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アポカリプス・ランページ⑤〜モッタイナイの心意気です

#アポカリプスヘル #アポカリプス・ランページ #アポカリプス・ランページ⑤


●何でも使います
 フィンブル・テュール(オラトリオの聖者・f01804)はソルトレークシティのバイオリレーションセンターに大規模な「フラスコチャイルド製造施設」が秘密裏に運用されていたことを伝えた。
「ここで製造されていたシリーズは大量生産するには粗悪品の率が高かったみたいでね。使えない個体が大量に出たらしいんだよ。でも、ただ廃棄するのはモッタキナイって考えたんじゃないかな?」
 資源を有効利用しようなんて殊勝な事を、いったい誰が考えたのか。ともかく廃棄される予定の粗悪品は廃棄されずに大量兵器として運用された。ほかならぬ彼らの故郷、フラスコチャイルド製造施設を警備するために実践配備されたのだ。
「彼らはもともとは廃棄されるはずのものだからね、高度な作戦行動はできないし、事前に有効な戦闘行動もインプットされてはいないみたい、だね。ただ、生存本能みたいなレベルで近づく者を敵として認識して、襲いかかってくるんだ。あ、敵と味方の区別ぐらいはつく、みたいだね。巣を守る蟻か蜂、みたいな挙動、かな?」
 フィンブルはゆっくりと考え考え敵の情報を言葉にする。
「厄介なのは、各個撃破しようとしても、ダメージが分散してしまうんだ。だから、なるべくたくさんの敵を巻き込む様にして大ダメージを与える、というのが有効な戦法、かな?」
 もっといい方法があるのかもしれないが、今は思いつかない、と、フィンブルは言う。
「こんな施設、残しておいてもいいことはないと思うんだ。だから、まず、粗悪なフラスコチャイルドの廃棄品、『ND-DUST』を倒してくれない、かな? 皆の力が必要なんだよ」
 見た目は覇気がない様だが、真剣そうな様子でフィンブルは言った。


霧原澪
 戦争にちょこっとでもいいから参加したい桐原です。
 今回はソルトレークシティにあるバイオリレーションセンター周囲に展開しているたくさんのフラスコチャイルドさん達を倒すお話です。このシリーズは出来のいい個体が少なくて量産が断念されたND-DUSTが敵さんです。できるだけたくさんの敵を巻き込んで闘っていただけると、有利になります。

 戦争にちょびっとだけでもいいから協力したいなぁと言う猟兵様を大募集です。どうぞ、よろしくお願いします。
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第1章 集団戦 『ND-DUST』

POW   :    群れの大海
【全個体の一斉攻撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    バンシィ・スクリーム
【叫び声】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
WIZ   :    コラテラルダメージ
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【個体数】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。
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マリア・ルート
な、なんというか…やりにくいな。
確かにモッタイナイ精神は大事だが…ううむ…
ま、まあ、一度も使われず廃棄されるよりはマシか…救ってやるとするか。

全体での生命力の共有……多くの敵を巻き込む力が要される、なれば…MAP攻撃が輝くだろう。
あいにく私は『範囲攻撃』は得意だ。全て殲滅してくれよう。
【指定UC】でMAP攻撃。
戦場全体を包む攻撃だ、逃げられるわけがあるまい。
恐ろしい叫び声はするだろうが私に実害はないはずだ。万が一近づかれたら『野生の勘』で察知して『早業』からの『吹き飛ばし』で距離を取らせてもらおう。

…昔は人を殺すのに躊躇はしない方だったのがな。
私も情が出るようになってしまったか…



「な、なんというか……やりにくいな」
 大量の廃棄物、製造中止となったND-DUSTの集団を前にマリア・ルート(紅の姫・f15057)にモチベーションが上がっていない。確かに資源は大切だし、モッタイナイの精神は賞賛に値する。しかし、しかしなのだ。一度も使われずに廃棄されるよりはマシ……なのか。
「救ってやるとするか」
 マリアの尊い逡巡の間、ND-DUSTの集団は動かない。近寄っていかなければ敵対されないのだろうか? ぼんやりとあらぬ方と眺めて立ち尽くすND-DUSTはノンビリしている様にも見えるし、ここに掃き溜められている様にも見える。
「私はこんなふうに同族で集められたり、何かを命じられたりするのは嫌だけど、あんた達はどうなのかな?」
 ゆっくりと近づいていくと、一人、また一人とND-DUSTがマリアへと視線を向ける。覇気もなく戦意もなさそうに見えるけど、きっと何かのトリガーで襲ってくるのだろう。
「あいにく私は『範囲攻撃』は得意だ。全て殲滅してくれよう」
 見る間にマリアの姿が真の姿へと変わってゆく。口調も雰囲気も変わる、はずだが。
「あれ? なんかいつも通りじゃないよね?」
 外見は変わっているのに、中身は普段のマリアのまま、かもしれない。けれど、どちらのマリアもマリアに変わりはない。
「んー後で考えればいいよね」
 青い瞳がガラス玉の様に異質な輝きをたたえる。その頃にはND-DUSTたちの間合いに入ってしまったのか、集団でノロノロと襲いかかってくる。
「私を倒すことは不可能だよ。なんでかわかる? わからなくてもいいよ。もう終わりだから」
 真の姿で明るく言い、満面の笑みを浮かべるマリア。その眼前でND-DUSTたちが幾人も大量に燃えてゆく。業火は彼らの葬送の炎となって高く空にたちのぼった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アイビィ・エヌディーイレブン
「これは…、あまり見たくなかったデスね…ワタシは…」
(姉妹に“なれなかった”モノたちを見て何とも言えない顔)

ともかくこの世に留まらせるのも可哀そうなので一刻も早く楽にしてあげマス。
「視界良好、猟兵位置補足OK、アナタ達には恨みはないデスが潰れるデス!」
【指定UC】を使い、『ND-DUST』の大群だけを圧し潰しマス

ついでにサブマシンガンで〈援護射撃〉もやりマスよ

「せめて安らかに眠ってくださいデス」

(アドリブ歓迎)



 正直に感想を言っていい状況だろうか。アイビィ・エヌディーイレブン(フラスコチャイルドの戦車乗り・f24518)は困惑していた。あえて他の猟兵とはバッティングしないだろう場所に現着した理由は自分でもよくわからない。
「これは……あまり見たくなかったデスね……ワタシは……」
 たくさんの、彼女とは姉妹に『なれなかった』モノたちの集団を見つめ、ローンチ以来初めての『適切な表情という命題の最適解が得られない』という事態に遭遇していた。
「必要なプログラムが欠損している可能性もあるデス。早急に対処が必要デスが……」
 けれど、何故か今は自分をバージョンアップするよりも目の前にいる廃棄すべき粗悪品達の処分が優先されるような気がした。そう判断したプロトコルの意味は知らないけれど。
「この世に留まらせるのも可哀そうなので一刻も早く楽にしてあげマス」
 行動を決めてしまえば揺らぎはない。アイビィは真っ直ぐに前を見る。ND-DUST達はアイビィと似た色の瞳を一斉に向けた。感情も知性も指示への使命感も感ない空っぽなのに、エメラルドの原石のような曇った美しさがある。それを今、まとめて壊そう。
「視界良好、猟兵位置補足OK、アナタ達には恨みはないデスが潰れるデス!」
 アイビィだけが持つことのできた『力』が重い波動となって彼女達を破壊する。ブロックのおもちゃがバラバラになっていくように、ND-DUST達の四肢が離れ、体が押しつぶされて壊れてゆく。反撃や逃走はない。
「せめて安らかに眠ってくださいデス」
 アイビィはキッチリと仕事をした。異論反論は、認めない。

成功 🔵​🔵​🔴​

岩社・サラ
アドリブ・連携歓迎

スペックが低くてもそれを補えるだけの頭数があるということですか。油断なく殲滅していかないといけませんね。

複数の敵を同時に攻撃するというのが有効ならば「強襲装備」で出撃するとしましょう。フルオートで放たれる散弾の弾幕ならば多くの敵にダメージを与えることができそうですしね。

行動
UCを発動し特殊武装を身に着けたら戦闘を開始、主武装であるフルオートショットガンを使用した制圧射撃を行っていきます。
攻撃時は精度を犠牲にしても大量の敵を巻き込むように攻撃範囲を意識して射撃。

敵がこちらに接近しようとしてきたら発煙手榴弾を投擲して相手の視界を封じてできるだけ近づけさせないように立ち回ります。



 岩社・サラ(人間の戦場傭兵・f31741)がソルトレークシティーに到着したとき、捨てられるはずだったフラスコチャイルドの不良品たちは野に放たれていた。保存していても無駄なもの達が歴戦の猟兵相手にかなうわけもない。それでも『お金を出して廃品回収に出すよりは近隣の迷惑になってもばらまく』的な感覚なのか、ND-DUSTたちは施設の周囲にアホほど配備(廃棄?)されていた。
「スペックが低くてもそれを補えるだけの頭数があるということですか。油断なく殲滅していかないといけませんね」
 敵の感情は気にならない。サラの、風のない泉の水面の様に静かな夜明け前の空を映す瞳は敵の集団を見つめる。多くの敵に同時に攻撃することが有効なのだとすれば、使う特殊武装はおのずと決まってくる。
「では始めましょう」
 完全に戦闘準備が終了すると、サラは誰にも聞こえないような小さな声で作戦開始を自分自身に宣言する。いつもながら手にしっくりと馴染むフルオートショットガンの威力を開放して圧射撃をする。正直、さらにとってはどこに撃っても当たるぐらいの密度で敵がいる。ただ、大量の敵を巻き込むように攻撃の効果範囲を考えていればいい。同じような顔の、それぞれが別々にいびつな場所を持つND-DUSTたちが駆逐されていく。
「あああ!」
 血みどろの1人がサラに向かって両手を伸ばす。その動きはサラにとっては遅すぎる。無言で発煙手榴弾を投げて視界を奪う。その場にいる敵を全滅されるのにたいした時間はかからなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

栗花落・澪
フラスコチャイルドさんの存在には思うところが無くはないから複雑だけど
憐れむのも違うからね
僕なりの敬意を表して本気で行きましょう

翼の【空中戦】でなるべくフラスコチャイルド達から距離を取りつつ
まずは動きを封じるために【高速詠唱】で氷魔法の【範囲攻撃】
足や関節を狙う事で動きを止める
氷を壊すにしろ時間は使うだろうから一時的でもいい

つまり、彼女達のUC発動条件である
行動に成功させるために個体数を代償にする
やり方次第ではあるけど…少なくともそのための行動を阻害し
僕の技から逃げるという行動さえ取らせなければ

【指定UC】を発動
【破魔】を宿した炎の鳥達を合体させ巨大化
まとめて敵に突っ込ませての範囲攻撃兼【浄化】



 少し盛り上がった土と岩の上に栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は立っていた。わずかな高低差でも、こうしてここにいると群れ集っているようなND-DUSTたちの様子がよくわかる。くすんだ色の白っぽい髪、綺麗な緑色だけど知性の光がない瞳、血が通っていないような不健康そうな肌の色。どれもこのシリーズの特徴的なものだ。彼らはまるで動く警報機であるかのように施設の周りに放たれている。
「僕にはそんな資格はないからね。だから、敬意を表すためにも本気で行きましょう」
 オラトリオである澪の背には純白の翼がある。それを開くと澪の身体は重力に逆らうかのように舞い上がった。そして上空から聞きとれないくらい早口の言葉は早送りのようで、すぐに言い終わると氷魔法がND-DUSTたちに向かって放たれた。ブラウン運動のように不規則に動いていたND-DUSTたちが止まる。けれど、半数程度の仲間を犠牲に再び彼女たちは動き出した。一斉に澪へと向かって歩き出す。それは澪の予想通りの行動だった。
「鳥たちよ、どうかあの人を導いてあげて」
 大小様々な大きさの鳥の姿をした炎がND-DUSTたちに向かって降り注ぐ。廃棄物とはいえまだ生を持ちながら燃えてゆくND-DUSTたち。その炎は支払わなくてはならないコストとなって倒れた姉妹たちの亡骸をも燃やしてゆく。壮大なる葬送の炎を澪は琥珀色の瞳を瞬きもせず見下ろしていた。炎に照らされて瞳はいつもより赤く見える。こんな結末しかなかった。要らないもの、欠陥品、粗悪品、彼女たちは製品として合格しなかった。でも、憐れむのは違うと澪は思う。だから少しの手加減もせず、全力で倒した。後悔はない、ないけれど。
「さようなら」
 別れの言葉を残して澪は去る。
 炎はまだ消えない。

成功 🔵​🔵​🔴​

水鏡・怜悧
詠唱:改変・省略可
人格:ロキ
ダメージが分散するとは面白いですね。他の個体に伝播するのでしょうか。観察しながら戦うことにしましょう
触手式魔導兵器を全力で展開。目標は1本1殺です。火で燃やし、風で切り裂き、岩で潰し、雷で痺れさせ、水で貫き、冷気で凍らせ、重力で潰し、光(レーザー)で切断しましょう。それぞれのダメージの分散状態を比較し最善手を探します
研究対象としての興味とは別に、彼らの成り立ちには思うところが無いわけではないですが。私も同じようなことをした身ですからね。私が何か言う権利は無いのです。生存の目があるならともかく、無いなら作業的に処分するのみです
――おやすみなさい。恨んでくれて良いですよ



 ND-DUSTたちは行ったり来たり、好き勝手に動いているように見える。どんなプログラムが動いているのか、それともプログラムなどこわれているのか。
「面白いですね」
 水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)は褒め言葉のようにつぶやいた。もう少し興味をそそられる対象だったら、もっとじっくりと詳しく調査したり実験したり論文を書いたり、仕様書を作成してみたり、ND-DUSTで遊ぶ手段はいくらでもある。でも、しょせんは倒さなくてはならない廃棄物だ。
「ゆっくりと、観察しながら戦うことにしましょう」
 怜悧が攻撃行動を開始し始める。
「触手ちゃんはこういうことも出来るんですよ?」
 触手式魔導兵器を全力で展開する。目標は1本で一人を殺すこと。火で燃やし、風で切り裂き、岩で潰し、雷で痺れさせ、水で貫き、冷気で凍らせ、重力で潰し、光の刃で切断する。それぞれのダメージは一人から隣へ、ND-DUSTたちを壊していくダメージは拡散してゆくが一番広がりが速くて広いのは風の様だ。
「風が切り裂くと、一人ではなくたくさんの個体を切っていけるようですね。では全ての触手を風属性に切り替えましょう。大丈夫。すぐに終わります」
 コストとして多くの仲間を切り捨て、身軽になって逃げてゆくND-DUSTたちの背へ怜悧は慌てることなく目で追いながらユーベルコードの再調整をする。彼女たちには未来がない。ここで警報機代わりに使い捨てられて死ぬか、猟兵と戦って死ぬか。使い道がなくなれば廃棄という名の死を与えられるか。どこにも生存の目が残っていない。
「研究心が動かないわけではありませんが、私にとっても君たちは不合格です。処分しましょう」
 怜悧はロキの心で思う――おやすみなさい。恨んでくれて良いですよ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月08日


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト