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Encounter with the unknown

#クロムキャバリア #ご参加ありがとうございました! #『シュウェリン』



 クロムキャバリア北部にある都市国家『シュウェリン』は、いま大きな希望に湧いていた。
 都市の北にある山脈で起きた雪崩によって、新たにプラントらしき遺跡が見つかったのだ。

 古代の遺失技術によって作られ、国を支える元になっているプラント。クロムキャバリアの国にとってそれがひとつ増えるということは、そのまま国力の増強につながる。
 政府にとっても国民にとってもマイナスになる要素はなにひとつなく、自国の領内にそれが見つかったならば確保しない手はない。

 『シュウェリン』政府は、軍民のエキスパートを招集すると、早急に調査部隊を編成し、遺跡発見の三日後に先遣隊が、一週間後には調査隊の本体が遺跡に向けて出発していた。
 国として雪崩の後始末をしながらということを考えれば、これは驚異的な早さであった。プラントの確保というのはそれだけ優先されるものなのだ。

 そんな異例の早さで送り込まれた調査隊だが、順調だったのは遺跡周辺の調査を終えるまでだった。本体が遺跡に到着してから三日後である二日前に『内部への調査に入る』との通信を最後に連絡が途絶えてしまったのだ。

 調査隊の指揮官は『トラヴェ大尉』
 若いながらも将来を嘱望された有能な軍人で、未来の後方司令官と言われているほどの人物である。実戦指揮においては中の上といったところだが、情報や兵站の管理などでは現時点でも『シュウェリン』でトップクラスの能力を持っている。

 そんな人物が定期連絡を疎かにするとは考えにくい。
 なにかアクシデントがあったに違いないと考えた『シュウェリン』政府が、捜索隊の編成に入ったとき、猟兵たちがその地に降り立ったのは、そんなタイミングだった。


「クロムキャバリアにある、『シュウェリン』って国に異変が起こるらしいんだよ」
 菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)が、なんとも歯切れの悪い感じでそう言うと、
「異変とは?」
 と、集まってくれた猟兵たちからもっともな疑問が上がる。予知をしたにしては、情報があまりにざっくりしすぎている。

 その疑問に答えるように、理緒がホロディスプレイを展開する。
「十日ほど前に『シュウェリン』の北で雪崩が起こって、千年氷と言われていた氷河が流されてね。そこに遺跡の入り口みたいなものが発見されたんだ」

 ディスプレイが明滅すると、入り口の拡大映像が映し出される。キャバリアが三機くらい並んで歩いても余裕がありそうなくらい大きい。

「『シュウェリン』は新しいプラントを見つけたって、かなり盛り上がってるんだけど、いいことばかりではなくてね」
 理緒が言葉を切る。
「オブリビオンマシンでも封じられていたのか?」
 察しのいい猟兵のひとりがそう聞くと、理緒が頷く。
「うん。オブリビオンマシンが絡んでいることは間違いなくて、放置すると『シュウェリン』が壊滅状態になっちゃうことまでは解ったんだけど、そのオブリビオンマシンがね……」

 理緒が少し考えるようにして、話を続ける。
「いままでのどんなオブリビオンマシンとも違った感じなんだ。強いて言えばジャイアントキャバリアや生体キャバリアに近いんだけど、それともちょっと違う気がするんだよね。情報不足で申し訳ない」

 理緒は、ぺこり、と頭を下げてから猟兵たちに向き直ると、瞳がいっそう真剣になる。
「調査隊……先遣隊も本体も、救出は不可能、と思ってもらっていいと思う」
 少し、いやかなり険しい表情で状況を伝える。

「このままだと『シュウェリン』から出発する捜索隊も同じ目に遭うことになって、それがそのまま呼び水になって『シュウェリン』が壊滅しちゃうんだ」
 予知で見た光景を思い出したのか、理緒が瞳を伏せた。

「敵の情報が不確定なのは申し訳ないけど、『シュウェリン』の壊滅をなんとか阻止してほしいんだ。みんな、どうかよろしくお願いします」

 もういちど頭を下げてそう言うと、理緒はタブレットに指を滑らせゲートを開いた。


すい

 はじめまして、お久しぶりです。おはようようございます。
 オープニングに来てくださったみなさまありがとうございます。すい、と申します。

 クロムキャバリアで新しく見つかった遺跡で、なにか異変が起こっているようです。
 長い間氷の中に埋もれていた遺跡でなにがあったのか、なにがいたのか。
 遺跡と共に封じられていたなにかが『シュウェリン』を滅ぼしてしまう前に、敵を撃破していただきたいと思います。


 第一章は冒険です。
 遺跡の入り口付近と周辺を探索して、敵や調査隊の痕跡、遺跡の奧への道など、状況の調査をしていただけましたら、と思います。
 戦闘は発生しませんが、遺跡から漂う澱んだ雰囲気や敵の気配などは感じることができると思います。

『シュウェリン』でも猟兵のことは話題になっていますので、『シュウェリン』政府にあらためて捜索許可などを取る必要はありません。
『シュウェリン』からの捜索隊はついてきますが、遺跡そのものを破壊しようとしたりしなければ自由に行動できます。

 第一章のプレイングボーナスは『調査目標をしっかりと決める』です。
 どこで、なにを目的に,どんな調査をするのか教えていただけますとボーナスがつきます。

 第二章は集団戦です。
 遺跡内の通路で、猟兵を敵と認識した相手との戦いになります。

 第三章はボス戦です。
 遺跡の奧でラスボスとの決戦になります。

 第二章、第三章の前には断章を挟みますので、詳しい状況はそのときにお伝えしますね。

●キャバリアについて
 キャバリアをジョブやアイテムで持っていないキャラクターは、『シュウェリン』政府からレンタルできます。

●プレイングの募集について。
 第一章は断章がありません。オープニング公開後から受付、締め切りはタグにてお知らせしますね。第二章以降の募集と締め切りについてもタグにてお知らせいたします。

 それでは皆様の素敵なプレイング、お待ちしていますね。
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第1章 冒険 『廃集落捜索』

POW   :    重機やキャバリアで瓦礫を撤去。これは秘密の入り口か?

SPD   :    あたりを偵察。もしかしたら敵が潜んでるんじゃないか?

WIZ   :    文書などを捜索。電力が復旧すれば、確認できる記録もあるんじゃないか?

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開条・セサミ
・心情
プラントらしき遺跡と、謎のオブリビオンマシンか……
『シュウェリン』が壊滅する程やばい存在が出てくるっていうなら、どうにか防がないとな……

・行動
POWを選択
遺跡の入り口付近を探索し、遺跡の奥へ繋がる道を調査する
調査隊も敵も、奥へ向かったんじゃないのか……?とにかく、少しでも情報を集めていくぜ

・その他
アドリブ等は大歓迎だ!




 プラントらしき遺跡と、謎のオブリビオンマシン。グリモア猟兵の予知でも詳しい正体は掴めなかったようだが、都市国家とはいえ一国を壊滅させるだけのなにかが出てくる、もしくはいる。
「どうにか防がないとな……」
 開条・セサミ(カプセライザーGP・f30126)は、遺跡の入り口を見上げて呟いた。

 山の中腹に作られた入り口は、予知の通りキャバリア三機が余裕をもって歩けるほどの大きさがある。そして、その入り口から真っすぐに山の奥へと伸びる通路も、明らかに人の手によるものだった。
「洞窟を利用したというわけではないな。山をくりぬいて作られているのか」

 整えられた通路は、氷に埋もれていたからなのか、崩れたところもさほどなく、しっかりとしてはいたが気になる点も多々あった。

 そのひとつが調査隊のものと思しき目印とは別に、通路のあちこちについている傷である。

 入り口にも同じようなものがあったが、なにか鋭いもので抉られたような跡や、強い力を叩きつけられたような放射状のヒビなどがそこかしこに残っている。セサミがスキャンした結果から推測すると、どうやらこの傷をつけたなにかの大きさはキャバリアと同程度。出力も量産型のキャバリアクラスくらいはあるようだった。しかも、どれもまだ新しい。
「この傷をつけたやつが、調査隊の音信不通と関係があるのは間違いなさそうだな」

 ほどなく。傷痕を確認しつつ調査隊の痕跡を辿っていたセサミの前に、分厚い両開きの金属の扉が立ちはだかった。
 プラント防衛のためのものだとしてもずいぶんと分厚い。扉というよりも城門のような雰囲気のそれはがっちりと閉ざされてはいたが、最近になって開閉したような跡も見て取れた。

 扉脇にはポートが設置されており、そこから扉の開閉を行えるようなのだが、しかしそれよりも扉の中央付近につけられたこじ開けられたような跡が目を引く。

 推測されるこの扉の重さや強度からして、キャバリアでも1~2機では無理に開けられるようなものではないはずだ。それをこじ開けた形跡がある。
 この傷をつけた相手が今回でてくるなにかだとすれば、それはかなり規格外のものかもしれない。セサミはそんなことを思いつつ、とりあえずいちど入り口付近へと引き返していくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

桐嶋・水之江
なんだかとんでもない物が埋まってるみたいね
私が有効活用してあげるわ

今日はエレノアで行きましょうか
この機体は調べ物も得意なのよ

さてさて、音信不通という事は先遣隊も本隊も丸々いなくなっちゃったという事よね?
だって一人でも生き残ってたら救援要請を入れない理由が無いもの
そんな暇も無く全滅しちゃったのか、あるいは催眠の類でマインドコントロールでもされちゃったのか…
こういう時は行動履歴を探るのが鉄板よね
来なさい、グラン・エグザストロッド
干渉波を出してレッツハッキング
残された端末からデータを吸い上げるわ
何を見付けたのか、音信不通になる前に何をしていたのか…調査隊なんだから記録なり日報なりがあって当然よね




「なんだかとんでもないものが埋まってるみたいね」
 長い間氷に閉ざされた遺跡に埋まっていたもの。ならばそれは、今は必要とされていないもの。それなら私が有効活用してあげるわ、と、桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)がエレノアのコクピットで紫のポニーテールを揺らして呟いた。
 猟兵であると同時に超一流の科学者でもある水之江は、自らの知らない技術があるならば、それを研究し尽くし、フィードバックさせることに貪欲なのである。

 そんなことを考えながらも、同時に水之江は調査隊のことに思考を巡らせる。
 音信不通ということは、調査隊が連絡を取れない状態――最悪の場合は全滅――に陥っているということだ。
(そうでなければ、救援要請を入れない理由が無いものね)

 自らの推測を裏付けるように、入り口付近に張られていたベースキャンプは荒らされ、そこかしこに赤黒い液体が飛び散っていた。しっかりと設営されていたにもかかわらず、力まかせに蹂躙されたような状態だ。
 事態は最悪の道を辿っているかもしれない。そんな考えが頭をよぎるが、どちらにしても調査隊の隊員がいないであろうことは想定済みだ。

 水之江は【グラン・エグザストロッド】を喚び出すと、残されていた端末へとハッキングを開始した。
 端末が壊れていても記憶装置が無事なら問題はない。いや、記憶装置すら動かなくても中のデータが失われていなければいいのだ。【グラン・エグザストロッド】から陽炎のような干渉波が機材を包み記録されていたデータを吸い出していく。調査記録は媒体ごと破壊されてしまったようだったが、『トラヴェ大尉』の日誌のデータはなんとか引き出すことが成功した。
「日誌だけでも見られて良かった。さて、なにがあったのか」

『『シュウェリン』北部遺跡調査日誌』
・8の月13日
 北部遺跡に到着。周辺の地形図やベースキャンプのポイントなど先遣隊はよくやってくれていた。ただ遺跡周辺の様子は気にかかる。千年氷の割れ方が通常の雪崩のそれとは違うように思う。こちらも調査が必要かもしれない。

・8の月14日
 遺跡入り口の通路奥に巨大な扉を発見。ポートから開閉コードを送ることで開くシステムのようだ。だがポートを使用した形跡はないのに扉が開けられた痕跡がある。通路内にもぬめっとした殺気を感じられるし、これは想像以上に危険な任務になりそうだ。

・8の月15日
 端末のポートを発見して丸1日、やっと扉の解除コードの解析に成功した。これで明日から遺跡内部への調査に入れる。隊員達には装備を調えさせ、よりいっそうの注意を促さなければ。

「遺跡に着いてからの日誌はこの3日分。そして16日に『遺跡内部の調査に入る』という定時連絡を最後に音信不通、ね」
 吸い出したデータをざっと確認した水之江が端末に目を落とすと、その端にわずかに赤黒いものが付着しているのに気がついた。
(やっぱり全滅のほうかしら)

 ふぅ、とひとつため息を吐いて、水之江は捜索隊のキャンプへ戻っていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

シャルロット・バニー
遺跡探索ですね
わざわざウサウサになる必要もないので、シャルちゃんのままでいっちゃいますか!

他の皆さんは、ここでもキャバリアに乗っての調査なのでしょうから
私は人の目線で細かな所をしっかりと調べましょうね
先遣隊の痕跡を調べつつ慎重に先に進み
できれば遺跡の記録…書物の類があればいいですけど、あるいは機械や設備のマニュアルとか…それもなければ石碑とか、そういった記録を探しましょう
例えあたりが薄暗かろうが私は機械知性、目はライトとなって光りますし、明かりには困りませんとも

得た記録は電子頭脳に格納、国のデータベースと交信して調査できればいいですね

もちろん、先遣隊や敵の気配などは意識しますよ



「今回は探索ということですし、シャルちゃんのままでいっちゃいますか!」
 キャバリアでの探索をする人が多いだろう。そう考えたシャルロット・バニー(ヴォーパルバニー・f30079)はあえてセンサーなどに頼らず、キャバリアでは見落としがちな細かなところを、自らの感覚を頼りに調査していくことにした。

 手がかりを求めて訪れたベースキャンプは襲撃されたようで、そこかしこに赤黒いなにかと青い粘液をこびりつかせた状態で壊滅してしまっていたが、調査隊が遺跡内へと向かった形跡は残されいる。

 調査隊の足取りを辿るようにベースキャンプから遺跡の入り口へと向かう。その途中、シャルロットは奇妙な文様の描かれた四角い石柱を見つけた。
(雪崩でどこかから流されてきたのでしょうか?)
 そう思ったが、よく見れば石柱は根元からぽっきりと折れていて、その土台と思しきものがそう離れていないところにある。
(どうやらこれはここに立っていたもののようですね)

 折れているということも気になったが、それ以上にシャルロットは文様が気になった。なにかの法則に基づいて刻まれているように感じたのだ。
 石碑のようなものなのかもしれない。そう思ったシャルロットは、瞳からの光で文様を際立たせると、それをイメージとして自らの電子頭脳に記録していく。
「あとはこれを……」
 捜索隊から借りておいた通信機にアクセスし、『シュウェリン』のデータベースでイメージ検索をかける。
 ほどなくして得られた検索結果は、古代帝国時代にこの地方で使われていた文字。いわゆる古代文字だった。
「これは遺跡内部の手がかりになるかもしれません」
 データベースでさらに検索をかけ刻まれた文字を単語として解読していく。
「えっと、この単語は『プラント』……ですね」
 どうやらこの施設はやはりプラントのようだ。だがまだ文字が刻まれている。どうやらただのプラントというわけではないらしい。
「バイオ……ラボ……ということは『生体研究』のためのプラントですか?」

 口に出し、シャルロットがぞくりと身を震わせた。
 プラントで行う生体研究。それはたいていの場合『生体キャバリア』の製造・研究・実験の施設ということになる。

 ここがほんとうに『生体キャバリア』のプラントだとしたら、氷で封じられていたものがなんなのかは想像に難くない。そしてそうだとすれば、調査隊の突然の音信不通も、空っぽのベースキャンプも、いろいろなことの辻褄があってくる。

 シャルロットが遺跡の入り口を見つめる。このまま内部へと向かうには準備が足りなさすぎる。装備を整え、あらためて全員で臨んだ方がいいだろうと判断すると、入り口から染み出てくるような澱んだ空気に気持ち悪さを感じながら、捜索隊に合流するために、来た道を引き返すのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

フレスベルク・メリアグレース
【ワンダレイ】
ドクターが言っている通り雪崩が起きて復興も間もない直後に調査隊を派遣するのは性急に過ぎます
プラントと言う大宝物であるからこそ、本来は慎重を期すべきの筈
わたくしは捜索隊内のメリアグレース聖教の信者等にから調査隊の詳しい詳細を聞き出し、その話を介して親しくなった捜索隊の人に頼んで調査隊の痕跡を精査してもらいます

バルタンさん、わたくしも調理手伝います
そう言って施設の子供たちに職員として高度な料理を振舞った過去からバルタンさんのエビアボカドサンドとクラムチャウダーの調理を手伝います
海鮮料理は、聖教皇国の特産物ですので好きなんです
そう言ってクラムチャウダーをお椀に注いでメンバーに振舞います


バルタン・ノーヴェ
【ワンダレイ】SPD アドリブ連携歓迎!

なるほどー。
スムーズな調査隊の動向も、トラヴェ大尉が「どこ」に「なに」があるのか知っていたら、悩むことなく進めマスネー。
OK、慌てず急がずじっくり調査を進めて進みマショー!

それでは、メイン調査を担当される捜索隊のエブリワンやリリー先生に兵糧を提供しマース!
フレスベルク殿と共に栄養補給と士気の維持のため、温かくおいしい料理を作りマショー!
材料を格納型メイド用キッチンから取り出しまして、クッキング!
エビアボカドのサンドイッチと、クラムチャウダーの完成デース!

すぐに食べれない人には、蓋つきのボトルやケースに入れてお渡ししマース。
皆さん、頑張ってくだサーイ!


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【ワンダレイ】
※『ナインス・ライン』搭乗中
※『リリー先生』『ドクター』等別称を好む
※バルタンさんは『バルたん』呼び

プラント狙いでも雪崩現場へ踏み込むには焦りすぎ
トラヴェ大尉、何かに惹かれてたのかね?

一方で敵キャバリアの仕様も不明瞭だし
ココは『大尉達が何に惹かれたか』を探る
アタシの役は遺跡等の残留物分析だね

【マッドネス・メモリーズ】開始
(実時間で)数分以上掛けて分析
フレスベルクさんの情報と付き合わせ
より確実な推測を組み上げていくよ

あー、電脳と思考の酷使で血糖値がモリモリ下がる…
お、バルたん達の差し入れ?片手でコンソール叩きつつ
クラムチャウダーとエビアボガドサンドに舌鼓っ
ありがと、ブドウ糖補給ー♪




「プラント狙いとはいえ雪崩現場へ踏み込むには焦りすぎだね」
 【ナインス・ライン】のモニター越しに雪崩の跡を見て、リーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)が少し呆れたように呟く。
「ドクターの言う通りです。雪崩からの復興もまだ途中なのに、調査隊を派遣するのは性急に過ぎます。プラントと言う大宝物であるからこそ、本来は慎重を期すべきの筈なのに」
 出発前『シュウェリン』近くにまで雪崩が届いていたのを確認したフレスベルク・メリアグレース(メリアグレース第十六代教皇にして神子代理・f32263)が生真面目に返す。猟兵でもあるが国主でもある彼女にとって、国とは国民あってのものであり、国益につながるものなればこそ丁寧に扱うものだと考えたのだろう。

「政府か『トラヴェ大尉』がなにかに惹かれてたのかね」
 グリモアの予知では、『謎のキャバリア』などという話も出ていた。それがオブリビオンマシンならば、その可能性は十分にあるとリーゼロッテは考えている。

 それを聞いたバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)が、なるほどー、と言いながらぽんと手を打った。
「『トラヴェ大尉』が「どこ」に「なに」があるのか知っていたら、調査隊も悩むことなく進めマスネー」
 もしも『トラヴェ大尉』がオブリビオンマシンの影響を受けていて、調査隊が洗脳されてプラントに立て籠もっているのだとしたら、長期戦もあり得るかもしれない。それならば……。
「慌てず急がずじっくり調査を進めて進みマショー!」

 バルタンはそう言って【ナインス・ライン】に一礼すると、捜索隊のキャンプのほうへと向かっていった。

「それではわたくしも捜索隊のみなさまに聞き込みをして参ります」
『アタシも遺跡の調査と分析……なにがでるのか確かめてくるかね』
 そう言うと、フレスベルクはバルタンの後を追うようにキャンプのほうへ、リーゼロッテは【ナインス・ライン】を遺跡へと向かわせた。


 『シュウェリン』は宗教国家ではない。ゆえにある程度以上の規模がある宗派の信者は数の多寡はあれど存在する。それはもちろんこの捜索隊にも当てはまることだ。つまり『メリアグレース聖教』の信者も捜索隊内にいるということだ。

「少しお話ししてもよろしいですか?」
 遺跡までの移動中、捜索隊の中で見つけた信者の隊員が一人になったところで、フレスベルクが話しかける。

「猟兵さんか? なんだ、なにかあった……」
 言いかけて、その隊員の目が見開かれた。
 緑の瞳、琥珀色の髪、そしてなにより身に纏った純白の天衣。隊員は自分の見ているものが信じられなかった。ぐるぐるまわる思考にいまにも倒れそうになりながら絞り出した言葉は、
「ほんもの?」
 という、なかなかに失礼なひと言だったが、そんな隊員を見てフレスベルクは、
「もちろんです。空への憧れを抱く同胞と思い、お声がけしてしまいました」
 と笑ってみせる。

 その笑顔に隊員は「光栄です!」と背筋を正して答えた。声を出して少しだけ緊張が解れたのだろうか、なんとか話が聞けそうなくらいには思考を取り戻したようだ。

「そういえば『トラヴェ大尉』とはどのような方だったのでしょうか?」
 キャンプチェアに腰掛け他愛のない話をしばし。場の空気を和ませたところでフレスベルクが切り出した。 
「大尉ですか? そうですね調査隊の指揮官としては頼もしいのではないかと思います」
 少し考えた隊員は、言葉を選びながら、といった感じで話してくれた。
 しかし、なぜ? と問う隊員にフレスベルクは、
「為人をを知ることは捜索にとっても大事なことですので」
 感謝の意を表しそう言うと、貴重なお話しをありがとうございました、と静かに頭を下げた。

「……教皇さま」
 立ち上がりかけたフレスベルクを隊員が呼び止める。隊員は少し話しづらそうにしていたが、こちらを見るフレスベルクとしっかりと目を合わせ、意を決したように話し始めた。
「隊内では箝口令の敷かれていることなのですが、やはり教皇さまに隠し事はできません」
 隊員の話では、今回起きた千年氷の雪崩。これがどうやら天災的なものではない可能性があるらしいのだ。
 雪崩が起きる前に衝撃音を聞いたという証言が多数。そしてさらに謎の光が山に吸いこまれていったという目撃証言も少数だが上がってきているという。
 政府はその報告を受けて今回の強行調査に踏み切ったらしい。

 猟兵にも知らされなかった『シュウェリン』の内部事情。
 オブリビオンマシンとの関連は解らないまでも大きな手がかりを手に入れ、あらためて隊員にお礼を述べるとフレスベルクはその場をあとにした。


 フレスベルクよりひとあし先に捜索隊のキャンプに入ったバルタンは、空いているスペースに【格納型メイド用キッチン】を展開していた。
 『シュウェリン』から遺跡までの道中は野営だったので、食事もレーションがメインで、満足なものは食べられていない。
 ならばキャンプという拠点ができたいまなら、まずは食事に気を遣い英気を養うべきと考えたのだ。

 歴戦の戦士でもあるバルタンは食事の重要性をよくわかっていた。戦場で温かいもの、美味しいものをしっかりと食べられるということは、なにより士気をあげてくれるのだ。

 少し思案し、キッチンから材料を取りだしていく。エビとアボカド、玉ねぎ、トマトにクリームチーズ。
 エビはボイル、トマトと玉ねぎは軽く焼き目をつけて、『シュウェリン』の黒パンに挟む。ソースは刻んだゆで卵、クリームチーズ、マヨネーズに唐辛子を和えたレッドタルタルだ。
「メインはこの『エビアボカドのサンドイッチ』でいきまショー! でもあともう一品、なにか温かいものが欲しいデスネ」

 頭の中であれこれとレシピを検索していると、
「クラムチャウダーなどいかかでしょうか?」
 と、聞き込みを終えキッチンへと顔をだしたフレスベルクがバルタンに声をかけた。

「それならエビアボカドのサンドイッチにもあいマスネ」
 バルタンが賛同の意を示しつつ、アサリにキノコ、ニンジン玉ねぎベーコンにバターとジャガイモなど材料を並べていくと、フレスベルクはそれを手に取り、
「聖教皇国の特産物ですし、海鮮料理は好きなんです」
 少し楽しそうに言いながら手際よく下ごしらえをしていく。やはりごはんは士気を高めるようだ。

 アサリは白ワインと水で蒸し煮に。それをにんじん、玉ねぎ、きのこ、ベーコンを炒めたものと混ぜて、アサリを煮たスープを加え、牛乳とマッシュしたポテトを伸ばしたものをさらに加えて仕上げていけば、とろりとしたポタージュ風のクラムチャウダーができあがる。

「美味しいです」
「美味しいデスネ」
 こくりと一口。味見を終えた2人の声がハモった。レシピを決めた2人は【バルタン・クッキング】で捜索隊の分まで食事を作ると、サンドイッチはバスケットに、クラムチャウダーはボトルに入れて、【まずは腹ごしらえ(ミール・タイム)】を使いながら捜索隊に配っていった。

 温かい食事は人の心の壁を取り除くにはかなり有効な手段だ。2人は料理を渡しながらも、捜索隊からの情報収集も忘れない。
 料理もひととおり配り終え、得られた情報をまとめてみても『トラヴェ大尉』の様子や評判に不審な点は見られなかった。調査隊の編制や準備、そして隊の運用や統率も、操られているとは思えない理性的な手腕で大尉の軍人としての有能さを裏付けている。

 それともうひとつ。遺跡とは関係がないかもしれないけど、と教えてくれたのが、この雪崩が表層雪崩ではなく、全層雪崩だということ。
 たしかに繋がりとしてはないように思うが、リーゼロッテならばそれも材料になるのかもしれない。

 バルタンは捜索隊から得た情報をデータにまとめると、遺跡で分析をしているリーゼロッテに料理とともに差し入れるため、入り口へと向かっていった。


 リーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)は、遺跡の痕跡、残留物を調べるために入り口付近の通路を詳細にスキャンしていた。
 まず目についたのが壁や床についている爪で引っ掻いたような傷と放射状のヒビ。
(調査隊の足跡の上からだね。ということは、調査隊が中に入ったことが引き金?)

 傷の大きさから推測すると、大きさは量産型のキャバリアよりひとまわり小さそうに思える。だがヒビの入り具合からみて、出力は通常のキャバリアと同程度かそれ以上はあるようだ。

 そして次に、通路のところどころにこびりついている赤黒いものと青い粘液状のもの。
(赤黒いほうはスキャンの必要もないね。)
 それはリ-ゼロッテにとって見慣れたもの。血だ。
 しかし青い方が解らない。生体キャバリアの『血液』に似てはいるが、構成が違う。これでは稼働しないはずだ。もししたとしてもそれは一瞬で、キャバリアのほうが耐えられないだろう。

 推理するにしてもまだ情報が少なすぎる。リーゼロッテがさらに多くの情報を得るため【ナインス・ライン】を奥へ進ませようとしたとき、
「リリー先生、差し入れデース!」
 バルタンが料理と捜索隊から得た情報を差し入れにやってきたのは、ちょうどそんなタイミングだった。

 バルタンの持ってきてくれた情報によれば、遺跡に着くまでの『トラヴェ大尉』に不審な点は見られなかったらしい。この早急な調査隊の派遣は「大尉が惹かれていた」というよりは「政府が焦っていた」ということのようだ。
 だけど、のこり3つの大きな情報……雪崩前に見えた謎の光と、同じく雪崩前に聞こえた衝撃音。それと雪崩が表層雪崩ではなく全層雪崩だということ。これはなかなか気になる点だった。

「多少時間もらう……ねっ♪」
 新たに得られた情報を加味して、リーゼロッテが【マッドネス・メモリーズ】を発動させる。ユーベルコードに瞳が輝き虹彩が薄れると、予測演算状態に入ったリーゼロッテの身体が【ナインス・ライン】のシートに沈んだ。

(謎の光の正体は不明だけど、それが山に激突したことが雪崩の原因なのはほぼ確定だね)
 雪崩で露わになった山肌に遺跡を発見した『シュウェリン』政府は、それを周辺国が行った強行偵察もしくは攻撃と判断。
 本格的な戦いが起きる前に遺跡の所有権を主張するため、編成・調査などの仕事に長けた大尉を指揮官に任命して送り込んだ。
(こんなトコかね。しかし発見と偵察の順番が違ってるのを無視するとは、よほど焦っていたってことか)
 しかし調査隊はなにかの襲撃を受けて壊滅。このなにか。
(今いちばん可能性が高いのは、新型の生体キャバリアってことになるけど……)

 軽い目眩を覚えて意識が引き戻される。気付けば数分もの時間が経っていた。
 通常なら刹那で終わる解析に数分以上の時間を費やしたということは、それだけ不確定要素が多かったのだろう。
「電脳と思考の酷使しすぎ……血糖値がモリモリ下がった……」

 ため息を吐いたリーゼロッテがコクピットを開くと、ハッチの前にバスケットとボトルがぶら下げられている。
「お、バルたん、差し入れここまで持ってきてくれたのか。 ありがと、ブドウ糖補給ー♪」
嬉しそうにクラムチャウダーとエビアボガドサンドに舌鼓を打ちつつ、リーゼロッテの片手はコンソールを叩き続けていた。
 なぜならまだ、消えた調査隊と大尉の行方は解っていないのだから。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

セレーネ・ジルコニウム
【家出娘】
「生体キャバリア……まさか?」(顔が真っ青

だ、だいじょうぶです、フィラさん。
この国を滅ぼさせるわけにはいきません。

「はい、いざというときには守ってくださいね、フィラさん……」(袖先をぎゅっ

キャバリア、ナズグルに搭乗して遺跡を探索しましょう。
はい、フィラさんの機体からは絶対に離れません。

「ふぇっ、虫っ!?
いやああっ!」(涙目でコックピットから飛び出す

あ、あの、もう虫、いませんか?(フィラさんに全力で抱きつきながら

って、キャバリアから降りて気付いたのですが、あそこの物陰、なにかありませんか?
なんか人の形をしてそうな……

「え、私はキャバリアで待ってろ?
気をつけてくださいね、フィラさん」


フィラ・ヴォルペ
【家出娘】
大佐、大丈夫か?
見捨てておけないのはわかるが
もう一人も情報収集で出払ってるし
大佐自身がキツいならパスしていい案件だぞ?
行くなら、全力で守ってやるよ
ってうおっ?!(どうしていいかわからない22歳

シュウェリンから量産型キャバリアを借りる

出来れば地の利を把握したいところだが
なんだこの殺気まみれの遺跡
大佐離れるなよ?
中は戦闘には支障ない広さ、だな
まあ大立ち回りしなきゃ大丈夫だろ

しかしなんかこう、虫とか出て…
って何で外に飛び出してきた大佐?!
あ、いや、すまん俺が悪かった
大丈夫、大丈夫だ(抱きつかれながら頭撫でながら

ん?あっちか?確かに何かきな臭い
俺が見てくる
大佐はナズグルに乗って待機してな




「生体キャバリア……まさか?」
 グリモア猟兵の発した単語にセレーネ・ジルコニウム(私設軍事組織ガルヴォルン大佐・f30072)の顔が青ざめる。
「大佐、大丈夫か?」
 そんなセレーネの様子を見て、フィラ・ヴォルペ(レプリカントのアームドヒーロー・f33751)が心配そうに声をかける。
「だ、だいじょうぶです、フィラさん。この国を滅ぼさせるわけにはいきません」
「見捨てておけないのはわかるが、今回は俺しかいないし、大佐がキツいならパスしていい案件だぞ?」
 これまでは3人で行動していたが、今回はセレーネとフィラの2人きりだ。無理をしてまで参加するものでもない。だが……。
「行くなら、全力で守ってやるよ」
 沈みかけた雰囲気を振り払うようにフィラがセレーネに笑いかける。笑顔のチャラさに反して、その言葉は歴戦の戦士に相応しく頼もしい。
「はい、いざというときには守ってくださいね、フィラさん……」
 その言葉にセレーネは俯きながら答えると、フィラの袖をきゅっと握りしめた。
「……っ?!」
 くん、と、引っ張られた袖から伝わる力は『大佐』とは思えないほど弱々しい。
 セレーネの年相応な仕草にどう対応すればいいのか。悩んだ末にフィラが出した答えが『頭を掻いて目を逸らす』だったのは、優しさなのかヘタレなのか。フィラ自身も判断に迷うところだった。


 ブリーフィングでのセレーネの様子を思い出し、フィラは『ナースホルン』のコクピットで小さく息を吐いた。
 『シュウェリン』からキャバリアを借り受けるときに選んだ『ナースホルン』は量産型ではあるものの装甲とパワーに優れている、いざというとき盾にもなれるようにとの考えがあってのことだ。
(できれば、そんなことがないのが一番なんだがな)

 そう思いながら、セレーネをエスコートするように機体を遺跡の入り口へ滑り込ませ……それが叶うことはほぼなさそうだと思い直した。

(なんだこの殺気まみれの遺跡)
 入り口からすでに空気が違う。キャバリアの装甲越しにも肌がちりちりするような濃い殺気が遺跡の奧からまとわりついてくる。
「大佐離れるなよ?」
 少し後ろを『ガルヴォルン製量産型キャバリア・ナズグル』で着いてきているセレーネに、フィラが注意を促す。
「はい、フィラさんの機体からは絶対に離れません」
 セレーネも歴戦の猟兵である。その空気は感じているのだろう。不安そうな声音はまだ本調子とは言い難かったが、それでもしっかりとした口調でフィラに返事を返す。

「戦闘には支障のない広さ、だな」
 『ナースホルン』を通路の奧へと進ませながらフィラが呟く。通路だけに地の利を生かして、というわけにはいかなさそうだが、逆に言えば、不意打ちなどを受けて大立ち回りをすることにならなければ『守る』という点では動きやすそうだ。セレーネもそれを解っているのか、遺跡に入ってから『ナズグル』は『ナースホルン』の右後ろにぴったりとつけ、接触通信状態のまま離れることがない。

 それを確認したフィラが少しだけ安堵の息をつく。肌に刺さるような殺気はあいかわらずだが、これならセレーネを危険にさらすことはないだろう。しかし余裕ができると軽口もでてしまうののいいところでもあるが、欠点でもある。

「しかしなんかこう、虫とか出て……」
「ふぇっ、虫っ!?」
 フィラが言い終える前に、セレーネの怯えた声がコクピット内に響いた。
「いやああっ!」
 悲鳴と共に『ナズグル』が急停止し、セレーネはハッチを開くと『ナースホルン』に向かって――いや、フィラに向かって――コクピットから飛び出した。

「大佐?!」
 それを見たフィラが慌ててハッチを開き、自身もコクピットからジャンプすると、空中でセレーネを抱き抱えると、そのままキャバリアの足元に着地した。
「って何で外に飛び出してきた大佐?!」

 怒るというよりは驚きに声を上げてフィラがセレーネを見る。
「……あ、あの、もう虫、いませんか?」
 セレーネが目を瞑り、フィラの首に全力で抱きつきながら震えた声で尋ねた。
 奥歯の鳴る音が、小さく、けれどしっかりとフィラの耳を打つ。
(しまった……!)
 これはちょっと迂闊だった、とセレーネを抱えたフィラの腕に一瞬力が籠もる。

「あ、いや、すまん俺が悪かった。大丈夫、大丈夫だ」
 フィラはセレーネを立たせると、あらためて片手で抱きしめ優しく頭を撫でる。それに安心し、落ち着いてきたのか、セレーネの腕の力もだんだんと緩み、解けていく。

 しばし流れる無言の時間。
 なんとか落ち着きを取り戻したらしいセレーネが、今度はフィラの後ろの闇をじっと見つめている。
「そういえば、キャバリアから降りて気付いたのですが、あそこになにかありませんか?」
 セレーネが暗がりを指さして身を竦める。
「ん? あそこか? 確かに何かあるっぽいな」
 セレーネの指した先、闇の中にぼんやりとなにか見える気もする。フィラは目を凝らしてそれを見定めようとするが、さすがに暗くて確認まではできない。

「俺が見てくるからセレーネは『ナズグル』に乗って待っててくれ」
 フィラはそう言うと、セレーネの頭をぽんぽんと撫でるように叩いて、澱んだ闇へと足を向ける。
「あ、はい。私、待っていますね。気をつけて……早く帰ってきてくださいね、フィラさん」

 真っ白な一軒家の前で聞けたらテンションが上がりそうだ。そんな風に思いながらフィラは闇へと入り込んでいく。

 ぼんやりとしたなにかも、闇に目が慣れていくにつれその正体が見えてきた。
(……これは大佐には見せられないな)

 そこにあったのは、赤黒い染みと青い粘液のこびりついた大きな腕らしきものと、その腕にがっちりと掴まれ、もぎ取られたらしい人の足だった。
(生体キャバリアがビンゴっぽいな。そうなると調査隊は……)
 溜まっていた息を吐き出し、転がっていた腕を闇の奥へと蹴飛ばすと、フィラはセレーネのところへ引き返した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『エヴォルグ量産機』

POW   :    ヴォイドレーザー
【口内から無作為に分岐するレーザー】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    リボルティックスピア
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【自身から分離した触腕】で包囲攻撃する。
WIZ   :    EATエンジン
自身の【エネルギー補給機能を起動。自身】が捕食した対象のユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、[エネルギー補給機能を起動。自身]から何度でも発動できる。
👑11
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 猟兵と捜索隊の情報を精査した結果、調査隊が襲われたことは間違いなく、襲ってきた相手が生体キャバリアであることもほぼ確定という結論に至った。かすかな希望があるとすれば、まだ『トラヴェ大尉』をはじめとした調査隊隊員たちが『行方不明』であり、生存の可能性もゼロではないということだろう。
 しかし、それもほんのわずかな可能性――おそらくはコンマの確立――であるということを全員が解っていた。

 ならば、本来はしっかりとキャバリア用の装備を整えてから向かうべきなのだろうが、やはりそこまで時間をかけられる状況ではなかった。調査隊には捜索隊の友人だっているのだから……。

 そんな事情もあり、突入は翌朝という決定が下される。

 時間はないこともあって、立てられた作戦は至極シンプルなものだ。
 調査隊を襲った相手が暴走したキャバリアである以上、戦闘になる可能性が高いが、キャバリア用装備のない捜索隊が戦力として有効とは思えない。よって戦闘は猟兵に任せ、捜索隊は扉を開放した後は一度入り口まで後退して待機。中での騒動が片付いてから改めて内部を捜索してもらうことになっている。
 つまりは猟兵たちが抜かれれば、捜索隊も調査隊と同じ運命をたどるだろうということだ。

 そして、作戦開始の時間がやってくる。

「開けるぞ!」
 捜索隊のエンジニアが扉の開閉機構のみを稼働させ、ポートから開扉コードを入力すると、重いはずの扉が思ったよりも静かに開いていく。

 開いた扉の向こうにあったのは、闇だった。

 まだ光が届き、ほの明るかった通路とは全く違う、人の手により光を遮られ、作り出された闇。
 そして、闇に遮られ、見通せない扉の奥から漏れ出てくる、キチキチ、という固いものがこすれるような音と、瘴気混じりの殺気。

 外部からのスキャンによれば、この扉の奥はホール上のかなり大きなスペースになっている。キャバリアでの大立ち回りをしても、そうそう崩れることはないだろう。
 闇の奥に潜む敵に向けて、猟兵たちの突入がはじまる。

 --マスターより--
 今回は暗いホール内での集団戦になります。
 ホール内のためあまり高く飛んだりすることはできませんが。戦略兵器クラスの広範囲殲滅兵器などを使わなければ、崩れたりすることもありません。

 プレイングボーナスは、暗さをなんとかして戦うこと、になります。
 闇自体は相手の領域ですので、暗さを利用して戦うことはボーナスに含まれませんのでご注意ください。
開条・セサミ
・心情
ちっ、面倒なフィールドだな!?
わざわざ相手に有利な状況で戦うのもあれだしな……どうするか

・戦闘
戦場の状況を【戦闘知識】で分析し、ユーベルコード「ウェポンズ・トランスポート」でこの戦場に最適な武装を転送するぜ!
敵の攻撃は【盾受け】で防ぎつつ、【ランスチャージ】で反撃といこうか!!!

・その他
アドリブ等は大歓迎だ!




 扉の中に踏み込めば、そこは光の届かない世界。センサーに写る光点が敵と味方の位置は教えてくれるものの、モニターに写るのは一面の闇だ。
「ちっ、面倒なフィールドだな!?」
 センサーで敵との間合いをはかりながら、開条・セサミ(カプセライザーGP・f30126)が思わず毒づく。
(手持ちの武器ではちと心許ないか)
 素早く状況を確認したセサミは、迷わず【ウェポンズ・トランスポート】を発動し【ジュークボックス】が起動させると、
『analysing……complete.come up with the optimal solution.Transfer of weapons.』
 サブディスプレイに文字列が流れ、装備が機体に転送されてくる。

「【ストライクグレイブ】と【ガントレットシールド】……それと肩のこれはランチャーか?」
 機体に装着された装備を確認したセサミが、含まれていた射撃装備を少し怪訝に思う。暗闇での射撃など攻撃として精度のよいものではない。しかし【ジュークボックス】の解に間違いがあったこともない。
 計器射撃をしろということなのだろうか。と考えているうちに、セサミに閃きが走った。
「そうか!」
 確信し、ランチャーのトリガーを引く。響いたのは、ボシュン、という軽めの射出音。砲弾特有の重い発射音ではない。
 しかしそれは予想通り。
 角度をつけた砲身から放たれたそれは天井付近で炸裂すると、まばゆい光を放ってホール内を照らしながらゆっくりと降下してくる。

 そう、ランチャーに装填されていたのは照明弾だったのだ。
 わざわざ相手に有利な状況で戦う必要などない。暗いのならば明るくすればいいのだ。

 照明弾の光を受けて、敵の姿が露わになる。長い触腕、筋肉のみが発達した身体と足、尖った槍のような尾、そして、つるりと仮面を被ったような無貌。
「やっぱりこいつらか!」
 生体キャバリア『エヴォルグ』シリーズ、その量産型。

 突然光に晒された『エヴォルグ』がそれを嫌うようによろめき、体勢を崩して、セサミを貫こうと振り上げていた尾の速度が鈍った。
「それじゃあ俺はやれないな」
 セサミが不敵に笑いながらそれを【ガントレットシールド】で受けとめ、弾き飛ばすように流すと、がら空きになった『エヴォルグ』の脇腹に【ストライクグレイブ】での渾身の【ランスチャージ】が突き刺さった。

 神速一閃。『エヴォルグ』の反対側の脇の下から覗いた穂先が、青い血を滴らせる。そのすさまじい威力に『エヴォルグ』たちの動きが止まった。
 【ストライクグレイブ】を大きく一振りし、突き刺さったエヴォルグを取り巻いていた群れへと叩きつけたセサミは、
「いかせてもらうぜ!」
 と、ペダルを踏み込み、槍を構えなおした機体が突撃をかければ、怯んだ『エヴォルグ』の群れは楔を打たれたように切り裂かれていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

桐嶋・水之江
あらあら、変なのが出てきちゃったわね
ここはバイオキャバリアの製造プラントだったのかしら?
さしずめ調査隊はアレにもぐもぐされたんでしょうね
でもなんで扉が閉められてたのかしら?
勝手に閉まった?それとも調査隊が自分達ごとバイオキャバリアを閉じめ込めようとしたのかしら?

それは兎も角、暗くてやりにくいわね
じゃあ明るくしましょうか
施設の非常灯位はまだ残っていそうね
扉の端末をグラン・エグザストロッドでノックしてハッキング
そこから非常灯の電力制御板まで遡って照明をオンにしましょう

触手?そういうプレイに付き合う気分じゃないの
私秘伝の抜刀術で斬り払ってあげるわ
お返しにホーミングレーザーで纏めて掃除してお終いよ




「まったく、暗くてやりにくいわね」
 闇に閉ざされたホール内に踏み込んで、桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)がめんどくさそうにひとりごちる。
 肉眼で見えないというだけで【アークレイズ・エレノア】のセンサーは敵をしっかりと捉えており、計器戦闘もできなくはないが、やはり見えないというのは戦いにくいものだ。

「それなら明るくしましょうか」
 水之江がコンソールに指を滑らせると、闇の中、静かに【グラン・エグザストロッド】が喚び出され、コクピットのモニターに『connect』の文字が流れた。

 今は切れてしまっているが、扉が動くのならば非常灯の類いも生きているはずだ。そう考えた水之江が【グラン・エグザストロッド】から扉の開閉用端末へ干渉波を送り込むと、迷路のような回路図がモニターに映し出された。

 そしてすごい勢いで流れていく回路図を見つめる紫の瞳が、それを見つけた。
「制御システムはこれか」
 システムの中枢を目指して干渉波が潜り込んでいく。張り巡らされた電脳防壁もセキュリティごと浸食していく【グラン・エグザストロッド】の前では無力だ。落ちていた非常灯のブレーカーを探し当て、それをオンにするとそこには……。

「あらあら、変なのが出てきちゃってるわね」
 機械的なものではない筋肉質の身体、裂けたような口だけが目立つ仮面のような貌。そんなキャバリアであってキャバリアでないものの群れ。『エヴォルグ』と呼ばれる生体キャバリアのシリーズのうちのひとつ。
 やはりここはプラント、それもバイオキャバリアのプラントだったということだろう。しかしそうなると、この状況から見て調査隊がどうなったのかは想像に難くない。

(でもなんで扉が閉められてたのかしら?)
 水之江はひとつの疑問に突き当たる。暴走を感知してプラントの防衛機構が働いた? それとも調査隊がこいつらを外に出すまいとしたのかしら?

 その疑問の答えは端末のデータの中、浅い階層のところ、端末に打ち込まれた扉の開閉コードにあった。
 最近のものが3つ。最後の1つはさきほどの工兵のもの。最初の1つは知らない名前だが、おそらくは調査隊のエンジニアのものだろう。
 答えになるのは2つ目のコード。そのコードを使用したのは『トラヴェ・ハンザ』。件の『トラヴェ大尉』だった。
『エヴォルグ』を閉じ込めるために打ち込まれた、と見るのが妥当だろう。

 そこまで思考を巡らせたとき【アークレイズ・エレノア】のコクピットにアラートが響いた。長い間暗闇で過ごし光を嫌っているのか、なかなかこちらに近づいてこようとはしなかったが。非常灯の光に慣れこちらに向けて迫ってきていた。水之江の意識が思考から行動に引き戻され、即座に迎撃の態勢に入る。

 取り囲んだ『エヴォルグ』から、触手のように蠢く触腕が【アークレイズ・エレノア】を絡め取ろうと伸ばされ、尖った尾が機体を貫こうと繰り出される。
「そんなプレイに付き合う気分じゃないの」
 調査隊が辿ったであろう運命を考えればそんな気分になれようはずもない。仇討ちなどはガラではないが、生死をかけた触手プレイを楽しむ気にはなれなかった。【プロテクトフィールド】で触手を弾きつつ、水之江が機体の左足を引いて、沈み込ませる。

「【水之江流機巧抜刀術・壱ノ型】」

 静かな気合いとともに呟くと【アークレイズ・エレノア】の右手が霞んだ。次の瞬間――見えた者がいたのならばほぼ同時に――機体に迫っていた触手が切り刻まれ、風鳴りがそれに続く。
 音速の抜刀術。刃に纏ったソニックブームが囲んでいた『エヴォルグ』をも巻き込み、蹴散らしていく。

「わたしに手をだそうなんて、恐れ多いんじゃないかしら?」
 吹き飛んだ白い無貌の中央を【ホーミングレーザー】が正確に撃ち抜いていく。抜刀術に囲みを崩され、正確無比な射撃に撃ち倒されて『エヴォルグ』は為す術なくその数を減らしていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

セレーネ・ジルコニウム
【家出娘】
「あれは……あのキャバリアは……」

記憶に蘇る生体キャバリアの悪夢。
私をかばって死んでいった部下たちの姿……

「あっ、はい。そうですね、フィラさん……
あれは……あのときのキャバリアとは違うものです……」

自分自身に言い聞かせ、ナズグルの武器を向けます。
【アドバンテージ・アンサー】による攻撃、受けてください!

ですが闇は敵の領域。
力を発揮できずに機体を押し倒され……

「そんなっ、キャバリアのエネルギーが吸収されてっ!?」

めきめきとコックピットハッチを破壊されて生体キャバリアが白い貌を覗かせてきて……

「きゃああっ!
って、フィラさんっ!?」

フィラさんの機体の操縦席に入れてもらい強く抱きつくのでした。


フィラ・ヴォルペ
【家出娘】
引き続きナースホルンに乗って

嫌な予感が当たるのは何なんだろうな
あまり良くない光景だ
「大佐、ゆっくり深呼吸だ。よく見ろ」
大佐を落ち着かせつつ一度退く
「…って何で前に出るかな大佐は!?」

ええい、もう!
「セレーネ!少しだけ耐えろ!」
ナズグルを避けつつ【飛蝗】を叩き込む!
敵陣が混乱したらパイルバンカー展開、飛び込むぞ!
「お前は吹っ飛べ!」
ナズグルに覆いかぶさっている個体を吹っ飛ばしつつ
大佐の救助だ
「ああもう、早くこっちに来い!」
大佐を回収してナースホルンの中に連れ込む
「ちょっと狭い上に横Gが激しいからな。しっかり掴まってろ」
…ナンカヤワラカイキガスルガ平常心平常心
ここを切り抜けるぞ!




 予感というものは、良くないものほど的中するものだ。それは本能に基づいた危機回避の結果なのかもしれないが、だからといって嬉しいものではない。
 フィラ・ヴォルペ(レプリカントのアームドヒーロー・f33751)も予想はしていた。予想はしていたが、あまりに良くない光景だ

 照明弾の明かりと非常灯の明かりに照らされて浮かび上がったのは、口しかないつるんとした無貌。
そして機械仕掛けにはありえない、長い腕と発達した太股が特徴的な筋肉質のシルエット。

「あれは……あのキャバリアは……」
 モニターに映し出された『エヴォルグ』に、セレーネ・ジルコニウム(私設軍事組織ガルヴォルン大佐・f30072)の息は乱れ、『ナズグル』の操縦桿を握る手が震えた。
 目の奥で光が瞬き視界が霞む。記憶のストロボの奥に見えるのは、千切れ飛ぶ身体と赤黒い……。

「大佐、ゆっくり深呼吸だ。よく見ろ」
 過呼吸に陥りかけた大佐に、フィラがしっかりと、だけど優しく語りかける。
 セレーネのヘッドセットを通して聞こえた声は、ノイズ混じりで少しかすれてはいたけれど、心にはしっかりと届いたようだ。乱れていた息が少しづつ落ち着きを取り戻し、瞳の焦点が合っていく。

「あっ……はい、そうですね、フィラさん……あれは……あのときのキャバリアとは違うものです……」
 セレーネは自分自身に言い聞かせるように声に出して言うと、モニターをしっかりと見つめてフィラに返事を返した。汗ばんだ手はまだ少し震えていたが、もう操縦に支障はない。

「よし大佐。一度立て直して、」
 フィラが言い切る前に、セレーネの機体がライフルを構えながら『エヴォルグ』の群れへと走り出す。
「……って何で前に出るかな大佐は!?」
 セレーネがライフルを乱射、のように見えて実は計算された射撃が『エヴォルグ』を捉え撃ち倒していく。けれど……。
 数が多い。それに薄明かりの中ではどうしても射撃の精度も索敵の精度も落ちる。不意に横合いから組み付かれ、ライフルを構えた腕が『エヴォルグ』の顎に関節を噛み砕かれると、さらに尖った尾が『ナズグル』のボディに突き刺さった。

 直後、コクピットに甲高い音が響き渡り、照明が緊急用へと切り替わる。
「パワーダウンっ!? そんな、『ナズグル』のエネルギーが吸収されて……っ」
 コクピット内に響くアラートがレベルレッドを示し、モニターはエマージェンシーメッセージに埋め尽くされていく。

 エネルギー不足に自重を支えきれなくなり、がくりと膝をついた『ナズグル』に『エヴォルグ』が群がった。がつん、という音が響くたびに各部が少しずつ囓りとられていく。
 組み敷かれるように『ナズグル』が音を立てて床へと倒れた。押し倒されるようにのしかかった『エヴォルグ』がコクピットに『ごちそう』を見つけて、ハッチをこじ開けようと隙間に爪をねじ込むと、めくり上げられた金属板の隙間から真っ白な貌が垣間見え……。
「きゃああああああっ!!! あ、ああ、あああ、ああああ……っ」
 セレーネの絶叫と歯鳴りがフィラのヘッドセットに響く。

「セレーネ! 少しだけ耐えろ!」
 フィラが叫びながら『ナースホルン』のライフル、腰部、脚部のミサイルランチャーを『ナズグル』を避けるようにロックすると、その周囲に向けてたたき込む。床ごと抉り飛ばすようなその威力と舞い上がる爆風に『ナズグル』の周囲に群がっていた『エヴォルグ』が青い血をまき散らしながら吹き飛ばされていく。

 爆煙が収まった後に残っていたのは『ナズグル』に馬乗りになっている一体だけだったが、のしかかるように『ナズグル』を押し倒していた『エヴォルグ』に、フィラの脳裏に最悪の事態がよぎった。思考が絶対零度に凍り付く。

 嫌な予感を振り払うように、フィラは『ナースホルン』を前進させ、『エヴォルグ』に狙いを定めた。
「お前は吹っ飛べ……!」
 モニター越しに『エヴォルグ』を捉えた視線に一切の遊びはない。戦士としての眼光はそれだけで敵を射貫きそうなプレッシャーを放ち、その思いのまま放たれた超至近からのパイルバンカーが『エヴォルグ』の上半身を吹き飛ばして、さらにその向こうにいた群れまで蹴散らしながら重い音を響かせホールの壁に突き刺さった。

 フィラが残された下半身を蹴飛ばし『ナズグル』の上から排除すると、幸いにもコクピットハッチはまだこじ開けられきってはいなかった。
「大佐、早くこっちに!」
 セレーネに呼びかけるが反応がない。冷たい汗が止まらないまま、フィラが『ナースホルン』を降り、ハッチを強制解放するとそこにはコクピットの奥で膝を抱え、丸まったまま耳を塞いで、小さく震えるセレーネの姿があった。

「ああ、もう!」
 頭を掻いてため息をひとつ。
 フィラは少し苛立ちながら、セレーネをそのまま担ぐように抱え上げる。けれど解っている、苛立ちは動かないセレーネにではない。守り切れなかった自分へのものだ。
(ごめんな)
 フィラは心の中でそうつぶやくと、セレーネを抱えたまま『ナースホルン』のコクピットへと連れ帰った。

「フィラ……さん」
 セレーネがようやく言葉を発したのはフィラが『ナースホルン』の再チェックを終えた頃だった。
「ごめん、なさい……」
「気にすんな」
 弱々しくつぶやくセレーネの頭をそっと撫でながら、フィラが少しぶっきらぼうに答える。

 『ナースホルン』のコクピットに帰ったとき、フィラはセレーネに後ろで身体を固定しておくよう言ったのだが、『ナズグル』のコクピットでの出来事でストレスが限界値を超えてしまったのだろう。セレーネはフィラに抱きつき、胸に頭をあずけたまま離れようとしない。

「大佐、ここを切り抜ける。ちょっと狭い上に揺れが激しくなるからな。しっかり掴まってろ」
 優しく、だけど力強く伝えられたフィラの言葉に、セレーネが無言のまま抱きついた腕に力を込めた。

 押しつけられた柔らかさと温もりに、フィラは鼓動が少しだけ早くなったような気がした。たぶん気のせいではないだろう。
(このあったかさをここで失うわけにはいかないな)
 フィラは大きく一つ深呼吸し、息と思考を整えると、『エヴォルグ』の群れを蹴散らすためにペダルをめいっぱい踏み込んだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

バルタン・ノーヴェ
【ワンダレイ】
POW アドリブ連携歓迎

エヴォルグ。
初対面デスガ、すでに嫌いになりそうな雰囲気デス。
こんな連中を表に出してはなりマセン!
スコールに搭乗して出撃しマース!

闇に覆われた室内戦ならば「六式武装展開、雷の番!」
スコールの全身を、迸る電撃で覆ってワタシたちが光源となりマース!
これで明るくなったデショー!

まー。明るい分、敵の攻撃の的になりマスので、ワタシは回避と防御に専念デスネー!
見切り、受け流し、高速機動で残像を引きながら敵陣に突っ込みマース!
同士討ちを誘発させたり、フレスベルク殿が急所を狙いやすいよう引き付けたり、クローでひっかけたり。
そしてリリー先生の砲撃の餌食になってもらいマショー!


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【ワンダレイ】【WIZ】
※愛機搭乗
※別称推奨、『バルたん』呼び

成程、エヴォルグ系列か…
電脳内の記録と試料を再照合して溜息
…ってアレ絡みなら、死よりエグい事も?
※『地底の悪魔』2章以降回想

時間がない、押し込むよ
DA34号【トール】の砲身を背部から展開
特殊粒子【PP】の圧縮プラズマ球を発射

追尾するソレは曳光弾代わり
動く光を目印に両手銃器で足止め
フレスベルクさんの防護は頼りにするよ

お、狙い通りコピーしたね
ソイツは追尾も機動阻害も対オブリビオン用
だから発動すれば直近個体…敵自身を灼くのさ

多数炸裂した光球が緑の粒子をバラ撒けば
エヴォルグの動きはスロー再生風に鈍化
後はその隙に蜂の巣、バルたんも攻め時だよっ


フレスベルク・メリアグレース
【ワンダレイ】【WIZ】
エヴォルグ……成程、聖教皇国で禁呪認定したあの系列ならば、討滅しなければなりませんね
そう言うと同時、ホール内に66機の白き……未来を司る騎士のドローンが展開していく 即座に感覚共有の帰天でドローンが収集した暗視機能を介した視覚情報をわたくしの認知領域と連結
60機のホール内に展開するドローンが割り出す未来予測を以てヴォーパルソードと生と死から解き放つものの二刀流でエヴォルグの急所を狙っていきます
と、バルタンさん、ドクター! そう言って付属性の帰天を展開し、バルタンさんの雷電とドクターのプラズマ球がドローンに付属され、叩き落とされるのを防ぎます




 ホール内を照らす非常灯が、闇の中に蠢く姿をぼんやりと【ナインス・ライン】のモニターに映し出した。
「『エヴォルグ』系列か……」
 電脳内の記録と資料を再照合してリーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)が溜息をついた。
 正直いい思い出はない。死が最悪の可能性と思っていたが、それよりエグいことも考えられる。調査隊のメンバーが生きたパーツとして組み込まれている。コイツらが相手ならそんな可能性すらありうるのだ。

「成程、聖教皇国で禁呪認定したあの系列ならば、討滅しなければなりませんね」
 同じく【ノインツェーン】のモニターから『エヴォルグ』を確認したフレスベルク・メリアグレース(メリアグレース第十六代教皇にして神子代理・f32263)が緑の瞳でモニターを見つめ、形の良い眉をひそめた。

「初対面デスガ、すでに嫌いになりそうな雰囲気デス」
 暗闇に蠢く異様に【スコール】に乗るバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)も不快感を隠しきれない。
「こんな連中を表に出してはなりマセン!」
 バルタンが装甲越しに感じられるプレッシャーに抗するように操縦桿を倒し【スコール】を前進させると、
「その通りだね。時間もない、押し込むよ」
 それに答えたリーゼロッテの【ナインス・ライン】がそれに続いた。フレスベルクも【ノインツェーン】の出力を上げ、戦闘状態を整えている。

 他の猟兵によって室内の非常灯は点けられていたが、十分な戦闘を行うにはまだまだ暗く、ホールには十分な広さがあるとはいえ、このままではどこから不意打ちをくらうかわからない。
 ならば……とバルタンの瞳がユーベルコードに輝く。
「六式武装展開、雷の番!」
 気合いとともに迸った 【荷電粒子】が光を放ちながら【スコール】を覆い周囲を照らしながら、放電によって巻き起こされた磁力で【スコール】を空中へと浮かび上がらせる。

「これで明るくなったデショー!」
 光がなければ作ればいい。バルタンは自らが光源となることで敵の姿を闇から引きずり出したのだ。
 光を嫌った『エヴォルグ』が【スコール】に攻撃を集中してが、それも計算済み。バルタンは【スコール】を舞わせ、踊るようにホール内を翻りながら『エヴォルグ』の攻撃を引きつけ、躱していく。

 敵がバルタンに気をとられている。そんな絶好の隙を見逃すリーゼロッテではない。【ナインス・ライン】の背部から【DA-34:THOR.AS(トール)】を展開すると、素早く射撃体勢を整える。
『薬室内【PP】粒子爆縮、プラズマ体が臨界…』
 【ジオ・アライアンス】から準備完了のメッセージを受け取ると、その指が迷わずボタンを押し【PP】粒子の圧縮プラズマ球が射出された。
 それは『エヴォルグ』を追いかける光の猟犬。大気を灼く放電球に食いつかれ、火花を上げる獲物をリーゼロッテの【ドミナント・バレル】と【スカベンジャー】が四肢を撃ち抜き床に撃ち倒していく。

 転がった『エヴォルグ』をスキャンし、リーゼロッテは小さく息を吐き出した。どうやらパイロットらしき影は見えない。これならば遠慮なく灼き、弾を叩き込んでいける。トリガーを引く指に力を込め直し、リーゼロッテは次の獲物に狙いをつけた。

「それではわたくしも……」
 リーゼロッテが楔を打ち込んだ敵の群れに、フレスベルクと【ノインツェーン】が突撃をしかける。
「展開せよ、我が白き機械天使……」

 ホール内に喚び出されたのは、66機の未来を司る白き騎士。帰天によりフレスベルクと感覚共有されたそれは、高周波放電を纏い66の盾となり、66の瞳となってフレスベルクの認知領域を限界まで拡大していく。
「識した全てを以て宣託を!」
 騎士から送られる様々な情報が、フレスベルクの帰天の異能を経ることで、未来を予測し紡ぎ上げていく。
 それは認識力の拡大による数瞬先の未来予知と言えるかもしれない。時間にすればほんのわずかなものだが、戦闘ではその差が勝負を分ける。

 リーゼロッテにより崩された敵陣に二刀を構えた【ノインツェーン】が出力を全開まで上げて切り込んでいく。
『エヴォルグ』の触腕も、尖った尾も、囓りつこうとする口も、フレスベルクにはすべてが『見えて』いる。見えているならば、躱すのも、反撃するのも容易いことだ。

「ワタシも続きマース!」
 それまで『エヴォルグ』の攻撃を見切り、受け流して、攪乱に徹してきたバルタンが、戦況を好機と見て反撃に転じた。
 光の尾を引きながら【スコール】が敵陣へと突っ込んでいく。
 放電の光で視界を奪われ、クローで袈裟懸けの一撃を受けた『エヴォルグ』がぐらりと傾く。倒れるのを待たず次の標的へと狙いを変えた【スコール】の高速機動が残した残像が敵の同士討ちを誘う。バルタンが二体目の敵をクローで貫いたとき、床には四体の屍が転がっていた。

 それを見た『エヴォルグ』が【ノインツェーン】に狙いを変え、群がろうと迫り来るが、フレスベルクの未来予測はそれも見通している。【生と死から解き放つもの】が藍色の軌跡を閃かせて『エヴォルグ』の攻撃を弾き飛ばし、がら空きになった首を【ヴォーパルソード】が切り飛ばすと、この世との縁を断ち切られた『エヴォルグ』の身体が崩れ、塵と化す。

 敵を崩し戦線を押し込んでいたそんなとき、『ワンダレイ』各機のヘッドセットから、ばちん! というノイズのような音が弾けたのは、そんなときだった。

 それは『エヴォルグ』がリーゼロッテの放った【トール】のプラズマ球を『喰った』音だった。

 内臓を灼かれる苦痛と引き換えにリーゼロッテのユーベルコードをコピーし、それを撃ち出すつもりなのだろう。
「お、狙い通りコピーしたね」
 プラズマ球を飲み込むのを見てコクピット内のリーゼロッテがくすりと笑う。そんなことには気づかない『エヴォルグ』がコピープラズマを撃ち出し……。
 リーゼロッテに向かい追尾するはずのそれは、その場で炸裂し光球が緑の粒子を撒き散らす。輝く緑の粒子が一帯に降り注ぎ周囲を包みこむと、光に触れた『エヴォルグ』の動きが鈍り、緩慢になっていく。

「ソイツは追尾も機動阻害も対オブリビオン用。オブリビオンがコピーすれば自分を灼くのさ」
 なにかに押さえつけられたようにゆるりと動く『エヴォルグ』にリーゼロッテのライフルとビームマシンガンが叩き込まれる。吹き飛び崩れ落ちる動きすらスロー再生のようだ。

「バルたん、フレスベルクさん、このまま一気に行くよ!」
 バルタンのクローが、フレスベルクの二刀が敵を切り刻む中へ、両腕から銃弾とビームの雨を撒き散らしながらリーゼロッテが突撃をかける。
 緑の粒子に絡め取られ動きを鈍らせた『エヴォルグ』は、避けることも、守ることもできず、逃げることすら叶わずに次々と撃ち倒されていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

シャルロット・バニー
「暗き闇を照らす月の兎、見参!闇に蠢く不気味な敵は、とっとと骸に帰りなさい!」
普段の姿のまま口上あげて突入、そして同時にウサウサ召喚!
「ラビットヘッドミューテーション!からのー、ウサウサ・トランスフォーム!」
ジャンプ前宙してウサウサの頭にモーフィング変形
何処からともなく飛来した胴体と合体!
参上!ピンクのエプロンドレスのウサウサMk2!
でも暗闇でウサウサの可愛い姿が見えないっ…くそぅ

ならばっ!
「月の光は太陽の光。今こそ照らせうさぎの太陽!」
ゴールデン・ピコピコ・ハンマーの光を全開に照らして暗闇を払い、
そのまま力任せにハンマーを振るって敵を光に変えていきますよ
【黄金の衝撃】で光になれええ、ですぅ!


スルーズ・イデアール
探索には間に合わなかったけど
調査隊の救出こそは…!

シンクロを済ませて、出撃するよ

…暴走する、生体…キャバリア…
彼らも「生まれ方」が違ったら、私と同じように
人と共に歩めたはずな、のに…

…こうなった以上、やるしかない…!

敵の動向に注意を払いながら、マルチライフルやバックキャノンで牽制
バックキャノンには焼夷弾を装填、もし外しても炎で周囲を照らし
視界向上も狙うよ

敵の動向、特にレーザー等明かりを発するものが見えたら
回避しつつ、すかさずそちらへ攻撃!
複数見えたときは、フルバースト・マキシマムでまとめて攻撃!

また、死角からの奇襲にも備え、いつでもダブルダガーを使えるようにして
できるだけ素早く迎撃していくよ




 ここまでは捜索隊とともに行動し、そのフォローに回っていたスルーズ・イデアール(レプリキャバリア・f30206)だったが、遺跡の扉が開かれるとなれば、ここからは猟兵としての領分だ。

「なんとか調査隊を……!」
 スルーズはそう呟きながら、自らの外見を模したキャバリア【スルーズゲルミル】、そのコクピットである【シンクロナイズケージ】に乗り込む。シートに横たわれば身体は高分子ゲルに包み込まれ、全身のコネクタに流れ込んで機体とシンクロ接続されていく。

 そのまま絶対機密のハッチへと【シンクロナイズケージ】が飲み込まれると、スルーズのHMDに。
『connection green.synchronization 86.4%』
 と、メッセージが流れ、身体に流れる刺激に軽い高揚が走った。

(……暴走する、生体……キャバリア……)
【スルーズゲルミル】を起動させ、スルーズは思う。
(彼らも「生まれ方」が違ったら、私と同じように、人と共に歩めたはずな、のに……)
 自身もレプリカントでありジャイアントキャバリアを愛機とし、それなりに幸せな人との共存ができているスルーズは、自分と今暴走しているキャバリアの違いが、おそらくわずかなものだったのだろうと思うと、同情の気持ちもないでもない。
(だけど……こうなった以上、やるしかない……!)
 遺跡の入り口に機体を進ませ、闇を見据えて、くっ、と唇を固く結んだ。

 覚悟を決めていかなければ、そんな風に気合いをいれないしたとき、スルーズの耳に勇ましい声が響いた。

「暗き闇を照らす月の兎、見参!闇に蠢く不気味な敵は、とっとと骸に帰りなさい!」
 遺跡の雰囲気にそぐわぬ、小さなバニースーツ姿の影――シャルロット・バニー(ヴォーパルバニー・f30079)――が、口上を上げて遺跡の扉へ向かって勢いよく駆け出していく。
「ラビットヘッドミューテーション!」
 闇でも映える長い紫の髪をなびかせながら、扉付近で見事なジャンプからの前方抱え込み宙返りを見せると、全身がモーフィングしてふさふさの毛に覆われていく。
「からのー、ウサウサ・トランスフォーム!」
 さらなる叫びとともに、暗いホールにいきなり巨大な何かが飛び込んできて、どこからか湧き出る謎のオーラ的トラクタービームが、巨大な何かとシャルロットを繋ぐ。

 ごんごんごんごん、と空気を鳴らしながら、がきぃん! という金属同士がぶつかるような甲高くも重い音がホールに響いた。

「参上!ピンクのエプロン……って、これじゃ暗すぎてウサウサの可愛い姿が見えないじゃないですか!」
 くそぅ、と小さく呟いたシャルロットだったが、何かを思いついたように気を取り直し、ならば! と赤い瞳がユーベルコード輝いた。
「月の光は太陽の光。今こそ照らせうさぎの太陽!」
 ぼんやりとハンマー型に浮かび上がった光が見る間に強さを増し、目映い黄金の光となってホールを照らす。

「あらためて! 参上! ピンクのエプロンドレスの【ウサウサMk2】!」
 黄金の光に浮かぶその姿は……ピンクのエプロンがラブリーな巨大な着ぐるみの兎。
 輝く【ゴールデン・ピコピコ・ハンマー】を振り上げ、口上とともに見栄を切る。光が一瞬強さを増したように感じられた。

「あれは【スーパーロボット】と言われる機体でしょうか……?」
 スルーズがあっけにとられて呟く。しかしあっけにとられているのはスルーズだけではない。敵も、いきなりの展開と目映い光に、その動きを封じられている。
「敵も動きが……いまだね!」
 自らと同じ姿をした【スルーズゲルミル】。フルシンクロで動くこの機体は『操縦』するのではない『思考』すればそれでいい。

 敵キャバリアにパイロットは乗っていない、という情報は他の猟兵チームから入っている。それならば手加減をする必要はない。
 動きの止まった敵を【マルチライフル】の銃弾が貫き、【バックキャノン】から発射された焼夷弾がその身体を燃え上がらせる。
 ぐらりと倒れる『エヴォルグ』とその周囲を狙ってさらに焼夷弾が撃ち込まれると、生体キャバリアが燃え上がり、紅蓮の赤が周囲を照らした。

 黄金の光を背に受け、正面からは炎に照らされて【ウサウサMk2】が敵へと迫る。光を味方につけ、動きを封じた敵に【ゴールデン・ピコピコ・ハンマー】を振りかぶって、そのまま力任せに叩きつけていく。
 シンプル。だからこその恐るべき威力。頭から叩き潰された『エヴォルグ』の全身が弾け、返り血が【ウサウサMk2】のピンクのエプロンを青く染めた。

 同じ頃、炎で視界を確保した【スルーズゲルミル】も【ダブルダガー】で敵と切り結び、刻んでいた。真横から絡め取ろうと振るわれた『エヴォルグ』の触腕を片方のダガーで受け止め、残りの一本で切り飛ばす。そのまま動きを止めず踊るようなターンをすると、2本のダガーを無貌の中に開いた口へと突き刺し、そのまま仮面を裂くように薙いだ。頭の上半分を切り飛ばされた『エヴォルグ』が床へと
倒れ込む。

 しかしやはり数は多い。黄金と炎、二種類の光に慣れてきた『エヴォルグ』はじりじりと【ウサウサMk2】と【スルーズゲルミル】を数で追い込み、いつのまにか、二機は背中合わせになり取り囲まれていた。

「ちまちま攻撃していてもキリがなさそうですね」
「そうだね。ここは一気に」
 背中合わせになった二機の間に交わされた接触通信は短く簡潔なものだった。プロの会話というのはそういうものだ。
 見た目は、戦場においてどちらも一風変わった――率直に言ってしまえば冗談のような――ものであったが、見た目がそのまま実力を現すものではない。

『Prepare to launch all weapons.』
『【ゴールデン・ラビット・ストライク】発動承認。セーフティリリース』
 二機のモニターにメッセージが流れて、一拍。無言のままの阿吽の呼吸。

「ありったけ、持っていけぇぇぇ!!」
「光になれええぇぇ、ですぅぅぅ!!」
 綺麗にシンクロした叫びと同時に放たれた全力全開の射撃と打撃が、ホールの床を抉り『エヴォルグ』を消し飛ばした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『Type-XXフルングニル』

POW   :    Regeneration
全身を【高度な自動修復機能を有する特殊強化装甲】で覆い、自身が敵から受けた【ダメージを修復し、捕食したキャバリアの数】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
SPD   :    Evolution
【敵性体から受けたダメージへの高い耐性】【敵性体に有効なキャバリア用内臓兵器】【敵性体の活動限界を上回るエネルギー】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ   :    Proliferation
自身の【口で捕食してきたキャバリア】を代償に、【敵性体の数×10体のベルグリサル】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【体内で生成した敵性体に有効な武装】で戦う。
👑11
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 闇を払い『エヴォルグ』たちを倒しきったホールに、重く長い咆哮が響き渡り、奥へと続く暗い通路の向こうから、それは現れた。

 長い腕に鋭い爪、がっしりとした足、全体的なフォルムは『エヴォルグ』に似てはいたが、大きく違うのはその頭部だ。長く大きな牙と裂けた口、そして赤く輝く瞳が機械仕掛けの魔獣と呼ぶにふさわしいプレッシャーを放っている。だがそれよりも……。

 猟兵の目に映るそのマシンにオブリビオンマシンとしての片鱗はある。しかしどこかおかしい。生体キャバリアといえどオブリビオンマシンならばそのように『見える』はずだ。しかしなにかがズレている。
 そう思ったとき、二度目の咆哮がホールの壁を震わせた。

 そう『咆哮』だ。メッセージでも通信でもテレパシーでもない、万人に聞こえる物理的な『声』

 そして猟兵たちは思い当たった。『Type-XX フルングニル』こいつはキャバリアを、そしてすべてを『喰らう』殲滅型……!

 『グガ、ガ……ゴウインニタタキオコサレタノハキニクワンガ、エサガトビコンデキテクレルノハアリガタイ』

 合成音声ではない、キャバリアの口から発せられた明らかな言葉。人の言葉を『話す』キャバリアなど、いままで聞いたことがない。
 そしてその口元に、赤黒い染みのようななにかと、青黒い粘液状のものが付着しているのに猟兵たちは気がついた。
 オブリビオンマシンを、そしておそらくはトラヴェ大尉と調査隊をも喰らい『進化』したとでもいうのだろうか。

 猟兵たちの背に冷たい汗が流れる。
 このプラントが千年氷に封じられていた理由。それがおそらくこの『フルングニル』なのだろう。すべてを喰らい、取り込み、成長していくイレギュラーな暴走キャバリア。
 こんなものを外に放つわけにはいかない。

 三度吠え、猟兵たちを喰らおうと動き出した『フルングニル』を倒すべく、猟兵たちもまた『フルングニル』へと向けて行動を開始した。

 --マスターより--
 今回はボスとの純戦になります。
 ホール内の明かりはそのまま保たれていますので、明かりに関しては問題なく戦えます。前章と同じく、あまり高く飛んだりすることや戦略兵器クラスの広範囲殲滅兵器などの使用は制限されますが、それ以外の戦闘に支障はありません。

 プレイングボーナスは「相手に喰らわれないよう、噛みつき攻撃に気をつけて戦う」ですが、フレーバー程度に考えていただいて大丈夫です。危険なボスをめいっぱいで倒していただけますと嬉しいです!
開条・セサミ
・心情
ちっ、めんどくせぇ奴が出てきたな!?
こいつはここで倒さねぇとやばそうだ……
全力でいくぜ!

・戦闘
真の姿「カプセライザーGPX」に変形し、短期決戦だ!
全力のユーベルコード「コアブラスター・オーバーバースト」を叩き込んでやる!

・その他
アドリブ等は大歓迎だ!


桐嶋・水之江
さっきのバイオキャバリアの上位種かしら?
へえ、喋るのね
でも交渉の余地が無いようじゃ折角のおつむも持ち腐れよね
有機物摂取による自己進化機能を持った構造体…その点については興味が尽きないところね
大人しくさせて解体調査しましょう

なかなかタフですばしっこいようだけれど、かなり無理してるんじゃない?
負荷を省みないところからして、やっぱりそれほど賢くなさそうね
そんな調子でいつまで保つのかしらね?
こっちはホーミングレーザーとニードルビットで適当にあしらいつつ、時間稼ぎに専念するわ
どんな武器を隠し持っていても、当たらなければいいのよ
私の解式があれば回避なんて楽々よ
直接手を下すまでもなく自滅してもらうわ


バルタン・ノーヴェ
【ワンダレイ】
POW アドリブ連携歓迎

フルングニル。北欧神話における巨人の名……。
ならば負ける通りはありマセーン!
フェンリルの性能を継しスコールで、逆に平らげてあげマース!

真の姿を開放。ワタシ自身、我輩として冷徹に言動を転じるであります。
リリー先生のサポートを受けて、捕食する暇も修復する時間も与えず、速攻で叩き潰すであります。
フレスベルク殿が後衛として大火力を放てるよう、前衛で縫い留めるであります。

鋼蟲の雲霞に煙幕を添えましょう。
「六式武装展開、煙の番!」
我がパイルバンカーで打ち貫き、フレスベルク殿の攻撃に捧げてやるであります。
オブリビオンの串焼きでありますが、可食とはならないでありますな。


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【ワンダレイ】【POW】
※愛機搭乗
※別称推奨、『バルたん』呼び

…世の中、上には上がいるけど
アレを喰って同化する命知らずが居るとはね

ま、お陰で遠慮なくアンタを狩れる
アンタも寝起きで、まだ空腹でしょ?
なら生存競争の時間だよ、バケモノ

オペ70番【トキシック・デモリション】開始
雲の如く湧いた鋼の蟲が装甲の奥へ潜入
でも齧るのは、サンプルは一口で十分

戻った鋼蟲達は対キャバリア用機関砲に融合変化
弾の雨には『フルングニルへの特効毒素』入り
内外をグロく焼き溶かし、自己修復や神経伝達も阻害

OK、足止めしてる内にヤッちゃって♪
アタシは2人を火力支援っ

にしても剣の数が圧巻だね…
うん、流石にソレは食べちゃダメだからね?


フレスベルク・メリアグレース
【ワンダレイ】【WIZ】
成程、ここでかのオブリビオンマシンを止めないと国家が壊滅すると……
それを、わたくしは信仰を以て赦しはしませんよ
瞬間、9900本のヴォーパルソードが戦場内に解き放たれていく
過剰な爆発などはありませんが、オウガ・フォーミュラとなる素養を有した猟書家の主要武装
十二分以上に制圧可能な力と言えるでしょう
そこにサイキ・アンリミテッドレールガンから展開した無限成長電流エネルギーを付与
莫大なエネルギーを内包する電流を纏うヴォーパルソードがオブリビオンマシンを切り刻み、焼き焦がしていきます
さぁ、天へと帰りなさい




「ちっ、めんどくせぇ奴が出てきたな!?」
 咆吼をあげる『フルングニル』の装甲が光の粒子で覆われていくのを見て、開条・セサミ(カプセライザーGP・f30126)がペダルを踏み込み操縦桿を倒して、ホールの壁面に沿って回り込む。近接戦に優れた【ドン・キホーテC3】とはいえ、あれと正面切って戦うというのはいささか分が悪いというものだ。
 とはいえ、あんなやつを長生きさせておく気もない。ならばすることはひとつだ。セサミが【ドン・キホーテC3】のコンソールに素早くコードを打ち込むと、その機体が光に包まれた。

 それを見た桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)も、バーニアを噴かし距離をとって戦況をしっかりりと分析する。
「へえ、喋るのね。さっきのバイオキャバリアの上位種かしら?」
 けれど、交渉の余地も無い程度の知能しか持ち合わせてないのなら、折角の言葉も無駄というものだ。
 それよりも……有機物摂取による自己進化機能を持った構造体……それは間違いないだろう。ということは、あの『言葉』はどうやって覚えたのか。考えるまでもないことではあったが、その構造には興味がある。ならば捕獲して解体調査を、そんなことを考えながら水之江は【ニードルビット】を射出した。

 二人が引き、開いたスペースを埋めたのはバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)だ。
 フルングニル。それは北欧神話における巨人の名……。
「ならば負ける通りはありマセーン!」
 バルタンはそう言うと【スコール】を獣化形態へ変形させ、自らも真の姿を解放した。
 神話において最高神オーディンをも飲み込んだ氷の魔狼。周囲の空気を凍てつかせながら、その姿が蘇る。
 その『フェンリル』の名を継ぐ【スコール】が負ける道理がない。四足で床を蹴りバルタンは『フルングニル』へと駆けだした。

 勢いよく突撃をかけたバルタンを見て、リーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)はより冷静に、冷徹に。

 世の中、上には上がいるとはいう。しかし、オブリビオンマシンを喰って同化する命知らずが居るとはさすがのリーゼロッテも想像の外だったと言わざるを得ない。
 けれど……。
「お陰で遠慮なくアンタを狩れる。アンタも寝起きで、まだ空腹でしょ?」
 なら生存競争の時間だよ、バケモノ。【ナインス・ライン】のコクピットでユーベルコードに輝く瞳で『フルングニル』を睨み付けた。

 ここで止めなければ、一国家が壊滅する……自らも国主であるフレスベルク・メリアグレース(メリアグレース第十六代教皇にして神子代理・f32263)は、それを黙って赦すわけにはいかなかった。
 自らの信仰にかけて浄化する。倒さなければいけない。
 命をかけてあの魔獣たちをここへと閉じ込めた『トラヴェ大尉』と調査隊の犠牲を無駄にしないためにも。フレスベルクの込めた気合いに【ノインツェーン】の機体からオーラが立ち上り、それに応えた。


 重い唸り声を響かせながら『フルングニル』が進み出て、突撃してくる【スコール】を狙い重爪を振るった。その威力はまさに一撃必殺。かすっただけでも機体は抉られ、戦闘不能に陥ってもおかしくない威力だ。だがバルタンはその攻撃を横っ飛びで軽く躱してみせる。
「遅いであります」
 端から見ればその攻撃は、バルタンが言うほど遅くはない。真の姿へと変じたバルタンと【スコール】の反応速度が上がっているのだ。
「このまま捕食する暇も修復する時間も与えず、速攻で叩き潰すであります」

 その言葉に答えるように、セサミが光に包まれた【ドン・キホーテC3】を宙に舞わせた。
「おう、こいつはここで倒さねぇとやばそうだ。全力でいくぜ!」
 【ドン・キホーテC3】から放たれた目映い光がホールを包む。
「チェェェンジ、カプセライザーっっ! G! P!! X!!!」
 セサミの雄叫びがホールに響き、【ジュークボックス】のトランスポートゲートから巨大ななにかが転送されてくる。そしてそれは【ドン・キホーテC3】と融合を果たし、巨大なマシンとなってホールに降り立った。巨大な『フルングニル』よりも、さらに一回り大きい。
 挨拶代わりに叩き込んだ【バスタード・アーム】が『フルングニル』の横っ面を殴り飛ばし、ホールの壁まで吹き飛ばした。
 猟兵でないものの目でも見えそうなオーラを纏ったその偉容。【カプセライザーGPX】が仁王立ちで魔獣を見据える。

 しかし、それで沈むような相手ではないことは、ここにいる猟兵たち全員が理解していた。めり込んだ身体を壁から引き剥がし『フルングニル』が猟兵たちへと向き直ると、全身を包む粒子がダメージを修復していく。

 それを見たリーゼロッテの瞳が細められ、ゆらりとユーベルコードに輝いた。
「その傷……使わせてもらうよ」
 殴り飛ばされ、その身体につけられたわずかな傷。それこそが狙い目。リーゼロッテ特製の特殊流体金属でできた鋼蟲型ビットの雲が『フルングニル』を包み、修復し終える前のわずかな装甲の隙間へと潜り込んでいく。
 装甲の内側へたどり着いた鋼蟲が相手を囓りとり、浸食していくかと思われたとき、『フルングニル』の装甲を包んでいた粒子が輝きを増し、鋼蟲の雲を弾き飛ばした。

 ぐるるるっ、と低く唸り魔獣が真っ赤な瞳でリーゼロッテを見据え、粒子が見る間に装甲を修復していく。
 『ムダダ』そう言わんばかりにさらに一吠え。大気を震わせる咆吼がリーゼロッテの耳を打つ。動くことすら封じられそうなプレッシャーを叩きつけられながら、だがしかし、リーゼロッテはコクピットで笑みを零す。相手に見えてはいないだろうが、これで優位を取ったと思っているのがおかしかったのだ。このオペの本質は鋼蟲の浸食ではない。鋼蟲の持ち帰ったサンプルを解析してからが本番なのだ

 そしてそれを見抜いているものがいた。桐嶋・水之江。
 科学と医術。その方向性は微妙に違うが、研究を基礎とする者の間には通じるものがあるのかもしれない。
「面白いことしてるじゃない。あとで私にも回しなさい」
「アンタが無事に生き残ったら、考えてあげてもいいよ」
 お互いの表情をサブモニターで確認して、にやりと笑い合う。

 二人が同時にペダルを踏み込み【アークレイズ・エレノア】と【ナインス・ライン】が『フルングニル』を挟み込むように左右に分かれた。

 二機が広がったその後ろでは、両腕を大きく広げたフレスベルクが【ノインツェーン】をユーベルコードの光で包んでいた。
「その剣は聖にして邪なる存在。蒼白にして不可視の致命的。汝、その剣を従えると言うならば弾劾者たるを心得よ」
 詠唱とともにその背に浮かんだ無限とも思える量の【ヴォーパルソード】が『フルングニル』に向かって放たれる。

 巨体を霞ませ『フルングニル』が滑るように走ると、その数瞬後、聖なる邪剣がそれまで魔獣がいた場所を刺し貫いていく。それを見たフレスベルクが追尾をやめ、広範囲に剣を降らせる。それはまさしく剣の雨。降りそそぐ雨に濡れないことなど不可能だ。飛び来る剣を『フルングニル』が爪を振るい弾き返しても、すべてを弾けるものではない。弾き損ねた【ヴォーパルソード】が重い音を響かせて鎧を貫き、突き刺さって、その動きを鈍らせる。

『グォォォォォォ!!!』
 これまでで一番の咆吼。突き刺さった【ヴォーパルソード】から飽和したエネルギーがバチバチと火花のように弾けた。覚醒したエネルギーが『フルングニル』の身体を包むように広がると、結界となってフレスベルクの剣を弾き飛ばす。
 バックラッシュが皮膚を裂き、血管を弾けさせ、青い血を滴らせながら、『フルングニル』のエネルギー波が、回り込んでいた水之江に向けて放たれた。

 これまでの戦いを見るかぎり、生命力もスピードも『生物』としてはかなりのものだ。けれど……。
「かなり無理してるんじゃない?」
 奥の手のひとつでもあったであろうその攻撃を、水之江は余裕の笑みを浮かべ、易々と躱して見せた。
「どんな武器を隠し持っていても、当たらなければいいのよ」
 それは緻密に織り上げた必然たる解。『来る』と解っている攻撃にわざわざ当たる必要などない。
(負荷を省みないところからして、やっぱりそれほど賢くなさそうね)
 構造体に興味はあるけれど、それ以外は見るところなし。こいつは直接手を下すまでもなく自滅する。ばっさりと切り捨てて【ホーミングレーザー】と【ニードルビット】での遠距離支援で、水之江は相手の残り時間を削っていった。

 渾身の一撃を水之江に躱され、レーザーとビットの連携攻撃で一瞬動きの止まった『フルングニル』に、リーゼロッテが狙いを定める。
 【ナインス・ライン】に戻った鋼蟲達をキャバリア用機関砲に融合変化させ、フレスベルクの剣が突き刺さってできた傷に向けて銃弾の雨を降らせていく。
 だが傷跡に弾丸が撃ち込まれても、今の『フルングニル』には豆鉄砲程度の痛みしか感じなかったのだろう。嫌がらせのような痛みを嫌い、気に障るリーゼロッテへ向けて飛ぶように跳躍すると、大きく爪を振りかぶり……そのままピタリと動きを止めた。

「仕掛けは上々、仕上げを御覧じろ、ってね」
 がくりと『フルングニル』が膝から崩れた。弾丸に仕込まれていた『特効毒素』がその効果を発揮しだしていたのだ。
 戦いにおける強さとは膂力・火力のみのことではない。策も絡め手もそのひとつだ。薬と毒は表裏一体。治すことのエキスパートは同時に、壊すことのエキスパートでもあるということを魔獣の身体に覚え込ませ、リーゼロッテが機体を引く。

「動きが止まりましたでありますね」
 リーゼロッテの作ったスペースに氷狼が滑り込み前脚で魔獣を弾き飛ばすと、吹き飛ばされた装甲の裂け目から、嫌な色をしたどろりとした物質が漏れ零れる。

「OK、アタシはこのまま2人を火力支援っ。足止めしてる内にヤッちゃって♪」
 後方へ下がった【ナインス・ライン】が【ドミナント・バレル】と【スカベンジャー】を、それに合わせるように反対側から水之江の【アークレイズ・エレノア】が【ホーミングレーザー】と【ニードルビット】を撃ち込んでいく。

「六式武装展開、煙の番!」
 足下への射撃を受け動きを封じられた『フルングニル』に向けて、バルタンのユーベルコードが放たれた。【スコール】の全身から氷霧が渦を巻いて吹き出すと『フルングニル』を覆い隠し、視界を奪い、その場に完全に釘付けにした。

「よっしゃあ、俺もいくぜ!」
 それまでその巨体で『フルングニル』の突撃を何度も防いできたセサミも、ここが好機と見て打って出た。
「ターゲットスコープオープン! 【P-Xドライブ】リミッター解除!」
 氷霧と左右からの攻撃に動きを止められた『フルングニル』に向けて【カプセライザーGPX】が胸部ハッチを展開すると、鈍色に輝く大口径ビーム砲がその姿を現し射撃体勢を整える。

「動力炉にダイレクトコネクト! 光子エネルギー充填率72…86…97…セーフティロック解除!」
 コクピット横のパワーゲージがぐんぐんと上昇していく。
「108…116…120%!」
 そして臨界点を超え、さらに上昇を続けたゲージがついに頂点に達した。飽和した光子エネルギーが光の粒子となって砲塔から舞いあがる。
「全力全開で、いくぜぇぇぇ!!!」
 セサミがトリガーを絞ると、光子砲がプラズマの嵐を纏い、氷霧を文字通り霧散させながらその中央へと突き刺さった。

「あわせるであります!」
 光子砲の後を追うように【スコール】が駆ける。超威力のビームが『フルングニル』の装甲を溶かし生体まで貫いたのを確認すると、肉薄した【スコール】ができたばかりの大穴にパイルバンカーを撃ち込みその身体ごと吹き飛ばして『フルングニル』を床へと縫い付ける。
「フレスベルク殿!」

「裁きの時です、天へと帰りなさい」
 厳かとも言えるほどの宣言とともに【ノインツェーン】の【サイキ・アンリミテッドレールガン】の銃弾と纏ったプラズマが狙い違わずパイルバンカーの杭へと落ちる。それはまさに天の怒りの具現化。無限に成長するエネルギーの嵐が『フルングニル』を内側から灼き上げていく。

「オブリビオンの串焼きでありますが、可食とはならないでありますな?」
「うん、流石にソレは食べちゃダメだからね」
 いくら自己進化型といえどこれはオーバーキルだろう。すさまじいまでのエネルギーの暴風を見たバルタンがさすがに一息といった風にモニターを見つめて言うと、リーゼロッテもそれに答えた。

 しかし……煙と光子エネルギー、そして電撃。すべての嵐が収まったそこに『フルングニル』の姿はなかった。
 残された青い血が通路の奥へと向かったことを示しており、すぐにも追撃したい気持ちではあったが、全力戦闘の直後でもあり追えるだけのエネルギーは残っていない。
 だが深手を負わせたことは間違いない。とどめを刺せなかったことは歯がゆいが無理をすることはない。仲間に後を託し、一時の補給へと戻るのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

シャルロット・バニー
先程一緒になったスルーズ様とそのまま組んでいきましょう
あの方が援護射撃してくれるので、ウサウサは接近戦に専念しますとも!

キャロットビットを入れたバスケットを投げ捨て、両手でハンマーを持って突っ込んでいきますよ
ハンマーを振りまわして攻撃をいなしつつ、叩いていきましょう

噛みつき攻撃に警戒らしいので…敵が大口を開けたら、ハンマーを構えて待ちかまえ…大口の中にハンマーを突っ込みます
…つまりはハンマーを身代わりに喰わせて防御ですね
と同時にハンマーをパッと離しつつ左手の肉球をドリルに変化させて
【ウサギの肉球】カウンター!
肉球ドリルでどてっぱらに大穴開けてやろうじゃありませんかっ!
「今です、スルーズ様!」


スルーズ・イデアール
シャルロット・バニー(f30079)さんと共闘

餌が…それに、その口元…
…そう「生まれた」からって…!

シャルロットさんの援護の為
マルチライフルとバックキャノンで援護射撃!
キャノンはシャルロットさんを巻き込まないように
爆発しない徹甲弾を装填して使用するよ

その戦闘中、シャルロットさんがハンマーを盾にして防戦してる!
でもそれが狙いだったらしく、反撃しつつ合図をしてくれたから
私も接近戦に移行します!

その為に、Boot:FenrirModeを起動させて、フェンリルの爪を装着!
決着をつける為、猛攻を仕掛けます!

これ以上の犠牲は出させない…
シャルロットさんをやらせはしない!

戦闘後は「みんな」を弔っていくよ


セレーネ・ジルコニウム
フィラさんと

「そんな……
生体キャバリアというだけでも脅威なのに進化までするというのですか……!?」

フィラさんの機体のコックピットで、フィラさんに抱きつきながら身体を震わせ……
そして、見てしまうのでした。

「そんな、私が乗っていたナズグルを……食べてます……!?」

内臓を食い破られるようにコックピットが噛みちぎられ、そのまま動力炉が飲み込まれ……
もし、フィラさんに助けてもらっていなければ、私は今頃……
そう思うと身体の震えが止まりません。

「フィラ……さん?」

そこに感じるのはフィラさんの温もり。
……そうです。私だって役に立てるんです!

「フィラさん、私の指示通りに!」

【アドバンテージ・アンサー】発動です!


フィラ・ヴォルペ
【家出娘】
(深い溜息)
面倒なことになってきたもんだ
さしずめ裏ボスってか?

とはいえ、止まるわけにも戻るわけにもいかないか
大佐、いけるか?
もう少し揺れる……いや、見るな……って遅いか
何でことごとくトラウマ抉ってくるかねぇ?
女の子にゃ刺激が強すぎるんだよ!
【飛蝗】いくぞ!

土煙で煙幕を張ったら、一時撤退だ、ナースホルン下がるぞ

(セレーネの肩を抱いて)
いい、落ち着くまでこのままでいろ
気持ちが決まったら、言いな

まだいけるか? ……よし
「それじゃ大佐のお手並み拝見といこう」
ナースホルン、しっかり俺の操縦についてこいよ!!
大佐の指示に従って行動だ!

……しかしまぁ狭いよな
うん、ヤワラカイとか思ってないからな?




「面倒なことになってきたもんだ」
 フィラ・ヴォルペ(レプリカントのアームドヒーロー・f33751)が深い溜息とともに言葉を吐き出す。
 なんとか『エヴォルグ』の群れを撃退したと思ったら、今度は自己進化型らしき調整を施された大型の生体キャバリアときた。さしずめ『裏ボス』とでもいったところだろうか。

 しかもそいつは、あの苛烈な攻撃を凌ぎきり通路の奥へと消えた。ここで倒しきらないと、さらなる進化を遂げて逆撃を喰らうことになるだろう。そうなれば『シュウェリン』は保たない。今追わないという選択肢はない。ないのだが……。

「そんな……生体キャバリアというだけでも脅威なのに進化までするというのですか……!?」
 セレーネは【ナースホルン】のコクピットで、フィラに抱きつきながら呆然と呟く。
「大佐、いけるか?」
 フィラがそう尋ねると、身体を震わせながらも猟兵として、そして大佐として、その責務を果たすため、セレーネが小さく、けれどしっかりと頷いた。状況として止まるわけにも戻るわけにもいかないことは理解しているのだろう。

 フィラがセレーネの頭をぽんぽん、と撫でながら【ナースホルン】を通路の奥へと進ませると、先行していた【スルーズゲルミル】と【ウサウサMk2】の姿が見えた。だがなぜか2機とも動きを止めている。

 逃げた『フルングニル』を追い、たどり着いた通路の奥で展開されていた光景に、さすがの猟兵たちも絶句していた。
「キャバリアを餌に……それに、その口元……そう「生まれた」からって……!」
 スルーズ・イデアール(レプリキャバリア・f30206)の瞳が悲しみとも怒りともつかない感情に揺れる。
 逃げる際に捕獲したのであろうセレーネの【ナズグル】を『フルングニル』が喰っていた。しかもその足下には『エヴォルグだったもの』も転がっている。キャバリアの装甲を食い破り、コードを内蔵のように啜り、コクピットと動力炉を飲み込んでいく。
 そしてその口元には……見間違いようのない赤黒い染みと、滴る青い粘液。

「見るな……って遅いか……」
 フィラがモニターを切ろうとしたがすでに遅かった。セレーネの瞳は限界まで見開かれている。
「そんな、私が乗っていた【ナズグル】と……『エヴォルグ』まで……食べて……!?」
 もし助けてもらっていなければ、私は今頃……がくがくと全身を震わせ、瞳がせわしなく動く。そしてそのまま、ふらり、とセレーネの意識が遠のいた。

 凄惨な光景から真っ先に立ち直ったのは、シャルロット・バニー(ヴォーパルバニー・f30079)だった。無言でキャロットビットを入れたバスケットを投げ捨てると、ハンマーを両手に構え直した【ウサウサMk2】が突っ込んでいく。
 見た目は着ぐるみでもその敏捷さは本物の兎にひけをとらない。澱んだ空気を切り裂くようなスピードをそのまま乗せたハンマーの一撃が『フルングニル』の巨体を吹き飛ばし、壁へと叩きつけた。

 その音と衝撃に、スルーズの硬直も解ける。

 壁にもたれた『フルングニル』にマルチライフルを斉射し牽制すると、素早くキャノン砲の準備を整える。バックパックから伸びた砲身が腰でマウントされ、左手がトリガーを握った。
「Load HVAP」
 思考はそのまま命令になり行動になる。フルコネクトされた伝達経路からバックパックへとオーダーが飛び、徹甲弾を砲身へと装填する。ごぉん、という重い音と左手に伝わる感触で砲撃準備が完了したことを感じると、スルーズは迷わず引き金を引いた。

 壁に叩きつけられた『フルングニル』に音速を遙かに超える砲弾を躱す余裕はなかった。だから迎え撃った。砲弾を叩き落とそうと重爪を振るい、自らの左手を犠牲にそれを弾き飛ばした。砲弾は軌道を逸らされ壁に穴を穿ち、『フルングニル』の左腕、肘から先が消し飛び青い血が撒き散らされる。

「何でことごとくトラウマ抉ってくるかねぇ?」
 目の前で展開される戦闘、いや、生存競争ともいうべき死合いに、思わずフィラがぼやく。
「ったく、刺激が強すぎるんだよ! 【飛蝗】!」
 フィラのユーベルコードが『フルングニル』の周囲に着弾し、土煙を上げて視界を遮る。
「すまん、ちょっとだけ時間をくれ」
 シャルロットとスルーズにそう告げ、フィラは【ナースホルン】を一時下がらせ、焦点の合わない瞳のまま震えるセレーネの手を握った。

 射線を確保したスルーズが、立ち上る土煙の中をめがけて銃弾を叩き込む。右手のライフルと左腰のキャノンが間断なく撃ち出され、煙を貫いて『フルングニル』の動きを封じる。

「援護をいただいたからには、ウサウサは接近戦に専念しますとも!」
 輝く【ゴールデン・ピコピコ・ハンマー】を振りまわし、遠心力を乗せた一撃を叩き込もうとシャルロットが『フルングニル』へと迫るが、黙って殴られる魔獣ではない。スルーズの徹甲弾を身体に受けながらも、残った右手が突っ込んできた【ウサウサMk2】の頭部を薙ごうと横薙ぎに振るわれる。シャルロットが瞬時にハンマーの軌道を変えて重爪に叩きつけると、火花を散らしながら逆方向に弾けた。

 シャルロットはその勢いのまま一回転。壁を背負った相手にはできない動き。そして防御のできない『フルングニル』の左半身をハンマーが強かに打ちつけ、さらに壊れた装甲から青い血が噴き出した。

 返り血を浴びた【ウサウサMk2】のピンクのエプロンと毛並みが青く染まる。ピンクと青のまだらの着ぐるみの見た目はかなりホラーで、いつもならそんな汚れを許さないシャルロットも今回はそんな余裕がない。
 見た目は冗談のような【ゴールデン・ピコピコ・ハンマー】ではあるが、その威力は大地をも砕く。しかしその一撃を受けてなお『フルングニル』はぐらつきながらも上体をひねり、シャルロットを噛み砕こうと牙が鋭く光る。

「くっ!?」
 反撃がくるとまでは思っていなかったシャルロットが、不意を打たれながらもハンマーをその顎にねじ込むと、重力すらも支配するハンマーがミシミシと嫌な音を立てた。
 「シャルロットさん!」
 接近しての純粋な力比べにスルーズが声を上げた。あれだけのダメージを負いながらも『フルングニル』は力比べで【ウサウサMk2】を押し込んでいる。援護をしようにも二機が密着したこの状態ではシャルロットにも当たりかねない。
 こちらも接近戦に持ち込むべきか……スルーズの動きにためらいが生まれていた。

 そんなとき、通路入り口付近まで後退していた【ナースホルン】のコクピットでセレーネが目を覚ました。
「フィラ……さん?」
「いい、落ち着くまでこのままでいろ」
 目の前で展開されている激闘に中途半端な状態のまま突っ込むことはできない。それは足を引っ張ることになるだけだ。フィラもセレーネもそれは解っている。だからフィラは努めて冷静に、
「気持ちが決まったら、言いな」
 そう言ってセレーネを引き寄せ、肩を抱いた。

(あたたかい……)
 そこに感じるのは確かな温もり。生きている証。
 生きなければならない。帰らなければいけない……そうです。私だって役に立てるんです!

「いけるか?」
「フィラさん、私の指示通りに!」
 深紅の瞳はもう揺れていない。意思を湛え、思考に満ちている。セレーネの頭の中で【スルーズゲルニル】と【ウサウサMk2】、そして【ナースホルン】3機分の戦力で『フルングニル』に勝つための最適解が導き出されていく。
「それじゃ大佐のお手並み拝見といこう」
 【ナースホルン】しっかりついてこいよ!! 側らの少女から『フルングニル』へ視線を移しペダルを踏み込むと一時の愛機は目覚めたように床を駆けた。

「スルーズさん、まだです!」
 横に並んだ【ナースホルン】から通信が入り、飛び出そうとしていたスルーズが体勢を整え直した。
「悪い、遅くなったな」
 続いて聞こえたフィラのその声は、離脱前と違い余裕すら感じられる。

 残された全戦力がここに揃った。あとは全力を持ってうち倒すのみ――

「くれてやるですっ!」
 通信の内容から状況を見定めたシャルロットが叫んだ。
 強靱な顎に捕らえられたハンマーを【ウサウサMk2】が魔獣の顎の中へさらに押し込み、さらなる力比べを挑もうと見せかけて……ハンマーからその手を離した。バランスを崩した魔獣がたたらを踏んでつんのめる。
「どてっぱらに大穴開けてやろうじゃありませんかっ!」
 ハンマーを捨てた【ウサウサMk2】の両手がユーベルコードの光に包まれると、気合いとともに肉球が回転し、先端を鋭利に尖らせドリル状に変化していく。
「肉球の本当の力お見せしましょう!」
 肉球パンチ、などと呼ぶには速さも威力も凶悪すぎる紫電の六連撃。残像を残して両腕から放たれたカウンターのドリルパンチが魔獣の両脇を抉った。

「今です、スルーズ様!」
 魔獣を穴だらけにしたシャルロットが軽快に横へ飛び退き、魔獣の姿を正面に晒す。
 【ウサウサMk2】が開いた道をライフルを投げ捨てた【スルーズゲルミル】が駆ける。
(今この機会を逃すわけにはいかない!)
 自らと同じ姿を持ち、思考すらリンクしたスルーズの分身。いやスルーズ自身と言うべきかもしれない機体が、全身をユーベルコードに輝かせ『フルングニル』に迫る。

「よし、こっちもいくぜ」
 そういったフィラはもうセレーネを見てはいない。今見るべきは目の前の『敵』だ。
「フィラさん、右です!」
 セレーネももうフィラに寄り添うだけの少女ではない。ユーベルコードに輝く瞳が戦況を把握し、勝利の解を導き出していく。
(ダメージの蓄積はありますが、量産機の火力ではあれは倒せません。なら……!)
「【飛蝗】を!」
 フィラが機体を右へと滑らせ、コクピット内がユーベルコードの光に包まれる。【スルーズゲルミル】と逆側、腕のある方へと向けられた機体。そして再度の【飛蝗】。『目を潰せ』セレーネの指揮の意味するところををフィラは正確に理解し、【ナースホルン】の射撃兵装が一斉に火を噴いて『フルングニル』の視界を奪う。

 シャルロットと【ウサウサMk2】が抉り開けた脇の穴に動きが鈍り、フィラとセレーネの【ナースホルン】に目を潰され、もがいていた『フルングニル』の動きが完全に止まった。
「これ以上の犠牲は出させない……シャルロットさんの、みんなの攻撃を無駄にはしない!」
 フルコネクトの中、スルーズの気合いはそのまま【スルーズゲルミル】の出力の増大につながっていく。
「フェンリルモード、起動!」
 パワーゲージがピークに達し、リミッターが作動するかと思われた直前、スルーズがコマンドを飛ばす。
『Boot:FenrirMode Ready』
 モニターにメッセージが流れると同時、必要最小限以外のアーマーをパージした【スルーズゲルミル】が『フルングニル』へとさらなる加速をかける。
 陽炎のような残像を残しながら駆ける【スルーズゲルミル】の腕には【フェンリルの爪】――クロー型高周波振動ブレード――が装着されている。
 リミッター解除により増幅されたパワーと【フェンリルモード】によるスピードの増加を乗せた【フェンリルの爪】が、動きの止まった魔獣へと振るわれる。

 気づいた『フルングニル』が自らの重爪でそれを受け止めようとするも、その左腕は肘から先がすでにない。
 守るもののない魔獣の胴を、【フェンリルの爪】が超振動により霞む刃で薙ぎ立てる。いくら自己進化、自己修復の能力があるといっても、細胞の分子ごと焼かれ、断ち切られては為す術がない。出血すらないまま魔獣の上半身が床へと落ち、下半身が音を立てて転がった。

 数拍の後。2つに分かれて転がっている魔獣を見て、シャルロットが大きく息を吐き出した。スルーズもケージの中で機体と自分の神経をクールダウンしている。そして【ナースホルン】でも……。
「うん。まぁ、うん」
 狭いコクピットの中、セレーネがこてんとフィラに頭を預けていた。久しぶりの全開戦闘で集中力を使い切ったのだろう。
 だけど感じる温かさと柔らかさに肩を抱こうと試みて失敗し、フィラが頭を掻いて誤魔化していたことは、セレーネはしっかりと覚えておくことにした。

「みなさま……!」
 全員が緊張を解きかけたそんなとき、モーフィングを解いたシャルロットが魔獣の残骸を見て震えた声で呼びかけ、全員が集まったその前で、

 残骸が……動いていた。

 正確には筋肉の反射のようなものだろう。だがこれは『フルングニル』という意識は死んでも、細胞は死んでいないということだ。
「こいつは残しておけないな。研究材料としても危なすぎる」
 フィラの言葉に全員が頷く。4人は見える限りの残骸を集めると最後に【ナースホルン】のフレイムランチャーですべてを焼き尽くした。

「これが送り火になるといいのだけれど」
 燃える炎を見つめ小さく呟いたスルーズの言葉が、大尉と調査隊に届いていることを願って、猟兵たちは捜索隊のキャンプへと戻っていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年07月09日


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 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#クロムキャバリア
#ご参加ありがとうございました!
#『シュウェリン』


30




種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はノヴァンタ・マルゲリータです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト