●縛された人のこころ
第一目撃者(おとこのこ)は最初、異常事態(ケイオス)に気付くまで時間が掛かった。俯いた先には画面内(スマートフォン)の戯言、ただ面白可笑しな呪いが書かれていたのだ。つまりは一昔前のチェーンメール、若干の忌々しさに息吐けば――お隣に、希望(ち)塗れの女の子――ぞくり。少なくとも『背筋が冷える』ほどの恐ろしさは『なかった』筈だ。それなのに関わってはいけないと脳髄が警鐘(ね)を鳴らしている。走れ奔れ、一心不乱に人間道を駆け抜けろ……噂を広める為に、感染源と成ってしまえ。
そうだ、ボクは『何もしなくても』いい。君が『無気味』だと伝えてしまえば『その通り』に世界が陥る。欠片の希望が為にたくさんの絶望を孕むのだ。
――ねばついた文面が嘲り尽くしている。
●グリモアベース
「いやぁ、隣人ちゃん思うんですよね。やっぱり化け物を生み出すのは人間の想像力(イメージ)なんじゃないかって。てめぇもそう考えた事ありませんか? あ、UDCアースで『感染型』案件だそうですよ。噂話は止まりませんからねぇ」
グリモア猟兵はぐるぐるとスマートフォンを回しながら君達を見た。そんな雑に扱っていては壊れそうだが、その点加減はしているようだ。
「まずは第一発見者の言葉を聞かにゃあなりません。彼の周囲に発生するUDCの群れを撃破してください。そんで目撃場所へゴーしましょう。あ、その際も気ぃつけてくださいね。なんたって感染(おせん)は場に残ってますから……総ては回転(ぐるぐる)するってやつです。悩まなきゃ人じゃないって事ですね。そんじゃあ頑張ってくださいな」
グリモアが輝いて。
にゃあら
にゃあらです。
掻き集めた文面。
第一章。
第一発見者の周囲に発生したUDCを撃破してください。
第二章。
第一発見者の情報を元に発見場所へ向かいましょう。
怪奇現象に侵されているのでその点に注意してください。
第三章。
感染型との戦闘です。
撃破出来なければ『次は世界規模の感染』になってしまうでしょう。
全力で倒してください。
宜しくお願い致します。
第1章 集団戦
『怨嗟の手紙』
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POW : アナタハ ダレヲ アイシマスカ?
対象への質問と共に、【手紙】から【情念に縛られた女の亡霊】を召喚する。満足な答えを得るまで、情念に縛られた女の亡霊は対象を【黒髪による呪縛や、様々な心霊現象】で攻撃する。
SPD : オマエモ フコウニ ナレ……
攻撃が命中した対象に【蓄積された怨嗟による呪い】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【あらゆる行動を失敗させ、自滅させること】による追加攻撃を与え続ける。
WIZ : ワタシ イガイ ミンナ フコウニ……
【手紙に溜まった全ての怨念】を解放し、戦場の敵全員の【希望、友情、信頼、運気、愛】を奪って不幸を与え、自身に「奪った総量に応じた幸運」を付与する。
👑11
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第一発見者の周囲には『人間が生んだ地獄』とも呼ぶべき、文面(メール)と呼ばれる怪物が浮かんでいた。愛と憎しみを備えた髑髏マークが嘲笑い、怨嗟を絵文字(イラスト)として満たしている――これは希望と絶望の狭間で揺らぐ、滑稽な集団を表しているのだろうか。粘ついた切手とアドレスが醜くも肥大化して異った。手早く【削除】して話を聞かねばならない。猟兵(おまえ)は埒外(ちから)を手に取った――チェーンを想(そう)だと断絶せよ。
五十野・組子
悪口言われるのはやだなぁ。どうせみんなに言われてるんだろうけど、目の前で言われるのは辛いよ。やっぱり部屋から出るものじゃないね。
落ち込みながら気合いを入れて【狂気耐性】。引き籠りは仕方ないけどニートになる気はないからね、お仕事頑張らないと。
希望…ない。友情…友達いない。信頼…されてない。運気…あったらこんなことしてない。愛…知らない。
よし、奪われるものは何もないね。
【瞳々巡りの世界】で魔眼の視線を向けて攻撃。世界を書き乱す。チェーンメールとかその類のUDCなのかな。だったらその鎖をメビウスの輪に繋ぎ換える。自分達のサークル内だけでぐるぐる連鎖し共喰らい。望み通り、好きなだけ罵り合うといいのよ。
鏡に鏡を映したならば、何度も何度も【同じもの】が飛び込んでくる。狂い始めた登場人物(だれ)かの在り様は如何だ、模倣(に)たような小説(ものがたり)に囚われていた。悪口を言われるのはやだなぁ――嘆息(は)いた唾(いみ)は胃袋にも咽喉にも返らない、どうせみんなに言われてるんだろうけど――目と鼻の先にひっついた暴力性は現実だ、下腹部を強烈に『殴られた』感覚だろう。辛いよ。やっぱり部屋から出るものじゃないね……いつ自動車(うんめい)に轢き殺されるのか判ったものではない。全身(からだ)から気が堕ちていく――それでも眼球(まる)は理解しなければ成らない。べたべたと貪るように触った自分自身の貌(つら)、良かった、今日も『これ』は存在している……ニートになる気はないからね。
勤めを果たせよと世界(すべて)が棘を刺してきた。浮遊する鬼火(もじ)がドクロ・マークを押し付けてゲラゲラと💔、遊ばせている。指差し確認を忘れてなるものか。希望友情信頼運気――赤々と暗んだオマエの内、奪われる『もの』は何もない。何よりも愛情なんて知らないのだ、いっそ病んでると教えてくれ。
井戸の底に放棄された蛙の仔だ、廻れ々れ、魔眼(たま)転がしだと混沌(ケイオス)を孕め。書き乱された一昔前、ほんのり出来心が無限(メビウス)に換えられた。サークル内でもみくちゃ絶えれば好い、蛇は蛇に果実を与えるのだ。
罵り合うといいよ――ぐるぐると無意味な連鎖(チェーン)を並べた。匿名希望だ? 悪意(こころ)を籠めた時点で燃えるのは覚悟の上だろう?
これが私に見えてる世界……共食い(カニバリズム)、気分が悪い。
成功
🔵🔵🔴
フォーネリアス・スカーレット
何も変わらん。オブリビオンは殺す、それだけだ。
「ドーモ、オブリビオンスレイヤーです。連鎖するオブリビオンか、それはいい。いくらでも殺せる」
手紙を焼く【地獄焼き】生じた土を固め【戦略槌】現れる金を生かす【神喰い】集めた水を『水燐』に宿し【電磁居合斬り】生える木を使う【不絶驟雨】そして再び【地獄焼き】だ。
これが【流転輪廻】。お前が何であろうと、どれだけ現れようと関係ない来た順に殺す。全部死ぬまで全部殺す。オブリビオンは皆殺しだ。
……気になるオブリビオンの姿も”見える”のでな。手間取ってはいられん。奴の話が事実だとすれば……面倒な相手の筈だ。
有象無象(にんげん)がブラック・ホールに過去(ごみ)を投げ捨て、無意識下にマイナス感情(エネルギー)を蔓延させる。蠢動を反芻(は)んだインク壺はタダ只管に邪を描き奇(き)ると謂うのか。伽藍洞の頭蓋骨にデジャヴを突っ込めば、嗚呼、おまじないが現実(いま)を包み混む――何も変わらん――可塑に不を粘り浸ければ常(とわ)の如くだ、オマエの復讐心(おもい)を食い止める牙はない。たとえ存在したとしても悉くを抜き戮(ころ)せば良いのだ。あの台詞(ことば)を忘れてはいけない――オブリビオンは殺す。最終的に全部滅ぼせば良いのだ。地獄から沸き上がった殺意(もの)が焦熱(ねつ)を齎していく――ドーモ、オブリビオンスレイヤーです。連鎖するオブリビオンか、それはいい。じゃららと蛇(じゃ)れ遭えばヴァルハラに近しい。いくらでも殺せる。何度でも何度でも怨嗟(それ)を味わえる。
燻った――攻撃は最大の防御だと『とある剣豪』も言っていた――地獄(ほのお)を纏えば紙面を焼き、おちた赤黒さは『土』を孕むだろう。かためた得物(つい)を揮い廻せば黄金(きん)を満たし、愈々邪神(かみ)へと刃(多段ヒット)を剥いた――この魂(もん)を掴んだ者、一切に望みを棄て欲に狂えよ――静は動へと導かれ『刀身』は逆鱗(はだ)に触れた……雷(いか)り木(ぼく)を育むと告ぐ。
この瞬間(わずか)だ――復讐者は両に構えた銃(えもの)を咆哮(う)ち続ける。流転輪廻(ユーベルコード)に囚われた手紙ども、この姿は正しく『飛んで火にいる夏の虫』か――おお、世にアザトホースなど存在しない。
彼は眠っているのだ――お前が何であろうと、どれだけ現れようと関係はない。怨嗟(いや)だ。殺す。怨嗟(いや)だ。殺す。怨嗟(いや)だ。殺す――全部死ぬまで全部殺す。オブリビオンは皆殺しだ。如何か爆散してくれないか。
面倒な相手(オブリビオン)が待ち構えているのだ。そう知人(やつ)から聞いている。雑魚(オブリビオン)の汚いシミに気を取られている暇はない。視える。ああ、視えている。彼方(は)てまでも続く引用(コピー&ペースト)。
クローン・クローン、同じクセ字。
成功
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陳・龍恩
不幸の手紙…なんてまだ現役だったんだね。ああ、骸の海からよみがえってきたのか。ならば、さっさと送り返さないとねぇ。
誰を愛しますか……か、さあ誰を愛そうかな。残念ながらまだそういう人に出会ってないんだよねぇ。さ、亡霊と言えども、俺ら猟兵からしたら普通に殴れる存在。「地形の利用」と「フェイント」を駆使した「功夫」、俺の酔華酖拳でその黒髪も心霊現象も捌いてやろう。
後は鴆羽手で降魔点穴を打ち込み、彼女を縛る手紙を彼女自身で破ってもらおう。因縁は自分で断ち切るものさ。
しかしまあ、ああやって問われると愛する人とやらを見つけたくなるねぇ。
※外見は拳法服を着た一般的なシャーマンズゴーストです。どこか千鳥足。
人間(ひと)の模倣(かわ)を纏った状態で日々を登攀するのは困難だろう、何よりも世界は悪意(クライム)に満ちており、この泥濘(アルコール)に足を掬われるのは当たり前だ。悉くの唾棄(よだれ)を拭う為、彼等or彼女等は何に頼れば良かったのか。嗚呼、チェーン・メールの垂れ流し諸君、可哀想に蟲毒には酩酊が存在しない。不幸の手紙――まだ現役だったんだね。鬣(かざ)りを揺らして脚部(あし)不揃(そろ)え、ワン・ツー・スリーと瓢箪からインク。ああ、骸の海から浮かび上がったのだ、さっさと転送(おくりかえし)た方が良い。異物混入(メールアドレス)が情念(こころ)を孕む、誰を愛しますか誰を愛していますかこれからも愛せますか――さあ、誰を愛そうかな。酔っ払いの面は未だ赤々(こいわずら)いに罹っていない。テレビ・ラジオの副産物(おんなのこ)がクスクスと這い寄った。
埒外(おまえ)達から覗き込めば超常現象(それら)はタダの自然体(ぶっしつ)だ。亡霊(アストラル)のおそれが血肉を凍らせるも、嗚々、流れるぬくもりは殺せない。ふらりと右へ左へ身体(にく)を外(ぶ)らす――酔華酖拳――蝶も花も領域に誘えば同じ妖艶(うつく)しさ、晒された呪いは侵される。
捌かれた黒髪(つや)の彼方、裁くべき人の悪意(さが)が貌を出した。生に善悪を問うならば、それよりも先に毒されて終え……刺突(そこ)だ。彼女(ぼうれい)の手で『紙』が破かれる……初恋地獄から逃れたのか?
焦がれた脳味噌がとろけて異た。怨嗟(マイナス)どもが霧散して、塵々と『満足な答え』に喪(も)えて往く――ああやって問われると愛する人とやらを見つけたくなるねぇ――正体不明(おまえ)の瞳(くろ)は何を映している。
成功
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木霊・ウタ
心情
パンデミックを防ぐぜ
その為にもまずは第一発見者を守るぜ
第一発見者
俺達がアンタを守る
もう大丈夫だ
戦闘
第一発見者や仲間を庇う
獄炎纏う焔摩天で薙ぎ払う
赤熱する刃と炎を孕んだ剣風で
メールどもを切り裂き、焼却
亡霊も同様だ
髪も心霊現象も切断して燃やしてやる
何を答えてもアンタは満足しやしないだろう
その情念に、過去に絡めとられてる限りは
眼差しを未来へ向けられたら
よかったのにな
心を闇に囚われ、塗りこめられた
メールや女への憐憫を込めて紅刃一閃
全てを灰に帰す
事後
亡霊やUDCへ鎮魂曲
安らかに
地獄に叩き墜とされた太陽(ほし)はひどい嘘吐きだ、巨大な道具(なにか)で引っこ抜かれた饒舌(タン)は未だ炎(よだれ)を纏っている。縫い憑けるように紡がれた悪態(ことのは)がじくじくと脳天(きずあと)に這入るのは気の所為だろうか。キャンディを落っことした窖(あな)が涙じみて自己中心(マイナス)を垂れ流していく――俺達がアンタを守る――どろぐちゃと視えたチェーン・メールのど真ん中、蹲る人影(もの)に声掛けた。オマエは果たして救済になるのか獄卒となるのか、全ては第一発見者(ひと)次第とも言えよう――ぶぉん。輪を廻したのか炎(えん)を纏ったのか、何方にしても焔魔天(てつのかたまり)は罪業を映す。真逆、鏡合わせだと謂うのか匿名希望(ばかのむれ)、赤熱した刃(きば)が文面(つら)を薙(は)ぐ。
被害者(ひと)を庇ったオマエの正義性(ぼうりょくせい)、一蹴して黙らせる事など簡単だった。現在(いのち)を弄ぶ過去(オブリビオン)に負ける筈がない。内容物(かみたば)を焼き断てば解答、愚かにも呑み込む術は見当たらない――絡め取られた結末(かこさくひん)に目玉をこぼした最悪だ――未来へ向けられたらよかったのにな……悉くが形(けい)を崩し、ただ紅蓮に抱かれて逝く。
闇に囚われ蝕まれ、手遅れに堕ちて終った心の集い。塗り込まれた塩水(いたみ)は決して拭えないのだ。ああ、憐れな哀れな人類(アンタ)の歌声。全て・総て・只管と――放出(は)ぜた地獄、灰へ帰せと安寧(ぬかるみ)が告げた。
鎮魂曲(こもりうた)が聞こえた。
ら、ら、ら、る、ら……贖罪。
成功
🔵🔵🔴
ブラミエ・トゥカーズ
相手は紙切れで、救う者は人であるか
余では相性が最悪ではないか
故に、貴公に任せるぞ
自身のUCでは人への害が大きいため
【WIZ】
従者:化け地蔵
願望《想像》された信仰《感染》をほんの少しのちょろまかし、名と体を得た妖怪変化
衆生を導く者、迷子を導く者
その振りをした悪戯好きな化物
それでも彼は路に立ち続けた
形だけでも、信心を得《感染し》たならば本物と何が変わろうか
故に彼は本物の様に怨念を有るべき所へと道案内する
解放された怨念を現世から去らせ、不幸の発生を低減
還れぬ怨念は封剣にて浄化する
紙は焼く
お焚き上げ
不浄な吸血鬼にお焚き上げ《浄化の炎》はかなり熱い
とはいえ、見送る者の役目である
積み上げた意思・意志を踏み憑ける貌(さま)は如何なのかと天使が問うた、淘汰されるべき存在は佛の心を知れず、ただ化身前の裁判(さばき)に屈する他にない。相手は紙切れで救う者は人であるか。仮面舞踏会(マスカレード)に参加した死化粧(やまい)曰く、相性が最悪ではないか――招待状(おいで)と呼ばれる事もなく戸口の前、呆然(ぼんやり)と流水(あまみず)をおそれている――故に、貴公に任せるぞ。このまま貴様(らちがい)を吐き散らしてしまえば『人が終って』たまらない。契約外(そと)から顕現(あらわ)れた存在が『代償』を深く々く抉っていく……願望器(想像)の破片を組み込んで信仰(エネルギー)をちょろまかしたら上々だろうか、名と体を晒せば妖怪変化(化け地蔵)、本物の真似事が全く愉しくて仕方がない。
悪戯好きの餓鬼が『かみ』の模倣を成したならば如何に、それを真贋と『観る』のは不可能だろう。信仰心(こころ)を感染(うつ)された妖怪は、嗚呼、優し気な面で導く術も兼ねる。彼岸此岸を渡す場合は銭を持て、案内人は嘘を吐かない。
チェーン・メールの戯言(えんさ)が現世(とど)まる事を止めていた。一斉に解放された悪意(おもい)が不幸と共に天へと融けるだろう。夜に垂れた剣(よだれ)を薙げば合掌、いのりが手紙を焚いていく。
じりじりと自身の肌や肉も悲鳴を上げるが構うものか、見送る者の役目である。たとえ不死者(ノスフェラトゥ)の物語、『きれい』に〆たって悪くはないだろう。不浄(ペスト)にのせた引用法、何を接種すれば良い。
日傘の担当が笑っていた。
迷子の仔羊は第一発見者(きみ)なのに。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『永遠の今日はまた巡り』
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POW : 領域内を歩き回り、不自然な場所を探す。
SPD : 僅かな変化などから、原因を導き出す。
WIZ : 目の前の事象を整理し、法則を読み解く。
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第一発見者の情報の元、猟兵(きみ)達は現場(あちら)に向かう事となるだろう。しかし歩んでも走っても一日が経っても『何も変わっては』いなかった。オブリビオンの気配など『在り得ない』し、嗚呼、そもそも『オブリビオン』とは『邪神』とは何だったか――杞憂に苛まれていた結果だ、退屈な永久(ひび)を送るのも人らしくて良い――此処には楽しみも苦しみもない、全部が全部繋がりを得て、口は禍を吐かないのだ。とても素晴らしいパンデミックだろう、今日の夕飯は何にしようか……。
大切な事を忘れている気がする。
陳・龍恩
いやあ、一仕事終えた後のお酒は格別においしいって感じるねぇ。ま、すぐに二仕事目があるわけだけど……ん? 仕事って何だ?
えーと、確か「感染型UDC」とやらの……何か面倒くさくなってきたなぁ。このままずっとお酒を飲んで飲みまくって……っと、お酒がなくなっちゃったよ。大分時間も過ぎ……おいおい、景色も人の流れも「一仕事終えた時のまま変わってない」じゃないか。危ない危ない、うっかり感染するとこだったよ。
一度気づいてしまえば後は辿るだけ。UCで「鴆」となり、弱い毒を撒きながら飛ぶ。さあ、感染の速度はどうかな? 強力なあまり自ら止まれないのが感染型の弱点。はしる毒は道標となって俺を導いてくれるだろうよ。
吐き気がするほどに鯨飲するだなんて、頭痛を引き起こすほどに戯れているのとホボ同じだ。だらりと寝転がった植物は如何して脳髄の疼きを理解出来る。出来損ないの人型(にくかたまり)が生ハムじみて口腔を蹂躙(み)たして狂(く)る――いやあ――一仕事終えた後のアルコールは格別だ、染み渡る毒素が血肉を融かし、ゆっくりと嘘と真を撹拌していく。本当に酩酊(ブ)れているのは神なのか、あの希望と絶望がブラック・アウトして異――嗚呼、全くが日常的ではないか。すぐに二仕事目があるわけだけど……塗り潰した眼球曰く、定められた位置に存在しない。ん? 仕事って何だ? 精神(シナプス)が怪物(UDC)らしさを隠してしまう。
えーと――茫々と成った恍惚感(めまい)を引き摺って、断片(しごと)の内容を手繰り寄せていく。確か感染型UDCに関する『もの』だったか。そういえば先程の誰かさんは千鳥足だった気がする……何か面倒くさくなってきたなぁ……ぽたぽたと滴った酒気、舌の上で空が嘲っていた。しかし、随分と時間を喰ったのではないか。
おいおい――傾く頭の中身で周囲(せかい)を改めた。あの人はその場から動いていない。この建物はやけに綺麗だ。天空(ふた)の色も変わっていない。一仕事終えた時のまま何も――あふれた唾液を咽喉へとやって、危うい自分を正して活く。うっかり感染するとこだったよ……引用した囁きを啜り依せろ。
気付いてしまえば後は辿るだけ。鈴の音を転がすように華ひらけば鴆(ちりん)、コンクリート畑を翔けて撒く。蒔かれたものを蝕むように人を越え、石の下の蛇(かこ)を誘う。自ら止まれないのが弱点と言えよう、可哀想なマグロだ。
――死んだ目玉が虚に留まっている。
はしる毒気(どう)が導と成り、いとしいあの娘(こ)を見つけてくれた。如何してそんなに酔ってるの? 手色(かおいろ)が悪いと心配している。
青白いのは~ちゃんだよ。
成功
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木霊・ウタ
心情
幸せな世界
俺達が守り目指す世界の姿
なんでもない日おめでとうってか
これもUDCの力か
このままでも悪くないかも
って思うのは本当だ
けどまやかしの世界なんて糞喰らえだ
風は好きなように吹き抜けるもんだ
箱庭に閉じ込められるのは真っ平だ
行動
ギターの弦を思い切り爪弾く
この音が本当の感覚を呼び覚ましてくれる
俺の心に火をつける
文字通りに
旋律と共に
体の内に燃える獄炎を呼び寄せ燃え上がらせて
俺の精神に作用している悪意や闇の力を焼却
更に炎を周囲一杯に広げて
風景ごと
この歪んだ世界を燃やし尽くし灰に変えて
脱出
安寧のまま堕落し滅びるなんて未来はいらないぜ
誰の未来にもそんなことはさせやしない
発見場所へ急ぐ
茶葉を腐らせた帽子屋(せかい)が一周ぐるりと新鮮さを取り戻した。小さくなる薬と大きくなる薬を間違えずに順番こ、おんなじコップに注いだならば全く無意味に違いない。内部で責め遭い始めた人々が、ただ匿名希望版に少女の真似事を掻き撲る――幸せな世界(すべて)がオマエの周囲(まわ)りで反芻され、停滞の果てを魅せてきた。風も吹かない平穏(あんねい)が蔓延し、猟兵(きみ)に素敵な末路(どっと)を告ぐ。なんでもない日おめでとう――混合液(くすり)と怪物性に酔った誰かさんが、真っ逆さまに楽しんでいた。このままでも悪くないかもしれない。知る事も無く痴れた頭の中で、ぶくぶくと浮かんでいるのも人間らしさだろうか。楽な方へと流された漿液が『ドロリ』と混雑して異る……そう思うのは確かだが、地獄の炎は消えやしない。
まやかしの世界など糞喰らえ、化身の瞼の裏に【うそ】は映らない。眼球(キャンディ)は甘いのだ、それを如何して塩辛くうたう。はじけ、はじけ、箱庭(おもちゃばこ)に響いたギターソロ、呼び覚ませよ真実の弦(いと)。
精神(シナプス)、文字通りに火がつけば脳裡(り)が働く。ぐつぐつと煮え続けた獄炎が紙束(うそつき)を燃やそうと茫々(ひろ)がり往った。悪意も暗渠(となり)も尽くして終え、愈々風景(パンデミック)、その避難経路(ルート)は解けなかった――この歪んだ世界を焚けば好い、灰は灰に、塵は塵に。
安寧(とど)まりの彼方の堕落性、枕に沈んで滅ぶのは過去(オブリビオン)だけで十分だ。誰の未来にもそんなことはさせやしない――迷路の壁をぶち壊せ――勝手気儘に遊んでいる、貌(ひと)の風。破壊と再生が渦巻いていた。
急げ、この『のぞみ』は逃せない。
真っ平だ、人形劇と誤認されている。
成功
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ブラミエ・トゥカーズ
主も従者も目的を忘れている
己達の存在意義が第一になる
即ち、人を驚かせ、怖がらせること
【SPD】
病は使用しない、変化のみ使用
今日の食事を頂きに行こうか
何故か、毎日同じ人を見るような気もする
殺しては無いが
味はするのに栄養が無い
従者も業務時間外は自身の食事
驚かれても美味しくないそうだ
つまりここは、形ばかりの空っぽである
感情を喰らう己達にとって不快極まる牢獄である
異界の外様か、生まれたての新参かは知らぬが
余等、妖を化かすとはその売られた喧嘩は買い取ろう
UCにより霧化
世界の果てまで自身を広げる
既に毒が巻かれておるし、
余がばら撒かれても問題あるまい
猟兵でも人でもない血を求めて病は世界を汚染する
爛れたような太陽(おひさま)が、カンカンと頭蓋(ふた)を叩いてくる。くるくると遊ばせた日傘は何処かへと往き、活き活きとした餌(ひと)を求めてさまようのだろう。如何かしているほどに目的(いみ)を忘れた怪奇(ウィアード)の群れ、ただ自身の存在(ゆえん)を探しに這(か)ける。啜るべきはマイナスだ。啄むべきは脳内だ。つまり大鴉は仮面(ペテン)の裏、人々の舞踏会を攻略するしかない――病(ペスト)に意思・意志が在るとは滑稽なおはなしだが、それでも変化するには十分な舌(のど)だ。驚愕と恐怖を舐るうちにスープの濃厚さ、ヤケに『だまし絵』じみて問々とする。毎日々々同じような貌(かたち)ばかりで栄養価(エネルギー)のないこんにゃくを食んでいる気分に陥る。彼方(あちら)の従者(それ)も傾げているようだ。たとえば蒼褪めた貌、悉くが何色何号と染められているようにしか思えない。美味しくない――形ばかりの空っぽ遊園地(テーマ・パーク)、不快が極まった牢獄でしかない――お化け屋敷で幽霊に遭遇した、どう判断すれば好い?
異界の外様か生まれたての新参か、くすくすと少女の微笑(あざけ)りが聞こえる。馬鹿にされている。悪戯好きのクソガキに玩具にされた最悪だ。余等、妖を化かすとはその売られた喧嘩買い取ろう――無名の霧は何を孕む。
端から端まで抱擁(だ)いた埒外(おまえ)、ウイルスじみて侵蝕(むしば)みを引き起こすのだろう。既に毒素(アルコール)が回っているのだ、余がばら撒かれても問題あるまい。ぶくぶくと傲慢なものへと幻覚(いま)が届く。
何でもない『血』を求めよ、袋綴じでは飽きていたのだ。
白けしょうを鏡の前で――テケリ・リ。
緑だと誰が気付けたのだ。
成功
🔵🔵🔴
五十野・組子
証言を元に歩き回って怪しいものを探して……どうして仕事なんかしてるんだろう。自分の部屋の警備が私の仕事なのに、何でこんな仕事を……どんな仕事だっけ。
よし、帰ろう。部屋に戻っていつも通り隅っこで毛布被ってぼんやりしてよう。
踵を返して歩き出そうとするけど足が動かない。黒い鎖が足に絡み付いてる。傍で「語られぬもの」が、何故か私につき纏う邪神の眷属が私を眺めてる。
意図は分からないけどここでまだ何か私に関わらせたい事があるんだね。だったら。
「魔眼」の力を解放。私という人間がどれだけ感染されてもこの目には関係ない。侵食への防御力を高めて【狂気耐性】。
真実の世界を見通す神眼で本当の世界を見抜いて調査するよ。
摩天楼(パンデモニウム)に撲殺されるような感覚が、いたく、いたく髄液を掻き混ぜていた。似たような怪物(にんげん)が只管と視界(め)に這入り、蹲(つくば)る身体は鉛よりも重く思えてしまう。確か、オマエは証言(ことのは)を元に歩み続けていたのだろう。いかれた基盤(さいしょ)を抱くが如く、濁々とした無機物(ひとびと)を掻き分けて進む……もしや最初から這って異たのではないか。ぬけおちた頭蓋骨(ほね)が灯台(あしもと)で踊り狂っている……どうして仕事なんかしてるんだろう。だらだらと融解した筋肉の内側、発光している魂(エネルギー)が夜鷹(ウィップ・アーウィル)に齧られている。オマエの職場は自宅(あのなか)ではなかったのか、楽し気なテレビ画面が砂嵐(モザイク)を吐き散らして魅せた――すべては妄想だ。すべては幻想(ファンタジー・ゲーム)なのだ。何でこんな仕事(こと)をしている。どんな仕事(こと)だっけ……蹴った空き缶が蝋燭(うそ)を潰した。踵(あし)を動かそうと自棄になった、誰が帰り道を教えると謂う? 毛布(ぼたい)の底で蹴る事も忘れていた。
名状し難いのか、筆舌されたくないのか、不可視(くさり)が足首(くび)を絞めている。真っ黒い蛇(だ)に絡まれた魔女は裁判(セイレム)の瘴気からは逃れられない。もしや廃れた教会にでも踏み込んだのか。宝箱を鎖すのに怪力は要らない――意図はわからないけれど。眷属(かりうど)は闇に誘うのみ……。
観察し骸(がい)の在る幻覚(うそつき)だとは思わないか。愚者(フール)は屍喰らい(グール)じみて赤瞳(あかめ)を透す。固めた正気(たいせい)の儘、窓の外を停電(くら)く成すと好い――オマエはヨグ=ソトートに縋らない。
神の眼は燃え巡り、真実の『貌』を剥がしていく。可塑性の戯言を隔離したら異界(かこ)の嗤い、少女はオマエをいじめるように引っ張った。
――世界を見せて。そう呟いたのは私(きみ)だろう。
お眼鏡があっていない。
成功
🔵🔵🔴
フォーネリアス・スカーレット
日常、だと。オブリビオンを殺す事が私の日常だ。全てのオブリビオンを殺し尽すまで止まる事などあり得ん。居るか居ないかなどどうでもいい。オブリビオンを殺す。
「そこに居るのは分かっているぞ」
概念を斬る。日常を斬る。退屈を斬る。そこに在るのなら斬れぬ道理は無い。
ツカツカと決断的に歩む。触れる物を斬る。その先に居るオブリビオンに届くまで斬り続ける。
狂気の沙汰だと、今更何を言う。
「私は、オブリビオンスレイヤーだ」
私と言う存在からオブリビオンが消えるなら、私は存在しない。私がここにいるならオブリビオンは存在する。
「特に、貴様は生かして置けん。ドーモ、タマレ・ノア=サン。オブリビオンスレイヤーです」
天高くに積み重ねられた死体(にく)が、無意識にハンバーグを模倣(まね)ていた。摩天楼(ひかり)満ち満ちる時、地獄(かきゅう)は現世(よ)に惹かれて往き、ゆっくりと生死をコインに戻してみせた。魅せられた人類はパソコン画面と睨み合っており、そのような熱狂を知る由もない――カタカタと涎を垂らした俗物(サラリーマン)が揺れている、おお、今夜は寝袋を用意して正解だった。お偉いさんは上等なすき焼きを食している――日常、だと。茫々(あざけ)った幻想(ゆめ)の中で猟兵(オマエ)は踊るしかない。収縮(わら)った贋作(うそ)の内で猟兵(オマエ)は拭うしかない。オブリビオンを殺す事が私の日常だ。回転する真面に罅が入り、誰にも怨嗟は止められない。病む事でしか未来は救えないのだ――足元を掬われた竜は、只管、牙を剥いている。過去、殺し尽くすまで登場(エントリー)は終えぬものか。居るか居ないかなどどうでもいい。無限にループした隣の貌(ヴェール)……そこに居るのはわかっているぞ……殺せ、その概念(ふた)は無意味だ。
無聊と呼ばれた毒素(もの)を斬り伏せ、隠蔽された真実(いま)を炙り出す。そこに在ると理解(い)うならば斬れぬ道理はない。決断的な歩(するど)さが『ふれる』者or物を切除(のぞ)いて征く。誰か警察を呼んでくれ。なんだアイツは! 狂っている――今更何を言う――復讐の憑代(うつわ)が宙を返した。
私は、オブリビオンスレイヤーだ。己の存在(な)を繰り返し、それを証明として揮い続けるが好い。本当に『オブリビオンが消えた』ならば『オマエの魂も死ぬ』筈なのだ。即ち『オマエが存在する』ならば『オブリビオンは殺すほど』涌いている。茶柱は永久に見つからない、そういうコトワザも有る気がした。
特に――貴様は生かしておけん。
世界(げんかく)が、希望と絶望が、本来の貌(すがた)を晒していた。くすくす笑いは目と鼻の先で、引用された囁きは誰の為だと告げたのか――ドーモ、タマレ・ノア=サン。オブリビオンスレイヤーです。
名無しの行進、信仰心(チェーン・メール)が賽を投げた。
大成功
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第3章 ボス戦
『多稀望亜』
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POW : 君達が『希望』なら簡単に倒せるよね
レベル×1体の【配下のオブリビオン】を召喚する。[配下のオブリビオン]は【絶望】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD : ボクは何もしてないんだけどね
【狂気的に『希望』を求める心】を解放し、戦場の敵全員の【幸運】を奪って不幸を与え、自身に「奪った総量に応じた幸運」を付与する。
WIZ : 皆がボクのしたい事をしてくれるだけだよ
【何気ない仕草や目線】が命中した生命体・無機物・自然現象は、レベル秒間、無意識に友好的な行動を行う(抵抗は可能)。
👑11
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半透明の君はクスクス笑いが上手だった。
何度も何度も投下したダイス目、悉くがクリティカルだとしたら最悪だろう。収奪した希望(もの)を絶望(もの)に変換(か)える貌(さま)は、全く、世の中の性質(あたりまえ)を化身(なら)っている。幸あれと届いた手紙の内容は愉しそうに『悪質』な類と成っていたのだ。そりゃあ一昔前の産物だもの、仕方ないよね。
ざわざわと膨らみ出した地面から『いつかの怨嗟(ざこ)』が涌き始めた。君達が『希望』なら簡単に倒せるよね――実際に『そう』だから主人公どもは嫌になる。引用するならば如何だろうか、ハッシュタグを付け方も曖昧だというのに。
ボクは何もしてないんだけどね。
ぺこり――何気ない後頭部が愛しくみえてしまった。
黒影・兵庫
いつものようにUDCが現れて俺たちと虫さん達がそれを貪る
一般的な埒外の日常ですね
絶望も希望もなければ違和感さえも湧きません
今日の相手は感染型UDCですか
念入りに欠片も残さず食べないといけませんね
(「面倒だから燃やしちゃいましょ!掃除と一緒よ!」)
そうですね、そうしましょうかせんせー
『オーラ防御』の応用で構築したオーラの檻で敵を『捕縛』し逃げ道を塞ぎ火計兵さんの炎で燃やし尽くす
こんな感じでどうでしょう?
(「いつも通りって感じだわ!オッケーよ!」)
ではそれで
(「あ、あとね、これが普通って感じるのはアタシが脳を調整したからなの!」)
なるほど。調整ありがとうございます
(「どういたしまして!」)
アブラムシに群がったのは蟻なのかテントウムシなのか、脳天に満ちた太陽(ほし)の光輝(かがや)きは真贋の差を教えてくれない。紅に染まりつつ在ったスマートフォンの画面はただツマラナサそうに希望を啜り取った――全くが『いつもの』光景ではないか。怪物(UDC)が出現して柔らかなお肉が晒される、ぐちゅぐちゅとサイコロ・ステーキを作れば虫さんの餌場の完成だ。骨の髄までも栄養満点と言えよう――マイナスもプラスも無ければ違和感など莫迦らしい、ぼこぼこと膨らんだ卵胞が完全・不完全な変態を望んでいる。ああ。今日の相手(ごちそう)は感染型ですか。蝗害(へんい)よりも性質(たち)の悪い有された意識(おもい)、欠片も残さず食まなければ嘘だろう――面倒だから燃やしちゃいましょ――頭蓋骨の内側で声が改竄(ひび)いていた。そうですね。蟲(こ)の現状(いま)は掃除とおんなじなのだ。箒と塵取りでは足りない、さあ、焼却炉を背負ってしまえ。そうしましょうかせんせー。ドレス・アップしたならば火刑されるべき乙女の為、意地汚い声帯(スクリーン)をぶち壊していけ――怨嗟(チェーン・メール)はよく焼ける。
包囲(かこ)まれた連中は自分が火種(いん)だと理解していない。引用の使い方を違えた者は『二度と』真面な囁きを吐けないだろう。ごぅごぅと蛍(ひかり)が抱きつけば煉獄(おりのなか)、後ろの正面まで煙に堕ちる。
こんな感じでどうでしょう? 翠玉色(リズム)に狂えばオブリビオンは永久の底、ただ虚無に似た熱へと融解(と)けていく。これが「いつも通り」、教導虫(せんせー)も肯定(うなず)いていた――ではそれで。
あ、あとね。
最早、何が普通で何が異常かなど誰かさんにしか解らない。
調整はとても上手くいっている。
ありがとうございます。滓となった怨嗟(てがみ)を踏みつけてゴシゴシ、読めない炭(たば)に用は無いのだ。どういたしまして!
これが希望(のぞ)みだと弄るならば、仮面など不必要か。
――箱舟が沈んでいる。
成功
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五十野・組子
こいつを倒せばいいんだね。【語られぬもの】を召喚。
鎖を巻き付けた、全身真っ黒な怪人が現れる。さぁ、やっつけて!
あ、やっぱちょっと待って。
可哀想になってきた。あんなに可愛いのに傷付けるのは良くないよね、話し合いで解決しようよ。こんな怪物なんか引っ込めよう。さぁ還って還って…。
いきなり首に鎖が巻き付いてくる。驚きと痛みで【狂気耐性】、魅了に抵抗する。
眷属が顔の無い頭で私を睨んでる。命令には従ってくれるけど私もこいつには逆らえない。自分以外の邪神を、こいつは決して許さない。
分かってる、ごめんて。改めて…やっつけちゃえ!
欲望を叶える魔眼が眷属の破壊欲求を具現化。荒れ狂う【暴力】の拳で敵を蹂躙するよ。
くもり眼鏡(がらす)に眩んでしまえば迷々と、ぐらりと無貌(くろ)が體(くび)を模(も)たげた。戯れに握り締めた現実を、ただ只管と怪奇(ウィアード)に引き摺り混んでいく。こいつを倒せばいいんだね。言わずもがなだと無語(サイレント)が嘲笑(わら)い、削ぎ滅(と)られた翼尾(もの)へ腕伸ばす――人型(それ)に巻き付いた鎖(なが)い物は何処か『オマエ』の在り方を表現していた――さぁ、やっつけて。儚げな少女を掻っ攫おうと屍喰鬼(グール)じみて胸(にく)ひらいた。
しかしなんとマア脆弱(やわ)らかそうな少女(もの)だろうか、まるで怪人(ひと)に唆された怪物(こども)に見えた。びくりとはねた彼女の體(かた)、ああ、オマエの心臓(こころ)を撫でてくる――やっぱちょっと待って――可哀想だ。こんなにも可愛らしい君を傷付けるなんてよくない。解決出来るなら話し合いが最適解だ。わずかに残っていた……そんなものはない……希望に身を寄せる。こんな怪物(もの)は引っ込めよう。帰って帰って、還すだなんて野蛮な……。
ぎし・ぎし・疑肢(ぎし)、厭な音の原因は目の下の魔性だった。不意に絡み憑いた怪人(それ)の鎖が、私(おまえ)の気道(くび)を絞めてくる。足りない。足りない。何が足りない? 酸素か? 違う、正気に戻らないと『殺される』――かひゅ、とも鳴けない猟兵(それ)を貌無し宇宙(コスモ)が睨んでいた。共存関係などではない。全くが『絆』に虐められている……自分以外の邪神(そんざい)を、こいつは決して……分かってる、ごめんて……ようやく肺に地獄(くうき)が入った。改めて突き付けろ埒外の欲望(のぞ)み――やっつけちゃえ!
奇妙な関係性が敵を『み』た。
壊せ。壊せ壊せ壊れろ壊す、壊した。
目は口程に物を言う、握り締めた怪人(こぶし)が柔らか少女(にく)を叩いて砕く。荒れ狂う暴力性(エネルギー)が臓物(なかみ)を散らし、モザイク塗れの儀式を完遂した――漆黒がうねり脳味噌を引っこ抜く――オマエの傍らに落ちてきた。何もかもが正常だ、そうだろう? 擽るだけなんて焦らしなのか。
成功
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フォーネリアス・スカーレット
「サップーケイ……」
呟き、印を組む。単独にしてしまえばさほど問題は無い。
銃は詰まり、剣も外れる。ただ運が良いというだけで。成程厄介だが、知った事ではない。死ぬまで殺し続ける。死ぬまで殴れば実際死ぬ。
違う世界の私がお前に殺されたそうだが、知った事ではない。お前も身に覚えは無いだろうが。お前は、殺される為に現れたのだ。
格闘技は得意と言う訳では無いし、そもそもそれすら当たるか怪しい。なら、確実に殺せる手段を使う。【殺風景】を展開したのはその為だ。
出口付近に油をまき【地獄焼き】で迷宮ごと焼き殺す。もはや運では言い逃れが出来ん状況だろう。
必ず殺す。私は死ぬ前に【状況判断】で退避するが。
眠り続ける事しか能のない、其処等の仏陀(アザトート)が沸騰している。賽子(ダイス)を放り投げた世界が決定的(クリティカル)に染まり、オマエは致命的(ファンブル)に殺されるだろう。そんな馬鹿々々しい戯言が真実(まこと)と化すのだ。ぎろりと睨み付けたならば『幸運な事に脳味噌が生えている』――化物(オブリビオン)はたとえ脆弱でも過去(オブリビオン)なのだ、見て見ぬふりなど固定値(きみ)には出来ない。在り得ない――殺風景(サップーケイ)。呟きと共に印を捺せば隔離(へだ)てり、線を引けば千も『一』に触れるだろう。そう成せば何も問題はない。ジャムを塗った肉(パン)が焦げていた。こぼれた刃が床(とこ)に刺さっている……成程、厄介だが『知ったこと』ではない。死ぬまで殺し続ければ実際死ぬのだ。殴ったものは必ず凹む、出る杭は打たれると言われた現(いま)はなかったのか?
違う世界のオマエは『これ』に殺戮されている。登場(エントリー)の仕方は忘れていたが、最早どうでもいい生臭さだ。お前も身に覚えはないだろうが――因果応報、遂に仏陀(アザトート)は覚醒した。お前は、殺される為に現れたのだ。
殺伐(トゥールスチャ)――! 祝疑(いあ)の音がこぼれる隙間(ま)もなく『鬼』が棍棒(あぶら)を撒き始めた。此処に存在するのは復讐者(猟兵)なのだ、その精神に容赦の文字はない――面倒だ。拳と拳を遭わせる運も無い。どこにも出口(ヨグ=ソトート)は見当たらないのだ。無夢厭魅堕佛(ナイアーラトテップ)! もはや青い小鳥は飛来しない。劫(も)えろ業(も)えろ燃え滅(つ)きろ。
必ず殺す。火刑(はりつ)いた女の子は灰化(ばくさん)した。
退避――バクハツオチ・ジツ。
埒外で解決するのが一番だ。
成功
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ブラミエ・トゥカーズ
虚構でも陽の下に立てた事には感謝。
とはいえ、無差別に人を害する事は止めねばならぬ身でな、
今の余は。
ところで、攻められる城の姫君は敵であろうか女主人公であろうか?
貴公はどう思う?
【POW】
築かれた城に対してUCを使用
天候操作で空気を悪くしつつ、病を城に蔓延させる
城兵を苦しめつつ城主の下へ
人がその手で紡ぎ広めた御伽噺の吸血鬼として
名乗り、名を聞き、礼儀正しく、吸血鬼として姫君を襲う
相手の噂話(構成式)を自身の伝承(構成式)で上書きして
ただの犠牲者に貶める
その存在が人外でなく、幸運な只のヒロインに成っていれば、日光や大蒜や白木の杭が近くに転がってくるかもしれない
その場合、危険なのは吸血鬼である
此処に主人公(ヒーロー)が存在するとでも謂うのか、鉛玉をこめた筒(もの)が玩具のように鳴いている。此処に都合主義(テンプレ)が集中しているとでも謂うのか、天蓋(ホール)に蔓延る演奏(リズム)が無意味な要塞(しろ)を造り上げた。虚構だとしても太陽(ひ)の下に起立(た)てた事には感謝している、しかし『それでも』抜け出す事は不可能なのだ。無差別に人を傷つけてはならない――そんな障害(ワクチン)も今では『当たり前』だろう。余の名前を忘れる事は赦されない――色とりどりの装飾(へきめん)に左手か右手をあててみる、見出した大嘘は『大時計のぜろ』に鎮静した。ところで、攻められる城の姫君は敵であろうか女主人公(ヒロイン)であろうか。貴公(ひとがた)はどう思う? 怨嗟がモブへと格上げされた。
鉛色の空(くう)が弾丸(たま)を無碍に堕とした。盲目(めかく)し鬼に影踏み蛇だ、じゃららら、と病(ウイルス)が這入り込んでいく。死体(かめん)を模して侵蝕(おやすみ)だ、城主の下へと斑点(まだら)がやってくる。
余は――堂々の名乗りと共に頭(こうべ)を垂れ、礼儀正しく名(きみ)を聞いた。抑える為の兵士(つわもの)は死に、餓えた胃袋が狂(つ)っている。構成式(かんせん)を構成式(かんせん)で上書きし、赤色のベッドは横たわった。嫌だ。来ないで。息が苦しい……傍らには何も無かった。
白木の杭は砕けている。
大蒜は塵捨て場だ。
日光は――あいにくと大嵐(アッシャー)。
ビガッッッ! 腐った肌が雷(おと)に映えた。
腕枕にポォン、と痩せこけたいとおしさ。
只のヒロインは存在しない。存在しているのは怪物と怪物だ。真逆であれば危険なのは吸血鬼(オマエ)だっただろう。おお、純白がべたべたと冷えている。お偉いさんが倒れたように、貴殿は死んだ。貴殿が殺(まね)いたのだ。
成功
🔵🔵🔴
陳・龍恩
ほんのちょっとの呟きが妙に膨れ上がっていく。なんともまあ、SNSやら何やらで「感染速度」は爆速だよね、こういうのって。
ただねぇ、何もしてないってのは間違いかな。君は意図的に、こうなることを望んで呟いた。「そんな意図はなかった」「誤解を招いた」なんて、確信犯が言うセリフさ。そうでなきゃ、自分が何言ってるかすら分からないってことだしね。
さて、デマはファクトチェックで潰すしかない。残念ながらその絶望(デマ)の群れは既に過去のもの。俺の指でポイント(点穴)をつけば逆走して確信犯(デマ吐き)を滅ぼすものでしかない。俺はそうやって身を滅ぼした人間を何人も見てきたからね。残念ながら君もその内の一人、さ。
何桁かの魔性(ひとのおもい)が一斉に膨張(ふく)れ上がり、爆発(は)ぜる寸前に達すれば何者も止める事は出来ない。火中に墜落した犠牲者(だれ)かさんは、ただ名無しの大荒れに溺れて往くのだろう。なんともまあ、手紙(SNS)やら何やらで『感染速度』は病の比ではない。こういうのは自然とも超自然とも説けないだろう、少なくとも現状は【少女の悪態】でしかない――ただねぇ。何していないのは間違いだ。炎上(も)やす為には種(もと)が不可欠(い)り、のぼる煙は隠しきれていない。そんな意図はなかった。誤解を招いた。嘘吐きが希望を啜り取って絶望を吐き散らす貌(さま)は足掻こうと贋作(つく)れないものだ。確信犯が言うセリフさ――そうでなければ盲目白痴(オマエ)、その頭の中身は飾り物か。
こぼれた精神(シナプス)はしっかりと物質(もの)だった、言い逃れ出来る隙間(ま)もないと知れ。デマはファクトチェックで潰すしかない。可哀想だが群(それ)は尽く過去の鎖(チェーン)、雁字搦めなのはオブリビオンの方だろう。啼垂(なだ)れて魅せた怨嗟(マイナス)、指先に触れたら何処へ往く。
絶望(デマ)の穴(ポイント)は本当に安っぽい『言葉』だった。逆走する髑髏(マーク)が確信犯(はじまり)へと帰って終う。この喚き声は何を滅ぼすものだったのだ、問い掛けても少女(それ)は詰まっている。
そうやって身を滅ぼした人間(もの)を何人も見てきた。
君――引用はひとつの失態(どく)でしかない。
その内の一人が吸い尽くされた。
成功
🔵🔵🔴
木霊・ウタ
心情
こいつが感染型か
普通の女の子っぽく見えるけど
アホ毛に惑わされず
油断せずいく
海へ還してやるぜ
戦闘
ああ、望み通り
希望ってやつを見せてやる
獄炎纏う焔摩天で配下どもを薙ぎ払う
紅蓮の炎を焚き上げるのは
未来への希望だ
世界を覆いつくす絶望を焼却してやる
闇を払い
世界を紅の光に染めながら間合いを詰める
絶望を燃やし尽くした炎を
感染型の逃げ道を防ぐように
囲むように延焼させる
自分は何もしていないとの嘯きは
嘘なのか本心なのか判らないけど
どっちにしろ可哀そうな奴だ
自分で道を選ぶから
目指す未来へと進めるんだぜ
紅蓮に抱かれて眠れ
刃の梵字を赤く燃やし
赤光の軌跡を残す一撃
事後
これまでの犠牲者やアホ毛の少女へ鎮魂曲
海で安らかに
寝惚けた怪物は人間とパソコン画面を違えたのだ、脳裡に刻み込まれた寝癖(あほげ)が、ゆらゆらと熱狂(アンチ)に攫われている。弾丸(なまり)の重さに耐えきれなかった體(にく)は再生(かす)すらも失い、ただボンヤリと希望を啄んでいた。油断してはならない。たとえ外見が可愛らしい、そこらの少女(おんなのこ)に想えても過去(オブリビオン)は怪物(オブリビオン)なのだ。無辜(うそ)吐きの設定(つぶや)きを鵜呑みにしたら危ういだろう――骸の海へ還してやるぜ――八寒(ほのお)の底には何が横たわっているのだ、冥々と悪態(くち)が連鎖していく。君達が『希望』なら簡単に倒せるよね――斃され続けた怨嗟(おてがみ)は最後の一文字になろうとも絶叫(こえ)を止めない。ああ、望み通り。見せてやる……もしやジャック・オー・ランタンのちらつきが現実だとでも謂うのか、あの匿名は何れ殺される。
焔摩が天(こ)を衝けば縦横無尽、配下(チェーン・メール)の欠片までも『薙いで』往く。焚かれた絶望は再び希望(みらい)を孕むのだろうか、この輪郭(さま)は正しく不死鳥(フェニックス)が如く――覆い尽くしていた怪異(ばけもの)が燃され、負の渦中(うず)が鎮まりだす――暗渠(となり)の悪質を祓ったならばじり、じりり、歩み寄った貌は鎮魂曲の前振り。
嘘か真かを理解する頭など初めから持っていないのだ。何もしていない、などと異う嘯きは現状(いま)の心に届いていない。どっちにせよ可哀想な奴だ――抱擁(だ)かれた言辞(ワード)が失せていく、繰り返した罪はひどく重い――紅蓮に抱かれて眠れ、選択肢を望まなかった【ひきこもり】の末路だ。
赤熱した梵字(ことば)が光(せん)を残し、滓も赦さず鏖(つ)くして魅せた。犠牲者(だれ)かも少女(あんた)も安寧(やす)らかに。掻き消える前に風、アホ毛だけを奪ってないた。音は聞こえない。
無気味なほどにスルリとなおる。
未来への導(しるべ)を送信。
成功
🔵🔵🔴