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感受性イミテーション

#アポカリプスヘル #戦後


●日本北東北
 それは単なる偶然であったのかもしれない。
 日本列島北東北に嘗て存在していた都市跡、その地下に残されていた『フラスコチャイルド研究施設』の培養槽の前に少女が立つ。
 おもむろに彼女は培養槽の中に手をつっこむ。一瞬にして彼女の体に培養槽から凄まじい電流の奔流が走り、彼女の体を駆け巡っていく。
 尋常ならざる体の痛み。
 常人に耐えられぬほどの痛みであったが、少女――黒き風の聖女『ニグレド』は、それを天啓と捉えた。

「黒き風……やはり、私に次なる『神』に至れと仰られる。この私を取り囲む黒き風こそが、その証拠であると」
 黒き風の聖女『ニグレド』は、恍惚とした表情を浮かべながら彼女の身体の中に蠢く『偽神細胞』が己の身体を書き換えていくのを甘受していた。
 そう、己は神に愛された。
 黒き風、黒き竜巻、『オブリビオン・ストーム』こそが神の意志であるという『黒き風の教団』の指導者にして聖女たる己を愛したのだ。

 この体に流れるは無敵の偽神の力。
 溢れる言葉が頭の中に響き渡る。『オブリビオン・ストーム』こそが神の意志。己はその代弁者であると。
 ゆえに彼女は手を広げ、黒き竜巻の中高らかに笑うのだ。
「アハハハッ! これが力! これが『無敵』! 『新たなる神』へと至る私への祝福! この力さえあれば!」
 そう、この地『フラスコチャイルド研究施設』があったことは偶然などではなかったのだ。
『此処』で生み出された存在がいる。

「『此処』で何を生み出そうとしていたのかなど知らない! けれど、神は私を選ばれた! この地で生み出された何者かではなく、この私を!」
 黒き風の聖女『ニグレド』が笑う。
 そこに一切の正気はなかった。在ったのは、ただの狂気。
『新たなる神』――『偽神デミウルゴス』が嘗てたどり着いた頂きへと迫らんとする黒き風の聖女『ニグレド』は、さらなる力を求めるのだった――。

●燦然たれ希望の星
 誰かのために戦うことは尊いことだ。
 けれど、戦うということはいつだって誰かの生命を奪うことにほかならない。
 誰かが助かれば、誰かが死ぬ。
 すべからく救うことなどできようはずもない。あまねく全てを救うことができるものなど阿弥陀の如き存在でなければできないであろう。
 ゆえに己の手は阿弥陀の手ではなく、修羅の手である。

 己は希望の星。
 鋼鉄の翼でもって人々のために戦った。
 死闘があった。
 己が斃れた後にこそ平和が広がっているのならば、生命など惜しくはない。
 だが、思うのだ。

 果たして平和の後に己の居場所はあるのか。
 己の居場所は『此処』にしかない。そう、己は未だ飛んでいる。『此処』ではない何処か、そうあの『空』を希むのだ――。

●雷
 グリモアベースへと集まってきた猟兵達に頭を下げて出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回はアポカリプスヘル……アポカリプス・ランページの戦後に起きる事件です」
 彼女の瞳が爛々と輝いている。
 薄紅色の瞳は、何を見たのか。それは言うまでもなくオブリビオンに関連した事件の予知であろう。

「アポカリプス・ランページで皆さんが打倒した『フィールド・オブ・ナイン』の一柱『偽神デミウルゴス』。その無敵性を受け継いだ『新たなる神』が日本の北東北にて目覚めようとしています」
 ナイアルテの言葉に偽りはない。
『偽神細胞』を保たぬ者からの攻撃を一切受け付けぬ、荒々しき偽神『デミウルゴス』の後継が今まさに生まれようとしているのだ。
『体内に偽神細胞を持たない存在からの攻撃を完全無効化』する力は、アポカリプス・ランページにおいても猟兵たちを苦しめたことは記憶に新しい。
 これを打倒するために必要なことは『ストームブレイド』による攻撃か、もしくは一時的な『偽神化』を行わなければならない。

 言うまでもなく、この『偽神化』は凄まじい死の拒絶反応を齎す。
 激痛に苛まれながら戦わなければならないのは勿論のこと、最悪死に至ることもあるだろう。
 けれど、幸いであったのは『新たなる神』は未だ半覚醒状態であるということだ。
「ですが、それでも『無敵性』は健在であるのです。完全に覚醒いていない今こそが、『新たなる神』を打倒するチャンス……もしも、完全に覚醒すれば再び恐るべき災厄が齎されることは確実です」
 ナイアルテだからこそ、今打倒しなければならないと告げる。
 そして、彼女の瞳が見た予知は、さらなる最悪を呼び込む。

「……半覚醒状態の『新たなる神』……黒き風の聖女『ニグレド』は戦いの最中でさらなる覚醒段階に至ります。言わば、『次なる形態』へと変化します。この『燦然たれ希望の星』と呼ばれた状態に移行した彼女はさらなる強力なオブリビオンへと変貌していきます」
『新たなる神』と呼ばれた『偽神』は、猟兵達との戦いで成長していく。
 けれど、ここで討ち取らなければ完全覚醒に至ってしまう。
 だからこそ、ナイアルテは頭を下げる。危険なことは承知の上。けれど、それ以上に、『新たなる神』が世界に放たれれば、再び世界は災厄に飲み込まれてしまう。

「……皆さんには、酷な状況を強いることは理解しています。私は見てしまった以上見て見ぬ振りができません……皆さんもまた同じ、ですよね?」
 それがどれだけ危険な状況であっても猟兵達は一歩を踏み出すことを彼女は知っている。
 その背中は何度と無く見送ってきたのだ。
 わかっている。自分が彼らの善意に縋っているということを。

 けれど、それでも願うのだ。
 彼らの無事を。そして、世界の平穏が守られることを――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はアポカリプスヘルにおける日本、北東北に嘗て存在していた『フラスコチャイルド研究施設』に現れた『新たなる神』――『偽神デミウルゴス』の『無敵性』を受け継いだオブリビオンを打倒するシナリオとなります。

 ※これは2章構成のアポカリプスヘルの戦後シナリオとなります。

●第一章
 ボス戦です。
 半覚醒状態の『新たなる神』、黒き風の聖女『ニグレド』との戦いになります。
 ストームブレイ以外の猟兵は偽神細胞液を体内に注射して一時的に『偽神化』しない限り、敵にダメージを与えられません。
 ですが、『偽神化』は一時的とは言え、生命に関わりかねない激しい拒絶反応を齎すため、凄まじい痛みを耐えながら戦わなければなりません。

●第二章
 ボス戦です。
 戦いの中で『新たなる神』、黒き風の聖女『ニグレド』はさらなる覚醒段階に居たり、『次なる形態』である『燦然たれ希望の星』と呼ばれる姿に変化します。
 第一章以上の力を持つ強敵となりますが、ここで討ち取らなければ完全に覚醒した『新たなる神』の誕生を許すことになります。
 これを撃破することが今回のシナリオの目的になります。

 それではアポカリプスヘルにおける戦いの爪痕が癒えぬままに、再び起こる『偽神』の誕生を阻止するために懸命に戦う皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 ボス戦 『黒き風の聖女『ニグレド』』

POW   :    洗脳演説「黒き風こそが神の意志である!」
【『黒き風の教団』の教義の演説】を披露した指定の全対象に【オブリビオン・ストームを信仰する】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
SPD   :    『黒き風の教団』「信徒達よ、ここに集え!」
戦闘力のない、レベル×1体の【『黒き風の教団』の狂信者達】を召喚する。応援や助言、技能「【言いくるめ】」を使った支援をしてくれる。
WIZ   :    黒風魔術「神の意志に従うのだ!」
【オブリビオン・ストームを模した風の魔術】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。

イラスト:かじゃねこ

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 黒き風の聖女『ニグレド』は、己の中に流れる無敵性にはしゃぐように笑っていた。
「力が溢れる。これが『デミウルゴス』の至る力。黒き竜巻、オブリビオン・ストーム! この力さえあれば、人々は認めざるを得ない! この私を! 神の意志たる黒き竜巻の存在を!」
 彼女の率いる『黒き風の教団』は、言わばカルト教団そのものであった。
 洗脳でもって信者を増やし、彼女らと共に競技に従って人々を殺戮することが救世たる行いであると信じて疑わないのだ。
 いつだって彼女たちは正気であった。
 この荒廃した世界に生き、『拠点(ベース)』に引きこもって生きる者達にはわからぬ真理。

 文明などしがみついているから理解できないのだ。
 全てを捨て去り、全てを黒き竜巻に委ねることこそが魂の安息を得られるものだというのに。
「だから、全てを壊しましょう。神は私を選ばれた。神の名代、神の代弁者! ここに告げる。私こそが神罰代行者。あらゆる不浄、文明の残滓を一掃する黒き風であると!」
 黒き風の聖女『ニグレド』が『フラスコチャイルド研究施設』の天井を凄まじき風の魔術でもって吹き飛ばし、地上へと至る。
 あらゆるものを破壊し尽くそう。
 己を止められる者など存在しない。
 
 そう、あの日見た『希望の星』。
 空を飛ぶ燦然たる希望の星たる鋼鉄の翼。
「私は至る。『新たなる神』となって、あの空に還るの――!」
黒髪・名捨
【心境】
「戦争終わっても復興は程遠いな…この世界…。」
んじゃ、じしょー新たな神様ってのをブッ飛ばしに行きますか…。

【行動】
オレはストームブレイドじゃねーし。
偽神細胞液ってのを注射しねーといけねーのか。
ふー、合法阿片すってる間に偽神細胞液を『ドーピング』する。
べ、別に注射が怖いわけじゃねーからな(ぇ)

『激痛耐性』と合法阿片の効果で誤魔化しつつ、さっさとブッ飛ばす。
演説なんぞしらん。何か言ってるのを無視して『破魔』と寧々の『神罰』
とついでに『勇気』を込めた神砕でユベコごとブッ飛ばす。(注:八つ当たりでもある)

そう。今日お前の神は死ぬんだ…。



「世界が荒廃したのは神の意志である。神の意志によって遣わされたのが黒き竜巻であるのならば、未だ復興などという、まやかしを見る凡愚共に死を以て救済を齎すことこそが我らが使命!」
 声を張り上げているのは荒廃したアポカリプスヘルの大地に降り立つ『新たなる神』へと至らんとする黒き風の聖女『ニグレド』であった。
 彼女の言葉は洗脳の力を保っている。
 それがユーベルコードに寄るものであると普通の人間たちには理解できないだろう。
 だからこそ危ういのだ。
 彼女の言葉は真であろうと偽であろうと、聞く者の心を揺さぶる。

 そんなわけがないと思いながらも揺れ動いてしまう。
 死こそが救済。
 死こそが新たなる世界への旅立ちの門出。そのための滅びを齎すのが黒き風、すなわちオブリビオン・ストームであるという言葉は、猟兵であっても揺らぐものであった。
 しかし、黒髪・名捨(記憶を探して三千大千世界・f27254)はぷかりぷかりと合法阿片をくゆらせる。
「戦争終わっても復興は程遠いな……この世界……」
 合法であれど彼の赤い瞳は完全に阿片がキマっている。
 揺らぐ世界。
 明滅する色彩。
 されど、彼の心にあるのは『新たなる神』を詐称する黒き風の聖女『ニグレド』をぶっ飛ばさなければという思いだけであった。

 己は確かにストームブレイドではない。
 だからこそ『偽神細胞液』を注入しなければ、半覚醒状態とはいえ『デミウルゴス』の持つ『無敵性』を打ち破ることができない。
 合法阿片によって揺らぐ視界の中、名捨は己の腕に『偽神細胞液』の詰まった注射を突き立てる。
 別に注射が怖いわけではない。
 本当であるとは彼の言葉であるが、頭に乗っていた喋る蛙『寧々』が若干疑わしいものを見るような目であったのだけが名捨にとって気がかりであった。
「グ、お……ッ!!」

 これが死の拒絶反応。
 凄まじい痛みが体の中を駆け巡る。黒き風の聖女『ニグレド』の演説などどうでも良くなるほどの痛みを抱えながら、名捨は戦場を旋風のようにひた走るのだ。
 それはまさに黒き疾風そのものであった。
 たなびく黒髪が線を引いたように戦場を駆け抜け、未だ言葉を紡ぐ黒き風の聖女『ニグレド』へと狭る。
「おろかな! 私の声を聞かないとは! 救済のために遣わされた神の意志、その体現者たる私の声を!」
 洗脳演説の言葉が名捨の鼓膜に響く。
 けれど、そんなことなど彼には関係ない。

 合法阿片と『偽神細胞液』による恍惚と激痛だけが名捨を支配していた。
「知るか、そんなもんッ!」
 喋る蛙『寧々』の神罰の力が拳に宿る。
 なにか言っているのかもしれないが、それでも名捨は黒き風の聖女『ニグレド』の言葉を無視した。
 聞くに耐えない。
 どれだけ己が神であると詐称しようとも、名捨には意味がない。
 彼の七つの美徳と機会が籠められた覇気。その拳が振るい上げられ、ユーベルコードに輝く。

 これが八つ当たりではないと否定することはできない。
 痛みが、苦しみが、恍惚と多幸感がないまぜになった感情が体の中で渦を巻いて気持ちが悪い。
 これをもたらしたのが黒き風の聖女『ニグレド』であるというのならば、名捨は許すことが出来なかったのだ。
「そう。今日、お前の神は死ぬんだ……」
 振り抜かれる拳の一撃は、洗脳の言葉すらも打ち砕く。

「オレの意思が悪を討つ…神砕ッ!!」
 神すら砕く拳であるがゆえに、そのユーベルコードの名は神砕(シンサイ)。
 肉体を傷つけるものではなく、黒き風の聖女『ニグレド』の身に宿る七つの大罪と邪神、そして洗脳演説の言葉のみを破壊する一撃が振り抜かれ『ニグレド』は思わず目を見開いた。

 無敵性を誇った己のユーベルコードすらも砕く一撃。
 それは彼女が奉じ、そして己が代弁者であるという確かなものを打ち砕くものであったからだ。
 名捨は風に乱れた髪の奥に輝く赤い瞳の残光を残し、『ニグレド』の内なる力を砕くのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
偽神か。『デミウルゴス』だけじゃないってわけね。
事前に偽神細胞液を接種。全身に激痛が走る。厄介ね、これ。「呪詛耐性」で抑えられないかしら。

あー、悪いけど、痛みで演説なんて聞いてる余裕無いのよね。なんか一瞬気の迷いがあったけど、痛みがそれを塗り潰す。
宗教談義なら、いくらでも付き合うけどね。オブリビオンのカルト教団じゃ話にならない。
そうである以上、あたしのやることは、とにかくあなたを討滅するだけ。
覚悟を決めてちょうだい。

「全力魔法」破壊の「属性攻撃」「範囲攻撃」「衝撃波」で天絶陣。
墜ちる隕石に潰されて、滅びてしまいなさいな。
ていっても、倒しきれずに次なる段階に至るんだっけ? 本当、面倒。



 打ち砕かれたユーベルコード。
 それは洗脳演説によって言葉聞く者の心を揺さぶるものであった。
 けれど、そのユーベルコードすら打ち砕く猟兵の一撃によって黒き風の聖女『ニグレド』は、一時的にその言霊の如き力を喪っていた。
「馬鹿な……! 私の、神の力を、砕く……!? そんなことがあってはならない。これは神の意志なのだから。私が『新たなる神』になれという啓示。それを否定するか!」
 風が吹き荒ぶ。
 未だ『新たなる神』として半覚醒状態である黒き風の聖女『ニグレド』。
 されど『無敵性』は未だ有している。完全なる覚醒に至るまでに猟兵達は、彼女を討ち取らねばならない。

 けれど、荒れ狂う風の力は『ニグレド』が新たなる段階へと進もうとしていることを如実にしめしていた。
「偽神か。『デミウルゴス』だけじゃないってわけね」
 村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)は『偽神細胞液』を打ち込み、荒れ狂う風の中心に存在する黒き風の聖女『ニグレド』の姿を認めた。
 全身を駆け巡る激痛。
 異物が体の中に入っているという証拠の拒絶反応。
 わかっているとは言え、その痛みは死すら齎す意味を彼女は知ったのだ。

「厄介ね、これ……」
『偽神細胞』を呪詛への耐性でもって耐え凌ごうとしても、敵は待ってはくれない。
 黒き風の聖女『ニグレド』の声が張り上げられる。
「私こそが『新たなる神』! その言葉を聞けぬ者がいるというのならば、全てを救済しようではないか! 私の力でもって、死という救済! すべからく人を救うためには!」
 洗脳演説がゆかりの耳に届く。
 けれど、彼女はそれどころではなかった。死の拒絶反応の痛みが、皮肉なことに『ニグレド』の放つ洗脳演説のユーベルコードを打ち消しているのだ。
「あー、悪いけど、痛みで演説なんて聞いている余裕無いのよね」

 少しでもこの痛みから逃れられるのならば、という気の迷いがあったが、それを塗り替えるのが死の拒絶反応の痛みである。
 体の節々が痛む。
 体を動かす度に体の全てがちぎれ背負うに為る。
「宗教談義なら、いくらでも付き合うけど――オブリビオンのカルト教団じゃ話にならない」
「我が教団の教義をよりによってカルトと言うか! この荒廃した世界の有様こそ、神の意志! その発露! 人は滅ぶべくして滅ばねばならない。死の先があるからこそ、人は生きていてはならないのだ!」

 言霊がゆかりの鼓膜を揺らす。
 けれど、彼女はもうためらわなかった。
 その瞳がユーベルコードに輝く。
「そういうところよ。人は懸命に生きて全うしてこそ、至る事のできる場所がある。それを安直な死でもって屁理屈こねようっていうのなら……あたしのやることは兎に角あなたを討滅するだけ」
 覚悟を決めろとゆかりの輝くユーベルコードが発現する。
 それは天絶陣(テンゼツジン)。

 戦場に降り注ぐ光の流星雨が黒き風すらも貫いて天より黒き風の聖女『ニグレド』の体を穿つ。
「――ッ! 天の光? この程度で私を……!」
「それはマーキング……本番はこれからよ! 古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。天より降り注ぐ先触れのかそけき光よ。滅びの遣いを導き、地上をなぎ払え。疾!」
 放たれるは天より飛来せし燃え盛る巨大隕石。
 空を割るようにして天より招来された巨大隕石の一撃が『ニグレド』へと迫る。
「堕ちる隕石に潰されて、滅びてしまいなさいな」
 この壮絶なる一撃であっても、きっと『ニグレド』は倒しきれないだろう。
 痛みが走る体を抱えるようにしながら、ゆかりは叫ぶ。

 滅びろと。
 この地が何を生み出そうとしていたのかなど関係ない。
 フラスコチャイルド研究施設があり、そこにあったものが今の現状を生み出しているのならば、二度目の『新たなる神』の誕生を許す理由などない。
 放たれた隕石の一撃が大地をえぐり、『ニグレド』ごと凄まじい衝撃波と共に薙ぎ払うのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サージェ・ライト
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、胸が目立ちすぎて忍べないとかそんなことないもん!!(お約束)

ちなみに胸が大きすぎて偽神化できないとかそんなこともないはずです!
いえ、そんなことあったら困るんですけど!?

というわけで偽神細胞液を体内に注射しましてー
一時的に偽神化…痛いいたいいたい!?めっちゃいたいんですけどー!?

くぅ…これは速攻で終わらせるしか!
カタールを構えて突撃です!
演説なんて痛くて聞いていられるかー!!!
こっちの様子見たらわかるでしょ!!
八つ当たり気味に【乾坤一擲】!

ふっ、貴方が揺らすことが出来た私の部分は胸(物理)だけです……!
ってやっぱりめちゃくちゃ痛いんですけどー!?



 放たれた痛烈なる一撃。
 それは大地をえぐり、クレーターの如き様相へ変える威力でありながら黒き風の聖女『ニグレド』は未だ立ちはだかる。
 彼女にとって『偽神』は『新たなる神』そのもの。
 嘗て猟兵たちが対峙した『デミウルゴス』の持つ『無敵性』。それは『偽神細胞』を持たぬ者からの攻撃を無効化するという比類なき力。
 その力を持って『ニグレド』は猟兵たちを打倒せんとしている。

 穿たれた一撃により身体はひび割れ始めているが、それでもなお彼女は立ち上がる。
「ふっ、フハハハ! これほどの威力を受けていながら私は滅びていないぞ! これが『新たなる神』へと至る私の力! やはり私は神に選ばれているのだ!」
 彼女の言葉は全てがオブリビオン・ストームを神の意志と崇めるが故である。
 そこに正しさなど必要ないのだ。
 人々を救済すると言いながら、鏖殺せしめる力を振るうことに何ひとつの疑念すら抱かない彼女にとって生命など永遠の前に露と消える儚いものと同じなのだ。

 しかし、そんな彼女の『新たなる神』への覚醒を阻まんとする者がいる。
「お呼びとあらば参じましょう。私はクノイチ、胸が目立ちすぎて忍べないとかそんなことないもん!!」
 今回はしっかりと前口上を言えたサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)が戦場に飛び出す。
 彼女の前口上はいつものことであるが、常に何か邪魔される事が多いのである。
 こんな緊迫した戦いの最中であっても、サージェはサージェらしくあることをやめない。それはどんな戦いがあったとしても、変わらぬという強さの一つであったことだろう。

「ちなみに胸が大きすぎて偽神化できないとかそんなこともないはずです!」
 いや、そんなことがあったら、とても困る。
 彼女の心配は尤もであったのかもしれない。とても言いにくいことなのだが、サージェさんは非常にナイスバディなのでそういうこともあるのではないかと一抹の不安を覚えるのも仕方のないことであった。
 ナイスバディが仇となる日が来るなんて誰も思わないだろう。
 そんな不安を抱えつつもサージェは『偽神細胞液』を己の腕に突き立て、注入する。一時的に『偽神化』しなければ、目の前の黒き風の聖女『ニグレド』を打ち倒すことなどできない。

 故に彼女はためらわなかったのだ。
「……痛いいたいいたいいた?! めっちゃいたんですけどー!?」
 その痛みはサージェの想像を越えるものであった。
 全身を駆け巡る痛み。死の拒絶反応とも言われた痛みが駆け巡り、彼女の身体をあ支配していく。
 痛さしか感じない。
 これは確実にお仕事を終えた後に痛い痛いの飛んでけーとしてもらわないと割に合わんやつである。

「くぅ……! だがしかし! これは速攻で終わらせるしかありません!」
 そんでも飛んでけーってしてもらうのだ。
 サージェの瞳がユーベルコードに輝く。
 隕石の一撃を受けて消耗している『ニグレド』ならば、彼女の乾坤一擲(ヒッサツノイチゲキ)の一撃が届く。
 痛みを堪えた突撃は、『ニグレド』の言葉をかき消すようであった。
「愚かな。死こそが救済、その痛みこそが苦しみだと何故わからない。神の意志、オブリビオン・ストームこそが全てを破壊してくれるというのに!」
「そんな理屈聞いていられますかー!!! こっちの様子見たらわかるでしょ!!」

 痛みにサージェはどこかぷっつんしていた。
 もうなりふりなどかまっていられない。どれだけ演説を打つのだとしても、今のサージェの身体を走る痛みは、そんなものを聞き届けるほどの余裕など無い。
 構えたカタールの一撃が、八つ当たり気味に『ニグレド』へと叩き込まれる。
 そこにあったのはユーベルコードの輝きなどではない。
 きらりと光るサージェの瞳、その浮かぶ涙こそが彼女の真意。

 そう、痛いのはもう嫌なのだ。
 これで終わりにすると、放たれた一撃は『ニグレド』の肉体にさらなるひび割れを引き起こしていく。
「なぜ、揺れない! 何故、揺れ動くことがない! 私の、『新たなる神』の言葉は確かに届いているはずなのに!」
 打ち込まれた一撃に『ニグレド』の身体が揺らぐ。
 それは致命的な一撃であったし、同時にサージェは痛みを堪えながら誇るのだ。

「ふっ、貴方が揺らすことが出来た私の部分は胸だけです……!」
 いや、たゆんとしている。
 ……。
 ちょっと台無しかなーって思わないでもなかったが、サージェはカタールの一撃を見舞い、内心、めちゃくちゃ痛いんですけどー!? とやせ我慢を続けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天御鏡・百々
【※ニグレドの宿敵主】

戦争も終結したというのに、その影響は未だ大きいようだな
しかし…カルト教団を率いるのみならず、神を騙るとは罰当たりめ
我が成敗してくれようぞ

偽りの神の力を借りねばならぬのは癪だが、無敵を破る手段がこれだけとなれば仕方ないな
(偽神細胞液を注射)

オブリビオン・ストームは神の意志などでは決して無い!
邪悪な意志によって作り出された、単なる世界に破滅をもたらすだけのものだ!

『神通力』による障壁(オーラ防御・結界術)で黒風魔術を防御するぞ
そして、本体である神鏡より放つ『天鏡破魔光』にて攻撃だ!(破魔、浄化、神罰)

新たなる邪神の誕生など我は認めぬ!
二度と復活出来ぬよう、完全に滅してくれる!



 黒い竜巻の如き魔術によって生み出された風がアポカリプスヘルの大地に渦巻いていく。
 それは黒き風の聖女『ニグレド』の放つ風の魔術であった。
 猟兵たちとの戦いによって消耗しはじめた彼女は半覚醒状態と言えど、その『無敵性』を誇っていた。
 偽神細胞を移植されたストームブレイド以外の攻撃を無効化する力。
 それこそが『新たなる神』たる『ニグレド』が至りし境地であったのかもしれない。この力が己に宿ることこそが神の意志たるオブリビオン・ストームに選ばれたことの証拠。
 彼女にとって、これ以上に名誉なことはないだろう。
「これこそが私の力。選ばれた神の力。だというのに、何故あがく。死は救済。その先にある永遠こそが人の本来の望みであろう。生きるからこそ苦しみが生まれる。生きているからこそ、執着が生まれ、人はいつまでもいつまでも生という因果に囚われるというのに!」

 その言葉は頷ける部分もあったのかもしれない。
 けれど、そこまで性急に答えを出すほど人の人生は短くはない。彼女たちが行っているのは、答えを出す前の人々の生命を徒に刈り取る行いである。
 故に、天御鏡・百々(その身に映すは真実と未来・f01640)は己の体の中を駆け巡る凄まじい拒絶反応の痛みに耐える。
「戦争も集結したというのに、その影響は未だ大きいようだな」
 オブリビオン・フォーミュラたる『フルスロットル・ヴォーテックス』を打倒しても尚、残るオブリビオンの残滓。
 それどころか、目の前の黒き風の聖女『ニグレド』に至ってはカルト教団を率いるのみならず、神を騙る。

 それは百々にとって許しがたいことであった。
 偽りの神、その『偽神細胞液』に頼らなければならないことは癪であったが、これ以外に『デミウルゴス』の如き無敵生を破る手段がないというのならば、百々には選択肢などなかったのだ。
 そして、同時に彼女の瞳が意志に輝く。
「神を騙るとは罰当たりめ。我が成敗してくれようぞ」
「私が神を騙るだと? この神に選ばれた私が神を? 私こそが『新たなる神』! この力を前にしてもお前たちはそのような戯言を言うか!」
 迸る黒き旋風の如き力が百々に迫る。

 凄まじい力。
 これが『新たなる神』に至りし者の力。半覚醒状態であっても、これだけの力を発露することができるのが『偽神細胞』の為せる業であったことだろうか。
 それでも百々は己の神通力でもって障壁を展開し、放たれた黒き風の魔術を防ぐのだ。
 これはオブリビオン・ストームではない。
 模しただけの力。ならばこそ、百々は己の神通力でもって対抗するのだ。
「オブリビオン・ストームは神の意志などでは決してない! 邪悪な意志によって造り出された、単なる世界に破滅をもたらすだけのものだ!」
 百々はこれまでアポカリプスヘルの荒廃した大地を見てきたことだろう。
 人の作り上げた文明。
 それらの全てを肯定するわけではない。

 けれど、それでも人々は明日を求めている。
 より良い明日を。きっと今日よりも明日が良い一日になるようにと願いながらも懸命に生きている大地がある。
 ならばこそ、そのささやかな願いすらも摘み取らんとする黒き風を彼女は許すことができないのだ。
「新たなる邪神の誕生など我は認めぬ!」
「ならば、なんとするか! 私は『神』に至る! それは逃れようのない事実! この選ばれた私の力の前に屈しろ!」
 放たれる黒い風が百々の神通力を押し返していく。
 障壁が刻まれ、ひび割れていくのを百々は見ただろう。

 けれど、それでも彼女は諦めるというこをしなかった。
「悪しき者よ、我が破魔の力によりて滅び去るがいい!」
 ヤドリガミたる彼女の本体。
 神鏡が映し出すのは、破魔の光。妖魔、死霊を浄化する光は、荒廃した大地すらも明るく照らす。
 遍く全てを光でもって照らすユーベルコードの輝きは、天鏡破魔光(テンキョウハマコウ)。
 逃げる術など何処にもない。
『ニグレド』の放つ黒き風の魔術は、光の前に霧消して消えていく。

「馬鹿な、私の風が! 神の意志たるオブリビオン・ストームが! こんな、こんな、光ごときに……!」
「人々に今必要なのは、新たなる時代を告げる風などではない。彼らに必要なのは、明日を信じることのできる光。その輝きの意味を、人々が求めたることを理解せぬというのならば!」
 百々は己の本体たる神鏡を掲げ、そのユーベルコードの輝き解き放つ。

「二度と復活出来ぬよう、完全に滅してくれる!」
 放つ光は救済の光。
 何処までも歪んだ心を解きほぐす光だった。黒き風は消えていく。ひび割れた『ニグレド』の体は痛みに喘ぐ暇もなかったことだろう。
 その外側が崩れ落ちていく。内側から何かが這い出るような気配があった。

 けれど、黒き風の聖女『ニグレド』は、ひび割れ霧消していく最中、己の滅びという怨嗟を放つことはなかった。
 そこにあったのは、本来求めたであろう救い。
 黒き風の聖女は滅びた。
 されど、猟兵達は確信している。
 その内側より這い出る存在が、滅びの間際に新たなる段階へと至ろうとするのを――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『燦然たれ希望の星』

POW   :    戦友たちよ、今再び共に征こう。
【Bf109戦闘機に搭乗した戦友】の霊を召喚する。これは【搭載武装】や【連携戦術】で攻撃する能力を持つ。
SPD   :    速度を保て、蒼空を目指せ。
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【空戦速度】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。
WIZ   :    翼はある。希望はどうか。
【かつて戦友から仮託された『必ずや勝利を』】という願いを【己自身】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。

イラスト:ヘッツァ

👑11
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 黒き風の聖女『ニグレド』の体はひび割れ、そのガワとでも言うべき身体が霧消して消えゆく。
 その内側から現れたる存在は決して滅びを是とはしなかった。
「私は、滅びない。私はあの『空』に至るのだ。そうしなければならない。私の戦いはまだ終わっていない!」
 咆哮とともに黒き風の聖女『ニグレド』の内側から染み出した存在がアポカリプスヘルの空に顕現する。
 黒き風を纏いながら、『新たなる神』、その覚醒へと一歩段階を踏み込んだ『燦然たれ希望の星』が鋼鉄の翼をもって飛ぶ。

 その姿は嘗ての希望そのものであったことだろう。
 人々が見上げた救世主の如き力。
 鋼鉄の翼を持って空を駆け、人々のためにと死闘を繰り広げた存在。
 それが『燦然たれ希望の星』。
 彼女は戦い続けることを宿命漬けられた存在。
 敵を撃ち、平穏を勝ち取ることを望まれた存在。だが、彼女の居場所は『此処』にしかない。

「争いの内にしか私は存在できない。平穏を求めながら、戦うという矛盾。戦いの中でしか存在できない私が、平穏を求めるなど!」
 己の存在意義すら歪み果てた『新たなる神』が咆哮する。
 いつだって戦いは彼女を受け入れる。
 けれど、平穏は違うのだ。己の身体の一部となった鋼鉄の翼は、平穏の中を羽撃くことなどできはしない。

 ならばこそ、希望の星は堕す。
 平穏求める者をこそ怯懦せしめる鋼鉄の星として――。
黒髪・名捨
【心境】
「あがががが…。」
まだ痛い。
殴られる痛みより後引くってどうよ?
これだから注射は…いやなんでもねーよ。

【行動】
言ったろ、今日お前の神は死ぬんだ…。もう眠れ!
まずはユベコで召喚された霊を何とかしないとな。

寧々の『神罰』とオレの『破魔』の秘術を込めたスタングレネードを連携戦術の真っただ中に『投擲』して霊を『範囲攻撃』でまとめて『除霊』して『浄化』だ。
あとはてめぇだ。
動きは『見切り』、ニグレド…いや新たな神へアーラーワルを『槍投げ』し『串刺し』にする。
星よ…堕ちろ!!指パッチンで幻爆を起爆し『焼却』だ。



 鋼鉄を纏う乙女が空を舞う。
 その姿は鮮烈であり、同時に『燦然たれ希望の星』と呼ばれるに値する輝きを放つものであった。
 黒き風の聖女『ニグレド』の内側より現れた『新たなる神』。
 それこそが新たなる覚醒の段階を踏み出した『デミウルゴス』の後継であった。
「私は必ずや勝利をするだろう。どれだけの生命が喪われたのだとしても」
 彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
 空に浮かぶのは、かつての彼女の戦友たちの霊。
 彼女とは違い、鋼鉄の翼を身にまとうことはなかったが、周囲に浮かぶ戦闘機は、嘗ての彼らの乗機であったのだろう。

 凄まじいエンジン音を響かせて空を飛ぶ鋼鉄の翼たち。
 それを見上げる黒髪・名捨(記憶を探して三千大千世界・f27254)は未だ見の内側から刺すような痛みを走らせる死の拒絶反応に身を捩る。
「あがががが……」
 まだ痛い。
 殴られる痛みよりも後引く拒絶反応の痛みとはこれほどのものだとは思いもしなかったのだ。

 だが、『偽神細胞液』を注入しなければ、『新たなる神』へと至らんとするオブリビオンを打倒することができない。
 それほどまでの強敵であるのだ。
「これだから注射は……いや、なんでもねーよ」
 喋る蛙『寧々』が名捨の頭上でぺちっと叩く。情けない事を言うなとでも言っているのだろうか。
 体中を駆け巡る痛みを名捨は無視して構える。
「迫りくる死を前にして人は平等だ。誰も彼もが死ぬ。そういう運命なのだ。生きることは死ぬこと。死ぬこととは必然。故に私は勝利の先にある平穏こそを吹き飛ばさなければならない」
『燦然たれ希望の星』と呼ばれたオブリビオン――否、『新たなる神』へと至らんとする『偽神』が僚機たちと共に名捨に迫る。

 その編隊を組む動きは生前の戦い方なのであろう。
 一糸乱れぬ動きは見事なものであった。けれど、名捨は言う。
「言ったろ、今日お前の神は死ぬんだ……もう眠れ!」
 放たれるスタングレネードが炸裂する。
 それはただのスタングレネードではない。『寧々』の籠めた神罰と名捨の籠めた秘術による浄化の光を伴った激烈なる光が『燦然たれ希望の星』たちの只中に放り込まれ、一瞬で呼び出された戦闘機の霊たちを浄化していくのだ。

 目がくらむほどの光の中であっても『燦然たれ希望の星』が空を舞う。
「この程度で私を止められると思うな。私は黒き風! あらゆる生命に終わりを齎す『新たなる神』としての代行者! 人の求めた平穏の中に私が居られないというのであれば!」
 機銃の掃射の中を名捨は走る。
「なら、何も言わずにさればいい。兵士は、戦う者は、平穏の中でこそお役御免になる。そんなの当たり前だろうがッ!」
 名捨の瞳がユーベルコードに輝く。
 投げは鳴った短槍『アーラーワル』の一撃が『燦然たれ希望の星』の肩に突き刺さる。

「ぐっ……! 私が私で居られる場所は、此処しかない! それ以外の場所にいる私など死んだも同然! だからこそ!」
 迫る『燦然たれ希望の星』の姿を名捨は眩しいものを見るように瞳を細めて見る。
 其処に在ったのは、『希望の星』ではない。
 あるのは堕する『星』そのもの。
「兵士としての自分は死ねばいい。死することこそ命運だというのなら、その役割を終わらせて、新たな生を生きればいい。それができるのが人間ってものだろうがッ!」

 弾丸の全てを名捨は拳で叩き落とし、そのユーベルコードの名を知らしめるように叫ぶのだ。
「星よ……堕ちろ!!」
 指が打ち鳴らされた瞬間、幻爆(ゲンヴァク)の一撃が打ち込まれた『アーラーワル』より光り輝く。
 それは小規模核融合爆発が如き一撃。
 アポカリプスヘルの大地に凄まじき崩壊の爆発が巻き起こり、猛烈なる熱が『新たなる神』を飲み込んでいく。

「……自分の居場所なんてものは幾らでも見つけられるものなんだよ。いつだって、人の歩みはスタートラインに立てるんだからな……あばよッ」
 名捨は爆風に背をむけて歩む。
 星は失墜する。
 兵士は銃を捨てる。
 その先にあるのは、きっと平穏な時に則した別の生き方。それを受け入れて進むことこそが、人の歩み。

 それができぬのならば、『星』のまま失墜せよと、名捨は己の背中で語るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天御鏡・百々
オブリビオンである以上、既に希望などではあり得ぬ
絶望を齎す鉄の翼よ
汝を滅し、ニグレドの因果を完全に断ち切ってくれる!

空を飛ぶ相手はなかなか厄介だな
遠距離手段はあるものの、そう易々とは当たってくれぬだろう

ここは……我が神の力を借りるとしようか
『天神の威光』を発動だ
全能力が6倍となれば、貴奴を捉えることなど造作もない
『天之浄魔弓』より放つ光の矢にて敵を射抜いて、一気に勝負を決めよう
敵を追尾するこの矢より逃れることなど出来まいぞ
(破魔、誘導弾、鎧無視攻撃、スナイパー、神罰)
これぞ真なる神の御力なり!

●本体の神鏡へのダメージ描写NG
●神鏡は神器であり、百々は神の眷属である



 爆風の衝撃に煽られながらも鋼鉄の翼を持つ『燦然たれ希望の星』は、未だ潰えず。
 されど、その体に刻まれた猟兵の攻撃の凄まじさは言うまでもない。
『偽神化』という激痛走る体を推して戦場に立つ猟兵と、嘗て願われた勝利への祈りを歪めた『燦然たれ希望の星』が相対する。
 其処に在るのは『新たなる神』へと至るための一歩でしかないのか。
 答えは否である。
 歪み果てたとは言え『希望の星』は、嘗てのままに狂う。
 勝利を願われた。
 明日の平穏を願われた。

 その全てに答えてきたからこそ、『燦然たれ希望の星』はオブリビオンと成った今でもなお、その願いに応えようとする鋼鉄の翼そのものであったのだ。
「私は未だこの空にある。私がこの空に在る限り平穏が訪れないというのならばこそ、私は私の居場所を守らなければならない。たとえそれが、人の望んだ平穏と相反するものであったとしてもだ!」
 願われた勝利。
 それを体現する存在こそが『燦然たれ希望の星』そのものである。
 ならばこそ、彼女は飛ぶ。

「オブリビオンである以上、すでに希望などではあり得ぬ。汝は絶望を齎す鉄の翼よ」
 天御鏡・百々(その身に映すは真実と未来・f01640)は『偽神細胞』の齎す死の拒絶反応に痛む体を厭わずに一歩を踏み出す。
 彼女にとって『燦然たれ希望の星』は、最早破壊を齎す存在でしかない。
「汝を滅し、『ニグレド』の因果を完全に断ち切ってくれる!」
 それができるのは己しか居ないのだ。
 彼女が見上げる空を支配するオブリビオンは、その機銃の斉射でもって百々を牽制する。

 大空を制するからこそ、地を走る彼女は見上げるしかない。
 確かに嘗て希望の星とまで呼ばれた技量は凄まじいものであった。それに『新たなる神』へとさらなる覚醒の段階を踏んだ彼女はオブリビオンとしても強敵そのもんどえあった。
 故に彼女は決めたのだ。
 その決意がユーベルコードに瞳を輝かせる。
「我が神よ、その御力を分け与えたまえ」
 それは、天神の威光(テンジンノイコウ)を受けて戦う彼女の報じる主神とのつながりを一時的に増強する。
 されど、一定の時間を超えれば彼女は眠りに落ちてしまう諸刃の剣。

 故に彼女は全ての能力を六倍にまで引き上げ、神力による光の矢をつがえた神弓を引き絞る。
 その身に宿る神通力を以て、ユーベルコードに輝く瞳で空舞う『燦然たれ希望の星』を見据える。
 希望の星を穿つのではない。
 彼女の瞳が捉えているのは、絶望を齎す鉄の翼だ。
「私を絶望と呼ぶか。それは私にとっての侮辱。私は未だ『希望』の『星』だ!」
 迫る空中機動。
 銃弾の斉射が百々を捉える。
 痛みが走る。けれど、百々の瞳は痛みに歪むことはなかった。

 偽なる神がいる。
 偽りの神が齎すのは、いつだって希望ではない。耳障りの良い言葉で人を堕落させるだけの存在でしかない。
 だからこそ、百々は己の報じる主神の力を以てつがえた光の矢の力を増強させるのだ。
「いいや。それは人を傷つけるだけの力でしかない。汝が大空に羽撃く限り、人々に安寧は訪れぬよ」
 百々の瞳が機銃の斉射がきらめく空を見据える。

 恐ろしさはない。
 なぜなら、彼女はいつだって正しきを行うからだ。
 いつだって人の営みの中にある暖かなものを知るからこそ、鋼鉄の翼が起こす風の冷たさを知っている。
「これぞ真なる神の御力なり!」
 放たれる光の矢が荒廃した空を疾走る。

 一直線に。
 あらゆる銃弾も、風も切り裂いて飛ぶ光条。
 その一撃が『燦然たれ希望の星』の体を撃ち貫く。
 逃れ得ぬ光の一射は、まさしく神の御業そのもの。百々のはなった光矢が偽りの希望、そして絶望齎す風すらも切り裂いて、『新たなる神』へと至らんとする『星』を射抜くのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
もはや人を導く振りさえなげうって、己の欲望を露わにしてきたわね。
それでこそオブリビオンよ。
偽神細胞液の拒絶反応が弱くなってきてる? 効果が切れる前に、あれを討滅しなきゃ。

「式神使い」で『GPD-331迦利』を空に飛ばし、「除霊」効果を持たせた「レーザー射撃」の「弾幕」を「一斉発射」で放ち、召喚された霊たちを戦場から消す。

『迦利』にはそのまま空戦を続けさせつつ、こちらの狙った空域へ、敵を誘導してもらうわ。
来た!
「全力魔法」雷の「属性攻撃」「範囲攻撃」「衝撃波」「破魔」「浄化」「道術」で九天応元雷声普化天尊玉秘宝経。疾!
雷光はね、何よりも迅(はや)いのよ。

そのまま、地へと墜ちなさい、オブリビオン!



 光矢による一撃が『燦然たれ希望の星』の体を射抜く。
 その一撃は『新たなる神』であったとしても防ぐことも躱すことの出来ぬ必中の一撃であったことだろう。
 貫かれた胸に虚の如き穴が空く。
 それでも尚、彼女の胸に去来するものは、己の勝利を願われたことだけであった。
『新たなる神』へと至らんとした『ニグレド』の姿は、今や鋼鉄の翼によって覆われている。

 その姿の何処に神を見ることができるだろうか。
『デミウルゴス』の無敵性のみを受け継ぐ者。
「私は勝利し続けなければならない。そう願われたように。この『空』こそが私の戦場であり、私の居場所。戦い続け、そして勝たねばならない。私の居場所は此処だ――!」
 咆哮するオブリビオンの姿は、もはや『新たなる神』と呼ぶ事もできなかった。
 少なくとも村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)にとってはそうであったことだろう。
「もはや人を導く振りさえなげうって、己の欲望を露わにしてきたわね。それでこそオブリビオンよ」
 ゆかりにとって、オブリビオンの主義主張は一考するに値しないものであったことだろう。

 己の体の中にある『偽神細胞』の拒絶反応が弱くなってきていることを彼女は悟り、『偽神化』の効果が切れる前に『燦然たれ希望の星』を討たねばならぬと戦場を駆ける。
「私が願われたことを欲望と呼ぶか、猟兵。私にとっての願いとは、そういうものだ。勝利を願われた。平穏な明日を願われた。ただそれだけのために私は存在しているのだ」
 穿たれた体。
 その体の何処から力が湧き上がってくるのかは解らない。
 けれど、その願われた勝利と、それを願った者達が彼女の周囲に戦闘機と共に大空を疾走る。

 その光景をゆかりは見やる。
 けれど、そこに同情も同調もなかった。あったのは、オブリビオンという歪んだ過去が今という時間を侵食する様だけであった。
「迦利――!」
『GPD-331迦利』が彼女の言葉に応えるように空に飛び上がる。
 逆三角形の機体が空に舞い、そのレーザーの射撃で保って召喚された霊たちを尽く葬りさっていくのだ。

 空中で乱舞する機体が放つ光線が戦闘機を撃ち落とし、『燦然たれ希望の星』が放つ機銃の掃射をゆかりは躱す。
「どれだけきれいな言葉を告げるのだとしても! 結局の所、貴方は自分の欲望を叶えたいだけなのよ」
 疾走る。
 ただひたすらに戦場を機銃の掃射から逃れるように走る。己を追う『燦然たれ希望の星』と、そして『迦利』によって追い込まれた敵の戦闘機たち。
 その点と点が重なり合う瞬間、ゆかりの瞳がユーベルコードに輝く。

 彼女が見たのは『燦然たれ希望の星』と召喚した戦闘機たちが同じ空域に誘導された光景。
 ゆかりはそれを狙って素早く詠唱する。
「来た――ッ! 九天応元雷声普化天尊! 疾っ!」
 放たれるは周囲の視界を阻害するほどの強烈な落雷の一撃。
 それこそが全力の力。
 衝撃波が吹きすさび、破魔と浄化の力が道術によって雷撃を解き放つ。

 雷光は何よりも迅い。
 迅雷そのものとなって放たれるユーベルコードの一撃が『燦然たれ希望の星』諸共に戦闘機たちに落ち、撃滅せしめるのだ。
「そのまま、地へと墜ちなさい、オブリビオン!」
 それは神を失墜させる一撃ではない。
『新たなる神』にならんとした『ニグレド』、そして『燦然たれ希望の星』と謳われた嘗ての存在を歪んだ過去より解き放つ一撃。

 どれだけ人の救済を願ったのだとしても。 
 どれだけ勝利を望まれたのだとしても。
 人の今を生きる瞬間を損なうことなど許されるわけがない。明滅する雷撃の内に『新たなる神』になり残ったオブリビオンの残滓が絶叫を上げるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サージェ・ライト
デミウルゴス式偽神細胞に燦然たれ希望の星……さいきんどこかみたよう、な…うっ、頭が…

ってそんなことしてる余裕がないくらい、まだすっごく痛いんですけど!?
クノイチ的に耐えながら戦います(しくしく
(以下、燦然たれ希望の星を『星』と記述)

空中戦は実は苦手なのですが打つ手はあります
【VR忍術】ダウンバーストの術!
冷たく重い強烈な下降流で航空戦闘機隊ごと纏めて墜落させてやりますよー!
『星』もまとめて落ちてくれると嬉しいんですがー
ってそんなに簡単にはいきませんか

争いの内にしか存在できないというのなら
戦いの中で骸の海に還っていただきましょう
カタールを構えて『星』の突撃を待ち
その機が来たなら【乾坤一擲】の一撃にかけます!

「星は空に在って見上げるもの。手を伸ばすことは悪い事ではありませんが、堕ちてくるのはいただけませんね」
でもあなたはまちがいなく星でした
だって
「少なくとも私はあなたを見上げていましたよ」
ですがオブリビオンであるなら見逃すわけにはいきません
もう一度【乾坤一擲】
この一撃で終わりにしましょう!



 視界を塗りつぶすほどの雷光を受けて尚、『新たなる神』たらんとする『燦然たれ希望の星』は鋼鉄の翼と共に空へと舞い上がる。
 そこにあったのは嘗ての矜持が歪み果てた姿。
 あるのは妄執にも似た勝利への願いだけであった。それらが歪み果てることによって彼女は『新たなる神』へと覚醒を遂げるのだとしたのならば、人の願いとは皮肉なものである。
「私は勝利する。如何なる犠牲を払ってでも、如何なる困難が立ちはだかるのだとしても、それらを乗り越える。踏み越える。そのために私は願われたのだから」
 彼女の心にあるのは人々の平穏への祈り。
 黒き風の聖女『ニグレド』が願った人の魂の救済が死を以て行われるものであったのならば、『燦然たれ希望の星』が抱く平穏への祈りは、勝利のためにあらゆるものを犠牲とする、それを是とするものであったことだろう。

「故に私はあらゆる空を征服する。たとえ、立ちはだかる者が世界であったとしてもだ!」
 咆哮と共に彼女の周囲に現れるのは嘗ての戦友たちの霊。
 彼らが鋼鉄の翼たる戦闘機に乗り込み、戦場の空を縦横無尽に駆け抜ける。機銃の掃射が始まり、猟兵たちをこの戦場から排除せんと舞う。
 それを見上げるは、偽神細胞が齎す死の拒絶反応による頭痛に苛まれるサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)であった。
 さいきんどこかでみたような、とちょっとした小芝居を打つ余裕すら今の彼女にはなかった。

 それほどまでに『偽神細胞液』の注入による拒絶反応は凄まじいものであるのだ。
 体を内側から引き裂かれる痛みと同時に体の皮膚という皮膚に凄まじい圧力が駆けられたかのような、ひしゃげるような痛みが走るのだ。
 けれど、サージェはクノイチである。
 バーチャルキャラクター。人々の概念を受けて生まれた存在であるがゆえに、彼女は空を見上げる。
「本当に余裕がないくらい、まだすっごく痛いんですけど……!?」
 この拒絶反応におそらく慣れることはないのだろう。
 一時的とは言え、この拒絶反応が在る限り『新たなる神』に至らんとする『燦然たれ希望の星』へと打撃を与えることができる。

 その痛みこそが彼女の力。
 本当はシクシク泣きつきたい気持ちでいっぱいであるし、空中戦はとても苦手である。
 けれど、彼女はメモリをコンソールにセットする。
 それは『ダウンバーストの術』。
 空気は冷たくなるほどに重たくなる。その重たく冷たい空気が急激に空より地面に叩きつけられる事によって発生する凄まじい風の正体こそが『ダウンバースト』である。
 彼女が生み出したのは巨大な積乱雲。
 VR忍術は、気象現象さえも手繰り寄せるのだ。戦闘機にとって風とは味方であり敵でもある。
 重たい空気はまるで質量を伴っているかのように凄まじい勢いで空を飛ぶ戦闘機たちを次々と地表へと叩きつけるのだ。
「『燦然たれ希望の星』……あなたもまとめて落ちてくれれば嬉しいんですがー……そんな簡単には行きませんか」

 サージェの瞳に映るのは、ダウンバーストの凄まじい気流すらも躱して大空を舞う『燦然たれ希望の星』であった。
 その姿は確かに嘗ての希望そのものであったことだろう。
 人々の平穏を脅かす者を打倒する英雄。
 鋼鉄の翼と共に飛び立つ彼女の姿に人々は明日への希望を見たことだろう。過去、それは果たされたはずだ。
 けれど、骸の海、過去の集積地より再び滲み出た彼女は歪み果てていた。
「これが私だ。この空こそ私の在るべき場所。争いがあるからこそ、私の居場所は此処にある」
「争いの内にしか存在できないというのなら」
 サージェが『燦然たれ希望の星』の放つ輝きを真正面から見据える。

 手にしたカタールを握りしめる手が汗に滑る気がした。
 凄まじい重圧。
 あれがきっと英雄と呼ばれるに値する存在の放つプレッシャーであったのだろう。それ故に、サージェは走る。
 荒野を、戦場を、大空に届かぬからこそ、走るのだ。
 機銃の掃射を躱し、『燦然たれ希望の星』の突撃を誘発するように走って、走って、走り抜ける。

 其処に在ったのは、己の身の内にある拒絶反応の痛みを『超克』する意志。
「戦いの中で骸の海に還っていただきましょう」
 恐れは力に変える。
 人は恐れを力に変えることができる。どれだけ耐え難い恐怖も、それに耐えることができるからこそ、人の心の輝きは瞳に宿るのだ。
 サージェは確かに概念が生命を保った存在だろう。
 けれど、其処に在るのは人々の意志の結実。クノイチとは斯く在るべし。どれだけ恐れを抱いたとしても、それを切り裂く刃を心荷物からこその忍び。

「星は空に在って見上げるもの。手をのばすことは悪いことではありませんが、堕ちてくるのはいただけませんね」
 見据える。
 機銃を放ちながら地表すれすれに突撃してくる『燦然たれ希望の星』の姿をサージェの『超克』に至りし瞳が輝き、見つめる。
「此処は私の居場所だ! 此処こそが! 戦いの中こそが! 私の――!」
 ああ、とサージェは息を吐き出す。
 それは予備動作に過ぎなかったのかも知れない。カタールを握りしめ、構える。

 乾坤一擲(ヒッサツノイチゲキ)の一撃。

 それを嘗ての『星』に叩き込むべく一歩を踏み出す。
 間違いなく彼女は『星』だったのだ。
「少なくとも私はあなたを見上げていましたよ」
 居場所なんて考えなくてよかったのだ。彼女は、嘗ての彼女は、きっとそんなことなど気にもとめていなかっただろうから。
 ただ人々の平穏のために戦っただけなのだ。無私だったのだ。誰かのために戦うことを尊いとか、素晴らしいことだとか、そんなことなど考える暇なんてなかった。

 考えるよりも先に身体が動いていたのだ。
 理屈は後からできただけにすぎない。サージェは知っている。
 そういう者をこそ『英雄』と呼ぶのだと。
「この一撃で終わりにしましょう!」
 オブリビオンに成り果ててしまったのならば、見逃すわけにはいかない。
 如何なる理由があろうとも、現在を侵食していいわけがない。
 明日を望む人々のためにと戦った嘗ての『星』を失墜させる。そのために彼女はカタールの一撃を叩き込む。

 凄まじい衝撃が身体を突き抜けていく。
 互いの身体が交錯し、サージェは空を見上げた。そこに『星』は見えない。けれど、彼女の背後に失墜した『星』があった。
「人が明日を望むのなら、『星』は青空に溶けて消えていくべきなのです。夜の闇を恐れるように、人々が明日に不安を覚えるのならば『星』は輝き、より良い明日の訪れを願う人々に応える……」
 きっと貴方もそうであったようにと、サージェは『星』と『明日』が続く道の先へと霧消して消えていく『新たなる神』へと至ることのなかった嘗ての『希望』に背をむけ、歩むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年10月03日
宿敵 『黒き風の聖女『ニグレド』』 を撃破!


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🔒
#アポカリプスヘル
🔒
#戦後


30




種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠天御鏡・百々です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ユエイン・リュンコイスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト