆け寄って「やったね」とハイタッチ。
あきもコイスルも明るい笑顔で健闘を讃え合った。
まだ残っている氷の地を渡り歩き、端っこの方で藻クラゲを採取する猟兵たち。
持ってみればちょっと固めのスライムみたいな感触。
近くで見てみれば深い緑。
香りは澄んだ潮のようだ。
アックス&ウィザーズにある『豊穣の魔法具』。
それは魔法の力が込められた世界からのプレゼントなのかもしれない。リボンのように魔法具の力を解けば、豊穣が約束されるもの。
収穫祭、感謝祭、連綿とした世界の流れは、きっと来年も豊穣の魔法具を紡ぎあげることだろう。
大成功
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