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アポカリプス・ランページ⑥〜AFTER FIRE

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●熱気に包まれる鋼鉄要塞デスファイア

 ここはロッキー山脈の山岳地帯に隠匿されたヴォーテックス一族のひとり、火炎大王『デスファイア・ヴォーテックス』の本拠地『鋼鉄要塞デスファイア』である。要塞の至るところにはいかにもワルそうなトゲトゲで埋め尽くされ、この世界では珍しく整えられた道路のような通路を通るしか侵入する方法がない。
 その中心部、古代ローマ時代のコロッセオを彷彿させる広場にて、下半身を戦車に改造した異形の大男が演説を行っていた。

『無敵! 最強! それがこのオレ、デスファイア!』
『『ウォオオオオオオッ!!』』
 この男こそ、デスファイア・ヴォーテックスである。観客席ではデスファイアを信奉し、デスファイア・ヴォーテックスの傘下であることを示す暴走族風な姿をしたモヒカンたちが狂乱の声を上げている。所々からこの地にて今も採掘されている原油の採掘施設、ガス処理施設、製油所などで出る余剰ガスを無害化するために焼却した際に出る炎、ガスフレアが闘技場の至るところから吹き出てくる。その熱気に煽られ、一族の熱気も高まりデスファイアを称える歓声が未だ止まる気配を見せなかった。

『この世界を支配するのは、宗教でも軍隊でも奴隷でもねえ! 暴力、無法、底無しの欲望! それこそが、終わっちまったこの世界のガソリンなのさ! ……ま、そんな世界にした原因の大半は、多分このオレだがな!』
 最後のところは幾ばくかの誇張が入っているが、一族のモヒカンたちはそんなこともお構いなしにヒャッハーと喚き立つ。彼らの行動原理は単純明快、暴力による略奪である。この地で精製されるガソリン、地の果てまでも疾走るクルマを武器に欲望の限りを尽くすだけだ。例え、それがオブリビオン・ストームによって世界が破滅の危機に直面していようともだ。

『そしてこのオレは、無敵にして最強! だから、猟兵が来ようが、フィールド・オブ・ナインが来ようが、なんならオヤジが来ようが同じ事だ! オレに勝てるヤツなどいる訳ねぇ! 全員、遺伝子の欠片も残さず焼き殺してやるぜ……このオレ、デスファイア様がな!!!!』
『『ウォオオオオッ! デス! ファイア!! デス! ファイア!!』』


●グリモアベースにて
「確認されているヴォーテックス一族の生き残り、ラスト・ヴォーテックスと言ってもいいかしら? デスファイア・ヴォーテックスのアジトが見つかったわ」
 刻一刻と世界は破滅に向かう中なのになんて幸せな人たちなんでしょうねと、私服姿のレイチェル・ノースロップ(ニンジャネーム「スワローテイル」・f16433)は論じる。オブリビオン・ストームを止める鍵を握るフルスロットル・ヴォーテックスであるが、ヴォーテックス一族と言えども一枚岩の組織ではない。フィールド・オブ・ナインの復活を願い狂人教団を興した『クライスト・ヴォーテックス』。だが、ヴォーテックス一族の一席を担っていた肉塊女帝『ブラッドルビー・ヴォーテックス』、軍人宰相『ロンメル・ヴォーテックス』は互いに暴力による支配という己の利益を追求し続け、フィールド・オブ・ナインの復活には無頓着と言ってもいいほどであった。
 この火炎大王『デスファイア・ヴォーテックス』も彼らと同じくフィールド・オブ・ナインの復活といった野望の色は見せてはいないのである。

「けど、アポカリプスヘルに起きている異常事態には、流石にデスファイア自身も気づいているかもしれないわね。近々一族の結束を促すための『ショー』をやるそうよ?」
 何でもデスファイアとの一対複数の勝負、デスマッチ・ライディングバトルというものらしい。景品は勝者が望む物。奴隷には自由を、奪還者には鋼鉄要塞デスファイアを、下克上を狙う配下には己の座を、などなどである。当然ながらデスファイアは挑む者に景品を与えるつもりはない。何故ならば、無敵最強と驕る自身の強さの前に如何なる者も轢いて燃やし尽くすだけの実力者であるからだ。

「それなら、利用する手はないわよね? 配下のならず者たちには厳命を下して一切手を付けないようにさせてるから、その辺の心配はいらないわ。ただ……」
 デスファイアとの勝負に挑むには、ひとつ条件がある。それはデスファイア・ヴォーテックスの者共が乗り物全般を呼び指している『クルマ』に乗って来ること。世紀末チックでヒャッハーみ溢れる違法改造車はもとより、彼らは戦車、装甲者、特殊車両、バイクといったものをひっくるめてクルマと呼んでいる。コレに乗ってこなければ、デスファイアとの戦いにはまず挑めないと思っても良い。しかし裏を返せば、条件さえ満たしてしまえばデスファイアはひとりの男として名誉にかけ、戦いに応じようとする。

「私の憶測だけど、二足歩行戦車はギリギリセーフかもしれないけど、人型ロボットのキャバリアの類はアウトになるかしら? けど、レールが無いと走れない新幹線の車体とか、エンジンがイカれて飛ぶことのできない戦闘機に二足歩行戦車の脚を付けて歩けるようにしたマシンもクルマ認定するそうね。その辺は現地のヤードでジャンクを組み上げたり、自慢のクルマでエントリーするなりお任せするわね」
 そう述べると、レイチェルは精神を集中させて印を結ぶ。全身に漲ってくるニンジャフォースが光を発し、猟兵たちを鋼鉄要塞デスファイア近郊へと送り出すのであった。


ノーマッド
 ドーモ、ノーマッドです。
 此度の戦争も早くも一週間が過ぎ、運命の分かれ道である16日まで残すところ僅かとなりました。例年より早い富士山の初冠雪を受けて、今年の初雪は11月の上旬頃という予測元でお仕事も修羅場になりつつある今日この頃でありますが、スケジュールと折り合いを付けながら出来るだけシナリオを出していきたいと思う所存です。

●シナリオ概要
 ヴォーテックス一族のひとり、火炎大王「デスファイア・ヴォーテックス」の鋼鉄要塞デスファイア攻略と決戦シナリオです。デスファイアは下半身を戦車に改造した異形の破壊者です。その身体で多くのものを蹂躙し続けてきた破壊の権化でもありますが、その姿故に我こそはクルマそのものという自負心を持っています。
 猟兵がバイクや戦車といったクルマを用いた「ライディングバトル」を挑むと、己のプライドにかけてそれに応じ、乗り物に乗りながら相手を死ぬまで殴る闘技……「ライディングバトル」を開始します!

 よってプレイングボーナスは、『乗り物に乗って戦う』、となります。
 ですが、OPでも述べておりますように、キャバリアの類いはクルマに含まれておりません。あくまでも乗り物となる部類でのみに限りますので、その点に関してはご了承ください。

 それでは、皆様の会場の熱気よりも熱いプレイングをお待ちします。
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第1章 ボス戦 『デスファイア・ヴォーテックス・ライド』

POW   :    デスファイア・ニトロクラッシュ
【ニトロの爆発力】によりレベル×100km/hで飛翔し、【自身の火力】×【速度】に比例した激突ダメージを与える。
SPD   :    デスファイア・スピードラン
【下半身の戦車】を操縦中、自身と[下半身の戦車]は地形からの激突ダメージを受けず、攻撃時に敵のあらゆる防護を無視する。
WIZ   :    デスファイア・ノンブレーキ
自身が【速度を落とさず走り続けて】いる間、レベルm半径内の対象全てに【高熱の火炎】によるダメージか【心が燃えること】による治癒を与え続ける。
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四王天・焔(サポート)
『こんにちは、焔だよー。』
 妖狐の人形遣い×ガジェッティアの女の子です。
 普段の口調は「無邪気(自分の名前、~さん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」、家族には「甘えん坊(自分の名前、相手の名前+ちゃん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

無邪気で感情の起伏が激しい性格の少女、
武器はからくり人形とドラゴンランスを主に使います。
植物、特に花が好きです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


湊川・亮一(サポート)
基本的に屋外では宇宙バイクに搭乗。屋内では十分な広さが確保されている場合のみ宇宙バイクを使用。
センサーゴーグルで【索敵】しつつ行動し、情報を元に【戦闘知識】で有利な位置取りを取る様に移動。
敵を確認出来る位置まで来たらブラスターカービンの【スナイパー】で【先制攻撃】する。
状況に応じて味方を【援護射撃】で支援するが、基本的にはガトリングブラスターの【弾幕】と複合兵装ユニットの【誘導弾】の【一斉発射】で【制圧射撃】を行いながら宇宙バイクで突撃し、車体による【吹き飛ばし】と【衝撃波】で追加ダメージを与える。
突撃に合わせて状況に応じたUCを使用する。
敵の攻撃は【地形の利用】【見切り】【ジャンプ】で回避



『性懲りもなくこのデスファイア様に挑もうとする奴が来るとはなッ!』
 鋼鉄要塞デスファイア中心部の円形闘技場。その至るところには灼かれてフレームがぐにゃりと曲がったり、キャタピラに轢かれてグシャグシャとなったクルマの残骸が散らばっている。これこそこの火炎大王デスファイアに破れた者たちの墓標であり、彼が自らの強さを誇示するモニュメントなのである。

『次の挑戦者は……なるほど、猟兵か。各地で同じヴォーテックス一族の兄妹たちを可愛がってくれてるそうじゃねぇか? だが、それもそこまでだ。テメェらはこのオレ、デスファイア様にやられちまうんだからなぁ!!』
 デスファイアが両手に繋がれた火炎放射器から炎を放つと、配下であり観客であるモヒカンらの歓声が高まりつつある。幼き挑戦者、四王天・焔(妖の薔薇・f04438)はそれに威圧されてしまう錯覚を覚えそうになってしまいそうになった。

「大丈夫……焔はひとりじゃないもん」
 小さな青色のドラゴンが変化したフラワーランス『フローレ』を構えながらバギーの上に乗り出している彼女はちらっと下を向くと、そこには彼女と同じ大きさな白い狐のぬいぐるみが運転席に座っている。UCによって生を授かった焔のお友達はサムズアップをしてみせて任せろと示した時、デスマッチ・ライディングバトルの開始を知らせるゴングが高らかに鳴った。

「まずはあいつの行動を阻害しねぇとな」
 愛車の大型宇宙バイク『スペース・ファルコン』が無事にクルマ認定されてエントリーしたてスターライダーの湊川・亮一(スペースノイドの鎧装騎兵・f06481)が、UC『バトル・インテリジェンス』にて、無数のドローンをデスファイアに放つ。AIを搭載した戦術ドローンは雲霞のごとく隊列を組んで、キャタピラを唸らせるデスファイアに向け飛んでいく。

『そんな子供だましにビビるかってんだ!』
 下半身の戦車から重々しいエンジン音を奏でながら、デスファイアが両手の火炎放射器から炎を噴射させてドローンを灼き尽くしていく。だが、強者の驕りというべきか。ドローン群に目を奪われていたデスファイアの背後を焔が乗るバギーが取ったのだ。デスファイアに挑戦を挑みやられた者の無念を晴らすべく、クルマの残骸をジャンプ台にしてバギーが翔んだ。

「狐さん、焔と一緒に頑張ろうね! てやー!」
 デスファイアの戦車部分にも満たない大きさのバギーがデスファイアの上半身を横切りながら、焔はフローレによるランスチャージを突き出す。穂先はデスファイアの腕を掠めるだけであったが、会場からはどよめきと歓声が入り交ざった声が響く。配下のモヒカンの他に、この鋼鉄要塞デスファイアに囚われいる奴隷たちの声だ。デスファイアが敗れることは、デスファイア・ヴォーテックス一族の終焉を意味し、それが彼らが自由の身となる希望なのだ。

『ちっ。ガキだと思って甘く見てりゃあ、いい気になりやがって!』
 自由の身を求めて戦いを挑んできた奴隷を、デスファイアはその希望ごと轢き倒した。先程まで勇敢に戦いを挑んで散っていった仲間の死に希望を喪った奴隷たちの目に、再び希望の光が宿り始めてきたのをデスファイアが舌打ちする。だが、それもそこまでだ。彼らの新たな希望の星となりつつある猟兵の無残な死をもって、再び奴隷たちは絶望に落とされるのだ。デスファイアが重心を傾け、片方のキャタピラを軸にして急ターンすると小回りの効く焔のバギーを轢き潰そうとスピードを上げ始めた。

「おっと、オレを忘れちまっては困るぜ?」
 スペース・ファルコンに跨った亮一は焔のバギーが進む先よりホバリングで浮遊しながら増加スラスターを吹かし、デスファイアの上半身部分に高度を維持して向かっていた。

『ガハハハ! チキンゲームか、おもしれぇ!』
 焔の始末は後に回すことにしたデスファイアが亮一との勝負に受けて立つ。キャタピラが回る速度が速まっていき、両者はお互いに掠め合いながら再び対峙し合い続ける。

(そろそろ仕掛ける頃合いだな)
 デスファイアが繰り出す拳や炎を躱し続けた亮一がスペース・ファルコンのアクセルを最大に回し、デスファイアの身体にめがけて加速させた。もう打つ手がなくなったかと思ったデスファイアが両手を組み、亮一を宇宙バイクごと叩き落とそうと振り落とす。

「残念だったな。オレのスマート・ファルコンは、アンタの気味の悪いキャタピラみたいなもんでな!」
『なにィ!?』
 デスファイアの行動を予測済みだった亮一は、スマート・ファルコンを重パワードスーツに変形させて身に纏った。ハンマーのように振り落とされたデスファイアの両腕を掠めて、繰り出した亮一の蹴りはその質量と速度をもって彼の頭に強烈な一撃を与えたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

眞嶌・未来(サポート)
ユーベルコードがシンフォニック・キュアなら、他の誰かに護られながら、BGMのように歌います。

その他のユーベルコードなら、絶体絶命の危機に陥って、九死に一生を得ます。


陽環・柳火(サポート)
 東方妖怪のグールドライバー×戦巫女です。
 普段の口調は「チンピラ(俺、てめぇ、ぜ、だぜ、じゃん、じゃねぇの? )」

悪い奴らはぶっ潰す。そんな感じにシンプルに考えています。
戦闘では炎系の属性攻撃を交えた武器や護符による攻撃が多い。
冒険等では割と力業を好みますが、護符衣装を分解して作った護符などを操作したりなどの小技も使えます。

 ユーベルコードは指定した物を使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動し他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。お触りなしのお色気までが許容範囲。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



『ガハハハ! やるじゃねぇか。そう来ねぇと張り合いがないぜ!!』
 今まで挑戦者を圧勝の元に屠ってきたデスファイアへ、猟兵が反撃の一撃を与えた。配下のモヒカン、奴隷らの様々な感情が闘技場内をどよめかせたが、当のデスファイアは血混じりの唾を吐いて闘志を漲らせている。

「そうこなくちゃな。てめぇをぶっ潰してペラッペラにしてやるぜ」
 目には目を歯に歯を、炎には炎を。炎を操るデスファイアを挑発するように、眞嶌・未来(センテニアル・ラブドール・f25524)が運転するマジミラ号の上へ乗っている陽環・柳火(突撃爆砕火の玉キャット・f28629)は爆符『烈火乱れ咲き』を周囲にばらまいた。
 札が爆ぜると火球が誘導弾となってデスファイアへと向かうが、彼もまた両腕の火炎放射器から炎を放つとそれらを相殺してみせる。

『いい根性してるじゃねぇか。気に入ったぜ、ひと思いに轢いてやるぜ!』
「ひーん。軽々しく挑発しないでよぉ!」
 炎を操る火車の妖怪らしく喧嘩早い柳火はともかく、自慢のマジミラ号をぺしゃんこにされてしまいかねない未来にとってはたまったものではない。追いかけてくるデスファイアの巨体をサイドミラー越しに見た未来はアクセルを強め、キャラピラの蹂躙と放たれる炎から逃れようとハンドルを切りながら蛇行運転をしている。だが、デスファイアは懐からあるものを取り出した。

『ちょこまか逃げやがって。それなら、一発キメさせて貰うぜ』
 デスファイアがその蓋を開けると、ぐびっと一気に飲み込む。その直後、下半身のマフラーから絶えず吹き出している残り火の火力が強まり、デスファイアは加速を強めた。

『ガハハハ! NOSドリーンク!』
 デスファイアが飲んだのは亜酸化窒素の溶液である。内燃機関のブースト用として、化学ロケットエンジンの燃料や推進剤として用いられるこれにより、いわゆるニトロとも呼ばれ高い燃焼エネルギーを生み出す。体内を経由して混合気に混ざりエンジン内部に噴射されれば、エンジンは通常時の150%近い出力を発揮する。先程の加速力はこれによって得られたものだ。

「ちょ、反則じゃねーか! こっちも積んでねぇのか、ニトロって奴はよ!?」
「そんなの何に決まってるでしょ!?」
 マジミラ号はあくまでマジックミラー張りの開放感あふれるキャンピングカーである。これがAI制御の電子回路に異常をきたして野生化した都市バスならともかく、ニトロを吹かそうならばエンジンは耐えられない上に、アクセルターンをキメようならばマジックミラーは無残にも粉々となってしまうであろう。

『ガハハハ! 逃げろ逃げろ。逃げなきゃペシャンコだ!!』
 獲物を仕留める前に嬲って遊ぶ猫のように、炎を強めるデスファイアはマジミラ号を煽り続ける。彼が観客席に目を向けると、配下の者たちが立ち上がって潰せとコールしていた。その歓声が最高頂点に達した頃合いを見計らい、デスファイアは勝負に出た。マフラーから激しく炎を吹かせ、マジミラ号を潰そうと仕掛けてきたのだ。

「これで最期ね……。待って、そういえばあの時……」
 万事休すと未来が諦めかけたその時、圧縮された時間の中で過ぎ去る数々の情景が走馬灯のように駆け巡った。だが、意識がそちらに向かったのか幸いとなり、ハンドルとアクセルをデタラメに切ってしまったことでデスファイアの予想が裏切られてしまった。

『ちぃ、運のいい奴め』
 マジミラ号が突然デタラメな運転となったことでデスファイアが予想したルートを外れたのだ。彼の巨体が着地した衝撃で未来は我に返って思わずアクセルを踏み込むと、マジミラ号がデスファイアの背後を取ることなる。デスファイアが先程に飲んだドリンクの効力が切れたのかスピードは徐々に落ち始め、今度はマジミラ号が追い上げてくる。

「よっしゃ、今だ!」
 反撃の好機を柳火は見逃さなかった。追い上げ様に彼女が抜いた刀による猫式抜刀術『じゃらし落とし』が、デスファイアの脇腹を風と共に斬り抜いてみせたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

佐藤・和鏡子
愛車の救急車でライディングバトルに挑みます。
数々の戦いを乗り切ってきた愛車が一番信用できますから。
相手がオブリビオンだろうと名誉をかけた決闘を挑んでくるなら此方もそれに応えます。
決闘に相応しい形、救急車のボンネットの上に乗って敵めがけて突っ込んでいき、消防斧(赤い斧)と救急箱を変形させた白い斧の二刀流で惨殺のユーベルコードを使用して攻撃します。
ちょうど紅白で見た目も華やかですね。
ユーベルコードの仕様上理性が無くなりますが、どちらか死ぬまで戦うだけなら問題ないどころかむしろ好都合。
名誉ある一騎打ちに降参や逃亡などという不名誉な言葉は存在しませんから。



『ぐぅがあああぁぁッ!!』
 分厚い革ジャンをも容易く切り裂く居合抜きを受け、デスファイアは脇腹を押さえながら苦痛の叫びを上げた。ざっくりと裂かれた傷からは血がとめどなく流れ、滴り落ちた血が回るキャタピラに落ちると紅く染め上げていく。
 だが、額に脂汗を浮かべながらもデスファイアはなおも疾走り続ける。ヴォーテックス一族のヘッドとして、ひとりの男として、その誇りをかけて彼は止まることはない。

「その傷では長く持ちません。降参されたらどうででしょうか?」
 速度が今までよりも落ちているデスファイアと古びたボンネットタイプの救急車を並走しながら、佐藤・和鏡子(リトルナース・f12005)は語りかけた。看護用ミレナリィドールであり医療に携わる彼女の見立てでは、デスファイアが負った傷は深いものである。放っておけばいずれ出血多量によって命の危機を及ぼすものであった。

『ガハハハ! 馬鹿言うんじゃねぇ。このオレ、デスファイアは無敵にして最強! こんなかすり傷にやられちまうほどヤワじゃねえぞ!!』
 和鏡子の忠告を無視して、デスファイアは二本目のNOSドリンクを飲み込んだ。再びマフラーから炎が吹き上がり、ニトロの爆発力で再び加速して和鏡子の救急車を追い抜く。そして、前方で急ターンすると彼女にめがけて突撃を行ってきた。

「……仕方ありません。相手がオブリビオンだろうと負傷者だろうと名誉をかけた決闘を挑んでくるなら、此方もそれに応えます」
 命をかけて己の名誉の為に明日を捨てるのであれば、それを看取るのも看護師の役目。患者が最期まで笑顔で生ききる生き方をサポートをするべく、彼女もアクセルを踏み込んだ。メーターがレッドゾーンにまで達するのを確認すると、赤い消火用斧でフロントガラスを砕いてボンネットの上へと出て立ち上がる。
 片手には赤い斧、もう片方にはガジェットである救急箱を変形させた白い斧。風でセーラー服をはためかせながら、彼女は迫りくるデスファイアを見据えた。

「排除サブルーチン起動……危険です。退避してください、退避してください」
 そして彼女は自らのUCを発動させると機械的な口調となる。長い歴史の末に老人だけになった都市で作られた看護用ミレナリィドールである和鏡子であるが、何も看護用の機能だけではない。外敵が襲ってきた際には、その驚異を排除する機能も備わっている。
 速く動く物を無差別攻撃し続ける殺人人形(オートマーダー)となった彼女は、デスファイアと愛車が激突する寸前に跳び、デスファイアの身体を飛び越えると両手に握った斧で彼の両腕の火炎放射器につながる巨大な燃料ボンベに振り下ろした。
 深々と叩きつけられた斧と燃料ボンベの隙間から気化された高圧ガスに混じってジェル状の燃料が漏れ出す。それがマフラーから吹き上がっている炎に引火すると、デスファイアの身体が激しく炎上した。

『うががががぁぁあああッ!!』
 自身の炎に灼かれて火だるまとなったデスファイアが断末魔の叫びをあげる。そして、炎が燃料ボンベの内部にまで達すると大爆発が起こった。衝撃波は闘技場内を駆け巡り、配下のモヒカン、奴隷、そして猟兵たちがデスファイアが居た場所に目を向けると、無残にもバラバラとなったデスファイアの下半身であった戦車の残骸だけが残ってた。
 それを見るや、奴隷たちが歓声をあげた。自由の身となったのだ。デスファイアの部下たちは彼の死を悼み、涙を流して嗚咽を漏らしている。そして闘技場内の至るところで吹き上げられるガスフレアの炎は、誇りをかけて戦って散ったデスファイアを称えるかのように一層強く吹き上がっていたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月14日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト