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君を迎えに

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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●未帰還者
 アルダワ魔法学園の生徒は、日常的に、非日常へと挑みかかる。宝を求め、戦果を求め、都市のあらゆる場所で口を開けたダンジョンに潜り、攻略していくのだ。
 踏破し、あるいは首級を上げて、戻ってくる者達が居る。途中で限界を迎え、もしくは見切りをつけ、引き返してくる者達が居る。とんでもない失敗をしでかし、ほうほうの体で逃げ帰ってくる者達も居るだろう。
 そして、それとは別に、帰ってこない者達が居る。
 同じ冒険者であった彼等を分けたものは、何だろうか。その時、彼等は何を思うのだろうか。

「――え、先輩が、帰ってきてない?」

 そして、性質の悪い話ではあるが。……彼等は、道連れを呼ぶのだ。

●無限回廊
「どうにも、面倒な役を貰ってしまったねえ」
 言葉の割には朗らかに、オブシダン・ソード(黒耀石の剣・f00250)は共に転移してきた猟兵達に笑いかける。両者の前方には、大通りの端で口を開けたダンジョンへの門があった。
 その先に広がるのは文字通りの迷宮。狭く、暗く、上下左右に入り組んだ構造をしたそのダンジョンは、学生達からは『帰らずの』などと異名を付けて呼ばれている。大した罠もないのに踏破できる者がなかなか現れず、入り組み過ぎて逆侵攻も起こしづらいのか、まだ見ぬ迷宮の主もまた動きを見せない……つまり、膠着状態が長く続いているらしい。
「とはいえ、最近災魔の動きが活発になってきている絡みで、帰ってこない学生が増えてしまっている。僕達に任されたのはこのダンジョンの踏破だけど――まぁ、一緒に未帰還者達の保護も期待されていると思っていいよ」
 手元の紙束……未帰還者達のリストをめくりながら、彼は言う。
「保護を期待されている数は……直近で挑んだ6人かな。それ以上は、はっきり言って生きてるかもわからない」
 シビアな現実。攻略の難しいダンジョンではあるが、あえてそれを踏破しようという気概のある者のほか、未帰還者……たとえば友人を、家族を探すために入っていく者が後を絶たない。
 直近の6人については恐らく後者だと思われる。
「話によると、この迷宮には大掛かりな罠はないらしいけど、とにかく道が入り組んでいて、分かれ道も多いんだってさ。潜る際は注意をしてね」
 もちろん、今まで挑んだ者達が残していった目印はいくつもある。だが時期によって迷宮の作りが変わってしまうのもこの世界の特色だ。どこまで目印を信用するのかの判断も必要になるだろう。
「……とはいえ、それだけで帰ってこない者がそんなに出るとも思えないよね。奥には致命的な罠か、強力な敵が控えているだろう。気を付けて進んで欲しい」
 説明は終わりだ、と道を開けて、オブシダンはダンジョンの入り口付近に腰を下ろした。
「悪いんだけど、転送役の僕は、ここで待機だ。大丈夫だと思うけれど、君達はちゃんと帰ってきてね」


つじ
 失敗を笑顔で語れる人と、そうでない人が居ます。どちらにせよ、語る命があるだけマシなのかも知れません。
 どうも、つじです。
 今回はアルダワ魔法学園での任務になります。

 第一章は迷宮探索行、第二章で障害への対策、第三章でボスとの戦闘が発生します。
 各所で学生と遭遇することになりますので、どう対処するかも考えておくとスムーズかも知れません。

 先に進んでいる学生達は、戦闘力に置いて猟兵達に及びませんが、道さえわかれば帰還可能な能力を持っています。
 ただしそれぞれ目的を持ってダンジョンに来ていますので、彼等が『引き返す』という判断をするかどうかは皆さん次第です。

 それでは、ご参加お待ちしています。
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第1章 冒険 『迷宮の迷い子』

POW   :    パワフルに。地図を埋める勢いで探す

SPD   :    スピーディに。あたりをつけて一直線

WIZ   :    ロジカルに。推理を積み重ねて見つけ出す

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ファルネーゼ・アトラス
まあまあ、人探しですね!
たとえ生死は知れずとも、一縷の希望が残されているのならば
ファルは幾らでも力になりましょう
さあ、エチカ
我々も迷わぬよう、気をつけて迷宮に挑むと致しましょう!

とても入り組んだ迷宮との事ですので出来ればマッピングをしていきたいです
ファルにはエチカも居りますが、他の猟兵の皆様ともはぐれぬよう気をつけなければ
どちらの道に進もうか悩んだ際はファルの第六感を信じましょう

もし要救助者を見つけた場合は直ぐに救助に向かいますね
大丈夫ですか、助けに参りましたと鼓舞しつつ
怪我をされた御方には【生まれながらの光】で回復も
貴方様の帰りを待つ方々がいらっしゃいます
――お戻り頂く事は、難しいでしょうか


マティス・ジュブワ
入り組んで分かれ道も多く、面倒な迷宮ねぇ……まーた面倒なお話拾ってきやがったな。まぁ、やれるだけのこたぁやってやるさ

苦笑混じりにオブシダンに笑いかけ、迷宮へ挑む

地図を埋めるにゃあ、手がいる
レギオンで罠の所在と道の安全を漢探知しつつ行くかね
他の猟兵とも手を組んで行けりゃ、その方がありがたいが

大掛かりな罠が無いのに帰らずの、なんて二つ名が付く迷宮だ
可能性として落とし穴等の捕獲系の罠が多いんじゃないだろうか?
捕まって戻らずそのまま……なんつー可能性もあるが、俺の場合レギオンと無線接続して視覚共有なんて方法もあるんでね
そういった罠の中、なんかも隈なく探していくとしよう
助けられる命は、助ける主義なんでな


セツナ・クラルス
時間によって迷宮の作りが変化するのは厄介だね
慎重さは必要だが
今回は速度重視の方が
被害を広がるのを抑えられる気がするかな

地層が妙にねじれている・植物の生え方に違和感がある等
分かりやすい違和感を見つけたら
その場所をマップに記載
後続の助けになるようにする

先鋒隊の残した手がかりも
確認し正誤の判断を
こちらも得た情報は地図に記載

学生たちを見つけたらすぐに保護
持参した携帯食料や飲み物を渡し
緊張感を和らげよう
落ち着いたら、彼らがここで得た情報を確認
以降の探索に有用ならメモを

依頼を頼んでもいいですか
この地図の控えを外にいる方に渡して頂いても?
情報共有は洞窟攻略には必要不可欠だと思いますので
頼まれて頂けますか?



●帰らずの迷宮
 細く、暗い。どことなくじめっとした通路に踏み込んで、ああ前情報通りだ、とマティス・ジュブワ(マッドエレメンタラー・f05853)が溜息を吐いた。
「入り組んで分かれ道も多く、面倒な迷宮ねぇ……まーた面倒なお話拾ってきやがったな」
 グリモア猟兵の軽い笑みを思い浮かべて、苦笑い。これはまた、長い一日になるだろう。
「我々も迷わぬよう、気をつけて迷宮に挑むと致しましょう!」
 一方、ふわもこした星獣、エチカを従えたファルネーゼ・アトラス(星謡・f06256)は元気良く、気合十分な様子。
「まぁ、やれるだけのこたぁやってやるさ」
 絞り出したやる気に任せて頷くマティスに代わって、ファルネーゼは状況を引っ張るようにして相談を始めた。
「まずは、やはりマッピングが必要だと思います」
「それは同感だ。じゃあちょっと待っていてもらえるか?」
 そう言ってマティスが呼び出したのは、エレクトロレギオン、使い魔にも似た機械兵の群れである。まぁ、使い魔と違うのは、100体近く居るとかいうでたらめな数になるだろうが。
「……それで、どうされるんです?」
「そりゃあ、なあ? 漢探知だよ」
 首を傾げるファルネーゼに、マティスはきっぱりと答えた。
「しかし、今回の場合はどうかな?」
 それに対し、口を開いたのはセツナ・クラルス(つみとるもの・f07060)だった。マティスの言う事にも感心したような調子ではあったが。
「どう、とは?」
「迷子が居るのだろう? 地形の網羅よりも、速度を重視した方が結果的に被害を減らせるように思う」
「確かに、それは重要ですね!」
 一理あるか、とマティスが頷く前に、ファルネーゼがさくっと同意してしまう。
「……分かったよ、じゃあ平行して進めようぜ。それで、まずはどっちに進む?」
 レギオンから上がってくる情報を集める必要があるため、マティスはとりあえずの先頭を二人に譲った。進む方向は、もちろん。
「こちらです!」
「一応聞いておくけれどね。根拠は?」
「勘ですけど……」
「まぁそんなこったろうと思ったぜ」
 それはそれで良いけれど。自らの足と機械兵達の足、その両方でマップの情報を得ながら三人は進む。
「もう少し、こう……特徴があると分かりやすいのだがね」
 地層や植物分布など、現在地が分かりそうな情報が欲しいところだと、壁や床の様子を見ながらセツナが言う。
「とはいえ、だ。『帰らずの』なんて呼ばれるくらいだ、罠を見つける意味でも気を配るのは正解だと思うぜ?」
 例えば捕獲系の罠が多いとか、そういう可能性も考えられる。実際問題、通路の奥を探りに行かせたレギオンが戻ってこない場合、トラバサミにかかって消滅していたこともあった。
「落とし穴にかかって動けなくなっていたりとか……」
「ああ、そういうのも調べないと、な」
 ファルネーゼの懸念にマティスも同意する。
「助けられる命は、助けたい……なに笑ってんだ?」
「いえ、頑張りましょうね!」
 ああ、そう。たとえ生死は知れずとも、一縷の希望が残されているのならば、力は尽くせる。その辺りを共有できる相手なのは喜ばしい、と思っても良いだろう。
「ふむ、かなり新しい目印があるんだが、どう思うかな?」
 一方、横道へと目を向けていたセツナが、発見したそれを吟味しつつ仲間に伝える。
「赤い矢印。これはどういう意味でしょうか?」
「試しに探らせてみるか」
 エチカと共に首を傾げるファルネーゼの問いに答えるべく、マティスがレギオン数体をそちらへと放つ。
 足音が続くことしばし。
「うわっ、なんだこいつ!?」
 角をいくつか曲がった先から聞こえる小さな悲鳴と、殴打音。そして帰ってこないレギオン。一同は、互いに顔を見合わせた。
「……誰か居るようだね」

 敵意がない事を告げながら、猟兵達はそちらに向かう。果たして、そこに居たのは保護を期待されている学生の一人だった。憔悴の色は濃いが、無事か。そっと嘆息したマティスは、とりあえずの対応は任せた、とばかりに一歩退く。
「アルダワの学生さんですね、ご無事で何よりです!」
「とりあえずは、もう大丈夫だ。食料は残っているかな? 水は?」
 生まれながらの光でファルネーゼが癒しの力を分け与え、セツナが食料等を提供する。とりあえずは、そうして落ち着かせて。
「猟兵さん達……助けに来てくれたんですか? ありがとうございます」
「何があった? まさか、一人でここに来たわけじゃないだろ?」
 人心地ついた相手に、マティスが問う。回答は、大方の予想通り……曰く、隠し扉だと思って抜けたら戻れなくなった。丁度パーティの最後尾にいたため、はぐれることになってしまったという。
「一方通行的な仕掛けか? タチが悪ぃな……」
「心細かったでしょう、もう大丈夫ですよ」
 ファルネーゼの鼓舞するような言葉に、一人で居た学生は、安堵の息を吐いている。可能ならば、とファルネーゼは続けて言葉を差し落とす。
「貴方様の帰りを待つ方々がいらっしゃいます――お戻り頂く事は、難しいでしょうか」
 学生は、それに対して口を開いて……しかし、言葉を出すことはできなかった。言いたいことはあるのだが、それを言える立場にない、というように。
 気遣わし気な目を向けるファルネーゼに代わって、セツナが言葉を継ぐ。
「……依頼を頼んでもいいですか。この地図の控えを、外にいる方に渡して頂いても?」
 情報共有は洞窟攻略には必要不可欠。それは日々ダンジョンに挑むこの学生ならば理解できる理屈だろう。
 苦しそうに、逡巡して、結局学生はそれに頷いて返した。地図の控えを受け取った彼は、無事地上に戻ることができるだろう。その表情は、ずっと苦しそうなままだったが。
「……これで、よかったんでしょうか」
「ああ、きっとね」
 彼を見送って、二人はそう言葉を交わした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

影守・吾聞
『』:技能
【】:UC


同じ学生として、放っておけない話だね
一人でも多く、助けたいな

※wiz

突入前に迷宮の地図があれば入手

突入後は【悪魔の灯火】を発動
炎の一つは照明として手元に残し
分けた火を道中に目印として設置しつつ進む
(延焼はしないよう留意)
進んだ道筋や罠、構造の変化は地図に記入してくよ

学生の残した目印や人がいた痕跡など
『野生の勘』を研ぎ澄ませて
『情報収集』しながら捜索

遭遇できたら『コミュ力』を駆使して
引き返すよう説得して、帰り道を教えるよ
大事な人を探したいって気持ちは否定しないけど…
「君まで迷子になって帰れなくなったら、誰が大事な人におかえりを言ってあげるの?」

(他参加者との連携、アドリブ可)


アステル・サダルスウド
※WIZ

『』:技能
【】:ユベコ

ランプ片手に『学習力』で道順や目印を覚えて進むよ
『失せ物探し』で見つけられるかな?
古い目印の先とかを探してみよう

学生を見つけたら笑顔で「ここにいたんだね!僕はアステル、貴方の後輩さ!」と挨拶をするよ
『礼儀作法』『コミュ力』を活用
まずは安心してもらわなくてはね
怪我があれば『救助活動』『医術』を活用し【シンフォニック・キュア】を発動

引き返すよう説得してみよう
必要なら『言いくるめ』も使用
前に進みたいのは分かるのだけれど、改めて出直すのはどうかな?
一旦戻って今日得た情報をしっかり分析して、万全の準備をした方がいいと思うよ
探索は命あってこそさ

戻らないなら一緒に来て貰おうかな



●学生達
 枝分かれの多いこの迷宮へ、猟兵達はいくつかの組に分かれて挑んでいた。ファルネーゼ達とは別の場所、このチームの辿った道筋まばゆい明かりが掲げられていた。
「便利だね! これなら道順を覚えなくても良い」
「数に限りがあるからね、覚えてはおいてよ?」
 ここを進むのはアステル・サダルスウド(星影のオルゴール・f04598)と影守・吾聞(先を読む獣・f00374)、アルダワの学生でもある二人だ。先ほどから掲げられているのは、吾聞のユーベルコードによる青白い炎である。暗闇を照らすそれは迷宮での道案内に丁度良い。少なくとも、消えない限りは。
「同じ学生としては、一人でも多く助けたいとこだね」
「失せもの探しは得意なんだけど……あの目印の先とかどうかな?」
「テル……あれはさすがに古すぎるよ」
 例えば、この迷宮が今の形になる前の目印だとすれば、従ったところで何の意味もないのだから。
 ……けれど、しかし。的確に人の痕跡情報を辿っていた吾聞の勘が、全く別の事を囁いている。
「……いってみようか」
「うん、話が分かるね、吾聞くん」
 快活に言うアステルと共に、吾聞はそちらへと歩を進めた。いくつか角を曲がって、坂を上下。そこに。
「誰か倒れてる――!」
 伏した誰かを見つけて、二人は急いで駆け寄った。
「大丈夫……いや、気を失ってるのか?」
「そのようだね、ちょっと、僕に任せてくれるかな?」
 見たところ、重度ではないが負傷している。手早く応急処置を施したアステルは、シンフォニック・キュア……歌声による回復効果を倒れていた学生に向ける。
 元々命に関わるレベルの傷ではなかったこともあり、その学生はほどなく目を覚ました。彷徨わせた視線が、猟兵二人の姿を認めて定まる。
「ああ、キマイラの子と……性別不詳って噂の君か」
「いきなり失礼だね?」
「ま、まぁ大丈夫そうでよかったよ」
 学園内の顔見知りだったらしい。複雑な笑みを浮かべる吾聞に続けて、アステルは彼に帰還を促す。
「無事でよかったよ。とはいえ、今回は改めて出直すのはどうかな?
 一旦戻って今日得た情報をしっかり分析して、万全の準備をした方がいいと思うよ」
 探索は命あってこそのもの、そう告げられた言葉に、こちらの学生もまた、苦々しい表情を浮かべる。セツナ達の出会った学生と同じような反応ではあるのだが、彼等にそれを知る由はないだろう。
 アステルの言葉は正しく、アルダワ魔法学園の生徒はそれを実感として知っている。正論。ゆえに黙るしかないのだろう。
「……大事な人を探したいって気持ちは否定しないけど」
 吾聞が、それを慮るように言葉を継いだ。この迷宮に踏み込んだ彼は、きっと誰かを探していたはずだから。
「君まで迷子になって帰れなくなったら、誰が大事な人におかえりを言ってあげるの?」
 これもまた、正しく、そして真摯な言葉。悔し気に目を伏せて、その学生は帰還することを承諾した。
 ああ、けれど、彼はまたこの迷宮に来るのだろう。そんな予感を胸に秘めた吾聞を、アステルが促し、二人はまた奥へと進み始めた。
 これを、『この場凌ぎ』で終わらせないために。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

三鷹・一成
人喰いダンジョンの謎ってか?
それとも、「出たくない理由」でもあんのかね

ともかく、なーんかうさん臭えんだよな
ここはいっちょ、あえて目印を辿ってハメられてみるか

事前にその6人と面識ある生徒に情報収集
目印や探索スタイルを聞いて、それを手がかりにダンジョンに残った痕跡探し

生徒を見つけたら、穏便にお引き取り願いますか

もし探しものがあるなら、代わりに俺が引き受けるぜ?
お前ら見つけた時点で俺はお役御免
ちょうどヒマな探偵がいるんだから、依頼しない手は無いだろ?(コミュ力+言いくるめ)

お前が誰かを探しに来たように、誰かがお前を探してるんだ
アンタにゃできないことは俺がやるから、アンタにしかできないことは頼んだぜ?


九之矢・透
【SPD】
『ライオンライド』を使って急ぎ追っかけるぜ
進みながらも簡単な地図を作っていく
全部を網羅しなくっても
入り口から学生発見地までの道のりさえわかれば良し
分かれ道は「野生の勘・聞き耳」を使って判断だ
ついでに壁に動物マークでもつけとくか

地図を描く紙は後ろに炭で黒く塗りつぶした別の紙を入れて
同じ図が何枚も出来る様にしよう
複写式、ってヤツだな
あ!分かれ道のマークをこっちにも入れとくぜ!
へへ、可愛いだろー

学生を発見したら複写地図を渡して帰還要請
「コミュ力・言いくるめ」使用

アタシも自分の家族が帰って来なかったらって思ったら心配さ
だからこそ、アンタはアタシらに任せて帰ってくれ
アンタを今心配してる人の為に



●獅子と鷹
「なあ、おっさん。本気でそっち行くの?」
「誰がおっさんだ。別に問題ないだろ?」
 とある三叉路、居合わせた九之矢・透(人間のシーフ・f02203)と三鷹・一成(ギャンブルフィーバー・f06451)がそんなやりとりを繰り広げていた。
「未帰還者の一人は右手の法則に拘りがあったんだとよ、ならここでもそうした可能性が高いだろ」
「いや……やめといた方が良いと思うんだよな……」
「それは勘だろ? 勝負師にはあえてそういう選択が必要になる時もあんだよ」
「アタシ勝負師じゃねーけど……?」
 釈然としない様子ながら、透が一歩道を譲る。言いくるめ能力では一成の方に軍配が上がっていた。
「じゃあな、手分けして、手早くいこうぜ」
 今回の探索にはスピードも重要、持参の地図に書き込みを入れている透に別れを告げて、足早に選んだ道を進み始めた一成は、ほどなく何かスイッチを踏んだ。
「お?」
 ぱか、という音を立てて床が大きく左右に開く。落とし穴。
 足元を失って落下する一成だが、空中で何かがその身体……正確には襟首を捕まえた。
「案の定かよ」
「……手分けして、って言ったんだがな」
 そこに居たのは、大きな体躯の黄金のライオン。上には透が跨っている。
 首根っこを捕まれた一成は落とし穴から引き上げられ、床面が元に戻ったところで着地する。罰が悪そうに服を叩いて……落とし穴に、目を向けた。
 もう一度、スイッチに足を乗せる。
「……何やってんだ?」
「この床面だけ埃が少ないよな。最近落とし穴が開いたと見て良いだろ」
「あー……」
 罠の使い道と情報収集については透も負けていない。言われた理屈と同様の結論を、彼女の感覚もまた導き出した。
「つまり、ここで誰か落ちたと」
「未帰還者を探しに来た奴が、仲間を見捨てるか? 下は別の通路になっているようだし――」
「全員で降りたって?」
 推理にしては、余りにも運否転賦の色合いが強い。それこそが彼のユーベルコードでもあるわけだが……今回は、透の野生の勘も同じことを言っていた。
「……わかったよ。でも待ってくれ、一応目印を残しとく」
 地図上、そして床面に、透が目印を描く。――墜落する鳥のイラスト。
「……なあ」
「何だよ、可愛いだろー?」
 何とも反応し難く、一成はとりあえず評価を避けた。
 そちらの方が早そうという理由で一成も(荷物扱いで)ライオンに乗せられ、二人はその先へと進む。しばらく進んだその先で、彼等は壁にもたれかかって休む学生の一人を発見した。
「おい、大丈夫かアンタ」
「一人か……何があったんだ?」
 無事と、負傷状況を確認し、二人はその学生に声をかける。彼の傍らには、古ぼけた鎧を着た人骨が転がっていた。
「これは……?」
「災魔だよ。襲われたんだ」
 骨を模したのか、それとも本当に骨が元になったのかは分からないが、所謂スケルトンの集団と、彼等のパーティは戦闘になったらしい。そして、そこではぐれてしまったのだと。
「何にせよ無事でよかったよ。アンタ、帰り道は分かる?」
「……ああ、途中で知っている場所を通った」
 透の問いに、学生が頷く。ならば――と、続けるわけにはいかなかった。帰り道がわかっているのに、彼はここに留まっていた。それはつまり、帰るかどうかに、迷いがある。
「……アタシも自分の家族が帰って来なかったらって思ったら心配さ」
 彼の迷いに先回りするように、透が言う。
「だからこそ、アンタはアタシらに任せて帰ってくれ、アンタを今心配してる人の為に」
「けどさ、あいつは俺が助けないと……」
 透の言う事も頭では分かっているのだろう、それでも言い淀む学生に、今度は一成が言葉を重ねた。
「もし探しものがあるなら、代わりに俺が引き受けるぜ?」
 幸い、探し物を見つけたところだからな、と探偵は笑う。
「ちょうどヒマな探偵がいるんだから、依頼しない手は無いだろ?
 ――-お前が誰かを探しに来たように、誰かがお前を探してるんだ。アンタにゃできないことは俺がやるから、アンタにしかできないことは頼んだぜ?」
 無事な顔を外の連中に見せてやってほしい。そう言われて、その学生はようやく首を縦に振った。
「あいつを見つけてください。それで、できれば――」
 連れ帰ってほしい。新たな依頼に頷いて返して、二人は迷宮のより深くへと歩を進めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リュー・メトカーフ
ギド(f00088)と共に

事前に灯りの用意
私も人ならざる身
夜目は効く方だけれど暗闇を進むと驚かしてしまうからね

学生がいれば一先ず引き返すように言おうか
これ以上キミの道連れを作るべきじゃあない
まぁ私たちに任せてくれ
運良く近くに敵でもいれば実力を見せるのもいい

おお、ギドがとうとう私の身体にも興味を
冗談さ
目覚めというと私も記憶はないな
ヒトも生まれた時の記憶なんてないだろう?
ミレナリィドールというのは原初、宇宙から飛来してきたというのは周知の事実として
私はそのドールの中のお姫様として生まれたのさ
いわばスペースクイーン・ミレナリィドールということなんだ


本当の話はもう少し親密になってから、ということでね


ギド・スプートニク
リュー嬢と

灯りか
ペチカ嬢(ランタンのヤドリガミ)でも持参すれば良かったな

そう言えば貴嬢はこの世界の出身だったか
ミレナリィドールの目覚めに関しては一切知らぬな

では私もこれ以上は尋ねまい
いずれ話を聞ける日を楽しみにしよう


目印に関しては程々頼りに
どのみち勘で進むのであれば外しても同じ事

帰り道など迷わぬよう新たな目印とマッピング
日付くらい入れておけというのだ

未帰還者に関しては、死にたいなら好きにしろというのが本音だ
危険な迷宮と知りながら自らの意志でそれに挑み、そして死ぬなら自己責任
手助けをしてやる義理もない
進むというなら止めはせぬが、相応の覚悟は決めるがいい

帰る気があるなら地図の写しくらいはくれてやる


天星・暁音
…迷宮に挑む以上は覚悟して然るべき事態だけど…それでも…悲しいよね
とはいえ探しに行って二の舞は笑えない事態だね
どうにか引き返して貰いたいところだけど俺みたいな子供の言葉が届くかな…

「助けに行きたい、せめてどうなったのか知りたい。そういう気持ちも分かるけれど…自分の実力で可能かどうかはちゃんと考えないといけない。それが自分の命を仲間を護る事に繋がるんだ。後追いをされても誰も喜ばないよ。後はこっちで引き受けるから先に戻っててくれないかな。君たちの助けたい人がどうなったかちゃんと調べてくるから…」


追跡者で先に入った6人を探しつつ銀糸を入り口から伸ばし要所に目印をつけて出口まで引き返すなら先導をします



●灯火の範囲
 迷宮内、陽の届かぬ暗闇を、揺らめく灯が照らし出す。
「私達だけなら、特に不自由もないのだけどね」
 暗闇から切り取ったその場所に居るのは、リュー・メトカーフ(ヴィユーヴィス・f01051)とギド・スプートニク(意志無き者の王・f00088)の二人。ミレナリィドールとダンピール、人ならざる彼等は格段に夜目が利くのだが、他の者、特に学生を驚かせて、要らぬトラブルを招き寄せる必要もないという判断だ。
「……ペチカ嬢でも持参すればよかったな」
「おや、同行するのが私だけでは不服かい?」
「そういう話はしていないが」
 カンテラのヤドリガミを思い浮かべるギドに、リューがからかうような言葉を投げる。帰り道のために新たな目印をつけたりしてはいるが、彼等の歩みは基本的に勘である。自然と道連れ相手との雑談が増えるわけだが。
「そう言えば貴嬢はこの世界の出身だったか」
「おお、ギドがとうとう私の身体にも興味を」
「……そういう話はしていないが」
「なんだ、つまらん」
 本心の介在しないやりとりの後、下駄とブーツが地面を叩く音がしばしの間、響く。
「……出身と言われてもな。目覚めというと私も記憶はない。ヒトも生まれた時の記憶なんてないだろう?」
「ミレナリィドールと言えどそれは同じ、ということか?」
「ああ……ただ、私の場合は少し特殊でね」
 ふ、とリューが息を吐く。灯が少しだけ揺れる。
「ミレナリィドールというのは原初、宇宙から飛来してきたというのは周知の事実として、私はそのドールの中のお姫様として生まれたのさ」
「……」
「いわばスペースクイーン・ミレナリィドールということなんだ。わかるかい?」
「……」
「敬う気になったかな?」
「リュー嬢」
「何だい、ギド」
「もう少し速く歩けないだろうか?」
「……おやおや」
 本当の話はまたいずれ。下駄とブーツが地面を叩く音がしばしの間、響く。

 迷宮をさらに奥へと進んだ場所で、二人はまた別の二人組に出会う。天星・暁音(貫く想い・f02508)、そして、未帰還者として挙げられていた学生の一人だ。気を失っていた彼を介抱していた暁音だが、意識を取り戻したその学生は、引き返してほしいという説得に応じようとしない。
「助けに行きたい、せめてどうなったのか知りたい。そういう気持ちも分かるけれど……自分の実力で可能かどうかはちゃんと考えないといけない。それが自分の命を仲間を護る事に繋がるんだ」
 懸命に言葉を重ねるが、首を横に振られてしまう。
「後追いをされても誰も喜ばないよ。後はこっちで引き受けるから先に戻っててくれないかな。君の助けたい人がどうなったかちゃんと調べてくるから……」
「彼の言う通りだ。これ以上キミの道連れを作るべきじゃあないよ」
 追いついたそこで、リューがその学生の前にしゃがみこむ。目線を合わせてはみたものの、相手の態度はそれまでと変わらない様子。
「……随分頑なだね。君がそんなにこだわる理由は何だい?」
「一緒に来た仲間が二人、この先に居るはずなんだ」
 苦い表情で、学生が告げる。スケルトンの集団と遭遇した彼等は、迎撃しながら一時の退避を試みた。全滅させるなら苦労はするだろうが、距離を置くだけなら難しくはない……はずだった。だがそこで、一部のメンバーが暴走したのだという。
「スケルトンの一体が、探してた『先輩』の装備を持っていて……」
 逆上した一人がそちらに突っ込み、一人がそれを追い、一人が出遅れて、この有様。先行した二人を追うならば、今をおいてほかにない。
「なるほどね、つまり君も……」
 先輩とやらの道連れを増やしたくない。そういうわけか、と暁音が溜息を吐いた。
「……好きにすれば良い」
 特に感情の色もなく、それまで様子を見ていたギドが口を開く。
「どちらにせよ私達は先に進む。ついてくるなら止めはせぬが、足手まといに気を遣ってやるつもりもない」
 そもそもが自己責任の世界。相応の覚悟は決めろ、と彼は言い置いて、迷宮の奥へとまた歩き出した。
「……良いのかな」
「まあ、ここで時間を割くのが一番無駄なのは事実だよ」
 懸念を口にする暁音に応えて、リューが立ち上がる。
 足音が三人分、ギドに続いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『死霊兵』

POW   :    剣の一撃
【血に濡れた近接武器】が命中した対象を切断する。
SPD   :    弓の一射
【血に汚れた遠距離武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    連続攻撃
【弓の一射】が命中した対象に対し、高威力高命中の【剣の一撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
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 大失敗[評価なし]

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 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●カエセ、カエセ、カエセ、カエセ
 呪詛のような、そんな言葉いくつも踊る。
 死霊兵の集団が居る場所に、猟兵達は辿り着いた。元は冒険者だったのか、それとも最初からそう生まれたのか、それぞれに武装した骸骨が群れを成し、無いはずの声帯で呪いを紡ぐ。
 汚れ、すり減り、折れた箇所も見える骨と、古いものや新しいもの、統一感の無い装備品。頭部には銃弾を撃ち込まれたような傷が目立つ。恐らくは、生者を見れば襲い掛かるようにできているのだろう。猟兵達に気付いたスケルトンは、そちらを向いて順番に襲い掛かった。
 部屋の奥の方、死霊兵の集団の中から、呪詛を上書きするような声が響く。
「お前達こそ、返せよ! それ、先輩のだろ!」
 魔術によるものだろう、生じた炎の赤が、猟兵達の目にも映る。そして、また別の場所からは、激しい剣劇の音が。
「シズマ! どこまで行ったの、無事!? 返事をしなさいよ!!」
 恐らくは学生であろう二人は、それぞれ善戦しているようだが……よく見れば、人型の骨の中に、一回り大きい、どう見ても人外らしきものが混ざっているのも見える。集団に包囲された状況も鑑みれば、ほどなく学生達は死霊の群れに呑み込まれるだろう。

 猟兵達は各々の行動に移る。何にせよ、ここを突破しなければ迷宮の奥には進めまい。
セツナ・クラルス
先ほどの学生さんの顔が忘れられなくてね
何故あんな目をしたのだろうとずっと考えていた
いつのまに彼らを「ただ守るだけの存在」と誤認していたようだ
…なるほど、私はまだ至らないね

憂いの元は摘み取らねば
学生に害が及ばぬように大きさを調整した灯火を敵に纏わせよう
炎で牽制している間、学生に声をかけ
このままでは多勢に無勢
今のうちにこちらへ
そして、
まだ戦えるようなら援護を頼むよ
ふふ、共に戦えたら心強いのだがね
最終的な判断は彼らの意思に任せよう

学生と敵との距離があけば
遠慮は無用
遠距離は灯火で、近距離では鎌で応戦
返してやりたいのはやまやまなのだが…
ここはあなた方の帰る場所ではないんだ

…探し物は見つかったのだろうか


箒星・仄々
心情
優しく勇敢な学生さんをお助けしたいです

そして未だ彷徨う骸骨さんたちへ
静かな眠りを

心情
魔法の迷彩で姿を隠し素早く静かにすり抜け
学生さんらの側に
:迷彩&目立たない&忍び足&見切り&早業

姿を現すと同時にUCで攻撃力強化
残像幻惑の魔法剣で攻撃
:残像&早業&先制攻撃&フェイント&見切り&属性攻撃&串刺し&破魔

敵攻撃は残像&早業&見切りで回避


剣を振るいつつ学生へ声かけ

誰かの為に命を賭すのは尊い行為です
そして貴方方もまた誰かの大切な存在です

学園で待っている方も
友達や先輩も
貴方方がご自分を大切にされることを
願ってお出ででは?
今は退く時ではありませんか
;鼓舞&祈り&優しさ&勇気&手をつなぐ&恩返し&礼儀作法


アステル・サダルスウド
『』:技能
【】:UC

友達の吾聞君(f00374)と連携するよ
二手に分かれて学生と合流・加勢

【ライオンライド】でライオン君を召喚
彼の背に乗って、剣で戦っている学生君へ向かうよ
任せたまえ吾聞君!
君とリム君も気を付けて!

敵の攻撃は『見切り』で避け
『フェイント』で敵を撹乱しながら進むよ
頑張ろうライオン君!

学生君に合流したら『鼓舞』で語り掛ける
「安心してくれたまえ、シズマ君の所へは僕の友人が向かっている!まずは目前の敵を蹴散らそう!」
後衛として協力しよう!
弓矢のStaccato Rainで『スナイパー』を活用し『援護射撃』
『マヒ攻撃』『鎧無視攻撃』で攻撃するよ

この程度で怖気づくアルダワ学生ではないのさ!


影守・吾聞
『』:技能
【】:UC


友達のテル(f04598)と連携
二手に分かれて学生と合流・加勢

【黒竜召喚】で友達のリムを召喚!
リムの背に『騎乗』して
目指すは魔法使いの学生(シズマ)の位置
テルとライオン君、もう一人は任せたよ!

『ダッシュ』で突っ込んで敵を蹴散らし
敵群の混乱と数減らしを狙う
弓の一射は『武器受け』で叩き落とすか
『野生の勘』も駆使して回避

合流したら学生の前に出て守りながら戦うよ
前衛は俺に任せて!
魔法剣で『属性攻撃』『2回攻撃』だ!
先輩の装備、取り戻して早く君の仲間と合流しよう
君のこと、心配してるよ

退いて貰うにしろ一緒に進むにしろ
まずはこの場を何とかしないとね
同じ学園の仲間、災魔なんかに奪わせないよ



●合流
「手分けしよう、俺はあっちに向かうから、もう一人は任せたよ!」
「任せたまえ吾聞君! 君とリム君も気を付けて!」
 金色のライオンにアステルが跨り、吾聞は召喚した黒色の竜を従える。目指す敵陣の中へと、二人は同時に切り込んでいった。目標もまた彼等と同じアルダワ魔法学園の生徒である。
 飛んでくる矢を見切って躱し、左右にステップを踏んでライオンは進む。盾を手に、背面を牽制しながら戦う学生に、アステルは迅速に辿り着いた。
「……猟兵の人?」
「なに、君と同じ学生さ」
 アステルの弓の弦が揺れて、放たれた矢が驟雨の如く敵を射抜く。そして背中合わせに、それぞれの敵に向き合いながら言葉を交わす。
「安心してくれたまえ、シズマ君の所へは僕の友人が向かっている!」
「ありがとう。じゃあ、手を貸してもらえる?」
 恐らくは上級生だろうか、安堵の息を吐きながらの学生の言葉に、アステルは頷いた。
「勿論さ、まずはここを切り抜けよう!」
 とはいえ、もうちょっと手があると助かるかもね。弓の特性を生かすなら後衛に回りたいところだが、二人きりではそれもままならない。そこで。
「私も、微力ながらお助けします」
 迷彩の魔法を解いた箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)が、細い剣で死猟兵の刃を絡め捕る。炎の魔力をその身に纏った彼は、敵に向けての一歩を踏み出す。護拳にあしらわれた星が走り、剣が敵の腕を切断。迫る脅威を削いでみせた。
「良いタイミングだ、助かるよ!」
 これで、連携の意味も出てくるだろう。敵の放った弓を学生の盾が防ぐ間に、アステルが反撃の矢で射返す。単音の弦の音色と共に、頭部を貫かれた死霊兵が膝を付いた。
 ……とりあえずは、危機的状況を脱しただろうか。残像を生み出す魔法を伴い、独特の剣術で敵を翻弄しつつ、仄々はそう判断する。
 その眼が注視するのは、荒く息を吐く学生の様子。こんなところに身を投げ出すのは、優しさと勇敢さの表れだと彼は判断する。けれど、危ういのもまた事実。
「誰かの為に命を賭すのは尊い行為です。そして、貴方方もまた誰かの大切な存在です」
 自然と、それは諭すような言葉になる。
「学園で待っている方も、友達や先輩も、貴方方がご自分を大切にされることを願ってお出ででは?
 今は退く時ではありませんか」
「……その、通りね」
 仄々の言う事が正しいと、彼女もわかっているのだろう、学生はそう頷いた。胸に仕舞われた言葉に先回りするように、アステルが続ける。
「状況は変わったよ。僕達が居るだろう?」
 その言葉を受けて、今度こそ彼女はしっかりと頷いた。
「私は下がります。包囲を抜けるまで、どうか手を貸してください」
「分かりました。無事送り届けますよ」
「どちらに向かうにせよ、敵を蹴散らさないと話にならないね! この調子で行こうか!」
 仄々とアステルがそれぞれに応じて、新しい目的のために、彼等は死霊兵達に向かっていった。

 一方、シズマと呼ばれた学生の元には、吾聞とセツナが駆け付けていた。
「明かりを灯そう。──ひとつ、ふたつ」
 原初の灯火。いくつかにより分けられた炎が、死霊兵達を包み込む。牽制も兼ねた明かりの中で、セツナが彼に呼び掛ける。
「このままでは多勢に無勢。今のうちにこちらへ」
 手招きするそこは、吾聞とその黒竜、リムの戦うその後方だ。リムが顎で以って骨を砕くのに任せ、吾聞は飛来した矢を剣で払う。青白く光を増した刀身は、魔力の刃を生み出して二体の敵を葬り去った。
「無事でよかった! 前衛は俺に任せて!」
「まだ戦えるようなら、援護を頼むよ」
 吾聞とセツナの言葉に頷いて、合流した学生は炎を操る。セツナのそれと比べれば威力は頼りないものではあったが……。
「(ただ守るだけの存在、というのは誤認だったかも知れないね)」
 そんなことを考えながら、フォローも交えてセツナは敵へと応戦した。前衛を担う吾聞もまた、仲間を救助したことから次の目標へと意識を映す。
「リム、力を貸して!」
 主であり、友である、吾聞の声に応え、黒竜が尾で敵陣を薙ぎ払う。各々鎧を纏っているとはいえ、脆くなった骨の身体を持つ死霊兵達はたまらず吹き飛ばされ、砕けていった。
 斬りかかってくる別の骸骨を、騎乗したまま吾聞が迎え撃つ。
「同じ学園の仲間、災魔なんかに奪わせないよ! それに――」
 群がる者達を切り裂いて、吾聞は輝く剣の切っ先をある方向へと向けた。
 ――なるほど、とセツナは思う。頭に浮かぶのは、先に帰した学生の浮かべた苦渋の表情。『無力な子供』として扱われたことに対するものだと見当は付いたが、それだけではないのだろうか。その答えに、ようやく至った気がした。
「そうか。ああ、そうだろうとも。君達も理屈は弁えているんだ、それでももがくのは――」
 鎌の一振りで道を拓く。……理由は至極簡単だ。彼等は腕試しに来たわけではない。漫然と迷い込んだわけでもない。彼等には、身の危険とその後のリスクに目を瞑ってでも、欲するものがあったのだから。
「少なくとも、探し物の一つがそこにあるんだね?」
 左腕から生じた炎がさらに骨を焼き崩して、その先へ。
 その学生は先程叫んだはずだ。「カエセ」と喚く死霊達に対して、「お前達こそ、返せ」と。
「先輩の装備、取り戻して早く君の仲間と合流しよう!」
 彼等は、前へと進む。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

九之矢・透
ギリギリだけど間に合ったな。
いや、間に合わせる!!

【POW】
『鵲』を使うぜ

より緊急性の高い、学生に近い所にいる奴らを狙う
意識を此方に向けさせ「誘き寄せ」るぜ
「範囲攻撃」「2回攻撃」を駆使してとにかく多くの敵を学生から離さなきゃな
その分こっちに敵が寄って来るだろうが覚悟の上だ
仲間のフォローも頼りにしちゃうぜ?

そこの学生サン2人
アンタの仲間は心底心配して無茶しようとしていた所だったんだぜ
その人から受けた依頼がアンタ達を帰す事なんだ
絶対に無事に戻してやるからな!


ファルネーゼ・アトラス
呪詛を発する死霊に思う所がない訳ではありません
けれど、助けられる命があるのならば
そして死霊に安らかな最期を与える為ならば
…ファルはやるべき事をするだけです
さあ、エチカ
張り切って参りましょう!

御二方とも、大丈夫ですか?
きっと怪我をされている事でしょう
【生まれながらの光】で二人を傷を癒します

ファルが担うのは癒し
負傷した皆様の回復を行います
大きな傷を負った方が複数の場合は同時に使用
疲れが溜まっても癒しの手は止めません
弓を向けられた際は第六感を用いて回避を試みます
エチカにも周囲の戦況を観察してもらい
何かあれば直ぐに知らせてもらいましょう

戦闘後、死霊へ捧げる鎮魂歌を
…どうか、今度こそゆっくり眠れます様に


三鷹・一成
おいおい、こんなとこまで来てたのかよ
そりゃ見つからねえはずだ

何にせよ、ここで死なれちゃ困るんでな

とっとと助けに行きたいが、骨相手じゃ相性悪いし足止めに回るか
ワイヤーフックで相手の武器(特に弓なんかの遠距離武器優先で)かっぱらったり足引っかけてコケさせたりして、救援に向かう連中の援護を(投擲+援護射撃+盗み攻撃)

飛び道具さえ封じりゃ、殴り合いでそうそう負けるこたねえだろ
てなわけで頼んだぜ

もし骨共が取り返しに来たら、奪った武器をワイヤーで一まとめにして、それを餌に逃げ回ったる(逃げ足+ダッシュ)

もしかしたら、あの中に本来の持ち主がいたりするかもしれねえが、今だけは生きてるやつの為に使わせてもらうぜ


天星・暁音
ギド(f00088)、リュー(f01051)と一緒

まあ仕方ないか…同行するからにはできる限りは護ってあげないとね
でも…少しばかり反省はしてほしいなあ…少し学生たちを庇って怪我くらいしてみようか…
誰かを想う気持ちは素敵だけど、未知の場所に挑む以上は自己責任はついて回るものだから感情論で無謀に挑むのはちょっとね
とはいえ態と怪我しましたなんて言ったら零には怒られちゃうから内緒にしないとね

二人の援護にコードで祈りながら銀の糸でもって戦っている学生を拘束してこちらに引っ張って保護し学生達を優先的に護るように行動し可能ならかばい態と怪我してみせます

年上は基本さんづけ
零は家族の名前で例外


リュー・メトカーフ
ギド(f00088)、暁音(f02508)と共に

同行者くんは死なない程度に気を配っておこう
着いてきたからにはキミの仕事だ
襲われている彼らを隙を見つけて助けて戻ってくる
簡単だろう?

全く、意思無き異形を相手にしても面白みがない
カツンを下駄音を高らかに鳴らしこちらへ敵の意識を向けよう
くるりとひとつ傘を回せば散りゆく桜吹雪
【発条仕掛の桜弁】で周囲の敵の動きを止めて仲間のフォローだ

おおギド、今のキミは格好いいよ
カメラでも持ってくるべきだったか

この戦いに面白みはないけれど
自分が傷ついてでも、仲間を救おうという気持ちはとてもヒトらしくていいな
さあ、少し頑張るとしよう
なに、危なければきっとギドが守ってくれるさ


ギド・スプートニク
リュー嬢、暁音殿と
UC使用中は金眼、消耗大

連れている学生に自己防衛程度は促しつつ戦闘に
交戦中の学生については多少の援護をしてやっても構わぬが、既に十分な助けが向かっているならば敢えて保護に回る必要もないだろう

花弁に乗じて距離を詰め、近距離の敵は剣杖にて斬り捨て
並列して遠距離の敵は魔法で仕留める

さて、あまり期待されても困るのだがな

リュー嬢に射られた矢を片手で掴めば
即座に投げ返し、距離を詰め斬る

暁音殿には意図を汲んで多少の攻撃は遠そう

先輩とやらは此処より先に進んだ訳か
それを能力が高いと見るか
敵がこれだけ健在な時点で絶望的と見るか
さて

どの道、あまり時間を掛ける訳にもいくまい
手早く済ませるぞ



●もう一つの戦い方
「見えるもんならご覧じろ、ってな」
 しゅぱ、と軽い音を立てて鉤の付いたワイヤーが飛ぶ。それこそ誰にも捉えきれないような速度で飛んだワイヤーは、道中の長物……死霊兵達の持つ武器に次々と絡みつき、戻る勢いでそれぞれの手から奪い去っていった。
「――は? どうやったんだ今の!?」
「慣れよ、慣れ」
 目を丸くする透に適当な言葉を返しつつ、一成が巻き取った戦利品を抱える。『神も見えざる手』、それは一成の放つ神速のワイヤーフックだ。鉤の先端に付いてきた頭蓋骨を気味悪そうに落として、その先に視線を巡らせる。
「――ああ?」
「ん、あれ探してた学生サンか?」
 透もそちらに視線を送って、帽子のつばを軽く上げる。視界はかなり通りづらいが、件の学生二人が猟兵達と合流できた事は認識できる。
「こんなとこまで来てたのかよ、そりゃ見つからねえはずだ」
「ああ、無事でよかった……ていうか、こっちに向かって何か言ってないか?」
 よくわからず、手を振り返してやる透に、わあわあと慌てた様子の学生が声を張り上げていた。
「そ、そ、そ、それ、先輩の! 先輩が! えーっとそうじゃなくて!!」
「な、なんだあいつ?」
「こっちの武器に何かあるみてーだな」
 要領を得ない叫びは、戦闘しながら聞くとさらに途切れ途切れになる読解力の必要なもの。それでも何とか、意図は通じた。
「よし、じゃあこれを届けてやってくれ!」
 透の声に応えて、武器の一本、鍔に特徴的な装飾のある剣が浮かび上がった。目には見えないものの、そこには彼女の喚んだ魔法の鳥が居る。剥き身の剣をぶらさげた『鵲』は天井近く、敵の手の届かない高さへと舞い上がり、学生達の方へと飛んでいった。
「……自分で持ってかなくて良かったのか」
「アタシはアタシでやることがある、だろ?」
 抜き放ったダガーで死霊の一体の足を砕き、透が一歩下がる。先ほどから、盗られた武器を取り返そうと何体もの死霊兵が向かってきている。
 依頼を、請けたのだ。学生達を無事に返すと。そして、その方法は肩を並べる以外にもある。
「とりあえず、俺は弓を片っ端から奪って逃げるからな。遠距離攻撃さえなければどうとでもなるだろ」
「誘き寄せるにも丁度良いか……出来るだけ多く呼び寄せてやろうぜ」
 敵を、引き付ける。偶然と言うべきか、自然にと言うべきか、方針の合致した二人は同時に走り出した。道行く途中で、敵の戦闘力を削ぎながら。

●穿つ
 カエセ、カエセ、カエセ。呪いのように繰り返される言葉を聞いて、ファルネーゼは一度目を瞑る。どこからか発せられる、死霊達の声。吐き出すような、懇願するようなそれを、『無いもの』として聞き流すことは、彼女には難しい。
 けれど。目を開き、改めて学生達へと視線を向ける。猟兵達の手によって取り返された、探していた誰かの剣を抱いて、その先を目指し、なおも足掻く二人。
 助けられる命を確実に救う事。そして、呪詛を吐く彼等に安らかな終わりを与える事。そのためならば。
「(――やるべき事をするだけです!)」
 ふわりと竜が飛び立つのに合わせ、彼女の身体から光がこぼれ始める。心の声に、決意に、呼応したように輝きを増すそれは、眩く、そして温かく二人を包む。それは、聖者の抱く生まれながらの光。
「御二方とも、大丈夫ですか?」
「は、はい!」
「ありがとうございます! まだやれます!」
 ファルネーゼに降り積もる疲労の気配と引き換えに、二人の傷が癒えていく。この学生達は立ち直ったようだが、癒しが必要なのはこの二人だけではない。
 吾聞やアステル、猟兵達も数に押されて手傷を負っているのだから。
 疲労を押して、仲間の回復に努めながら、彼女は飛行する竜へと声をかけた。
「エチカ、何かあったら教えて……!」
 上からならば、きっと自分たちにも見えないものが目に入っている事だろう。心配なのは、敵を引き付けて逃げ続けている透と一成、そしてまだ出会えていない他の猟兵達だ、
「皆さん、ご無事だと良いのですが――」

 そんなファルネーゼの懸念が当たったように、竜の見下ろす遥か前方では、暁音が学生を庇って手傷を負っていた。
「くっ……!」
「そんな、俺を庇って――!?」
「良いんだよ、大丈夫……」
 慌てる学生に、暁音は気丈な笑みを作ってみせる。
「(これで少しくらいは反省してくれるかな……)」
 誰かを想う気持ちは大事なものだ、そこに疑う余地はない。しかし未知の場所に挑む以上は自己責任はついて回るもの。感情論で無謀に挑むのはさすがにいただけない。そう考えたがゆえの演技である。
「(でも、態と怪我しましたなんて言ったら零には怒られちゃうかな)」
 内緒にしないと、と暁音が胸の内で呟いたそのタイミングで、二人の猟兵が駆け込んできた。
「おお、まだ居たのか、学生」
「あの二人を追ってきたのか? あー……もう一言二言いっときゃよかったぜ」
 いくつもの武器……主に弓を抱えて走ってきた二人は、息が上がっているのもあり、合流した彼等に勢いよくまくしたてる。その後ろからは、死霊兵達が迫ってきているわけだが。「……どういう状況だ、これは」
 憮然とした様子のギドが刃を一閃し、先頭の死霊兵二体を斬り払う。続けて、カツンという高い下駄の音と共に、リューが溜息を一つ。
「どれ、まずは花見でもして落ち着いてもらおうか」
 花笠がひとつ、くるりと回る。溢れ出すように舞った桜吹雪が、一帯を華やかに彩り始めた。
 発条仕掛の桜弁。舞い散る桜の花びらは、それを目にした死霊兵達を幻惑の淵に叩き落す。
「……それで?」
「あ、ああ」
 一成が手早く説明した内容を受けて、リューが頷く。
「なるほど、救助は概ね終わっているのだね。手間が省けて何よりだ」
「良かった……」
 胸を撫で下ろす学生の様子を一瞥し、リューは眼を細めた。仲間の安否に心底から一喜一憂する、これもまたヒトの情動か。
 そんな彼女の横で、ギドは刃を収めた杖を手に、歩き始めた。
「ならば、こちらは敵を殲滅する事に集中しよう」
「他の猟兵と合流しなくて良いのか?」
「せっかく敵を集めてくれたのだ。まとめて処理していった方が良いだろう。それに――」 透に答えつつ、ギドは右手を差し出す。開いた掌を、握る。果たして、そこには後方から撃ち込まれた死霊兵の矢があった。
「こういう手合いは、さっさと片付けておくに限る」
 リューを狙ったのであろうそれが即座に投げ返され、弓を手にした骸骨を貫く。
「……おおギド、今のキミは格好いいよ。カメラでも持ってくるべきだったか」
「……」
「さあ、少し頑張るとしよう。なに、危なければきっとギドが守ってくれるさ」
「あまり期待されても困るのだがな」
 再度舞い上がる桜吹雪の中を、剣杖を手にしたギドが突き進んでいった。

「祈りを此処に、言の葉よ。立ち向かう者達に闇祓う光の加護を…我等に僅かなる勇気を!」
 暁音の祈りの声が響く中、黒い外套が翻る。
 一瞬の剣閃が死霊兵の背骨を断ち切り、放たれる魔術の矢が弓を構えた者達を焼いていく。リューの手により幻惑され、拘束された者達の群れを切り開くようにして、ギドは迷宮を歩む。
「なるほど、これは早いな」
「どんどん進んでもらおうぜ」
 不可視の鳥と、剣閃に並ぶ速度のワイヤーフックがその背を守る内に、彼は目標にしていたそれに至る。
 遠目からも見えた巨体。三つ目の熊、のような何かだったのか、巨大な獣の骨が体勢を低くし、他の死霊を蹴散らしながら進んできていた。
「……どの道、あまり時間を掛ける訳にもいくまい」
 ギドの眼が金色に染まり、魔眼が世界を睥睨する。『意志無き者の王:鏖殺領域』、びたりと縫い留められたように、見つめられた者達の動きが静止した。
 それはわずか一瞬の事。そしてそれで事足りる。
 玲瓏と銘打たれた刃が、その名の意味を体現。光が、周囲の死霊を両断し、巨大な獣の前肢を切り取った。
 鍔鳴りの音に続き、地を蹴る音が二つ。
「さあ、見せ場だよライオン君!」
「リム、ぶちかましてやろう!」
 獣の後方から、アステルと吾聞が、それぞれ従えた者達を飛びつかせた。
 前脚を失った獣がそれに耐えられるはずもなく、その場に倒れ込む。衝撃のまま床を滑り、もつれあった大きな影は、瞳の色を元に戻したギドの足元へと滑り込んだ。
「……」
 やれやれ、というような溜息と共に、下ろされた杖の先が、敵の頭蓋骨を砕いた。

 猟兵達の戦いにより、死霊兵が群れを成していた迷宮のこの一室に、大きなスペースが生まれていた。
「……先輩とやらは此処より先に進んだ訳か」
 遠巻きにこちらを見ている残党に視線を遣りながら、ギドが言う。
 それが可能なだけ能力が高いと見るか、それとも敵がこれだけ健在な時点で絶望的と見るか。
 その答えを確かめに行く前に、異質な気配がその場を覆った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『無限回廊の亡霊』

POW   :    ……あナ……タ、も…………
【怨念を宿した弾】が命中した対象を爆破し、更に互いを【引きずり込む亡霊の腕】で繋ぐ。
SPD   :    …………た、ス……け………
いま戦っている対象に有効な【ジョブの、冒険者の亡霊】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    ……ア、ああアアあアあああアアアアアアアア
対象の攻撃を軽減する【おぞましい亡霊の姿】に変身しつつ、【断末魔の金切り声】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はバルディート・ラーガです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●回廊に至る
 この世界の学生達は、それを災魔と呼んでいる。けれど、猟兵達はまた別の呼び名を知っていた。
 オブリビオン。忘れ去られ、棄てられた者達。
「――カエセ」
 ああ、と。先程から感じていた違和感に、ファルネーゼが両手を固く握る。鎮魂歌を歌うには、どうやらまだ早いらしい。
 そもそも、骨でしかない死霊兵達に、声を出す器官はない。これらを統べ、操り、代わりに声を上げさせる誰かが居る。
「カエシテクレ」
 そして、大鎌を肩に置いたセツナもまた、理解する。先程から響くこれは呪詛であり、怨嗟であり――嘆きだ。
「カエリタイ」
「残念だが、ね。君達の帰る場所は、こちらではないのだよ」
 呟く彼の声に応えるように、部屋の先――回廊の遥か下から、それは姿を現した。
「カエリ、タイ……カエリタイ、カエリタイ、カエシテ、カエセ」
 青白い肌、虚ろな目。翼を広げた幽鬼のような様のそれは、ドラゴニアンの銃使いだった。見たところ学園の生徒だろうか、しかしその様子は、この銃使いが既に死者であることを如実に物語っている。
「たス、ケテ」
 虚ろな嘆きの声に応えて、幽鬼の周りに蒼く火が灯る。
「――アア」
「オォォ……!」
 敵の操るユーベルコードによるものだろう、霊体、とでも言うべき半透明の影が五つ、猟兵達の前にゆっくりと立ち上がった。
 銃を手にした幽鬼を守るように、剣士と、鎧を纏った騎士が二人。そしてさらに脇を固めるように、杖を手にした者が二人。
「え」
 学生の一人が目を見開く。
 幽鬼の従えた五人の影、その中の『剣士』は、学生のシズマが手にした剣――猟兵達が、先ほど死霊から奪い返したそれと、まったく同じものを携えていた。
「……先輩?」

●敵性パーティ『未帰還者達』
 霊体の一つに、シズマが声をかける。ようやく、見つけたというように。
「先輩! 俺ですよ! 一緒に帰りましょう!」
「――アァ、ウ」
「聞こえてない、ようだね」
 確たる返事はない。何かが起きる前に、花傘を揺らしたリューと、杖に指を這わせたギドがその前に出た。
「……そうか、あれが今の迷宮の主」
 元は腕の立つ銃士だったのだろう。それがここで果て、迷宮に呑まれるに至った――と見られるが、もはや確かめる術はない。ただ一つ確実なのは、あの銃士がオブリビオンであることだけ。
「君達は下がっていたまえ。さすがに、アレとは戦えないだろう」
 そう促すセツナに従い、学生達三人は大人しく後方に下がる。
「ごめんなさい。……あとは、お願いします」
「……ああ」
 頷く。けれど何を、と自らに問いながら、透はダガーの柄に手を遣った。

 そして、彼等は帰り道を歩き始める。
セツナ・クラルス
私は本を読み返すのが好きでね
読み返す毎に新たな気付きを得るのが楽しいんだ
…現実はそうもいかない
あなた方の望む場所にかえすことは、できない

学生たちが離れたことを確認すると
彼らに背を向け、武器を構え直し

個別に戦うよりも連携重視で挑んだ方がよさそうだ
ゼロ、おいで
互いの目となり、手となり、命綱となろう
他の猟兵たちとも声をかけ合い、
亡霊たちに付け入る隙を与えぬようにする

銃や杖、剣はどこで手に入れたものなのかな
きっと大切なものなのだろうね
それは戦う為の道具ではあるが
無分別に振り回すものではないだろう?
意思の疎通が可能なら話をしよう
無事に帰還できたら
彼らの大切な思いを
彼らの大切な人たちに伝えることができたら


アステル・サダルスウド
『』:技能
【】:UC

友達の吾聞君(f00374)と連携

ごめんね
返してあげたくても、君の生は取り戻せないんだ
だからせめて、魂だけでも望む場所へ帰れるように力を尽くそう

敵の攻撃は『見切り』で避ける
取り戻せない現実は辛いけれど、手加減はできないから
仮初でも勇猛に振舞うとしよう!

さあ、攻撃の時を合わせようか吾聞君!
【姫桐草の詩】を発動
『鎧無視攻撃』『マヒ攻撃』を活用
『スナイパー』『フェイント』も駆使して確実に当てに行くよ
吾聞君の浄化の炎と、僕の葬送の花びらで彼岸への道を作るよ
優しき我が友の炎が、君を救ってくれますよう
悔いも悲しみも手放して安らかに逝きたまえ
精一杯頑張って足掻いた君を、最期まで見届けよう


影守・吾聞
『』:技能
【】:UC

友達のテル(f04598)と連携

君も学園の仲間“だった”んだよね
でも今は災魔になって、学園に生きてる皆に害を与えようとしてる
なら、君を…君達を助けてはあげられないよ
ごめんね。せめて、安らかに

『野生の勘』を研ぎ澄ませて戦いに望むよ
敵の攻撃は可能な限り回避、間に合わないなら『武器受け』で受ける
仲間を、未来をこれ以上奪わせないために
俺達も後には退けないんだ

うん。やろう、テル!
俺達に今、できる精一杯を!
【悪魔の灯火】を発動
敵群を取り巻くように炎を放って、『属性攻撃』だ!

俺の炎が、斃れた仲間を在るべき場所へ導いてくれますように
テルの花が、みんなの魂に寄り添ってくれますように


三鷹・一成
……ああ、なるほど
「カエセ」ってなそういうことね

ご希望通りとはいかないだろうが、できる限り叶えてやるよ

で、その為にはだ
気ぃ進まねーが、ちっと体張るか

事前に弾を入れ替え
相手の攻撃をあえて受けて腕に抵抗する……と見せかけて、引きずり込まれる勢いそのままに接近
特製の強装弾を至近距離からありったけブチ込んでやる(威力重視&フェイント+ダッシュ+覚悟)

おたくにはな、もうこことは別に「還らなきゃいけない場所」ってのがあるんだよ

けどな、忘れられたわけでも棄てられたわけでもねえ
だからあいつらや、俺達がここにいる
あんたを待ってるやつに渡したい物が―――伝えたいことがあるなら―――せめてそれだけは持って帰ってやる


ファルネーゼ・アトラス
死した者は生者と同じ場所へ帰る事は許されません
それがオブリビオンならば尚更の事
…分っているのです、けれど
――何故、こうも遣り切れぬのでしょうね

【シンフォニック・キュア】――歌うは優しい子守唄
戦場全体に響き渡る様に、決して歌声を途切れさせる事なく
猟兵の皆様の治療と鼓舞に専念致します
一人として倒れさせたりは致しません
絶対に、ファルが癒してみせます!
断末魔による攻撃はオーラの力で防御
破魔でダメージを軽減出来るかも試してみます
エチカ、どうかファルを見守っていて下さい

ファルには死霊と成り果てた皆様を救う事は出来ません
…ごめんなさい
せめてこの歌が僅かでも癒しになる事を祈りましょう
――お休みなさい、良い夢を


九之矢・透
ああ、……ああ

【WIZ】
『蜘蛛の絲』使用

銃士と五つの霊体へ
「二回攻撃」「範囲攻撃」で確実に動きを止めるよ

仲間との連携を意識して
特に武器を持つ手や
声を出す顔周辺は念入りに

なるべく「先制攻撃」を狙うが先手を打たれたら
相手の動きを良く観察し「見切り」、「フェイント」を混ぜて

…なあ
あの霊体の”先輩”…だけじゃねーけど

銃士を先に倒せば霊体は消えて戻る、とか
霊体を倒せば本来の身体に意識が戻る、とか
だったりしないかな

……どうしてもダメなら
交戦に紛れて気配を殺し、視覚外から一息に
「忍び足」「覚悟」「暗殺」


帰ろうな、還ろうな
また孵る為にさ、とり返してやるよ

銃士、アンタもだ
アタシが忘れないでいてやる
だからおやすみ


リュー・メトカーフ
ギド(f00088)、暁音(f02508)と共に

過去の残滓に告げる言葉はないさ
けれど、道連れの悪しき循環はキミの本意でもないだろう
私たちがキミの迎えだ
終わらせよう。ここで。

私はお世辞にも機敏に動けるとは言えなくてね
相手の隙を見た攻撃を
目配せでギドの意図を把握
【発条仕掛の桜弁】で注意を惹こう
これは只の桜じゃあないけれど
せめてもの手向けだ
最後の花見を楽しんでくれ

攻撃には氷槍サーキュレイションを使う
これは溶け続け凍り続ける、輪廻を示す槍だ
次の生では、過去に呑まれることがないことを。

戦いの後には弔いを
遺品等あれば学生たちへ託そう

自由に
アドリブもいい。


ギド・スプートニク
リュー嬢、暁音殿と
UC使用時、瞳は金に

手遅れか
ならば仕方あるまいな

さして思うところはない
彼らは自ら迷宮に挑み、死んだのだ
我々とて死にゆく者のすべてを救えるわけではない

配下の亡霊は情け容赦無く塵へと帰す
これ以上の被害を出さぬように
それがせめてもの弔いだろう

UC/真の姿を発動
リューの花嵐に紛れ、自身の身体を霧と化し移動
上空にて実体化すると、魔眼の力で相手を縛り
全力を込めた血の槍を敵に向かって投擲する

敵を貫き地面に突き立つその姿は、さながら墓標のように

何か言い残す事はあるか?
僅かに残る人としての心に期待して
言伝があれば承ろう

終われば暁音殿が死者を送る姿を見届ける


天星・暁音
ギド(f00088)、リュー(f01051)と一緒

…迷宮に挑む以上はこれも仕方ないことだけど…
うん、帰ろうか…でもそれには君達を在るべき姿へ戻さないといけない
本来あるべき場所へ。永久へと還りなさい
何時か廻る時まで、俺は君達の事を忘れないよ。
痛みも悲しみも、ちゃんと覚えているから…


【共苦】により彼等の想いを受け止めて立ち向かいます。
UCで味方の回復を優先して行動。
必要なら適時、破魔の力を込めた銀糸や弾丸等で援護ししたり学生達を何時でも庇います。
前に出ようとするなら銀糸で拘束して引きとめます。

可能なら亡くなった人への祈りを込めて舞いを捧げたいです。



●接触
 ざ、と曖昧な音を伴う銃士の一歩に合わせて、音の無い歩みが五つ重なる。地の底からの帰還を期した一歩。既に手遅れだという自覚は、そこに含まれているのだろうか。
 ああ、ああ。先程の自分の言葉を反芻するようにして、透が刃に手をかける。自分が何を任されたのか、何を為すべきなのか。見極めるべく細めた瞳が、銃士の虚ろなそれとぶつかる。嘆き、悲しみ、憎しみ、それともただの虚ろ? 目で見るだけで全てが伝わるのなら、きっといくらか楽だったろうに。
「君も学園の仲間“だった”んだよね」
 進み来る敵の前に立ち、吾聞がそう呟きを漏らす。あの銃を持つオブリビオンも、周りに喚ばれた者達も、巡りあわせ次第では共に肩を並べていたかも知れない。
「でも今は災魔になって、学園に生きてる皆に害を与えようとしてる。なら、君を…君達を助けてはあげられないよ」
 ごめんね。せめて、安らかに。
 生み出されるは悪魔の灯火。吾聞の操る青白い鬼火が、オブリビオン達を取り巻き、包囲の輪を縮めるようにして襲い掛かった。
「アァ……ガ……」
 苦悶の声。前衛職であろう三つの霊体が、自らそれを受けるようにして味方を守っているように見える。
 葬送にはまだ足りぬ。青白く燃え上がる炎の隙間から銃声が響いた。
「ッ!」
 研ぎ澄ませた野生の勘の成せる業か、飛び来た銃弾を、吾聞は手にした剣で受け止め、逸らす。だが、攻撃はそれだけには留まらない。
「あナ……タ、も……」
 手招きするような言葉と共に、幽鬼の身体から半透明の腕が伸びる。
「吾聞君!」
 抱擁するように広げられたそれを、アステルの放った矢が射抜き、消滅させた。視線を向けたところで、相変わらず敵の感情は読み取れないが。
「ごめんね、返してあげたくても、君の生は取り戻せないんだ」
 それに、道連れを増やしてやるつもりもない。元は同じ学生であっただろう相手に、アステルはもう一度弓を引く。
「だからせめて、魂だけでも望む場所へ帰れるように力を尽くそう」
「うん。やろう、テル! 俺達に今、できる精一杯を!」
 炎を踏み越えてきた二つの霊体を、二人は共に協力して迎え撃った。
 輝く魔法剣と、複雑な音色を奏でる弓。猟兵として経験を積んだ彼等が、霊体に後れを取ることはない。だがオブリビオンの手で操られた彼等は、一般的なアルダワの学生のそれを超える鋭さで仕掛けてくる。
 大盾を構え、庇いに入る一人を囮に、もう一名が槍を突き込む。さらに、反対側からは剣を構えた別の霊体が迫っていた。
「どうやら、個別に戦うよりも連携重視で挑んだ方がよさそうだね」
 吾聞が槍兵の攻撃を捌く傍ら、セツナが大鎌で以って剣士の刃を掬い上げる。
「ゼロ、おいで。互いの目となり、手となり、命綱となろう」
「ったく、世話が焼けるな」
 共存共栄、彼の裡に棲まうもう一人を顕現。亡霊達の足止めのために、手を組んで動き始めた。
「……『先輩』、と呼ばれていた子かな?」
 ゼロを狙った魔法剣を、鎌の先端で引っかけて止めつつ、セツナはその剣士を見遣る。手にした剣は、先ほど死霊兵達から奪い返したのと同じ特徴を持っていた。
「――私は本を読み返すのが好きでね、読み返す毎に新たな気付きを得るのが楽しいんだ」
 だが現実はそうもいかない。残念そうに、彼はそう続けた。
「あなた方の望む場所にかえすことは、できない」
 盾持つ仲間の後ろに一旦退いて、連携しての戦闘を狙う相手に、セツナとゼロもまた同時に一歩を踏み出した。

●可能性
 前衛を担う鎧の霊体達が吾聞とアステル、セツナ等に引かれている内に、気配を殺していた透が一息に距離を詰める。銃士の首を刈り取らんとする思い切った一撃は、しかし直前で察知した敵に躱されてしまう。続く連撃の前に、ドラゴニアンの特徴である尻尾が鞭のように走り、彼女を打ち据え、動きを止める。
 左右に控えた魔術師達が追い打ちをかけようとしたそこで、振るわれた槍がその詠唱を妨害、続けて放たれた穂先が銃士を狙う。
「ほう、よく避ける。過去の残滓に過ぎないとはいえ――」
 溶け続け、凍り続ける、そんな不可思議な槍から身を躱し、銃士は得物を以って槍の持ち主、リューに反撃の銃弾を向けた。
「私が切り込み過ぎるのもよくないかな。ギド?」
「心にもない事を……」
 銃声。だが突き出された杖の先端が、発射直前の銃口を逸らす。
「道連れの悪しき循環はキミの本意でもないだろう。私たちがキミの迎えだ。終わらせよう。ここで」
 明後日の方向に飛んでいった銃弾に構わず、ギドはそのまま抜刀、銃士に一太刀を加えた。
 ――浅いか。そんな手応えを元に、杖に戻した玲瓏の刃をもう一度。さらなる一歩を踏み込む。
 思うところは、ない。
 ギドの瞳は特に感慨もなく相手を射抜く。
「何か言い残すことはあるか?」
 彼等は自ら迷宮に挑み、死んだ。自己責任と、先に彼が言った通り。そもそも、いかな猟兵とはいえ過去の全てを救うことなどできはしないのだから。
「あァ、ソト、に……」
 呻き声は意味を為さない。翼を打ち振るってそれから逃れた銃士は、ギドに向かって二度引き金を引く。銃弾と、防御に回された杖のぶつかる音が響く中、両者は互いに距離を取った。
 ようやく完成した魔術師の詠唱により、氷の風が一時、吹き荒れる。
「祈りを此処に、妙なる光よ。命の新星を持ちて、立ち向かう者達に闇祓う祝福の抱擁を…傷ついた翼に再び力を!」
 暁音の捧げる祈りの中、猟兵達は嵐の切れ間を、仕掛けるタイミングを窺う。
「……なあ。あの『先輩』って呼ばれてた奴……だけじゃねーけど」
 そこで絞り出すように、透がそれを口にする。自分が何を言おうとしているのか、それがわかっているからこその苦渋。
「銃士を先に倒せば霊体は消えて戻る、とか、ないかな?
 それか、霊体を倒せば本来の身体に意識が戻る、とか……」
 それでも彼女が言葉にしたのは、『頼まれたから』だ。出来ることは、しなくてはならない。
「本気で言っているのか?」
「それは、さすがにちょっと……」
 だが、それは彼女の事情に過ぎない。訝し気に問うギドに続いて、暁音も難色を示す。
 根拠の薄い思い付きに過ぎない事は、誰にだってわかる。そして、それに希望を見出したい気持ちも。
 だが根拠の無いそれを頼って、自分と周りを危険に晒すのは……暁音がわざわざ自分でダメージを負って見せてまで説教した学生達と変わらないのではないか。
「これ以上の被害を出さぬよう、速やかに、そして確実に彼等を仕留める。それがせめてもの弔いだろう」
 その正論に返せるような言葉は無い。けれど。
「あり得そうなのは前者かな。霊体の方はオブリオンの支配下にあるようだからね」
 これまで『人間らしさ』を物差しに、学生達や敵対者を見てきたリューは、その情動を否定しない。
「リュー嬢……」
「キミだって言っていたろう。進むと言うなら止めはしない、ただし相応の覚悟を、だったか」
 自己責任論。
「それに、オブリビオンさえ落とせばこちらの目的も達成されるんだから」
 わざわざ言い争う必要はない。そう言って彼女は消えゆく吹雪に目を遣った。

「俺たちが請けた依頼は、そこまでのもんじゃなかったと思うぜ?」
「……わかってるよ」
 横目で透を見ながら、一成が拳銃に弾を込めなおす。
「まぁ良いさ、少しくらいは体張ってやろうと思ってたとこだ」
 敵の「カエセ」という嘆きに、思うところがあったのも事実。覚悟を決めた彼は、呼び水替わりに銃士へと銃撃を放った。
 即座に返ってきた反撃の銃弾に身を晒し、続く亡霊の腕を引き剥がすように、一度退く。逃がすまいと強く、強く引く腕の力に合わせて、彼は今度は前方に跳躍した。
 敵の前衛をすり抜けて、極至近距離まで、一息に。
「おたくにはな、もうこことは別に『還らなきゃいけない場所』ってのがあるんだよ」
 今回の出たら目勝負は銃撃の威力を重視。先程強装弾に入れ替えた銃を至近距離で弾く。敵もそれに反応し、応射。二人の間で銃火が踊る。
 二者同時の攻撃は、早さという意味でも一成に分があった。弾倉を空にする最後の一射が相手の拳銃を捉え、大きく跳ね上げた。
「……!」
 取り落した銃は床で跳ねて、滑っていく。当然無傷ではいられなかった一成も一旦下がるが、そこで。
「……ア、ああアアあアあああアアアアアアアア」
 オブリビオンは、おぞましい悲鳴を上げ始めた。

●墓標を
「カエリたイ、カえシテ、まだ……こンナのは、アァ、アアアアアアアア!」
 断末魔、最後の悲鳴と共に、銃士の姿が揺らぐ。開け放たれた眼が、口が、深い深い虚を見せる。その眼から窺い知れなかった感情の一端を感じ取ったような気がして、透は身震いする。
「アンタ、今度は何やったんだ?」
「……いや、真っ当に戦っただけだぞ」
 ゼロの一言に、一成が首を横に振る。
「いいえ、ちょっと無茶しすぎです」
 そんな彼を窘めて、ファルネーゼは治療のための歌を紡ぎ始めた。
 それでも、なお、断末魔は続く。
 敵意や憎しみに満ちたものではない。この銃士は誰かに殺されたわけではないのだろう。敵を退ける事は容易かったのかも知れない。迷宮の主をも下したのかも知れない。けれどもどういう経緯か、この銃士は帰る術を失った。
「(こんなに、帰りたがっているというのに……)」
 ファルネーゼが眉根を寄せる。死した者は生者と同じ場所へ帰る事は許されない。そして、それがオブリビオンならば尚更の事だ。
 悲鳴に満ちていく絶望に、抗うように彼女は歌う。
「攻撃が――!?」
 一方で、敵を捉えたはずの鎌がすり抜け、セツナがたたらを踏む。断末魔と共に亡霊そのものと化したオブリビオンは、攻撃に対してそれを軽減する力をも得ているようだ。
「長引かせたくはないね……」
 敵の無念さ、痛みをも自分のものとして捉える暁音が呟き、さらなる光を味方に降らせる。
 精神を削り続ける音色への抵抗。だが、それにもっとも尽力しているのは、ファルネーゼだと言えるだろう。
 密やかな子守歌は、なおも猟兵達にははっきりと届く。彼等を護り、魔を払い、癒しの力を。
「(せめてこの歌が、僅かでも癒しになる事を祈りましょう)」
 味方だけではなく、未帰還者達にも思いを馳せて。
 一人として倒れさせはしないという決意の下、竜のエチカの見下ろすそこで、フェルネーゼは歌うことをやめなかった。

「さあ、攻撃の時を合わせようか吾聞君!」
「うん。やろう、テル!」
 子守歌の中で、二人が動く。破魔の力によるものか、動きの鈍った相手に向けて、ユーベルコードが放たれる。
「優しき我が友の炎が、君を救ってくれますよう」
「テルの花が、みんなの魂に寄り添ってくれますよう」
 姫桐草の詩、そして、悪魔の灯火。
「悔いも悲しみも手放して安らかに逝きたまえ」
「彷徨える者の為……火よ灯れ!」
 葬送の花弁が舞い踊り、青白い炎が死者を導く灯火の如く、燃え盛る。
「では、せめてもの手向けだ。最後の花見を楽しんでくれ」
 リューの和傘が一つ振られ、幻惑の桜吹雪がそれに混じる。花弁の刃に囲まれ、炎に苛まれ、それでもなお彼等はきっと、求めた幻の光景に溺れる。
 リューの目配せを受け、金色に染まった瞳のギドがその姿を揺らめかせ、霧と消えた。
「――アァ、かえ、セ、かえしテ」
「ああ、帰ろう。還ろうな。また孵るためにさ」
 帽子を目深に被った透が、その両手を打ち振るう。波打ち、走るのは、掌の蜘蛛達が紡ぐ透明な糸だ。
「アタシが忘れないでいてやる。だから――」
 蜘蛛の絲。垂らされるのではなく、絡みつくそれは、霊体の騎士たちを、オブリビオンを、その場に縫い付けていく。
「……ここまで来ると、外す方が難しいな」
 ギドの姿がもう一度像を結んだのは、オブリビオンの真上。金の瞳が眼下の敵、花びらの中で明るく照らされたオブリビオンをさらにきつく捕らえる。
「眠れ」
 生み出された血色の槍は真っ直ぐに地面に落ちていき、オブリビオンを貫いた。
 墓標のように突き立った槍の下、嘆きの声が断ち切られる。

●帰還
 子守歌が終わる。喉を押さえたファルネーゼを支えるように、小さな竜が傍らに寄り添った。
 そんな連れの様子に目を細めた後、彼女は眼を瞑って、彼等のためにもう一度祈る。
「――お休みなさい、良い夢を」
「本来あるべき場所へ。永久へと還りなさい。何時か廻る時まで、俺は君達の事を忘れないよ。
 痛みも悲しみも、ちゃんと覚えているから……」
 こちらに祈りを込めて、死者たちのために、暁音は静かに舞いを捧げた。

「あったよ、こっちだ」
 探し物を見つけて、セツナが共に歩いてきた者達を呼ぶ。
「こいつは骸の海に還らねーのかな」
 ゼロの拾い上げたそれ――戦闘の中で弾き飛ばされた、オブリビオンの使っていた銃を覗き込んで、リューと一成が答える。
「どうだろうね。でも、あるなら持って帰った方が良いだろう」
「そうだな、これを探してる奴等も、きっと居るだろ」
「ああ、彼等を大切に思っていた人達に、渡すことが出来れば……」
 うん、とセツナが透の視線に気づいて首を傾げる。回廊を横切った先、銃の転がった場所の、ほんの少し向こう側。あの幽鬼が現れた場所だ。
「あ――」
 その奥のものに気付いて、彼女は走っていく。
 ――あのオブリビオンは道連れを探していた。迷宮で倒れた者達を、未帰還者達を。それはきっと霊体として従わせるため、戦力増強程度の意図だったのかも、知れないが。
「……まだ、何人か息がある」
 全てを救えたわけではない。そんな事は、神にだって不可能だ。けれど、掬い上げられたものが、ほんの少しだけ。
「先輩!? 良かった、まだ、生きて――」
 ほどなく、学生達を連れた猟兵を、陽の光が照らすことになるだろう。

 おかえりなさい。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月27日


挿絵イラスト