ゆるキャラBBQ戦争
●BBQの恐怖
その日、カクリヨファンタズムに激震が走った。
なんと猟書家『ベンジャミン・バーニングバード』と彼の率いる『ゆるキャラアーミーズ』が侵攻を開始。あっという間に、カクリヨの、とある迷路を制圧してしまったのだ。
現在、ゆるキャラたちは平和な迷路を『銃弾と刃物の嵐』で満たし、その最奥にこもって良からぬ企みをしているという。
恐ろしい侵略者にカクリヨの住人たちは恐れおののくのだった。
迷路の最奥でベンジャミン・バーニングバードの邪悪な高笑いが響き渡る。
「クハハハハッ! このBBQ味のレーションが完成した暁には配下の士気が爆上がりすること間違いない。そうなれば、もはや勝ったも同然ではないか!」
……カクリヨに危機が迫っていた。
●CQBとBBQってなんか似てるよね
「カクリヨファンタズムに猟書家『ベンジャミン・バーニングバード』が出現しました」
フロワ・アンプローザ(元悪役令嬢・f34014)は緊張した面持ちで今回の事件について説明を始める。
「ベンジャミンは元は何かのゆるキャラが妖怪化したものだったらしく、彼と同じように人々から忘れさられたゆるキャラに軍事訓練を施したゆるキャラアーミーズを従えています」
彼とゆるキャラアーミーズは自動小銃やコンバットナイフで武装し市街地や屋内でのCQB(クローズ・クウォーター・バトル)を得意としている。
「ベンジャミンとその配下は、カクリヨのとある迷路を得意のCQBで制圧し拠点としてしまいました」
そして迷路に侵入者を撃退する『銃弾と刃物の嵐』で満たし、その奥で更なる戦力の強化をたくらんいるという。
「そのたくらみがBBQ味の美味しいレーションの開発です。どうやらBBQはベンジャミンと配下たちの好物らしく。彼らにとって特別な意味を持つ食べ物のようです」
苦しい訓練もその後のBBQがあれば乗りきれる。そうやって彼らは絆を深めてきたらしい。彼らの強さはある意味でBBQが作りだしたといっても過言ではない……かもしれない。
「実際にベンジャミンのたくらみが成功すれば、彼らの士気が上がり、より危険な存在になる事は確かです。レーションの開発が成功する前に彼らの撃破をお願いします」
●お化けはCQBで無敵だよ
「ベンジャミンたちを撃破するには、『銃弾と刃物の嵐』で満ちた迷路を突破しなければなりません」
迷路は入り組んでいて簡単に奥には進めない。さらにどこからともなく銃弾が飛び交い、無数の刃物が襲いかかってくるような場所で攻略に手間取れば命の危険も出てくるだろう。
「銃弾や刃物は恐ろしいですが、生身の肉体を持たない存在であれば問題はありません。そこで迷路の構造をよく知るお化けたちに道案内を頼むことができれば有利に攻略できるはずです」
「お化けたちにお願いを聞いてもらえるよう。何かプレゼントを持っていくのも良いかもしれません。成功を祈っています」
●BBB(ベンジャミン・バーニングバード)
「ベンジャミンは3つのユーベルコードを使用し、入り組んだ迷路でみなさまと対峙すると思われます」
一つめはユーベルコードはCQBに秀でた配下のゆるキャラアーミーを召喚するもの。
二つめはBBQを匂わすことで一時的な自身と配下の戦闘力を向上させるもの。
三つめは無線を使ったCQ(シーキュー)で支援を要請し、新たな軍事兵器を召喚するもの。
「みなさまでしたらベンジャミンたちとの戦闘に勝利を収められると信じております。どうかよろしくお願いします」
さわま
はじめまして、こんにちは。オープニングをご覧頂きありがとうございます。
本シナリオは猟書家シナリオで以下のような構成になっております。ご縁がございましたらご参加頂ければ幸いです。
特にプレイング募集期間は設けません。流れてしまったら再送頂ければ嬉しいです。
●第1章 冒険『銃弾と刃物の嵐』
現地のお化けたちに協力を要請して迷路を突破します。お化けたちにうまくお願いしたり、危険な銃弾や刃物への対処を考えたりしなければなりません。
●第2章 ボス戦『ベンジャミン・バーニングバード』
ベンジャミンとその配下との迷路でのCQBとなります。配下もベンジャミンとよく似た姿をしており、自動小銃とサバイバルナイフ等で戦いを挑んできます。
第1章 冒険
『銃弾と刃物の嵐』
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POW : 頑丈な肉体で他の仲間を庇いながら移動する。
SPD : 少しでも被弾を避ける為、全速力で移動する。
WIZ : 嵐の吹き方に法則性を見つけ出し、掻い潜る。
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
惑草・挧々槞
ふむ、プレゼント。
それならこの[謎味ビーンズ銃]に取り付けたジェリービーンズのボトルをあげましょう。予備もあるし。
不味い味も混じっていたりはするけれど、駄菓子には遊び心があってこそ。自分で食べず悪戯に使っても良いかもね。
それにしても物々しい雰囲気ね、この迷路。構造を知るお化けさんたちに是非ともエスコートして頂きたい所だわ。
まあ、かく言う私も『実体のない幽霊』なのだけれど。それに、『熱狂的なファンがいる程の名探偵』の私にとって嵐の法則性を推理する程度は朝飯前の丑三つ時よ──
──という感じの存在へと一時的に変化するわ(※UC《絶対彼女》の効果で『』の設定を得る)。
半分くらいは本当のことだけれどね。
●幽霊探偵ククル
「これなあに?」
「なーに?」
色とりどりの空豆のようなものがいっぱいに入った瓶に幼いお化けの兄妹は興味深々といった様子だった。
「これはね」
惑草・挧々槞(浮萍・f30734)は瓶の中のお菓子をひと粒つまみ、口の中に含んだ。
「おかしだー!」
「かしー」
「良い推理ね、正解よ。これはジェリービーンズというお菓子なの」
きゃっきゃと喜ぶ兄妹に挧々槞は穏やかな声で答える。
「ありがとう、探偵のおねーさん」
「ありがとー」
挧々槞の見た目はインバネスコートにモノクルといった探偵スタイル。なぜなら今回の挧々槞は『幽霊探偵ククル』。多くのファンを虜にする美少女名探偵なのだ。
「おいしー」
「……まずーい」
さっそくジェリービーンズを口に入れた兄妹が対照的な表情を浮かべた。どうやら妹の方はハズレを引いてしまったらしい。
「このお菓子には不味い味のハズレもあるの。ドキドキするでしょ。それに悪戯に使ったりもできるわ」
挧々槞の言葉に悲しそうだった妹お化けもぱあっと明るくなる。兄妹はどんな悪戯をしようかとお菓子の入った瓶に目を輝かせていた。
「これで案内をお願いできるかしら?」
「いいよー」
「よー」
快諾の返事を得てよかったと胸をなで下ろす。
「でも中はこわい銃弾と刃がビュンビュンしてるよ」
「こわいのー」
挧々槞の身を案じている様子のお化けたち。二人を安心させるように挧々槞は自信満々にいった。
「この『幽霊探偵ククル』にかかれば。嵐の法則性を推理する程度のことは——朝飯前の丑三つ時よ!」
「探偵のお姉さんすごーい!」
「すごーい」
お化けたちの弾んだ声に挧々槞は少しだけ顔をほころばせた。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィリー・フランツ
理由・心情:なんともなぁ、挙兵理由はアレだが無視する訳にもイカンな。
調子に乗る前に潰すか!
手段:「こりゃあ抜ける迄時間掛かるな」
さぁて、ゴーグル型HMDを装着しブルパップ小銃にグレネード、銃剣にレーザーガン、バックパックには予備の弾薬と糧食と完全武装で行く。
ガイドを雇わにゃならんが…この幽霊、お供え物を寄越せたぁ図々しい奴だ、葉巻をやるから"取引といかねぇか?
俺は紙巻煙草を吸って【喫煙者】を発動し策を考える。
…幽霊を先行させ罠の位置や種類を探るのが上策だな、一度死んでるし。
発見後はグレネードやレーザーガンによる"範囲攻撃や"破壊工作で罠を破壊、場合によっちゃ壁を破壊してショートカットも試みる。
●傭兵ヴィリー・フランツ
ヴィリー・フランツ(スペースノイドの傭兵・f27848)が手慣れた動きで手元の自動小銃に弾倉を取り付ける。
今回は狭い室内での取り回しの良さを考えて、銃身の短いブルパップ式のモデルをチョイスした。少し構えてみるが違和感は無い。
銃身下部には特製の幅広の銃剣がマウントしてある。突くだけではなく切る事にも優れたものだ。接近戦もさることながらワイヤートラップへの対処に、それこそレトルトバックや缶詰の開封まで用途は多い。
愛用のタクティカルベストには予備弾薬のカートリッジに各種工具、愛用の煙草。
腰のホルスターには予備兵装のレーザーガン。こちらは大気減衰も大きく射程と威力は実銃に劣る。しかしレーザートーチとして使えて、扉や罠の溶断や溶接作業にも役に立つ。
そしてプラズマ手榴弾。狭い室内でこいつを使う機会は限られるが(自分を巻き込むなんて御免だ)、相手を上手く嵌める事ができれば即席のトラップとしても使えるだろう。
バックパックには追加の弾倉、救急キットに糧食、ロープやワイヤー等を詰め込んである。
最後にゴーグル型のHMD。最新型ではないにしろ暗視機能に各種通信や照準サポートとひと通りの機能は揃っていて信頼性も高い。
何が言いたいかというと完全装備ということだ。こういう準備に手を抜くようでは、ヴィリーはどこかの戦場でのたれ死んでいただろう。
「あとは優秀なガイドでもいれば、だな」
現地をよく知る信頼できるガイドは戦場において重要だ。とはいえ自分の命を危険にさらそうっていうモノ好きはそうそういない。だから「優秀なガイドがいればこんな事には」と死にそうな目に遭いながら恨みごとを言った経験は一度や二度ではなかった。
「お前は……?」
そんなヴィリーの横に、いつの間にかゆらゆらと揺らめく人魂のようなお化けがいた。
「えっ、ガイドをやってくれるのか?」
こうしてヴィリーは思いがけなくガイドを雇うことができたのだった。
「こりゃあ抜ける迄時間が掛かるな」
迷路に侵入して数時間といった所か。休憩できそうな小部屋を見つけることができた。周りの安全を確認してからヴィリーはふぅとため息を吐いた。
ガイドのおかげで道に迷うことは無いが、間断なく襲ってくる銃弾や刃、さらに所々に仕掛けてあるトラップに少しも気を抜くことができなかった。
壁によりかかり腰を下ろす。ベストから少し潰れた煙草の箱を取り出し、その中の一本を口にくわえる。
火をつけてゆっくりと吸い込む。疲れた頭にじんわりと煙が滲み入る。
止まっていた思考が動きはじめた。
そして考えるのは隣の理不尽な存在のことだ。もともと神も幽霊も信じちゃいなかったヴィリーだが、猟兵となり世界を渡るようになった今、神にも幽霊にもあった事があるし、何ならそういった知り合いだっている。
しかし、こっちが冷や冷やしながらかわす銃弾や刃を透明な身体ですり抜け、隣でケロっとしているんだから文句のひとつも言いたくなる。
「ん、お前さん。こいつが欲しいのか?」
こちらをじっと見ている気配を感じて、物言わぬ幽霊に煙草を指さす。
「なら、『取引』といかねぇか?」
バックパックからとっておきの葉巻を取り出し、ヴィリーはニヤリと笑う。
「取引成立だ、よろしく頼むぜ」
しかし、こんな世界で幽霊をバディに仕事をする羽目になるとは思いもよらなかったな。
そうヴィリーは苦笑をもらした。
大成功
🔵🔵🔵
アーネスト・シートン
…ゆるキャラ、そして銃弾と刃物の嵐…
さて、どうしますかね。
迷宮…
もしかして、この一帯、全て、そんな有様なんですか??
モグラ作戦は無理ですかな??(穴を掘って、出口まで地面通る戦法)
しょうもないんで、ゼンマイ仕掛けのネズミをもってきて、おばけさんに道案内させていただきますね。
道の途中途中で、相手を確認したら、M.S.Lにサイレンサーを付けて【暗殺】しておきますかね。落とせる刃物があれば、【スナイパー】で撃ち落としますよ。後続の猟兵が危険な目に合う確率を減らすためにですよ。
出口付近は、危険地帯でしょうね。
M.S.L.を精密射撃にした状態で出口に行きますよ。
あとは、【スナイパー】で一掃しますよ。
●
「さて、どうしますかね」
アーネスト・シートン(動物愛好家・f11928)はポツリと呟き、ため息をつく。
ゆるキャラ、銃弾と刃物の嵐、そしてBBQ味のレーション。敵の目的はふざけているように見えて、決して放置はできない。
面倒だが仕方ないかと気を取り直し、迷路の入り口を再び見て、アーネストははっと息をのんだ。
迷路の中を悲しげにのぞき込む猫がいたのだ。その猫はよく見ればおぼろげでよく見れば向こうの景色が透けている。
「動物のお化け、ですか?」
お化けといっても人とは限らないのではないか。
シートンはゆっくりと猫に近づき、怯えさせないように話しかける。
「あなたはここで何をしているのですか?」
アーネストにとって動物は愛すべき存在だ。そして動物に対する知識も人一倍豊富である。
言葉を喋れない動物が相手でも、正しい知識で動物に接し、親愛を持って心を通わせる術をアーネストは持っている。
悲しげな猫の幽霊の心を開き、猫の身に降りかかった出来事を聞き出す事も彼は当たり前のようにやってみせた。
「なるほど、仲間たちとこの迷路を縄張りにしていたのに、侵入者に追い出されてしまったのですか」
猫は縄張り意識の強い生き物だ。仲間たちはあきらめて別の場所に移り住んだのだが、この猫はあきらめられずここにとどまっていたらしい。
「かわいそうに。でも大丈夫です。私が力になりましょう」
なぐさめに差し出したネズミのおもちゃで遊ぶ猫の背を優しく撫でる。肩にかけた銃を手に取ると、鋭い目を迷路の入り口へと向ける。
「あなたの大切な縄張りは私が取り返してみせます」
肩に乗せた猫を道案内にアーネストは迷路を進んでいく。
愛用のM.S.L(マルチプル・スナイパーライフル)を構えて、冷徹に引き金を引く。すると前方に見えた飛び交う無数の刃物が次々と粉砕されていった。
ユーベルコードによってアーネストの射撃の腕は人間の限界をとうに超えていた。
常人には到底不可能な高速で飛び交う小さな標的を超遠距離から狙い違わずスナイプするといった芸当も、涼しい顔でやってのけた。
「さて、先を急ぎましょう。これだけしっかり掃討しておけば、後続の猟兵も安全に追いついてくるでしょうし」
静かになった迷路をアーネストは力強く進んでいく。
愛する動物を助けるために。
それがたとえお化けであっても。
大成功
🔵🔵🔵
真宮・響
【真宮家】で参加
侵攻理由は凄く突っ込みたいが、カクリヨファンタズムが凄く被害を受けるのは事実だし。それに統率された集団が意外と侮れないしねえ。
お化けにクッキーを渡すが、そもそもお化けはクッキーは食べるだろうか?一応飴ちゃんも渡しとく。気軽に話しかけて協力を頼むよ。
赫灼の戦乙女に飛んでくるものの盾になって貰い、【残像】【見切り】で刀剣や銃弾を回避していき、【オーラ防御】でダメージを軽減。
奏、瞬、しんどい状況だが、力を併せて抜けるよ!!
真宮・奏
【真宮家】で参加
ゆるキャラが銃を使うとはシュールですよね・・・案外こういうキャラこそとんでもない事するものです。カクリヨファンタズムが滅茶苦茶になる前になんとかしないと。
お化けさんにはわたあめとポン菓子を差し出します。屋台で買ってきたんです。協力お願いできますか?真っすぐ相手を見てお辞儀をします。
飛んでくる刀剣や銃弾の嵐にトリニティ・エンハンスで防御力を上げ、【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】【拠点防御】【ジャストガード】【受け流し】【激痛耐性】で母さんと瞬兄さんを【かばう】します。うう、流石にしんどいですね。やはり黒幕をつぶさないと。
はい、三人で協力して突破しましょう!!いざ!!
神城・瞬
【真宮家】で参加
侵攻理由はしょうもないですが、カクリヨファンタズムが危ないのは事実。確実に阻止しましょう。
お化けさんに金平糖とおにぎりを渡して穏やかに協力を求めます。まあ、お化けが食べれるか謎ですが。
月読の同胞達には申し訳ないのですが、飛んでくる銃弾や刀剣の盾になって貰います。【第六感】で避けながら【オーラ防御】にダメージを軽減。奥の手として【衝撃波】で飛来物を吹き飛ばします。
それにしても飛んでくる数が多すぎる、黒幕を潰すべきですね、はい、迅速に突破しましょ!!
●真宮家と小さなお化けたち
「お化けさん、この綿菓子とポン菓子をどうぞ」
「わーい」
「ふわふわだー」
「おいしそー」
キャッキャッと無邪気に喜ぶ小さなお化けたち。
真宮・奏(絢爛の星・f03210)は用意しておいたお菓子を手渡す。
「わーい」
「おねーさんいい人ー」
「むぎゅー」
小さなお化けたちに目線を合わせるようにしゃがみ込んでいた奏に、嬉しさをあらわにしたお化けたちが次々と抱きついてきた。
「フフ、ずいぶんと懐かれたもんだねぇ」
お化けたちにもみくちゃにされて目を白黒させる奏の姿に真宮・響(赫灼の炎・f00434)がクスクスと笑みをこぼす。
「笑ってないで何とかしてっ!?」
状況を面白そうに傍観する母に恨みがましい視線を向けてから、奏はそのかたわらの義兄である神城・瞬(清光の月・f06558)に助けを求める。
「これは……困りましたね」
荒事ならばいくらでも手を差し伸べられるが、こんな場合の対応となるとなかなか慣れない。
流石に小さなお化けたちを力づくて引き離すわけにはいかないわけで……。
困惑気味の瞬に、泣き笑いの奏。
そんな2人を見て響は瞬の肩をポンと叩く。
「みんな、このお兄ちゃんもアンタらにお菓子を持ってきてくれているよ」
状況が飲み込めない瞬の手に響は用意していたクッキーの袋をそっとしのばせる。
「おかしー」
「ボクにもちょーだい」
「わたしもわたしもー」
途端にお化けたちが瞬の足にしがみつきその手の中のお菓子をねだり始まる。
瞬は戸惑うもののお化けたちにキラキラした視線を向けられて、おずおずとクッキーを差し出す。
「どうぞ、お化けさん」
「おにーさんありがとー」
「わーい」
「どういたしまして。金平糖もありますよ」
柔らかな表情でまとわりついてくるお化けに追加のお菓子を配っていく。
そんな瞬に奏は優しい眼差しを向ける。
「アタシたちの道案内を頼めるかい?」
「いいよー」
響は元気よく返事をしたお化けの頭を優しくなでてやる。
結局騒ぎが落ち着く頃には、3人と小さなお化けたちはすっかり仲良くなっていた。
●真宮家と銃弾と刃の嵐
お化けたちを道案内に迷路に突入して数時間。
真宮家の3人は周囲を空飛ぶ刃に囲まれていた。
互いに背中合わせになり、3人はこれから襲ってくるであろう銃弾と刃に神経をとぎ澄ます。
「奏、瞬、しんどい状況だが、力を併せて抜けるよ!!」
響が『ブレイズブルー』を構え、ユーベルコードを発動して真紅の戦乙女を呼び出す。
「はい、迅速に突破しましょう!!」
無限に湧いてきそうな勢いの嵐を相手し続けてはやがてこちらが倒れるだけだ。ともかく目の前の嵐を乗り切って先を急がねば。
この場を切り抜ける算段を組み立てる瞬。
「はい、三人で協力して突破しましょう!!」
奏が『ブレイズセイバー』を握る手に力を込める。全身に魔力をめぐらせて強化をほどこす。
一斉に周囲の刃たちが3人へと襲いかかる。
同時にどこからともなく銃弾の雨が降りそそぐ。
「いざ!!」
奏は覚悟を決める。あえてみずから勇猛果敢に。
銃弾と刃への嵐へと飛び込んでいく。
銃弾を盾で受け止め。刃を剣で弾き返し。
足を止めず。すんでのところで致命傷をさける。
それは自分へと攻撃を集中させて。
愛する家族への負担を減らすため。
「いくよ!!」
響だって同じ考えだ。猛然と嵐に立ち向かう。
赫灼の戦乙女を盾に。刃を残像の残しかわし。
それでも避けらない攻撃をオーラでしのぐ。
「いきましょう!!」
いうまでもなく瞬だって。頭は冷静に心は熱く。
自分を守るための月読の同胞を愛する2人へと。
致命的な銃弾をさけ。オーラでしのぎ。
いざとなれば衝撃波で刃を叩き落とす。
短いが激しい戦い。
やがて嵐の勢いに陰りが見え始めた。
「さあ、先にいくよ!!」
響と瞬の戦乙女と月詠の同胞をしんがりに残し。
3人は先に向かって駆け出す。
互いに助け合い、支え合って困難を切り抜ける。
そして安全そうな区画まで駆け抜けて。
3人は互いに顔を見合わせてほっと息をついた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『ベンジャミン・バーニングバード』
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POW : あつまれ、ゆるキャラの軍団
【自動小銃やサバイバルナイフ】で武装した【人々に忘れられたゆるキャラ】の幽霊をレベル×5体乗せた【軍用装甲車】を召喚する。
SPD : 今夜はバーベキューにしよう
【自動小銃やサバイバルナイフ】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ : CQ・CQ・BBQ
いま戦っている対象に有効な【軍用兵器】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
イラスト:ゆりちかお
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠バルタン・ノーヴェ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
火土金水・明
明「これ以上、あなたの好きなようにはさせません。邪魔をさせてもらいます。」クロ「ゆるキャラも妖怪化からオブリビオン化するとは、ビックりにゃ。」
【POW】で攻撃です。
攻撃は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【ねこねこ・ロックンロール】を【範囲攻撃】にして、『ベンジャミン・バーニングバード』と召喚された者達纏めて攻撃します。相手の攻撃には【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。(黒猫の姿は使い魔のクロにそっくりです。)
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。
真宮・響
【真宮家】で参加
まあ、BBQ味のレーションを開発する自体は何も言わないんだが、そのレーションを食べる軍隊がカクリヨファンタズムを襲うなら阻止せねば。軍隊が勢いを増す前になんとかせねば。
まず軍隊の背後を付く。【忍び足】【目立たない】で集団の背後を取り、【不意討ち】【気合い】【怪力】【二回攻撃】【武器落とし】を併せた飛竜閃で攻撃。敵の小銃やサバイバルナイフでの攻撃は【戦闘知識】で攻撃の軌道を読んだうえで【オーラ防御】【見切り】【残像】で凌いで、【カウンター】気味に【ぶん回し】【重量攻撃】でお返し。
この世界に物騒な軍隊はいらないよ!!軍事行動は他でやりな!!
真宮・奏
【真宮家】で参加
逆にバーベキュー味のレーションに興味があったり。やはり香ばしい焼いたお肉の味がするんでしょうか?まあ、私自身の興味は別にして、この軍隊をカクリヨファンタズムに侵攻させる訳には行きません。
母さんが後ろから奇襲しますので、前を抑えます。【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】【拠点防御】【ジャストガード】【受け流し】で敵集団の小銃やサバイバルナイフの攻撃をしっかりと受け止めます。
そして彗星の剣で敵の手数を上回る剣で攻撃。戦いは数だって誰かが言ってました!!敵が接近してきたら【衝撃波】で吹き飛ばし。
この平和な妖怪さんな世界に物騒な事を持ち込まないでください!!ここまでです!!
神城・瞬
【真宮家】で参加
母さんの言う通り、BBQ味のレーションを開発する事自体は問題がないかと。でもそのレーションを食べた軍隊がカクリヨファンタズムに侵攻するなら話は別です。何とかしましょう。
僕に有効な兵器というと、甘味好きの僕には駄菓子兵器ですか?もちろんやられるつもりはないので、使い方を理解する前に【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】【目潰し】【部位破壊】【武器落とし】を併せた【結界術】を【範囲攻撃】化して展開。駄菓子兵器が直接僕に当たる前に凍てつく炎で兵器ごと焼き払いましょう。もちろん、【オーラ防御】【第六感】で防御の備えはしときます。
平和に暮らしている妖怪さんの生活を邪魔しないでくださいね。退場を!!
ヴィリー・フランツ
POW 他猟兵連携OK
心情・理由:ガイドの人魂のお掛けで何とか辿り着けたが…だが、ここまで来たら鳥頭野郎を打ちのめすだけだな!
手段:先ずは連中のAPC(軍用装甲車)と随伴歩兵を叩くのが先だな。
先ずは持ってきたワイヤーとプラズマグレネード、引っ張ればピンと安全装置が外れるようセット、APCの真下で起爆出来れば一網打尽に出来るかもしれんな。
対ベンジャミン戦だが、先ずはブルパップ小銃での撃ち合い、マガジンを差し替えながら残骸等の遮蔽物に隠れながら粘り強く交戦。
チャンスが来たら着剣した状態で小銃での【軍隊式近接格闘術】(攻撃回数上昇)を実行、白兵で一気に畳み掛ける!
「どうした鳥頭野郎、俺が怖いのか?」
アーネスト・シートン
ひよこですかね、あれ。
これが、猟書家ですかね。
さて、これからどうするかですが。
軍用兵器、いろいろ出されても…問題は、寝るかどうかなんですよね。
とりあえず、狙われないようにこっそリ接近しておきますかね。
このあたりでよさそうですね。
猫ちゃんの為ですよ。
てなわけで…貘さん、彼らを眠らせてやってください。
見えないやつは放置するけど、確実に上を通り際に凸凹するでしょうから、違和感で、その違和感に向かって銃を乱射。
普通に寝てるのは、滅竜銃で1発でとどめ刺しに行きますよ。
●
「よくここまで来れたと褒めてやろう、ククク」
「これ以上、あなたたち猟書家の好きにはさせません。邪魔をさせてもらいます」
黒ずくめの夜闇の魔術師、火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)は、猟書家ベンジャミン・バーニングバードと対峙していた。
「クハハハ、この状況でどうやって?」
明の周りは完全武装のゆるキャラ軍団に取り囲まれていた。明がやってくるのを用意周到に待ち伏せしていたのだ。
明が周囲を見渡す。自分に狙いを定めた無数の銃口が目に入った。
「うにゃにゃ、ゆるキャラだらけにゃ。ゆるキャラが妖怪化して、さらにオブリビオン化の2段階進化とはビックリにゃ」
「でも、見た目がゆるキャラそのものでインパクトは弱いですね。元のゆるキャラを見たこともありませんから、実はすごい変化があったのかもしれませんが」
明の肩の黒猫と明がそういって笑いあう。
絶体絶命のピンチ……にもかかわらず、その様子に焦燥や悲壮感はない。
「ククク、恐怖のあまりおかしくなってしまったようだな」
「確かに絶体絶命のピンチですね。でもこれくらいは『いつもの事』なので」
こんな事で悲観しているようでは世界の危機は救えない。明にとっては世界の危機も日常茶飯事なのだから。
「ならば死ね」
猟書家の声に銃撃音が何重にも重なる。ゆるキャラたちの放った銃弾が公開処刑のように四方から明の身体を貫く。
「クハハハ、やったか!」
「残念、それは残像です」
上からの声。ゆるキャラたちが一斉に声の方へと顔を向ける。
そこには――。
跳躍する大きな黒猫にまたがる明の姿があった。
「お返しといきますね、クロ」
黒猫は音もなく地面に着地。そして、明を背にゆるキャラたちの隊列へと素早く飛び込む。
「ぬぁっ!?」
「無闇に撃つな、同士討ちに……うわぁあっ!?」
混乱するゆるキャラたちの間を黒猫は疾風となり縦横無尽にその手の爪をふるっていく。
「最新鋭の耐刃アーマーが真っ二つだと!?」
バターに熱したナイフを通すかのように爪がゆるキャラたちの装甲を切り裂いていく。
「くっ、落ち着け! 敵はたった1人だ」
ベンジャミンの声が戦場に飛ぶ。落ち着きを取り戻しかけたゆるキャラたちに明が言った。
「あらぁ、いつから敵がわたし1人だけだと、錯覚していたのですか?」
同時にベンジャミンの背後から配下の悲鳴が上がった。とっさに振り向くと槍の穂先が視界に入る。
「なっ!?」
間一髪でそれを避ける。
目の前には槍を構えた響がいた。
「お前は……ッ!?」
口を開くよりも先に響の容赦ない連続突きが猟書家をかすめる。慌ててよけるも大きくバランスを崩して地面に尻餅をつく。
無様に座り込んだ猟兵家を、響が冷徹な瞳で見下ろす。その身にまとう殺気と歴戦の戦士の気配に周囲のゆるキャラたちもすくみ上がり動けなくなっていた。
「この世界に軍隊なんていらないんだよ!! 戦争ごっこは他でやりな!!」
響の言葉はまるで子どもの喧嘩をしかる母親のようでもある。しかし鬼のような気迫をまとう彼女に、猟兵家は尻餅をついたまま後ずさる。
「いっ、一時撤退だ。この場から離れる」
響にけしかけた部下たちが、次々とちぎられ、投げられるのが、逃げる猟書家の背中ごしに見える。
ゆるキャラたちの混乱は極まり、響に追い立てられるようにこの場を後にしていった。
「逃がしてしまって良かったのですか?」
近づいてきた明に響は答える。
「問題ないさ、この先にはアタシの自慢の娘と息子がいるからね」
敵が逃げていった通路へと目を向け、響は「まかせたよ」と明るく笑って言った。
●
逃げるゆるキャラたちが進む先。
そこに2つの人影があった。奏と瞬である。
「前に男と女がいます」
前方の女は先程の鬼女のような気配を放っているわけではない。となりの男は荒事には向かなそうな優男だ。猟書家はそう判断する。
「たった2人か? ならばさっさと始末するぞ」
余裕ぶった様子で部下へと指示をとばす。
その時だった。
「確かに私と義兄さんの2人だけ。戦いは数だって誰かに聞いたこともあります」
奏の言葉に猟書家は嘲笑する。
「その通りだ、物量に劣るお前らに勝ち目は……」
「だから、こうします!」
奏の手の『ブレイズセイバー』の刀身がユーベルコードの力を受けて青白い光を放ち、薄暗い迷路が明るく染まる。
すると、奏のすぐそばに青白く光る剣がひとつふたつと次々にその姿を現しはじめる。
最終的に出現した剣はなんと222本。
通路を昼のように明るく照らす圧倒的な物量。
ゆるキャラたちは足を止めて、それを呆然と見るしかなかった。
「かわさないでくださいね? いきますよ~!!」
「うわぁああああっ!?」
「ぎゃあああああっ!?」
その物量に、ゆるキャラたちが一方的に蹂躙されていく。
奏も剣を手にその中に飛び込んでいった。
「この平和な妖怪さんの世界に、物騒な事態を持ち込まないでください。ここまでです!!」
奏の苛烈な剣技がゆるキャラたちを吹き飛ばす。
再び危地に陥った猟書家が状況を打開しようとユーベルコードを発動する。
「こいつであの物量女をふき飛ばしてやろう。あいつらも巻き込んでしまうが必要な犠牲だ」
取り出したのは多段頭のロケットランチャーであった。乱戦の最中に、広くはない迷路にこれが撃ち込まれれば、爆発から逃げるのは困難に思えた。
猟書家がロケットランチャーの引き金を引く。
「そうはさせませんよ?」
瞬の声。それとともに111の青白い凍てつく炎が空中を飛ぶロケット弾頭へと続々とまとわりついていく。
呪いの炎は『爆発』を凍てつかせ。ロケットは爆発することなく空中で全て焼き尽くされた。
あとに残るのは静寂と……。
「妖怪さんたちの生活の場を奪うだけではなく……お前は、オレの義妹に、何を、しようとした!!」
低く凍てつくような声。
猟書家を睨みつける瞬の目は赤暗く輝き、冷たい殺気を帯びている。
「楽に死ねると思うな」
近づいてくる瞬の濃密な殺気。
猟書家は一目散にその場から逃げていった。
●
「クソ、猟兵どもめ」
悪態をつく猟書家がいるのは装甲兵員輸送車(APC)の中であった。
猟兵たちから一旦距離をとるために、この車両で大きめの通路を進んでいたのだ。
「だがヤツらに大きな顔をさせるのもここまでよ。命令を下した我が精鋭部隊が今度は逆にヤツらを奇襲し、殲滅してくれるだろう」
ククク、と笑う猟書家に通信機から連絡が入る。
「こちらアルファワン。魔術士と黒猫との交戦に入った……うわぁあああ、精気が……ば、化け物、こちらへくるな!?」
「ブラボーツーより伝達。ターゲットの3人組にデルタ、エコーと同時に仕掛け……馬鹿な……デルタ、エコーが……うわぁああ!?」
連絡がブツリと途切れる。
それは作戦の失敗を明確に示していた。
しかし、それを信じたくない猟書家は通信機に向かって叫ぶ。
まだ連絡の来ない精鋭部隊へと。
「応答せよチャーリー。応答せよチャーリー……」
通信機から猟書家の必死の声が聞こえる。
近くには鼻先が鉤状の愛らしい四足動物とアーネスト。そして、すでに息絶えた精鋭ゆるキャラ部隊の姿があった。
時間は数十分前にさかのぼる。
アーネストは手頃な通路の入り口で息を殺し、こちらへと近づいてくるゆるキャラたちへと鋭い視線を注いでいた。
(「あれらはなんの動物なんでしょうね?」)
彼らから命を狙われているというのに、アーネストが考えているのは愛する動物のことだった。
そもそもあんな連中アーネストにとって脅威にならないのだから仕方がないのかもしれない。
「頃合いですね。お願いしますよ」
アーネストがユーベルコードを用いて彼の戦友を戦場に呼びだす。
その途端、アーネストを除く戦場にいた者はその場に倒れ込み、すやすやと寝息を立ててしまった。
アーネストが呼び出した戦友。
それは夢を食べるという伝説を持つ動物。
その名も『貘』であった。
敵が眠ってしまえばあとは簡単だった。アーネストは容赦なく一撃で敵を葬りさっていく。
「猫ちゃんたちの為です。地獄に落ちなさい」
愛する動物を害するものを、アーネストは絶対に許さないのだ。
「応答しろっ! アルファ、ブラボー、チャーリー、デルタ、エコーッ!!」
叫ぶ猟書家を乗せた装甲車。
——ドゴォォオオオンッ!!
それが、突然閃光を放ち、爆発炎上した。
●
うす暗い迷路に銃撃音が響き渡る。
ヴィリーが動くターゲットへ向けてブルパップ小銃を短く撃ち込む。
それに合わせてマズルフラッシュが瞬く。
タタタと乾いた銃声。遅れて迷路の壁に弾丸が突き刺さる鈍い音が微かに耳に入る。
(「狙い通りに厄介なAPCは吹っ飛ばせた。今はヤツ1人だ」)
敵の進路を予想し、とっておきのグレネードで罠を仕掛けた。これも優秀なガイドのおかげだとヴィリーはHMDゴーグルの奥で目を細める。
猟書家との一対一の勝負。
ヴィリーの銃撃をかわしきった猟書家が遮蔽物へと身を潜めた。
敵が遮蔽を取れば、今度はこちらが狙われる番だ。敵が動くよりも先にその場から飛び出す。
狙いをつけさせないように、低くかがんで別の遮蔽物へと頭から飛び込む。
背中を弾丸が通り抜ける。地面をゴロリと転がって受け身をとりつつその勢いで起き上がると、今度は猟書家が移動する様子が見えた。
即座に腰だめのまま、進行方向へ弾をばらまく。
「……ッ!?」
反応した敵が足を止め、銃をこちらへ向けた。
とっさにしゃがみ込み遮蔽を取る。
頭上を通り過ぎる弾丸。素早くマガジンを抜いて遮蔽越しにそいつを投げつけてやる。
敵がそれに気を取られた一瞬で、新しいマガジンを装填。その場を後にする。
先程までしゃがみ込んでいた地面が遮蔽物ごと蜂の巣になる。
気にせず敵に狙いをつけて引き金を引く。
すでに敵は新しい遮蔽物へと姿を消していた。
「どうしたコソコソと、俺が怖いのかよ?」
遮蔽物に隠れた猟書家にヴィリーは堂々と歩いて近寄っていく。
敵の銃は装填数は多いがマガジンが大型で装填に時間がかかる形式のものだ。そして敵の撃った弾数をヴィリーはずっとカウントしていた。
「この鳥頭野郎(チキン)が」
それをふまえた上での挑発。
「俺は鳥頭野郎(チキン)じゃねぇッ!!」
ムキになって飛び出してきた猟書家がこちらに向けた小銃の引き金を引く。
ガチャと間抜けな音がした。
銃が弾詰まりを起こした音だ。
「焦って弾込めするからだ、間抜け野郎」
ヴィリーは一気に距離を詰めて銃剣を猟書家へと突き出す。彼の狙い通りCQB(近接戦闘)からCQC(近接格闘)へと戦いを移してみせた。
銃を放り捨て手にコンバットナイフを持った猟書家がそれに応じる。
だが——。
「そんな短い手とナイフじゃ、リーチの差は歴然だよなぁ。それによ——」
鋭く突き出された銃剣が猟書家の身体に突き刺さささる。
その場所からじわりじわりと血がにじんでいく。
「こういう戦い方は、スラムで暮らしてたガキの頃から身に染みついてるんだ。実は得意なんだよ」
先程の一撃に確実な手応えを感じ、ヴィリーはニヤリと笑った。
●
「クソ、どうしてこうなったんだ」
流れる血を手で抑えながら、猟書家は必死の体である場所へと向かっていた。
それは迷路の奥にある研究室。猟書家は最後の望みに全てを託そうとしていた。
「BBQ、BBQがあれば逆転も可能なはずだ!」
彼はどんな困難もBBQとともに乗り越えてきた。BBQこそが猟書家『ベンジャミン・バーニングバード』の切り札なのだ。
「そんな……研究室が、BBQが燃えている!?」
猟書家のたどり着いた先には炎をたてて燃える研究室と香ばしいBBQの匂いが広がっていた。
猟書家がショックでその場にへたり込む。
「アンタの野望は潰させてもらったよ」
響、瞬、奏の3人が姿をあらわす。奏が若干残念そうな目を研究室の方に向けている気がするが。
「チェックメイトですね」
「部下は全て潰した。逃げ道もないぜ」
後ろから明とヴィリーもやってくる。
「これで終わりですよ」
アーネストがショックでうずくまったままのベンジャミンへと銃口を向け、引き金を引いた。
こうして猟兵たちによって、ベンジャミン・バーニングバードはその野望と共に消滅した。
カクリヨに再び安穏の日々が訪れたのだった。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2021年08月14日
宿敵
『ベンジャミン・バーニングバード』
を撃破!
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