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生命操者の大望

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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 ――――!

 声にならない悲鳴がこだまする。アルダワ魔法学園の数多ある迷宮の一つ、古代の遺跡を思わせるような石造りの迷宮の一角にある部屋は、そこに踏み込む事が容易ではないという点で、迷宮の主にとって格好の塒として機能していた。
 室内をぐるりと見渡せば、そこにあるのは山と積まれた書物の群れに、用途も判らぬ実験器具。
 さらには、かつて何であったかもわからぬような塊が、幾つも幾つも容器の中に並べて保存されている。
 見る者が見れば、魔術に関わる研究場所と判るだろうそこが、迷宮の主たる少女の実験場所であった。

「ちぇっ、もうダメかあ」

 先程まで悲鳴を発していたものを、がっかりしたような様子で見下ろしながら少女は言う。

「ここまで来たから、もう少し頑張るかと思ったんだけどねえ」

 『素材集め』が必要だなあ、と気楽な調子で少女は呟く。
 その脇で、ふわりと宙に浮かぶ羽ペンが、事の仔細を魔術書らしき本に書き込んでいた。

「まあでも、これでまたデータは集まったわ!次はきっともう少しうまくいくでしょう!」

 ――そうして繰り返した先にはいつか成功がある!
 少女の声音は、大事な仕事を一つ終えたという達成感と、次の実験への期待で満ち満ちていた。

「次はもう少し頑丈なヤツが欲しいわね。
 臆病なヤツは見飽きたからちょっと向こう見ずなくらいがいいわ」

 ――それからそれから――。
 少女は早くも次を見据える。
 最終目標は世界の征服。それを思えば、時間はいくらあっても足りないのだ。
 ならば、データを取った後のマウスに何の用があろうか。
 例えそれが少しばかり、人の形をしていたとしても。


「生命を作り出すこと、生命を操ること……どこまでが許される行いなのでしょうね」
 集まった面々を見回しながら、ニニア・ウェン(欠片探し・f01860)は表情を変えることなく、されど何かを押し殺したような声で言葉を発した。
「今回皆さんにお願いしたいのは、アルダワ魔法学園のとある迷宮の主たる災魔の討伐です。
 その迷宮は古代の遺跡を模したような場所で、かなりの場所が古びて崩れてしまっています。
 歴史的価値は特にございませんので、邪魔だと判断したらご自由に吹き飛ばしていただいても大丈夫です」
 その辺りはやりやすいようにお任せします、とニニアは告げる。
「寧ろ問題となるのが、迷宮内の浅い階層に充満している毒の霧です。
 これは迷宮の主が発生させているもので、何らかの魔術的な仕組みによるもののようです」
 駆け抜けるなり中和するなり、何らかの手段で影響を最小限に留めないと、猟兵と言えどもタダでは済まないだろう。
 そしてそこを抜けた先に――。

「秘宝を護るドラゴンがどこかにいます」
 実は宝探しの依頼だったのか?と問う猟兵に、いいえ、とニニアは返す。
「この迷宮の主である災魔は、レニオールという魔術師です。
 彼女は生命体を操る術に長け、迷宮に住むものは全てその支配下に置くことに成功したようです」
 そうして次に彼女が目をつけたのが。
「人、というわけです。
 生きた人間を完全に操る事。その魔術の確立の為に、彼女は実験を行っています。
 敢えてその内容を伝えることはいたしませんが……」
 言いながらニニアは目を伏せる。その様子から、それが口にし難い類のものであることは容易に想像できるだろう。

「……ともあれ、彼女は『実験材料』を求めています。
 今回は、秘宝を護るドラゴンを見つけ出し、討ち果たす事が彼女の目に留まる条件だという訳です。
 皆様であれば、倒すのはそう難しくない相手だと思います。探し出す方が大変だと思いますので、色々と手を尽くしてみてください。何かと物を集める習性のあるドラゴンのようですので、色々と痕跡は残しているかと思われます」
 ――ちなみに、秘宝と呼べるようなものが本当にあるかは判りません、と付け加える。
「そうしてドラゴンを討ち果たせば、皆様の前に彼女は喜び勇んで現れるでしょう。
 迷宮の生命体を支配下に置いている彼女は、その戦闘スタイルも操ったものを使役するようなものが中心です。
 くれぐれも、敵が一人だけだと油断せぬようにご注意ください」
 それでは、どうかお気をつけて、とニニアは深く頭を下げて見送るのだった。


桐白
 気がつけば年が明けてから1月経っていました、桐白です。
 またアルダワ魔法学園です。本当は別の世界の予定だったのですが、フラグメントを見ていたら思いついたのでこのような形に。

 シナリオの構成としてはおおよそOPで語った通りですが、こちらでも軽く補足を。

 ●第一章
 毒の霧があちらこちらに充満する古代の遺跡を抜けていただきます。
 駆け抜けても、迂回路を探しても、何らかの手段で中和を試みてもOKです。
 それぞれの得意分野を活かしてなんとかしてみてください。
 ●第二章
 秘宝(本当にあるのかどうかは判りません)を護るドラゴンを探し出して倒してください。
 OPで言及した通り捜索のほうがメインですので、戦闘関係の事はそこまで仔細に書いていただかなくても大丈夫です。
 ●第三章
 迷宮の主、魔操術師レニオールとの戦闘です。
 放っておけば魔術の完成という名目のために、人の犠牲が出続けるでしょう。
 だってやがては自分のものになる世界のものなのだから、少しくらい無駄遣いしても平気でしょう?

 というような感じになっております。
 目に留まる事がございましたら、どの章からでも遠慮なくご参加下さい。
 皆様の素敵なプレイング、お待ちしております。
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第1章 冒険 『古代遺跡への挑戦』

POW   :    息を止め、最短距離を一気に突っ切る

SPD   :    毒素の薄そうな所を探し、回避する

WIZ   :    毒素を中和しながら、用心深く移動する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

モルツクルス・ゼーレヴェックス
【WIZ】

「人体実験!?こわ!魔術師こわいっす!」

本当、ないっすわー
こうやって猟兵呼び寄せちゃってる時点で魔術師としては下策っすわー

「ニワトリ、コトリ、卵へ還れ。タマゴよタマゴ、明日に孵れ……」

【現象回帰】を用いて毒霧を抜ける
具体的には「毒」という原因を「害」という結果に繋げないように因果律を操作する

【高速詠唱】を用いれば絶え間ない魔術行使可能

自分は常に最高の【パフォーマンス】を維持している優秀な魔術師っす

「しっかし、人間完全操作術……すか」

興味深いっすねえ
なんでそんな無駄な術を?って点が

魔術師合理的目標向かうっすけど……合理的目標定めるとは限らない

「……お喋り好きなら、聞いてみるっすかね」



「人体実験!?こわ!魔術師こわいっす!」
 人気の少ない古びた遺跡に、場違いにも思える大きな声がこだまする。
 声の主はというと、その言葉とは裏腹に何を怖がっている風にも見えない。
 そもそも、無為に手を広げた結果として猟兵のような存在を呼び寄せてしまっている時点で下策なのだと、モルツクルス・ゼーレヴェックス(自由を飛ぶ天使・f10673)は思う。
 その身なりはこれから遺跡に挑む者とは思えぬものであったが、侮るなかれ、彼は実力ある猟兵にして魔術師だ。
 だからこそ、疑問に思う。
 何故「人間の完全操作」などというものを研究するのか。
 何故そんな無駄なものを。
 ――どうして?

 その答えを知るには、まず目前の毒霧を踏破しなければならない。
「ニワトリ、コトリ、卵へ還れ。タマゴよタマゴ、明日に孵れ……」
 呪言を一言呟きながら、毒の霧に踏み込んでみれば、それは「害」をほとんどもたらさぬものへと変じていた。
 毒霧の性質か、初めて見るものであるが故か、やや効き目は弱いものの通り抜けるだけであればなんの支障もない。
「……お喋り好きなら、聞いてみるっすかね」
 散歩でもするかの如く、癖毛の天使は遺跡を奥へ奥へと進んでいく。
 自らが抱える疑問を解き明かすために。

成功 🔵​🔵​🔴​

御形・菘
はーっはっはっは! 生命を操る、実にらしくて良いではないか! どんどんやれ!
しかしバレたらボコられる、当然覚悟の上であろうな?
しかもドラゴンに秘宝まで! これは行かねばなるまいて!

しかしまずは毒の霧か、うーむ、妾にはうまい対策が思いつかん!
よって息を止めて、最速で一気に駆け抜ける!
それにやはり一番乗りは冒険の華であろー?

といってもその前に、せめて毒素の薄そうなラインの見当だけはつけておこうかの
これだけデコボコの多い地形なら、壁であろうが天井であろうが妾にとってはただの道
左手、翼に尾も駆使すれば、踏破は案外簡単よ
後はゴーグルつけて、口に布を巻いて……さーて、ではいざ往かん!



「はーっはっはっは! 生命を操る、実にらしくて良いではないか! どんどんやれ!」
 咎める者もいれば、もっとやれと促す者もいる。猟兵とて立場は色々なのだから当然だ。
 しかし御形・菘(目指せビリオン・f12350)の行動原理はまた一味違う。
 どんどんやれとは言ってはいるが、そもそも見つけたら完膚なきまでに叩きのめすつもりであるし、悪の存在を許しているわけでもない。
 もっとも、その根本は、世界はそもそも真の邪神である自分のものであり、他の悪は――。

 ――説明が長くなって画質が悪くなるので、残りは動画説明文に譲ろう。
 ともあれ、邪神たる彼女が最初に直面した罠は事前情報通りの毒の霧。
 細かい対策は浮かばぬが、迂遠な方法など不要とばかりに彼女が選ぶは強行突破。
 とはいえ、予めある程度毒素の薄い場所のあたりはつけてある。
 ならば、あとは一直線に駆け抜けるのみ。
 念のためにとゴーグルと口元に巻く布は欠かさない。出来る備えはしておくのが出来る邪神スタイル。
 「さーて、ではいざ往かん!」
 
 先手、先駆け、一番乗りは冒険の華。ましてこの先にはうってつけのドラゴンと秘宝まであるときた。
 蛇の如くざらりざらりと地を滑り、竜の如くに翼を広げて宙を舞い、獣の如くに障害物をその腕でもって破砕する。
 その道行きは、見るものが見ればまさに邪神の如くであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

八剣・花蓮
どこの世界にも面倒事を引き起こす輩というのは、絶えないのですね。猟兵として、きっちりと始末をつけるべく頑張りましょう。

毒の霧への対処は、トリニティ・エンハンスで風の精霊の力で防御力を上昇させ、届かないように霧散させましょう。
「――風と踊れ、八剱」
八剱(漆黒の銅剣)に指を滑らせ、風の精霊の力を引き出し身にまといます。後は、力技で疾走して抜けていきましょう(POW)。

もちろん、無理に個人で動こうとは思いません。他の毒素の薄そうな場所を探す人や用心深く移動する人と協力して、進みます。
仲間と協力して、事態にあたる。それも立派な猟兵の戦い方のひとつです。

※アドリブ、他のPCとの協力、フォロー役大歓迎。


フルール・トゥインクル
命を操る、ですか
精霊にも近しいものが……いえ、こんな実験をする存在と比べるのは失礼もいいところですね

まずはこの遺跡を抜けないと、ですか
毒……うーん、吸い込まないようにしたらいいのですよね
エレメンタル・ファンタジアで小さな風属性の竜巻を作るのです
その竜巻に毒の霧を巻き込ませて、消していきながら進んでいくのですよ

周囲は注意深く観察して、毒の霧が噴出してそうな場所に気づいたら回避するようにするのです

抜けきったら毒の霧を纏めていた竜巻は他の猟兵さんの迷惑にならないところにそっと置いておくのです
だってそのまま消したらその場に霧が充満してしまうですからね



「命を操る、ですか
精霊にも近しいものが……いえ、こんな実験をする存在と比べるのは失礼もいいところですね」
 フルール・トゥインクル(導きの翠・f06876)は、浮かんだ考えを、頭を振って否定する。
 精霊の操るそれと、災魔が成そうとしている事。性質は似通っていようが、そこに介在する意志は全く異なるものだろう。
「どこの世界にも面倒事を引き起こす輩というのは、絶えないのですね。」
 フルールの横で八剣・花蓮(古流殺法八剣派奥伝・f13987)が呟く。UDCを狩る事を定めとして生きてきた彼女にしてみれば、相手が害を為す災魔であれば、斬って殺す以上の感慨は或いは無いのかもしれない。
「猟兵として、きっちりと始末をつけるべく頑張りましょう」
「はい、そうですね」
 花蓮の言葉にフルールが頷き、2人は毒素の満ちる行路を見る。
「それで、この霧ですが……」
「こうしてみるのはどうでしょう」
 翠緑の妖精が目を伏せて魔力を込めると、行く手に小さな竜巻が巻き起こる。
 逆巻く風は辺りの毒素を吸い込みながら蛇行し、行く手の毒素を払い除けてゆく。
「風の力で毒の霧を消しながら進んでいくのですよ」
「なるほど、それでは私は……」
 ――風と踊れ、八剱。
 呪言と共に漆黒の剣に指を滑らせれば、その身の回りに風の加護が展開される。
 そのまま前に進み出ると、竜巻で巻き込みきれずに残された毒素も近づく事なく霧散する。
 本来は白兵戦で自らの護りを固め、近づく敵を弾き、引き裂く為の技術であるが、応用すればこの程度は造作もない。
「大丈夫そうですね。行きましょう」
「はい。先導は任せて下さい!」
 言って翠緑の妖精は先へと飛ぶ。それが例え見知らぬ迷宮の奥底であれ、人を導くことこそが誇りなのだと、翠の瞳にその意志を湛えながら。
 
奇しくも風の力を扱える者同士で同道することになった2人の尽力により、迷宮内でも比較的安全な道が一つ、確保される事となる。
絶え間なく発生する毒霧を完全に排除することは叶わなかったが、それでもフルールがその注意深い観察で見つけた発生源を、花蓮が壁面ごと斬り裂き、潰す事で一定の濃度の低下は見られたようだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

雛菊・璃奈
命を道具や実験材料程度にしか思ってない…他人をモノとしか思わない相手…絶対に許さない…。

【狐九屠雛】を周囲に展開…。
灯りの代わり及び咄嗟の敵襲やトラップの対応、毒霧の対処の為に展開…。
毒ガスじゃなくて霧状に散布されてるなら、空気中の水分と一緒に毒素を凍らせてしまおうかな…。
多少は空気中に残るかもしれないけど、【オーラ防御】で毒素を弾きつつ、呼吸に注意しながら進めばなんとかなると思う…。
噴出口があればそのまま【狐九屠雛】で凍らせて塞いじゃうよ…。

後は進みながら迷宮のマッピング、構造傾向の把握等に努めて、ドラゴン探索の為の情報をできるだけ事前に収集しておくかな…。

※アドリブ等歓迎



(命を道具や実験材料程度にしか思ってない…他人をモノとしか思わない相手…絶対に許さない…)
 雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)は銀の瞳に静かに怒りを燃やす。
 その源は、かつて隷従させられた経験によるものか。他者をモノとしかみなさず、我が物のように振る舞う災魔の所業は到底看過し得るものではない。
 感情の表出を苦手とする彼女ではあったが、見知った者が見ればその想いは明らかであっただろう。

 先行した猟兵により、幾分か薄まった毒霧の中へと魔剣の巫女は踏み込む。
『魂をも凍てつかせる地獄の霊火…』
 呪言を唱えれば、具現化するは第九の地獄。
 あらゆるもの凍てつかせる、蒼く壮麗なる凍土の炎。
 炎に触れ、空気中の水分ごと凍りついた毒霧が、はらはらとまるで雪のように舞い落ちる。
 凝固したとはいえ毒は毒。吸い込まぬよう細心の注意を払いながら、周囲に霊気の防護を展開し、身の守りを盤石のものとして歩を進めていく。
 
怒りをその身に抱えながらも、思考は努めて冷静に。
 事前に聞いていた次にすべき事の備えに考えを巡らせる。
 違う層とはいえ、同じ遺跡。
 ならばここで構造を把握しておく事の意味もあるだろうか、と周囲の様子に目を向ける。
 激情は仕舞って、まず為すべきことを成す。
 その先にこそ、倒さねばならぬ敵がいるのだから。

成功 🔵​🔵​🔴​

三蔵・迅
【POW】
毒は嫌ですよね…死にはしませんけど
じわじわと苛まれる感覚は苦手です

多少の無茶も出来る体ではありますが、この先に戦闘があることを考えるとあまり毒を受けるのも得策ではないでしょうね
対策としては霧を吸わないようにすればいいのでしょう

迷宮内の空気の流れを確認して、風の通り抜ける方向を調べます
出口があるならそこへ流れる空気があるはず
あとは竜宮へと導く者の背に乗って、進むだけです

方向転換は私が念動力で舵を取りますから
あなたはただ、この霧の中を速く飛ぶことだけ考えていてください
少しくらい吸い込んだとしてもこれくらいの毒なら耐えてみせます



「毒は嫌ですよね…死にはしませんけど。
じわじわと苛まれる感覚は苦手です」
 三蔵・迅(遠き夕の灯・f04775)は一人呟く。
 人ならぬ身には、毒の影響は薄かれど、この先に戦うべき相手が控えているとあってはその影響は最小限に留めるべきだろう。
 それに、そもそもが単純な毒ではなく魔術的なものである。例えヤドリガミの身であっても、どのような影響があるかは計り知れない。
 いずれにせよ、吸わなければいいのだろう、と。そう考えた迅は手をかざして空気の流れを確かめる。
 行き止まりの迷宮でないのなら、空気の流れが、出口が何処かにあるはず――。
「なるほど、そちらですか」
 空気の流れを捉えた手を、そのまま地に向け引き上げればまるで最初からそこにいたかのように、巨大な御使の亀が現れる。
「ただ、この霧の中を速く飛ぶことだけを考えて下さい」
 方向転換は私が舵を取りますから、と現れた亀の背に乗りながら、迅は声を掛ける。
 命ぜられた亀は、その指示のままに、まるで水中を泳ぐかのごとく、毒霧の中を通り抜けていく。
 霧の中を抜ける間、ゆっくりと、しかし着実に迅の体を毒が蝕んでいく。それでも先に抜けた猟兵がある程度霧を散らしていたこと、そして迅の観察により最短距離が見出されていた事から、影響は最小限に済んだと言えるだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『黄金の秘宝を守るドラゴンを倒せ』

POW   :    迷宮を総当たりしてドラゴンを探しだす

SPD   :    マッピングしつつドラゴンを探しだす

WIZ   :    財宝のにおいを頼りにドラゴンを探しだす

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 上の階層が騒がしい。
 ついについに、新しいお客様<実験台>が来たのかしら?
 毒の霧を抜けてくるくらいに頑丈な、消費期限の長そうな品が届いたのかしら?
 でもまだ焦ってはダメ。
 どこかに潜んだお宝を、見つけ出せるくらいには頭が回って鼻が利くものでなければ役に立たない。
 ――だから、もう少し待ちましょう。
 オーダーにぴったりの材料が、テーブルに並ぶその時まで。


 毒の霧が満ちる階層を抜け、猟兵たちは次の層へと至る。
 事前に聞いていた話によれば、ここのどこかに秘宝を護るドラゴンがいるという。
 秘宝が実在するかは不明だが、ドラゴンがいるのであれば痕跡が全くないということもないだろう。
 ――むしろ、迷宮の主の目的を思えば、敢えて残されている可能性すらもある。
 竜が潜んでいるという割には、奇妙と思えるほどに静かなその階層に、猟兵たちの足音が響き渡った。
フルール・トゥインクル
毒の霧の次はドラゴン探しなのですね
でも、普通の冒険みたいでこういうのは嫌いではないのが悔しいところなのです
導きの妖精の力、お見せしちゃうのですよ!

SPDを使っていくのです
マッピングをしていきながら、通った場所にはオランジェにお願いして樹でマークをしていくのです
もし財宝や下層への階段があるとするなら周辺とは違った奥まったところ、もしくは隠し部屋って可能性もあるのです
マッピングした地図を頼りに怪しい場所を重点的に潰しつつ、壁は時折叩いて隠し部屋がないかチェックするのですよ

後はドラゴンと思われるような爪の跡とかもないか確認していきたいのですね



「毒の霧の次はドラゴン探しなのですね
でも、普通の冒険みたいでこういうのは嫌いではないのが悔しいところなのです」
 フルール・トゥインクル(導きの翠・f06876)は油断なく辺りを見回しながらも、どこか楽しげな様子でもあった。
 事実、困難な障壁を乗り越え、守護者の護る秘宝を探すという行程自体は、如何にも冒険譚に出てきそうな筋書きだ。その背後に、邪悪な魔術士の思惑さえなければ。
 いずれにせよ、隠されたものへと誰かを導くというのは彼女の本懐にして得意分野であり、その様子からは特に力が入っているように感じられた。

 ふわりふわりと迷宮内を進んでいく。
 片手には通ってきた道が正確に書き込まれた地図を持ち、同時に目に見えぬ親友に頼んで、一度通った場所に小さな樹を目印として生やしていく。
「隠し部屋は……この辺りにはなさそうですね」
 コツコツ、と壁を叩いて確認していくも、特に何かが隠されている形跡はなかった。
 護っているドラゴンが残した爪痕などがないか、とも注意深く確認しながら進んでいくも、不自然なまでに生物の痕跡は残されていない。
 ここも特になし、友に頼んで樹を生やしてもらうと、はらりと金色が宙に舞う。
「これは……」
 毒性のものではないか、宙に舞ったそれを慎重に確認してみると、金粉のようであった。
 秘宝が本当にあったのか、それとも他の何かだろうか。
 いずれにせよ、先に繋がる大事な情報だろう。
 そう考えたフルールは、先に進みつつも他の猟兵を探す事にする。
 まだこれを知らない人がいれば、それを導くのも役目だろうから、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​

モルツクルス・ゼーレヴェックス
「いやぁな、感じっすねえ……」
居るはずなのにいないドラゴン
姿を見せない件の魔術師……
「てんち あまねく 孤独の鷹よ わがみに やどりて めをこらせ」
【鷹の眼】は、隠れているものを看破し、隠されているものも把握し、干渉しようというものを見切る力
「こっちが警戒してると、気づかれにくいのもポイント高いっす」
【世界知識】【情報収集】【学習力】も活用して、ドラゴンやトラップや魔術師痕跡に繋がる違和感を探っていく
「……そもそも猟兵を呼び寄せる事が目的?そのために準備万端待ち構えているとしたら……」
随分と甘く見られたもんっすね
どんな罠だろうと食い破るってくらいの気合いと、いざという時の撤退を胸に、進むっす



「いやぁな、感じっすねえ……」
モルツクルス・ゼーレヴェックス(自由を飛ぶ天使・f10673)は慎重に歩を進めながらも、煮えきらぬ物を感じていた。
どこかにいるはずなのに一向に姿を見せないドラゴン。
どこかに潜んでいるはずなのに気配のしない魔術士。
 いずれにせよ、調べなければ始まらない、と探索のための呪言を唱える。
「てんち あまねく 孤独の鷹よ わがみに やどりて めをこらせ」
 一切の死角なく、隠されたものを看破する瞳。その力を借りて、僅かな痕跡も見逃すまいと迷宮の中を調べていく。
 先に出会った猟兵から、不自然な金粉が散らばっていたという話を聞いた。
 前方の床や壁面に、よくよく見ればそれらしきものが見える。なるほどこれが、とモルツクルスがその「眼」をもってして確認してみると、違和感を覚える。
 それは確かに金粉のようであった。しかし、ただの金ではなく、何かしら魔力を帯びたもののようだ。それ自体に特に害があるわけではないようだが……気が付けたのは、その能力とモルツクルス自身が魔術師であり、世界の様々な知識を持つが故か。
 それを踏まえて辺りを見てみると、微かに魔力の流れのようなものが感じられる。あるいは”わざと"そうしているのかもしれないが……
「……そもそも猟兵を呼び寄せる事が目的?そのために準備万端待ち構えているとしたら……」
 随分と甘く見られたものだ、とモルツクルスは思う。
 どんな罠であろうと、打ち破って見せてこその猟兵だ。それに、疑問の答えも聞かねばなるまい。
 改めて気合を入れ直しつつ、モルツクルスは手掛かりを辿って歩みを進めていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

八剣・花蓮
ただ総当たりというのは非効率すぎますね。ここも他の猟兵の方と力を合わせて、分担すると良いでしょうね。

「――闇と共に魔を放て、八剱」
八剱の切っ先を足元に突き立て、闇属性と魔属性によって影の追跡者を召喚します。迷宮の主の目的を思えば、敢えて残されている可能性すらもあります。迷宮内のドラゴンの気配を、影の追跡者に追わせましょう。

秘宝を守る=動いていないと仮定。ドラゴンも相応の大きさを誇るでしょう、狭い場所や通路は排除。「動かない大きな生き物の気配」を影の追跡者に追わせます。情報は逐次他の猟兵の方とすり合わせ、無駄は省きます。
ドラゴンと戦う場合は、全力魔法でドラゴンが苦手な属性の魔法で攻撃しましょう。



 八剣・花蓮(古流殺法八剣派奥伝・f13987)は一人、迷宮内の床を調べていた。
 床をなぞった指に微かに付着する金色の物体。先に他の猟兵から話に聞いていたそれらしき痕跡に違いないだろう。
「この辺りで良さそうですね。それにしても、ドラゴンと秘宝ですか……」
 それぞれの性質をよく考える。ドラゴンは秘宝を護っている。秘宝が実在するのかは判らないが、仮に何かを守護しているのならそうそう大きく動くことはないのではないか、と推測する。さらにドラゴンというのだから、それなりの大きさなのではないか、と。それならば――。
「――闇と共に魔を放て、八剱」
 漆黒の剣を大地に突き立てる。するりとそこから伸びた影が、別の生き物であるかのように動き出す。
 指定した対象を追い求める追跡者に、「動かない大きな生物の気配」を追うように伝える。
 わざわざこの場所で影を喚び出したのは、ここに金色の痕跡があったからだ。
 それが何であれ、秘宝の守護者に関わるものであるならば、同じ気配が纏わり付いているはず。それを実際に確認した上で追わせれば、より精度も上がるだろう。
 他の猟兵との情報共有を念頭に置いて行動し、その上で自身の推測も合わせて辿り着いた方法だった。
 しばらくすると、何かを感じ取ったのか影が目立たぬように動き出す。
 五感は共有しているため、暫くは様子を見ていればいいだろう。
 ドラゴンが見つかれば、後は魔術師だ。
 少しずつ近づいてくる戦いの時に備えて、花蓮は精神を研ぎ澄ませる――。

成功 🔵​🔵​🔴​

雛菊・璃奈
…思惑に乗るのは面白くないけど…仕方ないね…早くドラゴンを倒して、黒幕を引っ張り出そう…。

一章と同様、【狐九屠雛】を周囲に展開し、灯りやトラップへの対処等に使用…。
マッピングしつつ、一章で収集したダンジョンの構造傾向から、最深部へ向かうルートを割り出して最短でドラゴンの下へ…。
通路のトラップ等は全て【見切り】で位置を把握し、【狐九屠雛】で凍らせて作動できなくして進んでいく…。

ドラゴンは遭遇と同時に【狐九屠雛】で四肢と口を凍らせて封じつつ、竜殺しの力を持つバルムンクを使って、【呪詛】を纏った一閃で首を落として仕留めるよ…。甲殻や鱗も【鎧無視】でそのまま断ち切る…。

※アドリブ歓迎



(…思惑に乗るのは面白くないけど…仕方ないね…早くドラゴンを倒して、黒幕を引っ張り出そう…)
 雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)は少しの苛立ちを抱えながらも、迷宮内を進んでいた。
 その周囲には今も凍てつく炎が展開されており、灯りの確保を担っていた。
 迷宮自体の構造は、先に上層で把握したものと大差はないようだった。
 大きな部屋の類は少なく、迷路のように道が入り組んでいる。
 迷宮らしく、少々の罠のようなものはあったが、全て事前に察知して回避してきた。念の為、後続の猟兵の為に凍らせながら。

――ガアアアアアア!!!

 何者かの咆哮が迷宮内に響き渡る。ドラゴンだろうか。
 璃奈は音の出処に向かって足を速める――。

 璃奈が少し大きめの広間に辿りつくと、そこでは既に他の猟兵達が戦っていた。
 相手を見れば、金色の鱗に翼を持つ爬虫類のような生物――まさにドラゴンがいた。
 不自然なのは室内だ。床も壁面もまばらに金色になっており、ドラゴンの周辺には謎の金色の彫像――人形であったり、魔物のようであったり形は様々だが――が幾つも転がっている。
 しかし、その疑問はすぐに解ける。
 部屋に侵入してきた璃奈に気付いたドラゴンが金色のブレスを吐きかける。
 咄嗟に宙に身を翻してかわした璃奈が、自分が元いた場所を見ると、後ろの壁が金と化しているではないか。
(そうか、あのブレスで……)
 あらゆるものを金に変えてしまうブレス。ならばあの周囲にある金色の彫像は――。
「地獄の霊火よ!」
 着地と同時に、展開してあった凍てつく炎を放ち、ドラゴンの口を凍らせる。
 どれほど危険でも、封じてしまえば脅威ではない。
 後は畳み掛けるだけ。竜殺しの魔剣を構えた巫女が、金色の竜に向かって疾駆する――。

成功 🔵​🔵​🔴​

御形・菘
さーて次はドラゴンと秘宝か! 妾は総当たりして探していくぞ
勘違いしてはいかんぞ、無策故に仕方なく総当たり、ではない! 策としての全力での総当たりよ!
……マッピングしつつ普通に探していくより、5倍速ぐらいで映像を回す時に絵面が良いしな

野生の勘などはあえて封印、片っ端から全速で探し回るとしようか
なーに、妾の実力をもってすれば簡単に発見よ!
(アドリブ歓迎)

おお、お主がドラゴンか!
はーっはっはっは! 命令されるがままの格下(同族のようなものという認識)は、妾にボコられてせめて動画で高評価を沢山貰う栄誉を受けることだな!
トリニティ・エンハンスで攻撃力を強化! 邪炎を纏いし我が左腕の一撃を食らうが良い!



迷宮内を、蛇の如き影が賭ける。蛇と言ってもそれは翼を持ち、異形の腕を備え、そして――。
「はーっはっはっは!」
 高笑いをするものであったが。
 邪神(設定)たる御形・菘(目指せビリオン・f12350)は上層と同じ調子でこの階層も隅から隅まで総当たりで走り回っていた。
 マッピングもせず、自らの野生の勘すらも敢えて封じ、時にカメラを気にしたような動きをしながら、とにかく体力の続く限り一心不乱に駆け回っていた。全ては動画映えのために。
 常人であれば途中で挫折してもおかしくないであろうその行程を、疲れた顔も見せずにひたすらこなしていくのは邪神としての力が為せるわざだろうか。単に疲れた顔をすると動画映えしないからかもしれない。
 いずれにせよ、彼女はその気合の力だけで迷宮のかなりの部分を走破していた。早いかどうかはさておいて、尋常ならざる努力と言えるだろう。
 残すは僅かな部分のみ。何かが唸るような音も聞こえる。さあ、いざ往かん――!

 ――部屋に飛び込んだ菘は、金色の生物を眼にした。
 花に穿たれ、身体の一部は焼け焦げ、切り傷も目立ち、口や四肢は凍りついてこそいるものの、あれは間違いなくドラゴン――!
「おお、お主がドラゴンか! 少し出遅れた気もするが――。
 まあいい! 命令されるがままの格下は、妾にボコられてせめて動画で高評価を沢山貰う栄誉を受けることだな!」
 飛び込んだ勢いのまま、ドラゴンに向かって突き進む。
 本当に同族かはさておいても、自由に振る舞う彼女にとってみれば、魔術師の支配をうけるそれは間違いなく格で劣るものでしかないだろう。
 異形の腕に炎が纏う。満身創痍ながらも抗おうとしたドラゴンにその隙を与えずに振り下ろされたその腕は、竜の金鱗を破り、肉体を焼き焦がす。
 一撃を受け、苦しむように身を捩ったドラゴンは、暫くして完全に動きを止めた――。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『魔操術師レニオール』

POW   :    コール・ザ・バウンデン・ソウル
【ダンジョンで息絶えた冒険者】の霊を召喚する。これは【噛みつき】や【羽交い絞め】で攻撃する能力を持つ。
SPD   :    アンロック・ザ・ダンジョン・モンスター
【開いた魔導書のページ】を向けた対象に、【ページから飛び出るモンスターの体の一部】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    ブラッド・アンド・アシッド
戦闘用の、自身と同じ強さの【吸血コウモリ】と【強酸スライム】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はロザリア・ムーンドロップです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「素晴らしいわ。よくできました!」
 竜を倒した猟兵達が振り向くと、部屋の入口に一人の少女が立っていた。
 髪をリボンで2つに括り、黒尽くめながらも可愛らしい衣装をしたその少女は一見すると害のない人物のように見える。
 だが、漂わせる雰囲気は間違いなく災魔のそれである。
「貴方達が新しいお客様ね!嬉しいわ、これでようやく実験が進む――!」
 声を上げる少女は、心底嬉しそうな表情だ。
「そのドラゴン、何でもかんでも金にしちゃうから、ちょっと扱いにくかったのよねえ。あまり露骨に痕跡残しても面白くないでしょう?掃除するの大変だったのよう」
 親しい知人に話すかのような気楽さで少女は語る。
 だが、それも一時の事。
「それじゃあ、大人しく偉大な研究の礎になってね。上手く行けば"使って”あげるから。抵抗するっていうなら――少し死んで貰うわ」
 一転して冷ややかな声音に転じた少女は告げる。その響きは、確かに非情の研究者のそれであった――。
御形・菘
おお、イイ感じにキマっておるのー

妾の動画視聴者であれば鱗の二、三枚ぐらいなら下賜しても良いのだがな
ふん、初対面のお主にビジュアル批評をされる筋合いは無い!
この身体も人生も、妾は誇らしい! 妾だけのものよ!


とはいえ今回はお主を直接ボコる予定は無い
ド派手な先制の一撃をブチ込んで目立つ役回りよ!

勢いつけて翼で飛翔……かーらーの、食らうがいい、楽土裁断!
眷属どもの一番密度が高い地点、ど真ん中へと捨て身の一撃の叩き込む!
そして即座に、存在感、挑発、殺気、恐怖を与えてやろう!
はーっはっはっは! 後は妾は囮よ、雲霞の如くどんどん来い!
さあ皆の衆、足並みは乱したぞ、お主らはお主らで最善を尽くすが良い!



「あら、あなた面白そうじゃない?」
 レニオールは、蛇か或いは竜の如き異形を持つ御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)に目を留める。
 ただ、もう少しスマートな方が私好みだけれど、と付け加えつつ。
「ふん、初対面のお主にビジュアル批評をされる筋合いは無い!」
 その言葉に対し、菘ははっきりと隔意を示す。
 もしも動画視聴者であるならば、多少の品を下賜せんとも考えたが、この反応ではどうやらそうではなさそうだ。そもそも動画視聴環境があるのかどうかが謎ではあるが。
「残念。でも大丈夫、あなたも私のものになるのだから」
 冷たい表情を貼り付けたまま、声音はどこか楽しげに、少女は言葉を紡ぐ。
「笑止! この身体も人生も、妾は誇らしい! 妾だけのものよ!」
 誇り高き邪神、いや、御形・菘は誰のものでもない。
 自らの意志で世界を巡り、悪を倒し、人々に娯楽を届けるのだ。
 少女の返答を待たずして菘は宙空に飛び上がると、回転をつけてその蛇の尾を叩きつける。
「ちっ……荒っぽいのは嫌いなの」
 少女はその一撃を掠めるようにかわし、続けざまに手にした魔導書から術式を解き放つ。
 それに呼応するかのように、この地で朽ちた無念の霊が、あちらこちらより無数に湧き出で、菘の元へと殺到する。
「はーっはっはっは! その程度か!」
 菘は押し寄せる霊を避けるのではなく、敢えて渦中へと、少女の懐へと飛び込んでいく。
 さらにと尾を叩きつければ、床が砕け、大音が鳴り響き、そうしてさらに敵の目を引いていく。
「ああくそ! 大人しくしろ!」
 少女が感じたのは、苛立ちか、何かの恐怖か。何れにせよ、「狙い通りに」菘から目を離せなくなっていた。
 そう、だから、菘は高らかに声を上げる。後に続く仲間へと、邪神よりの道を示さんと――。

「さあ皆の衆、足並みは乱したぞ、お主らはお主らで最善を尽くすが良い!」

成功 🔵​🔵​🔴​

モルツクルス・ゼーレヴェックス
悟られないように【高速詠唱】で【単純難解針】
全てを細胞大で召喚
「……聞きたいんすけど」
純粋な疑問っす
「何だって、人の完全操作なんて術を?」
そうした自分の純粋な部分の心を【コミュ力】と【パフォーマンス】で伝えて、気を惹いてる間に【針】を彼女の全方位に配置
「人間を完全操作なんて、不可能っす」
って言った瞬間に【針】を巨大化
「だって完全操作されてる人間なんて、人間じゃないっす」
【針】は地面目掛けた林檎のように、彼女に届く
「その術は、本質的に殺人と変わらない」
届いたら、何発か彼女を重くして回避を防ぎ
「達成したら、未達成になる」
残弾の質量と斥力で圧殺するのが
「無意味な試みっすよ」
魔術師の情けっす、三流術師



「……聞きたいんすけど」
 ままならぬ相手に苛立つ少女の背後から、まるでこの場にそぐわぬかのような純粋な声音で尋ねるのはモルツクルス・ゼーレヴェックス(自由を飛ぶ天使・f10673)だ。その周囲には、何かが一瞬きためいたように見えた。
「……何」
 苛立ちを声にはらませつつも、一応は会話に応じるのは災魔たる余裕故か。
 但し、吸血コウモリのおまけつきではあるが。
「何だって、人の完全操作なんて術を?」
 コウモリをけしかけられつつも、問いかけるモルツクルスは純粋だ。心の底からその事を疑問に思っている。
 それを感じ取ったのか、はたまた研究者であるが故に疑問を見過ごせなかったのか、少女は仕方ない、といった風に頭を振ってから答える。
「そんなこと。私の魔力を証明するため、そして世界を征服するためよ」
 簡単なことでしょう、と少女は紡ぐ。そうしてそれは間近なのだと、もうあなたたちで完成するだろう、とやや熱を込めながら。
「人間を完全操作なんて、不可能っす」
「……は?」
 その熱は、モルツクルスの一言で遮られる。
 ややあって、少女が反論の言葉を放とうとした瞬間――。
「だって完全操作されてる人間なんて、人間じゃないっす」
 言葉と同時に、少女の頭上で巨大な針が顕現する。
 いや、それは最初からそこに”あった"のだ。
「……いつの間に!」
 少女とて魔術師だ。気を払っていれば、魔法で形作られたそれには気付けただろう。
 他の猟兵に、そしてモルツクルスの言葉に気を取られてさえいなければ。
「その術は、本質的に殺人と変わらない」
 モルツクルスは淡々と、己の見解を述べながら少女を追い込んでいく。
 落ちた針はさらに重みを増し、捕らえたものを逃さない。
「達成したら、未達成になる。無意味な試みっすよ」
「ああそう!そうか!」
 かろうじてコウモリを盾にして大きな傷を免れた少女は怒りを隠さない。
「ならばまず、お前から”殺して"あげる!」
 手傷を負って消滅したコウモリを再召喚せんとする少女に向けて、モルツクルスは頭を振る。
「今の、魔術師の情けだったんすけどねえ」

成功 🔵​🔵​🔴​

雛菊・璃奈
「貴女に使って貰うつもりはない…。命を道具や実験材料程度にしか思ってない貴女は、絶対に許さない…。多くの命を弄んだ報い、受けると良い…!」

召喚されたモンスターは黒桜の呪力解放【なぎ払い、衝撃波】で吹き飛ばして一掃。
敵の攻撃は【オーラ防御、見切り、第六感】で回避しながら接近し、【呪詛、2回攻撃、早業】凶太刀で連続高速斬撃…。

その後、【unlimited】を展開…。
冒険者の霊やレニオールが弄んで来た全ての怨念を【呪詛】で【unlimited】の妖刀や魔剣に吸収して最大まで強化…。呪力を最大まで高めた一斉掃射で一気に殲滅するよ…。

呪いはわたしの力の源…全ての命の報い、受けて貰う…!

※アドリブ等歓迎



 巻き起こる粉塵の中、銀色が駆ける。
 茫とした視野の中に、標的を見つけるやいなやその影ごと切り裂かんと呪槍の刃を振るう。
「ちっ!」
 刃は空を切る。いや、手応えがなかったわけではない。少し浅かっただけだ。
 刃の主、雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)は、晴れてきた視界の中、己を睨みつける少女を見る。
「せっかく私のものにしてやろうというのに、どいつもこいつも!」
 自分勝手な苛立ちを振りまくその少女は、ああ正しく、璃奈が敵愾心を抱くに十分な邪悪だ。
「貴女に使って貰うつもりはない…。命を道具や実験材料程度にしか思ってない貴女は、絶対に許さない…」
 正面から少女を見据え、璃奈はその言葉に怒りを乗せる。
 常であれば感情の表出を苦手とする彼女ではあるが、この時ばかりは誰が見てもその心は明らかであった。
「あなたに許されようが許されまいが、私にはどうでもいいわ!”程度”じゃなくて実験材料なのよ!正しく扱って何が悪い!」
 身勝手な言葉とともに再度呼び出された吸血コウモリやスライムが璃奈目掛けて殺到する。
「その程度…!」
 呪槍を手に、舞うように得物を振り抜けば、刃先より放たれる衝撃波が先陣を一掃する。
 それを盾にしてなおも迫りくる相手に、腰に差した妖刀を振り抜く。
 数が数ゆえ、全てを一人で捌き切るというのは不可能ではあったが、多少の傷をものともせぬ璃奈の勢いは少女をたじろがせるには十分であった。
「まだやる気!それならこれでどう!」
 モンスターだけでは不足なら、と少女は更なる術式を展開する。
 未だこの地に眠る、少女がこれまでに眠らせてきた数多くの怨念が大地より生じ、亡霊と化す。
 だが、璃奈はこの時を待っていた。
『呪われし剣達…わたしに、力を…『unlimited curse blades』…!!』
 呪言とともに璃奈の周囲に無数の剣が顕現する。
 魔剣の巫女たる璃奈にとって、呪いはその力の源と言っても過言ではない。
 であれば、存在そのものが呪いたる怨霊が、彼女の力にならぬはずもない。
「させるか……!」
 状況に気付き、さらにモンスターを喚び出して災魔はその術を止めようとする。
「遅い……!」
 一瞬早く、璃奈の術式が完成する。
 十分な呪いの力を蓄えた妖刀魔剣の数々が宙に浮かび、一斉に放たれる。
「多くの命を弄んだ報い、受けると良い…!」
 怒りと共に放たれたその千刃は、確かに災魔の身体を引き裂き、無数のモンスターを消滅させた――。

成功 🔵​🔵​🔴​

八剣・花蓮
仲間と力を合わせれば勝てる相手です

まずトリニティ・エンハンスで風を身に纏います
「風と踊れ、八剱」
風で吸血コウモリや強酸スライムが近づいてこないよう防御を固めます
また、隙を見てトリニティ・エンハンスで八剱に風を纏わせ風の斬撃で攻撃していきます

私は皆さんのフォローを
風の斬撃二回攻撃で隙を作ります

「あなたは優しいですね、“使って”あげるなどと。私はあなたを使ってなどあげません。殺し、終わらせ、あなたという存在を抹消します」
「あなたの研究は、塵一つ残しません。研究者には、もっとも効く“お仕置き”でしょう? お嬢さん」

最後に彼女の研究資料は燃やしてしまいましょう
これはいらないものです

※共闘、アドリブ歓迎



(仲間と力を合わせれば勝てる相手です)
 八剣・花蓮(古流殺法八剣派奥伝・f13987)は自らの身に風を纏わせ、戦場を駆ける。
 近づく吸血コウモリをその風の壁で阻み、蠢くスライムを一刀のもとに切り伏せていく。
 花蓮は、他の猟兵のフォローをすると決めていた。
 故に、皆が戦いやすいよう周囲の敵の配下を確実に、迅速に潰して回る。
 生真面目かつ、冷静な彼女は、一寸の狂いもなくその身に課した責務と果たす。
 さりとて、術者もそのままやられていくものを見過ごすわけもなく、花蓮のもとには集中的に敵の眷属が送り込まれているような気配があった。
 元を断たねばなるまいか、暫しそう考えた目線の先に、災魔の少女の影が浮かぶ。
「まだやるつもり?大人しくしたら?」
 ここまでの戦闘で負った傷が幾分か目立つ少女は、それでも先までの苛立ちを抑えながら花蓮に声を掛ける。その裏にあるのは余裕か焦燥か――いずれにせよ、花蓮には関係のない事ではあったが。
「大人しく私のものになるなら――」
「あなたは優しいですね、“使って”あげるなどと」
「……何を」
 少女の言葉に返されるは、思ってもみなかった言葉。故に、一瞬の隙が生まれる。
 黒の狩人はその隙を見逃さない。一足で瞬時に間合いを詰め、風の力を纏わせた刀を振り抜く。
「私はあなたを使ってなどあげません。殺し、終わらせ、あなたという存在を抹消します」
 敵対する存在は殺し、抹消すべきもの。それ以外の何者でもなく、存在は許されない。
 宿命を背負った狩人からすれば、対峙したうえで活かしてやるなど、優しすぎるくらいであろう。
「……次で終わりです」
 浅かったか。咄嗟に喚び出した眷属を盾にしてダメージを抑えた災魔を見やる。
 しかし、既に動きは見た。ならば2度目はない。自分は”狩り"を生業としてきたその目は獲物を逃さない。
「あなたの研究は、塵一つ残しません。研究者には、もっとも効く“お仕置き”でしょう? お嬢さん」
「……やれるものならやってみなさい……!できなければ、"優しい"私が使ってあげる!」
 度重なる戦いで負った手傷を隠しながら、少女は再び眷属を呼び出す。
 黒の狩人が駆ける。この迷宮での”宿命”に終止符を打つために――。

成功 🔵​🔵​🔴​

ナット・パルデ
小ささを生かして死角からレイピアを携え突進【アネステジア】をぶち込む
実験者様が大好きな睡眠麻酔だ、眠さで少しは思考も鈍るだろ


人が素材とは大いに結構だが……
自分が素材になる可能性を忘れるんじゃねえぞ?



魔術師の身体や装飾品は研究者の素体として売れる
俺も"優しい"からな、目でも髪でもリボンでもありがたく頂こう
ま、この程度のやつはゴロゴロいるし保存もめんどうだ、その場で捨ててやる
実際はどこか破損させて怒りか恐怖で我を忘れさせるのが目的
魔術師は常に冷静に、だぞ


これで倒せたら万々歳だがダメならトドメは次に任せる
猟兵は臨機応変さが大切だ、協力はするに越したことがない


アレクシア・アークライト
 貴方にとって、私達は単なる実験材料、研究対象なのかもしれない。
 でも、それらを見下し軽んじて扱ったら、牙を剥かれて命を落とすこともある。
 そんなことも知らないんだったら、研究者として三流以下ね。

・ここまでの戦いを見るに、彼女は接近戦は得意ではないように見える。
・障害となるスライム等は飛び越え、接近戦を仕掛ける。
・敵の攻撃は念動力で弾き、脚や拳に力場を纏わせて攻撃する。

・彼女は、突然私達の背後に現れた。
・同じように突然いなくなるおそれがある。
・UCを用いて空間を閉鎖し、逃げられないようにする。

 知らなかった? 猟兵からは逃げられないわよ。
 大人しく皆殺しにされなさい。



「貴方にとって、私達は単なる実験材料、研究対象なのかもしれない。でも、それらを見下し軽んじて扱ったら、牙を剥かれて命を落とすこともある」
 アレクシア・アークライト(UDCエージェント・f11308)が力場を蹴って宙を舞う。
 地上に蔓延るスライムを飛び越え、敵の懐へと入り込まんとする。
 ここまでの戦いで、敵は接近戦は不得手だろうと読み、的確に距離を詰めていく。
「見下してなんていないわ。そもそも全ての素材は等価よ」
 災魔の少女は、魔物や怨霊を喚び出し、盾としながら距離を取る。
「そう……やっぱりあなたは研究者として三流以下ね」
 見下しているということすら理解していないのなら、それはもはや研究の徒として認識不足もいいところだろう。
 纏わりついてくる怨霊達を払い除けながら前に進めば、赤い瞳が敵の姿を間合いに捉える。
 対応する隙を与えず、地を蹴ってそのまま力場を纏わせた拳を叩きつける。
 かろうじて回避した災魔が距離を取らんと後退れば、その腕に小さな針の如き、鋭い刃が突き刺さる。
「――――ッ!!」
「人が素材とは大いに結構だが……自分が素材になる可能性を忘れるんじゃねえぞ?」
 死角から飛び出したるはナット・パルデ(ケットシーのマジックナイト・f05999)。
 蒼氷の猫は、その体躯を活かして奇襲の機会を伺っていた。注意が逸れればこちらのもの。
 小さくとも確かなその鋭刃は、敵の身体を確かに捉えていた。
「こんなもので――くっ、亡霊たち……!」
 僅かにふらりと災魔の身体が傾ぐ。
 すぐに態勢を立て直し、喚び出した霊に指示を出すも、その瞳はどこか茫としているようでもあった。
 先の技に仕込まれていたのは、冷たき眠りへの誘い。
 例え即座に夢に落ちずとも、まともに受ければその動きを鈍らせる事は確実な一撃。
「知ってるか?魔術師の身体や装飾品は研究者の素体として売れるんだ。
 俺も"優しい"からな、目でも髪でもリボンでもありがたく頂こう」
 まあ、拾って帰るつもりなどさらさらないのだが――。
「私が誰かのものになるなんて、あり得るはずがないでしょう!」
 頭を振り、眠気を振り払い、災魔は感情のままに自らを傷つけた相手を狙って、ありったけの亡霊をけしかける。
「魔術師は常に冷静に、だぞ」
「私を忘れてもらっちゃ困るわね。猟兵からは逃げられないのよ」
 声に災魔が振り向けば、今度こそ必殺の間合いまで距離を詰めたアレクシアがいた。
「さあ、今度こそ大人しく皆殺しにされなさい」
 災魔の下に形成される力場。そして空間そのものが引き裂かれゆく。
「やだ、まだ研究することが――!」
「さようなら、未熟な研究者さん」
 アレクシアが更に力を込めれば、幾重にも空間は断裂していく。
 
 ああ、まだ、まだ私の研究が、世界が――!

 やがて完全に”災魔がいた場所"が引き裂かれるに至り、周辺に蠢いていた全ての魔物も動きを止める。
 そうして、末期にすらその業の成就を望んでいた魔術師は消え去った。
 その後に研究資料は全て猟兵達の手によって破却され、その野望は一先ず潰えるに至ったのだった――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年03月02日


挿絵イラスト