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宵闇に灯るワルツ

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●自分の魅力に気付いていない人が多過ぎる
「どうして……」
 筋骨隆々とした男の、震える声が館の中に響く。
 領民達が反抗するからか、それとも別の理由なのか。
 深く悟る事は出来なかったが、スケルトン達は主たる男の方を向く。其れに気付かないまま、男は吼えた。
「どうして、世の中の男達は女の子の服を着ようとしないのよォォォ!」
 ……筋骨隆々としたこの男、『変態的破滅招来体』ランジーリは変態だった。
 逞しい身体にピッチピチのベビードール。女装趣味は自分だけではなく、世の中の男性にも彼なりの善意で押し付けようとしているのだった……善意とは時に恐ろしい。

●諸君、レベリングの時間だ
「RPGって、やった事ある?」
 唐突な十朱・幸也(鏡映し・f13277)の質問に、猟兵達は目を丸くする。
 ……何の話だと思う者も少なからずいただろう。素直に反応する者も同じく。
 それぞれの反応を楽しんだ所で、彼はスマートフォンを手にしたまま続けようと。
「ロールプレイングゲーム、ね。割と良くあるのは冒険の旅に出て、色々あって……ラスボスを倒したりするってのがある訳で。縛りプレイとかじゃないなら、ボスを倒す為に経験値を稼いだりする必要があるんだけど」
 ……あ、何か読めた気がする。
「諸君、レベリングの時が来たぜ」
 やっぱりかー、やっぱりそう来たかー。
 というか良い笑顔してるなー、このゲーマーはー。
 猟兵達の一部のシラーッとした視線を敢えてスルーして、十朱は続ける。
「まあ、真面目な話。スケルトン達を率いて、ダークセイヴァーの住人……というか、男性に女装を強要するオブリビオンがいるらしくてな。ムキムキマッチョが黒のベビードール着てるから、見れば直ぐ判る筈」
 ムキムキマッチョとベビードール、どんな組み合わせだ。
 そもそもベビードールって、なあに?と、一部の猟兵が手を上げた所で十朱は悩みつつもぽつりと呟く。
「ソレだけなら、きっと可愛いワンピースみたいな感じ……だな」
 二次元の女の子キャラが着ていたなら、もっと……とは内心に留める。
 だがしかし、現実はムキムキマッチョの男性オブリビオン。嗚呼、無常。

 十朱はおもむろにダークセイヴァーの地図を取り出し、ある一点にトンッと人差し指を落とす。とある街から森を挟んで、少し離れた館。どうやら此処が根城らしい。
「スケルトン達は烏合の衆、お前達なら問題なく対処出来る。ただ……此処の主が『変態的破滅招来体』ランジーリって言うんだけどな。さっきも言った通り、男性に女装を強要するヤツだ。恥じらうとより一層、興奮するとか」
 ……大事な事だから、と先程述べた事実をもう一度繰り返す。
 そう、大事な事なのだ。男性に女装を強要する、猟兵達もまた然り。
 ちなみに、年齢的な意味でのストライクゾーンはとても広いとか。あまり知りたくなかった、と真顔になる猟兵もいただろう。
 それでも、ダークセイヴァーの平和の為!
 敵にどんな視線を向けられようとも、勇気ある猟兵達は立ち上がるのだ……!

「ああ、終わったら……近くの森に寄ってみたらどうだ?戦いが終わる頃には陽が沈んでるだろうし、な」
 森の河辺辺りには蛍の様な生物が、夜に群れで漂っているらしい。
 戦いで疲れた心を癒やす、仄かな光のワルツが君達を迎えてくれる事だろう。


ろここ。
●御挨拶
 皆様、お世話になっております。
 もしくは初めまして、新人マスターの『ろここ。』です。
 『変態的破滅招来体』ランジーリのインパクトがとても、凄い。凄い。

 八本目のシナリオは例の如く、日常込みのシナリオとなります。
 戦闘が終われば、夜を揺蕩う光が猟兵達を迎えてくれるでしょう。

 尚、第三章(日常パート)のみ、お呼びがあれば十朱・幸也も同行が可能です。
 同行を希望する際はお手数をお掛けしますが、プレイングの何処に【同行希望】と記載をお願い出来ればと思います。
 また、グループでの参加の際はグループ名を、お相手がいる際にはお名前とIDを先頭に記載をお願い致します。

 それでは、皆様の素敵なプレイングを幸也と共にお待ちしております。
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第1章 集団戦 『スケルトン』

POW   :    錆びた剣閃
【手に持った武器】が命中した対象を切断する。
SPD   :    バラバラ分解攻撃
自身が装備する【自分自身のパーツ(骨)】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    骸骨の群れ
自身が戦闘で瀕死になると【新たに複数体のスケルトン】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


【お知らせ】
 プレイング受付開始は『3月14日(木)8時30分』以降となります。
カラコブ・ガラズィマ
女装男子が増えても良いって言う考えには正直同意しますけどぉ
ベビードールは寝巻きでしょうに、ちゃんと服着てきれませんかねぇ?そんなんだから女装男子ふえないんですよ。

そもそも強要なんてして苦手意識持ったらどうするんですか、ここは私がぶん殴って教育してさしあげましょう、やはり暴力が一番、痛みは世界共通言語ですからねぇ!

まずウォーミングアップがてら骨の処理をしましょうかねぇ、手持ちの破城槌でぶん殴ってさしあげましょう、まず纏まっているとこをユーベルコードで地形ごと吹き飛ばしまして、あとは個別に近づいてぶん殴る!壁越しなら壁ごとぶん殴る!攻撃してきたやつは特別に二回ぶん殴る!ははは結構楽しいですねぇ!



●館崩し
「エントリィィィイ!!!」
 ――愛用のバッティング・ラムが猛威を振るう。
 破壊槌が複数体のスケルトン達を捉え、殴りつけた先は壁で。彼は……カラコブ・ガラズィマ(快楽主義の蛮族・f09723)は、問答無用と言わんばかりに壁も破壊した。薄壁一枚、破壊するのは容易い。
 何とも勇ましい彼の服装は、ゴシック調のドレス。内側から二対の昆虫の足で固定しているらしく、突然の大胆な戦闘や突風にも対応出来るそうな。
「やはり暴力が一番ですねぇ!」
 ウォーミングアップの続きのつもりで、カラコブはバッティング・ラムを構え直す。
 ……そう。彼にとっては、此の戦闘はまだ準備運動に過ぎないのだ。
 女装男子が増えても良いって言う考え自体は同意するが、強要して苦手意識を持ってしまったらどうするつもりなのか。大体、ベビードールは寝巻きだ。
 同じ女装男子として、許せない相手には教育しかない。教育、の後に物理が付くが。教育に用いる言語は痛み。
「次ィィイ!!!」
 スケルトン達もただ、倒される訳にはいかない。
 短剣を手にした個体がカラコブに密着、一瞬の隙を突いて弓を構えた後方の個体が矢を放つ。無論、仲間にも当たるが……多少の傷より、敵の打倒を優先した結果なのだろう。しかし、此の女装男子は止まらない。何本もの矢が刺さろうと構わないのか。
「私の服ゥゥゥ!!!」
 ――訂正、別の意味で構わない訳が無かった。
 自分の傷よりもドレスの傷が気になったのだろう、スケルトンはカラコブの怒りを買っただけに終わった。破壊槌を一度手放し、自分にしがみつくスケルトン二体の頭蓋骨を掴んで……両手で卵同士をぶつけるかの様に、あっさりと砕く。
 其れだけに留まらない。彼はもう一度破壊槌を握り、城門崩しならぬ館崩しを再開する。
 彼の破壊槌による連打乱打の繰り返しを受け止める術も無く、スケルトン達が出来る事は攻撃だけ。だが、其れも大して効果は見られない。カラコブは傷を受けても止まらず、服を傷付けられれば怒りが増すばかり。
「ははは、結構楽しいですねぇ!」
 言葉の通り、カラコブの表情は至極楽しそうだった。
 先程矢を放った個体の正面に立ち、彼はまた笑みを深くする。振り上げた槌は止められない。そして、彼は一回で止めるつもりはない。二回だ。自身を攻撃してきた猛者を確実に仕留める為に。
 ……その後も教育という名の暴力が館の一部を破壊し、スケルトン達を蹂躙し尽くしたのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

雫石・凛香
相手がどんな趣味だろうと関係ないね
姉さんのためにあいつらは全て滅ぼす。それだけ
……まあ、男の人は御愁傷様、なのかな?

行動
機動力を頼りに常に動き回り、敵に囲まれないように立ち回りつつ戦う
子供なので力はスケルトンにすら劣ることは自覚しているため、受け太刀は絶対に行わない

骨のパーツによる波状攻撃はパーツ一つ一つの飛来する順番を判断し、近くに来るものから丁寧に捌いていったり面倒だったら衝撃波でまとめて薙ぎ払ったり
「もう、まどろっこしいのよ! 【鞘】、纏めて叩き落としちゃえ!」
「弱い奴がもっとバラバラになっても勝てるわけないでしょ」

周囲の味方とも積極的に協力
味方の攻撃が決めやすくなるように速度で敵を撹乱



●幼くも鋭い意思
 相手がどんな趣味だろうと関係ない。
 世界の全てに怯える姉が穏やかに眠れる様に、全て滅ぼすだけ。
 ……年齢と不相応な雰囲気の中に決意を秘めて、雫石・凛香(鞘の少女・f02364)は館内を歩き続ける。スケルトン達の集団を視認した時点で、ある程度の距離を保てる場所で彼女は止まる。
「(……まあ、男の人は御愁傷様、なのかな?)」
 雫石は女装趣味について深く理解するつもりもないが……グリモア猟兵の様子から男性が大変な目に遭う可能性は察していたのだろう。内心は同情する。
「行くよ、【鞘】」
 ……異色の魔剣から、怨念が流れ込むのを雫石は感じた。
 其れは力を与える代わりに、命を蝕む毒。其れでも、必要な事だから。
 スケルトン達も遠距離戦を決めたのか、己の身体の一部を複製。人数が多いからか、其の数は百を超える。だが、彼女は怯まない。
「弱い奴がもっとバラバラになっても勝てるわけないでしょ」
 ――念力によって操作された骨が飛来する。
 機動力を活かし、雫石は回避を優先して行動する事を決めていた。第六感で飛来順を把握、必要があれば近付いて来た物から【鞘】で叩き落とす。
 怨念による恩恵も有り、序盤は予定通り。素早い動きで翻弄しながら近付き、そのまま――とは、残念ながらいかない。
「……っ!?」
 操作された骨が列を成し、其の上で広範囲を襲撃しようと迫る。
 雫石は即座に致命傷になりかねない骨を【鞘】で落とすも、他は間に合わず……全身を打ち付けられてしまう。
 彼女は後ろによろめいて、倒れようとして……だが、踏み止まる。踏み止まらなければならない。
 そうだ、こんな所で倒れる訳にはいかない。大切な姉の為に全てを滅ぼすまでは。
「もう、まどろっこしいのよ……!」
 雫石が体勢を立て直している内に、スケルトン達はもう一度同じ攻撃を仕掛けようと念力で操作を始めていた。
 受ければ負ける、だから。彼女は魔剣【鞘】を強く握り締める。
 ……静寂が僅かな間、此の場を包み込む。先に痺れを切らしたのはスケルトン達。
「【鞘】、纏めて叩き落としちゃえ!」
 ――…直後、雫石も動く。
 再び広範囲に放たれた攻撃、魔剣は持ち主の声に応えた様な気がして。
 通常よりも威力が高められた、斬撃による衝撃波が飛来した骨を呑み、勢いを其のままにスケルトン達に迫る。……嗚呼、流石に予想出来なかったのだろう。
 彼女の決意を乗せた一撃は止まらない。彼らは為す術無く、衝撃波によってバラバラに分解されて終わった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴィクター・ハルフェティ
(ムキムキマッチョがかわいいワンピースみたいな服であるベビードールを着ている所を想像する)
……わからん!というか判りたくない。

「妙な趣味を押し付けるオブリビオン!出てこい!出てこなければこちらから行く!!」
館に乗り込んだら大声で宣言し、スケルトンに立ち向かう。
まず敵にフェイントをかけ、敵が武器を振るった直後の隙を狙い、ブレイズフレイムを纏わせた鉄塊剣で横凪ぎに斬る。
「燃え尽きろ!」



●紅蓮の大剣
 ……ヴィクター・ハルフェティ(トワイライト・f08946)は苦悩していた。
 どうやら、今回のオブリビオンは『ムキムキマッチョが可愛いワンピースみたいな服であるベビードールを着ている』らしい。ベビードールは良く分からないが、ワンピースの様な物ならば想像は可能だった。そう、可能、なのだが……。
「(……わからん!というか、解りたくない!)」
 ……内心ではさぞ、頭を抱えた事だろう。
 例えば、此れが美少年がワンピースを着ている図だったならば、ヴィクターも少しは理解を示したかもしれない。可能性が無いとは言い切れない。
 しかし、実際はムキムキマッチョ。正直、あまり目にしたくない心境だったが……此れも、此れも、ダークセイヴァーの平和の為。意を決して、彼は館の扉を開けようと……したのだが。何故か盛大に破壊された跡があった為、普通に館内へと侵入する事に。
「妙な趣味を押し付けるオブリビオン!出てこい!出てこなければこちらから行く!」
 大声による宣言に、気付かない筈も無く。
 スケルトン達がわらわらと集まり始めるが、ヴィクターにとっては好都合だ。此処である程度戦力を削ってしまえば、親玉が早々出てくるかもしれない。
 鉄塊剣に指先を滑らせて、敢えて傷を付ける。指先から溢れる紅蓮の炎が揺らめいて、己の得物に纏うのを確認して……改めて、構えた。
「遅い――ッ!」
 槍を手にしたスケルトン達が突撃してくるも、動きが単調で読み易い。
 フェイントを仕掛けるまでも無く、敵が攻撃を仕掛ける前に鉄塊剣を横薙ぎに振るう。剛の一閃。断つ、と言うよりは殴りつける様な一撃に複数の個体の身体が崩れた。
 ……スケルトン達は其の光景を見たからか、動きを止める。本能が恐れを抱く。
 其の隙を見逃さず、ヴィクターは数歩分距離を詰めて、再び得物を構えた。刃が、熱が迫る。骨をも焼き尽くす炎が今、目の前に――。
「燃え尽きろ!」
 薙ぎ払う様に振るわれた一撃が複数のスケルトンを焼き尽くす。
 辛うじて難を逃れた個体も逃がすつもりはなく、ヴィクターは振り上げた得物で砕く様に潰す。先の一撃も含めて、彼に破壊された者達は全て燃えていて。
 暫くした後……炎が広がる中、入口付近に立っていたのは彼だけだった。
 戦闘が終了した事を確認したヴィクターは炎を消して、オブリビオンの親玉を探して別の部屋に向かおうとしたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニナ・グラジオラス
WIZ選択
アドリブや絡み問題なし

個人の趣味趣向は否定しないが、強要はよくない
大事だから二度言う。強要は、よくない

尖兵のスケルトンに言っても意味はないか
ならばお前達を倒して、直接言いに行こう。さあ、道を開けろ

『先制攻撃』『高速詠唱』『範囲攻撃』で複数体に極力ダメージ均等に与え、
瀕死になる直前まで削ってから【ウィザード・ミサイル】で一気に止めを刺す
可能なら『串刺し』で複数纏めて倒したいところだな
こうも数が多いと狙いが分散しやすいので、敵は壁側に向かって攻撃するなどして、
纏まるように配慮しよう

敵には『武器落とし』し、攻撃は『見切り』で避ける
『世界知識』でスケルトンの耐久が分かるなら、瀕死の目安とする


シノ・グラジオラス
POW選択
アドリブや共闘は遠慮なく

善意はいいが、そう言うのは個人で楽しんでもらいたいもんだわ
よし。先を考えると気が滅入るから、目の前に集中しよう
目の前ね…目の前のスケルトンはストライクゾーンではなかったって事なのか?それとも、まさかこの骨全員女子?

大事な剣を切断されるのは勘弁
斬られる前に『先制攻撃』『2回攻撃』の『吹き飛ばし』で距離を取りつつ
『ダッシュ』で距離を詰める戦法で1体ずつ撃破
吹き飛ばす方向は味方から避けるようにするが、要請あればそちらを狙う

攻撃は極力『見切り』で避けて、当たったら『激痛耐性』と『生命力吸収』でリカバリーを図る
復帰されても困る。止めは【紅喰い】で骨ごと砕いておこうかね



●喧嘩する程……?
「……シエン先輩はどうした」
「ちょっとした野暮用だとさ、というかお前もココに来たんだな」
「少し思う所があったからな。……シエン先輩の代わりにツッコミはしないぞ」
「戦闘面の方向で来ると思ったら、そっちかよ!?」
 本日も仲が良い、グラジオラス兄妹だった……いや、始まったばかりだが。
 自分の大切で大好きな親友も所用と言っていた気がするが、面倒だから此の愚兄には絶対に言わないでおこう。そう決心しながらニナ・グラジオラス(花篝・f04392)は館の中を歩く。
 その後ろをマイペースに歩くのは、彼女の兄であるシノ・グラジオラス(火燼・f04537)だ。妹から『ついてくるな』と辛辣な雰囲気を感じるものの、自分の後ろにはスケルトン達の気配を感じない。臭いも同じく。となると、進行方向は彼女と同じになってしまう訳で。
 重苦しい空気の中、歩き続けると……其の先は小部屋。其処に居た者達の視線が、一斉に二人へと集中した。
「……ニナ」
「言われずとも解っている」
 烏合の衆とは言えども、一人で相手取るには手間取る数だった。
 ……しかし、今は本人達にとって幸か不幸か。実力を互いに理解し合える者がいる。戦闘面に関しては信頼出来るからこそ、二人は堂々とスケルトン達に立ち向かう。
「……そういや、まさかこの骨全員女子?」
「馬鹿を言っている暇があるなら、手を動かせ」
「ひっでぇ」
 冗談めいたやり取りもそこそこに、二人は同時に駆け出した――。

●紅が舞う戦場
「ニナ、そっちに飛ばすぞ――っと!」
「ああ」
 燎牙が振るわれる事で生まれた風圧が、複数の個体を吹き飛ばす。
 脆い身体の兵士が飛ばされた先には、紅蓮の矢の射出準備を既に済ませていたニナが居て。矢の数は九十本。其れら全てが放たれると、飛ばされた個体全てを貫き、倒す。炎は矢の形を保てなくなった後も燃え続け、骨をも焼き尽くす勢いだった。
「……尖兵のスケルトンに言っても意味はないだろうが。個人の趣味趣向を否定するつもりもないが、強要はよくない」
 大事な事だからこそ、ニナはもう一度告げる。強要はよくない。
「直接言う必要がある様だからな。さあ、道を開けてもらう」
「俺も同感だな。善意はいいが、そう言うのは個人で楽しんでもらいたいもんだわ」
 Abendrotを銜えながら、やれやれとシノが頭を掻く。
 先程までの冗談混じりの会話は何だったのか、戦闘においては兄妹の息は合っていた。基本はそれぞれが対峙している敵を倒し、適時連携。タイミングはアイコンタクトで充分。あれよあれよと数は減り続け、残るスケルトンは僅かだった。
 ……正直、彼としては先の事を考えると気が滅入るが。一先ずは目の前の戦いに集中する事にした様だ。
「さあて、それじゃ――目ぇ逸らすなよ?」
 ……スケルトン達は其の言葉に危機感を覚えた。
 此のまま放置してはいけないと本能が訴える、其れは一体だけではなく。残る全ての個体が感じた事実らしい。迷う事なく、姿を変え始めたシノへ突撃。槍を、剣を突き刺そうと動く。凶刃が彼を貫こうとした瞬間、彼らの攻撃は紅蓮の炎に阻まれて。
「油断するな、愚兄」
 呆れた様な溜息を零しながらも、ニナは残る半数の矢でスケルトン達に追撃。
 厳しい言い方をしているが、きっと兄を心配しての言葉だろう。ただ、心配する理由が親友の為だからという可能性はあるが……其の点は深く考えない事にしよう。
 スケルトン達が足止めをされている間に、シノの紅喰いは発動を終えている。スコルと化した彼は鋭利な爪を振るい、燃え盛る骨の身体を引き裂く。バラバラになった後も殴る様にして、更に細かく砕いていく。増援を呼ばれない為に。
 ……そして、狼と化した兄の姿に何を思うのか。言葉にする事は無い。ニナも紅蓮の矢を行使して、まだ息がありそうな個体を焼き尽くす。スコルが存分に爪を振るい、炎舞う戦場は次第に収束していった。
 徐々に人間の姿に戻ったシノが再び愛用の煙草を銜えて、ふと息を吐く。
「さて、次は親玉かねぇ……」
「女装されたとしても、私は助けないぞ。自分で何とかしろ」
 ニナの言葉が冗談なのか、本気かは……彼女のみぞ知る、と言った所だろう。
 相変わらず手厳しい、とシノは笑いながら煙を吐き出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

伊能・為虎
(この後に控えているものを考えて)……うーん、カワイイからお勧めしたいなーって考えだったらまだ分かるよーな?でもお勧めというか、押し付けだよねぇ。

なにはともあれ、まずはコイツらどうにかしよっか
妖刀で集まっているところを〈なぎ払い〉していくよー
〈怪力〉も使って一撃の重さを盛っちゃおうか

【疾駆する狗霊】
瀕死になった敵が仲間を呼んだらわんちゃんに抑えてもら……ってなんでそんなテンション高いのわんちゃん!?あっそうか骨だから……??
わーあ、尻尾がもしあったらすごい勢いで振られているんだろうなぁ。食べ放題だものなぁ……。



●本日の餌=スケルトン
「……うーん、カワイイからお勧めしたいなーって考えだったらまだ分かるよーな?」
 でも、お勧めというか押し付けだよねぇ。うんうん。
 此の後控えている館の主の事を考えながら、伊能・為虎(天翼・f01479)は独り言を呟く。華やかな改造和服、そして見た目からは女性の様に見えるが……実は驚く事に男性である。え、嘘だろ?と疑いたくなるが事実である。可愛いな。
 きっと彼を見た瞬間、館の主は咽び泣くのではないかと思うが。生憎、彼の目の前に立ちはだかるのはスケルトンの群れ。
「なにはともあれ、まずはコイツらどうにかしよっか」
 刀身が御札で覆われた其れはただの妖刀に非ず、狗憑きの妖刀。
 愛らしい根付をゆらゆらとさせながら、伊能は地を蹴り出す。先程までと変わり、視線は鋭く。目を細めて、浮かべる笑みには嗜虐の影が見え隠れ。
「ふっ――!」
 団子になっている所を、妖刀で薙ぎ払う。
 通常よりも威力が高まった其れは、伊能の力強さの証明。続けてもう一度妖刀を振るえば、スケルトン達は崩壊する。人の形を保てなくなったのだ。
 ……瀕死である事は確かだが、援軍が必要と判断したのだろう。スケルトン達は新たな個体を召喚しようとするが……。
「そうはさせないよ!わんちゃん、遊んでおいで!」
 薄紫と白の煙の様な霊気が、伊能の持つ妖刀から溢れ出る。
 首だけの狗霊と成った後、主の命令通りに動こうと――其処で彼にも予想外の事態が発生した。
「わっ、って……なんでそんなテンション高いのわんちゃん!?」
 刀を引っ張られる勢いで狗霊が骨に向かって行ったのだ。ぐいぐい引っ張られている気がする、と思う程の勢いだった。
 牙を剥き出しにして、新たな個体を召喚される前に骨を喰らう。貪る様に噛み続ける。其処で伊能は理由を察した。――そうか、骨だから?
「(尻尾がもしあったら、すごい勢いで振られているんだろうなぁ……)」
 霊とは言えど、狗である事に変わりはない。
 つまり、狗霊達にとって此処は餌で満ちている楽園。好きなだけ噛み尽しても問題ない、食べ放題万歳!と言った気持ちなのだろう。恐らく。リードナンテナカッタ、ならば仕方がない。
 其の後もスケルトン達は新たな個体を召喚して、抵抗を試みたが……其の前に狗霊に喰らい尽くされる。彼らが満足して、再び伊能の持つ妖刀へ戻った時には戦いは既に終わっていたそうな。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『『変態的破滅招来体』ランジーリ』

POW   :    本当の自分と向き合って!
【欲望】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【対象の分身】から、高命中力の【本音】を飛ばす。
SPD   :    あなたの気持ち、わかるわ!
【まるで相手の心をわかっているかのように】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    あなたの欲望を教えて?
質問と共に【視線を向けてウィンク】を放ち、命中した対象が真実を言えば解除、それ以外はダメージ。簡単な質問ほど威力上昇。
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ウルフシャ・オーゲツです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●変態的破滅招来体降臨
「もうっ!何なのよ、何なのよ、この騒ぎは!?アタシ、まだお化粧直しをしてた所だったのよぉ!?」
 逞しい身体にピッチピチのベビードールを身に纏う変態……ランジーリは目に見えて不機嫌だった。
 ……其れもそうだ。彼……いや、彼女?どちらだろう。
 兎に角、彼女にとっては大切な時間なのだ。此の時間にバッチリ化粧を行う事こそ、彼女のルーティン。其の時間を妨害された彼女の怒りは計り知れない。
 スケルトン達を招集しても来ない事から、侵入者の仕業である事は容易に判断出来る。
「誰よぉ!私のプリティスケルトンちゃん達を酷い目に遭わせたのはァァァ!!!」
 ……スケルトンに愛らしい名前を付けてはいるが、オブリビオンである。
 猟兵達よ、決して油断してはならない。放置すれば新たな部下を求めて、手近な街を襲撃する可能性もある。そうでなくても、此の世界の男性住民全てが女装を強要される危機に瀕しているのだ。
「アラァ?ンマァー!イ・イ・オ・ト・コ……!」
 語尾にハートマークを付ける勢いで、ランジーリは男性猟兵に熱視線を向ける。
 ……では、心して挑んで欲しい。

【お知らせ】
 プレイング受付開始は『3月20日(水)8時30分』以降となります。
カラコブ・ガラズィマ
さてようやく姿をだしましたねぇ、体も温まりましたし殴りましょうか。

それにしても、この男は私と行き着く先が似ていますが、エゴがひどすぎますねぇ。
けれどもねぇアナタ、私のほうが遥かにエゴイストなんですよぉ!

とにかく最初に教育用右ストレートを打ち込み、距離を詰めたところにユーベルコード【生体楽器】で締め上げます。
しかしあの男のガタイの良さでは振りほどかれる事は間違いありませんねぇ、では力の差は知力で埋めましょう!頭を使うのです!

フリーな両手でツインテを掴み!力の限りヘッドバット!力の限り乱打し続けますよ!

絵面が酷すぎて周りの正気度が心配な事以外は完璧な作戦ですねぇ! 「さあ私のエゴに潰されろ!」



●大変酷い絵面(褒め言葉)
「さてようやく姿をだしましたねぇ、体も温まりましたし殴りましょうか」
「んー……?ヤッダもう、そのドレス素敵ィー!似合うー!」
 そこそこ筋肉質のゴシック調ドレスを着た猟兵――カラコブ・ガラズィマ(快楽主義の蛮族・f09723)の元に、ピッチピチのベビードールを身に纏う『変態的破滅招来体』ランジーリという名のオブリビオンが駆け寄ろうとしている。
 ランジーリは彼を同士と認識したのか不用意に近付くものの、気持ちが同じと誰が言ったのだろうか。
 行き着く先は似ているかもしれない、其れは認めよう。
 ……しかし、其れだけだ。このオブリビオンはエゴが酷過ぎる。
「私のほうが遥かにエゴイストなんですよぉ!」
 ――って、そっちかい!強制的な女装を止めたいとかじゃないのか!?
 何処からか思わずツッコミが入るのも構わず、まずは挨拶代わりの右ストレートで教育的指導ッ!おっと、同士と思い込んでいたランジーリの顔面にクリーンヒットしたぞ!?
 思わずランジーリ、たたらを踏んで後退するが……カラコブは容赦なく、逃がさないと距離を詰める。三十センチメートル以内に敵が入り込んだ瞬間、四対の昆虫の様な脚の内、三対を広げ始めた。ランジーリに死の抱擁を仕掛ける為に。
「ひぐぅ……!いや、ん……逞しいわ、嫌いじゃないわぁ……!」
 カラコブのユーベルコード、生体楽器により締め上げられても尚、ランジーリは笑う。彼女……うん、彼女にとっては御褒美の様なシチュエーションなのだろう。女装男子を間近で見る事が出来る大チャンス!
 しかし、ただ抱擁されるだけではなく。カラコブの分身を作り出そうとするが、彼は抱擁だけで終わらせるつもりはない。
「さあ、私のエゴに潰されろ!」
 おっと、空いている両手でランジーリの長いツインテールを掴みに掛かったー!
 力の差があると考えたカラコブの次なる一手、其れは知力で埋める事。頭を使う。成程、彼には何か作戦が――。
「ぬおぉぉぉっ!!!」
「ちょっ、ぶっ……!や、ドレス、見えな……っ!?」
 ヘッドバット、ヘッドバット、力の限りヘッドバットでラッシュ!
 今、知力全然関係ないじゃん!と思った方々。其れは恐らく違う。
 此れはきっと知力と言う技名のヘッドバットなのだろう。ユーベルコードは一つしか活性化出来ない点は気にしてはいけない、知力(ヘッドバット)なのだ。
 兎に角、己の頭に傷を負ってでもカラコブは只管に頭突きをし続ける。
 ……其れでもランジーリは笑っていた。寧ろ、彼の着ているドレスが良く見えない事に憤る程度には余力を残している様だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

シノ・グラジオラス
【ADV】で参加
アドリブ・女装は歓迎

チェンジで。いかん、視覚的暴力に早速本音が出た
まさかリナが合流するとは…何、俺の女装が見たかっ…ニナ、スピアは下ろせ
(シエンに肩組んで)よし、地獄まで一緒に行こうや相棒

POW選択
欲望?殺意の間違いじゃないか?
ベビードールとかは女の子が着てナンボだろ!と本音は思ってる
はい、女性陣引かないで。健全男子の俺も傷つくぞ

『2回攻撃』で命中率重視の【紅喰い】
噛みついたり、服への攻撃は避ける。俺も社会的抹殺は避けたい
『見切り』と『武器受け』で防御、『生命力吸収』で回復手段確保

欲望が素直過ぎじゃないですかね!?
女性陣は『かばう』が、シエンは気合で自力で避けろ。俺も余裕ないわ


木槻・莉奈
【ADV】で協力
ニナ、遅くなっちゃってごめんね
所用?うん、逃げた誰かさん捕まえに行ってただけだから終わったわよ
ほらほら、シエン先輩、もうついちゃったから諦めて頑張って~?
シノもほら、何で来たって顔しないで頑張って

WIZ選択
『高速詠唱』『先制攻撃』で先手を取り
『全力魔法』の【神様からの贈り物】で攻撃
服には当てないように気を付けるわね、別に見たくないし
後方支援に徹し、攻撃が届きそうな時は『見切り』で回避し『カウンター』

欲望?
折角だからそこの男二人に似合う服教えてくれたら嬉しいなーとは思ってるわよ

えっ、だって私やニナがダメージ負うのは嫌でしょう?
素直に答えなきゃいけなかったのよ酷くない酷くない


ニナ・グラジオラス
【ADV】で協力
先輩を捕獲してたのか、リナ。大役ご苦労様
先輩は往生際が悪いぞ誰かを見習って諦めろ

やっとボスか。これで直接言えるな
そのベビードールのサイズ合ってないぞ。服を楽しむなら、サイズくらい合わせろ
強要?ああ、骨に言って満足してた

WIZ選択
【スチームエンジン】でカガリを強化
『2回攻撃』『フェイント』で攻撃するが、後生だから服への攻撃は見逃してやろう
敵からの攻撃には『見切り』と『カウンター』で対応

私の欲望?
(スラッと素直に)直近で言えば、シエン先輩やシノが女装被害に合えばいいかな
いい囮だし、何より面白い。愚兄の不幸は蜜の味と言うヤツだ
リナに犠牲になれと愚かな事を言うのか、この朴念仁ども?


シエン・イロハ
【ADV】で協力
※本人嫌がりますが女装OKです

リナてめぇ…後で覚えてろよ…
何の地獄だ何の、行きたくねぇよ

SPD選択
『先制攻撃』『2回攻撃』『投擲』で極力遠距離から【シーブズ・ギャンビット】
敵の攻撃に対しては『見切り』からの『カウンター』
攻撃は服には当てないよう投げる場所を調整

男が男の服着て何が悪い、こっち見るな寄るな避けんなさっさと倒れろ
わかるわじゃねぇわ、何一つ分かってねぇだろ
女の服に興味ねぇって言ってんだろ!

なぁシノ、今だけ敵にならねぇか、盾にしたい

そこの女二人は何で俺らの女装にそんなに積極的なんだ
高みの見物しやがって…!
朴念仁で結構だ…寧ろ囮にする為わざわざ捕まえに来る女を庇う理由がねぇ



●逃亡不可避の現実
「チェンジで。寧ろ、チェンジっていう選択肢をくれ」
 視覚的暴力が凄まじ過ぎて、気が付いた時には言葉を発していた。
 乱れたツインテールを直すベビードール姿のムキムキマッチョを見て、シノ・グラジオラス(火燼・f04537)は呟く。其の言葉には重みがあった。もう色々な感情をひっくるめた上で、さっさと終わらせて帰りたい気持ちで満ちていた。
 ……不思議だ。諦めが悪い奴だ、という言葉が来ない。彼がふと気になり、先程まで一緒だった妹と竜の方を向くと。
「ニナ、遅くなっちゃってごめんね」
「リナ!所用はどうしたんだ?」
 カガリ以外で唯一、デレが極振りされる相手が合流したからだった。
 シノの妹であるニナ・グラジオラス(花篝・f04392)はカガリと共に、館に辿り着いた木槻・莉奈(シュバルツ カッツェ・f04394)を笑顔で迎えていた。木槻に撫でられたからか、カガリが嬉しそうに鳴く。
 ……そして、彼女の手にしているロープを見てはツンツン。ニナも気になったのだろう、ロープは何だ?と問い掛けた。
「所用?うん、逃げた誰かさん捕まえに行ってただけだから終わったわよ」
「……ああ、成程な。先輩を捕獲してたのか、リナ。大役ご苦労様」
「(シエン、お前……野暮用って逃げ切れなかったのか……)」
 女性陣のにこにことした笑顔、そしてシノの何かを悟った様な視線は此の男――シエン・イロハ(迅疾の魔公子・f04536)に向けられていた。
 此れで【ADV】の面々は揃った事になるが……漸く解放されたシエンは心底嫌そうな表情を浮かべていた。嫌な予感がしたから野暮用と言って逃げたが、まさか捕まるとは。ロープを切って逃げようにも、木槻の動物が監視していて其れも出来ず。
「リナ、てめぇ……後で覚えてろよ……」
「ほらほら、シエン先輩。もう着いちゃったから、諦めて頑張ってー?」
「先輩は往生際が悪いぞ、誰かを見習って諦めろ」
「てめぇら、マジで後で殴んぞ」
「待て、シエン!二人……つか、特にリナを殴るくらいなら俺を殴れ!」
「……じゃあ、遠慮なく」
「マジでやんのかよ!?」
 もう此れ以上、ボケに付き合うのも疲れると言いたげにシエンは舌打ちを一つ。
 無理に連れて来られた挙句、女装までさせられそうになるのだから仕方がないかもしれない。心底嫌だからこそ、逃げたのに。彼の苛々は募るばかりだ。
「まさかリナが合流するとは……何、俺の女装が見たかっ――」
「おい、愚兄?」
「ニナ、スピアは下ろせ頼むから」
 木槻・莉奈過激派と称しても過言ではない気がするが……先程までふよふよと浮かんでいたカガリを即座に竜槍形態へと変えて、先端をシノへと向ける。
 あ、ヤバい。このままだとマジで刺されかねない。そう判断した彼は話の流れを変えようと、未だ苛々している様子のシエンの肩を組みに掛かる。
「あ゛?」
「よし、地獄まで一緒に行こうや……相棒」
「何の地獄だ何の、行きたくねぇよ」
 しかし、奇しくも此処で男達の決意は見事に揃う。
 ――さっさと変態なんとかをブッ倒して、女装回避するしかねぇ。

●男達のミッション:女装を回避せよ
「――やっぱ、チェンジしてくれえええ!!!」
「シノ、うるせぇ、黙ってろ」
「もうっ、身嗜みくらいゆっくり整えさせなさいよ……って、うっそ!?ヤダ、爽やかイケメンにワイルドイケメンじゃないのー!」
 今日は豊作だわ、などとハートマーク乱舞させつつ、ランジーリはくねくねとした乙女なポーズを取っていた。重ねてになるが言おう、やっているのはベビードールを着用したムキムキマッチョである。かなりゴツいタイプの。
 シノが思わず叫び、シエンの目つきが苛立ちで益々鋭くなるのも無理はないだろう。
 カガリが男性陣の大変そうな空気を察して、ぽかーんとした様子をしていた。
「……やっとボスか。これで直接言えるな」
 其れはニナが、スケルトン戦から思っていた事だ。漸く言えますね。
「そのベビードールのサイズ合ってないぞ。服を楽しむなら、サイズくらい合わせろ」
「あっ、ソレ!私も気になってたの、サイズ合うにが無かったの?」
「やだっ、心配されちゃったわー!そうなの、そうなの!自分でお洋服を作るのは大変で……これでも、最大サイズだったのよぉ……」
 ――だから、そっちかい!というか、女性陣ナチュラル過ぎますね!?
 後で判明した事だが、ニナ的には女装の共用云々に関してはスケルトン達に言った時点で満足したらしい。木槻も対峙して直ぐに疑問が浮かんでいたのか、同調する声を上げて。女性でも理解者が居てくれた事が嬉しかったのだろ、ランジーリがめそめそと泣き始めた……。
 慰めたいのも山々だが、此のままでは『見た目が好みでもサイズが合わない服がある事実』への大変さを語り合う女子(?)会となってしまいかねない。自然な流れで女装させられる可能性もある、其れは駄目だ。シノは勇敢にも、会話の流れをバッサリと断ち切ろうと動く!
「チェンジが駄目なら、とっとと倒すしかねぇな?」
「同感だ、殺るぞ」
 先程までの和やかな雰囲気が一転、男性陣の一言で闘争の空気に包まれる。
 ランジーリも其れを察したのだろう。泣くのを止めて、両腕を上げて自らの筋肉を見せつける様な体勢を取る。……目元が赤い事から、本当に泣いていたのだろう。気持ちはわからないでもないが。
「もうっ、酷いわぁ……アナタの本心は違う筈よぉ!」
「違うとしても、絶対に女装してぇとは思わねぇわ!?」
 シノさん、今日はツッコミがとても冴えますね。……では、なく。
 ランジーリが目の前に召喚したのは……見た目はシノに瓜二つの分身体。ニヤリ、と普段の彼らしからぬ笑みを浮かべたのを見て、四人はそれぞれの武器を構えて身構える。分身体は笑みを深くして、女性陣に視線を向けた。
『いやー、ベビードールとかは女の子が着てナンボだろ!ムサい男より可愛い女の子がベビードール着てるの、俺見てぇわー!』
「えっと……」
「愚兄……」
「はい、女性陣引かないで。健全男子の俺も傷つくぞ」
 ……うん、健全な男子だものね。仕方がないよね。
 どうやら分身体が告げる本音は、シノにとっては高威力だったらしい。女性陣の視線が刺さるのがまた辛い。内心ではちょっと泣きそうだった。
 何をやってんだ、と溜息を吐いてはシエンが愛用のプラエドーを取り出す。正直、接近するのも嫌悪するレベルだった為、遠距離攻撃を狙う。
 二本のダガーを同時に投擲、当たらなくても近付けさせずに済むならば重畳。服の下は見たくないからか、露出している手足を重点的に狙っていた。
「こっち見るな寄るな避けんなさっさと倒れろ」
「ワイルドイケメンだって、ふわふわフリルの服も似合うと思うの!」
「黙って倒れろ」
「そう、アナタ……初めてが恥ずかしいのよね、気持ちわかるわぁ……!」
「わかるわじゃねぇわ、何一つ分かってねぇだろ!女の服に興味ねぇって言ってんだろ!」
 ――訂正、近付けさせなくてもこいつは色々無理だ。
 人の話を全く聞かない上、さり気なくフリル服を押し付けようと考えている事を知ってしまった……。それでもダガーを投擲する手は止めないが、シエンは明らかにげんなりとした様子を見せている。
「ねぇ、アナタ達もそう思わない?オ・シ・エ・テ?」
「直近で言えば、シエン先輩やシノが女装被害に合えばいいかな」
「折角だから、そこの男二人に似合う服教えてくれたら嬉しいなーとは思ってるわよ」
「二人共、欲望が素直過ぎじゃないですかね!?」
「きゃー!ホラホラ、イケメン二人共ぉ!このまま女装しちゃいなさいよー!」
「ホーラー!ランジーリが調子に乗っちゃったじゃねぇかー!?」
 ランジーリがウインク(ユーベルコード)を仕掛けるも、女性陣はあっさりと答える。躊躇いなどなかった、そして彼女達の回答が割と酷かった。
「えっ、だって私やニナがダメージ負うのは嫌でしょう?」
「リナに犠牲になれと愚かな事を言うのか、この朴念仁ども?」
 二人の回答理由も大分酷かった、いっそ男性陣に同情したくなる程には。
 ちなみにニナとしては先の理由に加えて、愚兄の不幸は蜜の味らしい。何より良い囮になるし、面白いとの事。嗚呼、兄妹の絆とは何だったのだろう。
 ……しかし、先程からシエンがダガー投擲し続けているにもかかわらず、不思議と全てを避けている。近付けない事には成功しているが、このままだと長期戦になってしまう可能性もある。何より、もうとっとと終わらせたい。
「なぁ、シノ。今だけ敵にならねぇか、盾にしたい」
「嫌だよ、何で俺!?」
「チッ。分かった、ならアレに特攻して捕獲しろ。動きが止まったら、俺が暗殺する」
「盾にするのと扱い大差ねぇよな、ソレ!?」
 女性陣の要望に律儀に答えようと乙女に見えるポーズを取りながら、ああでもないこうでもないとしているランジーリ。男性陣に似合う女装を考えるのはとても楽しそうだが、当の本人達は今の内にと作戦会議中だ。
 シノも早々に倒したい気持ちはあるが、捕獲するとはつまり……接近戦を仕掛けねばならない。其れは無理だ。紅喰いでスコルに変じた後も遠吠えで遠距離攻撃を考えていたのに!しかし、どうするのかと言い合っている間……女性陣は不思議そうな目で二人を見る。
「……二人共、何をやってるのかしら」
「さあな。流石にしっかり考えている所を攻撃するのは悪いが……リナと素敵な景色を見たいのでな」
「という訳だから、ごめんね?」
 丁度、シノとシエンに似合いそうな服を取りに行こうとした瞬間だった。
 蒸気エンジンが搭載されている、小さなリュックにも似たスチームエンジンを装備したカガリがランジーリに全力で突撃!怯んだ所を追撃する様に、木槻による神様からの贈り物が敵の手足を切り裂いていく。
 多少は服に傷がついてしまったが……其れでもニナとカガリ、木槻の攻撃で敵はかなり消耗し始めていた。……辛くも、男性陣は女装の危機を回避したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクター・ハルフェティ
(行動:POW)
お前か!妙なことを押しつけるオブリビオンは!
そのヒラヒラした服は下着じゃないか!?
何?ベビードールって下着……?それを着ろと……?

何にせよオブリビオンの野望は止めねばならん。
覚悟!!
俺の分身を出したってもろとも斬……「はぁー美少年だったらこの服着たら美しいだろうな(本音)」
ウワーー!!俺の分身!?!?
死ね!!!(混乱した勢いのまま血統覚醒)


エドゥアルト・ルーデル
やめろッこんなものーッ!

こんな野郎には可能な限り近づきたくねぇ!
【罠使い】で落とし穴なりトラバサミなり足止めする罠を張って【スナイパー】でちまっちま狙撃ですぞ
もしあんなのに【ウィンク】されたら口から虹が出てしまうかもしれん…

万が一攻撃を受けた際の質問に対して回答は
とっとと帰って口直しに美少女アニメを見たい気持ちで一杯だッ!
筋肉だるまの女装だなんて…気持ち悪いわーッ!
誰が貴様みたいな野郎で欲望が湧くんだこのスカタン野郎がァーッ!

後はもう見ないように【爆撃機】を召喚し、自動操縦で爆撃して攻撃
その間拙者、ちょっと吐き気止め飲んできますぞ…

アドリブ・絡み歓迎



●欲望☆暴走☆女装希望!
「ふざけるなァァァ!!!」
「こんな野郎には可能な限り近づきたくねぇ!!!」
 地獄を共にする男達の気持ちは同じだった、近付く事すら断固拒否ッ!
 ヴィクター・ハルフェティ(トワイライト・f08946)は吼える、出遅れから全力ダッシュで到着した直後にエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)は叫ぶ。
 改めて見ると、ムキムキマッチョがピッチピチのベビードールを着ている図って破壊力が高い。高過ぎる。……こう、精神的なダメージ的な意味で。
「キャーッ!クールイケメン、きちゃったわぁ!ソ・レ・に……ダンディズムなオジサマまで、オジサマを着飾るの夢だったのよぉー!」
「野太いボイスで聞きたかねぇわァァァ!!!美少女にチェンジ!チェンジ希望ですぞ!ほら、ハリー、ハリーッ!」
「えー?アラァ?私、美少女なのよぉ?」
「鏡見てから言えや、筋肉ダルマァァァ!!!」
「気持ちはとても解るが!落ち着いてくれ、エドゥアルト……!」
 ……ヴィクターは察したくないが、色々と察してしまった。
 ダメージは受けている筈だが、ランジーリの欲望(ときめきと読む)は止まる気がしない。止めるならば即座に奴をボコボコにして、倒すしかないと。
 ――此れはオブリビオンの野望を止める為、必要な試練!
「妙なことを押しつけるオブリビオンの野望を止めねば――」
「クールイケメンちゃんはぁ、私とお揃いもいいわねぇ……!」
「お揃いって、何だ?ベビードールって下着……それを着ろ、と……?」
 ……無理だ。というか、嫌だ。自分の何かが、色々とズタズタになりそうだ。
「覚悟……ッ!」
 ヴィクターは気を取り直して鉄塊剣を構え、勇敢にもランジーリへと向かう。
 此れ以上、意味不明な言葉を撒き散らされては堪らない。睨む視線は鋭く、敵が己の分身を出して来ようと構わなかった。諸共、叩き斬ってしまえば良い。迷い無く巨大な刃を振り上げた……正に、其の瞬間だった。
『はぁー、美少年だったらこの服着たら美しいだろうな。白き肌の美少年に黒のベビードール……いや、鮮烈な赤も捨てがたい……』
「――ウワァァァァ!!!お、お、俺の分身!?」
「ほほう、ヴィクター殿は美少年趣味でござったか……良ければ、拙者が好みの美少年キャラを探しますぞ?」
「気持ちだけで充分だ、やらなくていい」
 ……普段、無表情なクールイケメンが感情を露わにする瞬間。硬直。
 ランジーリとしては萌えポイントの一つだったのだろう、キャーキャーと黄色い声を上げている。反応だけを見れば、確かに乙女だ。野太いけれど、とっても野太い声だけれど。
 エドゥアルトはヴィクターの本音を聞きつつも、自分と敵の間にトラバサミや落とし穴などの罠を張り巡らしている。しかし、量が多い。もうどれだけ近付けさせたくないのか、見て解る程度には多い。
「ねぇねぇ、オジサマ。貴方はどう?女装したい、女装したいのね!」
 ランジーリがウインクを一つ、エドゥアルトに向けて。
 ……しかし、彼はニヤリと嗤うのだ。此のままでは死んでも死にきれない理由がある。口から虹を出す前に、この際だから言いたい放題吐き捨ててしまおう。
「とっとと帰って、口直しに美少女アニメを見たい気持ちで一杯だッ!誰が貴様みたいな野郎で欲望が湧くんだ、このスカタン野郎がッ!拙者の帰りを待っててくれる、きゃーわゆい美少女達がいるのでござるよォォォ!!!」
「俺の分身諸共、死ねッ!!!」
 他の猟兵の前で突然の本音暴露による混乱が、ヴィクターを覚醒に導いた。銀色が赤く染まり、ヴァンパイアとしての力を解放、巨大な鉄塊剣を強く握り締める。
 エドゥアルトもSturz KampfFlugzeugによる爆撃機部隊を召喚、其の数……えっ、百四十機?中隊規模じゃないですか、オーバーキル待ったなし。其れらを自動操縦で動かし、ヴィクターの援護と敵の爆撃を狙う。
 ……本人?流石に耐え切れなくて、部屋の隅とかの見えない所で虹を吐いている様です。自動操縦を取っておいて良かった。
「いやぁん!いやよぉ、まだ、私は……皆に女装の素晴らしさを、教えたいのにィィィ!!!」
「――其れが迷惑だと言っているだろうが!」
 数多の爆撃により、逃げ場を失った所で……爆炎を裂いて、ヴィクターが迫る。
 寿命を代償に引き出したヴァンパイアの力も重ねて、彼は一息に鉄塊剣を振り下ろす。逃れられぬ剛の一閃。ランジーリは野太い声で叫び……最期まで乙女を貫いた上で真っ二つになり、消えていった。
 ……やっと、終わったのか。どっと疲れた気がして深く溜息を零し、彼はエドゥアルトの所へ向かう。少しだけ距離は置くけれど。
「エドゥアルト、大丈夫か?」
「拙者、帰って美少女を拝むまで……死ねぬで、ござる……」
 あ、此れは大丈夫そうだな。良く見ると、吐き気止めらしき薬を飲んだ跡もある。
 男性陣は精神的にも消耗しただろうが、其れでも倒した事に変わり無い。もう、混沌極まる戦いは終わったのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『きっと君のためのワルツ』

POW   :    豪快に光と戯れる

SPD   :    軽快に光と戯れる

WIZ   :    風流に光と戯れる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●宵闇でワルツを
 ……意識する程の余裕がない者が多かっただろうが。
 かなりの時間が経過していた事は事実だろう、普段よりも暗く感じる気がする。
 そういえば、終わった後に近くの森に寄ってみたらどうだ、とグリモア猟兵が言っていた様な。猟兵諸君の内の誰かが思い出して、折角の機会にと寄ってみる事に。

 ――其処に広がっていたのは幻想的な雰囲気だった。
 森の中に入ってから、程なくして見つけた川辺。
 蛍にも似た何かがふわり、ふわり。明滅を繰り返して、優雅に舞い踊る。
 そして、静かに訪れた猟兵諸君を招く様に周囲を揺蕩う。騒がない限り、彼らは君達の周囲を漂い、優しい景色を見せてくれる事だろう。

 これまでの疲れを癒すのも、大切な人や友人を招くのも良い。
 ふらり、偶々訪れた者も此の子達はきっと歓迎してくれるだろう。
 心を癒す光のワルツへようこそ、君達が心ゆくまで楽しんでもらえれば……彼らもきっと喜んでくれるに違いない。

【お知らせ】
 プレイング受付開始は『3月28日(木)8時30分』以降となります。
ニナ・グラジオラス
【ADV】で参加
幸也も【同行希望】

リナお疲れ様。案外話が通じて、彼女(彼?)とも話すのは楽しかったがな
幸也もお疲れ様だな。実物を見てきたが、あれを予知するのは本当に疲れただろう
でだ。そこの男2人はいい加減に機嫌を直せ
こんな場所にまでその陰鬱な気分を持ち込むのは無粋だぞ
先輩もたまには金貨と違う輝きに癒されるのも悪くないだろう?

(リナの手招きに穏やかに微笑み返しながら)本当に綺麗だな
星が降りてきたみたいだ

あんまり噂すると、影がさしても知らんからな
名前が聞けないのは残念だが、それはつまり、好きに呼んでもいいって事じゃないか?

(シノを胡乱気な顔で見返して)疲れてるのか、愚兄
寝てもいいぞ、置いて帰るから


木槻・莉奈
【ADV】で参加
幸也も【同行希望】

ニナ、お疲れ様。そうね、普通に話は出来たし、面白かったもの
幸也も支援お疲れ様
ちょっとシエン先輩、幸也に八つ当たりはやめなさいよ、みっともない
シノも、そんな疲れた顔してないで、ほら綺麗よ

それ言ったら最終的にまともに攻撃してたのニナと私じゃない
シエン先輩も牽制はしてたけど…シノはツッコミ疲れ?

(ふわふわと舞う光に、嬉しそうにニナを手招いて
見て、ニナ…凄く綺麗

もう、情緒がない事言わないでよ
何て子達なんだろ…話は出来なさそうだから、名前聞けないのが残念
ふふ、それもそうよね

(シノの発言に呆れた目を向けつつ
…間違えて分身の方連れてきちゃったみたいね
置いて行くのが安心かも?


シエン・イロハ
【ADV】で参加
幸也も【同行希望】

幸也てめぇ妙なもん見付けやがって…
レベリングならついでに金も稼げるもんだよなぁ?

誰のせいで八つ当たりしてると思ってやがんだこいつ…
んだ、シノ、止めるんならお前が払うか?

別に金貨じゃなくても売れるもんなら構わねぇけどな
ま、こいつら売るには手間のがかかりそうだし…放っといてやるよ

そうやって口に出すから夢に出るんじゃねぇのか?
そもそもマッチョはともかくベビードール見る機会とかそうねぇだろ
(悪態吐きつつ、適当な木によりかかって景色を眺め

お前の言う綺麗な奴らの言い分これだが綺麗と評していいのか本当に
…ったく…綺麗も何も、さっきのあれに比べりゃ何見ても綺麗だろうよ


シノ・グラジオラス
【ADV】で参加
幸也も【同行希望】

精神的に凄く疲れた気がする…
しばらくベビードールかマッチョみたら夢に見そうだわ
おいおいシエンもそんなに殺気立つなよ、女装回避できただけでも喜ぼうや
俺は払いません!味方から踏んだくるとか、どんなRPGだ

そりゃリナとニナはアイツ含めて女子トークしてたんだから疲れてはない
…女子トークって何だっけか
よし、アイツの事は忘れよう。引き摺ってたら本気で夢に出かねん

確かに綺麗な光景だ。けど、ウチの姫さん方の方が綺麗だけどな
って、んな顔で皆してみるの止めてくれない?
俺は女性陣を、下心なく純粋に褒めてるんですけど!
あとシエンはせっかく忘れかけてたもんを思い出させないでくれ



●連行希望?いいえ、同行希望です
 ――場所は森の入口付近。
 グリモア猟兵と合流する為、待ち合わせをしていた男女四人と一体の小竜の姿。
 待ち人が来たのを確認した直後……某ワイルドイケメンが迅速な動きで胸倉を掴みかかる。笑顔ではあるが、笑っていない。こめかみに青筋が立っていた。
「幸也、てめぇ妙なもん見付けやがって……」
「精神的に凄く疲れた気がするわ……」
「全くだ。……つか、レベリングならついでに金も稼げるもんだよなぁ?」
「戦闘はあっさりだったろ?レベリングは金より経験値目当てだから、ぶっちゃけ金はそんな……」
「あ゛?」
「シエン、完全に図がサラリーマンのカツアゲ現場になってるからストップストップ」
 胸倉を掴んだと思えば……直後、良い感じにコブラツイストを決めつつ、シエン・イロハ(迅疾の魔公子・f04536)が低い声で呟く。相手は今回の依頼を予知した、グリモア猟兵たる十朱だった。
 シノ・グラジオラス(火燼・f04537)が指摘する通り、ワイルドイケメンがスーツ男子をコブラツイストで締め上げる……あ、確かにカツアゲ現場ですね。貧弱な十朱が抵抗出来る訳もないので、完全にされるがままになってますね。
 シノが女装回避出来ただけでも喜ぼうや、と宥めようとしているものの、シエンは止める様子はなかった。それでも一応、手加減はしている様だが。
「ちょっと、シエン先輩。幸也に八つ当たりはやめなさいよ、みっともない」
「こんな場所にまでその陰鬱な気分を持ち込むのは無粋だぞ。そこの男二人はいい加減に機嫌を直せ」
 ――先輩もたまには金貨と違う輝きに癒されるのも悪くないだろう?
 恐らく今回の依頼を一番楽しんでいたであろう女性二人。木槻・莉奈(シュバルツ カッツェ・f04394)とニナ・グラジオラス(花篝・f04392)、そしてカガリの姿も其処にはあった。
 二人がシエンに対して、宥める様な言葉を掛けるものの……どうやらお気に召さなかったらしい。寧ろ、誰のせいで八つ当たりしてると思ってやがんだ、と苛立ちを隠せない様子で。
 相当女装が嫌だった上、ランジーリとの戦いで精神的に疲弊していたのだろう。ええ、其れはもう疲れるよね。
「シエン、そろそろ離してやれって。しばらく、ベビードールかマッチョみたら夢に見そうなのはわかるけど、幸也の顔が青いぞー」
「マジ、ギブ、ギブ……リアルファイト無理……!」
「なんだ、シノ。止めるんならお前が払うか?」
「――俺は払いません!味方から踏んだくるとか、どんなRPGだよ!?」
 払わねぇのかよ、と舌打ちをしながらもシエンは漸く十朱を解放した様だ。
 ぜーはー、と肩で息をしている様子を見て、思わずシノが其の背中を擦っていて。
 ……そんな男子学生の様なノリでふざけ合っている中、先程止めていた女性陣だが。
「案外話が通じて、彼女……彼、か?とにかく、色々と話すのは楽しかったな」
「そうね、普通に話は出来たし、面白かったもの。もうちょっと話してみたかったかも」
「折角だ。幸也の写真を持って行って、似合う女装を聞いてみても良かったか」
 容姿は兎も角、女子トークを楽しんだ時間を思い出しては微笑み合う。
 カガリもそんな楽しげな雰囲気に釣られて、嬉しそうな一鳴きを。森の中では静かにね、そう木槻が語り掛ければ元気な頷きが返って来て。
 男性陣を置いてけぼりに、女子二人とカガリは静かに森の中へと歩みを進めた。

●仄かな光に包まれて
「見て、ニナ……凄く綺麗」
「本当に綺麗だな。……星が降りてきたみたいだ」
 足音も聞こえる様な、静かな森の暗がり。
 川の流れが聞こえてくる方向へ歩くと、幻想的な風景が五人とカガリを迎える。
 蛍にも似ているが、異なる生き物がふわり、ふわり。時折、仲間同士で止まっている様子もまた美しい。
 ……星が降りて来た、という表現に相応しく。まるで夜空を散歩している様な気分を木槻とニナは楽しんでいた。勿論、カガリも。自分の鼻先に止まった光に、擽ったそうにふるふると首を振っていて。
「二人共、元気だな……って、そりゃリナとニナはアイツ含めて女子トークしてたんだから疲れてはないか」
「女子の定義とは、ってなるけどな。アイツ、というかランジーリ」
「幸也サーン、名前言わないでくださーい。よし、アイツの事は忘れよう。引き摺ってたら本気で夢に出かねん」
「……そうやって口に出すから夢に出るんじゃねぇのか?そもそもマッチョはともかくベビードール見る機会とかそうねぇだろ」
 シエンが適当な木に寄り掛かり、ニヤリと笑ってシノに告げる。
 折角忘れようとしたのに思い出させるような事を言うな、言わないでくれ。彼がげんなりした様子を見て十朱もまた笑う。男性陣もまた、光溢れる光景をゆっくりと眺めていた。
 ……ふと、シエンは森の前でニナが口にした金貨の話を思い出す。
 別に金貨では無くても、売れそうな金目の物なら彼は何であろうと構わなかった。結果的には金になる。館には何も無かったし、此処で目の前の生き物を確保するのも――。
「……放っておいてやるか」
「シエン、どうした?」
「別に。つか、あいつらの所に行かなくていいのかよ」
 行くに決まってるだろ!と豪語する姿に、シエンはまた溜息を一つ。
 確保した所で売るのに手間が掛かりそうだから、止める。其れだけだ。善意なんて面倒な理由じゃない。
 ふわり揺蕩う光のワルツを楽しみながら、生き物達の名前を聞けないのが残念、と木槻がぽつり。そんな彼女にニナは聞けないならば、好きに呼んでもいいって事じゃないかと微笑みかけて。カガリもこくこく、と。木槻もまた笑顔で、光を眺めながら頷いた。何と呼んでみようか、考えるのもまた楽しくて。
「確かに綺麗な光景だ。けど、ウチの姫さん方の方が綺麗だけどな」
 瞬間、其の場に居る【ADV】面々がシノを見る。胡乱気、呆れ、反応は様々。
 妹であるニナ、幼馴染の木槻、其れに親友であるシエン。全員が同じ様な反応を示すという事は、普段の彼からは考えられない発言だったのだろうか。
「……って、んな顔で皆してみるの止めてくれない?」
「疲れてるのか、愚兄。寝てもいいぞ、置いて帰るから」
「……間違えて分身の方連れてきちゃったみたいね。置いて行くのが安心かも?」
「お前の言う綺麗な奴らの言い分これだが、綺麗と評していいのか本当に」
「分身なら、本物のシノは館で逆立ちでもしてんのか?」
「――俺は女性陣を!下心なく!純粋に褒めてるんですけどー!?」
 きっ、きっと信頼故なのだろう。団長には是非とも、強く生きて欲しい。
 小声で納得がいかねぇ、と言いたげな反応をしているが……本当に置いて行く気は無かったのだろう。十朱とカガリも含め、皆の口元に笑みが浮かぶ。
「綺麗も何も、さっきのあれに比べりゃ何見ても綺麗だろうよ」
 ゆっくりと、景色を楽しむなんて自分の柄ではないと思うが……偶には悪くない。
 それからもシエン、他の【ADV】のメンバー達は光のワルツを楽しんでいた。
 ……時に戯れて、時にゆっくりとした時間を過ごす。
 また、こんな風に皆で景色を眺めたい。誰かがそう、笑って呟いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクター・ハルフェティ
【ネフシュタン】で参加
※前提として、アステルの事は女の子だと思ってます。

(精神的に疲れた様子で三角座りしている)……とんでもないユーベルコードだった。
ああ、吾聞とアステルか。
(心情:ウワーーランジーリ戦の時に二人が居なくて良かったーー)
何でもない、少し苛烈な敵と戦って来ただけだ。尻尾?よくわからないがありがとう。
(アステルに強く勧められ、少し照れつつふわふわの上面を軽くなでる)

光が増してきたな。いつも暗いここだと、こういう光は貴重だ。ほら、アステルのほうへ行ったぞ。吾聞捕まえてみるか?


影守・吾聞
【ネフシュタン】

(テル=アステル
ヴィクターの性癖は知らない)


「ヴィクター、お誘いありが…何があったし」
三角ヴィクターを発見、テルと思わず顔を見合わせ

なるほど…グリモア猟兵さんの話からして
今回の敵は、すごく濃ゆそうだったものね
元気付けたいけど、俺の『コミュ力』で何とかなるかなぁ
ほら、俺の尻尾でももふって落ち着こ?

ヴィクターが落ち着いてくれたら
三人で光を楽しむよ
あ、テルの頭に留まった。髪飾りみたいだね

んー、ふわふわいっぱい飛んでると
つい捕まえたくなっちゃうな
潰さないように気を付けて…それっ!

捕まえた手をそっと開くと
中からふわっと飛び立った光が俺達を照らしてくれる
幻想的っていうのかな、すっごく綺麗!


アステル・サダルスウド
【ネフシュタン】
※ヴィクター君の性癖は知らないんだよ

わぁ、素敵な場所だねぇ!
誘ってくれたヴィクター君に感謝しなきゃ
それで本人は……おっと、小さく収まったヴィクター君発見!
どうしたんだろう?吾聞君分かる?(顔を見合わせ)

余程手強い敵だったのかな…
よし!技能『鼓舞』で励ますよ!
大丈夫だよヴィクター君、どんな敵でも通り過ぎれば過去!
今は前を向こうではないか!
ほら、吾聞君の尻尾ふわふわだよ!世界が嫉妬する毛ヅヤだよ!

ヴィクター君が三角から解放されたら、三人で光を眺めよう!
あ、本当だ、こっちに来て…え、頭に留まった?
どんな子かな?ふふ、何だか嬉しいね
吾聞君、捕まえたら見せてくれるかい?
とても優しい光だね



●本音と書いて、言葉の刃と読む
「……とんでもないユーベルコードだった」
 ヴィクター・ハルフェティ(トワイライト・f08946)は疲弊していた。
 体力面ではなく、精神面で酷く消耗していた。それ程までにランジーリというオブリビオンの存在、そして彼が用いたユーベルコード『本当の自分と向き合って!』は強力だったのだ。主に精神面への攻撃という意味で。
 ……何が一番辛いって、アレだよ。
 全く知らない、赤の他人の猟兵に意図せず自分の性癖暴露されちゃったら、そりゃあもう本気で凹みますよね!別れ際にサラッと、オススメ美少年情報とか教えてもらったけれど。ヴィクター本人としては教えれくれた事は有難かったが、其れよりも今日の事は忘れて下さい、お願いします。……そんな心境だろうか。
「ヴィクター、お誘いありが……何があったし」
「おっと、小さく収まったヴィクター君発見!どうしたんだろう?吾聞君分かる?」
「……三角ヴィクターになる程、色々大変な敵だったのかも?」
 森の入口、其の片隅。【ネフシュタン】の二人はヴィクターに駆け寄る。
 三角座りをしている彼の雰囲気は明らかに疲弊しており、影守・吾聞(先を読む獣・f00374)とアステル・サダルスウド(星影のオルゴール・f04598)は、思わず顔を見合わせて。
「……ああ、吾聞とアステルか」
 反応する声も、何処か上の空だった。
 しかし、ヴィクターは内心とても安堵していたのだ。ランジーリ戦の時に二人が居なくて良かった。本当に良かった!二人に……特にアステルの様な愛らしい女の子に聞かれたら、引かれていたのではないかと思うと、彼の額に冷や汗が流れる。
 二人を心配させるのも悪いと思い、ふうと息を吐いて。少しでも心を落ち着けてから、改めて二人に向き直る。
「何でもない、少し苛烈な敵と戦って来ただけだ」
「今回の敵は、すごく濃ゆそうだったものね。ほら、俺の尻尾でももふって落ち着こ?」
「ほら、吾聞君の尻尾ふわふわだよ!世界が嫉妬する毛ヅヤだよ!」
「……尻尾?よくわからないがありがとう」
 実物を見た訳では無いが、グリモア猟兵の話とヴィクターの反応を見る限り、相当大変な敵だった事はわかる。
 影守は自身のコミュ力、そして尻尾をもふもふするアニマルセラピーを提案。毛並は自分の『キマイラブラシ』で手入れ済だ。アステルにも強く勧めらた事もあり、ヴィクターはそっとふわふわの上っ面を撫でる。ほんの少し、頬に赤みがさしていて。
「大丈夫だよヴィクター君、どんな敵でも通り過ぎれば過去!今は前を向こうではないか!」
「テルの言う通りかもよ?なんて……どう、落ち着いたかな?」
「……ありがとうな、二人共」
 鼓舞する様なアステルの言葉に、二人はふと笑って。
 もう少しだけもふもふを堪能してから、三人で森の中へと歩いて行く。
 【ネフシュタン】の皆様、ようこそ。幻想的な世界へ、三名様の御案内――。

●青銅の蛇は光と戯れる
 森の中、先の猟兵達とは別の川辺に其れらはふわりと漂っていた。
 ふわりと浮かんで、時折葉に止まる。宵闇を踊る様に揺蕩う姿はまるで、ワルツの様で。三人は幻想的な光景に微笑みを浮かべ、目で楽しんでいる。
「……いつも暗いここだと、こういう光は貴重だ」
 夜と闇に覆われた、ダークセイヴァーの世界。
 そんな中でも仄かに輝き続ける此の光は、周辺の村人達にとっては希望の光とも言えるのだろうか。そんな取り留めのない事をヴィクターが考えていると……ふと、一匹が三人の所へ。
「ん……ほら、アステルのほうへ行ったぞ」
「あ、本当だ、こっちに来て……あれ?いなくなっちゃった?」
「大丈夫、テルの頭に留まってるよ」
「え、頭に留まった……?」
 アステルは見失ったと思ったが、影守の言う通り彼の頭の上に。
 明滅を繰り返す其れは今、アステルの髪飾りの様にも見える。
 どんな子かな?何だか、嬉しい。そんな風に呟いて、浮かべる綻んだ笑顔は花の様。女の子の様な愛らしい其れに、ヴィクターもまた微笑ましくなる。
「んー、ふわふわいっぱい飛んでると、つい捕まえたくなっちゃうな」
「吾聞、捕まえてみるのか?」
「吾聞君、頑張れ!捕まえたら見せてくれるかい?」
 任せて!と影守は意気揚々と、でも怖がらせない様に静かに。
 そろーり、そろり。葉の先に止まっている一匹に狙いを定めて、野生の勘でタイミングを計り――それっ、今だ!
 潰さない様にと両手で包む様にして。そのまま二人の元へ、静かに駆けて戻る。
「なんか、とってもドキドキだね……!」
「それじゃあ、開けるよ?」
 影守が両手をそっと開くと……中からゆっくりと浮かぶ、幾つかの光。
 優しくて、温かい光に【ネフシュタン】の皆の声が揃った。とても綺麗、と。
「……とても優しい光だね」
「うん!幻想的っていうのかな、すっごく綺麗!」
「ああ、本当に綺麗だ」
 ……二人を誘って、此処に来る事が出来て良かった。
 生き物達による光のワルツも勿論、綺麗だが。ヴィクターには其れよりも眩しく、温かく映る光景があったのだ。
 旅団の同僚である二人が幸せそうに、楽しそうに笑い合う姿。
 散々な目に遭ったと思っていたが、二人の笑顔を見るだけでも苦労した甲斐はあったのかもしれない。
「テル、向こうにも光が集まってる!」
「本当?ヴィクター君も行こう、未来の光はそこだー!なんて」
「ああ、行こうか」

 暗闇が支配する世界でも、彼らの様な優しい光が在る様に。
 彼ら猟兵達もまた、希望の光となれるだろうか。
 其れは今はまだ、未知の話。しかし、もし其れが現実となったならば。
 ……此の光のワルツはもっと広い場所で、優しく輝き続けるのかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月31日


挿絵イラスト