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石切る太刀の武芸帖

#サムライエンパイア #猟書家の侵攻 #猟書家 #真田神十郎 #剣豪 #上杉謙信 #魔軍転生 #最強無敵究極天魔城


「いやア、見事な技であった!」
「なに。ただの見世物さ。……んじゃ、約束通り剣は見せた。もう帰っても構わないかい」
 香月・兵吾は、その手に握った太刀を腰の鞘へと収めた。
 屋敷の中庭であった。
 彼の目の前には、真っ二つに断ち切られた石灯籠があった。……今しがた、兵吾が斬ったものだ。
 兵吾は主人を持たぬ素浪人である。歳は三十路を半ば過ぎた頃か。武家の生まれながら家に縛られることを嫌い、気紛れに任せ旅を続ける無頼の徒であった。
 それでいて、凄腕の剣豪でもあった。
 兵吾の剣は恵まれた体格のもつ膂力が生み出す強烈な豪剣である。その力強さを指して“石切り兵吾”の名で呼ばれていた。
「……なあ、女鹿沢の旦那よぉ」
 女鹿沢・郎保座右衛門(めかざわ・ろぼざえもん)。
 武蔵国の一部に領地を預かる大名を名乗る男であり、いま兵吾のいる屋敷の主人でもある。兵吾はこの男に呼びつけられ、不承不承屋敷へと出向いていたのだ。
「グフフ……。そうはいかんぞ、“石切り兵吾”。儂はお主の腕を高く買っておる。お主を配下に加えれば、くるせいだあ様もお喜びになるだろう」
「……くるせいだあ?」
 郎保座右衛門が不気味に笑った。
「そう……くるせいだあ様こそ、明日の日の本を統べる御方よ」
「こいつは驚いた。幕府転覆を企てる悪逆の徒が密かに蔓延ってる、なんてハナシは風の噂で聞いちゃいたが……」
「グハハハハハハ!ならば話が早い!そうだ、石切り兵吾よ。お主は我らが軍門に降り、その腕をくるせいだあ様のため存分に振るうのだ!」
「嫌だと言ったら?」
 兵吾は一度収めた刀の柄を握る。越後守行平。その鯉口を切りながら、兵吾は郎保座右衛門を睨めつけた。
「ハハハ!言えると思うてか!」
 その瞬間である。
『……』
 ばッ!屋敷の障子戸が一斉に開く!そこから飛び出したのは無数の人影……それは、あからさまに忍者なのである!
「人形だと……!?」
「これぞ儂の兵隊!からくり忍者軍団よ!」
『……』
 現れたからくり忍者軍団は、無言のままに兵吾を取り囲む。
「ったく、ハナから怪しいと思っちゃいたが……」
「さあ兵吾よ。諦めて我らが軍門に降るのだ!」
「お断りだねッ!」
 兵吾は走った。素早く中庭を飛び出して、屋敷の出口へと向かう。
「門を閉めよ!捕らえよ!彼奴を逃すでないぞ!」
 その後ろで響く銅鑼声。それに合わせて忍者軍団が動き出す。
 郎保座右衛門は間違いなくここで兵吾を仕留めるつもりなのだ。
 背後から迫り来るからくりの駆動音を耳にしながら、兵吾は舌打ちをした。

「うむ。猟書家案件であるぞ。すぐに準備し、サムライエンパイアへと向かえ」
 グリモア猟兵ロア・メギドレクス(f00398)は猟兵たちへと切り出した。
 曰く。
 猟書家の侵略は今も各世界を襲い続けている。
 その中でも、今回ロアが猟兵たちへと伝えたのはサムライエンパイアにおける案件だ。
「真田神十郎という猟書家がいたのは覚えておるか。奴はもうおらぬが、その作戦を引き継いだオブリビオンが悪事を続けておるのだ」
 ロアはホワイトボードにマーカーで説明を書き入れる。
「敵の目的は剣士の殺害。凄腕の剣豪を殺すことでオブリビオンへと貶め、そして自分たちの戦力に加えようとしているのだ」
 今回敵に狙われているのは、香月・兵吾(こうづき・ひょうご)。剣豪である。
 兵吾はいま、敵の卑劣な罠によってある屋敷の中へと閉じ込められていた。しかし、そこはただの屋敷ではない。スイッチによって位置を変える壁や階段。どんでん返しや隠し扉に吊り天井、落とし穴……内部はそうした様々な仕掛けが施されたからくり忍者屋敷となっており、兵吾の脱出を阻んでいるのだ。
「剣豪はなんとか逃げ回り脱出経路を探しておるが、敵はこの屋敷の中で確実に仕留めるつもりだ。捨て置けばやられるのも時間の問題であろ」
 もはや一刻の猶予もないぞ、とロアは付け加えた。
「その上、だ。剣豪を狙う敵の軍団は、秘儀である超・魔軍転生によって強化を施されている」
 秘儀、超・魔軍転生。――オブリビオンフォーミュラでもあった織田信長が用いた秘術を更に発展させた技術である。
「敵の兵士どもには魔将“上杉謙信”の力が降ろされている。単純な戦闘力の強化だけでなく、戦略的な行動もとってくるぞ。屋敷の仕掛けを利用しながら剣豪を追い詰めてくるのだ。……一筋縄ではゆかぬ」
 眉根に皺を寄せながら、手強いぞ、とロアは呟いた。
「だが、なんとかせねばならん。余はこれより汝らを屋敷の中へと送る。汝らは急ぎ剣豪と合流し、共に戦いながら敵を撃退せよ」
 あらかたの敵を排除し終える頃には、屋敷から抜け出す道も見つかることだろう。
 そうなれば、今回の作戦を指揮する敵の首魁も痺れを切らして猟兵たちへと襲いかかってくるのは間違いない。
「あとは、現れた敵の親玉を倒せばよい」
 そうなれば、やることはシンプルだ。勝って、敵を撃退せよ。そうすればこの案件は見事解決、ということになる。
「説明は以上だ。わかったな。……うむ。此度の戦いは実に面倒であるが、だからこそ汝らの力添えが要る」
 頼んだぞ、と最後に加えて言葉を終え、ロアは猟兵たちの姿を見回す。
「質問はないな。……では、行ってこい」
 そして、グリモアは輝いた。


無限宇宙人 カノー星人
 ごきげんよう、イエーガー。お世話になっております。カノー星人です。
 猟書家シナリオになります。よろしくお願いします。

☆このシナリオはプレイングボーナス要項があります。ご確認ください。
プレイングボーナス(全章共通)……『剣豪を守る(本人もそれなりに戦うことはできます)』
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第1章 集団戦 『からくり忍者軍団』

POW   :    からくり・自己犠牲術
【死角から超高速で接近し、忍刀】による素早い一撃を放つ。また、【壊れたパーツを破棄する】等で身軽になれば、更に加速する。
SPD   :    からくり・自己複製術
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【からくり忍者】から排出する。失敗すると被害は2倍。
WIZ   :    からくり・麻痺拘束術
【麻痺毒の煙幕爆弾】が命中した対象を爆破し、更に互いを【鎖】で繋ぐ。
👑11
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「……おいおい、またかよ!」
 兵吾は悲鳴をあげた。
 この通路はつい先ほど通ったばかりのはずだというのに、気付けばまた同じ場所に来てしまった。
 足を踏み入れた時から既に異様に広い屋敷だと訝しんでいたが、おそらくこの屋敷は最初から自分のような剣豪を逃さぬために作られているのだろう。屋敷というよりは迷宮と言った方が正しいとまで言える。
 得意の剣で壁をぶち抜いてやろうとはじめは思ったが、この建材、存外に固く、おそろしく強靭である。ユーベルコードの加護をもたぬ只人の身では、これを砕くことは不可能であろう。逃げ回りながら出口を探すほかに道はない、ということに兵吾が気づくまで、さほどの時間はかからなかった。
 しかして、話はそう簡単にはいかない。なにしろ広く入り組んだ構造をしている。それだけではない。この屋敷の通路は数分ごとに形を変えているのだ。今来たばかりの道を引き返そうと思ったら、振り向いた先が既に壁と化していた、という現象もこの逃げ回る半刻の間に七度ほど遭遇している。
『……』
「くそ、追手か!」
 そして振り返った先、先刻見た時には壁であったはずの場所が開き、その先からは敵の姿がこちらへと迫るのが見える!
「しゃらくせえッ!」
 剛剣!抜き放つ太刀の銘は越後守行平!真正面から襲ってきたからくり忍者を切り捨てる。
『……』
「だあッ!どんだけいるってんだ!」
 しかして、すぐさま現れる後続!――まともに全部は相手取っていられない。兵吾は一旦剣を収め、そして通路を駆け出した。
殺風景・静穂
辺りは仕掛けだらけ
不用意に動かないほうが良さそうよ、剣豪さん?

動かなければやられちゃう?
案外意気地がないのね
まあご覧なさいな
と、朧二重で、手近な家具や調度品を、香月兵吾そっくりに変えてみせる
できるだけ沢山を操って、どれが本物の香月兵吾かわからないようにするわね

偽物剣豪が大勢いる中で煙幕爆弾を使ったりすれば、混戦状態になるはず
そうなれば、からくり忍者にも隙ができるでしょう
今のうちに攻撃しちゃえば?
もちろん、攻撃するのは私じゃなくてあなたの役目
だってあなた、剣豪でしょ?


エル・クーゴー
●WIZ



躯体番号L-95
当機は迷宮攻略に高い適性を発揮します、ニンニン


・今回はid=51736の女忍者ルックで出陣

・【ウイングキャット『マネギ』】発動、デブ猫MAX540体を忍者屋敷内へと順次送り込み探索させる(団体行動+偵察)
・「敵兵やトラップの配置」に「通路の変動パターン」――屋敷内の情報を数に任せて片っ端から網羅しに掛かる(索敵+情報収集)

・兵吾との合流ルートが見えたら、ニンジャジェットで速やかに移動(空中機動+推力移動)
・クナイバズーカ(砲撃)やシュリケンマシンガン(弾幕)にマキビシファンネル(誘導弾)等、由緒正しい忍びの武器を駆使ししつつ、兵吾に前衛を任せる形で加勢する(援護射撃)



「ったく、いつまで逃げまわりゃいいってのかねぇ!」
 兵吾は迷宮めいた屋敷の中を走る。
 敵の追跡は止まず、脱出経路の捜索も得意分野ではない兵吾にとっては難題だ。そして、またしても通路の奥から聞こえてくるからくりの駆動音。どうにも、敵はこちらを逃がしてくれるつもりはないようだ。兵吾は苦々しく舌打ちをした。

 ――その一方である。
「躯体番号L-95、作戦エリアへの到着を確認しました。現時刻をもって、剣豪救出及び敵性オブリビオン撃退任務へとあたります」
 グリモアによる転送の光の中から、エル・クーゴー(f04770)は屋敷の通路へと降り立った。
「……にしても。仕掛けだらけのからくり迷宮とは。なかなか愉快な状況みたいね?」
 タイミングを同じくして、殺風景・静穂(f27447)が迷宮内へと降り立った。横目でちらと見た通路が、彼女の目の前で閉ざされる。そして遠く聞こえるのはからくり忍者の駆動音。
 なるほど、これは退屈せずに済みそうだ。静穂はn半ば面白がるように、ほんのりと口の端を緩めた。
「さて、まずは剣豪さんと合流しなくちゃだけど――」
 四方八方へと広がる通路の先に視線を遣りながら、静穂は思案する。
「お任せください。当機は迷宮攻略に高い適性を発揮します、ニンニン」
 ここで主張したのはエルである。
 なお、今回の作戦へと参加するにあたって、エルはこの戦場に最適であると判断された仕様へと装備変更を行ってきていた。
 即ち、ニンジャ装備である。
 今回の任務に於いて想定されるエネミーの多くはニンジャである。また、戦場も屋内を想定するため、大型火器は取り回しに難がある。導き出された結論は軽装化による機動力の向上と、適切な携行武器の運用であった。
「どうするの?」
「はい。当機はこれより友軍機体を展開し、屋敷内のマッピング及び構造把握を行います」
 エルはまず電脳空間ストレージ内に格納したデータを展開し、ネコ型偵察用機体群のリアライズを開始した。【ウイングキャット『マネギ』】ドローン群である。
 現出したマネギドローンは通路を埋め尽くさんばかりの勢いで展開ゲートから次々に飛び出してくる。マネギドローンたちはごろごろと転げ落ちては態勢を立て直し、そして通路へと飛び立っていった。
「……随分出したわね」
「都合540機が登録されています」
 エルは電子頭脳上にマップデータを開いた。同時に展開したマネギドローン群とのデータリンクを開始する。
 通常戦闘形態のエルは多様な火器の使用を得意とする一方で、その電脳リソースの多くを火器管制システムへと割いている。しかし、今回のニンジャ装備においては敢えて大火力火器との接続を遮断することでそこに割くリソースを削減し、その分を情報集積能力へと割いているのだ。ニンジャ装備形態のエルの情報処理能力は通常時に比して約110%の機能を発揮する。
 ――屋敷内を走るマネギドローン群は、そこで収集したデータをリアルタイムでエルに送信した。番号001から540まで、すべてのドローンから送られる観測情報を受け取り、エルは電子頭脳上で屋敷内の構造データを作り上げていく。
『なんだこりゃ……敵、じゃねえようだが……』
 そして、マネギドローンの中の1機が兵吾との遭遇を果たした。エルはすぐさま遭遇地点への最短ルートを割り出す。
「マネギドローン096番が救出対象を発見しました。当機はこれより速やかに移動を開始します。ニンニン」
 エルは電脳空間ストレージより再びデータを展開した。背面部及び脚部に増設するかたちで高速機動用オプションパーツ・ニンジャジェットを装備する。
「行きましょう」
「ええ」
 ――そして、2人は兵吾の元を目指して移動を開始した。
 
「……さて、どうしたもんかね!」
 ここで視点は兵吾のもとへと戻る。
 今、兵吾は追い詰められていた。――迷宮と化した屋敷内を動き回る最中、兵吾は見つけた扉を開き、そこから通じる部屋へと飛び込んだのだ。
 そこは二十畳ほどの広さの部屋であった。しかして、そこは今しがた兵吾が入ってきた扉の他に出入り口をもたない袋小路でもあったのである。
 不味いか、と気づき兵吾が眉を顰めた――その時である。
「失礼します。ニンニン」
「よかった。まだ無事だったみたいね、剣豪さん」
 バン、と扉を破るような勢いで飛び込んできたのは、ニンジャジェットを展開したエルと静穂であった。
「なんだァ!?」
「救出対象を確認しました」
「こういう者よ。助けに来たわ」
 静穂はすぐさま兵吾へと天下自在符を掲げてみせた。幕府より猟兵たちに与えられた天下自在符はサムライエンパイアにおいて強力な効果を発揮する身分証明だ。兵吾はたちまち助けがきたことを理解して短く息を吐き出す。
「そいつはありがたい。いい加減参ってたところでね。……なら、とっととこんな場所からはおさらばするとしよう。ここまで来れたってことはあんたら、こっから逃げる道筋も――」
「あら。それでいいのかしら?」
「なに?」
 脱出について言及する兵吾の言葉を、そこで静穂が遮った。
「ただ逃げるだけってわけにはいかないでしょう。屋敷の中には敵がうようよいて、その上辺りは仕掛けだらけ。不用意に動かないほうが良さそうよ、剣豪さん?」
「……だが、相手方も随分多い。ひとところに留まってちゃ、敵に囲み込まれてお陀仏だぜ」
「動かなければやられちゃう?……ふふ、案外意気地がないのね」
「慎重、って言ってもらいたいところだね。俺ァ実力を過信しない主義なのさ」
「慎重に行くなら、むしろ敵を迎え撃って数を減らしてから動く方が安全よ」
 ここで2人の意見が割れる。兵吾は脱出を優先し、静穂は敵を撃退することで安全性を高めてから脱出に向かう方針を提案した。
「あなたはどう思う?」
「当機としては迎撃案に賛成です。現在の我々の戦力であれば、ここで敵性オブリビオンを迎え撃つことは十分に可能と判断します。ニンニン」
 意見を求められたエルは、静穂の考えに賛同を示した。
「ちっ、多数決で俺の負けってこったな。……しゃあねえ、いいだろう。そんなら覚悟決めてやるとするかね」
 兵吾は肩を竦める。
「大丈夫よ。勝算はちゃんとあるわ。……まあご覧なさいな」
 その一方、静穂は薄らと笑みを浮かべながら、その指先に妖力を込めた。そして、そこから光を放つ。
 次の瞬間である。――部屋に置かれていた行燈や長持が、たちまちそのかたちを変えたのだ。――ユーベルコード【朧二重】。周囲に存在する物体を、ヒトの姿に変わったように見せる幻術である。
「……うおっ!?俺か、こいつは!?」
「ええ。うりふたつでしょう?」
 そうして静穂が用意したのは、敵の標的である兵吾に似せて作った偽物群であった。部屋中のあらゆるものに術をかけた結果、用意された偽物の数はゆうに20体を越える。
「こりゃ随分な妖術だな……」
「感心してる場合じゃないでしょう。あなたにもちゃんと戦ってもらうわよ」
「なんだい、あんた助けに来たんじゃないのかよ」
「あら。だからってあなたが何もしなくていいってわけじゃないでしょう?もちろん、攻撃するのは私じゃなくてあなたの役目」
「……」
 兵吾は眉を顰めた。
「だってあなた、剣豪でしょ?」
 静穂は渋面の兵吾へと静かに笑いかけた。
「そうさな。そう言われて剣の一つも抜けねえンじゃあ武士の名折れってやつだ。……ったく、あんた、乗せるのが随分上手いじゃないか」
「お褒めにあずかり光栄ね」
「お二人とも、お話はそこまでのようです」
 ここで注意を促すように、エルが鋭く声を発した。
「敵性集団の接近を感知しました。ここへの到達は40秒後と推測されます」
 エルは周囲に展開したマネギドローン群に収集させた情報から、3人がいるこの部屋へと敵のからくり忍者集団が近づいていることを察知したのである。
「わかったわ。手短に話すけど、作戦はこうよ」
 ここで静穂はぴっと人差し指を立て、戦闘プランを伝える。
 まずは会敵と同時に、静穂が作り出した偽物の兵吾たちを敵群へと差し向ける。ここで同時に静穂が幻覚魔法術を重ねることで靄を作り出し、敵群を混乱させる作戦だ。
 続けてエルが展開したニンジャウエポンによる攻撃を仕掛ける。クナイバズーカやシュリケンマシンガンといった由緒正しい忍者火器は威力こそエルの通常用いるL95式兵装に及ばぬものの速射性と取り回しのしやすさに秀でている。牽制や援護射撃に適した火器群であるといえるだろう。
 そして、静穂の幻術やエルの援護射撃で攪乱したところで前に出た兵吾が敵を切り伏せてゆく――というのがこの戦闘プランの詰めである。
「即席の連携でうまくいくもんかねえ」
「できなかったら負けるだけよ。せいぜい頑張りましょう?」
「問題ありません。当機が万全なサポートを約束します。ニンニン」
 そうして話がまとまったところで――だん、ッ!!部屋の入り口が蹴破られるように荒々しく開け放たれた!そこからからくり忍者の群が部屋へと雪崩れ込む!
 ――かくして、『剣豪殺し』を目論むオブリビオン軍団との戦いは始まったのである!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

牧杜・詞
屋敷の中へ送られた直後に、
まずは香月さんを狙っていたからくり忍者を【鉄和泉】で切り捨てるわ。
「なんだ、やっぱりからくりなのね」

隣をみたら、ブリーフィングで見かけたツインテールの女の子がいたのだけれど、
……刀目当てなのかしら?

ま、刃物マニアのほうが、わたしみたいな人斬りよりはマシかな 

香月さん、だっけ? とりあえずここからでるわよ。
【識の境界】を発動させながら【第六感】と【見切り】を使って、
罠とからくり忍者を直感とスピードでクリアしていくわ。

殺し甲斐が画ないのは残念だけど、これもお仕事、しかたないか。

わたしの刀?
いいけれど、里でいちばんいいものみたいだけど、由来とかはよくわからないわよ。


叢雲・黄泉
牧杜詞と

「石切り兵吾……
腕の良い剣豪ですか……」

石灯籠を真っ二つとは、越後守行平という刀、よほどの名刀と見ました。
名刀を守るため……こほん、剣豪を守るため、敵を排除しましょう。(刀マニア

「そこまでです、からくり忍者たち……
半吸血鬼である私が越後守行平を守り抜いてみせます……」(言い直すのやめたらしい

その場に居合わせた牧杜詞と協力して、石切り兵吾の持つ刀を守りましょう。
牧杜詞、あなたも興味深い刀を持っているようですね。
あとで見せてください。

「私の自慢の刀、お見せしましょう……来なさい、天下五剣……」

【召喚・天下五剣】で敵の周囲の地面に剣を突き立て、それを次々抜きながら斬り裂いていきます。



「“石切り兵吾”……。腕の良い剣豪ですか……」
 叢雲・黄泉(f27086)は、戦場へと飛び込む準備を整えながら短く嘆息した。
「……にしても。石を切るとは……随分といい刀を使っているようですね」
 呟く黄泉の双眸がぎらと輝きを帯びる。
 黄泉は刀剣愛好家であった。――否、刀マニア、と呼ぶ方が正確であった。
 今回の任務において、黄泉の興味の矛先は救出対象である兵吾本人よりも、彼の佩刀である越後守行平へと向けられている。
 現代UDCアースにおいて著名な刀剣は数多く、実物が残されている刀も少なくはない。博物館に飾られるレベルの刀剣の銘であれば大抵は知識の内にある黄泉であったが、しかしてここに聞く越後守行平なる銘の刀は彼女の知識の外にあるものだ。
 果たしてそれは如何なる剣か。黄泉はそれを想像するだに思わず表情が緩みかけていた。
(……この子、刀目当てなのかしら?)
 同じく任務に向かうところであった牧杜・詞(f25693)はちらと横目で黄泉の様子を見遣った。
(ま、刃物マニアのほうが、わたしみたいな人斬りよりはマシかな)
 詞は内心で一人ごちながら剣の柄に指をかけた。
 短く呼吸を整え、そして詞はグリモアの光へと向けて一歩踏み出す。
「それじゃ、行きましょう。あまり待たせても悪いわ」
 そして詞は促した。
「そうですね……。急ぎましょう」
 黄泉は頷いて詞に並び、そして光の中へと飛び込んだ。

 ――そして、戦場である。
「ッ、おらあ!!」
 先ほどから状況は一変していた。
 猟兵たちが加勢に入ったことで、迷宮の中を逃げ回るだけであった香月兵吾はようやく反撃に転ずることが可能となったのだ。
 兵吾は踏み込みと共に裂帛の気勢を叫び、そして剣を振り下ろす。両断!閃く太刀は越後守行平!
『……!』
 爆散!切り落とされた躯体が崩れ落ち、そしてからくり忍者の一体が砕け散った!
「次――」
『……』
 だが、次の瞬間である!振り抜いた刃を構えなおしながら次なる敵に向き合わんとした兵吾へと、側面から新手のからくり忍者が襲い掛かる――間隙を突かれた。迎撃の間に合わないタイミングだ。このままでは危うい。気づいた兵吾は僅か舌打ちする。
「そこまでよ」
『……!』
 しかして、からくり忍者の凶刃を遮るように一閃、切っ先が走った。
 断ち切られたからくり忍者の腕が激しく回転しながら吹き飛び、床板へと落下する。
 ――詞である。グリモアによる転送が間に合ったのだ。戦闘の状況を把握した詞が、すぐさま介入したのであった。
「なんだ、魔軍転生なんて言うからどれほどかと思ったけど……」
 返す刀で続けて一撃。鉄和泉の刀身が再び閃く。ざ、ッ!袈裟懸け!振り下ろされた剣は、からくりの躯体を一刀のもとに切り伏せ、そしてその機能を停止させた。
「……やっぱり、所詮からくりなのね」
 残心。詞は流れるような所作で剣を構えなおしながら、通路の向こうよりこちらへと向かい来る敵群の姿を見遣る。
「つっても甘く見ちゃ足元掬われるぜ。数だって相当――そら、向こうからもだ!」
『……!』
 ――しかし、次の瞬間である!通路の反対側からも敵群の気配!それを気取って兵吾は剣をかざす!
「こちらは任せてください……」
 だが、その瞬間である!兵吾の横をすり抜けるように風を裂き、黒鉄が駆け抜けた!
『……!』
 鋭く鈍くそして重たい刃の音が五つ!疾った剣がからくり忍者たちを貫き、切り伏せる!
 それは【召喚・天下五剣】。天下に名だたる五振の名刀――その銘をもつ剣を招来して繰る、黄泉のユーベルコードである!これによって呼ばれた剣たちが、からくり忍者たちを迎え撃ったのだ。
「悪事はここまでです、からくり忍者たち……。……半吸血鬼である私が越後守行平を守り抜いてみせます……」
 そして、兵吾の横から剣の主である黄泉が進み出た。
「……おいおい、嬢ちゃん。あんた一体なにを助けに来たんだって?」
 黄泉の口走った台詞に兵吾は眉根を干せる。
「刀です」
 一方の黄泉は涼しい顔で即答し、そして再び放った刃へと意志を乗せた。
 黄泉は床面を蹴立てて飛び出すと、手近な距離にあったそのうちの一振りを引き抜く。
「……さあ、行きますよ……童子切……私の自慢の刀、お見せしましょう……」
 次の瞬間、閃いた刃は童子切安綱。鬼退治の逸話をもつ剣銘である。黄泉は踏み込みながら横薙ぎに刃を放ち、敵群を更に切り伏せてゆく。
「……やれやれ。刀の方が大事ってかい。自在符持ちって奴らはどいつもこいつも癖が強いねぇ」
「うーん、否定はできないけど……それよりもっと大事な話をしましょう」
 脱力したように肩を落としてため息をつく兵吾の背を、詞が叩く。
「あー……。ああ、そうだな」
「あなた、香月さん、だったわね?とりあえずここから出るわよ」
 詞は通路の先へと視線を向けた。――その向こうにはまだ残る敵の群と、切り結ぶ黄泉の姿が見える。
 その最中へと向けて、詞は飛び出した。
 【識の境界】。――詞は心の内側で自らの精神にかけた箍を外す。その双眸の奥で、渦巻く殺気が光を灯した。
 瞬天。床を蹴り壁を蹴り急激に加速した詞は秒に満たぬ速度で通路を走り抜け、そして手にした刃を跳ね上げた。
『……!!』
 殺気を纏い、黒和泉の刃が激しく乱れ舞う。それに交錯するように、黄泉もまたその手に握った童子切でもってからくり忍者たちを薙ぎ払った。
 吹き荒れる刃の嵐。呑み込まれてゆくからくり忍者軍団が次々に破壊され、2人の剣が舞ったあとに残骸の山が築かれてゆく!
「人形相手じゃやっぱり殺し甲斐がないわね……」
「……ふうん……」
 通路を塞ぐように展開していたからくり忍者軍団をあらかた破壊し終えたところで、2人はようやく一息ついた。
「……牧杜詞」
 そこで、不意に黄泉は詞へと呼びかけた。
「何かしら?」
 突然の呼びかけにすこし驚いた顔を見せ、詞が振り返る。
「あなたも興味深い刀を持っているようですね。あとで見せてください」
 間髪入れずに黄泉はぐいと詞へ詰め寄り、迫る。その視線は詞の手にした黒和泉の刀身へと熱く注がれていた。
「わたしの刀?……いいけれど……ご期待に沿えるかはわからないわよ?里でいちばんいいものみたいだけど、由来とかはよくわからないし」
「構いません……見せてください」
 黄泉は頷いた。
「……それから、そっちの刀も」
 そして、続けて黄泉の視線は後ろから追いついてきた兵吾――の手の中にある越後守行平へと移る。
「……嬢ちゃん、本当にヤッパしか見えてねえらしいな」
 ある意味わかりやすくていいが――。兵吾は僅かに肩を竦める。
「まあいいさ。ここをうまく切り抜けられたらいくらだって見せてやる。とにかく、まずは脱出するぞ」
「……そうですね」
「ええ。行きましょう」
 そして3人は頷きあった。
 ――かくして彼らは引き続き脱出を目指し、迷宮じみた屋敷の中を進み続ける!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

花盛・乙女
剣豪狩りをまだ続けているとはな。呆れて言葉にもならん。
羅刹女、花盛乙女。いざ尋常に。

まずは兵吾とやらを見つけねば。
生来男が苦手な我が身、嫌な気配を感ずる第六感を当てに探そう。

合流できれば語るよりも剣で名乗る。
構えるは豪刃【嶽掻】、怪力と併せ周囲のからくりを我楽多に変えてやる。
死角より迫る忍刀はあらため不意打ちを警戒しておけばもう一刀、「乙女」を構えていれば防げるだろう。
兵吾とやらの目に負えぬのであればかばいながら戦おう。

石切りか。人間であれば大したものだ。
慢心していないのも好感が持てる。
なれば、羅刹女は城斬りを披露奉る。
真っ直ぐ出口を切り開けば、佳人の助けにもなるだろうさ。


ティオレンシア・シーディア
忍者屋敷かぁ…戦争依頼の無限カミカゼメテオ忍者が印象深いわねぇ、やっぱり。そのための物だから仕方ないけど、相手するとホントめんどくさいのよねぇ…

相手は仕掛けを全部把握してるんだし、こっちから仕掛けるってのはちょっとあたしじゃ現実的じゃないわねぇ。しょうがない、出てきたとこを地道にモグラ叩きしましょうか。
カノ(叡智)・アンサズ(情報)・ラド(探索)で索敵能力を底上げして仕掛けてきた奴を●明殺で〇先制攻撃して潰してくわぁ。攻撃してきたとこに○カウンター喰らわせるんだし、「完全な脱力」なんてできるワケないわよねぇ?
ルーンで感知能力向上させたし、ついでに脱出ルートの構築もできたらいいわねぇ。



『……』
 鉄が疾った。
 『剣豪を殺す』――そのような指示を与えられたからくり忍者の群は、命令に従って屋敷内を哨戒していたのである。
 しかして、からくりが殺すのは剣豪のみではない。当然ながら、衛兵としての任を兼ねて配備された彼らは、剣豪に非ずとも侵入者の姿を見つけたならばその命をもって贖わすべく刃を振り下ろす。
「やッ!」
 だが――一閃!素早く、そして力強く抜き放たれた白刃がからくりの下ろした剣を弾いたのである!
 衝突によって態勢を崩したからくりへと、間髪入れず追撃の刃が振り下ろされた。
 刻まれし銘は嶽搔。重い一撃がからくり忍者を粉々に粉砕し、まるで原形をとどめぬ鉄屑の破片へと変える。
「真田の者はとうに滅びたというのに、剣豪狩りをまだ続けているとはな……呆れて言葉にもならん」
 残心。手の内で柄を握り直し、短く息を吐きながら花盛・乙女(f00399)は顔を上げた。
『……!』
『!』
 見据えた通路の先で、突き当りの壁が開いた。その先に控えていたのは更なるからくり忍者の集団だ。乙女の姿を見つけると、からくり軍団は一斉に刀を振り上げ進軍を開始する。 
「猟書家絡みの連中、どこの世界でもしつこいみたいねぇ」
 銃声が響いたのは、その瞬間であった。
『!』
 だん、ッ!吼える銃声はコルトSAA45口径ピースメーカー改・オブシディアン。放たれた弾頭がからくり軍団を素早く射貫き、機能停止へと追い込んでゆく。
「ま、地道に対処してくしかないんでしょうけどぉ」
 ティオレンシア・シーディア(f04145)である。
 ティオレンシアは更に通路の先へと弾丸を撃ち込み牽制しながら前進し、乙女の横に立った。
「まったくもってけしからんな」
 嘆息一つ。乙女は僅かに眉を顰めながら通路を進み出した。
「……さて、それじゃあまず合流しましょうか」
「うむ。まずは兵吾とやらを見つけねば」
 並んで歩きだすティオレンシアは、その手の中にいくつかの輝石を握る。彼女の得意とするルーン魔術だ。握り込んだ石に刻まれたルーン文字はカノ/叡智・知性、アンサズ/情報・神託、そしてラド/探索。それらを噛み合わせ、ティオレンシアは自身に索敵・知覚能力を向上させる加護の術式を施していた。
「んー……たぶんこっちねぇ」
 拡大された知覚力が、尋ね人の気配を探り出す。ティオレンシアは先導するように乙女の一歩前に出て、道を選んだ。
「む……うむ。そうだな」
 一方、乙女は少しばかり険しい顔をしながら頷いた。
 乙女は生来の男嫌いである。相手の態度によりけり、という部分はあるにせよ、男性の存在は乙女にとって好ましくないなにかを感じさせる。
 そしてこの男嫌いの性分は、修練によって磨き上げられた鋭敏な知覚力と合わさって一種のレーダー的な機能となるまでに達していた。
 即ち――ティオレンシアの指した方面の先に、乙女は『嫌な感じ』を感じ取ったのである。それはすなわち男性。つまり今回の救出対象がそちらにいるのだろう、と考えられる。
 2人の感覚を合わせれば、その精度は非常に信頼性の高いものと判断していいだろう。ティオレンシアと乙女は頷きあって通路を進んだ。

 ――それから進んだ通路の先より響く剣戟の音を2人が耳にしたのは、捜索開始からほどなくしてのことである。 
『……!』
「はあッ!」
 ぎぃんッ!刃と刃がぶつかり合い、刀身が悲鳴をあげる!
「どお……ッりゃあ!」
『……!』
 裂帛の気勢とともに、兵吾は鍔競り合いを制した。態勢を崩すように押し込んで、兵吾は袈裟懸けに越後守行平の刃を叩き込む!両断!“石切り”の二つ名に違わず、兵吾の豪剣はからくりの躯体を真っ二つに断ち切った!
『!』
「ちいっ!次から次へと!」
 しかし追撃!展開したからくり忍者の軍団は一体や二体などではない。一機破壊したところで、控えた後続が更に襲ってくるだけだ。これを繰り返し、疲弊したところを仕留めようという魂胆なのだろう。
 左右から二体同時、からくり忍者が兵吾を襲う。兵吾はこれを迎え撃つべく態勢を整え、剣の柄を握り込んだ。
『……』
 だが死角!左右に気を向けたその瞬間を隙として、背後から更にからくりが迫ったのである!
「……不覚!」
 駆動音に気づいたときには既に遅い。猟兵ならばいざ知らず、只人である兵吾ではこの忍者刀の包囲は切り抜けられぬ。南無三、もはや年貢の納め時か!兵吾が覚悟を決めかけた――その時!
『!』
『……!?』
「それは――通せないわねぇ?」
「賢しい真似を」
 だだ、ッ!吼え猛る45口径弾頭!続けて鳴る風切りの音!側面から兵吾を襲った二体のからくりが爆ぜた。そして、死角を襲ったもう一体もまた、薙ぎ払う刃の前にたちまちがらくたと化す!
「……自在符持ちか!」
「間に合ったみたいねぇ。よかったわぁ」
「うむ」
 言うまでもなく、それは乙女とティオレンシアによる加勢である。2人は周囲のからくり忍者たちを退けながら、兵吾のもとへと合流したのだ。
「“石切り”だな。よく持ちこたえた。人間であれば大したものだ」
 残心。乙女は切っ先を振り、そして油断なく刃を構えなおしながら兵吾を庇うように立つ。
「なに、あんたたちほどじゃアないさ。現にこうして助けられたお陰でまだ生きてる。礼を言うぜ」
「あらぁ。オブリビオン相手にここまで持ち堪えるのだってたいしたものよぉ?」
 続く銃声。ティオレンシアが引き金を引き、からくりたちを牽制する。
「ま、お喋りはこのくらいにしときましょ。敵の数も随分減ってきたみたいだし、そろそろ脱出に移ってもいいと思うわぁ」
「私も同感だ。忍者屋敷だかなんだか知らぬが、斯様な場所はさっさと抜け出すこととしよう」
「右に同じく。……あんたたちのお陰で身動きがとりやすくなった。動くなら今だ」
 そして3人は短く頷きあい、手早く方針を固めた。
 猟兵たちの戦いによって道を阻む敵はその数をおおきく減らしている。既に脱出に向けて動いてもいいタイミングである、というところで全員の思惑が一致したのだ。
 かくして、3人は屋敷内を走り出す。
「とはいえ、忍者屋敷とはねぇ……」
 しかして、入り組んだ内部構造にティオレンシアは半ば辟易して声を漏らす。
「前の戦争の時に無限カミカゼメテオしてきた忍者軍団がいたけどぉ……。やっぱり。そういう手の込んだことしてくる連中って、仕方ないけど、相手するとホントめんどくさいのよねぇ……出口まであとどのくらいかしらぁ」
「いやあ、俺もまったく同感だね。今日一日苦しめられて骨身にしみたぜ」
「であれば、その思惑をぶち壊してやるのがよいだろう。――このようにだッ!」
 だん、ッ!力強い踏み込みとともに乙女は前に出た。
『!?』
 出会い頭!通路の先に潜んでいた忍者軍団へと、刃が叩きつけられる!【花盛流剣技【鬼吹雪】】!激しく吹き荒れる斬撃の嵐が、盛大に鉄屑を撒き散らしながら敵群を薙ぎ払い――その余波が、更に屋敷の壁を撃ち貫いた!
「……よし」
「あらぁ……壁、壊れたわねぇ」
「壊れたな」
「うむ。壊せるのではないか、とは私も薄々思っていた。……なれば、ここより先は城斬りを披露奉る」
 そして、乙女は再び剣を構えた。
「そうねぇ、まっすぐ行けるならその方が話が早そうだわぁ。それじゃ、こうしましょ。あなたが壁を破って道を開く。あたしは寄ってくる敵を迎撃する。で、屋敷の外まで一直線よぉ」
「いいだろう。“石切り”、それでよいな」
「ああ」
「では――羅刹女、花盛乙女。いざ尋常に」
 ――かくして、彼女たちはここで再び方針を変える。
 ティオレンシアが集まる敵を迎え撃って安全を確保し、その間に乙女が壁を打ち壊して真っ直ぐ出口を切り開く。
 迷宮の攻略法としては邪道極まる力技であるが――元々、剣豪を罠に嵌めるために作られた屋敷だ。どうされたところで文句もつけられまい。

 そうして、弾丸と剣によって道は拓かれ――――猟兵たちと剣豪は、屋敷からの脱出を果たすのである!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『最強無敵究極天魔城』

POW   :    最強無敵究極天魔拳
単純で重い【拳】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    最強無敵究極天魔忍者隊
【城内から忍者軍団】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    最強無敵究極天魔砲
【両肩の砲身】を向けた対象に、【最強無敵究極天魔砲】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

「ふーっ……かたじけねえや。あんたたちのお陰で助かったぜ」
 香月兵吾は、猟兵たちへと礼を述べた。
「ったく、しかし……。女鹿沢の旦那め、随分とけったいな真似をしでかしてくれやがる」
 そして兵吾は振り返り、女鹿沢・郎保座右衛門(めかざわ・ろぼざえもん)の屋敷を睨んだ。
「こいつはどうにも仕返しのひとつでもしなけりゃ俺も虫の居所がおさまりゃしねえが――」
 しかし、その時である。
「……なんだ?」
 ここに兵吾と猟兵たちは奇怪な振動を感じ取った。
 地震であろうか。――否、そうではない。
 屋敷の方へと視線をやれば、誰しもが気づくことができたであろう。
 ――郎保座右衛門の屋敷が、激しく揺れ動いているのだ。

「グフフフ……よもや猟兵どもを味方につけるとはな。石切り兵吾め、悪運の強い奴よ」
 一方。
 屋敷の奥で、女鹿沢・郎保座右衛門はカタカタと音を鳴らしながら身体を揺らして笑った。
「だが……その悪運も、ここまでよ。この儂を本気にさせてしまったのだからな!」
 そして――郎保座右衛門の身体が崩れ落ち、そしてばらばらに散らばったのである。
 否――それはからくり細工!鉄と木で組み上げられた人形である!
 そう。女鹿沢・郎保座右衛門(めかざわ・ろぼざえもん)などという男ははじめから存在しなかったのだ。兵吾をここへ誘った男は、『何者か』の手で動かされていた傀儡人形に過ぎなかったのである。
 ならば、その正体とは――!!

「なん……っだ、ありゃあ」
 そして兵吾は、天を仰いだ。
 兵吾は目の前で起きたことが信じられなかったのである。
 よもや――――“屋敷が”“立ち上がる”などということが、現実に起こるとは!
『グフフフフ……グハハハハハ!ハアッハッハッハ!』

♩最強無敵・究極天魔城のうた(作詞 無限宇宙人 カノー星人)
 江戸前 浮かぶ朝日を浴びて
 胸で輝く無敵の二文字
 不屈の拳を振り上げて
 いざ今向かわん天下取り
 身長 弐伍〇尺 体重 伍萬伍千貫
 おお最強 最強 最強無敵 究極天魔城

 忍者軍団の唱和する最強無敵究極天魔城のうたをバックに、立ち上がった郎保座右衛門の屋敷が猟兵たちの目の前で合体し、そしてその真なる姿を猟兵たちの前へと見せつける!
 おお――見よ!そこに聳え立つ巨大な鉄人の姿を!
 それこそが此度の『剣豪殺し』を企てた黒幕、巨大からくりオブリビオン・最強無敵究極天魔城である!

 そう。最強無敵究極天魔城は、自らの躯体の一部を地上に表出させた状態で地面の下へと埋まり、その存在を巧妙に隠しながらも、地表に残した自らの一部を剣豪殺しのためのキルゾーンとして使うことで作戦を進めていたのだ。
 だが、猟兵たちの介入によって作戦を邪魔されたことで、本来の姿を曝け出すこととなったのである。その真なる姿を現した最強無敵究極天魔城は、障害となる猟兵たちと本来の殺害目的である剣豪・石切り兵吾をまとめて叩き潰すべく、戦闘形態をとったのだ!
「……おうおう、まさか城そのものが相手たぁ、驚きじゃねえか」
『グハハハハ……どうだ。恐れ入ったか石切り兵吾よ!邪魔な猟兵ともども、貴様をここで骸の海へと引きずり込み、くるせいだあ様の侵略の手駒にしてくれるわ!』

 かくして。
 ――最強無敵究極天魔城が、襲い来る!
白斑・物九郎
●SPD



テーマソング付きだァ?
なかなか『やる』みたいっスね


・兵吾には、メカだけど【野生の勘】を研ぎ澄ましたドローン『茶斑の三毛』を護衛に付け、安全そうな足の踏み場を案内させとく
・そして己はキャバリア『ストームライダー』を【操縦】しエントリー


――コード〝M(マタタビ)〟発動、余剰外装パージ
補助リアクター点火、システムブースト

励起状態確認
最大機動形態に移行
活動限界、ワンハンドレット・エイト・ミニッツ――

『ビーストドライブⅢ』、発動ォ!


・歌が格好いいので、こっちは格好いいシークエンスで対抗
・キャバリアに化け猫の力を降ろし(化術+限界突破)、忍者軍団を【蹂躙】しつつ天魔城まで攻め上りブチかます(暴力)



『グハハハハハ!!どうだ、参ったか石切り兵吾!そして猟兵ども!この儂の威力の前にひれ伏し、そして滅ぶがいい!』
 ゴォ――ッ!!
 最強無敵究極天魔城が、その第一歩を踏み出した。
 身長弐伍〇尺。体重伍萬伍千貫。その巨大な質量は、たった一歩歩むだけで、凄まじくも巨大な脅威だ。

 おお最強 最強 最強無敵 究極天魔城

 ――最強無敵究極天魔城の内部で、オブリビオンの忍者軍団が最強無敵究極天魔城のうたを唱和する。
 響き渡るテーマソングがその威容の強大さを更に引き上げ、そして猟兵たちと兵吾を威圧していた。
 しかし。
「ズイブンな奴が出てきたかと思えば……テーマソング付きだァ?」
 ざり、ッ。
 下駄の底が、砂を踏みしめる音を鳴らす。
 そこに立つのは、白斑・物九郎(f04631)の姿であった。
「なかなか『やる』みたいっスね」
 そして、物九郎は最強無敵究極天魔城の威容を仰ぎ見る。
 凄まじい威圧感。迫力の可動。光る。動く。音が鳴る!その姿は、見る者すべてを畏怖させる常識外れの巨体だ。
 ――しかして、物九郎はその巨躯を前にしながらも、面白がるように笑ってみせた。
「……おいおい、ヨユーって感じのツラだが……どうすんだい、アンタ」
 だが、敵は巨大な。実際どうやって攻略するのか。兵吾は物九郎に尋ねる。
「こっちニャあのテのヤツとやり合うための道具があるんスよ」
 その瞬間である。
 切り開く閃光!開かれた転送ゲートを飛び出して、漆黒の躯体が飛び込んだ!
「な……ッ!?でっけぇ化け猫!?」
「こいつが俺めの秘密兵器……『ストームライダー』ッスわ」
 そう。ここに駆け付けたマシンこそ、物九郎の愛機。四足型高機動戦闘用キャバリア・ストームライダーである!
 伏せるように身体を下げたストームライダーの操縦席へと、物九郎は素早く滑り込む!
「んじゃ、俺めは行ってくるっスから――“石切り”でしたわな。お前さんはこいつと一緒に安全なトコに逃げときゃいいっスよ」
 そして物九郎は兵吾のもとへと『茶斑の三毛』を放り投げた。飛んできたネコ型ドローンをキャッチして、兵吾はおわあと声をあげる。
『フン……猟兵め、貴様もからくりを持っていたか!』
 一方、最強無敵究極天魔城は物九郎とストームライダーを見下ろし、そして戦闘態勢へと入っていた。
『だが、この儂に比べれば貴様のからくり如き、生まれたての子猫も同然よ!その身体をばらばらに引き裂き、残骸で三味線をつくってくれるわ!』
 最強無敵究極天魔城はストームライダーの躯体を見下ろし、そして両肩の最強無敵究極天魔砲を向けた。――発射!轟音と共に放たれた炎弾が地面へと突き刺さり、そして爆発する!
「ハ!大きさだけで勝ったつもりたぁ、ドサンピンもいいとこっスわ!」
 だが、物九郎は鋭く躯体を機動させ、その砲撃を躱していたのである。
『ムウ……!ならばこれでどうだア!』
 しかし連射!最強無敵究極天魔城の肩で砲口が吼え猛る!続けて襲う爆轟!
「ッ、は――!」
 砲火に晒される中、物九郎はコクピットのコンソールを叩いた。
 その指先で素早くコマンドコードを入力し、セキュリティを外す。システム・アクティベート。コクピット内のモニタに表示される最終確認メッセージの『Y』を叩く!
「――コード〝M《マタタビ》〟発動、余剰外装パージ」
 その瞬間である――ストームライダーの機体外装の一部が、弾け飛んだ!
「補助リアクター点火、システムブースト。励起状態確認……」
 更に、ストームライダーの躯体の各部より小型のスラスターユニットが展開する。――機体の形状を変化させているのだ。装甲を外すことで軽量化し、更に推進機の出力を上昇させることで、速度を高めた形態へと!
「最大機動形態に移行。活動限界、ワンハンドレット・エイト・ミニッツ――」
『ヌウウウ!小癪なア!』
 だが、そうはさせまいと最強無敵究極天魔城が砲撃を撃ち込む。
 爆轟――!放たれたその砲撃は、ストームライダーの目前で爆発し、その躯体を爆炎の中へと包み込んだ。
『グハハハハ!どうだ!にゃあの音も出まい!』
 確実に破壊した――!そう確信する最強無敵究極天魔城が、高らかに笑い声を響かせる。
 しかし、その時である!
「【ビーストドライブⅢ】、発動ォ!」
『なにィ、ッ!?』
 しゃ――ッ!!閃く爪牙が炎を裂く!爆炎を振り払いながら飛び出したのは、最大機動形態への変形を果たしたストームライダーの躯体だ!
 これは単なる変形ではない。物九郎は機体を依り代として、骸魂である妖怪・ネコマタの力を呼び込んだのだ。
 そこに生じる加速性能と機動力は、キャバリアの常識と限界を超越する!
「ほォ――なるほどなるほど。こいつは面白ェ」
『みい』
 加速するストームライダーの躯体にしがみつきながら、香月兵吾と茶斑は嗤った。
「おわッ。何してんスか!」
「ここが一番安全だと思ったんでねぇ」
「なんつー屁理屈……」
「ずるいぜ、俺を除け者にしようなんざ!」
「しゃーねぇっスな……ンなら落ちるンじゃねーっスよ!」
「合点!」
 そして物九郎はレバーを押し込み、キャバリアの出力を更に上昇させた。素早く駆動するストームライダーの躯体は、砲撃を易々と掻い潜りながら最強無敵究極天魔城の足元を捉える!
『ムウ……!おのれ!かくなる上は我が忍者軍団で……』
『『『拝累(はいる)!』』』 
 一方、取り付かれた最強無敵究極天魔城はその城内に控えさせていた忍者軍団を出動させた。これで迎え撃とうというのだ!登場した忍者軍団は右腕をまっすぐに伸ばす敬礼姿勢をとった後、ストームライダーを迎撃すべく配置につく!
「ンなもん相手にならんっスわ!!」
『グアーッ蹂躙!!』
『グアーッ即死!!』
 しかし鎧袖一触!ストームライダーの威力が忍者軍団を一掃する!更に巧みに機動するキャバリア躯体はキャットタワーを駆け上がるように最強無敵究極天魔城の頭部まで攻め寄せたのだ!
『む、ウウウ!』
「おらッ石切り!お前さんもやるんでしょうや!」
「言われなくともぉッ!!」
 そして、間合い!
 最強無敵究極天魔城の頭部を、ストームライダーの爪が!そして、それに便乗した石切り兵吾の豪剣が襲ったのである!
『グオオオオオオオッ!!』
 衝撃――!!重なる刃に、最強無敵究極天魔城が揺らぐ!
『お、おッのれェ……!!よ、よくもこの儂に、こんな傷をォッ!!』
 激昂する最強無敵究極天魔城!しかし、ストームライダーは素早く最強無敵究極天魔城の躯体を駆け降り、そして離脱していた。見事な一撃離脱戦法である!

 ――かくして、最強無敵究極天魔城との戦いの口火は切られたのである!

成功 🔵​🔵​🔴​

ティオレンシア・シーディア
…うっわあ、またあったまわるい名前ねぇ…
まあ、デカさと重さは強さ、ってのは真理の一つだし。油断とか慢心とかしてられる状況じゃないのよねぇ。
…けど。長所と短所は表裏一体、ちょっとつつけば簡単に裏返るのよぉ?

ミッドナイトレースに○騎乗して○騎乗突撃、●黙殺・妨害で〇弾幕バラまくわぁ。看板が正しいなら身長75メートル、横幅も当然それ相応。
大男、総身に知恵が回りかね…その図体じゃ肩の大砲で足元なんかロクに狙えないでしょ。
〇捕縛足止め継続ダメージその他デバフのてんこ盛り、的が巨大な分着弾も大量。本来半径111メートル全方位にバラ撒く分を纏めて喰らわすんだもの、一発頭は微細でも中々馬鹿にならないでしょぉ?



『おのれ石切り兵吾!そして猟兵どもめッ!よくもこの儂、最強無敵究極天魔城に盾突きおったな!』
 ――激昂!
 怒りに燃える最強無敵究極天魔城が、地響きめいた足音を響かせながら迫り来る!
「……最強無敵、究極天魔城ぉ?」
 しかして。
 ティオレンシア・シーディア(f04145)は、眉根に皺を寄せながら呟いた。
「うっわあ……、また、あったまわるい名前ねぇ……」
 『最強』だの『無敵』だの『究極』だのを、自分から名乗るとは。どれほどの自信を持ってのことであろうか。
 その上で、並べ立てた上でどうしようもなく醸し出される知能指数の低さがティオレンシアを悩ませたのであった。
 ……とはいえ、である。
『フンッ!』
 ズゥン――ッ!!踏み出した一歩がサムライエンパイアの大地を揺らし、伍萬伍千貫の重量が轟いた。
 その巨大さ。その重量。その質量――それは、シンプルな暴力として機能する。
「まあ、デカさと重さは強さ、ってのは真理の一つだし。油断とか慢心とかしてられる状況じゃないのよねぇ……」
 ティオレンシアはそれをよく理解している。如何に知能指数の低い敵であろうとも、決して油断してはならない相手だ。
「……けど。長所と短所は表裏一体、ちょっとつつけば簡単に裏返るのよぉ?」
 だが、その上でティオレンシアは口の端に笑みを浮かべてみせた。
 それは多くの鉄火場を潜り抜けて来た歴戦の猟兵だけが見せることのできる余裕である。
「……じゃ、いこうかしらぁ」
 ぎゅるん、ッ――!反重力エンジンが始動する。ティオレンシアは飛び乗った愛機ミッドナイトレースのグリップを握り、そして迫る最強無敵究極天魔城を仰いだ。
『フン……!猟兵と言えどたかが女一人で何ができる!』
 しかして最強無敵究極天魔城は激昂とともに眼下を見下ろし、そしてティオレンシアの姿を捉えた。
『くらえィ!』
 そして――号砲!最強無敵究極天魔城の両肩で、駆動する最強無敵究極天魔砲が吼え猛る!砲火!吐き出された弾頭が大地に突き立ち、そして爆発した!
「お――っとぉ」
 だが、あがる噴煙の中からティオレンシアは飛び出した。素早く加速したミッドナイトレースの機動力が、最強無敵究極天魔砲の火力を鮮やかに躱したのである!
『ヌウ……!』
「大男、総身に知恵が回りかね……ってねぇ」
『おのれぇ!』
 最強無敵究極天魔城は、弾道を逃れるティオレンシアを追う。
 しかしティオレンシアは更にマシンを加速させ、最強無敵究極天魔城の知覚範囲を巧みに逃れたのである。高い機動力を生かして更に機体のスピードを上昇し、側面へ。そして背面へ。
 当然ながら最強無敵究極天魔城はそれを追って反転するが、身長弐伍〇尺――メートル図法に直して約75メートルの躯体では、それにもある程度の時間を要してしまう。横に回り込んだティオレンシアを追って身体を捻ったところで、既に彼女のマシンはその先へと進んでいるのだ。
「じゃ、やろうかしらねぇ?」
『ぴきゅ』
 爆ぜる砲火の爆炎に髪をなびかせながら、ティオレンシアは胸のポケットに触れる。
 そのポケットの中で、彼女の友である鉱物生命体ゴールドシーンが短く鳴く。同調するように高まる魔力とユーベルコード出力――ティオレンシアから伝えられたユーベルコード出力を用いて、ゴールドシーンは術式を描いた。
 【黙殺・妨害】。
 受け取ったティオレンシアの意志をかたちにするように、ゴールドシーンは術式を展開する。
 そこから生じるのは、無数に別れた魔力光の奔流である。
 散弾めいて拡散する光弾が、交錯する無数のレーザー光が、ミサイルめいて炸裂する術式塊がそこに飛び交った。
「打てば当たる……って感じかしらねぇ?」
『ヌウウウッ!!こ、これはアッ!?』
 ――いずれの光の中にも、呪詛の力が込められている。それは歯車を止める『遅滞』の呪いであり、建材を劣化させる『腐食』の呪であった。
「あらぁ。気づいたかしらぁ? ……そうよぉ。一発頭は微細でも中々馬鹿にならないでしょぉ?」
 最強無敵究極天魔城は、浴びせられる魔力光と、それを受けた箇所から生じる異常に気付き血相を変えた。
 本来であれば――ここに展開した彼女のユーベルコードは、広い範囲に対して劣化や異常状態に陥る呪詛を拡散することでいわゆるデバフ状態をばら撒き、大群の動きを止めるためのものだ。
 しかして今回の戦場に於いてティオレンシアはその弾幕のすべてを最強無敵究極天魔城の躯体へと集中させたのである。――敵が巨大であるが故に可能となった戦術であった。
 最強無敵究極天魔城はその質量が仇となったのだ。仰ぎ見る程の巨体であったが故に――このようにして、ティオレンシアの仕掛けた呪詛の弾幕を余すことなく身に受けてしまうこととなってしまったのである。
『グ、グオオオッ!う、動かん……わ、儂の身体が!!』
「はぁい。これで仕上げ……っと」
 纏わる呪詛の力によってほとんど身動きを取れなくされた最強無敵究極天魔城が苦悶に呻く。
 その一方で、ミッドナイトレースを駆るティオレンシアは最強無敵究極天魔城の頭部へとたどり着いていた。
「さんざ好き勝手やったんだから、少しは反省するといいわぁ」
 だん、ッ――!引かれる引き金!45口径オブシディアンの銃口から飛び出した45口径弾頭が、最強無敵究極天魔城の頭部を叩く!
『ぐ、ム、オオオオオオッ!』
 その衝撃に、最強無敵究極天魔城が激震した――!その一撃が与えたのは、最強無敵究極天魔城にとってももはや無視できぬ大きなダメージだ。
『お、おッ、の、れぇ……おのれ猟兵どもめェ!』
 だが、未だ最強無敵究極天魔城の動きは止まってはいない。
 ギリギリと音を立てる身体を強引に駆動させ、そして猟兵たちへ逆襲せんと動き出しているのだ!
「あらま。まーだ元気なのねぇ?……じゃ、もう一発要るかしらぁ?」
 ティオレンシアは油断なく一時後退する。
 ――敵のしぶとさとパワーはまだ底知れない。猟兵たちの戦いはまだ続くのであった!

成功 🔵​🔵​🔴​

牧杜・詞
黄泉さん(f27086)と

こんどは城?
無機物はあまり好みじゃないのだけれどね。
それに黄泉さん……目的違ってないかしら、っていまさらか。

って、あ、ついに刀奪っちゃったわね。

しかたないわね。
「兵吾さん、これ使って」
と、【鉄和泉】を兵吾さんにわたして、わたしは【新月小鴨】を使うわね。

短刀だから間合いは狭くなるけど、
これだけ大きいと潜り込んだほうが安全だし、かまわないかな。

無機物じゃ【命根裁截】は使えそうにないから、【識の境界】でいかせてもらおうかな。
足下まで潜り込んだら、脚の駆動部分を狙って切りつけていくわね。

近づかれたときの防御がないとは思わないけど、
そこはスピードと【第六感】で躱していくわ。


叢雲・黄泉
牧杜詞と

「なるほど、私の越後守行平を奪おうとしていたのは、この絡繰ということですね……」

確かにこの刀があれば、どのようなオブリビオンであろうとも一刀両断。
オブリビオンにとっては邪魔な存在でしょう。
ですが、そうはさせません。

「私の越後守行平は、オブリビオンなどには渡しません……
さあ石切り兵吾、私の越後守行平を渡しなさい……」(強引に奪い取る

私の越後守行平よ、その力を示すのです……
拳を振り下ろしてきた絡繰に対して、私の越後守行平を抜き放ち、【斬魔剣】で一閃します。

「ふっ……
私の越後守行平の前に敵はありません……」

チン、と越後守行平を鞘に収め……
……香月兵吾に越後守行平を取り上げられるのでした。



「忍者屋敷かと思ってたら……今度は城?」
 なんて非常識な。牧杜・詞(f25693)は眉根に皺を寄せた。
「まさか出てきたのが絡繰なら裏で糸を引いていたのも絡繰だったとは……驚きですね」
 叢雲・黄泉(f27086)もまた、その横で最強無敵究極天魔城の威容を仰ぎ、そして嘆息する。
「無機物はあまり好みじゃないのだけれどね」
「……」
 そして、ぼやくように呟いた詞の隣で、黄泉は最強無敵究極天魔城を睨んだ。
 気にかけて詞は声をかける。
「どうしたの?」
「なるほど、私の越後守行平を奪おうとしていたのは、この絡繰ということですね……」
 ぐ、っ。
 ――黄泉が刀の柄を握りしめるその指先に、強く力が籠もる。
 その手が握りしめる剣の銘こそ、越後守行平――。名刀打ちと名高く在りながらも、それ以上に名の通った他の刀派のネームバリューに押され、歴史の表舞台に立つことのなかった越後の刀工の作品である。
 質実剛健を是とし、その鋭さはもとより、使い手の繰り出すいかなるわざにも耐えてみせる――という触れ込みのひと振りであった。
「なるほど確かにこの刀があれば、どのようなオブリビオンであろうとも一刀両断。オブリビオンにとっては邪魔な存在でしょう」
 黄泉は越後守行平を握りながら最強無敵究極天魔城の威容へと対峙し、そしてその表情を険しくする。
「ですが、そうはさせません。私の越後守行平は、オブリビオンなどには渡しません……!」
「黄泉さん……目的違ってないかしら」
「いや、本当にそうだよ」
 ここでようやくツッコミが入った。
 ――困ったような顔をする兵吾は、無手である。つい先ほどどさくさ紛れに黄泉に奪い取られたのだ。
 武器がないと困るので返せ、と兵吾は言うが、そのあたりを黄泉は完全に聞き流していた。
「さあ、行きましょう二人とも!」
「こいつマジで話聞かねえな」
「うーん……しかたないわね。兵吾さん、これ使って」
 このままでは埒が明かぬと悟った詞は説得を諦めた。詞は自分の得物である鉄和泉を兵吾へと投げ渡す。
「……かたじけねえ!」
「どういたしまして。……それじゃ、いくわよ」
『フン……茶番は終わりか!ならばゆくぞォ!』
 ずしん――。そして、地面が揺れる。敵が動き出したのだ。猟兵たちと兵吾を踏み潰すべく、大地を踏みしめながら最強無敵究極天魔城が進撃する!
「くるわね……。潜り込んだ方が安全そうだし、このまま進みましょ」
「合点!」
 対し、詞と兵吾は走り出した!敵の足元へと迫り、砲撃や拳の届かぬ位置から仕掛ける心算だ。
『そうはさせんわッ!行けぃ、我が軍団よ!』
『『『拝累(ハイル)!』』』
 だが、敵の接近を気取った最強無敵究極天魔城は、城内に待機させていた忍者軍団に出撃を促す!
 最強無敵究極天魔城の城内に控える忍者軍団はかつて戦国の世に選民思想による弾圧と恐怖をもたらした邪悪の徒、那智衆の者たちである。右腕を天へと向けてまっすぐ突き出す独特の敬礼姿勢で声を揃えて敬服と従属を示す合言葉を叫び、そして最強無敵究極天魔城の窓から飛び出した!
「なんじゃッ!?忍者ぁ!?」
「屋敷の中にいた連中とは違うみたいね」
『これ以上城には近づかせんぞ!』
『我ら最強無敵究極忍者隊の力を見せてくれる!』
 ざッ!展開した忍者軍団が2人の行く手を阻む!
「……まともに相手してたらきりがないわ。押し通るわよ」
「おうさ!」
 だが、詞と兵吾は怯むことなく前進した。それを止めるべく、忍者軍団が襲い掛かる!
「はッ!」
『とおッ!』
「やあっ!」
『ヌウーッ!』
 豪剣!裂帛の気迫とともに振り下ろした兵吾の刃が、真正面の忍者を切り伏せる。
 続けざまに疾る剣筋!素早く飛び込んだ詞が手にしたその刃を閃かせたのである。新月小鴨!刃渡り短い短刀であるが、それはむしろ取り回しの良さという利点に通ずる。詞は忍者たちを上回る速度で剣を振るいながら前へと進んだのだ。
 ――刃を放つ詞の双眸には、鋭い殺気の光が宿っていた。
 【識の境界】。――詞がその精神の裡に抱えた殺人衝動を解き放つことで、自らにかけられた枷を外すユーベルコードである。
『グアーッ死ぬ!!』
『捨以世(シャイセ)!!』
 これによって加速した詞は目にもとまらぬ速度で最強無敵究極忍者隊の間を飛び回り、素早く敵を始末してゆく。
 更に、閃く刃から生じる剣圧の余波は最強無敵究極天魔城の脚部周辺へも影響を及ぼした。最強無敵究極天魔城の足周りの駆動系が、衝撃と圧力に悲鳴をあげ始めたのだ。
『グオオオオッ!こ、小うるさい虫共がアッ!!』
「残念でしたね、オブリビオン……。いえ、はじめからあなたには勝機などなかったのでしょう」
『……なんだとォ!?』
 苦悶に呻く最強無敵究極天魔城を仰ぎ見ながら、黄泉が嗤う。
「そう……。既に決着はついたといえます。なぜならば」
 そして、黄泉は剣を掲げた。
「今の私の手には、この越後守行平があるのですから……!」
 黄泉が曰く――。刀剣蒐集家である私がこの名刀と出会ったのは運命。無骨な柄の手触りと、ずしりとくる玉鋼の重みが何年も前から自分のものだったかのようにしっくりと手に馴染む。
『なにを言っておるかまるでわからんが――戯言をっ!!』
 しかして最強無敵究極天魔城は激昂する!握り込んだその拳は大地をも砕く必殺の最強無敵究極天魔拳!最強無敵究極天魔城がその拳を黄泉めがけて振り下ろすッ!
「……そんな力任せに、私の越後守行平は負けません…………。さあ、私の越後守行平よ、その力を示すのです……」
『戯けがッ!!そのような爪楊枝一本、容易く圧し折ってくれるわッ!』
 最強無敵究極天魔城の振り下ろす拳に、黄泉は真正面から対峙する。
 ――そして、短い呼気と共に構えた。

 ユーベルコードとは、意志の力によって世界を改変し、事象を捻じ曲げて己が願いを行使する超常の御業である。
 それが展開されるとき、世界の法則は遮断され、結果のみが残される。
 であるが故に。
 刀一振りで城を斬れるか、と猟兵に問うならば――その答えは、無論、是である。
 
『ヌウウウウウウウウウッ!?』
「ふっ……」
 そして、ユーベルコード戦闘とは、ユーベルコードを行使する者同士の意志力のぶつかり合いであると言える。
 互いに打ち合い、激突したユーベルコード出力は――そこに乗せられた意志の強い方が、勝つ!
「私の越後守行平の前に敵はありません……」
『グアアアアアアアアアアッ!!』
 かち、っ――ちいん。
 黄泉が剣を鞘へと納めたその瞬間、最強無敵究極天魔城の片腕がばらばらに瓦解し、そして崩れ落ちた。
 おお、見よ。これぞ秘剣【斬魔剣】。黄泉の放った剣は、世界法則を超越し最強無敵究極天魔城の腕を切り崩したのである。
「……借りモンで調子に乗ってんじゃねえ」
「ぎゃふん」
 と、ここで本来の持ち主である兵吾が黄泉の脳天に手刀を加えた。ぎゃふんと言わされた隙に越後守行平を取り上げられる。
「……私の越後守行平」
「俺のだ!!」
「まあまあ。喧嘩してる場合じゃないわよ……ほら」
 宥める詞が天を指した。兵吾と黄泉がつられてそちらを見遣る。
『おのれおのれおのれエエエエエエエエッ!!!猟兵どもッ!!石切り兵吾っ!!許さぬ、決して許さぬぞォッ!!』
 ――咆哮!狂乱!
 詞が指した先では、怒りに身体を震わせながら半壊した最強無敵究極天魔城が吼え猛り激情に叫んでいた。
 そう。最強無敵究極天魔城はまだ健在であったのだ!
「しぶてえな」
「……なら、もう一度、私の越後守行平で……」
「俺のだ!!」
「それはもういいわよ。とどめにいきましょう?」
 猟兵たちはあらためて各々に武具を構えなおし、そして再び最強無敵究極天魔城へと相対した。
 かくして、猟兵たちと最強無敵究極天魔城の戦いは佳境に入る。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

殺風景・静穂
城を落とすのは強い人に任せるとして。
ここでも忍者軍団が邪魔よねえ……
剣豪さんも守らないといけないし

そんなわけだから、出て来た所で悪いけど、城内に引き返してもらえる?
と言っても聞いてくれるわけもないか
それじゃあ「火計」を使わせて貰おうかな

舞陽炎で天魔城を燃やすの(指ぱち)
天を焦がす炎、舞い散る火の粉、立ち上る黒煙、今にも焼け落ちる天守閣……
やりすぎってくらい派手に演出してみせるわね
ほら、早く戻って火を消さないと。
守る城がなくなったら、元も子もないんじゃない?

うまく城内に引き上げてくれたら、剣豪さんに微笑みかけて。
ふふっ。どうかしら、楽しんでいただけて?


ナイツ・ディン(サポート)
「ディロ、行くぞ!」
『竜たる我が力を見るがいい!』

ナイツは「」、一人称俺、冷静でありつつ好奇心旺盛
ディロ(竜槍/紅竜)は『』、一人称我、不遜な暴れん坊
ローア(竜槍/蒼竜)も『』、一人称私、丁寧な保護者

小柄な妖精種を生かして飛びながら(空中戦)ヒットアンドアウェイ、回避(見切り、第六感、盾受け、武器受け)してから弱点(鎧無視攻撃)を竜槍で突いたり薙ぎ払ったりカウンターが基本。場合によっては弓の援護射撃も有り。

UCは適宜使っていくぞ。
「暴れ倒してやるぞ、ディロ!」

援護よりも押せ押せ、アタッカー気質。変身系UCを使った場合は激痛耐性、火炎耐性、、氷結耐性でゴリ押すことも多い。



 ~これまでのあらすじ~
 
 サムライエンパイアの地にて、猟書家・真田神十郎の企てた『剣豪殺し』の陰謀は未だ続いていた。
 その志を継いだ悪の大名・女鹿沢 郎保座右衛門(めかざわ・ろぼざえもん)は、ある一人の剣客――“石切り”の異名をとる剣士、香月・兵吾を罠へとかける。
 郎保座右衛門は脱出困難な迷宮として作り上げた自らの迷宮に兵吾を閉じ込め、それを殺害することで『剣豪殺し』の陰謀を果たさんとしたのだ。
 しかし、その作戦は猟兵たちの介入によって瓦解することとなる。
 猟兵たちの活躍によって、兵吾は無事に屋敷から脱出することに成功したのだ。

 だが、話はこれだけでは終わらない。
 郎保座右衛門の正体は、兵吾を閉じ込めた屋敷そのもの――巨大からくりオブリビオン、最強無敵究極天魔城だったのだ。
 猟兵たちの介入に激怒した最強無敵究極天魔城は、兵吾と猟兵たちを抹殺すべく、その威容をもって襲い掛かる――!!

「……と、こういうわけよ」
 殺風景・静穂(f27447)は、そうして状況説明を終えた。
「なるほど。それで俺達が呼ばれたってわけだな」
『ほう……なるほど、敵は城そのものというわけか。くく、面白いではないか』
 ナイツ・ディン(f00509)と、その相棒である赤き竜・ディロが空を仰ぎ見た。
 身長弐伍〇尺、体重伍萬伍千貫。そこに聳え立つ巨躯は、フェアリーであるナイツから見れば山が動いているようなものだ。その脅威度たるや、凄まじい。
「で、あんたらは何が得意だ?」
 剣を肩に担ぎながら、剣豪・石切り兵吾がナイツへと尋ねた。
『ふん。我にそれを問うか。ならば教えてやろう……我らが得手とするのは、竜たる我が力による破壊である!』
「ああ。あんたらから見りゃ小さく見えるかもしれないが、こう見えてもアタッカーの仕事には自信がある。頼ってくれ」
 息巻くディロに、ナイツが頷いた。
「なら、城を落とすのを任せるわ」
 静穂がその視線を最強無敵究極天魔城へと向ける。
「ここまでの状況で、向こうは半壊状態よ。あと一押しっていうところだから、頼めるかな」
『よかろう』
「それはいいとして、そっちはどうするんだ?」
「俺らはあっちを抑え込んで、あんたらが動きやすいようにするさ」
 首を傾いだナイツに、兵吾は最強無敵究極天魔城の足元を指し示した。
『『『拝累(ハイル)!』』』
 おお――見よ。そこに展開していたのは、最強無敵究極天魔城の城内に控えていた最強無敵究極天魔忍者隊である!猟兵達の作戦を妨害し、最強無敵究極天魔城の破壊を阻むべく城内から出動してきたのだ。
「うん。わたしと剣豪さんでうまく彼らを抑えるわ」
「その間に、その……火蜥蜴の旦那らにやってもらう、ってところだな」
『我をトカゲと言うたか小僧!なんたる不遜な……』
「ディロ、今は文句言ってる場合じゃないぞ!……了解だ。作戦は把握した。それなら、任された分の仕事は果たさせてもらう。……さあ、行くぞディロ!」
 ナイツはディロの背を叩いて不満の声を黙らせながら、翼を広げて飛び立った。
「じゃ、あとは向こうに任せよう。こちらはやるべきことをやる、ということで――」
 その姿を見送って、静穂と兵吾は最強無敵究極天魔城の足元に展開した忍者軍団の方へと視線を遣る。
『おのれ猟兵!』
『捨以世(シャイセ)!』
「来てるな」
「来てるわね」
 ざ――ッ!声をあげながら迫り来る忍者軍団!静穂と兵吾はそれに相対する。
「じゃあ、片っ端から切り捨ててやると――」
「いや、その必要はないよ。わたしに考えがあるからね」
 剣を抜き放とうとした兵吾であったが、静穂はそれをとどめた。
『今日を貴様らの命日にしてくれる!』
「あっははは。怖い怖い。……しかしね、出て来た所で悪いけど、引き返してもらえる?」
 迫り来る忍者軍団を前に、静穂は一歩前に進み出て言った。
『何を戯言をっ!』
『このまま切り捨ててくれるわ!』
「ううん、やっぱり言うだけじゃ聞いてくれるわけもないか」
 しかして聞く耳持たず!忍者軍団は激昂と共に忍者刀を振り上げ、静穂と兵吾に迫ろうと襲い来る!
「それじゃあ、「火計」を使わせて貰おうかな」
 だが――その瞬間であった。
 ぱちりと静穂が指を鳴らす。――その仕草を起動の鍵として、彼女はその身に高めたユーベルコード出力を放ったのだ。
 刹那。

 ――最強無敵究極天魔城が、激しく炎上した。
《グオオオオオオッ!!》
 燃え上がる炎が天を焦がす。立ち上る黒煙が振り撒く焦げ臭さ。舞い散る火の粉は、忍者軍団のオブリビオンたちに肌の灼ける痛みさえもたらす。
 そして忍者軍団は見た。苦悶の声をあげる最強無敵究極天魔城の姿を。
『な、なに……どういうことだ!?』
『何故、何故城が燃えている!?』
『捨以世(シャイセ)!』
「おや。こんなところでうかうかしていていいのかな?……ほら、早く戻って火を消さないと」
 どよめき動揺する忍者軍団へと、静穂は微笑みかけた。
『ムウウーッ!』
「守る城がなくなったら、元も子もないんじゃない?」
『お、おのれ……卑劣な真似を!』
『一旦城内に引き上げだ!行くぞ!』
 そして判断は早かった。
 忍者軍団は踵を返すと素早く地面を蹴って飛び立ち、そして最強無敵究極天魔城の城内へと引き上げていったのである。
「……なんだ。どうしたってんだ連中」
 ――わからぬのは兵吾である。
 そう――兵吾の視点に立って見ると、忍者軍団は何故か突如引き上げていったのだ。
 仰ぎ見た最強無敵究極天魔城の姿にも、特段かわったところは見受けられぬ――。――そう、“何も起きていない”のだ。
「『火計』をかけたのよ」
 そして、静穂は微笑んだ。
 【舞陽炎】。――それは幻を見せ、五感すらも惑わす強力な幻覚術である。静穂はこれによって忍者軍団に城の焼け落ちる幻を見せ、消火のために城に戻るようへと仕向けたのだ。
「はあん……なるほどねえ、面白いことするじゃねえか」
「ふふっ。どうかしら、楽しんでいただけて?」
 かくしてこちらの目論見は成功した。忍者軍団の手を完全に止めることに成功したのである。

 ――その一方。
『ヌウウッ!この――虫けらどもめがッ!!』
 轟音!!最強無敵究極天魔城の両肩で、二門の最強無敵究極天魔砲が咆哮する!砲門から放たれた弾頭が宙を舞い、そして爆発した。
「くっ……大丈夫か、ディロ!」
『ふん。我を灼くには生温いわッ!』
 しかして、その爆炎を躱しながら翼が舞う。
 そう。ディロに騎乗したナイツは、最強無敵究極天魔城の中枢である頭部を目指して高度を上げて飛び上がっていたのだ。
 しかし敵も無抵抗ではいない。猟兵の接近を気取り、激昂の雄叫びと共にナイツを迎え撃たんとしていたのだ。
『この最強無敵究極天魔城が、貴様らのような羽虫如きに崩されるものか!』
 轟、ッ!最強無敵究極天魔城は、その巨体で踏み込みながら拳を振り上げた!最強無敵究極天魔拳!巨大な腕がナイツとディロを襲う――!
『許せぬな――我を羽虫などとは!不遜にも程があろう!』
 だが、これも躱す!――竜はその双翼で天を自在に翔け、そして敵対するものあらばその膂力と機動力をもって討ち果たす空の支配者だ。そう易々と捉えられはしない。
「そうだな、ディロ。……なら、その怒りを奴にぶつけてやろう!」
『うむ!』
 最強無敵究極天魔城の拳をすり抜けるように躱したナイツとディロは、その翼を羽撃たかせて加速した。
 携える竜槍。ナイツはディロとともに大気を切り裂く感覚の先に、それを突き立てるべき標的の姿を捉える。
「さあ……暴れ倒してやるぞ!」
『ああ――竜を愚弄したこと、後悔させてやろうぞ!』
 そしてその瞬間、二人の姿は炎へと変じた。
 【怒れる竜の化身/アングラー・ディロ】。
 それは槍か鉄槌か。はたまた、流星か。――ナイツとディロの姿は、炎を纏う巨大な紅の竜の姿となる。
『な……なにイッ!?』
「これで……」
『とどめだッ!!』
 そして、爆発。
 星より放たれた矢のように最強無敵究極天魔城を射抜いた竜炎は、そのオブリビオンとしての存在核を貫き通し、破壊したのである。
『ば……馬鹿なアアアアアアアアッ!!』
 炎に沈むその姿は、奇しくも先だって静穂が忍者たちへと見せていた燃える城の幻覚とよく似ていた。
 それは、この戦いの決着の光景であった。

「……いや、まったく。ひでえ目にあった」
 そして、香月・兵吾はため息を吐く。
「だが、不幸中の幸い……ってやつかね。あんたらのお陰で命を拾えたぜ。この通り、感謝する」
 兵吾は猟兵たちへと深く頭を下げ、何度も礼を述べたのである。
「またどこかで会う機会がありゃア、必ず恩を返そう。……じゃ、お互い達者でな」
 そうして猟兵たちへと別れを告げた香月・兵吾は、再びサムライエンパイアを流れる放浪の旅へと戻るのであった。
 
 かくして、『剣豪殺し』を企てたオブリビオンの邪悪な陰謀は、猟兵たちの手によってまたひとつ防がれたのである。
 暮れる夕日の赤光が、砕け散った最強無敵究極天魔城の残骸を茜色に照らし出していた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年08月23日


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#上杉謙信
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#魔軍転生
#最強無敵究極天魔城


30




種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠砲撃怪獣・ガンドドンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト