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アポカリプス・ランページ④〜超越剣黙示録

#アポカリプスヘル #アポカリプス・ランページ #アポカリプス・ランページ④ #断章はありません。 #みなさわタイマンシリーズ


●死谷斬熱剣豪――Death valley Blade
 戦場に剣術など無用と誰かが言った。
 其れは違うと我らは叫んだ。
 志は人の思惑に踊らされ、生まれたのは熱剣歩兵部隊。
 我らは剣と共に生まれ、剣と共に死に、剣と共に残滓となった。

 皮肉だった。
 オブリビオンたる我らに与えられたのは超越する力を持ったアーマー。
 我らは更なる力を得て、強敵に立ち向かわんとする。
 死ぬまで外せない鎧を纏って。
 そう……死ぬまでだ。

 オブリビオンが!
 死ぬと!
 もう、過去の存在たる我らが!

 ならば、やることは決まっている。
「It’s a good day to die――死ぬにはいい日だ」
 どこかで誰かが呟き、皆が続いた。
 本当は生き残る決意の台詞だが、今回はそのまま使わせてもらう。
 我々が、我々であったと、この黙示録の世に刻み込むため。

 それこそが――。

●超越剣黙示録
「多分、それが奴らには似合ってる」
 グリモア猟兵、雷陣・通(ライトニングボーイ・f03680)の目には陰りがあった。

「奴らはデスバレーに築かれた、ヴォーテックス一族の機械要塞兼コンピュータ研究所にあるいくつかの通路に一人ずつ待ち受けてる。その先にあるのはスーパー戦車の超兵器すら狂わせる禁断のコンピュータウイルス」
 ホワイトボードに書き込むのは研究所の中枢とそこへ続く、複数の通路、そして何かを示す赤丸。
「ここに配置されいるのが『対物突撃兵』スクラップメーカーと呼ばれていたヒートブレードを使いこなす接近戦のエキスパート。そいつらが今は機械鎧で強化されて立ちふさがっている。死谷斬熱剣豪――Death valley Bladeと名乗ってな」
 そこでグリモア猟兵はペンを置いた。
「あとはもう、分かるだろ? 一対一で戦うんだ。状況的に複数人の投入は難しいし、今回はそういう戦いじゃない。奴らの想いを果たしてやるか、それとも踏みにじるか、どちらにしても……みんなに任せる」

 少年の左手が握られ、グリモアが輝くと道が開かれる。
「じゃあ、後は頼む。教えてやってくれ、黙示録の黄昏は終わるのだと」
 行先を見つめるグリモア猟兵の目は何か寂しいものをたたえていた。


みなさわ
 何のために行き、何のために死ぬのか。
 こんにちはみなさわです。
 今回は戦争の最中の不器用な者達の物語を用意しました。

●ご注意
 今回は一対一のバトルになります。
 シナリオのテイストとしては剣と剣で語る心情シナリオ方面となります。
 受け止めるなり、踏みにじるなり、そこはご自由に。

●戦場
 ヴォーテックス一族の研究所内通路。
 巨人くらいは動き回れる広さはあります。
 そして、敵はそこを縦横無尽に駆ける力量も持っています。

●敵
『死谷斬熱剣豪――Death valley Blade』
 強化鎧に身を纏い、ヒートブレードを振るう男達です。
 元々はスクラップメーカーと呼ばれる歩兵部隊でしたが、彼らの中で思うところがあり、今はそう名乗っています。
 強化鎧の弱点は背中のバッテリーパックとなっています。

●プレイングボーナス
『敵の機械鎧を無力化する』
 ですが、それより大事なものがあると思います。

●その他
 マスターページも参考にしていただけたら、幸いです。

 それでは皆様、暫しのお付き合いお願いします。
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第1章 集団戦 『『対物突撃兵』スクラップメーカー』

POW   :    対物剣術「斬撃による解体」
【ヒートブレード】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    ディスマントルアタック
【ヒートブレードを用いた連続攻撃】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を更地にするまで破壊し】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ   :    対人剣術「怒涛の連撃」
自身の【背負っているバッテリーパックのランプ】が輝く間、【ヒートブレード】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
👑11
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ニクロム・チタノ
アハハいいですねその覚悟ボクより余程美しい
でもボクは醜いヘドロ怪人です、誇りの欠片もないボクは正々堂々なんてしませんよ?
まずはヨダレを撒き散らして地面や床をヘドロに変えつつヘドロに潜って戦います、その重そうな機械鎧ではヘドロの中でまともに動くのは無理でしょう?猛毒はアナタを確実に蝕んで身体を溶かして行きます
ヒートブレイドもヘドロまみれでもう振り回すことはできないでしょう
ヘドロの底にその誇りと共に沈んで行きなさい
せめて戦いから解放されて安らかな眠りについてください?アハハハ
最後まで誇り高い、とても羨ましくもありますねボクも昔はあんな感じだったのでしょうか・・・



●斬熱死闘、毒泥の誇り

 足音は無く、代わりに床が焼ける音が室内に響いた。
 斬熱剣豪の視界には異臭を警告する表示。
 近接にて全てを斬るがゆえに備え付けられた機能。
 身を守るためでなく、少しでも長く人を、物を、斬るための道具。
 ニクロム・チタノ(反抗を忘れた悪堕ちヘドロ・f32208)の存在を感じ取ったのはそれであり、続いて視界に涎を垂らす女の姿が映った。

「アハハいいですねその覚悟ボクより余程美しい」
 ニクロムの笑いにあるのは嘲りか憧憬か……。
 それを知る者はおらず、知ろうとする者は居ない。
 オブリビオンが一対の斬熱剣を構えると、ヘドロの女は口元に指を伸ばし長くねばつく唾液を見せつけるように笑った。
「でもボクは醜いヘドロ怪人です、誇りの欠片もないボクは正々堂々なんてしませんよ?」
「正々堂々?」
 斬熱剣豪が首をかしげる。
「戦いに醜いも何もないだろう、それに誇りは――好きな奴が持てばいい」
 オブリビオンの足が床を蹴り。
「参る……ぬっ!」
 そして止まった。
 それはニクロムの口から零れた涎。
 全てをヘドロに変え、底なし沼へと変える猛毒が剣豪を呑み込み、毒が強化鎧を侵食する。

 ニクロムの成れ果て

 それが死へのいざないであった。
「その重そうな機械鎧ではヘドロの中でまともに動くのは無理でしょう? 猛毒はアナタを確実に蝕んで身体を溶かして行きます」
 何かが溶ける音が聞こえる中、自らが零したヘドロに沈み、女は嗤う。
「ヒートブレイドもヘドロまみれでもう振り回すことはできないでしょう……ヘドロの底にその誇りと共に沈んで行きなさい」
「果たして……そうかな?」
 斬熱剣豪が答えた直後。熱がほとばしり、ヘドロが割れた。
「泥なら乾かせばよい。毒となるなら、塊と化せばただの石、後は蹴ればよい」
 そこに立つのは足元にヒートブレードを突き刺し、ヘドロを焼き固め煉瓦のようなものに変えて足場を作ったオブリビオン。
「勝負だ、我が剣がお主を石にして斬るが先か、それとも――我が毒に死ぬのが先か」
 足元に突き刺した斬熱剣を振りまわし、道を作りし剣豪が走る。
「決めてくれる!」
 迫りくるヘドロの中、斬熱剣豪は毒の中へと飛び込んだ。

「せめて戦いから解放されて安らかな眠りについてください? アハハハ」
 笑い声が響く。
 ニクロムの胸元一寸の先にあるのは熱を失った刃。
 その先に立つのは命果てた只の骸。
 ほぼすべてのヘドロを煉瓦に、石に、砂へと変えた男を阻んだのは女が放った最後の猛毒ヘドロ。
 それが、刹那の動きを止め、刃を阻み、命の炎を消した。
「最後まで誇り高い、とても羨ましくもありますね」
 力の殆どを失い、只の肉の塊と変わらない身でニクロムは動かない骸とすれ違い、一瞥する。
「ボクも昔はあんな感じだったのでしょうか……」
 その言葉を聞く者は誰も居なかった。


 ――おそらくはそうであろうぞ、女。

成功 🔵​🔵​🔴​

柊・はとり
熱剣と氷剣
剣の為に生きた者と剣に殺され続ける者
おまけに死をばら撒く存在…探偵がいる
死ぬにはいい日だ、同感だね
来いよ

【第五の殺人】発動
先手を打ち相手の出方を窺う為
ダッシュで接近し切り込む
無傷で攻撃が通るとは思ってないんで
最初の攻撃は見切れたら見切る位の気で
視覚よりも第六感が感じた危険に集中
攻撃が来る前兆を学習しておく

瞬間思考力を働かせ
受けられる攻撃は武器で受けるが
斬られても継戦能力活かし立ち続け
傷を負う毎にバグの封印を解除
力が溜まれば足元に剣を叩きつけ
破壊された大地を敵の足元ごと凍結させる

素早く背面を取り

例え過去でも
誰かを殺す事こそ俺の最大の苦痛だ
探偵を殺人犯にした事を
誇りに抱いて眠れ
一撃で切断



●斬熱死闘、死者の誇り

 熱を帯びた二本の刃。
 その向こうに立つ男の大剣は冷たく氷のようであった。
 柊・はとり(死に損ないのニケ・f25213)が携えるのはコキュートスの水槽。
 目の前にいる斬熱剣豪の機械鎧と同じく、使用者に負担を強いる命の価値を尊いと思わない戦うための器物。
「熱剣と氷剣」
 はとりの言葉に互いの視線が相手の剣に落ちる。
「剣の為に生きた者と剣に殺され続ける者」
 どちらが誰かは明白で、生きた者は二刀を握り、殺され続けた者は大剣を突きつける。
「おまけに死をばら撒く存在……探偵がいる」
 探偵の言葉は続く。
「死ぬにはいい日だ、同感だね――来いよ」
「応」
 はとりの言葉に一言返しオブリビオンは間合いを詰めた。

 先手ははとり。
 先に走り出した斬熱剣豪の勢いを潰すかの如く大剣を振り下ろす。
 オブリビオンの影が揺らぎ、探偵の感――視聴味嗅触を超えた『何か』が進む危険と退く危険、両方を感じ取り、選ぶのは進む危機。
 元より無傷は考えていない。

 ――交差

 はとりの手に伝わる肉の感触と強烈な熱。
 遅れるようにすれ違った二人は背中で相手を感じ、そして足元に転がるのは猟兵の左手とオブリビオンの左腕。
 足元が生ぬるい何かに浸っていた。
「あと一歩、飛び込めなかった」
 片腕を失った斬熱剣豪が口惜しそうに呟き、片腕で構える。
「さあ、続きだ――そちらも同じだろう?」
 楽しそうに戦いを促す剣豪に対し、頷く探偵。
 だが、その脳内では次の一手を講ずる方へと意識が向いていた。
 間合いが詰まり、男達は再び剣を振るった。

 流れが変わる。
 押しているのは斬熱剣豪。
 退くのははとり。
 片腕を失ったオブリビオンが選んだのは半身に身体を傾け、刺突をメインとするフェンシングスタイル。
 突きを中心とした点の一撃を肩のスナップで変化を着け、速度で放つ。
 足りない威力はステップワークが織りなす数が補った。
 左手首を失った探偵は片腕で剣を構え、長い刀身を以って剣豪の射界を塞ぐ。
 しかし剣は盾ではない。
 全てを防ぐこと能わず、はとりの身体に傷が増すばかりであった。
「……異能の駒を指しているな」
 ヒートブレイドを止め、斬熱剣豪は真意を見抜く。
「剣に生きた身故、貴様の異能を察することは出来ぬが、これだけは分かる――」
 ステップを刻み距離を取るとオブリビオンは深く息を吸い。
「次の一手が決まりだ!」
 裂帛の如き勢いで剣を振るった。

 ディスマントルアタック

 あらゆる障害を排除する連続斬熱攻撃。
 触れたもの全てを切り裂き、貫く刃がはとりへと迫った時。
 殺人は起こった。

 第五の殺人『吉報岬』

 床に叩きつけられた剣先から生まれた氷が床を侵略し、オブリビオンの足を侵略し、そして足元を氷の枷でつないだ。
 生み出された力の元は使用者の苦痛をエネルギーに変換するバグ。
 コキュートスの封印の一つであり、そして探偵が持つ異能――ユーベルコード。

「例え過去でも、誰かを殺す事こそ俺の最大の苦痛だ」
 斬熱剣豪の背後に回ったはとりが口にするのは殺人への忌避、痛み。
「探偵を殺人犯にした事を――誇りに抱いて眠れ」
 敢えてそれを背負い振るった一撃は、オブリビオンの胴を断つ!
 転がった躯から氷を解かす、紅い熱が零れていた……。


 ――ならばその痛み、もらい受ける。

成功 🔵​🔵​🔴​

無間・わだち
ああ、そうか
自分との約束があるなら
それは、叶えたいよな

疑神兵器を大剣に変形
剣には剣がいいと、思った

振るうのはあくまで刃同士
威力と射程を高めたなら
連続の熱刃を耐え凌ぐ

同じ場所には留まらず
攻める意識は決して忘れず

地形を破壊されても
身体を切り裂かれても構わない
そういう躰で出来ている
【激痛耐性、地形耐性、継戦能力

あなたが生きた証を刻みたいなら
俺に刻めばいい
俺は、今日は死なない

あえて四肢の一部を断たれる
大丈夫、まだ、まだだ【限界突破

使える腕が片方残っていれば十分だ
間近に迫った隙さえあれば
剣で、彼の躰を断つ【捨て身の一撃

黄昏が終わったら、夜が降りてくる
当たり前みたいに朝が来る
でも、俺は

あなたを忘れませんよ



●斬熱死闘、刻む証

 二刀を床に置き、座禅を組むのは斬熱剣豪。
 それは心を研ぎ済ます儀式。
 来訪者に相応しい刃となるために心にある剣を研ぎに研ぐのだ。
 オブリビオンとなりて久しぶりの研磨が終わった時。
 無間・わだち(泥犂・f24410)はそこに立つ。

「ああ、そうか」
 剣を拾い、立ち上がる男の姿にわだちは『声』を聴いた。
「自分との約束があるなら、それは、叶えたいよな」
 疑神兵器が応えるように大剣へと姿を変え、つぎはぎの右手に握られた。
「お前は……あるのか?」
 剣豪が問いかける。
「俺は……」
 わだちが答えを探した時、その思考の隙を突かんと斬熱剣豪が疾った。
 それを卑怯とはつぎはぎには思えなかったし、思わなかった。
 だから金属音が響き、大剣が二刀の熱刃を弾き飛ばしたのだ。

 ――具足

 武器の力を高める技、いや業。
 無間・わだちが選んだのは技術でも異能でもなく、相手に足る力。
 それを悟ったからこそオブリビオンは手を休めない。
 大剣を振るうべく走るわだちを捕えるように、刃が弾幕が如き勢いで行先を塞いだ。

 ――ディスマントルアタック

 異能へと昇華した連続攻撃。
 全てを切り裂き、全てを無とし、自らの戦の場へ変えてしまう斬撃。
 拮抗した実力の上に置かれた技という一手は猟兵を凌駕し、つぎはぎの身体に新たな傷を刻み込む。
 かまわんとばかりにわだちが剣を打ち込むと、斬熱剣豪のヒートブレードが一本折れ、引き換えに振るった斬熱剣がつぎはぎの右腕を斬り落とした。
 腕を失い、重量バランスを狂わされ、倒れるわだち。
 だが剣豪が追い打ちをかけることは無い。
 攻めれば斬られることを分かっているからだ。
 その証拠にオブリビオンを見る形の違う二つの瞳には強い光が灯っていた。

「あなたが生きた証を刻みたいなら……俺に刻めばいい」
 剣を杖に立ち上がるわだち。
「そういう躰で出来ている。そういう風に出来ている」
 ふらつきながらも構える姿には確固たる意志があった。
「俺は、今日は死なない」
「そうか……俺は今日、死ぬ」
 応える斬熱剣豪の言葉にも諦観は無くあるのは揺るがない覚悟。
 だから二人は走った。
 その意志を貫くため。

 生きた証を刻みたいと足掻く過去
 想いを背負って歩く現在

 それは未来という勉強机に刻む彫刻刀のようであった。

 一歩、二歩、三歩!
 踏み込むごとに互いが迫り、体重が乗り、刃に勢いが乗る。
 先に振るったのはわだちの大剣。
 片腕でも具足たる威力と射程は健在。
 速度が乗り、確実に殺せる重さが剣に乗った時――握った手首が無くなった。
 深い踏み込み、精一杯伸ばした腕、タイミングを合わせた斬熱剣豪の一撃。
 ヒートブレードを逆手に持ち変え、さらに一歩踏み込むとオブリビオンは止めの斬熱剣を振るわんと身体を倒し込み、人体の中で一番重い頭を伸ばす――全体重を掛けて切り倒すため。
 剣豪の首が刎ねられたのはそのタイミングであった。
 両手を失ったつぎはぎが大剣の柄に噛みつき、顎で剣の軌道を変え、そして首へ落とす捨て身の一撃。
 威力は既に乗っている、故に首に刃を当てるだけで充分であった。
 前のめりに転がる二人。
 けれど、立ったのはつぎはぎだらけの男だけ。

「黄昏が終わったら、夜が降りてくる」
 滅びの残滓、黙示録の黄昏が終わろうとしている。
「当たり前みたいに朝が来る」
 けれど、それは滅びではないから。
「でも、俺は」
 それをさせないために。

「あなたを忘れませんよ」
 無間・わだちはここに来た。


 ――不器用だな。ならその朝を証となって見定めよう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天瀬・紅紀
「武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり」
葉隠の一節だよ
目的の為には死を厭わない――何て思われがちだけど実は違う
武に生きる為、常に死ぬ覚悟で臨む事
きっと君達もそうだったんでしょ?

帽子も外套も脱ぎ捨て、鯉口を切り構える
死に征く剣など、恐るるに足らず
僕も死ぬ気でお相手しよう
生き抜き、この先へ…未来へ進む為にね

ランプの灯りが点る間、敵の剣筋に全集中
炎纏った刀で熱を受けとめ、流し、致命傷負わぬギリギリで見切る

UC発動と同時にリミッター解除、口調も荒く

はっ、アンタの覚悟はその程度か!
もっと!俺を燃やし尽くす程の熱い剣で!命限界まで燃やして見せろ!
アンタらが生きた証は俺が心に刻んだ
だから…思い残す事無く、逝け!



●斬熱死闘、生の灯火、死の熱情

 It’s a good day to die
「嗚呼――死ぬにはいい日だ」

 過去に呟いた言葉を思い出す。
 戦う前に必ずと言っていいほど口にした言葉。
 勿論その意味も知っていた。
 俺達は明日も同じ言葉を呟くために言葉にしていたことを。

「武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり」
 帽子を脱いだ天瀬・紅紀(蠍火・f24482)が呟きが過去に浸るオブリビオンの耳を打った。
「葉隠の一節だよ」
「聞いたことがある、遠い海の向こうの言葉」
 滅びゆく世界で戦っていた斬熱剣豪の間では最早、遠くの話。
「目的の為には死を厭わない――何て思われがちだけど実は違う」
 言葉の伝承者は二重回しも脱ぎ捨てて腰に差すのは、備中国青江の業物。
「武に生きる為、常に死ぬ覚悟で臨む事」
 親指が鍔を押し、音もなく鯉口を切った。
「きっと君達もそうだったんでしょ?」
「そうだ」
 問いかけに応える斬熱剣豪。
 両手に持った刃がやけに熱い。
「だから、いつも口にしていた」
 口調から感じるのは郷愁。
「――死ぬにはいい日だ、と」
 構えから伝わるのは己が矜持。

 先手は紅紀。
 死に征く剣など、恐るるに足らず。
 だからこそ死ぬ気で相手をする。
 生き抜き、この先へ……未来へ進む為に。
 室内の蛍光灯が切れ、非常灯がランプのように灯る中、闇を切り裂くのは炎纏った刀。
 食い止め、逆に食いつかんと斬熱剣豪のヒートブレードが闇の中から現れ、金属音が響いた。
 白熱電球が揺れる中、刀と剣がぶつかり合い、火の粉が舞い、熱が迸る。
 それはまさに命の灯火のようであった。
 再び、蛍光灯が息を吹き返す様に、二度、三度と明滅し、そして室内を照らす。
 立つのは二人の男。
 透き通った打刀と一対の斬熱剣。

 ……また、照明が明滅する。

 今度がおそらく最後。
 点滅の感覚がやがて大きくなり闇を再び非常灯が照らした時――男達は動いた。
 先んじるは斬熱剣豪。
 繰り出すのは連撃、怒涛の如き殺人剣九手。
 死に至る射程圏内ギリギリで踏みとどまった紅紀が、刀を握り一撃、一撃を叩き落とす。
「はっ、アンタの覚悟はその程度か!」
 自らの炎に照らされたアルピノの髪が朱に染まる中、男は吠える。
「もっと! 俺を燃やし尽くす程の熱い剣で! 命限界まで燃やして見せろ!」
 呼応するようにオブリビオンの太刀筋は鋭くなり、紅紀の頬を、腕を、脇腹を、切り裂いていく。
 圧され、圧してゆく中、最後の九手が猟兵の腹を貫いた時、斬熱剣豪の手首が握られた。
「アンタらが生きた証は俺が心に刻んだ」
 猟兵が片手で振り上げた刀は烈火を灯し。
「だから……思い残す事無く、逝け!」

 ――蠍鏡烈火

 受け止めたものと自分の信念と覚悟と炎を刃に乗せて紅紀は剣豪を袈裟に斬り捨てた。

 血は残らない。
 どちらの傷も焼かれたから。
 骸は残らない。
 炎が全てを呑み込んだから。
 証は残る。
 そこに彼が立っているのだから。


 ――It’s a good day to die.

成功 🔵​🔵​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
生憎、私は機械の騎士にして兵器
先ずは貴方の剣への信念、見せて頂きます

格納銃器を展開し鎧の関節部へと乱れ撃ち
剣や鎧での防御なら敵手の技量なら当然

お見事…!

接近戦へ即座に移行

ヒート剣受けるは対光線処理施した大盾と不壊の電脳剣
銃器の射線で牽制し、切り結び

(…盾は限界)

…参ります!

両断された盾を投擲し視界塞ぐ目潰し
脚部スラスター推力移動で跳躍
怪力で剣を振り下ろし、地形破壊の域の必殺剣…!

躱され地に食い込んだ電脳禁忌剣を即座に手放し
迫る熱剣をUCを展開した貫手の騙し討ちで迎撃

…あの剣は、大切な物です
ですが、貴方の信念にぶつけるに値するのは…同じ信念であるべきと

貴方を倒し
この地の人々に、騎士として安寧を



●斬熱死闘、鋼の信念

 息吹と熱が一つ、また一つ、消えていく……。
 最後の一人となった斬熱剣豪はそれでも場を動くことは無い。
 何故なら自らも時が来たのだから。

 最後の使者は鋼鉄の足音を鳴らす。
「生憎、私は機械の騎士にして兵器」
 トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)の自嘲をオブリビオンは笑わない。
「先ずは貴方の剣への信念、見せて頂きます」
 それ以上に目の前の相手に相応しい者として振舞うのが正しいと信じているから。
 故に騎士の言葉に応えヒートブレードを構える。
 銃声が室内に響いた。
 続いて熱を持った金属が転がっていく音。
「お見事……!」
 格納銃器を展開したトリテレイアの視線の先には全ての弾丸を叩き落とした斬熱剣豪。
 相手がふさわしい振る舞いを見せた以上、騎士もそれに応える必要がある。
 不壊の電脳剣と大盾を構え、戦機はゆっくりと腰を落とした。

 トリテレイアが牽制の銃口を向けるとオブリビオンの姿は無く、代わりにセンサーが警告を発する。
 咄嗟に掲げた盾に衝撃が走り、即座に電脳剣を振るうと舞うように斬熱剣豪は後ろに跳び、残るのは綻びを見せる盾一つ。
 ……盾は限界。
「……臆したか?」
 オブリビオンが挑発し、そしてすぐに首を振った。
「いや失言だった。忘れてくれ」
 剣豪の言葉に騎士は首を振る。
 言葉は不要であった。
「……参ります」
 この場は行動が全てなのだから。

 オブリビオンの視界を何かが塞ぐ。
 盾だ!
 思考が答えを導き出した時には剣豪の右腕が騎士の大盾を両断し、来るであろう攻撃に備える。
 視界を塞いだ以上、場を変えるはず。
 正面、側方に居ないなら後は――上!
 気づいた直後、燃料が燃える匂いを剣豪の強化鎧が検知した。
 脚部スラスターで跳躍を補ったトリテレイアが振るうのは、膂力と体躯と重力を合わせた大上段の一撃。
 それは斬熱剣一本では受け切れず、かと言って避ければ機を逸するほどの勢いであった。
「――ならば!」
 オブリビオンに迷いはなかった。
 半身、片腕一本、ヒートブレイドで敢えて受け、犠牲にするのは腕一つ。
 自らの片腕の感覚が消え、戦機の電脳剣が大地に食い込んだわずかな隙。
 得るのは騎士の首へ叩き込む一閃の暇。
 斬熱剣豪は迷うことなく一刀を振るった。

 騎士の頭が床に転がり……遅れてオブリビオンの身体が床に転がった。

 立つのは指先が揺らぐ首無き騎士の姿のみ。
 トリテレイアが選んだカードは、重ねに重ねた策の末に放つ力場を指先に纏わせた貫手一撃。

 Spearhand of Steal
 鋼の手槍であった。

「……あの剣は、大切な物です」
 床に転がった頭部から言葉が紡がれる。
「ですが、貴方の信念にぶつけるに値するのは……同じ信念であるべきと」
 胴体に内蔵されたコアユニットが失った頭部を探し当て、頭の無い騎士は自らの兜を拾う。
「貴方を倒しこの地の人々に、騎士として安寧を」
 頭部を抱え、騎士は大地に突き刺さる電脳禁忌剣を手に取る。
「それが――私の信念です」

 それは手向けの言葉。
 別れも同情も必要ない。
 斬熱剣豪に相応しい言葉は信念なら、自らのそれを伝えるのみ。
 トリテレイアは己が矜持に基づき、男に背を向け、研究所の奥へと進んだ。

 残るのは二つの斬熱剣。
 それが男の墓標であった。


 ――騎士よ、その信念見事。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年09月10日


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト