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迷宮協奏曲

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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●困っているのです
 薄闇の中、とことこと移動する足音が響いていた。みゅうみゅう、と戸惑って響く声がやがてぴたりと止まる。低くひくく、幼いなりにかれらが零す声はその空間に対しての威嚇であった。
「みゅぅうううう」
 ふるふると毛を震わせ、ぴん、と耳を立てた先、もっふもふの小動物たちはチェス盤のようなタイルに唸る。そこにある何かを感じ取っているからだろう。真面には戻れない。でも、この奥に行くのはもっと危険なのだと水の匂いでよく分かる。
「みゅう」
「みゅう、みゅみゅう?」
 戻れないけど進めない。けれどけれど、諦めたくなくてもっふもふな動物たちはみゅー、と切ない鳴き声を迷宮に響かせていた。

●迷宮協奏曲
「思うに、迷宮って何でも起きすぎだと思うんだよね」
 まぁ、だからこそ迷宮なのかもしれないけれど。と息をついたのはユラ・フリードゥルフ(灰の柩・f04657)であった。つい、と眼鏡をあげて集まった猟兵達を見ると、まぁちょっとした面倒ごとが起きたのだと初年は言う。
「おにーさんやおねーさんたちは、水って完璧に斬れると思う?」
 切る、若しくは打ち砕けるか。
 問いかけた先、うん、とユラは頷いて笑う。
「まぁ、変な質問だよねってことは俺もよく分かっているだけど。その手の災魔が迷宮にいることがちょっと分かったんだよね」
 アルダワ魔法学園に幾つも存在する学園迷宮。
 そのひとつで、面倒ごとが起きたというのだ。
「そもそもの始まりは……もふもふな動物達が迷宮に迷い込んじゃったみたいで」
 ふわふわとした羊に似た生物だったり、うさぎだったり。
 そんなもふもふの動物達がひょんな理由で迷宮に迷い込んでしまっているのだ。
「勿論、救出しないと、という話にはなったんだけどね。ちょっと問題があって」
 曰く、水嵩が増えているーーというのだ。
 元より水路のような迷宮。罠の関係か、いっとき水嵩が増したりするということはあったが、その量が動きが異常だったのだという。
「まるで意図があるかのようだったって話でね。まぁその勘は間違ってなかったんだよね」
 そう言って、ユラは狩人たちを見た。
「水の災魔ーー、滝行という神聖な行事が何処かで呪いを得たものだろうね。で、勿論そうなればある程度意図的に迷宮内のエリアを意図的に水没させられる」
 幸い、今であれば多少の無茶で辿り着ける範囲にある。力一杯泳ぐ羽目にはならないだろう。
「でも普通の学生じゃどうなるか分からない。それに迷い込んだ動物にとっても。ってことで。おにーさん、おねーさん達には迷い込んだ動物を救出しつつ、迷宮に潜む災魔のとこまで行って討伐してきて欲しいんだよね」
 災魔がいる以上、救出したところで立ち往生してしまっている状況は変わらない。見る限り、集まった猟兵達がひとり一体、救出できれば問題はないはずだ。
「抱えて連れてってねってことで。もふもふな動物みたいだし、硬いとか痛いよりはまぁいーんじゃないかな」
 さらりと言って、ユラは迷宮のフロアについて説明をする。
 動物達が迷い込んでいるのが、チェス盤のようなものが刻まれたフロアだ。入口と、次のエリアへと向かう扉付近は水没しているが中央の区画が残っている。
「そこに動物達が身を寄せ合っている。水没しているエリアは床の一部が水面から浮き上がっていて、恐らく何らかのトラップだろうね」
 正しく踏んでいけ、ということか。水の中には何かがあるのだとユラは言った。
「なにせ、小石が落ちても浮き上がっている床が変動してるからね。空中を移動しても水か床かが反応しそうだよ。トラップが反応するより先に行くかどうかはおにーさんやおねーさんに任せるよ」
 動物達を確保したら次のエリアだ。詳細は不明だが、ただ火薬が使われている可能性がある。最終エリアにて潜んでいる災魔は滝行の呪いだ。
「災魔のいるフロアは広く、でも一番水没の被害が少ないのは分かっているから基本水中戦は無いよ」
 さぁ、とユラはいう。手のひらの上、浮かぶ光に一度目を伏せて。
「おにーさん、おねーさん。どうぞよろしく。水を斬ってみせてね」
 それと、動物もよろしくね、とユラはにこりと笑った。


秋月諒
 秋月諒です。
 どうぞよろしくお願い致します。

 第一章……もふもふ達の救出。
 チェス盤を模したエリア。盤面は水没しているが水が綺麗でよく見える。
 入口と次のエリアへの扉前付近が水没しており、中央の区画だけが生き残っている。

 もふもふ的動物について。
 猟兵ひとりが一匹、救出するとちょうど良い感じです。
 どんなもふもふ動物がいたのかプレイングにあるとありがたいです。オブリビオンが指定されてい場合不採用となります。

 第二章……不明。火薬を使用したトラップである可能性が高いです。

 第三章……ボス。滝業の呪との戦い。水没度が低いです。エリア詳細は不明だが、動物を避難させておくエリアはあるらしい。

 各章、開始前に序章を出します。

 それでは皆様、ご武運を。
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第1章 冒険 『もふもふ達を救出せよ!』

POW   :    罠にかかろうがもふもふのため!力づくで突き進む!

SPD   :    誰よりも早くもふもふの元へ!罠にかかる前にかわしながら探す。

WIZ   :    罠を解除し、もふもふ達の入った道筋を探る。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●エンドゲーム・スタディ
 水の、匂いがしていた。
 冷えた水の匂いに、視線をあげれば松明に照らされたフロアが見える。明るさは十分。平時であればーー恐らく、黒と白、二色のチェス盤を上手く移動すればそれだけで済んだ話だろう。
 だが『今』はそうはいかない。
 チェス盤のフロアは水没していた。猟兵達のいる入口と、チェス盤フロアの出口ーー次へと向かう扉の付近だけが残っている。残りは陥没でもしたのか、水に沈んでいる。一部、チェス盤を模した床が水面に上がっていた。規則性があるわけでもなく、ぼこぼこと浮き上がっている床は乗れば沈むらしい。
 斜めに渡るのか、それともまっすぐ渡るのか。
 ひとつ空き程度であれば猟兵ならば問題なく渡り切れるだろう。
 それともひとつ目を蹴って、壁を蹴って進むのか、それとも全く別の方法を選ぶのか。
 フロアを沈めた水は、災魔の影響を受けているのか何かがあるのは確かだがーー何より、中央のエリアにはもふもふな動物達がみゅうみゅう困っているのだ。
「みゅ?」
「みゅうみゅ……! みゅうみゅう!!」
 君たちに気がついた動物たちもいるらしい。
 さぁ、どうやって助け出そうか。
英・明夜
きゃあ! 遠目でも、もっふもふで、ふあっふあだねえ…!

取り敢えず、もふもふさん達が居る床がもう沈まないか観察して。
それから、近くで浮いてる足場をなぎなたで突いたり、石を投げてみたりして、他の床がどうなるか、確認。
最初の床が浮いたら、沈む前に次の床に渡っちゃう!(ダッシュ)

中央の床まで辿り着いたら、また同じ方法で渡るね。
もふもふさんは…、ふふー、狐みたいな、もふ狐さんに呼び掛けるね。
おいで、おいで。明夜も頑張るから、一緒に、来てくれる?

もふもふさんを抱っこして、次のえりあに、また走って跳ねて。
床が無いよー!って時は、神鼠様をお呼びするね。えっと…床代わりに…(後で深ーくお詫びする…!)



●狐の少女ともふ狐さん
「きゃあ! 遠目でも、もっふもふで、ふあっふあだねえ……!」
 英・明夜(啓明・f03393)は金の瞳を瞬かせた。みゅ、みゅいみゅい? と中間地点にいるもっふもふな動物たちが明夜の方を向く。ひょこひょこと揺れる耳や尻尾にどうしたって心が弾んでしまう。
「取り敢えず……うん、もふもふさん達が居る床は沈まないみたい」
 よし、と明夜は頷く。まずはもふもふさん達の安全の確保はできた。周りの確認に時間をかけても彼らのいる場所が沈むようなことは無さそうだ。水に沈んだエリアを警戒しているのだろう。もふもふな動物さん達が動き出してしまう様子も無い。
「あの辺りはどうだろう」
 ついつい、と明夜は近くの浮いている足場をなぎなたでつつく。硬い感触が手に返る。どうやら浮いているのは石のような硬い足場らしい。浮き上がったのはこの「水」の所為か。明夜はとりあえず、石を投げてみる。
「うーん、水が揺れるだけなら他の床が動いたりはしないみたいだね」
 なぎなたで突いても沈むことが無かったから、此処はやっぱり、渡ってみるしか無いかもしれない。
「うん。よし」
 こくり、と少女は頷いて、最初の床にーー近場にあった床に飛び移る。瞬間、ぐん、と床が揺れた。床が沈んでいく感覚に、たん、と急いで地面を蹴る。白い床はチェス盤の名残か。ダッシュで移動して、飛ぶように明夜は中央の床へと辿り着いた。
「もきゅ!?」
 たん、とやってきた少女に驚いたのか、ぽふん、ともふ狐さんの毛が膨らむ。ぱふん、と膨れた尻尾を足に巻きつけて、ふるふるとしたもふもふな狐に明夜は声をかけた。
「おいで、おいで」
「もきゅ?」
 こてりと首を傾げたもふ狐に、少女はそっと呼びかける。
「明夜も頑張るから、一緒に、来てくれる?」
「もきゅ……、もきゅっ」
 斯くして少しばかり考えた後に、もふ狐は明夜の傍までやってきた。とたたた、ときたもっふもふな狐さんを抱き上げて、さぁ、次のエリアに向かって床を蹴る。ーーの、だけど。
「床が無いよー!」
「もきゅー!?」
 腕の中、ぱふん、と膨れたもふ狐さんを抱きしめながら、明夜はは声を上げた。
「神の御使いたる白ネズミ様、おいで下さいませ!」
 いつもより少しだけ早口に。現れた神鼠様に向かって明夜は飛んだ。そう、足場の代わりに。
「!?」
 え、ほんとに!? と神鼠様が思ったか、思わなかったかは巫女たる少女だけが知るところに。床のない場所をかけた明夜を応用に、せり上がった水さえ受け止めた白ネズミさまがちょっとばかり切ない後ろ姿を見せていたけれどーー。
「到着、だね」
 ひとまず、ゴールだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

エレステイル・テイル
POW
ふわー、チェスばん?はよくわからないけど。
水がきらきらしてて、なんかきれいなところだね。
でも危ないことになってるんだよね?いそいで動物さん助けないとね!

ボクは大きなうさぎさん運ぶよ。
勇気をだしてダッシュすればだいじょうぶ!なはず!
うさぎさんがこわくないように、だいじょうぶだよーって声をかけながら走るね。
余裕があれば、なでたりして。

しっぽをちゃんと上げれば、バランスもとれると思うけど。
転ばないよう、いつもの何倍も気をつける。
水にぬれるのは平気だよ。深いところがあったら、ジャンプしてみるけど……届くかなあ?

この先も危ないみたいだけど、ボクがちゃんと守るからね。

アレンジ歓迎



●ちいさな竜と大きなうさぎさん
「ふわー、チェスばん? はよくわからないけど。水がきらきらしてて、なんかきれいなところだね」
 透き通った水が底にあるチェス盤を写していた。ぱち、ぱちと金の瞳を瞬かせて、エレステイル・テイル(ドラゴニアンの聖者・f14363)は水面を見る。映り込んだ自分の顔と一緒にご自慢の尻尾が揺れる。土の汚れも、淀みもない美しい水は、だが中央の床にいる動物達が警戒して動かないだけの『何か』がある。
「みゅう」
「みゅ、みゅうみゅう?」
 ふるふると耳を震わせて、水面を覗き込んではひょこっともふもふの群れの中に戻るもふもふ動物さん達を見ながらエレステイルは、ひとつ頷いた。
「危ないことになってるんだよね? いそいで動物さん助けないとね!」
 顔を上げて、浮き上がった床を見る。先に猟兵が移動した後、床のひとつは沈みーー今度は黒い床が浮き上がっていた。少しだけ距離はあるが勇気を出せば大丈夫。
「なはず!」
 てい、とジャンプをして、ダッシュで次の床を目指す。水から上がってきたばかりの床は、ピシャンと仔竜の道行きに煌めきを零す。次の床までちょっと遠いけれど、勇気を出して勢いよく床を蹴って行けば中央の床の、端っこまで辿り着く。
「わわわ……っと」
 ぱたぱたと手を伸ばして、それでも何とか無事に真ん中まで辿り着いたエレステイルの前、みゅ? と大きなうさぎが姿を見せる。
「みゅ、みゅみゅい!」
 もっふもふも大きなうさぎの、きらきらとした視線は「よし行こうよ」と告げるものか。よいしょ、と持ち上げれば、でろん、とうさぎさんの体が一瞬伸びる。
「えっと、と」
 ぎゅ、っと抱っこをして。もう一度、今度は次のフロアへと向けて床を蹴る。
「みゅ!?」
「だいじょうぶだよー」
 うさぎが怖くないように、そう声をかけながら少女は走る。勢いよく、二歩目の足で床を蹴って。撫でるだけの余裕はないけれど、ぴん、としっぽをあげればバランスも取れる。コロがないように、いつもの何倍も気をつけて。だって今日は、ひとりじゃないのだから。
「みゅ、みゅいみゅい!」
「ふわっ!?」
 てい、と踏んだ床が、予想より早く沈んだ。踏む床にルールはあるみたいだが、幸い、此処はそう深くはない。
「うさぎさん、うさぎさん」
 声をかけて、少しだけ肩に乗ってもらって。肩車の格好で少女は飛ぶ。ジャンプひとつ、何とか上に辿り着けば、次の床を選んでいく。水に濡れるのは平気だ。みゅいみゅい、と言う大きなうさぎさんも、エレステイルが声をかけていたお陰で怯えてもいない。
「この先も危ないみたいだけど、ボクがちゃんと守るからね」
 とん、と最後の床を飛んで、次のエリアへと続く床へと辿り着く。肩に乗っていた大きなうさぎはぴょん、と跳ねて仔竜の腕に飛び込んだ。
「みゅい」
 ぱふり、と顎を肩にのっけて。ご機嫌なうさぎさんにエレステイルも笑みを零した。
 

成功 🔵​🔵​🔴​

浮世・綾華
嵐吾(f05366)さんと

はい、あの子らの為にがんばりましょ
あれ。嵐吾さん、意外とメンドくさがり?

まずは絡繰ル指で複製した流水文ノ鎖の両端に黒鍵刀を繋ぎ
今の陸地と中央を数か所繋いどく
落ちそなった時掴まったり罠を除ける際に使えりゃ幸い

俺は左方面中心に警戒
んでも視野は広く持って全体を注意

浮かぶ床を踏み、沈む前に次へ
嵐吾さーん、そっち?そっちから行く?よっと…
近くを移動しあっちが罠に掛かりそうになれば手助けすんネ

俺、出来るだけ水には濡れたくねーから
(鍍金されてっケド万が一錆たらやじゃんな…)

嵐吾さんと子狐には親子みてえと和み
一目惚れしたおっきめふかふかにゃんこを抱く
安全な場所までエスコートさせて?


終夜・嵐吾
綾華君(f01194)と

わしもチェスわからん。オセロくらいじゃなぁ
行けるとこまで行って、ダメそうなら臨機応変でがんばろ!

綾華君の準備を見つつ頭を使うことは、お任せ!
わし割とめんどうなこと考えるのやめるからの……
行けばどうにかなる(まがお)

綾華君に左方向を主に任せわしは右方向中心に注意を
ここからじゃとあーんな感じで行けば良いかの、と見えている足場を示してルート確認
互いに声かけあいつつ罠にかかれば助け合い

水に落ちたら泳ぐ
濡れても困るもんでもないしの
毛並みがしょんぼりになってしまうがな!

中央に着いたら子狐を抱え上げ
目があったじゃろ!なれももふもふ尻尾じゃな
わしの肩に乗れるか?安全な所まで連れて行こう



●鍵と狐とにゃんこときつね
 白と黒、二色のタイルが澄んだ水の下に見えていた。ある程度、先に進んだ者もいるからだろう。水面は揺れーーだが、思うより早く落ち着いていた。
「わしもチェスわからん。オセロくらいじゃなぁ」
 盤面を覗き込み、終夜・嵐吾(灰青・f05366)はゆるり視線を上げる。
「行けるとこまで行って、ダメそうなら臨機応変でがんばろ!」
「はい、あの子らの為にがんばりましょ」
 ひとつ、頷いた浮世・綾華(❂美しき晴天❂・f01194)を横に、嵐吾は先を見る。中央の床までの間に、幾つか浮いた床を経由する必要はあるだろう。とりあえず、渡れそうな床は幾つかある。渡れなかったとしてもーーまぁ水に落ちたら泳げば良いだけの話だ。
「わし割とめんどうなこと考えるのやめるからの……。行けばどうにかなる」
「あれ。嵐吾さん、意外とメンドくさがり?」
 ざっくり響いた言葉に、綾華は小さく赤い瞳を瞬く。緩く首を傾げた先、ゆるりと口元に笑みを敷いた狐は前を見た侭。やれ、とついた息は誰のものだったか。細い指先に流水文ノ鎖を絡め、複製した鎖の先に綾華は黒鍵刀を繋ぐ。
「――コレをこうして、こうな?」
 ひゅん、と軽く放てば刀が中央の床に突き刺さる。みゃ!? と上がったのは中央にてもふもふっと固まっていた動物のものか。今の陸地と、中央を数カ所繋ぶ簡易の足場を作り上げれば物珍しそうに中央の動物たちが鼻先をあげていた。
「みゅ?」
「みゅ……みゅいみゅい?」
「みゃぁん?」
 ちょっとだけ、ちょっとだけと小さな足を伸ばして、引っ込める。そんな姿を微笑ましげに見守るって、さて、と二人が動き出す。綾華が左方面を、嵐吾が右方面を中心に警戒しながら進んでいく。とん、と飛び乗った先、床の上で考える暇はあまりないがーー床が沈みきる前に綾華が作った足場に移れば少しばかりの時も稼げる。
「ここからじゃとあーんな感じで行けば良いかの」
 前にひとつ、後は斜めに。ひょい、と嵐吾は指差して綾華を呼ぶ。
「綾華君」
「嵐吾さーん、そっち? そっちから行く? よっと……」
 とん、とん、と飛び乗って、浮き上がってきた床を蹴れば、ぴしゃん、とキラキラと水が跳ねる。後少し、と進んできた先、二人揃って床を踏んだところで白い床がーーぐ、と沈んだ。二人分の重さに耐えきれぬようにではない、何かを押し出すように。
「おや、沈むのう」
 この形で、と嵐吾が息を落とす。
「いや、沈むってよりは、なんか出てきてる?」
 言いながら、トン、と先に軽やかに床を蹴ったのは綾華だ。
「俺、出来るだけ水には濡れたくねーから」
 鍍金されてっケド万が一錆たらやじゃんな……。
 鍵から生まれた宿神である青年にとって、濡れぬ方法があればそちらを取る。先に張っておいた鎖へと手を伸ばし、ぶら下がったままくるり、と身を回す。しゃん、と揺れる鎖に着地すればぶら下がる嵐吾の姿が見えた。
「嵐吾さん、いけてそう?」
「ちょっとばかり、毛並みがしょんぼりになってしまったがな」
 続く足場もできたようじゃしのう、と狐は笑う。どうやらあのチェス盤の足場は二人で同じ場所を踏んだ場合、新しく足場を追加するようだ。せり出した、という感覚が近い新しい足場を踏んで、とん、と中央の床に何とか辿り着く。しょんぼりとしてしまった尻尾を軽く絞ったところできゅい、と小さな鳴き声が嵐吾の耳に届いた。
「きゅい……?」
 それは小さな小狐。目が合えば、ぴん、とたった耳が揺れた。
「目があったじゃろ! なれももふもふ尻尾じゃな」
 ひょい、と小狐を抱え上げれば、驚いてまん丸になった瞳と出会う。くるり、と回ればもふもふの尻尾をした小狐はきゅ、と声をあげた。
「わしの肩に乗れるか? 安全な所まで連れて行こう」
「くぅん」
 きゅ、と聞こえたのは頷きか。しゅるり、と小狐は嵐吾の肩に乗り、もふ、と尻尾を絡める。
「親子みてえ」
 そんな一人と一匹の姿に綾華は吐息を零すように笑い、そう、と片膝を追った。伸ばし指先は一目惚れをしたおっきめのふかふかにゃんこ。
「みゃぁ?」
 抱き上げればこてり、と首を傾げた姿に綾華は笑みを零した。
「安全な場所までエスコートさせて?」
「みゃう」
 するり、と頬を寄せたのが答えか。ふっかふかの尻尾も濡らさぬように腕を回して、二人は残りの床も突破していった。今度こそ、濡れることもないままに。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジゼル・スノーデン
もふもふがわたしを待っている!!

いろいろ考えたのだが……
まあ、ダメ元で船作るか!(笑顔)
要は、もふもふを助ければいいのだろう!
わたしは、腕いっぱいになるくらいの!大型の!うさぎがいい!!
こう抱っこしたら、顔までもふぅってなるかんじの………(うっとり)
船を作って、水の上をそーっと……………こういう時こそ、冴えろ。わたしの第六感。
あとは罠にかかっても、泣かない!くじけない!の精神、だ!

あ、一緒にボートに乗りたい人がいるなら連れて行くぞ?
安全とは限らないし……その、
まあ。うっかりしたら沈んじゃうんだけどな?その時は、全力で入り口まで戻って浮きパネルを踏むとしよう



●碧瑠璃の少女ともふもふうさぎ
 トラップがあるという。
 チェス盤を模したエリアだったという。
 入ってきた水は恐らく、フロアボスに関係したものだというーーが。何よりも、そう多分何よりもジゼル・スノーデン(ハルシオン・f02633)にとって大切なことがあった。
「もふもふがわたしを待っている!!」
 そうもふもふが。待っているのだ。そう、確かに中央の床でもふもふした動物たちがもきゅもきゅ、みゅいみゅい言いながら残っている。彼らだけで決して渡れない訳ではないだろうがーー此処は危険であると、そう分かっているだの。トラップエリア。迷宮であれば不思議はなく、問題なく解ければ濡れるような被害もないのだろう。だが、そうとりあえず濡れるかどうかの話で、手が届く場所にもふもふがあるというのならばーー……。
「いろいろ考えたのだが……まあ、ダメ元で船作るか!」
 それはとても良い笑顔でジゼルは言ったのです。
「要は、もふもふを助ければいいのだろう!」
 なにせ大切なのはそこなのですから。ですから!

「さぁ、海に出よう。星を拾いに。月夜に浮かぶ真珠の泡を」
 ととん、と踵で床に触れて、ジゼルは歌う。
「誰かが作ったはじまりの歌を。拾い集めに、海へ。海へと」
 さわさわと青の髪が揺れる。ふ、と最後に零した吐息ひとつ、水面にボートが現れた。
「よし、いくぞ」
 水の上をそーっと、ボートでジゼルは移動していく。
(「こういう時こそ、冴えろ。わたしの第六感」)
 なにせもっふもふが待っているのだから。中央の床で、こちらに首を傾げていたもふもふな動物たちが突如出現したボートにぴぴん、と耳をたてていた。ぱふん、と驚いて尻尾を膨らませたのは誰だろうか。
「きゅい!?」
「みゅいみゅい?」
「みゅ?」
 端っこまでやってきて、それでも降りるのは怖いから小さな足できゅ、と床を捕まえてもふもふ動物たちがジゼルを見る。
「……っ」
 かわいい。すごくかわいい。
 もふもふがもふもふで、ほんとにもう可愛いのだ。うん、ボートで行くのも間違いじゃない。そう思いながら水面を滑っていけば、ざぁああと水面が揺れた。
「!」
 ガウンと重い音とともに、隣の床が迫り上がる。ある一定のエリアに差し掛かった瞬間だ。ぐわり、と大きく揺れたボートに転覆しないようにジゼルはオールを握る。
「こう言う時は、右だ……!」
 己の勘を信じて、くじけずにボートを滑らせていけば中央の床へとたどり着いた。
「もきゅ?」
 そこにいたのは、大型のうさぎだ。もっふもふの、もっこもこのうさぎに思わずジゼルは抱きついた。
「きゅい? もきゅいきゅ?」
「さぁ、いこう」
 ずっと此処にいてはきっと困ってしまうから。誘いを口に、頷くようにすり寄ってきた大きなうさぎを抱きしめればーー腕いっぱいの、もっふもふだ。顔までもふぅとなってしまう。
「きゅい? もきゅきゅ?」
「いや。うん、だいじょうぶだ」
 もっふもふがもっふもふで、もふなだけで。
 さぁ、ひとりと一匹でボートに乗って。次のフロアの入り口まで。おっきなうさぎさんの重さにボートはちょっと揺れたけれど、何とか無事にたどり着いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

サラ・カトレット
大変、動物達があんな所に取り残されて
心細いでしょうに…待っててね、今すぐ助けてあげるから

【WIZ】
渡る前に小石を投げて盤の反応を見ます
床が沈むと他の床が浮き上がる、とか
盤の沈む速さにも注視を
それらを見比べて上手く最短ルートを模索

動物達はどうやって進んだのかしら
盤に足跡が残ってないか注視、あればそこを渡ります

水中も危険ですよね
そうだ、あの子たちに聞いてみましょ【動物と話す】
動物の直観力は頼りになる筈
『この盤は渡っても大丈夫そう?危険を感じる?

私も【第六感】に訴えかけ
動物達と意見が違えば動物達を信じます

まあ、なんて可愛らしい子達なのかしら

じゃあ…小さくてモフモフのまん丸兎さん
私に付いてきてくれる?



●乙女とまんまるうさぎさん
「きゅいーきゅいきゅいっ」
 中央の床には、もきゅもきゅと心細い鳴き声を上げるうさぎがいた。移動するのも怖いけれど、残っているのも怖いのだろう。道に左に、移動してはもきゅぅ、最後に丸くなってしまうのがサラ・カトレット(夢見る乙女・f06458)の目に見えた。
「大変、動物があんな所に取り残されて。心細いでしょうに……待っててね、今すぐ助けてあげるから」
 まずは、辿り着く為に、とサラは水面を見た。見た目はただの水だがーー……。
「うん、小石ひとつだと特に反応はない見たいだけど幾つか一気に投げてみると反応があるのね」
 水面に波紋を描くというよりは、水面に落ちる影を認識しているようだ。ざぁあと動いた盤面を、その動く速さを確認したサラは中央への最短ルートを選ぶ。
「よっと。えっと、この次は……」
 あまり悩んでもいられない。どうしましょう、と考えたところで、ふと、サラは思い出す。
「動物達はどうやって進んだのかしら」
 彼らは此処に迷い込んでしまったのだ。
 その時はまだ、水が此処まで上がってきていなかったとしてもチェス盤のトラップはあった筈だ。
「さすがに水の中にも沈むから、足跡は残ってないのね……」
 とはいえ、このまま悩んでいたら床は沈んでしまう。
「そうだ、あの子に聞いてみましょう」
 動物の直観力は頼りになる筈。
『この盤は渡っても大丈夫そう? 危険を感じる?』
『みゅ!? 聞こえるのきこえるの?』
 サラの動物会話に、もふもふのうさぎが目をぱちくりとさせた。驚いた顔は一瞬に、あわわ、とうさぎの慌てた声が耳に届く。
『そっちはだめだよ。まっすぐと、その後横にとぶんだ』
『こっち?』
 サラが指差した先、浮き上がった床は少し距離があるがーーそこは、サラも行けるのではないかと思っていた場所だ。とん、と力強く床を蹴って、少女は飛ぶ。ふわりと揺れたスカートを抑えて、もう一回。今度は中央へと向かって飛べばーー無事に到着だ。
「きゅいー!」
「まあ、なんて可愛らしい子なのかしら」
 ぴょん、と跳ねるもふもふのうさぎにサラは思わず笑みをこぼす。
「私に付いてきてくれる?」
「きゅい。きゅいきゅい!」
 小さくてもふもふのまん丸うさぎはもきゅ、とサラの前にやってきた。もちろん、とでも言うように。顔を上げたもふもふうさぎに笑みを零して抱き上げると、残りの床を無事に渡り次のエリアへと続くフロアへと辿り着く。とん、と最後の一歩を踏めばーー閉じられていた扉が動くのが分かった。鍵が落ちる音はない。錠前のない扉はずるずると天井に吸い込まれるように消えていく。奥へと続く長い廊下が猟兵たちともふもふ動物たちの前に広がっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『ボムボムトラップ』

POW   :    あえて攻撃を加える事によって誘爆させる、爆発する事自体は受け入れて全力で爆風を受け止める

SPD   :    爆弾に触れぬ様慎重に部屋を通り抜ける、爆弾が起爆する前に全力疾走で部屋を抜ける

WIZ   :    魔法や知恵を駆使し、爆弾を解除する、又は爆風を抑える為の策を講ずる。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●きみと一緒ならどこまでも!
「もきゅ?」
「きゅいきゅい」
「みゅ」
 ひしり、とくっついたり、肩の上で微睡んだり。猟兵たちに助けられたもっふもふな動物たちは何とか落ち着いてきたようだ。迫る水と、動く床から無事に脱出することができたからだろう。安心すれば眠くなるのかーーそれとも、抱き上げられた腕の中が温かいからだろうか。もふり、と顎を乗っけてみたり、実はつん、としながらも尻尾を絡めてみていたり。もっふもふな動物たちは、猟兵たちに随分と懐いたようだった。
「みゅ、みゅいみゅ?」
 とてとてと一緒に歩いても良いだろう。抱き上げたって良い。そう、名前をつけても良いかもしれない。だってまだ、迷宮は続くのだから。無事にもふもふさんたちを連れて、ボスを倒しーーそして迷宮の外に出なければいけない。
「むい?」
「もきゅ、きゅきゅ!」
 きっとどんな名前でも、もふもふな動物さんたちも気に入ってくれるはずだーー多分。ちょっと審議中な雰囲気になれば全力で口説いてみるのも良いかもしれない。
 そんなもふもふな空気の中、猟兵たちの前がーー熱くなる。そう、熱くなったのだ。ひどくいきなり。まるでそこだけ、熱の壁が生まれたかのように。
「みゅいー!」
「もきゅきゅきゅきゅ!」
 ぶわわわわ、と背中の毛を立てる動物もいれば、しゅたたたっと隠れる動物もいる中、猟兵たちは熱風を払いーー見た。そこにあるものを。
 そこは先に見たチェス盤に限りなく似た空間であった。だが、少しばかり違うのはチェス盤が複数置かれていることだ。立体的に配置されたチェス盤は全部で7枚。だが、それが既にチェスのルール外にあることは明らかだ。
 火薬の匂い。
 先に感じた熱風は此処に『あった』ものが爆発した所為だ。
 ふわふわと風船のように、白と黒、チェスの駒を模した爆弾が幾つも浮いている。風に揺れて移動するようなことは無いようだが、間を抜けて通るのは相当の難易度となるだろう。
 さっき感じた熱風は、最初のフロアを突破した際に生じた揺れで爆弾同士がぶつかったのだろう。いくつか、盤上に空間ができている。爆発の規模を見る限り、大きな傷ができることは無いだろう。だが、今の君たちは一人ではないのだ。
「もきゅ……」
「きゅい……」
 やっぱり出られないのかな、とすっかりしょんぼりしてしまった動物たちと一緒に、この空間を突破しなくては。
サラ・カトレット
そうね、あなたはまん丸だから…
マールって呼んでもいいかしら?
とても可愛いと思ったんだけど、ダメ~?(むぎゅー

【WIZ】
…そんな悲しそうな顔しないで
大丈夫、私達が絶対に助けてあげるから、信じて、ね?【鼓舞】

『危ないから、マールは私の後ろから付いてきてね

全体を見渡し大きく空間が出来ている箇所に沿って進行
もう一度マールに力を貸りましょう
後方で低視線からだと違ったルートが発見できるかも【動物と話す】
『通れそうな隙間があったら教えてくれる?

爆弾を解除する際は誘爆に注意
【桜花爛漫】で【属性攻撃】で水を付与
隙間があるなら【鎧無視攻撃】で内面から解除
ないなら【全力魔法】で花弁を増幅
爆弾を包み込み爆風を抑え込む



●夢見る乙女とうさぎの冒険
「きゅい……ッ」
 サラ・カトレットの腕の中、もふもふのまんまるうさぎが顔を上げる。きゅるり、とした瞳に警戒が乗るのはこのフロアの所為だろう。まだ少し、熱の残る空間から守るように腕を回す。
「……そんな悲しそうな顔しないで。大丈夫、私達が絶対に助けてあげるから、信じて、ね?」
「きゅい……きゅ、きゅい」
 サラの言葉に、もふもふうさぎが鼻先をすり寄せる。分かったよ、という所だろうか。やわらかな暖かさに、ふ、と笑みを零し、そうだ名前を、と少女はもふもふうさぎを持ち上げる。
「そうね、あなたはまん丸だから……」
「きゅい」
「マールって呼んでもいいかしら?」
「きゅき……」
「とても可愛いと思ったんだけど、ダメ~?」
 むぎゅーっと抱きしめれば、きゅいーっと上がる声ひとつ。抗議のようなバタつきは一度だけで、結局もふり、と置かれた顎と触れた鼻先がいいよ、の代わりとなった。
 さて、問題はこのフロアをどう抜けるかなのだがーーチェスの駒を模した風船は、勝手に動くことはない。さっきの浮き沈みする床と比べ、此処は考える時間がありそうだ。
『危ないから、マールは私の後ろから付いてきてね』
『みゅ!? 分かったよ』
 ぴょん、とサラの腕の中から降りたマールが再び通じた声に驚いた顔をしながらも、こくり、と頷く。
「そうね……あそこなら、空間ができているから進めそう……」
 全体を見渡せば、最初の爆発で出来た空間が幾つかあるのが分かる。そこに沿うように、右に進みーー少しだけ前に。立体的に配置された盤に、このまま行けば飛び移らなければいけないのだが、だが、危険だ。
「飛んだ先で爆弾にぶつかってしまっても困るし……」
 そのまますぐにしゃがんで行けば、もしかすればーーではあるが、失敗した場合サラもマールも爆発に巻き込まれてしまう。
『通れそうな隙間があったら教えてくれる?』
 うさぎの視点から見れば、違ったルートが発見できるかもしれない。サラのかけた声に、マールは、すたり、と立ち上がって頷いた。
『いいよ。任せて。えっと、そのまま前に行くんじゃないなら……うん、こっちだ。左のとこに滑り込んで、ジグザグに進むんだ!』
『ジグザグに?』
『うん。そこならばきっと、僕もキミも通れるはずさ』
 僕だけだったら全部下の道だけどね、とマールは言って、少し考えるようにしてサラを見た。
『もしも、あのふよふよしたやつをどうにかできるなら、滑り込まなくてもジグザグの道でいけるよ』
『あのふよふよしたやつね。えぇ、それなら』
 解除はできる。幸い、マールが示したのは爆弾が密集している空間からは少し、離れていた。
「桜よ」
 そうっと、サラは手を伸ばす。やんちゃな風の精霊が淡い桜の花弁へと姿を変える。花弁は涼やかな水を纏い、ふわり、と爆弾のひとつを包み込んだ。
「これで……」
 花弁が触れーー次の瞬間、爆発が生じた。
「きゅいー!! きゅ、きゅい!?」
 ひたっと、サラの足にくっついたマールが恐る恐る顔を上げると、ふわりと桜の花が舞い、散るのが見えた。

 ぱちぱちと瞬いたうさぎはとてもとても驚きました。なにせ、あのふよふよしたやつが、桜の花弁と一緒にどかん、と姿を消したのですから。ほかのふよふよしたやつが、同じようにどかん、とする様子はありません。
「うん。これで大丈夫。マール」
「きゅい!」
 これはこれはもしかしたら、ものすごい人と出会ってしまったのかもしれないと白うさぎのマールは思いました。

成功 🔵​🔵​🔴​

エレステイル・テイル
POW
そっか、君はここから脱出するまではボクのあいぼーなんだよねえ。
お名前どうしようかな?
うさぎさんだから、わたげ……とか?

どうかな? 気に入った?
じゃあ、いっしょにがんばろーね、わたげ!
(なんかふんすふんすいってる?)

むー、爆弾はどうしようかなー?
……よし、ドラゴニアン・チェインでどかーんと、道をつくるね。
きっとちゃんと見極めてどかーんってすればだいじょうぶ。
うまくいきますようにって祈ってからやるね。
あぶないから、わたげはちょっとはなれててね。

道ができたら、だっこして走りぬけるよ。
時々なでてみたり。もふもふでかわいいなあ。励まされるよね。
ぜったい一緒に外にでるんだよ。

アレンジ・アドリブ歓迎



●竜とうさぎと炎の道
「みゅみゅい……」
 水の次は爆弾か。
 このフロアを本能的に警戒していたから、もっふもふの動物たちは水が迫っても進むことも、戻ることもできなかったのだろう。
「そっか、君はここから脱出するまではボクのあいぼーなんだよねえ」
 エレステイル・テイルの腕の中、大きなうさぎは、小さく首をかしげる。
「みゅ?」
「お名前どうしようかな?」
「みゅい!」
「うさぎさんだから、わたげ……とか?」
 きらきらと期待に満ちたうさぎの瞳がぱち、と瞬く。え、ほんとに。ほんとに? とでも言いたげなもっふもふのうさぎさんに少女は気がついたか、気がつかないか。
「どうかな? 気に入った? じゃあ、いっしょにがんばろーね、わたげ!」
「みゅい、みゅいみゅい!」
 腕の中、もっふもふな大きなうさぎさんーーもとい、わたげはふんすふんすと一頻り言った後に、諦めたようにもふっとエレステイルの肩に顎を乗せた。
 さて、後はこのフロアをどうやって突破するか、だ。多少先に通った猟兵たちが作った道はあるがそれでも、爆弾は殆どが残ったままだ。
「むー、爆弾はどうしようかなー? ……よし、ドラゴニアン・チェインでどかーんと、道をつくるね」
「みゅい!?」
 どかーんとですか? と顔を上げたわたげにエレステイルは、うん、と頷いた。
「きっとちゃんと見極めてどかーんってすればだいじょうぶ」
 そう、見極めてどかーんとすれば。ーー見極めても、やることはどかーんだったりするのだが。
「うまくいきますようにって祈ってからやるね。あぶないから、わたげはちょっとはなれててね」
「みゅい!」
 しゅたたん、とエレステイルの腕から飛び降りたわたげが心配そうに見守る中、少女は息を吸う。ご自慢の尻尾をゆらり、揺らし、唇に小さな祈りを乗せる。さわり、と紫の髪が揺れ、伏せた少女の瞳が開かれる。
「うん。いくよ。せーの!」
 ぶわり、とドラゴンオーラが、爆弾を捉えた。オーラの鎖で結んだ先、引き寄せれば隣の爆弾とぶつかりーーガウン、と爆発が生じた。
「みゅ、みゅいーー!!」
「うん。よし!」

 これで、ちゃんと通れるね。という竜の少女に大きなうさぎはとても驚きました。竜というのはやはりすごいものだったのですから。自分を抱き上げた少女が、よしよし、と小さな手のひらで撫でていきます。
「もふもふでかわいいなあ。励まされるよね」
「みゅい」
 なにせうさぎご自慢の毛並みなのですから。もっと誉めたって良いのです。けれど、けれど。
「ぜったい一緒に外にでるんだよ」
 そう言って、竜の娘がぎゅっとしてくるから、大きなうさぎもーーわたげも、一緒に外に出たいとそう思いました。
「……! みゅい!」
 きみと一緒に。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジゼル・スノーデン
うさぎは大きいけど抱っこしていくに決まっている
だってモフモフなんだぞ!
ええと名前は…もふもふさん。……え、もふもふなこはいっぱいいる?うーんうーん
じゃあ、シロップにしよう。ケーキシロップみたいな毛色だしな!それに、ロップイヤーというのだろう?この垂れ耳は

というわけで、全力でもふもふしつつ…じゃない、抱っこして励ましつつ!
カノープス頑張れ!!と、カノープスをけしかけてボムボムを誘発させる
爆風は風を操るカノープスの力と、わたしの『かばう』で動物たちをかばおう
……がんばれ、カノープス。苦情はあとで聞く予定だ。もふもふのための尊い犠牲になってくれ



●少女とうさぎとくらげの冒険譚
「きゅい……」
 水も炎も、動物たちにとって警戒すべきものなのだろう。すっかり凹んでしまったもふもふの大きなうさぎをジゼル・スノーデンは抱き上げる。もきゅ、と落ちた声に大丈夫だ、とジゼルは言った。もっふもふのうさぎさんは大きくて、抱き上げていくにはちょっと大きすぎる魅惑のボディなのだがーーだが、ジゼルは諦めない。
 だってモフモフなのだから。そう、腕の中いっぱいのもふもふだ。そして今ちょっと凹んでいるから、擦り寄っても来ているのだ。もふもふが……!
「ええと名前は……もふもふさん」
「きゅい? もきゅ、きゅきゅきゅ!」
「……え、もふもふなこはいっぱいいる? うーんうーん」
 抱き上げたまま、あれこれと悩んで、ジゼルは顔を上げた。
「じゃあ、シロップにしよう。ケーキシロップみたいな毛色だしな! それに、ロップイヤーというのだろう? この垂れ耳は」
「きゅい!」
 頬を寄せれば、ふるふる、と垂れ耳が揺れたとろり、甘い色彩の毛色のうさぎは、ジゼルのつけた名前を気に入ったのか。もきゅ、とご機嫌な声を鳴らした。

 さて、そうなれば後はこのフロアをどう進んでいくかーーなのだが。
「カノープス頑張れ!!」
「ーー!!」
 召喚されたカノープスさんはそれはそれは勢いよく振り返ったーーかもしれない。え、いくの? いくやつなの? と光を宿すクラゲはくるくると回りーーていや、と爆弾にぶつかっていく。光を宿すクラゲをけしかけられれば、ぐらり、と爆弾は揺れ安定を失う。ガウン、と地面を揺らす爆発がフロアに生じた。叩きつけられた爆風に、だがジゼルはオール型の杖を掲げる。
「カノープス!」
 風を操るカノープスの力と共に、爆風を払い上げ、残る衝撃から動物たちを庇う。もきゅーっと上がる声も、ぎゅっと抱きしめれば柔らかな暖かさを持つシロップが、そうっと顔を上げていた。
「うん。大丈夫だ」
「きゅい」
 落ち着いてくれたシロップに安心すると、ジゼルはフロアを見た。このまま通っていくにはーーあと少し、道が足らない。 

「……がんばれ、カノープス。苦情はあとで聞く予定だ。もふもふのための尊い犠牲になってくれ」
 それはそれは不思議な光景でした。なにせ、杖を掲げた少女は白くて光るふわふわした何かとも話をして風をも味方につけるのですから。柔らかな毛を、ただただ震わせている訳にはいかないと、そう、うさぎはーーシロップは思いました。ご自慢の耳は、きっときっとこの先の道を見つけるのにちょっと位は役立てると思ったのです。
「もきゅ、きゅいきゅい、もきゅきゅ!」
 爆風から庇ってくれた少女の、白い腕に残った傷跡をぺろり、となめてシロップは顔を上げました。みんなで、此処を抜けていく為に。

成功 🔵​🔵​🔴​

英・明夜
ねえ、狐さん。あなたのお名前、「たんぽぽ」はどうかな?
黄色くってまん丸で、時々、綿毛みたいに膨らんで、何処でも
行っちゃうみたいな冒険心の塊だもの。
(ご一緒さんがおいでなら、「わたげ」で)

たんぽぽの、しょんぼりした背中を撫でて。
ちょっとだけ、我慢してねって声を掛ける。
濡らした手拭いをたんぽぽに巻き付けて、胸(着物)の中に入って貰うね。
巫覡載霊の舞で神霊体になったら、少しは熱も防げないかなあ…

爆風で揺れる風船の動きを見ながら、離れた場所から
薙刀の衝撃波や咄嗟の霊符投げで、予め爆弾を割って進むね。
同じように爆弾を割るつもりの仲間が居たら、協力したいな。

爆風を浴びるなら、背を向けてたんぽぽを守るね。



●巫女の少女と狐の冒険
「もきゅ、きゅきゅ……?」
 チェス盤のフロアに風が抜ける。舞い上がった爆風で幾つかの爆弾が消えていったのが見えた。だがーーそれでも、すり抜けていくには少々難がある。立体的に組み上げられた盤が、移動を難しくしていたのだ。
「きゅい……」
 ぴん、と耳を立て、右に左に伺うように見ていたもふ狐さんがちょっと自信なさげに声を漏らす。もっふもふな狐さんの切なげな声に、ねえ、と英・明夜は声をかけた。
「ねえ、狐さん。あなたのお名前、「たんぽぽ」はどうかな?」
「もきゅ?」
「黄色くってまん丸で、時々、綿毛みたいに膨らんで、何処でも行っちゃうみたいな冒険心の塊だもの」
 抱き上げた先、もふ狐さんはゆるゆるっと尻尾を揺らして、そうしてきゅい、と明夜に鼻先をつけた。
「きゅ! もきゅきゅ!」
 それは良いよ、の一言か。よろしくね、たんぽぽ。と笑った明夜にもふ狐ーーたんぽぽはきゅい、と頬を寄せた。

 さて、そうなればあとはチェス盤のエリアをどう突破するかなのだがーー……。
「うーん、あそこと、そこは先に無くなってるから……」
 ぴこぴこ、と妖狐の耳を揺らし、右に左に、道筋を見て明夜はこくり、と頷いた。
「うん。あの道が良さそう。たんぽぽ」
 しょんぼりとした背中を撫でれば、たんぽぽが鼻先をあげる。
「きゅい?」
「ちょっとだけ、我慢してね」
「きゅきゅ!」
 濡らした手拭いをたんぽぽに巻きつけて、胸元に入ってもらう。着物の中、もきゅ、と顔をあげたもっふもふのたんぽぽに笑って、明夜は手を伸ばした。
 しゃん、と鈴の音が鳴る。空気が静謐に変わる。 指先までぴん、と伸ばし、人差し、舞い踊る巫女の姿が神霊体へと変化する。ふわり藍色の髪が揺れ、金の瞳が僅かに光を帯びた。
「よし、いくね」
 爆風で揺れる風船の動きを見ながら、離れた場所から薙刀を振るう。緩やかな斬撃は、風を生んだ。衝撃波がふわふわと浮かぶ爆弾にぶつかりーー切る。
 キン、と金属を斬りはらう音が響くと同時に、ガウン、と爆発が盤上に生じた。熱風に盤上を蹴り上げ明夜は行く。とん、と軽やかなジャンプと共に行く。神霊体となった少女に爆風はその威力を届かせることはできない。
「と、こっちも……!」
 爆風の向こう、ゆらり、と揺れて見えた爆弾に霊符を投げる。可愛らしい絵柄のお札が爆弾に触れれば、ぶつかり合うよりも前に爆弾は熱に包まれる。

「もきゅきゅい……!」
 もっふもふの尻尾を揺らし、狐はーーたんぽぽはちょっとだけ、ほんのちょっとだけ顔を上げました。なにせすごい音だったのですから。けれどけれど、見えたのは火や水で怖い世界ではない。金の瞳でまっすぐに先を見るたんぽぽの友達の姿だったのです。
「きゅい」
 そう、彼女が頑張っているなら自分だって怖がってばかりではいられない。包んでもらった手拭いをちょっとだけひっぱって、肩口に残ったススを払ってきゅい、とたんぽぽは喉を鳴らしたのです。

成功 🔵​🔵​🔴​

クーナ・セラフィン
やれやれ。
こんな物騒な罠、ふかふかの敵じゃないか。
しょぼんな動物達に希望の灯を見せないとね。
…あっこらこら、帽子は齧るものじゃないよ。

可能ならわんぱく白虎風味なふかふかと一緒に。
名前はティー。センスはまあ、うん。
…大きさ的にちょっと厳しいかなー、いや何とかなるなる。
UCで遠くから爆弾を凍らせ封じる作戦。
足元凍らせ固定しちゃえば避けるのもやり易くなるかな?
周囲に人とか動物いなくて爆弾固まってる所あったら吹雪で揺らして誘爆、数減らし。
一人でなら連続ジャンプで強引に突破するのもいいけど流石にね(ちらりとふかふかに目をやって)
ん、道は切り開かれたかな。
大丈夫、私達がついてるから。

※アドリブ絡み等お任せ



●騎士猫と白虎の冒険
「やれやれ。こんな物騒な罠、ふかふかの敵じゃないか」
 爆風が去れば、熱だけが盤上に残っていた。片手で帽子を抑えながらほう、とクーナ・セラフィン(雪華の騎士猫・f10280)は息をつく。
「しょぼんな動物達に希望の灯を見せないとね」
「にゃう」
「……あっこらこら、帽子は齧るものじゃないよ」
 かぷり、と噛みついた小さな白い虎に、クーナは慌てて手を伸ばす。羽根つき帽子はどうにか、死守できた。ぴん、と立った灰色の耳に今度は誘われるように手を伸ばすわんぱくな子虎から身をそらしつつ、帽子をかぶり直せば盤面がよく見えた。
「ほら、ティー。前だよ」
「にゃー?」
「あぁ。キミの名前だ。センスはまあ、うん」
 にゃう、と落ちた声は猫のそれよりは少し低く、けれど、ゆる、ゆると揺れた尻尾はご機嫌の証だ。どうやら、白の子虎ーーティーも気に入ってくれたらしい。ふっかふかの尻尾がするり、と足に触れてゆけば、柔らかくあたたかい。
 さて、そうなれば次はこのチェス盤をどう突破するかなのだがーー……。
「……大きさ的にちょっと厳しいかなー、いや何とかなるなる」
 白雪と白百合の銀の槍を掲げ、クーナは息を吸う。瞬間、キン、と空気が変わった。みゃう? とティーが鼻先をあげる。
「こんな趣向はどうだい?」
 雪混じりの花吹雪がふわり、と舞う。吹き抜ける冷気にふよふよと浮かんでいた爆弾が凍りつきーーだが、その奥でカチリ、と何かが動いたのをクーナは感じ取った。
「成る程、衝撃と受け止めたか。ティー、後ろに」
 告げた瞬間、小さな爆発が盤上に生じた。キュイン、と高い音をたてーーだが、その威力を最小限までに抑え込め切れたのは冷気で爆弾を包み込んでいたからだろう。
「やれやれ。凍らせて固定しちゃえばと思ったが……、素直に避けるか、爆弾が固まっているところは吹雪で揺らしてしまった方が良さそうだな」
 騎士猫の鋭い瞳が盤上を見遣り、息を落とす。今の状況であれば多少、強引ではあるが突破自体は可能だろう。
「一人でなら連続ジャンプで強引に突破するのもいいけど流石にね」
 ちらり、とティーを見遣って、ふ、とクーナは笑った。道を作って進んでいくとしよう。
 
 ふわり、ふわりと白くて、冷たい、あの雪が踊っていたのは小さな白い虎は驚きました。ここは迷宮だというのに、この騎士の猫は雪混じりの花吹雪を操るのですから。ととん、と踵を鳴らし、操る吹雪がすごい音をする『もの』を壊してゆくのです。
「にゃぁー」
 これはこれはもしかして、伝説の騎士様みたいなのに出会ってしまったのではないかと。白い虎はーー、ティーは思いました。

成功 🔵​🔵​🔴​

浮世・綾華
嵐吾さん(f05366)と

こんこん?また随分可愛い名前を
嵐吾さんって結構和みキャラだよな
年上の人にこんな気持ちになるとは

お前は何処がい?好きなとこでいーよ
名前ねえ…(もふりつつ考え)
――ヒメとか?
女の子はみんなお姫サマなんで

こうゆう状況、以前にも覚えがあんだよネ
っつーわけで、先に爆発させて通り道を作る算段
もち、他の猟兵の迷惑になんねーようにはする
或いは他の奴が全員通った後かな
したら派手にやっちゃってもいーもんな?

んじゃ、俺も鬼火
まねっこー…なんて
指定対象狙えっからネ
それでも巻き込まれそうになったら
巫覡載霊の舞で衝撃の相殺と軽減を
嵐吾さんのきらきら回復もあるし
自分は傷負ってもヒメさま守んの優先


終夜・嵐吾
綾華君(f01194)と

救出した子狐のこんこんを抱っこして、懐に入ってくれておったら安全なんじゃが気に入りの所におってもらったら良い
危ない所になれば首根っこ掴んで、懐にはいってもらうがよいかの?

綾華君のにゃんこさんの名前は何というんかの?
ヒメ、か。そうじゃな、女の子はお姫様じゃ。綾華君はその子の王子様になるとよかろうよ。

罠は先に発動を
わしじゃと狐火で着火かのー
まねっこ? それなら揃えていくかの! そそいっとな。
集っているところに狐火を向かわせて安全なルートを作れたらば
反応してくれんなら、そっと気を付けていくしかない
こんこんはちゃんと守るからの
怪我などすれば生まれながらの光で治療を



●鍵とにゃんこと狐ときつねの冒険
「きゅい、きゅきゅい?」
 しゅるり、と終夜・嵐吾の首裏に尻尾を絡めていたもふもふの小狐がゆるりと首を傾げる。盤上を眺める終夜・嵐吾の気配に気がついてか。
「こんこんや」
 肩に住まう小狐の頭を撫でて、抱き上げる。きゅい、と上がる声は、呼んだの? と言いたげな声か。もふり、と揺れる尻尾に嵐吾は笑った。
「危ない所になれば首根っこ掴んで、懐にはいってもらうがよいかの?」
 懐に入っておったら安全なんじゃが、と言う嵐吾に小狐はくぅん、と一度鼻を鳴らす。安全をとったのか、首根っこのあたりできゅきゅい、と身を縮めたのか。小狐もといこんこんはしゅるり、と嵐吾の懐へと潜り込む。
「きゅきゅい?」
「良い子じゃのう」
 これでいいの? とそそっと顔を覗かせたこんこんに、嵐吾は柔く笑みを零した。くしゃりと頭を撫でればぴん、と立ったこんこんの耳が擽ったそうに揺れる。
「こんこん? また随分可愛い名前を」
 ふ、と小さく吹き出すようにして笑って、浮世・綾華は顔をあげた。
「嵐吾さんって結構和みキャラだよな」
 年上の人にこんな気持ちになるとは。
 息を零すようにしてひとつ笑い、浮世・綾華は腕の中、すっかりご機嫌なふかふかなにゃんこに声をかける。
「お前は何処がい? 好きなとこでいーよ」
「にゃう? にゃ、ふにゃ?」
 問いかけた先、こてり、と首を傾げたにゃんこが選んだのは綾華の腕の中だった。ふわり揺れる袖の中も興味はあったようだがーーひしりとくっついてぬくぬくご機嫌らしい。
「きゅい、きゅきゅい?」
「にゃぁ」
 嵐吾の懐に収まった小狐と、何事か話しているのか。暖かいとでも言っているのか、それともこっちも良いだとか、あっちも良いだとか言っているのだろうか。ゆるり、ご機嫌に揺れる尻尾に小さく綾華が笑みを零せば、こちらもゆるりと目の前の狐が尾を揺らす。
「綾華君のにゃんこさんの名前は何というんかの?」
「名前ねえ……」
 柔らかなもふもふにゃんこを撫でながら、少しばかり考えて思い浮かんだのは、ひとつ。
「――ヒメとか? 女の子はみんなお姫サマなんで」
「ヒメ、か。そうじゃな、女の子はお姫様じゃ。綾華君はその子の王子様になるとよかろうよ」
 吐息を零すように笑い、ふ、と嵐吾は瞳を伏せる。ゆるりと開く頃には、柔らかな笑みを浮かべ、いくかの、と灰青の狐は告げる。向かう先は爆弾の残るチェス盤だ。
「そこそこ片付いて来てはいるようじゃの」
 爆風は既に抜け、今は僅かに熱と冷気が残っている。このまま素直に歩いていくにはーーやはり、まだ向かないだろう。ならば、さてどうするか。
「こうゆう状況、以前にも覚えがあんだよネ」
 っつーわけで、と綾華は口元に笑みを敷く。
「先に爆発させて通り道を作る。他の奴は全員通った後だし、派手にやっちゃってもいーもんな?」
 爆弾があって困るのならば、そのものを無くせば良いだけの話だ。
「綾華君、元気じゃのー」
 からからと笑い、先に発動じゃな、と頷いた嵐吾が掌に吐息を零す。空気が震え、顕現するは狐の炎。
「わしじゃと狐火で着火かのー」
「んじゃ、俺も鬼火。まねっこー……なんて」
 小さく笑い告げた綾華に、ぱちと瞬き、楽しげに嵐吾は笑った。
「まねっこ? それなら揃えていくかの! そそいっとな」
「さぁ、いってきな」
 鍵刀にとん、と触れれば緋色の鬼火が踊る。綾華の伸ばす指先、その示すが先に鬼火が嵐吾の狐火が向かいーー爆弾の密集する区画に、触れた。
 ゴォオオオ、と轟音と共に爆発が天井へと抜けた。キュイン、と甲高く聞こえた音は複数の爆弾が一気に弾けたからか。
「ーーっと」
 滑り込んできた爆風に、綾華が手を伸ばす。指先は踊るように、舞のひとさし。熱風を弾きあげる。
「こいつで、良さそうだな」
「じゃな。綾華君」
 ほら、腕を。と告げた嵐吾が紡ぐ光が傷を癒す。少しばかり、赤く染まっていた指先は一滴、落ちた血を最後に癒されていく。チリ、と残る痛みを最後に、礼を言って視線を上げれば少しばかり、視界が変わっていた。
「あー……、なんつーか」
「これは、綺麗にまっさらじゃのう」
 チェス盤に残っていた爆弾が全て、消えていたのだ。正しくは、誘爆して消えた、だろうか。先を行く猟兵たちも皆、爆弾は先に処理して回っていた。誘爆して数を減らし、道を作りとやっていけば数も減りーーそして最後に、綾華と嵐吾の炎が、派手に一掃したのだ。
「ま、通りやすいのは良いことじゃな。綾華君」
「まぁ、ある意味?」
 操り紡いだ炎は爆弾を選びはしたが、その爆発に巻き込まれたのもあったのだろう。だが、こちらは大した怪我はなくーーヒメも、こんこんも無事なのだから。
「いーのかもネ」
 盤上に再び、爆弾が生じる気配は無い。空間そのものにあった魔力が消えている。これでもう、この空間はただのチェス盤のエリアとなった。歩いていくので問題は無い。

「きゅ、きゅい……!! きゅいきゅい!」
「にゃ!」
 それは、小さな狐にとっても、ちょっと大きなにゃんこにとっても驚きの光景でした。ふわふわ踊る炎を操る大きな狐さんも、夕焼け色に近い炎を操る鍵のひとも、とてもとてもすごく二匹の目には映ったのです。
「にゃ、にゃぁにゃにゃ」
「くぅん」
 これはもしかしたら、とても運命な出会いなのかもしれないとにゃんこは思いました。お気に入りの花の寝床を見つけたくらいに。
 これはもしかしたら、伝説にに出会ったのかもしれない、と小狐は思いました。なにせこんな炎を操れる大きな狐さんなど聞いたこともなかったのですから。
「にゃぁん」
「きゅいきゅい!」
 腕の中、ヒメは顔を上げてするりと頬を寄せました。懐から顔を出して、こんこんはちろり、と首を舐めました。自分たちを助けてくれたふたりに、何かがしたいとーーそう思ったのです。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『滝業の呪』

POW   :    打ち付けるは神聖なる滝
【畏怖】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【幾重にも巻き付いた縄】から、高命中力の【神聖なる滝】を飛ばす。
SPD   :    水流放出
【激しい水流】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    篠突く雨
【縄】を向けた対象に、【天からの水撃】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はユースティティア・ルザライトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●迷宮協奏曲
「みゅ、みゅみゅい?」
「きゅぅ」
「……みゃぁ?」
 ぴこぴこと耳を動かしては、すぽっと顔を隠してみたり。興味なさげに見えて最後の一言を参加してみせるあたり、迷宮で猟兵たちに助けられたもっふもふの動物たちは何かと話しをしているのかもしれない。もきゅもきゅ、みゅうみゅうと落ちる声に微笑ましい気分になりながら猟兵たちが進んだ先でーー音がした。
 ざぁざぁ、と注ぐ水の音。そう、注ぎ落ちる水音だ。
 入り口にあったトラップにも水はあったが、あまりに音が違う。水音は轟音にさえ近かった。音を嫌うように、警戒するようにもふもふの動物たちが毛を逆だてる。唸り声の先を見れば、しゅるり、と踊る縄が見えた。その縄に、宿るものが既に呪いを帯びているのは明らかであった。
 滝業の呪。
 嘗ては身を清めるための行であったものが、呪いを得たか呪いを帯びたか。
 滝行に相応しい形へとフロアは作り変えられる。この一角が沈んでいないのは、滝業の呪が「滝行」という形を残しているが故か。
 だが、水が踊り「滝行」の形が整えられれば、猟兵たちの後ろで扉が落ちた。巨大な岩に締められればーーなるほど、滝行に行かなくては此処からの脱出もできない。
「みゅ、みゅい!」
「きゅ!!」
 足を踏み出そうとすればもふもふな動物たちが猟兵たちを止めた。危ないと、そう言いたいのだろう。滝業の呪の元へは、今いる段差を飛び降りていく必要がある。ーー逆にいえば、此処にさえいればとりあえずは無事なのだ。
 だが、猟兵たちは向かうことを選ぶ。滝業の呪を倒すため、もふもふの動物たちと無事にこの迷宮を突破するため。
「みゅう」
 行ってくると声をかければ、告げれば、もふもふの動物たちは引っ掛ける爪を、小さな噛みつきを外すだろう。無事に脱出さえできればーー、一緒についていきたいというもふもふ動物もいるだろう。
 君と一緒にどこまでも。
 さぁ、もっふもふさんたちとみんなの明日のため、滝業の呪に挑むのだ。
 ざぁあ、と水音が響く。滝業の呪はその形を完成させ、猟兵たちへと身を向ける。既に山に居はなく、森の静謐も抱かずに。呪いを抱いた滝行は、ただそれだけの存在となって動き回る。この地に自分の場を築くため。絶対の領域を築きあげるため。そして全てを、この滝行で流し清めるために。
サラ・カトレット
【動物と話す】

ありがとう、私と一緒に来てくれて
マールが傍に居てくれたから、私も頑張れたの
貴方は、私の大切な"親友"よ 
知ってるでしょ?私強いんだから、平気よ
すぐにやっつけちゃうから待ってて 絶対に一緒に此処から出ましょう
まだ不安?じゃあ、約束の印に(ちゅっ)
…行ってくるね!

【WIZ】
待っててねマール、私頑張るから

【全力魔法】で【桜花爛漫】の花弁を増幅
【属性攻撃】で雷を付与
自身の周囲に花弁を展開して水攻撃を相殺しつつ
縄部分を集中して攻撃を
更に【マヒ攻撃】の香りも足して攻撃阻害を狙ってみましょう

攻撃は【見切り】と【第六感】で回避を
回避が困難なら上記の花弁に加え【オーラ防御】で身を守ります


終夜・嵐吾
綾華君(f01194)と

びしょぬれしょんぼりコースじゃ、まぁ仕方ないかの。
互いに諦めて濡れるか

こんこんよ、なれはしばらくここにおるんじゃよ
大人しく待っとってくれたらあとで存分に遊ぶからの

さて綾華くん、参ろうか
狐火はあの水流に負けてしまうかもしれんからな
虚の主よ、起きて花咲かせておくれ
水の場じゃて、その上に咲く花がよかろうよ
綾華君が抑えている間に、ハスの花にてその縄を断ち斬ってみせよう
速く終わらせて、帰りたいからの!

はー濡れたの!
ぶるぶる身震いしたい気分じゃが、そうすると他の皆が濡れてしまうの
え、連れかえって良いのかと?
こんこんはいっしょに行く気じゃぞ、なぁ?
ヒメも……そうではなかろうか!


浮世・綾華
嵐吾さん(f05366)と

錆んのやだとか言ってらんねえじゃんこれ
まあ鍍金してあるし、覚悟決めマスとへらり

さっきされたようにするりと頬を寄せ
だいじょーぶ、俺らすごいのみてたろ?
ちゃんと倒して戻ってくるからな

フェイントで攻撃をさけるケド
全部を難しいだろうから
巫覡載霊の舞で攻撃軽減しつつ
カウンター、衝撃波で迎え撃つネ
水流よりも縄を狙ったほうが良さそーじゃない?
隙ができれば縄狙いで咎力封じ
制御できたら
嵐吾さん、お願いできマス?
うわ、きれーだな

びしょびしょ…
羽織りを脱いで絞り
ちゃんといい子にしててえらいえらい

――この子連れ帰っていいんかな
嵐吾さんとこんこん
ほんと、すっかり仲良し

ヒーメ、お前も一緒に来る?


エレステイル・テイル
ここは安全だね。だからわたげ、ここでまっててね。
だって、ここにずっといてもダメだから。
わたげ、いっしょに帰って……これから色んな世界、見て回ろうね!

ボクに水がきれるかどうか、わからないけど、がんばる!
最初はくろくんと振り回してがんばるー。カンには自信があるからね!
流されないようにちょこちょこ動くよ。
ケガした人がいれば光を使って手当てするね。
つかれるのはダイジョウブ! まかせて!

チャンスがあればりんごを投げて、内側から熱で攻撃する。
みんなで帰るんだもん!
スイギョーって、心をきたえるために身を清めるんだよね?
ボクはまだまだ弱いけど……水なんかに、負けないから!

アレンジ・アドリブ歓迎


英・明夜
たんぽぽ、心配してくれてるの?
ありがと、優しいねえ(撫で)。
…明夜ね、たんぽぽと、もっと仲良くなりたい。
一緒にお外に出て、お日様の光で、ふわふわの毛並みがどんなに輝くのか知りたい。
駆けっこして疲れたら、くっ付いてお昼寝してみたい。
だから、行くね。楽しい夢が、明夜に勇気をくれるんだよ!

降りる時は慎重に。
空中で狙われないよう、縄や水流の動きを良く見て。
攻撃されちゃったら、逆に覚悟を決めて、縄でも水でも、斬り掛かってみる!

下に着けたら。
縄には火の攻撃が効きそう…な気がするから、
水をなるべく避けたり斬ったりしながら、縄を狙える機会を待つ。
水流の間からフォックスファイアで攻撃したら、驚いてくれるかな?


クーナ・セラフィン
こんなのまで災魔になるとは困ったものだね。
心配してくれるのかい、ティー。
…んー、そんな心配気な目で見ないでくれよ。
寧ろ期待の目の方が嬉しいかな。その目があるなら何でも蹴散らして戻ってくるからね。
ああ、これを預かってくれないかと帽子をティーにぽすりと被せ。
濡れると困るし、安心して任せられるから。
しっかり守ってね?

支援中心。
UCで空をジャンプし攪乱、隙を見て呪いや魔力の要を槍で串刺しにしたりして妨害。
縄を向けられたら頭上からの攻撃に注意。水面ギリギリを跳ねて回避し被害を抑える。
濯ぐじゃなくて水圧で圧し潰すだよねこれ。
可能ならティー達に見られてる事意識し不安与えぬよう振る舞う。

※アドリブ連携等お任せ



●迷宮協奏曲
「きゅ、きゅいっ」
 心配そうに引き止めるマールのつめ先が、腕に引っかかっていた。ひたり、とくっつくもっふもふの小さなうさぎの頭を撫でてサラ・カトレットは笑みを見せた。
『ありがとう、私と一緒に来てくれて。マールが傍に居てくれたから、私も頑張れたの』
『みゅう……』
 動物会話で告げた先、マールは戸惑うように瞳を揺らしていた。言葉が通じることにでは無いーーきっと、この先にあるあの『滝』が危険であると、その危険な場所にサラが行くと分かっているからだ。
『貴方は、私の大切な"親友"よ』
『! そんなの、そんなのぼくにとっても……っでも、でもあの水がおかしいんだ!』
 あんな場所にいったら、とマールは言う。ふるふると毛を震わせる子ウサギにサラは言った。
『知ってるでしょ? 私強いんだから、平気よ。すぐにやっつけちゃうから待ってて 絶対に一緒に此処から出ましょう』
『ほんとに、ほんとう?』
 みゅい、と耳を揺らす子ウサギに、まだ不安? と小さく首を傾ぐ。みゅい、きゅい、と落ちる声はやっぱりまだ心配が強いのだろう。
『じゃあ、約束の印に』
『みゅ!?』
 頬にちゅ、とキスを落として。ぱちと瞬いたマールにサラは笑った。
『……行ってくるね!』
『い、いってらっしゃい! 待ってるから!』
 きゅ、きゅいー! とマールに見送られ、たん、と戦場へと飛び降りるびしゃん、と派手な水音がした。ざぁざぁ、と賑やかな戦場においては些細な音だ。ーーだが、滝業の呪の気がつく。この空間に飛び込んできたものがいることに。
「待っててねマール、私頑張るから」
 声もなく、だが気配だけは強く呪いを帯びた水を踊らせる滝業の呪は、その背に陽の光を背負いーー来る。
「……っこっちに」
 ざぁあっと、迫る水にサラは床を蹴る。流石に、水場だと動きにくいがーーだが、攻撃に問題が出るほどでは無い。
「甘い香りは、お嫌いですか?」
 息を吸う。魔力を高める。
 両の手のひらから解き放つ無数の防具が、淡く輝く桜へと変わる。
「雷光よ」
 さぁ、と告げれば花弁は光を帯び、迫り来る水をーー払う。バチン、と派手な音がした。完全には潰せない。相手は水そのものだ。だが一瞬、そこに隙間ができれば踊る花は少女の踊らせる指先の向こうへとーー届く。
「いきます」
 ざぁあっと、花が舞った。雷を宿し、光と共に花は滝業の呪へと届く。舞い上がる花びらは注ぎ落ちる水にではなく、縄の部分へと向かった。呪いを帯びたそれに雷光を宿す花びらが触れれば、火花が散る。派手な光に、やっぱり、とサラは顔を上げる。
「あの縄に何かがあるみたい」
 言った次の瞬間、しゅるり、と縄が動いた。指先、示すようにサラへと向けば上空に水がーー来る。
「ーーっ」
 水撃が、頭上から叩きつけられた。躱し切るには足らず、だが振り上げた腕が桜花と共に防御の膜を張る。
「これで……」
 パン、と篠突く雨を叩き上げる。指先に痛みは残ったけれど、これくらいであれば問題なく動ける。
「やっぱりなにか、ぎゅってしてるのかな」
 むむむーっと尻尾を揺らしたのはエレステイル・テイルだ。みゅい、と不安そうにわたげももっふもふの毛を震わせた。
「みゅい……みゅ、みゅい」
 なにせ、下ではざぁざぁと大きな音を立てながら水が動いているのだ。危険だと、そう動物の本能が告げるのだろう。ぐりぐりと鼻先をおしつけてくるわたげを、よいしょ、と抱き上げてエレステイルは言った。
「ここは安全だね。だからわたげ、ここでまっててね」
「みゅい、みゅいみゅいっ」
 でも、と言いたげにばたばたとするわたげを、床に下ろす。てし、と叩く足先に「だって」と仔竜の少女は言った。
「だって、ここにずっといてもダメだから」
「みゅ」
 鼻先をあげたわたげに、少女は笑った。
「わたげ、いっしょに帰って……これから色んな世界、見て回ろうね!」
「! みゅい!!」
 言葉は分からずとも、思いは伝わった筈だ。てし、と叩いていた足がそっとひいて、見送るようにもふりと擦り寄る。その見送りに、うん、と頷いてエレステイルは戦場へと飛び込んだ。ざぁああと、水が蠢く。新たな猟兵に、このエリアを完全に書き換えようとしている滝業の呪が蠢く。ざぁあっと、踏み込む先、水嵩が増した。
「いくよ、くろくん!」
 エレステイルの呼びかけに、黒い仔竜が翼を広げた。少女の手へと、竜は槍となって舞い戻る。水嵩が増したって、飛び込むには問題無い。それにーー……。
「ぜんぶがいっぱい、ってわけでもないよね」
 よっと、とエレステイルは飛ぶ。踏み込んだ先、流されないように水を避ければ床が見えた。
「おいかけてくるなら、あたるよね!」
 ぶん、とエレステイルが振り回した槍が迫る背後の水を払う。ばしゃん、と派手に弾けた水はーーだが即座に床に落ちた。散ることが無いのはそれが滝業の呪が操るものだからか。しゅるしゅると滝の頭上で縄が動き、背後に抱く燐光が強くなる。
「ぴかーっとつよいね」
「えぇ。水も勢いが強くなるけれど、水嵩が増すってことはないみたい」
 応えたサラが桜花を踊らせる。ぴしゃん、と足元、幾つもの波紋を描きーー震える。水面に落ちれば、あちらの制御を得るのか。派手な水音を聴きながら、やれやれとクーナ・セラフィンは息をついた。
「こんなのまで災魔になるとは困ったものだね」
「みゃぁ、にゃっ」
 ぐいぐい、と足をこちら側へと戻すように頭を寄せてくる小さな白い虎に、クーナは吐息を零すようにして笑った。
「心配してくれるのかい、ティー」
「にゃう……」
「……んー、そんな心配気な目で見ないでくれよ。寧ろ期待の目の方が嬉しいかな。その目があるなら何でも蹴散らして戻ってくるからね」
 にゃう、と落ちた声は何処か腑に落ちない色を滲ませたまま。そんな様子にクーナは小さく笑って帽子を取った。
「ああ、これを預かってくれないか」
「にゃ、にゃう?」
 大切だったんじゃないの? と言いたげな声に、ふふ、と笑う。
「濡れると困るし、安心して任せられるから。しっかり守ってね?」
「……! にゃう」
 にゃおーん、と小さな虎の鳴き声に見送られ、クーナは戦場へと飛び込む。一人、また増えた侵入者に滝業の呪が反応したのだろう。ざぁああ、とクーナを囲むように水が蠢く。弧を描いた水流が穿つ槍へと変幻する前に、たん、と水面を蹴り上げる。
「よし、っと」
 高く、たかく。
 飛び上がり、くるりと騎士猫は身を回す。追いかけるように伸びてきた水流に、ふ、と笑みを零したのは敵の意識を引きつけられたと、そう確信ができたからだ。叩きつけられる殺意に、空中で身を回し、床につく前に再びーー飛ぶ。軽やかな移動に、ざぁあああ、と水が蠢いた。さっきまでの動きとはまるで違うのは空中を舞うクーナを捉えきれないと感じたからか。
 キュイィイイイン、と甲高い音が不意に響き、滝業の呪の真正面、水がーー来た。
「っと、これは」
 激しい水流は、猛烈な圧となって猟兵たちを襲った。押し流すというよりは、撃ち据えるというのが正しいのか。水面ぎりぎりを、身を飛ばすようにかけてーーは、とクーナは息を落とした。
「濯ぐじゃなくて水圧で圧し潰すだよねこれ」
 一撃、躱しきれなかった腰に血が滲む。だが、膝を折る程では無くーー実際、その気も無かった。今は、ティーたちが見ているのだ。不安を与えたくはない。
「ケガをした人は手当てするね。つかれるのはダイジョウブ! まかせて!」
 エレステイルはそう言って、両の手を伸ばした。淡い光がこぼれ落ち、猟兵たちを癒していく。戦場にいる仲間を同時に治療するのは並大抵の技では無かったがーー。
「うん。ちょっとふわふわだけどダイジョウブ」
 ほんとにかと言いたげに息をつくクロに、ほんとだよー、とエレステイルが頬を小さく膨らませて。踝まできた水を弾くように、戦場を駆ける。
「錆んのやだとか言ってらんねえじゃんこれ。まあ鍍金してあるし、覚悟決めマス」
 へらり、と息をつき笑う浮世・綾華の横、ゆるりと終夜・嵐吾は笑みを刻む。
「びしょぬれしょんぼりコースじゃ、まぁ仕方ないかの。互いに諦めて濡れるか」
 ざぁざぁ、と流れる水とーーその主を見れば、呪いを帯びた『滝行』が形を成しているのが二人にもよく分かる。
「こんこんよ、なれはしばらくここにおるんじゃよ」
 懐に収まっていた小さな小狐を抱き上げるれば、きゅい、抗議の声が上がる。それでも床へと降ろされてしまえば、きゅきゅい、と耳と尻尾が下がる。ちょっと切なげな横顔をふわり、と嵐吾は撫でる。
「大人しく待っとってくれたらあとで存分に遊ぶからの」
 くしゃり、と柔らかな毛並みは小狐特有の柔らかさか。思いは届いたのだろう。掌につん、と鼻先を寄せたこんこんに、ふ、と吐息を零すように男は笑う。
「だいじょーぶ、俺らすごいのみてたろ?」
 抱き上げた腕の中、おっきめのふかふかにゃんこがしたようにするり、と綾華は頬を寄せた。
「ちゃんと倒して戻ってくるからな」
「みゃぁ……みゃう」
 ぺろり、と頬を舐めていったヒメが、とん、と床に降りる。仰せのままに、と小さく笑い、さてと綾華は戦場を見た。
「嵐吾さん」
「あぁ。綾華くん、参ろうか」
 とん、と二人床を蹴れば、ざぁああと蠢く水が迎えの波を生む。壁のようにせり上がるより先に、た、と飛ぶように身を飛ばす。左右、別れた先で、一拍、綾華は足を止める。水が迫る。その動きに群れという言葉が浮かんで青年は小さく笑った。
「さすがに、これは」
 一拍、足を止めたのはフェイントの為。追撃の水流に気がついて、指先を踊らせる。戦巫女の舞。神霊体へとその身を変じ、鍵刀を構えた綾華が水をーー斬る。剣舞と共に放たれた衝撃波が水を破りーーだがその向こう、再びの水流が見えた。
「水流よりも縄を狙ったほうが良さそーじゃない?」
「そうじゃのう。なにせ、水はたんまりあるからの」
 舞い上がった水流を嵐吾は引く足で躱す。それは舞か、それとも不意の間合いに慣れた男の動きか。衣を揺らし、穿つ水流だけを腕に受けながら嵐吾は微笑を敷く。
「呪いの咎はあれじゃな」
「ーーなら。ま、やってみますか」
 ひゅん、と縄が踊った。滝業の呪を囲う縄が綾華へと向かう。巨大な蛇のように伸びた縄が陣を描くより先に黒鍵刀が舞った。穿つように放てば、糸が縄へと絡む。頭の上、描かれた陣が発動のその前でーー止まった。
「よし」
 ぴしゃり、と頬に触れた水に息をつき、綾華は声をあげた。
「嵐吾さん、お願いできマス?」
「綾華君が抑えている間に、ハスの花にてその縄を断ち斬ってみせよう」
 ゆっくりと、嵐吾は瞳を開く。琥珀の瞳を、その奥にあるものへと囁く。
「虚の主よ、起きて花咲かせておくれ」
 右目の洞にて眠るものがーー怠惰なものが目を覚ます。告げる男の声に応えるように、その呼び声へと答えるように。
「――頽れよ」
 囁き落とされた言の葉は、とん、と一歩、踏み込んだ足元から無数の花を生む。
「うわ、きれーだな」
 綾華の瞳に見えたのは、ハスの花だった。白く、淡く色づく花。嵐吾の武器たるものが、花びらへと変わり淡り、水面を舞い上がりと綾華の縛に軋む縄をーー断つ。
「速く終わらせて、帰りたいからの!」
 笑い、告げたそこでバリン、と破砕の音が響いた。
 砕け散ったのは呪いの塊か。四散する欠けらを逃すことなく切り裂けば、ばしゃん、と滝業の呪による水の制御が歪む。
「下の縄も切れば良さそうじゃの」
「もう一回ってことですネ」
 やれ、と息をついた綾華の後方、ざぁあと水が踊る。呪詛たる縄を捕らえ、断ち切られたことへの反撃か。それが、この滝業の呪にとっての弱点ということか。残る縄を滑らせ、二人の上空から水がーー来る。
「人気ものじゃの」
「濡れたい訳でもないんですけどネ」
 濡れる覚悟があったとしても。
 トン、飛び退け、踝までかかった水を蹴り上げるようにして距離を取る。追いかけてくる水の、その勢いを見ながら英・明夜はきゅ、と唇を引き結んだ。
「もきゅ、きゅい、きゅいきゅい!」
「たんぽぽ、心配してくれてるの? ありがと、優しいねえ」
 小狐の頭をくしゃり、と撫でて明夜は言った。
「……明夜ね、たんぽぽと、もっと仲良くなりたい。一緒にお外に出て、お日様の光で、ふわふわの毛並みがどんなに輝くのか知りたい」
「きゅ……」
 ついつい、と鼻先を寄せるたんぽぽに、明夜は笑った。
「駆けっこして疲れたら、くっ付いてお昼寝してみたい」
「きゅい……、きゅい!」
 思いは、きっと通じている。押し付けていた鼻先をそっと下げて、一度だけ掌に頬を擦り寄せていったたんぽぽに明夜は微笑んだ。
「だから、行くね。楽しい夢が、明夜に勇気をくれるんだよ!」
「きゅい……っきゅいー!」
 いってらっしゃい、と言うようなたんぽぽの声に見送られて、明夜は戦場へと飛び込む。空中で狙われることは無いように、水の流れを見て飛び込んだ先、ぴしゃり、と靴先が水に濡れた。ざぁああ、と聞こえてきたのは『水』の音だ。群れのように、意思を持って襲い掛かってくる水に明夜は、たん、と身を前に飛ばした。追いかけるように来る水に、なぎなたを振るって道を作る。
「縄には火の攻撃が効きそう……な気がするから」
 そこ、と水流の間から、狐の娘は火を飛ばす。水流を操り、消しにかかろうとするがーーだが、明夜の狐火の方がーー早い。
 キュインン、と甲高い音が響き渡った。巫女たる娘の耳に、それは呪いの軋む音として届く。縄を焼く炎を払うように、滝業の呪が水を集め出す。ざぁあと縄を濡らし、だがそれは同時に空間の水位を減らしたことを示す。
「ぽいー!」
 自由を得た空間で、エレステイルが投げたのはりんごだった。りんごーー基、林檎の形をした投擲兵器が縄へとぶつかり、ガウン、と派手な破砕音を響かせた。
 キュインンン、と滝業の呪が軋む。ざぁあ、と動き出した水に、少女は言った。みんなで帰るのだと。
「スイギョーって、心をきたえるために身を清めるんだよね? ボクはまだまだ弱いけど……水なんかに、負けないから!」
 迫る水の群れに、槍を構え地をーー蹴る。だが、エレステイルへと届くその前に、水は止まった。
「この香りで……」
 サラだ。マヒを紡ぐ香りを寄せ、踊らせた花びらが水面に触れ、動きを鈍らせる。一拍。だが、それだけあれば避けるには十分だ。とん、と飛んで避けた先、もう一度、と明夜が声を上げる。
「いくよ……!」
「ならば、私は時間を稼ごう」
 クーナがそう言って、再び空を蹴り、派手に飛ぶ騎士猫を追ってゆく水を見ながら、なら、と綾華と嵐吾は、再び縛を描く。
 水踊る戦場には無数の花。火花が散り、滝行に絡みついていた呪いが砕かれていく。
「嵐吾さん」
「ーーあぁ」
 再びの拘束に、縄が軋む。迫る水流は最初ほどの勢いは無くーーだからこそ、ハスの花は先に届く。縄を斬り払えばバリン、と何かが割れる音がした。破砕の音は低く、残っていた呪いが砕け散る。水面に落ち、広がることなどできはしない。ばしゃん、と最後に残った水が地面に落ちその背に抱いた光ごと、崩れるようにして滝業の呪は消えていった。

●きみといっしょに!
「もきゅー!」
「きゅい、きゅきゅいー!」
「みゃみゃ!」
 無事に戦いを終えた猟兵たちをもっふもふの動物たちが出迎えた。
「はー濡れたの! ぶるぶる身震いしたい気分じゃが、そうすると他の皆が濡れてしまうの」
 尻尾までそれはもう見事に濡れたのだ。湿った尻尾を絞る訳にもいかず、嵐吾は髪をかきあげる。
「びしょびしょ……」
 羽織を脱いで絞り、綾華が息をつけば、にゃぁ? と伺うような声が耳に届く。ヒメが心配していたのだろう。てしたしと揺れる尻尾に、ふ、と息を零す。
「ちゃんといい子にしててえらいえらい」
「にゃぁ」
 撫でる掌に頬を寄せるようにして、溢れた声は甘い。
「――この子連れ帰っていいんかな」
「え、連れかえって良いのかと?」
 綾華の言葉に、ぱっと嵐吾は顔をあげた。きゅい! と濡れた羽織も気にせずに抱きついていたこんこんが顔を上げる。
「こんこんはいっしょに行く気じゃぞ、なぁ?」
「きゅい、きゅいきゅい!」
 尻尾をぱたぱたと揺らすこんこんと、ご機嫌な嵐吾に綾華は笑った。
「嵐吾さんとこんこん。ほんと、すっかり仲良し」
「にゃぁ」
 鼻先をあげたもっふもふなヒメに、視線を合わせるように膝を折る。
「ヒーメ、お前も一緒に来る?」
「にゃぁん」
 応えはすり寄せる頬に。もっふもふの暖かさが、じんわり伝わる。
「きゅいーっ」
「ただいま、マール」
 もっふもふの小さなうさぎのマールはサラにくっつくように抱きついた。ご機嫌な声に、思わず笑みが溢れれば頬をすり寄せるあたたかさが、妙にくすぐったい。
「みゅいいいー!」
「わたげ。ただいまー」
 もっふもふのおおきなうさぎのわたげは、突撃するようにぴょん、と跳ねた。きゃっち、と仔竜の少女が受け止めれば、クロだけがやれやれと息をつく。
「にゃ」
「あぁ、ありがとう」
 無事に預かっておいたのだと、クーナの帽子をかぶっていた小さな白い虎のティーは少しだけ背を伸ばしてみせる。帽子を受け取ったクーナに満足げにティーはにゃおう、と鳴いた。
「たんぽぽ」
「きゅきゅいー!」
 濡れるのなんて御構い無しに突撃した小さな狐に明夜は笑みを零す。ただいま、と声をかければお帰りと言うように、鼻先をすり寄せる。
 そうしてこうして。
 迷宮の中、迷い込んでしまったもっふもふの動物たちは、素敵な素敵な運命の出会いを果たしーー新たな人生を歩むこととなったのです。
 きみといっしょならそうーーどこにだって!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月14日


挿絵イラスト