アポカリプス・ランページ⑯〜捕らわれのグリモア
●グリモアベースにて
アリス・トゥジュルクラルテ(白鳥兎の博愛者・f27150)は騒がしいグリモアベースで穏やかに口火を切った。
「アポカリプスヘルの、フィールド・オブ・ナインの、最後の、一人の、マザー・コンピュータが、見つかった、です。皆さん、には、これを、倒す、して、ほしい、です」
マザー・コンピュータはあらゆる物質・概念を『機械化』する能力を持つ。これによりデトロイトの都市すべてを『増殖無限戦闘機械都市』に変形させた。このまま彼女を放置すればいずれアメリカ大陸のすべてを戦闘機械にされてしまうだろう。そうなる前に手を打たなければならない。
「アリスが、皆さんを、転送、すると、機械都市の、体内に、閉じ込められる、です。アリスと、一緒に」
グリモア猟兵と一緒にとはどういうことか。集まった猟兵の内の一人が尋ねた。
グリモア猟兵は普段は現地へと猟兵たちを転送するだけで自分が危険な現地に行くことはない。予知したグリモア猟兵しか現地へと転送できないため自身に何かあれば増援を送ることができなくなってしまうからだ。同様に現地からベースへと転送できるのも予知した本人のみ。それは周知の事実である。
「はい。マザー・コンピュータの、力で、アリスも、現地に、閉じ込められる、です。それが、グリモア必殺計画、です。つまり、敵は、アリスを、狙う、です。なので、アリスを、囮に、して、戦う、です」
ざわつく猟兵たちにアリスは安心させるように微笑んで言う。
「アリスも、猟兵、です、から、自分の、身、くらい、自分で、守る、ですよ。大丈夫、です。……でも、もしも、アリスを、守る、して、くれる、なら、アリスは、回復、できる、ので、皆さんを、癒す、ですよ」
守ってもらえるのならば彼女は後方支援に参加できるだろう。守られなければその余裕はないだろうがその分猟兵たちは自分の戦いに集中できる。どちらにも利点はある。
「相手は、強敵、です、から、アリスも、足を、引っ張る、ない、ように、頑張る、です! よろしく、お願い、します!」
そう言ってアリスはいつものように深々と頭を下げた。
●増殖無限戦闘機械都市にて
「わざわざご足労頂き感謝します」
様々なコードがまるで血管のように張り巡らされている機械都市の体内。そこにマザー・コンピュータはいた。
「これよりグリモア必殺計画を遂行します」
彼女が無機質な声音でそう言うと機械が猟兵たちのその向こうにいるグリモア猟兵へと狙いを定めた。
彌厘
これは『アポカリプス・ランページ』の戦争シナリオで、1章で完結する特別なシナリオです。また、難易度はやや難となっています。
プレイングボーナスは『グリモア猟兵を守りつつ、増殖無限戦闘機械都市の攻撃を凌ぎつつ、マザーと戦う』です。グリモア猟兵は自分の身は自分で守れるので守らなくても採用されますが、守ればプレイングボーナスがつきます。
敵はグリモア猟兵を優先的に狙いますが、攻撃されれば反撃はします。敵への対策は万全で臨んでください。
プレイングはオープニング公開直後から受け付けます。あまり筆が早い方ではないため人数が多い場合は全員採用は難しいと思います。その場合は判定結果が良い方を優先して採用します。
それでは、素敵なプレイングお待ちしております!
第1章 ボス戦
『マザー・コンピュータ増殖無限戦闘機械都市』
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POW : マシン・マザー
全長=年齢mの【巨大戦闘機械】に変身し、レベル×100km/hの飛翔、年齢×1人の運搬、【出現し続ける機械兵器群】による攻撃を可能にする。
SPD : トランスフォーム・デトロイト
自身が装備する【デトロイト市(増殖無限戦闘機械都市)】を変形させ騎乗する事で、自身の移動速度と戦闘力を増強する。
WIZ : マザーズ・コール
【増殖無限戦闘機械都市の地面】から、対象の【猟兵を撃破する】という願いを叶える【対猟兵戦闘機械】を創造する。[対猟兵戦闘機械]をうまく使わないと願いは叶わない。
👑11
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セプリオギナ・ユーラス
──僅か、悩んだ。
守られずともいいと言う彼女に
いかに気を払いながら戦おうか。
いや
かぶりを振り、考え直す
そもそも戦争は嫌いだ(なのに赴いたのは、そういう戦いだと噂に聞いたからで)
己は守る戦いになぞ向いていない(分かっていてここにいるのは、彼女を するからで)
俺のやるべきことは、いつも通り。
そう、ただの
「鏖殺だ」
封じてしまえばいい。視界も、チカラも。
殺すのはこんなにも簡単で、守るのはあまりにも難しい。
闇に紛れてただ殺戮者として武器を振るう。
霧が現実も、骸も、何もかも覆い尽くして、
(彼女だって、)何も、見ないで済めばいい──
方針◆グリモア猟兵を守ることはあまり意識せず?相手UCを封じて武器で近接戦
栗花落・澪
アリスさんの安全優先で【オーラ防御】をアリスさんに使用
オーラ防御に魔力を回す分自分を護る余裕は無さそうだから
致命傷にさえならなければどんな怪我も【激痛耐性】で耐える覚悟だけど
手が回れば回復してもらえたら嬉しいかな、なんて
【指定UC】を発動し、火力と速度上昇
自分への攻撃は【聞き耳】で戦闘機械の可動音と方向を聞き分け
素早い【空中戦】で回避優先
攻撃に転換した花弁で機械を切断したり
【高速詠唱】で炎魔法の【範囲攻撃】を行いまとめて誘爆、破壊を狙い
意地でもアリスさんは護る
どこかで必ず隙は出来る筈だから
★杖を用いた雷の【属性攻撃、全力魔法】でマザーさんを狙う
衝撃でフラスコ破壊まで出来たらラッキーなんだけど!
夜刀神・鏡介
単純に比較できる話でもないが、この作戦規模はフルスロットルより厄介な気がするな
逃さず始末する機会がある事を喜ぶべきかは……少々悩むが
こうなったら戦うだけだ
神刀の封印を解除。終の型【無仭】――無色の神気を刀身に宿して、バイク『八咫烏』に騎乗
神刀を地面に突き刺してから、地面を切り裂きマザーの方へ向けて走り出す
邪魔な敵には素早く斬撃を食らわせて破壊し、改めて地面に刀を刺す
地面を切断して地形を破壊、大きく溝を作ったり穴を空けてやる事で、地上型の敵の進行を阻害
空中型は止められないが、数が減れば幾らかマシになるだろう
マザー(騎乗したデトロイト市)にも刀を突き立てて縦横無尽に駆け巡り、敵の戦力を削っていこう
●亀裂
セプリオギナ・ユーラス(賽は投げられた・f25430)はグリモア猟兵であるアリスの主治医だ。彼女の心身の健康を守っているセプリオギナは少し悩んでいた。守らずともいいと言う彼女にいかに気を払いながら戦おうかと。
バイクの可動音が聞こえて現実に引き戻された。見れば夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)が愛車の八咫烏にまたがった所だった。
「単純に比較できる話でもないが、都市ごと攻撃してくるなんていう作戦規模はフルスロットルより厄介な気がするな。逃がさず始末する機会があるのは喜ぶべきかは……少々悩むが、こうなったら戦うだけだ」
神刀【無仭】の封印を解き鞘から抜き放つ。それは無色の神気【無仭】をまとうと森羅万象を断ち切る終の型となる。
鏡介は八咫烏に乗ったまま機械がうごめく地面へと神刀を突き刺す。その状態でバイクを駆りアリスに攻撃を仕掛けようとしているマザー・コンピュータへと向かった。
彼の背中を見てセプリオギナは考えを改める。
アリスも一人前の猟兵だ。だからこそ鏡介は彼女を信頼して作戦通り前線へと向かったのだろう。自分もそうすべきである。
そもそも彼は戦争が嫌いなのだ。
(「なのに赴いたのは、そういう戦いだと噂に聞いたからで」)
自分は殺人鬼であり守る戦いなど向いていない。
(「わかっていてここにいるのは、彼女を――」)
「有難う、ございます!」
アリスの声にちらとそちらを確認する。
彼女は結界を自身の周囲に張って至る所から来る機械たちを防いでいた。
そこに栗花落・澪(泡沫の花・f03165)がオーラ防御を重ね掛けしている。
「アリスさんのことは僕が守るから、手が回れば回復してもらえたら嬉しいかな、なんて。あ、ちょっとした怪我は耐えられるから平気だよ」
「はい、大丈夫、です。任せて、ください!」
「うん、よろしく!」
澪はそういうと豪華絢爛なドレス姿に変身して聖なる杖【Staff of Maria】を強化。そして舞い散る花びらをまとって素早く飛び立つ。
セプリオギナは澪のような魔法的な力は持たない。そういったものは専門外だ。
しかしアリスを守る者がいるのならば悩む必要などない。
(「俺のやるべきことは、いつも通り。そう、ただの――」)
セプリオギナの全身から漆黒の霧が放たれる。
「鏖殺だ」
マザーは鏡介を真似て機械都市と連結している機械部分を変形させ巨大なバイクにして猟兵たちの攻撃を回避していた。逃げ回りながらも爆弾搭載ドローンや戦車、機械触手でグリモア猟兵を狙いつつ二人の邪魔もしている。
ドローンや砲撃は空中戦に秀でた澪が応じていた。高速で詠唱した炎魔法を広範囲に放ちドローンと砲弾をまとめて爆発させる。撃ち漏らしは舞い散る花びらで切り裂いていく。
「アリスさんは意地でも守る!」
地上の機械は鏡介がマザーを追いながらも斬撃で破壊。さらに八咫烏で走りながら地面を切断することで大きな亀裂を作り戦車の移動を阻んだ。
だがマザーの力により機械は無限に生まれる。それも攻撃用の機械だけではなく修繕用ロボットまで生み出し亀裂を直そうとするのだ。
「クソッ、マザーをどうにかしないと先にこっちの体力が尽きるか……!」
しかしマザーの入ったフラスコは巨大バイクの上。常に動き回る敵に鏡介と澪は攻撃のタイミングを計りかねていた。
その巨大バイクが立ち尽くしていたセプリオギナの横を通る。
すると彼のまとっていた霧がたちまちマザーと巨大バイクを包み込み辺りに広がった。
マザーは突然のことに対処できず巨大バイクを急停止させた。
「……っ?! 視界不良。それにこれは……私の害意消失?! 攻撃不能! 一体何をしたのですか、猟兵?」
「お前の敵意と害意を刈り取った。しかし百秒しかもたん」
後半は澪と鏡介に向けての言葉だ。つまり今の内にマザーを攻撃しろということである。
「……ならば百秒間逃げ続ければいいだけの事。あなたたちの居場所は生体反応で確認できます」
マザーは再び巨大バイクを駆って逃げようとする。
だがすでに鏡介が彼女に追いついていた。
「させるかよ!」
森羅万象を断ち切る刃で巨大バイクを一刀両断した。
破壊されたバイクが爆発を起こしフラスコが吹き飛ぶ。その方向には澪が待ち構えていた。
「全力でいかせてもらうよ」
澪は威力の増強された聖なる杖に魔力を込めて雷の魔法で宙に浮くフラスコを貫く。
その衝撃でマザーは地面へと落ちていく。その先には攻撃できない機械触手をすべて無慈悲に電動チェーンソーで切り捨てたセプリオギナがいた。
(「殺すのはこんなにも簡単で、守るのはあまりにも難しい」)
周囲は何も見通せない漆黒の霧で覆われている。だからきっとグリモア猟兵の彼女には何も見えてはいないだろう。
(「何も、見ないで済めばいい」)
降ってきたフラスコをセプリオギナはチェーンソーで切り付けた。
ピシッ。
マザーのフラスコに亀裂が走る。
「……まだ、私は戦えます。グリモアは必ず殺します……!」
黒い霧が晴れるとマザー・コンピュータは再び機械都市と連結。そして機械たちを生み出しグリモア猟兵を殺さんと一斉に攻撃を仕掛けた。
成功
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アルゼル・モーズ
・街そのものを自分の乗り物にするなんてスケールが大きいね。けれど、そこまで大きくなって隠れる場所があるのに「本体」は剥き出しっていうのは……自信、かな?
・とにかくアリスを守らなくちゃ。手持ちの「マジックコイン」は830枚。彼らをアリスの周辺に展開して「かばう」ことを命令。「範囲攻撃」や「レーザー射撃」「誘導弾」もあるから近づく敵や弾は撃ち落とせるよね。
・僕は「目立たない」ように移動しつつ、マザーの位置の把握に努める。しっかりと視認できたら【MATAGI撃ち】でまずは「鎧砕き」の弾を撃ってフラスコを破損させ、二発目の「貫通弾」で本体への直接攻撃を行う。
今の射程は6889m……狩る、よ。
御園・桜花
「一方的に浚われ命を狙われる。腹が立ちません?アリスさん、一矢報いてみませんか」
助手席側の窓開けウインク
他者の効果的な護衛あれば無理強いせず
UC「出前一丁・壱」
マザーへの進撃ルートは第六感で選択
敵の攻撃は第六感や見切りで躱す
合間に軽機関銃で銃弾ばらまく
「運転中は攻撃が通り易くなるので…良かったらアリスさん、歌ってみます?依頼で3回ほどセントメアリー・ベースに潜りまして。拾ってきたマザーも歌った楽譜ですけれど」
外部スピーカー用のマイクと楽譜渡す
「冷徹な演算を期待され移植したマザーの知識を無駄にした思索に耽る狂った機械。其れが貴女です。私達がオリジナルを汚す貴女を倒します…どうぞ骸の海へお還りを」
●破損
アリスへの機械たちの攻撃はいつの間にか彼女の周囲に浮遊していたマジックコインがかばって防いだ。
マジックコインにアリスをかばうように命じたのはアルゼル・モーズ(神花のクレリック・f32513)だった。彼は物陰に隠れて目立たないようにしながらマザー・コンピュータの様子をうかがう。
マザーは機械都市を彼女自身を操縦席とした巨大ヘリに変形させて空中へと飛び立った所だった。
(「町そのものを自分の乗り物にするなんてスケールが大きいね。けれど、そこまで大きくなって隠れる場所があるのに『本体』はむき出しっていうのは……自信、かな?」)
実際に彼女は先程視界が悪くても生体反応で猟兵の居場所がわかると言っていた。アルゼルが目立たないようにしていても見つかるのは時間の問題だろう。
そう考えた時突然戦場を桜色の派手なケータリング用キャンピングカーが走り抜けた。それはグリモア猟兵の前まで来ると急停車する。運転席からアリスに声をかけたのは御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)だった。
「一方的にさらわれ命を狙われる。腹が立ちません? アリスさん、一矢報いてみませんか」
桜花はウインクすると助手席のドアを開いてアリスを招き入れた。
二人を乗せたキャンピングカーは飛んで逃げ回るマザーを追いかけ始める。
それにドローンや戦車、機械触手が群がってきた。グリモア猟兵を乗せたことで攻撃を一身に浴びる事となってしまったのだ。だがそれは想定内の事。砲撃や爆弾は見事なハンドルさばきで回避。迫ってくるドローンと戦車、触手は窓から軽機関銃の連射で撃ち抜いた。キャンピングカーを操縦中の攻撃は敵のあらゆる防護を無視できるのだ。
マザーへの攻撃タイミングを計りつつ桜花は助手席のアリスに問いかけた。
「よかったらアリスさん、歌ってみます? 依頼で三回ほどセントメアリー・ベースに潜りまして。歌姫だったオリジナルのマザーも歌っていた曲を知っているんですけれど」
アリスは少し考えてから首を横に振った。
「いいえ。アリス、より、桜花さんが、歌った、方が、マザーさんの、心に、響くと、思う、ですよ」
その曲の事もオリジナルのマザーの事も桜花の方が知っているから。そう言うと彼女は結界をキャンピングカーの周囲に張った。
「守りは、任せて、ください!」
「わかりました。お願いしますね」
桜花は外部スピーカー用のマイクのスイッチを入れた。そして彼女の歌が機械都市内に響く。
するとマザーを乗せた巨大ヘリと機械たちの動きが止まった。
(「――今だ」)
アルゼルは目立つキャンピングカーのおかげで機械たちに未だ見つかっていなかった。彼は今まで伝説の狩人の名を冠する猟銃【MATAGI】を構えて攻撃の機会をうかがっていたのだ。この絶好のチャンスを逃すはずがない。鎧砕きの弾を込めた猟銃でマザーのフラスコに狙いを定めて引き金を引く。
弾丸は正確にフラスコを撃ち抜き元よりひび割れていたそれは簡単に砕け散った。
裸のマザーが宙に放り出され巨大ヘリと共に落下し始める。
アルゼルはさらに銃弾ホルダーから貫通弾を抜き取り猟銃に装填。地面に落ちたマザー本体を狙撃する。
「……狩る、よ」
銃弾はマザーの腹を貫いた。
「っ……! 忌々しい歌、ですね……」
血が流れる腹を押さえ大きくふらつくも彼女は倒れない。
キャンピングカーを降りた桜花が凛とした声音で告げる。
「冷徹な演算を期待され移植したマザーの知識を無駄にした思索にふける狂った機械。それがあなたです。私たちがオリジナルを汚すあなたを倒します……どうぞ骸の海へお還りを」
「まだ、です。私は、まだ……知りたいことが、あるのです。だから、邪魔をする、グリモアは……必ず、殺します!」
マザーは叫ぶと自身の頭部から生える髪のようなコード群を機械都市に直接繋いだ。すると停止していた機械たちがグリモア猟兵を狙って砲弾や爆弾、触手を彼女へ放つ。
「……っ!」
アリスはそれらを結界で防いだ。しかしその顔にはありありと疲労の色が見える。彼女の体力も限界が近いようだ。
アリスの体力が尽きる前にマザー・コンピュータに止めを刺さなければならない。
成功
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バルタン・ノーヴェ
アドリブ連携歓迎
アリス殿を護る。マザーを倒す。
両方やらねばならぬのでありますな?
お任せくだサーイ!
アリス殿の所へキャバリアに乗って参上デース!
お待たせしマシタ!
どうぞワタシの愛機『スコール』にお乗りくだサーイ!
四足歩行形態でデトロイトの街を走り回りながら、ガトリングガンで機械兵器群を蹴散らしマース!
ヒャッハー!
このままアリス殿を保護していれば、マザー本体がやってくるデショー。
飛翔して突っ込んでくるその時がカウンターチャンス!
行きマスヨ、スコール!
「六式武装展開、煙の番!」
煙幕を展開して視覚情報を遮断!
センサーを切り替える暇を与えずにマザーへ肉薄して、そのボディにパイルバンカーを叩き込みマース!
●沈黙
「アリス殿を守る。マザーを倒す。その両方をするために、ワタシはキャバリアに乗って颯爽と登場! そしてワタシの愛機【スコール】にアリス殿を乗せてスコールを四足歩行形態に変形させてこの機械都市内を走り回りながら、ガトリングガンで機械兵器群を蹴散らす! という作戦を立てたのデス」
バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)はそう説明しつつアリスに向かってくる機械群をサイボーグである自身に内蔵されているグレネードランチャーで破壊していく。
アリスも結界を張りつつ相槌を打った。
「それは、とても、いい、作戦、だと、思う、です!」
「デスガ、ワタシはとんでもないミスを犯してしまったのデス!」
「ミス?」
「スコールとガトリングガンを忘れてきてしまったのデス! バルタン一生の不覚デース!」
「そ、それは……装備が、多い、猟兵、あるある、です! 仕方ない、です!」
「うう、有難うございます……! デスガやることは変わりマセン! アリス殿を守りながらマザーを倒してみせマース!」
バルタンはグレネードランチャーや火炎放射器など様々な武装を使い分けて機械たちを破壊しアリスに近づけないようにする。相手は無限に生まれてくるが彼女はこう見えても歴戦の兵士である。多少の傷は負うもののバルタンの敵ではない。
マザーは超巨大な戦闘機械ロボットとなって飛翔し戦況を見守っていた。しかし彼女はすでに満身創痍。芳しくない戦況も相まって焦りが生まれる。
「……グリモアは、私が殺します!」
巨大戦闘機械はその巨大な拳を突き出しながら一直線にグリモア猟兵へと突っ込んでいく。疲弊したアリスにこれは防ぎきれないだろう。
「――待ってマシタ! 六式武装展開、煙の番!」
アリスの目の前に立ったバルタンはその身体から白い煙を噴出させる。それはあっという間に広がっていき二人の姿を隠した。煙幕だ。
突然視界を奪われマザーは急停止した。
「こんなもの……私には、効きませんよ!」
彼女には生体反応を検知できる。それでバルタンとアリスの居場所を特定しようとした。
「遅い!」
バルタンは煙の中から素早く飛び出すと右腕に装着したパイルバンカーをロボットのコックピットに向けて打ち出す。打ち出された巨大な杭はコックピットを破壊しマザーの身体を貫いた。
「そん、な……。私は、まだ……知りたい、こと、が……」
こうしてフィールド・オブ・ナインの一人であるマザー・コンピュータは猟兵たちの活躍によって骸の海へと還っていった。機械都市に捕らわれていたグリモア猟兵も傷を負うことなく解放された。彼女は駆けつけてくれた猟兵たちに何度も礼を述べながら頭を下げたのだった。
苦戦
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