アポカリプス・ランページ⑧〜敵は何処に?
●影に潜みし者
「日々毎日、お疲れさん。ちょいと厄介なことが起きたんで、セントメアリー・ベースに向かってくれねえか」
地図上のセントメアリー・ベースをトントンと叩いて、木々水・サライ(《白黒人形》[モノクローム・ドール]・f28416)は声をかける。
カナダとの国境にほど近い部分を指差している彼は、このベース内部で面倒なこと――敵の間者が混ざっていることを告げた。
本来、このセントメアリー・ベースは人々が比較的穏やかに過ごしている場所。戦争が起こっている今でさえも、その中の平和は絶大的なものだ。
しかしこの中に入り込んだ者の中に、戦争の激化で他所から逃げ込んできた避難者を装ったり、元の住民を殺して成り代わった者が存在しているという。
この者達の目的は内部から扉を開き、オブリビオンの軍団を手引きして拠点を攻め込むというもの。所謂擬似的なトロイの木馬形式の作戦を仕掛けようとしているのだ。
「住民達は今も尚、このベースは平和だと考えて生活している。出来る限り、住民達には無用な不安と疑念を与えないように秘密裏に事を進めてほしいんだ」
「オブリビオンを手引きしようとしている者達は、大体忙しなく動いている。しっかりと情報収集をしてからの確保に向かってほしいんだ」
戦争の激化でも、不安に駆られることなく過ごしている住民達を無闇に不安にさせたくない、というのがサライの言葉。
出来る限り敵を捜索する際には注意を払いながらの捜索をしてほしい、と猟兵達に告げた。
「いいか、住民達に不安や疑念を与えないで敵を探し出すこと。これが絶対の目標だ」
しっかりと念を押したサライは猟兵達をベースまで送り届け――。
御影イズミ
閲覧ありがとうございます、御影イズミです。
同じくセントメアリー・ベースのシナリオをお届けに参りました。
初めての方はMSページを読んで頂ければと思います。
●採用について
「シナリオの成功数に到達する🔵の確保が確定した時点」で締め切ります。
採用についてですが、現時点では全員採用を目標にしています。
ただし、人数や内容によっては採用の確約が出来ません。
また採用が難しいと判断したプレイングはお返し致しますのでご了承ください。
●場所:セントメアリー・ベース内
人々が穏やかに暮らしている土地です。
外の戦争については人々は知ってはいますが、ここは守られていて平和だから、と少々のほほんとしています。
猟兵達はそんな住民達の中から敵の存在を調査します。
●プレイングボーナス:住民に敵の存在を気付かせないよう調査を行う。
敵はオープニングにあるように『他所から逃げてきた避難者』や『元の住民に成り代わる』等の手法をとって紛れ込んでいます。
その他、銅像などに隠れている、住民達の目につかない場所で暮らしている等もあります。
これらに対しての調査が行われればボーナスが入ります。
皆様の素敵なプレイング、お待ちしております。
第1章 冒険
『ヒドゥン・エネミー』
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POW : 拠点周辺を歩き回り、怪しい人物を探す
SPD : 人目につかないように行動し、情報収集する
WIZ : 避難者のふりをして住民達に話を聞く
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メンカル・プルモーサ
……敵の間者と来たか……大々的に調べることが出来れば良いのだけどそうも行かないわけで……
…ふむ…では炊き出しの一つでもしようか…
【想い交わる幻硬貨】をつけて街に溶け込んで…有志を集めてー…
…自動調理鍋【ダグザ】で簡単な料理を作って避難民のために炊き出しの一つでもしてみますか…
…避難民に色々と話して情報を収集して…怪しい人間をピックアップ…
…例えば…同じ場所から避難してきたにも拘わらず他の人に比べて妙に余裕のありそうな避難民とか…
…将来のことや中での仕事より都市の防備の話題が多い避難民とか…
…そういった状況証拠を重ねていって避難民を装ったスパイを探して捕まえるとしよう…
●炊き出しついでの捕獲
「……敵の間者と来たか……大々的に調べることが出来れば良いのだけどそうも行かないわけで……」
セントメアリー・ベースの中を歩いて様子を確認するメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)。比較的平和なベース内だが、避難民が多く溢れかえっているために食事が追いつかない状態に陥っているようだ。
そうと決まればとメンカルは炊き出しの準備を開始。ユーベルコード『想い交わる幻硬貨』を発動させ、妖怪ぬらりひょんのメダルを自分につけて周囲の人々の自分に対する認識を友人や同僚だと思いこむように変化させる。
「……炊き出しの時間だよー……」
自動調理鍋【ダグザ】の中に適当に手持ちの食材を入れることで適当な料理が出来上がるので、どんどん炊き出しを行って人々を集める。皆食事を待ちわびていたようで、すぐにメンカルのもとへと集まってくれた。
小分けにした器をそれぞれ渡しつつ、住民達に話を聞いてみるメンカル。最初は他愛もない話をはじめ、徐々に最近の避難民の話へと移して情報を引き出した。
「そういえば最近来た避難民の中に色々持ってきてたやついたよなー」
「あー、いたいた。あんな沢山の荷物、どうして持ってきたんだかね?」
「……荷物……?」
「そうそう。両手いっぱいに荷物抱え込んでてさ、仮宿よりも出入り口で寝る方が良いっていう変なやつがいたんだよ」
「……なるほど……。その人は今、何処に……?」
「あれ? 炊き出しだから来るかと思ってたんだけど……」
キョロキョロと住民が探してみるが、その人物はいないようだ。どんな様相だったかを聞き取りを行いつつ、メンカルは炊き出しを続けた。
炊き出しが終わった頃。メンカルはある人物に声をかけた。
「……入り口で寝るほうが良いのは、味方を入れ込みやすくするため……」
「……?!」
その人物は先程教えてもらった、大量の荷物を抱えて避難してきた男。メンカルはその荷物の中には武器が入っているのだろうと指摘をして、彼の手を術式組紐【アリアドネ】で押さえつける。
「……もう既に、いろんな敵が入り込んでる……かな……?」
この人物を押さえつけたところで、既に入り込んだ者達までは見つけられない。
入り込んでしまった者は後続の仲間達に探してもらうことにして、メンカルは自警団に彼を引き渡しておくのだった。
成功
🔵🔵🔴
ニノマエ・アラタ
堂々と猟兵としてベースに入る。
猟兵の存在はベースの人々も知っているだろう。
安全を確かなものにするために、猟兵が巡回している。
そう告げて、扉の見張りとも接触する。
意図的に『扉の開閉に関わっている』と見せつけるためだ。
間者はどこからか『必ず俺の動きを見ている』。
猟兵が来たことを外部に知らせるだろうし、
扉のことを聞き出そうとして、向こうから俺に近づいて来るはずだ。
ベースの人々の前ではうまいことはぐらかし、怪しい人物の行動を追う。
気配を殺し目立たぬよう追跡。
ベース内の拠点、人数、武器数、連絡手段を特定するべく調査。
身柄を確保の際は、
『猟兵の協力者としてベース外へ使いに出てもらう』
という建前で連行する。
●巡回中の猟兵。
セントメアリー・ベースに堂々と入ったニノマエ・アラタ(三白眼・f17341)は、中にいた住民達といくつか言葉を交わして出入り口の巡回へと入った。
猟兵の存在は奪還者《ブリンガー》と呼ばれており、廃墟から食材や資材を持ち替える者として知られているため、特に不審がられるようなことはなかった。
「なあ、今日はどんなモン持ち帰ってきたんだ?」
「ああいや、俺はこっちで扉を調査して欲しいと言われているんだ。資材を持ち帰るにも、どんな材料が必要なのかを調べておかないとどうしようもないんでな」
「なるほどな。ま、聞きたいことがあったらそこらへんの連中に声をかけてくれや」
「すまない、ありがとう」
会話を終えたニノマエは再び出入り口に向き直り、調査をする。……フリをしていた。
というのも出入り口を調べるフリをしていれば、必ず敵の先行部隊が彼を見張り、更には猟兵が来たということを外へ知らせることになるだろう。出入り口を見張ることで誰が外に出たかの確認もできるし、声をかけられれば一石二鳥というものだ。
「…………」
扉の開閉を何度か行い、調子が悪くないかを調べるフリをするニノマエ。その様子には幾人かの住民達が見ていたが、誰も声をかけるようなことはしなかった。
数刻して、ニノマエは別の扉を調べに行こうかと足を踏み出した。
しかし、その前に彼に話しかけてくる人物がいたので応対することに。
「な、なあ、アンタ……扉、大丈夫だったか?」
「うん? ……ああ、少し開閉に難があるから、資材を運ぼうと思っていたんだが」
「あ、ああ、そうか……。いや、そうならいいんだ、悪かった話しかけて!」
話しかけてきた男は挙動不審になりながらも、そのままニノマエから逃げるように離れる。その様子に不信感を抱いたニノマエは気配を殺し、男を尾行して追いかける。
すると男は入り組んだ路地の奥で伝達機械を利用して外部との連絡を取り合っている様子だった。いくつかの単語を聞き取ると、『猟兵到着』『別プラン移行』と言った単語が聞こえてきたため、彼の通信が終わるまでを待った。
その後、裏路地から出てきた男を捕まえたニノマエは、聞こえてきた単語をスラスラと並べ立てて男を拘束。
外へ連れ出す際には人々に向けて、手伝いのために外に出てもらう、という建前で連れ出したのだった。
成功
🔵🔵🔴
ゼロ・クロニクル
ここは規模が大きい分、見知らぬ人間も出入りしやすい。
平和が続いているから変化にも鈍感になっているだろう。
拙者が一肌脱がねばなるまい
まずは普通の犬として街を散策しよう。
情報収集は、少し切り口を変えてみるか。
《動物と話す》技能で、住民のペットや野良の動物から
話を聞いてみよう。
『俺は流れ者ゼロ、最近この街にやって来たんだ』
『ところで景気はどうだ?人間たちと仲良くやっているか?』
彼らは物言わぬ証人。動物なら、敵の怪しい行動を
間近で目撃することができるからな。飼い主や知人の
態度や匂いが変わったといった証言を元に、不審人物を
《軽業》《闇に紛れる》で追跡。
あとはUCと《化術》で人間態になり、自警団に報告だ。
●話を聞くのは何も人だけではなく。
「ここは規模が大きい分、見知らぬ人間も出入りしやすい。平和が続いているから変化にも鈍感になっているだろう」
とてとてと、セントメアリー・ベースを黒い犬――ゼロ・クロニクル(賢い動物のストームブレイド・f24669)が歩く。その様子は人々から見ても、まあ普通の光景だ、で済ませられるほど。
セントメアリー・ベースに住んでいるのは、何も人だけではない。彼らが一緒に連れ添っている動物たちもまた同じように住んでいるため、ゼロは動物達から情報を集めようとしていた。
「よう、失礼する」
丁度良いところに犬が集まっている輪があったため、そこにのそりと足を運んだゼロ。己が流れ者であることを伝え、輪の中へと入り込んだ。
「なあ、ところで最近景気はどうだ? 人間達と仲良くやってるか?」
『そうだなあ、ちょっと外が騒がしいってぐらいでまあ仲良いよな』
「騒がしい? っていうと……」
『なんか最近、ガチャガチャ煩くてさ』
「ふむ……」
誰かが何かをしているらしい、という情報まではたどり着けた。しかし場所まではわからないゼロは、教えてくれた白い犬に対して案内をしてもらいたいと告げ、その場所まで連れて行ってもらった。
その場所は人目につかない、路地裏の入り口。人々が目を向けることは少なく、この辺りを闊歩する動物達でも縄張りにしなければ通ることは非常に少ないだろう。
白い犬は最近避難してきた人がここに来ているという情報だけは知っているらしく、その人物が来てからはこの辺りの匂いが変わったことを証言してくれた。
「なるほどねぇ……わかった、ありがとう。ちょっと見に行ってみようと思う」
『大丈夫か? 気をつけてくれよな』
そのままゼロは路地裏に入り、路地裏の奥へと進む。
ツンと鼻につくオイルの匂いを辿り、不審人物を発見。野良犬のフリをして、証拠となる物品を1つ掴んでそのまま路地裏へと消えた。
闇に紛れたところでユーベルコード『忍法・千変万化』で人型の姿・黒装束の忍者へと変貌。そのまま証拠を持って、自警団へと報告しておいた。
「……ん、あとであの者達にも礼を持っていかねばな……」
手伝ってくれた犬達に向けていくつかのお礼品を見繕い、ゼロは彼らにお礼をしてからベースを去ったという……。
大成功
🔵🔵🔵