アポカリプス・ランページ⑬〜全力全霊バイオレンス!
「いよいよ大詰めってトコだな……」
グリモアベースに集う猟兵達を前に、梟別・玲頼(風詠の琥珀・f28577)は告げる。
「アポカリプス・ランページの最終目標、ヴォーテックス一族の長にしてフィールド・オブ・ナインが一、フルスロットル・ヴォーテックスとの戦いだ」
フルスロットル・ヴォーテックス。
彼らの一族とは太古よりアメリカ大陸に存在し、「髑髏と渦巻」――逃れえぬ死と避けられぬ宿命――を代々司っていたと言う。
彼らが操る死の渦たる力こそ、オブリビオン・ストームの原型であるユーベルコードなのである、とも。
「ネイティブアメリカンの自然精霊信仰を彷彿とさせるけどな。実際の所、それは暴力による終焉をもたらす力。世界を滅ぼす力。全く以て悪しき力だ」
そう、彼らの目的は支配でも君臨でもない。
終わらせる事――文明も生命も未来も。
「てめぇらの勝手に世界の全てを終了させられてたまるかってな」
その為に戦うのだ――己を超克しても尚。
さて、戦うべき相手は文字通り強大な怪物だ。
何せその身長たるや5mはある改造巨人である。その全身には複数のV12エンジンを搭載。それをフル稼働させた超赤熱連続突撃(ランページ)モードへと変異すれば圧倒的なパワー・スピード、そして重量による突撃が猟兵であれど紙屑の如く吹き飛ばす。
「V12エンジンって、車に詳しくねぇオレでも知ってるような高級外車とかスポーツカーに使われてるアレだろ? 排気量パネェ奴」
フルスロットルの名は伊達では無い。暴走車さながらの速度やパワーで先手は間違い無く向こうに譲る事になるだろう。
「まず無傷は諦めてくれ。けど、耐え抜いたら反撃のチャンスだ。ガツンとかまして来い。本当にぶっ倒れるまでな」
一撃で倒れる事さえ無ければ。糸口は必ず掴める筈だから。
「悪しき風吹き荒れる世界に、再び良き風が吹く様に――頼んだ」
風の名を持つ梟神としても祈りながら。玲頼は戦いに征く皆を送り出す。
●
『来たか猟兵よ、異世界よりの稀人よ!』
天地を揺るがすかの怒声が響く。待ち構えるフルスロットルのその威容、まるで天を突く柱の様にも見えるだろうか。
『汝らの全力全霊でかかってこい! 我もまた圧倒的暴力で応じよう! そして』
エンジン音が高まり鳴り響けば、その巨体が更に膨れ上がるかに思える……!
『骸の海の先、栄光の道へと導いてくれよう!!』
天宮朱那
天宮です。バイオレンスジャックは名作だと思ってる。
最終ボス「フルスロットル・ヴォーテックス」との戦いとなります。
プレイングボーナス→敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する。
敵は必ず先制攻撃を仕掛けてきます。POWはパワーアップ後の攻撃込み。
まずはその対処からになりますが、相手は巨大です。技能を書くだけやその数値の高さだけでは完全回避は不可、多かれ少なかれ負傷描写は有るとお考え下さい。
どこまで負傷を抑えるかはそれこそプレイング次第。ファイト。
格好良い負傷したい人カモンな感じで。
技能の『』【】等のカッコ書きは不要。しっかり読まれてる方優先します。
どう使うか、どう動くか――技能の使用に具体的な記述有る方がプラス評価。
技能名のみ羅列は描写がシンプル、参加人数次第で採用率低めになります。
複数合わせは迷子防止に相手の名前(ID)かグループ名記載のご協力を。
全員採用は確約出来ません。オーバーロードはご自由に。採用不採用に変化は無いのでご了承を。
公開と同時にプレイングは受付開始。
マスターページやタグ、Twitter(@Amamiya_syuna)などでも随時告知をしますので確認頂けますと幸いです。
第1章 ボス戦
『フルスロットル・ザ・ランページ』
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POW : フルスロットル・ギガント
【超赤熱連続突撃モード】に変身する。変身の度に自身の【V12エンジン】の数と身長が2倍になり、負傷が回復する。
SPD : V12スラッシャー
【全身のV12エンジンによる超加速】で敵の間合いに踏み込み、【V12エンジンの爆音】を放ちながら4回攻撃する。全て命中すると敵は死ぬ。
WIZ : フルスロットル・チェーンソー
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【炎を帯びたチェーンソーの刃】で包囲攻撃する。
👑11
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バルタン・ノーヴェ
ヒャッハー!(挨拶)
呼ばれて来マシタ!
フルスロットル、アナタの栄光はここで終わりデース!
ワタシたちがこの世界に夜明けを届けマース!
さて、冷静にフルスロットルの動きを観察しマース!
変身すると大きくなるのがわかりやすい特徴デスネ!
突っ込んでくるところを、右へ左へ、そして上へと素早く回避!
ワタシの滑走靴は大地も空も滑れマース!
三次元的な機動力で突進も攻撃も逃れてみせマショー!
攻撃を届かせようと跳躍する、みたいな隙を狙って反撃デース!
空中ダッシュで懐に入り込み、ファルシオンでチェーンソーの側面を斬りつけマース!
「一刀両断であります!」
メインウェポンを破損させれば、小回りを活かして全身を斬りつけマース!
「ヒャッハーッ!! 呼ばれて来マシタ!」
戦場に降り立ったのはクラシカルなメイドドレスを身に纏ったハイテンションな女。風貌と叫んだ声の不一致に流石のフルスロットル・ヴォーテックスも眉間に皺を寄せた。
『我はメイドの派遣を願った記憶は無いが』
「イイエ、こう見えてもワタシは傭兵デース!」
バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は笑顔を見せて告げた。人生の大半を戦場に生きた彼女である。その言葉に偽りは無い。
「フルスロットル、アナタの栄光はここで終わりデース!」
その手にファルシオンを構え、不敵にも見える表情でバルタンは告げる。
「ワタシたちがこの世界に夜明けを届けマース!」
『………良かろう』
しばし彼女を値踏みする様に見つめていたフルスロットルがゆっくりと口を開いた。嘘偽り無き強者と認めたなら、全力全霊を以て相手するのみ――と。
『ぬおぉぉぉっっっ!!!』
大男が地の底から響く様な雄叫びを上げると、全身に装着されたV12エンジンが高らかに唸りを上げる。
その変化の様子をバルタンは目を反らす事無く全て見届ける。動きを観察する事こそ勝利への近道だと知っているから。
「変身すると大きくなるのがわかりやすい特徴デスネ!」
巨大なフルスロットルの身体が更に大きく、その背丈は10mにも及ぶだろうか。
『超赤熱連続突撃モード! 汝のその身に我が暴力受けてみよ!!』
言うと同時、巨人はエンジンの爆音と虚像を残しながら真っ直ぐ突っ込んできた!
(「早い……っ!?」)
瞬時に回避するものの、身に受けた風圧に全身が軋む。生身であれば骨の数本はやられていた所だろう。
そのスピードは想像以上。巨体でありながら申し分ない加速を発揮するのは全身に増えたエンジンの火力の齎すものか。
「大体分かりマシタ……!」
速度も動きも。バルタンの滑走靴が出力を上げる。大地も宙も滑る事が可能な彼女もまた、機動力には自信が有ったから。
「三次元的な機動力で突進も攻撃も逃れてみせマショー!」
『なれば、汝の持ちうる技の全てを我に見せてみよ!!』
巨人が高速でタックルしてくる。その距離と速度を見極め、右へ左へ、時には上へ――バルタンを文字通り潰そうと地面に幾つもの大穴を穿つものの、フルスロットルはなかなか彼女を真芯に捉える事は出来ないでいた。
『我が暴力と破壊を受け入れぬつもりか、小娘……!』
巨人は手にしたチェーンソーを頭上に掲げ、彼女目掛けて振り下ろしてきた。
「反撃のチャンス、デース!」
ギャリリと音を立て真横を駆け抜けるそれをギリギリで回避する。服の裾がざくり持って行かれたが構わない。空中を駆け抜け、身を翻し、ファルシオンを握る手に力を籠めた。
「一刀両断であります!」
剣刃一閃――! ユーベルコードの域に達したその斬撃はチェーンソーの稼働音を見事に断ち切った。
『何だと
……!?』
「今のうちデース!!」
メインウェポンの破損を受け、その動きが止まった所こそ狙い目。
小回りの利く彼女の攻撃は止まらない。その全身にとことん斬り付け刻むのだ。バルタンという女がこの世界にてこの強大な巨人と戦ったと言うその証を――。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィリ・グロリオサ
ふむ、貴様血の巡りは良さそうだが、どうやら覚えは悪いらしい。
人が滅びず終末に縋るのは――そうせよ、という生存本能である。
滅びぬであろうよ。何処までいっても、人は。
抵抗は無意味であろう。好きに攻撃するがよい。
こちらは詠唱を続けるのみ。
四肢も、半身すら不要。
この衝動ある限り、限界を超え戦う。
苦痛すら意識を保つために甘んじる。
これがこの世界が編み出した、ひとつの『人間』の在り方である。
術を発動は可能な限り待つ。
あのエンジン。雷の通りはさぞ良いであろう。
一矢報いれば、それで構わぬ。
世界の終わりであろうが、滅びるわけにはいかぬ。
あの男を殺すまでは。
それは恐らく……貴様であろうが果たせぬであろうよ。
世界が崩壊する前から、この地域は竜巻が多かったらしい。
『我が一族が司る死の渦を前に、斯様な武器も文明も意味は成さぬ』
住居も生活も命をも破壊し無に至らせる竜巻。その究極こそがフルスロットル・ヴォーテックスの操るユーベルコード=オブリビオン・ストームなのであろう。
「ふむ、貴様血の巡りは良さそうだが、どうやら覚えは悪いらしい」
ゆらりと男は――ヴィリ・グロリオサ(残影・f24472)は、下から睨み付ける様に巨漢を見据え、告げる。
「人が滅びず終末に縋るのは――そうせよ、という生存本能である」
『汝の如く、死を超越しうる事すらも生存本能と曰うか』
ヴィリが再度の生者――デッドマンである事を感じ取り、フルスロットルは問う。
『死の摂理に反してまで、滅びに抗うと言うのか』
「滅びぬであろうよ。何処までいっても、人は」
そもそも過去より蘇って来た化け物(オブリビオン)が何を言うかと。ヴィリは手にした杖を真正面に掲げ、相手を真っ直ぐ見据えたまま詠唱を開始する。
『なれば汝のその繋いだ命ごと悉く細切れにし、欠片も残さず滅ぼしてくれよう!』
高鳴るエンジン音はフルスロットルの手にしたチェーンソーより響き渡る。
空気を斬り裂く連なった刃の稼働音が数多く重なり、耳障りな音がヴィリ目掛けて飛来した。炎を帯びたチェーンソーの群れが宙を駆け、彼の身を引き裂きに来たのだ。
「風は雨を呼び、雨は雷を呼ぶ……」
避けようとしない。いや、抵抗すらしない。
ただただヴィリは詠唱を続けるまま、その身に食い込む乱雑な刃の痛みに表情を歪める事すらしない。
『汝――何を企んでいるか』
余りにも無抵抗すぎる。肉の厚みと骨の硬度という物理的な抵抗のみがチェーンソーの刃を多少遮るものの、本人は好きに攻撃をさせているようにしか見えなかった。
入れ替わり立ち替わり、連なる刃が牙を剥いてはヴィリの身を削いでいく。その脚を抉り、腕を絶ち、胴を薙いでいく。
だがヴィリは途絶えさせる事無く詠唱を続けるのだ。魂の衝動がある限り、身に限界が来る事は有り得ぬと。この痛みさえも、苦痛さえもが意識を保つ為にあるのだと。
血肉を喰らったチェーンソーの刃とは、当然ながら回転を落とし切れ味も鈍る。猛攻が鈍ったのはまさにそこまで至った時。
「轟き、引き裂け――精霊よ」
二人の男は最初から真正面にて対峙したまま一歩も動いてはいなかった。
ヴィリの背後より羽ばたく様に出現したのは白き雷光を帯びた巨大な鷹。それは周囲を飛翔していた数多のチェーンソーを呑み込み消し飛ばしながら、目の前の巨人に向かって真っ直ぐ駆け抜ける!
『これ、は――!?』
5mもの背丈を有する改造巨人をも呑み込む鷹の襲撃。さしものフルスロットルも思わず声を上げる。激突の衝撃。更にあのエンジンを数多く抱えた機械の身に対し。
「雷の通りはさぞ良いであろう」
一矢報いれば、それで構わぬ――そう口の中で告げるヴィリ。
「聞こえるか? これがこの世界が編み出した、ひとつの『人間』の在り方である」
『うぐおおおぉぉっっ!?』
返答の代わりに響くのは絶叫。限界まで編んだ故の高威力の雷術は随分と効いているらしい。
とは言え。術を放ち終えたヴィリ本人もいよいよ身を支える限界に及び膝を着く。
だが――。
(「世界の終わりであろうが、滅びるわけにはいかぬ――あの男を殺すまでは」)
転移による回収の寸前まで、彼は意識を手放す事は無く。
(「それは恐らく……貴様であろうが果たせぬであろうよ」)
瞼を伏せるまで、その視線は目の前の巨人を捉え続けていたのだった。
成功
🔵🔵🔴
待鳥・鎬
杞柳に本体を預けて、上空高くへ離れてもらう
捨て身になりそうな気がする
エンジン音を聞き、先制UC発動の瞬間にフェイントで一歩右へ跳びながら、光学迷彩効果のある山吹を纏う
そのまま直ぐに左へ反転、轢かれない所まで滑り込むよ
初撃を躱せたら有利だし、せめて直撃だけでも避けたい
先制攻撃を凌いだら、姿を隠したままUC発動
鋼切に杞柳の力を乗せて
反撃に出るよ、杞柳!
基本戦術はヒット&アウェイ
狙えそうなら頭か心臓
エンジン部分を切断しちゃうのも有りだね
万が一先制攻撃を全て食らったとしても、やることは同じ
身体を再生して反撃
寧ろ死んだと思って油断してくれたら騙し討ちしやすい
……死ぬほど痛いから、万が一はない方が良いけど
翼を有した蛇が、乾いた風吹く空を羽ばたき舞った。
『死の運命から僅かなりとも遠ざけた積もりか』
フルスロットル・ヴォーテックスは、待鳥・鎬(草径の探究者・f25865)の手元より高く飛び立った翼蛇から視線を彼女自身に向けてそう告げた。
「死なないよ……私も、あの子も」
目の前の巨漢は気付かなかったのだろう、と鎬は思いながら応えた。あの子――杞柳には己の本体である薬匙を持たせて遠ざけた。少なくとも、あちらが倒されぬ限りは自分は死に至る心配は無い。
(「捨て身になりそうな気がする」)
強大な暴力の化身である改造巨人を前に、鎬は改めてそう感じざるを得なかった。
『死と破壊を前にすれば何人たりとも平等! 小娘相手とて全力全霊で臨むのみ!』
巨漢の全身に存在するV12エンジンのフル回転する音が荒野に響く。来る、と鎬は身構え対峙した。
爆音が迫るのと敵の巨体が目の前に現れるのはほぼ同時。瞬間、鎬はフェイントかけつつ右へ飛ぶも――。
(「間に、合わない
……!?」)
巨漢の手にした桁外れの大きさのチェーンソーが脚先を切り飛ばした感覚が、僅かに遅れてやって来る。
「――ッ!!」
死ぬ程、痛い。だが自分は死なない。この身はあくまで仮初めの肉体なのだから。
それでも四連撃でこれを受けては本体までショックで折れてしまいそうだ。
鎬は咄嗟に紗の羽織にて身を隠す。ただの布では無い。天狗の隠れ蓑に似た、光学迷彩効果のある逸品。纏ったまま身を転がして左へ反転し、彼女を見失った巨人が闇雲に超加速にて駆け回っても轢かれぬ位置に滑り込む。
「万が一は無い方が良かったけど……ね……!」
切り飛ばされた箇所は己の強き意志により即座に再生され、元通りに地を踏みしめる。直撃を避けてこれなのだから、真正面から喰らっていればどうなっていたか。
『……我が一撃を受けて木っ端微塵に消し飛んだのではあるまいな』
あの巨体では地上に隠れる自分の姿を見つけるのも難しいのか。死んだか逃げたとでも思ってくれたら騙し討ちもしやすい。
「反撃に出るよ、杞柳……!」
空を見上げれば、先程高く高く登った杞柳が応じる様に急降下を開始した。
『先程の蛇――気でも迷ったか』
そうフルスロットルが蛇を認めたのも束の間。降下してきた杞柳と飛び上がった鎬の身が一つとなり、高速の翼が空気を叩いて一気に男の間近に接近する!
「杞柳の牙からは、逃れられない!!」
穿つ牙はその背面に装着されたV12エンジンの可動部位を貫き破砕。駆け抜ける様に空を離脱するのにやや遅れて爆発音が響き、フルスロットルはその衝撃に巨体を捩り叫んだ。
『ぐおおぉぉっっ!!? 汝、手負いの筈では……っ!?』
「残念ながら、壊されないし壊させもしない……!」
翻弄する様に。鎬は翼を広げ、鋼切に杞柳の力を乗せて音速飛行からの攻撃、そして離脱を繰り返す。
『超加速に音速で挑むとは……猟兵よ、楽しませてくれる!』
フルスロットルのV12エンジンが再び爆音立てて稼働した。
音速の動きを抜けて振るわれる超高速の暴力が再び鎬を捉え落とす……それまでの長く短い時間の中、彼女は牙を振るい突き立てるのだった。
成功
🔵🔵🔴
シリウス・クロックバード
生憎、君の誘われてる暇は無くてね
また、随分と大きくなって
義眼を使い、相手の行動をよく見て致命傷を避ける
躱すのは難しいだろう、突撃してくる相手の勢いを利用し
ぶつかられたらそのまま後ろに跳ぼう
勢いが少しでも殺せれば良いさ
傷を受けても、継続して戦うことはできる
既に死は迎えた体だ、砕けようとも衝動が体を動かす
奴を殺すという衝動がある限り
俺が死ぬ訳がない
外典を開く。偽りの星をここに
銃を構え一気に前へ
敵の動きを、音を見て間合いへと踏み込む
防御もある、銃口を突きつけるまで保てば良いさ
腕を盾に、術式強化した銃を向け、銃弾を叩き込む
すまないな、ミスター・ヴォーテックス
俺は、君の言うような栄光も安寧も遠慮している
地上が荒れ果てて尚、宙に浮かぶ太陽は変わらず大地を照りつける。
『――我が暴威に恐れぬ死に損ないは多い様だ』
フルスロットル・ヴォーテックスのその言葉にシリウス・クロックバード(晨星・f24477)は僅かに眉を潜め、相手の巨体を見据えた。自分以外の「死に損ない」が此れに挑んだ、らしいと察するも、それ以上の憶測は今は避けておく。
「生憎、君に誘われてる暇は無くてね」
そう、自分には為すべき事があるのだと。その前に全てを出鱈目に壊されてなるかとその手に葬送の歌を――黒き銃のグリップを握る。
『遠慮も謝絶も不用! 斯様な意思すら我らの破壊の暴風の前には無意味!!』
フルスロットルが怒声を上げればその全身に装着されたV12エンジンが高らかに爆音を響かせ、改造巨人の並外れた背丈が化け物の如く巨大化していく。
「――また、随分と大きくなって」
苦笑じみた言葉と共に、シリウスの緑色した無機質の瞳が相手の挙動を捉え続けていた。可能な限りの視覚情報から得られる演算、そして結果の出力が義眼を通じて脳裏に流れ込む。
『超赤熱連続突撃モード! 圧倒的暴力の前に屈せよ、猟兵!!』
巨人が地の底より響くように吼えるのと、その巨体が目前に迫るまでの時差は、ほぼ感じられなかった。来ると感じた瞬間、力を抜いて数歩後ろに退くのが限界……!
「――……ッ!!」
衝撃が全身に駆ける。骨がバラバラに粉砕されずに済んだのは、相手の動きをしかとこの眼が捉えていたお陰か。それでも後方に跳んだ……と言うより飛ばされたと言うのが正確な所か。紙屑の様に吹き飛ばされながらもシリウスは次の一手に思考を巡らせる。
地面に叩き詰められる前に姿勢を立て直し、辛うじて着地すれば。巨人がエンジン音を響かせて次の突撃に目の前に迫る。
身体は――動く。全身の骨にヒビが入っただろうが、些細な事だと彼は笑う。継続して戦う事さえ出来れば僥倖。既に死を経験した身体は、砕けようとも動き続ける。
只一つ――『奴』を殺すという衝動がある限り。
「俺が、死ぬ訳がない」
髪飾りを引き千切る様に掴み取ると瞳に開くは外典(ティシュタル)。
偽りの星をここに――と彼が囁けば、宙に浮かぶ太陽よりも強く激しくその瞳は熱を帯びる。
『全力全霊で抗え! 我もまた全力全霊にて汝を壊し尽くしてくれる!!』
「言われずとも――!」
両手の銃を構えながら、前へ。真昼の恒星は二つもいらぬと照りつける太陽の光が身を焼くが、それを上回る守りにて耐え、巨漢の間合いへと踏み込む。
『うおぉぉぉぉっっ!!!』
エンジンが唸り、フルスロットルの身が再びシリウスを跳ね飛ばすも、先程と比べて襲う痛みは皆無に等しい。
宙に浮いたまま銃口を向ける。術式強化が為されたそれが火を噴けば、10mもの小山の如き巨体すらも蹌踉めく程の衝撃が次々と叩き込まれていく!
『ぐ、うごぉぉっ!?』
「すまないな、ミスター・ヴォーテックス」
地面に着地し、首の動きで顔に掛かる髪を除けるとシリウスは残念そうに告げた。
「俺は、君の言うような栄光も安寧も遠慮している」
今更、栄光も安寧もこの身には必要の無いものだから。
自嘲気味に笑みながら、恵みの雨の代わりだと彼が手向けたのそれは――残り全ての弾を撃ち尽くす程の銃弾の雨であった。
成功
🔵🔵🔴
ツキカ・アシュヴィン
デカいわ速いわ滅茶苦茶なやっちゃな!流石にヴォーテックス一族の頭っちゅうだけのコトはあるか!
せやけど、ウチらの生きてきたこの世界、アンタらの勝手で滅ぼさせはせぇへんで…!
敵の振り回すチェーンソー、両脚の動き。この辺をよう見て全力で回避。ちゅうても多分軌道が見えてからでは間に合わん、動き出した瞬間を見ての第六感頼みになるやろな。
正直、腕の一本くらいは覚悟しとく。けど、次を躱せるよう斬られた腕に閃光手榴弾握らせてといて、斬り飛ばされたトコに目潰しかけたる!
凌ぎきったら反撃や。
UC発動して敵の足元駆け回り、ショットガンを撃ち込んでく。
片腕持ってかれとるぶん身軽やでな、簡単には捕まらんで!
『グヌオォォォッッ!!』
巨漢が吼える。この滅びの荒野に君臨する破壊の権化が大地を蹂躙する。
――文字通り、その名の通り。フルスロットル・ヴォーテックスはその改造された身に搭載されたV12と言う高出力高排気のエンジンを最大出力まで稼働させ、5mもある分厚くドデカい身体を超加速にて動かすのだ。
「いやいやいや」
ツキカ・アシュヴィン(星追いの渡り鳥・f24375)は、その第一迅とも言える攻撃を命からがら回避した先で、息を切らせながらぼやいた。
「デカいわ速いわ滅茶苦茶なやっちゃな
……!?」
ぽたり、とツキカの真横に雫が垂れる。赤黒いそれは彼女の肘の先から。
「流石にヴォーテックス一族の頭っちゅうだけのコトはあるか!」
『汝も流石は猟兵――我が身の加速をよくぞ見切った』
漢は相手が小娘であろうとも、戦う相手とあらば賞賛は惜しまない。全てを破壊し無に帰す以上、抗う者相手に対峙するのも使命であり運命とす。
ほんの僅か前。この戦闘は無論フルスロットルの攻撃から開始された。
「ウチらの生きてきたこの世界、アンタらの勝手で滅ぼさせはせぇへんで……!」
『ならば抵抗せよ、命の限り抗え! そして己の無力を知れぃ!!』
音を立てるチェーンソーの嫌な響きにツキカは顔を顰めた。未だに生々しい血の跡があれに見える。良く見て全力で回避したつもりだった、が。
振り下ろされる軌道が見えた段階で多分間に合わなかったと思う。向こうが動き出したその瞬間、咄嗟に身が動いたのは第六感的な何かのお陰か。
真ん中から真っ二つにならずに済んだが。結果的に片腕の肘より先は犠牲になったのだ。握ってた手榴弾が飛ばされた腕もろとも炸裂したお陰で死連撃全て受けずに済んだのが僥倖と言えよう――。
(「正直、腕の一本くらいは覚悟しといたつもりやったけど」)
痛みで気を失わずにいられるのが今は救いと見るべきか。
「やられっぱっちゅう訳にもいかんしな!」
残った手に構えたショットガンはトリガーさえ引けば弾は出る状態。
ツキカは力を解き放つ。地を、馳せる。
「ウチの全速力、見れるモンなら見とき!」
そう言葉を投げかけた瞬間、フルスロットルの視界からは彼女の姿が消えていた。
『……!!』
次の瞬間、思わぬ方向より銃弾がフルスロットルの身に喰らい付く。男は咄嗟の守りも出来ぬままに衝撃に身を揺らす。
縦横無尽に駆け抜けるツキカ。彼女が撃ち込むショットガンの軌道も、彼女を捉える事が出来ねば予測も身の守りも出来まい。ドンッ!と重い衝撃が厚い鎧を穿つ。
「片腕持ってかれとるぶん身軽やでな」
――人の腕は片方だけで3~5kgの重さを有するという。肩にぶら下がる重りが消えた分の加速は、恐れを投げ打ち覚悟を決めて戦う彼女の強さの証。
『それが汝の心意気か、覚悟か、生きんとする力か
……!!』
巨人のエンジンが音を響かせ再び加速し、ツキカに追いつこうとするも――重排気のそれでは細かく動く彼女の姿を捕捉すら出来なかった。
「簡単に捕まらんで!!」
ショットガンの発射音が、銃声が、暴風の王に幾重にも叩き込まれていく。
失血と痛みで彼女が気を失い倒れるその瞬間まで――。
成功
🔵🔵🔴
夜刀神・鏡介
今を生きる人間の一人として、骸の海に沈むつもりはない
あんたがどれだけ強いとしても、それを乗り越えてみせるさ
先制の突撃が来る前に素早く神刀の封印を解き、身体能力を強化した上で構える
突進を神刀で受ける
勿論止める事は出来ないが、斜め後ろに吹き飛べるように、少しだけ力を受け流してダメージを減らしつつ、追撃を回避
吹き飛ばされながらも落ち着いて、参の秘剣【紫電閃】を発動
紫紺の神気を纏う事で思考速度、行動速度を飛躍的に高めてフルスロットルの加速に対抗
敵の攻撃の勢いを削ぐ為、突撃にあわせて敢えて踏み込む
勢いが乗り切ってないなら、どうにか対処できる
受け流す事で僅かにでも隙を作り、そこに加速した斬撃を叩き込む
この世界を覆い尽くす悪しき風の根源たる男も、猟兵達の身を投げ打つような決死の攻撃を受け続けていれば最早限界を迎えつつあった。
それでも尚、このフルスロットル・ヴォーテックスという死と暴力の権化は異様な佇まいを以て猟兵達の前に立ち塞がっているのだ。
『汝も抗うと言うのか。我らが齎す死の宿命に……!』
「今を生きる人間の一人として、骸の海に沈むつもりはない」
白鞘に納まる一振りの刀を携え、夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は静かに首を横に振って目の前の巨漢の言葉を否定した。
『――勝てると思うのか。汝は。我を相手に』
「あんたがどれだけ強いとしても、それを乗り越えてみせるさ」
親指で鯉口を切りながら鏡介は自然と笑ってみせる。負ける筈が無い――堂々たる信念が己の中にある限りは。
『なれば受けよ! 栄光の道への猛進を!!』
フルスロットルの全身に備わるエンジンが爆音を響かせる。既に半数以上が破損しているにも関わらず、最期の爆走の為に全力全霊の回転を、排気を見せる。
『喰らえ、そして抗えぬ死を受けよ!!』
5mもの巨体が瞬時に鏡介の目の前に迫る。神剣の封印は既に解除した上で、その刀身から溢れる神気で身を強化した。構えた神剣を以てその突撃を彼は受ける。
「――っ!!」
並の剣であれば恐らく折れて粉々であったろう。手から伝わる衝撃に鏡介は顔を歪める。
この突進を完全に止めるなんて微塵も思ってない。せめて斜め後ろに向けて吹き飛ばして貰える様に、そして少しでも力を受け流してダメージを抑えるようにと受けたのだ。
吹き飛ばされる身を宙にて立て直す。少しも慌ててない。想定内の状況。追撃はまだ来ない。神剣に意識を向ける――力を解き放つ。
「我が刃は刹那にて瞬く――!」
無仭の刃が神々しくも輝きを見せる。その紫紺の神気が鏡介の身を包む事で彼の思考と行動の速度を究極に高めれば、向こうの動きが最早スローモーションにすら見える。
『ウオオオォォッッ
!!!!』
フルスロットルの雄叫び。その突撃に、踏み込みに合わせて鏡介もまた踏み込む。相手の勢いすらも利用するかの様に、刀は邪悪を斬るべく煌めいた。
巨漢の巨大なチェーンソーが向けられるのを上にはね除け受け流し――相手の空いた腹部へ、作り上げた隙を以て鏡介は思いきりその刃を、超加速した斬撃を渾身の力にて叩き込んだ!!
その一閃は、フルスロットルの鎧を、機械化された身体をも撃ち砕く――!!
『が、はァ……ッッ
!!??』
ごぼりと巨人はその口からどす黒い血を滴らせ、ちらりと鏡介に視線を向けると信じられぬと言いたげな表情で見つめ、そして静かに告げた。
『これが、汝達の意思か――我が宿願果たせず残念だが――』
見事だ、と唇だけが告げ。その強大で巨大な身体はずぅんと大きな音を立てながら荒野の大地に倒れ、そのまま骸の海まで沈むのであった。
成功
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