アポカリプス・ランページ⑨~ガソリンの揺れ方
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北アメリカ大陸の中央部に、その巨大都市は存在する。街の名は『ヴォーテックスシティ』。かつてのニューヨークの2倍はあろうかというメガロポリスは、またの名を『悪徳の都』。世界最強にして最凶のレイダー組織、ヴォーテックス一族の名を冠するその街には、世界中から極悪なレイダーが集まってくるという。
一際凶暴な輩がたむろする店として知られるライブハウス・ソドム――。ある晩、モヒカン頭の屈強な常連客が、一枚の紙を手にして店の中に入ってきた。
「ウォオオオイ! オメーラ! 大ニュースだぜェ!!」
「オォーン!?」
ヘヴィメタルの轟音に身を委ねながら酒を煽っていた客たちが、男の周りに次々と集まってきた。モヒカンがその紙に書かれていた内容を読み上げると、彼らは一斉に歓喜の雄たけびを上げたのだった。
「フィールド・オブ・ナインの復活! 猟兵との戦争だァーーーーッ!!」
「ヒャッハァーー!! 待っていたぜ、この瞬間(トキ)をよぉ!!」
「ホホーーーーウ!!」
もはや、演奏を楽しむどころの騒ぎではなかった。無理もない、フィールド・オブ・ナインとはアポカリプスヘルに君臨する、最悪のオブリビオン・フォーミュラ。しかもそれが9体のうち、6体も一斉に復活したのである。そしてそれは、各地の人類拠点を解放して回っている謎の勢力、猟兵との全面戦争を意味していた。
興奮状態のレイダー達は絶叫とともにマシンガンを乱射し、チェーンソーを振り回し、ロケットランチャーと火炎放射器をぶっ放してひとしきり店内を破壊すると、それぞれのバイクやバギーに乗って意気揚々と走り去っていった。目指すは、今回の戦争を取り仕切る『フルスロットル・ヴォーテックス』の下へと。
炎に包まれた店の中には、血まみれになったミュージシャンと客の死体がそこかしこに転がっていた。ライブハウス・ソドム、本日をもって閉店である。
「……というワケで、君たちには大至急アポカリプス・ヘルに向かってほしいんだ」
ある日のグリモアベース。招集に応じて集まった猟兵たちの前に現れたのは、ガーネット・グレイローズ。ガーネットは自身のグリモアから情報を抽出し、立体映像として『ヴォーテックス・シティ』の風景を虚空に向けて投影し始めた。
「今回の作戦ポイントは、悪徳の都ヴォーテックスシティ。悪名高きヴォーテックス一族の本拠地だ。何回か潜入した人も、中にはいるかもしれない」
猟兵たちは、これまでにもヴォーテックスシティに乗り込み、レイダー達の乗り物に爆弾を仕掛けるなどして妨害活動を行ってきた。
「しかし、今回は本格的な殲滅作戦だ。ヴォーテックスシティにたむろするレイダー達は、いずれフルスロットル・ヴォーテックスに召集されて戦列に加わるだろう。だから、その前にこちらから乗り込んで、奴らを叩く!」
ガーネットが、グリモアを操作しながら街の現状を説明し始める。
「レイダー達は皆、各々のバギーやバイクに乗ってフルスロットルの下へと向かう最中だ。戦闘となれば、激しいカーチェイスは避けられない。そこで、こちらも何らかの乗り物を用意する必要がある。自前で乗り物を用意できるならそれでよし。用意できなくても、ヴォーテックスシティのいたるところにクルマやバイクが乗り捨てられているから、困ったときは現地調達という手もある。何といっても、無法地帯だからな」
ヴォーテックス・シティの戦力を壊滅させれば、フルスロットル・ヴォーテックスへの戦力支援を完全に断つことができる。勝利に向けての、大きな一歩となることは間違いない。
「フルスロットルとの決戦に向けて、ここらで勢いをつけたいところだな。……では、準備が出来たら転移を始めよう。健闘を祈るよ」
弥句
猟兵の皆様、アポカリ~(終末の挨拶)弥句です。このシナリオは戦争シナリオで、集団戦1章のみの構成となっております。
今回の戦場は、『悪徳の都』の異名をもつ巨大都市ヴォーテックス・シティ。これまでのシナリオの舞台になったこともある、ヴォーテックス一族の本拠地です。この街に巣食うレイダーを一掃し、⑬フルスロットル・ヴォーテックスへの戦力支援を減らすことが今回のシナリオの目的です。
このシナリオの結果が、アポカリプス・ランページの戦況に影響を与えることになります。また、下記の条件を満たすことで、判定に有利なプレイングボーナスを得ることができます。
プレイングボーナス……レイダー達とカーチェイスしながら戦う。
今回の敵は、みな武装バギーや武装バイクを運転して襲ってきます。彼らと互角に戦うには、こちらも何らかの乗り物を用意する必要があるでしょう。キャバリアは乗り物かと言われると微妙ですが、バイクや車に変形できたり、ローラー移動できるタイプならアリかもしれません。
それでは、皆様の熱いプレイングをお待ちしております!
第1章 集団戦
『レイダー』
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POW : レイダーズウェポン
【手に持ったチェーンソーや銃火器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : レイダーバイク
自身の身長の2倍の【全長を持つ大型武装バイク】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ : レイダーズデザイア
【危険薬物によって身体機能】を一時的に増強し、全ての能力を6倍にする。ただし、レベル秒後に1分間の昏睡状態に陥る。
👑11
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夜刀神・鏡介
この先のフルスロットル・ヴォーテックスとの戦いの事もあるが、そうでなくともこいつらを放っておく訳にもいかないよな
こういう戦いのためにもバイクを新しく用意したんだ。存分に走ってやるとしよう
神刀の封印を解除し、緋色の神気を纏った状態でバイク『八咫烏』に騎乗
先ずは後方からレイダーを追跡……こういう戦闘なら追いかけるのも悪くないな
適宜、後方から神気による刀を降らせるのと、斬撃波による攻撃で敵の妨害
直接を叩き込めれば良いが、バイクに当たるだけでも敵の動きを妨害することができるので問題なし
敵が走行速度を落とした所で加速して一気に接近
すれ違いざまに斬撃を叩き込み、敵のバイクを破壊して叩き落とす
● 八咫烏
「ホホーーウ!」
「ヒャッハァーー!!」
野獣の咆哮じみたエンジン音を響かせながら、レイダーの一団がヴォーテックス・シティの市街地を爆走する。それを追走するのは、夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)の駆る大型バイク『八咫烏』。
「この先のフルスロットル・ヴォーテックスとの戦いの事もあるが、そうでなくともこいつらを放っておく訳にもいかないよな」
サクラミラージュからやって来た若き武術家は、全身に緋色の神気を纏ったまま車体を加速させる。ハンドルを握ったままの状態でおもむろに抜刀すると、神刀【無仭】の刀身が鮮やかに闇に映えた。
「オイ! 妙なバイクが追ってくるぜぇ」
「他所のチームかァ?……いや、違うな。ありゃ猟兵だ!」
サイドミラー越しに鏡介の姿を確認したレイダーは、すぐさま戦闘態勢に移行。武装バイクの両サイドに備え付けたマフラー型機銃が火を噴き、八咫烏に向けて弾丸を浴びせる。
「死ねやぁ! げへへへ!」
「こういう戦闘なら、追いかけるのも悪くないな」
アポカリプスヘルの技術で造られた八咫烏の装甲は厚く、耐久力は折り紙付きだ。鏡介は慌てることなく、車速を一定に保ったままで神刀【無仭】の封印を解く。
「神刀解放。斬り穿て、千の刃――陸の秘剣【緋洸閃】」
真円を描くように神刀をゆっくりと空にかざし、そして勢いよく振り下ろす。その単純ながらも美しい動作に呼応するように、彼の頭上に無数の緋い剣気が発生。それらはたちどころに、五月雨の如く敵群へと降り注いだ。
「ギャヒッ!」
「ほげぇ!?」
練り上げられた剣気は、掠めただけでも鋼の車体を切り裂く斬撃波。運良く直撃を免れたとしても、追いすがる八咫烏からは逃れられない。
「こういう戦いのためにもバイクを新しく用意したんだ。存分に走ってやろう」
「ヒッ……!」
赤いテールランプが残像を描き、真横に振り抜いた剣閃が奔る。バイクもろともレイダーを一刀両断すると、鏡介はすぐさま次の敵に狙いをつけてマシンを加速させた。
大成功
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大豪傑・麗刃
私が選んだ乗り物だが。
ヒーローカー
こーいう車はたぶん自動運転なのでハンドル持ってなくても勝手に動いてくれるはず。なあキット。今回は外付けの追加装備としてガトリング砲2門にバズーカ1門を搭載した。でユーベルコードを使えばわたしと一緒にわが愛車も金色に光り輝く。じつにかっこいいのでこの時点で勝ちであろう。さらに速度も攻撃力も超アップだ。
たぶんオープンカーなので天井開けてシートの上に腕組みしながら立ち、まずは遠距離から弾丸と砲弾の雨あられ。で超速で相手に追いつき、追突事故、ひき逃げ、オフセット衝突等の必殺技をかます。それでも生きてたら右手に刀2本左手にバスタード+ヒーローソード持って全員斬る。
● 麗しき刃
ヴォーテックス・シティのハイウェイを颯爽と駆け抜ける、一台のスポーツカー。ヒーローズアースのテクノロジーで開発されたその車は、数々の武装と自動運転AIを搭載したヒーローの為の特別仕様だ。
「こーいう車はたぶん自動運転なのでハンドル持ってなくても勝手に動いてくれるはず。なあ●ット」
サムライエンパイアの武人である大豪傑・麗刃(23歳児・f01156)を乗せ、角ばったデザインのクーペはレイダーどもを追い詰めてゆく。そして、ついに武装バギーの集団を視界に捉えることができた。
「まずは挨拶代わりなのだ」
車のルーフを開放し、麗刃は腕を組んで座席に仁王立ちとなった。彼の合図に車のAIは素早く答え、外付けのガトリングガンとバズーカが火を噴いた。
「誰か後ろから追っかけてくるぜー!」
「ヒャハ! あんな奴に構ってる暇はねえ。いいから殺せ!」
麗刃を挑発するように、バギーは右へ左へと蛇行を繰り返す。車に同乗する仲間のレイダーが、振り向きざまにグレネードを投擲、さらにマシンガンを乱射して反撃してくる。
「むっ、愛車にキズが付くではないか! ……わたしは怒ったのだーーー
!!!!」
怒り心頭の麗刃が、雄たけびと共にユーベルコードを発動。気合一発、麗刃の髪が逆立つなり、全身が黄金のオーラに包まれた。
シュイン! シュイン! シュイン! シュイン! シュイン! シュイン――!!
すると麗刃の戦意にマシンが共鳴し、突如鋼のボディが金色の光を放ち始めたのだ。それと同時に車体が急加速、エンジンの回転数は即座にレッドゾーンに到達する。
「ほぎ!?」
モヒカンが驚くも無理はない。100メートルほど後方につけていたクーペが、黄金の光を纏った瞬間、残像を描きながらすぐ傍に迫ってきたのだから。
「どうだ、かっこいいだろう! かっこいいは強い! この時点でわたしの勝ちなのだ!」
バギーの真横にピタリと着けると、麗刃は愛刀を抜き放って構えを取った。右手に二振りのサムライブレイド。そして左手に二振りの西洋剣。計四刀を以てレイダーに斬りかかる。
「ほりゃああああっ!」
「なにいいいいい!?」
きりもみ回転しながら放つ、神速の四連撃。バギーのサイドドアごと切り裂かれたレイダーは、野太い悲鳴を上げながら車の外へと投げ出されていった。
大成功
🔵🔵🔵
ルパート・ブラックスミス
愛機ことUC【万里を蒼駆せし鎧機】形態の専用トライクに【騎乗】しカーチェイスに参戦。
地べたを這うだけがバイクではあるまい。
青く燃える鉛の翼を展開し姿勢制御、道路といわず建造物上をも走り回り三次元的起動で敵を奇襲する。(【地形の利用】【ダッシュ】【クライミング】)
普段は使わんが、こういう時は頼りになる。
敵の上方を陣取れたならばそこから【ジャンプ】、【滑空】しながら二門機関銃『バリスタ』の実弾と熱線による【制圧射撃】。
撃破できれば良し、生き残りがいるなら引き続きバリスタの【弾幕】を張りつつ頭上から【踏みつけ】ないし体当たりによる【吹き飛ばし】で【蹂躙】する。
一人残らず血溜りに沈めてやる。
● CHARIOT
「成程な、さすがは悪徳の都。そこらじゅうレイダーだらけだ」
ネオン看板が妖しく輝く、ヴォーテックスシティのストリート。薬物中毒者や無法者が行き来する中、ルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)はレイダーチームのひとつを追跡していた。
「逃がしはしないぞ」
戦闘にも使える愛用の大型トライクを駆り、ルパートは住宅地の一角へと踏み込む。ルパートが追っているグループは小回りの利く中型バイクを中心に構成されており、彼らは改造ホーンを使って騒々しいBGMを奏でながら逃走を図っていた。
「ここまで来てみやがれ! ギャハハハ!」
振り向きざまに火炎瓶や手りゅう弾を次々にばら撒き、ルパートの追跡から逃れようとするレイダー。だが、ルパートのユーベルコードを以てすれば、彼らに追いつくことは難しくない。
「掛かったな、マヌケがぁ!」
「ここで死ねやぁ!」
レイダー達は、曲がり角の先で停車してルパートを待ち構えていたのだ。彼らは手にしたマシンガンやアサルトライフル、さらにはロケットランチャーをルパートに向け、躊躇うことなく引き金を――引く!
「地べたを這うだけがバイクではあるまい」
トライクは鉛で構成されるルパートの肉体と融合し、さらに彼の魂と共鳴することで蒼い炎の翼を得る。【万里を蒼駆せし鎧機】の超絶運転技巧を以て車体を跳躍させ、オンボロアパートの外壁を疾走するルパート。
「飛びやがった!?」
「我ら駆けた世界は数多在りて。されど、我ら駆ける旅路は今尚終わらず!」
レイダー達の銃口が捉えるよりなお速く、トライクは炎翼を広げて滑空する。そのまま地上の標的目掛けて、ルパートは天使核内蔵の二門機関銃『バリスタ』のトリガーを引いた。射手の思考を忠実に読み取ったバリスタが、猛然と弾を吐き出していく。
「ギャヒィ!?」
鉛弾と熱線の雨を浴びたレイダー達が、屠殺されかけの豚のような悲鳴を上げながらのたうち回っている。バリスタを仕舞いながら悠然と着地すると、ルパートは素早く車体を切り返しながらスロットルレバーを握りこむ。
「逃がさないと言ったはずだ。フルスロットルの下へなど行かせるか」
「ヒイイイイッ!」
逃げ切れないと悟ったか。まだ息があったレイダーが、半狂乱になって銃撃を浴びせてくる。だが、トライクを駆るルパートの進撃は止まらない。誰にも止められない。
「一人残らず血溜りに沈めてやる!」
撃ち込まれる銃弾は頑強な全身鎧に当たるに任せ、体当たりで跳ね飛ばす。背を向けて走るレイダーに向けて、追いすがりざまに黄金魔剣を一閃。最後の一人を仕留めると、蒼い炎の戦士は颯爽と夜の闇へと消えていった。
大成功
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灯火・紅咲
ひゃっほう!
血沸き肉躍るお祭りってヤツですねぇ、ボクも楽しくなってきちゃいますよぉ
うぇひひひひ!
それじゃあ、ボクはぁ、このトゲトゲした武装バイクを借りてきますねぇ
未成年ですけれど。ここなら関係ないですよねぇ!
アクセル全開でレイダーさんの乗り物に突撃ぃ!
そして、近づきましたら【シリンジワイヤー】を首筋狙って発射!
【吸血】しながらワイヤーを使ってそちらへ乗り込んじゃますぅ
そしたら、へーんしん!
うひひひ、鏡以外で自分のお顔を見るのは初めてですぅ?
それでは、さようならぁーっと驚いた隙に乗り物から蹴落として、新しい乗り物をげっと!
引き続き、ワイヤーと伸縮するを使って同じことを繰り返していきましょぅ!
● 鮮血ヒロイン
猟兵の強襲を受け、ヴォーテックスシティは蜂の巣を突いたような混乱に陥っている。元から秩序などとは無縁の場所ではあるが、今回は事情が異なる。フルスロットル・ヴォーテックスの招集を受け、彼の戦列に加わろうとする猛者達が、次々と襲撃され、撃破されているのだ。その噂は、たちまち街中の無法者の間に知れ渡っていた。
「ひゃっほう! 血沸き肉躍るお祭りってヤツですねぇ、ボクも楽しくなってきちゃいますよぉ。うぇひひひひ!」
響き渡る銃声とエンジン音に気分を高揚させているのは、桃色の髪の少女。灯火・紅咲(ガチで恋した5秒前・f16734)は、路地に乗り捨ててあった刺々しい武装バイクを見つけると、その分厚いレザーシートに悠然と跨がる。
「よいしょっと……未成年ですけれど。ここなら関係ないですよねぇ!」
紅咲は、ヴィラン出身のダークヒーロー。無免許だが、バイクの操縦方法は強化人間の本能で直感的に理解できた。新鮮な血を求め、紅咲は黒光りするマシンを加速させて車道へ飛び出した。
「おい、誰か追いかけてくるぜー!」
「一体どこのどいつだァ……んん? ありゃ女だァ!」
気持ちよく集団暴走していたレイダーが、紅咲の姿を見るなり嬌声を上げ始める。血気盛んな男たちのこと、女と見るや下衆な思考を巡らせる。
「あいつも猟兵かァ? ヨッシャア、返り討ちにして生け捕りにしてやるぜー!」
「ホホーーウ!!」
ズガガガガガガッ!! レイダーが振り向きざまにマシンガンをぶっ放し、紅咲のオートバイを激しく攻め立てる。だが紅咲は怯むことなく、逆にアクセルを全開にして車体を急加速。そして、素早く一台のバギーの真横に着ける。
「こんばんは! 今夜は月が綺麗ですねぇ」
「ぬおっ!」
紅咲が片手を突き出すと、制服の袖下から注射器を取り付けた『シリンジワイヤー』が射出された。先端部の注射針は狙い違わずモヒカンの首筋に刺さり、血液を採取して紅咲の手元へと戻る。
「んんん~~~、マ・イ・ル・ド」
採れたての血液を嚥下したところで、紅咲のユーベルコードが発動する。
「へーんしん! お邪魔し ま ぁ す」
異変はすぐに訪れた。笑みを浮かべたままの紅咲の身体が、ぐにゃりと歪曲しながら、CGのモーフィング効果のように急速に変形していく。万物は流れ転ず――血液を摂取した対象と同じ姿に変身するのが、『シェイプシフター』の代表的な能力の一つである。
「うひひひ、鏡以外で自分のお顔を見るのは初めてですぅ?」
「お、お前は……俺っ!?」
紅咲は、着ている衣服を含めて完全にレイダーの姿を模倣していた。そのままの状態で、バイクの座席から大きく跳躍してバギーへと飛び移る。
「それでは、さようならぁ。車はいただきますね!」
「へぶっ!?」
顔を引きつらせて固まっているレイダーの男を蹴り飛ばし、まんまと武装バギーを乗っ取る紅咲。哀れな男はみっともない悲鳴を上げながら、路面へと転げ落ちていった。
「さぁ。この調子でどんどんいきましょうねぇ?」
変異した体は、ゴムのように自在に伸縮する弾性を獲得している。高速で走行する車の上を飛び移りながら、紅咲はレイダーの血を奪い続けていった。
大成功
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トリテレイア・ゼロナイン
ロシナンテⅡに騎乗
ビルの屋上からレイダー達と相対
この悪徳の都市より人々を解放する為、ライディングバトルを挑ませて頂きます
(馬で挑むとの嘲笑に苦笑し)
酔狂であることは否めませんね
外観だけは、ですが
UC起動
ワイヤーアンカーを接続した機械馬と構えた馬上槍と盾で防御力場纏わせ地面に降下
地響きと共に着地
馬と己の巨躯をレイダー達に正確に認識させ
これより先は、その身で確かめて頂ければ
機械馬のスラスターの●推力移動を併用し突撃
地形衝突ダメージを受けぬ特性を存分に活かし障害物や建物を真正面から粉砕しながらレイダー達に突撃、轢殺
大型バイクを機械馬で踏みつけ破壊
悪徳が嗤う時代に、終わりを告げましょう!
ノイン・フィーバー
「フッ。出番が来ましたよ! ブーストスライガー!!」
ブーストスライガーはアイテム「宇宙バイク陸走オプション」を装備し地上を走る鋼鉄の騎馬。ブーストダッシュもできる優れモノ。
音を置き去りにしながらレイダー達の後ろから追撃し、初手に鉛玉の雨霰をプレゼント。
バイクの燃料タンクを狙って射撃し、効率的に爆破していく。ヒャッハー!
いざという時はUC
取り出したるはニトロマークのついたオイル缶
明らかに規格が違うはずのブーストスライガーの燃料タンクにセット! 注がれた謎エネルギーにより爆発的な加速を得て鋼鉄の弾丸となったブーストスライガーはレイダーズを物理的に粉砕していくだろう……
なんだこの燃料 こわっ
● Iron Knights
ところどころ外壁の剥がれたみすぼらしいビルの屋上から、一人の猟兵がヴォーテックス・シティの街並みを見渡していた。中世の甲冑騎士を模した姿のウォーマシン、トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は、彼と揃いのボディカラーをした機械馬『ロシナンテⅡ』の背に跨がり、ビルからビルへと素早く飛び移って移動を繰り返す。
程なくしてトリテレイアは、街の一角にたむろしていたレイダーの一団に目をつけた。
「この悪徳の都市より人々を解放する為、ライディングバトルを挑ませて頂きます」
「んぁ? なんでえ、あいつは」
眼下のレイダー達が、機械騎士の姿を訝し気に見上げながら指差している。エンジンを噴かして威嚇する者もいれば、あまりに時代錯誤なその姿を嘲笑する者もいる。
「ぎゃははは! 見ろよ、あのナイト野郎をよぉ~!」
「ライディングバトルだとよ! まさかあの妙ちくりんな馬で、オレ達に挑む気かぁ!?」
付いてこられる筈も無い、と彼らは完全にトリテレイアを侮っていた。自慢の大型バイクを旋回させ、レイダー達は悠然と道路を疾走していく。
「酔狂であることは否めませんね。外観だけは、ですが」
ロシナンテⅡの首筋を軽く撫でながら、トリテレイアはユーベルコードを発動させる。
「風車に撥ね飛ばされぬように……いえ、負けても止まるつもりはありません」
トリテレイアと愛馬の体が、瞬時に光の防御フィールドに包まれて輝きはじめる。ロシナンテⅡの蹄が地面を強く蹴りつけると、人馬は空中へと大きく跳躍し、地上へと降下する。
着地の瞬間、轟音と共に大気が震えた。3メートル近いウォーマシンと、彼を背に乗せる機械馬の威圧感たるや、ただ事ではない。
「…………ちょっと、待て。あいつデカくねぇか?」
レイダーの一人が震え声で呟いた。彼らは地上から、ビルの屋上にいるトリテレイアを見ていたのだ。煽り視点ゆえに、多少遠近感が狂っていたとしても仕方のないことだろう。
「これより先は、その身で確かめて頂ければ」
鉄塊のごとく長大な馬上槍と大盾を構えて、トリテレイアは騎馬突撃を敢行する。【鋼の騎士道突撃行進曲】の効果もあって、飛び降りた際の落下ダメージはゼロだ。ロシナンテⅡが高らかに嘶き、スラスターの噴射と共に勇ましいギャロップを披露する。
「ボゲラッ」
「ひぎい!?」
路上の障害物もものともせず、痛烈なランスチャージを一撃。跳ね飛ばされたレイダーのバイクが、玩具のように宙を舞って地面に叩きつけられた。
「――フッ。出番が来ましたよ! ブーストスライガー!!」
そしてここにも、優秀な騎兵がいる。トリテレイアの戦いぶりを見守っていたノイン・フィーバー(テレビ顔のメカ野郎・f03434)が、愛用の宇宙バイク『ブーストスライガー』を駆って戦場に躍り出た。
「今回は地上戦にも適応してますヨ!」
基本的に宇宙バイクは、重力下ではホバー走行とジャンプしかできないものだ。だが今回は陸走オプションを追加装備したことにより、地上での運動性能は大幅に向上している。
「貴方も騎兵ですか、加勢に感謝します。悪徳が嗤う時代に、終わりを告げましょう!」
「ヒャッハー! まずは彼らに、鉛弾をプレゼントしまショウ!」
ブーストスライガーにセットされた『アームドフォート・typeG』が、猛々しい砲声を奏でる。併走するノインの援護射撃を受け、トリテレイアは益々加速してレイダーを追い詰める。燃料タンクをノインに撃ち抜かれ、転倒したバイクは容赦なく鋼鉄の蹄にかけられた。
「ヒイイイイイッ!?」
「機械でありながら心を持ち、人を護るために命を張る。そんな彼を嘲笑う権利が、弱者をいたぶるしか能の無いあなた方にあるノデ?」
そう言ってノインが取り出したのは、ニトロマークの記された一斗缶。中には、【ガジェット・ショータイム】で精製された特殊なオイルが入っている。
「お次はこいつヲ……オリャアアアアッ!」
野太い叫びと共に、ソレをブーストスライガーのタンクにセットする。ブゥゥゥゥゥン!! と異様な回転が始まると、程なくして内燃機関がこれまでにない強烈な爆発を発生させた。
「――――フォオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッッッ」
長く尾を引くノインの咆哮と共に、ブーストスライガーはそれ自体が万物を粉砕する鋼鉄の砲弾と化した。やがて車体はレイダーとその他諸々の何かを弾き飛ばしつつ、マスドライバーで打ち上げられたシャトルのように空の彼方へ消えていった。
大成功
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