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アポカリプス・ランページ⑱〜悪に堕ちよ、闇に堕ちよ

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●邪悪に堕ちる事は可能か
「私たチは善意に寄生されタ。では私タちは善意をクわれて悪となッタのだロウか?」

 目玉が全身に生えた黒い触手群。1つ1つが元人間であり、それは既にポーシュボス現象と化した者達。それでも生前の思考を止められないモノもあった。

「否、否ダ。私は我が子ヲ呑み込ミそれに気づかズ探す親であるワタシを見タ。そレは狂気でアレ、悪デは無イ。故ニ、こう推論すル。私達は、善意モ悪意モ全てを呑まれタ。善意はそのキッカけに過ぎナい」
「ナラば、ナらばだ。こコに我ラを殺しテくれルもの達が現レても、呑み込まレテ終わりなのデハ?」
「いいエ、そうともカギらないワ。私達ハ所詮常人ダッタ。けれど、そもソモの埒外の存在。フィールド・オブ・ナインでスラ、全人類に含メない。そんな存在なラバ、呑まレズに耐エル事も可能かもしれナイわ」
「だケど、そうなッタラ、僕タチとは違ウ反応が起キルかもしれナイね」
「では仮説ヲ1つ。もしモすぐには呑み込めズに耐えたナラば、我ラは恐らク憑りついた善意から喰らオウとするダロウ。そうしたならば、その存在に起きるのは?」
「悪クなる!」
「端的ナ意見をアリがとう、元子供の我ラ。詳しく言うナラバ、秩序の放棄、悪の加速、等があゲられる」
「身体的、服、装備、等にも変化ガ現レるかもしれない」
「ああ、殺しテ欲しイのは確かダ。だが、同時に興味モでてしまう。我ラすら寄せ付けない『邪悪』が来るか、それとも善が消え、邪悪になるか、なりかけの者が来るか」

 蠢く。触手は蠢く。善意も悪意も全てそのまま、とそれらは言う。だが、それを一体誰が証明するのだろうか。

「「「嗚呼、どんな我ラになるか、愉しミだ」」」

●邪悪で倒すか、一時の邪悪となるか
「やっばいよねー。ボクもほら良心と善意と正義の塊だからさ、いやでも皆本当頑張ってね……何その眼」

 九十九・サイレン(再誕の18不思議・f28205)は本当?みたいな目を向けられながら説明を開始した。

「皆に相手して貰いたいのは、ポーシュボス・フェノメノン。フィールド・オブ・ナインの1体……1体?だね。コイツはどうやら宇宙から来た邪神だったらしくて、生物の善意に寄生してそれをポーシュボスに変えてしまう。それでものすごい数になってるみたい。とんでもない奴だよね……で、それは残念だけど皆でも完全に防ぐ事はできない。でもやり様はある。その1つがコレ」

 サイレンはジュラルミンケースを幾つか机の上に上げた。

「この中にはボクが予知した案件で、破壊した宝石。それを欠片をくっつけて修復したり、そのまま回収できたのとかがそのまま入ってる。これを持っていけば、ポーシュボスは宇宙の幼生を喰らおうと1つの巨体になる。だから、その食べようとする宇宙の幼生かその巨体を利用するのもいい手だね。

 それから、2つ目。邪悪な者として戦う事。皆も色んな戦う目的があるだろうから、良心が無いなんて人はそれで自信を持って挑んでもいいし、『超克』で真の姿になり、それが邪悪ならそれで対抗してもいい。
 んで、どっちも……って人の為にまた役立つのがこの宇宙の幼生。実はボクが予知したのって指向性があるのでさ。しかも見ると自分を『怪物だと思い込む』とか『もしもの存在だと思い込む』とか、なんとも今見ると丁度いいのばかりで……つまり、宇宙の幼生を見る事で、自分を邪悪な怪物だと思い込むとか、もしもの邪悪な自分だと思い込めば、ポーシュボスの寄生も防げるかもしれない。……ちょっとそこ、『都合が良過ぎない?』『全部お前の企みだったんだろ白状しろ』みたいな視線やめて。ボクも驚いてるんだから。
 ちなみにこの思い込みは、事前にある程度設定や指向性を考えられると思うし、お互いはできるだけ希望が無い限りは距離を離すようにするから、周囲のもの全部殺そうとする、壊そうとする、とかの方向性でもオッケーだよ!ただしあくまで狂気だからこれだけだと自分の姿とかは変わらないから注意ね!

 そして3つ目。これは大分きついとは思うけど…ポーシュボス化しても正気を失わずに、完全にポーシュボスになる前に倒す、ないしは一撃与えて離脱するか。一般人はあっという間らしいけど、猟兵なら完全にポーシュボスになるには幾らか時間がかかるみたい。それは身体も精神もね。
 また、ポーシュボスの攻撃自身もポーシュボス化を促すものだから、攻撃を防御してからポーシュボス化を受ける方法もあるにはあるね。
 身体はそれこそ個人差で、身体がポーシュボスになる、衣服からポーシュボスになる、武器からポーシュボスになる、と様々。ポーシュボスになる際には人としての形が崩れたり、最悪、顔だけそのままで体全部ポーシュボス、までいっちゃうかもしれないけどそこまでなら後でも十分治療も可能、だと思う。ポーシュボスにならずになんとか正気を保ち、ポーシュボスを倒す、攻撃に対応する、とかして欲しい。
 精神は、まるごと呑み込まれはせず、皆の場合は善意が徐々に薄れていくパターンが多いって予想だね。それこそ2の邪悪なる者に中身が近づいていく感覚だね。そのまま体ごと悪意も呑み込んでポーシュボス化する、ってつもりみたい。その辺りも覚悟の上でお願いね!」

 サイレンは自身の顔に手を添え、軽く頬を撫でながら言う。

「みんなに酷い事を強いているのはわかってる。でもポーシュボスをできるだけ倒さないといけない。だから、どの方法でも覚悟が決まっているなら、この任務に向かって欲しい。頼んだよ」

 真剣な顔つきで、サイレンは猟兵たちを邪神蠢く領域へと送り出すのだった。


タイツマッソ
 こんにちは、タイツマッソMSです。
 大分倒されていますが、とても趣味(異形化・悪堕ち)に嵌るものだったので依頼を出させて頂きます。
 判定はやや厳しくなります。

 身体変化・異形化・衣装変化・武装変化・内面変化等は大分ノる可能性が高いので、あまりやって欲しくない場合は抑え目に書いて貰うか、アドリブOKの記載やマークは無い方がいいと思われます。どのくらいノるかというと、それこそOPの『顔以外全部ポーシュボス』もノリノリでやります。

 プレイングボーナスは『『邪悪ナる者』になるorポーシュボス化してでも戦うor敵の巨体や「宇宙の幼生」を利用する』であり、ボス戦である都合上、使う使わないにかかわらず宇宙の幼生は持っていく事になりますが、幼生を見る必要はなく持っているだけで十分です。
 尚このシナリオでの特殊仕様として、持っていく宝石は『自分を自分が知っている中の怪物の何かだったと思い込む狂気』や『自分が今は違う世界に生まれていたとか過去に違う選択をしていた等のIFの状態に思い込む狂気』という指向性を持った物になります。指向性がある分、設定や精神状態を決める事でその行動を指定する事も可能です。
 一撃だけでもポーシュボスに入れるプレイングでさえあれば、その後にポーシュボス化や邪悪な意志のままに耽ったままになってもOKです。完全なポーシュボスになる前に救出される事になります。

 また、プレイングの解釈が難しくリプレイ化した際に解釈が分かれるかもしれない、技能の羅列等で使い方がわからない、等の場合は不受理になる可能性がありますのでご了承ください。

 オーバーロードも受け付けますが、オーバーロード不使用者と判定での差はつけるつもりはありません。

 プレイング受付はオープニング公開後から開始。執筆・返却は9月22日(水)から開始予定です。
 それではプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『ポーシュボス・フェノメノン』

POW   :    ポーシュボス・モンストライズ・フェノメノン
自身の【体積】を代償に、【生物をポーシュボス化する現象】を籠めた一撃を放つ。自分にとって体積を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD   :    ポーシュボス・ウェポナイズ・フェノメノン
いま戦っている対象に有効な【武器形態ポーシュボス】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    ポーシュボス・シンパシー・フェノメノン
【ポーシュボスの威容】を披露した指定の全対象に【ポーシュボス化したいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ディナ・サーペント


なるほど、寄生される前に先に狂気に呑まれると
じゃあ私は竜の手足、竜の尾を持つ竜人…「ディナ・ドラゴニュート」ってことで
悪竜として、破壊の限りを尽くすよ!

ふふ、爪も尻尾も絶好調
ズタズタにされて、どんな気持ち?
この「ディナ・ポーシュボス」に歯向カった報い、ダよ!

…アれ?今、ワたし、ナんテ…ギィ!?
ぁ….体がワレて、目ガ、ナんで…
ダメ、もう一度、モう一度狂気ヲ…
私は、ポーシュボス…違ウ!私はポーシュボスで、違ウ、違ウ!私はポーシュボスじゃナクて、ポーシュボスなノに!
アア、ダメ、名前ヲ呼ブ度に変わっテ…
あ、あア、あアああ!!アハハハハハハ!!
(原形を留めない、完全なる異形化。魂までポーシュボスに)



●浸食:邪悪なる竜人

「なるほど、寄生される前に先に狂気に呑まれると」

 ディナ・サーペント(海竜のディナ・f26523)は丁寧に入れられた宇宙の幼生のジュラルミンケースを目の前にし、軽く息をつく。

「半分くらい昔に還るだけだと思えば、気も楽だよね?」

 彼女は人間ではあるが、かつては海竜だった(らしい)。その為、人間以外の何かになると言うのはある種経験済みでもある。後はそれを狂気で補うだけだ、と。

「じゃあ、行こうかな」

 ケースを開けて、中身の宝石を見やる。その中に広がるは宇宙の景色。それを数秒も見てしまえば、その意識は狂気に呑まれていく。ただしその方向性は、自信が怪物であると思い込むと言う指向性がある為にある程度設定することができる。そしてかつて海竜であった彼女が選んだものは。

「っ、はああああ……!」

 彼女の両腕を氷の塊が覆っていき、竜の腕のような部分を形成していく。これは彼女の技【海竜の鎚撃(サーペント・クラッシュ)】の前段階。この氷の竜腕で敵を撃破するのだが、彼女が狂気に浸り精神が変化したからか、更にその範囲が広がっていく。足もまた氷の竜脚が形成され、更に氷の尻尾も後ろに形成されていく。彼女の眼付も心なしか変わっていき、獰猛な笑みを浮かべる。

「私は竜の手足、竜の尾を持つ竜人…悪竜人「ディナ・ドラゴニュート」。ふふ、壊し甲斐があるのがいるわね…?」

 彼女が選んだのはドラゴニュートという竜人。そこに更に自身のUCを併せたのだが、精神性の変化により思わぬ効果もついたようだ。一方、ポーシュボスは彼女が持つ宇宙の幼生を喰らおうとしているようで、1つの巨体にまとまっていく。

「わざわざ1つにまとまってくれたのかな?楽でいいわね!」

 ティナは駆けだすとその氷の竜腕をポーシュボスへと叩きつけた。すかさず竜脚で蹴ればその身体に爪痕を刻み、更に氷の竜尾がポーシュボスの巨体を打ち吹き飛ばす。

「ふふ、爪も尻尾も絶好調。ん?」
「オオオオオおおおおお!!」

 ポーシュボスが自身の体の一部を削ぐのを引き換えに、巨大にした腕をディナに叩きつけてくる。だが、ディナも動じることはない。

「無駄よ。竜の硬き腕にそんなものは通じない」

 叩きつけてきた腕を氷の両腕でガード。そして動きが止まった所を、氷の竜尾がうねるとその身体を思いきり突き刺した。

「!!??」
「ズタズタにされて串刺しにされてどんな気持ち、っと!」

 そのまま尻尾を振り抜けば、ポーシュボスが大地に叩きつけられる。その無様な姿を見てディナはキモチ良くせせら笑う。

「ふふ、アハハ!いいザマ!この「ディナ・ポーシュボス」に歯向カった報い、ダよ!アハハハハハ!!」





「…アれ?」

 思わず出てきた自分の名前に違和感を覚える。今、私は違う名前を言ったような。

「今、ワたし、ナんテ…ギィ!?」

 彼女は気付いていなかった。ポーシュボスの一撃をガードした時、ポーシュボスの一部が彼女にとりつき、腕と尻尾を氷だけではない何かで更に補強してしまっていた事を。元々の竜の部位だという狂気に堕ちていた彼女には、区別がつかなかったのだ。

「ぁ….体がワレて、目ガ、ナんで…」

 氷の部位をポーシュボスが浸食し、彼女の体にもそれが及んでいく。段々と黒く染まり、その身体が嫌な音を立てて割れていく。そしてその割れた所から覗くのは黄色い眼。それはまさにポーシュボス化だった。自分の視界が無駄に無駄に増えていく。それはまさに狂気さえ覚まさせる本当の狂気だった。

「ダメ、もう一度、モう一度狂気ヲ…」

 狂気がさめ、元のディナが戻ってしまう。宇宙の幼生を再び見ようとするが、不慣れな多数の視界は逆にその存在を認識する事が出来ない。そして正気が戻った以上は、ポーシュボス化は更に速く進んでいく。

「私は、ポーシュボス…違ウ!私はポーシュボスで、違ウ、違ウ!私はポーシュボスじゃナクて、ポーシュボスなノに!アア、ダメ、名前ヲ呼ブ度に変わっテ…」

 四肢は完全に竜の腕型のポーシュボスと化し、尻尾もまた黒と黄色の目が混じっていく。自分の名前を言おうとするたびに、更に深く進んでいき、ついには頭にも黒き触手が至る。彼女の顔が包まれたかと思えば、それは前に伸びて竜の頭を形作る。黄色の目が次々作られていき、天頂にはコアのような一際輝く黄色い球が輝き、そして竜の口が開き、その中からディナの声が響く。

「あ、あア、あアああ!!アハハハハハハ!!わたシも我ラになってシマった!これがポーシュボス!ポーシュボスだった!」

 残ったのはまさにポーシュボスが竜人になったかのような姿だった。ディナの面影は何処にも……いや、それだけは手放さない、かのようによく見れば尻尾の先端は斧の形になっており、首にも首輪のようなポーシュボスの部分が形成されている。そして胸元には盾が頭部と同じ黄色のコアを中心に形成されており、面影は無くてもディナだった、という事は知り合いならもしかしたら察するかもしれない、程度の名残が残された、ポーシュボスドラゴニュートとでも呼称するような個体が存在した。

「宇宙ノ幼生…どコだ…わタしがもってキタ、アレは…たべタイ、喰らいタイ…喰らいタクテたまラナイ…どこ…ネエ、どコ?アハ、アハハハ!」

 同胞であるポーシュボスなど気にもせず、彼女もまた宇宙の幼生を食べたいと彷徨いだす。こうして彼女は、かつての龍としての姿とは別物の竜へと成り果ててしまった。

成功 🔵​🔵​🔴​

唐桃・リコ

大分人狼に「人」である時間をやっちまった分
オレの中の人狼は随分楽しそうだ
ただ、オレはまだ立ち止まるわけにいかねえ
オレの求める力は、奪われない力は、もっと先にあるから
だから来いよ
解放されたいなら、オレがここで殺してやる!!

起きろ人狼!飯の時間だ!【Howling】!
あえて「人」で無くなれば、邪悪な者として戦えるだろ
ただ楽しんで、殺して、食って、笑ってるようなヤツだ

徐々に自分の感覚が薄くなる
こんだけこいつらと戦ってきてるんだ
オレもこいつらと同化してきてるかもしれねえ
それでも、関係ねえ
どれだけ侵されても、戦い続ける!!

…何か眠くて仕方ねえ
アイツの側で寝たいのに
まだ、倒れるわけにいかない、のにな



●浸食:邪悪なる狼

「大分人狼に「人」である時間をやっちまった分、オレの中の人狼は随分楽しそうだ」

 唐桃・リコ(Code:Apricot・f29570)は自身の中に眠るそれの感触を確かめるように、自らの胸元を撫でると、ジェラルミンケースを足元に置き、ポーシュボスの接近に備えた。

「おオォ、新しい我らア」
「ここで止マリ、我ラとなれ…」

 先に損傷を受けた部分を新しいポーシュボスを同化させて補った集合体がリコへと迫る。同化しようという誘いにリコは頭を振って答える。

「ただ、オレはまだ立ち止まるわけにいかねえ。オレの求める力は、奪われない力は、もっと先にあるから」

 自身は此処で止まる訳には行かない。ポーシュボスの一部になる訳には行かない、とリコはその求めを拒絶する。

「宇宙ヲ、食わせロォ!」
「殺シて、殺しテくれぇ!」

 複数の意識がない混ざっている為、ポーシュボスからの要求もまた分裂したものになっていた。そして殺して欲しい、という願いをリコは受け止めた。

「だから来いよ。解放されたいなら、オレがここで殺してやる!! 起きろ人狼!飯の時間だ!【Howling】!」

 そしてリコは自身に眠るそれを呼び覚ます。途端、彼の目が見開き、鋭い牙を剥きだしにする。『人狼』とは猟兵全般では種族の1つの呼称の事だが、彼にとっては自身に眠る『人』ではない『獣』としての何か。そして理性を保ち人の姿をしていられる時間を代償にする事で、その獣を呼び覚ますのがこの技。

「グ、グルアアアアアアアア!!!!」

 獣としての本能が晒され、爪も鋭く尖っていき狼としての姿が顕著になっていくリコ。そんな彼が咆哮を響かせると、ポーシュボスの巨体がその咆哮だけでその身体を傾がせた。それはまさにハウリング。獣としての咆哮は衝撃としてポーシュボスを打ち、その身体の動きも阻害する。

「ガァアアア!!!」

 その隙を逃がさず、リコは地を蹴り一気にポーシュボスに迫ると、その身体を爪で薙ぎ払い、抉り飛ばした。すかさず低姿勢で着地し再び飛ぶと、今度は牙で喰らいついたポーシュボスの一部をねじ切り、ぺっと吐きだす。まさに獣。そしてその獣はその攻撃の度に嬉しそうに笑う。喰う為にも動くが、ポーシュボスは食おうとも思えないものだったらしい。ただ攻撃し、それが楽しいというタイプの獣。それはまさに邪悪な獣であり、ポーシュボス化も及んでいない、かに思えた。
 だが数度ポーシュボスを抉り、再び着地して飛ぼうとした瞬間だった。

「ガァ!!??」

 その足に突然大地からトラバサミの形のポーシュボスが飛び出し、リコの足に喰らいついたのだ。それは獣としての戦いをするリコに合わせてポーシュボスが召喚した武装形態ポーシュボス。ポーシュボスの中には猟師をしていた個体もおり、それが導き出したのがトラバサミによる奇襲だったようだ。そして喰らいついたポーシュボスから直にポーシュボスがリコの身体へと浸食を始める。如何に邪悪な状態で良心である人の意識が眠っていると言えど、完全には消せてはおらず、身体に食い込んだ以上は浸食も防げない。

「グゥ、ルアア!!」

 身体を黒き触手が包み込み、裂けた部分から黄色い目が覗く。やがて包み込んだ部分が大きな狼のような姿を取り、狼のような鋭い牙の口が開き、頭部の黄色いコアが輝く。もうポーシュボス化は完全に終わってしまった、かのように思えた。

(それでも、関係ねえ)

 浸食されていく精神の中で、薄れていた『人』の意識が足掻く。まだここで終わる訳には行かない。屈する訳には行かない、と。お前達になる訳には行かないと

 たった1か所。ポーシュボス化が及んでいない部分があった。それは、右手の小指に当たる部分。そこだけが、何故かポーシュボス化を完全に拒絶していた。

(どれだけ侵されても、戦い続ける!!)
「グ、ル、ガアアアアアアアアアアア!!!!」

 無理矢理トラバサミポーシュボスを引き抜くと、そのまま本体のポーシュボスへと駆ける。地を奔る狼の疾駆は本体にも捉えられず、突撃を受けると同時に爪と牙の直撃を受ける。そしてリコはその完全接敵の状態で、咆哮を放つ。

「ウオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」

 その零距離の咆哮はポーシュボスを吹き飛ばし、身体をまたも削りながらその巨体を遠くへと吹き飛ばした。


(…何か眠くて仕方ねえ)

 ポーシュボスを吹き飛ばしたリコは、ポーシュボスウルフとでもいうべきかな姿でよろよろと歩く。更に追撃をしたくても、もう身体が限界に来ていたようだ。

(アイツの側で寝たいのに)

 眠るならせめてアイツの側がいいのに、と心は訴えるが、身体はもたない。

(まだ、倒れるわけにいかない、のにな)

 黒き狼がゆっくりと地へと横倒れる。こうなってもなおまだ人としての心は保ち、完全な同化にも至ってはいない。ただ体力を消耗し、倒れているだけ。

 狼は静かに眠る。それでもなお、その指の一筋だけは、ポーシュボス化を拒絶してリコとしてのそれを保ち続けていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

中條・竜矢
【POW判定】アドリブOK
覚悟、か。いくらでもやってやる。例え私が喰われてもこうするしかないなら!
(自分の性格は分かっている。元から悪人ならまだしも、普通の人間が元であれば恐らく攻め手が緩んでしまう)
無理やり悪で上書きしてやる。こい!(攻撃を受け止めポーシュボス化を受ける)
ぐ、ああっ(ユーベルコードも合わせて発動し、姿を変えていく。ドラゴンの姿だがあちこちにポーシュボスの特徴が現れ、触手も生え出す)
が、ああっ(衝動のまま壊せと声が聞こえる。良心も薄れて行き、辛うじてドラゴンの姿をしたポーシュボスといえそうな姿で喰らい、取り込んでいく)
あははは!いくらでもこい!



●浸食:邪悪なる呪竜

「覚悟、か」

 中條・竜矢(変化する竜騎士・f03331)は自分の方へ吹き飛んできて叩きつけられたポーシュボスを眺めてそう呟いた。思い出すのは『覚悟の上で挑んで欲しい』と投げかけられた言葉。そしてその重みは人の姿について思う所もある彼には感じる事が出来るものだった。四肢や翼が変形する経験、自分が別の何かになる事。それを受け入れるというのは覚悟が必要な物だとは確かに思った。

「……いくらでもやってやる。例え私が喰われてもこうするしかないなら!」

 それでも彼はやると決めた。しなければいけない、とも思いポーシュボスを眺める。あれは宇宙から飛来した邪神そのものではなく寄生された人々。故に、自分はどうしても攻め手が緩んでしまうだろうと竜矢自身がそう判断していた。ならば自分が容赦なく人々を含めたポーシュボスを倒すにはどちらにしてもこれしかない、と覚悟を決めた。自身の心を、良心を--。

「無理やり悪で上書きしてやる。こい!」
「おおおオオオオオおおおおお!!」

 巨体ポーシュボスが振り上げた腕の一撃を、竜矢は手にした黒剣で受け止めた。その力に吹き飛ばされそうになるのを堪える、が問題はそこではなかった。自身の体積を減らし、ポーシュボスが黒剣ごと竜矢を覆うように寄生を開始する。

「ぐ、ああっ」

 呑まれるように黒いものに竜矢の身体が浸食されていき、ドラゴニアンである身体が変化していく。翼は更に大きく、尻尾も太く鋭く。身体が割れて目玉次々形作られ、黄色い花のような部分が開いていく。胸元に黄色に輝くコアが現れ、全身からは触手が次々に出ていく。呑まれた頭部は元の形を更に大きく禍々しくしたようなものになる。

「う、オおお…」

 変化しきり巨大な竜、されど先のものと違い四足歩行となりより竜らしい姿勢となったもの。それは人としての姿を保っていた竜矢にとってはなりたくない姿だっただろう。だが、それでもなお彼はポーシュボスを討つ為にその姿を求めた。そう、これは決して想定外の展開ではなかった。

「アアアあああ!」

 次の瞬間、生えた触手の先端が斧や鎌、剣に変化すると次々にポーシュボス本体を切り裂いていく。寄生したと思った相手の反撃に本体はたじろいだように傾いだ。

「今の我ハ人にあラず、敵を滅ぼス黒き邪竜ナり。そノ命を我ニ差し出セ」

 ポーシュボスドラゴンとでも言うべきかなその竜はそう口にした。そう、竜矢はただ取り込まれただけではなく、同時に自身のユーベルコードを使用していた。【邪竜の呪い(カースオブドラゴン)】。ドラゴンの力と武具の呪いを解放し、自信を邪竜へと変える技。これをポーシュボス化と同時に使う事で、自信を邪悪へと染め精神への抵抗を高めると同時、変化を同時にする事であたかもポーシュボス化しているように見せかけていたのだ。
 壊せ、全てを壊せ、と衝動が湧く。かろうじて残っている竜矢の意識がそれを受け入れる。周囲には味方はおらず、いるのは邪神に取り込まれた人々の意識たちのみ。彼らを解放する為、フォーミュラを打倒する為、いくらでも湧く理由の中で竜矢がどれを抱いたかはわからない。ただ、彼はその衝動を肯定した。

「ああ、イくらデモ壊しテやル!」

 開いた竜の咢がポーシュボスに喰らいつく。ポーシュボスに匹敵する巨竜となった今の竜矢。その身体ならば可能な挙動、そのまま首を振り上げてのポーシュボスの叩きつけ。そしてそのまま食いちぎり遠慮なく咀嚼する。その度に良心が薄れていくのを感じる。ポーシュボスのせいか、邪竜によるせいか、どちらかも分からない。だが敵を倒せる。壊せる。それだけは確か。ならばいい、と良心が薄れる精神は肯定する。

「あはハハ!いくラでモこイ!」

 まだポーシュボス化には完全に呑み込まれていない。それを確かめながら、再び触手と彼の牙が、ポーシュボスの巨体に深く食い込んだ。それはまさに人としての姿を失った、荒れ狂う力の具現、竜の姿そのものだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神代・凶津
(浮遊する鬼面)
相棒は置いてきた。今回の敵とは相性が悪すぎるからな。
それに思い付いたんでな、必勝の策ッ!

戦闘開始だ。先ずは敢えてポーシュボス化する攻撃を受けるッ!ぐおおおおおッ!!!

(鬼の顔をした赤いポーシュボスに変化する)
フシュウウウゥゥゥ……。
邪神 《マガツ》 覚醒

俺は元々人外だ。異形に変化する事には特に抵抗はねえ。むしろ体を手に入れてお得ってなもんよッ!
ポーシュボスに接近して触手で取っ組み合いだ。気分は怪獣だぜッ!
同じボディ、互いに接戦。だが互角じゃねえぜ。顔がある分、俺の方が上だッ!
くらえ、炎獄砲ッ!更に弾幕の如く連射だッ!

景気良く燃えちまいなッ!がっはっはっはっ!


【アドリブ歓迎】



●浸食:邪悪なる鬼人

 先の猟兵により再び吹き飛ばされたポーシュボス。その先にいたのは、空に浮かぶ鬼面だった。

「相棒は置いてきた。今回の敵とは相性が悪すぎるからな」

 神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)はヒーローマスクである。本来は相棒である巫女、桜と共に戦っているが今回は彼一人である。今回は良心を持つ者にポーシュボスは寄生されてしまう。ヒーローマスクの中には着用者の意識を眠るようにし自身が身体を動かす者もいるが、凶津の場合は桜が同時に意識を持ち凶津の行動を俯瞰できるタイプ。つまり、どうしても彼女はポーシュボスの影響を受けてしまう。そうなったなら彼は、悪に染まる彼女の意識を見る事になる。
 もしかしたら彼はそれを見る事や、彼女の肉体をポーシュボスに寄生させる事が許せなかったかもしれないが、彼は語らず、あくまで相性、そして作戦だと語る。

「それに思い付いたんでな、必勝の策ッ!」

 滅多にないであろう、置いていかれるという事に桜がどう思ったか、どうやり取りしたかは分からない。だがこうして凶津がいる以上は承諾か、送り出したかは間違いないだろう。

「さあ来てみやがれ邪神野郎!てめえの目当てはここにあるぞ!!」

 鬼面の角にケースを引っ掛け、浮遊する凶津は敵の攻撃を誘発する。ダメージは入り続けているが、それでも流石にフォーミュラクラス。今だ倒れる気配の無いポーシュボスは宇宙の幼生を目がけて、その腕のような部分を伸ばしてくる。

「お、おおおおオオオオ!」

 眼に迫る大質量を凶津はひらりと空中でかわす。流石にあの巨体の直撃はもらえない、とヒーローマスク特有の浮遊能力で攻撃は回避する。だが、ポーシュボスの攻撃はこの後がある種の本領。その腕から触手が伸びてきて、凶津を取り込もうとする。

「ちっ!」

 鬼面を振り、ジェラルミンケースだけは遠くに投げ飛ばし、そして凶津の鬼面がポーシュボスに呑まれていく。

「お、う、あああああアアアア!!」

 次々にポーシュボスが纏わりつき、本体から離れるとポーシュボスの塊を形成する。だがやがてそこから大きな腕が、足が、胴体が作られていく。そして頭部には大きな角、そして鬼面の如き顔が形成される。それはまさに鬼の姿。ポーシュボスオウガとも呼ぶべきか。そして身体が割れていき、そこには黄色い目が…………否。

「フシュウウウゥゥゥ……。邪神 《マガツ》 覚醒」

 黄色ではなく、それは赤だった。割れた部分には赤き目が光り、鬼面もまた同じ色。そして、その眼の部分に光るのもまた、ポーシュボスの特徴である黄色ではなく赤だった。

「生憎俺は元々人外ダ。異形に変化する事には特に抵抗はネエ。むしろ体を手に入れてお得ってなモンよッ!」

 そう、まだ凶津は呑まれ切ってはいなかった。そもそもヒーローマスクとは気の合う者の身体を支配もしくは共存する種族。寄生をしかけるポーシュボスとは似て否なる特徴を持つ。故に、支配への抵抗も強かった、のかもしれない。結果邪神としての別の在り方≪マガツ≫として今だ自身の意志を残していた。そしてヒーローマスクに曲りなりに肉体が備わった以上、ここからは存分に戦闘が出来る。

「行くゼ!!怪獣バトルダ!!マガツVSポーシュボス、ってナ!丁度アメリカだしヨ!」

 マガツが勢いよくポーシュボスへの巨体へ突っ込み取っ組み合う。ポーシュボスに匹敵する巨体を手にした以上はこうして組み合う事も可能。ポーシュボスも腕に相当する部分で腕を受け止め、互いに押し合い、それは拮抗する。のように見えた。

「やるな邪神野郎!だが互角じゃねエぜ。顔がある分、俺の方が上ダッ!くラえ、炎獄砲ッ!」

 取っ組み合っている鬼面の口から、炎の球【炎獄砲(エンゴクホウ)】が発射される。今の顔はポーシュボスにより巨大化してはいるが、ユーベルコードもまたそれに準じている為、面積の分通常よりも巨大な球が発射される。取っ組みあった状態なので防ぐこともできないポーシュボスの身体に炎球が直撃する。

「まだまダまだマダ!!どんどん喰らえヤアアア!!」

 更に次々に連続発射。結果、弾幕の如き巨大炎球が次々にポーシュボスを直撃。派手に炎上させていく。

「景気良く燃えちマイナッ!がっはっハッハッ!トドメに、特大の、受け取レエ!!」

 最後に特大の炎球が燃えるポーシュボスへと直撃すると、ポーシュボスを再び吹き飛ばした。

「ち、追撃シタイが、これ以上はキツいか……」

 流石にポーシュボスを動かせるのもここまでのようで、マガツが膝をつく。

「後は頼むゼ……ったく本当、コンなの、相棒にゃあ、させランねえや……」

 後の猟兵に追撃を託し、彼は帰りを待つ相棒の姿に思いを馳せるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

テフラ・カルデラ
※アドリブ可
白亜【f27782】と同行

ひゃぁぁぁ…!?なんか…なんかうぞうぞしてます…!?
ふえぇぇ…身体が…同じに…なってる?

ま…まずいまずいまずい…!早く何とかしないと…
こうなれば【黄金呪術球】を思い切りぶち込むのですっ…!

とりあえず…何とか…あれ?白亜…さん…?
あっ…いやっ…やめ―――

(その後、ポーシュボス化したテフラと白亜がまるで愛し合うように狂ったように絡み合っている姿が…)


九重・白亜

テフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)と合わせ

う、アあ……体が、変わル……っ!ただ、変異しきル前にやッてやる……!

体のあちこちがポーシュボス化しつつも、クイックドロウでグレネードを投擲、指定UCを発動。死にかけてる分全力で魔法も撃ちやすい。死にかけてるっつーか、人っぽい形した触手に変わりかけてるというか……

ぅ、ウ……溶けル……テフラぁ、はヤク……おネガい……アイツで、タブんさいゴだと、オもう……

異形化してみるに堪えなくなっても、多分彼が助けてくれると思う……多分。信じてるよ?



●浸食:絡み合い溶け合う2人

「ひゃぁぁぁ…!?なんか…なんかうぞうぞしてます…!?ふえぇぇ…身体が…同じに…なってる?」
「う、アあ……体が、変わル……っ!」

 今回はポーシュボス化という同士討ちが起こり得る状況の為、猟兵は基本それぞれ距離を取っての転移を行っている。ただし希望があった場合はその限りでなく、テフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)と九重・白亜(今を歩む魔術師・f27782)がそうであった。二人は共に転移し、巨体ポーシュボスの初撃をかわしたが、そこから伸びてきたポーシュボスに接触され、その身体が寄生を受け始めていた。2人の足が触手に変化し、眼や花のような器官が開いていく光景に2人がぞっとする。

「ま…まずいまずいまズイ…!早く何とかしなイト…」
「変異しきル前にやッてやる……!」

 それでも二人ともなんとか抵抗し、反撃を開始した。テフラはまだ無事な腕の先に黄金の球体を形成すると、それをポーシュボスへと投擲した。一方、白亜はコイルグレネードを素早く取り出すと、彼もまたポーシュボスへと投擲。取り出す動作が素早かった分、白亜の方が先となる。だが、ポーシュボスもそれをまともには受けず、グレネードを回避してしまう。だがそれは計算通り。何故なら、その回避先こそがテフラが黄金球を投げた先だったからだ。

「【黄金呪術球(ミダス・ハンド・ボール)】!受けてみるデス!」
「!!??」

 黄金球の直撃を受けたポーシュボスが僅かにたじろぐ。だがそれだけではない。地命中したポーシュボスの足元部分の触手が黄金に変わり、硬直してしまったのだ。これこそがテフラの技の効果。そして白亜のグレネードもまた、当てるのが本命ではない。

「触手に全身なりカケてる分、魔法モ全力デ使えル…!」

 グレネードの着弾地点を起点に、空へと白亜が行使した魔法が放たれる。それはあっという間に雷雲を作り、ポーシュボスへと雨を降らせていく。ポーシュボスもこれから起こる事を危惧し、逃げようとするが、その逃げようと伸ばした触手をすかさずテフラが黄金球を投げて黄金化、動きを封じていく。

「ぅ、ウ……溶けル……テフラぁ……おネガい……」
「っ!白亜さん!!っ!」

 浸食が白亜の方が早かったらしく、もう既に身体のほとんどが触手化しており、かろうじて頭がまだ残っているので魔法の行使ができている状態。テフラはそれを汲み、ポーシュボスを逃がさないように黄金球で足止めをし続ける。そしてついにそれは完了する。

「【再生魔術:轟雷(パニッシュメント)】……」

 触手に呑まれかけて消えかけた口から最後の言葉を紡ぎ出す白亜。おぼろげに最後に見えたのは、雷雲からポーシュボスへと落ちる稲妻だった。そして彼の意識が虚ろになっていく。

(多分彼が助けてくれると思う……多分。信じてるよ?)




「オオオぉおおお!!」

 巨体のポーシュボスを稲妻が穿つ。黄金で動けず、黄金と雨により通電しやすい。まさに2人が生み出した相乗の一撃が炸裂し、ポーシュボスが地に伏した。

「とりあえず…何とか…あレ?」

 倒れたポーシュボスを見届けたテフラは歓喜の声をあげ、功労者である白亜へと振り返った。だが、そこには白亜はおらず、テフラは周りを見回す。その直後、黒い触手が足元からテフラを包み身体を縛る。テフラが突然の事に戸惑い、接触により更にポーシュボス化が進む中、その前に一際大きな触手の塊が姿を現す。

「白亜…さん…?」
「てふラぁ……オレといっショに、ポーシュぼすに、ナろう……?」

 それは触手と化していたが紛れもなく白亜だった。髪も肌も触手になり、目もまたポーシュボスを表す黄色に染まっている。そして胸元には黄色いコアが輝き、ほとんどポーシュボスになってしまっていた。

「あっ…いやっ…やメ―――」
「テふラの善意、おイしい……一緒にスるの、たまラナい……一緒ニ、なろ……」

 ポーシュボスになった白亜の顔が恍惚に染まり、テフラを自分自身で包み込んでいく。そしてテフラもまた、自分の良心が消えていきポーシュボスと化していく感覚に呑まれていく。

 やがてテフラの身体が完全に包み込まれ、ポーシュボスの塊だけがそこにあった。



「どう、オれ(テフラ)……どンナ気分?」
「スゴくキモチいイ……ボクが白亜サんで、白亜さンがボクで、こレがポーシュぼすなんですネ……」

 暫く後、同じ場所にいたのは絡み付き流動するポーシュボスの触手。よく見ればそれは2種のポーシュボスだった。
 1種は頭部にウサギの耳に似た器官を生やし、顔の上半分は黄色のコアに包まれ、下半分には人間の口元がのぞき笑みを浮かべている。触手でできた身体の所々には筒のようなパーツがいくつも生え、そこから垂れ落ちた液体が落ちた地面を石にしたり氷にしたり宝石にしたりと様々な効果を及ぼしている。知り合いが見たならば、「あ、テフラだ」と察するであろう姿だった。どうやら彼の装備を取り込んだことと彼の趣向から性能が偏ったポーシュボスになったらしい。
 もう1種もまた同じように顔の上半分を黄色のコア、下半分に人間の口元が覗いている。テフラと違うのは銃のようなパーツが取り込まれていること、そして上半身や腰にメイドのような触手服の意匠が残っていること。こちらは白亜である。
 そして2種は下半身部分を触手にばらけさせ、それが絡み合うことでまるで1種のポーシュボスのように1つになり、腕もまた抱き合うようにし、体をくっつけていた。

「白亜サんの好きはボクのすキ」
「テふらの気持ちイイはおレの気持ちイイ」

 狂ったように体をくっつけあい、気持ちよさそうに残った口を開けてとろける二人。胴体の触手もまた絡み合い混ざり合っていく。

「1つにナったラ、固まッテポーシュボス像にナりまセンカ?」
「いいヨ。おレはもうテふら。オれも固まルの大好キだ。だから、一緒ニ固まロウ」
「うん、うれシイ」

 やがて2種は本当に1つのポーシュボスのようになり、テフラが放った硬化液体により1つの像のようになるだろう。それはポーシュボスになっても他の猟兵を攻撃はしない、という2人のせめてもの抵抗だったのか、テフラなりの邪悪という発露だったのか、はわからない。


 なお、後で救出のために発見された二人はそれはもう恍惚とした幸せな表情に見えた、という。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

征刃・木霊
まいったね~、こりゃ
どんな悪でも真っ二つ!って意気込んでも現象までは真っ二つには出来ないからね~

なのでこの危険そうなシロモノ(宇宙の幼生)、使わせてもらいますか!

宇宙の幼生をエサにポーシュボスを一か所に纏めて、その巨体を【剣刃一閃】で真っ二つ!
(完成後のパーフェクトポーシュボスを見て)
ちょ、ちょっとこれ、真っ二つには大きすぎるかなー、なんて
細切れで勘弁してくれない?
【剣刃一閃】で一太刀浴びせ、感染する前に慌ててトンズラ!

(でも衣装にポーシュポスの一部が付着しそこから…)

※アドリブ・絡み大歓迎です



●両断、そして:邪悪なる剣士

「まいったね~、こりゃ」

 大量のポーシュボスを目の前にし、征刃・木霊(胡蝶剣姫セイバーエコー・f34889)は頭を掻いて呟いた。

「どんな悪でも真っ二つ!って意気込んでも現象までは真っ二つには出来ないからね~」

 彼女はヒロイン物が好きで、自身もセイバーエコーを名乗りヒロインをオブリビオン相手にこなしている。だが目の前のは邪神そのものではなく、その現象。人々を取り込み数を増やす、世界を滅ぼす現象なのだ。実体があれど実体がない。一刀両断するにも難しい存在。

「なのでこの危険そうなシロモノ、使わせてもらいますか!」

 彼女が宇宙の幼生の入ったジェラルミンケースを足元に置く。するとポーシュボスがやおら集まっていき、巨体を形成していく。

「宇宙ノ妖精ィ!! 喰らわセロ、食べるォ!!」
「おー、集まってく集まってく。集まって大きくなってくれれば、一気に両断しやすく…………あれ?」

 大きく1つになった所をサムライブレイドで斬り裂いてやろうと集まるのを待っていた木霊だったが、その大きさが想像以上に大きくなっていくのを見て段々と冷や汗が垂れていき、そして目の前には巨体のポーシュボスが立ち上がる。

「ちょ、ちょっとこれ、真っ二つには大きすぎるかなー、なんて」
「食わセロおおおおおお!!」

 苦笑した彼女目がけて、巨体ポーシュボスが宇宙の幼生ごと掴もうと腕のような触手を伸ばしてくる。それを前に木霊は驚いて避けーー

「だから、細切れで勘弁してくれない?」

 その巨大な触手の塊目がけてサムライブレイドを奮う。同時に発動した【剣刃一閃】は触手の塊を真っ二つに切り裂き、触手1つ1つはズタズタに細切れに切り裂いていく。

「オ、ぐオオ、おおおお!!」
「勝手に突っ込んできてくれるなら、斬りやすくていいね」

 ポーシュボスが幼生向けて突っ込んできたのを利用し、切断する刃を構える事でその場でポーシュボスの身体を切り裂いていく。そして裂ける事で彼女に触手が接触する事も無い。

「っと、流石に止まったか。それじゃ、感染は勘弁なんで、サヨナラ!」

 ジェラルミンケースを抱え、身体の多くを切り裂かれたポーシュボスが止まった隙に逃走する。ポーシュボスが再び動きだした時には木霊の姿は何処にもなかった。



「ふう、やれやれ。あれだけ斬ればとりあえずは十分、かな」

 離れた場所で木霊は一息をついた。後の攻撃は別の猟兵に任せ、後は帰還するだけ……の筈だった。

「それじゃあ帰……あレ?」

 彼女は気付いていなかった。切り裂かれた触手の欠片の1つが、彼女の広めの袖の端に付着していた事を。それは逃げる間にどんどん浸食し、彼女の服を寄生しきっていた事を。彼女のハイレグなインナー、丈が短い和装、両方がもう既に、黒い触手や黄色い眼、黄色い花が咲いたポーシュボスが服になったようなものに変わり果ててていた事を。

「私ノ帰るとコロ……ココじゃなかッタっけ?アれ?」

 そして浸食は自分にもおよび、肌が黒くなり始め、目も黄色に輝き始めていることも。自分の意識がゆっくりと浸食されていることも。

「私ハ何をすルンだっけ……?悪を斬ルんだッタッケ……あ、そうか、たシカそうだったッケ……」

 再び構えたサムライブレイドも、黒い触手に浸食され、割れ眼から黄色い眼が覗く禍々しい姿になっていても、彼女は気付かず、以前の在り方のままに彷徨い始めた。

「どこダろウ、アハ、斬ったラ気持ちイイかナア? 今も何故カ、キモチいいのにナア? 斬りたい、斬りタイ、キリたい……♪」

 元々快楽主義だった彼女に善が消えつつある彼女に邪悪の快楽が染み渡っていく。欠片だった為ポーシュボス化はまだゆっくりと進んでいるが、それでも今、快楽を求めて彷徨う邪悪の剣士はここに生まれてしまった。ポーシュボスセイバーエコー、とでも誰かいれば呼ぶだろうか。

「真っ二ツ……マッぷたツ……まっぷタツ……♪」

 獲物を求めて彼女は歩く。尤も、行先にはポーシュボスしかおらず、彼女が猟兵を斬り裂く事は結果的には無かったのは幸いであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

リサ・マーガレット
アドリブ◯
「行き着くところも、この世界の行く末も、みんな、虚無に帰るさ。(カウント15)」カウントスタート
僕は、コードで邪神化し、理性も、自身の持てる善意を全て捨てる。完全に暴走状態になる。
「そうだよ、これでいい。(カウント10)」
完全な悪は、破滅を求める、ただの悪は善意を持つ。悪は善であり、虚善は悪である。それはわかるだろう。
「この世界そのものを消そう、そうすれば、誰も嘆く姿は見ないだろう(カウント3)」
(カウント0になるまで、エレメンタルオブブラスト(固定7連7属性砲台)で、射撃を行います。0になる前に、大ダメージを与えます。カウントが0になる前に、力に耐えきれず、倒れます。)



●邪悪:破滅の邪神

「周囲に味方の姿無し……よし、なら始めようか」

 リサ・マーガレット(希望を満たし、絶望を与えし夜明け・f32587)は自身の周囲に今確認しているポーシュボスの巨体しかない事を確認した。そして自身のユーベルコードを発動する。

「降り立つは支配者たる邪神。全てを飲み込み、世界を破滅の救済へ。【偽りなる邪神・再誕そして破滅(フェイクコード・デストラクション)】」

 言の葉を繋いだ彼女の姿が変わる。それは偽なる邪神の姿。背中から大きな翼を生やし、自身の周囲に7色の魔法陣を浮かべる。それは一見天使のようにも見える。だがそれが齎すのは救済ではない。

「行き着くところも、この世界の行く末も、みんな、虚無に帰るさ」

 ———カウント15

 偽の邪神となった彼女の心にもう善意は無い。あるように見えて理性も無い。そうは見えないがそれは暴走状態。
 魔法陣から属性魔法7種、エレメンタル・オブ・ブラストが同時に放たれる。それはポーシュボスに命中し、その身体を次々吹き飛ばす。だがポーシュボスも周囲のポーシュボスを集め、修復する。

「そうだよ、これでいい」

 ———カウント10

 すかさず同じ7連魔法でポーシュボスを吹き飛ばす。ポーシュボスも再び修復し、自身の姿を見せる事でポーシュボス化を促すUCを発動する。だが、通じない。何の効果も無い。

 心は無い。理性も無い。邪神にあるのは全てを無にする事での世界の救済。つまり、破滅の救済。その為に自動的に動く機構のようなもの。
 完全な悪は、破滅を求める、ただの悪は善意を持つ。悪は善であり、虚善は悪である。
 故に、今のリサに善意は無い。ポーシュボス化に同意する理性も無い。ポーシュボスに太刀打ちできる術は全くない。

「この世界そのものを消そう、そうすれば、誰も嘆く姿は見ないだろう」

 ———カウント3

 それは世界を破滅させるカウントダウン。邪神は今、この世界にカタストロフを齎そうとしている。これこそが真の邪悪。良心を完全に捨て去ったならば、その先はこうもなる。

 本命の前の前兆の7連撃。それは向かってくるポーシュボスを大きく吹き飛ばし、大ダメージを与えて彼方へとその巨体を吹き飛ばした。

 ———カウント2

 そしてそれにも拘らず、いや、もう邪神はポーシュボスなど見ていない。魔法陣に最大の全力魔法を集中させる。フィールド・オブ・ナインも、暗躍に動く輩も、生き残った人々も。

 ———カウント1

 全てを破滅に導く事で救済を果たそうと、今、カタストロフのエレメンタル・オブ・ブラストが





「うっ……」


 放たれる直前、翼が舞い散り、リサが元の姿に戻り、地に倒れる。収束していた魔力も消え去り、破滅の光は消え去る。いくら邪神といえど、その元は一猟兵。世界の破滅を果たすまでにもつ筈は無かったのだ。リサもそれは計算ずく。ポーシュボス化を完全に防ぐほどの邪悪にはそれほどのリスクは必要だった。

 かくして破滅を破滅で制す策は上手くいき、寸での破滅も計算通りに阻止されたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

在原・チェルノ
蜜香ちゃん(f20221)とペア

何かどの選択肢もやばそうなんだけど、一番安全そうな「宇宙の幼生で誘き寄せて高火力で焼き払う」でいい?
そんな訳で宇宙の幼生をえいやっと投げつける!
(ハズが思いっきりその光を直視してしまい自分が怪物であるという狂気に囚われ)

はーい、グレモリア族のチェルノでーす❤
え、何でこんな服着てるの?えいっ
(スーツを脱ぎ捨て全裸になって)
さぁ、すっごく悪くてえっちな事をしましょ?

(だがそこへボスのUCを受けて)
えへへ…はい、一緒になりますぅ…
でも自分の感情に逆らうのは悪い事だし
えいっ❤
(悪い事大好きなグレモリア族は命令に背いて【雷刃無尽】を叩き込む)

※NGなし・アドリブOKです


美波・蜜香
チェルノさん(f06863)とペア
ううっ、それ(宇宙の幼生)って決していい思い出ないんだよ…
けど、ポーシュボスになるのはもっとやだし
チェルノさんが宝石を投げつけたら、ポーシュボスが群がって来たところを狙って【怪力】+【ランスチャージ】でアリスランスを奥深く突き刺してそのまま【リヒトシュトローム】で吹っ飛ばしちゃう!

その拍子に宇宙の幼生を思いっきり見ちゃって、
今度は自分をキマイラフューチャーの雌牛怪人だと思い込んで、自分の大きなおっぱいから出もしないお乳を出そうと揉みしだいています
「おっぱい…おっぱいいっぱい出すのぉ…気持ちいい…」

※アドリブOK・NGなし



●浸食:邪悪(いいこ)な悪魔と邪悪な怪人

「えっと、『宇宙の幼生か巨体を利用する』か『邪悪な者になる』か『ポーシュボス化に耐えて戦う』か……何かどの選択肢もやばそうなんだけど、一番安全そうな「宇宙の幼生で誘き寄せて高火力で焼き払う」でいい?」
「ううっ、それ(宇宙の幼生)って決していい思い出ないんだよ…けど、ポーシュボスになるのはもっとやだし」

 宇宙の幼生に酷い目に遭った事のある在原・チェルノ(流星忍姫チェルノ・f06863)と美波・蜜香(ブルーメンリッター・f20221)は深いため息をつきつつも作戦を話し合っていた。軽く打ち合わせをしてから、チェルノが見ない様にしてケースから宇宙の幼生を取り出す。その間に蜜香はある程度距離を取ってからシュテンペランツェを構える。
 そして吹き飛ばされて来てバラバラにばらけそうなポーシュボスを見て、チェルノが思い切り宇宙の幼生を投げた。

「いっけええええええええええええあっ」
「宇宙ノ幼生イイいい!!」

 ポーシュボスが投げられた宝石に気付き、喰らおうと巨体へと固まる。そしてそれこそが蜜香が狙っていたタイミング。

「それえええ!!」

 大地を走り、その勢いと怪力でポーシュボスへとシュテンペランツェを深く突き刺す。不意を突かれたポーシュボスが迎撃する隙もさせずに蜜香がユーベルコードを放つ。

「貫け、想いの光!【リヒトシュトローム】!」

 槍の先から光の奔流が迸り、ポーシュボスの巨体を撃ち貫く。その反動を利用し、槍ごとポーシュボスから離れて蜜香は着地した。

「やりましたよチェルノさ……ん!?」

 成功した事をチェルノに知らせようと振り向いた蜜香が見たのはとんでもない光景だった。

「はーい、グレモリア族のチェルノでーす❤あれ、何でこんな服着てるの?えいっ」
「ちょっ!?」

 そこにいたのは突然スーツを脱ぎ出し、しなをつくった変なキャラになったチェルノだった。呆然とした蜜香だったが、チェルノが言った言葉に思い当たるものがあった。

「グレモリア族って、まさかデビルキングワールドの?」
「そうだよー?それがどうかした?ま、それより、さぁ、すっごく悪くてえっちな事をしましょ?」
「ま、まさか……」

 グレモリア族というのはここではない別世界、デビルキングワールドに住まう悪魔の一種で、主人の言うことを聞かない、悪いエッチなことをする、を好み、その世界的にはいい子である種族である。過去の二人は何度か接触したことがある。だが当然チェルノはグレモリア族ではない。
 そこで思い当たったのが宇宙の幼生である。あれには『自分を怪物だと思い込む』宝石があり、チェルノは投げた際にうっかりそれを見てしまい、自分をデビルキングワールドで生まれたグレモリア族だと思い込む狂気に堕ちてしまったのだ、と蜜香は察した。チェルノが最後に呟いた「あっ」はこれである。

「もう何やってるんですか……こうなったら私が無理矢理連れて行かないと!私だけは絶対にあんなことにはなりません!……あれ?何か足にこつん、と当たって」



 数分後。

「おっぱい…おっぱいいっぱい出すのぉ…気持ちいい…私はキマイラフューチャーの雌牛怪人ですぅ…おっぱい出して侵略しちゃうのお」

 そこには足元に転がってきた宇宙の幼生をあっさり見てしまい同じく怪物の狂気に堕ちてしまった蜜香がいた。彼女はどうやらキマイラフューチャーのメス牛怪人だと思い込んでしまったようで、出もしないおっぱいを揉んで乳を出そうとしている。だが、狂気はあくまで精神的なものなので彼女の乳からおっぱいは出はしない。

「もー!自分だけ楽しんじゃうなんて悪い子ー!あ、でもじゃあ良い子か。じゃあしょうがないかー。ん?」

 痴態に堕ちている蜜香に呆れたグリモリア族状態のチェルノは、再生しているポーシュボスを見た。そしてその時、ポーシュボスが光を放つ。それを見てしまったチェルノには『ポーシュボス化したい』という感情が湧き出てきた。

「えへへ…はい、一緒になりますぅ…」

 これこそが【ポーシュボス・シンパシー・フェノメノン】。その姿、発光器官の輝きを見た者をポーシュボス化へと誘う魔性の技。ふらふらとチェルノはポーシュボスへと歩みを進めていく。
 だが、幸運……あるいはチェルノが狂気に呑まれる直前にそこまで読んでグレモリア族を思い浮かべた可能性も微レ存……な事に、チェルノがグレモリア族と思い込んでいたことが功を奏す。

「でも自分の感情に逆らうのは悪い事だし。えいっ❤グレモリアサンダー♪」

 チェルノは雷撃でできた手裏剣(なんかハート型になってる)をポーシュボスへと突然投げつけた。雷撃がポーシュボスに突き刺さり全身を痺れさせる。
 悪い事を良い事として尊ぶグレモリア族。つまり自分の感情に逆らう事もまた悪い事だ、と彼女はポーシュボス化に抗った。更にポーシュボスを命令した者、自分より上の者と認識。ならばそれに攻撃する自分は悪い子だ、と攻撃を行ったのだ。ちなみにグレモリアサンダーなんて技はなく、本当は【雷刃無尽】である。

「じゃあもっと悪いことしちゃ……あれ」

 更に追撃して悪い子になろうとしたチェルノだったが、それは叶わなかった。実は先程攻撃を仕掛けた蜜香のシュテンペランツェ。突き刺した際にポーシュボスが寄生しており、その槍から発生した触手が今チェルノとついでに近くで乳を揉んでいる蜜香を襲ったのだ。

「あ、ちょっ、うわっ」
「もみもみ…もみも」

 そして2人は黒い触手に呑まれて消えていった。



 暫く後、黒い触手を破るようにして、2人の人影が現れる。だがそれは2人とも更に変わり果てた姿だった。

「アッはあ♥ポーシュボスグレモリア、デぇす♥すっごくいい(悪い)事いっぱいできちゃいそう♥」

 チェルノは黒い触手に包まれ、頭からはポーシュボスの触手のような角。更に背中からは触手ででき、黄色い眼の光る翼。更に悪魔のような尻尾も生えている。身体は黄色のビキニのような服やグローブ、ブーツで包まれ、そして大きな胸には黄色いコアが1つずつ輝いている。それはまさに彼女が思い込んでいた、グレモリア族の特徴をポーシュボスで再現したような姿だった。

「ポーシュボスホルスタウロスでスゥ♪揉んで揉ンデ、おっパイで皆ポーシュボスにしてあげマスう♪あ、出チャう♪」

 蜜香は元の肌が大分残っていたが、その所々にはまるで牛の斑模様のように黒く染まった触手部分になっており、耳は牛の物に変化。尻尾もまた牛に似た物が垂れている。瞳も黄色に染まり、そして元々大きかったのが更に大きくなった異形の胸を揉み続けている。その先端から、勢いよくポーシュボスの触手が何本も溢れ出す。その全てが次の獲物を探してうねうねと蠢いている。

「うワあ、とっテモいいエッチな事できソウ♥あたラしい人ヲ探シて、ポーシュぼすにしてアゲる、いい事シてあげようネ♥」
「はあい♪みんなミんナ、ポーシュボスにシて、しあわセにしてあげマスう♪」
「「ふふ、フふふフふ♪♥」」

 元々狂った精神だった故か、ポーシュボス化してもその思考はいまいち染まり切っておらず、元の怪物としての在り方を引き継いだ物になってしまっていた。こうしてポーシュボスが合わさり肉体までも怪物となった2人が、獲物を探して歩きだす。


 なお幸いにして、犠牲者が出る前に二人を救出できた事は記述しておこう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ラモート・レーパー
「これは対の僕には無理だね」
(諸事情により弱体化中)
 真の姿を解放する。その身に巻きつかれたイバラ……今はポーシュボス・フェノメノン。それによってその身と権能を縛られた女神。その名も壊れかけの冥神。
 だって対の僕は性質上善。英雄を助ける立場にいるからね。ここは反英雄の僕がやらなくちゃ。
さあ、主役のいない戦いを始めようか。

 初め余はこいつに敗れた。その結果がこの荒廃した世界だから。その時からヤドリギみたくまとわりつくイバラと激痛にはもう慣れた。そしてもうすぐ解放される。
「余の全て返してもらう」

 あいつに勝つにはあれを超える悪になるしかない。そのまま寄生を許すのは敗北でありこの世界の崩壊だから。けれど死の神いえど悪であるものは多くない。死という存在をカタチあるものだと認識した人々は最初に死んだ人間、生まれながらに落とされた女神、親世代を倒しくじで決められた神、この世の終わりを告げる騎士等に例えた。それらの中で悪を持つもの。
UCを発動し姿を変える
スラヴ神話よりチェルノボグ
「廃れど此処にある」



●邪悪:冥府の悪神

「これは対の僕には無理だね」

 ラモート・レーパー(生きた概念・f03606)はポーシュボスが集まっていくのを眺めながらそう呟く。

「だって対の僕は性質上善。英雄を助ける立場にいるからね。ここは反英雄の僕がやらなくちゃ」

 対なる彼女は善なる者。今回は善を捨てて人々を殺す任。ならばそれは自分の役目だ、とラモートは考えていた。

「にしてもこの世界でぼくを苛む一因がまさかこんなところにいたなんてね」

 そう言うとラモートの姿が変わっていく。猟兵に新たにもたらされた力『超克(オーバーロード)』。その力によりラモートもまた真の姿に還っていく。とはいえそれも彼女の姿の1つに過ぎないが。

 角が消え、大人びた姿に成長し黒色のドレスを纏う。その身を次々と何かが縛り付けていく。それは茨。その身と権能を縛られた女神。その名も壊れかけの冥神。何故真の姿が縛られた姿なのか。それは彼女の真の姿はその世界の影響を受けるからだ。世界のほぼすべてが壊滅。オブリビオンストームにより人や物はオブリビオンに変わり、デッドマンすら蔓延る、死の絶対が崩壊した世界。そんな状態では死を表す彼女もまたこうやって縛られている……と、思っていた。だが今、それを認識したことで縛っていたものがその正体を現した。

「そうだ、貴様だ。死の渦を作り出した者、全ての過去を質量として保存しようとした者、一因は数あれど、決定的なのは貴様だった。この世界事態に寄生し、生物に死すら与えず全てを自分の物にする厄介な邪神。貴様に余が破れ全てを奪われた結果がこの世界だ」

 茨が徐々に崩れるようにその正体を現す。それは紛れも無き、目の前にいるポーシュボス。あくまで概念としてのものなので目の前のポーシュボスが操ることはないが、それでもこの世界における冥神である彼女を苛む者なのは間違いない。故に、これは彼女にとって好機でもあった。

「余の全て返してもらう」

 冥神の宣言にポーシュボスが頷いたのかは分からない。ただその腕を振り上げての攻撃を仕掛けようとする。

(余がここで寄生されれば今度こそこの世界は終わる。厄介な者もまだまだ眠り残っている。ここで喰われるわけにはいかぬ。だが死の神と言えど、悪と同一化される者は意外に少ない)

 死は確かに終わりであり悪であるという認識の者もいる。だが死とは中立、そして死は輪廻の一部、と悪ではないという認識も多い。故に冥神の概念を手繰る彼女にもその選択肢は意外に少ない。しかし。

(死という存在をカタチあるものだと認識した人々は最初に死んだ人間、生まれながらに落とされた女神、親世代を倒しくじで決められた神、この世の終わりを告げる騎士等に例えた。それらの中で悪を持つもの)

 死は神話や伝承において色んなものにたとえられてきた。その中、スラヴ伝承にそれはいた。創生にて白い神と黒い神が登場し、その2柱の神が協力して水底の泥から世界を創り上げた。その後、黒い神は白い神と対立し、闘争の末に地上に落とされたとされて邪な精霊に変わったといわれている。そう、明確に邪の神、と断じられた者、黒い神。又の名を

「人より『』に与えられた権能を行使する。【三相一体(トリプルフェイス):チェルノボグ】」

 女神の身体が黒く染まり、その手には黒い剣が出現する。それを無造作に振り上げれば、それは既に振り下ろされていたポーシュボスに腕を容易く切り裂いた。

「!!??」
「さあ、邪神に成り果てた生物達。……今度こそ与えよう、お前達に『』を」

 ポーシュボスが伸ばした寄生の触手も斬って捨て、黒い剣がポーシュボスを斬り裂く。それは邪悪の概念。寄生する善も良心もそこにはない。それにはあらゆる面がある。終焉、悲劇、絶望、救済、満足、苦からの解放。その良心たる面を黒の神として捨てた今、それに寄生する余地はない。ただただそれを与えるだけ。もうとっくに終わっていた筈の者たちに。

「しぬ、シぬ、死ヌ……!」
「あア、やッと、死ネる……」

 斬り裂かれたポーシュボスの意識たちがそのまま消えていく。長い苦痛と同化の果てに、ついに『』は彼らに齎された。

「……」

 それを黒き神は黙って見つめる。これにより自身の束縛が解除されるかは分からない。この世界を苛む厄災はまだ残っている以上は……。

 だが少なくともこの世界の自分に対する楔の1つは消せた。それを彼女は認識するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

グラディス・プロトワン
☆NGなし

機械兵には邪魔なものだが、残念ながら猟兵である俺には少なからず善意がある
奴がそれを見逃す訳がない
出し惜しみせずに真の姿を解放

善意に寄生され喰われるとは一体どういう事なのか見当もつかなかったが、なるほど…
本音を言えば機械の俺がどうなるのか興味があった
俺の善意を糧に増殖し、身体を呑み込みながら姿形を変異させていく
その様子に釘付けになりそうだ

気づけばかなり侵食が進んでしまっている
このまま奴に意識も身体も奪われ、新たな喰らう怪物となって暴れ回るのか?
善意を喰われたら、それも楽しそうだと思ってしまうかもしれない

だが俺に勝機があるとすれば、奴の意識と俺の思考が重なった時しかない
奴は善意を、俺はエネルギーを喰らいたいのだ
ならばその矛先を元凶に向けられれば…!

俺も奴の一部になるのなら、簡単に言えば共喰いだ
巨大な口のように変異した吸収機構だった部位を大きく開き、異形と化したウォーマシンが全てを喰らい呑み込み始めるだろう
善意の無い底無しの欲望が敵を蹂躙する

アぁ、美味イ…喰イ足りナい…もっト寄越セ!



●邪悪:喰らい呑み込むモノ

 機械には善意も悪意も無い、と評したのは誰であったか。機械に在るのは実行する目的・目標だけ。そこには心は介在しない。治療する機械は患者の心を図らず、殺戮する機械は殺人への快楽を現さない。それが機械の常識であった。だがしかし、この世界にだけでなく例外は存在する。心を持つ機械。それは果たして利点だったか欠点だったか。それに関しては様々な意見や思考が存在するだろう。では、この戦場においては果たしてどちらであろうか。


「目的を遂行すればいい機械兵には邪魔なものだが、残念ながら猟兵である俺には少なからず善意がある」

 残りも少なくなったポーシュボスらが蠢く戦場に降り立った黒鉄の機械生命体、グラディス・プロトワン(黒の機甲騎士・f16655)はそう呟いた。彼はウォーマシン。古代帝国で開発された機械兵でありながら心を持ち猟兵となった存在。故に、彼は例え体は機械であろうとも心を持ち、そしてそこには善意があると自身で認めていた。であるならば、それを当然邪神は見逃さない。

「う、ぐおおおおお!!」

 グラディスの善意へとポーシュボスが寄生を開始する。意識が邪神に塗り替えられそうになり、無機物の体を何かが浸食していく気配を感じる。だがこれは彼も承知の上。そしてこれほどの相手ならば出し惜しみはするべきではないとも判断した。故に、彼は自身のリミッターを外した。

「お、オオ、おおおおおおおお!!」

 全身に赤色の光が走ったかと思えば、身体が細身のものからマッシブな体型へと変化。各部に赤色の光が浮き出て、そして背中からも赤色の光が放射される。最後にヘッドパーツが変形し、瞳のような部分が出ると変形を完了した。これこそが彼の真の姿。オーバーロード、超克の力により引き出した姿であった。

 それに対しポーシュボスはよりそれを魅力的と捉えたのか、大型になった体でグラディスへと襲い掛かる。グラディスは強化された体でそれを受け止める。だが、接触した分浸食はさらに進んでいく。

(善意に寄生され喰われるとは一体どういう事なのか見当もつかなかったが、なるほど…おレの心が、邪悪ニ染まル…これガ、ポーシュぼす…!)

 先程変形した肉体に更に変化が生じる。腕からは機械とも生物ともわからない角のような器官が飛び出て、そこには生物的な眼ともカメラアイとも取れる部分が現れている。更に花のように開いた部分もまた、まるでレーザー発射口のようで、機械すら取り込むポーシュボスの多様性が伺えた。
 そう、浸食されながらもグラディスは自身の変化を客観的に、興味深く見つめていた。彼は試作型である自身を試してもおり、そして機械である自分が浸食されるとどうなるかという興味があった。故に自身の変化を善意も悪意もなく客観的に見つめる事が出来ていた。思わずそのまま釘付けになり見つめてしまっていそうなほどに。

(気づけば浸食もかなり進んでシマッテいる。このまま奴に意識も身体も奪われ、新たな喰らう怪物となって暴れ回ルのか?善意ガ喰らいつくサれれば、俺もそれを楽しいと思イ、受け入れテしまうだろう……だが、流石ニそうはイかない)

 興味はあれどそれを最後まで受け入れるかは話が別。彼にも呑まれ喰らい尽されたくないという欲求は存在する。故に、そのチャンスを待っていた。

『喰らい尽す』
(ああ、そうだ、善意が消えテ、俺の中ニ残るモノは)
『喰らい尽す』
(それしかあるマイ。俺は喰らうものだ。呑み込ムもノだ)
『喰らい尽す』
(ああそうだ、そうだとも。ポーシュボス、お前は善意を喰らう。だが違ウ。俺が喰らいタイのはエネルギーだ。そして目の前ニ極上のエネルギーが在ル。お前は散々食べタだろう。なら、次は)

 ポーシュボスの欲求、グラディスの中に在った欲求。それは『喰らいたい』、暴食とも言うべきもの。対象は違えどそれが同じならば、浸食されていくグラディスがそれを発露することに何の問題も無い。例えそれが半分同朋になっている相手だとしても。

「つギは!オれの、番、ダろう!!オオオオオオアアアアアアアア!!!」

 グラディスの身体が、【ヘビードレイン・フォーム(ヘビードレイン・フォーム)】へと変わる。それは移動や反応を犠牲に自身のエネルギー吸収を高める超キュ州モード。更にオーバーロードとポーシュボス化によりそれは更に貪欲に喰らい尽す機構へと変化する。

「グアアアアアアアアア!!」

 触手のように伸びた器官が獣の口のように開き、ポーシュボスへと喰らいつく。華のように開いた器官がポーシュボスへと突き刺さり、エネルギーを呑み込んでいく。そして手や足も、咢の如く開き、接触していたポーシュボスへと喰らいついた。それはまさに暴食の機械。接触しているからこそ移動する必要も反応の必要も無く、ただただ全身が喰らいつく。そしてその全てからオーバーロードとUCによって高められた暴虐なまでのエネルギー吸収が行われていく。

「ぎ、ギあああアアアアア!?」

 巨体であるポーシュボスが端から次々に崩れていく。いくら善意を喰らおうとも、逆に吸い尽されるエネルギー量が圧倒的過ぎて、もうその存在を保てないのだ。思わずグラディスから離れて逃走しようとする。だが、当然グラディスが逃がすはずがない。

「ぎヒイ!」

 グラディスの全身から機械触手のようにトゲが伸びると、それがポーシュボスへと突き刺さりその場に縫いとめる。それは絶対に逃がさないという、捕食者の意志そのもの。善意のなくなったグラディスにとって、目の前にいるのは同朋ではない。喰らい尽したいエサでしかない。

「アぁ、美味イ…喰イ足りナい…もっト寄越セ!寄越セ!寄越セエエエエエエエエエエエエエエエ!!」

 そしてついに胸部装甲が開かれる。そこにあったのは最大の捕食器官。肋骨が牙のようになり、ケーブルが変形した捕食口のようなものがいくつも生えている。ポーシュボス化により更に異形へと変化したエクステンド・アブゾーバー。それは容赦なくポーシュボスへ襲い掛かり、開いた胸部が閉じる口のようにポーシュボスへと襲い掛かった。

「!!????」
「オオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

 全ての口からエネルギーが吸収され、ポーシュボスが崩れていく。粉砕され、砕かれ、一部はグラディスの口のような器官へ消えていく。そしてついに、頭部のポーシュボスの部分が胸部へと呑み込まれていく。

「アア、アアアアアア……美味カった、ぞ……」

 そう呟いたグラディスの周りには何もなく、周囲のポーシュボスは完全に殲滅を完了した。ポーシュボス化の収まりとオーバーロードの解除により、徐々に元に戻っていく自身の体を見詰めながら、グラディスは思う。やはり自分は、喰らい尽すものなのだと。
 今まででも最高に近い充足感を覚えつつも、彼は立ち尽くして、ポーシュボスのいなくなった荒野をその鋼の体と共に見つめるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年12月02日


挿絵イラスト