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優しき村の青年と立ち塞がるモノたち

#アックス&ウィザーズ


 北に高山がそびえ立つ荒野の村。東と南には隣町へと繋がる道が通り、荒れた土地でも人々は生きていくことに困ってはいなかった。
 その村の一角にある小さな教会の中で男が一人うなだれている。茶色の髪に優しげな眉。頬は日に焼けまばらなそばかすが乗っている。元来であれば溌剌とした笑顔を携えるその顔も、いまは暗鬱とした気持ちの中で悲しげな色を見せていた。
 名前はユージーン。彼はいま重大な問題に直面している。
「はぁ、このまま俺はメリィを嫁に迎えることが出来ないのか……」
 呟く唇にのせた恋人の名前に、また一際寂しさが募る。
 メリィのいる町への道が開けぬならば、村の女性か道の通じる隣村の女性を嫁に迎えてでも結婚を――跡継ぎを望む両親からは口酸っぱくそう言われていた。
 村の者たちはユージーンとメリィの仲を歓迎し、もうすぐ結婚を迎える二人を祝おうと大宴会の準備を進めていたのだが、立ち塞がる問題を前にし、ユージーンにも気を遣っている様子であった。
「あのでかいスライムがゴブリンを率いているのか……?」
 問題は村の外にでるモンスターだった。
 メリィのいる町はこの村を南に行ったところにある。そこへ唯一通じる橋の上に、大きなスライムが現れ、街道沿いにもいつからかやってきたゴブリンたちが群れをなして蔓延りだしたのだ。
 人々からはポゥリンと呼ばれるそのスライムは、通りがかる者をじっと見つめ、体をぷるぷる震わせているそうだ。ポゥリンが現れたのはちょうどゴブリンが増えだした時期と重なっている。
 村は次に来る冒険者にモンスター退治をして貰おうと、酒場に依頼を出している。この村では旅の冒険者たちが時折訪れてはモンスター退治をし、なんとか日々の安寧を保っていたのだ。しかし近頃では徐々にその力が増しており、冒険者たちも報酬の少ない依頼にはあまり手を貸せない事態となっている。
「うーむ、誰か退治してくれるものはいないだろうか……」



「やあやあ、猟兵の諸君!本日も話をもってきたぞ」
 スキマ・クッロが短い前足をいっぱいに伸ばして挨拶する。集まった猟兵を前に自慢のひげをフヨフヨと揺らしながら予知した事件についての話を始めた。
「どうやらアックス&ウィザーズ世界で困ってる人がいるみたいなんだ。良ければモンスター退治に猟兵諸君で行ってきてくれないか?場所は高い山に囲まれた荒野の小さな村みたいだにゃ。すべてが片付けば花嫁を迎えて、村を挙げての大宴会が開かれるそうだぞ。みんなも楽しんでくると良い!」
 スキマの話によると、村の南――花嫁のいる隣町から通じる橋の上に大きなスライムが居座っており、街道沿いにはポゥリンが率いてきた思われるゴブリンたちが群れをなしているそうだ。
「どちらも強力な敵ではないそうだが数が厄介になるだろう。まずはゴブリンの群れを撃破してくれ」
 スキマは胸を張って猟兵たちを送り出す。
「それじゃ、気をつけて。ぐっどにゃっく!」


温泉スイ
 お目に留めていただき、ありがとうございます。温泉スイと申します。

 敵の数に注意して退治し、無事村に花嫁を迎える手助けをして下さい。
 第一章はゴブリンとの戦闘から始まります。

 ご参加なさる方は雑記の方も一度目を通して頂けますと幸いです。どうぞよろしくお願い致します。
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第1章 集団戦 『ゴブリン』

POW   :    ゴブリンアタック
【粗雑な武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    粗雑な武器
【ダッシュ】による素早い一撃を放つ。また、【盾を捨てる】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    足払い
【低い位置】から【不意打ちの蹴り】を放ち、【体勢を崩すこと】により対象の動きを一時的に封じる。
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石畳の走る南村への街道沿い。緑の肌をもつ亜人のモンスターたちはキィキィと甲高い声を上げながら、我が物顔でその道を闊歩していた。
 手には粗雑な武器を持ち、もう片方には同じような盾を構えている。数は二十匹ほどであろうか。多くのものは知能もあまり高そうには見えない。おそらくこの中でも長命なのであろう一匹が、向かってくる猟兵たちに気がつき金切り声を上げた。
 すると五匹のゴブリンが猟兵たちの前へと突撃を始める。
花宵・稀星
人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んじまえ、と聞きました。
あいにく馬は連れていませんが、代わりに私が蹴っ飛ばしておきますので、それで溜飲を下げてください。

【ミレナリオ・リフレクション】でゴブリンの【足払い】を感知し、蹴り返します。

私自身が仕掛けられたときに使用してもいいですし、ご一緒できる猟兵さんがいたら、その方に蹴りを仕掛けようとしてるところをこちらが仕掛けてもいいでしょう。

いずれにしても、蹴りを放とうとしたゴブリンの片足が浮いているところを、残った軸足にこちらの蹴りを入れて、スッ転ばしてやりましょう。


月舘・夜彦
ゴブリン達の数は今は然程多くはありませんが今後も群れを成すならば
周辺の町や村の脅威となるでしょう
そして人の恋路を邪魔する者は馬に蹴られてなんとやら
残念ながら馬で済みそうになりませんが……御覚悟を

数が多い為、自分から近い相手や味方が狙っている敵と戦い、各個撃破を狙います
敵の攻撃は接近のみ、此方も敵が接近したタイミングに合わせて剣刃一閃で対抗します

最初に金切り声を上げたものはリーダーの可能性があります
声を合図に狙う敵の指示や相手も一人に狙いを絞ってくることを考え
深追いして敵との距離を詰め過ぎないよう警戒
味方が狙われそうな時には味方を狙う敵を攻撃してフォローしましょう


緋月・透乃
スライムにゴブリンなんていかにもファンタジーって感じだね!
アックス&ウィザーズでの私の初陣の相手として丁度よさそうだし、さくっと倒しちゃおう!

【POW】
あんまり強くなさそうとはいえ、囲まれると危なそうだね。
ぴょんぴょん跳ねながら「おいでおいで~」と挑発して、逃げるよ。
逃げているうちに足の速い固体が突出してきたらこっちのものだね。
反転して一気に間合いを詰めて、バトルアックスで全力をこめた捨て身のグラウンドクラッシャーを仕掛けるよ!
盾の防御ごと破壊して一撃で決める気持ちでいきたいね!
突出した奴がでなかったら隅の奴に同じように攻撃するよ。
どっちにしろ、素早く倒して囲まれないようにしたいね。


ナミル・タグイール
モンスター退治だけならわかりやすいにゃ。
少なくてもちゃんと報酬もらえるなら頑張るマスにゃー!

ワラワラしてるにゃ…。多いにゃ。
相手が集団なら【堕獣の腕輪】で変身して大暴れしちゃうにゃ!
蹴散らすだけなら任せろデスにゃー!
理性失っちゃうから敵集団の真ん中で使いたいにゃ。

周りに仲間がいるなら【堕獣の腕輪】は使わずに斧を振り回して戦うにゃ。
仲間攻撃してあとで怒られたくないデスにゃ…。


ユキノ・サーメッティア
さて、何はともあれ
村と町を繋ぐ道が使えないと今後とも支障が出るだろうね
というか、出てるんだけど…

使用技能、
属性攻撃、2回攻撃、範囲攻撃、衝撃波、鼓舞、辺りかな

ユーベルコード、攻防共にトリニティ・エンハンス


1人で5匹相手は危険なので
他にも人が居るだろうし、その人達と協力しよう

攻撃時は炎で攻撃強化、余波で別のゴブリンを巻き込めるか?(範囲攻撃)
攻撃を受けるときは風を体表に薄く纏って
衝撃の軽減を狙おうか

ゴブリンが盾で防御するなら衝撃波で盾ごと吹き飛ばすつもりで!

体勢を崩されると乱戦になってると危険だね
フォローして体勢を整える時間を作ろうか(鼓舞)


イデアール・モラクス
クク…花嫁か、美しい娘ならば私が手籠めに…冗談だ、そのような無粋はせん。
私は人の幸せを壊すのが大好きだが、人の幸せを壊そうとするヤツをブチ殺すのがもっと好きなんだよ…アーハッハッハ!

・戦法
「フン、醜いゴブリンが…臓物をブチ撒けて少しは見栄え良くなるがいい!」
高速詠唱を用いて鏖殺魔剣陣を連射、遠距離から一方的に魔法で殲滅…この手の数頼み共には有効な戦法だろう。
「アッハッハ!
啼け、喚け、跪き命乞いをしろ!
私の気まぐれで1匹くらいは生かしておいてやるかも知れんぞ?」
後方からの魔法攻撃は仲間の援護にもなる、ひたすらに放ち鏖殺だ。
「どうした?命乞いが聞こえないぞ?
まぁ、ゴブリン語は分からないけどなぁ!」


ラムダ・ツァオ
相手は五匹、多くはないけど囲まれたら厄介ね。それを念頭に置きつつ、相手を怯ませるためにも機先を制したいわね。
外套をパッと脱ぎ捨て、目くらまし代わりにした隙にシーブズギャンビットで手近なゴブリンをばっさりやっちゃいましょう。
多少の攻撃は十分に見切れると思うけれど油断は禁物。
他の皆の位置を考慮して、互いの背を守れるくらいには意識したいわ。
深手を負わせるのは苦手だけど、その分足と手数で勝負ね。
それと囲まれるのを防ぐためにもできるだけ側面に回り込んで、こちら側が囲む形をとりたいわ。


霧島・クロト
おーおー、血気盛んなこって。だがしかーし。態勢を屈めると不利になりそうなものいってみっかァ。
【ウィザードミサイル】を【属性攻撃】のせてゴブリンにシュートだァ。
巧く着火出来ちまったら態勢を屈める暇もなさそーだしな。
数減らし>着火ぐらいの気持ちで。

あとは接近される前の牽制を意識する、って辺りだなァ。
ファンタジーに不釣り合いな機械魔術。見せてやろーかァ?


小宮・あき
私の宿敵「ポゥリン」が現れたと聞いて、ユリウスさん(f04166)と挑みに来ました。まずはゴブリン退治ですね。ゴブリンを倒して、ポゥリンの可愛さを愛で…いいえ、倒しに行きましょう!

「ジャッジメント・クルセイド」で向かってくるゴブリンに攻撃します。
多くを仕留めようとせず、確実に1体ずつ仕留める事に専念。
深呼吸して正面を見、身体の軸がぶれないように両足でしっかり立つ。
距離のあるうちに1体、出来ればもう1体を仕留めたい所だけど…。

冷静なつもりでも、初依頼、宿敵出現など、冷静さに欠ける部分があるかもしれない。ユリウスさんはベテラン猟兵。
「何があるか判らない…頑張る、けど、フォローをお願いします!」


ユリウス・アルバート
御嬢(小宮・あき)が張り切って依頼に来たので護衛兼フォローとして参加です
冒険者としてもゴブリンは見過ごせませんからね それではお仕事を始めるとしましょうか
初依頼とは言え御嬢も落ち着いているようで何よりですね、無理をせず確実に倒そうとしているようですし
私は私で確りと役目を果たすとしましょう
『燃えて抱擁せよ』 大量に生み出した炎のハーピィを侍らしながら寄ってくるゴブリンへ攻撃
特に御嬢の打ち漏らしや寄ってくる相手を集中的に狙いましょう
更に二回攻撃を用いて御嬢のフォローに抜かりが無いように万全を期しましょう
生きてるなら頭を燃やせば呼吸を止めれそうですよねぇ
「えぇ勿論、御嬢が望むなら望むままに」


リダン・ムグルエギ
結婚式ね…ココの衣装(ドレス)の事情を聴いたり文化に触れて創作意欲を得るチャンスかしら
って、ゴブリン?面倒臭…
いえ、動画撮影のチャンス?(スマホを手に

戦いは全て仲間に任せてアタシは…箱の上に乗って動画撮影に勤しむわ
高い位置にいれば敵はアタシを、そして服を見ちゃうでしょ?
「催眠術」は得意なの
ユーベルコードで【生物全部がゴブリンに見える】ような暗示をかけたらきっとまごまごするんじゃないかしら?
その間に他の猟兵さんが無双するのを撮影!
レアな同士討ちの動画も取れるかも?
うん、立つだけで仕事終わりなんて本当に楽よね

攻撃されたら全力でキャーキャー逃げ惑うけれど撮影はやめないわ

アドリブや他の人との絡み大歓迎



「わらわらしてるにゃ……」
 ナミル・タグイールは街道に溢れるゴブリンの群れを眺めそう呟いた。その顔にはどこか唖然とした様子が浮かべられている。無理もない。ゴブリンの繁殖力は強く、成長スピードも速いのだ。皆一様に同じ姿をしたものが大勢こちらを向いていた。
「スライムにゴブリンだなんていかにもファンタジーって感じだね!」
 緋月透乃はそんなナミルに至極楽しげな声を返す。軽く屈伸をし、その場でぴょんぴょんと跳んでみた。アックス&ウィザーズでの初陣の相手としては丁度良い。透乃は向かってくるゴブリンたちの動きを眺める。
「モンスター退治だけならわかりやすいにゃ。少なくてもちゃんと報酬もらえるなら頑張るマスにゃー!」
「うん! さくっと倒しちゃおう!」
 お金が大好きな猫獣人のナミルは、じゃらじゃらと身につけた装飾品を鳴らして目の前の挑むべき敵に相対する。温厚でぼーっとした性格だが欲しい物のためならば手段は選ばないナミルの眼にはゴブリンたちが金のピカピカに見えているはずだ。
 そんな、にこやかに言葉を交わす二人の後ろで、拳を握りしめて小さく呟く者がいた。
「そうです。はやくポゥリンの可愛さを愛で……いいえ、倒しに行きましょう!」
 小宮あきはあくまで平静を装っていた。アックス&ウィザーズの世界へ足を踏み入れたのは、自身の宿敵であるポゥリンが現れたと耳にして居ても立ってもいられなかったからだ。正直ゴブリン退治どころでは無かったが、目の前にいる敵を倒さなければポゥリンへはたどり着けないのである。
 傍らに立つユリウス・アルバートに悟られぬよう、あきは密かに期待に胸を躍らせていた。はやる気持ちを抑え込み、目の前の敵に集中する。あきにとってアックス&ウィザーズでの依頼は初めての経験であった。確実に、一匹だけでも良いから必ず仕留めると心に刻む。
「えぇ勿論。冒険者としてもゴブリンは見過ごせませんからね」
 お嬢も落ち着いているようで何よりです――初めてのモンスター退治に、あきが不安を抱えていないかと、あきよりもベテラン猟兵であるユリウスは心配をしていた。しかし様子を見る限り、その考えは杞憂だったようだ。
 あきはひとつ瞬きをし、ユリウスに向かって言葉をかける。
「何があるか分からない……。頑張る、けど、フォローをお願いします!」
「承知致しました。御嬢が望むなら望むままに」
 気合いを入れるあきとともに自身も気を引き締め、向かってくるゴブリンたちを見据える――私は私の役目をしっかり果たすとしましょう。
「それではお仕事を始めるとしましょうか」
「頑張りましょう!」
 大きく頷くあきの声に、ユリウスは微笑みを向け、白手袋の緩みをはめ直す。

「村と町を繋ぐ道が使えないと今後とも支障が出るだろうね。というか、すでに出てるんだけど……」
 ユキノ・サーメッティアは蔓延るゴブリンたちを迷惑そうに見つめてそう零した。このモンスターによって迷惑するのはユージーンだけではない。このまま増え続けるゴブリンを放置し続けてしまうと村や町にも大きな影響が出るのだ。現に村からは退治の依頼が出ていることもある。既にかなりの支障を来しているのであろう事は容易に考えられた。
 月舘夜彦もその声に同調する。
「ええ。今は然程多くはありませんが、今後もゴブリンたちが群れを成すならば周辺の町や村の脅威となるでしょう。ここで殲滅しておくのが良いのではと思います。……花嫁も家族の元へ通える道がないと悲しむことでしょう」
 たとえ家を離れようとも、大事な家族の顔を見るというのは大切なことである。引き裂かれてしまった二人のように今後も悲しむことがあってはならない。夜彦の胸に深く残る記憶がそう告げる。
「クク……花嫁か。美しい娘ならば私が手籠めに――」
 漆黒の髪を揺らす暴虐の魔女、イデアール・モラクスはそう言いかけて自らの言葉を引っ込める。
「人の恋路を邪魔するやつは馬に蹴られてなんとやら」
「馬に蹴られて死んじまえ。あいにく馬は連れていませんが代わりに私が蹴っ飛ばしておきましょう。あの青年もそれで溜飲を下げて下さるといいのですが」
 夜彦の言葉を引き継いだのは花宵稀星である。どうやら二人して考えることは同じだったようだ。モンスターによって愛する人と引き裂かれそうになっているユージーンの事を思うと、何かしら手を差し伸べたいと思うのが心ある者の性であろうか。言葉は穏やかであるが、その目には確かな炎が宿る。
「残念ながら馬で済みそうにありませんが……御覚悟を」
 不穏な言葉はモンスターに向けられたものであったが、イデアールは熱き二人の言葉に身の危険を感じ、視線をうろうろと彷徨わせる。
「冗談だ。そのような無粋はせん。私は人の幸せを壊すのが大好きだが、壊そうとするヤツをぶち殺すのがもっと好きなんだよ……アーハッハッハ!」
 高らかに笑い声を上げ、暴虐の限りを尽くすべく目の前の敵を睨み付けた。

「結婚式ね……ここの衣装について聴けるかしら」
 リダン・ムグルエギはアックス&ウィザーズの衣装や文化に興味を持っていた。創作意欲を得るチャンスだと考えてこの世界へ足を伸ばしていた。それなのに目の前には面倒くさそうな魔物の群れ……。駆けてくるゴブリンたちを眠たげな瞳で見遣りながら、リダンは愛用のスマートフォンに手を伸ばす。
「――いえ、動画撮影のチャンス?」
 はた、と気が付きそれを構える。面白そうな事を思いついた、と口の端を軽く持ち上げ周りを眺めた。これはいい画が撮れそうだ。

「戦いは任せるわ。催眠術は得意なの」
 スマートフォンを片手に構えたリダンは、そう言って先陣を切り皆の前に飛び出した。向かってくる五匹のゴブリンがリダンにターゲットを付け一気に迫ってくる。リダンは自身が手がける小さなファッションブランド――『GOATia』の服の裾を風に靡かせ、ゴブリンたちの視線を一挙に集めては眼を細めて小さく呟く。
「あーあ、面倒臭いわ。見た時点で、戦う前に勝負は決まってるのに」
 瞬間、ゴブリンの進行が停止し周囲を不思議そうな表情できょろきょろと眺めだした。
 ゴブリンたちに見えているのは目の前に突如として現れた同じゴブリンの仲間――いや、仲間に見えているのは、リダンが流し込む嘘の情報により『生物全部がゴブリンに見える』ように仕向けられた猟兵たちである。
 知能の低いゴブリンたちはなぜ目の前に仲間が現れたのか理解することが出来ずにまごまごと周囲を見渡すばかり。
 リダンは面白おかしそうにその様子を手元のスマートフォンで撮影し始めた。
「やりますね。この機会、逃さぬ手はありません」
 動きを止めたゴブリンの様子に今が好機であると駆けだしたのは夜彦。
 突出した一匹のゴブリンに狙いを定め、美しい刀身に光を携え剣刃一閃を放つ。
 ゴブリンの体が散り散りに切り裂かれる。
『――ギ……ッ』
 間近に接近した仲間に、何の警戒心も持たなかったゴブリンは短い悲鳴を上げて息絶えた。周りのゴブリンたちがキィキィと甲高い声で騒ぎ出す。それもそのはず、突如として同じ仲間が武器を手に同族を斬り殺したのだ。
 混乱に陥ったゴブリンは手当たり次第、周囲の仲間に武器を振るい始め、三匹のゴブリンが仲間によって次々に命を落としていく。いつのまにか前線に残ったのは残り一匹のゴブリンだけとなっていた。

「確実に、一匹ずつ」
 あきはその一匹を確実に狙い、指先を視線の先に集中させる。深呼吸をして体の軸がぶれないようしっかりと地面に足を付けてジャッジメント・クルセイドを放つ。天から伸びる一筋の光は僅かに狙いを外れたものの、確実にその力をゴブリンへのダメージとしていた。
 残ったゴブリンの後方で、金切り声を発した一匹がまた鋭い声を発すると、周りで様子を窺う者たちが十匹ほどの群れをなして突撃を始めた。あきが仕留めることの出来なかった一匹は自身を指さすあきに足払いをかけようと勢いのままに突進する。
「ユリウスさん! お願いします!」
「燃えて抱擁せよ」
 あきの攻勢を引き継ぐユリウスの周りに現れた炎のハーピィは、まるでそれぞれが意思を持ったかのようにくるりと火の粉をまき散らしながら飛んでいった。
 残ったゴブリンと、向かってくる四匹のゴブリンを確実に仕留めるハーピィたちは、まるで熱きダンスでも楽しんでいるかのように華麗に宙を舞う。頭上を旋回し、炎と共にゴブリンの頭へと纏わり付く。
『――――!』

「フン、醜いゴブリンが……臓物をブチ撒けて少しは見栄え良くなるがいい!」
 熱さにもがき苦しみ息絶えたゴブリンの悲鳴を聞いてイデアールは忌々しげに吐き捨てた。
 向かってくる敵の残りは六匹となった。この数の敵には有効な戦法であろう。イデアールはゴブリンたちを睨み付けると、素早く、そして高らかにユーベルコードを詠唱する。
「魔力よ、我に仇なす尽くを串刺しにしてしまえ! 鏖殺魔剣陣!」
『キィィギッ――ッッッ』
 突出した二匹のゴブリンに無数の魔方陣から放たれた魔力の剣が突き刺さる。一匹は脆くも剣の錆となり、もう一匹も風の吹きすさぶ大地に顔を押しつけ倒れ伏す。イデアールはそれに近づき頭上から楽しげな笑みを浮かべて声を張り上げた。
「アッハッハ! 啼け、喚け、跪き命乞いをしろ! 私の気まぐれで一匹くらいは生かしておいてやるかも知れんぞ?」
 挑発を繰り返すイデアールに倒れ伏したゴブリンが起き上がり、捨て身の蹴りを繰り出そうとする。
「往生際が悪いのです。そのまま伏していて下さい」
 それを見ていた稀星は間に入りミレナリオ・リフレクションを利用して、ゴブリンの振り上げた足とは逆の残った軸足を蹴り返すことでその動きを止めた。
「だから言ったのです。私が蹴っ飛ばしておくと」
 稀星によって再び地面に倒れ伏すこととなったゴブリンは、転がる自らの剣を手に取ろうと腕を伸ばす。
 しかしその手が届くことはなかった。思わぬ不意打ちにより機嫌を損ねたイデアールが、赤い瞳に冷酷の色を湛え足下のゴブリンの手を踏みつけたのだ。
『ギ……ッ』
「どうした? 命乞いが聞こえないぞ? まぁ、ゴブリン語は分からないけどなぁ!」
 引き攣る悲鳴を上げ、イデアールの下敷きとなったゴブリンはじわじわとなぶり殺されていく。
 横で見ている稀星は切れ切れに響き渡るゴブリンの悲鳴を耳にし、鬱陶しそうにため息を吐いた。

 周りを取り囲む七匹のゴブリンを冷静に見つめ、透乃は駆けだした。
「おいでおいで~」
 軽い足取りでぴょんぴょんと跳ねまわりながら周囲を引きつけ逃げ回る。釣られたゴブリンたちは一斉に後を追いかけるが、透乃のすばしっこい動きに翻弄されなかなか追いつくことが出来ずにいる。
 どころか群れは散り散りになり始め、いつの間にやら足の速いゴブリンだけが群れを離れて突出してしまっていた。知恵のないゴブリンにはそれが何を意味するか理解できず、まんまと透乃の策に嵌まってしまっていることにも気が付くことはなかった。
「こっちだよ! っと」
 透乃は急速に反転をし、一気に間合いを詰める。透乃の気配に気付いたときにはもう遅い。
『ガァッ――ッ』
手にした無骨なバトルアックスで破壊の一撃を食らわせる。ずっしりと重いその一撃は盾どころか地面さえもたたき割り、跡には息絶えたゴブリンが一匹、無残に転がるだけであった。
「深手を負わせるのは苦手だけど、足と手数なら負けないわよ」
 ラムダ・ツァオは散ってしまった敵の一匹に狙いを定めて地を駆けた。囲まれると厄介だ。味方の位置を考慮して敵の側面に回り込んだかと思うと、纏っていた漆黒の外套を眼にも留まらぬ早技で脱ぎ捨てる。ゴブリンの眼の先には黒い影が残るのみ。ラムダはゴブリンの眼をくらませる事に何の滞りもなく成功させた。
『――?』
 ゴブリンがラムダを見失ったことに気が付いたときには既にすべてが終わっている。
「逝きなさい」
 片手に構えた黒い短剣を振りかざし、鋭い風切り音を響かせながら切りかかる。スピードに特化したその一撃は確実に敵の頸動脈を引き裂き、相手の命を瞬く間に奪い去った。
 あまりもの早技にその場にいた味方の内の率直な者誰しもが目を剥き、賞賛を惜しまないほどであった。
「すごーい! 私も負けてられないね!」
 透乃は素早いラムダの動きに目を輝かせて関心しながら、自身をも鼓舞するのだった。

「おーおー、血気盛んなこって」
 霧島クロトは目の前を走り回るゴブリンや仲間たちを眺めて眼を細める。いかにも西洋風のファンタジー然とした世界が視界いっぱいに広がっている。元いた世界とはまた違うアックス&ウィザーズ世界の雰囲気に、クロトは機械と魔法の世界を思い起こした。
「ファンタジーに不釣り合いな機械魔術。見せてやろーかァ?」
 迫ってくる敵を前に牽制を意識しながらクロトは距離感を狙い詰める。――今だ!
「――いくぜ! シュートだァ!」
 無数の魔法の矢に燃えさかる炎を纏わせ、目の前に残る五匹のゴブリン目掛けて一斉にその矢を放った。炎の帯を靡かせながら弧を描き、降り注ぐそれは次々にゴブリンたちを貫き焼き尽くす。クロトのそばへと近付く間もなく、轟々と炎を揺らしながら。
『ギィィィッ』
「おー、燃えてらァ! そのまま消えちまえよ!」
 クロトの矢に射抜かれたゴブリンたちは緑の肌を黒く焦がしながら次々に命を落としていく。
「吹っ飛べぇぇぇ!」
 それを見ていたユキノもクロトに続かんと炎の魔力で自身を強化し、属性を纏った範囲攻撃を辺り一面に繰り出した。衝撃を加えたその一撃は唸る濁流となってゴブリンたちに襲いかかる。防ぐ盾をも押し破り、灼熱の海へとその体を奪い屠っていく。
 押しつぶす熱、熱、熱――。
『――――!』
 瞬く間に炎に覆われた大地の上でゴブリンたちは無残に黒い煤となり、ぼろぼろとその身を自然へと還していった。
「さて、次は誰が来るのかな?」
 ユキノの見つめる先には残されたゴブリンが五匹。一匹は形勢の不利に怯え金切り声を上げながら、残りはただただまごつきながら逃走を始めようと動き出していた。ここで逃がしてしまえば元の木阿弥となってしまう。
 夜彦は金切り声を上げる一匹がリーダーであると認識し、それが逃走の指示を出している事に気が付いた。
「逃げます!」
 叫ぶ夜彦の横を颯爽と駆け抜ける影があった。ナミルである。
「蹴散らすだけなら任せろデスにゃー!」
 その背中はどしどしじゃらじゃらと重たい金属音を響かせながら逃げるゴブリンに向かっていく。
「今から暴れるデスにゃ!」
 パワーは力なり!
 でかでかと書かれた様にも見える頼もしい背が次第に大きくなり、駆けるナミルの獣人体がみるみるうちに呪われた魔獣へと変化する。超攻撃力と超耐久力を得たタグイールは本能のままに逃げるゴブリンたちに襲いかかった。
 噛みつき、振り回す。
『グギィィィッ』
『――ガァアッ』

「立つだけで仕事終わりなんて本当に楽よね」
 ナミルが縦横無尽に暴れ回る様を眺めながら、リダンは面白い動画がばっちり撮影できたと喜んで、スマートフォンを構える手を下ろす。リダンの強力な催眠術により敵味方の判別が出来なくなったゴブリンたちは、一気にその牙を折られ、崩壊へと導かれてしまったのであった。
「同士討ちも見られたし、満足満足」
 あとはしばらくナミルの暴走が納まるのを待つだけである。

 ゴブリンたちの亡骸が転がる街道に柔らかな風が吹いてくる。
 もう少しでこの道の脅威は取り除かれるのだ。
 猟兵一行は脅威の根源、ポゥリンを目指して橋までの距離を駆け抜けた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『ポゥリン』

POW   :    増える
レベル×5体の、小型の戦闘用【ポゥリン・ミニ 】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
SPD   :    固まる
全身を【漬物石 】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
WIZ   :    伸びる
自身の肉体を【液体スライム 】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
👑17
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石畳の街道を走り抜けると、底の深い川の岸辺が見えてきた。
 吹き抜ける風に混じる僅かな水の匂い。急流のざばざばと岩を叩き付ける音も、一歩一歩近付くごとに大きくなる。
 日の光を反射してキラキラ輝く水面に映り込む影が淡く滲む。影を辿ると、石造りの橋の上に大きな桃色の薄透明のものが、その身をぷるぷると震わせながら佇んでいるのが分かった。
 あれが噂の『ポゥリン』であろう。
 猟兵たちが近付くも、ポゥリンはただただ大きな瞳でこちらをじぃっと見るばかりで、一向にその場から動く気配を見せないでいた。
月舘・夜彦
見た目はゴブリンよりも戦力は無さそうに見えますが
奴がゴブリンを増やしていたのならば放っておくわけにもいきません
引き続き、私も向かいましょう

ポゥリンの増殖に警戒
一撃で倒せるとしても群れて攻撃をされれば軽傷では済まないでしょう
増殖した時には先にミニを一掃、【2回攻撃】を活かして戦います
敵が固くなった時にはダメージを与えられない為、距離を置き体勢を整える
ミニが残っているならば倒しておきましょう
伸びた時には逃げる可能性もあります
剣刃一閃で伸ばした肉体を斬り裂いて妨害しましょう


イデアール・モラクス
あれが親玉か?
何とも緩い雰囲気だが…力は本物のようだ。

・戦法
「嬲り甲斐のない奴は好きではない、ツマラナイからな」
高速詠唱、全力魔法、属性攻撃の効果を乗せてウィザードミサイルを発射、遠距離から私の炎で徹底的に焼く。
「私の炎に焼けぬモノなど無いのだ!
アーハッハッハ!」
追憶の長銃にも追撃させひたすらウィザードミサイルを撃ち続ける、どれだけ耐久性があろうと必ず滅す、それに…。
「余計な小細工はさせぬ、炎に巻かれ喘ぐ以外、貴様に出来る事などないのだ!」
防御で手一杯にさせれば他の猟兵たちの援護になるだろう。
「さぁ、フィナーレの時だ!」


花宵・稀星
ゴブリンを退治したと思ったら、みょいーん、みょいーんと伸び縮みする面妖な魔物が現れましたね。こんなみょうちきりんなのが事件の首魁とは……。

なんにしても、この伸び縮みする身体がやっかいですね。【エレメンタル・ファンタジア】で「氷属性の噴出(噴火)」を引き起こすです。ポゥリンの足(?)元の地面の割れ目から冷気が噴き出させ、それで液状化した身体をカチンコチンに凍らせます。

普段は攻撃をしなやかに受け流す液状の身体でも、氷漬けにさえしてしまえば、衝撃を与えた際にパリーン、ですよ。

(真の姿の詳細設定はまだありませんので、真の姿の発動に触れるなら、ぼかした描写でお願いします)


ナミル・タグイール
なんだか可愛いにゃ!あんまり強そうじゃないデスにゃ。
誰か作戦があれば待機
特にないなら無警戒に接近して戦うデスにゃ!

前線に出て戦うにゃー!パワーしながらみんなの壁にもなるマスにゃ!

スライムに斧ってきくのかにゃ…。きっときくにゃ!斧はパワーにゃ!
斧を振り回して戦うにゃ!可愛くても容赦はしないデスにゃ。
斧がきかないなら【ガチキマイラ】で手をライオン化させて噛みつき
美味しそうな見た目だけど味はどうかにゃ…。
攻撃全てに【呪詛】をつけるにゃ!呪うにゃ!


リダン・ムグルエギ
あのデカイは…面倒くさいから皆に任せるわ
餅は餅屋の精神よ
ナミルちゃんのような単身戦う人へ即席で「防具強化」したマント作って支援するわ

次の動画は「雑魚モンスターをハメてみた」よ
キマイラ格言集にも「ハメれる敵はハメないと失礼」とあるわ
レプリカクラフトでマキビシ等の仕掛け罠を1列に配置
ミニにおびき寄せては罠を飛び越えて、ハメる、を繰り返すわ
ミニが寄ってきやすいような模様の「催眠術」を仕込んだ服を着て、罠の円の中心に立つなんてできたら理想的楽さね

アタシの仕事のメインは戦後
残りのレプリカクラフトで橋の破損部分を修理するわ
服じゃないけれど、少しはデザインにも拘ってみようかしら

アドリブや他の人との絡み大歓迎


ラムダ・ツァオ
『ポゥリン』ね。
ところでアレ、切れるのかしら。
とりあえず近づいてくるボウリン・ミニを切り払うのを重視するわ。
隙があれば切りつけてみるけど、効果が薄ければ切りつけた直後に油壷でも投げつけてみたらどうしから。
くっつけなくなってくれれば幸いだけど、
……油を吸収して、よーく燃えるポゥリンになった場合は……
燃え上がる前に千刃で切り刻みましょうか。
全く効果がないわけじゃないでしょうし、千切りでも微塵切りでもとことんやってみるわ。
そうそう、足元が濡れているだろうし、気を付けるように呼び掛けておくわね。


ソルカ・キャラハン
コイジのお邪魔をするふてぇやつ、な魔物さんはあちらですかにゃ?
なんだか、うぇでぃんぐけーき、に乗っていただけたりしたら、ちょっとすてきになりそうな…いやいや。

それでは、サウンド・オブ・パワーにてみにゃさんのサポートをば。
フィドルを調律しましたらば演奏開始といきましょう、みにゃさんやっちゃってくださいですにゃ!

れっつげっとめりぃ!

清めましょう、ふたりが歩むばーじんろーど♪
お邪魔をするブスイな困難さんは ケーキナイフで一刀両断!
ことほぎましょう 未来への船出 水先案内はおまかせを♪

演奏をお聴きいただけたら、弓矢でみにゃさんを援護いたしますですにゃ。
ミニ魔物さんのお片付けや牽制をしていきましょう。


ユキノ・サーメッティア
なんだろ?このスライム?
…スライムでいいんだよね?

【SPD】だとほとんど攻撃通らないみたいだけど
ずっとそのままって訳でもないでしょう
解除後の隙でも狙ってみようか?

『トリニティ・エンハンス』での
水の状態異常の【属性攻撃】
毒性の水を武器に纏わせての攻撃で
弱らせてみよう

【衝撃波】を併用するば
あの軟体ボディにもそれなりにダメージいくかな~?

【POW】の対処は、まぁ、そのまま【なぎ払い】すればいいかも

ただ【WIZ】は射程が長そうだから常に視界に
ポゥリンを入れて気を付けておこう


ティエル・ティエリエル
「ふむふむ、あのスライムのせいで花嫁さんが困ってるんだね。ボクも花嫁さん見たいから頑張るよ!」

ポゥリンの攻撃が届かないような高さで、傷ついた仲間達の周りを忙しく飛び回って「小さな妖精の輪舞」を使ってどんどん癒していくよ☆
【翅から舞い散る妖精の粉】はキラキラ光って見えるんだから♪

ポゥリンの動きをよく見て【伸びる】兆候が見えたら直前までひきつけて攻撃を【見切り】、伸びきったところを【カウンター】だよ。
レイピア型の獣奏器で突いて突いて突きまくるよ!


緋月・透乃
【POW】
おー、あれがポゥリン、見た目は可愛いねー。
とはいえスライム狩りはファンタジーの醍醐味、可愛くてもやっつけちゃおう!
それにしても、こんなのがゴブリンを率いていたなんてねー。モンスターだから種族関係なく強い奴に従うのかな?

戦闘が激しくならないうちにお肉を食べてフードファイト・ワイルドモードを発動しておくよ。
敵が1体の時はできるだけ接近してガンガン攻撃をしていくよ。多少のダメージ等を気にせずにね。
増えたら囲まれないような位置に移動して、増えた奴から倒していくよ。
固まった時は下手に手を出さずにお肉を食べよう。
伸びた時は、伸びきっている部分が斬りやすそうな気がするから、そこを狙ってみよう。


霧島・クロト
【ヴァリアブルウエポン】で攻撃回数>命中率>火力モードだ。
ポゥリン・ミニが一撃で消滅するってンなら増えた先から蜂の巣にしてやるまでってな。
念の為に足りなさそうな火力を【属性攻撃】で氷魔術をつけてフォロー。
機動力の方は『貪狼の疾走』(宇宙バイク)を【騎乗】スキルでかっ飛ばす事で補うぜェ。
増えたポゥリンを片っ端から片付けて露払いっていうか数的な優位を保つことを念頭に暴れまわってやるかァ。

「おおっと、立ち往生されると物理的にどかしてやるしかなくなるンでなァ。お引取り願うぜェ!!」


小宮・あき
「私の可愛いポゥリン、悪さは許しません!」
宿敵ポゥリンの登場に、若干胸が躍っています。だって可愛いんですもの。
けれど、村の迷惑になっているのは見過ごせません。
というか、橋の上って…。あなた、挟まって動けないでしょうに!

ポゥリンが漬物石状態では何もできません。その間は何もせず、形状が「伸びる」の時に、【ジャッジメント・クルセイド】で攻撃をします。単純火力で技対決。橋の上には他の猟兵もいる事でしょう、私は後方からユリウスさん(f04166)と並んで同時に攻撃。

伸びるって事は、体積も薄くなりますし…何より後方から狙いやすいんですよ。的が大きい訳ですから。私とユリウスさん、結構な火力を持っていますよ!


ユリウス・アルバート
御嬢(小宮あきf03848)と一緒に共闘します
相手は攻撃よりも防御に秀でているようですねぇ
単純な遠距離攻撃ならば此方が有利でしょう、他の猟兵が居るので前に出る必要も無さそうですしね
漬物石状態だったら基本的には手を出す必要は無さそうですね、攻撃するだけ無駄でしょうしね
狙うは増える時と伸びる時ですかね、この状態ならば私の攻撃とも相性が良いでしょう
『穿ち破裂せよ』
頑張りましょうと御嬢に声を掛けて【鼓舞】してから攻撃を仕掛けるとしましょう
有効な技能も少ないですが、それでも単純に大量の手数なら押し負ける事は無いでしょうしね
爆発による【衝撃波】と【二回攻撃】による連続攻撃で一気に押し切りたいですね



「ゴブリンを退治したと思ったら、みょいーん、みょいーんとこれまた面妖な魔物が現れましたね」
 視線の先でこちらを見つめるポゥリンを眺めながら、花宵稀星は今回の騒動の原因である存在について、いささか信じられないような顔で首を傾げた。
「こんなみょうちきりんなのが事件の首魁とは……」
「ゴブリンよりも戦力は無さそうに見えますが、奴が率いてきたのであれば放っておくわけにもいきません」
 月舘夜彦も後に続いてそう呟く。何にせよポゥリンがこの道を塞いでいる犯人であることに変わりもなく、またゴブリンたちの増殖にも関係するのであれば、このまま放置するという道は万が一にも有りはしないのだ。

「おー、あれがポゥリン。見た目は可愛いねー」
 緋月透乃は可愛さ溢れるポゥリンを前に、楽しそうに伸びをする。思わず口に出してしまうほどには、薄透明のその生き物は可愛らしい見た目をしていた。
 とはいえスライム狩りはファンタジーの醍醐味。可愛くても容赦はしない。透乃は口の端を持ち上げた。
 兎にも角にも忙しくなる前にフードファイト・ワイルドモードを発動しておこう。透乃は持ってきたこんがりお肉に手を伸ばす。フォークに突き刺した見るからに美味しそうなその肉に、瞳を輝かせ片手で礼を取った。
「いただきまーす!」
 一口噛むと焼きたてでも無いというのに、なぜだかじゅわっと肉汁が口の中に溢れ出す。口内を満たすその味に透乃は満足げに頬を薄く染め、眼を細めた。
「ん~! 美味しいー!」
 一口、もう一口。食べる端からざわざわと全身の細胞が活性化し、透乃の体に力が漲る。食べれば食べるほど戦闘力が増す。これこそがフードファイト・ワイルドモードの効果なのであった。

「私の可愛いポゥリン、悪さは許しません!」
 小宮あきは遂に目の前に現れた宿敵・ポゥリンの姿にドキドキと胸を高鳴らせていた。なぜあきはここまでポゥリンと対面できることに喜びを感じているのか。その瞳は言葉よりも雄弁に胸躍るあきの心を物語る。――だって可愛いんですもの!
 しかし村の迷惑になっているということは見過ごせない。
 はた、と気付く。もしや挟まって動けないのでは……?――あきははらはらとした表情で橋の上に鎮座するポゥリンの様子を見つめていた。
 同伴するユリウス・アルバートは苦笑いを浮かべてそんなあきをそっと見守るのであった。

 全く動かぬ様子のポゥリンに向かい、先陣を切って動き出したのはナミル・タグイール。
「なんだか可愛いにゃ! あんまり強そうじゃないデスにゃ」
 ナミルはのほほんとした顔で、無警戒にポゥリンへと近づいた。ポゥリンの大きな瞳を見つめて首を傾げる。ポゥリンもぷるぷると震えてナミルを見つめる。
 ――ふたりの間にしばしの時が流れ、ナミルは遂に打って出た。
「……可愛くても容赦はしないデスにゃ」
 そう言うとナミルは不穏な空気を纏った黄金の斧を大きく振りかぶり、ポゥリン目掛けて一気に振り下ろす。
「パワ――ッ!」
 斧はパワーである。その一撃は強烈な衝撃を持ってポゥリンへと突き落とされた。続いて二撃、ナミルは金斧を震えるその身に叩き付ける。ついでとばかりに付けられた呪いの影響か、ポゥリンの身体が薄く紫色に濁っているかのようにも見えている。そんなはずは無いのだが。
 衝撃に押され弾力を持って飛び跳ねたポゥリンの瞳には、じわじわと涙の様なものが溜まりだしていた。
「泣いたってだめデスにゃ! そこをどいて貰うのにゃー!」
 ナミルが厳しくそう言うと、ポゥリンの瞳に溜まる大粒のそれが怒濤のように溢れだす。
 すると周りには見た目こそ同じであれ、人のこぶし大程の小さな『ポゥリン・ミニ』がどこからともなくわらわらと召喚され、大きな群れをなしていく。
「にゃー! 増えたにゃ! こ、こうなればナミルがみんなの壁になるマスにゃ!」
 ナミルは斧を握る手に力を込め、いざ倒さんと気合を入れ直すのであった。

「あらま、大変ね」
 リダン・ムグルエギは率先して壁となるナミルの背中を見て呟いた。ポゥリン・ミニどころか大きなポゥリンまでもが、ナミルに向かい今にも攻撃を始めんと力を溜めているのだ。
「あのデカいのは面倒くさそうだから皆に任せるわ」
 餅は餅屋の精神、とばかりにリダンはその様子から背を向ける。
 ひとまずナミルの支援に徹しようとリダンが取り出した物は『ミシンオブゴート』と名付けられた特殊なミシン。このミシンはリダンが思い描いた衣服を即座に製品化してくれる、まさにトレンドを一瞬で染める『彼女の武器』であった。
 タタタンと小気味の良いリズムが戦場に響き渡り、布の上を縦横無尽にミシン針が駆けていく。瞬く間に形を成して、その物は姿を顕わにした。
 リダンが作り上げた物は特製のマント。単身で戦う仲間たちに使って貰おうと、防具を強化したマントに仕立て上げてみたのだ。
「こんなものかしら? ……まぁまぁの出来ね。これ、着てみて」
 即席の出来栄えに満足げな表情は浮かべなかったものの、リダンは周りの猟兵たちに出来たマントを宛てがいながら着々と次の作業へ移るのであった。

「コイジのお邪魔をするふてぇやつ、な魔物さんはあちらですかにゃ?」
 後ろから駆けてきたソルカ・キャラハンはぷるぷると震える桃色のポゥリンを見てとあるシーンを思い浮かべていた。
 ――なんだか『うぇでぃんぐけーき』に乗っていただけたりしたら、ちょっとすてきになりそうな……。
 確かに合わないことも無い。白い絹のような生クリームに薄透明の桃色がもちっと映えて美しい……。
 いやいやと首を左右に振り、ソルカは膨らませたイメージを吹き飛ばす。こいつは倒すべき敵なのだ。
「それでは、サウンド・オブ・パワーにてみにゃさんのサポートをば」
 自身も成すべきことを成し遂げんと気合いを入れ、フィドルを調律し演奏の準備を整える。
「みにゃさんやっちゃってくださいですにゃ! れっつげっとめりぃ!」

 ――清めましょう、ふたりが歩むばーじんろーど♪
 お邪魔をするブスイな困難さんは ケーキナイフで一刀両断!
 ことほぎましょう 未来への船出 水先案内はおまかせを♪――

 かき鳴らすフィドルの調べに乗せて旅路の物語が紡がれる。明るく賑やかなその音色は周りにいる猟兵たちの耳にも温かく流れ込み、共感した者の心に闘志の火を焚き付けていった。

 ポゥリン・ミニは一匹ずつ、ナミルの斧に押しつぶされては消えていた。
 一撃で倒せるにしても群れて攻撃されれば軽傷では済まないだろう。夜彦はナミルの傍に駆け寄りポゥリン・ミニ目掛けて自身の愛刀――夜禱を振るわせる。
 曇りの無き刃が陽の光を受けて白銀に煌めく。迷いなくなぎ払われる一撃は周囲に溢れかえる10体ほどのポゥリン・ミニを見事に切り裂いていた。
「やりますにゃあ!」
 ソルカそんな夜彦の姿に背中を押され、なお一層清く高らかにフィドルをかき鳴らしていく。
 しかし未だにその数は底知れない。ポゥリン・ミニは夜彦目掛けて一斉にその身を跳ねさせて襲いかかる。続けざまに刀身を振るわせそれを振り払うがきりが無い。
「これはかなり数が多いですね……」
 今の状態では戦況の不利を招いてしまう――夜彦の額に汗が伝った。刀を握る手にも力が入る。

「おおっと、立ち往生されると物理的にどかしてやるしかなくなるンでなァ。お引取り願うぜェ!」
 そう言って宇宙バイク――『貪狼の疾走』を疾走させ、敵前に飛び込んできたのは霧島クロトだ。
 一撃で消滅するのであれば増えた先から蜂の巣にするまでだ。
 数的優位を取り戻そうと氷魔術を付与した内蔵兵器を用いた攻撃――ヴァリアブル・ウェポンを駆使し、宇宙バイクを颯爽と走らせては近くのポゥリン・ミニを片っ端から片付けていく。クロトの攻撃により冷え固まったポゥリン・ミニが粉々に砕けては消滅する。
 しかし次から次に召喚されるポゥリン・ミニはぷよぷよと勢いを増して周囲の猟兵たちへと襲撃の手を緩めることは無い。
 クロトの頭部にも数匹のポゥリン・ミニがぶつかっては跳ね転がっていく。
「いて! くっそ、マジできりねェな!」
 顔面目掛けて飛びかかるポゥリン・ミニを払いのけるが数に押されて次第にクロトにも焦りの表情が見え始めていた。
「思っていたより大変だよねー。力は強くないけど……」
 透乃も敵に囲まれない程度の位置に立ち、同じように斧でポゥリン・ミニをなぎ払いながら戦況の不利に眉をしかめていた。

「みんな、頑張って!」
 ポゥリン・ミニの攻撃を受け、僅かながらも傷を負う仲間たちの周りを忙しなく飛び回るのはティエル・ティエリエルだ。ティエルはポゥリンたちの攻撃の届かない高さを一定に保ちながら回復のタイミングを見計らっていた。
「ボクの翅の粉には傷を癒す力があるんだよ☆ それじゃあ、いっくよー! みんな治っちゃえ♪」
 ティエルの翅から舞い散る妖精の粉が、降り注いだ先の仲間たちの傷を立ちどころに治していく。キラキラと輝くその粉はまるで虹を振りかけたかのように美しい色を放っていた。
「これの難点といえば疲れちゃうところだね……でもまだまだ大丈夫☆」
 仲間の回復と引き換えに疲労する自身の身体に鞭打ちながら、ティエルは戦いの続くその上空を通過する。
 するとまるでその時をずっと待っていたかのように、液体状に姿を変えたポゥリンが驚異の伸縮性をみせてティエルの身体に打ち当たった。ティエルは衝撃に吃驚し進路をふらつかせながら低空飛行する。なんとか敵中には墜落せずに踏みとどまる事ができていたが、このままでは時間の問題だ。
「いたーい……もう! ちょっと休憩!」
 ティエルはそう宣言すると後方へとふらつく身体を休ませに一時退却するのであった。

「手伝うわ。とことん切り刻んでみましょうか」
 そう言って侵攻するポゥリン・ミニを側面から切り裂いたのはラムダ・ツァオ。
 この攻撃に全く効果が無いわけでは無い。事実ポゥリン・ミニの数はじわじわと減っていっているのだ。知能も無いこのモンスターを壊滅させることはそう難しいことでは無いとラムダは踏んでいた。
 ラムダのユーベルコード、千刃によって複製された諸刃の黒い短剣たちが縦横無尽に飛び回り、近付くポゥリン・ミニたちを次々に切り払っていく。
 半数ほどがラムダたちによって切り捨てられたその時に、ポゥリン・ミニの背後で身体を震わせていた巨大なポゥリンに変化が起こる。
 みるみるうちにポゥリンはその固さを増していく。驚く猟兵たちを尻目についには動かぬ岩のようになってしまった。
「固まった……?これは」
 これはまるで漬物石……いや、ポゥリンは確実にその身体を漬物石へと変貌させていた。
 ラムダはガチガチに固まってしまったポゥリンを目の前にして困惑の表情を浮かべる。周囲を囲む猟兵たちもつい先程までぷるぷるとしていたものの唐突な変化に戸惑いを隠しきれずにいた。
「なんだろ、このスライム? ……スライムでいいんだよね?」
 ユキノ・サーメッティアも岩のように固くなってしまったポゥリンを眺めては不審そうに首を傾げた。片刃の直剣でつついてみるが、どうやらこの状態では攻撃がほとんど通らないようだ。
 ナミルも続いてユーベルコードを詠唱し、手をライオン化させて味をみようとしてみるが、歯が立たないとはこのことか。硬い岩の感触がするだけでその味は少しも分からなかった。ポゥリンはぴくりとも動かない。
「駄目みたいだね。うーん……ずっとこのままって訳でも無いでしょうけど」
 これはしばらく変化が無さそうだ。ユキノはまずは周りにいるポゥリン・ミニたちを片付けてしまおうと仲間たちに合図する。

「できたわ」
 そんな仲間たちの後方で何かを作り終えたリダンが声を上げる。リダンを中心に一列に並べられたそれはレプリカクラフトで作られた、マキビシを模した偽物の仕掛け罠だ。一見すると本物と分からない程の精巧な造りになっている。
 特徴的な模様の服を羽織ると、辺りにいるポゥリン・ミニたちはぽよぽよと身体を跳ねさせ、まるで何かに釣られるかのようにリダンの元へと寄っていく。
 リダンの身に纏う服。これにはポゥリン・ミニが寄って来やすいよう、催眠術を掛けられた模様が仕込まれていたのだ。楽をする為の苦労ならば厭わない。リダンの作戦にも抜かりは無かった。
「どう? なかなかいい絵でしょう? 次の動画は『雑魚モンスターをハメてみた』よ」
 キマイラ格言集にも「ハメれる敵はハメないと失礼」と書いているわ――リダンはそう呟きながらポゥリン・ミニたちの様子を面白おかしそうにスマートフォンで撮影し始めた。
「へぇー楽そうでいいよね」
 透乃はそのさらに後方に下がり、追加のお肉を食べ始める。ポゥリンが固まっていてどうしようもないのだ。下手に手を出さずに力を蓄えた方が良い。
 マキビシに乗っては消えていくポゥリン・ミニを眺めながら食べる肉はなんとなくむなしいものではあったのだが、それはそれとして口に放り込んだ肉は極上の味がした。
「理想的な楽さよね」
 そう呟いたリダンに相づちを打ち、透乃は立ち上がる――さて、残りの敵をやっつけようか。

 何とも緩い雰囲気を纏ってはいるが力は本物のようだと、イデアール・モラクスは強固に固まりぴくりとも動かないポゥリンを眺め感心する。
 攻撃が通らないのであれば仕方が無い。ここは周りの殲滅に力を傾けよう。
 素早くユーベルコードを詠唱しその力を余すところなく発揮させる。炎を纏った大量の魔法の矢が一斉に放たれ、ポゥリン・ミニたちを次々に焦がし尽くしていく。
 消失する小さな塊たち。その様を素気なく眺めながらイデアールは面白く無さそうに言葉を零した。
「嬲り甲斐のない奴は好きではない、ツマラナイからな」

 距離を置いて体勢を整える夜彦は、群れから離れたポゥリン・ミニたちを一掃していた。
「あらかた片付きましたね。数が厄介になるとはこの事でしたか」
「まさかこんなにいっぱいになるとは思ってなかったよね♪」
 吃驚した、と先程の反撃を思い出しながらティエルは宙を飛び回る。
 その背後ではポゥリンの硬化が溶け再び液体状に伸び縮みを繰り返していた。ユキノは視界に入れたままのポゥリンが再び狙いを定めているのに気が付き大声を上げる。
「ティエル! 避けて!」
「――っあっぶなーい!」
 ティエルは輪ゴムのように伸びて襲いかかるポゥリンのその動きを見切り、レイピア型の獣奏器を突きつけた。
「ふふーん♪ 二度も同じ手は食らわないよ! ありがと、ユキノ☆」
 ユキノもティエルのレイピアで滅多刺しになるポゥリンに向けて、毒性の水を纏わせた直剣を振りかざす。叩き付ける一撃は衝撃波を生み出した。ポゥリンの身体が大きく引き伸ばされる。
「しぶといよ!」
 不利を悟ったポゥリンは逃走を図ろうと体積を目一杯に広げていた。しかしその動きは亀のように緩慢で、周りを取り囲む猟兵たちからは到底逃げ切れるようなものでは無かった。ナミルが付与した呪いの効果がじわじわとその身体を蝕んでいたのだ。
 ソルカの放った矢がポゥリンを逃すまいと鋭く地面に突き刺さる。行き先を塞がれたポゥリンは方向を変えなおも逃走の気配を緩めることは無い。
 次いで夜彦の刀が、ポゥリンの身体を剣刃一閃をもって一刀両断にする。ちぎられた半身が生ぬるい水のような音を立て地面に打ち放たれ、一瞬のうちにその姿を消滅させていった。

 ――みしり。
 地面が音を立ててひび割れる。
 ポゥリンの真下から千切れるほどの冷気が轟音を響かせて吹き上がり、液体と化したその身体を瞬く間に凍らせていく。制御の難しい自然の力を利用したユーベルコードを放つ稀星は、僅かに自慢げな表情を見せポゥリンの前へと立ち塞がった。
「液状の身体であるのなら、氷漬けにさえしてしまえばパリーン、ですよ」
 稀星の脳内には一本の道が出来上がっていた。すでに勝敗は決している……と。

「私の炎に焼けぬモノなど無いのだ! アーハッハッハ!」
 イデアールは大声で笑いながら、ただひたすらにウィザードミサイルを撃ち続ける。
「余計な小細工はさせぬ。炎に巻かれ喘ぐ以外、貴様に出来る事などないのだ!」
 相手は質量を持った生き物だ。どれだけ耐久性があろうとも最後には必ず滅するであろう。それに防御で手一杯にさせれば他の猟兵たちの援護にもなる。
「どうだ、手も足も出ないだろう? 元から手も足も無いがなぁ!」
 逃げることも許されない。ポゥリンの身体は確実に削ぎ落とされていた。
「さぁ、フィナーレの時だ!」

 最期の時が迫っていた。あきは猟兵たちの後方から真っ直ぐに正面を見つめて息を吐く。
「ユリウスさん! 私、必ず決めてみせます!」
 宿敵・ポゥリンを倒さんと決心し強く拳を握りしめるあきに、ユリウスも言葉に力を込めて頷き返す。
「ええ、御嬢。その意気です。――頑張りましょう」
「はい!」
 この時を待っていた。あきはポゥリンに向かって指を向ける。地面を踏みしめ食いしばる。隣同士に並んだあきとユリウスが息を合わせ、それぞれのユーベルコードを詠唱した。
「――さよならです!」
「穿ち破裂せよ」
 あきがジャッジメント・クルセイドを発動させると、雲間から目を瞑るほどのまばゆい光が差し込み、真っ直ぐにポゥリンへと降り注ぐ。ユリウスの武器からは無数の矢が放たれポゥリンへと突き刺さった。
 瞬間、轟音と共に巻き起こる爆発。衝撃波が放たれ、ポゥリンの身体は散り散りに飛散していく。
 有効な技能はそれほど持ち合わせていないが、大量の手数なら押し負けることは無い。イデアールの攻撃も合わさり目標が砂埃にかき消えても、ユリウスが攻撃の手を緩めることは無かった。あきもその横に立ち尽くし、消えていくポゥリンをただただじっと見つめていた。

「それにしても、あんなのがゴブリンを率いていたなんてねー」
 モンスター故、種族の違いも関係なく強い者に従うのであろうか。モンスターの居なくなった街道に立ち、透乃は首をこてりと傾けた。眺める先ではリダンがレプリカクラフトを駆使し、戦闘によって大破した橋の修理を行っている。みるみる内に独特な意匠の橋が出来上がっていく様はなかなかに面白みのあるものだ。
「想像以上にしぶとい敵だったのです」
 稀星も隣でその様子を眺めながらのんびりと息を吐く。周りの猟兵たちも各々戦闘後の独特な余韻を楽しんでいた。
「御嬢。別れは充分に済ませましたか?」
 ユリウスがあきに問いかける。あきは平穏の訪れた川辺を振り返りそっと微笑んだ。
「はい……! 最後にひと目だけでも会うことが出来て良かったです!」
 村に戻れば花嫁を迎えての大宴会だ。ある者は祭りの予感に胸を高鳴らせ、ある者は祝福の言葉を考える。
「さあ皆が待っています。急いで村に帰りましょう!」
 一行はモンスター討伐を成し遂げた達成感と共に軽い足取りを弾ませて、ユージーンたちの待つ村へと駆け出すのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 日常 『荒野の大宴会』

POW   :    たらふく喰ってたらふく飲む

SPD   :    巧みな芸を披露する

WIZ   :    料理を準備する、冒険を歌にする

👑11
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祝の席に相応しく、さんさんと輝く太陽が村に暖かな陽気を運んでくる。中央広場に並べられた長テーブルの数々は、これから始まる大宴会の規模の大きさを物語っていた。周りでは沢山の村人たちが準備に精を出している。

 猟兵たちがモンスター退治の報告をしてから丸一日が経っていた。村人たちは吉報を持って来た猟兵たちを大歓声と労いの言葉で迎え入れ、温かな食事と寝床で一夜をもてなしてくれたのだ。
 話の発端となったユージーンの恋人・メリィの村へも当日の内に報が届き、遂にこの日、花嫁として村へ輿入れする事になっていた。
 少し唐突にも思われた輿入れだが、いつまたモンスターが蔓延りだすか分からない。新郎新婦双方共に善は急げと快諾をしていた。
花宵・稀星
自身が真の姿に近付いている予兆がありますが、宴会で真の姿を解放してもなんですから、それはまたの機会として。

これでユージーンさんとメリィさんも無事結ばれるというものです?

ここまで関わった私も何かの縁、宴会の準備のお手伝いするです。
お料理のお手伝いもできるですよ?
ミレナリィドールとはいえ、私は機能として口もついておりますですから、味見もできるです。
だからといって、味見役ばかりしていては、単なるつまみ食いと変わらず、怒られてしまうですね。
きちんと食材をさばくところから、加熱調理まで面倒みさせていただくです。
今回はみなさん、本当にお疲れ様でした、と猟兵仲間を労うです。


イデアール・モラクス
フン、結婚か…私には縁のない話だ。
私には一夜を共にする相手がいればそれでよい、刹那の享楽こそが私の生き方だ。

・行動
そんな訳で、酒を片手に一夜の恋人を探して歩こう。
恋人や伴侶がいない、問題の無い…出来れば女を知らぬ男が良いな。
条件に合いそうな村人がいれば誘惑して、一晩の享楽を愉しむとしよう。
「善き花嫁を貰う彼が羨ましいか?
安心しろ、今夜はお前も同じくらいの幸せ者にしてやる」
終わったら去り際に少し吸血を、もちろん痛みは与えず快楽を感じるように。
「美味い血だ、お前はイイ男だな?
クク…いつか善き花嫁を貰えるさ」


ナミル・タグイール
絡み・アドリブ・好き放題大歓迎

お祝いにゃー!めでたいデスにゃー!
難しい祝辞とかはわからないから勢いで祝うにゃ!いっぱい食べて飲んでお祝うデスにゃ!

お肉をいっぱい食べたいにゃ!ビフテキないかにゃー!
お肉を優先的に、美味しそうなものには全て飛びつきガツガツ
宴なんだしお酒もいっぱい飲んじゃうマスにゃ!ベロンベロンでヒャッハーですにゃー!
美味しい料理とお酒で気分がいいにゃ!ハイテンションにゃ!

あと、リダンにマントのお礼を言いたいにゃ!
マントありがとデスにゃー!ひらひら格好いいデスにゃ!


ティエル・ティエリエル
「えへへー、花嫁さん綺麗だったね♪」
綺麗な花嫁さんを見れて、モンスター退治の報酬に大満足な妖精姫。

それじゃあ、大宴会を盛り上げるよ!と得意な踊りを披露する。
レイピア型の獣奏器を振って風鳴り音で綺麗な音楽を奏でると、
それに合わせて空中で華麗なステップを踏んでみんなの上空をくるくると回るよ☆
背中の翅からはキラキラ光ったり鱗粉も舞ってより幻想的な感じになってるよ!


リダン・ムグルエギ
アタシが興味があるのは…この地の文化
花嫁衣装やこの地の服の意匠、後食べ物とかについて聞きつつ、それを録画しようと思うの
忙しい花嫁さんよりは、その準備をしていた親御さん達に聞いた方が詳しく聞けるかしら?
お二人の昔話も、ね

服の補修とかは手伝うけれど…
見た人を魅了する暗示込みドレスなんて無粋だもの
今日は見習い、お勉強側に徹するわ

宴会はもちろん参加したいわね
猟兵さん達の衣装への拘りとかも聞いてみたいし
ふふ、甘いものは大好きだもの!

他の人との会話やアドリブ大歓迎

A&W世界のアイテムで紋章(独特の意匠の知識)かソウルフードを作る予定です
何かいいお名前か設定があれば、お話し中でオススメしてもらえると幸いです


ソルカ・キャラハン
ブスイな魔物さんもおひきとりいただけて、無事に花嫁さんをお迎えすることができるようですにゃね。ばんばんざい、ですにゃ!

おもてなしのお礼も兼ねて、僭越ながら、お祝いの調べを奏でさせていただきましょうかにゃ。
笛の音色を高らかに、朗らかに、華やかに。
お祝いの準備中から、おひらきまで。ぶっとおしで頑張っちゃいますにゃ!
ことほぎましょう♪ げっとめりぃ、ですにゃ♪

曲や楽器のりくえすとをいただけたら、力のかぎりお応えいたしますにゃ!
知らない曲や歌はお教えいただいて、れぱーとりー、を増やさせていただきましょう。
ついでに、いんすぴれーしょん、をいただけるようなお話があればお聞きしておきたいですにゃね。



「これでユージーンさんとメリィさんも無事結ばれるというものです?」
 花宵稀星は首を傾げてそう呟いた。肉に野菜に果物に……この日のためにと溢れる程に並べられた食材の数々が、まるで村人たちの祝福する心を表しているかのようだ。貸し切られた食堂の厨房でも慌ただしく祝宴の準備が進んでいる。
 ここまで関わってきたのもなにかの縁であろう。稀星は野菜の皮を剥きながら周囲の女性たちと歓談に興じつつも、宴会料理の手伝いに精を出していた。
「手伝って貰って悪いねぇ。本当に助けられてばっかりだよ」
「お気になさらず、加熱調理までしっかりと面倒を見させていただくです」
 稀星は自分に任せろと言わんばかりに胸を張る。そんな稀星を微笑ましく見つめる女性は、かき混ぜていたベリーのソースをひと掬いし差し出した。
「冒険者さんたちのお口にも合うといいんだけどね、ちょいと味見してみてくれないかい?」
 ミレナリィドールとはいえ、機能する口も持っている。それならばと稀星は口を開け、ぱくりとソースを味見した。これはデザートに使うのだろうか?甘みと酸味が丁度良く合わさり絶妙な味を作り上げている。
「……おいしいです」
 ついでにこれも、と差し出される肉のソテーも食べてみる。じゅわっとしてとろけるような舌触りが気持ちが良い。これは無限に食べてしまいそうだ。
 はた、と食べる手を止めると稀星は本来の目的を思い出した。
「味見ばかりしていては怒られてしまうですね」
「あはは! いいよいいよ。気に入って貰えたら何よりさ。たーんと食べてお行きなね」
 明るく返されたその声に稀星はこくりと頷いた。

「僭越ながらおもてなしのお礼も兼ねて、お祝いの調べを奏でさせて頂きますにゃ。リクエストがあれば、力のかぎりお応えいたしますにゃ!」
 ソルカ・キャラハンは広場の隅で手にした笛を吹き鳴らしていた。村人たちに自分の知っている曲を披露したりリクエストに答えたり、その音色は高らかに、朗らかに、そして華やかに村中に響き渡っていた。
「ことほぎましょう♪ げっとめりぃ、ですにゃ♪」
「上手だねぇ。どうだ、一曲弾いて貰おうかね」
 一人の村人がソルカに村伝統の曲をリクエストする。どのような曲かとソルカが尋ねると村人はリュートのような楽器を手に協奏の誘いを申し出た。
「初めて聞くメロディですにゃ♪ 明るく楽しい曲ですにゃ!」
「そうだろう。冬の間は寒いから、皆で暖炉を囲んで明るい曲を歌うんだよ。冬が明けたら村の周りに白い花が咲き乱れるんだ」
 それを楽しみに冬を過ごすのだと村人は笑った。
 周りの人々が演奏に合わせて歌い出す。祭りの準備が終わってもその演奏はやむこと無く続いていた。

 中央広場に一際大きな歓声が上がり、沢山の花びらが舞い踊る。麗らかな太陽の下で、二人の主役が溢れるような笑顔を湛えて住民たちからの祝福を受けていた。
 繊細な刺繍をふんだんにあしらった純白のドレス。ヘッドドレスから垂れる薄絹のベールが顔にかかり、白銀を基調とした煌びやかな飾りが花嫁の姿をより一層神秘的なものへと演出する。新郎の衣装も対となる位置に金糸の刺繍が施され、花嫁衣装に比べると簡素ながらも威厳のある雰囲気を醸し出していた。
 ソルカは無事に花嫁を迎えられたことに諸手を挙げて喜んだ。
「ブスイな魔物さんにもお引き取り頂けて頑張った甲斐がありましたですにゃ!綺麗ですにゃね~」
「お祝いにゃー! めでたいデスにゃー!」
 ナミル・タグイールも賑やかな雰囲気に気分を高揚させながら、長テーブルに並ぶ料理や酒を片っ端から堪能し尽くしていた。酒の影響か普段よりテンションも高めに、ナミルは料理の皿を前にはしゃいでいる。
「お肉、お肉。ビフテキないかにゃー!」
 美味しそうな品々にあちこち目移りしてしまうが、肉料理に狙いを定めてナミルは取皿にこんもりと肉の山を作り上げた。
 ふと料理皿の向こう側にリダン・ムグルエギの姿を見つけ、ナミルはぴょんと飛び跳ねた。グリモアベースへと帰る前に、マントのお礼を言っておきたかったのだ。
「リダン、リダン! マントありがとデスにゃー!」
 ナミルはマントの裾を翻しリダンの元へと飛んでいく。リダンもナミルの姿を認め相好を崩した。
「あら、気に入って貰えたかしら?」
「ひらひら格好いいデスにゃ!」
 くるりとターンをしてポーズを決める。体にぴったりなそれはナミルの色にも良く似合っていた。
「ナミルも楽しんでいるわね」
 少し酔い過ぎな様子に苦笑いを返しながらもリダンは、手にしたスマートフォンでナミルを撮影する。ナミルも片手を伸ばしてそれに応えた。
「祝辞は思いつかないけどいっぱい食べて盛り上げますにゃー!」
「えへへー、花嫁さん綺麗だったね♪」
 ティエル・ティエリエルは満面の笑みを浮かべて夢見心地でそう呟く。
 美しく化粧の施された、花の咲くような笑顔を湛えた花嫁の姿。それこそがティエルのモンスター退治の報酬としてこの上ない程の大報酬であったのだ。白い肌にきらきらと輝く装飾。細かな刺繍が美しかった――ティエルは隣で食事を楽しむリダンに話を振る。
「そういえばリダンはお衣装について聞いてたね♪」
「ええ、この地の文化について調べていたのよ」
 スマートフォンを操作し、リダンはティエルに村で撮影した動画を再生して見せる。住人たちに聞かせてもらったこの地の文化。服や食べ物を中心として、様々なものについての聞き取りをこのスマートフォンにおさめていた。
「リダンは何も作らなかったの?」
「今日は私も見習い。お勉強側に徹していたの」
 人を魅了する暗示込みのドレスなど、この場では無粋以外の何物でも無い。
 ふふ、と微笑みリダンは聞き取りの際に花婿の母親に教えてもらったこの地の紋章を思い出す。荒野に咲く白い花と風の魔法がモチーフにあしらわれている独特な意匠。花嫁のドレスにもその刺繍が施されている様であった。
 白い花の名は『希望』を意味するそうだ。二人の門出にも相応しく銀糸の刺繍はきらきらと輝いていた。
 追加の料理を運んできた稀星は集まる仲間たちを前に畏まる。
「今回はみなさん、本当にお疲れ様でした」
 短い間とはいえ一緒に戦った仲間達。労う気持ちもひとしおだ。稀星の労いに仲間たちも笑顔で返す。
「美味しいデザートがあるのです。甘くて酸っぱくて不思議な味がしたのです。お一ついかがですか?」
 持って来たデザートを前に出し、稀星は調理の際に味わった味を皆と共有しようとする。リダンは甘いものと言う言葉に心躍らせその一つを手に取った。
「じゃあひとつ。……ふふ、甘いものは大好きなの」
「稀星もいっぱい食べるデスにゃー!お肉も沢山あるデスにゃ!」
 ナミルも抱えたお肉を差し出し稀星を席に誘った。にこやかな猟兵の周りに村人たちも集まってくる。辺りは更に賑やかさを増していく。
「よぉし、それじゃあボクも盛り上げるよ!」
 村人たちの演奏が聞こえてきたところでティエルもそれに参加しようと立ち上がる。レイピア型の獣奏器を振り、風切り音で美しい旋律を奏でると、周囲の人々が沸き立つのが分かった。村の音楽と獣奏器の音色が重なり一風変わった曲になる。
「自分も参加するですにゃ!」
 ソルカもそれに続けと笛を鳴らし村の音楽を堪能する。
「皆も盛り上がってこ☆」
 音楽に合わせて空中を舞いティエルは華麗なステップを決める。翅からはきらきらと舞い散る鱗粉が幻想的な雰囲気を醸し出していた。

「フン、結婚か……私には縁のない話だ」
 イデアール・モラクスは酒杯を片手に一晩の享楽を分かち合う相手を探していた。
 一夜を共にする相手がいればそれで良い。――刹那の享楽こそがダンピールでもあるイデアールの生き方だ。
 人の輪から外れたところで控えめに拍手を送るひとりの男を見つけた。喜びと寂しさがない交ぜになったような複雑な瞳――人々には気付かれないほどの僅かさだが、湛える表情を目にしたとき、イデアールは『この男だ』と狙いを定めた。
「善き花嫁を貰う彼が羨ましいか? 安心しろ、今夜はお前も同じくらいの幸せ者にしてやる」
 一夜の誘いをかけるイデアールに戸惑いながらも興味を向ける、うぶな様子が愛らしい。男の左胸に手を置くと高鳴る鼓動を感じることが出来る。林檎のような頬に指を滑らしながら、イデアールは囁いた。
「お前はイイ男だな? クク……いつか善き花嫁を貰えるさ」
 去り際には少しだけ血を頂こう。可愛らしいこの男に、痛みは与えず快楽だけを感じるように。

 夜が明ける頃、猟兵たちはこの村を後にする。
 今はただこの祝宴に浸っていよう――ここにある沢山の笑顔が絶えず続いていくことを願いながら、それぞれの夜は更けていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2018年12月27日
宿敵 『ポゥリン』 を撃破!


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#アックス&ウィザーズ


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は小宮・あきです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト