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我が牙は蒼の狂気を灼滅するのか

#UDCアース #【Q】 #心情 #心情系 #青の教団 #退魔の小組織を救え


 UDCアース世界には、邪神やUDC(アンディファインド・クリーチャー)怪物の脅威から人知れず人類を守っている組織UDC(アンダーグラウンド・ディフェンス・コープ)……いわば人類防衛組織が存在する。
 だが、この組織よりも古来から人類をUDC怪物達から守り抜く退魔の一族が存在した。
 最近では、外部から偶然ユーベルコードに目覚めた若者達を招聘して組織化しており、その名はUDC組織も把握するほどである。
 彼らの名は『美國財団』……表向きは文化財保護活動を謳った社団法人である。
 その『美國財団』は今までも数多くのUDC怪物の討伐実績を持つのだが、実はどれも死力を尽くして弱いオブリビオンを一体倒すのが精一杯であった。

 この日も、財団へ秘匿情報がもたらされた。
 長野県諏訪市のとある寺院周辺の山中に、青いローブを纏った邪教徒の集団が徘徊しているらしい。それは『青の教団』と呼ばれる危険度最上位の邪教団の信者達であり、邪神の影響からか彼らは人間と懸け離れた異能を持つと言われる。
 すぐに財団の精鋭部隊が現地へ急行、目的の寺院周辺の山中深くに教団アジトがあることを突き止めた。
 彼らはこう考えていた。
『異能を持つとはいえ所詮は人間だ。精鋭部隊の我々なら、ものの数秒で制圧できる』
 だが、現実は――。

「こ、こいつら、いきなり自害しやがった!」
「ち、違う! 自害じゃない! これは……『身を捧げた』んだ!」
「ちょっと、信者の身体から何か出てくるよ……?」
「まずい、コイツは……邪神の使徒だ! にげ、ぎゃああぁァァーッ!」
「デルタ! おい! 嘘だろ、デルタが……死んだ!」
「今の何……? 一瞬でデルタの身体が吹っ飛ばされて……?」
「待って、1体だけじゃない! 自決した信者の全員から、使徒が、ああ、使徒が!」

 ――財団の精鋭部隊は、誰一人として帰還しなかった。

「……こうなる前に、みんなには美國財団と接触してもらって、青の教団討伐に加わってほしいなっ!」
 グリモア猟兵の蛇塚・レモン(白き蛇神憑きの金色巫女・f05152)は、未来の惨劇を食い止めるべく集まった猟兵たちへ、今回の任務内容を伝達し始めた。
「まずみんなを美國財団の本部に転送するよっ! UDC組織の紹介状を持たせるから、精鋭部隊のみんなとはすぐ面会できるよ。ただ、そこから精鋭部隊のみんなの信頼を勝ち得なくっちゃいけないんだけどねっ!」
 幸い、出撃まで時間が空いている。
 その間に戦闘準備を行うのだが、財団側は猟兵との接触が初めてなので、何かしら尋ねてくるだろう。猟兵たちは自分のトレーニングのこだわりや、愛用の武器の思い入れなどを語ってもらいたい。異世界で戦い抜いた肉体や武器、そしてアイテムの逸話を聞けば、精鋭部隊もきっと認めてくれるはずだ。
「そこからは普段通りのUDC怪物討伐なんだけど、精鋭部隊のみんなにとっては集団敵の1体だけでも全員で死力を尽くさないと倒せないんだよね~っ。だから、敢えて精鋭部隊の退治を手伝ったり、逆に圧倒的な『力量の差』を見せつけて、この世界が危険に瀕してることを教えてあげてもいいかもっ?」
 財団はUDC組織よりも情報網が発達しておらず、現状の地球の危機度を正確に把握していない。ここで現実を直視させるのも、彼らの為になるだろう。
「あとはいつもどおり、敵の首魁をぶっ飛ばせば任務完了だよっ! それじゃみんなっ! 今回も頑張ってねっ!」
 レモンは頭上に浮かぶグリモアを輝かせると、UDCアースへ猟兵達を転送させてゆくのだった。


七転 十五起
 久々のUDCアースのシナリオです。
 心情描写寄りの戦闘シナリオを予定しております。
 なぎてんはねおきです。

●第1章
 美國財団の精鋭部隊と一緒に戦闘準備を行います。
 様々な世界で戦ってきた猟兵の戦闘技術や武具、そしてアイテムは、精鋭部隊にとっては珍しいものばかりです。
 皆さんは、独自のトレーニング方法や愛用の武具やアイテムのエピソードを披露して下さい。過去の戦闘の体験談も、精鋭部隊の興味を惹く話題になりえます。
 POW・SPD・WIZは参考程度に留めていただき、自由に語り尽くして下さい。

●第2章
 集団戦フラグメントです。
 邪神教団『青の教団』の実行部隊との戦闘です。
 長野県諏訪市の山中深くにアジトを構えており、周りは鬱蒼とした木々で覆われて日中でも薄暗いです。
 この『青の教団』は『誰も虐げられない世界の為、全生命のUDC化を実現させる』ために活動しています。そんな信者達は、誰もが恵まれない境遇の者が多く、多様な才能を有した集団で構成されています。

●第3章
 ボス戦フラグメントです。
 詳細は断章加筆時に公開します。

●その他
 コンビやチームなど複数名様でのご参加を検討される場合は、必ずプレイング冒頭部分に【お相手の呼称とID】若しくは【チーム名】を明記していただきますよう、お願い致します。
(大人数での場合は、チームの総勢が何名様かをプレイング内に添えていただければ、全員のプレイングが出揃うまで待つことも可能です)

 それでは、皆様の武器やトレーニングへの滾る想いをお待ちしております!
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第1章 日常 『戦闘準備』

POW   :    筋トレを行い肉体を研ぎ澄ます

SPD   :    武器の手入れや調整、物資の補充を行う

WIZ   :    自分に合う武器や物資を見繕う

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
カシム・ディーン
UC常時発動
最強無敵のカシムさんですが…その一端を伝えるのも悪くはありませんね
「ご主人サマ意外と堅実だよね☆」
訓練
実戦もそうですが模擬戦もやりますね
持ち得る武器や技を使っての
後は勉強
常に周辺状況や敵の性質の看破も大事です

体験談
今迄戦ってきた相手の話でも…ってなんでお前まで聞くんだよ
「メルシーと会う前のご主人サマの冒険は何度だって聞きたいよ☆」
武装
何故かメルシーが解説
「鎌剣のハルペーだよ☆不死者とかそういう怖いのや悪い神様を冥府に送れるよ☆」
「カドゥケゥスは込めた魔力で色んな攻撃ができるよ☆」
因みにこれが帝竜の力を込めた兵器ですね(帝竜眼やロッド
「そして最強の武器こそ…メルシーだぞ☆」(えっへん



 UDC組織の紹介状を受付で提示したカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)と相棒の銀髪巨乳少女姿のメルシーは、物々しい雰囲気の警備員数名に連れられて地下へ。
 そこには、様々な用途の施設やスペースが充実しており、地上の博物館兼財団事務所がカムフラージュであることを2人は思い知らされた。
「……猟兵の御二方、こちらです」
 警備員に案内された扉をカシムが開けて中にはいる。
 すると、そこはだだっ広いトレーニングジムのような空間であった。
 多種多様な運動器具が揃っている他、ガラス越しに射撃場が見える。
 その壁にはびっしりと銃火器が架けられていた。
「地下にこんな場所があったんですね。この美國財団、侮れないかもしれません」
「でもご主人サマのほうがつよつよだけどね☆」
 メルシーの称賛の言葉に、今まさにウォーミングアップ中だった精鋭部隊らしき屈強な男性が睨み付けた。
「そいつは聞き捨てられねぇな? あんたが猟兵ってやつか? UDC組織からの紹介だか知らねぇが、こんなガキを差し向けるとか大丈夫なのか?」
 男性はカシム達を鼻で笑い飛ばす。
 これにメルシーが文句を言い返そうとすると、それをカシムが制止した。
「ご主人サマ!? 言われっぱなしで悔しくないのっ?」
「いいか、メルシー? 真の強者は多くを語らねーのです。弱い奴ほど口数が多いですし」
「……んだと?」
 男がカシムの前まで詰め寄ってくる。
 その身長差はゆうに30cm以上はあるだろう。
「お前みたいなチビが今まで何やってきた? 聞けば猟兵は異世界を行き来できるらしいが、どうせ大した活躍なんてしてないんだろ? 筋肉もないモヤシっ子だもんなか? ハッハッハッハッ!」
 せせら笑う男に対して、カシムは必死に理性で堪えながら言い返した。
「いいでしょう。普段は自分の武勇伝をひけらかすような真似をしない紳士で最強無敵のカシムさんですが……その一端を伝えるのも悪くはありませんね」
「ご主人サマ、意外と堅実だよね☆」
 カシムとメルシーの態度に、男は興味をそそられた。
「へ~? んじゃ、普段はどんな訓練してるのか教えてくれよ?」
「分かりやすいものから言えば、実戦もそうですが模擬戦もやりますね。互いの持ち得る武器や技を使っての」
「あ! ご主人サマとの組手はメルシーが相手してるよ☆」
 手を上げてぴょんぴょこ跳ねるメルシー。
 その巨乳が上下に激しく揺れる!
 男はその挙動に思わずゴクリと喉を鳴らすが、メルシーに気付かれてしまう。
「も~☆ このおっぱいはご主人サマ専用だからメッだぞ☆ チョメッ☆」
 メルシーが男の額にデコピンをかます。
 途端、男は凄まじい勢いで床に後頭部を強打!
「アバァッ!?」
 額の打撃と転倒の衝撃で、男は一瞬で失神してしまった!
 メルシーの細い指先から放たれた破壊力は、精鋭部隊といえど一般人では2本の足では踏ん張りきれなかったようだ。
 ……まぁ、彼女(?)の正体は人間ではないので、規格外の膂力があって当たり前なのだが。
「ああ、そうそう、戦闘では常に周辺状況や敵の性質の看破も大事です、って……もう完全にノビてますね。うわくっせ! コイツ、失禁してやがる……!」
 カシムが鼻を摘んで周囲に後片付けするように呼びかける。
 これを見ていた他の精鋭部隊の隊員達が、カシムとメルシーに駆け寄ってきた。
「すごい! デコピンでシータを撃沈させちゃった!」
「猟兵って強いんですね! あ、うちの筋肉バカが迷惑かけてごめんなさい!」
「メルシーちゃんっていうの? キミ、カワイイね~!」
「このバカの後片付けはこっちでやっておくから、向こうで色々お話聞かせてよ!」
「ご主人サマ~! メルシー、大人気☆」
「おっふぉん! おっふぉん! んん~ッ! そのメルシーを従える主こそ、この僕、天才最強無敵魔術盗賊のカシムさんなんですがね?」
 ちょっとイキってみるカシム。
 精鋭部隊のメンバーは、メルシーとカシムの間で視線を行ったり来たり。
 正直、小柄な少年は威張っているだけで強そうに思えないな~って顔を彼らはしている……。
「……ご主人サマはね、メルシーよりも強いよ!」
「「マジで???」」
 メルシーのアシストのおかげで、女子隊員達に囲まれて顔がにやけるカシムである。

 場所を移して、武器庫内のラウンジ。
 カシムとメルシーは、精鋭部隊の面々に囲まれてインタヴューを受けていた。
「猟兵って異世界へ行けるって本当?」
「行けますよ。手順は企業秘密ですが」
「やろうと思えば、メルシーも次元を超えられるよ☆」
「メルシー、やるとグリモア猟兵の負担が増えるぞ……」
 2人の会話に、当然、異世界での戦闘の逸話について尋ねられる。
「では、今迄戦ってきた相手の話でも……ってなんでお前まで聞くんだよ」
「メルシーと会う前のご主人サマの冒険は何度だって聞きたいよ☆」
 ちゃっかりインタヴュアー側に回るメルシー。
 カシムはアックス&ウィザーズでの『帝竜戦役』にて、数々の帝竜を倒してきた話を誇らしげに語ってみせた。
「……で、その時に奪った帝竜達の眼球や魔力を籠めたのが、この帝竜眼です。そしてこっちはヴァルギリオス・オーブより作り出された魔杖です」
「す、すごい……この世界の最上級呪物なんかと比べ物にならないほどのエネルギーを発しているわ……!」
 精鋭部隊の女性隊員は、まじまじとカシムが差し出した魔具を見詰める。
 これに触発されたのか、メルシーも自身の装備を自慢し始めた。
「これが鎌剣のハルペーだよ☆ 不死者(リッチ)とかそういう怖いのや悪い神様を冥府に送れるよ☆ それとこっちの杖っぽい砲銃はカドゥケゥス! これに込めた魔力で色んな攻撃ができるよ☆」
「こっちも現代科学じゃ複製できそうにないな。どこの世界のものだ?」
「クロムキャバリアっていう世界だよー☆ そして、その世界にあるジャパニアって国の創造神たるメルシーが、ご主人サマの最強の武器だよ☆」
 この言葉に、精鋭部隊は首を傾げてしまう。
 カシムは一声掛けてユーベルコードを解除する。
「メルシー、ここは広いから元の姿に戻っていいぞ。お前の本当の姿を見せてやれ」
「本当? わぁい! それじゃ、へーんしん!」
 メルシーは少女の姿から巨大な白銀のスライムに変化すると、そこから急激に体積を膨張させてゆく。気が付けば、体高5mの白銀の装甲に黄金の輪を背負った神々しいサイキックキャバリアが地下空間に立っていた。
『これが本当の姿! 界導神機『メルクリウス』だよ☆』
「「ロボがしゃべって勝手に動いたぁっ!?」」
 異世界の技術力に、精鋭部隊は思わず腰を抜かしてしまうのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

山神・ククリ
ごきげんよう皆様。私は山神ククリと申します。
美國財閥の方々に頭をさげるククリ。
少し武具の点検をさせてください。
愛用の武具の薙刀と姉の武具の蛇腹剣の手入れを始める。 
この薙刀は私の愛用の武具です。いずれ名を与える予定です。この蛇腹剣はお姉様の愛用の武具です。お姉様と交代する時に使います。
お姉様は少し気分屋で私がピンチかやる気がでたらでてきてくれます。あ、すみません。少し手伝ってください。
久しぶりの出撃なのでucと薙刀の調整をさせてください。
私が後ろを向きますので、何か投げてください。
後ろを向き何かが投げられた瞬間❗現人神顕現❗一瞬で切り伏せた。私のucは未来を見通す事が出来るので切れました。



 美國財団の精鋭たちは猟兵と接する機会はこれが初めてである。
 故に、山神・ククリ(人間の戦巫女・f32374)のようなうら若き少女が猟兵だと知って驚いていた。
「ごきげんよう皆様。私は山神ククリと申します」
 美國財団の精鋭たちへ丁寧にお辞儀をする山神。
 その礼節折り目正しさに、思わず精鋭たちも背筋が伸びてしまう。
「ここで出撃まで待機するように言い伝えられました。なので少し武具の点検をさせてください」
 山神は背負っていた風呂敷をテーブルの上におろし、荷を解き始めた。
「巫女さんの武器っていうと、やっぱり神楽鈴とかなのですか?」
 そう尋ねた精鋭部隊の女性隊員は、風呂敷の中から出てきた武器に目を疑った。
「え、それなんですか……? 鞭……?」
「いいえ、蛇腹剣です」
「あれって架空の武器じゃなかったの……?」
 美國財団の精鋭たちの間では、蛇腹剣はフィクション作品中に登場するカッコいい武器という認識なのだろう。
 山神は慣れた手付きで、蛇腹剣の刃のひとつひとつをしっかり磨き上げてゆく。
「これは姉が使用する武器です。私の武器はこちらを」
 布に包まれた長物の正体は薙刀であった。
「なぁんだ、蛇腹剣なんて振り回しているだけじゃ何も切断できないって科学的に証明されてるし、よほど別の力が加わらない限り武器として使えない代物だからねー。ほら、例えば念動力で武器を制御するとかさ」
「姉の武器をあまり批判しないでくださいな。気分次第で私の中から出てきてしまいますので……」
 山神の纏う雰囲気が急変する。
「私の身体の中には祟神のくくり姫が宿ってます。その正体は生まれてくるはずだった私の双子の姉なのです。姉を怒らせないで下さい……死にますよ、あなた?」
「え、アッハイ」
 精鋭部隊の女性隊員は、山神の言っていることの半分しか理解できていない様子。
 ……いきなり祟神になった姉が自身に憑依しているなんて話されても、何を言ってるだろうと訝しがるのが一般人の感覚なのだから無理もない。
「この薙刀は私の愛用の武具です。いずれ名を与える予定です。この蛇腹剣はお姉様の愛用の武具です。お姉様と交代する時に使います。お姉様は少し気分屋で私がピンチかやる気がでたらでてきてくれます。あ、すみません。少し手伝ってください」
 山神が女性隊員に助力を請う。
「久しぶりの出撃なのでユーベルコードと薙刀の調整をさせてください。私が後ろを向きますので、何か投げてください」
「えっと、じゃあ、この訓練用のスローインダガーを投げるね」
 刃が潰れた投擲用ナイフを身構える女性隊員。
 そして山神が後ろへ振り向いてから数秒後、女性隊員が渾身の力でナイフを放った。
 空を切り裂きながら正確無比に山神の首筋へ飛んでゆくナイフ!
 だが……。
「くくり姫ノ神亦申すことあり。現人神顕現!」
 山神は薙刀を横薙ぎに旋回させ、ナイフを弾き飛ばしてみせた。
「すごい! 完全に意識外からの攻撃が決まったと思ったんだけど?」
「私のユーベルコードは未来を見通す事が出来るので。それに祟神である姉の加護もあります」
 山神の実力の底の見えなさに、女性隊員は畏怖の念を抱かざるを得なかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

テラ・ウィンディア
邪神に抗う組織か!
手を貸すのも吝かじゃないぞ!
「神でありながら人に害成すこと自体私達からすれば許しがたいですしね」(黒ちび子猫

訓練
んー…おれの最近の訓練は自分に重力で負荷をかけて身体能力を鍛えたりしてるかな
「中々にきついですよね」
ヘカテにゃんまで付き合わなくてもいいんだぞ?
「テラだけに負担はかけませんっ!」
喧嘩売られたらひょいっと足払いで回転させてちゃんと支えて立たせるぞ(恐ろしい実力差を見せる
んと…敵を見た目で判断しちゃだめじゃないかな?

武器
ヘカテにゃんやグランディアの紹介だ!

過去の経験
…成功例より失敗例を示すか
黒騎士アンヘルとの戦いと敗北と反省を伝えるぞ
敵の力と性質を見誤っちゃだめだぞ



 テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)は美國財団の地下施設を訪れると、その活気ぶりにワクワクしてきた。
「邪神に抗う組織か! 手を貸すのも吝かじゃないぞ!」
 物珍しそうに周囲を見渡すテラ。
 そんな彼女の肩に乗っかる黒い仔猫ことヘカテが喋った。
「神でありながら人に害を成すこと自体、私達からすれば許しがたいですしね」
「そうだな、ヘカテにゃん! って、なんか視線がこっちに集まってるぞ……?」
 テラは精鋭部隊の隊員たちが唖然としてこちらを見詰めていることに首を傾げていた。
 途端、隊員たちがテラヘ殺到する!
「ねぇ、今、そのちっちゃい黒猫が喋ったよね?」
「こんな小さな女の子も猟兵ってマジかよ?」
「あ、お菓子食べる?」
 周りに押し寄せた隊員たちに、テラとヘカテは圧倒されてしまった。

「……ふう、びっくりしたぞ」
「確かに、子猫姿のわたしが喋れば、この世界では奇異の目で見られるのは当然ですね……」
 いくら世界の加護で『猟兵はどんな姿でも、現地の人々へ違和感を与えずに意思疎通が可能』とはいえ、テラの相棒であり武器であるヘカテにその籠がお腰部とは限らないのだ。
 美國財団の精鋭部隊の面々はユーベルコードに目覚めていることもあり、もしかしたら感覚は一般人ではなく猟兵に近いのかもしれない。
 気を取り直して、テラとヘカテは軽く自己紹介を済ませると、ウォーミングアップを始めた。
「俺には判る……キミ、なかなかの武芸者だね? まだ子供なのに、一体どんな鍛錬を積んできたんだい?」
 壮年の男性隊員がテラヘ興味深そうに尋ねてきた。
 すると、テラは魔法で自身の体に重力魔法を施し、動きに多大な負荷を掛け始めた。
「んー……、おれの最近の訓練は、自分に重力で負荷をかけて身体能力を鍛えたりしてるかな」
「中々にきついですよね」
 そう語り合うテラとヘカテだが、傍らから見ている限りでは平然としている。
「ヘカテにゃんまで付き合わなくてもいいんだぞ?」
「いいえ、テラだけに負担はかけませんっ!」
 地球上の重力の5倍の状況を魔法で作り出し、その中で腕立て伏せや倒立を行い、筋力と体幹を仕上げてゆく。
 それを眺めていた壮年男性の隊員がテラに申し出る。
「なんだか思ってたよりもキツくなさそうだね? 俺にもその重力魔法を掛けてくれないか?」
 ヘカテは男性を憐憫の眼差しで見詰めるが、テラはお構いなしに首肯した。
「いいぞ! でもいきなりおれと同じ負荷を掛けると、翌日は全身が筋肉痛になるぞ?」
「に、入門編ってことで、少し弱めでお願いできないかな?」
「それじゃ、おれの負荷の半分、2.5倍の重力負荷を掛けるぞ!」
 テラは早速、壮年の男性隊員に重力魔法を施してあげた。
 すると……。
「う、うおお……! これでキミの半分なのか? おじさんの体重が75kgだから、その2.5倍……187.5kgの体重に俺はなってるわけだね……う、動けなくはないがね……?」
 ヨタヨタと千鳥足で歩き回るだけで、男性隊員の額に玉のような汗が滲んでくる。
 それを見て、テラの表情がパッと明るく咲いた。
「そうだ! おいお前! おれと組み手してくれ!」
「え、この負荷の中でかい?」
 男性隊員の顔が思わずひきつる。
 だがテラは地球上の5倍の重力下の負荷の中でぴょんぴょん飛び跳ねながら懇願する。
「お願いだぞ! こういう機会じゃなきゃ、大人と組み手なんて出来ないからな!」
「ま、まぁ、俺も一応は腕っぷしに自身はあると自負はしてるけどね……?」
 壮年男性の隊員はテラと向き合うと、空手の構えをとった。
 テラは男性を誘うように指先をクイクイと手繰る仕草をする。
「そっちから打ち込んできていいぞ!」
「小さい女の子を殴るのは心苦しいんだが……お手並み、拝見だ!」
 慣れない高負荷の中でも男性隊員は疾風めいた摺り足でテラヘ肉薄!
「イヤーッ!」
 裂帛のカラテシャウトとともに繰り出される正拳突き!
 それをテラはヒョイッと回避!
「おお! 猟兵でもないのに高重力の中でちゃんと動けるなんて凄いぞ!」
「そんな、俺の2倍の重力下で、あんな素早く動けるなんて!」
「鍛え方が違うからな! それじゃこっちからゆくぞ! うりゃー!」
 テラは男性隊員を足払いでバランスを崩させてからの背負投げを敢行!
 高重力での投げ技は、高層ビルから飛び降りたのと同程度の衝撃が全身にぶつかる!
「ゲホッ!? かは……っ! 俺、生きてるかな……? うう……」
「今、お前、勝てると思っただろ? 駄目だぞ、敵を見た目で判断しちゃ!」
 圧倒的実力差を見せ付けたテラは、ますます隊員たちの注目の的になっていった。

「……んで、これが星刃剣『グランディア』だ! いつもは小剣サイズだが、おれの意思によって大きさと刃の長さを自在に変化できるぞ! そして、おれの相棒のヘカテはにゃんは神機っていうロボが本来の姿なんだぞ」
「今は移動と隠密性を重視して、黒猫の子供に変化しています」
 テラは自身の武具のひとつひとつを隊員たちへ紹介していた。
 それが終わると、テラは過去の戦闘で印象深かったエピソード……自身が完敗した強敵について話し始めた。
「宇宙世界での一大戦争で、おれは黒騎士アンヘルという『過去を斬るオブリビオン』と戦った。おれは、あの時のおれは、地上にいるあいつは空中に手出しが出来ないと思い込んで、魔法で空から攻撃した。でも……違ったんだ、おれの過去を斬る黒い刃は、地上でも空中でも関係なかったんだ……おれは空間から出現した過去からの刃に切り裂かれて、全身血塗れになって危うく死にかけたぞ……」
 異世界での激戦ぶりに、隊員たちは顔を見合わせる。
 過去を斬るだって?
 そんな芸当が出来る異世界の怪物とは、なんて恐ろしいのか。
 いや、もしかしたら邪神にもそんな芸当が出来る奴がいるのかもしれない。
 隊員たちは、今までの討伐は運良く事が進んだ結果に過ぎないのでは、と背筋が冷えてゆく。
「いいか? 敵の見た目と力、そして性質を見誤っちゃだめだぞ?」
 テラの訓示に隊員たちが無言で頷くのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

箒星・仄々
UDC組織さん以外の退魔組織があったのですね
猟兵でもない身での戦いは命がけでしょう
財団の皆さんの力になりたいです

礼儀正しくご挨拶して自己紹介
私の相棒はこちらですよ♪と
指笛で目旗魚のランさんを召喚します

財団の皆さんの武器や戦い方をお尋ねします
共に戦う仲間になる訳ですから
UC使いさんもおられるのですよね

青の教団の情報もお伺いします
余り情報網はないということでしたが…

一通り教えていただいきましたら
休憩時間にでも
カッツェンリートを起動して
不思議の国や大海原での戦い
銀河帝国の宇宙戦艦やドラゴンとの死闘等々
これまでの冒険を吟遊詩人風に歌い奏でましょう
財団の皆さんが少しでも英気を養っていただければ嬉しいです



 箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は黒猫のケットシーである。
 世界の加護によって、UDCアースの人々にも箒星の姿は違和感を与えずに交流を図れるので、黒猫が二足歩行をしていても驚かれずに済むのだ。
「UDC組織さん以外の退魔組織があったのですね。猟兵でもない身での戦いは命がけでしょう。財団の皆さんの力になりたいです」
 自慢のお髭をピンと張って、気合十分の箒星。
 まずは精鋭部隊の隊員たちへ脱帽からのお辞儀と挨拶をした。
「はじめまして、箒星・仄々と申します。シンフォニアにしてマジックナイトですので、音楽魔法を得意としてますよ」
 音楽魔法という単語に、精鋭部隊のひとりの男性が目を輝かせ始めた。
「それってファンタジー世界にありがちな奴じゃないですか! うわ異世界魔法マジ実在してる~!」
 彼は早口でUDCアースの有名なファンタジー作品を列挙し、自身がファンタジー世界に憧れて美國財団へ入ったことを打ち明けてくれた。
「……ってことで、マジで異世界転生モノは大抵を履修済みの僕です!」
「なるほど~、やはり私の魔法は物珍しいのですね♪」
 箒星と男性の会話は微妙に食い違っていたが、互いの熱意で奇跡的に成立していた。
「では、こういうのもお気に召すと思いますよ? 私の相棒のランさんです♪」
 箒星は指笛を高らかに吹き鳴らすと、彼の足元の影が色濃くなってゆく。そして、影の中から体長5mもの巨体の魚類が飛び出してきたのだ。
「うぉぉぉ! カジキマグロ!?」
 思わず腰を抜かす男性隊員。
「いいえ、メカジキですよ。メカジキの背びれはサメの尻尾に似ています。その外観は羽の形に似ているんですよ~」
「そ、そうなんだ……いや、てかデカすぎでしょ!」
 呼び出されたランさんは、水もないのに空中を遊泳して回っている。
「他にも、愛用の魔法剣や懐中時計から蒸気の力で変形する竪琴が私の武器です。美國財団の皆さんはどんな武器を使ってるのですか?」
 箒星の問い掛けに、ひっくり返った男性が立ち上がりながら教えてくれた。
「僕たちの武器は、アンチマテリアル・アサルトライフル……AMARって呼んでるよ。非物質、つまりこの世ならざる存在への特攻効果を持つ弾丸と魔術機構を有した突撃銃なんだ」
 他にも、聖別された銀のサバイバルダガーや狂気を祓う聖水など、UDCアースの呪術的要素と最新軍備を掛け合わせたような武装の数々を紹介してくれた。
(ふぅむ……どれも魔力量が弱いですね? やはり、予知で見せていただいたとおり、普段は部隊全体で死力を尽くしてやっとオブリビオン1体を倒しているのでしょうね)
 箒星はどれも心許ない装備のレベルに不安を覚えつつ、次の質問を投げ掛けた。
「皆さん、ユーベルコードはお持ちですか? 共に戦う仲間になる訳ですから、教えていただけますか?」
「だったら僕のを。僕はアニメやゲームのキャラクターを現実にたくさん具現化出来るんだ! そのキャラ特有の必殺技も撃てたり出来るよ!」
 どうやら、エレクトロレギオンに似たユーベルコードを使えるらしい。無論、召喚されたキャラクターは攻撃を一度でも受けると消滅してしまう。
 他にも治療用ユーベルコード、自己強化系、相手を捕縛するサポート系のユーベルコードを持ち合わせていることが判明した。
「では、最後に。青の教団の情報もお伺いします。UDCアース組織からは、余りこちらは情報網が発達してないということでしたが……」
「あ~、あっちと比べられちゃうとね? うちは規模が小さいから……」
 男性隊員は苦笑いを浮かべてしまう。
 曰く、入信者には不遇な身の上の者が数多く在籍しており、教祖も世の中の不条理を嫌ってUDC怪物による世界改変を目論んでいるらしい。
「要はさ、自分たちが恵まれなかったからって、世間に八つ当たりしているテロリスト集団さ」
「ですが、私はそんな教団の皆さんの心を癒やしてあげたいと思ってしまいます……傷付いたまま凶行に走ることを過ちだって気付いてほしいです」
「仄々君は純粋だなあ」
 男性隊員は再び苦笑いを浮かべていた。
 もうそんなことは不可能だと、無言で分からせるかのような圧を漂わせながら。

「では、ここからは私のこれまでの冒険を曲に乗せて吟じて参りましょう」
「リアル吟遊詩人キター!」
 ファンタジー世界要素100%の箒星の言動に、男性隊員は興奮を隠せない!
 爪弾く竪琴の音色とともに、紡ぎ謳われるは不思議の国や大海原での戦い。
 それに銀河帝国の宇宙戦艦やドラゴンとの死闘。
 はたまたUDCアースの裏側の妖怪たちの世界での大事件や文明が崩壊した終末世界での大決戦。
 今まで巡ってきた幾つもの世界での大冒険の歌を、精鋭部隊は心躍らせて聞き入っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アテナ・アイリス
あら、わたしの武器は、全部一級品のマジックアイテムよ!本当に、苦労して集めたんだから!

まずは、剣ね。冷気で実体の無い敵も切れるし、蒼石の力で光線や銃弾を弾くことができるわよ。もう一つの剣は、相手防御力を無視するわ。
そして腰のベルトで力を上げて、剣を離すことが無くなる。
まさに攻防一体よね。

次に、防具だけど、受けたダメージを半減させる鎧、冷気を出して相手の動きが遅くする首飾り。ミスラルで作られとても軽くて丈夫な盾
そして、どんな環境でも機敏に移動することができるブーツで移動力を確保するわ。

どう、相手にするのがいやになってくるでしょ。
一流の戦士は、武具を選ぶのよ。覚えておきなさいね!



 アテナ・アイリス(才色兼備な勇者見届け人・f16989)は精鋭部隊が寛ぐラウンジに足を運ぶと、エルフ特有の神秘的な美貌に男女問わず注目の視線を向けてきた。
「すごい綺麗な人だな……!」
「サラッサラのブロンドヘアー! 憧れちゃう……!」
「存在自体が神々しい……後光差してるような?」
「馬鹿言え、オーラが輝いてんだよ!」
 アテナはにわかにざわつく周囲へ余裕のスマイルを向けて手を振る。
 その洗練された所作に、精鋭部隊の数名は尊さで召されていった。
「さてと、出撃前に武器の手入れを……ってあら?」
 アテナは隊員たちの視線が投げ掛けられ続けているのを知り、彼らへ手招きした。
「折角だから、もっと近くで見てみたら? なんたって、わたしの武器は、全部一級品のマジックアイテムよ! 本当に、苦労して集めたんだから!」
 アテナの誘いに、隊員たちはようやく動けると安堵したのか、ぞろぞろと一斉にアテナを取り囲み始めた。
 これにはアテナは少々驚いてしまうが、テーブルに並べられた彼女の武具への興味深さを感じてか、誰一人として邪険に扱うことはなかった。
「まずは、剣ね。水のように透き通った刀身をもった方がアーパスブレードよ。これは冷気で実体の無い敵も切れるし、蒼石の力で光線や銃弾を弾くことができるわよ」
 青くうっすら輝く透明の刃から、にわかにヒンヤリとした冷気が発散される。
 隊員たちは不思議な剣に手をかざし、本当に冷たいとはしゃいでいた。
「そしてこっちが……来て、クラウ・ソラス!」
 アテナが念じると、その手に具現化する光の剣!
「クラウ・ソラスは相手の防御力を無視して斬り伏せられるわ。この剣に斬れないものなんてないわよ!」
 再び虚空に消え去る光の剣に、隊員たちは目を瞬かせて驚いている。
「この剣は、本当に必要とされると感じたときだけしか姿を表さないの。裏を返せば、何処に居たって、たとえ他の武器を没収されてもクラウ・ソラスだけは手元に残るわ」
 その利便さと攻撃力の高さに、美國財団で研究させてほしいとの声も上がるが、アテナはやんわりと断るのだった。
「あと、メギンギョルドっていうこの腰のベルトで筋力を上げて、握った剣を絶対に手放さないわよ。おかげでどんな攻撃も剣で受け止められるし、どんな硬い相手でも弾かれずに済むわ。まさに攻防一体よね」
 その他にも、防具を解説し始めるアテナ。
「このアキレウスの鎧は受けたダメージを半減させる鎧で、フィンブルの首飾りは108m半径内に冷気を放つことができる首飾りで、ここから放たれる冷気に触れた者は寒さで動きが鈍ってしまうのよ。ミスラルで作られとても軽くて丈夫な黒い盾は、オーラの障壁も展開できる優れものなの。そして、どんな環境でも機敏に移動することができる、このブーツ・オヴ・エルヴンカインドで移動力を確保するわ」
 ありとあらゆるマジックアイテムの解説に、隊員たちは口をあんぐり開けてただただ感銘を受けていた。
「どう、わたしを相手にするのがいやになってくるでしょ?」
 アテナが模擬戦を提案してみるも、隊員たち誰一人として手が挙がらなかった。
「いやなぁ……あの解説を聞いた後じゃ、勝てる展望が見えてこないよなぁ……」
「装備の性能が桁違いすぎますよ」
「俺達のアンチマテリアル・アサルトライフルの射撃も通らなそうだしな?」
 戦う前から怖気づく隊員たちへ、アテナは誇らしげに告げた。
「苦労して手に入れたマジックアイテムだもの、そう簡単には負けないわ! それはつまり、一流の戦士は、武具を選ぶってことなのよ。覚えておきなさいね!」
「「はい!」」
 アテナの激励を受け、美國財団の開発部が奮励したという話は、また別の機会に。

成功 🔵​🔵​🔴​

鹿村・トーゴ
へぇ…地道で古風な組織か
なんか親近感覚えるなー
常識はずれの格上な組織があるって所もね
や、オレは確かに何度か戦いもしてるけど見てのとーり若造でね
経験も偏ってるしー
そちらさんの武器や逸話も聞きながらでいい?

後で共闘する部隊だし
気さくにしたてに出て相手の戦術や武器、戦歴を表情・声音から【情報収集】

んーオレの武器て割と平凡だぜ
手裏剣にクナイ(だけ見せる
忍者ってあるだろ、あれあれ
も一つ得手はこれだ(念動で物を浮かし
鍛錬鍛錬、そんで鍛錬
癖になる程反復する事
そ、地味だが役に立つ
それを基に戦うわけ
例えばアンタらとなら(部隊との対戦模索を端的に二、三言で
オレは単独が多くてね
戦地より生還が必定、だからな

アドリブ可



 鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)は他の猟兵たちとは違い、素直に美國財団地下施設内部を隊員数名によって案内されていた。
「へぇ……地道で古風な組織か。なんか親近感覚えるなー。常識はずれの格上な組織があるって所もね」
「あはは……あちらの組織は世界規模だからね。うちらみたいな規模の小さい組織も、あれくらい充実した施設があればよかったんだけど」
 ユルい感じの女性隊員が苦笑いを浮かべる。
 UDC組織の規模と施設機能の充実はたしかに目を見張るものだが、この美國財団もそこまで卑下するような施設内容ではない事を鹿村は感じ取っていた。
「それにしても、トーゴ君だったかな? 君は3年前から戦ってるんでしょ? 今までどれくらいのオブリビオンを倒してきたの?」
 この問い掛けに鹿村は腕を組んで考え込む。
「えーと、数はもう数え切れないくらいだなー。オレ、今までこなしてきた任務の数が130前後あるから、いちいち数を数えてたらキリがねぇよ」
「ひ、ひゃくさんじゅう……? たった3年で?」
「私達、配属5年だけど、この間の任務でようやく10回目だよね?」
「マジっすか……こんな若い子が?」
 隊員たちがざわつき始める様子に、鹿村は慌てて注釈を入れた。
「あー、や、オレは確かに何度か戦いもしてるけど、見てのとーり若造でね。経験も偏ってるしー。むしろ、そちらさんの武器や逸話も聞きながら互いに親睦深めてゆければな? 後で共闘する部隊だし」
 鹿村の気さくな態度に、隊員たちはホッと胸を撫で下ろす。
「よかったぁ。私達、歴戦の強者にドヤ顔でオンボロ施設を自慢してたかもって恥ずかしくなっちゃったよ」
「ありがとね、トーゴ君。ボクたちに気を遣ってくれて」
「それじゃ、オリエンテーリングを再開しようか!」
 隊員たちは、鹿村を地下施設のあちこちへ案内していった。
 武器庫やブリーフィングルーム、戦闘訓練を行う多目的スペースに肉体改造のためのジムなど。
「……で、私達は数の利を活かして1体のオブリビオンを倒してゆくんだ」
「へぇ、その辺りは猟兵と一緒だな?」
 鹿村は話を合わせて、隊員たちの普段の戦闘方法や陣形などの情報を引き出してゆく。
 ……彼らは味方なので、あとできちんと猟兵たちに陣形や戦術を教えてくれるはずだし、そんな勘ぐる必要はないわけだが。
 これも鹿村の長年染み付いた癖のせいである。
 なお、猟兵も数で強敵に立ち向かうわけだが、美國財団と違って個々の戦力が桁違いであるがゆえに包囲網を敷いたり、特段に連携を取る必要がなかったりする。
 しかし、その事実を今はまだ伏せておく鹿村であった。

「そういえば、トーゴ君の武器ってどんなのを使うの?」
 女性隊員が気さくに問い尋ねてくるので、鹿村は懐から出した苦無を見せ付けた。
「んーオレの武器て割と平凡だぜ? この苦無や……手裏剣とか?」
 実際はもっとあるが、やはり癖で奥の手を隠してしまう鹿村。
 別に悪気はないのだが、彼の慎重な性格が手の内を全部さらけ出すべきではないと判断を下した。
「忍者ってあるだろ、あれあれ。オレ、そういう里の出だから」
「おお! 忍びの里なんて本当にあるんだね!」
「リアルニンジャとかカッコイイじゃん!」
「やっぱり、印を手で結んで忍法とか出せるの?」
 UDCアース基準のニンジャ知識しかない隊員たちの質問攻めに、鹿村は少々驚きながらも丁寧に返してゆく。
「忍びの里ってーか暗殺者の里っつーか? 今思えば、割と物騒なとこだったかもな? ちなみに異世界の話だぜ? 侍の国の世界がオレの居た世界だ。んで、まぁ、印を組んでも出来なくはないが、メンドーだからユーベルコードじゃやったことねーや」
 鹿村の受け答えに隊員たちは真剣に耳を傾ける。
 美國財団にとって、猟兵という存在は初邂逅である。同時に異世界が存在する事も初耳だ。
 サムライエンパイア出身の鹿村は、彼らの知的欲求をこれでもかと刺激する存在であった。
「ああ、それと、も一つ得手はこれだ」
 鹿村は手にしていた苦無を念動力で浮遊させると、次の瞬間、高速で射出して壁へ突き刺してみせた。
 隊員たちは、苦無が刺さった壁をじっと見詰めて押し黙っている。
「何が起きたか分からねーのも無理ねぇか。オレ、念動力で苦無や手裏剣を飛ばせる……」
「忍法だ! リアル忍法だ!」
「もう1回! もう1回やって!」
「あ、飲み終わった空き缶をちょうど持ってるから、これを的にして!」
「え、ちょっと、分かった分かった!」
 鹿村はしばし隊員たちの要望に答えるべく、空き缶を的にした射的を披露した。
 当然、百発百中なわけで、隊員たちは鹿村に盛大な拍手を送った。
「本当に凄いよ! どうやってここまで精度を上げてきたの?」
 その問いに鹿村の表情が急に引き締まってゆく。
「……鍛錬鍛錬、そんで鍛錬。癖になる程、鍛錬を反復する事だ」
「つまり、日々の積み重ねが大事ってこと?」
「そ、地味だがこれが一番役に立つ。それを基に戦うわけ。例えば……」
 鹿村は隊員の中から、比較的体格の良い男性を指差す。
「アンタらとなら、オレが目の前から突っ込むと見せかけて、念動力で飛ばした苦無を背後の首筋にブスリ!とかな? 如何に飛ばした苦無へ意識を持っていかせないか、オレの立ち回りが日々の訓練に現れるっつーわけ」
「いやいや、それは初見殺しなんじゃ……?」
「ん、戦闘ってーのはほぼ初見殺しだろ? 裏をかいて出し抜かねーと、死ぬのはこっちだからな」
 鹿村の言葉のトーンに、思わず隊員たちは身が引き締まる。
「いいか? まずは生き残ることを考えろ。オレは単独戦闘が多くてね。となると戦地より生還が必定、だからな」
 その目は幾度と死線を掻い潜ってきた戦士の凄みを湛えていた。
 鹿村の気迫に、隊員たちは己の未熟さを痛感し、出撃寸前まで共に鍛錬に励んだのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『青の信者』

POW   :    「祈りを……」
自身が装備する【儀礼ナイフ】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
SPD   :    「祝福を……」
【まるで啓示が降りてきたかの様に】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    献身
【儀礼ナイフを突き刺した後、青の従者】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

 場所は変わって、長野県諏訪市のとある寺院周辺の山中。
 猟兵たちは美國財団精鋭部隊からの信頼を勝ち取り、彼らの任務へ同行が許された。
 目的地の寺院を拠点とし、周囲の捜索を開始する特殊部隊と猟兵たち。
 鬱蒼とした山中を分け入り、獣道を進んでゆく。

 しばらく進んだその時、登山者にしては奇異な色合いのローブを纏った男女のグループの姿を彼らは目撃する。
 目の醒めるような蒼色のローブは、間違いなく『青の教団』所属の青の信者たちだ。

 彼らは決断を迫られる。
 このまま尾行して、アジトの場所を特定するか。
 はたまた、人数が少ないうちに撃破するか。

 前者は教団戦力を一網打尽に出来るが、敵戦力の数も多い。
 また乱戦になると予想され、美國財団側に被害が出る恐れがある。
 もっとも、猟兵たちが全力を出せば信者たちなど容易く蹴散らすことが出来る。
 美國財団へ、世界の危機の進行具合を知らしめる良い機会を与えられるだろう。

 後者は猟兵だけでも瞬殺出来るのだが、美國財団側のメンツを優先してサポートに回るべきだ。こちらを選択した場合、猟兵達が蹴散らすと彼らの作戦への士気低下に繋がると予知された。彼らの協力は、この後の戦闘で重要な役割を果たすらしい。少人数を叩く場合は、是非とも美國財団の精鋭部隊に花を持たせてあげてほしい。

 どちらを選択しても、決して後悔の無いように立ち回ってほしい。
 猟兵たちは、果たしてどちらを選ぶのだろうか?
鹿村・トーゴ
敵か
少数でも特定の神様に入れあげてる連中ってのは怖いね
なんせその加護や影響は本物だからな
>部隊の背後からサポート
邪神の賜物と生来の念動者の腕比べと行くか?と内心好戦的になる羅刹

敵UC儀式ナイフに対し【情報収集/視力/聞き耳】と【武器受け/念動力】で部隊への被害軽減

UCでクナイの輪を指で回し【投擲】ブーメランの要領で回転掛けつつ敵ナイフに命中させ弾く
信者と部隊の直接戦闘は任せ置くが隊員生死の時のみ即動く
【忍び足】接近し信者の首をクナイで掻き切り【暗殺】
該当隊員を突き飛ばしてでも部隊へ戻す(アクシデント無ければ援護攻撃)
…続けよーぜ
狩りは中途半端が一番危ねーからな

捕縛他作戦は部隊に従う

アドリブ可



 鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)は美國財団の精鋭部隊の一班と共に、長野県諏訪市のとある寺院周辺の山中を分け入っていた。
「なんだかオレの故郷を思い出すなー。よく修行で山駆けをやったけか」
 鹿村が懐かしそうに険しい斜面を一歩一歩登ってゆく。
 だが、その行く手を精鋭部隊のひとりに制止された。
「……あれ、青の教団です」
 小声で囁き、仲間へハンドサインを送る。
(敵か)
 鹿村も教えられたとおり、ハンドサインを精鋭部隊へ送る。
(やれやれ、少数でも特定の神様に入れあげてる連中ってのは怖いね。なんせその加護や影響は本物だからな)
 しかも受けているのは邪神の加護だ、人外の異能を持っていても何らおかしくない。
 そのまま鹿村が切り込んでもいいが、予知では精鋭部隊のサポートに徹しろとあった事を鹿村は思い返す。
(オレは援護に回る。あんたらのお手並み、拝見させてもらうぜ)
 鹿村がハンドサインの後、力強く隊員たちへ頷く。
 隊員たちも鹿村の期待を汲み取り、信者たち4人へ素早く哨戒を始めた。
 アンチマテリアル・アサルトライフルを構えながら、隊員たちは草むらから飛び出す!
「両手を頭の後ろに回して地面に伏せろ! そうすれば命の保証は約束する!」
「青の教団の関係者ですね? ここで何をしているのですか?」
 5人の武装集団に突然銃を突き付けられた青の信者たち。
 その真っ青なローブの袖から儀式ナイフを取り出すと、彼らは自身の腕を突然斬り裂いてみせたのだ。
「祈りを……」
「我らの青き守護神のご加護を、此処に……」
 すると、手にしていた儀式ナイフが彼らの周囲で増殖し、意思を持ったかのごとく浮遊し始めたではないか。
 隊員たちは早速顕現した青の信者たちの異能に、今までのUDC討伐とは敵の格が違うことを思い知らされる特殊部隊の隊員たち。
 動揺が走る彼らに、後方で控えていた鹿村の激が飛ぶ。
「安心しろ、オレが援護してやる。あんたらは信者たちの無力化を頼むぜ?」
「……ああ、助かる!」
「トーゴ君と一緒の班でよかったぁ~」
「それじゃ、お願いね?」
「頼りにしてますよ?」
「俺達を守ってくれよな、トーゴ!」
 しっかりとした信頼県警を築けたからこそ成り立つ即席の連携!
 鹿村は出撃前の交流が無駄ではなかったと確信していた。
(念動力で刃物を操るとか、オレの専売特許を真似されてもなー? その邪神の賜物と生来の念動者、どっちが上か腕比べと行くか?)
 そんな好戦的な思惑を胸に秘めながら、鹿村は真紅の双眸をカッと見開く。
「3時と10時方向から飛んでくるぞ!」
 鹿村の動体視力が、信者たちの操る儀礼ナイフの軌道を完全に見きっている。
 隊員たちは銃口をナイフの軌道へ向けて3点バースト連射!
 飛来するナイフの一部を撃ち落としてゆく。
「さあてと、オレも本意気出させてもらおうか」
 鹿村は苦無の持ち手の輪っかを指に引っ掛けてプロペラめいて高速回転させている。
 これはユーベルコードの予備運動だ。
「羅刹旋風は予め武器を振り回す必要があるけど、こういう動作でも応用が効くんだよな。避けやすいっていうなら避けてみろよ?」
 鹿村は空いた片手で懐の中の手裏剣を頭上へばら撒くと、そのひとつひとつを念動力で操作して、飛来する儀礼ナイフへぶつける弾幕に変えた。
 よもや、自分たちと同じ攻撃手段を持ち合わせた猟兵がいるとは思っていなかった青の信者たちは、脆弱な美國財団の特殊部隊ね狙いを定めて刃物の雨を殺到させてゆく。
 だが、それを鹿村が見過ごすわけがない。
「させるかってーの。それは通らねぇよ」
 指で引っ掛けて振り回していた苦無を、チャクラムめいて勢いよく投擲!
 すると、鹿村の念動力も合わさって凄まじい勢いで空を斬り裂きながら儀礼ナイフの雨を粉砕してみせたのだ!
 唐突な一撃で攻撃を阻止された青の信者たちは、何が起きたのか理解するまでに一瞬だけ時間を要せざるを得ない。
 だが、その一瞬さえあれば、美國財団の精鋭部隊は信者たちを一気に制圧することが出来る!
 銃口からの3点バースト連射がひとり、またひとりと信者たちを無力化させてみせる。
 だが、全員を無力化させたにもかかわらず、儀礼ナイフあ空中で隊列を組んで隊員たちを狙ってくる。
「……やっべぇ!」
 それに気付いた鹿村は、近くに居た女性隊員を突き飛ばして、儀礼ナイフの軌道から無理矢理逸してみせた。
「おい、往生際が悪いぜ! 能力を止めろ!」
 射撃で熱くなった銃口を信者の額へ突き付ける男性隊員。
 だが信者は不敵な笑みを浮かべたまま沈黙を保つ。
 その頃、鹿村はそのすぐ近くに別の信者の気配を感じ取っていた。
(他の信者のやつに紛れて、あいつも刃物を操ってるのか。奇襲や隠密行動まで真似されたら、オレの立つ瀬がねーんだよなぁ……)
 鹿村は本職の隠密を見せるべく、山を素早く駆けてゆき、足音もなく信者の背後まで回り込んだ。
 信者は木の陰から精鋭部隊を狙うことに集中しており、背後への意識が全く感じられない。
(所詮はトーシロってことか。ダメだぜー? 戦の最中は背後にも目を配らねーとな?)
 全身のバネを使って跳躍した鹿村は、一瞬で信者の背中へ組み付くと、握っていた苦無でその喉笛を掻っ切ってみせた。
 鮮やか過ぎるその手腕は、敵に何が起きたのかさえ認知させずに事を終えさせるほど鋭利で残酷である。
「……終わったぞ。ネズミが一匹、そこに隠れてやがった」
 青い血をぶちまけて木の幹にもたれている信者の死体を指差す鹿村。
 隊員たちは鹿村のシノビスキルに感謝の念を言葉にしてみせた。
 だが、鹿村は頭を振って、更に山中の奥を指差した。
「……続けよーぜ。狩りは中途半端が一番危ねーからな」
 まだ敵のアジトは見つかっていない。
 恐らくもっと奥まった場所にあるだろう。
 無力化させた信者を捕縛し、他の班への引き渡しを終えた彼らはそう漠然に考えながら歩を進めていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

箒星・仄々
青の信者さん達…
きっと中には
マインドコントロールされているだけの一般人もおられて
その方々を正気へ戻して上げたいです
(狂気を祓う聖水が役立ちそうです)

けれどこの方たちは
予知にあったように
既にUDC怪物さんなのですよね
残念ですが
せめて骸の海へと還してさしあげましょう

そしてUDCアースを守り
未来へと進めていくのは
この地の今を生きる方々です
財団の皆さんが主役です
支援しましょう

私達が隙を作ります
その隙に撃破してください!

魔力の矢を青の従者を掠めるように牽制で放ちます
矢に対する無差別攻撃を誘発し
財団の皆さんが攻撃されない&攻撃しやすい状況とします

終幕に鎮魂の調べ
海で静かな眠りを

部隊の皆さん
お疲れ様でした♪



 箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は討伐対象である青の信者たちに、ある懸念を抱いていた。
「青の信者さん達……きっと中には、完全に染まりきっておらず、マインドコントロールされているだけの一般人もおられるのではないでしょうか?」
 箒星の疑問に、精鋭部隊の隊員たちは顔を見合わせた。
「我々も奴らの情報は完全に掴みきれていない。もしかしたら、まだ『戻れる』奴もいるかも知れませんが……」
「誰がそうなのか、仄々君は分かったりする?」
 尋ねられた箒星は、思わず視線を地面に落としてしまう。
「……いいえ、残念ながら私にも分かりません……ですが、もしも実在するのなら、その方々を正気へ戻して上げたいです」
 真剣な眼差しで隊員を見詰める箒星。
 髪を明るく染めている青年は、判断に困って班長の男性に助けを求めた。
「……参ったな、どうするよ、班長?」
「確かに、奴らは討伐対象だ。だが、どのみち尋問をする必要があるし、生け捕りにして研究すれば、狂気の治療も可能かもしれないな」
「と、いうことは……」
 箒星がパッと顔を明るくさせると、班長は静かに頷いた。
「各員、目標の処置を討伐から捕縛へ変更する。アジトの場所や教団内部の実情を吐かせるぞ」
「ったく、班長も仄々君も甘いんだから……」
「ま、正直言えば、人型のUDCを撃つのは気分が悪いなぁって感じてたから、僕は無力化と捕縛に賛成します」
「一応、ヤバくなったらオレは撃つからな? それでいいか、ボノっち?」
「ええ、構いません。一番尊重すべきは皆さんの命ですから」
 箒星は支給された聖水の小瓶を幾つか服のポケットに忍ばせ、隊員たちと共に険しい道程を歩いていった。

 程なくして、箒星たちはばったりと青の信者たちの集団と出くわしてしまった。
 三叉路の道の合流点、左右の道からお互いがちょうどぶつかり合う遭遇戦だ。
「先手必勝です! 正気に戻って下さい!」
 箒星が聖水の小瓶の中身を、手近な信者数名の顔へ浴びせ掛けた。
 すると、青い血を口から喀血して卒倒してしまったではないか!
 急いで箒星が卒倒した信者たちを避難させようつするも、体格差で上手く運搬できない。
 その背後で、他の青の信者たちが次々と自決して、胸元から青い血液を流して倒れてゆく。
「こいつら、いきなり自決しやがったぞ!」
「まじかよ、死んだのか?」
「てか、聖水を浴びた信者は……息があるな、おい、こいつら全員担いで捕縛するぞ」
 隊員たちが総出で3人の信者たちを運び出してゆく。
 だが、箒星は自決した信者たちから片時も目を放そうとはしない。
 何故ならば……。
「これは、予知と同じです! 皆さん、まだ終わってません! 出てきますよ!」
 箒星の警告に、隊員たちは理解できずに訝しがる。
「一体何が出てくるってんだよ?」
「ねぇ、あれ、死体の中から何か出てきてない?」
「おいおいおい……ボノっちの言うことは本当らしいぜ!」
「各員、捕虜を速やかに捕縛して戦闘準備!」
「「了解ッ!」」
 気絶している青の信者たちを木の幹に括り付けると、隊員たちはアンチマテリアル・アサルトライフルを構えて死体群に銃口を向ける。
 箒星のおかげで不意打ちを免れたが、本番はココからである。
「ああ、出てきてしまいます……あれらは予知にあったように、既にUDC怪物さんなのですよね。残念ですが、せめて骸の海へと還してさしあげましょう」
 聖水が届かなかったがゆえに、信者たちの大半を邪神の使徒へと変えてしまった自責の念に苦しむ箒星。
 だが、今はUDC怪物を討つべく、懐中時計を竪琴へと変形させて闘志を燃やすしかない。
「UDCアースを守り、未来へと進めていくのはこの地の今を生きる方々です。つまり財団の皆さんが主役です。私が隙を作ります、支援しましょう! その隙に撃破してください!」
 箒星の激励に、隊員たちも気を引き締める。
「こんな数のUDC怪物を相手にするのは初めてだが……ああ、箒星君、君の言うとおりだ」
 班長がハンドサインを隊員に送ると、手前の死体から飛び出してきた青の使徒へ一斉に集中砲火を開始!
「俺達の世界で好き勝手してもらっては迷惑なんだ。消えてもらおうか!」
「さあ、私もちょっと派手にいきますよ~」
 銃声をリズム隊代わりに竪琴の弦を高速アルペジオで爪弾いてゆくと、炎・水・風属性の魔力の矢が各属性ごとに570本ずつ生成されてゆく。
 青の使徒は素早く動く物体に反応する。
 故に飛び交う銃弾を辿って、精鋭部隊へと接近してくる!
「させませんよ~!」
 箒星は銃弾よりも素早く魔法の弾幕を青の使徒たちへと放つ。
 敢えて致命傷を避け、四肢へのダメージや急所を掠めるような攻撃で、魔法の矢を追跡させるように仕向けてゆく。
 案の定、死体から這い出てきた青の使徒たちは本能に任せて魔法の矢を追いかけ回し、次第に腕と脚へのダメージを蓄積させて動きを鈍らせていった。
「今です、皆さん! ゆっくりUDC怪物さんに接近して、急所へ必殺の一撃をお願いします!」
「よっしゃ! この聖別済みのサバイバルナイフの出番だな!」
 チャラい青年隊員がそーっと青の使徒たちへ忍び寄ると、ひとおもいに首筋から喉笛にかけて鋭利なナイフで斬り裂いた!
「AAAAHHH!」
 かすれた断末魔を叫びながら、切り裂かれた首筋から真っ青な血液を吹き出して絶命する使徒。
「やべぇ! ボノっちのおかげで、オレひとりで勝てたぜ!」
「攻略法は見えたな。各員、箒星君が撹乱している間に、使徒を殲滅するぞ」
「「了解ッ!」」
 美國財団の精鋭部隊の隊員たちは、無防備になった青の使徒たちの急所へサバイバルナイフを次々と突き立てて討ち果たしていった。
 最後の一体が死に絶えたちょうどその頃、木の幹に身体をくくられた捕虜が目を覚ました。
「う、うぅん……ここは?」
「なんで縛られてるんだ……?」
「記憶が曖昧で……何があったの?」
 どうやら、邪神の狂気と加護から解き放たれ、人間に戻れたようだ!
「よかったです! 私の見立ては間違ってなかったのですね!」
 喜ぶ箒星は、3名の捕虜へ気力を取り戻す音楽魔法を奏で始めた。
 それは殺してしまった信者たちへの鎮魂の調べでもある。
「どうか、骸の海で静かな眠りを……そして、部隊の皆さん、お疲れ様でした♪」
 箒星のサポートによって、隊員たちは誰一人欠けることなく、しかも敵のアジトの情報を捕虜から聞き出すことに成功したのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

テラ・ウィンディア
今回は財団の人達の支援をしないといけないのか…やってやるぞ!
「テラ…苦手なのに挑戦するその心意気…良しですよ(ほろり)こういう場合にこそ我が魔術を利用するのですよ」
応!色々勉強したぞ!
【属性攻撃】
炎属性を財団の人達の武器に付与

UC発動
【戦闘知識・集団戦術】
同行する財団の能力と技術を細かく把握するぞ
その上で効率的に敵を撃破できる連携戦術を提案だ
敵の能力についても情報をしっかり共有
【結界術】
財団の人達の体に張って防御力超強化だ
…あまりあてにはしちゃだめだぞ?
【見切り・武器受け・オーラ防御】
財団の人達の動きと戦況を見据え必要時は庇うぞっ
エルフがか弱いと思ったか?
その通りだ
それでも少しは鍛えてるぞっ!



 他の猟兵の働きにより、アジトのある区画がだいぶ絞られてきた。
 だがしかし、どうやら他の猟兵たちはアジトへの突入ではなく、これまでの猟兵たちと同様に山中を警備巡回している少人数の信者たちを撃破する指針を選んだようだ。
「今回は財団の人達の支援をしないといけないのか……」
 テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)は平たく言うと猪突猛進型の戦士だ。
 敵のアジトが分かったのなら、精鋭部隊の隊員たちへ自分たちの力量を知らしめ、この地球が如何に危機に瀕しているのかを自覚させても良かった。
 だが、テラの第六感がそれを拒んだ。
「なんだか嫌な予感がしたんだ……この人達の手助けをしないと行けない気がするぞ……よし、やってやるぞ!」
 意気込むテラに、黒い仔猫ヘカテが称賛の言葉を述べる。
「テラ……他人へのサポートが苦手なのに挑戦するその心意気……とても良しですよ。成長しましたね……!」
 まるで親のように見守るヘカテ。猫の目にも涙である。
「こういう場合にこそ、我が魔術(ユーベルコード)を利用するのですよ」
「応! 色々勉強したんだぞ! こういう時のことを『りんきさーせん』っていうんだよな!」
「それを言うなら『臨機応変(りんきおーへん)』ですよ、テラ……」
 やっぱり13歳、年相応の知識量だ。
 まだまだ勉強が足りないなと、ヘカテは頭をがっくしと垂れた。

「よし! これでこの銃は火属性の弾丸が撃てるようになったぞ!」
 テラの持つ炎の魔力が、隊員たちが携帯するアンチマテリアル・アサルトライフルを強化した。
 炎属性を付与することで、弾丸は広範囲に炸裂して回避を困難にさせるためだ。
 そして、交戦時の連携について今一度おさらいをした。
「いいか? おれがみんなをユーベルコードで守ってやる! だから焦らず、信者ひとりひとりを個別撃破するんだぞ! そのために火力を集中させて、回避させないように弾幕を張ってくれ!」
 隊員たちが無言で首肯する。
 と、その時、ちょうど班の後方から青の信者たちのグループが山道から姿を表した。
 予期せぬ遭遇戦に、お互いが動揺して隊列が乱れる。
「慌てるな! さっき確認したとおりにゆくぞ!」
 だがテラの注意喚起に、いち早く態勢を立て直した精鋭部隊の隊員たちは、手前の信者へ一斉に炎の魔弾を浴びせてみせた。
「……!?」
 不意を打たれた信者は、ユーベルコードで邪神の天啓を得たかのような身のこなしをみせる。
 しかし、纏まった銃撃に信者の肉体がついてゆけず、遂に腹部に数発弾丸が貫通していった。
 零れ出る真っ青な血の色に、目の前の信者たちがもう既に人間ではない事を隊員たちとテラは思い知らされる。
 損害が出た信者側が、儀礼ナイフを手に人間離れした動きで隊員たちへ駆け寄ってくる!
 それを抑え込むべく、テラはすかさずユーベルコードを発現させた。
「ヘカテイア、ウィザードモード起動……魔術回路、接続! ヘカテイア、おれの魔力を持っていけー!」
「テラ! 結界術を強化しました!」
 黒猫ヘカテの言葉に、テラは戦場の味方の身体を覆う正常なバリアを付与してみせた。
「これでナイフが身体に刺さらないはずだ! でも、あまりあてにはしちゃだめだぞ?」
 接近した青の信者たちの刃は隊員たちの防護服の上で留まり、それ以上、肉体へ食い込むことはない。
 ただ、鋼の切っ先で突き立てられる痛みは感じるらしく、刺された部分を隊員たちがおっかなびっくりに手で擦って怪我がないか確認する場面も。
 テラはこれ以上の信者の接近を食い止めるべく、紅龍槍『廣利王』を巨大化させて振り回す! 槍の柄の長さがテラの身長の3倍ほどまで伸長すると、穂先に炎を滾らせて大旋回して信者たちを寄せ付けないよう行く手を阻む。
「どうだ! これでも、エルフが『か弱い』と思うか?」
 信者たちは無言で互いの顔を見合って首を傾げる。
 何も返答がない彼らに痺れを切らしたテラは、巨大な槍の穂先を信者たちの足元へ突き刺す。
 すると、炎が地面から炸裂して信者数名を吹き飛ばした!
「正解は、その通りだ。おれは『か弱い』んだ! だから武器をデカくしないと太刀打ちできない!」
 その理論は果たして正しいのか?
 もっとも、今は実力を抑えているので、本気を出していない今をか弱いと表現するのは、あながち間違ってないのかもしれない。
「それでも、おれは少しは鍛えてるぞっ! 隊員のみんなにはこれ以上近付かせないからな!」
 振り回す炎の槍が接近を許さずに足止めをしていると、隊員たちが信者たちを銃撃で各個撃破してみせる。
 その完璧な連携に、信者たちの天啓はもはや何の役にも立たない。
 最後のひとりを射殺し終えると、テラたちは他の猟兵たちが入手したアジトのある区画へ急行するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

山神・ククリ
さて皆様、例え敵が少数でも油断なきようにいたしましょう。まずは皆様に私が信仰しているくくり姫様の加護を与えます。くくり姫様は縁を大切になさるお方です。皆様と私の縁を力に変えます。さあ、祈りましょう。援護はお任せください。この天羽々矢で敵のナイフを撃ち落とし、敵に軽症を与えます。傷をおえば敵の集中力が乱れますのでその隙間にどうか皆様のお力を存分にお使いください。



 山神・ククリ(人間の戦巫女・f32374)は美國財団の精鋭部隊の隊員たちと共に険しい山中を歩く。
「さて皆様、例え敵が少数でも油断なきようにいたしましょう」
 山神は隊員たちを守るべく、早速ユーベルコードで彼女が信奉するくくり姫の加護を分け与える事にした。
「くくり姫、縁くくりたもう」
 そう告げた上で、山神はくくり姫について熱弁を振るい始めた。
「くくり姫様は縁を大切になさるお方です。皆様と私の縁を力に変えます。さあ、祈りましょう」
 邪な宗教に対して、こちらも宗教で対抗しようという山神の考えに、隊員たちは半信半疑の様子。
「うーん、神頼みっていうのも悪くないんだろうけど……」
「もっとさ、これぞ神通力~って感じのユーベルコードとかないの?」
「ククリちゃんを信用してない訳じゃないけども、これならあたしたちだけでも変わらなくない?」
 いまいち効果を感じにくいユーベルコードのせいか、隊員たちは山神への不信感を募らせ始めた。
「待ってください、くくり姫様の加護は確かなものです。信じれば勝利が約束されます」
 山神の必死な訴えも虚しく、隊員たちはユーベルコードの効果を十分に受け取れない。
 そんなタイミングで、彼らは青の信者たちと遭遇してしまった。
「まずい! 各員、戦闘準備!」
 アンチマテリアル・アサルトライフルを構える隊員たちだが、それよりも早く信者たちの操る儀礼ナイフの複製品の多数が隊員たちへ降り注ぐ。
 防護服のお陰で軽傷で済んだものの、やはりユーベルコードの効果は薄い。
 これは山神の実力不足が隊員たちの不信感を募らせた結果である。
「やむを得ません。援護はお任せください」
 神代の矢と同名義の弓矢で、飛び交う儀礼ナイフの複製品群を打ち落とし、信者たちの四肢へ矢を掠めさせる。
 傷を付ければ敵は怯む、そう考えた山神の思惑は外れ、隊員たちへナイフの斬撃を繰り出してきた信者たち。
 掠めるだけでは不充分だったのだ。
 隊員たちと連携して、敵を殺すつもりでなければ、いくら信仰心が篤くても敵は倒せない。山神の覚束ない実力ならば、尚更である。
「仕方ありません、撤退しましょう」
 山神が殿となって敵の攻撃を薙刀で打ち払っている間、負傷者が出た美國財団の精鋭部隊は安全圏まで退いてゆくのだった……。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

アテナ・アイリス
戦闘訓練もかねて、目の前にいる敵をやっつけちゃいましょうか。
あ、でも手を抜かないといけないのね。了解したわ。

後方に待機し、「フレースヴェルグ・ブラスター」を使って誘導弾で信者たちを援護する。
同時に、戦場を見回し、信者たちに状況を伝える方を重点に置く。

「あ、あっちから新手よ!」

戦況状況を見ながら、UC『ユグドラシルの葉露』を使って、信者たちの体力を回復する。
私がいれば負けるはずがないから、遠慮なく戦いなさい。

戦局が見えてきたら、敵の一人を気絶打撃で捕まえておいて、情報を聞き出そうかな。
さあ、知っていることを全部教えなさいよ。

アドリブ、共闘、大好きです。


カシム・ディーン
本来なら無双もいいが
使えるものは使うのもカシムさん流です
「今回は財団の人達にも協力してもらわないとね☆」

【情報収集・視力・戦闘知識】
財団側の戦力と能力を正確に把握
青の信者達の動きと癖を把握

此奴らはお前らより強いです
だが…強いのと勝てないのは別問題です

【属性攻撃】
財団側の武装に炎属性を付与
攻撃力強化
【念動力・集団戦術】
財団側に念動障壁展開
之は保険です
相手の攻撃は一撃でお前らを即死させると思え

相手が強いなら不意打ちで即座に始末
出来ない時は即離脱です

一人に複数で掛からせる

【盗み攻撃・盗み】
敵の儀礼ナイフの強奪を狙う

敵を観察しどう行動し攻撃するかを見れば突破口は見えます

必要時は財団を庇う
死なせない



 アテナ・アイリス(才色兼備な勇者見届け人・f16989)とカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は、敗走した哨戒班のリカバリーに向かうために合流を果たす。
 2つの班が合わさり、小隊規模となった精鋭部隊は、アジトがあると思しき区画を虱潰しに捜索を開始した。
 すると20分後、木々に囲まれた森の中に、1軒の小屋を発見する。
「見て。青の信者たちが出入りしているわ」
 アテナが小屋から絶えず青の信者が出たり入ったりしている場面を目撃した。
「あそこがアジトで間違いないようですね?」
 カシムも小さく頷いた。
 しかし、ここで戦闘すれば大勢の青の信者たちを相手にせざるを得ない。
 猟兵たちだけならともかく、美國財団の隊員たちは信者ひとりだけでも苦戦するだろう。
 故に、アジトから少し離れた場所まで引き返し、アジトから交代で出てきた信者のグループへ奇襲を仕掛ける。
「それじゃ、戦闘訓練もかねて、目の前にいる敵をやっつけちゃいましょうか」
 何も知らずに獣道を歩く青の信者たちを、藪の中から観察するアテナが隊員たちへハンドサイン。
 そこへカシムが小声でアテナへ囁く。
「本来なら無双もいいが、今回はサポート優先です。力はセーブするのです」
「あ、でも手を抜かないといけないのね。了解したわ」
 アテナは隊員たちが位置についたのを確認すると、再びハンドサイン。
「美國財団、言っておきますが此奴らはお前らより強いです。だが……強いのと勝てないのは別問題です」
 カシムの班もハンドサインで準備完了を伝達。
「ところで、メルシーさんは?」
 アテナの指摘通り、先程からカシムの相棒メルシーの姿が見えない。
 カシムは顎で隊員たちの方向を指し示す。
「あいつなら隊員たちにバフを掛けまくり回ってますよ」
 よく見れば、光学迷彩魔法を纏ったメルシーが、隊員たちに炎の魔力と念動障壁を付与して回っていた。
「メルシーは黒子だよ☆」
「ありがとう、メルシー君!」
 班長の感謝の言葉に、メルシーは姿を表さないまま答えた。
「あ、ご主人サマからの伝言☆ 『その魔法の障壁は保険です。相手の攻撃は一撃でお前らを即死させると思え。故に、仕留めるなら不意打ちの一撃だ……外せば自分が死ぬと肝に銘じろ』だって☆」
「了解した。聞いたか各員? 一撃必殺だ、いいな?」
「「ラジャー!」」
 インカムマイクで班長が隊員たちへ指示を飛ばす。
 そしてついに……。
「みんな、今よ!」
 アテナがフレースヴェルグ・ブラスターからプラズマ弾を発射! 青の信者のひとりを一瞬で黒焦げにすると、隊員たちも藪から飛び出して銃口からマズルフラッシュを瞬かせる!
「ムーヴ! ムーヴ! ムーヴ!」
 BATATATATATATATATATA!
 班長の怒号と銃声が山中に轟けば、一瞬で青の信者たちのグループは全滅してしまった。
「やったわ! まずは幸先の良い出だしね! あ、あっちから新手よ!」
 アテナは常に戦場の周囲を警戒し続け、第2波戦力の接近をいち早く勘付いた。
「使えるものは使うのもカシムさん流です。ここからはゲリラ戦術に切り替えますよ、お前ら」
「今回は財団の人達にも協力してもらわないとね☆」
 数名の隊員たちが山中へ紛れ、囮となる隊員たちと猟兵が獣道へ残る。
 のこのこと銃声を聞き付けてきた青の信者たちは、当然、真正面にいる戦力へ向けて意識を向ける。
「我が身を捧げる……」
「使徒様、どうかご加護を……」
 信者たちが次々と儀礼ナイフで自決を図ろうとする。
 だが、カシムはその瞬間を狙っていた。
「メルシー! 盗賊の神の名は飾りじゃないんだろ!? 行くぞ!」
「ヒャッハー☆ そのナイフは全部フリマアプリで転売だー☆」
 カシムは敵が自決をする際、祈りを捧げる僅かな時間を狙ったのだ。
 手元の賢者の銀貨で敵のナイフを弾き飛ばし、それをメルシーが強奪してゆく!
 いつの間にか、メルシーの衣装は純白ワンピースから派手な色合いのレオタード姿に変わっている!
「見詰める美少女怪盗メルシー、キャッチ☆愛だぞ♪」
 セクシーポーズ、カワイイヤッター!
「だからおめーのセンスは古くせーんだよ! つか美國財団のお前ら、各個撃破です! ぶっ放せ!」
 カシムの指示を受け、藪に隠れていた隊員たちが一斉射撃!
 手近な信者から弾幕を浴びせて射殺してゆけば、ひとり、またひとりと敵の数が減っていった。
「う~ん、やっぱりアジトが近いせいか、どんどんやってくるわね。でも戦力の逐次投入は悪手って知らないのかしら?」
 小隊の後方からプラズマ弾を乱射して、敵のナイフを弾いてゆくアテナ。その優れた精密射撃は日頃の鍛錬の証である。
 だがしかし、しばらくすると事前に自決を済ませて召喚した青の使徒の大群が押し寄せてきたではないか。
「こいつはヤバいですね……。みんな、動かないでください! こいつは素早く動く物体を襲う習性があります!」
 カシムが注意喚起を促すと、隊員たちは狂気に抗いながら必死に身を潜める。
 それでも、理性を失った青の使徒は一番近くにいた隊員数名を触手の一振りでふっ飛ばした!
「メルシー!」
「わかってるよ!」
 吹っ飛んだ隊員たちを追尾する使徒たちの前に、最大出力の念動障壁を展開するメルシーがインターセプト! 触手の一撃を弾き返した!
 この間にアテナは吹っ飛ばされた隊員たちへ駆け寄り、ユーベルコード『ユグドラシルの葉露』で治療を施す。
「まだよ、あきらめないで! 私がいれば負けるはずがないから、遠慮なく戦いなさい!」
 青白き癒しの光が隊員たちの体を照らすと、粉々に折れたはずの肋骨や腕骨が一瞬で元通りに治った!
「ありがとうございます、助かりました……!」
「さあ、メルシーさんが抑えている間に、あの化け物の眉間に炎の弾丸を打ち込むわよ!」
「はい!」
 回復した隊員たちは、アンチマテリアル・アサルトライフルの三点バーストから、炎の弾幕を張り続ける。
 四方八方から浴びせかけられた魔弾を受けた青の使徒は、オーバーキルダメージを被って膝から崩れ落ちていった。
「敵を観察しどう行動し攻撃するかを見れば突破口は見えます! この調子で撃って撃って撃ちまくるのです!」
 カシムも銀貨を自在に操って信者たちからナイフを奪ってゆく。
 大激戦は暫く続くも、美國財団の士気の高さが青の信者たちを圧倒するのに、そう時間はかからなかった。

 アテナはあえて信者のひとりを捕縛し、ユーベルコードで治療を施す。
 乱戦の中、アテナは当て身で信者を気絶して捕縛していたのだ。
「あ、気が付いたわね? 今からあなたにインタヴューするわ。さあ、知っていることを全部教えなさいよ」
「じ、尋問か? 俺は何も話さないぞ?」
 アテナから顔を背ける男性信者。
 その様子に、アテナはカシムたちへ振り返る。
「……こう言ってるけど、どうする?」
 カシムは悩みに悩んだ結果……。
「メルシー……拷問の時間だ。生 や せ」
「い い の ?」
 メルシーがヨダレずぴッと舌なめずり!
 こころなしか、レオタードの下腹部がこんもり盛り上がってきているような……?
「メルシーは雌雄同体の神様でな? 肉体の性別を自由に変えられるんですよ」
「つまり、それって……え? ここで……?」
 顔を赤らめるアテナに、カシムは頷く。その表情は虚無だった。
「まぁ、拷問ですから、少し手荒な真似をさせていただきますよ。なので、ちょっと僕らは後ろを向いてましょうか。アテナは耳を塞ぐことをオススメしますよ」
「うわぁ……信者さん、敵だけど可哀想……」
 アテナは目と耳を塞ぎ、メルシーの『拷問』が終わるまで身を屈め続ける。
 一方、メルシーは目を爛々と輝かせながら、拘束されたままの男性信者へにじり寄ってゆく。それは獲物を狩り殺す蛇のごとし威圧感を放っていた。
「それじゃあ~☆ ……おう、ケツ出してチカラ抜けよ(迫真)」

 途端、掘削重機の駆動時のような振動が地面から伝わってくる……!

 ――タスケテ、オカアァチャアアアアァァッーーーーーン!!!!!!

 野獣の断末魔めいた男性信者の雄叫びが、諏訪の山中に轟いたのだった。
 ナムアミダブツ!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『蒼の王』

POW   :    冥宮楽土
戦場全体に、【自身の複製体を無尽蔵に生み出す水晶】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
SPD   :    蒼籃氷晶
非戦闘行為に没頭している間、自身の【負傷を癒そうと活性化する寄生体】が【敵を分断する水晶の迷宮を構築。傷が治る迄】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
WIZ   :    晶瑩玲瓏
攻撃が命中した対象に【結晶化状態】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【近づく程効果を増す結晶化の呪詛】による追加攻撃を与え続ける。
👑11
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 捕虜になった青の信者たちからの情報を統合すると、なんとアジトに青の教団の首魁である『蒼の王』がいるらしい。
『蒼の王』は幾度も肉体を挿げ替えながら生き延びる特級UDC怪物……すなわち邪神である。
 その精神汚染の強度は最悪ランク。故に、本来ならば美國財団の隊員たちを派遣するのは避けるべきだ。今まで信者ひとりを全員の死力を尽くして、やっと倒してきた彼らが、邪神の狂気を前に正常な精神を保ってられるはずがないからだ。

 しかし、信者たちの話によれば、猟兵の攻撃さえも今の『蒼の王』は弾き返すほどの実力を兼ね備えていると推測できるのだ。
 この諏訪の山の膨大な霊力を己のものに変えつつある『蒼の王』は、今や最強に一番近い邪神だと言える。
 もはや勝ち目がないのか……そう思われた矢先、数名の隊員の体に異変が起きた。

 ある者は額に、ある者は手の甲に、またある者は首筋に、それぞれ奇怪な紋様のような痣が浮かび上がってきたのだ。
 それを見た青の信者たちが恐れ慄く。
 彼らいわく、それは『掃討者の紋章』と呼ばれる痣で、その痣を持つ者は『蒼の王』の狂気に蝕まれずに済むという。更に、痣を持つ彼らが『蒼の王』に触れると、しばしの間だけ『蒼の王』の戦闘力を大幅に弱体化させてしまう、忌まわしきものなのだとか。
 信者の言葉が正しければ、美國財団の隊員の数名がこの痣を発現したことにより、猟兵の攻撃も通るかもしれない!
 ただし、痣を持つ隊員が『蒼の王』に直接触れる必要があるため、どうにか隊員を守り抜きながら機会を伺うしかないだろう。

 反撃の糸口を掴んだ猟兵たちは、痣を持つ隊員たちを連れてアジトへ乗り込む。
 無敵の邪神を切り崩すために、今度は猟兵たちが死力を尽くせ!
箒星・仄々
数人でもお助けできたのは嬉しいです
財団の皆さんのお力添えのお陰ですね
感謝です

そして今また
力をお貸しいただかなければならないようです
人々を守るため共に戦いましょう

狂気には耐えられるのですね
物理を防ぐのならば
やはりこうでしょうか
隊員の皆さんをぺろぺろ

召喚したランさん(つる済
で青い触腕?を物理的に抑えこんだり
隊員さんを身を挺して庇い
触れる機会を作ります

掃討者の紋章が力を発揮したら
ランさんを盾に隊員さんに後方へ下がっていただいたら
王さんをペロして転倒させたり
寄生体がつるっとして寄生していられなくします

終幕
鎮魂の調べ
犠牲者である肉体の持ち主の方
そして王さんの静かな眠りを願います

隊員さん>
お疲れ様でした!



 青の教団アジトへ突入する直前、箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は正気に戻った青の信者達を救出できたことに、胸を撫で下ろしていた。
「数人でもお助けできたのは嬉しいです。財団の皆さんのお力添えのお陰ですね、感謝です」
 箒星が三國財団の精鋭部隊の隊員達へ頭を下げた。
「そして今また、力をお貸しいただかなければならないようです。『掃討者の紋章』を持つ貴方は、狂気には耐えられるのですね。人々を守るため共に戦いましょう」
「は、はい! 私の力でよければ!」
 左の手の甲に紋章の痣が浮かび上がった隊員が、緊張の面持ちで箒星と握手を交わした。
 と、ここで箒星が何やら思案顔。
「物理攻撃を防ぐには、やはりこれでしょうか?」
 箒星が舌を出すと、隊員へ唐突に全身を舐め回し始めたのだった。

 いよいよ突入の時間だ。
 アジトは一見すると、ただの山小屋にしか見えない。
 だがこの中には、青の教団の首魁である『蒼の王』が待ち受けている。
「では、いきますよー!」
「私は何時でもいけます!」
 痣を持つ隊員が気合を入れる。
 山小屋の扉へ手をかけ、意を決して2人は突入していく。
 すると、山小屋の中に水晶の迷宮が存在していた。
 どこまでも青く輝く壁は、蒼の王に寄生している邪神の寄生体で出来ている。
 どうやら壁そのものが攻撃を仕掛けてくることはないらしい。
「かなり入り組んでますね、迷わないようにしてくださいね、って、おや?」
 箒星が振り返ると、そこにはいるはずの隊員が忽然と姿を消していた。
「おかしいですね、隊員さん、どちらにいますか?」
 箒星が呼びかけても応答はない。
 そこへ、壁から蒼の王の声が響いてきた。
『我が教団のアジトに乗り込んできた愚者よ。今なら引き返すことを許そう。私は寛大だ。山小屋から出る際に寄生体に記憶をいじらせてもらうが、命の保証を約束しよう』
「隊員さんはどこにいるのですか!?」
『慌てるな、二本足の猫。私は今、この地で療養をしているだけだ。他の邪教団との戦闘で消耗した体力を、この山の霊力で回復させているだけのこと……こちらから戦うのは不本意なのだ』
 蒼の王の言葉に、箒星は訝しがる。
「それが本当ならば話し合いで解決できそうですが、蒼の王さん。ですが貴方は邪神で、居座るだけで周囲の力場を歪めてしまいます。この清浄な山の力が汚染されるのを、みすみす看過できません。それに隊員さんと離れ離れにしたことも許せません」
『あの紋章の痣を持つ者を、私の傍へ近付けさせると思ったか? この『蒼籃氷晶』のユーベルコードは、負傷を癒そうと活性化する寄生体が敵を分断する水晶の迷宮を構築し、傷が治る迄、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。つまり、私からは危害を加えるつもりはない。だが帰らないと言うなら、我が傷が癒える迄の間、迷宮を彷徨ってもらうぞ』
 壁から聞こえる声が止む。
「これは……対策を間違えたようですね……」
 箒星は、予知で見た青い触手の寄生体の攻撃を危惧していた。
 だが、もっと蒼の王のユーベルコードの効果に着目して対策を練るべきであった。
「壁から触手が伸びたりしてきません。どうやら本当に攻撃をするつもりはないようですね……ですが、弱りました。出口はどこでしょうか? 隊員さんは無事でしょうか?」
 今の箒星は、舐め回した全身の摩擦抵抗力が限りなくゼロに近い状態だ。
 それが彼のユーベルコード『猫の毛づくろい』の効果である。
 だからといって、この迷宮内では全く活躍の場を見いだせないのが残念極まりない。
「やれるとしたら、迷宮内を滑って高速移動することでしょうか……」
 箒星は以後、腹ばいとなって迷宮内を滑走し続けるも、隊員に合流出来ず、出口も見つけることも出来ない。
「……ふと思ったのですが、もし隊員さんと合流して迷宮から脱出できても、蒼の王さんが外部からの攻撃を遮断していたら無敵ってことですよね? ランさんを呼び出して突撃……させても駄目そうですね……魔法も効かなそうです」
 箒星は現在、その無敵を解除する手立てを持ち合わせていない……。
 その後も箒星は迷宮内を彷徨い続けるも、他の猟兵達が蒼の王を討伐するまで囚われの身になり続けていた……。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

鹿村・トーゴ
捕縛信者からローブ剥ぎ痣隊員一人とアジトへ潜入、奇襲する
隊員に勇気を振り絞って貰う為【催眠術】めいた檄を飛ばし命綱に猫目雲霧を腕に結ぶ
正念場だぜ
信者に紛れ接近
以降常時【激痛耐性】
猫目を引き合図し即UC強化
代償毒を耐性で凌ぎとにかく一撃
治癒を意識する負傷をさせ敵UC誘発狙う
敵UC発動で痣隊員に敵へ触れて貰い弱体化狙う

計画通りいけば隊員を猫目で引き寄せ【かばう】
>邪神
攻撃可の間に接近
黒曜石で鉤爪化した右手で渾身の一撃、返しで2撃目を奮い【野生の勘/暗殺】即離脱

>信者
手裏剣、瓦礫等【念動力/投擲】で牽制、信者を殺害しても隊員を生還させる

計画失敗と察知時は撤退
オレが死ねば済む話じゃねーからな

アドリブ可



 鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)は捕縛していた青の信者が纏っていた群青のローブを脱がせると、痣が浮かび上がった若い男性隊員へそれを寄越した。
「これを着て、オレと一緒にアジトへ潜り込もーぜ?」
 鹿村も群青のローブを羽織ってフードを被る。
「大丈夫だ、あんたなら邪神の狂気にも打ち勝てるし、ヤツにほんのちょっと触ればいいだけだからさ」
 隊員の背中を軽く数回叩く鹿村。
 催眠術というよりも気合を入れさせるための動作だが、隊員は緊張の面持ちがなかなか崩れない。
 これに、青の信者の女性が彼らに進言してきた。
「……あたしも同行するわ。あなた達のおかげで、あたしは正気を取り戻せたもの」
 儀礼用ナイフで指先を突き刺すと溢れてくる彼女の血液の色は、常人の赤ではなく、目が覚めるような青色であった。
「この体はもう人間じゃない。だからこそ、王に怪しまれずに接近できるわ」
「その話は嬉しいけども、あんた、王様に逆らったりしたら命が危なくねーのか?」
 鹿村の心配に、女性信者は自虐的な笑みを浮かべた。
「もともと、行く宛もなくて自殺しようとした時に、あたしは王に拾われた身だから。でも例え邪神に逆らって死んじゃったとしても、正しいことを行えたっていう気高い気持ちのまま死ねる。それって、人間らしいわよね?」
 女性信者の並々ならぬ決意に、痣が浮かび上がった隊員も触発された。
「僕が頑張れば、彼女も救えるんですよね……? だったら、根性見せてやりますよ!」
 決意みなぎる隊員に、鹿村はにんまりと笑みを浮かべる。
(へえ? あんた、さてはあの娘が気に入ったな? 確かに幸薄そうな雰囲気だけど、べっぴんさんだもんな……)
 きっかけはどうであれ、隊員が奮起してくれなければ話が始まらない。
 鹿村は隊員と元信者の女性と3人組でアジトへ向かっていった。

 アジトの中は、青い水晶の壁で出来た迷宮で構成されていた。
 女性信者がその水晶の壁へ向かって話しかけ始める。
「王よ、火急の要件です。猟兵がここを嗅ぎ付けてきました。同志も毒に侵されて危うい状態です……! なにとぞ、謁見を許可していただき、彼の者への慈悲をお授けくださいませ……!」
 すると、迷宮の壁が急に蠢き始めると、入り組んでいた通路が徐々に海を割ったかのように一本道へと変化していったではないか。
 その道の先には、青い寄生体で作られた異形の玉座に肩肘張って居座る首魁こと『蒼の王』の姿があった。
(奴さんが蒼の王か……。見た目はメガネを掛けた優男って感じだな? うぅ……!)
 信者に化けた鹿村は、降魔化身法による代償で中毒症状を訴えている。
 ぐったりとした鹿村を背負うのは、痣が浮かび上がった男性隊員だ。その手首は、八本ひげが描かれた猫柄の六尺手拭いの『猫目・雲霧』で結われている。
 3人は慎重にゆっくりと蒼の王のもとへ進み出た。
「お目通り叶い、光栄至極でございます、我らが王。して、猟兵の襲撃ですが……」
「既に1匹ここに来たが、今は迷宮に捕らえている。案ずるな、傷を癒やしている私にどんな外敵も深手を追わせることは出来ないし、私のもとへ辿り着けるものはいないのだから」
「仰るとおりです。ですが、彼を、このまま見捨てるわけには参りません。どうかお慈悲を……!」
 女性信者は、苦しむ鹿村を横目で見遣って声を掠れさせる。
 ぐすっぐすっと涙ぐんでみせたりもしていた。
 なかなかの女優である。
 王は沈痛な面持ちで鹿村へ近付く。
「……これはひどい。猟兵とはなんて悪辣な攻撃を仕掛けてくるのだろう。大丈夫、君たちは今まで虐げられてきた存在だが、この教団では私が全員を救済すると約束した。さあ、もっとよく診せよ。私の力を再び注げば、そんな毒など一瞬で克服できるぞ」
 蒼の王は鹿村を治療するために、無敵化のユーベルコードを解除。背中の寄生体の触腕を鹿村へ伸ばしてゆく。
 3人はこの瞬間を待っていた。
 男性隊員が動く!
 手拭いに結わえられた手首をグッと引っ張った。
「うわぁぁぁー!」
 男性隊員が鹿村を背負ったまま、蒼の王の懐へ体当たり!
「んな……っ!? これは……!」
 不意打ちに強い衝撃を受けた蒼の王の体勢が揺らぐ。同時に、強い虚脱感に襲われて全身の力が抜けていった。
「貴様……『掃討者の紋章』があるな!? 王である私を謀ったか!!」
「気付くのが遅せーよ、このマヌケがっ!」
 ユーベルコードでその身に悪鬼や妖怪、幽鬼を降ろした鹿村の右腕が黒曜石で覆われて巨大化!
 空間さえもえぐり出すような黒指の一撃が、蒼の王の体に5本線の傷を深々と刻みつけた。
「もう一撃食らっとけ!」
 今度は返す手の甲……黒曜石で覆われた岩盤の如き裏拳が、蒼の王の真正面を凄まじい膂力で叩き付けた。
 咄嗟に守りを固める蒼の王だが、無敵化のユーベルコードは間に合わずに全身に衝撃を受け止めて後ろへ吹っ飛んでいった!
「よし、2人ともずらかるぞ。あんたたちはオレが必ず生還させる。……オレが死ねば済む話じゃねーからな」
 3人は出口へ向かって一直線に駆け出してゆく。
 だが、その目の前に出現する水晶の壁と青の信者たち!
「まずいわ、このままだと王のユーベルコードで3人とも分断されるわ!」
 元信者の女性が焦燥感を募らせて叫ぶ。
 そんな彼女の手を、男性隊員がしっかりと握る。
「大丈夫……この手は絶対に放さないよ」
「あ……ありがと……」
 互いにイイ雰囲気になっていたが、鹿村はその間にも念動力で苦無と手裏剣を射出!
「そういうのは家でやってくれよなー? つか、少しの間だけ信者たちを抑えてくれよ。オレがこの壁をぶち壊すからさ」
 2人はハッと我に返ると、襲いかかってくる青の信者へ自動拳銃とナイフで応戦し始めた。
 そうやって稼いでくれた時間で、鹿村は全身の力を黒曜石の右腕へ注いでゆく。
「……ミサキ、あの2人を守るため、オレに力を貸してくれ」
 自分の中に宿る悪鬼に語りかける鹿村。
 途端、右腕が更に黒曜石で巨大化する!
 これなら、水晶の壁を叩き壊せるはずだ!
「いっけぇぇぇぇぇーっ!」
 鹿村の破城鎚めいた右腕の強撃が水晶の壁に放射状の亀裂を走らせたかと思えば、けたたましい破砕音を撒き散らして壁を粉砕してみせた!
「出口が見えたぞ! 走れ、2人とも!」
 鹿村が殿を務めて壁と信者たちをぶっ飛ばしている間に、元信者の女性と痣が浮かび上がった男性隊員が手を繋いで脱出!
 それを見届けた鹿村も、拳の一撃の反動で外へ飛び出し、全員を生還させたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ラヴィラヴァ・ラヴォラヴェ(サポート)
基本的には料理をして自分含め、皆をお腹いっぱいにする事ばかり考えてます。
敵味方自分含めて世界は美味しい食材と考え、それを使って如何に美味しく料理出来るか、に力を入れます。

必要があれば事前に「肉体改造」を自分含めて色々な人に施し、対策を行います。
展開に応じて適切なUCを使用し、敵を倒して食べたり、味方を助けたりします。

終わったら皆に「料理」を振舞い「宴会」と洒落込みます。
最終的にみんなお腹いっぱいならハッピーエンド!

後はお任せ!


高嶋・梓(サポート)
【礼儀作法】【コミュ力】を使って他の猟兵と連携します。
電子ネットワークが使用可能な状況であれば、ネットワークに侵入しセンサーやカメラ類を【ハッキング】で掌握して【情報収集】を行います。
同時にゴーグルのセンサーを使って【索敵】を行い、敵の位置を把握します。
運用可能であればアルテミスに搭乗して活動します。
戦闘時は【戦闘知識】【瞬間思考力】を使って状況を判断し、【誘導弾】【範囲攻撃】【精神攻撃】【属性攻撃】を使い分けて戦います。
UCは状況に適したものを使用します。

口調はスターテス画面準拠。


シグルド・ヴォルフガング(サポート)
 人狼のパラディン×フォースナイト、です。
 普段の口調は「ナイト(私、君、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?)」、敵には「正々堂々(私、貴様、だ、だな、だろう、なのか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 現場の事態急変を受け、グリモアベースから3名のサポート猟兵が派遣されてきた。
「不遇な人生を送った人達の邪教団だって? お腹が膨れればみんなが幸せになって、邪神を崇拝する必要なくなるよね?」
 ラヴィラヴァ・ラヴォラヴェ(ハラペコかわいいコックさん(可食・高栄養・美味)・f31483)は『みんなおなかいっぱいになれるせかい』を実現させるため、猟兵活動に勤しむ魔王にして超級料理人である。
 青の信者たちや首魁の理念をグリモア猟兵から聞き受けた彼女は、すぐさま調理の準備を済ませて、いの一番に駆けつけたのだ。
 高嶋・梓(スペースノイドのサイキッカー・f06493)はラヴィラヴァの言い分に微笑みながら、装着した電脳ゴーグルで山小屋内の敵をスキャンしている。
「それができれば平和的かつ牧歌的な解決方法なのでしょうけども、あちらは間違いなく私達を抹殺しに向かってくるようです。目標のアドレナリン分泌量が急激に増大中、激昂状態だと推測されます」
「本来ならば、虐げられた彼らに手を指し簿べるのが騎士の役目ですが……彼らはもう手遅れなんですね……」
 シグルド・ヴォルフガング(人狼の聖騎士・f06428)が悲しそうに顔を伏せて言葉を零す。
 彼は騎士として名を馳せるとある人狼部族の一族の出だ。
 悪を糺し善良を尊しとする騎士道を全うする実直な彼にとって、理不尽な境遇に追いやられた人々の救済を掲げる青の教団理念は理解を寄せる余地があった。
 しかし、教団の救済方法は『救済のために、全世界の人々をUDC怪物化させる』というおぞましきものである。
 シグルドはそれを許容するわけにはいかなかった。
「虐げられてきたあなた達を同情はすれど、暴虐無道な振る舞いは騎士である私が阻んでみせます」
 シグルドの決意の言葉に、ラヴィラヴァと高嶋が首肯して同調の意を示す。
 3人は満を持して、山小屋の中へ突入を開始した。

 山小屋内は青く輝く水晶の迷宮が行く手を阻む。
 その入り組んだ通路は、考えなしに突き進めば二度と脱出することが出来ないだろう。
「お任せ下さい。この電脳ゴーグルでルートを検索します」
 高嶋が周囲の解析を始めたまさにその時、壁から滲み出るように蒼の王の複製体がいくつも出現して襲い掛かってきた!
「――っ!?」
 高嶋のスキャンを妨害するように殺到する複製体!
 だがそれらを練り上げたフォースの念動力で足止めするシグルド。
 サイコキネシスだ!
「仲間へ指一本触れさせません!」
 すぐさま高嶋と分身体の間に割って入り、腕に装着した大盾で複製体の攻撃を弾き返した。
「これは……! まさか呪いですか?」
 盾の一部が結晶化していることに気が付いたシグルドが仲間へ注意を促す。
「攻撃を受け止めないようにして下さい! 結晶化の呪いにかかってしまいます!」
「えー? もう受け止めてるけど何も起きないよ☆」
 ラヴィラヴァの巨体は硬質の水晶の壁をなぎ倒しながら、最短距離で蒼の王へ着々と進行中だ。もちろん複製体が黙っているわけがないのだが……。
「たっぷりたらふく満足するまでオイラを召し上がれ♪」
 ラヴィラヴァはユーベルコード『飢餓つくと肉肉しい惨劇(ラ・ファミーヌ・デ・ラ・ヴィアンド)』で自身のゼリー状の下半身を可食可能な増殖し続ける肉塊に変化させて、戦場の敵全てに弱いと思わせて実は強烈に飢え続ける匂いを放って逆に複製体を誘き寄せていた。
 吸い寄せられるように群がる複製体は、ラヴィラヴァの肉体を堪らず齧り付く。
「食べられても無限増殖するよ☆ あ、オイラもみんなを食べるね♪ いただきま~す☆」
 ラヴィラヴァは水晶の壁ごと複製体を肉塊に取り込んでゴリゴリムシャムシャと『食事』を始める。彼女が結晶化しないのは、その呪いそのものまで喰らい尽くして己が血肉へと作り変えているためだ。
 そんな彼女が突き進んだ後ろには、ただただ美味しそうな匂いだけが充満していた。
「そのまま1時の方向へ突き進んで下さい。迷宮の出口があります」
 高嶋も、襲い掛かってきた複製体へ両手から放つ高圧電流で無力化させてゆきながら、ラヴィラヴァの後を走って追いかける。
 気付けば、大型クルーザー1隻相当の体積にまで膨れ上がったラヴィラヴァが迷宮の出口を突き破り、そのまま蒼の王へボディアタックをぶちかましていた。
「だっしゅ~つ☆ ってあれ? キミが王様なのかな? そんなところで寝てたら風邪を引くよ☆」
「な、なんだ、この巨大生物は!?」
 迷宮の壁だった瓦礫の下から這い出てくる蒼の王は目を疑った。
 猟兵の姿や種族は多種多様、UDCアース世界しか知らない蒼の王にとって、ラヴィラヴァのような魔王は異質中の異質の存在だ。
 そんな蒼の王の口腔内へ無理矢理に押し込まれるは、暴食魔王自身の肉体だ。
「お腹を空かせてるからイライラしてるんだよね☆ オイラを食べてハッピーになってよ♪ 宴会の始まりだ☆」
「もごごごごっ!?」
 唐突に始まった魔王の供食の宴に、蒼の王は喉を詰まらせてもがき苦しむ!
「今がチャンスですね。私のユーベルコードで痺れて下さい」
 そこへ放たれた高嶋の高圧電流『サイキックブラスト』が、蒼の王を感電させて更に身体の自由を奪う。
「なんだか、すごい光景が繰り広げられていますが……確かに畳み掛ける好機ですね……! 蒼の王! 我が聖剣の斬撃、受けてよ!」
 シグルドは破邪の剣を鞘から抜き払うと、念動力で操り敵を何度も斬り付けてみせた。
 蒼の王は、こころなしかふくよかになった身体に生まれたいくつもの裂傷と火傷に、為す術もなく膝を付くしかなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

テラ・ウィンディア
どうやらお前達の力が必要なようだ
それに…失敗したらそれこそこの国が滅びかねない

だから…力を貸してくれ
絶対におれが全力で守り切るぞ!
【戦闘知識】
邪神の能力と迷宮の構造の把握
【属性攻撃・オーラ防御】
炎を全身と武器に付与
財団の人の武器にも付与
更にオーラ障壁を展開
【見切り・第六感・残像・空中戦・武器受け】
複製体達の攻撃らを見切り財団を庇いつつ触れる機会を作る!
必要時は庇って剣と太刀で防御

【二回攻撃・早業】
剣と太刀による連続斬撃を繰り返しつつ意識を財団から己に集中させ引き付ける
攻撃が効かなかろうと猛攻はけしてやめず
そして…その斬撃と敵と仲間の斬撃を心にも刻む

特に数多の空間で斬撃を残しておく

【弾幕・貫通攻撃・呪詛弾】
ガンドライドとドリルビット展開!
呪詛弾とドリル攻撃で財団に迫る複製体を迎撃!

空間に斬撃が満ちて
財団が触れた時

…最初に話したよな
過去を斬る刃
おれを蹂躙した刃…
それが…これだ

消えざる過去の痛み発動(斬斬斬斬斬斬斬!!

敵を中心に財団を巻き込まない範囲で蹂躙

存分に楽しめ
我が悔恨を(何度も再現


カシム・ディーン
UC常時発動

うん…これはこの国の危機かもしれませんね
しかもお前らの双肩にかかってるようです
気合い入れていきましょう

しくじったら…メルシーがお仕置きかもな

今こそ…財団の闘志マックス!世界(ケツ)を守る勇者となる…!

「あれー?メルシー何だと思われてるのかな☆」

まぁ安心しろ
この天才カシムさんも本気でいきます

【属性攻撃・迷彩】
光水属性を財団の人に付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で他の探知からも隠蔽
【情報収集・視力・戦闘知識】
敵の攻撃の癖と方向性を正確に把握
更に死角へと攻め入りやすい位置を捕捉

【空中戦・念動力・弾幕・武器受け】
念動障壁を展開
飛び回りながら念動光弾を乱射
ダメージよりもその動きを止める事を優先
更に敵の攻撃は全力で回避
避けきれないのは迎撃
水晶は眺めるもんであってなるもんじゃねーよ!

財団が触れれば

よくやってくれました
今お前達は世界を救った勇士ですよ

だから僕らも全力でいくぞ!

【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
短剣と鎌剣の連携連続斬撃から切断した部分を強奪して放り捨てて削り尽くす!



 サポート猟兵が奮戦したこともあり、教団アジトは混乱の真っ只中だ。
 今乗り込めば、首魁へ先手を打てるだろう。
「どうやらお前達の力が必要なようだ。それに……失敗したら、それこそこの国が滅びかねない」
 テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)の姿が真っ赤な炎の巫女へ変貌を遂げると、痣を持つ美國財団の隊員へ手を差し伸べた。
「だから……力を貸してくれ。絶対におれが全力で守り切るぞ!」
「分かりました。テラちゃんをあたしは信じてますね」
 物腰柔らかな女性隊員がテラの小さな手を包み込んで微笑みかける。
 それを眺めていたカシムが至極残念そうな顔を浮かべて肩を落としていた。
「いや、僕もしっかりとお前を守る気はたしかにありますよ? ですが……」
「すまねぇな。こんな暑苦しい筋骨隆々のおっさんの重りを押し付けてちまってな」
 カシムが護衛を担当するのは、アスリート並みに鍛え抜かれた筋肉が自慢の壮年男性だった。
 テラの手を握るおねえさんが良かったと恨めしそうに男性の顔を見詰めるカシムに、マッチョ隊員も申し訳無さそうに苦笑する他ない。
「うん……しかたねーです。それに、今はこの国の危機かもしれませんからね。しかもお前の双肩にかかってるようです。気合い入れていきましょう」
「ああ、よろしくな、坊主!」
 快活に笑うマッチョ隊員の差し出した手を嫌々に握るカシムは、メルシーに視線を向けながら彼に告げた。
「坊主じゃなくて、天才魔術盗賊のカシム様と呼んで下さい。ああ、もしもおっさんがしくじったら……メルシーからお仕置きされるかもな」
「メルシーは直径6cm、全長20cm以上で、お腹に触れるくらいに反り返ってるぞ☆」
 意味不明の自慢に、カシムは真顔でマッチョ隊員へ迫る。
「今こそ燃やせ……美國財団の闘志マックス! お前が世界(ケツ)を守る勇者となるんだ……!」
「……ああ、つまり負けられない戦いってことだな!」
 ようやく状況を理解したマッチョ隊員は、失敗すれば肉体の死か尊厳の死かを選択させられると知って、大殿筋がいやがおうにも引き締まるのだった。
「まぁ安心しろ。この天才カシムさんも本気でいきます。メルシーの暴走は僕が食い止めますよ」
「あれー? メルシー、何だと思われてるのかな☆」
「野獣なんだよなぁ!」
 首を傾げるメルシーの腹へ、カシムの手加減なしのパンチが突き刺さった。

 アジトである山小屋に突入したテラとカシムたちは、早速、蒼の王のユーベルコードで生み出された青水晶の迷宮に囚われた。
 テラはカシムと分断され、それぞれが別行動を取らざるを得なくなった。
「カシムたちとはぐれてしまったぞ……おねえさん、おれから離れちゃダメだからな!」
 テラは女性隊員に炎の魔力の加護を授けると、自身のオーラで真っ赤に燃え上がるオーラ障壁を伝播させた。
「来るぞ! 複製体は全部を相手にしないで、出口へ向けて駆け抜けるぞ!」
 テラは星刃剣『グランディア』を長剣サイズへ伸長させ、もう片方の手には錆鞘之太刀を引き抜いて複製体を叩き斬る。
 そうして切り拓いた血路を女性隊員がアンチマテリアル・アサルトライフルの炎の魔弾が複製体を撃ち抜く。
「ねぇテラちゃん!? 出口へ向かうっていっても、どっちか分かるのですか?」
 女性隊員の疑問に、テラが即答した。
「おれは出口がどこにあるかなんて分からないぞ! でも邪神の気配は掴んでるぞ! きっと出口で待ち構えて、奇襲を仕掛けてくるはずだからな! だからそっちへ向かって返り討ちにするぞ!」
「ええ……っ?」
 すごく大雑把な答えに、女性隊員は唖然としてしまう。
 しかし、テラの第六感は常人よりも鋭く研ぎ澄まされており、危険な気配がする方向へ向かうことで自然と正解の順路を辿ってゆくのだった。
「ガンドライドとドリルビット展開! そこをどけーっ!!」
 テラが放った浮遊砲台とドリル兵器が複製体を次々と打ち破り、女性隊員へ迫りくる攻撃を赤き二振りの武器で弾き返しては斬り伏せてみてる。
「……あ、本当に出口が見えて来ました」
「気をつけろ……蒼の王はおれたちが脱出した瞬間を狙ってくるからな?」
 テラがゆっくりと出口に近付き、女性隊員へ覚えたてのハンドサインを送る。
(今だ!)
 テラが意を決して出口へ飛び出すと、待ち構えていた蒼の王と目があった。
 振りかぶられる青い触手の刃が、赤いテラの刃と激突する!
「やっぱりいたな! おれの斬撃とお前たちの斬撃、その両方を刻み込んでやるぞ!」
「私の奇襲を予期していたか。だがこれでどうだ?」
 壁から出現した複製体の群れがテラと女性隊員を取り囲むと、蒼の王は一斉に斬り掛かってゆく。
「おねえさん、撃て! 撃ちまくるんだぞ!」
「分かってます! でも怖い怖い怖い死ぬ死ぬ死ぬ死んじゃうってばぁ!」
 一瞬でも気を抜けば、左右真っ二つになりかねないほどの鋭利さを誇る王の触腕攻撃を、必死に銃の乱射で撃ち落として拮抗に持ち込む女性隊員。
 テラも二刀流で攻撃を斬り払い、空間に斬撃の軌跡を記憶させていく。
「うおおおおっ! ヘカテ! 頼むぞ!」
「助太刀します!」
 黒子猫モードのヘカテが、テラの巫女服の中から顔を出したかと思えば、重力魔法で複製体と蒼の王の動きを鈍らせてみせた。
「む……身体が、重い……!?」
「よし、今だ……カシム! メルシー!」
『やれやれ、バレてましたか。テラの勘は本当にヤバいですね?』
 虚空から声が聞こえると、蒼の王が光弾に撃ち抜かれてたたらを踏んだではないか。実はカシム、スライム化したメルシーに壁を取り込ませるように『捕食』させ、強引にショートカットを実現させてテラたちとこっそり合流を果たしていたのだ。
『メルシーもいるよー☆』
 銀髪少女姿のメルシーも、姿は見えずともビーム鎌剣『ハルペー』で複製体をひと薙ぎに刈り取ってみせる。
「くっ! どこだ? どっから攻撃をされている?」
 蒼の王は周囲を見渡すが、眼前にはテラと女性隊員しかいない。
 戸惑う蒼の王の背後が激しく爆裂!
 水と風の魔法で編み出した光学迷彩魔術は、光の屈折率を捻じ曲げたカシム独自の隠密魔法だ。
 しかもユーベルコード『対人戦術機構『詩文の神』(メルシーマホーショウジョモード)』でメルシーも攻撃に加わってカシムと一糸乱れぬ超音速連携を繰り出すため、蒼の王は一方的に嬲られるばかりだ。
『てめぇの攻撃は物体を水晶に変えちまうようですが、水晶は眺めて鑑賞するもんであって、それそのモノになるもんじゃねーよ!』
 叫んだカシムが放つは、ミスリル製の鋼糸『シーフワイヤー改』!
 蒼の王の身体に絡みついて、触腕ごと身動きを封じてみせた。
「猪口才な真似を。この程度、すぐに振りほどいてくれよう」
 全身に力を込める蒼の王。
 だが、その力がすぐにヘナヘナと抜けていってしまう。
「なんだと……! まだ『掃討者の紋章』を持つ人間がいたのか……!?」
 カシムの光学迷彩魔術は、第三者にも施すこともできる。
 つまり、マッチョ隊員も透明化して、蒼の王に気付かれることなく接近していたのだ!
『よう、色男? 年貢の納め時だぜ?』
 マッチョ隊員が零距離でアンチマテリアル・アサルトライフルを発砲!
 撃ち抜かれた背中から青い血が大量に吹き出すと、透明になっていた隊員の輪郭を浮かび上がらせた。
 更に女性隊員が追撃の発砲!
 そして一撃離脱のタッチ!
「そこ、かぁ!」
 ワイヤーを引きちぎった触腕が、2人の隊員達の頭上へ振り下ろされる!
 しかし、時速575kmの猛スピードで肉薄したメルシーとカシムが触腕を刎ねて事なきを得た。
『よくやってくれましたおっさん。今、お前らは世界を救った勇士ですよ』
『マジかよ、俺のケツも守られたか?』
『ああ、バッチリです!』
「ケツを守るってどういう意味ですか……?」
 女性隊員の困惑の声に、透明化したままカシムは悟りを開く。
『おねえさん、それ以上はいけない(戒め)。僕らも全力でいくぞ! メルシー! 一気に決める……!』
『ラジャったよ、ご主人サマ☆ あとメルシーをホントなんだと思ってるのかな!?』
 カシムは魔法ウィンドカッターを詠唱し、メルシーはビーム鎌剣で王の蒼き触腕を何度も削ぎ落としてみせた。
 不可視の攻撃に、蒼の王はただただ翻弄されるのみ!
 そして増えてゆく斬撃の軌跡に、思わずテラの口元が釣り上がる。
「……最初に話したよな? 過去を斬る刃、おれを蹂躙した刃、仲間の残した刃……それが……これだ!」
 蒼の王を取り囲むように浮かび上がる、今まで振るった刃の軌跡が一斉に放たれる!
「消えざる過去の痛み発動! これが我が悔恨、我が無念の刃だ!」

 斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬!!!

 青い血を噴き上げながら、蒼の王は全身を刻まれて崩れ落ちる。
 体内から青い触腕がアメーバのように這い回って逃げようとするが、テラはそれを見逃さず……。
「存分に楽しめ、我が悔恨を……!」
 今だ収まらない過去からの斬撃で、依代の肉体から抜け出た邪神の片鱗を粉々に斬り裂いて消滅させていった。

 こうして、猟兵達と美國財団との共同作戦は、無事に蒼の王の討伐を完了させて成功を収めた。
 美國財団は猟兵達の戦力差を目の当たりにしたことで、UDC組織との連携を強化して更に戦力を増強させると意気込んでいた。
 いつの日か、強くなった彼らと再び共闘するかもしれない……。
 そんな予感を抱きつつ、猟兵達はそれぞれの帰路へと就くのだった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年10月24日


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🔒
#UDCアース
🔒
#【Q】
#心情
#心情系
#青の教団
#退魔の小組織を救え


30




種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナハト・ダァトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト