アポカリプス・ランページ⑨〜殺人牢獄からの集団脱走
●グリモアベース
「いよいよヴォーテックス・シティだね。 みんな、準備はいいかい?」
戦況図を振り返ったジファー・グリムローズ(人狼の文豪・f13501)は、下顎に手を添えたまま集う猟兵たちに確認を促す。
かつてのニューヨークの2倍はあろうかという超巨大都市にして『悪徳の都』……それがヴォーテックス・シティだ。
至るところにヴォーテックス一族傘下のレイダーが闊歩する危険地帯だが、ここを攻略していくことで後に控える『フルスロットル・ヴォーテックス』との戦いを優位に運べるだろう。
その為の説明を、とジファーは薔薇型のグリモアを宙に浮かべる。
●ヴォーテックス・シティ、武器工場
「ヴォーテックス・シティ内部には武器工場がいくつもあってね。 そこに囚われている奴隷の救出が私からの依頼になるよ」
バギーやバイクでヒャッハーと攻め込むのは別件だよと頬を掻きつつ、ジファーはある大きな建物を拡大させる。
凶悪なレイダーたちの戦力増強の為に存在するという多くの武器工場だが、そこには奴隷たちの収容施設としての役割もあるとのことだ。
前に潜入任務もあったようだし、もしかしたらその辺りの情報は知っていたかな? と小首を傾げた穏和な人狼だが、口元の笑みをすぐに引っ込めた。
「武器工場の巨大さと奴隷の収容人数の多さはもちろんだけど……一番気を付けてほしいのは、脱走者を殺す為に仕掛けられた罠だね」
一例を挙げると、壁や天井から槍が射出されるウォールトラップから棘付き鉄球や丸太などが転がってくるローリングトラップまで……殺傷力の高い罠が至るところに設置されているという。
猟兵でも痛いだけじゃ済まない罠がたくさんだ、奴隷がまともに受ければ一撃で即死も十分にあり得るという。
「そんな罠が多いから、脱走そのものを諦めてるって奴隷が大半だからね。 行きは当然だけど、帰りは特に【仕掛けられた罠に対処していく】のが大事になってくるよ」
せっかく助け出した奴隷がその後に罠で殺されては元も子もないからねと、ジファーは罠に対する警戒を促していく。
そしてそんな危険地帯だからか、見張りのレイダーは少ないものの……彼らの目にも気を付けてほしいと付け足された。
転移の扉が開かれて、猟兵たちの視界には悪徳の都が映る……鉄錆びと乾いた血の匂いにジファーは顔をしかめている。
危ないことを頼んでいると承知していると、ジファーは祈るように両手を合わせた。
「この戦争に勝つためにも……この世界の人々を救うためにも、ここは頑張ってほしい。
けど危なくなったらすぐにグリモアベースへ戻すからね、気を付けていってらっしゃい」
四季臣
このシナリオは「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、『アポカリプス・ランページ』の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオになります。
五十六度目まして、四季臣です。
この度はここまでOPをご覧いただき、ありがとうございます。
たとえ戦争に勝っても、そこに人がいなければ……でしょうか。
第1章は、冒険『奴隷救出作戦』です。
武器工場へ潜入するところからスタートとします、救出活動はもちろんですが罠の存在は無視出来ません。
どのやうな罠が仕掛けられているかと一例はOPに挙げましたが、それ以外の罠の存在を予測して対処するのもいいかと思います。
プレイングボーナスは【仕掛けられた罠に対処する】ことで発生します。
行動例を参考にして、罠から奴隷を守ってください。
見張りのレイダーはいるにはいますが、場所そのものが危険なので数は多くないようです。
それでは、四季臣より戦争シナリオ三本目です。
よろしくお願いいたします。
第1章 冒険
『奴隷救出作戦』
|
POW : 見張りのレイダーをぶっ飛ばす/身体を張って奴隷達を守る
SPD : 罠を発見して解除する/安全な脱出経路を見つける
WIZ : 奴隷達をまとめ上げ、円滑に脱出させる/工場のシステムに細工する
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
マキナ・エクス
アドリブ・他猟兵との連携歓迎
さて、仕掛けられた罠をいかにして潜り抜けるかだけど、救出した奴隷たちを守りながら抜けるのは困難を極めそうだからあらかじめ潜入の時点で解除しておきたいね。
【戦闘知識】で分かりやすい罠を見つけてUCを使用して罠自体を矢に変換して無力化したり、矢を元の無機物に戻して罠を埋めたり。そこら辺にいる見張りを魔術糸で【捕縛】した後敵とOHANASIして罠の【情報収集】をしつつ【敵を盾する】ことで罠をわざと起動させて無力化しよう。
万が一の時は【オーラ防御】や【かばう】や防御用からくり人形で奴隷たちを守る。
黒影・兵庫
(「黒影、大丈夫?」と頭の中の教導虫が話しかける)
ふぅー...大丈夫です。もう落ち着きました
(「本当?さっきまで鬼の形相だったわよ?」)
奴隷の皆さんの境遇とそれを強いるレイダー共の話を聞いてしまったので...
でもそれも今日限り!俺たちで皆さんを助け出しましょう!
(「作戦はできた?」)
はい!
まずは『オーラ防御』で『迷彩』効果を付与したオーラのバリアで『目立たない』ように潜入し
UC【正道虫】で召喚した衛生兵さんで奴隷の皆さんを吸い込みます!
後は衛生兵さんを護りながら『衝撃波』や『念動力』で罠を押しのけ脱出です!
(「手のひらサイズにまとめて守りやすくしたわけね!いいじゃない!」)
では作戦開始です!
リーヴァルディ・カーライル
…どこの世界にもいるものね、人間を食い物にする連中は…
…私の術ならば奴隷にされた人達の安全は確保できる
後は私自身が罠を踏破できるか否か
「精霊石の耳飾り」に地の精霊を降霊して周囲の金属類を暗視して罠や敵の索敵を行い、
罠の類は事前にUCの魔法陣を刻んだ小石を投擲した後に転移してやり過ごし、
見張りの類も投げた小石が地面に落ちる前に転移して切り込み大鎌をなぎ払い、
第六感が危険を捉えたらその場から離脱するように警戒しながら先に進み、
奴隷達を見付けたら救出しに来た事を告げUCを発動し彼らを転移させる
…貴方達を助けに来た者よ。落ち着いて話を聞いて
…この小石に触れてほしい。そうすれば安全な場所に避難出来るから
バロン・ゴウト
仕掛けられた罠を駆け抜けてやり過ごしたことはあるけど、解除はしたこと無いのにゃ。
とは言え奴隷の皆さんを無事救出する為に、知恵と工夫で乗り切るのにゃ!
【視力】と【聞き耳】を駆使しながら進み、ちょっとでも違和感があれば【アイリスの嵐】で花弁を飛ばして壁や床、天井をチェックし、可能な限り罠を破壊し、出来るだけ安全に通れる帰り道を作っておくのにゃ。
壁に銃が仕掛けられている罠では弾丸の射出方向から銃口の位置を確認し、アイリスの花弁を飛ばして罠を破壊するのにゃ!
レイダー相手には【忍び足】で近づき、隙をついて攻撃なのにゃ。
帰り道は奴隷の皆さんを【鼓舞】しつつ、行きと同じく慎重に進むのにゃ。
絡み、アドリブ歓迎
●看破と破壊、ときどき破壊
「さて、仕掛けられた罠をいかにして潜り抜けるかだけど」
「駆け抜けてやり過ごしたことはあるけど、解除はしたこと無いのにゃ」
指定された武器工場に潜入したマキナ・エクス(物語の観客にしてハッピーエンド主義者・f33726)とバロン・ゴウト(夢見る子猫剣士・f03085)、二人の猟兵はしわくちゃな地図を手にして周囲の警戒に勤めていた。
いつの間に地図なんて、と最初バロンは目をまんまるくして驚いていたが……その出所は工場入り口でぐったりしているレイダーから拝借したものだとマキナは微笑む。
「たまたま偶然見かけたからね、丁重にOHANASIしたら快く譲ってくれたよ」
「マキナさん、やることが早くてスゴいのにゃ……」
「まぁ、OYASUMIさせたのは私ではないんだけれどね」
「えっ? マキナさんが無力化させたんじゃないのにゃ?」
それなら一体誰が……首を傾げたバロンがふと目を泳がせると、さっそく何かの発射口とおぼしき不審な穴を見つけた。
その発射口から射出方向を推測し、弾道を目で追っていくと……やがて視界にはぐっすりレイダーが映り込む。
注意深く観察をしてみれば、レイダーの側には頭一個分の大きさの鉄球が転がっていた……と、つまり。
「……何でレイダーが罠に引っ掛かってるのにゃ??」
「私から逃げようとした時に何かを踏んだらしくてね」
「にゃにゃぁ……」
察するに、見張りのレイダーですら把握しきれないほどに罠が多いと言うことなのだろう。
既に先行した仲間の安否が気がかりになってくるが、今回二人に求められるのは罠の突破ではない。
救出された奴隷が安全に脱走できるルートを確保すること……つまりは罠の解除と破壊だ。
「手始めにあの罠から解除しておこう。 偽典閲覧、伝承認識、神具構築。汝月の女神の威光を見よ」
マキナは偽典神話・月の女神の矢を発動……発見した罠そのものを無数の銀の矢に変えての無力化を試みていく。
一方でバロンは五感を研ぎ澄まし、壁や床、天井のチェックを入念に行い……違和感を感じた時には金色のレイピアを天高く掲げる。
「アイリスの花びらよ! 罠を討つにゃ!」
レイピアが無数のアイリスの花びらに変わり、罠とおぼしき不審な箇所に当たっては弾けていく。
そのようにして、二人は奴隷の脱走ルートを開拓していく……地道な作業だが、欠かすことの出来ない重要な役目だ。
●先行と救出、加えて治療
その一方で。
(「黒影、大丈夫?」)
「ふぅー……大丈夫です、もう落ち着きました」
(「本当? さっきまで鬼の形相だったわよ? そんな顔で救出に向かっては、奴隷たちを怯えさせてしまうわ」)
黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)は自らの頭の中にいる『せんせー』こと教導虫とそんなやり取りをしていた。
グリモア猟兵から聞いた奴隷たちの境遇、それを強いるレイダー共の所業は見過ごせるモノではないが……せんせーの言う通りだと兵庫は頬に手を当て、ぐりぐりと揉みほぐす。
「そうですね、せんせー。 ……でもそれも今日限り! 俺たちで皆さんを助け出しましょう!」
それから活気ある笑顔を浮かべ、ぐっと手を天に掲げてみせた。
「……どこの世界にもいるものね、人間を食い物にする連中は」
リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は工場内部に先行、捕らわれの奴隷の元へと向かっていた。
精霊石の耳飾りに地の精霊を降霊させて周囲の金属類を暗視、罠や敵の索敵を行いつつ、魔法陣を刻んだ小石を投げる。
リーヴァルディはあらかじめ魔法陣を刻んだ所へ転移できる……投げた小石に刻んでいたなら、その着地点への瞬間的な移動が可能なのだ。
工場の至るところに仕掛けられた罠も、小石1つ投げられた程度では発動しないものも多く……投擲と転移を繰り返すことでリーヴァルディは工場の罠をすり抜けていく。
リーヴァルディが誰よりも早く罠の踏破を目指す理由の1つは、彼女が持つユーベルコード……常世の鍵が奴隷救出においての最適解だからだ。
帰りは特に気を付けろとグリモア猟兵は強調していたが、そもそも帰り道を奴隷に歩かせなければいいだけのこと。
常世の鍵は、リーヴァルディが所持する常世の世界の古城に多くの人々を安全に収容できる。
ちなみに現在、兵庫は常世の世界の古城で待機中だ。
「……ようやく辿り着いた。 ここが奴隷の収容所ね」
やがてリーヴァルディは救出対象である奴隷の元に到達、常世の世界からは兵庫が飛び出した。
その光景を見ていた奴隷たちは困惑している……レイダーとはまるで違う女性が来たと思ったら、今度は虚空から少年が飛び出して来たのだから。
「あ、あんたたちは、一体……」
「……貴方達を助けに来た者よ。 落ち着いて話を聞いて」
リーヴァルディは説明を始める……自分たちは猟兵で、仲間たちと共にヴォーテックス・シティに捕らわれた人々の救出に来たことを。
話を聞いた奴隷たちの反応は様々だったが……とにかくここから逃げ出したい一心だった彼らはすぐにリーヴァルディ達に救いを求める。
「……自力で動ける者はこの意思に触れてほしい。 そうすれば安全な場所に避難出来るから」
「怪我や病気をされているお方はこちらへどうぞ! 衛生兵さん! 急患です! お願いします!」
奴隷へ小石を向けるリーヴァルディの横で、兵庫もまたユーベルコード……正道虫を発動させる。
体の色が白で斑点が赤色のてんとう虫が沢山現れて、傷を負った奴隷に触れると……なんと医療設備が完備された病院へと吸い込んでいったのだ。
罠がなくとも衰弱死の危険すらあった奴隷でも、病院で治療を受ければ救える確率は格段に上昇する……この作戦において兵庫の存在は極めて重要だった。
(「手のひらサイズにまとめて守りやすくしたわけね! いいじゃない!」)
「……後で衛生兵も古城に避難させれば、治療に専念できる。 手分けをして避難誘導を」
「はい、救助開始です!」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ラブリー・ラビットクロー
罠はラビットブレスの火炎放射で壊しながら道を作るなん
見渡すと映るのはあの時見た光景とそんなに変わらない
けどらぶ達は変わったぞ
その時は逃げる事しか出来なかったけど今はそーじゃない
反撃する時が来たんだ!
みんな!助けに来たなん!
ホントだぞ
悪夢みたいな毎日はもーお終い
らぶ達と一緒にここを出よー
アイツらなんかに怯える必要はもーないんだ
これを見て?キレーなビー玉でしょ
覗き込めばきっとステキな光が視えてくるのん
望めなかった朝日だってその手で掴めるんだ
これは全部みんなにあげる
だから行こー!
【ルート案内を開始します】
道案内は任せたぞマザー
【敵性反応を確認。ルートを変更します】
敵はやり過ごして
出口へと向かうんだ
ルドラ・ヴォルテクス
●アドリブ連携OKです
『トラップの位置をハッキングして割り出します、それかレイダーを一人締め上げても構いません』
排除も兼ねてやっておく。
【サイキック・ロード】
UCは最終手段だな。
まずはトラップだが、手近なレイダーの口を割らせる。ハッキングとの情報をすり合わせてみるか。
トラップ自体は、ラプチャーズでわざと起動させて爆破、電磁パルス機能で麻痺させるのもいいだろう。
地形破壊の武器で、壊せるトラップは全て破壊、ハッキングで対処できるのはそちらで、毒ガス系は入念に調べておくか。
人質たちを解放したら、トラップを解除しつつ誘導。(帰る場所を強くイメージさせておく)
最悪の場合、サイキック・ロードでの転移する。
トリテレイア・ゼロナイン
先ずはこの悪徳の街から人々を見つけなくては…
工場に潜入しマルチセンサーでの●情報収集で赤外線センサーや感圧式(踏むと作動する罠)のトラップの所在を把握し位置を●見切りつつ奥へ
皆様をこの街より救い出す為に参りました
人々を護るは騎士の務め
脱出の際の道中の護衛はお任せください
さあ、私の後をついて来てください
奴隷を引き連れ脱出を開始
彼らに罠を避ける技量を求めるのは酷という物
帰りは罠をワザと発動させ、それを破壊や回避しつつ踏破
槍や弾丸が射出されれば大盾や剣で防御
落とし穴があれば格納銃器でのスナイパー射撃破壊工作で開閉機構を破壊
爆弾があればUCで装甲を花弁に変換、バリアで皆を●かばい脱出します
●希望へと続く道
「らぶ達は変わったぞ」
目に映るのは、あの時見た光景とそんなに変わらない世界。
その時は逃げる事しか出来なかったけど、今はそーじゃない。
ラブリー・ラビットクロー(とオフライン非通信端末【ビッグマザー】・f26591)は火炎放射機『ラビットブレス』の引き金に指を掛けて、目前の罠を焼き払う。
「反撃する時が来たんだ!」
奴隷の収容所は他にもある。
先行した猟兵から共有された地図を片手に、ルドラ・ヴォルテクス(終末を破壊する剣“嵐闘雷武“・f25181)は手近にいたレイダーを捕らえて締め上げていた。
「この地図に奴隷収容所とトラップの位置に印を記せ、コイツで吹き飛びたくなければな」
エネルギーグレネード『ラプチャーズ』の試運転を兼ねて、適当な壁に向けて砲撃を放つ。
破裂、狂喜の名に違わぬ爆発を以てその威力を知らしめれば……青ざめた顔になったレイダーはガタガタ震えながら地図に印を着けていく。
印された箇所に罠があるか確認すべく、ハッキングを試みようとしたところで……隙を見たレイダーは駆け足で逃げていく。
ルドラは黙ってそれを見届けていた……その方角には確か――。
「ひでぶっ」
――ハッキングの結果、天井から鉄球が降ってくる罠が予測されていて……それが先ほど確定となった。
「……レイダーはすべての罠を把握出来ていない、というのは本当のようですね」
「よくそれで警備なんて出来たな」
トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)もまた、マルチセンサーでの情報収集によって、その罠の存在を把握していたため、ルドラと共に呆れの感情を表に出す。
白眼を剥いて倒れたレイダーから地図に視線を移したトリテレイアは、奴隷収容所があるとされた方角へセンサーを展開した。
「先ずはこの悪徳の街から人々を見つけなくては……」
センサーがトリテレイア達に近付く反応を一つ拾う。
その高い熱反応は、火炎放射で罠を焼却していたラブリーだった。
「レイダーから何か聞き出せたなん?」
「トラップの位置は当てにならないが、この近くに奴隷収容所はあるようだ」
「見して」
ルドラから地図を受け取るラブリー、そこから得られる情報を『ビッグマザー』に共有する。
トリテレイアのセンサーも多数の生体反応を確認出来たようで、その位置は地図に印された箇所と確かに一致していた。
『【ルート案内を開始します】』
「お二人は私の後に」
『ビッグマザー』の示す安全性の高い道順に従い、トリテレイアは大盾を構えて先行する。
ラブリーとルドラ、二人のフラスコチャイルドはそれぞれ罠破壊の為の重火器を担いで後に続いた。
それから道中、破砕音は止むことなく工場内に轟くこととなる。
収容所への最短かつ安全性の高いをビッグマザーは示したが、それでも罠の数が多すぎた。
「全然安全じゃないぞマザー、なんでだ」
『【よくわかりませんでした。 明日の天気を表示しますか?】』
振り子式の丸太トラップを避けつつ、ラブリーはラビットブレスの引き金を引く。
AIが示す『安全性が高い』は、危険がないと言う意味ではないのだから仕方がない。
「奴隷に罠を避ける技量を求めるのは酷という物……全て破壊しましょう」
「同意見だが少し時間をくれ。 毒ガス系の罠を起動させたら避けようがない」
トリテレイアは持ち前の防御技術と射撃破壊工作で、物質的な罠に対しての対応力は高かった。
故に罠をわざと発動させて無力化ないし破壊を狙って踏破していく。
その背後についたルドラが電磁パルス弾を駆使して、ガストラップの起動を妨げていく。
三人は罠の足止めを受けながらも、着実に収容所へと近付いている。
「みんな! 助けに来たなん!」
そうして辿り着いた収容所にて、ラブリーは捕らわれの奴隷たちに大きな声で呼び掛ける。
猟兵たちは次々と牢屋の鍵を壊して回り、奴隷たちを理不尽な拘束から解き放っていく。
本当に助けに来たのか、と希望すら失っていた人に対してラブリーは「ホントだぞ」と念を入れて抱え起こした。
「悪夢みたいな毎日はもーお終い、らぶ達と一緒にここを出よー。 アイツらなんかに怯える必要はもーないんだ」
それからラブリーは、奴隷一人一人の手にビー玉を握らせる。
しょーにんの心得その1の、覗き込めば魅惑的な輝きを放つビー玉は……奴隷たちにとって望めなかった朝日そのものだったろうか。
生きてここから出るという希望を取り戻した奴隷たちは、立ち上がりラブリーの呼び掛けに応じて集う。
「帰るべきがあるだろう、強く念じろ、鮮明に描け……俺達が必ず帰してやる」
ルドラの故郷を強く思わせる呼び掛けも、奴隷たちの凍てついた心を動かすきっかけとなった。
もっともこの呼び掛けは、最悪の場合を想定してのものだったが。
「大規模な収容と治療の能力を持つ仲間の存在を同作戦フロアーにて確認しました、合流しましょう」
トリテレイアの提案にルドラは頷く、奴隷たちの身柄は一先ずは整った環境に置いておくのがいいだろう。
「人々を護るは騎士の務め……さあ、私の後をついて来てください」
奴隷たちの前方をトリテレイアが、後方をラブリーとルドラが護衛する形で大移動が始まる。
やがて合流を果たした猟兵たちは、助け出した奴隷たちに最新鋭の治療を施すべくして正道虫を拡散させる。
これにより理不尽な暴力で傷ついた者も、過酷な労働環境に身体を壊したものも滞りなく治療を受け、やがて回復へと向かう。
万全の状態を整えた上で、ルドラはサイキック・ロードを発動させる。
超念動力のサイクロン……対象をその棲家に転移させる波を、奴隷たちは信じて受け入れた。
「ありがとう……、本当に、本当に……ありがとう……!」
解放を喜ぶ者も、感極まって涙する者もいた。
その誰もが皆、猟兵たちに感謝を述べて……故郷へと帰っていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵