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【サポート優先】宝石の道標

#アルダワ魔法学園 #猟書家の侵攻 #猟書家 #ドクター・パラケルスス #ミレナリィドール


 これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)。

●廃坑は宝の山
「うーん……どれにしよう……」
 エンリィ・ローゼンメタルは悩んでいた。周りにあるのは玉石混交の宝石達。その一つに災魔の卵を埋め込んで催眠ガスを作り出し、鉱山の街を一つ眠りに落とす算段なのだが。
 災魔の力は宝石の品質に依らない。よってどれでもいいのだが……どれでもいいというのは逆に決め所がなく、時として迷う。
「……ど・れ・に・し・よ・う・か・な」
 数々の宝石を指差しながら一文字ずつ巡って決める。そうして選ばれたのは、集められた宝石の中では小ぶりなほうの、赤い宝石。
 もう少し大きいほうがいいのかも? と考えてしまうとまた決まらなくなる。エンリィは心変わりする前に災魔の卵を融合させた。
 案の定、催眠ガスが勢いよく噴き出して、鉱山の外部、人々が暮らす街を満たしていく。
 そろそろ頃合い。ぺたんと座り込んでいたエンリィは立ち上がる。
「……行かなきゃ」
 そして巨大なメイスを片手に、とことこ鉱山の外へと歩き出すのだった。

●アルダワ魔法学園・14thラウンド
「鉱山の街がまたしても災魔に襲われました!」
 ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)が知らせるのはいつも火急の事件だった。
「鉱山の街と言えば、そう、宝石です! エンリィ・ローゼンメタルというオブリビオンが宝石に災魔の卵を埋め込んだことで催眠ガスが発生し、それにより街の人達が眠りについてしまったんです!」
 幾度となく解決してきた事件がまた繰り返される。猟書家の意志とは他のオブリビオン達にも根深く染みついているのだろうか。
「というわけで、皆さんには現地に向かってもらい、エンリィを倒していただきたいんです! 彼女は鉱山の外に出て眠った人々を機械化してしまおうと考えているようですが、今のタイミングならまだ鉱山内で迎え撃てるかと思います! なので人々に被害が出る前に倒してしまいましょう!」
 エンリィを倒すのは元より、鉱山内は催眠ガスも漂っている。猟兵の抵抗力でもある程度は影響を防げるようだが、何かしらの対策があればそれに越したことはない。
「猟書家は日に日に勢力を増しているような気がします……こうして意志を継ぐオブリビオンがどんどん現れていますから。ですからここは、着実に事件解決を積み重ねていきましょう! それではよろしくお願いします!」


沙雪海都
 沙雪海都(さゆきかいと)です。
 サポート参加優先の試みがなされていましたので自分も一つ。通常参加がダメというわけではないので、以下はそのための説明になります。

●フラグメント詳細
 第1章:冒険『鉱石採取』
 催眠ガスの満ちる鉱山内部を進んでいきます。
 とはいえやや日常寄りな内容かもしれません。鉱山内部は採掘途中で放棄された横穴がいくつもありそうなので、もしかしたら何か良い物が採掘できるかも。
 一応オブリビオンも探しておきましょう。ガスが流れてくる方向に進めば大体辿り着けるのではないですかね。

 第2章:ボス戦『エンリィ・ローゼンメタル』
 鉱山の道中で遭遇することになるかと思います。
 魔法も使いますが物理も強く、見かけによらず攻撃的なので注意しましょう。
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第1章 冒険 『鉱石採取』

POW   :    手当たり次第掘る

SPD   :    直感で掘る

WIZ   :    目星をつけて掘る

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
城田・紗希(サポート)
基本的には考えるより行動するタイプ。
でもウィザードミサイルや斬撃の軌跡ぐらいは考える。…脳筋じゃナイデスヨ?
15歳ナノデ、エッチとグロは(R15的な理由で)ダメデス。

暗器は隠しすぎたので、UC発動時にどこから何が出てくるか、術者も把握していない。……慌てた子守りロボットじゃナイデスヨ?
UCによっては暗器サイズじゃない物が出る……ほんとに猫型ロボットじゃナイデスヨ??
UCは必須じゃないので、外しても問題ありません。

鍵開けと罠外しは日課レベル、必要ならありあわせの素材でレプリカも作る。
UCの応用で魔力探知したり、召喚存在に探索を命じたり、色々。
あまり汚れる場所には行きたくないお年頃。
料理は人並み。



●ほんと偶然の出来事
 身の回りの道具には個性が出る。城田・紗希(人間の探索者・f01927)が普段持ち歩く物は大抵ちょっとおしゃれ感を出しつつもお財布に優しかったり、はたまた誰かからの貰い物だったり。
 その中でも今回の冒険に特に役立っているのは防毒マスクと調光ランタンだ。如何にも実用的な名前のそれらは鉱山内部の探索には打ってつけ。マスクは催眠ガスをシャットアウトしてくれるし、ランタンは暗闇を明るく変えてくれる。
 とは言え視界はガスの中なので紗希は慎重に進む。下手に転んで服でも汚してしまったら、と誰が見ているわけでなくとも身だしなみには気を遣う年頃なのだ。

「……むぅ」
 ここまで至って順調だった足が初めて止まった。歩んできた道は三叉路となり、紗希に二者択一を迫る。紗希はランタンを左右交互に掲げて奥を見通そうとするが、やはりガスが邪魔をして満足な結果は得られない。
「……こんな時は、これ!」
 迷った時は神様に頼ってみるのが一番早い、と紗希が取ったのはウィザードロッド。紗希の身の丈ほどあるそれは普通に持てば邪魔にしかならないので、フック付きワイヤーを引っかけてぐるぐる巻きにして背負っていたものだ。
 その杖に特段加護があるわけではない。使い方はそう、地面に立てるだけ。すると当然、何かの偶然が重なってどこかの方向に倒れていく。その方向へ進んでいけば、仮に行き止まりだったとしても紗希に非はない、という都合のいい神様だった。
 紗希は杖を両手持ちして、石突で突き頃なでっぱりを探す。ろくに整地されていない鉱山内部は微妙な凸凹が多すぎた。やや強引にでも岩石を削って平らにしなければ、神様を頼る甲斐がない。
 目ぼしいでっぱりを見つけると、紗希は石突を強めに突き出して整地を図る。決めたからには行動あるのみ。適当な直感とどれほどの差があるかは考えないタイプだった。
 そうして何度か突いていると、ごりっと岩石の小片が折れて穴が開いた。その穴の底はどういうわけか綺麗な赤色をしていたが、決めたことはまずやり通さないと気が済まないので杖は立てる。
 パッと手を離すと、杖はのんびりとした調子で倒れて右の道を示した。決して右に倒れるよう傾けたわけではないので、これで外れなら神様のせいである。
 そしてようやく紗希の興味は穴の底に向いた。ただの岩石ではなさそうな謎の物体を暴くべく、ナイフを使って周りを抉る。本来は掘削のためにあるものではないが、頑丈なのでこの際お構いなしだった。
 がりがり、ごりごり、と地味な作業を進めていると、ずずっと滑り込んだ刃先からてこの原理とかいう物理法則で赤い何かがぴょんと跳んだ。からころといい音を立てて転がるそれはランタンの光を吸収してよく光っていた。
「……飾り玉かな」
 摘まみ上げれば軽いそれと一番良く似たものとして紗希が思い当たった飾り玉とは、髪に結わえた髪飾りにあるもの。しかし色合いはその飾り紐が近い。
 紗希はそれをじっと眺めていたが、当然答えが返ってくるわけではない。それをどう扱うかは紗希が決めなければならなかったが、如何せん考え悩むのは性に合わない。
「……よし」
 紗希はそれを荷物の中に放り込むと、広げた道具達を纏めて再出発。飾り玉には持ち主を守護する霊力が宿っていると聞いている。何となく手放しにくいのが理由だった。
 持ち帰ってどうするかは考えていないし、もしかしたらこれからの冒険のどこかで落っことしてしまうかもしれないが――その時はその時。きっと紗希は拾ったことも忘れてしまって、いつもと変わらない日々を過ごすことだろう。

 ちなみに、都合のいい今日の神様はどうやら叱られずに済みそうだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

霧崎・蛇駆(サポート)
『あーあーヤダヤダ、めんどくさいったらありゃしねぇ』
『やるからにはやるさ、給料分はな』
『いいじゃんいいじゃん!楽しくなってきた』
口では面倒くさいと言いつつも仕事はこなす猟兵で、戦闘だとやる気を最初から見せる戦闘バカです。
捜索系ではハッキングを駆使して情報を集めたり、演技で騙したり脅したりします。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使います。正面きって無数のテンタクルによる物量戦も好きですが、触手による立体的な移動からの相手の死角から攻撃も別格です。弱い相手だといたぶる傾向があります。
メインの武器は『テンタクル』です。
基本的な口調は『オレ』です。
あとはおまかせします。よろしくお願いいたします。



●掘るのが先か、得るのが先か
「あーあーヤダヤダ、めんどくさいったらありゃしねぇ」
 地図の一つでもあってくれよ、と霧崎・蛇駆(ヴィリジアンモンスター・f20261)はぶつくさ漏らすが、かといってその歩みが鈍行かというとそうではなく。給料が出るならばその分の働きはするし、戦いとなればまっしぐらに突き進む。猟兵の職分とは案外噛み合っているのかもしれない。
 そんな蛇駆に今日の給料を支払うのは誰か。グリモア猟兵が身銭を切るわけはないし、被害の出ている鉱山街から依頼されたわけでもない。では学園からの報奨金か――いやいや、もっと価値あるものが、そこらに眠っているではないか。
「あーっと、さっきの給料じゃここらが限界だなー。おらー、次の給料だー」
 蛇駆は演技派でもあるが、それは相手がいる時に限る。この場にいるのは蛇駆ただ一人。言葉はどこか投げ遣りだ。どかっと大袈裟にその場へ座り込むと、全身を覆う液体金属を周囲の壁に差し向けて岩石を削り始めた。
 オレは動いてないからノーカンノーカン。そう言いくるめて液体金属でごりごり削っていくと、黄褐色の岩肌の中に鈍くも光沢のある白銀の石が現れた。周りの岩ごと剥ぎ取って、細かい部分は手元で砕く。
 そうして出来上がった歪な多面体を掌に乗せ、蛇駆は目線の高さを合わせて全体を覗き込むと、
「ふーん……へぇ、まぁ、それなりの値段で売れるだろ」
 大雑把に鑑定をして、蛇駆は懐に石を忍ばせた。
 今日の蛇駆の給料とは鉱山で掘り出される鉱石だった。掘った分だけ催眠ガスの流れを辿り、ここまでと思ったらその場でまた採掘を開始する。
 それを何度も繰り返して、今では懐が結構重い。全て売り払ってしまえばいい感じの金が入るだろう――そう蛇駆は見込んでいる。
「さってと、給料が入ったなら、その分は働かないとなー。今度はどこまで行けるかねーっと」
 蛇駆はすっくと立ち上がると、催眠ガスを遡り鉱山の奥へと進む。どこまで――とは、実は蛇駆の匙加減でしかないのだが、適当に壁を崩していくだけで鉱石が出てくるのだから蛇駆の調子も上がり、足取りも軽やかだ。
 順調、順調、頗る順調。蛇駆は確実に催眠ガスの発生源へと迫っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニクロム・チタノ
アハハなるほど催眠ガスですか厄介ですね
ヨダレを撒き散らして周りをヘドロ化して悪臭を充満させればガスも中和できますかね?まあヘドロからも有毒ガスが出るので催眠ガスはほとんど無効化できるでしょう
後は催眠ガスが流れ込んで来る方向に進めばおのずとオブリビオンに会えるでしょう
待っていてくださいね、アナタもたっぷりヘドロを味あわせてあげますからね



●ガスを以ってガスを制す
 身をやつした今となってはヘドロ怪人と呼んでしまったほうがいっそわかりやすいのかもしれない。ニクロム・チタノ(反抗を忘れた悪堕ちヘドロ・f32208)は催眠ガスの充満する鉱山内を進んでいく。
 ぼた、ぼたと滴る唾液はニクロムの歩む道までもヘドロへと変えて、鉱山内を腐臭で満たす。催眠ガスと混ざり合ってマーブル化した雰囲気は、どこかニクロムに心地よい空間を作り出していた。
 ニクロムは鉱山内のオブリビオンを探し求める。催眠ガスはオブリビオンが手にした宝石の災魔より発せられる――ならばその催眠ガスが強まる方向へ進めば自ずと辿り着けるのが道理。それはニクロムの鉱山侵略でもあった。鉱山内に満ちていく有毒ガスが全ての催眠ガスを取り込んだ時――そこに残るのはオブリビオンだけ。
「待っていてくださいね、アナタもたっぷりヘドロを味わわせてあげますからね……」
 ニクロムは空虚に言葉を投げかけて不気味な笑みを漏らす。口の端から零れた唾液は、またしゅうしゅうと地面を溶かして有毒ガスを発生させていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『エンリィ・ローゼンメタル』

POW   :    ロイヤルコード『ローゼンメタル』
レベル×5本の【貫通】属性の【魔力を結晶化させた金属の針】を放つ。
SPD   :    マジカルコード『ドゥームスウィング』
単純で重い【メイス】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
WIZ   :    エクストラコード『マテリアギフト』
【熱伝導による炎属性ブースト】【電気伝導による雷属性ブースト】【金属光沢による光属性ブースト】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
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●出会ったからには
 鉱山を歩いていたら人に出くわした。エンリィにとってそれは想定外の出来事。
「あ……」
 しばし見つめ合う。その眼は何とも眠そうだ。
「……やらなきゃ」
 そして相手が猟兵と認めるや、エンリィは見違えるほど俊敏にメイスを持って走り出す。
 やらなきゃ――殺らなきゃ。
 自覚していない災魔の本能がエンリィを突き動かしていた。
富井・亮平(サポート)
【解説】
オブリビオンと戦うという設定のヒーローマスク。
マスクを被るとボディの人格が変わるような感じ。

謎のオブリビオン文明の話とか、地球侵略を狙うオブリビオン星人の話とか、適当な事を言いながら頑張る。
関係なくてもオブリビオンのせいにして行動する。

行動そのものはマトモ。

【行動】
ヒーローっぽい行動であれば何でもします。
戦闘は主に魔法剣士スタイルですが、機械も扱えます。
ガジェット形状は固定していません、必要に応じ自由に変なメカを使わせて下さい。

UCを使うと「黒幕が出てきて敵を改造する」「謎のお助けキャラが登場する」などのヒーローっぽいイベントも発生させられます。

「このイェーガーレッドに任せておけッ!」


上野・イオナ(サポート)
『英雄イオナ 希望を描きにただいま参上!』
ヒーローの類いに憧れてる系男子です。悪いやつ許せないです
でもカッコイイものや面白そうな事が好きで直接助ける対象が見えてない場合はそちらを優先することがあります
具体的にはとあるシナリオで崩れる遺跡の中、巻き込まれてる人が居ないか探さずに、カッコイイ剣をあつめてました
正統派英雄を目指してますが
クールなダークヒーローやイラズラ好きのややひねくれた主人公とかも好きなのでそういう悪い系統の人とも喜んで協力します

年齢に比べて行動や喋り方が少し幼い気がします
※アレンジ・連携 歓迎



●ヒーロー、それは憧れ
「ぬぅっ!? あいつは宝石怪人ジュランテス!」
「ジュランテスだって!? ……あれ? でもあいつの名前はエンリィとかなんとか……」
「甘いぞ少年! 少女エンリィとは人間界における仮の姿。その正体こそ、全ての宝石を食らい尽くさんとやってきた宝石怪人ジュランテスなのだ!」
「そうだったんだ……! 確かに、ヒーローには変身怪人がつきものだし……!」
 富井・亮平(イェーガーレッド・f12712)と上野・イオナ(レインボードリーム・f03734)のヒーロートークは混沌の一途を辿っていた。気付けばエンリィは宝石をバリボリ貪る頓珍漢な怪人に仕立て上げられ、二人の情熱をヒートアップさせている。
 なお当然のことながら、エンリィ・ローゼンメタルはエンリィ・ローゼンメタルでしかない。亮平はエンリィに何を見たのか――謎は深まるばかりだった。
「宝石も市民も守り抜く! 赤き閃光――イェーガーレッドッ!!」
 タメを作ってからの決めポーズ、からの名乗りはヒーローお得意の構図だった。間近で見る亮平の勇姿にイオナは目を爛々と輝かせている。
「うわああぁ!! よぅし、なら僕も……英雄イオナ、希望を描きにただいま参上!」
 熱血系の亮平に対し、イオナはさらりと爽やかに決める。だがヒーローと肩を並べる感動は抑えきれず、じんと熱くなる拳を握り締めていた。
 怪人はヒーローが名乗り終わるまで待つのがお約束。それを知っていた……かは怪しいが、エンリィは二人の名乗りを傍観し、そして一言。
「……やらなきゃ」
 徹底的に無関心。ただ彼らが猟兵だということだけがエンリィにとっての原動力。重量のあるメイスを掲げて、二人纏めて薙ぎ払いにかかる。
 うぉん、と風が唸った。当たれば叩き潰されるのは必至。ここで二人のヒーロー力が試される。
「ふっ!」
「わっ! あぶな……」
 亮平とイオナ、二人はそれぞれ右と左へ分かれるように前転ローリングでメイスの軌道から脱出した。身のこなし、その鮮やかさは亮平に軍配が上がったか。回避もまた魅せる技術の一つだった。
「エクストラコード『マテリアギフト』……ブーステッド・ライトニング」
 一撃を外したエンリィだが、続け様、メイスに雷を走らせてイオナに狙いをつける。右足を軸に反転すると、まだ立ち上がる態勢を作れていないイオナへメイスの先端を突き出した。
「くっ――!」
 さらに逃れることは困難、と悟ったイオナは咄嗟に彩虹の剣を盾とする。右手で柄を握り、左手で刃を支えて受け止めた突きは重く、イオナの体を背中から倒し転がした。
 少しはダメージを与えたようにも見えたがエンリィは不服そうに口を引き結ぶ。イオナにとって幸いしたのは、受けに使ったのが金属剣ではなくペイントブキだったこと。背中は痛むが、雷による麻痺効果はどうにか受けずに済んでいた。
「はあァァァッ!」
 エンリィがイオナに気を取られている隙に亮平が魔力を高めていく。時間をかければ究極の魔力まで辿り着けるが、エンリィとて簡単に許すはずがない。標的をイオナから亮平へと切り替え、再びメイスの強烈な一撃を見舞うべく反転から一直線に駆けていく。
(いけない……!)
 亮平は無防備だ。その間、自分が壁になっていないといけないのに――イオナは歯噛むが、それでは現状を打破できない。何かできないかと思考を高速回転させて、辿り着いたのは空色小鳥のオルゴール。
 音ならエンリィより遥かに速い。チェレステカリヨン――小鳥はぽろぽろんと高く鳴いた。
「ヒーロー! 僕の思いを受け取って!」
「承知した! うおォォォッ! 究極へと至れ、私の魔力よッ!!」
 ヒーローを助けたい。音色に思いを感じ取った亮平の魔力の高まりが加速する。全ては悪を倒すために。怪人だ何だと不可思議なことは口走っていたが、ヒーローとして一番大切なことは根底にしっかり持っている。
「トォリニティィィ・エェンハンスッッッ!!!」
 亮平の目の前には九つの根源が浮かび上がっていた。炎、水、風、雷、氷、地、光、闇、無――それら全てが亮平の右拳へと集約されると同時に、右腕からは血飛沫が迸った。
 究極に至った代償だが、高々剣で斬られた程度の出血で悪を討つ力を得られるなら安すぎる。握る拳は一層硬くなり、今まさに振り下ろされているメイスへと撃ち上げられていた。
 メイス先端の結晶体と拳が衝突し閃光を生んだ。一瞬世界から影が消滅し、そして直後に現れたのは拳を宙に突き上げた亮平の姿。メイスを跳ね上げられたエンリィがよたよた後退るところへ、亮平は集めた魔力を突きに乗せて撃ち出した。
 亮平一人の力では成し得なかった魔力の弾丸は守りの薄いエンリィの鳩尾へと直撃し、小さな体を爆風と共に吹き飛ばす。
「――っ! ぐぅあっ!」
 首から落ちたエンリィの横を、手放されたメイスが滑っていく。ワンバウンドした拍子に帽子の先端が拉げ、金髪がメデューサの如く乱れていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

源・ヨーコ(サポート)
『悪い子はお仕置きっすよー!』
人間のブレイズキャリバー × ビーストマスター
年齢 16歳 女
外見 158.4cm 金の瞳 ピンクの髪 色白の肌
特徴 胸が大きい 八重歯 ギャル ハイテンション! 運動が好き
口調 体育会系(自分、~先輩、~っす、~っすよ、~っすね、~っすか?)

悪いヤツは鉄拳制裁!
あまり難しいことは考えず、敵に向かって猪突猛進するタイプ。全ては拳で解決できると信じていて、とりあえず接近して殴るが基本戦術。
硬そうな相手にはカウンターでの一撃必殺を狙い、素早そうな相手には連撃と使い分けぐらいはする。

単独行動を好み、調査などは苦手。
基本は戦闘オンリーな感じですが、よろしくお願いします。



●自分が立たねば誰が立つっす!
「うおおおぉ! アルダワの平和は自分が守るっす!!」
 生まれも育ちもこの世界。源・ヨーコ(鉄拳制裁・f13588)は重戦車の如き驀進でエンリィへと迫ろうとしていた。
 倒れるエンリィは手元を弄ったがメイスがない。エンリィの体よりもまだ遠くへと滑ってしまっていた。
「ローゼン……メタルッ」
 エンリィはメイスを拾い上げるまでの目眩ましに金属針を宙に並べた。射出と同時に地を滑るように飛び退き、メイスを回収する算段だ。
「来たっすね! でも自分の鉄拳は止まらないっす!!」
 その拳速は暴風に匹敵していた。左右から繰り出される乱打が金属針に突き刺さる余地を与えず弾き返していく。
 ヨーコは止まらない。止められない。針の雨の中を駆け抜けてなお、勢いは衰えない。
 そして止まない雨はない。針が尽きて――ヨーコに反撃の時が来た。
 エンリィが拾い上げたメイスは凶悪な形をしているが、ヨーコは構わず拳を飛ばした。踏み込んで、間合いを見極めたアッパースイングにエンリィもメイスの細柄を合わせたが、諸共貫かれ軽い体躯が宙を舞う。
「――がっ! っぐ……」
 受け身を取れずに背中から叩きつけられた体は一度跳ね、後方に反転してエンリィはうつ伏せに落ちる。今度はメイスを意地でも手放さなかったが、ダメージは確実に積み重なっていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

草柳・華穂(サポート)
草柳・華穂(くさやなぎ・かほ)、ウサギ等動物の能力を移植された強化改造人間。
悪の秘密結社から脳改造寸前で脱出し復讐のため戦っていたわ。
悪い奴らに容赦は要らない、特に邪神とか邪教団とか手加減をする理由がないわね
まあ、容赦しなさ過ぎてダークヒーロー扱いになったんだけどね、後悔は無いわ

戦闘では蹴り技を主体とした戦い方をすることが多いわ
色々な動物が入っているけど、メインはウサギだからね脚力はちょっとした自慢よ



●柔よく剛を制す
「外見は少女……だけど容赦はしないわよ、あなたが悪である限り――!」
 片や重戦車の進軍を見せれば、片や、草柳・華穂(強化人間のダークヒーロー・f18430)の脚力は戦闘機が如き跳躍を見せる。倒れた相手への空中戦。物理的優位を存分に生かしながらのヒールスタンプにエンリィはぞくりと寒気を覚えた。
 ウサギの性質が色濃く出ている華穂を前にして跳び起きるエンリィはまさに脱兎。落雷かと思う衝撃が地上に走る。だが際どくもエンリィの脱出能力が僅かに勝り、華穂の初撃は地を潰すに留まった。
「ブーステッド・ブレイズ――!」
 エンリィはメイスを手に今度は炎を走らせる。膨大な熱量がメイスの破壊力を増し、振るう一撃は鉄すら溶かすほどに熱く。
 しかし鉄脚……とはなかなか言わないが、華穂の脚力の強靭さは秀でている。炎のメイスに合わせるように捩じり込んだ回し蹴りをぶつけ、力勝負に持ち込んだ。
 がん、とあたかも剣戟のように打ち合った脚とメイスは互いに弾かれ一旦離れたが、そこで硬質のメイスと柔軟な脚に差が付いた。再装填、からの再発射。居合抜きを彷彿とさせる瞬時の回し蹴りは仰け反り体勢から復帰しきれていないエンリィの守りを砕く。貼り付いた金属片がごりっと折れて、そのまま左の二の腕を突き破られた。
「ぅあああっ!!」
 眠るほどに物静かな印象のあるエンリィが悲鳴する。華穂の蹴り技もまた勝利を手繰り寄せる大きな一撃となった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ネージュ・ローラン(サポート)
『舞でお相手しましょう』『皆さんはわたしが守ります!』

ヴェールを使って空中を舞いながら戦うエルフです。
戦闘では主に前に出て相手を引きつけながら戦います。
攻撃は空中からの足技や、氷の武器を作って行います。
精霊魔法も可能で、「氷の大狼」「炎の妖狐」「風の神鳥」と契約しており、氷属性を中心に使用します。
仲間も一般人も傷つけず守りたいと考え、そのことを最優先に動きます。

潜入や調査はあまり得意ではありませんが、事件解決の為であれば出来る限りの事をしようとします。
機動力を活かせる役割があれば率先して引き受けましょう。


赤嶺・愛(サポート)
『世界が平和になりますように』
 人間のパラディン×シーフの女の子です。
 普段の口調は「平和を愛する(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、怒った時は「憤怒(私、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は明るく、人と話す事が好きで
平和的な解決を望む優しい性格の女の子ですが
戦う事でしか依頼を成功出来ない時は戦う事も厭わないです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●花と氷に見た希望
 戦わずに解決できるなら戦わない方がいい。それは誰もが考えることなのかもしれない。
 しかし人と人ですら幾度となく衝突の歴史を繰り返してきた。まして相手が骸の者であれば――。
(この世界の、平和のために……!)
 赤嶺・愛(愛を広める騎士・f08508)は決意する。平和のための刃を取ると。

「わたしが引き付けますので、愛さんは後方からお願いします!」
 愛と共に立つネージュ・ローラン(氷雪の綺羅星・f01285)は自ら前に出る。一般人は疎か、仲間さえ傷つけさせまいと誓うネージュはヴェールを纏って宙を舞っていた。
「うぅ……邪魔……」
 舞う者があれば潰せばいいのだが、片腕を潰されたエンリィにはそれができない。振るうメイスの威力は半減し、バランスも取り辛く速度も落ちた。
『集え氷精、其の力を凍てつく刃と成せ』
 好機は此処に在り。円弧の軌跡を見切ってひょいとメイスを躱したところでネージュは氷精の力を借り、その手に両刃の戦斧を備えた。メイスよりもなお見目に重く映る戦斧は真白の冷気を湛えている。
 それをネージュは軽やかに振り回す。次に出てきた鈍間なメイスに舞の回転を乗せた鋭い斬撃を浴びせていった。
「っつ――!」
 硬度はメイスに分があっただろうが、戦斧の勢いがそれを凌駕した。先端の結晶体がぼりっと折れて、メイスはついにただの棒切れになってしまう。
「ブーステッド――」
『それは棘だけではない、希望の花をも咲かせるのよ!』
 まじないの言葉を抑え込むように、愛は強く叫んでいた。手にした武器は全てサボテンの鮮やかな花びらに。巻き起こす花の嵐がくすんだエンリィの体を呑み込み、鋭利な縁で全身という全身を刻んでいく。
 スカート様の黒衣が千切れ、細足が露になる。小さい体に貼られた金属片の隙間は多い。花の嵐はそれを逃さない。
 今だけは笑顔を我慢して、愛は一片たりとも無駄にしないよう集中力を高めて花びらを操作する。完全に滅すまでは決して緩まない――それは平和を齎さんとする者の責務だった。
「――シャイニングッ」
 花びらに傷つきながらもエンリィはまじないを完結させて、貼り付く金属に光を与える。本来は触媒のメイスと金属の正しき配置にて最大の効果を発揮するものだが、危機に瀕している今は我儘など言っていられない。少しでも加護があることを敬虔な信者のように願いながらエンリィは身を固めていた。
(あと少しなのに……!)
 花の嵐の中に生まれた光は愛から手応えを失わせていく。掴み取りたい希望はすぐそこにあるのに、伸ばした手が届きそうで届かない――そんなもどかしさが愛の気持ちを曇らせる。
 しかし晴れ空は花の嵐の中にこそあった。
「負の連鎖はここで終わらせます……全ての笑顔を守るために!」
 ネージュが振り上げる戦斧はエンリィの光を受けて煌めき、スカイダンサー特有のしなやかな姿勢から振り切られた一閃が光を丸ごと断っていた。
「う……ぁ……」
 光が萎み、エンリィの体が上下に分かれて落ちていく。その過程で肌も金髪も色を失うと、地面に転がる間もなく粒子となって消えていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年09月04日


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#猟書家の侵攻
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#ミレナリィドール


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はロザリア・ムーンドロップです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト