アポカリプス・ランページ⑤〜Immortalized!
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「参戦お疲れ様。調子はどう?」
グリモアベースを訪れた猟兵達を、アメリア・バーナード(元穴掘り・f14050)が出迎えた。
「今からみんなには、ソルトレークシティーに向かって欲しいの」
文明崩壊以前はアメリカ西部高原地域の経済的中心地となっていた場所。同時に、宗教都市としても知られる。
「そういう土地柄もあったのかしら。宗教施設の地下には、大規模なフラスコチャイルド製造施設が幾つも作られていたみたい」
もちろん、秘密裏の、地下深くでの運用ではあったが、これらの施設の産物は、間違いなく人類を滅亡から救い出して来た。
「とある製造施設には研究用の死体安置所(モルグ)が併設されていてね。そこにレイダー達がオブリビオン・ストームを撃ち込んだ事で、大量の『ゾンビ』が発生してしまったわ」
オブリビオン化した死体の群れは、生者の血肉を求め、地下のモルグを彷徨っている。彼らが地上に解き放たれる前に、何とかしなくてはならないという訳だ。
そして、製造施設に遺されていた生体技術もまた、オブリビオンに利用されてしまった。
「なんて言ったらいいのかしら。彼らは全員で生命力を共有しているの」
1体1体、あるいは群れの一塊りを倒そうとしても、即座にダメージが敵群に分配されてしまうのだ。もしそうなれば、いずれ敵の接近を許してしまう可能性が高い。
「対策としては、そうね。なるべく多くの敵を巻き込んで、大ダメージを叩き込んでいくのが良いんじゃないかしら」
そうすればダメージの分配も起こらず、片っ端からゾンビ達を倒していく事が出来るだろう。
主戦場となるモルグの大広間は広く、隅には積み重ねられた鉄棺やベッドなど、適度な遮蔽物もある。だが敵の頭数もまた多い。
「場所は地下4階、大型エレベーターの入り口が開いたら、すぐ戦闘に入るわ。気を付けて」
白妙
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広範囲高火力が微笑むシナリオです。
●戦争シナリオ
1章だけで完結する、特殊なシナリオとなります。
●プレイングボーナス
『なるべく多くの敵に大ダメージを与える』です。
これに基づく行動をすると有利となります。
●ゾンビ
大群。全体で生命力を共有しています。
性別、年齢、職業に規則性は無く、オブリビオン化により生前の装いを取り戻しています。
●補足情報
支援「⑪デミウルゴス」
第1章 集団戦
『ゾンビの群れ』
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POW : ゾンビの行進
【掴みかかる無数の手】が命中した対象に対し、高威力高命中の【噛みつき】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 突然のゾンビ襲来
【敵の背後から新たなゾンビ】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ : 這い寄るゾンビ
【小柄な地を這うゾンビ】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
👑11
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源波・善老斎
屍人の群れか……僵尸とは違うようじゃが、いずれにしてもじゃ。
これほどの群れが解き放たれれば、齎されるのは危険以外の何物でもあるまい。
ならば、この我輩が食い止めてくれようぞ!
大群を相手取るならば致し方あるまい、宝貝を使う!
本来は危険な代物じゃが、祖曰く「行善天拳を極めるには、まず危険を知るべし」。
即ち、我が門派は危険を正すことを道とするが故、危険なるものの取扱いも熟知しておるのじゃ。
【軽業】で奴らの手を躱しつつ敵群の中央に潜り込み、【老斎地霊蹴】の一撃で一網打尽にするぞい。
この場は物品も多く、床も硬そうじゃ。
霊脈より流れる気を蓄えたそれらで身を打てば、足下覚束ぬ屍人なぞ、ひとたまりもなかろう。
火土金水・明
「相手はゾンビの集団ですか。私も全力で迎え撃ちましょう。」
【SPD】で攻撃です。
攻撃は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡め【限界突破】した【シルバータイフーン】を【範囲攻撃】にして、『ゾンビの群れ』達を纏めて【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【第六感】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。
ベルベナ・ラウンドディー
●地形破壊・範囲攻撃・衝撃波
単純明快、施設ごと爆破…寸前で仕留められるよう臨みます
要はあちらこちらに爆弾をこっそり仕掛けてドカン!です
(ユーベルコード
●目立たない・物を隠す・逃げ足・罠使い
抗戦は最低限に域内を走り回っては爆弾を設置
…とは言えノーマークで任務完了とは行きませんよね
遮蔽物のある個所を狙い目にしていきます
それ自体がゾンビの包囲追跡を回避できるインスタントの罠の素材になるし
そこに爆弾を仕掛けても目立たない、爆破すれば破片が殺傷力を高められます
●団体行動
まぁ要するに鬼ごっこですが…
他の猟兵の邪魔や、活動の巻き添えになるのを避けながら、か
…ある意味、彼等の怖さを知ることになりそうです
劉・涼鈴
キョンシー! ……じゃなかった、ゾンビ―!
いっぱいだー!
【怪力】で覇王方天戟をぶん回して【なぎ払い】! うおりゃー!
あっちにもこっちにも! どっちに振り回しても当たる!
私の後ろから現れたゾンビは、さらに後ろからやっつけてもらう! 私に!
右には私が行くよ! なら左は私だ! ベーゴマバトルしよう! ミニ四駆のが良くない? 電波来てないからソシャゲできないや ここに劉家の旗を立てる!
次々に出てくる私! 全部で970人! 【身外身法】による分身の術だ!
一斉に突撃して【蹂躙】だー! おらおらおらー!
相馬・雷光
バイオがハザードするゾンビゲーってより、三国で無双する方がノリが近いわね
エレベーターの扉が開くと同時に【ダッシュ】!
二挺のヴァジュラブラスターで雷撃弾(属性攻撃)の【弾幕】を張って【制圧射撃】!
……この威力じゃあ、牽制にもならないかぁ
掴みかかる手を躱しながらリロード
しゃーない、出し惜しみはなしよ!
ハオマ・ドラッグを飲んで、フルチャージ(全力魔法・限界突破)した【帝釈天降魔砲】をぶっ放す!
まだまだ! 【早業】でソーマ・カートリッジを交換して二発目三発目ぇ!(乱れ打ち)
【リミッター解除】して銃身が焼き付くまでフルパワーで撃ち尽くす!
修理費とカートリッジ代が怖いけど、ストレス解消にゃ持ってこいね!
エレベーターのドアが開いた瞬間、フロアに溢れ返る無数のゾンビ達は、訪問者へと殺到する、筈だった。
だが、両手を伸ばす彼等を迎えたのは、温かい生者の血肉では無く……一陣の銀風だった。
ぐるぐると宙を回転しながら暴れ回る、巨大な銀の斬線。フロア全域を埋め尽くさんばかりの広範囲魔法を放ったのは、火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)だった。
「相手はゾンビの集団です。私も全力で迎え撃ちましょう」
「了解! 任しといて!」
「キョンシー! ……じゃなかった、ゾンビー! いっぱいだー!」
先制に浮き足立つゾンビ達の隙を突き、赤い影が二つ、エレベーターから飛び出した。相馬・雷光(雷霆の降魔忍・f14459)と、劉・涼鈴(鉄拳公主・f08865)だ。
「雷撃弾の制圧射撃、喰らいなさい!」
雷光が二挺のヴァジュラブラスターを咆哮させれば、薄暗い地下室を閃光が照らし出す。
同時に降り注ぐ無数の雷撃弾があちこちで爆ぜ、敵の進撃を力づくで封じ込める。
「うおりゃー! あっちにもこっちにも! どっちに振り回しても当たる!」
その隙間に割り込み、素早く立ち回るのは涼鈴。風を切って振り回されるのは、覇王方天戟。
風を切る斬撃、鋭い刺突、力強い薙ぎ。予想もつかない連撃を前にゾンビ達は後退を始めた。
「屍人の群れか……」
「ええ、彼等は生命力を共有しているようです」
柔和な表情を崩さず、しかし油断の無い様子で、源波・善老斎(皓老匠・f32800)が。その後ろからはベルベナ・ラウンドディー(berbenah·∂・f07708)が、フロアに足を踏み入れる。
「僵尸とは違うようじゃが、いずれにしてもじゃ。これほどの群れが解き放たれれば、齎されるのは危険以外の何物でもあるまい」
「はい。群れとしての戦闘力が厄介なのは勿論、他のゾンビ達と紛れてしまうと、収拾がつかなくなります」
もしそうなれば、アポカリプスヘルの危機だ。
「ならば、この我輩が食い止めてくれようぞ!」
だ、と駆け出す善老斎。その行き先をベルベナが見据えれば、そこには、早くもゾンビ達を押し返し始めた仲間の猟兵達の姿がある。
そのうち全員が範囲攻撃を放ち始める事は想像に難くない。巻き添えにならないように立ち回る必要がある。
「……ある意味、彼等の怖さを知ることになりそうです」
軽く呟き、ベルベナは一人、物陰へと走る。
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「……この威力じゃあ、牽制にもならないかぁ」
二丁拳銃を用いた雷光の制圧射撃は多くの敵を相手取れるが、この場のゾンビ達の前には、威力も範囲もまだ足りない。
その時、肉の壁の中から一本の腕が伸び、雷光の二の腕を掴む。
「……!!」
いつの間にか距離を詰められていた。そのまま引き込まれる直前、斬閃がゾンビの腕を断ち斬る。
「だいじょーぶ?」
「ありがと!」
雷光を助け出したのは、方天戟を振るう涼鈴。
なおも二の腕を掴んだままの死体を力づくで振り払い、雷光が飛び退く。
「大群を相手取るならば致し方あるまい、宝貝を使う!」
「ええ、よろしく!」
入れ替わりで飛び出したのは善老斎。素早い身のこなしで敵の手を躱し、群れの中央へと滑り込む。
素早く地面から浮かせたのは、行善蹴子。一見ただの靴に過ぎないが、その正体は宝貝。危険な代物だ。
とはいえ門派『善老斎』は危険を正すが道。善老斎もまた、その危険性と使い道を熟知している。
「震えよ大地! 醒めよ霊脈! いざ、老斎地霊蹴!!」
ズシン!!
腹に響く轟音と共に放たれたのは震脚。巻き込まれた周囲のゾンビ達が、派手に転倒した。
「この場は物品も多く、床も硬そうじゃ。霊脈より流れる気を蓄えたそれらで身を打てば、足下覚束ぬ屍人なぞ、ひとたまりもなかろう」
善老斎の言う通り、転倒したゾンビ達は二度と起き上がる事無く、黒い灰と化してその体を崩す。
そして、直撃を免れた者にも、攻撃の余波で体のバランスを崩した者がいるようだ。
「……おっと、やはり警戒していて良かったですね」
鉄棺とベッドに挟まれた物陰に潜んでいたベルべナの付近でも、幾体かのゾンビ達が倒れ込んでいた。
ベルべナは目立たない場所を移動しつつ、時限爆弾を仕掛けていた。
その背後に――突如として別のゾンビが現れる。
ゾンビがベルべナの背に手を伸ばそうと一歩踏み出した瞬間、張った針金が軋む音。
同時に、近くのロッカーが倒れ込み、ゾンビを押し潰すと同時に道を塞ぐ。
「流石にノーマークとはいきませんか……罠を張っていて良かったです」
振り返りざまに竜爪を一閃。後続のゾンビが崩れ落ちる。
交戦もそこそこに、ベルべナはロッカーを踏み越え、再び闇の中に姿を消した。
後には、カウントを始めた爆弾が物陰に残されていた。
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フロアの中央では明の飛ばす銀の剣が荒れ狂っている。
時に残像を用いて敵の攻撃を振り切り、即座に二撃目を放つ。
「……少しでもダメージを与えて、次の方に」
横薙ぎ一閃。
敵群に空いた大穴をさらに広げるように、躊躇無く突っ込んだのは、涼鈴と。
「ありがと私!」
その後ろに出現したゾンビを貫く涼鈴と。
「右には私が行くよ!」
敵群を薙ぎ払う涼鈴。そして。
「なら左は私だ!」
一閃でゾンビの首を刎ね飛ばす涼鈴。
「ベーゴマバトルしよう!」
「ミニ四駆のが良くない?」
100人、200人。まだまだ増える。
その場のノリと勢いに任せ、わちゃわちゃと動き回る。
「電波来てないからソシャゲできないや」
「ここに劉家の旗を立てる!」
分身の術・身外身法により現れた涼鈴の軍勢――その数実に、970人。
「やるじゃない! でもこれじゃゾンビゲーってより、無双ゲーの方がノリが近いわね」
方天戟を振るって敵を押し返していく涼鈴達を前に、思わず雷光はそんな呟きを漏らす。
「しゃーない、出し惜しみはなしよ!」
取り出したコンバットドラッグ ハオマ・ドラッグを飲んで、フルチャージ。
高揚した精神と溢れ出る霊力を銃身に篭めれば、それは先程よりも遥かに巨大な光球と化し、薄暗い地下室を明るく照らし出す。
「因陀羅耶莎訶! 帝釈天降魔砲――!!」
刹那、四方に駆け抜けるのは、最大出力で放たれた雷撃弾。
「まだまだ!」
焼き焦げるゾンビ達が崩れ落ちるよりも早く、特殊な弾倉 ソーマカートリッジを素早くリロード。
再度放たれた雷撃は、ゾンビ達の群れをたちまち崩壊させる。
「修理費とカートリッジ代が怖いけど、ストレス解消にゃ持ってこいね!」
「すごいすごーい!!」
「ほう、負けてられんのう」
続けざまに放たれる雷光の大技を前に、涼鈴と善老斎もまた力づく。
再度飛び込み震脚を放つ善老斎の後から、涼鈴の軍勢が殺到し、ゾンビを駆逐していく。
「そろそろでしょうか。お願いします、ベルベナさん」
明が七色の光を帯びた杖を振れば、巨大な銀の刀身は戦場を切り分けるように戦場を疾駆。勢いで主戦場から弾き出されたゾンビ達が、あちこちで遮蔽物に躓いて転倒する。
「……着火」
ベルべナの合図と同時、物陰の一つが爆ぜた。
改造式時限爆弾による、爆破攻撃が開始されたのだ。
破砕した備品の鉄片を撒き散らしながら、フロア全体を包み込むように誘爆していく。
気付いた時には、戦場の周辺に、動かなくなったゾンビ達の山が築かれていた。
轟音と噴煙が幾度も上がる地下フロアにて、先駆けの猟兵達は、ゾンビの群れを蹂躙し続けるのだった。
大成功
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二條・心春
むむ、耐久力のあるゾンビとは、危険ですね……。何とかここで食い止めないといけません。彼らに安らかに眠ってもらうためにも、頑張りましょう。
近づかれるのは怖いですが、まずは逃げ回りながらゾンビを引きつけましょう。近づかれそうになったらクロスボウを撃って吹き飛ばして距離を取ります。まさかこんなホラー映画みたいなことをするとは思いませんでした……。
集まってきたら反撃開始ですね。スタングレネードを投げてゾンビ達をひるませたら、タブレットを操作して【召喚:雷鹿】です。密集していれば雷も通りやすし、吹き飛ばしてしまえば簡単には反撃されないはずです。フルフュールさん、まとめて吹き飛ばしちゃってください!
夜刀神・鏡介
生命力を共有する研究か。……いや、動く死体であるゾンビに生命力ってなんだって感じだが、そこは言葉の綾か
とにかく、こんなのが大量に溢れ出したりしたら大変な事になる。手っ取り早く始末させてもらうとしよう
神刀の封印を解除して、神気によって自らの身体能力を強化
剣戟と斬撃波でゾンビを近付いてくるなぎ払いつつ、隙間をこじ開けて大きく跳躍
落下の勢いを乗せた肆の秘剣【黒衝閃】によって強烈な衝撃波を放って纏めて攻撃
一発を叩き込んだら位置を変えつつ同様の立ち回り
UCによって少しずつ地形を破壊していく事で、最終的には崩落を引き起こす
ゾンビ達を階下に叩き落とす事で落下によるダメージを纏めて食らわせてやる
唸り声を上げ、二條・心春(UDC召喚士・f11004)に襲い掛かる冷たい手、手、手。その数計20本。
「まさかこんなホラー映画みたいなことをするとは思いませんでした……」
B級ホラーさながらの光景に、心春も思わず真顔だ。ゾンビ達の数は逃げ回る程に増えていき、今や厚い壁を構成している。
「させるか!」
心春を引き摺り込もうとする手の群れに、夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)が斬り込む。
封印を解除された鏡介の神刀【無仭】が紫紺の横一閃を描けば、浮き足立つゾンビ達を、クロスボウから放たれた爆弾矢が大きく吹き飛ばした。
だが仰向けの倒れ込んだゾンビは何事も無かったかのようにむくりと起き上がる。それどころか、後方から増援まで駆けつけ始めているようだ。
「むむ、やはり耐久力のあるゾンビは、危険ですね……何とかここで食い止めないといけません」
「生命力を共有する研究か……いや、動く死体であるゾンビに生命力ってなんだって感じだが、そこは言葉の綾か」
ゾンビ達から大きく距離を離しつつも、鏡介と心春は、目の前の敵の厄介さを認め合う。
「とにかく、こんなのが大量に溢れ出したりしたら大変な事になる。手っ取り早く始末させてもらうとしよう」
「はい。彼らに安らかに眠ってもらうためにも、頑張りましょう」
頷き合い、別方向へと分かれる鏡介と心春。
分断されたゾンビ達だが、それでも数は多い。近づくゾンビを後退しながら薙ぎ払う鏡介にも、再び無数の手が迫りつつあった。
だが、慌てず鏡介は刃を伏せ、足元を払う。駆け抜ける斬撃破に、直線状のゾンビ達が一斉に転倒した。
(「今だ」)
とん、と足音を残し、大きく跳躍。
「――肆の秘剣【黒衝閃】」
落下の勢いを乗せて放たれたのは、地を穿たんばかりの真一文字の振り下ろし。
着弾した衝撃波は放射線状に地面を駆け抜け、周囲のゾンビ達をも切り刻む。
一方、心春は土壇場でクロスボウを放ちながら逃げ回っていた。
心春目がけてあちこちから集まって来たゾンビの壁は、今や凄まじい密集具合を見せている。
それは、雷が通りやすいという事でもあった。
「反撃開始……ですね」
心春が取り出したのは、UDC職員が使うスタングレネードだ。
「……えいっ」
思いっ切り投擲すれば、たちまち閃光。目を潰されたゾンビ達が一斉によろめく。
咄嗟に目を塞いでいた心春は、薄目のままタブレットを素早く操作。
たちまち雷鳴と共に出現したのは、翼の生えた鹿型UDC、フルフュールだ。
「フルフュールさん、まとめて吹き飛ばしちゃってください!」
次の瞬間、心春とフルフュールを中心に、嵐を纏った雷が発生した。
それは追いかけて来たゾンビ達だけでなく、周辺にいた全てのゾンビ達を感電させ、反撃も許さず大きく吹き飛ばす。
心春が胸を撫で下ろしたのも束の間、近くで響いた大きな音に振り返る。
そこには、大きく穴が開いた地面を前に、刀を振り下ろした姿勢を取る鏡介。
そしてその穴に落下していく、大量のゾンビ達がいた。
続けざまに叩き込まれた神刀の一刀がフロアの崩落を起こし、階下に叩き落したのだった。
再び現れる後続のゾンビ達。だがその体には、分散されたダメージが与えられたのか、僅かに傷付いたような様子を見せている。
確かな手応えを前に、心春と鏡介は、目配せと共に武器を握り直すのだった。
大成功
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ラブリー・ラビットクロー
途中で起こされちゃったんだ?
寝てるのに起こされたららぶだってムカつく
だから代わりにらぶがみんなを起こした奴ら全部ぶっ飛ばしてやるのん
これだけ広いなら宙も飛べそー
行くぞマザー
【偽神兵器『天使の六翼』を起動します。お気をつけて行ってらっしゃいませ】
それにしても凄い数
みんな全員同時にやっつけるんだ?
ガソリン撒いてラビットブレスで燃やしちゃう?
【屋内での火器の利用は大変危険です】
じゃー爆弾
【地下での爆発物の持ち込みは大変危険です】
もー!どーしたらいーのんな!
【毒ガスの散布をお勧めします】
ゾンビにも毒ガスは効くんだ?
【生命力があるのであれば】
それならボンベを換えて
みんなをユメのセカイを連れてっちゃお!
ルドラ・ヴォルテクス
●アドリブ連携OKです
『地下4F、間も無く到達、リミッター解除開始します』
……少しあれを試してみるか。
【アストラ】
限界突破、出来るだけ誘き寄せて叩く。
高速での移動で、回避しつつ、牽制のインシネイト、ラプチャーズで、こちらへ注意を向ける。
近づきすぎた敵へは冷凍手榴弾で、行動を封じつつ、集めることを重視。
おそらく、背後からの挟撃があるだろうが、一本道で挟み撃ちを受ける形で、アストラを発動。
アストラは俺の意志そのもの、千の戦で千の型を執る!
アストラ、二対の砲となれ!
アストラを敵軍に高解放状態で解き放って、大ダメージを狙う。
あちこちに経年劣化の跡が窺える、エレベーター内。
その床下からは大きな音が響いて来る。先行した猟兵達による、交戦音だ。
「……始まったか」
準備を整えたルドラ・ヴォルテクス(終末を破壊する剣“嵐闘雷武“・f25181)の呟きに続いて、地の底から響くような音。
この場所に眠っていた、死者達の呻き声であった。
「途中で起こされちゃったんだ?」
ラブリー・ラビットクロー(とオフライン非通信端末【ビッグマザー】・f26591)の聴覚は、いち早く彼等の声を拾い上げていた。
「寝てるのに起こされたららぶだってムカつく」
「……」
誰に言うでもなく、そう呟く。
フラスコチャイルドの製造施設の一つ。
それはルドラにもラブリーにも無縁と呼べる場所ではない。
ここでどのような実験が行われていたかは不明だ。
だが検体としての役目を終え、安置所で静かに眠る彼等を、無理矢理蘇らせるのは、無体というものだ。
「だから代わりにらぶが、みんなを起こした奴ら全部ぶっ飛ばしてやるのん」
『地下4F、間も無く到達、リミッター解除開始します』
ラブリーの決意の言葉。それに続き、ルドラのスーツから響く声が、一段階の解除を宣言する。
「……少しあれを試してみるか」
湧き出す力を確かめるように、手元を凝視していたルドラが呟く。
同時にエレベーターのベルが鳴り――ドアが開いた。
たちまちエレベーター内に殺到する死臭と殺気。その真っ只中に向けて、ラブリーとルドラは駆け出した。
硬質の床を蹴り、奥へと向かう。
限界を突破した速度でルドラは攻撃を次々捌き、敵の注意を惹いていた。
殺到する幾つもの視線に、放たれる苦悶交じりの吠え声。圧倒的な数の多寡。まだ増える。
フロアを埋め尽くすゾンビの数は数知れない。回避とビームキャノンによる牽制を繰り返すルドラを迎え撃とうと、周囲からも続々と合流する。
「――!」
執拗に追って来る敵群に向けて、冷凍にセットした手榴弾 ラプチャーズを放ると同時に、狭い直線通路へと転がり込む。
たちまち元居た場所で青白い閃光が上がり、びきりと音を立ててゾンビ達が氷結した。
だがダメージを散らされたのか、たちまち溶解。光と冷気に反応し。さらに多くの後続が追い縋る。
その間、大きく距離を稼ぐルドラ。だがその時、遥か前方からも同様の唸り声が聞こえ始めた。
一本道での挟み撃ち。想定通り。
ルドラは迷わずアストラを展開。形成したのは、前後双方へと向けられた、巨大な一対の砲のような武器だった。
「……アストラは俺の意志そのもの、千の戦で千の型を執る!」
前後から迫るゾンビ達をギリギリまで引き付けた所で――ルドラはそれを咆哮させた。
最大まで解放されたエネルギーの奔流は、一本道に押し寄せたゾンビ達を全て押し流し――そのままフロア全体を一直線に貫くのだった。
ルドラを見送る形で立ち止まり、ラブリーは天井を仰ぐ。
「これだけ広いなら宙も飛べそー」
大規模な施設だったのだろう。このフロアは面積もさることながら、天井も中々に高い。
少なくともゾンビの腕は届きそうにない。ならば、やる事は一つだ。
「いくぞマザー」
【偽神兵器『天使の六翼』を起動します。お気をつけて行ってらっしゃいませ】
ぴこん、と音を立ててビッグマザーが宣言すれば、たちまちラブリーの背中に輝く六つの翼が広がる。
翼はラブリーの体を宙へと舞い上げ、戦場を俯瞰出来る位置へと。
「それにしても凄い数。みんな全員同時にやっつけるんだ?」
眼下を埋め尽くさんばかりのゾンビの群れ。倒す方法はあるだろか。
暫し思案。
「ガソリン撒いてラビットブレスで燃やしちゃう?」
【屋内での火器の利用は大変危険です】
「じゃー爆弾」
【地下での爆発物の持ち込みは大変危険です】
「もー! どーしたらいーのんな!」
提案を次々却下するマザーにラブリーも憤慨する。ぷんすこ、という擬音が地上のルドラへも聞こえてきそうだ。
【毒ガスの散布をお勧めします】
「ゾンビにも毒ガスは効くんだ?」
【生命力があるのであれば】
「それならボンベを換えて、みんなをユメのセカイを連れてっちゃお!」
ごそごそと火炎放射器を弄り回すラブリーは、ややあって、砲口をルドラの居ない方向へと向けた。
そこからもくもくと撒き散らされる煙は、眼下のゾンビ達に大打撃を与えたのだった。
大成功
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レテイシャ・マグナカルタ
エレベーターで到着するまでに拳に魔力を練り準備をしておく
開いたら跳び出して、掴む腕も気にせず引きずり、噛み付こうとする口にむしろ拳を突っ込む勢いで一番手前の奴をUCで殴り飛ばし。地面に叩きつける勢いで周囲もいっきに吹き飛ばす
その後天井に向かって飛びあがり、端の方に向かってUC蹴りを叩きこみながら鉄棺やベッドも蹴り飛ばしてゾンビに叩きつけて行く
多少効率悪いかもしれねぇけど、これが一番巻き込める形だぜ
ポノ・エトランゼ
アドリブ・連携歓迎
大量のゾンビ……地上に放たれたら大変なことになるわね(ぞわっとした)
地上の人たちへの被害ナシ! で抑えられるよう、頑張りましょう
なるべく一気に、ね! 任せて!
エレベーターから出たら魔法の杖を持って、UC
感電もするはずだけど多分、敵は痛みとか感じなさそうよね
けれども怯めば隙は出来るはず
仲間の援護としても役立てるかしら?
後はバディペットのコタマさんも放つ
遮蔽物の上を行き来して元気におびき寄せて頂戴ね
私はコタマさんの邪魔をしないよう隠れつつ、ゾンビたちが釣られて来たら、這い寄るゾンビも巻き込んでUCを放つわね
経年による劣化を経たエレベーターは、絶えず軋みを上げていた。
だが降下するにつれて別の物音が床を震わせ始める。
地の底から響くような、人のものとも、獣のものともつかぬ声。
それは、かつてこの地に眠っていた、死者達の呻き声であった。
「大量のゾンビ……地上に放たれたら大変なことになるわね」
彼等が人々を襲う光景を想像し、ポノ・エトランゼ(ウルのリコ・f00385)は思わず総毛立つ。
おそらくゾンビ達はレイダー達の手で地上へと放たれる予定だったのだろう。
その前に介入出来たのは僥倖と言える。ならばこの機を逃す手は無い。
「地上の人たちへの被害ナシ! で抑えられるよう、頑張りましょう」
そう言ってエレメンタルロッドを引き寄せるポノを背に、レテイシャ・マグナカルタ(孤児院の長女・f25195)が頷きを返す。
「……ああ。孤児院で待ってるあいつらの為にも、負けられねぇ」
その視線は、入口の向こうに向けられていた。
ドアに額が触れそうな距離で、呼吸を整える。
体内の魔力を意識的に制御すれば、握り込まれた右手に、蒼い光が収束し始めた。ポノもレテイシャの真後ろに付く。
やがてベルの音と共に、ドアが開いた。
殺到する死臭と殺気。掴みかかる無数の腕。
だが構わずレテイシャはフロアへと飛び出す。
防御を巡る魔力による肉体強化に任せ、横から腕を掴むゾンビを引き摺り――真正面のゾンビのぽかんと開いた口に向けて、打ち下ろし気味の拳を叩き込んだ。
「ふんっ!!」
地に発生する同心円。そして円中央、顔面から叩きつけられるゾンビ。
特大の地形破壊が発生し、噛み付こうとした者を、掴みかかったゾンビを、そして周囲にいた者を地に叩き落とした。
破壊された地面を蹴ってレテイシャが側面へと駆け出す。
入れ替わりにフロアへ飛び出したのはポノ。再び殺到するゾンビ達に向かい合う。
エレメンタルロッドを真っ直ぐ突き出し、砲声。
「痺れちゃって!」
瞬間的に宙を駆け抜けた紫電はフロアを埋め尽くす。撒き散らされる稲光に洗われ、ゾンビ達がその肢体をじたばたと動かした。
(「感電してるみたいね。痛みとかは感じてなさそうだけど……」)
だが果たしてポノの思惑通り、彼等には効果覿面だったようだ。
最前列のゾンビ達が虚ろな目と口からぷすぷすと黒煙を上げ、断末魔と共に崩れ落ちる。
後続が僅かに見せた、怯みにも似た反応を、ポノは見逃さなかった。
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大跳躍。
そのまま天井の遥か高みから、レテイシャが飛び蹴りをかます。
蒼く輝く魔力に包み込まれたその右足は、掠っただけでもタダでは済まない。
だだしレテイシャの狙いはゾンビでは無く、フロアの端。備品が大量に置かれた壁面だった。
「……おらっ!!」
直撃と同時、大量の埃と一緒に吹き飛ぶ、ベッドに鉄の棺桶、その他諸々。
地形破壊の余波は近くに置かれたロッカーを将棋倒しにし――連鎖的にゾンビ達をも押し潰した。
レテイシャとポノの広範囲攻撃により、ゾンビの群れの中央には大穴が開いた。
戦場から弾き出されフロアの隅を彷徨うゾンビ達に、立て直しの暇は与えられなかった。
彼等を待っていたのは、尚も続くレテイシャの破壊と。
(「よろしくね」)
物陰に身を顰めるポノが放った、食の誘惑だった。
ロッカー群の上に、バディペットであるコタマエッグランティア1世、コタマさんが飛び乗る。
寄って来たゾンビ達が手を伸ばそうとするが、遥か頭上を元気に行き来するコタマさんには届かない。
這い寄るゾンビもまた姿を隠す事を忘れ、天井を見上げているようだ。
「……今ね」
隙を見計らい、ポノの杖が再度杖を掲げれば、再び紫の閃光が迸り、釣られてきたゾンビを焼き焦がす。
多くを巻き込む事を意識した二人の動きは、着実に敵に傷を刻み――そして。
「レテイシャさん!」
「よっしゃあ!!」
戦いの流れの中で生まれたゾンビの一群に向けて、ポノが牽制の雷撃を放ち動きを封じ込めれば、その一瞬を突いてレテイシャが突っ込む。
中心に位置する一体を地面に叩きつけた瞬間、凄まじい音がフロアに響き渡った。
一拍の後、フロアに居る全てのゾンビがみるみる色素を失い、灰の塊と化してその体を崩していく。
度重なる攻撃を前に、共有していた生命力が尽きたのだ。
「終わりね……あのゾンビが人々を傷付けていたかも知れないと思うと、ぞっとしないわ」
その様子を見ながら、足元に寄って来たコタマさんを労うように抱え、ポノが呟く。
「ああ……だが何とかなったんだ。さぁ、帰ろうぜ」
役目を終えた研究施設は、再びその静けさを取り戻した。
地上の光を目指し、二人はこの場を後にするのだった。
大成功
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