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追憶の百鬼夜行

#カクリヨファンタズム #戦後 #山本五郎左衛門


● 満月が映すのはカクリヨの幻影
 すすき野に浮かぶ満月が、すすき野を映し出した。

 さやさやと渡る風に揺れるすすきはどこまでも続き、金色の波のように流れていく。黄金色の満月は黄金色のすすきを映しては、地上のすすきと同じ景色に揺れていた。
 鏡のようにすすきを映し出した満月は、やがて歪むと地上の記憶を次々と再現していくのだった。

● グリモアベースにて
「カクリヨファンタズムの崩壊は免れたが、あの世界はまだ不安定なものらしい」
 小さくため息をついたパラスは、グリモアが映し出す景色に目を細めた。

 すすき野を照らす満月が、カタストロフの幼生を生み出したのだ。割れた満月から生まれたカタストロフの幼生は、ほどなく満月を包み込み鏡のように地上を照らし出した。この幼生はカクリヨファンタズムに刻まれた記憶を鏡のように映し出し、見る者を取り込んでしまうのだという。

「これに対抗するには、満月を無視して月見を楽しむのが一番手っ取り早い。だけどね、もし満月を見ちまってもまだ幼生を封じるチャンスはあるよ」

 カクリヨファンタズムに刻まれた記憶を映し出した満月は、見上げた猟兵を取り込み「再現された大祓百鬼夜行の戦場のひとつ」へと連れて行ってしまう。だが、その記憶の世界を攻略すれば地上へと戻って来れるのだ。攻略方法もそれぞれの戦場と同じらしいから、参考になるだろう。

 しかも、記憶の世界に行っている間は満月のことを考える余裕もないだろうから、「満月を無視」の条件はクリアすることができる。

 後は、カクリヨファンタズムに刻まれた記憶の再現を楽しんで攻略すれば、「満月を無視して楽しむ」ことになるのだという。

「この事態に、東方親分ーー山本五郎左衛門も同行してくれるとさ。協力は惜しまないと言ってたからね。必要なら声を掛けるといい。気をつけて行っといで」

 頷く猟兵達を見渡したパラスは、頷き返すとグリモアを発動した。


三ノ木咲紀
 オープニングを読んでくださいまして、ありがとうございます。
 今回は戦後シナリオをお届けします。

 概要はオープニングのとおりです。
 プレイングボーナスは「カタストロフの幼生を無視して全力でお月見を楽しむ」もしくは「大祓百鬼夜行の戦争フラグメントの内一つが再現された世界を全力で楽しむ」になります。
 プレイングの冒頭に数字をお書きください。2つある場合は、どちらか分かるようにしていただけると助かります。

 大祓百鬼夜行 
 https://tw6.jp/html/world/event/020war/020_setumei.htm

 UDC-Pのシナリオは、当方が運営した #もふもふこねこ タグのシナリオで出でてきたミケはお声がけがあれば出てきますが、当人かどうかは分かりません。
 他のマスターのUDC-Pは対応できません。一律お返しとさせていただきます。

 お声がけがあれば、山本の親分が登場します。戦闘になった場合、暴獣形態となり支援してくれるようです。具体的な指示をお願いします。お月見にパラスは出てきません。

 プレイングは6/17(木)8:31より受付します。締切は青丸達成から3日後の予定。のんびり進めていきます。
 再送は無いようにしますが、場合によってはお願いするかもしれません。

 それでは、良き追憶を。
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第1章 日常 『月割れてるけどお月見しよう』

POW   :    全力で月の美しさを褒め称え、「立派な満月」だと思い込む。

SPD   :    賑やかな歌や踊りでお祭り気分を盛り上げる。

WIZ   :    お月見にふさわしいお菓子やお酒を用意する。

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


サポート様をお呼びする場合は、「⑦月に狩り~Hunters' Moon」が選択されたとします。
また出てくる敵は、以下の通りです。

集団戦『ジャックライト』
POW●クリムゾンフレイム
【自身の体から噴出する炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【真紅の巨大な】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。

SPD●カーマインブレイズ
自身に【輝きの強い炎】をまとい、高速移動と【超高温の熱波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。

WIZ●スカーレットファイア
レベル×1個の【怪火】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
灰神楽・綾
【不死蝶】
⑥(三ノ木MSの花見シナリオのイメージ)

前もお酒を飲みながらお月見したよね~なんて
思い出しながらうっかり満月を見上げちゃって
連れて行かれた先には、桜と…色とりどりのスイーツ

わぁ、梓梓、美味しそうなお菓子がいっぱいあるよ
これ俺たちが食べちゃってもいいのかなぁ?
よーし、全種類制覇目指すぞー

和洋折衷色んなスイーツがあって
どれから手を付けようか迷ったけど
まずはケーキ界の王道、苺ショート
しっとりふわふわスポンジ、大ぶりでジューシーな苺
しつこくない甘さの生クリーム
うん、百点満点の美味しさ

和菓子ではお団子、苺大福、わらび餅
中華菓子では桃饅頭、ゴマ団子などなど
古今東西スイーツ食べまくり


乱獅子・梓
【不死蝶】
⑥(宴会する)

この満開の桜は……
確かめるまでもなく、あの戦場のことかと思い出す
いや、「戦場」と呼んでいいのかも謎だったが…

ここが戦争時の再現ならその食べ物も
猟兵の為に用意されたものだろうし、まぁいいんじゃないか?
それにしても、桜よりもまずは食べ物に惹かれるとは
まさに花より団子だな

美味いもんと聞いたら焔と零が黙っているわけもなく
目を輝かせてねだってくるので
ちょうどいい大きさのプチシューを与える

焔と零もだが、綾もよく食うなぁ…
以前はこんなに大食いじゃなかった気がするんだが
これも、戦いにしか興味がなかったあいつの変化の一つだろう
幸せそうに食べる相方の姿を
微笑ましく見守りながら団子をかじり



● 月よ桜よスイーツよ
 すすき野に降り立った灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)は、見覚えのある景色に目を細めた。先日カクリヨファンタズムで起きたあの戦いから、もう一ヶ月ほど経つ。時の流れの速さに思いを馳せた綾は、吹き抜ける風に髪を押さえた。

「前もここで、お酒を飲みながらお月見したよね~」
「そうだな。確かこの辺にカウンターがあって、日本酒と甘酒飲んだな」

 すすき野の丘の上に一本だけ立つ大きな木の下に歩み寄った乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)も、綾の隣に立つと以前カウンターが設置されていたであろう場所に目を細めている。さすがにカウンターもテーブルも撤去されているが、確かにここでお酒を飲みながらのんびり話をしたのだ。

「あの時は確か、かぐや姫がものすごい圧で……」

 ものすごい圧で見下ろしていたかぐや姫の話を思い出した綾は、なんとなく視線を感じた気がして月を見上げた。綾と同じことを思ったのだろう。同時に月を見上げた梓も、自分を見下ろす鏡写しの自分を見上げて思わず息を飲んだ。

 次の瞬間、黄金色が桜色に変わった。見渡す限り広がるのは、幻朧桜。満開の桜が風にそよぎ、なだらかに続く稜線を埋めている。バーカウンターのあった木も桜に代わり、見事な大木が枝いっぱいに桜の花を咲かせていた。

 桜吹雪に目を見開いた梓は、月明かりに照らされた美しい桜の大木を見上げて目を細めた。

「この満開の桜は……。確かめるまでもなく、あの戦場のことかと思い出すな。いや、「戦場」と呼んでいいのかも謎だったが……」
「わぁ、梓梓、美味しそうなお菓子がいっぱいあるよ」

 一緒に桜を見上げた綾は、視界の端に入るテーブルに駆け寄った。そこにあるのは色とりどりのスイーツ達。テーブルに所狭しと並べられたスイーツは和洋中色々取り揃えられていて、片隅にはドリンクバーも設置されている。幻朧桜とスイーツの甘い匂いに、綾は目を輝かせた。

「これ俺たちが食べちゃってもいいのかなぁ?」
「ここが戦争時の再現なら、その食べ物も猟兵の為に用意されたものだろうし、まぁいいんじゃないか?」
「だよねだよね! よーし、全種類制覇目指すぞー」

 頷く梓に、綾は目を輝かせる。フォークと小皿をちゃっと握り締めた綾は、テーブルに駆け寄るとスイーツに手を伸ばした。

 目の前に広がるのは、文字通りスイーツパラダイス。和洋折衷色んなスイーツがあり、そのどれもが美味しそうに輝いては「食べて食べて」と主張している気がするのは気のせい気のせい。どれから手を付けようた迷った綾は、ふと赤い果実と目が合った。気がした。

 そこにあるのはケーキ界の王道、苺ショート。真っ白なクリームを華やかに纏ったふっくらスポンジケーキの上に、女王様のようにツンとしながら円錐形の苺が乗っている。これを外しちゃダメだろう。美味しそうなのを一個皿に乗せた綾は、梓を振り返ると手を振った。

「梓! 早く早く!」
「おう、今行く」

 ぶんぶん手を振って呼ぶ綾に手を挙げて応えた梓は、焔と零に手を引かれるように歩み寄ってくる。梓がお皿を手に取るのを見守った綾は、再びスイーツの品定めに目を輝かせるのだった。

● 戦いよりも殺戮よりも
 嬉々としてスイーツバイキング会場に駆け寄る後ろ姿を見送った梓は、どれにしようか迷う綾に微苦笑を零した。

「それにしても、桜よりもまずは食べ物に惹かれるとは。まさに花より団子だな」
「キュー!」
「ガウ!」

 甘い匂いに梓を誘う焔と零が、大きく頷き期待に満ちた目を輝かせる。行こう、食べたいとねだる二匹の声に、梓は二匹の頭を撫でた。

「なんだお前達。食べたいのか?」
「キュッ!」
「ガウッ!」
「梓! 早く早く!」
「分かった分かった。……おう、今行く」

 二匹を代弁するかのように響く綾の声に、梓は手を振って応える。スイーツバイキング会場へと来た梓は、目の前に広がるスイーツの海に皿を手にとった。

 イチゴのショートケーキにモンブラン、フルーツタルトにチーズケーキ。少し目を移せば、抹茶プリンや生クリームどら焼きの和洋折衷エリアを経て上生菓子や羊羹、若鮎にまんじゅうといった純和菓子エリアに至る。まるでグラデーションだなと苦笑いをこぼした梓は、一緒になってケーキを選ぶ焔と零に声を掛けた。

「好きなのあったら言えよ。取ってやるから」
「キュー!」
「ガウ!」

 梓の声に、二匹は大喜びでスイーツエリアを飛び回る。やがてプチシューをじっと覗き込む二匹に、梓はそれぞれのお皿に取り分けた。

 やがて一通り選び終えた梓は、白い丸テーブル狭しとスイーツを並べてご満悦な綾の姿に微笑を浮かべた。

「なんだ。先に食べてても良かったんだぞ?」
「やっぱ最初は、一緒に食べたいからね。それじゃ……いただきます!」
「おう。め、めしあがれ?」

 なんだか違う気もしたが、とりあえず綾のツッコミはなかったから内心胸を撫で下ろす。手始めにとエクレアをぱくりと口に運ぶ綾が美味しそうに目を細める隣では、焔と零もシュークリームを楽しんでいた。

 上空に投げては器用にキャッチする仔ドラゴン達は、シュークリームを食べ終えると早速酒まんじゅうに取り掛かる。見守る梓の目の前で次々に空になっていく様子に、梓は思わずしみじみ腕を組んだ。

「焔と零もだが、綾もよく食うなぁ……」
「? はにか言った?」
「いや」

 パウンドケーキを頬張るリスのような姿に、梓は微笑を浮かべて首を横に振る。以前の綾は、こんなに大食いじゃなかった気がする。出会った頃に飢えていたのは食ではなく殺戮と戦闘で、この場も幻朧桜を襲う骸魂を倒すことになっていただろう。

 戦いにしか興味がなく、衣食住はより良い戦闘のために必要なパーツ。そのくらいしか思ってなかった綾の変化の一つだろう。それはとても、良いことに思えた。

「? 梓? どこか調子悪いの?」

 小気味よい食べっぷりを披露する一人と一匹を微笑ましく見守った梓は、第一陣をほぼ平らげた綾の声に思考を戻した。

「いや。桜が綺麗だなと思って」
「ふーん? 確かに桜もきれいだけど、この苺ショートも美味しいよ! スポンジはしっとりふわふわ、大ぶりでジューシーな苺! しつこくない甘さの生クリーム。うん、百点満点の美味しさ」

 美味しいものは最後にとっておいたのか。白と赤が美しい苺のショートケーキを頬張る綾の姿に、梓は自分の団子を一口かじった。甘辛いたれに覆われた白いお団子は口当たりもなめらかで、甘すぎずしつこくなく。モチモチな食感を楽しんでは、喉の奥へと滑り込んでいく。

「ん。確かに旨いな」
「でしょ? ……さて、第二陣取りに行こう! さっきは洋菓子メインだったから、今回は和菓子かな。お団子、苺大福、わらび餅。あ、中華菓子もある。桃饅頭にゴマ団子、杏仁豆腐にマーラーカオ。どれから行こうかな?」

 やっぱり初志貫徹で和菓子かな? など言いながら和菓子エリアに向かう綾の背中を微笑ましく見守った梓は、緑茶を啜ると桜餅を口に運んだ。

 美味しくも賑やかな桜の宴は、スイーツ全制覇した綾が満足そうにコーヒーを飲み干すまで続くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

叢雲・雨幻(サポート)
【目立たない】事を利用して内部に紛れ溶け込んで、
お酒や煙草を嗜みながら何気なく情報を集めたり、
目当ての物を探したりするよ。
暗い場所なら【闇に紛れる】【忍び足】あたりで、こっそりと現状を把握したりするのも得意だね。
危険や警戒度が上がってきたと感じたらさっさと一時撤退。
物事起こす前に勘付かれちゃいかんからねぇ。


人々と接する時は優しく励ましたり、一緒に酒を飲んだりして楽しんだり。
子供と遊んであげたりもしちゃうよオジサン。
復興や救助をする時には、設定したUCを利用して積極的に手伝う。


星川・杏梨(サポート)
『この剣に、私の誓いを込めて』
 人間のスーパーヒーロー×剣豪、女の子です。
 普段の口調は「聖なる剣士(私、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
 時々「落ち着いた感じ(私、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格はクールで凛とした雰囲気です。
常に冷静さを念頭に置く様に努めており、
取り乱さない様に気を付けています。
戦闘は、剣・銃・魔法と一通りこなせます。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



● すすき野を焼く鬼火
 一方、その頃。

 さやさやとさざめくすすき野を、夜風が吹き抜けていく。人の背丈ほどの高さもあるすすき野の隙間に、小さな鬼火が見え隠れした。ぽう、と輝く光を瞬かせながらすすき野を行くジャックライトの姿を確認した叢雲・雨幻(色褪せた根無し草・f29537)は、闇に紛れ音もなく敵を偵察した。

「ジャックライトか。すすき野を焼き払おうとでもしているのかね?」

 赤い火の玉のような姿をしている骸魂は、奇襲を仕掛けようとしているのだろう。炎を溜めて一気に放とうとする姿に、星川・杏梨(聖炎の剣士・f17737)は眉を顰めた。

「この静かで美しいすすき野で、そんなことはさせません!」
「無論さ。だから杏梨ちゃんにお願いしたいことがあるんだ」

 物腰柔らかく語りかけた雨幻の作戦に、杏梨は頷く。すっと離れすすき野の中に隠れた杏梨を見送った雨幻は、闇夜にそっと動き出した。

 改めて状況を確認する。ジャックライトがいるのは、すすき野の中にある少しだけ開けた場所。その周囲はすすきが密に生え、川も近くにないため乾燥している。

 ジャックライトに気付かれないように空き地の周囲を巡った雨幻は、最初の位置に戻ると杏梨に合図を出した。

「この剣に、私の誓いを込めて」
 流星の聖剣を手にした杏梨は地面を蹴り踊るようにジャックライトを切り裂き奇襲を成功させると続けざまに剣を振るった。驚いたジャックライトが杏梨を包囲し焼き殺そうとした時、ふいに視界がひらけた。

「可燃物は避けておかないとねぇ」

 気楽に言った雨幻は、周囲に張り巡らせた見えないレベルに色を薄くした影の帯を一気に外側に拡散させたのだ。刃物となった帯はすすきを刈り取り、帯の面でジャックライトが届かない場所まで遠ざける。

 見晴らしがよくなった空き地で距離を取った杏梨は、即座にメカニカル・コマンドを発動させた。

「機械人形達よ、私の指揮に従い敵を殲滅しなさい!」

 杏梨の召喚に応えて現れた剣を持つ近接戦闘用の機械人形が、杏梨に気づき反撃を仕掛けるジャックライトを剣で切り裂く。突然の奇襲に炎の身体を震わせたジャックライトは、無数の怪火を放った。四方八方から襲い来る怪火を、剣を持った機械人形が次々に切り払っていく。

 戦えない杏梨を守る機械人形の隙をついた怪火が、杏梨へと迫る。死角からの攻撃に一瞬胸に混乱が湧き起こるが、即座に冷静さと客観視を取り戻した杏梨は慌てず防御姿勢を取る。

 その時、銃声が響いた。

 すすき野の中に伏せた猟銃を持つ遠距離戦闘用の機械人形が、ジャックライトの急所を撃ち抜く。ジャックライトが消えると同時に消えた怪火に、杏梨は胸を撫で下ろした。

「これで奇襲は阻止できたようですね」
「いい戦いだったねぇ。お疲れさま」
「お疲れさまです」

 すすき野への延焼を防いだ雨幻が、すすき野の間から歩み寄る。軽く手を挙げる雨幻に一礼した杏梨は、残り火が再燃するかのように再び現れたジャックライトの姿に得物を構えた。

 そこへ飛び出した猟兵たちと連携し、今度こそ全て倒したことを確認した杏梨は、周囲に脅威がないことを確認するとグリモアベースへと帰還した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

蘇・燎(サポート)
<アドリブ・連携OK>

口調についてはステータス参照。
目上以外でも尊敬に値する人物については丁寧口調を使用する。

一旦物事を俯瞰で見、考えた上で、
一武人として自分をどう動かすかを考えて行動する。
非戦闘場面であれば、話を聞き出す、
周りを観察するなどの手段を駆使しての情報収集を、
護衛対象があれば対象の直衛に付いて行動する。
公序良俗に反する行為はしない。

戦闘場面では主に【軽業】【早業】【地形の利用】を用いて、
選択されたUCを活かせる戦局を組み立てた上で行動。
連携の場合は【戦闘知識】【集団戦術】を意識して動き、
他の参加者が動き易い状況を作る、アシストをする方向で
攻撃【体勢を崩す】【部位破壊】を仕掛ける。


月影・左京(サポート)
アドリブ・連携・苦戦描写・UC詠唱改変・その他OKです。

『はわっ!?……大丈夫。私も手伝うから♪』

一人称:私
口調:女性的でラフ(ですよね、なの?など)
口癖:はわっ!?
性格:おっとりのんびり。「わぁ!頼りにな……る、の?(笑)」な印象

基本戦法:【忍び足】で敵の死角に入りメイスによる【気絶攻撃】を【2回攻撃】。【鎧砕き】も狙います。

敵の攻撃は【聞き耳】を立てて【第六感】も使い、【見切り】ます。
※不意打ちを受けた時など、「はわーっ!?」と口にする傾向あり。

指定したUCを何でも使用。
但し負傷した猟兵がいれば攻撃より優先して【祈り】の力と【医術】で治療します。

後はお任せします。よろしくお願いします。



● 大切なのは……
 一度は鎮火したと思われたジャックライトの火が、再び燃え上がる。すすき野のすすきを刈り取られてできた広場に現れた鬼火達は、猟兵の姿を見ると一斉に四方へと散っていった。

 彼らの目的は、すすき野に火を放つこと。雨のないすすき野は乾燥していて、一度火を放たれれば全て焼き尽くされてしまうだろう。

 戦場に現れた蘇・燎(星火、曠原を燎く・f32797)は、状況を把握すると眉を顰めた。逃げ散ろうとするジャックライトが広場の周囲に広がるすすきに到達してしまえば彼らの勝ち。それを阻止できれば猟兵の勝ち。

 その状況に、一緒に転送された月影・左京(夫婦ゲーマーのはわっ担当・f06388)は慌てた声を上げた。

「はわっ!? ひょっとして大ピンチだったりします?」
「そうだな。このままこちらではなく、すすき野に向かわれたら少々分が悪い」
「そっかー。でも……大丈夫。私も手伝うから♪」

 にっこり笑顔の左京い、燎は頷くとユーベルコードを詠唱した。まずはジャックライト達の足を止め、一箇所に集めなければ。

「左京は援護を! すすき野に向かおうとするジャックライトを優先的に倒してくれ」
「了解です!」

 メイスを手に愛らしく敬礼した左京は、地面を蹴ると今まさにすすき野に火を放とうとしていたジャックライトの死角に回り込み、左京のメイスを振り上げ、振り抜いた。炎のかけらとなり消えていくジャックライトには構わず、次の敵へとメイスを振るう。外縁に近いジャックライトを優先的に倒した左京は、ふいに巻き上がる風に目を細めた。

「我が宿星剣『開陽』を受けてみよ!」

 刀身に開陽(別名:武曲星)の意匠が刻まれた直剣を構え空に舞い上がった燎が、上空から攻撃を仕掛ける。同時に空き地の縁を飛び、ジャックライトを中央へと追い込もうとする。

 腹を立てたようにひときわ大きく輝いたジャックライトは、燎に向けて一斉に追いすがった。輝きの強い炎をまとい、超高温の熱波を放射してくるジャックライトの攻撃に、身体がジリジリ焼かれるのが分かる。歯を食いしばって耐える燎に、左京の声が響いた。

「はわっ! 今回復を……」
「構うな!」

 燎の声に、左京が一瞬押し黙る。今、左京がやるべきことは燎の回復ではない。燎が作ってくれた隙を突くことだ。それが彼を救うことに繋がるのだ。

「もう少しだけ頑張ってください、燎さん! 後でいっぱい回復しますから!」

 胸で拳を握り締める左京に、怪火が迫った。小さな怪火をひとつに纏めたのだろう。迫る巨大な怪火を前に一歩も引かずに立つ左京は、目を開くと詠唱を完成させた。

「燎さん! 回避してください! ……エネルギー充填、完了! 発射!」

 左京の声と同時に、高エネルギー体が空き地を蹂躙した。

 飛空戦艦ワンダレイより放たれた謎の高エネルギー体は、衝撃波を伴いジャックライト達を火のかけらへと還していく。まるで満月から降り注ぐかのような高エネルギー体は、左京に放たれた怪火をも地面に叩きつけ、消していく。

 エネルギー体の乱舞に、視界が白く染まる。やがて平穏を取り戻した時、そこに骸魂の姿はどこにもない。

「はわ! やりましたね♪ ……燎さん、怪我の治療をしますからこちらへどうぞ」
「……ああ、ではお願いできるだろうか」

 今思い出した、というように火傷を負った腕を見た燎の手を、生まれながらの光が癒やす。

 今度こそ静寂を取り戻したすすき野を、普通の満月が静かに見下ろしているのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『元祖鉄板や『おっちゃん』』

POW   :    積み重ねた歴史の重み
単純で重い【鉄板や型の部分で相手を潰すのしかかり 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    百人前お待ちどぉ!
非戦闘行為に没頭している間、自身の【体 】が【鉄板料理に適した温度の熱を帯び】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
WIZ   :    出来立て食いねぃ!
【空腹 】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【焼きそば、たこ焼き、今川焼き、たい焼き】から、高命中力の【熱々の麺、蛸の触手、餡子】を飛ばす。
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● 粉モンうまいかしょっぱいか
 満月に覆いかぶさっていた鏡の月は消えた。静けさを取り戻した地上だが、底に現れたのは一軒の粉モン屋台だった。

「よお来たな! 駆けつけ一杯たこ焼きでええん?」

 妙に関西弁入った元祖鉄板や『おっちゃん』は、席に座った猟兵達の前にたこ焼きの皿を置いた。ホカホカ湯気の立つアツアツたこ焼きはソースとマヨネーズがふんだんに掛けられていて、かつお節がゆらゆらと踊って青のりがたっぷり掛かっていた。

 目を丸くする猟兵に、おっちゃんは続けて明太子マヨの乗ったたこ焼きを出す。お次は大判焼き。見た目ではわかりにくいが、中身は小倉、クリーム、抹茶、チョコレートなどなど種類が豊富だ。

「遠慮せんと食べ食べ! なんせまだ屋台の外は鏡の月が残っとんねん。おっちゃんの出すうまいもんようさん食べとったら、じき消えて舞うさかい。遠慮せんと食べ食べ!」

 鉄板焼屋の親父の声に外を見ると、すすきが淡く輝いていた。穂先に月光を満たしたすすきから、鏡の月の力が溢れているのだという。

 このままおっちゃんが出すたこ焼きやお好み焼き、大判焼きや焼きそばを思う存分堪能していればいずれ消えてしまうが、そうでなければまた大祓百鬼夜行の思い出の中に飛ばされてしまう。

「戦いたいんやったら、相手したるでー! おっちゃんこう見えて強いんやで! さあ掛かってこんかい!」

 楽しげに笑った鉄板焼屋の親父は、ヘラを手に取ると爆発したおもてなし力をいかんなく発揮するのだった。


※ 第二章のボーナスは「粉モンをおなかいっぱい食べる」です。出される粉モンはオーソドックスなのからアレンジまで、言えばだいたいなんでも出てきます。

 おっちゃんの出す粉モンを食べない場合、第一章と同様に大祓百鬼夜行の記憶が再現されますので攻略をお願いします。注意点は同じです。

 また、サポート様をお呼びした場合、サポートプレイングによって「粉モンをお腹いっぱい食べる」か「おっちゃんと戦闘して倒す」かに別れます。

 おっちゃんの粉モンを食べなくても、鏡の月の影響がなくなればおっちゃんと骸魂は分離しますので心配はいりません。

 プレイングはすぐの受付。締切は追ってご連絡致します。
 それでは、良きもぐもぐを。
 なお、東方親分はお声がけがあれば登場します。
灰神楽・綾
【不死蝶】
いやぁ、スイーツ美味しかったねぇ
ちゃっかりお土産も持ってすすき野へ帰還

わ、また美味しそうな食べ物がいっぱい
さっきいっぱいスイーツ食べたから
ちょうどそろそろ塩っ気のあるものを
食べたいと思ってたところなんだよねー

まず注文したのは焼きそば
屋台の焼きそばって、家で作る焼きそばでは出せない魅力があるよね
もちもち麺の中に、たまにあるおこげがいいアクセント
いよっ、おっちゃんイイ腕してるね

梓、このたこ焼き、たこが大きくて食べごたえあるよ
梓も一つ食べてみなよと差し出す
おっちゃんにお願いして、一つだけ激辛にしてもらったんだー
つまりロシアンルーレットたこ焼き
さぁ梓は激辛を引き当てるかな~?とニッコニコ


乱獅子・梓
【不死蝶】
さっきあれだけスイーツ食ったのに
更に粉もの食えとか厳しくないか…?
ってノリノリだな綾!?
こいつの胃袋はブラックホールか??

ここは助っ人を呼ぼう
UCでミニドラゴンたちを召喚
おっちゃん!こいつらの為にどんどん持ってきてくれ!
元気よく食べまくるドラゴンたち、可愛い

俺は腹一杯でも比較的食べやすいうどんを注文
コシが強い麺で俺好みだ
ダシも濃すぎず薄すぎずちょうどいい

へぇ、たこ焼きか、じゃあ一つ……
取ろうとして、ロシアンという言葉に手が止まる
こいつ、なんてもんを注文しやがる…!
しかも俺が激辛を引くことを疑っていない目だ
毎回綾の思惑に嵌ってたまるか
俺は普通に美味いたこ焼きを引き当ててみせる…!

(撃沈



● あまいもの⇔しょっぱいもの→からいもの
 消える桜並木を見送った灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)は、満面の笑みですすき野へと帰還した。スイーツバイキング会場にあったスイーツは全種制覇達成し、美味しいコーヒー紅茶烏龍茶緑茶ほうじ茶などなどもしっかり飲み干して。

 残しておくのはもったいない、など話をしていたら、どこからともなくお持ち帰り用のケーキボックスと手提げ袋がテーブルの上に置かれている辺り分かっていらっしゃる。

 ホクホク顔の綾が持つ箱の中には、味わった中でも特に美味しかったスイーツトップテンが入れられている。

「いやぁ、スイーツ美味しかったねぇ」
「そうだな。俺もさすがに腹いっぱい……」

 満足そうな綾に頷いた乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)は、鼻腔をくすぐるソースの香りにゆっくりと振り返った。

 つられて綾も振り返る。そこにあるのは『元祖鉄板や『おっちゃん』』と書かれた暖簾が下がった粉モン屋台。おもてなし力を爆発させた鉄板やのおっちゃんは、見事な手付きでまんまるこんがり仕上げたたこ焼きにソースを掛けると、綾に差し出した。

「たこ焼きはソースでええ?」
「わ、また美味しそうな食べ物がいっぱい! さっきいっぱいスイーツ食べたから、ちょうどそろそろ塩っ気のあるものを食べたいと思ってたところなんだよねー」

 差し出されるたこ焼きを嬉々として受け取った綾は、屋台の席に座ると早速頬張った。外はカリッと中はトロッと。アツアツをハフハフ頬張れば、ソースの旨味とタコの食感がいい味出しながら喉の奥へと滑り落ちていく。

 あっという間にたこ焼きを平らげる綾を、梓は信じられない、と言わんばかりの目で見るとゆっくり首を横に振った。

「さっきあれだけスイーツ食ったのに、更に粉もの食えとか厳しくないか……?」
「へもよく言うよね? しょっぱいものは別腹って」
「それは甘いものだ」
「甘いものとしょっぱいものを交互に食べたら、やめられないとまらないだっけ?」
「何だそれは! いや事実けど!」
「という訳でおっちゃん! 次は大判焼きね! 小倉とカスタードで」
「おお、兄ちゃん分かっとるな!」

 綾から空の舟皿を受け取ったおっちゃんは、嬉々として大判焼きを綾に差し出す。焼き立てアツアツの大判焼きを頬張ってはあっという間に平らげる綾に、梓は思わず裏拳ツッコミを入れた。

「ってノリノリだな綾!? こいつの胃袋はブラックホールか??」
「美味しいものは待ってくれないからね」
「そこの白いにーちゃんも、遠慮せんと早よなんか頼み! こっちはおもてなししとうて、ウズウズしとるんや!」
「お、おお」

 カシャキーン! とコテを打ち鳴らすおっちゃんに押されるように綾の隣に座った梓は、お通し感覚で出されたたこ焼きに慌てて詠唱を開始した。

「俺の胃袋はブラックホールじゃないからな。ここは助っ人を呼ぼう。……集え、そして思うが侭に舞え!」

 梓の召喚に応じて現れたのは、109体のミニドラゴン達。焔とも零とも違う姿のミニドラゴン達は、丸い目をキラキラさせながら屋台の周囲をヒラリと飛んだ。

「おっちゃん! こいつらの為にどんどん持ってきてくれ!」
「おお! お客さんいっぱいやん! こら作りがいあるでー! おもてなしやおもてなし! ……それはさておき、お兄さんは何食べるん?」

 梓に食べてもらおうと山のようになったたい焼きをミニドラゴン達に分けるおっちゃんの問に、梓は苦笑いをこぼした。さすがに見逃してはくれないらしい。

「そうだな……。うどんを一杯貰えるか?」
「おっちゃん! こっちは焼きそば!」
「あいよ! うどんと焼きそばな!」
 コテをカシャキーン! と鳴らしたおっちゃんは、あっという間にうどんと焼きそばを作ると梓と綾の前に出した。うどんならお腹いっぱいでも食べやすいに違いない。そう思い注文したのだが、果たしてそのお味は。

「お、うまいな」

 一口啜った梓は、口の中に広がるお出汁と醤油のあっさりとした風味に頬を緩めた。うどんといっても色んな種類があるが、おっちゃんが出したのは讃岐うどん系のコシが強い麺。ダシも濃すぎず薄すぎずちょうどいい塩梅で、甘いものに飽きた舌にはなおのこと美味しく感じた。

 美味しそうにうどんを啜る梓の隣で、綾も受け取った屋台の焼きそばを前に新しい割り箸を割った。

「そうそうこの感じ! 屋台の焼きそばって、家で作る焼きそばでは出せない魅力があるよね」

 焦げたソースの香りが、中に忍んだ青のりの香りといい塩梅に絡み合っている。海の家の焼きそばのように白い紙皿に盛られた焼きそばは、一口頬張れば口いっぱいにソースの味が広がって。もちもち麺にシャキシャキのキャベツ、旨味の強い豚バラが主張したかと思えば、ピーマンが軽く味変してくれる。

 ご家庭の火力ではなかなか出せない強火でできたおこげが、たまに自己主張していいアクセントになっている。

「いよっ、おっちゃんイイ腕してるね」
「おおきに! そう言って貰えるさかい、おもてなしはやめられへんなあ! これはもう、おっちゃんの道楽や道楽!」
「素晴らしい道楽だな」

 うどんに七味をぱらりと振った梓は、美味しそうに粉モンを平らげていくミニドラゴン達の姿に目を細めた。恐るべき早業で美味しい粉モンを作って、作って、作りまくるおっちゃんの期待に応えるように粉モンを頬張るミニドラゴン達は、出された屋台グルメを器用に楽しんでは美味しそうに目を細める。中にはシェアし合う個体もいて、見ているだけでほっこりしてくる。やっぱりかわいい。

 元気よく食べまくるドラゴンたちから視線を戻した梓の前に、たこ焼きが差し出された。嬉々としてたこ焼きの船皿を差し出す綾は、ソースたっぷりかつぶし踊るたこ焼きを一つ取ると口へ運んだ。

「梓、このたこ焼き、たこが大きくて食べごたえあるよ。梓も一つ食べてみなよ」
「へぇ、たこ焼きか、じゃあ一つ……」
「おっちゃんにお願いして、一つだけ激辛にしてもらったんだー。つまりロシアンルーレットたこ焼き」

 綾の声に、たこ焼きを取ろうとした梓の手が止まる。ニコニコと機嫌の良い綾のサングラスの奥はいたずらっ子のように危険な光を湛えていて、どう考えてもどう見ても面白がっているのが分かった。

「こいつ、なんてもんを注文しやがる……!」
「遊び心は大事だし。もう一個貰っちゃうよー」

 言いながらもたこ焼きを頬張る綾は、美味しそうに目を細める。たこ焼きは8個入。綾が2つ食べたから、確率は1/6。思わず手を止める梓に、綾がからかうような声を掛けた。

「さぁ梓は激辛を引き当てるかな~?」
「お前、俺が激辛を引くことを疑っていないだろう……!」
「もちろん!」

 言い切る綾を軽くねめつけた梓は、爪楊枝をつまむと一番真ん中にあるたこ焼きを引っ掛け持ち上げた。大丈夫、確率は1/6。六面ダイスを振って1が出る確率と同じだ。

「毎回綾の思惑に嵌ってたまるか。俺は普通に美味いたこ焼きを引き当ててみせる……!」

 ほどよく冷めたたこ焼きをそのまま一息に口に運んだ梓は、口に入れた瞬間に感じるソースの甘みに勝利の拳を握った。

「よし! これは旨いや……!」

 噛んだ直後に直撃する痛みに、梓は思わず硬直した。たっぷりソースに彩られたたこ焼きは、タコの代わりにハバネロペーストが入っていたのだ。噛むまでは分からないという手の込んだトラップに、梓は思わずカウンターに突っ伏した。

 辛い。なんてものではない。辛いという味覚は痛覚なのだという話が脳裏によぎるが、まさにそれを証明してみせる辛さという名の痛みの奔流に、思わず涙が溢れてくる。ハバネロの攻撃は口の中という防御もできない繊細な感覚を刺激しまくり、戦闘とままた違った痛みにのたうつしかない。一刻も早く舌の上を通過させなければ。ほとんど噛まずに呑み込んだ梓は、カウンターを掌で叩いておっちゃんに手を伸ばした。

「ーーーー! み、水!」
「え? ミミズ?」
「堪忍やで。おっちゃんさすがにミミズはよう料理せんわ」
「冗談は後にひろ!」

 涙目でねめつける梓の視線に、おっちゃんは笑いながら氷水を差し出した。口の中の火事をようやく鎮火させた梓は、改めてカウンターに突っ伏すとしばらく倒れ込むのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

三ツ橋・夕花(サポート)
僵尸のパーラーメイド。
日光に苦手意識があり、常に日傘を手にしている。
明るく前向き、まじめな性格。
好奇心旺盛なので楽しそうな事はなんでもやってみて楽しみます!

戦闘時は左手に日傘、右手に銃を持ち戦います。
日傘を盾に受け流しつつ銃で威嚇、制圧。
落ち着いて状況を分析し、判断します。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
半オブリビオンモードでは肌が青白く、髪色が白くなります。

寄り添えるものには寄り添いますが…脅威には容赦しません!
仕事は迅速丁寧に!今日もお仕事がんばります!

連携、アドリブ歓迎。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
よろしくお願いします!


鯉澄・ふじ江(サポート)
怪奇ゾンビメイド、16歳女子
誰かのために働くのが生きがいの働き者な少女
コイバナ好き

自身が怪物寄りの存在なので
例えどんな相手でも対話を重んじ問答無用で退治はしない主義

のんびりした喋り方をするが
これはワンテンポ間をおいて冷静な判断をする為で
そうやって自身の怪物としての凶暴な衝動を抑えている
機嫌が悪くなると短文でボソボソ喋るようになる

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し
自身の怪我は厭わず他者に積極的に協力します
また、例え依頼の成功のためでも
自身の矜持に反する行動はしません
 
何でもやります、サポート採用よろしくおねがいします!

(流血、損壊系のグロ描写やお色気系描写もOKです)



● ふたりのパーラーメイド
 正常になった満月が照らし出すすすき野に、ぽつんと屋台の明かりが浮かんだ。赤ちょうちんを思わせる屋台の中から響くのは、リズミカルなヘラの音。

「おっちゃん、じゃんじゃん焼いたるでー! たい焼き焼きそばお好み焼きに大判焼きに焼きうどん! さあじゃんじゃんおもてなしさせたってなー!」
「わあ、すごい炒め技ですね」

 小気味よいソースの炒め音に誘われて暖簾を潜った三ツ橋・夕花(夕闇の花・f33111)は、まるで昇り龍のように炒めあげられるソース焼きそばの姿に目を輝かせた。

 夕花と一緒に暖簾を潜った鯉澄・ふじ江(縁の下の力任せ・f22461)もまた、一層強くなるソースの良い香りに頬を綻ばせた。

「美味しそうな香りですねぇ」
「お、いらっしゃい! 丁度焼きそばが焼き上がったとろこや。いっちょ食べてんか?」
「いいんですか?」
「もちろんや! おっちゃん今、おもてなししとうてしとうてかなわんのや! さあ、じゃんじゃん作るさかいじゃんじゃん食べたってや!」

 夕花とふじ江の声に、おっちゃんはできたてホヤホヤの焼きそばをでん! と出した。黄金色の麺にエメラルド色の青のり。ホカホカと湯気の立つ皿に箸を差し入れれば、頬張った瞬間に感じるソースの香ばしさに目を細めた。

 ちょっとだけ焦げたソースの香りが、鼻の奥を抜けていく。口の中の焼きそば麺を噛めば小麦の味が引き立って、一緒に食べた豚バラ肉の旨味と一緒に口の中が幸せになっていくのが分かる。添えられた青のりの風味とキャベツのシャキシャキ感が良いアクセントになっていて、ソースメインの味わいから飽きを遠ざけていた。

「美味しいです! この感じはお家ではなかなか出せません」
「本当に、良いお味ですねぇ。サクラミラージュのお店で出したら、お客さんが喜んでくれるかもですねぇ」

 サクラミラージュの一言に振り返った夕花は、隣で一緒に焼きそばを堪能するメイド服姿のふじ江に首を傾げた。

「ふじ江さんは、サクラミラージュのご出身ですか?」
「はい。以前色々ありまして、今では……」

 箸を置いたふじ江は、頭を上へと引き抜いた。驚きに目を見開く夕花をよそに頭を掲げたふじ江は、頭と身体を分離させたままにっこり微笑んだ。

「首の取れるメイドさんとして、パーラーメイドをさせていただいてますぅ」
「ふじ江さんもパーラーメイドなんですか? 私もパーラーメイドなんです! サクラミラージュのお店で働いてるんですよ」
「あなたもですかぁ? それは奇遇ですね。機会があったら、遊びに来てください。おもてなししますよぉ」
「是非、行かせてください」

 思わぬ出会いに、二人の間に噂話の花が咲く。今帝都で人気のスタアの話やコスメ、流行りの文豪の話などなど話題は尽きない。話し込む二人に、おっちゃんはカシャキーン! とヘラを鳴らした。

「さあ! そろそろおっちゃんにおもてなしさせたってや! 次は何食べるん? たこ焼き? お好み焼き? 何でも作ったんでー!」
「では、たい焼きが食べたいですぅ。サクラミラージュでは小倉あんのたい焼きが多いですから、アレンジしたたい焼きの味をお店で再現してお出しすれば、お客様も喜ばれると思うんですぅ」
「そうね。私もたい焼きにしよう」

 ふじ江の注文に、夕花も嬉しそうに頷く。二人の注文にヘラをカシャキーン! と打ち鳴らしたおっちゃんは、いそいそとたい焼き台へと移った。

「アレンジたい焼きやね! 何がええやろ? チョコにチーズにカスタード。抹茶もええなあ。帝都やと、どんな食材が手に入るん?」

 ふじ江の提案に、おっちゃんもおもてなし力を爆発させる。三人で色々案を出し合い、サクラミラージュでも手に入りやすくて目新しいたい焼きを考えてしばし。できあがったのは抹茶クリームたい焼きと小倉チーズたい焼きだった。

「ハイおまちどおさん!」
「わあ、おいしそう!」
「早速食べましょう。いただきますぅ」

 早速抹茶クリームたい焼きを手に取り頬張ると、その瞬間感じる抹茶の風味に目を細めた。鼻の奥に抜ける苦味のある抹茶の味を、まるい甘さのクリームが受け止めて中和し、甘みが苦味を引き立ててほろにが甘くて忙しい。

 甘い×苦いが抹茶クリームたい焼きなら、甘い×しょっぱいが小倉チーズたい焼きだった。小倉あんの甘さを塩気のあるチーズが十分に引き立てて、チーズ独特の風味を小倉あんが宥めていて。お互いがお互いをフォローし合うのは何とも楽しかった。

「んー、美味しいですぅ!」
「おっちゃんのお料理は何でも美味しかったわね」
「おっちゃんも色々アイデア出せて楽しかったで! また来たってや!」

 上機嫌にヘラをカシャキーン! と打ち鳴らすおっちゃんに、食後のお茶を楽しむ二人は嬉しそうに頷くのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ミュー・ティフィア(サポート)
困ってそうですね。少しお手伝いしましょうか?

口調 (私、あなた、呼び捨て、です、ます、でしょう、でしょうか?)

基本的に誰に対しても友好的です。

時々うん、と相槌をしたり、敬語はやや崩れちゃったりします。

好きなものは紅茶です。
余裕があったら飲みたいです。

なるべくなら助けられる人は助けます。
復興のお手伝いとかは積極的に頑張っちゃいます!
現地の人達との交流やケアもしていきたいです。

もちろんオブリビオンや悪人には容赦なしです!
相手次第では手加減するかもしれないですけど。

ユーベルコードやアイテムは何でも使います。

いかなる場合でも公序良俗に反する事には関わりません。

不明点や細かい部分はお任せします。


シャーロット・ゴッドチャイルド(サポート)
ダークセイヴァ―の貧しい農村に生まれた聖なる力を宿した女の子です。暗い過去を背負った子ですが、いつも周りに気を使っていて笑顔を絶やしません。

ホーリー・ボルト~光の精霊の力で、光属性の魔法の矢を放ちます。
エレメンタル・ファンタジア~炎の精霊を呼び出し、炎の竜巻を巻き起こす。予想以上の威力のため、制御するのがやっと。
絶望の福音~10秒後の未来を予測する。
生まれながらの光~左の手のひらにある聖痕から他者を癒す。

「私は笑うって決めたの・・・じゃなきゃ、前に進めないもん!」

エロやグロに巻き込まれなければ大体のことは大丈夫です。



● お好み焼きとホットケーキたこ焼きと
 すすき野に現れた屋台の中から、おもてなし力が溢れ出していた。

「おもてなししたいー! おっちゃん、おもてなししたいんや! 粉モンやったら何でも出したんでー!」
「困ってそうですね。少しお手伝いしましょうか?」

 ヘラをカシャキーン! と鳴らすおっちゃんの屋台の暖簾を潜ったミュー・ティフィア(絆の歌姫・f07712)は、ベンチに座ると並ぶ鉄板を眺めた。「粉モンなら何でも」との言葉通り、ホカホカに熱せられた鉄板はいつでも焼けるし炒められるし、丸や鯛の形の型もスタンバイOK。力を発揮したがっていたおっちゃんは、ミューの姿に嬉しそうにヘラをカシャキーン! と鳴らした。

「おお! いらっしゃいいらっしゃい! 何にしはるん? たい焼き? たこ焼き? お好み焼き?」
「お好み焼き……って、どんなお料理なの?」

 ミューに続いて暖簾を潜ったシャーロット・ゴッドチャイルド(絶望の福音・f23202)は、少し首を傾げながらおっちゃんに尋ねた。シャーロットの質問にヘラをカシャキーン! と鳴らしたおっちゃんは、小麦粉と混ざったキャベツをシャーロットに見せた。

「よう聞いてくれはったなあ! お好み焼き言うんは、小麦粉と卵を溶いた生地にキャベツやらネギやら色々入れて肉やエビなんかを乗せて焼くんや」
「美味しそう。一枚貰えるかしら?」
「ええでええで! 一枚といわず何枚でもいったってやー! そっちのお嬢ちゃんはどない?」
「私もお好み焼きを頂戴」
「あいよ!」

 気軽に請け負ったおっちゃんは、上機嫌でヘラをカシャキーン! と打ち鳴らすと早速焼きに入った。待つことしばし。二人の前に出されたお好み焼きは、ホカホカと美味しそうな湯気を立てていた。

「わあ、おいしそう! いただきまーす!」
「いただきます」

 嬉しそうに割り箸を割り、早速お好み焼きに箸を入れる。パリッと焼かれた表面に塗られたソースの香りが食欲をそそり、焼き立ての生地から立ち上る湯気がかつお節を踊らせている。青のりがいい色を出した下には、豚バラ肉がつやつやな色で誘っている。

 口に頬張った瞬間、広がるキャベツの甘み。卵の入った生地を纏ったキャベツはほどよく食感が残り、自然な甘みが口いっぱいに広がる。キャベツが主役な中に広がる豚バラ肉の甘みと旨味、甘じょっぱいソースの香ばしさが食欲をそそる。

 美味しいお好み焼きを食べ終えたミューは、口の中に残るソースの余韻をお茶でさっぱりさせると、ふと湯呑を見つめた。

 食後の深蒸し茶はとても美味しくて、口の中がさっぱりする。そういえば緑茶と紅茶は発酵の違いだけで別の茶葉なのだという。そんなことを考えるミューを、おっちゃんは覗き込んだ。

「なんや? 食べたいモンあるんやったら遠慮のう言いや!」
「食べたいもの、というか……。私、紅茶が好きなの。緑茶と紅茶って、発酵させるかさせないかの違いだなって思って」
「じゃあ、おっちゃん。良かったら、紅茶に合うデザートたこ焼きを焼いてくれませんか?」

 ミューのつぶやきに、シャーロットが目を輝かせて提案する。そのリクエストにヘラをカシャキーン! と打ち鳴らしたおっちゃんは、ヘラをピックに持ち替えるといそいそとたこ焼き台の前に移った。

「デザートたこ焼きやな! おっちゃんに任せとき!」
「じゃあ、お願いするわね」

 早速生地をたこ焼き器に流し込むおっちゃんの手際を、シャーロットは興味深そうに見守った。やがて漂う甘い香りは、ホットケーキのような香りがして。やがて焼き上がったまんまるなホットケーキ生地のたこ焼きに、二人は頬を緩めた。

 円錐状に積まれたまんまるホットケーキたこ焼きにはクリームやジャム、チョコレートやメイプルシロップが添えられていて、いろいろな味が楽しめるようになっている。

「わあ、美味しそうですね」
「いただきまーす!」
「召し上がれや!」

 ホットケーキたこ焼きをフォークで取って、ナイフでクリームを乗せるとまるでパンケーキのよう。そして一口。ホットケーキの甘くてどこか懐かしい味わいにクリームを添えると、こってり丸い甘さが加えられて本物のケーキのような味わいになる。いちごジャムを一緒に食べればイチゴショートに、チョコレートソースを添えればチョコレートケーキにと様々味わいが変わるケーキに、ミューは目を細めた。

「美味しい! それにこの紅茶も美味しいです。アールグレイですね?」
「よお分かったなあ。さすがは紅茶好きはんや! おかわりどや?」

 嬉しそうに白いティーポットを掲げるおっちゃんから、おかわりのお茶をもらう。香り高い紅茶を楽しんだミューの隣で、シャーロットも嬉しそうな声を上げた。

「おっちゃん、何でも作れるんだね。まさかスイーツが食べられるとは思わなかったよ」
「せや! おっちゃんは粉モンやったら何でも作れるおっちゃんや! なんせ元祖やさかいな!」
「確かに、その名に恥じない実力ね」
「いやぁ、褒めたってなんも出えへんで! おかわりどや? 次は何作りましょ?」

 照れたように頬を掻くおっちゃんに、二人は次々とリクエストを送るのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

藤崎・美雪
アドリブ連携カオス大歓迎
東方親分同行希望

粉モンが食べられると聞いて来た
が、えっと…鉄板のおっちゃん…?

まあ、お腹は十分空かせてきたので
粉モンによるおもてなしを存分に堪能するとしよう

手始めにいただくのはたこ焼き
あ、シンプルに味わいたいのでソース掛けで
…このソース、味わい深いな
生地のサクッ、トロッ、感もまた素晴らしい

その次にお好み焼きだがが
個人的には広島焼きとやらも一緒にいただきたいのだよ
何、純粋な興味で食べ比べたいものでな
…ふむふむ、生地でキャベツを纏めるのも挟むのも、何方も美味し

ちなみに飲み物が必要になったら
指定UCでさっと用意して提供
いや、流石に口内が渇きそうなので

ごちそうさまでした



● おもてなし衝動大爆発!
 満月の浮かぶすすき野の中に、ぽつんとあるのは粉モンの屋台。
 山本の大親分と共にすすき野を訪れた藤崎・美雪(癒しの歌を奏でる歌姫・f06504)は、聞こえてきた念仏のような声に眉を顰めた。
「……でー。もてなすでー。おもてなしやでーやでーやでー!」
「な、なんだこの声は?」
「おっちゃんの声みたいだにゃ」
 風に乗って聞こえてくる声に駆け出せば、見える景色に美雪は思わず眉間に指を当てた。
 爆発したおもてなし力で出現させた見渡す限りの広場には、狭い間隔で鉄板付きのテーブルとベンチが並べられている。今も続々と増え続ける鉄板付きのテーブルの上では、焼きそばやお好み焼きなどなどが、ホカホカと湯気を立てながら誰か食べてくれるのを待っていた。
「おお、いい感じにもてなし衝動が爆発してるにゃ」
「とにかく止めるぞ!」
 遠い目をしながら屋台を眺める山本親分に、美雪は思わず裏拳ツッコミを入れる。増え続けるテーブルを避けながら走った美雪は、大暴走の元凶となった屋台ののれんを潜った。
「ちょっと落ち着け鉄板のおっちゃむぐ!」
「おお、お客さんやん! 駆けつけ一杯たこ焼きでええ……」
「むぐ、あむ……って、喋ってる最中に口の中にたこ焼きを突っ込むなー! ご当地怪人かお前は!」
 盛大なツッコミと共に放たれたハリセンが、すぱーん! と小気味よい音を立てる。目を回して後ろに倒れるおっちゃんの手から離れたたこ焼きの舟皿を受け取った美雪は、残りのたこ焼きを頬張った。
「……このソース、味わい深いな。生地のサクッ、トロッ、感もまた素晴らしい」
「お、おおきに……がく」
 周囲の地形を破壊しながら倒れ込んだおっちゃんは、力尽きたフリをするのだった。

● 粉モン大パーティー!
 おもてなし衝動が落ち着いたおっちゃんは、気の毒なくらいしゅんと肩(?)を落とすと上目遣いに美雪を見上げた。
「えろうすんまへんなぁ。猟兵の皆はんにおもてなししとったら、もっともっとおもてなししとうなってしもうてん」
「まあ、そういうものらしいからこれ以上は何も言わないが。……どうするんだ? この粉モンの海」
 ぐるりと首を巡らせた美雪は、見渡す限り続く鉄板テーブルと粉モンの海に思わずため息をついた。
「お腹は十分空かせてはきたが、さすがにこれだけの量は食べ切れないぞ」
「なぁに、こんな時には頼ってくだせえ。……どろん衆きませい!」
 東方親分が立ち上がり、手を上げ詠唱するが早いか。召喚に応じて現れたのは、東方妖怪のどろんバケラー達だった。親分の急な招集にも関わらず続々と駆けつけたどろんバケラー達は、鉄板テーブルの間にずらりと勢揃いすると礼の形を取った。
「「「お呼びですかい親分!」」」
「うむ。よく来てくれたにゃ皆の衆。見ての通り、おっちゃんのおもてなし衝動が爆発したにゃ。ここは皆でご相伴に預かるにゃ」
「「「へいっ! 合点でい!!」」」
 集まったどろんバケラー達は、親分の声に大歓声を上げた。化術を駆使しながら一斉にテーブルについたどろんバケラー達の姿に、おっちゃんは感動したように鼻をすすり上げた。
「おおきに親分!」
「ふむ。では私からは飲み物を出そう」
 親分の隣に立った美雪は、詠唱を開始するとたくさんの飲み物を作り出しては妖怪たちに給仕して回った。
「妖怪の年齢は分からぬのでな。とりあえず全部冷茶にしておいたぞ」
「おっちゃん、そこまでは気が回らんかったで!」
「まあ、実はこれが私の本業だからな」
「皆、行き渡ったかにゃ? それじゃ……乾杯にゃ!」
「「「「「乾杯にゃ!」」」」」
 親分の音頭に、一斉にグラスが打ち鳴らされる。賑やかに始まった粉モンパーティーに、美雪は出されたお好み焼きと広島焼きのハーフ・アンド・ハーフに目を輝かせた。
「個人的には広島焼きとやらも一緒にいただきたいのだよ。何、純粋な興味で食べ比べたいものでな」
 たい焼きを頬張る東方親分の視線に、美雪は箸をお好み焼きに入れた。お好み焼きは具材のほとんどを混ぜてから焼き、表面パリッと中はフワッとしていて、キャベツの食感が生きていて大変美味だ。他方広島焼きは、広げた生地に焼きそばや具材を重ねて焼くスタイルで、ヘラで切られた断面はミルフィーユのように美しい。味もまた格別で。
「……ふむふむ、生地でキャベツを纏めるのも挟むのも、何方も美味し」
「さあ、猟兵さんも親分もどろんバケラー衆も、じゃんじゃん食べたってやー!」
 ヘラをカシャキーン! と打ち鳴らしたおっちゃんに、大歓声が上がる。
 おもてなし衝動とおもてなし受けたい衝動が重なり合った賑やかな宴は、夜遅くまで続くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年06月28日


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#カクリヨファンタズム
🔒
#戦後
🔒
#山本五郎左衛門


30




種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は甲斐嶋・詩織です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト