●4年先を行く
「ああ、だめです、だめなのです……やはり今ある材料では私の求める仙丹には程遠い」
様々な茸や草、骨や虫の粉末が散らばった机の前で少女が頭を抱えうなだれる。
「この仙界には先人の積み重ねたる無限の英知が存在する。なのに、仙人たちと来たら毎日野山を駆け回って体を鍛えるか部屋に閉じこもって瞑想するか……これでは人間と変わらないではないですか。この金丹が完成すれば千年分の修行の成果を瞬き一つに得られるというのに。万年生きるからと言ってそれは意味もなく遠回りしてよい理由にはならないのです」
彼女は霊薬作りを生業とする錬丹術士の仙人であり、その中でも服用する薬である外丹の研究に没頭していた。
「やはり、時には自らの手で素材を取りに行かなければならないのでしょう。まあいいです。この新薬の実験も兼ねて参りましょうか」
そう言って少女は机の上にある丸薬を一つ手に取り、自らの口に放り込んだ。すると見る見るうちにその導師服を突き破り、圧巻の大きさに肉が膨れ上がった。……乳の。
「はやああああああ!? 違う、これは筋力増強と反射性増加のはずでぇぇぇぇ!? こ、こういう時は丹田に気を移し肉体の鎮静ができるやつを……」
慌てて別の薬を飲むと、その胸が平らに戻り……代わりに尻が服を破って巨大化した。
「あいやあああああ!?」
●含有量1.4倍
「あなたのメルでございます。暑い中お仕事お疲れ様です」
そう言ってメルはキノコのソテーを猟兵たちに配る。
「本日は封神武侠界での依頼です。この世界には仙界人界問わず修行に明け暮れる人が多いのですが、今回はそんな風潮に一石投じたい仙人の方のお手伝いをしていただきたく」
仙人、ということは仙界での依頼となるのだろう。
「お手伝いしていただきたいのは蕈娘(シィンニャン)という薬師の仙人さんです。彼女は新薬の開発のため洞窟へ特殊なキノコを採りに行こうとするのですが、そこでオブリビオンに襲われてしまうという予知がでました。なので、彼女に同行して護衛してあげてください」
普通なら自己責任の範疇な話だが、オブリビオンが関わってくるとなれば捨て置けまい。
「彼女は長い時間をかけて修行を続けることに疑問を感じており、せっかく仙界には多くの秘術があるのだからそれを使って簡単に力を得られる薬を作れないか、と考えているようです。研究そのものには本人も熱心ですので、努力が嫌というより同じやり方を何千年も繰り返してるのに疑問を抱いてる感じの様ですね。進捗は捗々しくないようですが」
結果が出せれば時代の革命児ともなれるかもしれないが、今の所怠け者の戯言の範疇に収まってしまっているのが実情である。
「実際にどうするかですが、まず洞窟へ行き、彼女に協力の旨を申し出てください。その際頼めば彼女が持ってきている薬を飲ませて貰ったり、一緒に薬を作ったりもできます。ただ、流石に彼女も異世界の素材まで扱かったことはありませんのでどんな薬ができるかは分かりませんが」
運が良ければとてつもない力を得られるかもしれないが、失敗した時にどうなるかは想像もつかないという。
「そして薬でお楽しみしたところで洞窟からオブリビオンが出てきます。まず出てくるのは『暗黒料理異形象形拳伝承者『遍喰らい』』という女の子のキョンシーたちです。元は料理を取り入れた邪竜拳法の使い手だったようですが、死してキョンシーとなった今はとにかく目の前の者全てを料理して食べることを目的に動いているようで」
死しても武術の動きは体に染みついているらしく、捕食の様な動きで攻撃してくるようだ。
「彼女たちを倒したら、『咎忍『冬虫夏草』』というキノコのお化けみたいなのが出てきます。彼らも元は人間だったのですが、粘菌操作術を極めるため邪法に手を出し自ら粘菌の怪物になってしまった方の様で。元は一人だったのですが、胞子を植え付けて繁殖し今や本体の概念もない大集団となってしまいました」
リーダーの様な存在もおらず、とにかく相手を胞子の苗床にすべく襲ってくるらしい。
「彼らはキノコがキョンシーに胞子を植え付けて増え、増えたキノコをキョンシーが食べるという奇妙な共生関係を築いているようです。捕まればそのサイクルの仲間入りですので、どうぞご注意を」
そう言ってメルはグリモアを起動し、猟兵たちを仙界へと送り出した。
鳴声海矢
こんにちは、鳴声海矢です。
今回は封神武侠界にて、薬師の仙人をオブリビオンから守っていただきます。
第一章では洞窟で仙人と交流し、彼女と薬作りや実験に興じていただきます。薬は一応筋力強化や神気増強などの名目ですが、大隊試作品な上実戦で試したものではないのでどうなるかは不明です。OPの様に変なところが肥大したり、とってもハッピーな気分(意味深)になったりするかもしれません。
第二章では『暗黒料理異形象形拳伝承者『遍喰らい』』との集団戦です。基本的に普通の集団戦ですが、第一章での薬の効果が残っていることにしても構いません。仙人に頼んでさらに追加の薬を貰ってもOK。『おいしそう』な状態になっていると相手がより群がってくるかもしれません。
第三章では『咎忍『冬虫夏草』』との集団戦。ここでもまだ薬の効果が残っていることにしてもOKです。さらに敵は胞子を撒いて繁殖してきたりするのでご注意を。一応幻覚効果自体はないはずですが、味方は味方で変な薬を撒いたりしてくるので謎の化学反応が起こるのもやむなし。
戦闘時には仙人が味方として戦ってくれます。直接戦闘能力は低いですが、様々な薬で援護してくれるので利用してみてください。以下詳細。
蕈娘(シィンニャン) 羽衣人の仙人×闇医者。
外見年齢は14歳の少女。赤毛に白メッシュの入ったボブカット。本名は別にあるが、『キノコ娘』という意味のこの名で呼ばれる方が多い。
従来の心身を磨く修行方式に疑問を持ち、長く濃い修行の効果を一発で得られる薬を作れないか研究している。研究そのものには熱心で、目的のための努力自体は惜しまない。近道しようとして遠回りするタイプ。
戦場に研究、調合キットや不安定な新薬を大量に持ってくるなど、実戦に対する覚悟や経験は乏しい。
自分を実験台にしていることもままあるため、未知の薬を自分で飲むのも他人に飲ませるのも躊躇はない。
なんとなくわかるかと思いますが、ネタシナリオです。薬の効果次第でコミカル、お色気、サイケデリックその他どうとでも転ぶことになるかと思います。一応まともな薬も持っているはずなので、真面目に戦い方はそれを希望してください。
それでは、スーパーなプレイングをお待ちしています。
第1章 日常
『仙界錬丹術』
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POW : 出来立ての霊薬を試しに飲んでみる
SPD : 異世界の素材を持ち込み、霊薬を作ってもらう
WIZ : 仙人に教えを請い、自分で霊薬を調合する
👑5
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美しい仙界にはあまり似つかわしくない、薄暗く湿った洞窟。その前に巨大な行李を背負った少女が一人いた。
「この洞窟の奥に物凄くよく効くキノコがあるという話ですね。色々道具も持ってきましたし、採取次第色々試してみたいものです」
その表情は先にあるものへの機体で満ちている。
「それに、万一何か危険なものがいても色々薬は持ってきてますし。まぁちょっと未完成のもありますけど」
腰に下げた袋には、様々な色やにおいの丸薬が大量に。
彼女自身は準備万端と思っているようだが、フィールドワークでは不必要な荷物は持ってこないのが基本だし、人のいないところで効果の分からない薬を服用しては万一の時助けを呼ぶこともできない。なにより、彼女はどこに潜んでいるか分からないオブリビオンの危険性を正しく理解しているのかどうか。
籠っての研究はともかく危険の伴う実戦について考えの甘さは、あるいは彼女の研究が行き詰まる最大の原因なのかもしれなかった。
だが知らぬことはこれから学ばせればよいし、ここでオブリビオンに倒されてしまってはその機会すら永遠に失われてしまう。
何より、彼女の作る薬の効果は色々不安定ながら強力なのは間違いないのだ。
さあ、まずは彼女の実力のほどを図るためにも、共に薬を作り、あるいは服用してみようではないか。
政木・朱鞠
行動【WIZ】
因縁のあるターゲットとの遭遇に気は急くけど、バタバタと焦っても不粋なだけで状況は好転しないよね…。
一応、私も忍者の端くれ…修行の一環としてこの世界の薬品にも慣れておきたいし、どんな霊薬が作れるかは未知数って事で素直にレクチャーを聞いて覚えないとね。
教えて貰いながら霊薬を作るにしても人手は必要だよね、ちょっとズルいかもしれないけど『忍法・火煙写身の術』私の狐火製の分身達にお手伝いして貰うよ。
それとは別に蕈娘ちゃんのお薬も試してみたいね…。
効果は妖しげだけど、安全みたいだし…未知の体験ができるのだからそれもまた善哉…なんてね。
霊薬の効果はNG無し&アドリブ連帯歓迎でお願いします。
仙界にある洞窟へ入ろうとする仙人、蕈娘。彼女がその入口に差し掛かった時、後ろから一人の女性が現れた。
「因縁のあるターゲットとの遭遇に気は急くけど、バタバタと焦っても不粋なだけで状況は好転しないよね……」
真剣な顔でそう言うのは、政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)。彼女はこの洞窟に繁茂するキノコ……『咎忍『冬虫夏草』』に対して少なからぬ縁を持つ者でもあった。
それ故今回の任務に臨む気概も一際強いものがあったが、自分で自覚している通りそれで焦っても仕方ない。故に彼女は、協力の意を示すべく蕈娘へと声をかけた。
「一応、私も忍者の端くれ……修行の一環としてこの世界の薬品にも慣れておきたいし、どんな霊薬が作れるかは未知数って事で素直にレクチャーを聞いて覚えないとね。というわけで、お手伝いするからちょっと一緒に薬を作らせてくれないかしら」
突如現れた相手に蕈娘は驚いたように目を丸くするが、元々仙界には奇人も多く自分もその一種であるとそれなりに自覚している彼女、すぐに拱手を作って彼女を受け入れた。
「これはこれはどうも。いやいやご協力感謝いたします。まぁそんな大きな問題はないと思いますが、何しろ薬を作るのもなかなか手がいるもので……」
そう言いながら早速背中の荷物を下ろし、調合用の資材をその場に広げ始める蕈娘。これを持って洞窟に入るつもりだったのかと朱鞠も一瞬呆れるが、手が足りないならちょうどいい『手』があると忍法の構えを取る。
「言霊にて煙火に暫しの魂魄を与えん……疾く攻めよ!」
朱鞠の掛け声と共に周囲に狐火があがり、人の形を形成していく。【忍法・火煙写身の術】で作られた分身が蕈娘の前に現れ、その指示を待つようにそこに並んだ。
「はやや……これはすごいですね。」
「ちょっとズルいかもしれないけど、教えてもらうからこれくらいはね?」
そういう朱鞠に、蕈娘はこれ幸いと分身たちに指示を出しながら早速薬を作り始めた。分身は戦闘用ということもあり、特に細かく砕く必要がある素材を粉砕したり、狐火の体を生かして必要な高熱を即座に出したりと様々に蕈娘を手伝っていく。
「なるほど……たしかに、忍者の薬とはだいぶ違うのね。根底に仙気というか、不思議な力が加わってるわ」
科学のみに寄らないその薬に、仙界の不思議とそれを求めた故に邪法に手を出したであろう因縁の相手が思い浮かぶ朱鞠。
「いえいえ、あなたならすぐにコツを飲み込めるでしょう。お陰様でかねてより懸案だった薬が完成しました」
すこし影を含む朱鞠の表情など気づかぬ実に、出来たばかりの丸薬を摘まみ上げる蕈娘。それをみた朱鞠も表情を変え、どこか妖しい雰囲気で笑みを浮かべる。
「それとは別に蕈娘ちゃんのお薬も試してみたいね……効果は妖しげだけど、安全みたいだし……未知の体験ができるのだからそれもまた善哉……なんてね」
予知で聞く範囲では、効果は不安定ながら強烈かつ体に毒ということはないようだ。ならば試してみたいと申し出てみれば、蕈娘はあっさりとそれを快諾し朱鞠に出来立ての薬を渡した。
「はい、どうぞどうぞ。治験は大事ですね。臨床例は多い方がいいので私も」
めいめいに薬を口に放り込む二人。そして程なく、朱鞠の体の奥から厚板切りが巻き起こって来た。
「なんか……体が、熱い……」
「そうですそうです。これは気を燃焼させ爆発的な精力を得るためのものです。瞬間的に代謝も高まり、戦闘意欲も向上して……」
そこまで行ったところで、蕈娘の口は朱鞠の胸によって塞がれた。
「熱い……もう、我慢できないよ……あなたの気も、そうでしょ……?」
「むぐっ……これはなるほど……爆発する気の方向が少しずれてしまいましたか……たまった気、発散させましょ……!」
そう言って思い切り朱鞠の豊かな胸に吸い付く蕈娘。どうやら薬の効果は確かに意図したとおり。ただし高まった気、精力、意欲とその全てがある一定の方向を向いてしまったようだ。もちろんそれに肉体も答え、それ相応に準備を整えている。
「おぉぉぉ……もっとぉ……!」
「これは凄い増強率……強い人が服用すれば相当ですね……!」
その気を吸い出すかの如く、朱鞠の胸を吸い上げる蕈娘。彼女自身はそれで発散されるのかとも思えるが、そこは素の実力の差かもしれない。
「あぁぁ、蕈娘ちゃん、もっとぉぉぉぉ!!」
薬の効果が切れるまで如何程に気を吸う必要があるか……絶叫しのけ反る朱鞠の様子からするに、果てはまだまだ遠そうであった。
大成功
🔵🔵🔵
全会原・タイガ
アドリブ・絡みOK
もしかしたら男に戻れる薬を作れるかもしれねぇ。やってやるぜ!
仙人に男になれるような薬が無いか聞いてみてそれっぽい素材を集めるか。
集めた素材で薬を作ったら速攻飲んで効果を確かめてやる!
これで男の体に戻れる、と思いきや胸や尻がむくむく膨らんでいく。
まさか呪いが薬の効果を変えちまったのか!?
胸も尻もただ大きくなっただけじゃなく呼吸するだけでプリンみたいにプルプル揺れる全身もっちりボディになってしまった。
む、胸と尻が震えてうまく動けねぇ……
慣れない体でしばらくの間プルプルと揺れることしかできなかった
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
確かに、新しい技術の開発は重要ですねぇ。
折角ですし、【霊結】に使用する『秘薬』と『彼女の薬』を混ぜてみましょう。
上手く行けば今後の強化に繋がるかもしれません。
ということで『身体強化の薬』同士を混ぜて、飲んでみたのですが。
本来の『秘薬』の効果以上に胸が膨らんでいく上、お尻にも影響が出ているみたいですぅ。
ただ、この胸の『重量』でも支えられる程度に、筋力も強化されている様ですから、効果は十分ですねぇ。
今後用に幾つか頂いても?
ええ、摂取時点では気づかなかったのですが。
効果時間が長い上、『効果中は際限なく肥大化し続ける』『刺激の質次第で増量傾向が変化する』状態になっていたようで。
鮫兎・醒闇
【やりすぎ歓迎】
異世界素材を持ち込んでお薬を作ってみるわ!
【豊饒飽食豊満の果実と食欲増進&消化促進剤】を素材にして、千年飢えなくなる霊薬とかどうかしら?さらにユーベルコードマヨ乾坤網のマヨネーズを足してっと……練れば練るほど色がアレして……こうやってつけて……完成♪(テーレッテレー♪)
るこるちゃんや蕈娘ちゃんと一緒にごくりごくりと……んぷぅうううううううう
!?!?(一瞬で洞窟いっぱいの巨大アドバルーン状に膨れ上がるバニーガール)
しかも膨らんだ体で他の怪しい薬まで押しつぶして浴びちゃったり!?
「はひぃ……中々作用の調整は上手くいかないものです。ですが完全失敗というわけではありません。これもまた次の糧です」
息を荒げ、額の汗を拭う蕈娘。先に作った薬の実験が思わぬ方向に行ってしまったが、こういう事態にも慣れているのか多少息は上がれどくじけた様子は全くない。
「確かに、新しい技術の開発は重要ですねぇ」
そうして新しいことに挑み続ける彼女の姿勢を、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はそう好意的に評した。
「異世界素材を持ち込んでお薬を作ってみるわ!」
隣にいる鮫兎・醒闇(兎と鮫となんかの触手・f02122)もたっぷりの異世界産素材を持って協力する意思満々である、最もその目的はかなり自分のためでもあるのだが、蕈娘もそんなことを気にする性質ではない。
「いやいや、まだ他にもいらっしゃいましたか。これはこれは有り難いことで……」
拱手し新たな協力者を迎えようとする蕈娘。二人がそれに応えようとしたとき、後ろから二人を押しのけもう一人別の猟兵が勢いよく彼女に答えた。
「もしかしたら男に戻れる薬を作れるかもしれねぇ。やってやるぜ!」
鼻息荒くそう言うのは全会原・タイガ(男は度胸!女でも度胸!・f23916)。男であったが呪いによって女になったという経歴を持つ彼女は、猟兵として戦う中で日々その手段を探している。そんなところに肉体変化を齎す不思議な薬を作る仙人がいると聞いては、落ち着いていろと言う方が無理な話であった。
そんな突然の乱入者にも蕈娘は怖じることなく、薬を入れている袋をごそごそとかき回し一つの小瓶を取り出した。
「はい、丁度いいですね。これはとある神泉に湧きだす百相変化の湯を素材として作りました……」
「御託はいいから早く!」
「はい、じゃあこれに服用時にいくつかの素材を混ぜまして……」
後入れの素材を指定すると、タイガが凄まじい速さでそれを煩雑な素材入れの中から探し出し蕈娘に渡してしまった。
「やぁお早い。それではこれをこうして……はい、どうぞ」
「むぐっ……んぐっ、ぶはっ!」
蕈娘がその素材を混ぜ込んだ瓶をタイガの口に突っ込み、タイガはそれを一気に飲み干した。
ややあって、タイガの体に変化が訪れる。
「おお、これはむくむくと……え!?」
むくむくと膨れていくタイガの一部。ただしそれはなかったものが生えたのではなく、元々あるものが肥大していた。
「まさか呪いが薬の効果を変えちまったのか!?」
何しろ猟兵の力でも簡単には解けない呪いである。仙界の秘術とてそう簡単に太刀打ちできるものではない。
「あやや、この反応は予想外。これはこれで記録しておくとして、皆さん何かいい手はないですかね?」
その姿を目を輝かせてみつつ、るこると醒闇に助けを求める蕈娘。それに対し、まずはるこるが自分の持つ薬を一つ差し出した。
「折角ですし、【霊結】に使用する『秘薬』と『その薬』を混ぜてみましょう。
上手く行けば今後の強化に繋がるかもしれません」
呪いと薬が反応したのを見て、るこるは複数を混ぜればより大きな効果が出るのではと考え身体強化の薬同士を混ぜて飲むことを提案するるこる。
「なるほど、体を強化すれば代謝機能も高まり薬の効果も抑え込めるかもですね。ではみんなで行きましょう」
その提案を躊躇なく飲み、代謝強化の薬と混ぜて自分を含めその場の全員に飲ませる蕈娘。すると見る間に飲んだもの全員の胸が膨れ上がり、さらにはそれに負けぬほどに尻、他にも全身の筋肉までが肥大しはじめた。
「これは本来の秘薬以上に効果が出てますし、お尻にも影響がありますねぇ……」
「そ、そのようです……ぐおぉ、膨れる経験はありますが、この大きさと溜まり方はぁぁぁ……」
「言ってる場合かコラぁぁぁぁ!! む、胸と尻が震えてうまく動けねぇ……」
なにしろるこるの薬は【豊乳女神の加護・霊結】に使うユーベルコード用の薬である。その効果は並の薬とは段違いだ。タイガはさらに膨れ上がり呼吸するだけでプリンみたいにプルプル揺れる全身もっちりボディに、他三人もそれに負けじとどんどん肥大化していく。
「ただ、この胸の『重量』でも支えられる程度に、筋力も強化されている様ですから、効果は十分ですねぇ。今後用に幾つか頂いても?」
「は、はひ……どうぞ、持ってってください……ぬぬぬ、手が届かない……ちょっとそちらの方、お手伝いを……」
さすがに膨らみに対する慣れの違いか、冷静に考察するるこると体を上手く動かせない蕈娘。同じように平然とした顔の醒闇に助けを求めると、それに対し醒闇は得意げな顔をして答えた。
「任せなさい。【豊饒飽食豊満の果実と食欲増進&消化促進剤】を素材にして、千年飢えなくなる霊薬とかどうかしら?」
「はい?」
ちょっと早口気味だったので詳しく聞き取れなかったが、なんかむしろ状況を悪化させそうな単語がいくつも聞こえたような気がするのは多分間違いではあるまい。だが止めようにも動けない蕈娘を尻目に、醒闇は丸々とした体で迅速に薬に様々なものをぶち込んでいく。
「さらにユーベルコードマヨ乾坤網のマヨネーズを足してっと……練れば練るほど色がアレして……こうやってつけて……完成♪」
テーレッテレー♪という音が聞こえそうな勢いで掲げられたその薬は、きっときとのぎっとぎとで明らかに健康を害しそうな見た目をしている。流石の蕈娘もちょっと引き気味に見ているが、一方でるこるは慣れたものなのか特に変わらない表情。タイガに至っては諦め顔である。
そのまま器用に全員の口に完成品を押し込む醒闇。その結果。
「んぷぅうううううううう
!?!?」
「あいやあああああ!?」
一瞬で洞窟を塞ぐほどの勢いで膨れ上がる一同。色黒の醒闇とタイガ、比較的色白なるこると蕈娘の肉が混ざり合い、二色のバルーンが絡み合うすさまじい状況である。
「ところで何か潰れた気が……」
「あぁぁぁ! 他の薬が!? これはもうどうなるか計算もつかなく……」
大きくなりすぎた肉が離れた場所に置いてあった薬まで潰してしまい、纏めて肉の中に飛び散ってしまったようだ。
案の定さらに乳尻を膨らませ、互いの肉を絡み合わせていく四人。かろうじて色で二択まで絞り込めるだけで、後はもうどれが誰の肉かもわからない。
「ま、まあ、基本この手の薬はいずれ効果が切れるように作ってあります。恒久的に強化を施す薬はまだまだ試作にも達していない段階ですので……」
「それなのですが、摂取時点では気づかなかったのですが。効果時間が長い上、『効果中は際限なく肥大化し続ける』『刺激の質次第で増量傾向が変化する』状態になっていたようで」
「ちょっと待ってください情報過多!」
「いいじゃない、こうなったらみんなでお肉を楽しみましょ?」
もうどこの肉かもわからない肉をこすり付け楽しむ醒闇に、それが急所的なところに入ったか目を裏返らせて舌を垂らす蕈娘。そこに推定るこると思しき肉から白い何かが噴き出しその大きく開いた口に飛び込んでいく。
「やっぱこうなんのかよくそおおおおお!!」
その中で自分も頬を染め何度も痙攣しながらも、タイガが心からの叫びをあげるのであった。
大成功
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オラン・ノガラルト
任務了解。仙人に協力を申し出ます。
【コンプリート・アーマー】の力があれば、【薬品調合】に必要な機材はどんなものでも用意できます。調合窯のような大型の物でも、何なりとお申し付けください。肉体変化の幅を広げるかもしれない薬には大いに興味があります。ぜひとも当機が服用実験を。
これは…なんだか頭がぼーっと…仙人様が大きく見える…のではなく、当機が縮んでいる…?
(胸以外が退化するように縮んでいき、ついには二対のつながった胸だけに)
ぷるんっ!?ぷるぷる…(なんと…数々の変形を経験してきた当機でもこれは驚き。果たしてこの状態で戦えるか…移動は飛び跳ねで問題なさそうです。ぽよんぽよん)
よろよろと洞窟入口から少し入った所でふらついている蕈娘。そこにやって来た新たなる猟兵が。
「任務了解。仙人に協力を申し出ます」
オラン・ノガラルト(超絶変形軟質機械・f30838)が無機質な口調で自身に課せられた任務を復唱した。なお入口は既に何かで塞がれている気もしなくもないが、猟兵には転移があるので特に問題はない。
非猟兵故か強力な効果を維持することができず戻ったと思しき蕈娘が、ふらつきながら拱手を作りオランに挨拶する。
「あ、これはどうも……どうにも強化の代わりに疲れる薬ばかり揃ってしまったので、内気回復や軟功を補助する薬を作りましょうか」
色々未知の方向に行ってしまったが、現れる協力者たちの実力は本物。この知恵や技術を借りない手はないと、元々研究自体に熱心な蕈娘はオランを歓迎し受け入れた。
「了解しました。どのような機材が必要でしょうか。【コンプリート・アーマー】の力があれば、【薬品調合】に必要な機材はどんなものでも用意できます。調合窯のような大型の物でも、何なりとお申し付けください」
「そうですね、とりあえず普通に必要なものはあるのですが、神気にて錬成する者や道術の力を込めるものなどは少々手間がかかるのですが……そう言った者はありますかね?」
「任務了解。拡張装甲を転送します」
さすがにそう言ったものはないだろうと聞いてみた蕈娘の目の前で、オランは【コンプリート・アーマー】を発動。その場でアーマーが増加し多方向に展開し、様々な調合器具や床に敷くような太極図や様々な文様の入った敷物へと変化していった。
「おお、これは素晴らしい。このように人体を模した経絡図の上で練ることでより気の流れがイメージしやすくなり、作用も強まるのですよ」
その上で仙丹を作り、さらに自身の内外の気をそこに巡らせていく蕈娘。あらゆる能力を補助できるメカアーマーの前には、仙術や道術といった神秘の力を持ったアーマーを用意することも朝飯前である。
やがて一つの丸薬が出来上がるが、オランはその出来上がった薬を相変わらずの無表情でじっと見つめていた。
「肉体変化の幅を広げるかもしれない薬には大いに興味があります。ぜひとも当機が服用実験を」
「おや、いいのですか? こちらは基本鎮静用なので、興奮や感覚鋭敏化などの作用は出ないと思いますが」
先に来ていた猟兵の関係で、そう言ったある種アッパー系の薬が好まれていると思ったのだろう。だが、じっと見つめてくるオランの視線に押されたか、出来立ての薬を彼女に手渡す蕈娘。薬が渡されると、オランは躊躇なくそれを口に放り込んだ。
何が起こるかじっと見つめる蕈娘。オランの目の前で、その表情が驚愕に変わっていった。
「おお、これは、何と……!」
「これは……なんだか頭がぼーっと……仙人様が大きく見える……のではなく、当機が縮んでいる……?」
元々背は高くないオランだが、蕈娘の顔がどんどん上方へ移動していくように見える。それだけでなく横も厚みも増しているようにも見えるが、辺りを見回せばその辺りにばらまかれた調合器具まで大きくなっている。これはつまり、自分が小さくなっていると考えるのが自然だろう。
だが、そう考えているうちに司会が突如何か柔らかいものでふさがれた。それをどけようにももう手も使えないほどに小さくなり、やがて顔そのものがその何かに吸い込まれるよう縮んでなくなってしまった。
「こ、これは……気に連動し肉まで完全鎮静、一点に集中してしまいましたか。それも丹田ではなくこんな所に集まるとは……」
旋律の表情で目の前のものを見下ろす蕈娘。そこにあるのは、胸以外が退化するように縮んでいき、ついには二対のつながった胸だけになってしまったオランの姿であった。
元々非常に大きな胸を持つオランだが、それだけになってしまっては最早文字通り手も足も出ないのでは。
だが、その巨大胸はまるで意思があるかの如くその場で『ぷるんっ!? ぷるぷる……』と自ら震えていた。
(なんと……数々の変形を経験してきた当機でもこれは驚き)
実際このような状態になってもオランの意識は失われず、胸だけとなったままそんなことを考えていたのであった。
無茶な体勢、体形で動くことについては経験豊富なオラン。とりあえずこの状態でどこまでのことができるか色々確かめてみる。
(果たしてこの状態で戦えるか……移動は飛び跳ねで問題なさそうです)
動き方を確認するかの如くぽよんぽよんと蕈娘の周りを飛び跳ねる乳房オラン。その意外に元気そうな様子に、蕈娘もこれもまた貴重な研究サンプルとばかりに観察を決め込むことにしたらしい。その動きをじっと見つめつつ、時々動き方に指示まで出して来る。
果たしてこの後待ち構えるであろうオブリビオンと戦えるのか、戦えるとしてどう戦うのか。その答えは、オラン自身含めてまだ分からないことであった。
大成功
🔵🔵🔵
ベアトリス・ミラー
【トゥットファーレ】
アドリブOK
まずは交流から。薬を見て色々と試してみるのもありですね。
色々と見たりして聞いたりしましょうか。
役に立つものがあるかもしれないので飲んでみましょうか。
胸とか腿なんかが熱くなって大きくなって。
おまけにアリスと同じモノが生えてきて。
なんだか身体も熱くなってきて求めて♥
気持ちよくなりましょ♥
アリス・スラクシナ
【トゥットファーレ】
アドリブOK
「薬と言っても色々とあるからな」
華澄のあれなんかを知っているから今更驚いたりは。
とにかく話を聞いて、それから色々とやってみればいい。
効果が分からなければ迂闊に飲むのもな。
「試してみるしかないのか」
呑んで効果を確かめることになったが、一部が肥大してモノまで生えるという事態に。
「うう、これは♥」
昂ぶりが身体を♥我慢なんてできるはずが♥
エルーゼ・フーシェン
【トゥットファーレ】
アドリブOK
行動を一緒にするならまずお互いを知ることからね。
色々と薬を作ってるみたいだし、なにか役立つものがあるかも。
要は飲んでみれば分かるでしょ。死ぬことはないと思うけど。
胸とか大きくなっておまけにモノまで生えてきた♥
みんな溜まってるだろうからここで♥
蕈娘も同じ身体になったなら一緒にね♥
藤宮・華澄
【トゥットファーレ】
アドリブOK
若干筋肉質
薬の知識に関しては私も精通してるから手助けには?
まずはものを見て、色々とやってみないと。
効果も分からないといけないので、試しに呑んでみないとね。
肉体改造で胸とか大きくなってモノまで生えて♥
「理性なんかで抑えられない♥」
みんな同じ状態になってしまったのなら仕方ないよね♥
「いやあ、いい情報が取れました」
ようやく巻き込まれずに薬のデータをとれた蕈娘。自分で薬を飲まなければもっと冷静に色々観察もできようが、基本的に単独行動が多い故か大体のことはまず自分でやるという発想が先に来てしまうのだろう。
そして一人ということは、どうしても自分の視点でしか物事を見れなくなりがちである。それを打開するためには他の同業者の意見を入れることが必要なのだが、変人扱いであまり人と交流しない彼女にはそれが難しい事であった。
だが、奇しくも彼女がオブリビオンに襲われる未来が予知されたことで、多くの猟兵が彼女の元を訪れている。そしてその中には、彼女と同じ医学や薬学の知識のある者もいた。
「薬の知識に関しては私も精通してるから手助けには?」
藤宮・華澄(戦医師・f17614)がそう言って蕈娘に協力を申し出た。彼女はチーム内でも後方支援や医術知識でメディック的役割を担うことも多く、蕈娘とはまた違った角度から医学薬学に通じていると言えた。なお彼女の体は若干筋肉質に盛り上がっているが、比較できるものを知らない蕈娘は特にそれに驚く様子は見せない。
「あや、あなたも薬師ですか? これは心強い。こちらは仙桃の種をすり潰しましてそれを神泉に溶いたもので、専門的に言えば仙桃の钾によって体内の細胞における気の圧を……」
そう言って自分の持つ薬について遠慮なく説明を始める蕈娘。気や仙術を用いる部分はさすがに専門外だが、科学的な作用の部分は成分の名前さえわかれば存外分かりやすく理解できる作用とも言えた。
「つまり、カリウムで血圧を調整する要領で気の巡りを整えると」
そう言った話で盛り上がる二人の様子を、仲間たちも後ろから見つめていた。
「行動を一緒にするならまずお互いを知ることからね」
エルーゼ・フーシェン(踊り子・f13445)は二人が順調に交流していることに安堵する。やはり共通の話題があるというのは打ち解けやすいものだ。いかにもインドア、そして魔法とは違う術である仙術を修める蕈娘とは、どうにも自分は共通の話題はありそうにない。もちろんそれだけで交流自体を諦めるようなことはないが、とっかかりを誰かが作っておいてくれれば門外からでもすんなり話をしていくことができるだろう。それに、猟兵ではないとはいえ彼女も気鋭の仙人。猟兵の体にさえ影響を及ぼす薬を作るだけの実力はあるのだ。
「色々と薬を作ってるみたいだし、なにか役立つものがあるかも」
「薬と言っても色々とあるからな」
エルーゼの言葉に続くのは、アリス・スラクシナ(邪神の仔・f21329)。彼女が思い浮かべるのは、今まさに蕈娘と話している華澄が作った薬の事。多少方向性が違うとはいえ肉体をとてつもなく変容させる薬を作れるものが身近におり、その効果を身をもって体験してもいるのだ。今更とんでもない肉体変化役を作るものがもう一人現れたところで、それは驚くには値しない。
「とにかく話を聞いて、それから色々とやってみればいい」
彼女もまた餅は餅屋とばかりに、専門的な話はまずは華澄に任せるつもりでいた。
「まずは交流から。薬を見て色々と試してみるのもありですね。色々と見たりして聞いたりしましょうか」
そう言って一歩前に出て、二人の話を興味深く聞いているのはベアトリス・ミラー(クリエイター・f30743)だ。小説家が生業の彼女は、こういった話も何かの題材に出来ないかと二人の話を色々と書き留めている。専門用語などは後で調べるため聞こえた音でそのまま書き留めておき、なるべく二人の話に割り込まないようメモを取っていくベアトリス。
やがて二人の話が一度落ち着いたか、いくつかの薬を手にエルーゼとアリスの元へと揃ってやってきた。
「まずはものを見て、色々とやってみないと」
「いやいや他のプロの方のお話は為になりますね。過程をすっとばして結果を得るのではなく、過程のための薬ですか。確かに人界の発想を交えればそういうことになるわけで……」
戦場での医術を戦乱止まぬ人界の考え方と判断したのだろう。だがそこに間違いなく世界に即した高い技術があることを見た蕈娘は、返礼のつもりか薬を全員に手渡した。
「お話を聞くにこういうのがお好きそうなので。どうぞご遠慮なく」
どんな話をしたのか。効果が分からなければ迂闊に飲むのもなとアリスは華澄を見るが、彼女自身多少困ったような笑いを浮かべるだけだ。
「効果も分からないといけないので、試しに呑んでみないとね」
つまり彼女にも詳細な効果は分からないらしい。一応肉体強化関係の何かだと言うことは分かるが、封神武侠界的専門用語の部分は彼女にも完全には理解できてはいなかった。
「試してみるしかないのか」
やれやれという様子で薬を見るアリスとは対照的に、エルーゼとベアトリスは平然とした顔だ。
「役に立つものがあるかもしれないので飲んでみましょうか」
「要は飲んでみれば分かるでしょ。死ぬことはないと思うけど」
そう言ってひょいと口にそれを放り込む二人。それに従い他の面々も薬を飲んでいった。
そしてすぐに変化は全員に訪れる。
「うう、これは♥」
その場にいた全員の胸や尻がとてつもなく大きくなり出したのだ。それ自体は今までの薬でもあったことだが、今度の薬は一味違った。
「アリスと同じものが♥」
前屈みになる全員。それを見て蕈娘は満足そうにうなずく。
「はい、血流を操作できるなら気の流れを同様に使えばできると思いましたが……これは成功ですね」
血液が送り込まれることで肥大する部位。それは本来女性にない物だが、性別反転に比べれば一時的に追加するくらいなら容易いものだ。そしてこの手の薬の一番の解除方はと言えば。
「みんな溜まってるだろうからここで♥」
エルーゼの提案通り、溜まった血流を抜いてしまうこと。幸いここには肥大し切った肉がいくらでもあるのだ。その手段には事欠かない。
「理性なんかで抑えられない♥」
ある程度この効果を良そうで来ていたはずの華澄ですらこの有様である。
「気持ちよくなりましょ♥」
ベアトリスも当然それに抗えず、その肥大した腿に支えられた下半身をぐりぐりと押し付ける。
だが、中でも一番効果が出ているのは。
「昂ぶりが身体を♥我慢なんてできるはずが♥」
元はない者ですらこの状態なのだ。元からあった所にこの薬が入ってしまっては、それはもう即座に爆発寸前となってもおかしくない。
アリスのそれは顔を超え洞窟の天井を支える柱にすらならんばかりとなり、そしてそこに他三人がそれぞれ己のものをこする……あるいは削るくらいの勢いで叩きつけた。
「ぬおほぉぉぉぉぉ♥♥♥♥」
誰のものとも分からない絶叫の後、換気されない洞窟の中にむせ返るほどの臭いが撒き散らされた。だがその発射元はまるで落ち着く様子もなく、薬の効果が切れるには到底程遠い。
「蕈娘も同じ身体になったなら一緒にね♥」
エルーゼが蕈娘に妖しく笑いかける。その視線の先には、今にも破れんばかりにテントが張った彼女の導師服が。
既に何度となく破れ着替えた服をまた破りながらそこから巨大茸が現れ、白濁の海の中に己の『胞子』を足していく。
粘菌ならぬ粘液の繁茂は、薬の全てが白濁となって洞窟を汚しきるまで絶叫と共に続くのであった。
大成功
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月灘・うる
これはなかなかにもうけ話の匂いがするね!
わたしも協力させてもらうから、お薬作っていっしょに一儲けしよう!
うーちゃん商人だからね。
足りない材料とかも調達させてもらうし、協力は惜しまないよ!
え、実験が足りない……?
わ、わかったよ……売るからには安全も確かめておかないとだし、
わたしも飲んで、試させてもらうね!
『蕈娘』さんにわたしてもらった丸薬を思い切ってごっくん!
な、なななな、なにこれ!?
そ、その、ついてないはずのものが、スカート持ち上げてるんだけど!?
どうやったら治るの!? こっちを飲むの?
あわてて次の薬を飲んだら、あたまがぐるぐる回り出して、全身が熱く……。
これも、危ない薬だったんじゃ……?
様々な薬を作っては猟兵共々試している蕈娘。大概予想を超えたとんでもない効能となってしまっているが、その効果自体は本物だ。
そして効き方が分かれば当初の目的と違っても『そういう薬』としてしまえば正しい効能の薬となる。
「これはなかなかにもうけ話の匂いがするね! わたしも協力させてもらうから、お薬作っていっしょに一儲けしよう!」
その算段の元、月灘・うる(salvage of a treasure・f26690)は勢いよく蕈娘に声をかけた。
「あー、いいですよー。人界にしかないものがいるとき結構お金かかるんですよね。霞食べられない人は交渉が難しくて」
ただ生きるだけなら文字通りなにもいらない仙人だが、何かを極めようとするとそれ相応のコストがかかるのはどんな世界でも変わらないこと。研究生活でそれを理解している蕈娘の快諾に、うるの心は踊る。
「うーちゃん商人だからね。足りない材料とかも調達させてもらうし、協力は惜しまないよ!」
「あ、材料関係はここのキノコ以外は困ってないんですよね。珍しいものもいっぱいもらえましたし。それよりも……」
ノリノリの申し出をあっさり却下し代わりに蕈娘が提案したもの、それは。
「こちらの薬の実験でして」
今しがた作り上げたばかりの新薬の実験であった。
「え、実験が足りない……?」
さっきまで別の猟兵と散々それっぽいことをしていたのに。そう言いたいのを察したか、蕈娘は説明を始める。
「皆様のおかげで期せずして新薬が完成しました。元々作りたかったものとは違いますが、別の懸案ではありましたし、まさかあのような強烈な反応を何度も間近で見られるとは。それを経て今しがた練り上がったばかりの最新盤です」
つまりその猟兵との交流を経て作り上げた出来立てほやほや、その被験体第一号を募集中ということだ。そしてこの薬は猟兵を基準に作られている。実験台にもそれ相応の資質が求められるのだ。
その期待を込めた目で見つめられ、思わず薬を受け取ってしまううる。
「わ、わかったよ……売るからには安全も確かめておかないとだし、わたしも飲んで、試させてもらうね!」
これで一儲けできるなら。その覚悟と共にうるは渡された丸薬を思い切ってごっくん! と飲み込んだ。
そして待つことしばし。うるの体に変化が訪れた。
「な、なななな、なにこれ!? そ、その、ついてないはずのものが、スカート持ち上げてるんだけど!?」
うるの股間が大きく盛り上がり、短いスカートをめくりあげて外へと顔を出した。下着を今にも破らんばかりに引き伸ばし固くそそり立つそれは、間違いなく女性には存在しないはずのそれ。
「おお、なるほど、成功ですね。肥大強化は良いのですがどうにも行きすぎな上無軌道になりがちだったので、一点に指向性を持たせた上ないものを増設することで必要な内気をあえて増加、使用に不都合が出る程の肥大を防ぐものでして」
これ自体が狙った効果であることを説明しつつ、そそり立つそれのサイズや形状を細かく測定、記録していく蕈娘。本人は本当に単なる経過観察のつもりでしかないのだが、やられている側にとっては重度の羞恥プレイでしかない。
「で、その後はこちらの薬を……」
「どうやったら治るの!? こっちを飲むの?」
蕈娘が別の薬を取り出すと、説明半ばでそれを奪い取り急いで飲み込むうる。だが、体は収まるどころかより熱を帯びだして。
「あたまがぐるぐる回り出して、全身が熱く……これも、危ない薬だったんじゃ……?」
頬を紅潮させ、息を荒くして蕈娘に尋ねる。
「いえ、こちらは体内で陽気を錬成し採陰補陽を可能とするためのお薬で、こちらを合わせて服用することで機能が完成するというものなのですが……」
「つ、つまりどういう……」
「あー、分かりやすく言えばー……こういうことです」
下着越しにスカートを持ち上げるそれを鷲掴みにし手を激しく動かす蕈娘。瞬く間にうるのそれがはじける寸前までいき、そこで蕈娘が手を止める。
「ひっ、あ、あぁ……」
つまりそれ本来の機能が完全に使えるようにするための薬ということらしい。それからも蕈娘は色々説明するが、昂り切ったうるの耳にはもう入ってこない。
「出たものは採取させていただきますね。それがきちんと機能するなら完成です。これは売れますよー」
そうして破裂寸前のうるのそれをさらに弄り回して観察する蕈娘。儲け話のためと耐えるうるのそれがいつ決壊するか、それは彼女の我慢次第といったところだろう。
大成功
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第2章 集団戦
『暗黒料理異形象形拳伝承者『遍喰らい』』
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POW : 春夏秋冬(ひととせ)
戦場の地形や壁、元から置かれた物品や建造物を利用して戦うと、【化生・悪魔・異形の捕食行為を模した型】の威力と攻撃回数が3倍になる。
SPD : 前後左右(なかぬき)
【化生・悪魔・異形の捕食行為を模した型】が命中した部位に【気(エナジー)】を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する(抵抗は可能)。
WIZ : 東西南北(よもひろ)
手持ちの食材を用い、10秒でレベル×1品の料理を作る。料理毎に別々の状態異常・負傷・呪詛を治療する。
👑11
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猟兵で……もとい猟兵と色々実験を繰り返した蕈娘。すっかり親睦の深まった彼女と共に、猟兵は本格的に洞窟の探索を開始する。
中に入って少し進むと、奥からぐちゃぐちゃと何かを咀嚼するような音が聞こえてきた。
警戒しながらさらに進んでいくと、そこには座り込んで何かを食べている少女の一団が。
彼女たちが食べているもの、それは毒々しい色をした巨大なキノコであった。その茸を見た瞬間、蕈娘が目の色を変える。
「あれは……間違いない! 噂に聞くキノコです!」
そのまま駆け出そうとする蕈娘を、猟兵たちが抑える。あれが目的のキノコだというならば、それを食べている少女たちの正体もおのずと決まってくる。
「あらら、何か来たよ……」
「肉、お肉のにおいするよ……久しぶりに、キノコ以外も食べたいね……」
蕈娘の声にこちらに気づいたか、ゆらりと立ち上がる少女達。白黒二色の神と瞳を持ち、全く正規の感じられない肌をした少女達。彼女たちは持っていたキノコを齧ると、その目がぐるぐるとまわり虚ろだった目がさらに焦点があわなくなる。
そのまま両手を前に出し蕈娘に迫る少女達。その動きはまるで獲物を求めるゾンビを彷彿とさせる。
当然である。彼女たちこそが『暗黒料理異形象形拳伝承者『遍喰らい』』。料理と捕食の拳法を使い、キョンシーとなった今それで目の前の者全てを喰らわんとする生ける屍たち。
キノコを主食とする彼女たちにとっては、期せずして薬漬けにされた猟兵はさぞかしおいしそうに見えることだろう。
ここで餌食になるわけにはいかない。心身を確かに保ち、この大食いキョンシーたちを退けるのだ!
オラン・ノガラルト
(胸状態のまま)
ぽよんっぽよんっ(敵影を確認。戦闘行動を開始…敵の興奮状態を確認。それだけ当機がおいしそうに…)(囲まれ興味津々に掴まれる)
ぽよっ!?ぷるぷるぷる…(分析している場合ではなかった…かも…あっ、ちょっと、おやめください…当機のパーツを口に含むのは誤飲、窒息の危険が…あっ、ああ…!)(胸だけになり感覚過敏になっているところを突起にむしゃぶりつかれて、噴出する液体を吸い尽くされ…しなしな垂れたペラペラになるまでになる)
ひらん、ひら…ぷくーっ!!(うぅ…隙を見せましたね…!ここでこそユーベルコード、まとめて圧し潰してあげます…!)(張りを取り戻し、数十倍の巨大な胸となりプレス攻撃)
ゆっくりと立ち上がり、猟兵と仙人蕈娘に迫るキョンシー集団『暗黒料理異形象形拳伝承者『遍喰らい』』たち。彼女たちを突き動かすのは、『おいしいものを食べたい』という欲求。かつては己が拳法を究めるために必要であっただろうその欲求も、今となってはただ際限なく湧き上がる満たされることなき渇望となりその死した体を動かす原動力となっていた。
そしてその欲望は、まず一つの『果実』に向けられていた。
「ぽよんっぽよんっ」
勢いよく跳ねるそれは、まごうことなき二つの巨大な乳房。他の部位は一切なく、ただ繋がった二つの肉玉がそこにあるだけ。いかにも柔らかく跳ねまわるその存在を不思議がる前に、遍喰らいたちはその柔らかさに誘われ両手を伸ばしそれに近づいていった。
(敵影を確認。戦闘行動を開始…敵の興奮状態を確認。それだけ当機がおいしそうに……)
その肉球は、オラン・ノガラルト(超絶変形軟質機械・f30838)の乳房であり、そこを残して他の部位が焼失した彼女自身であった。
その乳房化したオランを取り囲み、遍喰らいたちは無遠慮に持ち上げ、揉みしだき、引っ張りと感触を確かめる。
「お肉だよ。これお肉だよ」
「どう食べる? どう食べる?」
「ぽよっ!? ぷるぷるぷる……」
流石の遍喰らいたちも乳房単品は食べたことがない。手の中でぷるぷる震えるそれをしばらく弄り回していたが、やがてそのうちの一人がそこについた突起を見つけ、そこに口を付けた。
「わかった、わかったよ。これ搾って食べるのがいいよ」
(分析している場合ではなかった……かも……あっ、ちょっと、おやめください…当機のパーツを口に含むのは誤飲、窒息の危険が……あっ、ああ……!)
そこから出る甘く濃厚な中身。これは中身を搾りだすのがいいと判断した遍喰らいたちは二つの突起にむしゃぶりつき、その中身を回し飲みする。その味わいにすっかり彼女たちは夢中になり、薬がなければ肉のない蕈娘は完全にほったらかしだ。
護衛対象から敵の意識を反らすと言う点では大成功だが、その分オランの中身は激しく吸われていく。感覚過敏な胸は吸われるほどに中身を噴き出し、何度も痙攣しながらやがてすっかりその中が吸い尽くされたかの如くペラペラになってしまった。
「ごちそうさまだよ。さて、次は……」
抜け殻のようになったオランを捨て、今気づいたと言わんばかりに蕈娘に群がろうとする遍喰らいたち。全員がもうオランには興味を失くし、その背を向けたその時。
「ひらん、ひら……ぷくーっ!!」
投げ捨てられたオランが、突如として丸みを取り戻し膨れ上がった。そのサイズは元々豊かだったオランの胸のさらに数十倍。最早超乳という言葉すら生温いそのサイズは洞窟いっぱいに広がり、そのまま遍喰らいたちへと迫っていった。
(うぅ……隙を見せましたね…! ここでこそユーベルコード、まとめて圧し潰してあげます……!)
【インフレーション・ガード】の力で膨れ上がったオランが、恐るべき速さで遍喰らいたちへと迫る。その肉に埋まった遍喰らいたちは噛み切ってくれようとその肌に歯を突き立てるが、一見風船のように見えるその肌はいくら力を入れても噛み切れない。
「なによ、これ。空気で膨らんでるだけよ」
「中身肉汁じゃないのね、これ偽物よ、悪質よ!」
勝手なことを言いながらもその乳房に噛みつき続ける遍喰らい。だが、噛まれる感触に震えながらもその乳はより大きくなっていく。
(この乳は例え針でも破れません! でも、もしかしたらここから……)
ふるふる震えるオランの『噴出孔』。そこにも空気が溜まりぱんぱんになっており、感覚もそれ相応に鋭敏化している。今の体だとユーベルコード解除時はここからしか空気は出ていけない。もしその時が来たら……それを想像し、オランは洞窟にみっちり詰まって震えるのであった。
大成功
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鮫兎・醒闇
「えっ?敵?というかぎっちぎちで動けないしまだ膨らみ続けているし……」(ぶよんぶよん暴れる肉塊)
動けないのをいいことに、色んなところに嚙みつかれて吸われて捕食されちゃうかもね?その刺激で薬の効果が倍増していろいろ噴出しちゃいそうで……こうなったらユーベルコード【暴飲暴食グラトニーモード】を発動!さらなる肉塊化を引き換えにお肉で押しつぶしたり、暴走するカロリーを捕食させて遍喰らいちゃん達も太らせちゃいましょう!
蕈娘ちゃんに「授乳期のお母さんの悩みを解決する薬」的なアレでなんやかんや補助してもらうわ!……戦闘後も止まらなくなるかもしれないけど!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・状態:前章の状態継続+章間で経過した時間分加算
・アド/絡◎
■行動
彼方が目的の茸ですかぁ。
何とか頑張ってみましょう。
とは言え、『FAS』と『FBS』で移動してきた体型の現状、且つ『洞窟内』という環境も考えますと、この手が良いですかねぇ?
『FMS』のバリアを前面に展開し防護、その後方から『FRS』『FSS』で[砲撃]を行いますぅ。
そして【剥活】を発動、『領域』を展開しましょう。
皆さん凄まじく『豊満』な状態になっておりましたから、『領域』の範囲と威力は極めて強力ですぅ。
彼女達のエネルギーを吸収しつつ此方を強化し叩きますねぇ。
まあ、この状態で大量吸収する以上、体型面は相応のことになるのですが。
全会原・タイガ
アドリブ・絡みOK ※薬の効果持続中
何とか動けるけど視界がほぼ肉で埋まっちまってるな……
敵のやつらに今のオレはさぞ美味そうに見えてやがるんだろうな。
まともに戦ったら好き勝手にされちまうかもしれねぇ……
こうなったらUCであいつらをオレと同じようにしてやらぁ!
…ってこの狭い洞窟で全員オレみたいになっちまったらヤバイんじゃねーか!?
突然現れた謎の肉玉に何人かの仲間が潰されてしまったが、おいしいものが外から来たことを理解した遍喰らい。ならば久方ぶりに洞窟の外へ出ておいしいものを探しに行こうと、前へ向かって進軍を始めた。
それに捕まらないよう入口に向かって逃げ出す蕈娘。だが、その逃亡はすぐに何か柔らかいものに当たって止まることとなった。
「あ、そういえば……」
彼女がぶつかったもの、それは洞窟の入口をみっちり詰まって塞ぐ巨大な肉の塊であった。
「えっ? 敵? というかぎっちぎちで動けないしまだ膨らみ続けているし……」
その肉の一部がぶよんぶよん暴れながら声を出した。その主は、鮫兎・醒闇(兎と鮫となんかの触手・f02122)。先に蕈娘の実験で様々な薬を服用し、その上で自分からも色々した彼女はこの洞窟の入口を軽く塞ぐほどの体となってしまっていた。
そのため遍喰らいたちも外を目指すにはこの肉を何とかしなければならないのだが、塞いでいるのが肉ならば彼女たちにとってはむしろ好都合。
「出かける前にこれたべるね」
やはり肉のない蕈娘を捨て置き、醒闇のその肉に一斉にかぶりつき始めた。
「おぉぉぉ! あぁぁ、すごいぃ……お肉がぁ……」
その容赦ないかぶりつきぶりに、醒闇の肉が震える。どこの肉を齧られているのかは分からないがそれによって相当な快感を得ているのか、肉の上部から白い液体が噴き出し、辺りに降り注いだ。
「味付けも来たね。それじゃ全部食べて……」
そう言いながらさらに肉に体を埋めようとしたとき、肉の中からまた別の声が聞こえた。
「彼方が目的の茸ですかぁ。何とか頑張ってみましょう」
そう言いながら褐色の肉をかき分け現れた白い肉。それは時間が立ちさらに質量を増加させた夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)であった。
るこるはそのまま移動能力を持つ浮遊兵装を自分の体に着け、その巨体を移動させる。傍から見れば巨大な肉壁から一部が剥がれ、動きだしているような状態だ。
その肉の前にバリア型の兵装を展開し、さらにその後ろから砲撃をかけつつ動くるこる。肉の要塞が攻撃しながら動いてくるような状況に、遍喰らいたちは醒闇から口を離して逃げ始めた。
「肉が攻撃してきたよ!」
「肉の癖に抵抗するとか生意気よ。いくよ暗黒料理異形象形拳、春夏秋冬(ひととせ)!」
そのまま醒闇の肉を踏み台にその弾力を利用して大跳躍、バリアを飛び越えながら遍喰らいたちはるこるの肉に噛みかからんとした。それはさながら上から得物を捕食する猛禽の如く。地形を利用し自然の生物の補色を真似るのがこの技の真髄……なのだが、利用したのは一応人体である。まあ技が成功しているので地形化設置物の一つと見なされたのだろう。
ともあれ、兵装の守りを抜かれたるこるの肉に遍喰らいたちがかぶりつく。それに対し、るこるはその肉を武器にすることで答えた。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その法廷の理をここに」
【豊乳女神の加護・剥活】にて、豊満さやダメージに応じた攻撃吸収能力を持つ領域を展開するるこる。この技は一度発動すれば絶対無敵……ということはなく、吸収量を上回る極大ダメージなどがあれば抜かれてしまう可能性もある。
だがそれは、この場にいるものの肉が常識の範囲に収まっていればの話。今この場にある肉は一つでも洞窟を塞いでしまう者が複数。例え遍喰らいの力をもってしても押し切ることは出来ないほどの吸収量を持っていた。
噛みつきが効かないことに焦れ、もう一度肉を蹴って醒闇側へ戻る遍喰らいたち。
「こっちを食べて掘り進むよ!」
醒闇を食べ尽くし活路を開くつもりらしい。そうして大口を開けて目の前の褐色の肉に噛みつく彼女たち。だが、その肉はさっきとは若干違う歯ごたえと共に、また別の声での反応を返した。
「何とか動けるけど視界がほぼ肉で埋まっちまってるな……敵のやつらに今のオレはさぞ美味そうに見えてやがるんだろうな」
この場にいた肉は二人ではない。醒闇、るこるに続く第三の肉、全会原・タイガ(男は度胸!女でも度胸!・f23916)がここに動きだしたのだ。
「まともに戦ったら好き勝手にされちまうかもしれねぇ……こうなったらUCであいつらをオレと同じようにしてやらぁ!」
かぶりつく遍喰らいたちの咬合力は相当なもの。このままでは食い尽くされてしまうのは時間の問題である。ならばどうするか。相手が自由に動けない状況に追い込んでしまえばいいのだ。
「オレが受けた屈辱、テメェらも味わいやがれ!」
タイガの【斗乱子班出蜜苦】によって球体のオーラが周囲に放たれた。タイガに噛みついている遍喰らいたちは当然避けることもできずそのオーラに当たってしまう。そしてその結果。
「はや、はやややや~!?」
遍喰らいたちの体がぶくぶくと膨れ上がり始めた。このオーラの効果は当たった相手にタイガと同じ肉体変化を及ぼすこと。そして今大河にかかっている変化と言えば、言わずもがなである。
「やるじゃない。その通り、体脂肪はパワーよ!」
その膨らみ具合に醒闇の何かが刺激されたか、【暴飲暴食・グラトニーモード】を発動。さらに自分を巨大化させ、膨れ上がる遍喰らいたちを肉で包み始めた。
「さあ蕈娘ちゃん、よろしく!」
「本気ですか!? どうなっても知りませんよ~……」
さらに指示を受けた蕈娘が、何かの薬を辺りに振りまく。それがかかるとともに醒闇、さらにはタイガとるこるからも大量の白い液体が撒き散らされた。
蕈娘が撒いたのは『「授乳期のお母さんの悩みを解決する薬」的なアレ』。戦闘後も止まらなくなるかもしれないが、それを省みるような醒闇ではない。
そしてこの薬でタイガもさらに肉体変化が起こり、それが遍喰らいにも伝播。そしてその影響で肉が膨れその力を吸収することでるこるもパワーアップ。最早放っておいても何もかもが膨れ続ける永久機関状態。
「まあ、この状態で大量吸収する以上、体型面は相応のことになるのですが」
「……ってこの狭い洞窟で全員オレみたいになっちまったらヤバイんじゃねーか!?」
「それはそれで!」
動く肉と動かない肉、膨れ続ける肉に食べようとする肉。何が何やらもう分からないが、とにかく遍喰らいたちが洞窟を脱出するのはもはや不可能だろう。
この肉の狂宴が行きつく先は何処か。それは誰にもわからないのであった。
大成功
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月灘・うる
まだ身体が熱いよ。しかもとれてないし……。
はじめての『男の子』としての快感が抜けきらないまま、
『遍喰らい』を迎え撃とうとしますが、動きは鈍く、
隙をつかれて『男の子』に気を流し込まれてしまいます。
痺れるような快感がぶり返し、そのまま操られると、
腰砕けになって座り込んでしまい……。
とろとろに蕩けた肉がおいしい、と宣言されて、
肉棒を口に含まれ『女の子』のほうも指で奥深くを抉られて、
最後には、媚毒キノコを後ろに入れられてしまいます。
いちど達してしまったら、あとはもう堕ちるまま。
耐え方も解らない快感に、何度も白濁を噴き上げ、
男女の粘液はもちろん、涙も涎も鼻水も垂れ流しながら、
気絶痙攣絶頂してしまいます。
肉が膨れたり乳だけになったりと、とてつもない変化を引き起こしてきた蕈娘の薬。だが、彼女の薬はそう言った作用だけではない。もっと別の部位に内気と共に作用する薬も作っていたのだ。
「まだ身体が熱いよ。しかもとれてないし……」
月灘・うる(salvage of a treasure・f26690)が服用したのもその薬の一種。その効果によって、うるの股間には女性には存在しないはずのものが生え、それがスカートを押し上げその存在を外へ向かって『雄々しく』アピールしていた。
測定としてさんざんに蕈娘に弄り回されたそれは一度限界を迎えていたが、それで治まることはなく未だその固さを保っていた。そして、その時吐き出されたものの匂いは空気の流れない洞窟内に籠って遍喰らいたちを呼び寄せる。
「おいしそうなにおいするよ……」
「精気垂れ流して、もったいないね……」
ゆらゆらと現れる遍喰らいたち。それをうるは迎え撃とうとするが、快感が抜けきらず怒張した股間のものの感覚に支配されその動きは鈍い。
「あっ……はっ……あひぃっ!?」
ふらり、ふらりと動くもその動きはすぐに捕捉され、すぐにその股間の部分を乱暴につかみ取られてしまった。
「これとってもおいしそうね。もっとおいしくしてあげるよ。暗黒料理異形象形拳、前後左右(なかぬき)!」
遍喰らいが掴んだ手からそこに気を流し込む。その気は血流と共にその部分に満ち溢れ、そこを瞬く間に『爆発』させてしまった。
「あひょぉぉぉぉぉっ!?」
奇声を上げ、そこから白濁した大爆発をはなつうる。一射目を超える痺れるような快感にその意識は朦朧とし、下半身の制御権を完全に相手に明け渡してしまった。
腰砕けになって座り込むうるの股間のそれを遍喰らいたちは操作し、それに引っ張り上げられるように強引に立ち上がらせる。さらには気で膨らませ、何度爆発しようと決して萎えることも許さない。
「とろとろに蕩けた肉がおいしいからね、これから下ごしらえね」
そう言って下着をはぎ取り完全にうるの下半身を露出させ、その棒を口に含む遍喰らい。さらにその下にある雌本来の部分にも指を深く差し込み、ゆっくりと中をかき回し始める。
「ひっ、おひっ、うぅぅ……」
びくびくと痙攣するうる。だが、その後ろから別の遍喰らいがその尻の肉を鷲掴みにした。
「こっちに下味もつけるね……それっ」
その言葉と共に、その奥の穴に大きな何か……さっきまで遍喰らいたちが食べていたキノコが捻じ込まれた。それはうるの体内に残っていた薬効と反応し、強力な媚薬効果を齎す。
「ひぃぃぃぃぃぐぅぅぅぅぅぅ!!」
そしてその瞬間、うるの男女は激しく果てた。大量の白濁を遍喰らいの口内に噴き出し、その下からも透明の液を決壊させる。
「あはは、できあがりね。それじゃみんなで、いただきましょー」
そこからは、もう堕ちるまま。遍喰らいたちは代わる代わるうるの股間に群がり口で、手で、自らの穴でその白濁を何度も吐き出させる。そしてそのたびに穴にねじ込まれる指やキノコの数も増えていき、底なしの快楽地獄へうるを叩き落としていく。
耐え方も知らない快感に股間の粘液はもちろん、涙に鼻水に涎とあらゆる液体をぶざまに垂れ流しイキ狂ううる。
「ひぎっ、またイグっ、また、あひぃぃぃぃぃぃぃん!!」
目を裏返らせて舌を突き出し、大股を開けてのけ反りながら気絶痙攣絶頂を決めるうる。
意識を失くしてなお絶頂し続けるその体は、無限に餌を搾りだせる給餌器として遍喰らいたちに弄ばれイカされ続けるのであった。
大成功
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政木・朱鞠
あらら…可愛い女の子に襲われるのは魅力的な状況だけど…ご飯にされちゃうのはお断りだね…。
私の方もお薬で体が火照ってしょうがないから、理性的な作戦はすっ飛ばして容赦なくその武芸と共に邪な心ごと砕き折ってあげるんだよ。
足掻きを受けるお覚悟はよろしくって?
戦闘【SPD】
今は普段と違うハイな気分だけど、ちゃんとターゲットは倒さないとね。
『咎力封じ』を使用して遍喰らいの動きを一瞬でも止めて、それを足掛かりに武器でアタックだよ。
得物は『風狸ノ脛当』をチョイスして、【スライディング】技能を使いバランスを崩して、キック技で【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の合わせで間を置かないダメージを与えたいね。
アドリブ連帯歓迎
諸所の都合で出口も奥への道も塞がれてしまったこの洞窟。ここの住人である遍喰らいたちがこの場を切り抜けるには、最早ここに現れる敵を全て餌にしてしまうしかない。
最もそんな理由がなくても、遍喰らいたちにとってこの洞窟に入り込んできた者は全て自分たちの餌であり、欲を満たすための相手なのである。それ故、今眼前にいる相手に向かうのも、仕方なくではなく自分たちが望んでやっていることであった。
「あらら……可愛い女の子に襲われるのは魅力的な状況だけど……ご飯にされちゃうのはお断りだね……」
政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)は自分に迫る遍喰らいたちを見回し言う。その表情は敵に迫られているにしては余りに妖しく、頬も紅潮し息が荒い。
朱鞠もまた蕈娘の薬の実験に協力し、その結果として興奮状態が収まることなく持続していた。その火照りは理性的な作戦などすっ飛ばし、ただ容赦なく相手の心と武技を砕き折りたい、その衝動となって彼女を突き動かしていた。
「足掻きを受けるお覚悟はよろしくって?」
足を高く上げ構える朱鞠。それを遍喰らいたちは横に広がり、前傾となって獣の如き動きで取り囲んだ。
「その足、焼いて食べちゃうよ。群れで狩りにいくよ、前後左右(なかぬき)!」
号令と共に遍喰らいの一人が朱鞠へ向けて襲い掛かった。低い位置から駆け寄るその動きは狼……あるいは伝承に出てくる魔犬の類を模したものか。その攻撃を、朱鞠は足を振るって迎え撃つ。
「はやっ!?」
早く振りすぎたその蹴りは遍喰らいに届くことはなかったが、代わりに足先から器用に飛ばされた手枷が掴みかからんとしていた遍喰らいの両手を拘束、それに気を取られたところに逆脚からの蹴りが強かに彼女をとらえた。
だが、一人がやられても遍喰らいの攻勢は止まらない。むしろそれを隙としてもう一人が跳躍、大口を開けて飛び掛かり、その首筋の肉を食いちぎらんとした。
「あなたにはこれよ!」
その噛みつきを顔面に手を当て、押し返す。そうして押しのけられた遍喰らいの口には一瞬のうちに頑丈な猿轡が噛まされていた。
やけ気味に顔をもう一度近づけるが、当然それで噛みつきなどできるわけでもなく、そのままもう一度突き飛ばされる遍喰らい。そして今度は複数がその動きに合わせて囲んだ状態から飛び掛かりをかけ、反応の暇を与えぬかの如くに畳みかけてきた。
「まだまだ!」
それに対しては手を広げくるりと一回転して応える朱鞠。その手には丈夫なロープがいつの間にか握られており、朱鞠の開店に合わせて横薙ぎにされて飛び掛かる遍喰らいたちの体をそこに引っ掛けた。
勢いの乗っていた突進を崩され、思わずその場に倒れる遍喰らいたち。長いロープがそこに絡まり、即座に立ちあがっての反撃も封じる。【咎力封じ】の拘束具が獣の狩りの如く波状に襲い掛かる遍喰らいたちを足止めし、自身に食らいつくことを防いでいた。
「これじゃまだけど……私達の技はこれくらいじゃ参らないよ!」
全てを一人に命中させたわけではない故に敵のユーベルコードは封じられていない。口を塞がれた者は爪を、手を縛られた者は牙をむいて再度の攻撃にかからんとする。しかし、その切り替えのための一瞬こそが、朱鞠が拘束具を複数相手に投げつけ動きを封じて得ようとしたものであった。
「今は普段と違うハイな気分だけど、ちゃんとターゲットは倒さないとね」
跳ぼうとした手を封じられたもの、その足元を、超高速のスライディングが刈り取った。それは間違いなくその重心を崩し、前のめりに彼女の体を倒れさせる。さらに『風狸ノ脛当』で強化された跳躍力が朱鞠の体を低い位置から一気に高く跳ね上げさせ、その勢いで下から抉るように遍喰らいの胴を抉った。
とっさに防御のためにおろした縛られた手を軽々弾き飛ばし、その足は相手の顎を鋭く撃ち抜く。蹴り飛ばされた遍喰らいは後ろ側に大きく飛んでいき、着地と共にその体が分解されるように塵になって消滅した。
「次はそっちよ……もっと興奮させて?」
それを確認する間もなく、飛び上がった朱鞠が洞窟の天井を蹴り、爪を立てていた猿轡の遍喰らいを襲う。爪を振るってそれを切り裂こうとする遍喰らいだが、その手は相手を切ることも、自分を守ることすらできずに弾丸の如き速さの朱鞠の体に弾かれ、そのまま自身の体へ彼女の肢体が直撃することを許してしまった。
ユーベルコードの拘束具を足掛かりとした、一瞬の隙をこじ開けていく高速戦闘。異形の捕食拳法の顎を引き裂くその動きは、まるで薬での昂りを戦いで発散していくかの様でもある。
相手の守りを無視するかの如き間を置かない連撃は、体の火照りを存分に発散させると同時に別の高揚へと染めていく。
「蕈娘ちゃん、こういう風な使い方もできるみたいね?」
その最初の昂りを起こした薬師に、朱鞠は戦う者としての気の爆発を艶やかに見せつけるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ベアトリス・ミラー
【トゥットファーレ】
アドリブOK
四人共、身体は元に戻らず性欲は収まらずに再び蕈娘を巻き込んで。
赤い鎧に盾と槍を持った女神、アテナを呼び出す。
「勝利をあなたに」
結界術を用いた防御メインでカウンターによる槍撃を繰り出す。
「恐れおののきなさい!」
属性攻撃による炎風を巻き起こす。
「隙を作る為に言ったにすぎません」
前回の邪神の言葉を考えるネハンに集中するように促す。
無目的に未来を捨てる様な戦いは良しとしないが。
(死合いに次は無い、ということでしょう。敗北の許されない戦となれば)
エルーゼ・フーシェン
【トゥットファーレ】
アドリブOK
呼び出されたクロタが代わりに戦闘を行う。
「死人が相手か。まあいいわ」
紅い光剣を作り出し対処する。
受け流しつつカウンターで斬り、属性攻撃による火炎で燃やす。
「考え事?」
アテナに対して問いかける。
「ああ、理由ね。いらないというか自然じゃない?」
動物が縄張り護るのと同じだろうと話す。
「侵攻する相手を迎え撃つだけでしょ」
再び構える。
「ま、こいつらを裏切る真似はしないとだけは言っておくわ。生半可な覚悟じゃあんなことしないわ」
先の邪神に怒りを見せたりする。
アリス・スラクシナ
【トゥットファーレ】
アドリブOK
モノは縮みはしてるが大きい事には変わりなく。
エイルを呼び出して戦わせる。
「邪魔」
刀を用いり早業とダッシュによる斬撃で斬りつける。
残像を残し、属性攻撃による氷刃で攻める。
「……あの時のね」
戦いながらアテナたちと戦う理由を話す。
「……硬い上に破壊力まであって有利にはなってた。認知を変える必要があるのが副作用と言える」
一呼吸からの居合を繰り出す。
あのクッキーに関しては思うところがあるが否定できないと話す。
「戦争となれば短期戦で終わらせないと疲弊が進む。あのクッキーは疲弊を起こさなかった」
改良すれば長期戦向けの物になると見ていた。
藤宮・華澄
【トゥットファーレ】
アドリブOK
同じく戦えない為にラヴェンツァが代わりに闘う事に。
「前もこんな感じになったことが」
クロタ、エイル共々経験あるため前と同じ様にアシストに回る。
「あんな事になった理由ですか?それは」
戦闘の中でもネハンやアテナに護ってもらいながら能力を上げつつ理由を話す。
「皆様、弟の様に見てましたから。特にマスターは……」
心に深い傷を負ったのが理由だろうと話す。
「他にどんな副作用がまだわからなくて」
効果に関しては分かってはいる。副作用がまだ分からないと話す。
ジェイク・リー
【トゥットファーレ】
アドリブOK
「無目的に未来を捨てる、か」
別ルートで合流し、ラヴェンツァ達と共闘。
「少なくとも、デーモンコア弄るよりマシだろ」
終末を齎す終極の竜、オメガ・バハムートの力を扱う以上、危険性は知っている。
「俺の目には無目的には見えなかった。何かを護る為に必死に抗う様に見えた」
今の状態はスルーし、終極の竜器をダークブルーのエネルギー体の剣に六本形成して展開、話を聞く。
「なるほど、意志を継いで明日を捨てる覚悟で邪神と相対したかそれとも」
心の闇か。
「あれ以上の副作用は無いと思うが」
完全に羞恥心等がなくなるわけでもないのは分かっている。
「強いて言うなら……服の代金くらい?」
洞窟の中で蕈娘の実験を受けた猟兵たちの中には、まだ薬の効果が抜けきらない者もいた。時にその中には薬を調合した蕈娘本人も混ざっている。だが、そう言った者たちにも遍喰らいは容赦なく襲い掛かる。
「あ、あれ、何か来ますよ……ひぃぃ❤」
股間に巨大な『茸』を付けた集団に取り込まれながら敵襲を確認するが、自身もそこから『胞子』を撒き散らして震えるばかりで抵抗は出来ない状態。地面に飛び散った大量の白いものをなめとってその味を確かめた遍喰らいたちは、その発生源を直接貪ろうと大口を開けて噛みかかる。
その牙が誰かの巨大な肉に届かんとした瞬間、紅い光の刃がその顔をなぎ払った。
「死人が相手か。まあいいわ」
面倒そうにそう呟くその刃の主は猟兵……ではない。エルーゼ・フーシェン(踊り子・f13445)が召喚した邪神クロタである。やはり薬効を貪る肉の群れの中にいる彼女は、自ら戦えないとしてクロタを召喚し対処に当たらせていた。
紅い刃からは炎が巻き起こり、さらに他にも同様の役目を折った者が次々と現れる。
「邪魔」
続けて遍喰らいたちを高速の氷刃で切り裂き、凍てつかせながら駆け抜ける者。こちらはアリス・スラクシナ(邪神の仔・f21329)が呼び出したエイルである。
「前もこんな感じになったことが」
その後ろから援護をかけるのは藤宮・華澄(戦医師・f17614)が召喚したラヴェンツァ。以前に召喚主たちが同様の状態になったことがあり、その時も自分たちが代わりに戦ったことを思い出しながら彼女も戦列に加わった。
「勝利をあなたに」
ベアトリス・ミラー(クリエイター・f30743)に呼び出されたアテナもこの状況にそこまで困惑することもなく、結界を張りながらその要となるかのごとく槍を構え、後ろには通さぬという堅守の構えを見せる。
そうして遍喰らいたちを押し返す呼び出された者たち。だがその中に一人、召喚されたのではないものも混ざっていた。
「無目的に未来を捨てる、か」
そう言いながら戦列に加わるのはジェイク・リー(終極の竜器使い・f24231)……今はネハンと呼ばれている男。
彼は遍喰らいと戦いながらも、その目は何か別のものを見ているようでもあった。
「……あの時のね」
エイルはその呟きに心当たりがあるのだろう、何かを思い出すような眼をして答える。
「俺の目には無目的には見えなかった。何かを護る為に必死に抗う様に見えた」
自身の使う終末を齎す終極の竜、オメガ・バハムートの力。それを扱うが故に強力な力を使うときに伴う危険性の事は分かっている。
「少なくとも、デーモンコア弄るよりマシだろ」
「……硬い上に破壊力まであって有利にはなってた。認知を変える必要があるのが副作用と言える」
だから、その危険性を飲んだうえでその力があったのだろう。エイルはそう考えを述べながら、一呼吸に居合切りを繰り出して遍喰らいの一体を切り裂いた。
「あんな事になった理由ですか? それは」
だがそもそもなぜそんな危険な力に手を染めたのか。それに関してはラヴェンツァに心当たりがあった。
「皆様、弟の様に見てましたから。特にマスターは……」
心に深い傷を負ったのが理由だろうと話す。ある男がいなくなったのがきっかけであり、中でもその男に特別な感情を抱いていた華澄の傷はとりわけ深い。それ故にその一件の発端ともなるようなことになったのだろうと。
「なるほど、意志を継いで明日を捨てる覚悟で邪神と相対したかそれとも」
心の闇かとそれを聞くネハン。彼がその男の具体的な名を聞こうとしないのはただの偶然か、あるいは。
だが、相手の干渉など知ったことではないとばかりに敵は次々と攻めかかってくる。考えに沈めば反応は遅れ、間合いの仲間での接近も許してしまう。
「恐れおののきなさい!」
その迫る群れを、アテナが炎風の壁を押しだすことで押し返していく。だが彼女とて何も思わぬことがないわけではない。
「考え事?」
クロタもその様子に思う所あるのか周りに問いかけてみる。そうすれば返ってくるのは、先に戦った敵である邪神から言われた言葉の意味。
「隙を作る為に言ったにすぎません」
その言葉は力の代償、それがあまりにも大きすぎることへの警告……というより揶揄か罵倒のようなもの。その際戦った相手は敵を否定しその息を挫くことを得意としていたため、そのようなものだろうとアテナは考える。
「ああ、理由ね。いらないというか自然じゃない?」
動物が縄張りを護るのと同じだろうと話すクロタ。力を得る理由など、そもそも深いものでなくともいい。今この場で倒され、命含めすべてを奪われてしまえば先がどうなどという話は一切意味をなさなくなるのだ。
(死合いに次は無い、ということでしょう。敗北の許されない戦となれば)
無目的に未来を捨てることを良しとはしないが、未来とは所詮今の続きである。今で終わってしまえばそれを考える必要すらなくなってしまうのだ。アテナはその考えと共に、今この戦いに対して集中力を欠かぬ様にとネハン、そして仲間たちに注意を促す。
「侵攻する相手を迎え撃つだけでしょ」
そしてクロタの姿勢はより分かりやすい。そこまで小難しく考える必要はない事だろう。クロタはその様な意思を持って武器を再び構えた。その姿勢は相手に対し興味がない、あるいは仲間意識が薄いとすら取られそうなものではあるが。
「ま、こいつらを裏切る真似はしないとだけは言っておくわ。生半可な覚悟じゃあんなことしないわ」
それを否定するかのごとく、再びクロタは戦列に加わる。その中には件の邪神に対する明確な怒りが込められていた。
「他にどんな副作用がまだわからなくて」
ラヴェンツァが言うのは、その力そのものが未だに使う側にとっても未知数の部分が多いということ。特に薬物系の能力は、何がしかの形で臨床試験を行わなければ効果を見極めることは出来ない。今まさに自身の召喚主たちや蕈娘がその身をもって実証していることだ。
正の効果に関してはそこを目指して開発するのだからわかりやすいものの、副作用については何がどれほど出るのかどうしても未知の部分になりやすい。結果としてあのような状況となってしまったが、それでも今なお全てが分かったとは言い難いのだ。
「戦争となれば短期戦で終わらせないと疲弊が進む。あのクッキーは疲弊を起こさなかった」
いわゆる体力や生命力を前借したような反作用、少なくともそれはなかった。改良すれば長期戦向けの物になると見ていたエイルは、それがそこまで危険すぎるものではないと考える。
「あれ以上の副作用は無いと思うが」
完全に羞恥心等がなくなるわけでもないのは分かっているし、流石にもっとひどいことになるなら開発段階で分かるし実戦投入自体を諦めているだろう。蕈娘の様に実戦経験が乏しく戦いに関しての想定が甘い者ならともかく、その開発者は歴戦の猟兵、戦いにおけるリスクマネジメントを完全に無視するような者ではないはずだ。
「強いて言うなら……服の代金くらい?」
そう言っては見るが、ある種それに関しては薬関係なく必要コストの範囲内かもしれない。なにしろ、今後ろで巨大な肉茸をそそり立たせて絡み合っている塊となった彼女たちも、それによって下の着衣はほとんど破り去られているのだから。
先に何が起こるか、結局のところ確かなことは何も言えない。だが、薬が深くかかわるこの一件の先に何か得られるものがあるかもしれない。そう思いながら、ネハンと呼ばれしものたちは薬に乱れ狂う召喚主を後ろに背負い戦うのであった。
大成功
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第3章 集団戦
『咎忍『冬虫夏草』』
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POW : 忍法・夜の声
見えない【胞子】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
SPD : 忍法・影胞子
自身の【菌糸の生産量】を代償に、1〜12体の【キノコ人間】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
WIZ : 忍法・迷ヒ魔譚郷(まよいまたんごう)
戦場全体に、【粘菌】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
👑11
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戦いの果て、遍喰らいたちは全てその場に倒れ動かなくなった。だが、その骸は消滅することはなく、それどころかびくびくと痙攣まで始める。
警戒する猟兵の前でその体から無数のキノコが生え、それはそのまま急成長を始める。やがて人間ほどの大きさになった茸は遍喰らいから離れ、そのまま自立して移動を始めた。
「我は……我らは……忍びの奥義、極めたり……」
柄の部分を何股かに分け、手や足の様な形にしてそれを使い動き回るキノコたち。一部のキノコはどこから取り出したのか煙管を咥え怪しい色の煙を噴き出している。そしてキノコの離れた遍喰らいを見れば、まるで栄養を吸い尽くされたかのように干からび、そのまま今度こそ消滅していった。
「我が極めし粘菌術……我は我らとなりてしかして我なり……我は、我らが名は……」
うわごとのように言いながら迫る化けキノコの集団。彼ら、いや彼こそが忍術の研究の果て外道に落ち、自らの名も忘れ個であることすら捨てた者『咎忍『冬虫夏草』』。個人であることを止めたかの如くキノコたちは胞子を撒き、それが付着した場所から新たな己を発生させていく。
その異形を見た蕈娘は、まるで宝を見つけたかの如く目を輝かせる。
「あのキノコ……薬的成分と修行にて得られる秘奥の合わさった最高の素材! あれさえ手に入れば……皆さん、お願いします!」
彼女は気づいているのだろうか、あのキノコが自身と似たような思想の果てに異形と化した存在であるということを。
だがどうあれ、危険なオブリビオンであるあのキノコたちをこのまま放っておくわけにはいかない。
猟兵よ、道を誤った求道者に最期を与えるのだ!
赤嶺・ふたば
アレを倒せば良いのか?こちらとしても変身魔法の研究のサンプルとして興味があるし俄然興味が出てくるもんだな。
遠距離にいるのは「爆発魔法制圧射撃」で近距離では火炎魔法で焼き払ってやる。バーベキュートゥナイ!?ってね。あと、なにか異常があったり傷ついた人がいたらユーベルコードで作ったFSR(ファーストストライクレーション)配っておこう
(キノコに姿を変えられる展開を希望したいです)
(アドリブ、絡みOKです)
標的を見つけたとばかりに迫りくるキノコの怪人、冬虫夏草たち。何か似た臭いをかぎ取ったのかその手の如き柄を蕈娘に伸ばしたとき、新たな猟兵が洞窟の中に転移されてきた。
「アレを倒せば良いのか? こちらとしても変身魔法の研究のサンプルとして興味があるし俄然興味が出てくるもんだな」
蕈娘と冬虫夏草の間に割り込みながら、赤嶺・ふたば(銃と魔法が好きな傭兵魔術師・f15765)が敵の集団に向かい合う。突如現れた新たな外敵に冬虫夏草たちは一旦距離を取るが、キノコとしての本能か胞子を散らしながら改めてふたばに迫りだした。
「おっと、そう来るつもりかな? けど、自分には……これがある! 火力集中だ!」
迫りくる冬虫夏草の集団を、ふたばは【爆発魔法制圧射撃】で迎え撃った。迫撃砲並みの威力を持つ370本の爆発属性の魔法弾が洞窟内で炸裂し、狭い洞内に轟音を反響させる。
見た目通り火に弱いのか冬虫夏草たちは爆炎の中でのたうち回り何体も倒れていくが、一部の個体は自身に生えたキノコの火のついた部分だけを削ぎ落し、そのままふたばに迫ってくる。
「まだまだ、バーベキュートゥナイ!? ってね」
しかしそれに対しても、近距離で火炎魔法を放って直接攻撃し押し返すふたば。遠近双方に使い分けられた炎技の前には粘菌転写による多重分身も間に合わず、冬虫夏草たちは纏めて焼き払われて行った。
しばらくして、冬虫夏草たちが燃え尽きて炎も消え、後には一旦静寂が戻る。
「さて、とりあえず片付いたみたいだけど……大丈夫?」
「ええ、まあ……はい」
蕈娘に声をかけてみると、怪我がないことは確認できるも疲労の色が見て取れる。それなら少し休憩してはと、【ファーストストライクレーション】で手早く携帯食料を調理、蕈娘に手渡した。見たことのない材料から作られた料理を、蕈娘は不思議そうに見る。
「ああ、これが珍しいんだね。これはこうやって……」
その様子を見て、食べ方の見本を見せようとまず自分から口にするふたば。だがその料理の味は、ふたばが想定していたものとはだいぶ違う痺れるような刺激を下に伝えてきた。
「あれ……?」
そのまま手が痙攣し、持っていた料理を落としてしまう。何事かと手袋を外し手を見ると、その手の色が妙に白い。
否、肌が白いのではない。肌自体が見慣れぬ素材に代わっているのだ。さらに全身を確かめようとすると、露出した足も同じ素材に代わっている。動かぬ手で何とかそれを触ってみれば、妙に柔らかく弾力のある触感だ。
「あ、頭……」
さらに震える声で蕈娘が自分の頭部を指さしている。もはや手の自由も大分なくなり確認することもできなくなっていたが、それを察した蕈娘が八卦鏡を自分に向けてきた。そこに映っていたのは。
「え、これ……キノコ……?」
冬虫夏草たちによくにたキノコの傘。色はふたばの髪色と同じ緑色で、その髪形を模すように縦に長く伸びているが、中には白い斑点が浮かび材質は紛れもなく菌糸の塊。
「あ……も……だめ……自分の……自分て……誰、だっけ……?」
それを意識した途端、いっきにふたばの体の自由が利かなくなる。ここにふたばは皮膚は柄、髪を傘としたキノコに元のままの服だけが着せられた異様な姿と化した。
こうなった原因は二連続でユーベルコードを放ったことにより調理が完璧に行かず、周囲に散った胞子が付着したままの料理となってしまったことだが、それを知る術はもうない。
そしてふたば自身が散らした胞子が洞窟に付着、そこから新たな冬虫夏草が生えてくる。
「汝は我らにして我らは我。粘菌ある限り我は汝より我らと出でる」
そのまま物言わぬキノコとなったふたばを洞窟奥へ持ち去る冬虫夏草の一体。そのままキノコの種として使われるのだろうか。それについては、仙人の秘術をもってしても見通せぬものであった。
成功
🔵🔵🔴
鮫兎・醒闇
「……むぐむぐむむむー!」(肉すぎて声が出せない兎肉塊)
あれからずっと太り続けているのにまだ止まらないわねあははは!
しかも茸の胞子と薬やら体液やらがなんやかんやして怪しい煙が発生してるわね!やばたにえん!
ここで私の新技よ!【暴食魔神化】発動!周囲のカロリーやるこるちゃんやタイガちゃん達の肉や体液を贅肉の型で全吸収の呼吸!肉世界の神に私はなる!(一瞬で超肥大&巨大化するバニー)
洞窟が崩れても飛んで脱出できるし超肥育光線を乱射して敵を肥やして撃滅よ!……蕈娘ちゃんに流れ球がいかないようにね!(フラグ
全会原・タイガ
アドリブ・絡みOK ※肥大化継続中
UCが勝手に発動して体がもっと膨らんで、
しかも薬との相乗効果でさらに大きくなって……
もうどうにでもなれ!この肉で全部潰してやる!【重量攻撃】
体の膨張も胸から出るアレもしばらくは止まりそうにねぇか……?
夢ヶ枝・るこる
■方針
・状態:前章の状態継続+章間で経過した時間分加算
・アド/絡◎
■行動
成程、厄介ですが薬効は強そうですねぇ。
今の私や皆の状態に敵方の数を合わせますと、この手が良いでしょう。
『FRS』『FSS』の弾頭を「収束レーザー」に換装、素材確保の為焼尽くさない様注意した上で【慾禱理】を発動しますねぇ。
『豊満さ』の強化により全員の『豊満さ』の合計と同程度まで色々と膨らむ代わり、身体能力と攻撃回数をそれに比例して増やせますし、『胞子』の影響で更に増量したら、その分が強化に加わりますぅ。
後は『FMS』のバリアと『FGS』の重力でガードしつつ、『FBS』による斬撃と『FRS』『FSS』の[砲撃]で叩きましょう。
洞窟の中、侵入者を捕らえようと動く冬虫夏草たち。一方で蕈娘も相手が目的のキノコとあってどうにかして相手を倒し、持ち帰れないかと様子を窺っている。
「これはちょっと……一人では難しいかもですね。それでは……!」
冬虫夏草と向き合った蕈娘は、突如踵を返し入口方向へと逃げだした。冬虫夏草は手を伸ばしそれを追うが、蕈娘も脇目も降らず一目散にかけていく。
やがて入口近くまで戻る蕈娘。だがその場所は、外の光が差し込むはずの場所にしては洞窟内と同じくらいに薄暗い。
それもそのはず、入り口部分は巨大な何かによってぴったりと塞がれていた。だが蕈娘はまるでそれが分かっていたかのようにまるで慌てる様子はなく、それどころか目的達成と言わんばかりの笑顔を浮かべていた。
「それでは皆さん、よろしくお願いします!」
その入口を塞ぐ黒白2:1比率のものに声をかける蕈娘。それに答えるかの様に、その何かがもぞもぞと蠢きだした。
「……むぐむぐむむむー!」
ゆさゆさと揺れながらくぐもった音……もとい声を上げるそれ。その正体は極限まで膨らみ切った鮫兎・醒闇(兎と鮫となんかの触手・f02122)の肉体であった。最早何もかもが肉で押し潰され、まともに声すらも出せなくなっているのだ。
「成程、厄介ですが薬効は強そうですねぇ」
一方で白い部分からは普通に声が上がる。こちらは夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の肥大した肉だ。比較的自由に動ける……少なくとも自由に喋れるるこるは、蕈娘の依頼に答えユーベルコードを発動する。
「大いなる豊饒の女神、その理を顕さんが為、使徒に更なる恵みをお与え下さい」
【豊乳女神の加護・慾禱理】で自己強化を図り、その強化された力で浮遊兵装たちを操り攻撃をかけるるこる。レーザー化した射撃兵装たちが一斉に攻撃をかけるが、そのレーザーの収束率は凄まじく当たった部分はまるで鋭い刃が当たったかの如く綺麗に焼き切れ、一方で傘部分は延焼を受けることなく留め置かれた胞子一粒すら漏れることなく切り落とされる。
この精密極まりない動作はユーベルコードによる自己強化が極めて高いレベルにあると言うことの現れであり、その理由は強化の条件にあった。
何しろ強化条件は仲間の豊満さ。そしてここにいる仲間は全て豊満……と呼んでいいのかどうかためらわれるほどの肉体。その強化率はいかばかりか。
さらにはもう一つの効果として、自身の肉もその豊満さの合計値まで膨らむ効果がある。自身の豊満さ故そのサイズを直接強化に乗せることは出来ないが、ここではまた別の影響が。
「か、からだが大きくなって……きゃぁ!?」
黒い肉の方からまた別の声が聞こえ、その肉の半分くらいが大きく膨らみだした。その肉は全会原・タイガ(男は度胸!女でも度胸!・f23916)。彼女もまた超肥大を繰り返し、この洞窟の入口を塞いでしまった肉の一つだ。
るこるや醒闇と違い自ら望んで膨らんでいるわけではないが、その膨張率は全く二人に引けを取らない。そして望んでいないと言うことはそれに対する羞恥心もそれ相応にあるというわけで、羞恥を切っ掛けに勝手に発動する【義岩貞津苦母泥】の発動条件には全く持って困ることはなかった。
その上タイガに限らず、彼女たちはここに詰まる前から蕈娘の薬を服用、その効果は薬師である蕈娘すら予想もつかぬ反応を起こし、豊満肥大化を加速させていた。それで膨れてまた恥ずかしくなり、それに薬が反応してまた膨れる。その繰り返しでタイガはとめどなく肥大をこの場で繰り返していたのだ。
もちろん肥大し続けているのは他の猟兵も同じ。
(あれからずっと太り続けているのにまだ止まらないわねあははは! しかも茸の胞子と薬やら体液やらがなんやかんやして怪しい煙が発生してるわね! やばたにえん!)
最早声も出せなくなった醒闇も心の中でそう考えているが、その思考に焦りや緊迫感はまるでない。むしろこの状況を楽しみここからどうしてくれようか、そんなことすら楽しんでいるかのようにも見える。そんな醒闇に恐ろしい……もとい素晴らしいアイデアがひらめいた。
(ここで私の新技よ! 【暴食魔神化】発動! 周囲のカロリーやるこるちゃんやタイガちゃん達の肉や体液を贅肉の型で全吸収の呼吸!肉世界の神に私はなる!)
醒闇の新技【暴食魔神化】、それは周囲の肉を吸収し超巨大化し肥育ビームを撒き散らすという大技。その技の発動によって今まで三人分だった肉が醒闇一つにまとまり、一気にその体を肥大化させた。
そして吸収したと言うことは他二人の体型は元に戻る……のだが。
「もうどうにでもなれ! この肉で全部潰してやる!」
何の因果か、その瞬間同時にタイガは覚悟を決め、肥大を受け入れその肉で冬虫夏草たちを押し潰しにかかっていた。一瞬醒闇に吸収された肉がまた元の姿に戻り、そのままキノコたちにのしかかっていくタイガ。
そしてるこるも、自身のユーベルコードを解除したわけではなく戻った体形はユーベルコードが発動している限りその代償として膨れ上がり続ける。その上醒闇がとてつもなく膨らんでいることで兵装たちの動きはさらに増し、重力固定や敵の切断、侵攻を防ぐバリアと複数の兵装が極めて高いレベルで動き続けている。
そんな二人の戻った肉は、当然のように醒闇に再度吸収、そしてまたすぐに復活する。
最早カードゲームか何かの無限コンボの様な肉のループ。だがゲームならばゲームセットで止まりはするが、敵の行動が誘発条件になっていないこの肉コンボは敵を殲滅しようと止まることはない。
「体の膨張も胸から出るアレもしばらくは止まりそうにねぇか……?」
「そうですねぇ……あっ」
タイガが不安そうにつぶやき白いものを散らし、それがかかったるこるも同様に白いものを噴き出し始める。もちろんそれも醒闇に吸収されるわけで。
(洞窟が崩れても飛んで脱出できるし超肥育光線を乱射して敵を肥やして撃滅よ!……蕈娘ちゃんに流れ球がいかないようにね!)
何が起ころうと自分の肉で何とかなるという自信の元さらに膨れ上がり、協力者である蕈娘の戦利品を増やすべく冬虫夏草に向けても肥育光線を放つ醒闇。だが顔も膨れ上がり視界も狭まった状態で乱射した光線の狙いがまともに定まるはずもなく。
「あやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
案の定キノコ共々肥大する蕈娘。そして味方がこうなったことでるこるの強化条件も満たし、敵が大きくなったことでタイガの戦闘用肉も膨れ上がる。もちろんそれも醒闇は吸収しさらに膨れそしてまた……
最早行きつくところも落としどころも分からないこの肉の狂乱。その果てに何がありどうなるのか……その答えは肉の海の中に沈むのであった。
大成功
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月灘・うる
アドリブ歓迎・NGなし、ハード希望
儲け話のためには、あれを捕まえないといけないのかな?
なら……ピンクの記憶が蘇るけど【サルベージロープ】で捕まえさせてもらうね。
って、な、なにこの通路。なんか全体的にベタベタするんだけど!
それに壁、迫ってきてない……?
あわわわっ!?
そのまま柔らかい壁に挟まれ、飲み込まれてしまいます。
そして、壁は服を溶かし、飲み込んだ内側に無数のキノコを生やして、
うるの全身に胞子を浴びせ、飲み込ませ、身体も脳も発情させられてしまいます。
そのまま全身を嬲られ、胞子を植え付けられ、
絶頂に白目を剥いて痙攣したまま、放り出されますね。
胞子はげっとできたけど……代償、大きい気がするよ……?
極彩色の胞子を撒き散らし、それが着いた場所から何度でも生えてくる不気味なキノコ冬虫夏草。だが、薬との反応で猟兵の体さえ大きく変えてしまうその薬効は間違いなく本物。これを基にした薬を作ればそれは相当な効果を発揮し、売ればかなりの値が着くことになるだろう。
「儲け話のためには、あれを捕まえないといけないのかな?」
月灘・うる(salvage of a treasure・f26690)は敵のその不気味さ、そしてここまでの体験から僅かに尻込みするが、それでもここまで来たのだからとキノコを捕らえるため戦う覚悟を決める。
「なら……ピンクの記憶が蘇るけど【サルベージロープ】で捕まえさせてもらうね」
手から【サルベージロープ】のマニラロープを大量に放ち、キノコを捕縛するうる。450本のロープは纏めて冬虫夏草に絡みつき、その動きを止めた。
あまりにもあっけない勝利に、拍子抜けしながらもキノコを回収しようと近づいていくうる。だが、少し踏み出したところでその手は壁にぶつかってしまった。
「って、な、なにこの通路。なんか全体的にベタベタするんだけど! それに壁、迫ってきてない……?」
ここの洞窟は中に住まう者はともかく、材質自体はただの天然の岩肌だったはず。それがやわらかく粘性を帯びた素材に代わっており、しかも決して広いとは言えない道幅がさらに狭まってきていた。
その壁の正体は、冬虫夏草のユーベルコード【忍法・迷ヒ魔譚郷】。粘菌で構成されたその迷路は、いわばすべてが冬虫夏草の一部と言っても過言ではない。既に個であることを止めた冬虫夏草にとって、一体を犠牲に敵を捉えることはまさに真骨頂と言える戦法。壁は最早動かなくともうるの体に当たるところまで迫り、そのまま腕、足、さらには顔さえもその柔らかい壁の中に飲み込みはじめた。
「あわわわっ!?」
慌てて逃れようとするが時すでに遅し。短い悲鳴だけを残し、うるは壁の中へと飲み込まれてしまった。
「あ、あぁ……なに、これぇ……」
目の前が閉ざされた瞬間、全身に熱い感触が走る。動かない体を無理矢理動かしてみると、何かがずるりとそこから剥がれるような感触が。
「ま、まさか、これ……」
壁の素材は全て粘菌、つまりはキノコ。そこから胞子を放ち、うるの衣服を侵食、溶解して剥ぎ取ってしまったのだ。
そして露になったうるの肌に、無数の盛り上がったものが押し付けられる。
「むぐっ!?」
口にも突っ込まれたそれは、壁の内側から生えてきたキノコそのもの。否応なしにこの状況で別のものを連想させられるそれが、うるの大きな胸や尻、さらにはそれを割り開いて奥にあるものにも押し付けられ、捻じ込まれる。
「あはぁぁ……」
その感触に、悍ましさを感じながらも何度となく体を震わせてしまううる。そして捻じ込まれた体の奥に、キノコたちは一斉に胞子を撒き散らした。
「あ、あ、あぁぁ……」
体の奥に定着していく胞子たち。胞子の役割とは、そもそも『繁殖』である。その繁殖のための場所に繁殖用の胞子をばらまかれてしまっては、体の奥から来る感覚に耐えるなどできるわけもなく。
「あひっ、ひゃっ、ひゃあああああああっ!?」
胃のみならず消化器官や他の器官からも胞子に侵され、理性が溶かされていくうる。そして一際細く、しかし長いキノコがうるの耳から奥へと入っていき、その最奥で大量の胞子を撒き散らした。
「ひょほぎょおぉぉぉぉ!? ひぐひぐおぉぉぉぉぉぉぉ!?」
左右の目を別の方向に裏返らせ、奇声を上げて何度も痙攣を繰り返すうる。その姿に最早理性など感じられず、全てを胞子に侵され苗床とされた快感にただ狂っているばかりであった。
体の奥に胞子が根付き、成長し、内側からその腹を膨れ上がらせる。その体はまさに『苗床』と呼ぶにふさわしく、うるもその快楽を完全に受け入れ切っている。
やがて粘菌まみれとなった裸のうるが壁から吐き出され、同時に役目を終えたとばかりに壁が消え、洞窟の奥へ引いていく。
心配そうにのぞき込む蕈娘の前で、うるはゆっくりと目を開いた。
「胞子はげっとできたけど……代償、大きい気がするよ……?」
自分の体内に大量に植え付けられた胞子。これを持ちかえれば任務は完了なのだが、果たしてただ摘出するだけで済むのか。
未だ腹の中で蠢く胞子や菌糸に浮かされながら、うるは頬を紅潮させそう考えるのであった。
大成功
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藤宮・華澄
【トゥットファーレ】
アドリブOK
ラヴェンツァが引き続き戦闘を行う。
「この強大な力は」
力に圧倒されながらもアシストに回る。
結界術や属性攻撃で援護しつつ能力増幅等を行う。
「私は完全に消してしまう方がいいと思います」
理由は危険性、あれと同じ悲劇を起こす可能性が高いと指摘。
「いきなり強大な力を得ても制御出来る事が出来なければ」
目の前の敵を増やす事になると話す。
「お願いします、オメガ・バハムート」
洞窟が崩壊する可能性も考え退避の準備を。
ベアトリス・ミラー
【トゥットファーレ】
アドリブOK
白くなり未だに交わりを続ける四人。
「大丈夫です。むしろ余計な事を考える事が無いので」
盾を構え、相手の攻撃を結界術で受け、炎と風の属性攻撃で範囲攻撃を行い胞子を燃やす。
「薄々ですが。これは大きい力です」
敵として対峙すれば防げるかも分からないと話す。
「時間をかけるのは必要です。力を得ても吞まれては意味を成しません」
簡単に得られる力は破壊と悲劇しか招かないと話す。
「急ぎましょう」
蕈娘とミラーを連れて逃げ出す。
エルーゼ・フーシェン
【トゥットファーレ】
アドリブOK
クロタが続いて戦闘に出る。
「この威圧感……何者?」
属性攻撃による火炎で火の海にしたり、近づいた敵は紅い光剣で対処。
「ふうん、こいつは群生体って奴か。取り込み合ってできたのが出来損ないとはね」
煩いと業火による範囲攻撃を放つようになる。
「あんな怪物を増やしたいのか?」
自我すら消失した抜け殻、或いは厄災。
「我も力に呑まれた怪物と対峙した。あれは狂気だったがこれは虚無か」
魔力溜めからの火球を撃つ。
「逃げるぞ」
オメガ・バハムートの一撃に危険を感じて離脱をしようとする。
エルーゼを見捨てれば自由となるが悪態を吐いて連れていく。
アリス・スラクシナ
【トゥットファーレ】
アドリブOK
「……これは、まるで」
威圧感と威厳に呑まれそうになるも刀を取る。
流れる様に刀を振るい、早業による斬撃や見切りから乱れ撃ちを繰り出して殲滅を狙う。
属性攻撃による炎の魔力で作った剣を飛ばしたりする。
「楽な道なんてない。修行は力を得るだけではなく制御する方法も得る為に必要」
楽な道なんてないと諭す。
「さて、任せるとして」
逃げる準備に入る。
「……見捨てれば解放されるのに」
クロタの変化に何時も通りに話す。
ジェイク・リー
【トゥットファーレ】
アドリブOK
「愚かとしか言えんな」
仮面の左目が蒼く光り、雰囲気も別人のようになる。
「破滅の坂を転げ落ちるぞ?この世界の一欠片よ」
広げられた竜の翼を模した刃を持つ槍を念動力で浮かせて傍に浮かせて重量攻撃による範囲攻撃を繰り出す。
「使徒の力、使わせてもらう」
ジヴァ・アラスの覇気を竜に形作りブレス攻撃を行う。
見切りで避けつつカウンターを繰り出し迎撃。
魔力溜めによりエネルギーの結晶体となった槍の穂先を敵に向ける。
「まあ消し去るつもりだったからな」
威圧と威厳を持ち、数多の終焉と破滅を見てきたそれは名乗る。
「オメガ・バハムート」
リミッター解除を行い、破壊の魔力を巨大ビーム状に放出する。
ここに来るまでで蕈娘の作った薬を試した猟兵は多い。中には強力すぎるその薬効故、動けなくなってしまった者もいる。だが幸か不幸か、そうなってしまった者はそれでも戦う能力のある者ばかりであった。
「大丈夫です。むしろ余計な事を考える事が無いので」
ベアトリス・ミラー(クリエイター・f30743)が呼び出したアテナもその一人。召喚主たちが動けない状態になって自分が戦わされるのも初めてではない。望むと望まざるとに限らずその状況に慣れてしまったことで、その状態の強みを把握し的確に動くことができるようになったのは果たして喜んでいい事なのか。
ともあれ、そうして呼び出された者たちが冬虫夏草に対して向かい合っていた。だが、その表情は一様に驚愕に支配されている。
「この威圧感……何者?」
エルーゼ・フーシェン(踊り子・f13445)に呼び出された邪神クロタは、目の前にある存在に気圧され、その場から動けないでいた。傲慢かつ奔放な邪神たる彼女すらそうさせる存在。
「……これは、まるで」
アリス・スラクシナ(邪神の仔・f21329)の呼び出したエイルもその威圧感と威厳に圧倒されていた。それでもどうにか刀を手に取るが、その手は震え次の行動に移ることができない。
「この強大な力は」
決して自分も弱いわけではない。それでも刀を取る手は震えそうになる。
「この強大な力は」
藤宮・華澄(戦医師・f17614)の召喚したラヴェンツァも、その力に押されながら後ろに回った。
彼女たちを圧倒している力の正体。それは前に立つ仮面の男。
「愚かとしか言えんな」
今はネハンと名乗るジェイク・リー(終極の竜器使い・f24231)。元々実力は高かった彼だが、今はそれとはまた違う存在感、威圧感を持ってそこに立っていた。
つけた仮面の左目は蒼く光り、その雰囲気もまるで別人の様である。
「破滅の坂を転げ落ちるぞ? この世界の一欠片よ」
そう言って広げられた竜の翼を模した刃を持つ槍を周囲に浮かせ、それを一気に冬虫夏草へと叩きつけた。その槍は大きさから穿つというよりも潰すと言った方が相応しい威力を持って冬虫夏草立ちを蹂躙していく。
その言葉と攻撃を切っ掛けにしたかのように、他の者たちもそれぞれに冬虫夏草へと攻めかかった。
流れる様に刀を振るい、早業による斬撃や見切りから乱れ撃ちを繰り出して殲滅を狙うエイル。その刃に切り裂かれた冬虫夏草たちは次々倒れていくが、最早人の体を失った彼らはその切り口から最後のあがきのように胞子を飛ばし、周囲に新たな自分を発生させんとする。
それに対してはクロタが火炎を撒き散らしとどめを刺しながら前に出た。
「ふうん、こいつは群生体って奴か。取り込み合ってできたのが出来損ないとはね」
そのまま煩い、と言い捨てながら続いてまだ無傷の冬虫夏草を紅い光剣で切り刻み焼き捨てていく。
それでも残った胞子は奥へ跳び、前に出た者の後ろ側に着床して新しいキノコをそこから生やしていく。あるいはこの突破術も咎忍としての冬虫夏草が求めた忍術の一つなのかもしれないが、それでも後ろを抜かせぬための守りはまだあった。
ラヴェンツァとアテナが後方で結界を張り、それ以上は抜かせぬと防衛線を張る。こちらは摩耗的な力ゆえに歪な形状の洞窟を隙間なく塞ぐことができ、それ以上後ろへと攻撃を届かせることは決してしない。さらにその上でアテナが炎はなって風で煽り、胞子を焼き捨てそれ以上の敵の発生を防いだ。
そうして安全を確保したところで、一同の意識は蕈娘へ向かう。
「あんな怪物を増やしたいのか?」
あれは自我すら消失した抜け殻、或いは厄災。クロタはそう言いたげに蕈娘へと告げる。先に男が言った言葉、それもまた彼女へ向けたものだろうと思ってのことだ。
「時間をかけるのは必要です。力を得ても吞まれては意味を成しません」
簡単に得られる力は破壊と悲劇しか招かない。その過程で得るべき力を使うための覚悟や知識、経験が全て抜け落ちれば、そこにあるのは暴走だけだと、アテナも蕈娘に話す。
「楽な道なんてない。修行は力を得るだけではなく制御する方法も得る為に必要」
そしてエイルもそう諭す。一足飛びに力だけを求めた存在、それが今目の前にあり、少しやり方を誤れば蕈娘の研究もそれを生み出すだけのものとなると、そのやり方についての再考を彼女たちは促していた。
「使徒の力、使わせてもらう」
後ろの会話に構うことなく、ネハン……ですらなくなったかもしれない男は『ジヴァ・アラス』の覇気を竜に形作りブレス攻撃を行う。それを藻掻きながら突破してくる者にはカウンターでの一撃を加え進撃を許さない。
「我も力に呑まれた怪物と対峙した。あれは狂気だったがこれは虚無か」
クロタがそれに沿えるように魔力を溜めて火球を撃つ。そして男を、ラヴェンツァがじっと見ると。
「オメガ・バハムート」
威圧と威厳を持ち、数多の終焉と破滅を見てきたそれの名。それを問われたのだろうと察した男はそう答えた。その言葉は幾度か彼の男が口にしたことのある名。
「薄々ですが。これは大きい力です」
敵として対峙すれば防げるかも分からないと話すアテナ。それもまた意思持つ存在であったのだろうかとラヴェンツァは思うが、今はまず無限に湧いてくる敵を何とかしなければならない。
「……で?」
それを分かっているのか、微かに呟くオメガ・バハムートを名乗った男。だがそれは質問というよりは意思確認の様な調子。
「私は完全に消してしまう方がいいと思います」
理由は危険性。もし逃せばあれと同じ悲劇を起こす可能性が高いと考え、ラヴェンツァは答えた。
その答えは男の意思に沿うものであったのか、改めて冬虫夏草の集団を見た。
「まあ消し去るつもりだったからな」
その言葉と共に、槍状に結晶化したエネルギーが光を帯びる。やがてそれは破壊の力そのものと化し、巨大なビームの様に冬虫夏草の群れを貫いた。
あまりに強力すぎるその力。これでは前にいた冬虫夏草たちもひとたまりもなかろう。だが、その遠慮のなさすぎる力に他の仲間は別の懸念を抱く。
「さて、任せるとして」
「急ぎましょう」
エイルとアテナは早々に撤退を決め込み、自身の召喚主と蕈娘を連れて逃げだした。そしてそれから一瞬遅れ、案の定洞窟奥の崩落が始まる。
「逃げるぞ」
仕方ない、と言いたげにクロタも舌打ちしながら逃げ出す。そしてその途中、自力では動きづらい状態になっている召喚主のエルーゼを拾い上げることも忘れない。最もその姿は悪態をつき続ける不承不承という恰好ではあったが。
「……見捨てれば解放されるのに」
そのままの悪態をついているクロタの姿に、エイルが小さくこぼす。ほんの少し前までの彼女なら本気で見捨てていただろうに、その思いを込めた小さな言葉は、洞窟が崩れていく音に紛れて誰にも聞こえなかった。
「お願いします、オメガ・バハムート」
どこまで崩れるか分からないと早々に撤退準備を始めていたラヴェンツァも、最前線に未だ残る男にそう告げ撤退した。
その願いとは早く逃げろと言うことか、崩落を何とかしろと言うことか、あるいはもっと別の何か、誰かに対してか。
崩れ行く洞窟に殿として立つ男の背からは、その答えは帰っては来なかった。
大成功
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政木・朱鞠
ターゲットとして情報は知っていたけど…聞きしに勝るエグさだね。
残念でした、イタズラに周りを巻き込む貴方を私達が邪魔させて貰うよ。
君には自己満足で厄災を撒き散らした咎を清算して蕈娘ちゃんの研究の礎になって貰うよ。
戦闘【POW】
焼いて胞子がなんとかなるかわからないけど…『忍法・煉獄炮烙の刑』のコントロール可能な炎で冬虫夏草達を丸焦げにしてやりたいかな…。
得物は急所への【貫通攻撃】を狙って刑場槍『葬栴檀』をチョイスしてダメージを与えたいね。
もしかすると…近接戦だとキノコの影響受けちゃうかもしれないけど…もしもの時は蕈娘ちゃんに私から生えたキノコをヌイて貰って良いよね?
ハプニングOK・アドリブ連帯歓迎
戦闘の余波で大きく崩れた洞窟。よもやのことだがここにこれ以上危険なものが繁茂することを防ぐと考えれば、これで良かったのかもしれない。
だが蕈娘が退避してきた入口近く、そこに残った最後の胞子から、これが最後とばかりに冬虫夏草が湧きだした。
そしてそれをそこで待ち受けている猟兵が一人。
「ターゲットとして情報は知っていたけど……聞きしに勝るエグさだね。残念でした、イタズラに周りを巻き込む貴方を私達が邪魔させて貰うよ」
政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)はその冬虫夏草たちを静かな、だが奥に熱を込めた目で見つめた。
その体の熱は直前まで蕈娘の薬で高ぶらされ、それから遍喰らいたちとの戦いで爆発させたものであるが、心の熱はまた違う者によって燃え上がらされているものであった。
「君には自己満足で厄災を撒き散らした咎を清算して蕈娘ちゃんの研究の礎になって貰うよ」
冬虫夏草を始めとする、各世界に逃れ悪行を成す里の罪人『咎忍』の始末。己の本来の役割であるそれに裏打ちされた、熱くて冷たい忍びの心。
その任を遂行すべく、冬虫夏草たちに向き合う朱鞠。その彼女に冬虫夏草の中でも失ったはずの『己』がざわめいた。
「汝は……汝はそうか、我らを滅し我として消さんと来たるか。既に我極め我なくて我らなり。汝我らとして我を映さん」
咎忍としての記憶、意識はあるのか、朱鞠を己と縁ある存在だと明確に認識し、その手を伸ばす冬虫夏草たち。そしてそれに、朱鞠は任を成すべく忍びの技をもって答える。
「私の紅蓮の宴……篤と味わいなさい……貴方の罪が煉獄の炎で燃え尽きるその時まで……」
先制で【忍法・煉獄炮烙の刑】を放ち、銅製の巨大な拷問愚を呼び出す朱鞠。それは手を伸ばしていた冬虫夏草たちの目の前に出現し自ら抱き着くような形を取らせ、そのまま彼らを無残に焼き捨てていく。
「焼いて胞子がなんとかなるかわからないけど……」
「我滅すれど我らより我出でる、我此れに在り」
キノコ諸共胞子のほとんどが焼け落ちたかそのまま崩れていく冬虫夏草たち。だが、それでも僅かな胞子が自らを犠牲にし拷問具を押しのけ、そしてその隙間から朱鞠の眼前の岩肌に取り付きそこから新しい冬虫夏草を生やした。この胞子に物理的力を持たせる【忍法・夜の声】、そして無限の複製能力こそが彼が邪法の果てに手に入れた粘菌術であり、咎忍として追われることになった理由である。
「やっぱりね……それならこっちよ」
懐に入って来たその冬虫夏草を、朱鞠は刑場槍『葬栴檀』を抜いて仕留めにかかる。その武器は冬虫夏草の体の真ん中を鋭く射抜き、全てが菌糸で構成され急所などないはずの冬虫夏草を一撃のもとに動かなくさせた。
咎忍を殺すためだけに研ぎ澄まされたその武器は、たとえ人ならぬものになり果てていようとそれを殺すだけの力を持つ。そうして倒れたキノコを拷問具の方へ蹴りだし、延焼する炎で焼き捨てた。
そのまま次々とキノコたちを再生の間もなく仕留めては焼き、すぐに最後の一体にまでその数は減っていく。
「我らここに絶える定めと。なれば我は汝となりて生きん。我ら滅び我は死す、されど我は消えず」
里から逃げた忍びは追っ手を差し向けられ、どこまで逃げようと最後は必ず仕留められる。忍びの世界に置いては絶対の掟であり当然の常識。己も忍びであった冬虫夏草もまた、それからは逃れ得ぬと悟ったか。まるで最後の特攻の如くその冬虫夏草は朱鞠に飛び掛かり、そして他の者と同じように刺され、焼かれた。
これで敵は全滅、全ては終わり。だが、朱鞠はまだ警戒を解いてはいなかった。
「なるほど、そういうつもりね……いいわ、最後の勝負と行くわよ」
そう言って朱鞠は体を広げその場の空気を吸い込み、自分の全身に浴びた。その瞬間、朱鞠の体がまたしても熱に包まれる。
一見全滅したように見えても目に見えぬ胞子が一粒でも残っていればそこから冬虫夏草は何度でも出現する。それを止めるには、どこかに胞子をすべて集め対処しなければならない。朱鞠は己の体にあえて胞子を宿らせ、その体で浄化する手段を取ったのだ。
だが、今までの戦いの中でも示されてきたように、胞子が体に及ぼす影響は甚大。実際朱鞠の体は熱を帯び一部は張り、そして下腹部からは早くも『茸』に代わるものが生えだしていた。
その体を火照らせながら、蕈娘を呼ぶ。
「蕈娘ちゃんに私から生えたキノコをヌイて貰って良いよね?」
元よりもしも体に胞子が宿れば、材料提供も兼ねてそうするつもりであった。蕈娘もそれに答え、朱鞠の体にしがみつく。
「わかりました……この薬、必ず完成させて見せますので……!」
安易な暴走の恐ろしさは十分に分かった。そうならぬための完全な制御のため、彼女の体を通して『胞子』を得るべく、蕈娘は朱鞠の体に己の体を合わせる。
膨らみにむしゃぶりつきそこからあふれ出る『粘菌』を採取し、さらに小柄な体で朱鞠の『茸』を飲み込み、そこから『胞子』を吐き出させんとする。
「あっ……そう、もっと、たくさん……枯れるまで、ヌイてぇっ……!」
それに対し朱鞠も、蕈娘を抱きしめ自分の腰をがくがく振ることで答える。
これで蕈娘の研究もすぐ完成というわけではなかろうし、冬虫夏草がこことは全く別の場所に繁殖していないとも限らない。だが、己の任を果たし、そして一人の若き英傑の新たな飛躍の糧ともなれた。
「おおおっ、出るぅっ!!」
それを成果と感じながら、朱鞠は蕈娘に彼女の欲した『材料』を提供していくのであった。
大成功
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