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お手紙食べた悪戯南瓜

#アルダワ魔法学園 #お祭り2021 #ハロウィン #装魔封災戦

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●郵便屋さんごっこ
 とある、猫の国。
 恩返しを美徳とするケットシーが記念碑を立てる国の一つでも、ハロウィンは盛大に催されていた。
「今年も一杯並んでる!」
 国のあちこちに、ハロウィン仕様の屋台が並ぶ。
 それらを右に左に眺めながらとことこ進んだケットシーの少年は、南瓜色の便箋をぎゅっと握りしめて。
 すん、と鼻先をくすぐった良い香りに、ピン、と耳も尻尾も立てて、振り返った。
「ここにしよう!」
 屋台の前に備えられた南瓜の形の郵便受け。そこにすとんと手紙を投函すれば、南瓜頭の店主がにっこりと微笑んだ。
 そうして、とろとろあつあつ、ちょっぴりスパイシーな南瓜のスープを、保温容器にたっぷりと注いでくれる。
「えへへ、ありがとう!」
 ここは、手紙を大切に扱う猫の国。
 けれど、今宵綴るは、宛先のない些細な言葉達。
 郵便屋さんに憧れる悪戯好きなお化け達が悪さをしないように、他愛もない言葉を添えて、南瓜に食べさせるのだ。

●お礼にスープを一杯いかが
 アルダワ世界におけるハロウィンというのは、かつてあった『装魔封災戦』と呼ばれる大作戦の成功と勝利を記念するお祭りである。
 人類が災魔の仮装をして災魔の拠点に侵入し、大規模な奇襲で大量の災魔を封印したその大作戦が切っ掛けで、災魔達はいまでもハロウィンを忌み嫌っているのだと、言う。
「そんな災魔が、ハロウィンの祭りを襲撃するという予知がありまして。皆様にはそれを防いでいただきたいのです」
 ルクアス・サラザール(忠臣ソーダ・f31387)が語るには、災魔は『よりハロウィンが盛り上がっているところ』を狙って襲撃してくるらしい。
 それを迎撃するために、猟兵達にもハロウィンを存分に満喫してもらう必要があるのだとも。
「皆さんに参加して頂きたいのはとある猫の国です。何でもこの国、郵便屋に恩義を感じ、手紙を殊更大切に扱う国だそうで」
 そんな国のハロウィンにも、勿論手紙は関わってくる。
 国中に南瓜で作った愉快な表情の『郵便受け』が設けられ、南瓜色の便箋がいたるところで配られる。
 そこに、何らかの文字を綴って、手紙として投函するのだそう。
 投函される手紙に宛先を書いてはいけない。これは、悪戯好きな南瓜お化けに郵便屋さんの真似事をさせるためなのだから。
「手紙が、誰かに届くことはありません。ですので大事な言葉は、どうぞ直接、伝えてあげてください」
 にこりと微笑んで、ルクアスはさらに続ける。投函するための南瓜は、屋台の店先に設置されているのだそう。
 屋台の種類は幾つもある。けれど、そのどれもが、スープを提供しているのだと。
 食べ応えバグツンの野菜たっぷりコンソメスープ。とろとろに煮込んだオニオンスープ。
 ワンタンなどのアクセントが入ったものもあれば、ポタージュと一緒に焼いたバゲットを提供してくれる屋台もある。
「甘いスープなんかもありますし、何なら南瓜のスープだけでも風味が違うものが沢山あるようです」
 一人一杯という決まりはない。手紙さえあれば、心行くまで楽しめるのだ。
 そうして過ごしていれば、災魔は自然とつられてくるだろう。
 楽しい祭を邪魔されないよう、しっかり仕留めてきてほしいとルクアスは言う。
 宜しくお願いしますねと恭しく頭を垂れて、道を開くのであった。


里音
 はっぴーはろうぃーん。
 アルダワよりハロウィンシナリオをお届けします。
 日常、集団戦の二章仕立てです。

 一章では沢山のスープを楽しめます。
 スープ引換券として手紙をご用意ください。
 一言二言で構いません。誰かに伝えるための言葉でなくとも構いません。
 また、愚痴や文句よりは感謝などの方が里音が喜びます。ツンデレは歓迎です。
 飲みたいスープの種類があれば記載して下さい。好みの傾向などでも構いません。特に記載無ければこちらで選出します。

 二章は集団戦となります。お食事後の襲来となりますのでご安心を。
 断章を挟む予定でおりますが、投稿前でもプレイングを掛けて頂いて問題ありません。参考程度にどうぞ。

 第一章受け付けは【10/24の8:31~】です。
 ハロウィンまでの完結を目指しますので、戦闘の方は多くを採用できない可能性もあります。
 皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 日常 『ハロウィンを楽しみまくれ!』

POW   :    お菓子や料理を食べて楽しむ

SPD   :    イタズラ合戦に参加して楽しむ

WIZ   :    素敵な仮装を楽しむ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

イージー・ブロークンハート
『前略 
 
 好きな女から贈り物もらってさあ 贈り物を好きに使っての意味のね すきにして が めちゃくちゃえっちに聴こえました。
 どうしよう むり かわいい。
 みんなには秘密だぞ。

 イージー・ブロークンハート』

(スープの皿を片手に)
(好きな料理は煮込みです)(具がいっぱいのスープも甘いのも大好きです)
これはオレがよこしまなのでしょうか
(スプーンでスープをかき混ぜている)
これはオレがよこしまなのでしょうか!!!
(唐突に飲む!)
(美味しい)(美味しいけど思い出して味がわからない)
ふええん おいしいね もう一杯ください!!

(アドリブその他大歓迎です)




 さらさら、さらさら。
 淀みなく筆を進める青年、イージー・ブロークンハート(硝子剣士・f24563)は、南瓜の便箋に綴った手紙を同じ色の封筒に入れて、すっ、と立ち上がる。
 今日はこの手紙を投函すればスープが貰えるハロウィンの催し。
 そしてイージーの好きな料理は煮込み系で、スープだって具が一杯のもが好きだ。
 甘いのも大好きだ。それでいてシンプルなのもいいと思う。割と何でも好きだ。
 だがしかし、今のイージーには悩む余地はなかった。正確には、スープを選ぶのに悩む余地は、だ。

 ――前略。

 好きな女から贈り物もらってさあ。
 贈り物を好きに使っての意味のね すきにして が めちゃくちゃえっちに聴こえました。
 どうしよう むり かわいい。
 みんなには秘密だぞ。

 イージー・ブロークンハート。

 宛先のない手紙に認めるくらいリフレインするフレーズが頭を一杯に占めてしまっているがために。
 つまり脳内でじっくりことこと煩悩を煮詰めているために。
「これはオレがよこしまなのでしょうか」
 目についた屋台ので笑う南瓜の口に手紙をねじ込み、ホカホカのスープを受け取ったイージーは、黄昏を宿した眼差しで虚空を見つめる。
 ホカホカのスープはコンソメベースの良い香り。
 スプーンを突っ込んでぐるぐる混ぜてみると、一口サイズの野菜やベーコンなどがたっぷりと煮込まれていて、掻き混ぜる度に具が躍った。
 目でも鼻でも存分に楽しめるはずのスープの色々が何故かちっとも入ってこない!
「これはオレがよこしまなのでしょうか!!!」
 何故なら脳内で以下略!
 ひたすら掻き混ぜていたスープを、イージーは唐突に口に運んだ。
 美味しい。煮込まれた野菜の旨味が溶け込んで、ピリッと感じる胡椒がまた良いアクセントになっていて。
 とても美味しい。はずなのに味がよくわからない。
 ――すきにして。
「ああああああ」
 ホカホカスープを一気に飲んだ。美味しいが煩悩を洗い流していく気がして気のせいか心が晴れやかになったような、心を占めていたものが掻き消えて寂しい気持ちになってしまったような。
 複雑な心に情緒がぐちゃぐちゃに掻き乱されて、なんだか泣きたくなってきた。
「ふええん、おいしいね。もう一杯ください!!」
 そんなイージーに、泣くほどおいしのかしら、なんて平和な顔でスープをよそう店主の姿があったとか、なかったとか――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

浮世・綾華
【千陽】

ほんと、そこら中からいい香りがするな
慌てなくてもスープは逃げねーって
そう諭しつつも行こうかと笑って

いいねえ、どっちも入ってるやつなら栄養満点だ
肉なら肉団子が入ってるやつとかうまいんじゃない?
俺は――秋だし、南瓜とかさつまいも系のポタージュが飲みたいかも
ちょっと甘めの、デザート感覚でもいけるっしょ

お、えらいえらい
俺も準備しといた

『その笑顔が、宝物だよ』

照れ臭い様な、秘密の言葉を綴る
隠しているわけでもないし
大切だってことは伝わって欲しいとすら思うけれど
一先ず今日は文字に閉じ込めておこう

必殺半分こな
愛らしい申し出にはふと微笑み頷いて
じゃあ腹いっぱいになるまで食べちゃお
腹、壊さない程度にネ


セト・ボールドウィン
【千陽】

うわあ、いい匂いがする!
早く行こーって。隣の綾華を見上げて笑う

俺、肉とか野菜とかいっぱい入ってるのがいいなあ
肉団子!すげー好き!
綾華はどんなのがいい?
あっ、それも美味そう
甘いやつだったら、栗とかもありそうだよね
デザートも完璧!そんじゃ一緒にさがそ

手紙?ちゃんと書いてあるよ
へへ、ほらね

中身が見えないように大切に折り畳んだ便箋には
『いつもありがと、大好き』

別に見せてもいいけど
言葉にして伝えるのも全然ヘーキだけど
手紙にするとちょっと特別な感じがして、自然に頬が緩む

ほんとは目についたとこ全部廻ってみたいけど
腹たぷたぷになっちゃいそうだしなー

あっ、半分こすればいっぱい食べれるじゃん?
そうしよ。ね




 すん、と鼻を鳴らせば、ふわりと鼻腔をくすぐる香しさ。
 食欲をそそるその香りに、セト・ボールドウィン(木洩れ陽の下で・f16751)はぱぁっと表情を明るくする。
「うわあ、いい匂いがする!」
「ほんと、そこら中からいい香りがするな」
 ハロウィン仕様の屋台や南瓜の郵便受けなどを見て楽しむのもいいだろうと思っていた浮世・綾華(千日紅・f01194)だが、これだけいい匂いに晒されては、腹の方が急いてきそうな気さえする。
 早く行こー、とわくわく笑顔で見上げてくるセトの腹はどちらだろう。
 慌てなくてもスープは逃げないなんて諭しつつも、そわそわしてしまう気持ちは分かるから、二人は早々に屋台通りへ踏み出した。
 聞いていた通り色んな種類のスープが展開されている。
 くるりと回される大鍋の中身をちらちらと確認しながら、どれがいいだろうと二人で吟味。
「俺、肉とか野菜とかいっぱい入ってるのがいいなあ」
「いいねえ、どっちも入ってるやつなら栄養満点だ」
 味はどんなのがいいだろう。コンソメは王道な感じ。トマトベースも良い。いっそ豚汁のような和風寄りも捨てがたい。
 あれこれと語り合う内に、ちらと綾華の視線に入るのは、ごろりと転がる肉団子。
「肉なら肉団子が入ってるやつとかうまいんじゃない?」
 ほら、あれ。と言うようにセトの視線を促せば、セトのきらきらした瞳がくるっとそちらを見つめる。
「肉団子! すげー好き!」
 あぁ、あれも食べたいな。でもあちらのたっぷりのウィンナーも捨てがたい。
 目移りしてしまう時は、同行者の意見を参考にするのも大切だ。
 綾華はどんなのがいいだろう、と小首を傾げて尋ねれば、ふむ、と思案気な顔が、周囲をくるりと見渡した。
「俺は――秋だし、南瓜とかさつまいも系のポタージュが飲みたいかも」
「あっ、それも美味そう。甘いやつだったら、栗とかもありそうだよね」
「なるほど、確かに栗も秋な感じがする」
 目に留まったのは、ちょっと甘めのスープ達。
 がっつりお腹にたまるスープとは違う方向性だけれど、デザートのような感覚で、きっと美味しく食べられる気がする。
「そんじゃ一緒にさがそ」
 楽しい秋の味覚探訪へ。あれもこれもと気になる屋台を経由して、最終的に決めたのは、セトの希望であった具沢山スープと、綾華が決めたミルク多めで滑らか甘めの南瓜のスープ。
 ベーコン、鶏肉、ウインナーと様々な誘惑に晒されながら選んだ具は肉団子。
 キャベツに玉ねぎ、人参と野菜もたっぷり入ったコンソメ味は、応え抜群だ。
 屋台の前に立てば、南瓜の郵便受けが気さくに笑いかけてくるよう。お手紙をお願いしますと微笑みかける店主に、セトはさっと南瓜色の便箋を取り出した。
「ちゃんと書いてあるよ。へへ、ほらね」
「お、えらいえらい。俺も準備しといた」
 丁寧に折りたたまれた便箋には、隣に立つ存在へ向けて、長くはないけれど気持ちを沢山込めた言葉が綴られている。
 綾華もまた同じ。共に歩いてくれる人へ綴る言葉は、大切なものだからこそ、丁寧に。
 ちら、と顔を見合わせた二人は、互いにその言葉を伝えることを忌避しない。
 照れくさい気持ちがないわけではないが、伝わってほしいという気持ちの方が強いし、見せるのも、口にするのも、構わないくらい。
 だけれど、今日は秘密のまま。
 便箋でちょっぴりだけ隠したセトの口元は、自然に緩んだ笑みが綻んでいる。
『いつもありがと、大好き』
 声にしない言葉は、なんだかちょっと特別な感じがして、胸の内がふくよかな気持ちに満たされる。
 えい、と投函すれば、にっこり笑顔の南瓜と同じ顔の店主が、たっぷりとスープをよそってくれた。
「俺も入れてこよう」
 南瓜のスープの屋台に、同じように手紙を投函する彩華。
『その笑顔が、宝物だよ』
 いつだってそう。今だって。
 文字に閉じ込めたから、今日は口にする事は無いけれど。新しい宝物を見つけて浮かべる笑みは、きっと、幸せそうに見えたのだろう。
 どうぞとスープを差し出す店主の表情もまた、ほっこりと幸せそうだったのだから。
 気に入りの二つを手に入れて早速味わいに向かいながら、セトは通りすがりに見かけた屋台をちらちらと振り返る。
「ほんとは目についたとこ全部廻ってみたいけど、腹たぷたぷになっちゃいそうだしなー」
 選ぶ楽しさと同時に、選ばねばならない悔しさのようなものを感じつつも、スープを一口、パクリ。
 噛みしめた野菜の歯ごたえに満足気に綻んでいたセトは、綾華にも食べさせたいと感じた瞬間、ハッとしたように顔を上げる。
「半分こすればいっぱい食べれるじゃん?」
 天啓では、と得意げな顔と同時に、「そうしよ。ね」と強請るセトに微笑ましげに綾華は頷く。
 丁度、口の中に広がる甘い味に、しょっぱいものも欲しくなっていた心地なのだ。
「必殺半分こな。じゃあ腹いっぱいになるまで食べちゃお。腹、壊さない程度にネ」
 半分こしたら、甘いのとしょっぱいのを求める無限ループが発生しそうだと笑って。
 花咲く会話とほかほかスープを心行くまで楽しむ二人であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

小宮・あき
すずちゃん(f02317)と。

アルダワ学園は本当に久しぶり。
前に来たのはいつだっけ。大きな戦い以来かな。
学園内や学園地下は歩きなれたものだけど、こちらの国は初めてね。

ポスト、いろんなデザインがあるんですね。南瓜かわいい。
どれも独特なデザインで、ポストで決めるのは悩んじゃうね。
ん~、私、スープで決めちゃおっかな。

グリモア猟兵さんに言われた通り、手紙はしたためてきました。
お目当てのスープのお店で、にこりと笑ってポストに手紙を。
届く事のない手紙なら、届ける必要のない言葉にしたわ。

「私に決定権を移譲して良かったでしょう。ホテルは任せてくださいね。」
あなたから移譲されたホテルは、猟兵相手に良い商売を続けていますよ。
今は亡き祖父へ。私の理想の商人へ。私も立派な商人になってみせます。

ふふ、すずちゃん、スープいただいた? 何にしたの?
私ね、クラムチャウダーにしました。
大好きなんだぁ、クラムチャウダー。
ひとくちいかが?

手紙、そうね、武者修行中の姉に手紙を出す事はあるかな。
あ、みて、あの南瓜、猫耳だわ!


コイスル・スズリズム
仲良しのオーナーさん(f03848)同行

オーナーさんと一緒にアルダワの世界に来るのは本当に久しぶり!
そのこと自体でテンションがあがっちゃうよ~
みてみて!ここにこんな屋台があるんだって
すずも実はこの国ははじめてきた場所なんだぁー
なんていいながらオーナーさんとはじめてくる場所を興味津々に歩く

お手紙を大切に扱う国なんだね。
南瓜の郵便受けだ!すずハロウィンも南瓜も大好きなんだよね!
宛先がない手紙ってロマンチックだね。
さっそく書いてみよっか。

用意したお手紙の内容は、特に誰かっていうわけじゃなく
いつも遊んでくれてる友達に
「ありがとうね、いつもいてくれて。
直接いえるときに、忘れないよにいうよにするね」

あんまり字はキレイなほうじゃないけど
ちょっとだけいつもより時間をかけて書いてみるよ

手紙を書いた後は楽しみにしていたスープ。
スープは、大好きなかぼちゃ味のスープを選ぶ

オーナーさんは、手紙を書くことって好き?
なんてお話ししながら、たぶん次には違うこと話しながら
スープとハロウィンとこの国の時間を大切にすごすよ。




 ゆるり、見渡す景色は、久しいと感じるもの。
 ハロウィンの装いが加わっても、アルダワにはアルダワらしい空気感が漂っているのだと、小宮・あき(人間の聖者・f03848)はほんのりと笑みを浮かべる。
「前に来たのはいつだっけ。大きな戦い以来かな」
「そうだね、オーナーさんと一緒にアルダワの世界に来るのは本当に久しぶり!」
 親しい人と共に来る。それだけで特別な気がして、コイスル・スズリズム(人間のシンフォニア・f02317)も自然と上がった。
 学園の外へ来るのが初めてなあきにとっては、この国へ訪れるのが初めてのコイスルにとっても。物珍しさも加わって、視線があちらこちらと巡り。
 ふ、と。歩きながら目に留まったのは、南瓜のポスト。
 こちらの屋台の南瓜は、にっこりと愛嬌のある笑顔をしているけれど。あちらの屋台の南瓜は、眦と口角が印象的に吊り上がって、あくどい顔をしているよう。
「ポスト、いろんなデザインがあるんですね。南瓜かわいい」
 そそと近寄ってまじまじと眺める二人に、屋台の店主は表情を綻ばせ、良ければお二人もぜひ、と南瓜色の便箋を差し出してきた。
 短い言葉で構わないから、貴方の言葉でお手紙を。告げる言葉と共に受け取れば、コイスルは飾り気のない便箋の表を撫でて、柔らかに笑む。
「お手紙を大切に扱う国なんだね」
 ハロウィン仕様に着飾って、南瓜に郵便受けを担ってもらいながらも、その根幹は何も変わらないのだろう。
 悪戯お化けの真似事のためではあるが、今日だけは宛先を綴らないというのもなんだかロマンチック。
「さっそく書いてみよっか」
 顔を見合わせ、さらさらと綴る。あきは訪れる前、説明を聞いた時から書く事を決めていた。
 一方のコイスルも、特に悩む様子はない。伝えたいと思う言葉は幾つもあるけれど、特定の誰かへ当てるものではないとなれば、浮かぶ親しい人達へ、自然と言葉が綴られるのだから。
 とはいえ、字が綺麗だと胸を張って言えるほどではないから。いつもより時間をかけて、丁寧に、丁寧に、綴って。
 そうして用意された二つの手紙。さて、この手紙をどのポストへ投函したものか。
 描かれる南瓜の表情は多種多様で、中には悪魔のような角や、天使のような輪っか、蝙蝠のような羽根と言ったハロウィンらしい装飾を追加したものも見える。
「オーナーさんはどの屋台にする?」
「ん~、私、スープで決めちゃおっかな」
 デザインだけで選ぶのは難しそうだと肩を竦めたあきは、漂う香りに誘われるまま、好みのスープの屋台へと赴く。
 その隣を歩きながら、コイスルは大好きな南瓜のスープをあちらこちらと見て回った。
 甘いのがいいだろうか。スパイシーなのがいいだろうか。ううん、やっぱり南瓜の風味が強い方がいい。
 悩むコイスルに、小さく微笑んで。あきは、お目当てのスープを扱う屋台の前に立ち止まると、南瓜のポストと視線を合わせた。
 ちょっぴりダンディーに口ひげを張り付けた南瓜のポストに、にこりと微笑み、ことん、と。手紙を食べさせる。
『私に決定権を移譲して良かったでしょう。ホテルは任せてくださいね』
 宛先の無い、届く事も無い手紙。それならば、届ける必要のない言葉を。
 見守ってくれているなんて、思わないけれど。
 心配されているとも、思っていないから。
(あなたから移譲されたホテルは、猟兵相手に良い商売を続けていますよ)
 顔を上げて胸を張って、今は亡き祖父へ。あきの理想の商人たる彼の人へ、決意を籠めて、綴ったのだ。
 私も、立派な商人になって見せます、と――。
「すずちゃん」
「あ、オーナーさん!」
「スープいただいた? 何にしたの?」
 小首を傾げて尋ねれば、保温容器にたっぷり注がれたスープを嬉しそうに見せてくれる。
 つやつやの黄色は、甘い南瓜の香りを漂わせて。くるりと描かれたクリームとバジルの彩りもばっちりなスープは、濃厚な南瓜の味わいがたまらないのだと評判だそう。
『ありがとうね、いつもいてくれて。
 直接いえるときに、忘れないよにいうよにするね』
 いつも遊んでくれる友達へ。ありのままの言葉を紡ぐのだから、ありのままの味を大事にするスープと引き換えに。
 味わうのが待ち遠しいと言う顔をしていたコイスルだが、あきの手元にもしっかりと容器があるのを見つければ、興味のままに視線を向ける。
「オーナーさんは?」
「私ね、クラムチャウダーにしました」
 大好きなんだぁ、と嬉しそうに顔を綻ばせて飲食スペースに腰を落ち着けたあきは、手にしたスプーンで、くるりと掻き混ぜて見せる。
 ひょっこりと顔を覗かせる大ぶりのアサリと、小さめにカットされた野菜たち。それらを飲み込むとろりとしたスープは濃厚で。
 南瓜も大好きなコイスルだけど、漂ってくる香りに食欲がそそられるのを感じた。
 わぁ、と瞳を煌かせて見つめるコイスルに、ふふ、と嬉しそうに笑んで、ことり、首を傾げるあき。
「ひとくちいかが?」
「いいの? それじゃあ、すずのもどうぞ!」
 好きなものを好きなだけ味わうのも良いけれど、仲の良い友人と好きを分け合うのは、もっといい。
 南瓜の甘さがしっかり感じられる。アサリがぷりぷりで美味しい。なんて感想を告げ合って、自分の好きにも舌鼓を打って。
 自分達と同じように屋台を巡り、スープに悩む人達を見ては、その手に収まる手紙にも目がいったり。
「オーナーさんは、手紙を書くことって好き?」
「手紙、そうね、武者修行中の姉に手紙を出す事はあるかな」
 元気そうな様子を確かめられるとほっこりすると笑っていると、ふと目についた屋台の南瓜が、ぴょこんと猫耳を生やしているのを見つけたりして。
「あ、みて、あの南瓜、猫耳だわ!」
「本当だ! あ、あの屋台のスープは栗なんだって」
「あんまり食べた事の無い味ね」
「ああいうのに挑戦するのもきっと醍醐味なんだろうな~」
 スープに、手紙に、南瓜に、ハロウィンに。味わう合間に開かれる口からは、興味と話題が尽きる事なんてない。
 そうやってお喋りするのも、黙ってスープを味わうのも、どんな瞬間だって楽しくて。
 満たされる時間を、ゆっくり穏やかに、二人で過ごしていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【不死蝶】
スープのお代が手紙だなんて面白いシステムだねぇ
手紙は誰にも見られないから
好きなこと書いちゃっていいわけだよね?
それじゃあ誰かさんに向けて……

オムライス、チーズ入りハンバーグ、グラタン、
サーロインステーキ、ビーフシチュー、etc…

思い付く限りの食べたいものを書き連ね
最後に「作ってね(はーと)」という一文で〆
直接伝えたら「そんなに作れるか!」とツッコまれるだろうねー

俺が貰ったのは具沢山のトマトスープ
中になんとリアルな目玉や人の指を模した
具材が浮いていていかにもハロウィンって感じ
スープの赤色も何だか血のように見えてくるね
ほらほら梓、はいあ~ん
目玉部分をスプーンですくって梓に食べさせてあげる


乱獅子・梓
【不死蝶】
普通に代金を支払うよりも難易度高い気がするぞ…!
うーんうーんと悩んで、ようやく捻り出した一文を綴る

『たまにはお前が俺の為に何か作ってくれてもいいんだぞ』

伝える相手はもちろん、いつも俺にたかる誰かさん
…何だか結構恥ずかしいこと書いてないか俺?
我に返って書き直したくなってしまう前に勢いでそぉいと投函

俺が貰ったのは南瓜スープ
表面に生クリームで蜘蛛の巣の模様が描かれている
なるほど、これだけでもハロウィンらしくなるんだな…(メモ
綾のは…うおっ、本格的だな
よりにもよってそれ!?
野郎同士で、しかも目ン玉をはいあーんって何だこの絵面
見た目はあれだが、目玉は普通に美味かった




 オムライス、チーズ入りハンバーグ、グラタン。
 サーロインステーキ、ビーフシチュー。
 それからあれも、これも、それも――。
 食べたいものを南瓜色の便箋にひたすら羅列しながら、灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)はご機嫌に笑う。
 最後の一文には、『作ってね』とハートマーク付きで締め。
 思ったよりたくさん埋まったなぁ、と便箋を眺めてから、ちらり、綾は隣で難しい顔で便箋とにらみ合っている乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)を見た。
 彼にこの便箋をひらりと見せて、締めの一文と同じことを言えば、きっといつものように「そんなに作れるか!」とツッコミが飛んでくるだろうけど。
 今日は、手紙に。そして宛先を書かずに綴るのだから、思う存分要望を書いたって、怒られないし呆れられもしないのだ。
 折角だから順番に頼んでみようか、なんて思いながら手紙を折りたたみ、封筒に入れて南瓜のシールで封をして。
 そこまでしてからちらりと梓を見れば、まだ、悩んでいた。
 難しく考えているのだろう。こういうのは思いついた言葉で良いのに。俺なんて食べたいもの書いただけだよ。
 なんて思いながらも、のんびりと待っていると、ついに梓が何かを書いた。
 さらさらと書き上げて、綾と同じように手紙を仕上げて。それからまた、今度は微妙な顔をした。
『たまにはお前が俺の為に何か作ってくれてもいいんだぞ』
 梓は己が書いた一文を思い起こして、眉を寄せる。
(……何だか結構恥ずかしいこと書いてないか俺?)
(柄でもないことを書いたって顔してるなー)
 微妙な顔と、にこにこ笑顔。視線が合えば、梓はええいと勢いよく立ち上がり、屋台の方へと歩き出す。
 そうして、我に返って書き直したくなる前に。勢いに任せて、南瓜のポストにねじ込んだ。
「梓はこの屋台にしたんだー」
「お、おう」
「じゃあ俺はあっちのトマトスープっぽいのにしようかな」
 ふらりと他の屋台へ歩いていく綾を見送った梓は、そう言えば勢い任せで肝心のスープの種類をろくに確認していなかったな、と頬を掻き。
 けれどその手にホカホカの南瓜のスープが差し出されれば、ほんの少し目を丸くして、それから、ふと、笑った。
「へぇ、これは――」
「――すっごいねぇ」
 おー、と綾が食い入るように見るのは、大鍋の中身。
 トマトの香り豊かな真っ赤なスープは血のようで。その中に浮き沈みする具材達は、まるで人の指や目玉のよう。
 ちょっぴりグロテスクだけれど、実にハロウィンらしい。
 得意げな店主の屋台に手紙を投函し、スープを受け取った綾は、うきうきしながら梓と合流。
 そうして、梓の手元にある南瓜のスープの表面に、生クリームで蜘蛛の巣が描かれていることに、気が付いた。
「梓のもハロウィンっぽい」
「そうだろう、これだけで十分雰囲気が出るもんだな」
 参考になるなとちゃっかりメモした梓は、綾のは……と覗き込み。
「うおっ、本格的だな」
「でしょ~。この指はウインナーかな。目玉は何だろうね。ほらほら梓、はいあ~ん」
「よりにもよってそれ!?」
 何だろうねと言ったその口で勧めてくる綾。
 心なしかトマトスープがドロッとしていて本物の血のように見える。
 何より野郎二人であーんとか。全てにおいて絵面が酷い。
 しかしまぁ、料理を趣味にしつつある梓は目玉の正体も気になる訳で。思い切って一息に口にした。
「……あ、普通に美味い」
 白玉的なもちもち感が癖になる。
 あーんもして満足気な綾も、そのもちもちが気に入ったようで、嬉しそうだ。
 そんな姿を見ると、たまにはこういうのもいいか、なんて小さく笑んで。
 梓もまた、スプーンでくるりと蜘蛛の巣を払って、南瓜のスープを楽しむのであった。
 綾にあーんをやり返してもあまりに自然に口にするため、意趣返しにもならないのは、ちょっぴり、悔しい気がしなくもないけれど。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鈴丸・ちょこ
【黒】
(スープの香に早速ひげや鼻を忙しなく動かし)
此処の猫達ゃ二本足で歩いて手紙までしたためるとは、器用なもんだな
――おい何しやがる、どさくさに紛れて肉球を触るな
(にゅっ!と軽く爪立てつつも――まぁ折角の祭なんで乗ってやろう)

で、何だったか
トリート&トリート――の前に手紙だったか
さて、どうする?
俺はもう決まってるぞ
こうだ
(肉球スタンプをぺたん!とひとつ
文字は書けぬも、まぁ気持ちは乗せた
――お化けとやらが戯れに運ぶってんなら、それに乗っかり天の彼方の戦友へ――“元気してるぞ”の意を込めて)

よし、一仕事終えた所で腹拵えだ
俺は先ずミルク系が良い(戦友との思い出の味を求めて)
ふふん、火傷なんぞするかよ


呉羽・伊織
【黒】
(今日も早速食気まっしぐらだな~とか密かににゃごみつつ)
や~、猫の国って名前だけでもう癒されるよネ
ほーら、折角だしちょこニャンも仲間入りすると良いぞ!
(徐に可愛い長靴をちょこニャンの足へ――序でに肉球触ろーとしたら拒否られるも、長靴をはいたにゃんこ仮装は無事出来上がり満足!)

コラ、可愛い顔してどんだけトリート求めてんだ
そーそ、手紙な
ちょこニャンは尻尾を筆にしても可愛…って早!
(んじゃオレもお化けの戯れに乗るとして――『有難う』の一言だけ、今は届かぬ彼岸の誰かへ手向けて)

よしよし、そしたら存分に食欲の秋を謳歌すると良いさ!
オレは南瓜から行こ~
ソッチも味見させてな!
あ、猫舌火傷にゃ注意だぞ




 あちらこちらから漂ってくるスープの香り。
 スパイシーなものから甘いものまで、より取り見取りの香りに、鈴丸・ちょこ(不惑・f24585)の鼻や髭が、ひくひくとせわしなく動いていた。
(今日も早速食気まっしぐらだな~)
 そんなちょこのそわそわとした様子に、呉羽・伊織(翳・f03578)も思わず和む……もとい、にゃごむ。
 見た目だけは可愛らしいちょこの様子も癒されるが、なんといってもここは猫の国。あちらを見てもこちらを見ても猫の姿で一杯だ。
「や~、猫の国って名前だけでもう癒されるよネ」
「此処の猫達ゃ二本足で歩いて手紙までしたためるとは、器用なもんだな」
 表情がゆるゆるしている伊織とは別方向ながら、自身と同じ猫の容姿でありながらより人に近いケットシー達への興味や感心にうんうんと頷くちょこ。
 おまけにスープを提供する屋台も営むのだから末恐ろしいものだ。
「ほーら、折角だしちょこニャンも仲間入りすると良いぞ!」
 お祭り気分な国の様子に便乗すべしと、伊織が徐にちょこに赤くて可愛い長靴を履かせ……ついでに肉球もむにむにさせてもらおうと手を伸ばす。
「――おい何しやがる、どさくさに紛れて肉球を触るな」
 無論、そんな伊織の手にはちょこの爪が食い込むわけだが、普段のような鋭さはない。
 まぁ、折角のお祭なのだ。たまにはこんな戯れに乗っかって、長靴くらいは履いてやってもいいか、なんて。
 肉球には触れなかったけれど、長靴をはいたにゃんこな仮装のちょこが出来上がったので、伊織は十分満足だ。意気揚々と、祭の本題たるスープの屋台路へと乗り込んだ。
「トリート&トリート――の前に手紙だったか」
「コラ、可愛い顔してどんだけトリート求めてんだ」
 トリックどこ行ったと呆れた口調をしつつも、伊織は手にした紙をひらり。
 通貨の代わりの南瓜の便箋。手紙をしたため南瓜のポストに食わせれば、美味しいスープが饗される仕組みだ。
 しかしちょこはあくまでも賢い動物。筆を握って文字を書くという行為は、不得手だ。
「さて、どうする?」
「ちょこニャンは尻尾を筆にしても可愛……」
「俺はもう決まってるぞ。こうだ」
「って早! え、待ってなにそれ可愛いい……」
 きゅんとする伊織の視線の先には、ぺたん! とひとつ押された、くっきりな肉球スタンプが。
「ま、文字は書けんが気持ちは乗せたからな」
 便箋を降り、封筒に詰めて、ちょこは一度、南瓜のポストを見上げ、見つめる。
 今日は悪戯なお化けが郵便屋の真似事をして手紙を運ぶのだと。そう言うのなら。
 ――天の彼方の戦友へ気持ちを届けるのに、丁度いい。
(元気してるぞ)
 込めた気持ちは、きっと、届くだろう。
 和やかな気持ちでちょこの所作を見守っていた伊織も、お化けの戯れに乗っかるための言葉をさらり。
『有難う』
 直接言葉を届けることのできない、彼岸の誰かへ。
 しんみりなんてしていない。宛先はないけれど、お化け達の口伝に、きっと、届くだろう。
 それに、美味しいスープが待っているのだから。
「よし、一仕事終えた所で腹拵えだ」
 どことなく獲物を狙うような真剣な顔つきで、ちょこはスープを吟味する。
 あれもこれもと楽しみたいが、ちょこが先ず狙うのはミルク系。手紙を出した戦友との思い出の味が、ここで味わえたなら。
 伊織もまた、鼻をすんと鳴らして好みの匂いを嗅ぎつけながら、目移りする屋台を見渡して。
「よしよし、そしたら存分に食欲の秋を謳歌すると良いさ! オレは南瓜から行こ~」
 選び抜いた一杯目は、ちょこはキノコに野菜がたっぷりに困れたミルクスープ。伊織は胡椒がぴりっと効いたスパイシー寄りな南瓜のスープ。
「あ、猫舌火傷にゃ注意だぞ」
「ふふん、火傷なんぞするかよ」
 なんてったって『賢い』動物だからなと胸を張るちょこ。
 自信満々の所作に愛らしい長靴が絶妙にマッチするものだから、伊織のにゃごみもますます加速する。
 あつあつほかほかのそれを見せ合って、一口ずつ味見をしては、これもなかなかと舌鼓を打って。
 次はどれを味わおうか、なんて食欲の赴くままに相談し合い、祭のひと時を楽しむのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ひらふわトビエイ』

POW   :    いっしょにあそぼう?
戦場全体に、【水】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
SPD   :    いたいのいたいのとんでってー?
【尻尾からの淡い聖なる光】が命中した対象を高速治療するが、自身は疲労する。更に疲労すれば、複数同時の高速治療も可能。
WIZ   :    おやすみのうたを
【ひらひらから心地良い風】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全対象を眠らせる。また、睡眠中の対象は負傷が回復する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ついでにぼくらとあそんでよ!
 手紙を綴り、南瓜に食べさせ、スープを味わう穏やかなひと時。
 温かさに心満たされ、おなかも程よく満たされた頃に、それらは現れた。
『いっしょにあそぼう?』
『それともおやすみする?』
『あれれ、でもこのおまつりはハロウィンでしょう?』
『そんなのよりも、ぼくらとあそんでくれなきゃ!』
 ふわふわ、ふよふよ。
 空色の体躯につぶらな瞳を湛えた『ひらふわトビエイ』の群れだ。
 『装魔封災戦』の勝利記念であるハロウィンなんてやめて、自分達と遊んでくれとせがんでくる。
 強請る彼らの作り上げる水の迷路は、捕らわれてしまえば出るのは困難だろう。
 ちょっとやそっとのダメージでは、尻尾から放たれる聖なる光で癒されてしまうだろう。
 遊び疲れたなら眠ればいいと齎される心地よい風は、気を抜けば簡単に眠りへと誘われてしまうだろう。
 戦闘、と思えば些か厄介な攻撃ではあるが、彼らは、『遊んで』ほしいのだ。
 寄り添って戯れて、ついでにしれっと攻撃して。そうやって、満たしきってお暇願おうではないか。
イージー・ブロークンハート
エッぼっち?オレ?
(そこら辺の露天からボール買ってきてエイと遊んでます)
ぼっちじゃないよーお前ら遊んでくれてんじゃんーひらふわエイ〜〜(はいトス)
はい?誘えなかった?
違いますぅ〜隣で手紙書いてたら覗いちゃいそうだと思ったんですぅ〜〜(ナイスレシーブ)
お前らもそうじゃない?(ほいパス)隣で好きな子がなんか秘密のお手紙書いてたら気にならん?どうよそこらへん。(おっ打ち上げうまいぞー)そも書かない?言えばいい?

そおっかァーーーーー!!
(ボールをアタック!)

いいなあーーーーーーーー!かわいーなーお前らはーーーッ!!
(ついでにコードも発動ッ)

…がんばろ

(アドリブその他歓迎です)




 エッ、と。イージー・ブロークンハートはひらひらと群がるひらふわトビエイ達を見渡して、目を丸くする。
「ぼっち? オレ?」
『ちがうのー?』
『ひとりでしょー?』
「一人だけどもー」
 ぼっちって言わなくてもいいじゃないかーとトビエイ達の語尾につられてなんとなく間延びした口調になりつつ。
 イージーは近くの露店から南瓜プリントのボールを購入して、ぽん、とトビエイへパス。
 頭や鰭の部分で器用にパスを返してくれるトビエイの姿になんとなくほっこりしながら、ぽん、ぽん、とボールを飛ばす。
「ぼっちじゃないよーお前ら遊んでくれてんじゃんーひらふわエイ~~」
 ぽーん、とトスを上げれば、つぶらな瞳が一斉に上へ向き、それから一部のトビエイの視線がイージーに戻った。
 そうしている間にも、ボールの真下にふわりと入ったトビエイが、ぽよん、とボールを受け止めて、隣のトビエイへパス。
『いっしょにくるひといなかったのー?』
『さそえなかったのー?』
「はい?」
 ぽーん。トビエイ達の間で弾んでいたボールが、イージーの元へ返ってきて、とん、と彼の頭の上で軽やかに弾む。
 ……いやヘディングはちょっと痛い。やっぱり腕で受けよう。
「違いますぅ~隣で手紙書いてたら覗いちゃいそうだと思ったんですぅ~~」
 唇を尖らせつつの抗議に、トビエイ達は再び跳ね上がったボールを目で追い、イージーを見て。
『なんでー?』
「え、お前らもそうじゃない? ――ほいパス」
『わーいなんでー?』
「隣で好きな子がなんか秘密のお手紙書いてたら気にならん?」
『なんでー?』
「え、なにこれ情緒生まれて無くない??」
 幼子のようになんでなんでと繰り返しながらも、ボールを落とさないようにしっかりキープしているのは群れの力か。
 近くにいるトビエイのつぶらな瞳と視線を合わせ、揃って首を傾げるイージー。
『なんでてがみなのー?』
「え、書かない? いや書けないというオチ……」
『言えばいーのにー』
「うっぐ」
 ぽーん。純真無垢な子供のストレートな言葉がイージーの柔らかハートに突き刺さった。
 ついでにベストポジションにボールが上がってきた。
「そおっかァーーーーー!!」
 唐突にテンションハイに至ったイージーが跳ぶ。
 美しいフォームと共に跳びあがったイージーの右手が唸り、南瓜なボールをトビエイの群れに叩き込んだ。
「いいなあーーーーーーーー! かわいーなーお前らはーーーッ!!」
 素直で純朴でいっそ愛らしいトビエイ達を、きらきらしたものが襲う。
 鋭く突き刺さり、あるいは重く取りつき、硬く張り付く、硝子片達。
 痛烈なアタックに気を取られ、浴びせられるような煌きを思い切り受け止めてしまったトビエイ達は、「きゃあぁ」と悲鳴を上げながら、散っていく。
 悲鳴、と言うけれど。なんとなくはしゃいだようにも聞こえたのは。気のせいじゃないと思いたい。
「……がんばろ」
 悪意も害意も、悲嘆すらなかった彼らの無垢な言葉に、なんとなく、背を押されたような気さえ、するのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

コイスル・スズリズム
仲良しのオーナーさん(f03848)と引き続き同行だよ。

おいしいスープを食べ終えたら
ひらふわトビエイちゃんが寄ってくる気配を感じて。
この魔法の世界で、何度か見かけたことがあるトビエイちゃん。
このお祭りの楽しい雰囲気で、遊んでほしくなっちゃったのかな。
いいよ!でも、ハロウィンのお祭りは、続けていくからね。
一緒に、遊ぼう!

オーナーさんと、トビエイちゃんと、かくれんぼだね!
オーナーさんが見つかりやすいように
偽物をたくさん作って、囮をしてくれてるから
すずは、本物のオーナーさんのピッタリ後ろにくっついて隠れるよ
オーナーさんの動きや仕草、モーションは、
このお祭り以外でだって
もうずっと戦い慣れてるすずにはわかるからね

オーナーさんの合図がきたら
タイミングを合わせてトビエイちゃんに向かって
衣装の袖口から、UCを起動して攻撃。
これを繰り返す。

今年のハロウィンは、新しくも、少し懐かしい香りであふれてて!
オーナーさん!来年ももちろん、一緒に遊ぼうね。
それから、違った形であえたら、またトビエイちゃんも、遊ぼうね。


小宮・あき
すずちゃん(f02317)と。

現れたひらふわトビエイに、まずは挨拶を。
ふふ、こんにちは、つぶらな瞳が可愛いね。何して遊ぶ?

かくれんぼ? おにごっこ?
街には沢山の南瓜の郵便受けがあるから、隠れる場所は沢山ありそうね。
ハロウィンのお祭りは飽きちゃった?
でも、南瓜の後ろでかくれんぼが出来るのは、今だけだよ。

そうだわ。私達を見つける事が出来たら、あなた達の迷路にご招待くださいな。
今度は迷路の中で、あなた達を見つけちゃうんだから。
だからまず、私達が隠れますね。

ほんもの、どーれだ。
UCで10体、複製体を呼び出して、それぞれ郵便受けの後ろをメインに隠れさせます。
わざと見つかるよう服の裾を出したりして、ひらふわトビエイさんに見つかりやすく。
見つかったらにっこり笑って、ポンッて消えて。
後ろからすずちゃんと不意打ちで、サクッと仕留めちゃおう。
すずちゃん、お任せしていいかな?

それを繰り返して。
すずちゃんとくすくす笑いながら、南瓜の街を駆けていきます。
今年も楽しいハロウィンになったね。
また来年も、遊ぼうね。




 温かスープでお腹が満たされたコイスル・スズリズムと小宮・あきは、ごちそうさまのタイミングでふわりと現れたその姿に、ぱ、と揃って振り返る。
「トビエイちゃん」
「ふふ、こんにちは」
 災魔の一種ではあるけれど、この世界で何度か見かけたことのあるこの存在は、基本的に害意を持ってはいないことを知っている。
 今日も、憎むはずのハロウィンの催しと気が付いても、そんなことより遊ぼうとせがんでくるばかり。
「このお祭りの楽しい雰囲気で、遊んでほしくなっちゃったのかな」
 ひそりと小声で話しかけてくるコイスルに、あきは小首を傾げる。
 災魔の性質上、ハロウィンが楽しい雰囲気であったなら憤っていても良いくらいだろうに、と。
 思案はしつつも、ひらひらの体躯が揺れるのを眺めて。くすり、あきは微笑んだ。
「つぶらな瞳が可愛いね。何して遊ぶ?」
『んーと、鬼ごっことか?』
『かくれんぼとか?』
「いいよ! でも、ハロウィンのお祭りは、続けていくからね。一緒に、遊ぼう!」
 この国のこの装いは、ハロウィンである今日限り。だったらそれを活かして遊んだほうが絶対に楽しい。
 主張するコイスルに、あきもうんうんと頷く。
「ハロウィンのお祭りは飽きちゃった? でも、南瓜の後ろでかくれんぼが出来るのは、今だけだよ」
『いまだけー』
『おとくー?』
 そういうものかなときょとんとしたトビエイ達は、それならこのまま遊ぼうとひらりふわり。
 そうと決まれば、とにっこり微笑んで、あきはぽん、と手のひらを打つ。
「そうだわ。私達を見つける事が出来たら、あなた達の迷路にご招待くださいな」
「わ、それ楽しそう! 見つかったら、次は迷路で鬼ごっこ?」
「そうそう、だからまず、私達が隠れますね」
 ――ほんもの、どーれだ。
 打った手のひらをぱっと開けば、そんな所作のあきと同じ顔をした少女が現れる。
 掌に「1」と刻印されたあきの複製体の数は、十体。その中にあき自身も紛れて、トビエイ達に後ろを向くように指示をした。
「三十数えたら探してくださいね」
 それじゃあ、せーの!
 いーち、にーぃ、と律儀に数え始めるトビエイ達の声を背に、あきの複製体があちこちに散る。
 そうして、ハロウィンに彩られた通りに、そっと身を潜め、トビエイ達の『もういいかい』を待った。
『さーんじゅうっ!』
 くるっと振り返ったトビエイ達は、あきとコイスルを探してふわふわひらり。
 きょろきょろと視線を巡らせれば、さっきまで相対していたあきのスカートが、南瓜のポストの後ろからちょこんと覗いているのが見えた。
『みーつけた!』
 すいーっと前方に回り込んできたトビエイに、あきはにっこり笑って、ぽんっ、と姿を消す。
 そう、複製体だ。本物ではなかったとしょんぼりするトビエイは、気が付かない。
 背後から迫ったコイスルが、袖口から紙片をばら撒き、攻撃してきたことに。
「誰かに恋する時のよに誰かを待つよに深く甘く続いてく」
 遊びたい気持ちは、ちょっとは満たされたかな?
 小首を傾げたコイスルに、トビエイはゆるゆると落下しながら振り返り。
『えへへ……みつけたぁ』
 きみはほんものでしょう、とどこか嬉しそうな声を上げて、そのままふわり、掻き消えた。
 見届けたコイスルの隣からひょこりと姿を現したあきは、ちらりとコイスルを覗き込む。
「すずちゃん、任せても大丈夫だった?」
「もちろん、すずに任せて!」
 あちらこちらに散った複製体。その中に紛れたあきの姿を、コイスルは決して見失わない。
 今日以外だって、ずっと共に戦い慣れているコイスルにとって、本物のあきを見分けることは、造作もないのだ。
 だから、わざと見つかるように服の一部を覗かせた複製体の傍で控え、その姿が消えるタイミングで、後ろから不意打ちを。
「ちょっとずるいかな?」
「あっちはたくさんいるんですもの」
「じゃあ、ハンデってことで」
 顔を見合わせ、くすりと笑い合って。二人は次の囮の元へと駆けていく。
 漂うトビエイ達は彼女らの思惑なんて知らないけれど、ちゃんと遊んでくれているから、先ほど倒した一体目のように、どことなく、満足気な雰囲気を漂わせていて。
「違った形であえたら、またトビエイちゃんも、遊ぼうね」
 ささやかな約束に見送られて、彼らは一体、また一体と、消えていく。
 アルダワで過ごす今年のハロウィンは、コイスルにとっては新しく、それでいて少しばかり懐かしい香りで溢れていて。
 駆けるにつれて、自然と零れるのは、笑顔ばかり。
「オーナーさん! 来年ももちろん、一緒に――」
「今年も楽しいハロウィンになったね。また来年も――」
 ――遊ぼうね。
 重なった二人分の声に、また、顔を見合わせて。
 少女達はくすくすと笑って、駆けて行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

浮世・綾華
【千陽】

食べた後はひと遊びかしら
可愛い子たちは前にも遊んだことがあって
危害を加えなくっても倒さなきゃいけないから

うん。めいいっぱい遊んでやろ
楽しかったって思い出で、海に帰れるようにさ

――一緒に空を飛ぶなんてどう?
鍵刀を掴んで浮かべればふわりと宙に浮く
セトにも同じように鍵刀を渡して
操るのは俺だケド、重心で方向転換はできるはず

追いかけっこでもする?
俺らが鬼!俺とセトの連携はすげーよ?
な、と笑いかけ

おわ、でけー!
セト、ないすっ
最後は追い込んで一緒にえいと掴まえる

治癒はそっと避ける
お前らが疲れちゃうし、俺らも楽しかったからいーの

生まれ変わったら、また遊ぼ
セトの優しさに笑んで一緒に鍵刀で送る


セト・ボールドウィン
【千陽】

あっ。こいつらちょっと可愛い
仲良く出来そうな顔してるんだけどなー

いーよ、遊ぼうっ
俺も腹いっぱいで、ちょうど体動かしたかったとこなんだ
綾華のチカラを借りて空に浮かべば、気持ちもわくわく
よっし!何しよっか

鬼ごっこ。うん、そうしよ
俺と綾華めちゃめちゃ息ぴったりだもん
さあ。早く逃げないと捕まえちゃうからねっ

あっ、けっこー速い
やるじゃん。なんて笑いつつ
負けないようにスピード出してぐるっと回りこむ

向こうから追いかけてくる綾華に手を振って合図して
召喚するのは…おっきな南瓜ランタン!
行き止まり。こっから先は逃げられないよ

青嵐の柄でこつん
これならあまり痛くないよね
楽しかった?またいつか、一緒に遊ぼうな




 ひらりふわりと現れた姿に、セト・ボールドウィンがあげるのは、少しばかり弾んだ声。
「あっ。こいつらちょっと可愛い」
「確かに可愛い感じだよな」
 浮世・綾華は、ひらふわトビエイ達と相対した……一緒に遊んだ記憶がある。
 だからこそ理解している。危害を加えない、害意のない敵でも、骸の海から現れた災魔――オブリビオンである以上、倒さなければならないのだと。
 仲良く出来そうな顔してるんだけどなー、と呟くセトに、ほんの少し、眉を落として。
「いーよ、遊ぼうっ! 俺も腹いっぱいで、ちょうど体動かしたかったとこなんだ」
「うん。めいいっぱい遊んでやろ」
 満たされて、楽しかった。そんな思い出で、骸の海へ還れるように。
 感傷的な気持ちには蓋をして。綾華は笑顔を湛えてトビエイの群れを見渡すと、隣のセトをちらと見る。
 何して遊ぼうか、と悩ましげな顔をしているセトとトビエイ達が首を傾げ合ってにらめっこをしているのを微笑ましく見つめながら、思いついたように、自身の黒の鍵刀に触れる。
「――一緒に空を飛ぶなんてどう?」
 え、とセトとトビエイ達が一斉に振り返る視線を浴びながら、綾華は鍵刀の複製を二人分、作り出した。
「――コレをこうして、こうな?」
 その複製を掴んで念動力で操れば、綾華の身体も鍵刀と一緒にふわりと持ち上がる。
 おー、と思わず上がったような歓声は、一人と何匹か分、重なって。
 楽し気な様子に笑んで、瞳を煌かせるセトに、鍵刀を一振り、握らせた。
 ほうきに乗った魔法使いのように跨るべきか。ぶら下がるよりはより遊べそうかと試行錯誤しながらふわり浮き上がり、セトはわくわくした気持ちを乗せた笑顔でトビエイを振り返る。
「よっし! 何しよっか」
「追いかけっこでもする?」
『するー!』
「よし、それなら俺らが鬼! 俺とセトの連携はすげーよ?」
 な、と笑いかけてくる綾華に、うん、と自信満々に頷いて胸を張って見せるセト。
 鍵刀を実際に操るのは綾華の念動力だけれど、綾華が動きやすいように重心移動をするのはセトの務め。
 俺と綾華めちゃめちゃ息ぴったりだもんとセトは不敵に笑って見せて。
「さあ。早く逃げないと捕まえちゃうからねっ」
 よーい、どん!
 合図と共に、きゃあきゃあと幼子がはしゃぐような調子で散開し、ふよふよと飛び回るトビエイ達。
 その速度はゆるゆるふわふわ具合からは想像できない程度には早くて。
「やるじゃん」
 セトは一瞬目を丸くしたが、そうこなくっちゃと言わんばかりに、楽しげに笑う。
 綾華、と一声かけて、こちらもスタート。一番近くのトビエイの後をぎゅんと追う爽快感はなかなか癖になりそうだ。
 ただ追い掛けているだけでは意外と追いつかない。
 それなら、と大きく回り込み、トビエイの向かう方向へと先回り。
 後方から追いかけてくる綾華にひらりと手を振り合図を送ると、同時に呼び出すのは、奔放な想像力が生み出す、何か――。
「よーし……いっくよー!!」
 そーれと呼び出したのは、大きな大きな南瓜のランタン。
「行き止まり。こっから先は逃げられないよ」
 道一杯に広がってゆく手を阻む南瓜に、トビエイは鰭をぱたぱたとさせて一時停止。
「おわ、でけー! セト、ないすっ」
 その隙に、追いついた綾華がトビエイをがっちりと捕まえた。
 そうして数体と繰り返し戯れたところで、トビエイの一体がハッと何かに気が付いたように身をよじり、二人に向かって尻尾から聖なる光を放ってきた。
「おっと……それは、受け取れないな」
 その光が攻撃的なものではなく、癒すものだと知っているけれど。同時に、回復することで術者が疲弊する者だとも、知っているから。
 苦笑して、不思議そうに首を傾げるトビエイに肩を竦めて見せた。
「お前らが疲れちゃうし、俺らも楽しかったからいーの」
 沢山はしゃいで、遊んで、そろそろハロウィンの時間もおしまいの時。
 骸の海へ、還す時。
「楽しかった?」
『うん、たのしかったー!』
「またいつか、一緒に遊ぼうな」
「生まれ変わったら、また遊ぼ」
 また、と。その言葉だけを受け止めて。遊ぼうという約束にひらひらと漂う姿は、嬉しそうで。
 だからこそ、最期はせめて痛くないように、攻撃は刃ではなく、柄の方で。
 たったそれだけでも、遊び疲れて満たされたトビエイ達は、解けるように掻き消えていく。
 セトのささやかな優しさに微笑んで、綾華も同じように、トビエイ達の姿をほどいていった。
 ふうわり、ひらり。漂っていた最後の一匹がその姿を消した時。
 猫の国に漂っていたのは、鼻腔をくすぐるスープの香りと、それから、夕暮れ時のようなちょっぴりの哀愁。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年11月01日


挿絵イラスト