●カクリヨビーチ
「水着コンテスト! そういうのもあるのか! よーしワイちゃん、カクリヨにビーチ作っちゃうぞー」
というの第一声であった。
新し親分『バズリトレンディ』がなんてことを思いつきで呟く。
次の瞬間景色が様変わりするようにして生まれていたのは、見事なビーチであった。
照りつける太陽!
眩しい白浜!
揺れるヤシの木!
何処までも透き通るような青い海!
そう、此処こそが今年の水着コンテストの舞台である。
猟兵達は己達の水着姿でもって美しさを、可憐さを、力強さを表現する。それは新し親分『バズリトレンディ』にとっては、流行の最先端を往くものであったことだろう。
マジで有能である。(笑)どころではない。
斯くして、カクリヨビーチに猟兵達の水着姿が豪華絢爛、居並ぶことになったのだった――。
●夏休み
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「皆さん、水着コンテストお疲れさまでした。みなさんの水着姿、とても素敵でした」
そう告げるナイアルテは、水着コンテストの終了を受けて微笑んでいた。
毎年の恒例行事であるが、こうして恙無く終えられたことを喜んでいるようだった。そんな彼女がいつも以上に微笑んでいるのは、今回は事件を知らせる必要がないからであろう。
予知があったわけでもなく、窮地に陥る存在もいない。
それがどれほど喜ばしいことであるのはか、日々戦い続ける猟兵たちは知っているだろう。
「水着コンテストの会場となったビーチにカクリヨファンタズムの妖怪親分さん達が、妖怪花火を用意しくれたようなのです」
ナイアルテはの瞳はまるで夜空に浮かぶ花火のように煌めくようでもあった。
単純に花火という文化に触れることがなかったこともあって、非常に興味深いのであろう。そうでなくても彼女の猟兵としてのキャリアは浅い。
こと異なる世界の文化に造詣が深いというわけでもないのだ。
故にカクリヨファンタズムに生まれたビーチで打ち上げられる妖怪花火を楽しみにしているのだ。
「この妖怪花火はとてもすごいですね。お話では私達猟兵が一緒に打ち上げられることもできるようですし、花火が描く模様の上を歩く……空中散歩も可能のようです。とても不思議なことですね」
そんな経験をすることができるのだとナイアルテは微笑む。
それ以外にもビーチで水遊びや食事なんかをしてもいいだろう。ナイアルテは水着を用意していないようであったことを一人の猟兵が尋ねれば、彼女はいつものオーバーサイズのジャケットを開いて、その下を見せるのだ。
「大丈夫です。私はいつもこの格好ですから。ジャケットを脱げば、水遊びだって可能なのです」
明らかにサイズの合っていないジャケットの下はまあ、水着みたいなものなのだろう。普段から自然の中で佇む姿が見受けられる彼女にとっては、これが普段遣いの服装である。
だがまあ、水辺ではしゃいで、すっ転んだこともある彼女だ。備えは万端というには少し不安が残る気がしないでもない。
「みなさんが一時とは言え、カクリヨビーチで花火に遊びに楽しまれることを私は願わずにはおれません。どうか、一夏の思いでになりますように」
そう言ってナイアルテは、猟兵達の転移の準備を進めるのであった――。
海鶴
マスターの海鶴です。
今回はカクリヨファンタズムにおいて新し親分『バズリトレンディ』が生み出したビーチで妖怪花火や水遊び、散歩や食事などを楽しんで頂く夏休みシナリオとなっております。
※このシナリオは第一章の【日常】だけで構成されるシナリオとなっております。
妖怪花火は猟兵であれば、一緒に打ち上げられることもできますし、花火の模様が空に残り、その上を歩くという空中散歩も可能です。
思い思いの夏の思い出を作っていただけたらと思います。
お客様のご要望があれば、グリモア猟兵であるナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)も登場いたします。
※また今回のシナリオは【日常】だけで構成される一章だけのシナリオですので、今回はプレイングを受け付ける期間は普段より長く受付させて頂きます。
リプレイの返却をその分だけおまたせしてしまいます。ご了承くださいますようお願いいたします。
※締切は7/29 8:30までとさせて頂きます。
それでは、カクリヨファンタズムでのひと夏のバカンスの思い出と成れますように、いっぱいがんばります!
第1章 日常
『猟兵達の夏休み2021』
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POW : 妖怪花火で空へGO!
SPD : 妖怪花火の上で空中散歩
WIZ : 静かに花火を楽しもう
👑11
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村崎・ゆかり
水着コンテスト、盛況だったわね。その余韻が残るうちに打ち上げのお祭か。
アヤメ、羅睺、楽しんでいきましょう。
服装は、あたしがビキニの上にヨットパーカー。アヤメはホルターネックのワンピース水着、羅睺はタンキニ。
それじゃ、皆で夜店巡りと行きましょう。あなたたちはお祭に参加したことあったっけ?
まずは定番のかき氷。頭にキーンとくるわね。
綿飴たこ焼きやきそばと、一通り制覇していきましょう。ケバブもあるのね。じゃあそれも。
持ちきれないくらい買ったら、人気の無い岩場に移動して、三人で食べつつ花火を見上げましょうか。
打ち上がりたい元気な人も多いわねー。
食べる物が無くなったら、三人で愛を交わしましょ。愛してるよ。
今年も猟兵達による水着コンテストは盛況のうちに幕を閉じた。
豪華絢爛なる宴のようであり、その終演を祝福するように妖怪親分たちが用意した妖怪花火が打ち上げられる。
夜空に上がる花火は色鮮やかであり、それだけで風流なるものを感じることができただろう。
「水着コンテスト、盛況だったわね」
村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)は愛奴召喚(アイドショウカン)によって呼び寄せたエルフのクノイチの式神、アヤメと羅睺と共にカクリヨビーチを歩く。
水着コンテストの余韻残る打ち上げのお祭りはどこも騒々しくも華々しい。
ゆかりはビキニの上にヨットパーカーを羽織り、アヤメはホルターネックのワンピース。羅睺はタンキニとそれぞれに個性の出る姿である。
一人ひとりを華と捉えるのならば、彼女たちはビーチという地上を彩る華そのものであったことだろう。
「よくお似合いです」
そういって微笑む恋人たちの姿にゆかりも微笑みを返すだろう。
水着を新調する楽しみ、似合うだろうかと吟味を重ねる楽しみもまた、戦いのさなかにある猟兵たちにとってはかけがえのない日常であろう。
「ありがと。それじゃ、みんなで夜店巡りと行きましょう」
二人にゆかりはお祭りが初めてであっただろうかと訪ね、定番どころを抑えていく。
まずはかき氷。
色鮮やかなシロップがかかれば、それだけで目が楽しい。香りと甘い味を堪能すれば、舌を見せ合う。
シロップの色が移っていれば、どこか毒々しいながらも笑いがこみ上げてくることだろう。
それに綿あめやたこ焼き、焼きそば。
なんともオーソドックスであるが、こういう楽しみを知っていれば、来年はまた一味違った味わいもできるだろう。
「あれはなに?」
羅睺の言葉にゆかりは視線を向ける。
そこにあったのは妖怪が騒々しく串焼きケバブやドネルケバブといった肉の塊を削ぎ落としてパンに挟んでソースをかけて提供する屋台であった。
妖怪たちは新しいものが大好きである。
それは新し親分を見ていればよくわかる。騒々しくも楽しい思い出に惹かれるのは羅睺らしいものであったことだろう。
「ああ、あれはケバブね。じゃあ、それも頂きましょう」
そんなふうにしてゆかりたちは両手に持ちきれないほどの夜店の戦利品を抱え、人気のない岩場へと移動していく。
「流石に買いすぎましたね」
「そんなことないよー」
アヤメと羅睺が互いに笑いながら、買ってきた食べ物を食べていく。
普段食べ慣れないものであったから、余計に楽しいのだろう。ゆっくりと食事を楽しみつつ、三人は打ち上がる妖怪花火を見上げる。
様々な光が明滅しながらも、その花火の模様がいつまでも残っている。
その上を空中散歩することも可能であるというから驚きだ。中には猟兵共々打ち上げられているようで、なんともおかしみがある。
「打ち上がりたい元気な人も多いわねー」
ゆかりは少し呆れているが、これもまた楽しい思い出の一幕であろう。
そんなふうに過ごしている食べ物がなくなってしまう。
あれだけ買ったのに、と若干苦笑いしながら、ゆかりとアヤメ、羅睺は共に細やかであるけれど、甘やかな時間を過ごすのであった――。
大成功
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ソナタ・アーティライエ
お誘いを受けて来てみたものの、実は『楽しむ』というのは苦手です
ステージで演奏し歌うのは別として
それ以外ではにぎやかさや活発な雰囲気とはどうにも馴染めなくて……
お休みといえば心交わした友達と寄り添い静かに過ごすのが常でした
なので偶々目についたお店でお手伝いをさせて頂くことに
大勢の猟兵が訪れてお忙しそうな様子でしたので
少しでもお役に立てたら嬉しいです
それからよろしければナイアルテ様とお話しできたら嬉しいです
これまで何度も顔を合わせ、お世話になっていますのに
きちんとお話しした事がありませんでしたから
花火を見ながら他愛もないお喋りが出来ましたら……
アドリブ歓迎
水着は白翼モチーフのセパレート+パレオです
カクリヨビーチの夜空に打ち上がる花火。
それは妖怪花火と呼ばれる特別なもの。如何なる火薬でもって、その彩りを為しているのか理解することは難しいが、瞳に映る光景は見る者の心を思い出として彩るだろう。
明滅するように広がっていく華を見上げ、ソナタ・アーティライエ(未完成オルゴール・f00340)は妖怪たちが営む夜店の手伝いをしていた手を止めた。
少しの間であったけれど、その青い瞳に映る光景は誰しもの心に去来するものと似通っていたのかもしれない。
「……」
ソナタは『楽しむ』ということが苦手であった。
ステージで演奏し歌うことはあれど、それ以外では賑やかさや活発さ、そんな雰囲気にどうにも馴染めないでいた。
どう楽しんでいいのかわからないのだろう。
自分ひとりだけが大勢の中で楽しむことができないでいる。その浮き彫りになた、地に足のつかぬ感覚をソナタは苦手とするものであったのかもしれない。
だからこそ、おやすみと言えば心か交わした友達と寄り添い静かに過ごすのが常であった。
銀竜の『アマデウス』や新たに出会った友達。
彼等と共に在るのならば、寂しさも紛れるものである。心穏やかに過ごすことのほうがソナタにとっては大切なことであった。
けれど、彼女の心優しさは大勢の猟兵が訪れたビーチにおいて大変そうにしている妖怪たちの夜店を見過ごすことはできなかった。
「はー! 忙しい! 忙しい! 猟兵さんたちがいっぱいで嬉しいけれどこれはちょっと大変だにゃー!」
ネコの姿をした妖怪が大変そうにたいやきをひっくり返している。
ソナタは鯛焼きというものを知っているだろうか。知らなくても、ネコの姿をした妖怪が大変そうにしているのはわかる。
「あの、よろしければ……」
そういってソナタはネコの妖怪を手伝って鯛焼きの夜店を切り盛りするのだ。ネコの妖怪が鯛焼きを焼き、ソナタが呼び込み売る。
慣れぬ接客であったけれど、ソナタと『アマデウス』といった友達の力を借りてなんとか捌き切った時、彼女は心地よい疲労感に浸っていた。
「ごくろうさまだにゃー! 猟兵さん! これよかったら食べてにゃー」
そういってネコの妖怪がお礼に袋いっぱいの鯛焼きを手渡してくれる。こんなに、と思ったけれど、友達の分もあるのだ。
厚意に甘えてソナタは袋を受け取る。そこに現れたのはナイアルテであった。彼女はぼんやりと花火を歩きながら見上げていた。
彼女とソナタは何度もグリモアベースで顔を合わせていたが、きちんと話をしたことがなかった。
白翼をモチーフとしたセパレートの水着をまとったソナタは、パレオを揺らしてナイアルテに声をかける。
「ソナタさん。打ち上げ、楽しんでおられますか?」
「ええ、ナイアルテさんも。よろしかったら、お話できたら……」
勿論です、とその言葉に微笑むナイアルテ。
彼女にとって、猟兵との交流はほとんどがグリモアベースを介するものばかりである。
こんなふうに声を掛けてもらえるのは望外の喜びであろう。
「とても水着がお似合いになっておられますね。軽やかな翼、清楚な白。どれもソナタさんの瞳の色を生えさせる素敵なお召し物です」
ソナタの水着は何か神聖さを感じるものであったのだろう。
鯛焼きを共に頬張りながら、空に散る花火の光がソナタの水着を照らす。その光景はキラキラと美しく、誰の心にも残るものであったことだろう。
二人は他愛のないことを話す。
鯛焼きのお店を手伝ったこと、見上げた妖怪花火の形が様々なものであったこと、友達のこと、風に揺れる波の形のこと。
どれもが些細なことであったことだろう。
けれど、そんな些細なことがかけがえのないものであることを二人は知っている。
穏やかな時間が何処までも続けばいい。
そんなふうに思いながら、二人は夜空の華を並んで見上げるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
東雲・深耶
(白ビキニで来る。ある程度慣れたのか赤面は収まっている)
ウム、水着コンテストが成功してよかったな…災厄追跡者としては最善の状態で迎えたかったからな
さて、ここに東雲本家に収められた最高級のスイカ(一玉1万円)がある
スイカ割りと行こうじゃないか
そう言って目隠しを妖怪たちや妖怪親分に渡しながらスイカ割り大会を始めていく
さて、私の番か
目隠しを自ら施し、木刀を振り上げる
その仕草で鮮やかな長い黒髪と肉づきの優れた四肢を無自覚に魅せつける
ーーそこだ
瞬間、過去に刻まれた斬撃がスイカをミクロの狂いもなく八等分にする
UCを使ってはいけないとは言ってないぞ?
スイカの一切れを手に取りながら悪戯な笑みでそう告げるぞ
水着姿とは誰しもが慣れているものではない。
少なくとも、東雲・深耶(時空間切断剣術・空閃人奉流流祖・f23717)にとってはそうであった。
瑞々しい肉体は肌をさらせば人の目を惹くものである。
ビーチに足を踏み入れたのならば、彼女の身体を彩る白いビキニは太陽よりも眩しいものであったし、黒いニーソックスは彼女の足をほっそりとしたものに見せていただろう。
しかし、此処はカクリヨファンタズムである。
ついでにいうと新し親分『バズリトレンディ』が生み出したビーチだ。深耶は水着コンテストを終え、ある程度慣れてきたとは言え、未だ赤面した顔は少しばかり熱く、そして赤みを帯びている。
そんな彼女は猟兵というだけで妖怪たちに大人気である。
あちこちの屋台から声がかかるが、深耶は丁重に断りつつ、手にした最高級スイカを取り出す。
何を、と妖怪たちは思ったことだろう。
「――スイカ割りと行こうじゃないか」
彼女は水着コンテストの成功を受けて、そして災厄追跡者として最善の状態で迎えたかったと言っていた。
何も水着コンテストに限った話ではない。
夏本番である今、遊びに置いても最善のコンディションを保つのが東雲家の娘として当然の責務であろう。
「スイカ割り! これはまた風情があるなー」
「目隠ししてするアレか。懐かしいなぁ」
「それじゃあ、目隠しして、ぐるぐるっとな!」
妖怪たちがはしゃいでスイカ割りに興じる。
ちなみに使用されるスイカは一玉一万円するという本家に納められた品物である。妖怪たちにとっては関係ないことであったかもしれないけれど、価値を知る者からすれば、それは暴挙と言っても良いものであった。
「さて、私の番か」
そんなこんなでスイカ割りの余興もいよいよ盛り上がりを見せてくる。
右だ左だ、いいや右だと周囲に集まった妖怪たちの囃し立てる声が聞こえる。
ぐるぐると回転させられ、深耶は視界を塞がれたことにより、スイカの位置がわからなくなる。
そこで周囲の妖怪たちの声を頼りに進み、振り下ろす。それがスイカ割りの楽しさであり、余興としての側面がある。
「猟兵さん、右に一歩!」
「いいや、前進だ!」
好き勝手に方向や進むべき歩数を告げてくる妖怪たち。てんでバラバラなのは言うまでもない。
そうやって目隠しをした者が見当違いな場所に行くのが楽しいのだ。
けれど、深耶は一歩も動かない。
何故、と思った瞬間、深耶の瞳がユーベルコードに輝いて、目隠しされた布から光を放つ。
「――そこだ」
放たれたのは因果に刻まれた斬撃である。黒後斬閃・消える事無き過去から進みし者の刃(クロキシノサキニススムヤイバ)。そのユーベルコードよって深耶は見ずとも、ミクロの狂いもなく八等分にスイカを両断する。
あ、ずっけぇ! と妖怪たちが言うが、深耶は取り合わない。
「ユーベルコードを使ってはいけないとは言ってないぞ?」
なんともずるいやり方に妖怪たちは一斉に抗議するが、深耶はいたずらっぽい笑みを浮かべ、切り分けられたスイカを頬張る。
程よく動いた後にスイカは最高だ。それが一玉一万円もするのであれば、当然である。
妖怪たちは、釣られるようにして次々とスイカを頬張っていく。
たまにはこんな堅苦しくない雰囲気の中、共に遊ぶこともいいだろう。深耶は一時であるが、己の責務から開放されて、妖怪花火が打ち上がる空を眺め、スイカの甘みと共に今日という一日の思い出に浸るのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
鈴久名・紡
新し親分が有能なのは判っていたが
他の親分たちもこう、なんだ……
うん、なんだ(なんだ)
所でむすび……海は入ってもいいけど
入ると後で丸洗いだぞ?
肩の上で興味ありそうな気配を伺わせるむすびに
そう声を掛けるも構わない様子
なら、行っておいで
その間に何か食べるものを買ってくるから
色々買って戻れば、むすびの姿が無くて少し焦る
可愛いから攫われたんだろうか?
いやいや、それはないだろう
では、はしゃぎすぎて沖に流された……?
いやいや、それもないな?
なんて考えていたら
ざばーっ!と海水を掛けられた
水中に潜んでいたむすびが
羽根で掬うようにした海水をモロに被って
けれど、そんなはしゃぐ様子も珍しいと笑って許して
楽しく過ごそう
カクリヨファンタズムに一瞬のうちに作られたビーチ。
それは風光明媚なビーチそのものであり、誰もが心に思い浮かべる浜辺そのものであったことだろう。
二日間に渡って行われた水着コンテストは盛況の内に幕を閉じ、今は妖怪花火が打ち上がる夜のビーチへと様変わりしていた。
鈴久名・紡(境界・f27962)は涼し気な水着姿に着替え、コンテストが無事に終了したことに胸をなでおろす。
「新し親分が有能なのは判っていたが。他の親分たちもこう、なんだ……うん、なんだ」
彼が見上げる先にあったのは妖怪花火である。
それらは妖怪親分たちが用意してくれたものであるが、花火が打ち上がる度に描かれる模様は消えることなく空に浮かび続け、その上を歩くという空中散歩すら可能にする。
どこまでも不可思議な光景を実現するカクリヨファンタズムというか、親分たちの力に紡はわずかに怯んでいたのかもしれない。
そんな彼の肩の上で羽根付きうさぎ型幻獣である『むすび』がソワソワしているのに気がつく。
「『むすび』……海は入ってもいいけど入ると後で丸洗いだぞ?」
塩水は乾くとカパカパになってしまうし、毛並みも荒れてしまう。放っておくわけにもいかないし、面倒なことになるのはわかっている。
けれど、そんなことなど構わないというように『むすび』がしっぽをフリフリしている姿に紡は頷く。
「なら、行っておいで。その間に何か食べるものを買って来るから」
その言葉と共に『むすび』は勢いよくビーチの白浜を駆けて海の中に飛び込んでいく。
あまりにも勢いよく飛び込むものであるから、水飛沫が凄まじい。
元気に飛び跳ねて遊んでいる姿を紡は眺めてから、夜店へと歩いていく。大抵のものはあるようである。
焼きとうもろこしに焼きそば、たこ焼きにりんご飴。夏祭りの定番のようなものは殆どがあるようだ。
「ふむ、それを一つもらえるかな」
紡は夜天を切り盛りする猟兵や妖怪たちから食べ物を受け取ると、いくつかのものを物色して砂浜に戻ってくる。
『むすび』はまだ遊んでいるだろうかと思い、周囲を見回す。
けれど、『むすび』の姿が見えない。先程まで確かにこの砂浜で遊んでいたはずだ。
それでも『むすび』の姿がないのは焦りを感じる。
「まかさ可愛いから攫われたんだろうか?」
嫌な想像が頭をよぎる。
貴方可愛いわね。うちの子になりなさーい。
的な!
「いやいや、それはないだろう。では、はしゃぎすぎて沖に流された……?」
いくら可愛くても幻獣である。それもないな、と紡はキョロキョロしながら砂浜から海の波間に近づいていく。
嫌な想像だけが膨らみ爆発しようとした瞬間、波間から勢いよく飛び出す姿があった。
「――!?」
それは、水中に潜んでいた『むすび』が羽根で海水を掬うようにして紡へといたずらを仕掛けたのだ。
折角水着を来ているのだから、濡れなければ意味がないというように紡の身体を濡らす。
「――ふっ、はははっ」
普段『むすび』はこういうことをしないのだろう。こんなにも海ではしゃぐことができたのならば、それは珍しいことであるし、笑って許せる程度のいたずらだ。
それに嫌な想像があたっていないことのほうが一番重要だ。
「まったく。いたずらが過ぎるぞ。せっかく食べ物を買ってきたのに」
濡れてしまったと、袋を掲げてみせる紡の肩に、ごめんねと謝るように『むすび』が甘えるようにして顔を擦り付けてくる。
そんな様子も可愛らしい。
しかたないな、とすべてを許すように笑って、二人は楽しくカクリヨビーチの思い出を胸に刻むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
セラフィナ・セレスティ
水着コンテストはほんとにすごかったね!
え、ボク?稀少本を見つけて嬉しくて読み耽っていたらコンテストが始まっていただなんて、ソンナコトナイヨー?
ボク、ブルーアルカディアから他の世界に来たの初めてなんだ
いろんなことにワクワクするよ!
そうだ、ビーチを散歩しながらナイアルテさんにこの世界のこと教えてもらっちゃおっと
見知らぬ世界で見知った顔を見つけると安心するよね、へへ
転ばないように、ゆっくりビーチを歩こう
海風がとても気持ちいいね
ふふ、カクリヨも素敵な世界だね
こんなに素敵なことを知れて良かった
今日だけでなく、いつも案内してくれてありがとうナイアルテさん
これからもよろしくね
☆水着はお気に入りのセーラー水着
毎年行われている水着コンテストは大盛況であった。
去年はグリードオーシャンで、今年はカクリヨファンタズムが舞台となっていた。去年に負けず劣らずの盛り上がりを見せたコンテストの結果はどうであっただろうか。
セラフィナ・セレスティ(celestial blue・f33925)は手にした水色の模様を描く背表紙の稀少本を胸にいだき、本来参加するはずであった水着コンテストに乗り遅れていたようであった。
水夫をもした鮮やかで軽やかな水着姿は、風に揺れる度にどこか爽やかさを感じさせる装いであったことだろう。
黒髪が揺れる度につややかな色あいに案内をしてほしいと頼まれたナイアルテは見惚れるようであった。
「水着コンテストはほんとにすごかったね! いやぁ、稀少本を見つけて嬉しくて読みふけっていたらコンテストが始まっていただなんて、ソンナコトナイヨー?」
いや、そんなことあったのだろう。
彼女はブルーアルカディア世界出身の猟兵である。
他の世界に渡ることができる猟兵の中には猟兵になりたてで、他世界を知らぬ者も多い。
そこでナイアルテはカクリヨファンタズムのビーチの案内と世界について教えることを請われたのだ。
「ボク、ブルーアルカディアから他の世界に来たの初めてなんだ。いろんなことにワクワクするよ!」
「水着、大変素敵ですね。青色がセラフィナさんの黒髪に映えて、素晴らしいです。ええ、ご案内させていただきますね」
ナイアルテと共にビーチをセラフィナは歩く。
見知らぬ世界を訪れたとしても、見知った顔があるだけで安心するものである。
転ばぬようにと気をつけながら、砂浜を踏みしめる。
大空の世界であるブルーアルカディアと全てが違うカクリヨファンタズム。
海と言えば、雲海であるブルーアルカディア出身にとって、海は物珍しいものであったことだろう。
「風がとても気持ちいいね」
「ええ、海水ですので、後で髪がベタつくかもしれません。せっかくキレイな黒髪なのです。お手入れはしっかりしなければ」
そんなふうにやり取りを重ねながらカクリヨファンタズムについてセラフィナは知っていく。
カクリヨファンタズムだけではない。
他の世界のことも。
セラフィナはこれから多くのことを知っていくだろう。
「ふふ、カクリヨも素敵な世界だね。ブルーアルカディアとこんなにも景色が違うけれど、空の色や星の光、それに花火もすごいね」
共に見上げる先にあるのは夜空に描かれる妖怪花火。
いつまでも空に残る花火の模様は、大輪の華のように夜空を彩っていく。
その光景はきっと初めて見るものであったことだろうし、打ち上げられた花火が空中で弾ける音がセラフィナの身体を打つ感覚も彼女にとっては初めての出来事であったことだろう。
「今日だけでなく、いつも案内してくれてありがとうナイアルテさん。これからもよろしくね」
「こちらこそありがとうございます。いつも呼びかけに答えてくださって。心強く思っております。どうか、これからもセラフィナさんの道行きが素晴らしいものになりますように」
セラフィナとナイアルテは微笑み合って、夜空を見上げる。
お気に入りのセーラー水着が風に揺れ、刻まれた花火の輝きをセラフィナはきっと忘れない。
そんな夏休みの一日は、きっと楽しいものであったと、きっと彼女は胸に刻むだろう――。
大成功
🔵🔵🔵
鳳凰院・ひりょ
アドリブ歓迎
ナイアルテさんと話が出来る機会!
普段予知の内容を説明していただいたり、転送してもらったり、くらいしか接点がないから…うん、普段のお礼も兼ねて話をしてみたいかな?
水着は今回の夏に新調したので、それを着ていくとして
あ、ナイアルテさん花火とかは見た事がなさそうなのかな?
花火を見るのが物珍しくあるのなら、当然花火を打ち上げたり、打ち上げられたりなんかも経験ないよね。俺も無論ないけど(苦笑
打ち上げられるのはちょっと豪快過ぎるだろうから、うん、花火の上を散歩しながら少しお喋りとうかどうかな?
俺が黄昏の翼を使えば飛行も出来るしね、花火の上までご招待は出来るだろうし
いつもありがとう、と伝えたいしね
カクリヨファンタズムのビーチで鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)は今年の水着コンテストに向けて新調した水着姿でナイアルテと話をする機会だと思い、彼女の姿を捜していた。
普段の彼女はグリモアベースで事件の概要を伝える時や、転送をする時等しか接点がない。
だからこそ、ひりょは普段のお礼を兼ねて話をしてみたいと思っていたのだ。
「ひりょさん。どうされました? 何か失せ物でも?」
そんなふうにしているとナイアルテの方から声を掛けてくる。
ひりょがきょろきょろしていたのを何か失くしてしまったのかと心配しているようであった。
「いいや、そういうんじゃないよ。ナイアルテさんにお礼を言いたくてさ。いつもありがとう。転送のこととか、事件の予知とかね」
その言葉にナイアルテは面食らったようであった。
お礼を言われるとは思っていなかったのだろう。けれど、はにかむように彼女は顔を赤らめて頭を下げる。
「こちらこそ、いつもありがとうございます。あ――」
そう言って頭を下げた瞬間、彼女の背後で妖怪花火が打ち上がる。
妖怪花火は模様がそのまま空に刻まれる特別な花火だ。それに猟兵が共に打ち上げられることだってある。
「あ、ナイアルテさん、花火とかは見たことがないの?」
ひりょがナイアルテの様子を見て尋ねる。
彼女のまた猟兵としては新参に部類される者であろう。彼女の見上げる表情にひりょは、笑う。
彼だって花火は見たことがある。
けれど、妖怪花火は別だ。だって、打ち上げられたり、模様の上を歩くことが出来る花火だなんて聞いたことがない。
「はい。とても綺麗ですね。不思議です」
「ならさ、打ち上げられる……のはちょっと豪快が過ぎるだろうから、うん、花火の上を散歩しながら少しおしゃべりとかどうかな?」
「いいのですか?」
ナイアルテは誘われるとは思っていなかったのだろう。またはにかんでから、ひりょと共に彼のユーベルコード、黄昏の翼(タソガレノツバサ)によって、夜空に刻まれた妖怪花火の模様の上へと飛ぶ。
それは幻想的なというより、非現実的な光景であったことだろう。
見下ろせば、水着コンテストの会場である砂浜が小さく見えるし、星々が近くに見えるのだ。
「花火の上までご招待……ってね。俺も無論、こんな経験したことないけど……すごいね」
「はい。ありがとうございます。こんなにも高いところから見る星は初めてです」
星を見上げるナイアルテが微笑む。
いつだって猟兵は戦いの最中にある。
けれど、それはグリモアの力があればこそであろう。彼女は予知することしかできない。戦うことはできないし、転移を維持することでしか猟兵の戦いに貢献できない。
だからこそ、彼女は頭を下げた。
それはひりょも同じ思いであったのだろう。
「いつもありがとう」
ひりょの言葉は彼女にとっては、これ以上ないくらいにありがたいものであった。
「こちらこそありがとうございます。みなさんが戦ってくれるからこそ、解決できる事件ばかりです。どうかこれからも事件の解決にご協力頂けると、とても嬉しいです」
花火の模様の上を二人は散歩していく。
時に真下に見える波間を。
時に頭上に在る星星を。
時に隣を歩く互いの表情を見ながら、他愛ないことを語り合い、夏の日の思い出を胸に刻むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
大町・詩乃
嵐さん(f03812)と
今年の水着で。
今回は猟兵のお仕事抜きの純然たる夏休み。
なので自分の気持ちに正直に行動します。
妖怪花火で一緒に打ち上げて貰い、花火が描く模様の上を歩く空中散歩…なんて素敵なのでしょう♪
打ち上げの際には空中で離れ離れにならないよう、嵐さんにしがみ付きます。
地上があっという間に下に遠くなってく光景を見て、「わあっ、嵐さん、すごい勢いで上がってます♪」とはしゃぐ。
空中散歩では空に残る花火の模様の上を歩く。
ちょっと甘えるような口調で「ね、腕を組んで歩いても良いですか?」とお願いを。
了承してもらえたら「好きな人と綺麗な空を散歩。とても幸せです♪」と笑顔で花火を愛でつつ巡ります。
鏡島・嵐
詩乃(f17458)と
水着コンテストか。今年はおれ出たかったけど生憎出らんなくてなあ。
まあ、いつも通り盛り上がったんは知ってる。
服装は適当に夏の装いで。夜だし浴衣でもいいかな。水着? コンテストに出てねえのに着ねーよ。
妖怪花火で二人一緒に打ち上げてもらうのを体験。ついでに空中散歩も楽しむ。
詩乃がしがみついてくるんで「怖ぇか?」って一応訊いてみる。顔楽しそうだから多分大丈夫だろうけど。
おー、すげえ勢いで飛び上がってんなぁ。花火ってこんな気分なんかな。
ん、なんだ詩乃。腕組んで歩きてえ? いいぞ。幸せそうだな、おまえ。
……うん。確かにイイな、こういうの。なんつーか、ひと夏のいい思い出になると思う。
猟兵の夏休みは短いものである。
わずか二日間に渡って行われた水着コンテストは盛況の内に幕を閉じた。
けれど、まだ夏休みは残っている。そう、打ち上げである。新し親分『バズリトレンディ』が作り出したカクリヨビーチには、他の親分たちが用意してくれた妖怪花火がある。
ただの花火ではないことは説明した通りである。
猟兵たちであれば、妖怪花火と共に打ち上げられることもできるし、そのまま夜空に刻まれた花火の模様を歩く空中散歩に興じることだってできる。
大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)と鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)の二人も、そんな猟兵達であった。
「離れてはいけません。しがみつかせてくださいね」
そう言って詩乃が嵐の腕にしがみつく。
詩乃は今年新調した水着をまとっていた。和風の着物をモチーフにしたであろう水着に新緑を模したであろうパレオが眩しい。
まさに植物と活力を司る神として相応しい装いであった。
対する嵐は水着を夏の装い、浴衣ではあるものの、水着ではなかった。
水着コンテストは彼自身も出たいと思っていたのだが、生憎と出場と相成ることはなかったのである。
けれど、盛り上がっていたのはいつもどおりであることを彼は知っている。
「怖ぇか?」
一応、しがみつく詩乃に聞いてみるが、彼女の顔が楽しげに笑っているのを見て、それはないかと考えを改める。
「いいえ、嵐さんとご一緒していますから」
そう言われては、嵐も頷くしかなかったことだろう。共に妖怪花火に打ち上げられる。
「わあっ、嵐さん、すごい勢いで上がってます♪」
体にかかる加速度がものすごい勢いで二人の体を空中に押し上げることを知らせる。
「おー、すげえ勢いで飛び上がってんなぁ。花火ってこんな気分なんかな」
詩乃のはしゃぐ声を聞きながら嵐は、これ、本当に大丈夫なんだろうかと訝しむ暇すらなく、二人は一気に夜空に打ち上げられて、妖怪花火が刻む模様の軌跡の上に降り立つ。
二人が見たのは夜空に刻まれた模様が橋を懸けるにようにして彩る空中散歩道であった。
こうしている間にも次々と花火が打ち上げられて、夜空に光の橋が刻まれていく。道は消えること無く、二人を星々にいざなう夜にして道を紡いでいく。
そんな光景に詩乃は打ち上げられた時にしがみついていた腕を組むようにしながら体を寄せる。
「ね、腕を組んで歩いても良いですか?」
普段の彼女を知る者からすれば、それは甘えたような口調であったことだろう。嵐もそれをわかっているけれど、別段否定することはなかった。
だって、彼女の表情を見れば、断る理由なんてなかったのだ。
「いいぞ。幸せそうだな、おまえ」
腕を組んで幸せそうな笑顔を向ける詩乃に嵐は頷く。
人の幸せそうな表情を見るのが好きだ。
それは自分もまた幸せを感じることができるから。嵐は詩乃の表情に幸せを見出したのだ。
彼女が微笑めば、自分だって頬が緩むのを感じるだろう。
「好きな人と綺麗な空を散歩。とても幸せです♪」
そう告げる詩乃の横顔を嵐は見る。
彼女の瞳に映るのは、妖怪花火の描く光の軌跡であった。まるで愛でるように、微笑む姿は、花火よりも眩しい輝きを放っているようでもあったことだろう。
「……うん。確かにイイな、こういうの。なんつーか……」
嵐は詩乃の表情に頷く。
幸せそうだな、と言葉にしたのは間違ってはいなかったようだ。二人は花火が描く光模様の散歩道を歩く。
少しでも光の道が長く続きますようにと。
幸せだと思える時間がもっと続きますようにと。
全てのことに終わりが来るのはわかっている。
わかっているからこそ、刹那のようなこの時間が尊いものであることを知る。刹那に永遠を願うことが幸せに感じるのであれば、それはきっと彼等の胸に思い出として刻まれることだろう。
いつのときも思い返したとしても、色褪せることのない鮮やかな夏の思い出。
それを二人は共有し、幸せでもって繋ぎ大きなものへと変えていく。きっと明日へと一歩踏み出す活力として、いつまでもきっと忘れることのはないだろう――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
乱獅子・梓
【不死蝶】
食材を持ち込んでビーチでBBQ
定番の肉類、魚介類、野菜類はもちろん
フォンデュ用のチーズやスモア用のマシュマロなども用意
うちの食いしん坊たちに満足してもらえるようにな
いや、その豚肉はもう少し焼いた方がいい
豚肉や鶏肉は生焼けのまま食べたら身体に悪いからな
というかお前、さっきから肉ばっかり食べてないか!
少しは野菜を食え野菜を!
ああ、これだけ見事な花火は
そうそう見られる機会が無いもんな
…ん?焔、零、そわそわしてどうした?
何でさっきから俺の服を引っ張って…まさか
花火で打ち上げられたいとか言う気じゃ…!?
ああもう分かった分かった、行ってやるから!
綾、一人で肉食い尽くすんじゃないぞ!
灰神楽・綾
【不死蝶】
んーっ、お肉やわらか~
蕩けた笑顔で絶妙な焼き加減の牛肉を頬張る
バーベキュー奉行の梓が完璧な手さばきで
食材を焼いていってくれるから
俺は何もしなくても美味しいご飯にありつける
なんて素晴らしいお母さん
梓、梓、この豚肉もう食べてもいいかなー?
えぇ~、だってお肉美味しいし
…それにしても、綺麗な花火を眺めながら食べるご飯は
何だか格段に美味しく感じられるね
綺麗な花火の中に猟兵が混ざっているのは
なかなかシュールな光景だけど…
あはは、焔と零も空中散歩に興味津々のようだね
せっかくだから梓も一緒に行ってきなよ
俺はここでお肉食べながら見守っててあげるからさ
地上から、梓たちはどこかな~と探すのもまた楽しい時間
「んーっ、お肉やわらか~」
蕩けた笑顔で絶妙な焼き加減の牛肉をカクリヨビーチの白浜で頬張っていたのは、灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)であった。
彼は乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)が持ち込んだ食材でするBBQに興じていた。まさに夏を満喫しているのだ。
梓は最早バーベキュー奉行である。
完璧な手さばき、火加減、焼き具合。
此処まで来ると奉行という言葉すら生温い。バーベキュー将軍とでも呼ぶべきか。
梓の用意した食材は牛肉だけではない。
定番の肉類、魚介類、野菜は勿論のことであるが、フォンデュ用のチーズやスモア用のマシュマロにクッキー。
バーベキューで出来ることは全部やってしまおうという欲張りセットを用意していたのだ。
「これだけあれば、うちの食いしん坊たちにも満足してもらえるだろう」
無論、食いしん坊とは綾だけではなく、二匹の仔竜たちも含むものである。
彼等の旺盛な食欲であれば、これほどの食材でなければ、きっと満足しないであろうと父性なのか母性なのか最早どっちなのかわからぬ梓の気遣いがカクリヨビーチに炸裂するのだ。
「俺は何もしなくても美味しいご飯にありつける。なんて素晴らしいお母さん」
綾にとってはもう梓は母である。
梓は否定するだろうが、もうこんな手さばきを見せられては、母と呼ぶしかない。それほどまでに梓の家事スキルは極まりつつあったのかもしれない。
「梓、梓、この豚肉もう食べてもいいかなー?」
「いや、その豚肉はもう少し焼いたほうがいい。豚肉や鶏肉は生焼けのまま食べたら体に悪いからな。というかお前、さっきから肉ばっかり食べてないか!]
「えぇ~、だってお肉美味しいし」
そんなふうに偏食になりがちな綾を叱るように梓は皿の上に野菜を乗せていく。
「少しは野菜を食え野菜を!」
その言葉は綾だけではなく二匹の仔竜、焔と零にも向けられていた。放っておいたら、肉ばかり食べてしまう。
本来そういうものなのかもしれないが、梓にとっては違う。健康バランスを考えているのだ。問答無用である。
「……それにして、綺麗な花火を眺めながら食べるご飯はなんだか格段に美味しく感じられるね」
けれど、と綾が見つめる先にあるのは妖怪花火と共に打ち上げられる猟兵たちの姿であった。
いや、どういうことなの、と綾はシュールな光景に首をかしげる。
妖怪花火は妖怪親分たちが用意してくれた特別な花火だ。猟兵達であれば、共に打ち上げられ、夜空に舞うことだってできるし、刻まれた花火の模様の上を歩くことだってできるのだ。
「……ん?」
二匹の仔竜がそわそわしたように梓の袖を引く。まさか、と梓は勘良く気がつく。
「花火で打ち上げられたいとか言う気じゃ
……!?」
「あはは、焔と零も空中散歩に興味津々なようだね。せっかくだから梓も一緒に行ってきなよ」
そんなふうに綾は手をふる。
梓の性格を考えれば、焔と零だけで花火の打ち上げに生かせられないだろう。けれど、バーベキューの火の番をしないわけにもいかない。
必然的に綾は留守番となってしまうのだが、それでも彼は構わなかった。お肉食べ放題であるし。小うるさいお母さんの目もないからやりたい放題であるし。
「ああもう分かった分かった、行ってやるから! 綾、一人で肉食い尽くすんじゃないぞ!」
しっかりと梓に釘を刺された綾は苦笑いしながら、手を降って二匹と一人を見送る。
程なくして、妖怪花火が打ち上がる。
そんな光景を見上げながら綾は梓と焔、零の姿を地上から探す。
すぐに見つけられることだろう。
だって、共に過ごした時間のほうが長いのだ。少し離れたくらいで見失うわけなんてない。
ほら、視線を向ければすぐ其処に梓と焔、零の姿が妖怪花火の色とりどりの閃光の中に見つけられる。
「ふふ、楽しそうだな、三人とも。っと、これはもう焼けてるね。いただきま~す」
うん、美味しい、と綾は梓たちの笑い声が振る空を見上げながら、夏の思い出を記憶の中に刻む。
それはきっと思い返しても、楽しい思い出として梓も語ることだろう。
空から見た梓の姿。
やっぱり肉ばっかり食べてたじゃないか! と後で怒られることになるのだが、それもまた楽しい思い出なのだ――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
マグダレナ・クールー
【山奥の洋館】
イエーイ!! お疲れさまでしたあ~!! ええわたくしは疲れていますよ疲れていますよ? だからお酒が染み渡るですね最高ですね!!
《シュイシュイ! メシアカ……》
あーギヨーム君餌付けしちゃダメなんですよ! なんでわたくしにはくれないんですか?!
《ニーー!? シェアハピナイナイカ! キョゼツニ!!》
ずるいですずーるーいーでえ……わあい水!
そうですよ日頃の行いがよろしくないソルドイラ君、ギヨーム君の滅多にないわがままですよ友達のよしみですよ。わたくしからもお願いしますよお~えっへへへ友達ですってうぇへへ照れますね? へへへーい!
ふへへえ、来年もこうしてまた遊びましょうね"えああああ!??
ギヨーム・エペー
【山奥の洋館】
水着コンテストお疲れ様。……どうしてマグダレナちゃんは既に出来上がっているんだ? ソルドイラくんは本当に保護者しないよなー
出店で幾つか食料調達しておいたから、リィーは食べてな。きみが一番良く頑張ったと思うよおれは。ストッパー役本当にお疲れ様……マグダレナちゃんは水を飲もうねー!!
そっかー最高に楽しめてよかったなー。ソルドイラくんはどうだ? ああそれ日頃の行いっていうんだぜ汝
わしだって汝らを理不尽に振り回す時もあるさ。折角の海だぜ? 楽しみてえんだよ
それに汝が海に解けても、また砂粒一つ残らず見つけるから
そうだなー高いなー、アッハハ。ほらソルドイラくんにマグダレナちゃん。跳ぶぜー!!
ソルドイラ・アイルー
【山奥の洋館】
誤解ですよギヨーム君。吾輩と合流する頃にはマグダレナ嬢は既に酔っ払いでした
介抱役ならリィーが居るでしょう? それに吾輩は放任主義であります
ところで……え〜、……マジでやるんですか、空中散歩からの海面ダイブ
吾輩は友人に海に突き落とされる拷問を思い出しては涙していたというのに、側からみるとエンジョイしすぎて浮かれ笑いしてるようにしか見えないとは本当に笑うしかありませんでした。いや、確かにバッチリ楽しましたがね!?
あの、高くないですかこれ高いですってこれ!? ちょっと!? 吾輩を中心に腕を組まれると身動きが取れないのだがお二方!?
ワハ。ワハハハアーッ!! もうどうにでもなれ~~!!!!
水着コンテストに参加した猟兵達にとって、この二日間は絶えず忙しいものであったかもしれない。
宣伝や、友人たちの水着に投票したりアピールしたり、それはもう目まぐるしいものであったことだろう。
それが夏の楽しい思い出になることは言うまでもないが、とても忙しい。
「イエーイ!! お疲れさまでしたあ~!!」
そんな中、カクリヨビーチにて一際大きな声で打ち上げの音頭を取ったのは、マグダレナ・クールー(マジカルメンタルルサンチマン・f21320)であった。
いつもの髪型ではなくポニーテールにした金髪の髪が風に揺れ、いつも以上のハイテンションで掲げた酒盃はすぐに空と成り果てた。いつも以上のピッチである。
「ええ、わたくしは疲れていますよ疲れていますよ? だからお酒が染み渡るですね最高ですね!!」
ストライプの水着に施されたフリルが揺れ、彼女は空になった酒盃、ジョッキを叩きつける。
そんなマグダレナの様子を見て、ギヨーム・エペー(Brouillard glace calme・f20226)はハイビスカスの模様の入った水着の裾でジョッキから飛んだしずくを拭っていた。
「お疲れ様……どうしてマグダレナちゃんは既に出来上がってるんだ?」
じとっと、ソルドイラ・アイルー(土塊怪獣・f19468)を見つめる。土で構成されたバイオモンスターであるソルドイラは本来ビーチにいては、身体が崩れる危険性もあったのだろうが、そんなことお構いなしというフットワークの軽さでもってアロハシャツと水着を身にまとい、水着コンテストの打ち上げに参加していた。
「ソルドイラくんは本当に保護者しないよなー」
「誤解ですよギヨーム君。吾輩と合流する頃にはマグダレナ嬢は既に酔っぱらいでした。それに介抱役なら『リィー』がいるでしょう? それに吾輩は放任主義であります」
そんなふうにギヨームとソルドイラは出来上がりまくったマグダレナの姿から視線をそらす。
ギヨームは合流する前に夜店でいくつか食料を調達してきていたのを思い出して、共に囲むテーブルの上にどさりと置く。
焼き鳥や串カツ、たこ焼きや様々なものを用意していた。きゅうりの一本漬けなんかも用意している当たり、完全に酒のあてにするつおりであったのだろう。
「『リィー』は食べてな。君が一番良くがんばったと思うよおれは。ストッパー役本当にお疲れ様……マグダレナちゃんは水を飲もうねー!!」
マジカルメンタルなマグダレナの暴走特急を止めるのは、いつだって『リィー』のお仕事である。
夏ということもあって、水着コンテストではしゃぐマグダレナを押さえる『リィー』の労力は凄まじいものであったのだろう。
『シュイシュイ! メシアカ……』
そんなギヨームの気遣いにホロリとしちゃうのも無理なからぬことであった。
「あーギヨーム君餌付けしちゃダメなんですよ! なんでわたくしにはくれないんですか?!」
『ニ――!? シェアハピナイナイカ! キョゼツニ!!』
「ずるいですずーるーいでえ……わあい水!」
まさかの全力の拒否にマグダレナがぶーたれる。だが、手渡された水の入ったジョッキにマグダレナは大喜びである。
もうなんでもいいのか。
ソルドイラは放任主義も此処に極まったなと思っていたことだろう。
「そっかー最高に楽しめてよかったなー」
「ところで……え~……マジでやるんですか、空中散歩からの海面ダイブ」
ソルドイラがげんなりした顔をしながら、ギヨーム、マグダレナと共に妖怪花火の打ち上げの場所まで歩いていく。
どうやら三人は空中散歩してから海に飛び込むつもりなのである。良い子は真似してはダメである。約束だ!
ソルドイラは土でできたバイオモンスターである。当然海水にぶつかれば、どろどろになるあれである。
かつて友人に海に突き落とされるという拷問を思い出しては涙していた。
多分友人てギヨームのことである。
彼いわく、それは日頃の行いってやつである。まあ、ギヨームから見たら、エンジョイしすぎて浮かれ笑いしているようにしか見えないわけである。
「そうですよ日頃の行いがよろしくないソルドイラ君」
「あれは笑うしかありませんでした。いや、確かにバッチリ楽しみましたがね!?」
思い出を掘り返して、ソルドイラはノリツッコミしてみせる。
とかなんと行っている間に三人は揃って空に打ち上げられてしまう。
「わしだって汝らを理不尽に振り回す時もあるさ。折角の海だぜ? 楽しみてえんだよ」
「ギヨーム君のめったに無いわがままですよ友達のよしみですよ。わたくしからもお願いしますよお~えっへへへ友達ですってうぇへへ照れますね?」
マグダレナが楽しそうに笑っている。彼女の言う通りである。
それ以前にギヨームは海を好む男である。
ビーチが舞台であるというのならば、素が出ていることにだって気が付かぬほどに浮かれているのだ。
だからこそ、三人が打ち上げられた妖怪花火の模様の上で笑うのだ。ソルドイラをマグダレナと挟むようにして肩を掴む。逃げられないようにというよりは、共に楽しもうというように。
「それに汝が海に解けても、また砂粒一つ残らず見つけるから」
「あの、高くないですかこれ高いですってこれ!? ちょっと!?」
「そうだなー高いなー、アッハハ」
洒落にならん高さであることは言うまでもない。ソルドイラは自分が水に溶けるとかなんとかそういうのを通り越して、これは大丈夫なやつなのかと心配に為るのだが、ガッチリとマグダレナ、ギヨームの両名に脇を固められてはもう抵抗をやめることしかできなかった。
「ほら、ソルドイラくんにマグダレナちゃん。跳ぶぜー!!」
あ、そーれ。
まるで一歩をスキップで踏み出すようにしてギヨームが跳ぶ。マグダレナも跳ぶ。
「ふへへえ、来年もこうしてまた遊びましょうね”えああああ!??」
マグダレナの悲鳴なのか叫びなのか、テンション上がりすぎた奇声なのかもわからない声と共にソルドイラは叫ぶ。
「ワハ。ワハハハアーッ!! もうどうにでもなれ~~
!!!!」
やけくそであった。
けれど、どこか吹っ切れたように笑う声は三人とも同じものであったことだろう。
友と過ごす一時。
それは何物にも代えがたい思い出となる。たとえ、砂の一粒であっても逃すこと無く見つけ出すと行ってくれる友がいる。
また来年もと願ってくれる友がいる。
そして、そんな彼等と共に在りたいと願い友がいる。
三者の願いはきっと、夏の日の思い出を思い返す度に、また蘇る。これからどんな困難が待ち受けていたのだとしても、その思い出はひとかけらとて、一粒として失われることはないのだ――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
サージェ・ライト
お呼びじゃなくても参じます!
ナイアルテさんとデートが出来ると聞いて!!
さぁ私と波間できゃっきゃうふふぎにゃぁぁぁ?!(シリカにひっかかれました
すみません
デートできるとあまりの喜びに暴走してました
変態じゃないですクノイチです
こうやってゆっくりお話しするのって初めてかもーですね
えへへ、とっても嬉しいです
いつもシリカともどもお世話になっています(深々
ですが…この海辺で水着姿の私たちが出会ってしまったのなら
もうお話しより波間で遊ぶしかないのでは!?
というわけでナイアルテさんいきますよー♪(水をかける
今日はお仕事忘れて遊びましょうー
具体的には白波の間でナイアルテさんの大きな何かを揺らすといいと思います!
カクリヨファンタズムのビーチは打ち上げられる妖怪花火で色とりどりの輝きに彩られていた。
本来の花火であれば、火薬が織りなす光の調和は夜空に溶けて消えて行く。
けれど、妖怪花火は違う。
その花火が描いた模様は夜空に残り、その上を歩く空中散歩すら可能にするのだ。それはとても幻想的であり、非現実的な光景であったことだろう。
そんな妖怪花火が打ち上がるビーチの元にサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は水着コンテストを終えた古のスクール水着のような姿で現れる。
いつも以上に勢いがあるのは気のせいだろうか。
「お呼びじゃなくても参じます!」
気合がいつもと違う。
白猫又のシリカの爪がにゅっと伸びて、ばりぃってなるのも無理なからぬことであった。いつもこれくらいのテンションで戦いに臨めばいいのに、というか、そういうわけでもないようで。
「ナイアルテさんとデートが出来ると聞いて! さぁ私と波間できゃっきゃうふふぎにゃぁぁぁ?!」
ばりぃってされた。
さもありなん。既定路線と言うか予定調和というか。
ナイアルテは割りと本気で戸惑っていたが、ばりぃってされているのがいつものことのサージェは即座に復活して彼女の前にシュタッとクノイチっぽいムーヴで立ち上がるのだ。
「すみません。デートできるとあまりの喜びに暴走していました。変態じゃないですクノイチです」
その自己紹介など必要ないくらいにナイアルテはサージェのことを知っていたが、何故今になってそう名乗られるのだろうということばかりに気が行っていたし、ばりぃって頭からされているのに頓着しないサージェの胆力にも感服するばかりであった。
「え、あ、その、あっはい」
もうそれを言うのが精一杯であったし、こうして会いに来てくれたことは喜ばしいことであった。
そもそも彼女との接点はグリモアベースを介してのみである。
こういう機会を設けてくれるのはナイアルテにとっても有り難いことであった。
「その、お話でも……? 傷の手当もありますし」
そんなふうにサージェはナイアルテから傷(?)の手当を受けながら話をする。
「こうやってゆっくりお話するっての初めてかもーですね。えへへ、とっても嬉しいです。いつもシリカ共々お世話になっています」
深々とお辞儀をされてナイアルテは戸惑うようであった。
「そんな。こちらこそいつも事件に駆け付けてくださってありがとうございます。とても助かっています。はい、これで終わりです」
手当を終えてナイアルテは微笑む。
その手を引いてサージェは海の波間へと誘う。せっかく水着の二人がいるのだ。
ならば、なんとする。
そう、サージェがさっきも言っていた通り、波間できゃっきゃうふふである。
「というわけでナイアルテさんいきますよー♪」
手で掬った海水をナイアルテへと投げかけるサージェ。
夜の海水は冷たくて、昼間のうだるような暑さを忘れさせてくれる。濡れた肌に髪が張り付き、ナイアルテもようやく得心が行ったのか、微笑む。
「はいっ、えいっ! えいっ!」
子供のように笑顔に成りながら二人は海水を掛け合う。
今日ばかりは猟兵としての仕事を忘れてもいいだろう。
サージェはそんなふうに思っていた。
仕事も大切だけれど、息抜きも必要なことだ。張り詰めていては、いつか糸が切れるようにして疲れてしまうかもしれない。
ならばこそ、こうやって張り詰めた糸をほぐすことだって必要なのだ。サージェは水を掛け合いながら、紺色の水着を濡らし、そしてナイアルテの胸元めがけて海水を懸ける。
忍法水鉄砲である。いや絶対違うなそれ。
「眼福眼福……じゃない、きゃっきゃうふふ楽しいですね!」
なんて何がとは言わないがサージェは揺れる大きな何かをでへっとした笑みで見つめる。いや、自前の立派なのがある気がするけど、これは天の声的なあれなのであしからず。悪いのはサージェじゃない。天の声である。
そんなふうに二人の猟兵は波間ではしゃぎ、共に濡れ鼠になるまでカクリヨビーチを堪能するのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
最近は色々走り回っていたし
のんびり過ごすとしようかな
水着に着替えてビーチに行くとしようか
私も一緒に行きますの
新調した水着如何ですの?
適当に褒めておこうか
可愛く無い訳ではないし
晶もとっても可愛いですの
このまま時を停めて飾っておきたいくらいですの
実行される前に出かけようか
ビーチでのんびりかき氷でも食べながら
花火を眺めているよ
ナイアルテさんを見かけたら声をかけてみようか
良かったら一緒に観てみない?
色んな花火が上がってるけど
やっぱり菊型のが綺麗かなぁ
近くでみると凄い迫力だね
ナイアルテさんはどれか気に入ったのある?
屋台で食べ物買ってきましたの
ナイアルテさんも如何ですの?
まあ、たまにはこういうのも良いかな
「最近は色々走り回っていたし、のんびり過ごすことにしようかな……」
佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)はカクリヨビーチで、此処連日続くオブリビオンによる事件の解決に奔走していたことを思い返し、息を吐き出す。
水着に着替えれば、ビーチは夜風でもって迎えてくれる。
昼間の照りつける太陽とは裏腹に、夜は涼しく過ごしやすい。水着という薄着であっても、大丈夫なくらいだ。
それに夜空に打ち上がる妖怪花火の輝きも眩しい。
砂浜のあちこちには妖怪や猟兵たちが営む夜店が並び立っているし、そこかしこから美味しそうな臭いが漂ってくる。
これはもうビーチを楽しむ以外の選択肢などないように思えたのだ。
「私も一緒に行きますの」
そういって新たに新調した黒い水着を披露するのは邪神の分霊であった。彼女はその場でくるりと一回転してみせて、晶のコメントを待っている。
「あーはいはい。可愛くないわけではないよ。可愛い可愛い」
「おざなりで適当ですの!」
なんてやり取りがあったかもしれないし、邪神の分霊はいつもどおりである。いつもどおりとは、晶の水着姿を見て、このまま時を停めて飾っておきたいという欲求ただ漏れ状態という意味である。
そんな彼女は、欲求を実行に移される前にビーチへと繰り出す。
夜店でかき氷を買い、花火を眺める。穏やかな時間だ。少し前までカクリヨファンタズムでは大きな戦いがあった。
俗に戦争と呼ばれる世界の破滅を防ぐ戦いであったが、その余韻を感じさせないのがカクリヨファンタズムらしいところであると彼女は思っただろう。
そうしていると、他の猟兵と遊んで濡れ鼠になったナイアルテの姿を見かける。グリモアベースでよく予知した事件を知らせている猟兵だ。
「あ、晶さん。こんばんは。楽しんで居られるようですね」
よかった、とナイアルテが微笑む。
「よかったら一緒に花火観てっみない?」
「ええ、私でよろしければ喜んで。妖怪花火、すごいですね」
そうやって二人で夜空を見上げる。色とりどりの閃光が夜空に舞い上がっては、模様を刻んでいく。
普通の花火と違うことは、その模様がいつまでも夜空に残っていることだろう。
しかも、その模様の上をあるくことだってできる代物だ。カクリヨファンタズムがいくら出鱈目な世界であったとしても、こんなことまでできるのは凄まじいというほか無いだろう。
「やっぱり菊型のが綺麗だなぁ。近くで見るとすごい迫力だね」
「はい、音もすごいですね。身体の芯に響くような……これもまた花火の醍醐味と言えるのではないでしょうか」
「ナイアルテさんはどれか気に入ったのはある?」
「私は……そうですね、やはり椰子型のものでしょうか。光が鮮烈で、輝きが横に伸びていく様が美しいですね」
大輪の華を咲かせる妖怪花火を二人は見上げながら、互いに気に入った形を告げ合う。どちらも捨てがたいし、どちらも良いものだ。
そうしていると邪神の分霊が戻ってくる。
手には夜店で買ってきたであろう多くの食べ物。
「あら、ナイアルテさんも如何ですの?」
そういって、夜店で買ってきたりんご飴やら鯛焼きやら焼きそばやら……本当にもうどれだけ買ってきたのかと思うほどの量を抱えている邪神の分霊。
こんなにどうやって食べるのだと思わないでもなかったが、彼女の笑顔を観ていたら、茶化すのも憚られる。
それにこんな時は共に楽しんだほうがいい。それを晶はわかっているからこそ、邪神の分霊から受け取ったりんご飴をナイアルテ、邪神の分霊と共に食べながら夜空を見上げる。
そこには時を止めたく為ると言う邪神の分霊の言葉の一端を理解することができるほどの鮮烈な花火の輝きが在った。
「まあ、たまにはこういうのも良いかな」
晶はそんなふうに呟き、今日という夏の日の思い出を心に留める。
決して永遠ではないけれど。
けれども、己の心の中にあるかぎり、思い出は色褪せることなく、きっと生き続けるだろう――。
大成功
🔵🔵🔵
リオン・ゲーベンアイン
あー、水着コンテスト楽しかったー
と言うわけでわたしはトロピカルジュースを飲みながらビーチチェアに座って花火を見るよ
このジュース、A&Wのわたしの領地の直属の薬師に頼んで調合してもらったんだ
あ、妖怪達も飲みたいならまだまだあるから飲んで大丈夫だよー
飲み終わったら準備運動をして海で泳ぐよ
泳ぐのは昔から弓の次に得意で、川を潜ったりして遊んでいた時お母さんに良くヤマメを持っていったりしたなぁ…
そう言ってUCを用いて眼を強化し、海の中を鑑賞するよ
あ、カサゴ見っけ。そう言って取り出した弓から矢を放って魚を仕留めていき、海から上がったあとバーベキューにして皆で食べていくよ
胸元に蝶の装飾を着けた水着でリオン・ゲーベンアイン(四大副王北方担当『神弓侯』・f23867)はカクリヨビーチの砂浜を歩く。
二日間に渡って行われた水着コンテスト。
それは彼女にとって楽しい催しであったことだろう。昼間は暑く、夜は涼しい。夏の気候としては最適な日に水着コンテストが行われたものだから、彼女は楽しい思い出とともに、今日という日を締めくくろうとしていた。
「あー、水着コンテスト楽しかったー」
手にしたトロピカルジュースと共にビーチチェアに座って夜空に咲く妖怪花火の模様を見つめる。
色とりどりの閃光が夜空を染めあげ、そして模様が消えること無く残っている。
あの模様の上を歩くことだって可能であるし、なんなら空中散歩だってできるのだという。
改めて、このビーチを一瞬で作り上げた新し親分『バズリトレンディ』と妖怪花火を用意した妖怪親分たちの力の凄まじさを実感するばかりであった。
ちゅうちゅうとストローから吸い上げられていくトロピカルジュースは、アックス&ウィザーズ世界の彼女の領地の直属の薬師に頼んで調合してもらったものである。
如何なる効用があるのかは不明であるが、猟兵が珍しいものを飲んでいれば、気になるのが妖怪たちというものである。
物欲しげな視線を感じてリオンは微笑む。
「飲みたいなら、まだまだあるから飲んで大丈夫だよ。こっちにおいでおいで」
そんなふうに手招きしてリオンは妖怪たちにジュースを振る舞っていく。飲み終わったグラスをビーチチェアに備えられたテーブルに置くと軽く身体を動かす。
何をするのかと妖怪たちが訝しんでいたら、リオンは微笑んで走り出す。
そう、景色を楽しんだのなら次は海で泳ぐのだ。夜の海であれ、彼女のユーベルコードが輝くのであれば、何の問題もないだろう。
海嘯ならざぬ唯一つの魔眼の主(ストライク・ザ・オルキヌス)である。
魔眼が輝く限り夜の海であっても、彼女に見通せぬことなどない。
それに彼女は昔から弓の次に泳ぐことが得意であった。
川に潜ったりして遊んで居た時、母親にヤマメを持っていったりした思い出が彼女の脳裏に浮かぶ。
「あ、カサゴみっけ」
水中であろうと彼女の弓は衰えることはない。
まるで銛を放つように水中で放って仕留めたカサゴを手に海に上がってくる。大漁である。
領主に成ったからと行って、自給自足の生活を忘れたわけではない。
トロピカルジュースを飲んで、いい感じに出来上がっている妖怪たちと共にリオンはバーベキューの準備を進める。
「よかったら、みんなも食べていってよ。どうせ一人では食べきれないだろうし」
美味しいものは、みんなで味わった方がいい。リオンは、妖怪たちと獲ってきた魚を串に刺し、火をおこして遠火で焼いていく。
こうすることで皮はぱりっと中はふっくらとした身を味わうことができる。
「素揚げにしてもいいかもしれないけれどね。ほら、焼けたよ」
どうぞ、とリオンはほほえみながら妖怪たちとバーベキューに興じていく。
夜空に妖怪花火が打ち上がり、リオンや妖怪たちを照らしていく。その光景はきっと彼女の治める領地と同様のものであったことだろう。
楽しげに、朗らかに。
笑みが溢れる光景こそが、他の何物にも代えがたいものである。
そんな夏の日の思い出をリオンは抱えて、これからも生きていくだろう。
あの日、笑いあった笑顔を忘れない。それこそが猟兵として生きる活力になるのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
ジャム・ジアム
各所改変OK
ジアムは
白黒フリルのセパレート水着
海・だーーっ!!
人のいない海域をサーチして
空から『疾影』に肩に乗ったままどっぽーん!
ひんやり、焼けた肌が気持ちいい
親分ありがとう、カクリヨビーチ最高!
浮き上がった疾影の頭に何か耳がついてるけど
これはバズルトレンディ親分リスペクトだから。だから!!
念動力で固定してるわ
『鼓腹』の皆と平泳ぎの疾影で帰還
浜で焼きとうもろこしを頂いて
ナイアルテさんを見かけたら海でとれた貝殻をお礼に
いつもありがとう、今日はお休みね
え、花火をやるの?……妖怪花火は空でも?
疾影の掌の上、花火を眺めるわ
あれ、動物みたいな形
山本親分かしら、竜神親分?
こんな夏ならずっと続けばいいのに
白黒フリルのセパレートの水着に身を包んだジャム・ジアム(はりの子・f26053)はカクリヨファンタズムに生まれたカクリヨビーチの誰も居ない海域を凶々しい大きな翼を持った朱のサイキックキャバリア『疾影』と共に飛んでいた。
彼女の髪が、フリルが風に揺れながら、夜風の冷たさを実感する。昼間のうだるような暑さを忘れるようにジアムは『疾影』と共に笑いながら、海水へと飛び込むのだ。
「海・だ――っ!!」
敢えて人の居ない海域を選んだのはこのためであった。
凄まじい水柱をあげて、『疾影』とジアムは海に飛び込む。ひんやりとした海水が日に焼けた肌に心地よい。
これだけのビーチを一瞬で作り出してしまう新し親分『バズリトレンディ』の力は凄まじいものである。
そんな彼女に感謝しながら、カクリヨビーチ最高! とジアムは珍しく大きな声をあげながらはしゃいでいた。
ゆっくりと『疾影』が海中より浮かび上がってくる。
その機体の頭部にはなぜだかパンダ耳がついているのは何故か。それはジアムが『バズリトレンディ』をリスペクトしているからだ。
あの破天荒極まりない『バズリトレンディ』をリスペクトとしているのは、彼女の天真爛漫さもあるのだろう。
いるだけで周囲を巻き込んでいく強烈なキャラクター。
流行り物に飛びつくけれど、それを一時も忘れまいとしている心。
そのどれもがジアムのリスペクトを掴んで離さないのだ。だから、『疾影』の頭部には、『バズリトレンディ』を模したパンダ耳が燦然と輝くのだ。
「『疾影』、せっかくだから潜ってみましょう。きっと何か素敵なものがあるかもいしれないわ。それに――お願い。きて、おいで、あなたたち!」
鼓腹(ヘイワエノ・タヌキバヤシ)の狸たちが、ぽんぽことユーベルコードの光に導かれて海の中に飛び込んでいく。
せっかくならみんなのほうが楽しいはずだとジアムは笑いながら、ビーチへと泳ぐ。
ときには潜って海底を見て回ったり。
狸たちと戯れるようにして水を掛け合ったり。
また競争するみたいに『疾影』の平泳ぎとジアムの犬かきのどっちが速いのかと泳いだり。
最期は疲れ切ってくたくたになってしまうが、『疾影』が平泳ぎしている背中に乗ってビーチへと戻っていくのだ。
「ふぅ……楽しかったわ。あ、狸さんたち、なあに?」
ぽんぽこと狸たちがジアムの手をくいくい引く。
何事かと思えば、りんご飴を手にしたナイアルテが花火を見上げながら、こちらに歩いてきている。
あ、とジアムは思い立って海中を探検した時に見つけた貝殻を手にして彼女へと小走りで駆け寄っていく。
「ジアムさん。楽しんで居られますか?」
微笑む彼女はりんご飴に夢中であったことをさとられまいと、少し顔を赤くしながらジアムに問いかける。
ええ、とっても! と言外に伝えるようにジアムの笑顔を見た彼女もまた微笑みを強くしてしまう。
笑顔はいつだって人に伝播するものだ。
「いつもありがとう、今日はおやすみね。よかったらこれを」
そう言って手渡してくれる貝殻にナイアルテは、頬を綻ばせるようにして受け取る。思い出の貝殻。お礼を伝えるべきは自分なのに。
けれど、ジアムの優しい心が染み入るようにナイアルテは言うのだ。
「ありがとうございます。大切にさせていただきますね。よろしかったら、まだ花火があるので、見て行ってくださいね」
「え、花火をやるの?」
それに妖怪花火は普通の花火とは違う。空でも見ることが出来るのだ。
そんなふうにナイアルテとの会話を受けるようにして夜空に花火が打ち上がる。
ジアムはもっと近くで見たいと『疾影』の掌の上に立って、花火を見上げる。ビーチよりも高い場所で。けれど、他の人々の視界を遮ることのないようにとキラキラした瞳で見上げるのだ。
「あれ、動物みたいな形。山本親分かしら、竜神親分?」
花火は形を変える。
見る者の思いを乗せるようにして、キラキラと輝きを放つのだ。
来年もまた同じように夏が巡ってくるだろうか。
それは誰にもわからないことであるけれど、ジアムは微笑む。その微笑みを思い出す度に彼女は今日抱いた思いを胸に溢れさせるだろう。
「こんな夏ならずっと続けばいいのに」
それが儚い願いであることは知っている。
けれど、また同じ夏が、いや、もっと良い夏が巡ってくるかもしれない。そんなドキドキとワクワクを胸に抱えて、ジアムは目の前に広がる花火の光景をきっと忘れないだろう――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
花火…祖霊を送り出す『送り火』等の宗教儀式の意味合いも含まれておりましたね
ごく最近、創造主と対峙し、過去を全て取り戻した機械騎士
(キャラシート→もっと詳しくに詳細記入)
主兵装となった電脳禁忌剣を掲げるように構え花火見つめ
銀河帝国の悪用恐れた故の機能制限なのでしょうね
ただ私だけが死地に追い込まれるだけでは、その力使わせぬとは貴女らしい
(通常は簡易電脳魔術使える頑丈な剣として運用)
ですが妖怪達を楽しませ、お二人に花を贈ることは許して頂けますか
UCで光の斬撃
斬撃軌道上の役目終え消えゆく妖怪花火を素粒子レベルで再構築
色とりどりの花びらに変えて最後まで観客の目を楽しませ
騎士の誓い乗せ
夜空に葬送の花を
その機械騎士が裡に秘めたる思いは如何なるものであったことだろうか。
彼の矛盾を抱えるは機械騎士としては本来許容できるものではなかったことだろう。皮肉なことである。
矛盾をはらんだまま、存在することができぬと定義された機械騎士は、本来滅びるだけの存在であったことだろう。
創造主を護るために生み出され、殺すことを命ぜられる。
壊れるはずだった。
矛盾を抱えた電脳は焼き切れ、機体はそのまま骸の海へと至るはずだった。
けれど、トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は、きっと生まれたのだ。矛盾を持ちながら、その核となった騎士道物語を是とする。
それはきっと怪物を生み出すような肯定であったのだろう。
そうはならなかったのだ。
怪物でもなんでもない。御伽噺を愛した誰かのために己の剣を振るう騎士だけが其処には在ったのだ。
「花火……祖霊を送り出す『送り火』等の宗教儀式の意味合いも含まれておりましたね」
電脳のデータベースから解凍したデータをトリテレイアはなぞる。
その行為に意味はないだろう。けれど、彼が掲げる剣は妖怪花火の輝きを受けて、きらめいていた。
電脳禁忌剣。
それは銀河帝国の悪用を恐れた彼の創造主が作り上げたもの。
通常時は簡易電脳魔術が使える頑丈な剣として運用しているが、トリテレイアが死地に追いやられた時だけ仕様が可能となる機能を有している。
それをトリテレイアは『貴女らしい』と思った。
機能制限をする意味などそれ以外ない。
「ですが」
もはや、此処には居ない創造主にトリテレイアは告げる。
言葉が届いているかなんて関係などない。無意味なことを行う理由をトリテレイアはもう知っている。
それが矛盾だとしても、彼はもう矛盾を抱えることの意味を理解している。
だからこそ、掲げた電脳禁忌剣を掲げる。
「妖怪たちを楽しませ、お二人に花を贈ることは許して頂けますか」
律儀だと笑うかもしれない。
そんなことは気にしなくたっていいのだと、心のままに赴けばいいと言われるかもしれない。
これはけじめだ。己の生き方だ。
変えようのない。理想の騎士を模した生き方。戦機だろうと関係ない。そこにあるのは、彼女らが愛したであろう理想の騎士。
戦い続けると決めたのだ。
戦機であるからではない。己が己であるために戦うと彼は決めたのだ。
「貴女が愛した事象を此処に」
輝くユーベルコードが銀河帝国未配備A式形相操作兵装(アレクシアウェポン・パーティカルドミネーション)を展開する。
いや、その名はもうふさわしくはないだろう。
されど、その名を告げることはない。その名はトリテレイアの炉心に宿る騎士道精神だけが知っていればいい。
「参ります」
スラスターと共に噴出し、役目を終えるであろう妖怪花火の軌跡を電脳禁忌剣の刃が素粒子まで分解され、更に再構築される。
その剣の剣閃は、何かを傷つけるためではなく。
消えゆく花火の輝きを新たなる花弁へと変えて、カクリヨビーチへと降り注がせる。
猟兵も、妖怪たちも、皆一様に空を見上げていた。
それをトリテレイアは見下ろす。
己の騎士の誓いは此処にある。
いつかの誰かではない。
あの日の彼女と、彼。
それを記録とは呼ぶまい。今日という日を大切に思う猟兵や妖怪たちがいるように、あの日よりトリテレイアは己が得た経験やデータを、記録とは呼ばないだろう。
己はウォーマシン。
人ならざる身なれど、騎士である。
ならば、この光景を見上げる者たちの瞳にあるものを、きっと『思い出』と呼ぶのだろう。
夜空に葬送の花を贈ったことを知るのは己だけである。
彼等の思い出と己の『思い出』は違うもの。その矛盾を許容し、そして同時に愛しながらトリテレイアは、手向けの花と剣の輝きでもって己の道程を、これからも歩んでいくのだ。
愛し、愛された御伽噺の騎士のように――。
大成功
🔵🔵🔵