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Kakuriyo-1グランプリ2021

#カクリヨファンタズム #お祭り2021 #夏休み #みなさわタイマンシリーズ

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●あの夏がまたやってくる
 今年の夏も終わった。
 海に静けさが戻り、波の音が夜を支配する。

 やがて花火があがった。
 妖怪花火と言われるそれは、空まで僕らを運び、空中散歩へと誘い。
 そして、リングも上がる。
 そりゃそうだ、だってカクリヨファンタズムだもの。

「只今より、Kakuriyo-1グランプリ2021を開催します!」

 蝶ネクタイ姿のグリモア猟兵、雷陣・通(ライトニングボーイ・f03680)がマイク片手に高らかと宣言すると、打ち上げられた観客席から妖怪と猟兵の歓声が響き渡る。

「今大会は各妖怪親分の協賛と妖怪の方々の希望によって行われます――ルールは二つ!」
 どこからか響く和太鼓をBGMに競技説明を行うグリモア猟兵。
「一つ! リング外へと落下したら敗退」
 海に落ちたりしない?
 大丈夫、落ちても花火がキャッチしてくれます。
「一つ! 水着を脱がす、破壊するといった行為以外の全ての攻撃を認めます!」
 つまりは、拳、刀、銃、そしてキャバリアすら可能のなんでもありの妖怪武闘、アヤカシヴァーリトゥード!
(ただしエッチはない)

 人間、妖精、巨人、戦機、そして神。
 体格や肉の有無、命かAIか、そんなものは関係ない。
 あらゆる者が集まり、拳を交える無差別級バトル。

「それでは――猟兵入場!」
 雷陣・通の言葉に応え、花火が打ち上げられる。
 そこに立つのは猟兵。
 そう、俺達だ!

 戦いを求め、地上最強を夢見た人々の舞台が今、始まる。
 ――夏はこれからだ!


みなさわ
●俺達の夏が帰ってきた!
 第1章の【日常】だけで構成されるシナリオです。
 カクリヨファンタズムの夏のビーチ……いやリングを、みんなで遊び尽くしましょう♪

●シナリオ
 今回は猟兵同士の戦いを描くシナリオとなります。
 フラグメントに関しては「君たちはWiz以外を選択した、いいね?」

 舞台は海上に設置された特設リングによる一対一の勝負。
 勝敗はKO、ギブアップ、そして場外への落下のみです。
 水着や衣服をはぎ取る行為は反則です。

 今回は敵が居ないためメタに対策を練るとしても場外に落とす方法くらいとなります。
 それよりは自分の戦い方、攻め方、守り方に力を入れてくださると幸いです。

●特別ルール
 当シナリオはPvPコンセプトのスタイルになります。
 円滑な進行のため、以下のルールを採用させていただきます。

『まず、文頭に印をつけてください』

 〇:勝利希望。
 ●:敗北希望。
 ◎:MSに決着をゆだねる。

 プレイングの文頭の上記の記号を必ずお書きくださいませ。
 記載無き場合は◎として判定し、場外へ落ちる形に濁す方向になると思います。
 また勝敗に関するトラブルについてはMSでは責任を持てませんのでご了承ください。

●マッチング
 合わせで対戦したい方は【合わせ相手の呼び方】及び【目印となる合言葉】を記載ください。
 その他の参加者様については体格、武器の相性、等々でこちらが組み合わせます。
 文頭の印が合うように組合わせますが、状況によってはマスタリングが入ることをご了承ください。

●その他
 マスターページも参考にしていただけたら、幸いです。

 それでは皆様、よろしくお願いします。
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第1章 日常 『猟兵達の夏休み2021』

POW   :    妖怪花火で空へGO!

SPD   :    妖怪花火の上で空中散歩

WIZ   :    静かに花火を楽しもう

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●一度は憧れる、その舞台。

 ――最強。

 誰もが夢見る、魔性にして気高き言葉。

 ある者は片眉を剃って山にこもり。
 ある者は道場破りで己を磨く。

 自らの体重を使ったトレーニングでレスリングを磨く者もいれば、古より続く時代の影に潜む技を陽の目に見せるためにやってくる。

 父親を倒したい。
 怪獣を倒したい。

 ただ、最強を知りたい。
 ただ、敗北を知りたい。

 様々な理由は人々は集う。

 ここはカクリヨ巌流島。
 響くか猟兵破れたりと。
 叫ぶか猟兵ここにありと。

 愛しさと切なさと心強さ。
 様々な思惑を持って、彼らは立つ。

 たった一戦の勝利のために。

 祭りは始まった。
 各人に合った様々な広さのリングが打ち上げられる。
 巨人だからと言って狭い思いをしなくていい。
 狙撃手が正面から戦わなくてもいい。

 グリモア猟兵はマイクを持ち、始まりを告げる。

「それでは第一試合を行います!」
アレクサンダー・ライオンハート

戦いか。
百獣の王が、そんなもんで負けて貯まるか。
あいにくだが、野生での敗北は、即、命に関わるんでな。
なに、立ち向かうやつ1人相手なら、雌は呼ばねぇから、安心しろ。
余の戦いとは、即ち、爪と牙を使った攻撃なのだぞ。
雄ライオンの鬣は、敵の首への攻撃から身を守るものだぜ。
なに、相手がUC使ったら、即、余もUC「超絶獅子絶叫」を響かせてやる。

ぐるあぁあああああっ!!

相手が倒れたら、首狙いだ。

アドリブ歓迎


シリン・カービン

水着2021+精霊猟銃の姿で入場。
さて、行きますか。

開始の合図と共に瞑目。
耳を澄まし精霊の声に耳を傾けます。
相手の生命の精霊の声に。

勝利を得んと燃え盛るその意思が、
生命の精霊の声となって私に教えてくれる。
相手の一挙手一投足の全てを。
猛れば猛るほどに。

予測していたように攻撃を躱し、
機先を制するように射撃で抑える。
隙あらば急所を狙撃と、無駄なく全てを見通す様な戦い。

師匠が教えてくれた。
猟で喜ぶべき時は、獲物を皆で分かち合う時。
獲物を前に逸れば気づかれ逃げられる。
環境に溶け込み、気配を悟らせず、とどめでさえ冷静に。

「あなたには聞こえますか?生命の声が」

勝「あなたは私の獲物」
負「まだ未熟、ですね…」



●第一戦、獲物はどっちだ!?

 リングがいきなり広がった。
 6メートル四方だった正方形は今や60メートル四方。
 その端に立つのはシリン・カービン(緑の狩り人・f04146)。
 背中の空いた、競泳用水着に身を包んだその両手には精霊猟銃。
 夏の海に相応しいのはウォーターガンだが、今の場に鋼が重んじられる。
 その視線の向こうではライオンが歩を進めていた。

 アレクサンダー・ライオンハート(百獣王・f33976)はバーバリーライオンだと思われる。
 確定に至るにはバーバリーライオンが希少すぎる故、そして普通ライオンは言葉を話さない。
「戦いか」
 人の言葉を呟けど、その心は野生。
 敗北とは死へ近づく道のり、捕食されるか、群れから追われ独りで生きるか、どちらにしても明日を迎えるのが厳しいのがサバンナの摂理。
 だからこそ、アレクサンダーは走る。
 シリンが持っている銃が自分の牙や爪よりも遠くから孔を穿つことを知っているから。
 対するエルフはその場に立ち、耳を傾けていた。

 傾聴するのは精霊の声。
 妖の喧騒に隠れてしまいそうな中、一つだけ聞こえるものがある。

 ――生命の精霊

 獲物を狙うライオンの勝利を得んと燃え盛る意志。
 生命の精霊はそれを感じ取り、篝火となってシリンの鼓膜を打つ。
 
 スピリット・コール
 精霊の呼び声

 意志が爪となり、エルフに襲い掛かる。
 一気に距離を詰めたライオンの一撃に対し、女の白い指が引鉄にかかった。

 銃声。

 だが、それをかき消すような獣の遠吠えが響いた。

 ハイパー・ライオン・ロアー
 超絶 獅子 絶叫

 咆哮が衝撃波となり、弾丸を吹き飛ばし、シリンの身体を、細胞を傷つけていく。
 揺らぐエルフの姿にアレクサンダーは迷わずその首めがけて牙を突き立てた。
 血は出ない。
 獅子の噛みつきは出血を狙うものではなく、窒息へと至らしめるもの。
 狩人の酸素が断たれ、意識が霞みに追いやられる。
 精霊の声は最早聞こえず、響くのは誰の声か。

 ――猟で喜ぶべき時は、獲物を皆で分かち合う時。
 獲物を前に逸れば気づかれ逃げられる。環境に溶け込み、気配を悟らせず、とどめでさえ冷静に……。

 そう、とどめも冷静に。
 環境に溶け込む様に。
 エルフの指が自然と動いたのは至極当然の結果だった。

 再び銃声が鳴り響く。
 そして倒れるのは――アレクサンダー。
 至近距離から放たれた銃弾はその身を貫くことは無かったが、鬣をかすり、衝撃が脳を揺らす。
 リングに横たわるライオンを見下ろしながら、シリンは精霊猟銃を杖にその身を立て直した。

「あなたは……私の獲物」

 今日の獲物と狩人がここに決まった。


 勝者:シリン・カービン

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユーフィ・バウム

パレオを脱ぎ、髪を縛り
身1つで勝負しましょう

試合が始まれば
裂帛の気合と共に【衝撃波】を
見舞いますが、これは牽制で
【ダッシュ】で距離を詰め、
近距離打撃戦を挑みます

【怪力】を生かした【暴力】で
沈黙させられれるほど甘くはないでしょうから、
相手の反撃に合わせてさらに寄り、
【力溜め】た投げで倒した後でオーラを込めた
【踏みつけ】でダメージを与えましょう

削り合いになったなら、尚のこと負けはしません
【功夫】を生かす拳脚は勿論
肩、頭、臀部全て之蛮人の武器です

相手からの攻撃を自慢の【オーラ防御】
【激痛耐性】で堪えた後で体部位どこからでも
【カウンター】を入れ、体勢を崩したところで
必殺、《トランスバスター》ですッ!


トリテレイア・ゼロナイン

(私闘なので電脳剣でなく儀礼剣を使用…つまりこれまで通り)

転機迎え新たな力を預かったからこそ
それに頼らぬ我が身の力を研鑽せねば…

よろしくお願いいたします
では…いざっ!

今年の戦法は短期決戦
剣や盾での防御固めつつUCによる高速近接戦闘
格納銃器は牽制や攻撃の撃ち落としに使用
ただ動作が速いだけでは見切られます
加速、減速、緩急自在、ランダムな動作速度でペース崩し
出力に物言わせた近接攻撃差し込み

剣や盾…得物を失った程度で止まる程、私の騎士道は潔い物では無いのです…!

鞭の如く操るワイヤーアンカーと超重フレームの前腕部伸縮機構の鉄爪貫手で戦闘続行

躯体が限界…ですか

ペース配分の再検討が必要ですね
お見事でした!



●第二戦、蛮機勇壮

 リングの大きさは再び6メートル四方へと戻っていく。
 同時に次の闘者が花火によって打ち上げられてきた。

 舞台に上がったユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)がパレオを脱ぎ、水辺ではストレートヘアだった髪を結い、戦いに備える。
 対するトリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は儀礼剣を構え、戦場へと心を向ける。
「転機迎え新たな力を預かったからこそ、それに頼らぬ我が身の力を研鑽せねば……」
 この場に臨むのは更なる自己研鑽への道。
「よろしくお願いいたします」
「こちらこそ、お願いします!」
 だからこそ、騎士の言葉に蛮人の少女は礼を以って応え。
「では……いざっ!」
「――いざ!」
 互いにキャンバスを蹴ったのだ。

 両者一気に距離を詰める……と思いきや、一歩残した間合いからユーフィの拳が衝撃波を放ち、トリテレイアの腕から銃器が火を吹いた。
 何かがぶつかる音がして、互いにさらに一歩下がる。
 リードジャブにしては激しすぎる牽制から、ダッシュするのは蛮人の少女。
 対する騎士は盾を構え、一歩前に出る。
 次に響くのは金属がひしゃげる音。
 盾が転がり、そこへ撃ち込まれんとするユーフィの二発目の拳より先にトリテレイアの剣が彼女の肩に叩き込まれた。
 けれど、引く事はない。
 女が間合いを詰め懐にもぐりこめば、浮き上がるのは戦機の駆体。
 轟音と共にリングが揺れ、トリテレイアはキャンバスへと叩きつけられた。

 戦いはまだ続く。
 投げ技で剣を失った騎士がワイヤーアンカーを伸ばし、大きく振りまわす。
 やや緩慢に見える動作は、虚。
 実となるのは次の動作。
 白煙が吹き、トリテレイアはユーフィの懐へと潜り込んだ。

 ウォーマシン・タイム
 戦機の時間

 緩急入り混ぜて繰り出されるのは鉄爪貫手。
 前腕伸縮機能すら幻惑に使い、戦況をつかみ取っていく。
 蛮人の少女はオーラを両手に宿し防御として使いこなすことで濁流の如き勢いを受け流す。
「――今です」
 戦機が好機を見抜く。
 受け捌く段階で頭を屈めたユーフィ、そこでめがけて引きもどす途中の腕の伸縮機能を作動。
 幻惑の貫手が彼女の額を貫く……かに見えた。
「……これは!?」
 騎士が驚愕の声を上げる。
 目の前では鉄爪が女の額で止まっていた。
 そこに輝くのはオーラ輝き。
 肩、頭、臀部全て之蛮人の武器だからこそ成せる業。
 直後、トリテレイアの動きが止まった。
「躯体限界……ですか」
 そこへ叩き込まれるユーフィのボディブロー。
 思わずかがんだ騎士の視界に彼女の拳が飛び込んだ。

 トランスバスター!

 鋭く打ちぬかれた蛮人のフックが戦機の頭を揺らし、各種センサーを一時的に遮断する。
 膝から崩れ落ちるトリテレイアの前に、ユーフィ・バウムは残心を崩さなかった。

「ペース配分の……再検討が必要ですね」
 センサーが回復し、立ち上がりつつ騎士が敗因を分析し
「お見事でした!」
 そして勝者を祝福する。
「こちらこそ!」
 少女も礼を返し
「ありがとうございました!」
 片膝を着いた戦機の右腕を上げた。


 勝者:ユーフィ・バウム

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヘスティア・イクテュス
◎ 【ヘス露】
ついに決着をつける時が来たようね澪?日頃の恨みを存分に晴らしてくれるわ!!

ティターニアで『空中戦』
安心なさい風穴開かない出力にしといたからとミスティルテインで『弾幕』
過去の共闘データから『情報収集』し攻撃を『見切る』!

誘惑を使おうとしたら此方も『カウンター』
過去に撮った恥ずかしがりそうな写真を掲示
誘惑、使ったらこれバラ撒くわよ?


次に奴の厄介そうな歌がきたら(こなくても)マイクロミサイルの『一斉発射』し自身で撃ち抜く!爆風で声をかき消す
そして爆炎を煙幕とし突っ込んでヘスキック!【騙し討ち】


勝利:おほほほほ!わたしの勝利ね!澪!
敗北:ちっ!負けるなんて屈辱よ!屈辱!


栗花落・澪
◎ 【ヘス露】
一方的に絡まれてるだけなんですけどぉー

魔法の【属性攻撃】をベース
ヘスティアさんの戦法面倒なんだよなぁ…
【空中戦】で仕掛けつつ
【ダンス】の要領で高速回転、水魔法の全方位攻撃
勿論観客席には安全配慮

こっち詠唱必要なんだから加減してよぅ
ぷぅっと頬を膨らませ無意識に【誘惑】
が、思わぬ反撃に赤くなり
なっ、なんでそんなの持ってるの…!
誘惑ってなに…!?

水魔法が当たってくれたら
【多重詠唱】による氷魔法で濡れた部位の凍結狙い
煙幕も想定の範囲内
【指定UC】+【聞き耳】で僅かな音も聞き取り
接近を察した瞬間反撃の

わーーーーーーっ!!!(巨大文字実体化


勝利:日頃の行いじゃない?
敗北:うぅ、負けたぁ…



●第三戦、決着の時?

「ついに決着をつける時が来たようね澪?」
 それは因縁の戦いであった。
「日頃の恨みを存分に晴らしてくれるわ!!」
 ヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)にとっては成し遂げるべきものであり、その機会を待っていた!
「一方的に絡まれてるだけなんですけどぉー」
 それは普通に絡まれているだけであった。
 栗花落・澪(泡沫の花・f03165)にとって彼女は友人の一人であり、去年のクリスマスと今年のバレンタインを過ごした仲である。

 ……君達はどういう関係なんだい?

 それはさておき、本日最後の戦いが始まった。

 二人が飛んだ。
 上下二対のジェットパック『ティターニア』を背負ったヘスティアがリングという監獄から飛びだし戦いの自由を得れば、ジェットパックに繋がれた可変収束ビームライフル『ミストルティン』からビームの雨を降らせる。
「ヘスティアさんの戦法面倒なんだよなぁ……」
 一方、澪は魔力によって飛翔し、ダンスの要領で空中ターンからのバレルロール。
 螺旋を描いて上を奪い取り、水属性の魔術――本物の雨を降らせる。
「相変わらず、厄介ね」
 過去に共闘した時から、彼の魔法の厄介さは知っている。
 縞ビキニの肢体を伸ばす様に体勢を変えると船長は出来るだけ水に濡れないように速度を上げた。
「こっち詠唱必要なんだから加減してよぅ」
 ヘスティアのスピードに不満を述べながら白い布地を翻して、オラトリオは自らの指を唇へと寄せた。

 無意識の誘惑。

 中性的な表情が織りなす、不可視の魔術。

 人を惑わす華が咲こうと――していた。
「いいの?」
 木星圏であろうが妖精の如く舞える翼――ジェットパックによって真正面まで距離を詰めたヘスティアの両手には複数の写真。
「誘惑、使ったらこれバラ撒くわよ?」
 そう、これは――

 海賊女王の絶対王権

 つまりは脅迫である。

「なっ、なんでそんなの持ってるの……!」
 自らの恥ずかしい写真を視界に収め、澪は自分の頬が熱くなるのを感じた。
「誘惑ってなに……!?」
 無意識だったからこそできた業。
 それは自ら言葉にした時、霞と消える。

 ところで、なんでそんな恥ずかしい写真とか持ってるんです?
 それはさておき、戦いはまだ終わっていない。

 機動性ではヘスティアが勝り、逆に運動性では澪が勝つ。
 鋼鉄の翼と天使の羽では求めるものが違う故に、互いに有利不利が生まれる。
 それを詰めるが如く魔術を編み、引鉄を引く。
 やがて――ピースを先にそろえたのは天使であった。
 オラトリオの歌声が響く。
 一つではなく複数。
 合唱が如き歌の名は多重詠唱。
 重ねるのは水と氷。
「……まずいわね」
 思わず言葉が漏れるほど、船長もその危険性を理解した。
 水に氷が重なれば、濡れた肌や服は凍結する。
 しかもこういう時に限って軽装である。
 ならば。
 ティターニアの装甲が展開し、複数の円筒状の何かが飛んだ。

 ――マイクロミサイル!

 一斉に発射された誘導弾が空中で爆発し、詠唱をかき消し、海賊の姿を隠す。
 勿論、澪もそれは想定済み。
 耳を澄ませて聞き取るのは空を切り裂く音、空を駆ける音、ジェットパックが吸気する呼吸音、そこへめがけて――!

「わーーーーーーっ!!!」

 言葉を形にする。
 文字通りの実体化、それは技能を超える業、ユーベルコード。
 それこそが――

 ボクノオト・キミノオト
  彩   音

 対するヘスティアも爆炎の中を潜り抜け、氷を溶かし、身体の自由を得て、起死回生の一撃をその右足に。

 ヘスキック!

 決着がついた。
 勝ちを誇ることも、屈辱に塗れることもなく、かと言って日頃の行いと片付けることも、負けたことを悔やむことも無い。
 何故なら、実体化した音もヘスティアの蹴りも当たっていたのだから。

 相打ち。

 意識を失った二人はそのままリングの外へ落ち、打ち上げられた花火に受け止められる。
 やがて目を覚ます二人。
 視界に入ったのは、カクリヨの空を彩る終わりの花火だった。

 夏が終わり、決着はまたの機会に。


 両者:引き分け

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年08月05日


挿絵イラスト