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夜涼みスターマイン

#カクリヨファンタズム #戦後

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#カクリヨファンタズム
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#戦後


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●大輪の花
 夏といえば? そう問われて思い浮かぶのはかき氷に流しそうめん、向日葵にスイカ、海に山に祭に――指折り数えていけば指が足りなくなる程だけれど、その中でも花火は外せないもの。
 ここ、カクリヨファンタズムでだって、それは変わらない。
 打ち上がるのは大輪の花、菊に牡丹に万華鏡。冠に柳に飛遊星、花雷万雷に千輪菊と、花火の種類だって色々だ。
 特に屋形船に乗って眺める花火は格別だと、とある妖怪が言う。いやいや、やはり屋台が並ぶ通りを歩きながら見るのが通ってもんだと他の妖怪が言い出して。
『そんなら、ビアガーデンから見るのだっていいもんさ』
 ちょっとばかり高い位置から遠景で見る花火も、風情があると横から誰かが口を出す。やいのやいのと花火談議が盛り上がる中、ひらり、ふわりと幽世蝶が飛んでいく――。

●グリモアベースにて
「夏といえば、やっぱり浴衣で花火見に行くんが風情もあってええよねぇ」
 屋台もあれば尚良いと、八重垣・菊花(翡翠菊・f24068)が浴衣姿でそう言った。
「カクリヨファンタズムでな、大きな花火大会があるんやって!」
 打ち上がる花火は数千数万、妖怪や魔女の花火師達が趣向を凝らした花火が夜空を彩るのだとか。
「屋台もようけ出るらしいんよ、一大イベントって奴やね!」
 花火が行われるのは河川敷で、堤防沿いにはずらりと屋台が並ぶ。たこ焼きにお好み焼き、オーソドックスな物から唐揚げやフランクフルトに焼き鳥串と、盛り沢山だ。
「食べ物の他にもな、風鈴置いてる屋台もあるしゲーム系の屋台もあるんやって」
 商魂逞しい妖怪達があれもこれもと屋台を引っさげてくるらしく、大抵のものは揃っているのだとか。
「川には屋形船も出るしな、近場にはビアガーデンもあるそうやよ」
 しっとりと花火を楽しみたければ屋形船もいいだろう、わいわいと楽しむのならば妖怪酒場の屋上で開かれるビアガーデンも捨て難い。
「うんうん、うちも行きたいくらいなんやけど……こっからが本題やで」
 めっちゃ行きたいんやけどな? という顔をしつつ菊花がその花火大会で幽世蝶が現れるのだと言う。
「幽世蝶は不思議な霊力を持つカクリヨの蝶でな、世界が崩壊するしるしを感じ取るんよ」
 その幽世蝶が現れるということは、オブリビオン化した妖怪が現れるということ。
「今回現れるんは、なんやこう……でっかい鉄板の妖怪でな」
 まさに花火を盛り上げる屋台にあるような鉄板が意思を持ち妖怪になった、どこかヤドリガミを思わせるような妖怪だ。
「最初は花火を楽しんでるようやから、危険はないんやけどな? 屋台を眺めてるうちに自分も屋台料理を作りたなってきて、作らせろー! 出来立てを食えー! って暴れ出すみたいなんよ」
 力尽くで倒しても、オブリビオンと化した妖怪を救う事はできる。けれど、と菊花が笑う。
「どうせやったら、美味しいもん作ってもろてお腹いっぱいになってくるんもええんちゃうかなぁって思うんよ」
 注文されるのだってきっと嬉しいだろう、リクエストも聞いてくれるはずだ。
「あ、心配せんでもな? 広い所で思う存分作りたいって思ってるらしくって、屋台の通りから少し外れた広い場所で鉄板広げるみたいやで」
 だから、花火は思う存分楽しんで大丈夫だと菊花が頷きながら、柏手を一つ打ってその手に大輪の菊の花を咲かせる。
「花火、めいっぱい楽しんできてな!」
 ゲートを開くと、そう言って猟兵達を送り出した。


波多蜜花
 閲覧ありがとうございます、波多蜜花です。
 今回はカクリヨに花火を見に行って、屋台料理を出すオブリビオンから提供される料理をたらふく食べちゃおう! というシナリオになっております。
 どちらか一つだけ参加も大丈夫です、お好きなようにご参加ください。
 浴衣で行くのも楽しいと思います、思うように楽しんでいただければ嬉しいです。
 浴衣は特に希望がなければお手持ちの浴衣を勝手に描写する場合があります。浴衣をお持ちでない方も、☆をプレイングのどこかに入れてくだされば、勝手にイメージで浴衣を着せます(ない場合はプレイングでの指示が無ければ描写致しません)

●プレイング受付期間について
 断章投下後にタグやMSページ記載のURL先にてご案内しております、参照いただけますと助かります。
 また、参加人数やスケジュールの都合、予期せぬ出来事によっては再送をお願いする場合がございます。なるべく無いように努めますが、再送となった場合はご協力をお願いできればと思います(この場合も、タグとMSページ記載のURL先にてお知らせ致します)
 オーバーロードについてはMSページに記載があります、ご利用をお考えの方がいらっしゃいましたらお手数ですが確認していただけると幸いです。

●できること
・一章
 OPにあるように花火や屋台を楽しむ、屋形船やビアガーデンからの花火鑑賞、または出来そうなこと等々、プレイングに盛り込んでいただいて構いません。
 POW・SPD・WIZは気にしなくて大丈夫です、断章はありません。

・二章
 一章を踏まえて断章が出ます。

●同行者について
 同行者が三人以上の場合は【共通のグループ名か旅団名】+【人数】でお願いします。例:【夜花3】同行者の人数制限は特にありません。
 プレイングの失効日を統一してください、失効日が同じであれば送信時刻は問いません。朝8:31~翌朝8:29迄は失効日が同じになります(プレイング受付締切日はこの限りではありません、受付時間内に送信してください)
 未成年者の飲酒喫煙、公序良俗に反するプレイングなどは一律不採用となりますのでご理解よろしくお願いいたします。

 それでは、花火の夜をどうぞお楽しみくださいませ!
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第1章 日常 『夜空に大輪』

POW   :    菊に牡丹、万華鏡

SPD   :    冠に柳、飛遊星

WIZ   :    花雷万雷、千輪菊

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ティア・メル
【塩飴】◎

お祭り!花火!楽しそう!
ソルくんはどこに行きたい?
わあわあ!いいね、屋台船!
行ってみよう!

屋台船に乗ってソルくんの隣に座る
わくわくしてどきどきするなあ
んふふ、だってさ
ソルくんと花火を見るなんて初めてじゃない?
これも夏の思い出だと思うから
ぼく的にはとーっても嬉しいんだよ
ソルくんも嬉しいなら良かった

あ、花火!
始まったね!
思わず窓から身を乗り出して見上げる

色とりどりの花が夜空に咲く
綺麗だなあ
まるでご縁みたい
友達に戀人に名前の付けられない関係に
ぼくにはたくさんご縁が出来たよ
ソルくんにも
これからたくさんのご縁が咲きますように
それじゃあだめだよ
もう孤児院に居た頃とは違う
自由になるってそういうこと


ソル・サン
【塩飴】◎

はしゃぐティーが可愛い
思わず頬が緩んでしまう
そうだな
どうせなら2人でまったりしてえし
屋台船行かねーか?

そわそわしてるティーに笑う
そんなにドキドキするもんか?
そうだな
孤児院に居た頃、ティーは虐げられてて…
いや、楽しい時にこんな話はよそう
花火なんてオレ達見られなかったもんな
オレも嬉しいよ
頭をぽんぽんと撫でて

お、花火
ティー、落ちないように気を付けろよ
はは、確かに綺麗だな
(何よりも1番綺麗に見えるのはお前、とは言えねーけど)
ご縁?
そうか
(戀人の言葉に胸が痛む。それすら愛おしい)
オレにはティーが居ればいい
お前さえ居てくれれば

……お前、たまにキツイよなあ
苦笑いして
オレも探してみるわ
ご縁ってやつ



●甘くて、しょっぱい
「お祭り! 花火! どれも楽しそう!」
 はしゃいだ声でティア・メル(きゃんでぃぞるぶ・f26360)が夜空からソル・サン(壊れた精霊・f38173)へと視線を向ける。
「屋台も美味しそうだよ!」
 ね? と笑うティアを眩しそうに見遣って、ソルが頷く。
 無邪気にはしゃぐティーが可愛い、思わず緩んでしまう頬を引き締めて彼女が向かう先へと共に歩く。
「うーん、このまま屋台を巡ってもいいし、ビアガーデンに行ってもいいし……屋形船も風情があるし……ソルくんはどこに行きたい?」
「そうだな……」
 どこでも、ティアが行きたいところなら。
 そう言いかけて、視界に入った屋形船に目をぱちりと瞬かせた。
「どうせなら二人でまったりしてえし、屋形船行かねーか?」
 あそこならゆっくりと話もできるだろうとソルが言うと、ティアがパッと顔を輝かせる。
「わあわあ! いいね、屋形船! 行ってみよう!」
 ゆらゆら揺れる船の上、人混みを避けて見上げる花火もきっと素敵だ。
 屋形船に乗れるという場所に向かい、案内されるままに船へと乗り込む。
「なんだか、わくわくどきどきするなあ」
「そんなにドキドキするもんか?」
 隣に座りそわそわとあちこち見回したり、髪の乱れを直すティアにソルが笑い返す。
「んふふ、だってさ」
 そこで言葉を切って、ティアがはにかむ。
「ソルくんと花火を見るなんて初めてじゃない?」
「……そういえばそうだな」
 はにかんだ笑顔が可愛い、こんな表情が見られるようになったことをソルは素直に嬉しく思って頷く。孤児院にいた、虐げられていた頃には見る事が出来なかった表情だと考えて、こんな楽しい時に言う事でもないなと緩く首を振る。
「ソルくん?」
「いや、花火なんてオレ達見られなかったもんな」
「そう! だからこれも夏の思い出だって思うから、ぼく的にはとーっても嬉しいんだよ」
 嬉しい、嬉しいと花の咲くような笑顔に、ソルがそっと彼女の頭に手を置いてぽんぽんと撫でる。
「オレも嬉しいよ」
「えへへ、ソルくんも嬉しいなら良かった!」
 お返し! と、ティアもソルの頭を撫でると、ひゅるるという音が聞こえて夜空を見ればドォンという大きな音と共に大輪の花が咲いた。
「お、花火」
「あ、花火! 始まったね!」
 二人同時に声を上げ、ティアが思わず船の窓から身を乗り出し、続いて上がる花火を見上げる。
「ティー、落ちないように気を付けろよ」
「大丈夫! それに落ちそうになってもソルくんが助けてくれるでしょ?」
「それはそうだが」
 仕方ないな、とソルが笑って、隣で同じようにして花火を見上げた。
 次々に上がる花火は目を離せないほどに綺麗で、それでもソルは時折ティアの方へ視線を向ける。花火の光に照らされた隣の彼女の方が綺麗だと思うから。
 ティアは花火に夢中でソルの視線には気付かないまま、花火の感想を口にする。
「綺麗だなあ。ね、ソルくん」
「はは、確かに綺麗だな」
 何よりも一番綺麗な君を前にしては、やっぱり霞んでしまうけれど。お前が一番綺麗に見えるとは言えず、ソルはそっと口を噤んだ。
「まるでご縁みたい」
「ご縁?」
 うん、と夜空を見上げたままティアが続ける。
「赤やピンクに緑に青、色んな色があるし、いろんな形があるなって」
 それはまるで、人との関係にも似て。
「友達に戀人に……名前の付けられない関係に、ぼくにはたくさんご縁が出来たよ」
「そうか」
 戀人、と口にした瞬間のティアは一番可愛い顔をしていて、その言葉にソルの胸がツキンと痛む。けれど、その痛みすら愛おしくて、どうしようもなくティアが愛おしい。
「ソルくんにも、これからたくさんのご縁が咲きますように」
「オレにはティーが居ればいい、お前さえ居てくれれば」
 思わず零れたソルの言葉に、ティアが無邪気に笑ってダメ出しをする。
「それじゃあだめだよ」
「ダメか?」
「もう孤児院に居た頃とは違うんだから。ぼく達は自由なんだからね」
 自由になるって、そういうことなんだとティアがじっとソルの瞳を見つめて言う。
「……お前、たまにキツイよなあ」
 く、と眉根を下げてソルが笑うと、スパルタだよとティアも笑って。
「そうだな、オレも探してみるわ」
「うに?」
「ご縁ってやつ」
 その答えにティアが一番大きく咲いた夜空の花よりも美しく、弾けるような笑みを咲かせたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ウィリアム・バードナー
【花宴2】◎

2021の浴衣で参加

夏祭りと言えば屋台だろ!花火も見れるし、こんだけ屋台があるんだから今は楽しまなきゃ損だぜ子うさぎ!

チョコバナナ、りんご飴、唐揚げ、とにかく食べたいものを買い込んで。
子うさぎはわたあめが食いたいのか?待ってろ、買ってきてやるからよ!
なんだか、わたあめって子うさぎみたいだなぁなんて思いながら唐揚げをぱくり。

そろそろ花火が上がるのか。ここじゃ子うさぎが見にくそうだな…よし♪しっかり捕まれよ!リリーを抱き上げ、他の人にぶつからないよう気をつけながらいざ空へ。

どうだ、子うさぎ!ここなら俺とお前の特等席だぞ!楽しそうなリリーにニッと笑い返して。


リリー・フォーゲル
【花宴2】 ◎

2021の浴衣で参加

素直に楽しんでいいのか少し悩むけれど…せっかくウィリアムさんと来た夏祭り!屋台も花火も今はうんと楽しまなきゃですよね!

いつの間にかウィリアムさんの手には沢山の食べ物が…
リリーもなにか食べようかな?ぱっと惹かれたピンクのわたあめ…!え、いいんですか!ありがとうございます!ふふ、甘くてふわふわでニッコリしちゃいます!

そろそろ花火が上がる頃ですね!でもここは少し人が多くて見にくいかも…
え?捕まれって…?わわっ!!
急に体が宙に浮いて…びっくりしたけど、それ以上に花火がとても綺麗で…

わぁ…!本当だ、リリー達の特等席!
見て見て、ウィリアムさん!花火が沢山咲いてますよ!



●とっておき
 夏といえば花火、花火といえば夏祭り、夏祭りといえば――。
「屋台だろ!」
 楽し気に笑うのはゆったりしたタンクトップとスラッとした脚にぴったりのボトムの上から、紫黒色の浴衣を着たウィリアム・バードナー(堕天したワンコ・f31562)だ。
 ゆるりとルーズに着こなした浴衣姿で笑う彼を見上げるのは、裾にうさぎ柄の入ったパステルキュートな浴衣を着たリリー・フォーゲル(みんなの食材(仮)・f30316)で、裾から覗くホルスタインの足がその可愛らしさに拍車をかけている。
「花火も見れるし、こんだけ屋台があるんだから今は楽しまなきゃ損だぜ、子うさぎ!」
 素直に楽しんでいいのかちょっぴり悩んだ顔をしているリリーの頭をぐしゃりと撫でて、ウィリアムが何を食べようかと屋台を見回す。
「か、髪の毛がぐちゃぐちゃになっちゃいます!」
 もう! と言いつつも、せっかくウィリアムとここまで来たのだから、夏祭りを――屋台も花火も今はうんと楽しまなきゃ勿体ないですよね! と、リリーもその赤い瞳を並ぶ屋台へと向けた。
「何にするか……お、チョコバナナがあるぞ」
「チョコバナナ! 美味しそ……」
 美味しそうです、と言うよりも早くウィリアムが屋台で買い求めたチョコバナナを手にして戻ってくる。
「はや、早いです……!」
「りんご飴もあったぞ」
 りんご飴! 真っ赤で、甘くて美味しくて、リリーの瞳の様なりんご飴! と、リリーが思った頃にはウィリアムが手にしている。
「だから早いですよ!」
「ん? ちんたらしてたら無くなるだろ」
「無くなる……でもまだ花火も上がってないですから、大丈夫……」
 なんじゃないですか? と、いうよりも早くウィリアムが今度は唐揚げを買ってリリーの元へと戻ってくる。
「ウィリアムさん、もう両手に持ちきれないんじゃ……」
 いつの間にか彼の手には沢山の食べ物があって、それでも落とすことなく器用に持って口へと運んでいた。
 こうなったら、リリーも何か食べようと、きょろきょろ屋台を見回すと彼女の目を引いたのはフワフワで可愛いピンクのわたあめ。思わず足を止め、まるで空に浮かぶ雲のようなわたあめに視線を奪われる。
「子うさぎはわたあめが食いたいのか?」
「ふわふわで、可愛くって、美味しそうだなって」
「そうか。んじゃちょっと待ってろ、買ってきてやるからよ!」
「え、いいんですか!」
 パッと瞳を輝かせると、ウィリアムが迷わずピンク色のわたあめを買い求め、リリーへと差し出す。
「ん」
「ありがとうございます!」
 わあ、と受け取ると、自分の顔が隠れそうなサイズのわたあめに向かって、えいっと齧りついた。
「美味いか?」
「はい! ふふ、甘くてふわふわで、ニッコリしちゃいます!」
 その言葉と共に、ふんわりわたあめのような満面の笑みを浮かべたリリーを眺め、ウィリアムが唐揚げを齧る。なんだか、なんだろう、わたあめって|子うさぎ《リリー》みたいだなぁ、なんて思いながら。
「ウィリアムさんも食べますか?」
「えっ」
「え?」
 今さっき、わたあめが|子うさぎ《リリー》みたいだって思ったばっかりなので、思わずウィリアムが声を上げる。それに首を傾げつつ、要らないならリリーがひとり占めですよ! と彼女が笑った。
 屋台を眺めて歩き、時折気になるものを買い求めていると、ゆっくりと空が暮れていく。
「そろそろ花火が上がる頃ですね!」
「そろそろ上がるのか?」
 手に持っていた食べ物をすっかり食べきったウィリアムが、焼きそばの屋台を見つめながら問う。
「はい、暗くなったら花火が上がるんですよ。でもここは少し人が多くて見にくいかも……」
 特に身長が少し低めなリリーにはそうかもしれないと、ウィリアムも頷く。
「確かにここじゃ子うさぎが見にくそうだな……よし♪」
「どうかしましたか? ウィリアムさん」
 腕まくりをしたウィリアムを見て、リリーが目をぱちりと瞬く。
「しっかり掴まれよ、子うさぎ!」
「え? 掴まれって……? わわっ!!」
 ふわり、と自分の身体が宙に浮いたかと思えば、あっという間にウィリアムに抱き上げられていた。
 ウィリアムさん!? と声を掛ける暇もなく彼の紫黒色をした翼が羽ばたくと、その身は器用に周囲の客を避けてリリーごと空へと舞う。
「わ、わ……!」
「見ろ、子うさぎ! 花火が始まったぞ!」
 しっかりと彼の首に掴まっていたリリーが目を開ければ、まぁるい花火が咲いて大きな音が夜空に響いた。
「わぁ……!」
 驚きも怖さも全部吹っ飛んで、リリーが甘いわたあめみたいな笑みを浮かべる。
「見て見て、ウィリアムさん! 花火が沢山咲いてますよ!」
 地上から見上げるのとは違う、目の前で花開く花火に夢中になるリリーに向かって、ウィリアムが得意気に笑う。
「どうだ、子うさぎ! ここなら俺とお前の特等席だぞ!」
「本当だ、リリー達の特等席!」
 こんな素敵な特等席、なかなか無いですよ! と、リリーが花火に負けないほどの大きな声で笑うから、ウィリアムも同じように笑って花火を楽しむ為に空を舞った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

デブラ・ヘックシュバイン

ウーン、菊花さんの浴衣姿はいつ見てもキューテストっすねえ。
自分も今年は浴衣作ってみたいんすけど、アドバイス貰えたらなって!!
色合いとか柄とか帯とか、トンとパリサツなんすよー。
良い感じに作れたら、花火に行くっす!!

その後は屋台まで楽しめるとくれば、これはもう行くしか無いっすね!!

花火は、スタンダードな菊のやつとかも良いっすけど、
自分はやっぱり枝垂れ桜みたいに降り注ぐやつが好きっすねー。
流れ星が本当に落ちてくるみたいで、ロマンチックっすー。

あんまり動き回るのは好きじゃないっすが、この後の屋台料理のために、腹減らさないとっすからね!
よーし、次はあっちの屋根に登って花火鑑賞っすー!!



●準備運動
「いやほんと、流石っすねえ」
 しみじみと呟きながら、デブラ・ヘックシュバイン(捨てがまれず・f03111)が花火会場となる河原への道を歩く。
 事の始まりはデブラが見知った顔である菊の少女に、浴衣のアドバイスを頼んだこと。今年は浴衣を作ってみたいと思っていたのだけれど、何せ色合いも柄も帯も、和装に関してはデブラいわく|トンとパリサツ《さっぱりわかんない》なのだ。
 そこで白羽の矢が立ったのが、丁度浴衣姿で案内を行っていた少女。またこの少女が歯に衣着せぬ物言いで、ズバー! バサーっとデブラに似合う浴衣を提案するものだから、なるほどそういうものもあるのか! とデブラはすっかり信じて身を任せたってわけ。その結果がこちら――!
「和装って、こう……動きにくいもんっすね!?」
 それはデブラが去年より肉付きがよくなっているからなのだが、そこはそれ。カロリーが高いものは総じて美味いと決まっているので仕方ない。
 豊満な胸部は補正下着でちょいと潰し、豊満な腹部はそれも魅力! と言いつつ帯でちょいと締める。そうして出来上がったのが、留紺の色地に椿の花咲く浴衣に黄色の兵児帯を結んだデブラである。
「うちとお揃の柄やで! とか、小悪魔っすよ」
 背中を見れば帯はふんわりと花結びにされていて、女性らしさも引き出されていた。
「良い感じに作ってもらったっすからね、花火に行くっす!!」
 その後の屋台がメインではあるが、花火が楽しみなのは本当。カラコロと下駄を鳴らし、次々と打ち上がる花火を見上げながら丁度打ち上がった菊の花火を眺める。
「スタンダードな菊のやつとかも良いっすけど、自分はやっぱり枝垂れ桜みたいに降り注ぐやつが好きっすねー。そうそう、丁度今見打ち上がったやつみたいな」
 打ち上がった花火がバチバチと音を立て、金色の火花が地上へと向かって落ちていく。
「流れ星が本当に落ちてくるみたいで、ロマンチックっすー」
 綺麗っすねー、来てよかったっすと笑いつつ、デブラが辺りに視線を向ける。
「あんまり動き回るのは好きじゃないっすが」
 しかも浴衣だ、ちょっと動きにくい。
「この後の屋台料理のために、腹減らさないとっすからね!」
 減らさずとも食べられるが、空腹は最高のスパイスっす! と、デブラが手頃な屋根に目を付けた。
「よーし、次はあっちの屋根に登って花火鑑賞っすー!!」
 長屋の様な建物の屋根には、妖怪達が花火を眺めるために上がっているのが見える。きっとあそこから眺める花火は綺麗に違いないと、デブラは浴衣の裾をちょいと持ち上げて笑うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルデルク・イドルド
ディル(f27280)と
2020年浴衣着用
ディルと花火を見るのは三回目か、去年もカクリヨだったが今回もまた違った花火が花火が見れそうだな…
(いつもははしゃいであちこちみて回るディルクが大人しいことに気づき首を傾げ)
…どうしたディル?恋人だからエスコート?
(そう言われれば頬を染め)
…そう、だったな、エスコートよろしく頼む。

(屋台を見て回るうちに宝石みたいだからと買ってもらったリンゴ飴の赤にディルクの瞳と重ねてはにかみながらリンゴ飴に口付け)
ん、おんなじ、だな?
ふふ、お前の瞳の色。

よし、後は花火だ。どんな花火が見れるか楽しみだな!(優しく引かれる手を握り返して)


ディルク・ドライツェーン
アル(f26179)と
甚平着用(イラストのもの)
アルとお祭りに行けて飯もたくさん食えるって最高だなっ
へへっ、まずはデート楽しもうな、アル♪

まずは屋台どっから見る…アル、そのお面ほしいのか?
じゃあオレも、色違いで付けようぜっ
あとはアルは何がほしい?
オレはこの後たらふく食えるならそんなにかなぁ…
アルは浴衣だからあんまり引っ張り回せないし
それに、恋人ならエスコートだろっ

あっ、アルちょっと待ってて!
(目に止まったりんご飴の屋台に行って)
これアルの好きな宝石みたいだから、アルにあげる♪
おんなじ?なにがだ?

花火!そうだな、よく見えるとこ行こうぜアル!
(アルの手を取って優しく引き)



●甘く響いて
 薄闇が辺りを覆う頃、屋台には提灯が下げられて柔らかな灯りが通り掛かる人々を誘う。そんな屋台が数多く並ぶ通りを揃いの柄で誂えた浴衣と甚兵衛を纏って、アルデルク・イドルド(海賊商人・f26179)とディルク・ドライツェーン(琥珀の鬼神・f27280)の二人が並び歩いていた。
「ディルと花火を見るのは三回目か、去年もカクリヨだったが今回もまた違った花火が見れそうだな……」
 去年は水着コンテストの会場がカクリヨファンタズムだったのもあって、水着姿で遊びに行ったのだっけかと思い出してアルデルクが小さく笑う。
 空中散歩もできる花火なんて中々ない体験だったし、あの時飲んだタピオカドリンクも美味しかったと、黒地に黒で模様の入った浴衣を着たアルデルクがディルクに声を掛けようとして、ふと気付いて小首を傾げた。
 いつもだったらはしゃいであちこち見て回るディルクが、今日はやけに大人しいのだ。
「……どうした? ディル」
「え? どうもしないぜ?」
 きょとん、とした顔で、己の髪色のように明るい黄色の甚兵衛を着たディルクが赤い瞳を瞬かせてアルデルクを見る。
「いや、その……なんだか大人しくないか?」
「何だそんな事か! それはな」
 ニッと笑ったディルクがアルデルクの手を握って、その顔を覗き込む。
「恋人だからエスコートしようと思って!」
「恋人だから、エスコート?」
 鸚鵡返しにそう言って、じわりと体温が上がったような気がしてアルデルクが口元を押さえる。顔が熱いのは、赤くなっているからじゃなくて会場が熱気で熱いからだと胸の内で言い訳しつつ、ディルクを見返した。
「……そう、だったな、エスコート……よろしく頼む」
「おう! 任せとけよ!」
 アルとお祭りに行けて、飯も沢山食えるって最高だなとディルクが言って、でも――と言葉を止める。
「ん?」
「へへっ、まずはデート楽しもうな、アル♪」
 今度こそ真っ赤になったアルデルクの手を引いて、ディルクが笑いながらどの屋台が良いかなと歩き出した。
「アルはどの屋台が……アル?」
 返事のないアルデルクの視線の先を見れば、狐や猫、鼠にひょっとこ、天狗に河童などの木彫りの面を並べた屋台が見えて。
「……アル、そのお面ほしいのか?」
「ああ、少し気になってな」
 黒の狐面を手に取ったアルデルクを見遣り、ディルクが少し考え込んでから、それならと白の狐面を手に取った。
「じゃあオレも! 色違いで付けようぜっ」
「いいのか?」
「あったりまえだろ!」
 そう言って白い狐面を頭に付けたディルクが笑うと、アルデルクも幸せそうに目を細めて黒い狐面を付ける。
「お揃いだな! あとは……アルは何が欲しい?」
「俺はこの面だけで充分だ、ディルは?」
「オレはこの後たらふく食えるならそんなにかなぁ……」
 うーん、とディルクが難しい顔をする。アルは浴衣だからあんまり引っ張り回せないし……それに、恋人ならエスコートだと言ったばかりだ。
 こうなったら、自分がリードしてアルに楽しんでもらおうと、何かないかと屋台を見回した。
「あっ」
「どうした?」
「アル、ちょっと待ってて!」
「ディル?」
 絶対そこから動くなよ! と言いおいて、ディルクが目に留まったりんご飴の屋台へと走る。それを見守りつつ、言われた通り大人しく待っているとりんご飴を二つ持ったディルクが戻ってきた。
「はい! これアルの好きな宝石みたいだから、アルにあげる♪」
「俺に?」
 頷いたディルクから真っ赤な宝石のようなりんご飴を受け取って、思わず彼の赤い瞳と見比べる。艶々のりんご飴はまるで彼のようで、思わずはにかむように笑うと、アルデルクがそっとりんご飴に口付けた。
「ん、おんなじ、だな?」
「おんなじ? なにがだ?」
「知りたいか?」
「知りたい!」
 もったいぶるアルデルクに、何と同じなのかとディルクが問う。
「ふふ、お前の瞳の色」
 そう言って、もう一度りんご飴に口付けたから、今度はディルクが赤くなる番だった。
「よし、後は花火だな」
「花火!」
 赤くなった顔を隠すかのように、ディルクが再びアルデルクの手を優しく引いて。
「よく見えるとこ行こうぜ、アル!」
「ああ、どんな花火が見れるか楽しみだな!」
 優しく引いてくれる手を握り返し、アルデルクが笑う。
「もうすぐ始まりそうだ」
 一番星が見えたと言えば、ディルクがどこだ? と空を見上げる。それに合わせたかのように、ひゅるると音がして花火が上がった。
 ドォン、という音と共に咲いた花火に歓声を上げ、なるべく人が少ないところを探すように歩き出す。
 幾つも上がる花火の音は繋いだ手から二人に伝わって、いつまでも甘く鳴り響いていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

梔・ひまり
【花雨】


初めて訪れる世界に瞳を輝かせ
すごいすごい、賑やか!
林檎飴やかき氷を楽しんで

ん?
確かに風鈴の音が聞こえるね
暁さんに誘われるままそちらへ

風鈴は家にもあるけど
新しい子も良いな
どれにしよう、と指差していたら
私で良いの?
掛けられた声に瞳を瞬いて

責任重大
じーっと見つめて
これ!と手を伸ばしたのは
透き通る釣鐘型に七色の花が咲くもの
ちょっと花火みたいにも見えない?

ね、良かったら私のも選んで?
センスなんて気にしないよ
私はどれも素敵で選べないから
選んで貰えば嬉しそうに受け取って
私も大切にするね
来年からの夏のお供

わあ…!
花火がこんなに上がるの初めて見た!
ふふ
こんなびっくりな景色は
きっと一生忘れないだろうな


楊・暁
【花雨】


友達作りを始めたばかり
初幽世

妖怪の屋台、面白ぇな
釣られて無意識に微笑

たこ焼き焼きそば食ってたら、音が

…なぁ
風鈴、見て行かねぇか?

色んな柄があるんだな
音も、ちょっとずつ違って…どれも、綺麗だ
俺も…1つ、買ってく
良し悪し、良くわかんねぇから…選んで貰えねぇか?
…ひまりが選んでくれたのが、良い
相手が居るからこそ、できる事だから

お、俺か!?
…センスなんてねぇぞ…?
友達への初贈り物だと気づき、真剣に眺め
ベル(円錐)型の硝子の
青紫系のステンドグラス柄のを

…ありがとう
大切にする

買った風鈴片手に、花火を仰ぐ
すっげぇな…!
音も、彩りも、ひまりの笑顔も
多分屹度、この先もずっと
この風鈴を見るたびに思い出す



●彩とりどりの音
 カクリヨファンタズムに来るのは初めてなのだと、梔・ひまり(ガーデニアの雫・f35734)が雨縞の入った白地に涼やかな水色の朝顔が咲いた浴衣姿で笑う。結んだ帯は藍色のしわ兵児帯で、揺れる度にひまりの弾んだ心を表しているかのよう。
 見るもの全て何処か懐かしく、それでいて目新しいと瞳を輝かせる彼女の隣で、紺地に薄縹の不規則な縞模様が入った浴衣に角帯を締めた楊・暁(うたかたの花・f36185)もまた、初めて訪れたカクリヨに目を瞬かせていた。
「すごいすごい、賑やか! それに見たことない屋台もあるよ!」
「妖怪の屋台、面白ぇな」
 満面の笑みを浮かべる彼女に釣られ、無意識に微笑んだ暁が頷く。
 彼らが住む世界でも見かける屋台は勿論のこと、初めて見る屋台もちらほら。メジャーな妖怪の形を模した人形焼きや外気温では溶けずに口の中で溶ける氷の飴玉に、改めてここは妖怪達が暮らす世界なのだと心が躍るような心地だ。
「りんご飴食べよう、暁さん!」
「いいぞ」
 見慣れたりんご飴を買い求め、味も変わらないとひまりが笑う。飴はパリパリで甘く、りんごはほんのりと甘酸っぱくてシャクシャクだ。
「美味しいね」
 そうだな、と返事をしながら一足先にりんご飴を食べ終わった暁がたこ焼きと焼きそばの屋台を見つけて立ち止まる。
「ひまり、食うか?」
「うん! たこ焼き食べたいな」
 なら、と一つずつ買い求めて、ひまりがりんご飴を食べ終わるまでに焼きそばを食べきって、程よく冷めたたこ焼きを二人でつつく。
「たこ焼きも美味しい!」
「うん、美味い」
 友達作りを始めたばかりの暁には、こうやって誰かと一つの皿から一緒に食べ物を分け合うのも新鮮なこと。花火が上がるにはまだほんの少し明るい空の下、外はカリカリ中はふわとろなたこ焼きに舌鼓を打っていると暁の狐耳がぴくりと動いた。
「どうしたの? 暁君」
「いや……音が」
 音? と首を傾げたひまりも、微かに聞こえた音にパッと暁の方を見る。
「私にも聞こえたよ、これって風鈴かな?」
 人々の喧騒の中、ちりん、ちりんと涼し気な音が混じる。
「……なぁ」
「ん?」
「風鈴、見て行かねぇか?」
「もちろん! 行こう!」
 暁に誘われるまま、ひまりも音を辿って歩き出す。やがてはっきりと音が聞こえたと思うと、風鈴を扱う屋台が目に入った。
「あった! 綺麗だね」
「色んな柄があるんだな」
 ガラス製の風鈴は一つ一つが手作りで、形も模様も厳密に見れば同じものは一つも無い。金魚が泳ぐ風鈴も、猫が歩く風鈴も、鳥が飛ぶ風鈴も全てが唯一無二だ。
「音も、ちょっとずつ違って……どれも、綺麗だ」
「風鈴は家にもあるけど、新しい子も良いな……どれにしよう」
「俺も……一つ、買ってく」
 すっかり買う気になっているひまりが指を差しながら眺めていると、その隣で暁も風鈴を覗き込む。
「良し悪し、良くわかんねぇ」
「暁君が気に入ったのでいいんだよ」
「……あのさ、選んで貰えねぇか?」
「え? 私で良いの?」
 風鈴から暁に視線を向ければ、少し照れたような……それでいて真剣な表情で暁が言葉を続ける。
「……ひまりが選んでくれたのが、良い」
 その言葉に瞳を瞬かせると、暁が頷く。
「相手が居るからこそ、できる事だから」
「そっか、そうだよね! 頑張って選ぶよ」
 これは責任重大と、ひまりがさっきよりも真剣な表情で揺れる風鈴をじーっと見つめる。大事なのはきっと気持ちだと、暁の事を考えながらひまりがこれ! と一つの風鈴に手を伸ばした。
「ちょっと花火みたいにも見えない?」
 それは透き通る釣鐘型に七色の花が咲く風鈴で、ひまりが風鈴の舌から下がる短冊を軽く揺らせば、りぃん、と澄んだ音色が響く。
「ありがとう、良い風鈴だな」
 狐耳をぴこりと揺らし、暁が僅かに微笑んで風鈴を受け取った。
「気に入ってくれたなら嬉しいな! ね、良かったら私のも選んで?」
「お、俺か!? ……俺はひまりみたいにセンスなんてねぇぞ……?」
「センスなんて気にしないよ」
 ふふ、とひまりが笑う。
「ね、お願い。どれも素敵で自分のとなると選べないから」
「……わかった」
 選んで貰ったのだからお返しだと暁が風鈴を眺め、ふと気付く。もしかしてこれって、友達への初めての贈り物になるんじゃないか? と。
 そう気が付いてから、暁が風鈴を見つめる眼差しは真剣そのもの。ひまりに似合う、一番良い風鈴……と暁が選んだのは|ベル《円錐》型の硝子の風鈴。青紫系のステンドグラス柄をしたそれは、どこか小さなレトロカフェを思い浮かばせた。
「……これなんかどうだ?」
「わ、素敵!」
 選んで貰った風鈴を嬉しそうに受け取って、音を鳴らす。ちりりん、と軽やかで弾む音色にひまりが笑みを浮かべる。
「ふふ、来年からの夏のお供にしようっと! ありがとう、大切にするね」
「……俺こそ、ありがとう。大切にする」
 互いに買った風鈴が入った袋を下げて再び屋台の通りを歩き出そうとした瞬間、ひゅるる……と音がして夜空に大きな花が咲く。
「わあ……!」
 遅れて響いた花火が開く音に続き、次々に上がり出した花火は圧巻でひまりが歓声を上げた。
「花火がこんなに上がるの、初めて見た!」
「すっげぇな……!」
 暁だって例外ではなく、ひまりと共に彩とりどりの花火と響く音に胸を高鳴らせる。
「ふふ、こんなびっくりな景色はきっと一生忘れないだろうな」
「そうだな、俺も忘れない」
 音も、彩りも、ひまりの笑顔も、と暁は思う。
 多分屹度、この先もずっと――この風鈴を見るたびに思い出すのだろう。そして屹度、ひまりもそれは同じなのだろうと思うと、胸の奥で花火が咲くような気持ちになって、暁がひまりにむかって柔らかく微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ディアナ・ロドクルーン
👺🐺
・二人でお揃いのアシンメトリーの猪鹿蝶柄の浴衣(違うのは帯の結び方くらい

お祭りだ!!
なんかもう夏も終わりって早いわね
ねえ見てみてあっちに美味しそうな屋台があるわ、行きましょう
花火も楽しみだけど、まずは腹ごしらえが先じゃない?ふふ
さっきからいい匂いがしていたよね、大きなから揚げね~こっちはたこ焼き!
えっ、なにこれ面白い形~(容れ物がぴかぴか光る電球の電球ソーダ)もちろん買って?

きゃっきゃと気になった物を手に持ち
並びながら一緒に食べよう、美味しいね

ミコトと一緒だからより美味しく感じるんだろうな

浴衣の袖を軽く引っ張って、花火はあっちでよく見えそうだと暗がりへ
夜空に咲く大輪の花を静かに眺めよう


ミコト・イザナギ
👺🐺

・口調
本音で話す時は「天狗面を外す」

・恰好
ディアナと二人でアシンメトリーの猪鹿蝶柄の浴衣

うん、お祭りだ!
夏の風物詩で見てないと言えば夜空に咲く大輪の花火
風情ある空に、身体に響く音、夏の締めくくりと言えばこれでしょディアナ
…ディアナ?ははっ、花より団子なんだね、アナタは
いこういこう、慌てなくても屋台は逃げないよ?

こう良い匂いさせられちゃあ、食い倒れるしかないよね(倒れない)
ソースが焦げる匂いってどうしてこう食欲をそそるんだろうね
あはは、見た目が面白いね
買う?買うよね?(袖の中からガマ口財布取り出す)

オレとディアナで食べるからおいしい、それ以外にないよ
さあ、モグモグしながら花火を楽しもう!



●月と星と花火と君と
 賑やかな声が響く屋台通りを揃いの浴衣で歩くのはディアナ・ロドクルーン(天満月の訃言師・f01023)とミコト・イザナギ(|語《かた》り|音《ね》の|天狗《てんぐ》・f23042)で、まだ花火が上がらぬうちから盛り上がりを見せる屋台を冷かしていた。
 白と黒の|片身替《アシンメトリー》も珍しい猪鹿蝶の花札舞い散る粋な浴衣に身を包み、ディアナが屋台を見回してミコトに視線を向ける。
「お祭りだ!!」
「うん、お祭りだ!」
 子どもの様な笑みを浮かべ、二人で笑い合う。
「なんかもう、夏も終わりって早いわね」
 夏の盛りにうっかり風邪を引いてしまったからだろうか、今年はあっという間に過ぎていってしまったような気がするとディアナが唇を尖らせる。
「そうだったね」
 見舞いついで看病をしたミコトが笑って、屋台を見ながら夏といえば海にプールにスイカに素麺とつらつらと言葉を紡ぐ。
「夏の風物詩で見てないと言えば、夜空に咲く大輪の花火」
「そう! 夏といえば花火よ」
「風情のある空に、身体に響く音、夏の締めくくりと言えばこれでしょ、ディアナ」
 間に合ってよかったね? と彼女を見れば、ディアナの視線は獲物を狙う狼のように鋭くて何かあったかとミコトが首を傾げる。
「……ディアナ?」
「ねえ、見てみて」
 ん? とミコトが彼女の指さした先に視線を向ければ、そこには美味しそうな食べ物を売る屋台が沢山――!
「あっちに美味しそうな屋台があるわ、行きましょう」
「ははっ、花より団子なんだね、アナタは」
 てっきり何かおかしなものでも見つけたのかと思ったと、ミコトが笑いを堪えるように口元を押さえる。
「あら、花火も楽しみだけど、まずは腹ごしらえが先じゃない?」
「それもそうだ」
 ただ花火を見るのだって楽しいけれど、美味しいものがあれば尚良いに決まっている。
「ふふ、さっきからいい匂いがしていたのよね」
「屋台の匂いって罪深いね、こう良い匂いさせられちゃあ、食い倒れるしかないよね」
 狼の耳をぴこりと動かし、いい匂いは逃さないのとディアナが笑えば、どれだけ食べても倒れる気なんて毛頭ないミコトが頷く。
「さ、行くわよ!」
「いこういこう……っと、慌てなくても屋台は逃げないよ?」
 走り出そうとした彼女をそっと引き留め、ミコトが笑う。
「ふふ、そうね。一緒に行きましょう」
 すぐそこよ、と案内するように歩く彼女に従って向かえば、大きな唐揚げを売る屋台が見えて二人で顔を見合わせる。
「遠くから見た時も大きな唐揚げだと思ったけれど、こんなに大きいとは思わなかったわね」
「ディアナの顔くらいない?」
「……あるかも」
 現代地球で言うところの台湾から揚げのような唐揚げを頼み、一口齧り付いた。
「ん、スパイシーで美味しい!」
「ああ、風味がいいね。大きいけれど薄いから軽く食べられそうだ」
 サクサクの衣にしっかりと味の付いたお肉、そして食欲をそそる不思議な香り。あっという間に食べきって、次はたこ焼きよ! とディアナが隣の屋台でたこ焼きを買うと、二人で分け合うようにして食べる。
「ソースが焦げる匂いってどうしてこう食欲をそそるんだろうね」
 たこ焼きを食べている最中だというのに、じゅわ~といういい音を放つ焼きそばの屋台から目が離れないと、ミコトがたこ焼きを口の中に放り込む。
「食べましょ食べましょ、折角だもの」
 たこ焼きと焼きそばのソースは別物よ、とディアナが言えば、それは確かにとミコトが焼きそばを買って戻ってくる。
「大盛りにしてくれたよ」
「嬉しい、食べ応えがあるわね」
 たこ焼きとは違うソース味に舌鼓を打ち、今度は何を食べようかと再び歩き出す。
「えっ、なにこれ面白い形~」
「あはは、見た目が面白いね」
 二人の目を引いたのは容れ物がピカピカと光る電球の形をした、電球ソーダ。ドリンクの色は様々で、赤に青に水色に黄色にピンク、緑に紫と目を楽しませてくれる。
「買う? 買うよね?」
 絶対に買うだろうと、ミコトが袖の中からがま口財布を取り出す。
「もちろん買って?」
「仰せのままに」
 なんてふざけ合いながら、どの色が良いか選ぶ。
「何色にする? オレは紫かな」
「紫にするの? じゃあ私は赤かしら」
 だって互いの瞳の色でしょう? とディアナが笑うと、バレたかとミコトも笑う。電球ソーダを手にし、フランクフルトにイカ焼きに、気になるものを手にしたら再び並んで食べだして。
「これも美味しいね、きっとミコトと一緒だからより美味しく感じるんだろうな」
 そう言って電球ソーダのストローに吸い付いたディアナに、ミコトが大仰に頷く。
「そう、オレとディアナで食べるからおいしい、それ以外にないよ」
 他に何かある? と笑えば、ないわね! とディアナも笑った。
「ね、あっちの方が花火がよく見えそうだよ」
 空いた片手でミコトの袖を軽く引っ張って、屋台の喧騒から少し外れた静かな方へとディアナが誘う。
「いいね、食べるものはまだまだあるし、ゆっくりモグモグしながら花火を楽しもう!」
「ふふ、花より団子はミコトもね?」
 音を立てて夜空に咲いた大輪の花を見上げてクスクスとディアナが笑えば、二人の電球ソーダがピッカリと輝いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

山田・菜々
清水・式(f02108)と参加
関係:夫婦
せっかくっすから、花柄の浴衣を着ていくっす。
事件が起こるまでは、二人でゆっくり花火を楽しみたいっすね。

うわぁ、華やかっすね。いろいろ種類があってあきないっす。
なんでおいらの顔を見てるんすか?花火を見に来たんすよ。
ふふ。式はいつもどおりっすね。でもうれしいっす。


清水・式
山田・菜々(f06898)と参加
関係:夫婦

せっかくだし、僕も甚平を着て参加しよう。
正直、これ以上なにも起きて欲しくは無いだけれど。
今は二人の時間を楽しもう。

それにしても、花火綺麗だけど。
僕の嫁さん、花火より綺麗すぎじゃないか?



●仲睦まじく
 花火と聞いて、まず山田・菜々(正義の味方の味方・f06898)の頭に浮かんだのは大好きな夫でもある清水・式(世迷子・f02108)を誘っていくこと。それから、折角だから浴衣を着て行こうという事だった。
「じゃじゃーん! どうっすか?」
 白地にレトロモダンな赤や黄色の朝顔が咲いた浴衣に赤い帯、水色の帯締めがアクセントになって奈々可愛らしいさを引き立てている。
「……」
「おーい? 式ー? しーきー?」
「はっ」
「どうしたっすか? 似合ってなかったっすか?」
 腕を広げて袖を見せるようなポーズをした奈々がそう問うと、式がぶんぶんと首を横に振って。
「逆だよ、あんまり素敵で息が止まるかと思った」
「ふふ、良かったっす! そういう式だって、甚平姿が素敵っすよ」
 奈々が浴衣を着て行くと言っていたから、それならば自分も甚平を着て行こうと思ったのだ。
 黒地に白の変わり縞の入った、なんてことのない甚平だけれど奈々が素敵だと言ってくれるだけで着てきた甲斐があったなと式が笑った。
「さ、それじゃあ早速見に行くとしようか」
「はいっす! 楽しみっすね、花火」
 事件が起こるまでは、二人でゆっくり花火を楽しみたいと奈々が下駄を鳴らしながら言う。
「正直、これ以上なにも起きて欲しくは無いのだけれどね」
「何も起こさせない為に、おいら達がいるっすよ」
 ぎゅ、と手を繋いで奈々が言うと、そうだねと式も笑って握り返す。
「うん、今は二人の時間を楽しもう」
 折角の花火なのだから、楽しまなくては損だと式が頷いた。
 花火が打ち上がるという会場は人の姿をしたものから、一目見て妖怪とわかるものまでと様々な種族が入り乱れていて、なんとも賑やかで楽し気だ。
「屋台もいっぱいあるっすね」
「飲み物でも買っていくかい?」
「そうっすね、水分補給は大事っすから!」
 何を飲もうかと屋台を流して歩くと、レモネードを扱っている屋台が見えた。
「レモネード! 美味しそうっす」
「レモネードにも色々あるんだね」
 オーソドックスなレモネードにソーダで割ったレモネード、スイーツ仕立てでソフトクリームがのっているレモネード……他にもフレーバーソーダと合わせたものなどがあって、どれも美味しそうだ。
「どれにする?」
「そうっすね、おいらはソフトクリームがのっかってるやつがいいっす!」
「じゃあ、僕はオーソドックスなのにしようかな」
 冷たいレモネードを受け取って、再び花火を見る為に歩き出す。
「ん、これ美味しいっす!」
「本当だ、甘酸っぱくて元気が出る味だね」
 ソフトクリームともよく合うっすよ、と嬉しそうな奈々を見て式がほわほわと嬉しそうな笑みを浮かべた。僕の嫁さん可愛いな、の表情である。
「あの辺なんか良さそうじゃないっすか?」
 ふと、奈々が土手になった場所を指さす。その先には花火を見ようと場所を取り、座る人々の姿が見えた。
「でも、奈々の浴衣が汚れるんじゃないか?」
 そのまま座れば、土が付いてしまうと心配する式に奈々が笑う。
「敷物、ちゃーんと持ってきてるっすよ!」
「うわ、僕の嫁さん用意がいい……!」
 さすが僕の嫁、さす嫁。
 うんうん、と頷く式を引っ張って、奈々が土手に敷物を敷いて座ると、式もその横に座った。
 レモネードを飲んでゆっくりしていると、一発目の花火が打ち上がる。
「うわぁ、華やかっすね」
 その言葉の通り、華やかで美しい花火が何発も打ち上がっていく。
「色々種類があってあきないっす」
 ね、と奈々が式を見遣ると、じーっとこちらを見ていた式と目が合って。
「……なんでおいらの顔を見てるんすか? 花火を見に来たんすよ」
「うん、花火もそりゃ綺麗だけど」
 そこで言葉を切って、式がしみじみと奈々を見てふわぁっと笑う。
「僕の嫁さん、花火より綺麗すぎじゃないか? って思って」
「ふふ。式はいつもどおりっすね」
 変わらない式の態度に、奈々がくすくすと笑う。
「でも、うれしいっす」
 そう言って、奈々が式の手を優しく握ったものだから、もう式の瞳には奈々以外映らなくなったのは当然の事だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【不死蝶】◎
お祭りといえば、やっぱり美味しい食べ物だよね
りんご飴をかじりながら色んな屋台を見て回る
梓のお小言もどこ吹く風

よーし、次は何食べようかな~
焼きそばにかき氷に唐揚げにフランクフルトに…
あ、それもそうか
それじゃああとひとつだけ……たこ焼き食べたいっ

この屋台、ロシアンたこ焼きも提供しているんだって
運試し感覚で梓も一緒に食べようよ
良かったら焔と零も食べる?
うっかり激辛引き当てて悶える仔竜達も可愛いだろうね~~
と、こっそり梓に耳打ちしてその気にさせることに成功

せーの、で皆で一斉にたこ焼きをいただきます
…んーっ、外はカリッと中はトロッとしてて美味しいっ
タコも大きくて食べごたえ抜群


乱獅子・梓
【不死蝶】◎
お前は季節やイベント問わず常に何か食ってるだろうが
少し前のキャンプでも俺にあれやこれや作らせたの忘れてないぞ
小言を言いつつイカ焼きをかじる

おい!まだ食う気か!
この後のオブリビオン戦でも何か食うことになるんだからセーブしておけ!

ロシアンたこ焼きぃ??
俺は知っているぞ…どうせまた俺がハズレを引くパターンだ
断ろうかと思ったが…綾の悪魔の囁きについ耳を傾けてしまう
激辛で悶える焔と零…見たい!(ワル
それに焔と零がいれば俺に当たる確率も減る!(ワル

……などと考えていたからバチが当たったのか
フラグ回収のように激辛を引き当てて撃沈

ふと気付いた
綾は大の激辛好きだから、どう転んでも得をしたのでは…?



●夏祭りといえば屋台なので
 小気味のいい音が響き、夜空に美しい花が咲く。それは幾つも咲いては消えていく、儚くも輝かしい打ち上げ花火。そんな花火が打ち上がる河川の高水敷には屋台が並び、花火見物に訪れた人々の胃を満たしていた。
 そしてここにも、花火を眺めつつも意識は屋台に向いている男がひとり――。
「お祭りといえば、やっぱり美味しい食べ物だよね」
 りんご飴に齧り付きながら、灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)がどこか渋い顔をした乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)に笑う。
「毎年思うんだけど、何で屋台の食べ物ってこんなに美味しく感じるんだろ」
「それには同意するがな、お前は季節やイベント問わずに常に何か食ってるだろうが」
 きょとん、とした顔を梓に向けて、綾がまたりんご飴を齧る。パリンという薄飴の音と、シャクッという林檎の音が二人の間に響く。
「少し前のキャンプでも俺にあれやこれや作らせたの、忘れてないぞ」
「え? だってその時その時に美味しいものがあるから仕方ないよね」
 イカ焼きに齧り付きながら言う梓の小言などどこ吹く風、綾はすっかり食べきって串だけになったそれをゴミ箱へと放り投げる。
「カクリヨでもりんご飴はりんご飴なんだねぇ」
「イカ焼きもイカ焼きだぞ」
 現代地球に隣接する世界だからだろうか、食文化はよく似ていると梓も頷いた。
「よーし、次は何食べようかな~」
 同じ味か確かめよう、みたいなノリで綾が焼きそばにかき氷にフランクフルトに……と屋台に目を付けていく。
「おい! まだ食う気か!?」
「え、まだりんご飴しか食べてないよ?」
 りんご飴で腹が膨れるとでも?? みたいな顔で綾が梓を見遣る。
「そうじゃないだろ、この後のオブリビオン戦でも何か食うことになるんだから、ちょっとはセーブしておけ!」
「あ」
「あ、じゃない。忘れてたな??」
 それもそうか~なんて言いながら、忘れてた訳じゃないけどと綾が笑う。
「いや、完全に忘れてたって顔しただろう」
「もー、梓ってば気のせいだって。でもこんなにいい匂いがしてるのに、りんご飴でおしまいはちょっと」
 ね? という顔で綾が梓を見つめる。完全におねだりモードの顔だと、梓がそっと視線を外す。
「それじゃあ、あとひとつだけ……ひとつだけだからっ」
「ひとつだけぇ? 何を食べる気なんだ」
「んー……あっ、たこ焼き食べたいっ」
 あれ! と、綾が指さした先にあったのは大きめサイズのたこ焼き屋。へぇ、美味そうだなと思った次の瞬間に目に入った幟には『ロシアンたこ焼き有|〼《マス》』の燦然と輝くような文字が見えた。
「この屋台、ロシアンたこ焼きも提供しているんだって」
「ロシアンたこ焼きぃ??」
 一気に不穏なたこ焼きになったと、梓が片眉を跳ね上げる。
「運試し感覚で梓も一緒に食べようよ」
 悪意のない笑みを浮かべて、綾が誘う。けれど梓は知っているのだ、これは乗ってはいけない誘いだと――!
「いや、俺は知っているぞ……どうせまた俺がハズレを引くパターンだ。悪いがお前だけで」
「良かったら焔と零も食べる?」
 口元に浮かべた笑みをそのままに、綾が梓の後ろから付いてきていた焔と零にも誘いをかける。キュー! ガウ! と返事をする二匹に綾が笑って、視線を梓へと戻すとそっと内緒話をするように顔を寄せて言葉を続ける。
「うっかり激辛引き当てて悶える仔竜達も可愛いだろうね~~」
「な……っ」
 ゴクリ、と梓が息をのむ。激辛で悶える焔と零、そんなの可愛いに決まっている! 見たい、見たすぎる! と少々ワルな考えを巡らせていると、更に悪魔の囁きが梓の耳に届く。
「確率も下がるよね~」
 二人よりも、二人+二匹となれば50%が25%になるのだ。
「確かに……!」
 焔と零がいれば自分に当たる確率は減る! 更にワルな考えを巡らせて、そっと梓が財布を出した。
「やった~、丁度八個入りだから一人二つだね」
 梓をその気にさせる事に成功した綾は当然のように財布を出した梓に笑って、ロシアンたこ焼きを受け取ると人の流れから少し横に逸れて立ち止まる。
「せーの、で皆一斉に食べようよ」
「いいだろう、その勝負受けてやる!」
「キュー!」
「ガウ!」
 それぞれがひとつ選んで、準備は万端。
「じゃ、いくよ? せーのっ」
 綾の掛け声に合わせ、全員がたこ焼きをぱくり。
「……んーっ、外はカリッと中はトロッとしてて美味しいっ」
「キュ、キュー!」
「ガウ、ガウガウ!」
「ん-? 焔と零も美味しいって? うんうん、で……梓は?」
 一言も言葉を発せず、口元を押さえている梓に向かって綾を見遣れば――。
「~~~~~っ!!!」
 ワルな考えのバチが当たったのか、はたまた必然か。いつものようにフラグを回収し、激辛を引き当てて綾が咽るように悶えていた。
「あはは、当たりは梓だね。ん-、もう一つ食べちゃおう、タコも大きくて食べ応え抜群だよ~」
「ぐ、この……水、水……!」
「飲み物ね、はーい」
 近くの屋台で涼し気なソーダ水を買って、綾が梓に渡す。
「ん、ぷは……っ生き返った……!」
「梓、梓、もう一個食べられるよ」
「……それも激辛なんじゃないだろうな?」
「当たりは一個だけだから大丈夫だよ~」
 それならば、と食べれば確かに普通のたこ焼きで、味も美味しいと飲み込んでから、ふと気付く。
「……綾は大の激辛好きだから、どう転んでもお前が得をしたのでは……?」
 じろりと見れば、そんな事ないよ? というような顔で綾が笑っていた。
「やられた……!」
 すっかりしてやられたと、梓が呻く。
 二度とロシアンルーレット系の食べ物には手を出すまいと誓うと、頭上で大きな花火がドォンという音を立てて咲いて散るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

千家・菊里
【盛】◎☆
(お供のおたまも一緒)
実に良い賑わいと良い香りで満ちていますねぇ
これは一刻も早く俺達のお腹も満たさねばなりません

(忙しなく動く耳は屋台の声ばかり拾い――誰かの譫言は全く届かぬ様だ!
そして腹ペコおたまは伊織をはむはむし始めた!)

さぁ、余所見の暇はありませんよ
打ち上げ前に山盛り買って行かねばなりませんので(きりっ)

(そして有言実行――鉄板料理に箸休め?の綿飴や林檎飴、カクリヨらしい珍妙菓子類やら何やら、おたまと両手一杯に抱え)
ふふふ、花火もかくやの彩りになりましたね
おや、ぴよこさんと亀さんも良かったですねぇ

それでは――贅沢な夏の醍醐味を味わいましょう(和気藹々、華やぐ花火も食事も堪能し)


呉羽・伊織
【盛】◎☆
(ぴよこ&亀も一緒)
嗚呼…夏の終わりに、そろそろ浴衣美人と煌めく一夏の思い出作りとか…そーいうのがあっても良くない…?
この夏も狐の食道楽祭に始まり狐の食道楽祭に終わってくとかそんなの酷くないっ…!?

あっやめてつんつんぺしぺししないでぴよこ亀!
あとどさくさに紛れてはむはむするんじゃアリマセンおたま!

(こーなりゃ隙見て何とかナンパ…とか考える暇もなく!)
この貪欲食欲…!夏バテって言葉をそろそろ知れ~!

(狐達の手から溢れた分を持ちつつ
合間にふらっと射的してみたりして
景品の玩具をぴよこ&亀へ)
スターマイン並みの飯数は兎も角――ウン、皆揃って満足顔で何より!

んじゃまぁ、今年も最後まで華やかに!



●夏の贅沢
 嗚呼――夏が終わろうとしていると、破れ格子柄の黒い浴衣に銀糸の角帯を締めた姿で呉羽・伊織(翳・f03578)が溜息交じりに暮れていく空を見上げ、キラリと光る一番星をどこか儚げな表情で見つめていた。
「夏の終わりに、そろそろ浴衣美人と煌めくひと夏の思い出作りとか……そーいうのがあっても良くない……?」
 考えている事は勿論、いつも通りなのだが。
 菊の花咲く紺地の浴衣に真紅の帯を締めた千家・菊里(隠逸花・f02716)は切なげな声を上げる伊織の事など全く見えていないかのように、賑わう屋台のみに意識を集中していた。
「実に良い賑わいと、良い香りで満ちていますねぇ」
 ねぇ、おたま? と、お供の管狐に微笑み掛けて、どの屋台から攻略しようかと真剣な表情だ。
「ふくよかな揚げ物の香りに、香ばしいソースの香り……ああ、甘い香りもしますね。これは一刻も早く俺達のお腹も満たさねばなりません」
 この際だ、片っ端から買っていけばいいかと菊里が分厚い財布を握りしめた瞬間、伊織の魂からの悲痛な叫びが小さく響く。
「この夏も狐の食道楽祭に始まり、狐の食道楽祭に終わってくとかそんなの酷くないっ……!?」
 オレが何をしたって言うんだ、と悲嘆に暮れていると伊織のぴよこと亀が『いつまでやってるんだ、こちとらお腹が空いているのよ』とばかりに、伊織の頭上でぴよこがつんつんと嘴で突き、亀が足をぺしぺしと叩く。
「あっやめて、つんつんぺしぺししないでぴよこ、亀!」
 それを見て、おたまが自分も腹ペコなのー! と言うように伊織の頬をはむはむし始めた。
「どさくさに紛れてはむはむするんじゃアリマセン、おたま! オレの頬はお餅じゃないからネ!」
「ほら、いつまで遊んでるんですか伊織。余所見の暇はありませんよ」
「見てた!? ちゃんと見てた!? お前のおたまがオレを食おうとするんですケド!?」
「おや。いけませんよ、おたま」
「もっと言ってやって!」
「伊織なんて食べたらお腹を壊しますよ?」
「ソコォ!?」
 違くない!? と叫ぶ伊織からおたまを引きはがし、自分の肩に乗せると菊里が伊織達を見遣る。
「そろそろ行きますよ、花火の打ち上げ前に山盛り買って行かねばなりませんので」
「この貪欲食欲……! 夏バテって言葉をそろそろ知れ~!」
 こーなりゃ隙を見て何とかナンパを……! とか考える暇もなく、伊織は菊里の屋台巡りに付き合わされるはめになったのであった。いつもの流れである。
「まずは鉄板料理から攻めましょうか」
 いつになく真剣な表情で菊里が言うと、お前が真剣な顔する時って大抵食い物だよ、と伊織がトホホな顔をしつつ菊里の後を荷物持ちをする為についていく。身に染み付いた行動であるが、本人はちょっと気が付いていない。
「焼きそばにたこ焼き、お好み焼きにモダン焼きに広島焼……フランクフルトも外せません」
 次々と買い込んでいく菊里の横で、若干死んだような瞳で伊織がソウダネ、と相槌を打つ。そして有言実行とばかりに買い込まれていく屋台料理に乾いた笑いを浮かべつつ、菊里が持ちきれなくなった袋を持って次は? と諦めた声で問う。
「箸休めの綿飴に林檎飴、苺飴もいいですね。あとはカクリヨらしい珍妙菓子も必須ですよ」
「必須カナー……」
 そう言いながら、伊織がふらっと射的の屋台へ身を寄せる。
「ぴよこ、亀、どれがいいんだ?」
 そう問われたぴよこと亀が、あれ! と視線を向けた景品に向けて狙いをつけ、引鉄を引けばコルクの弾は吸い込まれるように景品に当たって、獲物を後ろへと倒していく。
「ま、オレに掛かればこんなもんだ」
 やんや、とぴよこと亀が拍手を送り、景品に喜びの舞を踊るのを眺めて、嗚呼……これが浴衣姿の美人だったらと思いを馳せる。すぐに現実に引き戻されたけれど。
 伊織が射的に興じている間に、菊里は口に入れるとパチンと弾ける刺激が面白いポン菓子や刀くらいあるチョコバナナを買って、後は揚げ物だと唐揚げやフライドポテトも買い込んで準備は万端である。
「ふふふ、花火もかくやの彩りになりましたね。おや、ぴよこさんと亀さんも良かったですねぇ」
「茶色系が多いけどネ。スターマイン並みの飯数は兎も角――ウン、皆揃って満足顔で何より!」
 ほくほく顔の菊里におたま、キャッキャとはしゃぐぴよこに亀。いつもの光景ではあるけれど、これも悪くはないはずだと伊織が笑う。
「さて、あとは花火を見る場所取りですねぇ」
「それなら、あそこで良いんじゃない?」
 ほら、と伊織が指さした先には既に先客がいるものの、まだ十分に場所が空いている。
「いいですね、彼方にしましょう」
 持参した敷物を敷き、その上に戦利品を並べて菊里が満面の笑みを浮かべて言う。
「それでは――贅沢な夏の醍醐味を味わいましょう。丁度花火も始まったことですしね」
「ナイスタイミングって奴だな。んじゃまぁ、今年も最後まで華やかに!」
 乾杯、とカップをコツンと合わせれば、夜空に次々に輝く花が咲き始めて伊織や菊里、おたまにぴよこに亀を照らす。これぞ夏の贅沢と、菊里が花火と屋台の味に満足そうに頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

茜崎・トヲル
【モノクロブラザーズ3】◎

ブラザーズで……夏祭り!
たのしいー!あーさん、兄ちゃん、たのしんでるー?!
おれは楽しんでる!(にこぱー!)

よーしっ、まずは屋台だ!
なんかー、このあと鉄板のおっちゃんが出るらしーから、食べるのはひかえめにしとこーね!
各店でいっこずつくらいにしよー!
水風船すくい!ヒモくじ!ビー玉ラムネ!綿あめ!焼きそば!
あっ、兄ちゃん兄ちゃん、シューティングあったよ!スーさんもやろ!きょーそー!
落とした板に書いてあるフウリン?をもらえるんだって!夏ー!

そろそろ花火?じゃーあれ、屋形船のろ!
船から見る花火はさいこーだな!
あーさん、ここならコロちゃんものんびり見られるよー!


雨野・雲珠
【モノクロブラザーズ】◎

浴衣姿で三人、堤防沿いを歩きます
こころなし下駄の音も楽しげ
はーい!とスーくんとつないだほうの手をぶんぶん振ります

すっかり馴染んだ光景
ふしぎな縁だなあ、なんて今更でしょうか
楽しい思い出を重ねて行けるのが嬉しいんです

ひとつずつでもだいぶ規格外ですが…ええ、そこはそれ
ほかの方にも配慮できてえらいです!(なでる)
俺はりんご飴…んん…今日は綿あめにします
やや、射的。負けませんよ!

屋台メシや紐くじで当たったお菓子をもって屋形船へ
わ、わ、揺れる…水面が近い…ちょっと怖い…
降り注ぐような花火に目を凝らします
わああすごいすごい、近い…!
あ、火の粉が船の中に───あっ違う。コローロさんだ!


スキアファール・イリャルギ
【モノクロブラザーズ3】◎

去年の浴衣を着て夏祭りです
はい、楽しんでますよー(ぶんぶん振られながら)
ふふ……不思議で素敵な縁ですよね

えぇ、食の本番は後程です!
わぁい雲珠兄さんに褒められましたよトヲル兄さん
あっじゃがバタもチョコバナナも食べましょう
お面屋さんもありますね、何か買って付けませんか?
おっ射的ですね? ふたりとも強敵そうですが負けません!
良い音の風鈴……夏に欠かせない一品ですね

(時間を確認)あ、そろそろ花火の時間じゃないですか?
屋形船は私は初めてで……すごい、水面がこんなに近いし、綺麗に花火が見える
あぁそうですね、コローロも一緒に見よう
ふふ、花火に負けないくらい輝いてるコローロ、綺麗だ



●モノクロブラザーズ夏の陣2022~夜涼み
 カラカラ、コロコロ。
 カラコロ、カロン。
 カラコロ! カラコロ!
 三人三様の下駄音を響かせて、とある縁により兄弟を名乗る三人が花火の行われる堤防沿いを歩く。
「ブラザーズで……夏祭り!」
 パァッと顔を輝かせ、白地に霞んだ黒の市松模様の浴衣を着た茜崎・トヲル(Life_goes_on・f18631)が嬉しさを隠し切れない……いや、はなから隠す気などない彼が下駄の音のように弾んだ声を上げる。
「たのしいー! あーさん、兄ちゃん、たのしんでるー?」
「はーい!」
 そう元気よく返事をし、スキアファール・イリャルギ(抹月批風・f23882)と繋いだ方の手をぶんぶんと元気よく振り回すのは絞りの浴衣に結んだ兵児帯が金魚の尾のようにひらめく雨野・雲珠(慚愧・f22865)で、下駄の音も心なしか楽し気だ。
「はい、楽しんでますよー」
 雲珠に振り回されるままに腕を振り、黒地に七宝の模様を入れた羽織に裾に雪を舞わせたような浴衣を着たスキアファール・イリャルギ(抹月批風・f23882)が笑う。
「おれも楽しんでる!!」
 ばんざーい! とばかりにトヲルがスキアファールと繋いだ手を振り上げれば、図らずもスキアファールが小さく万歳をする形になって、またそれが楽しくって三人が声を上げて笑った。
 三人一緒にいることがすっかり馴染んだ光景に、雲珠がほっこりとして頭の桜枝にぽん、とひとつ花を咲かせる。
「不思議な縁だなあ、なんて今更でしょうか」
「ふふ……不思議で素敵な縁ですよね」
「おれー、知ってるよー! こういうの、愛してるし綺麗だねっていうんでしょ!」
 にぱーー! っと笑ったトヲルに、雲珠がそっとスキアファールの顔を見上げる。
「ええと……合縁奇縁、でしょうか」
「そー! それ! さすがスーさん!」
「流石スーくん……!」
 愛してるし綺麗だね、でもある意味間違いではないかもしれないと思いながらスキアファールが笑う。だって、自分はこの兄弟達の事が大好きだし、きっと二人も同じ気持ちだと思うから。
「俺ね、皆で楽しい思い出を重ねていけるのが嬉しいんです」
 ぽつり、と雲珠が言葉を零す。
 勿論、いつもの皆で一緒に重ねていくのもだけれど、この三人でというのだって大事だと笑って。
「わかります、私もそう思いますよ」
「おれもー!」
 へにゃっと、ふにゃっと、ぱぁっと、それぞれが笑みを浮かべて手を繋ぎ、カラコロ下駄を鳴らして堤防から高水敷へと降りて目にしたのはずらりと並ぶ屋台。
「わあ……! 屋台が沢山!」
「美味しそー! よーっしっ、まずは屋台だ!」
「あ、でもトヲルくん、この後が……」
 心配気に口にした雲珠だったが、すぐに要らない心配だったかもと思い直す。
「あー、そういえばそうだったね! なんかー、このあと鉄板のおっちゃんが出るらしーから、食べるのはひかえめにしとこーね!」
「えぇ、食の本番は後程です!」
 いつになく弾んだ声を出したのはスキアファールで、雲珠もそうですね、そうでした、と笑みを浮かべる。
「そうです、お二人とも大人なんですから控え目に食べますよね」
「うん! 各店でいっこずつくらいにしよー!」
「そうですね、各店一個ずつなら影響もないですから」
 全屋台制覇宣言、流石ぶれない。ひとつずつでも大分規格外だけれど、そこはそれだと雲珠は思う。きちんと自分を律した事は褒めなくては、と――!
「ほかの方にも配慮できてえらいです!」
 繋いだ手をちょっと離して、トヲルの頭を撫でてから少しだけ背伸びをしてスキアファールの頭も撫でた。弟達に死ぬほど甘い兄である。
「わぁい、雲珠兄さんに褒められましたよ、トヲル兄さん」
「へへー、褒められたね! あーさん!」
 俺の弟達がこんなにも可愛くて尊い……! じーん、とその幸せを噛みしめながら、もうひとつ桜をぽこっと咲かせて弟達が向かう屋台へと雲珠も向かったのであった。
「色々あるねー! 水風船すくい! ヒモくじ! ビー玉ラムネ! 綿あめ! 焼きそば!」
「あっ、じゃがバタもチョコバナナも食べましょう」
「俺はりんご飴……んん……いえ、今日は綿あめにします」
 艶々真っ赤なりんご飴、きっとお腹が良い具合になってしまう。その点、綿あめなら腹が膨れることはないはずだ。
「好きなの食べればいいんだよ、兄ちゃん!」
「そうですよ、後の事は私達に任せて下さっても良いんですよ」
 焼きそばをちゅるんと啜るトヲルに、じゃがバタを片手にしたスキアファールが言う。
「いえ、きちんと向き合わなければいけないと思うので……!」
 鉄板の形をした妖怪さんに――! と、雲珠が綿あめを手にして一口ぱくり。
「甘くて美味しいですよ、トヲルくん、スーくん!」
「こっちの焼きそばも美味しーよ!」
「じゃがバタって、どうしてこんなに美味しいんでしょうね。ふかしたじゃがいもにバターをのせて、塩を振っただけなのに……」
「それは俺も思います」
「おれもー!」
 やはり料理はしんぷるいずべすとなんでしょうか……と雲珠が綿あめを食べつつ考えていると、トヲルが雲珠を呼んだ。
「あっ、兄ちゃん兄ちゃん、シューティングあったよ! スーさんもやろ! きょーそー!」
「やや、射的。負けませんよ!」
「おっ射的ですね? ふたりとも強敵そうですが負けません!」
 何せ春先にサイバーザナドゥでちょっと目覚めたので、シューティングもとい|射的には自信《軽いトリガーハッピー》がある雲珠! 同じくサイバーザナドゥで|PS5《パチモンステーション》を撃ち落とした実績があるトヲル! 型抜きという繊細な作業でトヲルに勝ったスキアファール! 三人が並んでコルクを先に詰めた銃を構える。
「札を狙うんですか?」
「そー! 落とした板に書いてあるフウリン? をもらえるんだって! 夏ー!」
「良い音の風鈴……夏に欠かせない一品ですね」
 いざ風鈴をゲットする為に、と引鉄を引いた。
「いっちばーん!」
「流石トーさん!」
「おお……トヲルくん流石です……!」
 一抜けしたトヲルに続けとばかりに、雲珠とスキアファールがコルク弾を詰め直して的を狙う。
「わ、やりました!」
「倒せましたね!」
 同時に札を倒した雲珠とスキアファールがハイタッチをして、後ろでうずうずとそれを見ていたトヲルともハイタッチをする。
「フウリンゲット!」
「どんな風鈴か楽しみですね」
「せーので開けましょう、せーので!」
 せーの、で開けた箱の中には一般的に江戸風鈴と呼ばれる古典的な手作りの硝子風鈴が入っていて、形は一緒だけれどそれぞれ模様が違うもの。
「俺のは……胡蝶蘭でしょうか、綺麗です!」
「ん-、おれのはねー黄色のかわいー花!」
「私のは桔梗ですかね、涼やかで素敵です。トーさんのは……|波斯菊《ハルシャギク》ですかね?」
「はるしゃぎく? っていうのかー。かわいーね!」
 帰ったら吊るそうと笑い合いながら、ふと空を見れば陽が落ちきるまではもう少しで。
「あ、そろそろ花火の時間じゃないですか?」
「そろそろ花火はじまりそー? じゃーあれ、屋形船のろ!」
 時間を確認したスキアファールが二人へと告げると、トヲルが屋形船を指さした。
「屋形船……いいですね! 乗りましょう、トヲルくん、スーくん!」
 初めての屋形船だと雲珠とスキアファールがはしゃぎつつ、屋台で買い込んだ屋台メシに紐くじで当たったお菓子などを持ち込んで乗り込む。
「わ、わ、揺れる……水面が近い……ちょっと怖い……」
「すごい、水面がこんなに近い。雲珠兄さん大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫……」
 です、と言おうとした瞬間に、ひゅるると花火が打ち上がる音がして三人が夜空を見上げる。
「わああ……! すごいすごい、近い…!」
「きれーだねー!」
「ええ、こんなに綺麗に花火が見れるなんて」
 降り注ぐように散っていく花火に目を凝らす雲珠に、乗ってよかったですね、とスキアファールが微笑んだ。
「ね、あーさん! ここならコロちゃんものんびりみられるよー!」
「あぁそうですね、コローロも一緒に見よう」
 おいで、と囁けばキラキラピカピカと光るコローロが現れて、スキアファールの周りを嬉しそうに飛び回る。
「あ、火の粉が船の中に――あっ違う。コローロさんだ!」
 花火を見上げていた雲珠が気が付いて、コローロに挨拶をするとチカチカと彼女が光る。
「ふふ、花火に負けないくらい輝いてるコローロ、綺麗だ」
 その言葉にまたコローロが瞬いて、トヲルと雲珠は顔を見合わせてスキアファールの彼氏力の高さにキャー! となりつつ、邪魔にならぬように笑いながら屋台メシを食べながら花火を見上げるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルーシー・ブルーベル
【月光】◎☆

ゆぇパパの前でくるり一回転!
浴衣、くずれてないかしら?
ありがとう!うん、これでバッチリね

手を繋いで堤防沿いを歩く
みて、お空が花畑よ!
ドーン!って音がお腹にひびくのがワクワクするね
最初は音にビックリしてたのに
パパと何度も花火を見てきたからかな
そうね……本当に、たくさん

水ヨーヨーのお店を見つけて
パパ、ルーシーあれやってみたいのだけど、いい?
狙いはね、あの黒いコ!
まん丸でふわふわ浮いてて、黒ヒナさんっぽいから!
コヨリをもらって挑戦
ん、んん……
輪っかに引っかけるの、むずかしい――釣れた!
黒ヒナさんの横に水ヨーヨーを並べてみて
やっぱり似てる!って、黒ヒナさん突いちゃダメよ!水濡れになっちゃう
パパもやってみる?あの青いコ?
わ……すっごくお上手に取ってる
えへへ、黒ヒナさんとララがそろったね

水ヨーヨーを弾ませながら
次はパパの気になるお店に行きたいな!
あのお船?乗りたい!

パパが抱えて下さるのに合わせ
馴染んだ仕草で両手を伸ばして
お隣にくっついて座る
本当ね……景色を二人占めしてるみたい!
ふふ、幸せ


朧・ユェー
【月光】◎⭐︎

ふふっ、浴衣姿可愛らしいですね
少しこちらがズレてますねぇと手慣れた様に直して

手を繋ぎ、危なく無い様に沿って歩く
空に花が咲く
綺麗な花火が上がっている
音が心臓に響く
えぇ、音はビックリしましたねぇ
沢山観ましたね、何度も観ても素敵ですね

おや?ヨーヨーですか?
えぇ、どうぞ
黒い子?あぁ、なるほど
頑張ってくださいねと彼女が頑張る姿を近くで眺めて
取れましたね、おめでとう
肩の上にいた黒雛は自分そっくりなヨーヨーにぴぃ?と首を傾げて突こうとする
おやおや、割れてしまうからダメですよ?
えぇ、じゃ僕はこの青い子で
そっと引っ掛けて
ララちゃんそっくりな子が取れました

僕?そうですねぇ
まだ花火は続いてるのを確認して
じゃ、ルーシーちゃん屋形船を乗りませんか?

ひょいと両手に彼女を抱えて船の中へ
隣に座って
ほら?ここから観る花火は少し違って良いでしょう?
楽しそうにする彼女を見ながらくすりと笑って
えぇ二人だけの空間ですね



●今年の夏も、来年も
「ゆぇパパ、みて!」
 そう言って、はにかんだように笑ったルーシー・ブルーベル(ミオソティス・f11656)が朧・ユェー(零月ノ鬼・f06712)の前でくるりと一回転をしてみせた。
 パステルブルーにパッと咲いた花柄模様、結んだ薄紫色の兵児帯は背中で満開の花のように結ばれていて可愛らしい。襟元や裾から覗くフリルレースがまた彼女らしくて、ユェーが目尻を下げて柔らかく微笑む。
「ふふっ、ルーシちゃんの浴衣姿、大変可愛らしいですよ」
「本当? 嬉しい! 浴衣、くずれてないかしら?」
「そうですね……少しこちらがズレてますねぇ」
 手慣れた様子で裾を少しだけ直してやると、完璧ですよとユェーが頷く。
「ありがとう! うん、これでバッチリね」
 もう一度くるりと回れば、ひらりと裾が舞って小さな下駄がカラコロと楽し気な音を立てた。
「ゆぇパパも、とってもお似合いよ」
「そうですか? ルーシーちゃんに褒めて貰えると、なんだか嬉しいですねぇ」
 裾に薄青のグラデーションが斜めに入った白地の浴衣に、金糸と銀糸で彩られた角帯を締めたユェーがふわりと笑うとルーシの小さな手を取って、優しく握りしめる。
「準備は万端ですね? それじゃ行きましょうか」
「うん!」
 ルーシーもユェーの大きな手を握ると、二人手を繋いだまま堤防沿いを歩き出す。カラコロと下駄の音を響かせて、急ぐ事なくゆっくりと散歩するように歩くうちに一発目の花火が打ち上がった。
 ひとつ打ち上がれば、それを皮切りに次々と花火が打ち上がり、ルーシーが小さく歓声を上げる。
「みて、お空が花畑よ!」
「綺麗ですねぇ」
 夜空に咲くのは彩とりどりの花、咲いては散って消えていくけれど、消える前に新しい花が咲くものだからルーシーの言う通りまるで花畑のよう。
「ドーン! って音がお腹にひびくのがワクワクするね」
 ルーシーがそう言った次の瞬間には大きな音が響いて、ね? とユェーを見て笑う。
「音が心臓まで響いているみたいですね」
 繋いだ手からも音が響いているようで楽しいですねぇ、とユェーもルーシーに視線を向けて笑った。
「ルーシー、最初は音にビックリしてたのに」
 身体に響く音が少し怖くて、それでいてドキドキして、でもやっぱり大きな音には何度も驚いて。
「えぇ、音はビックリしましたねぇ」
 ルーシーがびくんと身体を揺らす度に、大丈夫ですよと伝えるように繋いだ手をそうっと強く握ったのも懐かしい。
「いつの間にか慣れちゃったの、パパと何度も花火を見てきたからかな」
「ふふ、そう言われてみれば沢山観ましたね」
「そうね……本当に、たくさん」
 花火の思い出は夏の思い出でもある、それが沢山あるということは、それだけユェーと共にいるという事。その事実に嬉しくなって、ルーシーがふわりと笑う。
「何度観ても素敵ですね。少し気が早いですけど、来年も一緒に観ましょうねぇ」
「ええ! もちろんよ、パパ!」
 鬼が笑うかしら、でも笑われたって構わない。こんなに楽しい約束なんだもの、とルーシーは弾む心で下駄を鳴らした。
 堤防沿いから石造りの階段を下り、高水敷にずらりと並ぶ屋台の通りに向かう。屋台は本当に終わりが見えない向こうまで続いているようで、ルーシーはターコイズブルーの瞳を瞬かせる。
「パパ、ルーシーあれやってみたいのだけど、いい?」
「どれですか?」
 あれ、とルーシーが指さした先には水ヨーヨーと書かれた屋台。
「おや、ヨーヨーですか? えぇ、どうぞ」
 勿論構わないと、ルーシーをエスコートするかのようにユェーが先導して屋台の前へと向かった。
「狙いはね、あの黒いコ!」
「黒い子?」
 ルーシーが狙いを付けたのはぷかぷかと水の上を浮かぶヨーヨーの中でも、黒くてまんまるで、模様が目と嘴のようにも見えるもの。
「まん丸でふわふわ浮いてて、黒ヒナさんっぽいから!」
「あぁ、なるほど」
 ユェーが自分の肩の上でくつろぐ黒雛をちらりと見て、ふふっと笑う。
「頑張ってくださいね」
「頑張るわ!」
 ルーシーが紙縒りを受け取ってしゃがむと、同じように隣にしゃがんで彼女がヨーヨーの輪っかに紙縒りの先の釣り針を引っ掛けようとするのを見守って。
「ん、ん……」
 中々うまく狙った輪っかを引っ掛けられず、ルーシーが小さく唸る。
「輪っかに引っかけるの、むずかしい」
「落ち着いて、そーっと引っ掛けるんですよ」
 ユェーの助言に頷き、そーっと釣り針を寄せて――。
「釣れた!」
「取れましたね、おめでとう」
 小さく拍手をすると、ルーシーが釣ったヨーヨーをユェーの肩に止まる黒雛の隣にそっと並べてみる。
「やっぱり似てる! って、黒ヒナさん突いちゃダメよ! 水濡れになっちゃう」
 ぴぃ? と首を傾げた黒雛が自分そっくりなヨーヨーを見て、嘴でつんつんと突こうとする寸前でルーシーがヨーヨーを胸の前で抱えた。
「おやおや、割れてしまうからダメですよ?」
 ちょん、と指先で黒雛の顎を撫でてそう言えば、黒雛が納得したようにぴぃ、と鳴いた。
「パパもやってみる?」
「そうですねぇ、折角ですから僕もやってみましょうか」
「どのコにするの?」
 どの子、と言われてユェーの目に留まったのは青いヨーヨー。
「じゃ、僕はこの青い子で」
「あの青いコ?」
 えぇ、と頷きながらユェーが静かに紙縒りを垂らし、そっと輪に引っ掛けて釣り上げる。
「わ……すっごくお上手に取ってる」
 さすがゆぇパパね、と何処か自慢気な少女に笑って、ユェーが手にした青いヨーヨーを見せた。
「ララちゃんそっくりな子が取れましたよ」
「!」
 言われてみれば、確かにルーシーが作った青いロップイヤーのぬいぐるみであるララにそっくりだ。
「えへへ、黒ヒナさんとララがそろったね」
「はい。先ほど聞いたのですが、こちらのヨーヨーはいつまでも萎むことがないそうですよ」
 カクリヨの魔女の魔法が掛かっているので、割れなければいつまでもそのままなのだと店主が笑う。
「それに、通常よりは割れにくいらしいです」
「まぁ、カクリヨのトクベツね」
 割れにくいと聞いて、嬉しそうにルーシーが水ヨーヨーをポンポンと弾ませる。
「さ、ルーシーちゃん。次はどこへ行きましょうか」
「次はパパの気になるお店に行きたいな!」
「僕? そうですねぇ」
 ルーシーのリクエストを聞いて、さて自分の行きたい所……と考えてユェーがふと夜空を見上げる。花火はまだまだ終わる事無く上がり続けている、ならばと川に浮かぶ灯りを見て頷く。
「じゃ、ルーシちゃん屋形船に乗りませんか?」
「やかたぶね?」
「ええ、川の灯りが見えますか? あれですよ」
「あのお船? 乗りたい!」
「では行きましょうか」
 屋形船の乗り場に到着すると、ルーシーが桟橋と船に少し距離があるのを見て躊躇し、ユェーを見上げる。
「しっかり持ってて下さいね」
 その視線に笑って、ユェーがひょいっと彼女を抱えるとルーシーもまた馴染んだ仕草で両手を伸ばし、ユェーの首に抱き着いた。
 軽々と抱き上げられたまま船の中へと入り、花火が見える場所に降ろされるとユェーの隣に座ってルーシーが笑う。
「ありがとう、ゆぇパパ!」
「どういたしまして、ルーシーちゃん」
 桟橋を離れゆっくりと川を流れていく屋形船から夜空を見上げれば、堤防沿いや高水敷で見たよりも花火が近いように感じられて、ルーシーが小さく歓声を上げる。
「わあ……!」
「ここから観る花火は少し違って良いでしょう?」
「本当ね……景色を二人占めしてるみたい!」
 楽しそうに花火を見上げ、それからユェーの顔に視線を移してを繰り返すルーシーを眺めて、ユェーも幸せそうにくすりと笑う。
「えぇ、二人だけの空間ですね」
 内緒話をするようにそうっと囁けば、ルーシーが花火の彩を瞳に映して花火よりも大きな笑顔を咲かせるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『元祖鉄板や『おっちゃん』』

POW   :    積み重ねた歴史の重み
単純で重い【鉄板や型の部分で相手を潰すのしかかり 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    百人前お待ちどぉ!
非戦闘行為に没頭している間、自身の【体 】が【鉄板料理に適した温度の熱を帯び】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
WIZ   :    出来立て食いねぃ!
【空腹 】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【焼きそば、たこ焼き、今川焼き、たい焼き】から、高命中力の【熱々の麺、蛸の触手、餡子】を飛ばす。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は甲斐嶋・詩織です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●笑顔を彩る為に
 ふらり、ふらりと鉄板の姿をした妖怪が屋台ひしめく通りを歩く。ひらひらと舞う幽世蝶が、打ち上がる花火を気にすることもなく彼の周囲を飛んでいた。
『あぁ、屋台、屋台……お好み焼きにたこ焼きに、焼きそば、今川焼きにたい焼き、鈴カステラに……』
 屋台でよく売られているものの名を呟きながら、鉄板の妖怪――『元祖鉄板や『おっちゃん』』が夜空を見上げる。
『花火……祭り……祭り……祭り?』
 そこで、やっと正気に戻ったかのようにはっきりと言葉を口にした。
『祭り!! 祭りいうたら花火や! そんで、鉄板焼きや!!!!』
 眠たそうにしていた瞳をカッと見開き、こうしちゃいられねぇと『おっちゃん』が何かを探すように辺りを見回す。
『お、あそこなんか丁度いいじゃねぇか!』
 屋台が途切れたその向こう、広い空き地のようになった場所。
『俺が本物の屋台の味っちゅーモンを教えたろやないかい!』
 どんと構えた『おっちゃん』が鉄板を自分の周囲に展開し、どこからともなく大きな冷蔵庫まで出して準備万端とばかりに鉄板に火を入れた。
『らっしゃいらっしゃい!! 美味しい屋台の味、食べてかへんか~!』
 ナニワちっくな『おっちゃん』が誘う、魅惑の屋台料理。お腹が空く匂いに引き寄せられた猟兵達との、仁義なきお食事バトルが今此処に始まろうとしていた――!
ディルク・ドライツェーン
アル(f26179)と
メシ作ってくれるとかアイツいいやつだなっ!
あれ、違うのか?
でもメシいっぱい食べればいいんだろ
アル、一緒にいっぱい食べようぜっ♪

お好み焼きに焼きそばにたこ焼き~っ
あと、たい焼き!
魚の形した甘いお菓子だからな~♪
ところでアル、この丸いのもお菓子なのか?
(鈴なりカステラを見て)
お~っ、これも甘くて美味しいな!
アルはたこ焼きか?それもウマいよな~♪
(言いながらじーっと食べたそうに見て)
アル、くれるの?
やった~♪
(両手にたい焼きと鈴なりカステラを持ちながら、あーんと口を開けて)
甘いとしょっぱいのどっちもいいな!


アルデルク・イドルド
ディル(f27280)と
ん、あれがグリモア猟兵が言ってた奴か。
屋台の要素が満載だな。
さっきはディルは俺をエスコートしてくれてたからな…今度は好きなだけ食うといい。
(美味しそうに食べる様子を見守って)
はは、魚の形のたい焼きはすっかりお気に入りだな。
ん、このたこ焼きってやつは中にタコが入ってて美味いな…ディル食べたいのか?
ちょっと待ってな冷ましてやる。
あつあつだから気をつけないと火傷しちまうからな
(そう言ってふーふーとたこ焼きを冷まして自然とあーん口元に運ぶ)
ほら、あーん。



●屋台のお味は幸せの味
 静かな場所で花火を見上げていたディルク・ドライツェーン(琥珀の鬼神・f27280)がひくり、と鼻を動かす。
「どうした?」
「アル、あっちからいい匂いがする……!」
 アルデルク・イドルド(海賊商人・f26179)が首を傾げて問うと、ディルクが真剣な顔でそう言った。
「あっち?」
 ディルクが指さした方を見ると、大型の鉄板焼きの形をした『元祖鉄板や『おっちゃん』』が簡易的な店を開き、縦横無尽に屋台飯を作っているのが僅かに見える。
「ん、あれがグリモア猟兵が言ってた奴か。屋台の要素が満載だな」
「ってことは、メシ作ってくれるやつかっ!?」
「ああ、まあそう言う事になるか」
「メシ作ってくれるとかアイツいいやつだなっ!」
 いいやつ、と言われてみればそうかもしれないが、でもあれは|オブリビオン《敵》で……と、アルデルクが難しい顔をする。
「あれ、違うのか?」
「ちが……いや、違わないのか」
 やや複雑な心境なれど、あのオブリビオンは満足すれば妖怪の身体から骸魂が離れ、元に戻るはず。
「でもメシいっぱい食べればいいんだろ?」
「そうだな、それが効果的らしい」
 なら、とディルクが満面の笑みを浮かべてアルデルクに言う。
「アル、一緒にいっぱい食べようぜっ♪」
「うん、さっきはディルが俺をエスコートしてくれてたからな……今度は好きなだけ食うといい」
 やった! とはしゃぐディルクがアルデルクの手を取った。
「でも、エスコートは最後までするからなっ」
 だってデートだろ、と言いながらおっちゃんを目指すディルクに引っ張られ、ほんのり頬が赤くなったアルデルクが片手で顔を覆いつつ足を動かした。
 いざ屋台飯を前にして、二人は勧められるままにカウンターのようになっている席へと座る。
「すげー、なんでもあるな!」
『らっしゃい、何が食べたいんや?』
「そうだなー、やっぱりお好み焼きに焼きそばにたこ焼き~っ」
 あいよ、と返事をしたおっちゃんが手にしたヘラを光らせて、お好み焼きを焼いていく。その横で焼きそばを炒め、更にはたこ焼きをピックで手早くひっくり返す。
「いい匂い……腹減ってくる匂いだな!」
「目の前で作ってもらうと一層美味しそうに見えてくるな」
 ぐぅ、くきゅる……とお腹が早く食べたいと訴えてくるのを我慢していると、大盛りにされた焼きそばが出され、それに続いてお好み焼きにたこ焼きが二人の前に鎮座する。
「いただきまーすっ」
「いただきます」
 待ちきれないとばかりに焼きそばを啜り、どこか懐かしい味がするとディルクが笑う。
「こっちのお好み焼きも生地がふわふわで美味いっ」
 ソースとマヨネーズが交互になった王道中の王道のようなお好み焼きは、キャベツやネギがたっぷりと入っていて、どれだけでも食べられる気がしてくる。
「おっちゃん、あとたい焼き!」
「たい焼きを挟むのか?」
 食事の中に甘い物、ある意味箸休めのようなものだろうか。
「魚の形した甘いお菓子だからな~♪」
「はは、魚の形のたい焼きはすっかりディルのお気に入りだな」
 以前食べたのはたい焼きならぬ金魚焼きだったけれど、ディルクからすれば同じ魚の形。出来立てを頬張って、外がパリパリで美味いと目を細める。
「ところでアル、この丸いのもお菓子なのか?」
 一緒に出された鈴のようなころんとした食べ物を指さして、アルデルクへと問う。
「ああ、これは鈴カステラだな」
「へぇ、鈴カステラ」
 ひょい、と摘まんで食べれば優しい甘さが口の中に広がって、ディルクがもう一つと手を伸ばす。
「アルはたこ焼きか? それもウマいよな~♪」
 ひょいひょいと摘まみながら、視線は鈴カステラよりもまんまるなたこ焼きへ。
「ん、このたこ焼きってやつは中にタコが入ってて美味いな」
 言いつつも、隣からの熱視線にアルデルクがちらりとディルクを見遣った。
「……ディル食べたいのか?」
「アル、くれるの?」
 期待に満ちたその声音に、アルデルクがふっと笑う。
「ちょっと待ってな、冷ましてやる。あつあつだから気をつけないと火傷しちまうからな」
 たこ焼きは外側が冷めても中は熱々というのはよくあること、半分に割って立ち上った湯気へと息を吹きかける。
「やった~♪」
「ふ、ほら……あーん」
 右手にたい焼き、左手に鈴カステラを持ったディルクがまるで雛のように口を開け、自然と口元に差し出されたたこ焼きをぱくりと頬張った。
「ん~~! 美味いっ」
 はふはふと飲み込んで、今度はディルクが手にした鈴カステラをアルデルクの口元に持っていく。
「はいっ、アルもあーん」
「ん」
 パクっと食べればディルクが嬉しそうに笑って。
「甘いとしょっぱいの、どっちもいいな!」
「……そうだな」
 俺にとっては甘いのしかないけれど、とアルデルクが胸の内で呟いて、ほんのり赤く染まった頬を隠すようにたこ焼きを頬張った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

イヴォール・ノトス
鱈腹食べられると聞いちゃ、行かねェ選択肢は無いわな

ぃよう、おっちゃん!やってるか?
腹減ってンだけど、いっちょお勧め出してくれ
甘いの辛いの塩っぱいの
肉に海鮮に粉もんエトセトラ
どんなジャンルもバッチ来い
アタシが食い尽くしてやるよ
あ、ソース焼きそばに目玉焼き乗っけてくれ

苦手な食材も無いから、作って貰った物を捕食と大食いで順繰りに食べ進める
敵であっても旨いモンの作り手には心から感謝だ
合間に味の感想も言ったら喜ぶかな?

祭りの屋台飯っていいよな〜
ワクワク気分も上乗せで、俄然旨く感じる
そんな旨い飯を出すおっちゃん…さては天才か?
おっちゃんをヨイショして気分が良くなった所で良い肉の鉄板焼頼む
まだまだ食うぞー!



●店主お勧めフルコース!
 しなやかな獣のように鍛えられた褐色の身体、強い意志を感じさせる黒い瞳。獲物を狙うような鋭さを持って『元祖鉄板や『おっちゃん』』の前に現れたのはイヴォール・ノトス(暴食・f25687)だ。
「ぃよう、おっちゃん! やってるか?」
『らっしゃい! 絶賛営業中やで!』
 居酒屋の暖簾をくぐるような気軽さで声を掛け、イヴォールがカウンターのようになっている席へと座る。屋台飯が鱈腹食べられる――そんな話をいて、行かないという選択肢は彼女にはなく、その瞳は期待に満ちた輝きを見せていた。
「腹減ってンだけど、いっちょお勧め出してくれ」
『あいよ! 味の好みはあるかい?』
「アタシの好み?」
 そう問われ、イヴォールは少し考えてから口を開く。
「甘いの辛いの塩っぱいの、肉に海鮮に粉もんエトセトラ……どんなジャンルもバッチ来いだ!」
『そりゃ頼もしいな!』
「そうだろう? アタシが食い尽くしてやるよ」
 だからガンガン出してくれと、イヴォールが笑う。
「あ、ソース焼きそばには目玉焼きのっけてくれ」
 細かい注文かもしれないが、目玉焼きがのっているのとのっていないのではテンションの上がり方が違うというもの。そんな彼女の気持ちを理解しているのか、おっちゃんが目玉焼きを鉄板の隅でじゅわぁと焼き始めた。
 香ばしく焦げたソースの香りがイヴォールの鼻孔を擽ると、すぐに端っこが程よく焦げた目玉焼きがのせられた大盛の焼きそばが出される。
「これこれ、これが旨いんだよな!」
 ほんのりチープさを感じさせる味、屋台の鉄板だからこそ出せる味。いただきますとおっちゃんに伝え、イヴォールが焼きそばを掻き込んだ。
 次々と出される屋台飯、しかも目の前で作って貰った出来立て。美味しくないはずがなく、また苦手な食材もないイヴォールは躊躇う事無く箸をすすめていく。
「はぁ、旨い」
 思わず零れる言葉に嘘はなく、相手が|オブリビオン《敵》であっても旨いモンの作り手には心から感謝をと思うイヴォールの気持ちが込められていた。
『いいねぇいいねぇ、いい食いっぷりだ!』
 すっかり気分がよくなったおっちゃんが、これもあれもと出してくれる屋台飯。
 イカの姿焼きに焼きトウモロコシ、箸休めのように出される小さな鈴の形をしたカステラ。次は何が出てくるのかと、イヴォールのボルテージも最高潮だ。
「祭りの屋台飯っていいよな~、このワクワク気分も上乗せで俄然旨く感じる……ハッ」
『どうした、嬢ちゃん』
「そんな旨い飯を出すおっちゃん……さては天才か?」
『ばっかやろう、そんな褒めても何も出ねぇぞ!』
 そう言いつつ、おっちゃんが出してくれたのはちょっと良い肉の鉄板焼き。
「出るじゃん」
 さてはこのおっちゃん、ちょっとチョロいな?
「よーっし! まだまだ食うぞー!」
 お食事バトルはまだ始まったばかり、イヴォールは満足いくまで食べてやると満面の笑みを浮かべるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

茜崎・トヲル
【モノクロブラザーズ3】◎

はいはーい!選手で解説の茜崎でっす!
選手さんから心意気を聞いてみましょう!選手のおれ!負ける気がしません!
選手のスキアファールさん!心意気をどーぞ!

おれのターン!
いただきまーす!(たこ焼き山が消える)(お好み焼きタワーが消える)(積み鯛焼きが消える)
おいしいー!たこ焼きは中がとろっとしててタコがでかい!お好み焼きも一枚一枚具がちげーし、鯛焼きもしっぽまでぎっしり!

あっ、スーさん選手のターンですね!
あーさん選手は痩せの大食いで、胃に限界がありません!
箸さばきと咀嚼がすごく早いので、吸い込まれるように見えるのが特徴です!
でも食べ方がていねいなので、とってもきれーですね!


雨野・雲珠
【モノクロブラザーズ3】◎

(おたまをマイク代わりに)
さあやってまいりました
カクリヨファンタズム花火大会夜の部
大祓百鬼夜行以来の因縁の相手、
鉄板のおっちゃんは二人の胃袋を満たすことができるのか!
実況は俺、雨野雲珠がお送りします

さあ始まりました
見事な手際で次々料理が焼きあがっていきます!
初手から粉ものでおなかを膨らませる作戦でしょうか
先手を打つのはトヲル選手です
解説のスーくん、いかがでしょう?

あーっとここで交代
というかまだトヲルくんも食べてますけど
これはスーくんも食べたくなった模様!
細身の体のどこにあの量が入っていくのか…

何より、二人ともとてもおいしそう
如何ですおっちゃんさん。二人の食べっぷりは!


スキアファール・イリャルギ
【モノクロブラザーズ3】◎

(BGM:天国と地獄)

選手で解説のスキアファールです
はい雲珠さん、おっちゃんさんとの再びの邂逅です!
最高の舞台で最高の食事が楽しめそうですね
私も負けません(ぐっ)

おぉっとトーさん選手VS粉ものですね
しかし彼の胃はアイアンストマック、熱々の食べ物なんてなんのその!
積み上がった粉ものが飲み物のように消えていきますよ
ちゃんと咀嚼して呑み込み感想を言う、完璧な食リポですね

見ていたら私もすぐに食べたくなりました
トーさんが食べている途中ですが、いただきます!
(焼きそば山)(餃子タワー)(積み焼きもろこし)(むしゃあ!)
焼き加減はバッチリで味付けもそれぞれ違っていて、最高ですね!



●お食事バトルのゴングを鳴らせ!
 屋形船に揺られながら花火を見上げていると、茜崎・トヲル(Life_goes_on・f18631)が酷く深刻そうな声で雨野・雲珠(慚愧・f22865)とスキアファール・イリャルギ(抹月批風・f23882)の名を呼んだ。
「兄ちゃん、スーさん」
「どうしたんですか、トヲルくん」
「どうかしましたか? トーさん」
 花火の音が響く中、その明かりに照らされたトヲルの顔はどこか切なそうに見えて、具合でも悪いのかと二人が腰を上げかけた時だった。
「……が」
「え? 何て言ったんですか? 花火の音で聞こえな……」
「いい匂いがする……!!」
 花火に負けない声と煌いた瞳に、え?? という顔をして、雲珠とスキアファールが顔を見合わせる。
「すーっげーいい匂いがすんの!! あっちから!!」
 あっち、とトヲルが指さす先は開けた場所で、目を凝らしてみるとなんだかお店っぽくも見える何かが見えた。
「もしかして、あちらが食べ放題会場でしょうか」
「食べ放題会場……あの鉄板焼きのおっちゃんがいるという?」
「やっぱりー! だってさっきからすごくいい匂いがするんだー、もうお腹空いてお腹空いて」
 スキアファールの言葉に雲珠が続き、トヲルがぐきゅ~とお腹を鳴らす。
「切なくなってしまったんですね、トーさん……」
「お腹が空くと悲しくなりますもんね」
 ナチュラルに食べ放題会場って言ったな?? とは誰も思わなかった、だって彼らにとってはまごうことなき食べ放題会場だから!
「ではさっそく向かいましょう! おっちゃんさんをお待たせするわけにはいきませんし、トヲルくんのお腹と背中がくっついてしまう前に……!」
「えっ、おれのお腹と背中くっついちゃうの!? くっつけようと思えばできるけどさー」
「トーさん、そういう童歌がありまして」
 スキアファールが説明しつつ屋形船を降りると、トヲルがそうだよねー何しててもお腹は空くもんねーと笑った。
 少し歩くと先程見えた場所に到着し、トヲルがパァァッと瞳を輝かす。
「わー、美味しそうな屋台飯がいっぱいだー!」
「これは……食べ甲斐がありますね」
 トヲルとスキアファールの二人が腕が鳴るとばかりにカウンターのようになった席へ座ると、雲珠がそっとおっちゃんに話し掛ける。
「あの、不躾ですがおたまをお借りしてもいいでしょうか?」
『おたま? ええけど』
 はい、と貸してもらったおたまを手にし、雲珠が息を吸い込んで。
「さあやってまいりました! カクリヨファンタズム花火大会夜の部」
 おっといきなりの実況中継、今回食べる方ではあまり力になれないと判断した雲珠は実況を買って出たのだ。
「実況は俺、雨野雲珠がお送りします」
「はいはーい! 選手で解説の茜崎でっす!」
「選手で解説のスキアファールです」
 トヲルとスキアファールもノリノリで名乗り、雲珠が満足気に笑みを浮かべる。
「解説のお二人、選手としての自信のほどはいかがでしょうか!」
「では選手さんから心意気を聞いてみましょう! 選手のおれ! 負ける気がしません!」
 モノクロフレンズの白い方こと、トヲルが答える。
「選手のスキアファールさん! 心意気をどーぞ!」
「僭越ながら、私も負けません」
 ぐっと握り拳を作ったスキアファールに、トヲルがたのもしーい! と笑う。
「お二人とも自信満々のようですね! 対するは元祖鉄板や『おっちゃん』! 大祓百鬼夜行以来の因縁の相手、鉄板のおっちゃんは二人の胃袋を満たすことができるのか!」
 違う個体となるのだろうけれど、それはそれ!
「はい雲珠さん、おっちゃんさんとの再びの邂逅です! 最高の舞台で最高の食事が楽しめそうですね」
「あんときの居酒屋飯も美味しかったねー、ここからここまで! 今日もやるぞー!」
「おお……さすがトヲルくんとスーくん、頼もしいです!」
『よくわからんが、受けてたったるでー!』
 二人のやる気に、おっちゃんにも火が点いたのだろうか。ぼぼうと燃えるような音がして、おっちゃんが鉄板の上で調理を開始する。
「いい匂いですね! っと……、さあ始まりました。おっちゃんの見事な手際の良さで次々お料理が焼き上がっていきます! 俺も見習いたい手際の良さです!」
「よーっし、まずはおれのターン!」
 はいはーい! と手を上げて、これはもう塔では? というくらい綺麗に積まれたたこ焼きに向かいトヲルが箸を伸ばした。
「初手から粉もの、これはおなかを膨らませる作戦でしょうか? 先手を打つのはトヲル選手です、とてつもない安心感がありますね! 解説のスーくん、いかがでしょう?」
 実況している間にも、ひゅぽっ! みたいなよくわからない音を立て、たこ焼きがトヲルの口の中に消えていく。
「これは見応えのあるカード、トーさんVS粉ものですね」
 お洒落なパンケーキのように積み上げられたお好み焼きだって、だるま落としでもしているかのようにどんどん低くなっていくのを見て、スキアファールが口元に笑みを浮かべた。
「しかし彼の胃はアイアンストマック、熱々の食べ物なんてなんのその! 積み上がった粉ものが飲み物のように消えていきますよ……消えましたね」
「お味のほどは如何ですか、トヲルくん」
「おいしいー! たこ焼きは外がカリカリで中はとろっと、そんでそんでータコがでかい! 高ポイント! それでそれでー、お好み焼きも一枚一枚具がちげーの!」
 豚玉でしょー、シーフードでしょー、餅とチーズでしょー、餅明太子チーズでしょー、と指折り数えている間に、分厚いお好み焼きにとろっとろのチーズが掛かったチーズましましお好み焼きが出てきて、トヲルが歓声を上げた。
「うわー! さいこー!!」
「あれは美味しそうですね……って言ってる間に消えました! 次は何が出てくるんでしょうか? おっと、あれはたい焼きですよ、餡子がみっちり入ったたい焼き! 俺は粒餡が好みです!」
「たい焼きは粒餡が美味しいですよね、わかります。あとは変わりたい焼きだとカスタードやチョコレート、栗あずきなんかも私はおすすめです」
「今あーさんが言ったの全部あったよー! しっぽまでぎっしり詰まってた! あ、兄ちゃんにも一個あーげる!」
「わ、ありがとうございます! 粒餡だ!」
「さすがトーさん、雲珠さんへの配慮も抜かりない。それにちゃんと咀嚼して呑み込み感想を言う、完璧な食リポですね」
 皮はぱりっぱり、中は粒餡がみっちりのたい焼きを幸せそうに食べる雲珠を見てスキアファールが笑い、そろそろ私も食べましょうかと箸を手に取る。
「はふ、美味しいです粒餡! こっくりとした味わいなのに後味がさっぱりで……じゃない、ここで選手交代です!」
 まだトヲルも張り切って食べているけれど、人が美味しそうに食べていたらお腹が空いてくるというもの。それも、大好きな兄二人となればスキアファールの胃袋の我慢も限界――!
「あっ、スーさん選手のターンですね!」
「はい、見ていたら私もすぐに食べたくなりました。トーさんが食べている途中ですが、いただきます!」
 顔の高さよりもある焼きそばの山に躊躇なく箸を入れ、小皿に移す手間も惜しいとばかりにスキアファールが綺麗な所作で焼きそばを啜り上げる。
「あーさん選手は箸さばきと咀嚼がすごく早いので、吸い込まれるように見えるのが特徴です!」
「これはお手本のような食べ方……! しかし早い、早いです!」
「そう! 兄ちゃんのいうとーり! 食べ方がていねいなので、とってもきれーですね!」
「でも、細身の体のどこにあの量が入っていくのか……」
「スーさん選手は痩せの大食いで、胃に限界がありません!」
「そこはトヲルくんもスーくんも同じなんですね」
「よーっし! おれもたべるぞー!」
 解説しているうちにもりっと積み上げられた広島焼きにトヲルが箸を向ける横で、スキアファールが餃子タワーと積み焼きもろこしを無きものとしていく。
「焼き加減はバッチリで、味付けもそれぞれ違っていて……食べる人を楽しませようという気概を感じるようです、最高ですね!」
「こっちもソースとマヨがこっくりとあっさりがあってー、おいしー!」
 食べる合間に感想が飛び、雲珠はたい焼きを齧りながら満ち足りた気持ちで二人を見遣る。
「何より、二人ともとてもおいしそうに食べているのが高ポイントです! 如何です、おっちゃんさん。二人の食べっぷりは!」
 どや顔をしながら雲珠がおっちゃんに問う。
『ありゃあいい食いっぷりってもんよ! 作るこっちも気合が入ってしゃーないな!』
「そうでしょう、そうでしょう」
『坊ちゃんもこれ食べ、これも美味いよってな』
「あ、ありがとうございます!」
 栗の入った粒餡たい焼きを受け取って、雲珠がにっこり。幸せそうな兄貴分を見て、トヲルもスキアファールもにっこり。そうして、彼らの夏の夜は終わりを迎えようとしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リリー・フォーゲル
【花宴2】 ◎
メインは勿論満足するまで食べること!
でも何かあったら怖いので【野生の勘】は働かせておきます!

とってもお腹が空く匂いですね…
リリーはたい焼きが食べたいです!

それならお互い食べたい物を願いして、一口交換こしましょう!
それなら色んな物が食べられるはずです!おっちゃんさん相手ならこれが正解…?でも食べられるかな…?

ん〜!ほくほくでカリカリで美味しいです!
ウィリアムさんもどうぞ!
リリーも一口…
わぁ〜!こっちもすごくおいしいですね!
おっちゃんさん!すごく美味しいです!

流石にお腹いっぱい…すごく満たされちゃいました!
それじゃあお手手を合わせて、すごく美味しかったです!ご馳走様でした!


ウィリアム・バードナー
【花宴2】 ◎

勿論食う一択!一応【激痛耐性】をつけておくか。食いすぎた後に使えそうだしな!

俺は甘いもんの方が好きだけどこの匂いを嗅ぐと焼きそばとか食いてぇな!

お、それいいな♪
なら俺は遠慮なく頼ませてもらうぜ♪
おっちゃん!
焼きそば、お好み焼き、たこ焼きを頼む!
あとたい焼きな!餡子とカスタード!
とびきり美味いのを頼むぜ!

こりゃ絶品だな!やっぱり鉄板で焼くから違うのか?
おっちゃん!全部すげぇうめぇぞ!
ん、たい焼きもうまいな!
ほら、子ウサギも食えよ♪

よし!オブリビオンだろうが関係ねぇ!「作ってくれた側」だからな!おっちゃんに届く声で叫ぶぜ!

どれも全部最高に美味かったぜ!おっちゃん、ご馳走様!



●食欲をそそる香り
 特等席で花火を楽しんでいたリリー・フォーゲル(みんなの食材(仮)・f30316)が、ふと視線を地上へ向ける。
「どうした? 子うさぎ」
「ウィリアムさん、なんだかとってもいい匂いがします……!」
 ドォン、と響く音に負けないように、リリーがウィリアムの耳元で大きな声で……それでいて五月蠅くないような絶妙な声量で言った。
「いい匂い? 屋台じゃねぇの?」
「屋台は屋台ですけど……あ、あそこです!」
 あれ、と指さした先は屋台の通りから少し外れた場所。けれどそこには、大きな鉄板を広げカウンター席のような場所まで拵えた屋台が見えた。
「あー、あれじゃね? グリモア猟兵が言ってたやつ」
「……食べ放題させてくれるオブリビオンのおっちゃんさん!」
 それはもう行くしかないと、ウィリアムが張り切って翼を羽ばたかせる。
「勿論食う一択!」
「はい! でも何かあったら怖いので、ちょっと気を付けておきます!」
 野生の勘が今こそ唸る時……! と、リリーが拳を握る。すぐにその野生の勘、屋台飯に屈服することになるのだけれど。
 鉄板の姿をした『元祖鉄板や『おっちゃん』』の前に降り立つと、ウィリアムが抱き上げていたリリーを地面に降ろす。
「とってもお腹が空く匂いですね……!」
 焼きそば、お好み焼き、たい焼きに今川焼、フランクフルトに焼きもろこし……今もじゅうじゅうといい音をさせているイカ焼きと、とにかく胃を刺激する香りが二人の鼻腔に襲い掛かるよう。
「リリーはたい焼きが食べたいです!」
「俺は甘いもんの方が好きだけど、この匂いを嗅ぐと焼きそばとかソースもんが食いてぇな!
「んん、その気持ちもわかります……!」
 甘いものが食べたい、けれどこの匂いには抗いがたい! 僅かに思案顔になったリリーがいい事を思い付きました、とウィリアムに提案する。
「お互い食べたい物をお願いして、一口交換こしましょう!」
「お、それいいな♪」
 交換という言葉に、ウィリアムが面白そうだと頷く。
「はい、それなら色んな物が食べられるはずです! おっちゃんさん相手ならこれが正解……?」
 多分そうだと思うんですけれど、と少し心配そうな顔をしたリリーの頭をウィリアムがくしゃりと撫でる。
「わわ、もう! また髪の毛を~!」
「俺は遠慮なく頼ませてもらうぜ♪」
「でも、食べられるかな……?」
「いけんだろ!」
 根拠のない自信ではあったけれど、こんないい匂いを嗅いでしまっては胃袋が早く食べたいと急かすほどだ。
 くるる、と鳴ってしまったお腹の音に互いの顔を見合わせて笑うと、二人はカウンターのようになっている席へと腰掛けた。
「おっちゃん!」
『ヘイ、らっしゃい!』
「焼きそば、お好み焼き、たこ焼きを頼む!」
 まずはウィリアムが自分の食べたい物を注文し、それから再び唇を開く。
「あと、たい焼きな! 餡子とカスタード! だよな?」
「はい!」
『他にも色々あるで、チョコに栗粒餡にな、苺クリームやろ。チーズクリームも美味いで』
「わ……ぜ、全部下さい!」
「はは! とびきり美味いのを頼むぜ、おっちゃん!」
 任せとき、という頼もしい言葉と共に、鉄板の上で二人が頼んだ屋台飯が作られていく。
「うう、いい匂いです!」
 まだかな、まだかな、と思わず揺れるリリーにウィリアムが笑って、一緒に揺れる。その姿に応えるように、二人の前に焼きそばを盛った皿がドンっと置かれた。
 いただきますの声を響かせて、二人がお箸を手に取ると焼きそばを一口!
「ん、こりゃ絶品だな! やっぱり鉄板で焼くから違うのか?」
「おうちで作るのも美味しいですけど、また一味違うような……!」
 あっという間に焼きそばがなくなって、次はたこ焼きが出される。
「このたこ焼き、外はカリカリで、中はふわとろで美味しいです!」
「一口じゃ済まない美味さだな、子うさぎ」
「うう、はい」
 もう一個やるよ、とウィリアムが笑ってたこ焼きをもう一つくれた。
「あったい焼きです!」
 次に出されたのはリリーのたい焼きで、餡子にカスタードに栗粒餡に苺クリーム、チーズクリームと盛り沢山。
「ん~! ほくほくでカリカリで美味しいです!」
 皮は薄くてパリパリで、尻尾が少しカリッとしてて。中の餡子も丁度いい甘さで、リリーのお口の中が蕩けるよう。
「ウィリアムさんもどうぞ!」
「ん、たい焼きもうまいな!」
「こっちのカスタードも、苺クリームも美味しいんですよ!」
 はい、と一口サイズよりは少し大きく千切られたたい焼きをウィリアムが受け取って、どれどれと味比べ。
「おっちゃん! 全部すげぇうめぇぞ!」
「おっちゃんさん! すごく美味しいです!」
 褒められたおっちゃんは得意気な顔をして、お好み焼きをぽーんとひっくり返した。
 たい焼きが二人の胃の中に消えると、次はお好み焼きの登場だ。ふんわり分厚くって、濃厚なお好みソースとマヨネーズが格子状になって掛けられている。
「美味しそう……!」
 目の前でウィリアムが切り分けると、リリーのお皿の上に一切れ置いてくれる。
「ほら、子ウサギも食えよ♪」
「はい、リリーもいただきます!」
 踊る鰹節も彩りの青のりものった、美味しい部分をリリーがぱくり!
「わぁ〜! こっちもすごく美味しいですね!」
「美味いよなぁ」
「はい!」
 どれもこれも美味しい、これも食べてみなと出されたお皿も食べきって、二人ですっかり膨れたお腹をさする。
「流石にお腹いっぱい……すごく満たされちゃいました!」
「うん、そうだよなぁ」
 相手はオブリビオンだけれど、美味しい料理を自分達に作ってくれた。それはウィリアムにとっては充分な出来事で。
「よし! オブリビオンだろうが関係ねぇ! 『作ってくれた側』だからな!」
 ガタンと立ち上がったウィリアムが笑う。そして、おっちゃんに、おっちゃんの心に届く声で叫ぶ。
「どれも全部最高に美味かったぜ! おっちゃん、ご馳走様!」
 その声に負けぬよう、リリーだって手を合わせて。
「すごく美味しかったです! ご馳走様でした!」
 二人の声はしっかりとおっちゃんの心に届いたのだろう、最後にお土産用のたい焼きを手渡されたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【不死蝶】◎
やったぁ、待ってました
おっちゃんの為に胃袋セーブしてたんだよ

たこ焼きはさっき食べたから、まずはお好み焼きから頂こうかな
ソースが焼けるこの匂いたまらないよね
出来たてアツアツのお好み焼きをパクッ
すごい、パンケーキみたいにふわっふわの食感
ふわふわ感の中にあるイカのコリコリ感もいい感じ
ほら、梓も食べてみなよ(あーん

次はデザートにベビーカステラをいただく
一口サイズだからついつい何個も食べちゃう
中身もいろいろあるんだねぇ
チョコ、ウィンナー、チーズなど種類豊富で飽きない

あっ、このベビーカステラもロシアン出来るんだって
ねぇ梓、またやろうよ~
ドラゴン達が居れば確率は約130分の1だよ~


乱獅子・梓
【不死蝶】◎
一応オブリビオンの登場なのにやたら嬉しそうだなお前…
と思ったが、昔も違う意味で喜んでたな
今は平和的な理由だからまぁいいのか…?

おっちゃんはたくさん食べてもらうのが望みなんだよな
それなら、とっておきの助っ人を呼ぼう
UC発動し、元気いっぱいで食べ盛りのミニドラゴン達を召喚
いい匂いに鼻をふんふんさせる様子がとても可愛い
ほら、皆きちんと並びなさい(オカン

綾の食ってるお好み焼きを一口頂く
おぉ…!本当にふわふわで美味い!
おっちゃん、いい腕してるな
ドラゴン達にも食わせてやろう

ロシアン、だと…!?
嫌な記憶が蘇る
いやいやいや、俺は騙されないぞ!
そんなレアガチャ並の確率でも絶対引き当てる予感がする…!



●屋台のごちそう
 ロシアンたこ焼きのせいで、まだちょっとばかりヒリヒリする口の中を残ったソーダ水を飲んで癒す乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)の隣を歩きながら、灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)がくいくいと梓の袖を引いた。
「梓、梓」
 その声はどこかワクワクとしたもので、また何か食べたい物でも見つけたのかと梓が視線を向ける。
「どうした?」
「あれ、聞いてた屋台のおっちゃんじゃない?」
 屋台が並ぶ通りの外れ、他の人々は折り返して戻っていくような場所の先に『元祖鉄板や『おっちゃん』』は居た。
 お祭りに出ている屋台と同じようなサイズ感だけれど、奥行きがある。何故そんなに奥行きがあるのかと見てみれば、鉄板が三方を囲んでいた。
「普通の鉄板にたこ焼き、今川焼きにたい焼き用の鉄板……ベビーカステラ用の鉄板もあるな。どうやら間違いじゃなさそうだ」
 ソーダ水を飲み切ってゴミ箱に入れると、行くかと梓が綾に言う。
「やったぁ、待ってました」
「一応オブリビオンの登場なのにやたら嬉しそうだなお前……」
 手を叩いて喜びそうな綾に僅かに溜息をつき、いや待てよ? と思う。そういえば、昔もコイツは|違う意味《物騒な方》で喜んでいたな。
「今は平和的な理由だから、まぁいいのか……?」
「何ぶつくさ言ってるの? ほらほら、行くよー」
「おわ、わかった、わかったって」
 ぐいぐいと腕を引っ張られ、半ばよろけるようにしながら梓が綾についていく。
『らっしゃい!』
「わ~、いい匂い。俺、おっちゃんの為に胃袋セーブしてたんだよ」
 行きつけのお店に入るかのような自然な仕草で座りながらそう言うと、おっちゃんが嬉しそうに『ほな、ようけ食べてき!』 なんて返すものだから梓もすっかり毒気を抜かれて綾の隣に座った。
「何にしようかな~? たこ焼きはさっき食べたから、まずはお好み焼きから頂こうかな」
「通いなれた店みたいだな、お前……」
 大物だなコイツ、と思いつつ梓が鉄板に視線を向ければ何人前かわからないくらいのお好み焼きが焼かれているのが見えて、思わず綾の腕を指で叩く。
「おい、あの量」
「ん~? いっぱい食べて欲しいって事かな? 美味しそうだよね、豚玉にイカ玉に、あっちはチーズが入ってるし……あっお餅! こっちは牛すじだって、楽しみだね、梓」
「いやいやいや」
 いやいやいやいや、と梓が緩く首を横に振った。
 多い、量が多いのだ。食べきれるのか? と綾を見れば何も考えていないだろうって感じの笑顔が返ってきた。
「仕方ない……おっちゃんはたくさん食べてもらうのが望みなんだよな」
 美味しく、お腹いっぱいになってほしい――梓だって料理を作る者として気持ちは分かる。
「よし、それならとっておきの助っ人を呼ぼう」
「助っ人?」
「そら、来いお前たち!」
 梓がUCを発動し、元気いっぱいで食べ盛りのミニドラゴン達を召喚する。魔法陣から現れたミニドラゴン達は、キュ! キュイ! と鳴きながら、焔と零と共にお好み焼きが焼けるいい匂いに鼻をふんふんさせて鉄板を覗き込む。
「ソースが焼けるこの匂い、たまらないよね~。ミニドラちゃん達にもわかるんだねぇ」
「こら、あんまり近付かない! 皆きちんと並びなさい」
 可愛いお客さんにおっちゃんの鉄板もフル稼働、あっという間にお好み焼きが二人とミニドラゴン達の前に差し出された。
「おお……ドラゴン達用のは小さく切り分けられてる、気遣いも料理人として一流……!」
 大人用と子ども用、とでも言うように分けられた皿に梓が秘かに感動する横で、綾がさっそくお好み焼きに箸を入れる。
「すごい、パンケーキみたいにふわっふわ」
 あーん、と一口食べて、触感もふわっふわで美味しいと満足そうに笑う。
「あ、これイカ玉だ。ふわふわ感の中にあるイカのコリコリ感もいい感じだよ」
「美味そうだな」
「美味しいよ~、梓も食べてみなよ」
 あーん、と差し出されたお好み焼きを躊躇わずに梓がパクリと食べる。
「おぉ……! 本当にふわふわで美味い!」
 その言葉に、焔と零達の『ぼく達も食べたい!』という鳴声が重なって。
「わかったわかった、ほら」
 切り分けられたお好み焼きをお皿に分けて出してやると、我先にとドラゴン達が食べ始めた。
「喧嘩するんじゃないぞ、まだいっぱいあるからな」
 何せまだまだ鉄板の上では焼き上がりを待つお好み焼きがあるのだから、慌てる必要はない。
「ん、明太チーズも美味しい」
 一通り、それこそ積み上げたら顔よりも上に行くのではないかという量を平らげて、次はデザートにベビーカステラだと綾が張り切る。
「一口サイズだから、ついつい何個も食べちゃう」
「あんだけ食った後にか……」
 まあ、このサイズなら一つくらい平気だがと梓も一つ摘まむ。
「ん? 中に何か入ってるな」
「中身も色々あるんだねぇ」
 プレーンなものから、チョコ、ウィンナー、チーズ、元がカステラなだけに具材が何であれそれなりに相性がいい。甘いのはデザートのように、ウィンナーはアメリカンドッグみたいな感じだ。
「ドラゴン達も気に入ったみたいだな」
 スナック感覚で口の中に消えていく山盛りのベビーカステラ、追加が来たってなんのその。
「あっ、このベビーカステラもロシアン出来るんだって」
「ロシアン、だと……!?」
 つい先刻の嫌な記憶がよみがえり、口の中に辛さは無いはずなのに思わず打ち消すようにベビーカステラを摘まんだ梓が嫌な顔をする。
「ねぇ梓、またやろうよ~。ドラゴン達が居れば確率は約132分の1だよ~」
 それなら……と一瞬思い掛けたけれど、いやいやいやと梓が首を横に振る。
「俺は騙されないぞ! そんなレアガチャ並の確率でも絶対引き当てる予感がする……!」
 そして、その予感は見事的中することになるのだけれど、今の梓には知る由もなかったのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

千家・菊里
【おかわり】◎
さて、存分に鋭気を養ったことですし――
此処からは、本分をこなすと致しましょう
(花火も食事も目一杯お腹一杯満喫した後
鼻を擽る新たな香りと威勢の良い声を察知すれば、きりり
おたまもやる気満々な様子だ!)

おや伊織、任務を前にそんな及び腰でどうするんです?
今のは軽い準備運動じゃないですか
それにおかわりは別腹(?)でしょう

では、おっちゃんさん――貴方が燃え尽きるか、我々が食べ尽くすか、勝負と致しましょう
あっ、料理は無論全て特盛でお願いしますね

(止まない攻撃もとい料理を嬉々として受け止め)
実に見事な火加減――流石の腕前ですね
これにはおたまもにっこりです

さぁさぁ、どんどん大盤振る舞いお願いします


呉羽・伊織
【おかわり】◎
よしよし、ぴよこと亀も楽しかったって顔だな~!(ご機嫌な二匹に笑い掛け)
しっかし本分…本分、ネ~~?(――ふと綺麗に平らげられた屋台飯を見た後、花火に遠い目向け)

よし、そんじゃ後はやる気満々な狐達だけで大丈夫(寧ろオーバーキル)な気がするんで、オレは一足先にぴよこと亀を寝かし付けに帰――(れるワケもなく、圧に負けずるずると件の空地へ引き摺られ)
どんな準備運動だよおかわりは別腹ってホントどーなってんだよ~!!

嗚呼…オッチャン
熱い想いと飯はこの狐達が全身全霊で受け止めてくれるから、どーぞ全力でぶつけ…
いやソレ結果一つじゃん!

(超頑張って頂きつつ)
美味しい、ケド、物量~!
何この戦い!



●無限おかわり!
 打ち上がる花火は止む事無く続いていて、カクリヨ中の花火を集めて打ち上げているのではないかと思うほど。けれど、どれ一つ飽きる事が無いようにと配慮され、少しずつ形を変えて観客を楽しませようという意気込みが見えた。
「いや~綺麗だな~花火!」
 ぴよこと亀も広げられた敷物の上で、実にリラックスした様子で楽し気に花火を見上げている。
「よしよし、ぴよこと亀も楽しかったって顔だな~!」
 ご機嫌な二匹に呉羽・伊織(翳・f03578)が笑い掛け、そしてスッと真顔になった。
「お腹がぽんぽこ狸みたいだけどネ……」
 満足そうな二匹の横で、すっかり空になった屋台飯の容器をゴミとして纏めている千家・菊里(隠逸花・f02716)がその様子を微笑ましそうに見遣った。
「さて、存分に英気を養ったことですし――」
 よいしょ、とゴミ袋の口を縛り、伊織に視線を向けて。
「此処からは、我々の本分をこなすと致しましょう」
 至極真面目そうな声でそう言った菊里に、伊織が胡乱な目を向ける。
「しっかし……本分……本分、ネ~~?」
 綺麗に纏められた大量のゴミを見て、あの量を食ったんだよなぁと菊里の腹の辺りに視線をやって、それから丁度打ち上がった花火を見上げた。
 既にバトル済かってくらい食ってんだよなぁ……そう、遠い目をして花火の万雷と共に溜息をつく。
「あっ」
 いい事を思い付いた、と伊織が僅かに生気が戻ったような顔でぴよこと亀を撫でる。
「よし、そんじゃ後は|やる気満々な狐達だけで大丈夫《寧ろオーバーキル》な気がするんで、オレは一足先にぴよこと亀を寝かし付けに帰――」
「伊織」
「はい」
 いつになく低い菊里の声に、伊織が居住まいを正す。
「任務を前にそんな及び腰でどうするんですか?」
 そう言いつつも、菊里の耳と鼻はしっかりと骸魂に飲み込まれオブリビオンと化した妖怪――『元祖鉄板や『おっちゃん』』の存在を嗅ぎ取っている。そう、|新たな香り《めっちゃいい匂い》と|威勢のいい声《呼び込み》のする方をしっかり把握しているのだ。
「いや~そういう訳じゃないんだけどネ」
「今のは軽い準備運動じゃないですか」
「あれを準備運動って言うのはお前くら……いや他にもいるな」
 この場にはいないが、良く食べる顔が浮かんで伊織が半笑いになる。
「それに、おかわりは別腹でしょう?」
「うん、それ初耳だネ! どんな準備運動だよおかわりは別腹ってホントどーなってんだよ~!!」
 食欲の圧に負けた伊織が、行きますよと菊里に引き摺られていく。勿論、やる気満々のおたまといつの間にかぽんぽんのお腹を元に戻したぴよこと亀も一緒であった。
 ちょっとしたカウンターのある屋台に到着すると、菊里が中央に座る。そして、その横をおたまと亀とぴよこ、端っこに伊織という配置だ。
「オレの扱い!?」
「戦力順ですよ」
「いや、オレこう見えてもさっきセーブしてたからネ!?」
 既に戦力外通告されている気がするが、菊里は言うに及ばずおたまもぴよこも亀もやる気に満ち溢れているのだから、さもありなんというやつである。
「では、おっちゃんさん――貴方が燃え尽きるか、我々が食べ尽くすか、勝負と致しましょう」
『威勢がええやんけ! よっしゃ負けへんど!』
「嗚呼……オッチャン」
 目の前にいるのは狐の皮を被った食欲の権化だと教えたい、教えたいけれどぐっと堪えて伊織が言葉を選ぶ。
「熱い想いと飯はこの狐達が全身全霊で受け止めてくれるから、どーぞ全力でぶつけ……」
「あっ、料理は無論全て特盛でお願いしますね」
「いやソレ結果一つじゃん!!」
 特盛、という言葉におっちゃんの目が光る! 目に見えぬほどのヘラ捌きで、まずは焼きそばを作り上げてあっという間に二人と三匹の前に大きなお皿が鎮座する。
「まずは小手調べって所ですか、受けて立ちましょう」
「ナニコレ、何人前??」
 前が見えない程に盛られた焼きそばを小皿に取りつつ、先ずは一口。
「お、美味しい」
「これは……また別格の美味しさですね」
 ちゅるるん、と焼きそばを啜り菊里が無言で食べだす。それに続くように、おたまやぴよこと亀も焼きそばを吸い上げた。
「えぇ……もうないんだケド」
『お好み焼きお待ち!』
 お好み焼きタワーとでも言うような高さに積まれたお好み焼きも、クロカンブッシュのように積み上げられたたこ焼きも、本気を出した菊里の前では敵ではない。
「実に見事な火加減――流石の腕前ですね。これにはおたまもにっこりです、ねぇおたま」
 口元をソースでいっぱいにしたおたまが、こくこくと頷いてたこ焼きを飲み込む。
「後でお風呂入ろうネ……?」
 よく見れば、ぴよこも亀も同じような状態だ。
「美味しい、ケド、物量~!」
 押し寄せるたい焼き! 今川焼き! ベビーカステラ!
「良いペースです、おっちゃんさん。さぁさぁ、どんどん大盤振る舞いお願いします」
 おっちゃんの手も、菊里の手も止まらない。
「何この戦い!!」
 既にギブ気味の伊織が大輪の花咲く夜空に向かって、吠えるように叫んだのも無理はない話なのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミコト・イザナギ
👺🐺

・口調
本音で話す時は「天狗面を外す」

祭りと言えば屋台飯
屋台飯と言ったら鉄板
異論は認めるっ(カメラ目線
行くから引っ張らない
骨ボディが露わになっちゃうよ

うん?どんどん焼いてくれる?
なら食うっきゃないね!
兎も角、小腹に何か入れよう
(椅子に座ると鉄板飯の十人前が消える)

それじゃあいただきます
(手を合せるだけで二十人前が無くなる)

カッカッガツムグムグバリボリムシャァ!!
(紙を飲み込むシュレダーにようにがっつく天狗
尚、味わいつつ六十回は噛んで食べてる)

どうしたのおっさん
足りないよ!
供給まるで間に合ってないよぉ!
オレの胃袋は無限だ、無限に限界はないんだ

というわけでごちそうさま
いやあおいしかった
けぷ~


ディアナ・ロドクルーン
👺🐺

うーん、綺麗な花火だったわね。やっぱりお祭りの花火に屋台
ねねね、あそこに鉄板がずらーッと並んでいるんだけども
面白そうだから行ってみよう!やだっミコトのエッチ

わー、いい匂い
おっちゃん、チキンステーキ、焼き小籠包!牛串焼き!お好み焼き!どんどん持ってきて!
此処に食欲魔人の化身がいるからいくら作っても大丈夫よ

私はたこ焼きと今川焼くださーい
ミコトを見ているだけで胸焼けしそう(けらけら笑って今川焼をモグモグ

食材が消えるのが先かおっちゃんが力尽きるのが先か
どっちが勝つか掛ける人いるー?はいはい、トトカルチョする人はこちらへ~
…ってもう食べ終わっちゃった?はやっ
賭けにもならない。無限胃袋恐るべし



●屋台飯は飲み物
 人気の少ない場所で心ゆくまで花火を楽しんだミコト・イザナギ(|語《かた》り|音《ね》の|天狗《てんぐ》・f23042)とディアナ・ロドクルーン(天満月の訃言師・f01023)は、再び下駄の音を鳴らしながら歩いていた。
「うーん、綺麗な花火だったわね」
「あれだけ上がったのに、まだ上がってるのがすごいね」
 ずっとスターマインが続いているのではないかと思うほど、空は夜を忘れたように明るい。
「ふふ、そうね」
 歩きながら再び二人の目を引くのは屋台の灯り、そして鼻腔を擽る美味しそうな香り。
「祭りと言えば屋台飯、屋台飯と言ったら鉄板。異論は認めるっ」
 カメラ目線ならぬディアナ目線を決めてミコトが言えば、やっぱりお祭りの花火には屋台よね、とディアナが笑う。
「ねねね、ミコト」
「んー?」
「あそこに鉄板がずらーッと並んでない?」
 どれ? と視線を向ければ、屋台が並んだ先の先、空き地のようになった場所にぽつんと一つ佇む屋台――。
 よくよく見れば、まるでカウンターのようになっていてゆっくり食べていきなと言わんばかりだ。
「面白そうだから行ってみよう!」
 ほらほら、行こう、とディアナがミコトの浴衣の袖を引っ張って。
「行くから、そんなに引っ張らない」
 ちょっとばかり乱れた浴衣をささっと直し、前髪の隙間から赤い瞳を覗かせてミコトが笑う。
「骨ボディが露わになっちゃうよ?」
 おまけに流し目も寄こしたその言葉に、ディアナがくすくすと笑って。
「やだっミコトのエッチ!」
 と、背中をパチンと叩いた。
「あいたっ」
「ほら、置いてっちゃうわよ」
 一足先に歩き出したディアナを追って、隣を歩く。すぐに屋台に到着して、ちらりと覗いてみればありとあらゆる鉄板が完備されているのが見えた。
「わー、いい匂い」
『へい、らっしゃい!』
「お邪魔しまーす」
「お邪魔します」
 カウンターのようになっている場所にまずディアナが座り、ウキウキしながら『元祖鉄板や『おっちゃん』』へと注文を通す。
「おっちゃん、チキンステーキ、焼き小籠包! 牛串焼き! お好み焼き! どんどん持ってきて! 此処に食欲魔人の化身がいるからいくら作っても大丈夫よ」
 屋台で見かけた食べたい物を取り合えず羅列すると、屋台に張り付けられたお品書きを眺めていたミコトが視線をおっちゃんに向けた。
「うん? どんどん焼いてくれる?」
『任せとき!』
 頼もしい返事を聞いて、ミコトの唇が楽し気に弧を描く。
「なら、食うっきゃないね! 兎も角、小腹に何か入れよう」
 はいよ! と出されたのは既に作っていた焼きそば。大盛りのそれが、何故かミコトが椅子に座っただけでちゅるんと消えた。
 その様子を横目で見つつ、ディアナは自分の分は何がいいかと考える。
「そうね、私はたこ焼きと今川焼くださーい」
 ディアナのリクエストに応えつつ、おっちゃんがチキンステーキを絶妙なバランスで積み上げた皿をミコトの前に置く。
「それじゃあいただきます」
 ミコトが手を合わせた瞬間、二十人前はあったかと思われたチキンステーキが消えた。否、消えたのではない。ミコトが紙を飲み込むシュレッダーの如く食べたのだ。
「んん、このパリッパリの皮と溢れる肉汁、最高」
 しかも、味わいながら六十回は噛んで食べているというのだから、本人以外からしたら驚きでしかない。
「うん、このたこ焼きも美味しい! 出来立てってなんでこんなに美味しいのかしらね?」
「一口」
「いいわよ、はい」
 お皿を差し出すと、一口どころではなく半分くらい消えたのだけれど、ミコトからすればこれでも遠慮した方である。
「うーん、ミコトを見ているだけで胸焼けしそう」
 その食いっぷりにけらけらと笑って、ディアナが今川焼きに齧り付いた。
 既にディアナがミコトの為に注文した焼き小籠包も牛串焼きもお好み焼きも、見る影もない。
「どうしたのおっさん、足りないよ!」
『なんやて、これでどうや!』
 美味しそうな焦げ目がついた、醤油を垂らした焼きとうもろこしをこれでもかと積み上げたお皿をドンッと出すと、シュンッと消える。
 パリパリの羽が付いた餃子も、焼き鳥串も、フランクフルトも、イカ焼きも、ひゅぱっと消えた。
「食材が消えるのが先かおっちゃんが力尽きるのが先か……それが問題ね」
「供給まるで間に合ってないよぉ! オレの胃袋は無限だ、無限に限界はないんだ」
 真剣な顔でそう言ったミコトに、おっちゃんがヘラを握り直す。
『ええやろ、おっちゃんがその無限の胃袋に挑戦したる!』
 ディアナがコップを爪先で弾き、キンッという音を鳴らす。まるでそれがゴングだったかのように、おっちゃんが目にも見えぬ速さで鉄板料理を作り出し、ミコトの前に幾つも山盛りになった皿を置く。
「どっちが勝つか掛ける人いるー?」
 どこからともなく増えたギャラリーに、ディアナがにんまりと笑った。
「はいはい、トトカルチョする人はこちらへ~」
 そう言った瞬間に、ギャラリーからどよめきがおきる。
「……って、もう食べ終わっちゃった? はやっ」
「次っ!」
 おかわり! と、出して貰ったバリエーション豊かな味が決め手のたい焼きも秒殺されていく。しかも、一つ一つの味にきちんとコメントを残すのだから、おっちゃんとしても満足度が高い。
「もう、賭けにもならない。無限胃袋恐るべしね」
 胴元が匙を投げるほど、おっちゃんとミコトの勝負には終わりが見えなかったけれど、とうとう食材が尽きたおっちゃんが白旗を上げた。
「というわけで、ごちそうさま。いやあおいしかった」
「私もごちそうさま、美味しかったよ」
 食材がないのならば、これはドローかしらと言いながらディアナが笑うと、ミコトがけぷりと息を吐いて、そうかもねと笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朧・ユェー
【月光】◎

えぇ、舟と花火はとても素敵でしたね
妖怪?
おやおや、とても逞しい…楽しそうなお方ですねぇ
確かに美味しいものを食べて欲しい気持ちは良くわかります
ふふっ、ありがとうねぇ
ルーシーちゃんからが作って下さるモノはどれも美味しいですし心がこもってます
はい、僕もそうですね
ルーシーちゃんや皆さんが嬉しそうに食べて下さるのが一番嬉しいです
後、嫌いな食べ物をルーシーちゃんが美味しいと言ってくれた時でしょうか?
おや?そう言ってもらえて作ったかいがありましたと笑って

イマガワ焼き?あぁ、あの丸い…
回転焼きとも言いますね
あぁ、熱いですよ、気をつけて
熱そうに持つ彼女を心配しながら
美味しいですか?それは良かったですね
僕にも?ありがとうねぇ
頂きます
大丈夫ですよ、とても美味しいです

何かお礼にと違うのを探して
ルーシーちゃん
振り向いた彼女の口の中に小さな丸い食べ物を入れる
ふふっ、ベビーカステラです
甘くて美味しいでしょ?
今日は甘い物が食べたい日です
えぇ、じゃ次はたこ焼き食べましょうね

彼女の手を引いて美味しそうな匂いへと


ルーシー・ブルーベル
【月光】◎

お船と花火、とってもステキだったわ!
あら、あれはお話にきいていた妖怪さん、かしら
おいしいものたくさん食べて欲しい!っていうお気持ちや
意気込んじゃう気持ちは分かるかも
ルーシーがゆぇパパにお作りする時もそんな感じだし
本当?うれしいわ
パパもね、館のみんながおいしそうにパパのご飯食べている時
うれしそうに見えるよ
きらいな食べ物は……うう
だってパパ、上手に入れてくるのだもの!


せっかくだから何か頂きましょうよ、パパ
ルーシーはね、イマガワ焼き?っていうの食べて見たい
カイテン焼き?色々なお名前があるのね?
わわっ、持つのが大変な位アツアツ
何とか半分に割って……パパ、はんぶんこ!
中は何かな?
わ、カスタードクリームがいっぱい!
でも甘すぎないからパパもだいじょうぶ、かな?
ふふー、よかった

なあに?パパ
ん、口になにか入ってきた……ベビーカステラ!
おいしい、ルーシーだいすき!

パパは甘くないのにすると思ったのに
ルーシーの好きなの選んで下さったの?
……ふふ、じゃあね
次はタコ焼き食べましょ!
再び手をつないで



●美味しい物で幸せに
 屋形船を満喫し、朧・ユェー(零月ノ鬼・f06712)はルーシー・ブルーベル(ミオソティス・f11656)より先に桟橋に着けられた船から降りた。それから、彼女をエスコートするように手を差し出して――。
「ルーシーちゃん、気を付けて……抱っこした方が早そうですねぇ」
 手を取っても良かったけれど、やはり浴衣に下駄といういつもと違う装い。万が一にでも躓いてはいけないと、ユェーがルーシーをひょいと抱き上げて船から降ろし、そのまま桟橋を歩く。
「ふふ、ありがとうゆぇパパ!」
「どういたしまして。さ、いいですよ」
 ずっと抱き上げたままでも良いけれど、それは彼女が眠たそうにしてからでもいいかとふんわり笑って地面へと下ろした。
「お船と花火、とってもステキだったわ!」
「えぇ、船と花火はとても素敵でしたね」
 ゆっくりと川を流れていきながら眺める花火はまた別格で、この夏の良い思い出になったと二人で笑う。再び屋台のある通りを抜けて行くように歩いていくと、ルーシーがあら? と呟いて、ユェーと繋いだ手をくんっと引っ張った。
「? どうしました、ルーシーちゃん」
「パパ、もしかしてあれはお話にきいていた妖怪さん、かしら」
「妖怪?」
 そこかしこに妖怪がいるもので、ユェーはどこに……とルーシーの視線を追う。並ぶ屋台が途切れた先、ぽつんと佇む屋台が一つ。その屋台は他の屋台とは少し違っていて、鉄板が三方を囲むように展開しカウンター席のようになっている。
 そして、中央に位置するのは自身も大きな鉄板の形をした妖怪――『元祖鉄板や『おっちゃん』』が忙しなく動き回っていた。
「おやおや、とても逞しい……楽しそうなお方ですねぇ」
「鉄板に囲まれた鉄板の妖怪さん……なんだか楽しそうだわ」
 こっちで焼きそば、あっちでお好み焼き、そっちでたこ焼きやたい焼きと、三方の鉄板を余す事無く使って屋台飯を作り続けている彼に、ルーシーがふふっと笑う。
「おいしいものをたくさん食べて欲しい! っていうお気持ちや、意気込んじゃう気持ちはルーシーにもわかるかも」
「確かに美味しいものを食べて欲しい気持ちは僕にも良くわかります」
 自分が作ったものを美味しいと食べてもらう喜びは、筆舌に尽くしがたい。ただ、自分も幸せな気持ちになるのだと、誰かに料理を作る喜びを知っている二人は頷く。
「ルーシーがゆぇパパにお作りする時もそんな感じだし」
「ふふっ、ありがとうねぇ。ルーシーちゃんが作って下さるモノはどれも美味しいですし心がこもってます」
 本当に美味しいのだと、ユェーが笑う。ルーシーが少し失敗したと思って心配そうにした時も、大成功だとキラキラした顔をしていた時も、どれもこれもユェーにとってはこの世の何よりも美味しいと感じる料理だった。
「本当? うれしいわ! パパもね、館のみんながおいしそうにパパのご飯食べている時うれしそうに見えるよ」
「はい、僕もそうですね。ルーシーちゃんや皆さんが嬉しそうに食べて下さるのが一番嬉しいです」
 ルーシーや館のみんなが美味しいと食べてくれる顔を思い浮かべ、ユェーが微笑む。それから、ちらりとルーシーに視線を向けて。
「後、嫌いな食べ物をルーシーちゃんが美味しいと言ってくれた時でしょうか?」
「きらいな食べ物は……うう」
 ニンジンにピーマン、ルーシーが苦手な食べ物を思い浮かべて、きゅっと顔を顰める。でも、ユェーがルーシーの為にと作ってくれた、細かく野菜を刻んで作ってくれたオムライスもハンバーグもとっても美味しかったのだ。
「だってパパ、上手に入れてくるのだもの!」
「おや? そう言ってもらえると作った甲斐がありました」
 また作りましょうねぇ、と楽しそうに笑うユェーにパパが作ったものなら食べるわ、とルーシーも笑った。
 カラコロと下駄を鳴らしているうちにおっちゃんの営む屋台の前に到着し、その良い匂いに刺激されたのかルーシーがユェーを見上げる。
「ね、せっかくだから何か頂きましょうよ、パパ」
「ええ、いいですよ。何を食べましょうか?」
 目の前で踊るように炒められる焼きそば、じゅうじゅうと生地に火が通っていくお好み焼き、ぱたんと閉じられたたい焼きと今川焼きの鉄板からは甘い香りが漂っている。
「ルーシーはね、イマガワ焼き? っていうの食べてみたい」
「イマガワ焼き? あぁ、あの丸い……」
「そう、丸くって可愛らしいわ。たい焼きもお魚さんの形をしていて可愛いけれど!」
 丸い形を手で作ったルーシーに微笑んで、回転焼きとも言いますねとユェーが笑う。
「カイテン焼き? 色々なお名前があるのね?」
「そうですねぇ、地域によって呼ぶ名が変わるそうですよ」
 大判焼きというのが一般的らしいけれど、東では今川焼き、西では回転焼きと名称が違うのだとか。
「そうなのね、パパは物知りさんね」
「聞いた事があるだけですよ。さ、頼みましょうか」
 カウンターのようになっている席に座り、今川焼きを一つと注文する。
『あいよ!』
 威勢よく答えたおっちゃんが、焼き立ての今川焼きを食べやすいように一つ一つ包み紙に入れてずらりと並べる。
「わ、いっぱいあるわ」
『好きなもん食べてき! 残ったらお土産に持ってき!』
 沢山食べて欲しいのだ、けれど沢山食べられないならばお土産と言う手がある事をおっちゃんは知っている。そうすれば、この場に来れぬ人々が美味しく食べてくれる事も。
「ありがとう! ん……これにしようかしら」
 一つ手に取って、ルーシーがその熱さに吃驚したように目を丸くする。
「わわっ、持つのが大変な位アツアツ!」
「あぁ、焼き立てですから熱いですよ、気を付けて」
 熱そうに今川焼きを持つルーシーを心配気な顔で見つめ、大丈夫ですか? と問えば、熱いけど大丈夫! と彼女らしい元気なお返事。
「ん……できた!」
 何とか半分に割ることが出来た今川焼きを、はい! とユェーへと差し出す。
「パパ、はんぶんこ!」
「僕にも? ありがとうねぇ」
 ルーシちゃんは優しいですねぇ、と娘の可愛さにめろめろになりつつ、ルーシーが今川焼きを齧るのを待った。
「中は……わ、カスタードクリームがいっぱい!」
 改めて割った口を見て、溢れんばかりのカスタードクリームに小さく歓声を上げながらルーシーが小さなお口でぱくりと齧る。
「んん、ん」
 見る間に笑顔になっていくルーシーに笑い、ユェーも一口齧った。
「美味しいわ! でも甘すぎないからパパもだいじょうぶ、かな?」
「大丈夫ですよ、とても美味しいです」
 あっさりとした甘さは丁度良く、これならもう一つと手が伸びるような味わいだ。
「ふふー、よかった」
「きっと他のも美味しいんでしょうねぇ、帰って食べるのも楽しみですね」
「ええ、とっても!」
 大きめの持ち帰り用の袋に入れてもらい、他に何かルーシーへのお礼になる物はないかとユェーが眺める。
 これ、というものを、ルーシーが今川焼きに夢中になっている間にジェスチャーでおっちゃんに頼むと、おっちゃんも心得たもの。そっと小さめの紙袋を渡してくれて。
「ルーシーちゃん」
「なあに? パパ」
 今川焼きを食べきって満足そうにしている彼女の口の中に、ひょいっと小さな丸いものを入れる。ルーシーが絶対の信頼を寄せるユェーの手から食べさせてもらった物を拒むわけもなく、もぐ、と口を動かした。
「ん」
 お口の中に入ってきた何かを咀嚼し、ベビーカステラ! とルーシーが笑みを浮かべる。
「ふふっ、ベビーカステラです。甘くって美味しいでしょ?」
「おいしい、ルーシーだいすき!」
 ならばもう一つ、とユェーがあーんと言いながらルーシーに食べさせた。
「んん、やっぱりおいしいわ! パパは甘くないのにすると思ったのに、ルーシーの好きなの選んで下さったの?」
「今日は甘い物が食べたい日です」
 本当ですよ? と笑うユェーにルーシーは胸がいっぱいになって、ぎゅうっと抱き着いた。
「おやおや、ルーシーちゃんは甘えん坊ですねぇ」
「ゆぇパパにだけよ!」
 すぐに顔を上げ、笑って離れたルーシーが再び屋台に目を走らせて。
「……ふふ、じゃあね。今のルーシーはしょっぱい物が食べたい気分なの!」
 だから、次はたこ焼きを食べましょ! と、ルーシーがぴかぴかの笑顔をユェーに向けた。
「ふふ、えぇ。じゃ、次はたこ焼きを食べましょうねぇ」
 二人に出されたたこ焼きは、丸くって外側がカリカリで、中には大きなタコがとろっとろの生地の中に入っていて――とっても美味しい幸せの味がした。
「ごちそうさまでした! とってもおいしかったの!」
「ご馳走様です、お土産も沢山ありがとうございます」
 ユェーが片手に提げた袋には沢山の屋台飯、そしてもう片方の手には最愛の娘の小さな手。
 美味しそうな匂いに後ろ髪を引かれつつ、二人は笑いながら手を繋いで家路に向かうのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

デブラ・ヘックシュバイン
おお! ついに現れたっすね、鉄板ビオン!

この自分が来たからには覚悟するっすよ……
ありとあらゆる屋台料理を食い尽くしてやるっす!

あ、その前にちょっと待ってね。
菊花ちゃんに教わった方法で、と……
(細い紐を取り出す)

たすき掛けで袖を絞る!
持参したエプロンを装着!
髪の毛はゴムでまとめて結んでおく!

これでヨシ!

せっかくの浴衣を汚さずに、食事に集中できるっす!
さあ、どっからでもかかってこーい!!

焼きそば!
たこ焼き!
お好み焼き!
ソースせんべい!

……なんかソース縛り攻撃してないっすか!?
いや、美味しく頂きますけど!!

あ、もちろん甘味も忘れちゃいけないっすよね!

かき氷!
チョコバナナ!
たい焼き!

今川……大判……回転……ベイクド……

あの丸くてあんこが入ってるやーつ!!

ところで大将。大将は「イカ焼き」つったらどんな食べ物を思い浮かべるっす?
自分は醤油かけたイカの串焼きが出てくる派なんすけど、
友達とその話をしてたら行き違いコントみたいになったんすよねー。

粉物のイカ焼き……いっぺん食べてみたいんすけど! ある!?



●ここからが本番です!
 屋根の上から花火を見ていたデブラ・ヘックシュバイン(捨てがまれず・f03111)が、ふと鋭い視線を向けた。
「これは……普通の屋台とは違う屋台の香りがするっす……!」
 普通の屋台と違う香りってなんだろう、と近くで花火を見上げていた妖怪は思う。けれど猟兵にしかわからない、そんな香りなのだろうと勝手に納得してくれたので、デブラは変な人にならずに済んだ。
 そんな事とは露知らず、デブラはキリッとした顔で立ち上がり自分の鼻が捉えた香りがどちらから来るか神経を研ぎ澄ます。
「むむ……こっちっすね!」
 こうしちゃいられないとばかりにデブラが浴衣の裾をひょいっと捲りあげ、動きやすくすると下半身に力を溜めて一気に走り出した。その軽やかな動きはここ最近の中でも一二を争う程である。
「匂う、匂うっすよ! キングオブ香ばしいソースの匂いっす!」
 鼻先をひくつかせ、走るデブラが見つけたのは一軒の屋台。それは屋台通りに並んでいたようなものではなく、三方を種類の違う鉄板で囲み、カウンター席のようにした屋台。
「ちょっとした店みたいなもんっすね」
 ちょちょい、と乱れた浴衣を直してデブラが中を覗き込む。そこには鉄板に囲まれた鉄板、『元祖鉄板や『おっちゃん』』の姿が――!
「おお! ついに現れたっすね、鉄板ビオン!」
『なんや、鉄板ビオンって』
「鉄板+オブリビオン=鉄板ビオンっす!」
『おもろいねーちゃんやの~!』
 それほどでも、みたいな顔をしてデブラが笑みを浮かべる。
『褒めてへんけどな』
「誉め言葉だったじゃないっすか! こうなったら、ありとあらゆる屋台料理を食い尽くしてやるっす!」
 カッと両の目を見開いて、デブラが店内に張られたメニューを見遣る。
「この自分が来たからには覚悟するっすよ……!!」
『受けてたったろやないかい!』
 ヘラをカチンカチンと鳴らし、おっちゃんが鉄板の上で焼きそばを炒めながら笑った。
「あ、その前にちょっと待ってね」
『なんやどないしたんや』
「いや食べる準備をっすね」
 すっと袂から腰紐を取り出して、菊花に教わったというたすき掛けでキュっと袖を絞る。
「それからこの、持参したエプロンを装着!」
 浴衣が汚れないようにとデブラが気を使った結果である、そして仕上げに髪をゴムで纏めれば完璧!
「これでヨシ!」
 指先確認しつつ、完璧なお食事モードでカウンターへと座った。
「これでせっかくの浴衣を汚さずに、食事に集中できるっす!」
『ガチやんけ』
「ガチだから来たんじゃろがい、っす! さあ、どっからでもかかってこいっす!!」
 このデブラ・ヘックシュバインが受けて立つ! と自信満々な彼女の気合を感じ取ったのか、おっちゃんの目がキラリと光る。そして無言のまま、大きな紙皿に大盛りの焼きそばをのせてデブラの前にドン! と置いた。
「これこれ、この香りっす!」
 花火を眺めながら嗅ぎ取った香り! と、デブラが割り箸を口に咥えると片手でパキンと割って、いただきますと食べ始める。
「焼きそばは! 飲み物っす!」
 ちゅるちゅる、ずぞぞぞぞ、と山盛りの焼きそばがデブラの口へ入り、見る間に消えていく。けれどこれくらいはおっちゃんだって予想済み、次の皿とばかりにタワー風に盛り付けたたこ焼きがすぐさま提供される。
「たこ焼き! 口ん中を火傷しても出来立てを食べる! それが自分の生き様っす!!」
 どんな生き様だろうか、ここに菊の少女がいたら、いやちゃんと冷ましって言われるやつだ。
「あっふ! あ、あふふ、はふはふ、ふ、美味いっす!」
 口元を手で隠しつつ、熱々のたこ焼きを食べていくデブラにそっとお冷が追加で出されたのはおっちゃんの慈悲だったのかもしれない。
「次は……お好み焼き! 自分お好み焼きには一家言あるっすよ美味い!!」
 即落ち二コマみたいな事を言いながら、デブラが甘口のこってりソースとマヨの掛かったお好み焼きを食べる。ノーマルな豚玉にイカ玉、餅とチーズが入ったモチーズ。ネギたっぷりな物から、バジルチーズをたっぷりのせたお好み焼きにキムチ入りや牛スジ煮込みが入った物までと、多種多様なお好み焼きがデブラを襲う!
「ふあ~、最高っすね! なんっすかこの変わりお好み焼き、天才の所業じゃないっすか!」
 ノーマルなお好み焼きが一番美味しいという人もいるけれど、デブラはちょっとジャンクな方が好きだ。お好み焼きにチーズとか最高、カロリーにはカロリーをぶつけんだよ! ってな具合で食べきると、おっちゃんがジャンクなもんが好きならとソースせんべいを出してきた。
「っかー! わかってるっすね!」
 薄いせんべいにソースが塗られているせんべいを齧りながら、デブラがふと気付く。
「……なんかソース縛り攻撃してないっすか!? いや、美味しく頂きますけど!!」
 実際美味しく頂いているので、文句はない。
 でも、そろそろこう、ソースじゃない味が! とデブラが顔を上げた。
「大将! そろそろ忘れちゃいけない甘味をお願いしたいっす!!」
 かき氷! チョコバナナ! たい焼き!!
「レインボーかき氷に、チョコスプレーましましのチョコバナナ、そして各種味の違うたい焼き! これぞ屋台の甘味っす!」
 時に頭をキーンとさせつつ、出された甘味をカッ喰らう。
「あとあの、あれ……今川……大判……回転……ベイクド……」
 それ以上はいけない、県民戦争が始まってしまう!
「あの丸くてあんこが入ってるやーつ!!」
 上手い事回避しつつ、もちょもちょと出されたそれをデブラが食べる。食べながら、そういえばとおっちゃんに話し掛けた。
「ところで大将。大将は『イカ焼き』つったらどんな食べ物を思い浮かべるっす?」
 そう問われ、イカ焼きなんか一つしかあらへんやろ、みたいな目でおっちゃんがデブラを見遣る。
「自分は醤油かけたイカの串焼きが出てくる派なんすけど、友達とその話をしてたら行き違いコントみたいになったんすよねー」
 これも地域によるあるあるで、一般的にはデブラの言うものなのだが――とある地域では違うのだ。
 お好み焼きの様な生地にイカが入ったもので、もっちりふわっとした生地と中に入ったイカが絶妙な美味しさを奏でる、それが一部地域でのイカ焼き!
「粉物のイカ焼き……いっぺん食べてみたいんすけど! ある!?」
『あるに決まってんやろ!』
「やったっす!! 自分の生涯に悔いなしっす!!!」
 おっちゃんの手は止まらない、デブラの箸を持つ手も止まらない。
 花火が打ち上がる中、おっちゃんは思う存分屋台飯を作り続けたし、デブラは思う存分食べ続けたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年09月17日


挿絵イラスト