猟書家討伐ミッション[プロジェクトディアブロ2.0]
●「白」を追い求めた者たち
在りし日の銀河帝国で生み出された最強のウォーマシン、「白騎士ディアブロ」。この白騎士の未来予測演算の強力さを高く評価した帝国軍の研究機関では、量産化や精神的後継機の開発プロジェクトがいくつも動いていた。彼らの合言葉は、「第二の白騎士を作る」こと。白騎士の未来予測演算能力に加えて、さらなる強化プラン──機動力や火力の向上、コストダウンやパーツの規格化による量産態勢の確立など──それらが綺羅星の如く現れては消えていった。
PROJECT DIABLO 2.0──プロジェクト群はいつしかそんな呼び名をつけられ、研究機関の技術者や研究者は競い合うように白騎士を受け継ぎ、白騎士を超えるウォーマシンの開発に没頭した。しかし、結局の所、真に白騎士を超えるものはついぞ完成には至らなかったようだ。突き詰めていけば白騎士ディアブロこそが全てにおいて完璧なバランスを保った機体であり、それ以上のものを開発することはついぞ叶わなかったのである。
それでも、いくつかの研究成果は残せた。優れた偏差射撃能力や短期間の未来予測を備えたウォーマシンたちは、解放軍との戦いに投入され、一定の戦果を上げたのである。もっとも、白騎士ディアブロと比較すれば格は落ちるものであり、最終的には銀河帝国と運命を共にしたのだが……。
その白騎士を追い求めた者たちの夢の跡は、スペースシップワールドのあちこちに散らばっていた。あるものは解放軍との激戦が行われた宙域に放置され、またあるものは戦後現れた調査船団やジャンク屋の手によって回収された。回収されたものの中には長い時を経て自我に目覚め、帝国時代の記憶を忘れて第二の生を謳歌しているものもいる。
だが、つい最近になって、PROJECT DIABLO 2.0の残滓を集めて回る者が現れた。それは真なる帝国の復活を掲げ、「方舟」と呼ばれる宇宙船を駆り、様々な宙域を巡って白騎士超越の夢の跡を回収して去っていく。奇妙なことに、その「方舟」はどこから来たのか、そしてどこへ行くのか、誰も説明が出来なかった。
どの船団にも属さぬ謎の「方舟」。その目的を知るものはいなかった──グリモアの輝きによって照らし出されるまでは。
●白騎士継承を阻止せよ
「まぁ、お察しのとおり、この『方舟』というのが猟書家のものなんですよね」
ジェイミィ・ブラッディバック(脱サラの傭兵/開発コード[Michael]・f29697)は語り終えると、肩をすくめてみせた。
「スペースシップワールドに現れた猟書家の一人──『葬列の長サイファー』は帝国継承軍の誕生のため、様々な宙域の戦場で生命を落とした者達を丸ごとオブリビオンにしてしまおうという目的の下、あちこちを巡っては廃棄された宇宙船や遺棄された兵器を回収しているんです」
ブルーアルカディア出身の猟兵たちもちらほらと姿を現すようになって久しいグリモアベースで、ジェイミィは猟兵たちを集めてブリーフィングを行っていた。とは言え、今回の猟書家に関する予知はかなり手こずったという。
「いやぁ皆さんに依頼を出すまでが大変でしたよ。最初は無節操にジャンク漁りをしていたので、一般のジャンク屋と区別がつかない上、グリモアをもってしても出現予想宙域が絞れなかったんですよねぇ。ここ数日ほどは獲物の選り好みを始めたようでして、グリモアの予知も具体性を帯びまして、ようやく尻尾を掴めたというわけです」
その言葉を裏付けるかのように、ジェイミィはどこかくたびれた様子であった。肉体的な疲労こそウォーマシンにとっては存在しないも同然だが、そこはやはり人間同様の感性や自意識を持つ存在であるためか、精神的な疲労は感じているようだ。
「ま、そんなわけでこのサイファーが操る方舟の次の出現予測ポイントですが、宙域ナンバーAC-210718の小惑星帯に出現することがわかりました。この辺りは解放軍と帝国軍の大規模な戦いが繰り広げられた宙域でして、280番都市艦の独立行政法人『旧銀河帝国兵器群回収調査研究所』、略称ISRLがサルベージ船を出して、兵器の残骸の回収調査を行っています」
280番都市艦はISRLや民間企業による旧銀河帝国軍兵器の技術調査や復元事業が盛んであるほか、旧帝国軍のウォーマシンの保護も行っている。その性質上、他の都市艦と比べてウォーマシンが人口に占める割合は多い。
「で、今回ISRLの調査宙域に件の『方舟』が出現するため、ISRL側にこれを伝えましてね。現地は小惑星やデブリが多いため、宙域にはISRL所属のサルベージ船で向かわないと厳しいとのことでした。ということで、皆さんにはISRLのサルベージ船に乗って現地に向かい、『方舟』及びその指揮を執る猟書家の無力化を行っていただくことになります」
ISRLの現場責任者はレオハルト・ベルニッツという男性人格のウォーマシンである。280番都市艦の大学で教授として教鞭を執る傍ら、フィールドワークの一環でISRLの調査活動に参加しているとのことだった。学者肌の人物で、研究のことになると周りが見えなくなる傾向にあるが基本的には穏やかな性格である。
「『方舟』には、サイファーの他に自我のないウォーマシンが集められています。損傷が激しいですが、高い機動力と高性能ソナーの情報を利用した未来予測演算能力を持っており、かなりの脅威です。宙域に存在する稼働停止状態のウォーマシンや古代兵器の回収を行うため、まずはこれを阻止してください」
もちろん、ISRLのサルベージ船を守りながらの戦いとなる。サルベージ船には戦闘能力はないが、キャバリアならば格納できるスペースがあるため、これらを利用するとよいだろう。また、宇宙空間での戦闘となるため、生身で戦闘を行う場合はISRLから動きやすいボディスーツタイプの宇宙服を借りることができる。
「サイファー配下のウォーマシンを撃退した後は、『方舟』の内部に突入、サイファーの撃破を行います。『方舟』内部には旧帝国時代の古代兵器が集められており、うまく活用すればサイファーの撃破は容易くなるでしょう。使用方法はベルニッツ教授がご存知ですので、彼と適宜通信しながら戦闘に臨むようにお願いいたします」
また、敵側も古代兵器を扱うことが予想される。弱点なども聞いておけば、有利に戦闘を進められるだろう。
「それと、猟書家の撃破が完了したら、『方舟』とその内部にある古代兵器について、回収をお願いします。ISRLの調査対象ですので。あ、調査が終わっている既知の兵器があれば、持ち帰ることも出来ますが」
持ち帰りの可否についてはISRLの許可を別途貰う必要があるだろう。物によっては持ち帰りの交渉に応じてもらえるとのことである。
「では、皆さんの健闘を祈ります。くれぐれも、ISRLのサルベージ船とベルニッツ教授に被害が及ばないようによろしくお願いしますね。ベルニッツ教授は私の知己でして、個人的にも彼の身が心配ですので……」
最後に再び念を押すと、ジェイミィはISRLのサルベージ船が停泊する280番都市艦へのポータルを開くのだった。
バートレット
どうも、バートレットです。
スペースシップワールドが舞台の猟書家シナリオをお届けします。白騎士の精神的後継機を収集する猟書家を打倒しつつ、ISRLが推し進める旧帝国時代の調査に協力しましょう。
今回のシナリオでは、第1章・第2章を通じてISRLのサルベージ船と協力関係が結ばれることになります。責任者のウォーマシンであるレオハルト・ベルニッツは旧帝国時代の技術に関する研究を行う大学教授です。彼を守りつつ、時には知識を借りながら猟書家勢力との戦いを進めていきましょう。
第1章では、ベルニッツ教授が乗るサルベージ船と共に猟書家の出現が予測された宙域に向かい、集団敵「彷徨うウォーマシン」との戦闘を行います。サルベージ船は武装を持たないため、放置しているとすぐに撃沈されてしまいます。サルベージ船を守るような行動を取ると、プレイングボーナスが入ります。また、サルベージ船にはキャバリアを搭載できるだけのスペースが存在するため、キャバリアを使用したプレイングも認めます。
第2章では、出現した方舟内部に侵入し、猟書家「葬列の長サイファー」と交戦します。「方舟」内部には旧帝国時代の兵器が集められており、サイファーはこれらを利用して戦闘を有利に進めようとします。ベルニッツ教授がこれらの弱点を知っているほか、使用方法も知っているため、ベルニッツ教授に使用方法を聞いた上で旧帝国時代の兵器を自分たちで使うこともOKです。なお、持ち帰りに関しては、ベルニッツ教授に許可を求める旨をプレイングに記載すれば持ち帰りを認めます。どのようなものがあるかは、第2章の断章で描写します。方舟内部はキャバリアが入れるだけの十分なスペースがあるため、第1章に引き続きキャバリアの運用もOKです。ただしその場合、サイファー側もキャバリアに準ずるサイズの兵器を使用することにご注意ください。
各章ごとに断章を執筆した後にプレイングの募集を開始します。募集状況に関してはタグをご確認ください。また、その他諸注意についてはMSページのご確認をお願いいたします。
それでは、皆様のアツいプレイングをお待ちしております!
第1章 集団戦
『彷徨うウォーマシン』
|
POW : 多弾頭型収納ミサイルポッド
レベル分の1秒で【腰元から複数の誘導ミサイル】を発射できる。
SPD : 演算処理
【高性能ソナーによって】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : 近接形態
自身に【強化外骨格】をまとい、高速移動と【スラスター】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
|
●宙域ナンバーAC-210718へ
「スターゲイザー記念産業大学人文学部で教授をしているレオハルト・ベルニッツだ。話はブラッディバック君から聞いているよ。今日はよく来てくれた、猟兵諸君」
四肢を備えた人型ウォーマシンのベルニッツ教授は、頭部のレール式モノアイを輝かせながら集合場所の280番都市艦スペースポートにて猟兵たちを出迎えた。
「さて、これから現地までは私のサルベージ船に乗っていくことになる。現場はデブリや小惑星が多く、それらが特殊な磁気を発していて、ISRLが開発した専用のレーダーと航海システムが無いと遭難してしまうんだ。現地に到着した後も、くれぐれもサルベージ船からは離れないように頼むよ」
防衛手段もないため、サルベージ船から離れることは得策ではないだろう。猟兵たちもそれに頷く。
「では、行こうか。キャバリアや宇宙バイクの類を持ち込むならばこのサルベージ船に積み込んでくれればいい。ペイロードのスペースは十分にあるからね、心配御無用だ。例の『方舟』を接収できれば旧帝国時代の兵器開発史に関する研究は飛躍的に進展するだろう。リスクはあるが、リターンも大きい……そのためなら私の命など惜しくはないさ」
そう言うと、ベルニッツ教授はいの一番にサルベージ船に乗り込む。装備や荷物の積み込みを終えた順に、猟兵たちもあとに続く。全員乗り込んだことを確認して、サルベージ船は宇宙の大海原へと飛び出していった。
1時間もしないうちに、サルベージ船は目的の宙域である宙域ナンバーAC-210718に到達する。
「さて、間もなく宙域だが……む、レーダーに複数の反応があるな。どうやらあちらも帝国時代の遺産の回収作業を行っているようだね」
ベルニッツ教授は先を越されてしまったかな、とやや声色に悔しさを滲ませながら呟く。と、ウォーマシンのうち数機がサルベージ船を補足し、接近してくる。その手には武器が構えられ、銃口はサルベージ船を向いていた。
「どうやら彼らは我々を敵と認定したようだ……すまないが、まずは彼らの排除を頼む! いざこうした局面に立たされると、私にできることが何もないのが悔やまれるな……」
なんとか被弾を避けられるように努力はする、とサルベージ船の操舵に専念するベルニッツ教授を残して、猟兵たちは次々とサルベージ船から出撃していくのだった。
双海・忍
銀色のキャバリアで出撃します。(コクピット内の本人の服装はメイド服)
「そう簡単にサルベージ船を攻撃させませんよ。」「いざとなったら、この機体でサルベージ船をかばいます。」
【WIZ】で攻撃です。
攻撃は、【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【黒薔薇の嵐】を【範囲攻撃】にして、『彷徨うウォーマシン』達を纏めて【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでも、ダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。
●白銀のキャバリア、宇宙を駆ける
「そう簡単にサルベージ船を攻撃はさせませんよ」
真っ先にサルベージ船から飛び出した白銀のキャバリア、シルバースター。その乗り手はメイド服に身を包んだ双海・忍(人間のクロムキャバリア・f04566)だ。
『すまん、よろしく頼む!』
「いざとなったら、この機体でサルベージ船をかばいます。ご心配なく」
サルベージ船のベルニッツ教授と通信を交わすと、まずは挨拶代わりのガトリングキャノンの斉射を敵ウォーマシンに浴びせる。すぐさまウォーマシンたちはシルバースターを脅威と認め、強化外骨格をその身に纏って接近戦を仕掛けるべくスラスターを吹かした。
「残念、それは残像です」
しかし、シルバースターはその卓越した機動力で敵の攻撃をやすやすと回避していく。攻撃を空振りした敵ウォーマシンたちは再集結し、飽和攻撃をかけるべく陣形を組み直し始める。その一瞬の間隙を、忍は見逃すはずもなかった。
「散る黒薔薇に囲まれて眠りなさい」
背中のサイキックウィングが消えたかと思うと、それらは黒薔薇の花びらに変わり、陣形を再構築するウォーマシンたち目掛けて飛んでいく。黒薔薇の花びらは強化外骨格をまとったウォーマシンの装甲をやすやすと貫き、あるものは行動不能状態に、あるものはそのまま機体そのものを四散させ、宙域のデブリの仲間入りを果たしていった。
「少しでも、後続のために数を減らさないとですね」
冷静に戦局を見極めながら、黒薔薇による攻撃を続行する忍は、背後のサルベージ船をちらりと見る。敵が接近しようとしても、オーラ防御を活かして機体ごとぶつかりに行けば止められるだろう。性能差から考えても、こちらに分がある。
後続の猟兵たちとの合流まで、戦線を維持することが自らの役目であると、忍は自らに言い聞かせながら、攻撃の手を休めること無く、シルバースターを駆って宙域内を縦横無尽に駆け巡るのであった。
成功
🔵🔵🔴
アドナ・セファルワイド
銀河帝国か…こういう言い方はこの世界では不謹慎なのだろうが、浪漫があると言わざるを得ない
別の世界とはいえ、一国の皇帝である身としてはな
そう言ってサルベージ船の護衛に30人のオブリビオンマシンに乗り込んだ帝国騎士が殺竜式防御結界を展開し、誘導ミサイルを防いでいく
残りのオブリビオンマシンに乗り込んだ60人の騎士はウォーマシンをそれぞれの殺竜武器で撃破していく
やはり、集団戦の時には帝国騎士を頼るに限る
余はサルベージ船に残ってオブリビオンマシンの侵食を一手に引き受けて帝国騎士に指揮を出していく
しかし未来を操るウォーマシン、白騎士か
余のセファルワイド帝国にもいてもよかろうな、黒騎士ともども
リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【SPD】
※アドリブ等歓迎
『白い傑作機』…や、まさかね?
(ジェイミィさんを思い浮かべ即忘却)
やぁ教授
有人型機動兵器の世界から来た医者だよ♪
趣味の一つが知識欲の充足でね
知見や土産に惹かれたのさ
…早速だけど、船の甲板は使える?
無人機の宙間戦闘となれば、多分動きは早い
で、こっちは見ての通り重量級
無闇に飛び出すより船の防衛を重視したくてね
敵襲察知で愛機に搭乗・出撃
背部コンテナからDA30号【ハルバード】開梱
両手腕の対応火器を組み込み複合ランチャー構築
片膝両手持ちで長銃身を構え…墜ちろっ
補機『アダマンタイト』の出力は姿勢保持と
『ウインド・ミル』各機の防御バリア展開に使用
狙撃命中率と船の防衛を確実に行うよ
●宇宙に舞う鉄騎たち
「『白い傑作機』……や、まさかねぇ?」
リーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)は今回の依頼の予知担当であるグリモア猟兵を思い出す。その身に「白い傑作機」から受け継がれた事象予測AIを宿すウォーマシンにも何かしらの関連があるのだろうか、という思考がよぎりつつ、そんな雑念を振り払うように愛機たるナインス・ラインに向かう。
「医者と聞いていたが、まさかキャバリアを扱うとは」
「そのキャバリア──有人型機動兵器の世界から来たからねぇ。趣味の一つが知識欲の充足でね、知見や土産に惹かれたのさ」
「なるほど、気が合いそうだ。短い間になるが、よろしく頼むよリリー君」
ナインス・ラインの通信越しにベルニッツ教授との会話を交わしながら、リーゼロッテはサルベージ船からナインス・ラインを発進させた。そこへ遅れて合流するのはアドナ・セファルワイド(セファルワイド初代にして最後の皇帝・f33942)配下のオブリビオンマシンだ。ブルーアルカディアにかつて存在した帝国の皇帝であり、現在は飛空艇を自治州として猟兵活動を行っている。
「うわっすごい数。全部で90機だね……」
「全て余の配下の帝国騎士だ。それにしても、銀河帝国か…こういう言い方はこの世界では不謹慎なのだろうが、浪漫があると言わざるを得ない。別の世界とはいえ、一国の皇帝である身としてはな」
この世界にかつて存在し覇を唱えた銀河帝国に思いを馳せるアドナ。しかし、それが猟兵に仇なし世界に害を与えるものである以上、倒さなければならない。
「アドナさん、オフェンス任せちゃっていい? こっち重量級なんだ」
「よかろう、リリー先生。直掩として30機ばかりつけておく」
60機のオブリビオンマシンはたちまち周囲に散らばり、敵ウォーマシンに対して殺竜武器を振るいながら苛烈な攻撃を加えていく。そこでリーゼロッテははたと気がついた。
「あれ、そう言えばアドナさん本人ってどこに」
「余はサルベージ船の中だ。指揮に専念せねばならぬのでな」
「じゃ、余計に守らないとね……教授、船の甲板は使える?」
アドナの位置を把握したリーゼロッテは、続いて教授に確認を取る。
「あぁ、問題ないぞ。ウォーマシンは素早い、スピードに不安がある場合は防衛に専念するのも一つの手……という考えかな?」
「そういうこと。きっちり守るよ!」
リーゼロッテは甲板の使用許可を受けると、ナインス・ラインを着地させる。そして、背部コンテナよりDA30号「ハルバード」を開梱。両手に装備した「ドミナント・バレル」と「スカベンジャー」を組み込み複合ランチャーをその場で構築する。
「さぁて……寄ってきたね、墜ちろっ」
片膝両手持ちで構えられた長銃身から放たれる弾丸は、狙いを過たずに接近してきた敵ウォーマシンを吹き飛ばす。高性能ソナーによる回避も間に合わないほどの弾速だった。加えて、補機「アダマンタイト」の出力を姿勢保持と「ウインド・ミル」各機の防御バリア展開に回すことで、狙撃の命中率と敵の攻撃に対する防御力をそれぞれ向上させる。完全に固定砲台と化した構えだが、それ故に敵ウォーマシンの接近を一切許すことがない。
その一方で、ミサイルを斉射してくるウォーマシンにはアドナの配下が対応する。殺竜式防御結界が展開されることで、ミサイルは一発たりともサルベージ船に届かない。
「やはり、集団戦の時には帝国騎士を頼るに限る」
未来を操る白騎士が、過去を操る黒騎士共々セファルワイド帝国にいれば百人力だったろうに、と在りし日の己の帝国に思いを馳せながら、アドナはオブリビオンマシンの思考侵食を一手に引き受けつつ、騎士たちの指揮を取り続けるのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ミスタリア・ミスタニア
ハッ!キャバリアや宇宙バイク、ウォーマシンが主役みたいな言われ方だが、宙間戦闘の主役はオレら鎧装騎兵だってことを思い出せてやる!
自前の軽装型の鎧装纏ってサルベージ船から出撃だ!
ハハッ!やっぱ鎧装騎兵は宇宙でこそだな!
小惑星やデブリを避けながら高速で動き回って敵を翻弄するぜ!
オレの動きを捉えられるならやってみな!デブリ帯の中を泳ぐように駆けるオレを捉えられるならなっ!
敵のレーダーを振り切るように動き回りながらメガビームランチャーを連続してぶっ放していくぜ!
あぁ当然だが母艦のサルベージ船への注意は欠かさねぇぜ、母艦護ってこその鎧装騎兵だ
ミサイルかウォーマシンがそっちに向かえば迎撃で撃ち落とすぜ!
エドゥアルト・ルーデル
やってみせますぞ!
近づかれる前に全部撃ち落とせば何とでもなる筈だ!
サルベージ船は好きに動くといいでござるよ!拙者は船の上に張り付いて仁王立ちしながら迎撃でござるので
唐突にその場で無駄に洗練された無駄のない無駄な動き!これ?猟書家に反省を促すダンス、一発芸で練習してンでござるよ
そしてキレキレなダンスの合間に視線を向けて【グラビティ】発射!突如起きる爆発でウォーマシンを爆破!
デュフフ…予測が正確であればあるほどこの不規則で予想外の動きに対応できまいて
まあ視線を向けるだけで撃てっからソナーで感知できないだろうし爆発もノータイムで避けようが無いから別になくてもいいんだがちょっとした遊び心でござる
●宙間戦闘の華は渡さない
「ハッ! キャバリアや宇宙バイク、ウォーマシンが主役みたいな言われ方だが、宙間戦闘の主役はオレら鎧装騎兵だってことを思い出せてやる!」
そう意気込んで自前の軽装型の鎧装を纏って出撃するのはミスタリア・ミスタニア(宇宙を駆ける翠の疾風・f06878)。すでに出撃している猟兵のキャバリアにも、敵のウォーマシンにも負けてたまるかとばかりにその機動力を存分に発揮する。
特に、こうしたデブリや小惑星が多い宙域では小回りの効く鎧装騎兵にとっては大活躍ができるフィールドだ。小惑星やデブリを避けながら高速で動き回り、敵を華麗に翻弄してみせるのは鎧装騎兵だからこそ。
「ハハッ! やっぱ鎧装騎兵は宇宙でこそだな! オレの動きを捉えられるならやってみな!」
デブリ帯の中を、まさしく水を得た魚の如く泳ぎ回るように高速移動し、敵のレーダーを振り切るほどのスピードで縦横無尽に駆け巡るミスタリア。その表情は実に生き生きとした笑顔だ。
一方、宇宙服を着てサルベージ船の甲板に仁王立ちするのは歴戦の傭兵、エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)。
「デュッフッフ……やってみせますぞ! 近づかれる前に全部撃ち落とせば何とでもなる筈だ!」
オフェンスはミスタリアが担当している。であるならば、自分は近づいて来そうなやつを片っ端から落とすだけだ。そんな余裕を見せつけるかの如く、突如小刻みに切れ味鋭いサイドステップを繰り返し始める。
「おいオッサン! 突然踊り始めて何するつもりだよ?」
「あ、これ? 猟書家に反省を促すダンス、一発芸で練習してンでござるよ。見よ、この無駄に洗練された無駄のない無駄な動き!」
「結局無駄なんじゃねぇか!」
ミスタリアの指摘にもどこ吹く風とばかりに踊り狂うエドゥアルトだったが、不意に視線を敵ウォーマシンに向けてばっちり指差しポーズを決めれば、敵ウォーマシンは突如として爆散する。
「デュフフ……予測が正確であればあるほどこの不規則で予想外の動きに対応できまいて! ざまぁ見ろポンコツ共!」
「……それ視線向けるだけで良いよな?」
「あ、バレた?」
ミスタリアのツッコミももっともであった。このエドゥアルトの技、サイコフォースはグラビティと呼ばれる謎の力を視線を向けるだけで撃ちこみ、ノータイムで爆発させる技。当然ソナーもまともに機能しないし避けようがない。
「ちょっとした遊び心でござるよぉ! ほーらミスタリア殿、そんなことより見せて欲しいでござる。鎧装騎兵の真骨頂、宙間戦闘の華形の実力を!」
エドゥアルトに発破をかけられ、ミスタリアは改めて気合を入れ直す。
「ったく、オーケーだオッサン! そこで目ン玉ひん剥いてよーく見てやがれ! これが鎧装騎兵の戦い方だ!」
デブリ帯の中を移動しつつ、時折小惑星やデブリを蹴ってさらに動きに不規則性をつけていく。敵ウォーマシンはその複雑な動きに追従しきれず、攻撃を大きく空振りしてしまう。
「おら、どこ見てんだよ! オレはここだァーっ!」
構えられたメガビームランチャーから連続して放たれる対艦ビームが、敵ウォーマシンを次々と貫いていく。爆散したウォーマシンの爆風を背に受けて加速しつつ、次の獲物を探してスラスターの光条を鮮やかに飛んでいくミスタリア。もちろん、母艦たりサルベージ船からつかず離れずの距離をきっちりと維持している。まさに、今のミスタリアの姿こそ、鎧装騎兵ここにありと全身全霊で高らかに叫ぶかのようだった。エドゥアルトもそんな彼女を見て一つ頷く。
「ま、ここはミスタリア殿に華を持たせてやるべきですな。エドゥアルト・ルーデルはクールに援護するでござる」
ミスタリアの討ち漏らしを中心にグラビティで爆散させるエドゥアルトは、流星の如く鮮烈なミスタリアの戦いぶりを笑みを浮かべて見守るのであった。
こうして、猟兵たちの活躍により、敵ウォーマシンは宙域から駆逐される。しかし、これが呼び水かのように、真なる脅威、『方舟』が宙域へと迫ってきていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『葬列の長サイファー』
|
POW : 存分に暴れることだ。死の獣よ
【外套に潜む異形が巨大な獣】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : 生者よ、恐れたまえよ
【葬列の瞳】に覚醒して【ヴァンパイア】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : これぞ人の淀み。生者よ、贄となれ
自身が装備する【死者の鳥籠】から【召喚した死者の群れ】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【毒】の状態異常を与える。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
●「方舟」の主
「空間上に歪みを検知した。座標を伝える……ワープアウト時の時空震に巻き込まれるぞ、座標周辺にいる猟兵は一旦退避してくれ! いよいよおいでになられたようだ!」
ベルニッツ教授がヒトと同様の五本指のマニピュレータでコンソールを操作しながら、猟兵たちに通信を出す。猟兵の戦力が一斉に退避したと同時に、巨大な白銀の船体を持つ宇宙船が宙域にワープアウトしてきた。情報にあった「方舟」である。
「これが方舟か……む、後部ハッチが開いたな。そこから侵入できるようだ! 敵が増援を出撃させる前に内部に入るんだ!」
猟兵たちはベルニッツ教授の指示に従い、「方舟」への侵入を果たした。内部には旧帝国時代に開発・運用された兵器が雑然と置かれていたが、その中にいくつかのウォーマシンが休眠状態で置かれている。彼らはオブリビオンではなく、正真正銘旧帝国時代からの生き残りであるようだ。
「どうやら彼らはPROJECT DIABLO 2.0の産物のようだ。なんとかこの方舟から解放してやりたいところだな……」
ウォーマシン以外の兵器は、強力なフォースセイバーや高出力のビームキャノン、敵の未来位置すらも把握できるレーダーなどが存在した。ただ、これらはISRLですでに分析が終わっているため、ISRLとしては回収は必須ではないという。
「これらの兵器は敵に使われる可能性もある。先んじて確保すればこちらで使うことも可能だ。持ち帰りも基本的には認めよう。しかし万が一、敵に確保されてしまった場合は対処法を説明する。こちらからの交信は途切れさせないようにして欲しい」
教授は加えて、こう依頼する。
「『方舟』そのものについての破壊は避けて欲しい。ISRLで詳細な調査を行う必要があるだろうからな。何しろこれ自体がロストテクノロジーの塊だ」
教授からの通信を聞きながら、猟兵たちは奥へ奥へと進んでいく。やがて最奥部に至った時、「方舟」の主たる猟書家・「葬列の長サイファー」がついに姿を現す。
「現れたか、猟兵。まずはようこそと、歓待すべきなのだろうな」
余裕綽々といった表情のサイファーは、この空間自体を指し示すように手を広げる。
「この場はかつての帝国の夢の跡。白騎士ディアブロを越えようと願った者たちの意思が眠る墓場──だが、このまま眠らせるには惜しい。だからこそ、この私が有効活用しようというのだよ。来る帝国継承軍の大いなる進撃のために!」
だからこそ、この方舟をみすみす猟兵の手に渡してはならない、と告げる。
「邪魔だてするのであれば容赦はしない。速やかにお引取り願うか……それとも、この『方舟』に眠る力をその身で体感するか?」
サイファーは戦闘態勢に入る。旧帝国の夢の跡が集う場所で、猟兵と猟書家の決戦が幕を開けた。
東雲・深耶
成程な
羅針盤戦争で手に入れた私の白先もPROJECT DIABLO 2.0の産物が転移した結果なのかもしれん……
だが、少なくともだな……
瞬間、『存分に暴れることだ。死の獣よ』を発動した『未来』が『斬滅』する
何事にも、相性と適合性というものが存在する
私の『白先』は斬滅という点において白騎士と同格か、それに準ずる――あるいは、原点を凌駕している能力を有する!
そして、私は黒騎士の力宿す『黒後』も有するのだ
『白先』と『黒後』の根源たる遺産、これらをオブリビオンの手に渡すわけにはいかん
そう言いながら未来と過去そのものを斬滅する黒白の世界最新の妖刀二振りが猟書家の『攻撃』という因果その物を断ち切っていく
アドナ・セファルワイド
フム、これが白騎士の凌駕を求めた果ての産物か……
確かに総合的に凌駕するのは難しそうだな
だが、ある一点の性能を突き詰める事、それによってその性能においてかのウォーマシンを凌駕するのは可能だろう
そう言って妾が手にするのは、結晶化したサイキックエナジーを永久機関とするD.D――銀河皇帝が有する装置を模した神聖詠唱装置
どうやら、誰も起動できないとの事で失敗作となったようだが、余が扱えば……
瞬間、莫大な未来に干渉するサイキックエナジーが迸る
さて、真なる主と出会えて嬉しかろう
そうして猟書家と交戦
未来に既に詠唱完了した術式により、獣化UCによって強化した猟書家の体を未来が確定されし過去の刃で切り刻んでいく
風雷堂・顕吉
アドリブ連携可
SPD判定。サイファーの【生者よ、恐れたまえよ】に対し、ユーベルコード【吸血鬼封じ】
吸血鬼殺しのパイルバンカーで白木の杭を撃つ。【鎧無視攻撃】の【貫通攻撃】だ。数発のうち、一発でも当たればいい。
その上で、この場に地獄の炎で燻した魔除けの香草を放つ。
吸血鬼封じの術式(ユーベルコード)だ。
ダークセイヴァーのヴァンパイアなら、これでもまだ脅威だ。お前はどうだ、ヴァンパイア。
そして剣で切り結ぶ。
【斬撃波】と共に【切り込み】、【フェイント】で機会を作り、【鎧砕き】の一撃を見舞う。
サイファーの攻撃は【武器受け】と【受け流し】で凌ぐ。
●全てを凌駕するには至らずとも
「フム、これが白騎士の凌駕を求めた果ての産物か……」
アドナは周囲を見回す。そこに転がるのは、サイファーがこれまで蒐集してきた白騎士を超克することを目的とした様々な物品の数々だ。そして、共に行動していた深耶は自身が手にした純白の刀、白先を見つめる。
「成程な。羅針盤戦争で手に入れた私の白先もPROJECT DIABLO 2.0の産物が転移した結果なのかもしれん……」
ともすれば、カルロスが持っていた「白騎士の鎧」もだろうか、と思いを巡らせる。白騎士を凌駕するという夢、しかし全てにおいて白騎士を超えることは出来なかった。それだけ、あのウォーマシンは完成度が高かったのだ。
「だが、ある一点の性能を突き詰める事、それによってその性能においてかのウォーマシンを凌駕するのは可能だろう」
「あぁ、少なくとも、だ」
瞬間、サイファーが繰り出してきた外套が変じて放たれた異形の獣を、深耶は白先の一刀のもとに斬り捨てる。瞬間、獣は再び外套の姿を取り戻した。
「──ほう」
「何事にも、相性と適合性というものが存在する。私の『白先』は斬滅という点において白騎士と同格か、それに準ずる――あるいは、原点を凌駕している能力を有する!」
白先の切っ先をサイファーに向けた深耶に対し、サイファーは余裕を崩さない。
「つまり、一点において凌駕していればそれで十分であると。全く同感だ。そして、劣る部分は他で補えば良いわけだな? 例えばこのように」
その言葉とともに、サイファーは眼帯を取る。それは、悍ましき魔眼「葬列の瞳」。自身をヴァンパイアと化し、莫大な戦闘能力を得る力。
「その剣術で未来を斬ることは出来よう。だが、忘れてはいないか? 私は過去より来たりし者。その『過去』の力こそ、私が操る真なる力!」
ヴァンパイアの圧倒的な攻撃力を以て深耶へと襲いかかるサイファー。深耶はもう一振りの刀に手をかけようとしたが、そこに待ったをかける猟兵がいた。
「それを抜くのは少し待て。餅は餅屋という言葉がある」
その猟兵は、迫るサイファーに対しカウンターの要領でパイルバンカーを突き出し、白木の杭を撃ちこむ。意に介さず飛び込もうとしたサイファーは、突如自らを襲った激しい痛みに肉体が軋み出すのを感じた。
「……っ!? 貴様、何を撃ち込んだ!?」
「吸血鬼封じの術式……その基本に従っただけだがな」
追討ちをかけるように地獄の炎で燻した魔除けの香草を放つ猟兵。
「ダークセイヴァーのヴァンパイアなら、これでもまだ脅威だ。お前はどうだ、ヴァンパイア?」
「貴様……ヴァンパイアハンターか……!」
突如現れたヴァンパイアハンター、彼の名は風雷堂・顕吉(ヴァンパイアハンター・f03119)。ダークセイヴァーでヴァンパイアを狩り続ける男であり、ヴァンパイアの弱点は熟知している。
「貴公……」
「ヴァンパイアハンターは、ヴァンパイアを狩るという一点において技術を磨いてきた。その剣と同じだ、剣士。何者にも弱点は存在する。その弱点を明確に突くことこそ、超克」
だからこそ、その剣には抜きどころが存在する、と。それはこのタイミングではない。
「なれば……見定めるとしよう、その超克の時を」
アドナは周囲の遺産から結晶化したサイキックエナジーを永久機関とするD.D――銀河皇帝が有する装置を模した神聖詠唱装置を手にする。誰も起動できずに失敗作として放棄されたものであったが、アドナの保有するサイキックエナジーであれば、あるいは。
果たしてその推測は正しかった。手にした瞬間、莫大な未来に干渉するサイキックエナジーが迸る。
「真なる主と出会えて嬉しかろう?」
愛おしげにD.Dを撫でると、アドナは未来に「すでに呪文を詠唱した」という結果を残す。その間に顕吉は剣を取り、肉迫。
「さぁ、2つの斬撃を同時に対応できるか」
「そう、『現在』に同時発生する斬撃を!」
サイファーは顕吉と斬り結びつつ、アドナの斬撃魔法を時折受け流す。しかし対応が追いつかず、時折避けきれない斬撃によって手傷を負い始めた。
「っ、舐めるな……!」
「今だ、剣士よ!」
好機を見定めた顕吉が声を張り上げた。その声に応えるように、深耶はすでに抜いていた白先に加え、漆黒の刀・黒後を抜き放ち二刀流となす。
「まさか、その刀は……!」
「黒騎士の力を宿す『黒後』──ご想像のとおりと言わせていただこうか。『白先』と『黒後』の根源たる遺産、これらをオブリビオンの手に渡すわけにはいかん」
未来と過去そのものを斬滅する黒白の妖刀が振るわれ、サイファーは自らが振るう『攻撃』という因果その物を断ち切られていく。
「未来の他に過去も扱う我が剣術こそが……個々の力を分けた銀河帝国二大巨頭を真に超克する──!」
それぞれのやり方による、一点に特化した超克。サイファーは遺産の真なる使い方をようやく悟る。蒐集しただけの自分では、真なる超克が叶わないのだという残酷な現実と共に。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
ぶおん、ぶおん(口で効果音つけつつ)
サブにフォースセイバーでも貰おうかしら…あ、寝言(おはなし)は終わった?
まあまともにやる気は無いんだが…
戦場にスモークグレネードをぽいっちょ、視界をゼロにしますぞ!せっかくだから芋煮臭もさせておこう
そして獣に対抗して流体金属生命体を野に放ち自立戦闘させますぞ!流体ゆにダメージは受けないでござろう!
存分に暴れるでござるよ。流体金属君
獣のフレンズと流体金属君ががっぷり四つに争っている間に本体の背後へ静かに近づく
せっかくの武器も見えねば使えぬ、感覚も芋煮臭で乱されよう
真後ろから懐にグレネードをスリ渡し!そして一気に離脱!
特にいらなかったでござるなフォースセイバー
●「保存用、布教用、観賞用」は現代において健在なのだろうか?
「ぶおん、ぶおん……」
フォースセイバーを構えつつセルフで効果音を流すエドゥアルト。どこまでもマイペースな彼はふと思案する。
「サブ武装でこのフォースセイバー貰おうかしら……」
「ひとつ、試しに使ってみるかね」
通信越しに声をかけるベルニッツ教授に、エドゥアルトはふーむ、と考える。
「確かにこれ振るって戦うのカッコいいんでござるよ……まぁ念の為持っとくのが一番ですかな。最悪保存用」
「布教用と本使用のための2本が近くにないのが残念な限りだな」
「ドゥフフ、話せますなぁ教授殿」
古のオタクはあらゆる収集物を目的ごとに3つ保有していたという伝説があるらしいが、それはともかくとして、とエドゥアルトはサイファーに向き直る。
「んで、寝言(おはなし)は終わった?」
「貴様……」
完全に舐められたサイファーは攻撃をすべく手近なフォースセイバーを取る。その瞬間、エドゥアルトは空き缶でも捨てるかのような風で手元のハンドグレネードを放り投げる。空中で炸裂したそれは、たちまちサイファーの視界を奪う。
「まぁ、まともにやり合う気は無いんだが」
「……チッ」
加えて漂うのは、芋煮の香り。嗅覚を混乱させ、視界を奪う。五感のうち2つを奪われたサイファーは聴覚に意識を集中するように務めつつ、外套から獣を出してエドゥアルトに向けてけしかけようとする。
「ほほーう、なるほど。モンスターバトルでござるな! ならばこちらも行けっ、流体金属君! 存分に暴れるでござるよ!」
流体金属生命体が野に放たれ、獣に向かって飛びかかる。獣は鋭い爪を使って攻撃するが、流体金属生命体はその身体の特質上、目立ったダメージを受けていない。
「後出しで有利対面に持ち込みつつ、火力で制する……んん~、これぞロジカルな戦い方ですぞ」
流体金属生命体がサイファーの獣を圧倒しつつある中で、エドゥアルトはこそこそとサイファーの背後に回りつつあった。
「そしてこれが自由度高めのオープンワールドゲームの必須テク……スリ渡しでござる。はいプレゼント」
真後ろからハンドグレネードをピンを抜いた状態でスリ渡し、高速離脱。サイファーは感覚が乱れているためかエドゥアルトの一連の行動に気づかない。やがて、懐に感じた違和感。
「まさか……っ」
「はいドーン!」
エドゥアルトの掛け声と共に、グレネードが炸裂。サイファーは至近で炸裂したグレネードの爆風と金属片の直撃をもろに受け、大きく後方に吹っ飛ばされる。
「……別に要らなかったでござるなフォースセイバー」
「まぁ……記念に取っておくのも良いだろう。不要ならばこちらで買い取るが」
「ふむ、ちょっとその件についてお話と参りますかな教授殿」
エドゥアルトは通信越しにベルニッツ教授とフォースセイバーの扱いについて話し合いを始めた。最終的にどうなったのかは……彼らのみぞ知るところであるが、少なくとも双方合意の上で円満に話し合いが終わったことは確かなようだ。
大成功
🔵🔵🔵
リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【WIZ】
※アドリブ等歓迎、教授と積極技術交換
※愛機搭乗
興味深いしもっと見学させてよ♡
『未来位置を識るレーダー』か
アタシの生体電脳も短期予測できるけど
ISRLの資料次第で面白い応用もイケるね
教授の通信を拾いつつ接近
【マトリクス・メモリ】で『権限の発生源』形成
アクセス権を捩じ込み完全鹵獲♪
レーダーで猟書家の動きに先んじて鬼火ブースト
掴んだ大型の『強力なフォースセイバー』を依り代に
オペ57番【ロゴスイグニッション・プレデター】開始
変質能力を以てコレも実質鹵獲♪
後は背の鬼火ブースターを偏向した砲撃で拘束後
『生と死を別つモノ』の刃で猟書家を葬列諸共薙ぎ払う
…医者の前で生死を掻き乱すとか『命知らず』だね
ミスタリア・ミスタニア
破壊を避けろとは気安く言ってくれるな
まぁ気を付けておいてはやるが、その分だけそっちも働くんだな
間違った対処法教えやがったら後でタダじゃ済まさねぇぞ
ハッ、帝国の夢の跡だぁ?
銀河帝国自体が既に夢の跡だろうが!帝国継承軍を名乗ろうが敗残兵の寄せ集めに過ぎねぇんだよ!
箱舟内をプラズマジェットで飛び回って、相手が攻撃を躊躇うようにウォーマシンや兵器やらを背にしたり盾にしたりで立ち回るぜ
そうしてチャンスがあればビットで牽制しつつ捨て身の突貫だ!
懐に潜り込んだら対艦用のパイルバンカーで防御ごとぶち抜いて、そのままパイルバンカーでぶち抜いたところにゼロ距離でメガビームランチャーの対艦ビームをお見舞いしてやる!
●命知らずの寄せ集め
「興味深いしもっと見学させてよ♡」
リーゼロッテは探索しながら興味深げに周囲を眺める。その一方でミスタリアはそんな興味を隠そうともしないリーゼロッテの様子を見てため息を付いていた。
「技術屋ってのはわかんねぇもんだな……そんなにここが凄いのかね」
「そりゃそうさね、何しろロストテクノロジーの塊だよ? ミスたんが普段使ってる武装の技術のルーツがここにはある……それを解析すればもっと凄いことが出来る可能性だってあるんだからさ」
「なるほどなー……まぁオレにはよくわからん世界だけどよ」
それにしても、とミスタリアは鼻を鳴らす。
「破壊を避けろとは気安く言ってくれるな」
「出来る限りの範囲で、だよ。流石に戦闘中の損傷にいちいち目くじらは立てていられないからね」
「当たり前だ、そこまで気にされちゃ何も出来ねぇ。まぁ気を付けておいてはやるが、その分だけそっちも働くんだな。間違った対処法教えやがったら後でタダじゃ済まさねぇぞ」
「心配するな、これでもこの稼業で20年近く食べている身だからね。仕事はきっちりさせてもらうとも」
と、ミスタリアとベルニッツ教授が会話を交わしていると、リーゼロッテがひとつのパーツを発見した。
「おっ、何だろこれ」
「む、『未来位置を識るレーダー』か。機械学習によって相手の未来位置の推論を行い、表示するレーダーだ。後でISRLの資料を見せよう……当時のディープラーニング技術の高さが伺えるぞ。もちろん、通常のレーダーとしての精度も高い」
「へぇ……アタシの生体電脳も短期予測できるけど、機械学習を使ってるとなると面白い応用も効きそうだね。ちょっと使ってみていい?」
「構わんよ、せっかくだから使用データをこちらでも見てみよう」
リーゼロッテが操るナインス・ラインと、サルベージ船との間にデータリンクが形成される。続いて、リーゼロッテはナインス・ラインのマトリクス・メモリから「権限の発生源」を形成、レーダーの使用権の書き換えを行った。
「これでよし、と。データ見えてる?」
「ばっちりだ。その状態で敵と交戦したときどのような動作をするかだね。実戦でのデータは貴重でね……よろしく頼むよ」
「お任せあれってね」
リーゼロッテが愛機にレーダーを搭載した一方で、ミスタリアはサイファーと一足早く対峙していた。
「ハッ、帝国の夢の跡だぁ? 銀河帝国自体が既に夢の跡だろうが! 帝国継承軍を名乗ろうが敗残兵の寄せ集めに過ぎねぇんだよ!」
「我らが敗残兵であることは否定はしないとも。だが、その敗残兵の無念と憎悪こそが新たな帝国の礎となる。そう、この想念がある限り帝国は何度でも蘇るのだ、不死鳥のごとく」
「結局未練にしがみついてるだけじゃねぇか。そのまま骸の海で寝てやがれ!」
ミスタリアは箱舟内をプラズマジェットで飛び回りながら、ウォーマシンや兵器を盾にして敵の攻撃を躊躇わせる。
「大事に集めた収集物を盾にされちゃあ攻撃は出来ねぇよなぁ?」
「姑息な。だが、そんなものは児戯に等しい」
サイファーは銀河帝国の遺産たるビット兵器を使用する。ビットが散開し、回り込んで攻撃を行ってきた。
「そっちも姑息な手じゃねぇか……ったく」
「む、ビット兵器か。だが心配は無用だよ。それは稼働時間に難がある。動き回って回避を続ければ、エネルギー切れですぐに使用不能になる」
「なら、この戦い方を続けりゃいいってことか。オーケー、ビットが切れたら一気に接近する!」
ベルニッツのアドバイス通り、果たして、回避を続けていくうちにビットはエネルギー切れで次々と力なく墜ちていく。その好機を見逃さず、一気にサイファーへと接近する。
「来たか! ならば行け、我が獣よ!」
外套の影から獣が飛び出し、ミスタリアに襲いかかる。構わず、ミスタリアは獣目掛けてパイルバンカーを叩き込んだ。
「獣はこっちで抑えたぞ! そっちはどうだ、リーゼ!」
「準備万端……行くよ、鬼火ブースト!」
ナインス・ラインが一気にサイファー本体へと接近する。手には大型の『強力なフォースセイバー』が握られており、これを依り代にした「ロゴスイグニッション・プレデター」が発動。フォースセイバーが、かの大祓骸魂が持っていた『生と死を繋ぐもの』の反転複製体たる『生と死を別つモノ』へと変貌する。
「それがどうした……! 生者よ、贄となれ!」
サイファーはナインス・ラインに向けて鳥籠を構える。すると死者の群れが次々と現れ、ナインス・ライン目掛けて襲いかかっていく。
「それがどうしたはこっちの台詞ってね」
だが、ナインス・ラインは死者の群れから放たれる攻撃を全て回避してみせた。先刻搭載したレーダーが敵の未来位置を予測しているため、リーゼロッテはそれを見ながらただ避けるだけで良かったのだ。
「へぇ、優秀優秀……しかもこれ、機械学習ってことは使えば使うだけ精度が上がるってこと?」
「その通り。もっとも、その蓄積したデータを保存するストレージが課題なのだがね」
「それは追々考えるさね。さぁ、医者の前で生死を掻き乱した『命知らず』のツケを払ってもらうよ!」
ミスタリアとリーゼロッテはタイミングを合わせて大技を放つ。ミスタリアはパイルバンカーで撃ち抜いた獣ごとサイファー本人へと肉迫。一方のリーゼロッテは鬼火ブースターを偏向した砲撃でサイファーを拘束した。
「マトリクス! ロゴスイグニッション!!」
「ゼロ距離、これで! いっちまえよやぁぁぁぁ!」
リーゼロッテの『生と死を別つモノ』の斬撃がサイファーを死者の葬列ごと薙ぎ払い、そこへ獣ごとパイルバンカーでサイファーを串刺しにしたミスタリアが対艦ビームランチャーを接射。サイファーは断末魔を上げる間もなく光の中で分子の一片まで燃やし尽くされたのであった。
●方舟の行方
かくして、方舟の主は骸の海へと葬られ、猟兵たちとベルニッツ教授は主なき方舟を持ち帰ることに成功した。ほとんど無傷の状態の方舟の中には多くの銀河帝国の遺産が眠っていたほか、休眠状態にあったウォーマシンも多く見つかった。彼らはじきに覚醒し、かつてよりも平和を取り戻しつつあるスペースシップワールドで第二の人生を送ることになるだろう。
「同胞たちも助けられた上に、研究は大きく進歩するだろう。ISRLを代表して礼を言おう」
ベルニッツ教授は、今回の作戦に参加した猟兵たちに頭を下げて礼を述べる。
「方舟は調査の上で改造して、ISRLの研究艇として生まれ変わる予定だ。コアマシンも搭載してあったから、長期間に渡る滞在も可能となるだろう……この方舟も、第二の人生を送ることができそうだ」
かつての帝国の残滓は、新たな一歩を踏み出す。過去たる帝国の名を掲げるのではなく、今を生きる者の一人として、未来へと自らの時を進めていくことだろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵