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かっこいいは、つくるもの

#カクリヨファンタズム #戦後 #碎輝 #またいつか、俺とお前とでかっこいい戦いをしよう!

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#戦後
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#碎輝
#またいつか、俺とお前とでかっこいい戦いをしよう!


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●求めるものは
 一目見て驚かずにいられなかった。
 たとえば声が無愛想であろうと、たとえば表情が強張っていようと、たとえば語るべき言葉を持たずとも、碎輝には通じていた。思わず呼吸すら忘れてしまうほど、対峙した猟兵たちが、自然には決して存在せぬ輝きを放っていた。
 それを碎輝は今でも忘れられない。
 光が純白だろうと真闇だろうと、銘々が生み出した色感は本人らしい綾を織り、戦場を染め上げていく。
 反感や皮肉といった情を持たぬ彼にとって、猟兵との一戦一戦は正にまばたきのごとし。だから願った。
「お前たちがいれば……俺は、今の俺の先へ行ける!」
 ぐっとにぎりしめた拳で、熱意のあまりばちばちと光が弾ける。
「無限に成長する俺は、いつだって最弱から始まって、いつだって危険だ。だが……」
 あの日かれらと交えた刃が、碎輝を奮い立たせてやまない。
「お前たちとの魂の戦い! 俺はこれからも、それを糧にできるんだ。そうだろう?」
「クォォォン!」
「ニアァァァ!」
「キュゥィッ!」
 金色目映い青年へ応えたのは、同じカクリヨファンタズムに生きる妖怪たち。大小様々な猫又から、いつもは社の周りを散歩しているお稲荷さん、今日ばかりは何にも化けずにいる化け狸まで――いわゆる、もふもふ御一行。
 かれらは、碎輝から溢れる光につられてやってきたもふもふたち。
 そして碎輝もまた、月夜に猟兵たちを求めてやってきた竜神だ。

●グリモアベースにて
「……ということで、碎輝さんが猟兵さんたちとまた戦いたいんですって!」
 ホーラ・フギト(ミレナリィドールの精霊術士・f02096)はこれ以上ないぐらいに目を輝かせて話し出す。
「碎輝さん、目覚めるまではこの世界の最奥に封印されてたのよね」
 目覚めて間もな無いながら、無限の成長という名のポテンシャルは文字通り歯止めも利かず、かれをぐんぐんと成長させてしまう。かれもまた、成長を求めて一日一日を過ごしていく。しかし封印されていたということは、かれという存在そのものが、非常に危ぶまれるものなのだ。
 そう、たとえ最初は弱くても、無限の成長で強くなった碎輝が原因で、カタストロフが発生する可能性すらあった。封印から解き放たれたかれは、このまま放っておけばカクリヨファンタズムでカタストロフを起こしてしまう――かもしれない状況にあった。つい先日までは。
「猟兵っていう役者が揃ったから、状況が変わったの! 碎輝さんも大喜びみたいよ」
 ホーラによると、猟兵という好敵手の出現により、碎輝も『倒される』存在となった。猟兵ならば、碎輝を打ち倒せる。希望が見えたことで碎輝は意気揚々と、カクリヨファンタズムでの生活を満喫しようとしている。否、満喫するためにもかれ碎輝を猟兵が倒してあげる必要があった。
「倒した碎輝さんは、『小学生形態』になってしばらく成長が止まるの」
 成長したら倒し、成長したら倒し――その繰り返しが碎輝の望みへと結び付く。猟兵としても、後腐れなく存分にかれと戦える状況は、悪くないだろう。
「ええと、碎輝さんのお話だとね……」
 ホーラは碎輝の発言を拾い、猟兵たちへ伝えた。

 ――相手がかっこいい程、それか正々堂々としている程、俺の成長スピードも緩やかになる! はず!

「なので、碎輝さんに『かっこいい』ところを見せつけて戦ってちょうだい!」
 浮き立つ様子のホーラはそこで、ぽんと手を叩く。
「そうそう、今、碎輝さんはもふもふ妖怪さんたちに囲まれてるわ」
 妖怪の猫に狐に狸にと、想像以上にもっふりした妖怪の群れが、碎輝という名の燈りにつられ、やってきている。かれらは『かっこいい』ものが好きなのか、碎輝を応援したり、真似をしてみたり、なんだかとっても楽しそうだ。
 もちろん、猟兵も『かっこいい』様子をお披露目すれば、もふもふたちを虜にできるだろう。
 楽しそうねっ、とホーラもウッキウキだ。
「それじゃ、準備ができたら声をかけてね。かっこよく転送します!」


棟方ろか
 お世話になります。棟方ろかです。
 一章は日常、二章がボス戦となっております。

●一章について
 もふもふご一行に囲まれながら、碎輝さんと「かっこいい必殺技」や「かっこいい登場の仕方」「かっこいいシチュエーション」などを語り合いましょう!
 仲間と語り合っていても、かっこいい話題には碎輝さんが顔を出します。
 もふもふご一行は、皆様の真似をしたり応援を送ったりします。

●二章について
 一章で語り明かした「かっこいい○○」を参考に、碎輝さんと戦いましょう!
 話していた内容がフラグとなって、バトルで花開く感じです。熱いですね。
 二章のみ参加の方も、かっこいいものを全身全霊で伝えながら戦えばOKです。
 ちなみに倒した碎輝さんは、小学生形態になるそうです。

 それでは、プレイングをお待ちしております!
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第1章 日常 『もふもふパラダイス』

POW   :    体力の続く限り遊ぼう!

SPD   :    気のすむまで撫でよう!

WIZ   :    まったりゆったり一緒に過ごそう!

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エルザ・メレディウス
★アドリブ大・大・大歓迎です...!

正義を愛するあなたがとても尊い。
あとね…小学生なあなたも観てみたいの…(ぼそりと呟いて)。
碎輝さん、もふちゃん――。皆様が憧れてしまうよう、つい打ち震えてしまうようなそんなお話、私に任せてちょうだい?


『カッコいいシチュエーション』についてお話します。
やっぱり、王道は――戦国時代の男性同士の友情かしら.。
一人二役で、熱く語りあう戦国武将を再現しますね

場面は、兵力で遥かに勝る敵を前にしても決して諦めない二人の武士が語りあうシーンを。

「お前の命――この私に預けれくれぬか?」
「もちろんだ。我ら、死ぬ日は一緒よ」
お互いに目と目を合わせて誓いあう、そんな場面を演出です



 エルザ・メレディウス(執政官・f19492)が見晴かす世界は、いつだって尊い感情で満ちていた。
「小学生のあなたは、いったいどんな方なのかしら……?」
 想像は容易くも、何とはなしに問い掛けてみたくなった。
 自身が幼くなることに抵抗もないのか、きょとりとまじろいだ碎輝がエルザへと振り返る。
「俺はいつなんどきも俺のままだ。お前もそうだろ、猟兵」
 予想から外れぬ回答に、エルザの頬もふくりと持ち上がる。
「ええ……姿かたちが違えど……正義を愛するあなたは、あなたのまま立ち続けるのでしょう」
 それが、とても尊い。
 落とした睫毛が震える。俯かず前進するのみの碎輝へ、だから話してみたくなった。
「戦国の世は、多くの武将に誉と義を問う時代となりました……」
 権勢をほしいままにする武将は、民に多くの感情を生み出させる。憧憬や信頼のみならず、鬼ですら三舎を避ける存在として恐れられもする。それを理解しながら世誉を求める者があり、ただ民や家族を守りたい者があり――情景を思い描くだけで、エルザは胸が締め付けられる心持ちになった。
「武士には……戦場でしか解らない悩みや葛藤が、あったと思うの」
 戦場は彼らの聖地だが、聖地は彼らに優しくない。策を講じて戦ったとて、覆せぬ武力の差が生じやすい時代だ。星の瞬きほどの人生をそこに注ぐ男たちを、エルザは己が身で体言してみせた。
「譬え本陣へ攻め込まれようとも、軍門に降りはすまい」
 明らかな劣勢にも怯まぬ将。そして彼と並び立つ武勇の士が、共にいる。
 だから武将は告げるのだ。相手の戦法も性分も、疾うに知っていたからこそ。
「厳しい戦いとなろう。お前の命、この私に預けてくれぬか?」
 滾る血は戦の為にあれど、流れる血は守るべきものの為にある。
 そうと理解しあった同志が窮地で重ねる視線は、血よりも熱い焔のよう。
「皆までいわずとも我ら、勝利を掲げし日も、死地と定めし所も一緒よ」
 ふ、と吐息で男が笑い返せば、それが合図となった。二人分の歩が前へ飛び出す。
「しかし貴様も容易く落ちる性ではあるまい」
「知れたこと」
 目と目で誓いながらも軽口は欠かさない。
 そんな武将らの姿を演じたエルザは、最後にひとつ恍惚の息を零した。すると一部始終を観劇していた碎輝が、おお、と唸る。
「視線で通じ合う間柄か……正しく俺と猟兵のようだ!」
 双眸を輝かせた彼の反応に、エルザはいとおしげに眦を和らげた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レザリア・アドニス
ええと…カッコいい、ですか?
んー、どんなのが『カッコいい』と言えるかしら?
というか私も『カッコいい』のが出来るの?

『カッコいい』初心者ですよろしくお願いします
ん〜そうですね…こう、高所に立って、月を背景に、翼を広げて登場するのはどうかしら?
砕輝さんはどう思うの?
あ、でもこの翼はカッコいいなんてないんですよね…
やっぱり死霊ちゃんに頼んで、カッコいい騎士さんの肩に乗って登場するのがいい?
そもそも前衛職じゃないし、武器を構えるカッコいい戦闘ポーズは無理かもしれない
うーん、難しいね
ここはやっぱり『カッコいい』の専門家の意見を伺いたい
後で、カッコよく倒すために…ね?(杖を抱えて、お淑やかに微笑み)



「ええと……カッコいい、をするんですか?」
「ああ、かっこいい、をしてほしいんだ」
 ぱちぱちとまじろいだレザリア・アドニス(死者の花・f00096)の呟きに、碎輝も頷きながら返す。
「カッコいい初心者です、よろしくお願いします……」
「ん? おお、熱くてかっこいいものを作ろう!」
 笑顔を咲かす彼の眼差しは、期待に満ちていた。
 だからレザリアも逡巡したのち、カクリヨの世界ならではの、ぽっかり浮かんだ月を背にする。いびつな空間に、慌てて掻き寄せたかのような建造物が並ぶ世界だ。少女ひとりがふわりと舞い上がるのも、簡単なこと。
 高所を陣取ったレザリアは、黒と白を混ぜ合わせた液に浸けたかのような、やわらかい翼をそこで広げてみせる。はばたきの音とは違い、羽を開くだけの挙動は実に優雅に、悠然と為された。おお、と碎輝の感心が声に乗る。
「シルエットが最強だ!」
 かれの言う通り、月影が織り成すレザリアの姿は芸術めいて世に映った。
 飾らぬかれの反応に、レザリアもこくりと肯って。
「そう、ですね……こんな感じで登場するのは、どうかしら?」
「なるほど、登場を見事に決めるのか」
 幾度も首を盾に振りながら考えをまとめていく碎輝をよそに、少女はふと湧いた疑問が引っ掛かっていた。
「……この翼だと、カッコいいなんて……」
 思えない。
 純白の翼を月へ向けるのと、漆黒ではっきりとした輪郭を描くのと――どちらとも言えぬ色の翼。
 気がついてしまったものだから、少女はそっと翼を折り畳む。折り畳もうとしたところへ、碎輝から一声がかかった。
「天地を統べる有翼の戦士、か。さすが猟兵! 格好良さの塊だな」
 思いもよらぬ発言だったのだろう。レザリアは零れんばかりのまなこを見開く。
「碎輝さんは、そう思うの?」
「勿論だ! 空を知り大地を知る身が、あえて高い所から存在を主張する。しかもかっこいい翼を広げて!」
 レザリアの動きをなぞるように、かれも両腕を翼に見立てて話し出した。レザリア自身、かっこいい、という表現は難しいと痛感していただけに、驚きの色を表情にほんのり刷く。
「……私も、カッコいい……というのが、できる……?」
「できていた! やはり猟兵は一味も二味も違うな」
 間髪入れず碎輝が応じたものだから、少女は杖をそうっと抱えて淑やかに微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

亞東・霧亥
【UC】
このUCは自分の得意技を更に高めるために使う。

碎輝の放つ溢れんばかりの光の中で、僅かな『闇に紛れる』事で手練の『暗殺』者の如く気配を断ち、気付かれぬうちに『忍び足』で碎輝の背後に立つ。

「無防備にも程がある。」
碎輝の後ろから声を掛け、振り向くと同時に、目にも止まらぬ『早業』と『毒使い』の技術を用いた、唐辛子入りの目潰しを浴びせる。

「カッコいい登場には程遠いが、戦闘を有利に進めたり、己の意のままに相手を翻弄する戦法は、嵌まると気分爽快だぞ。」



 口端に湛えた笑みは、亞東・霧亥(夢幻の剣誓・f05789)の指先へと募る力を示す。熱ではない。そこに燈るのは、ひんやりとした感覚。冷や水へ浸けたかのようにしんとしながらも、指は、手は、足は、霧亥の思うがままに動く。その指に速さの糸を纏い、手に毒の使い手ならではの彩りを帯び、足に音をも殺す歩みを宿して。
 言葉よりも雄弁に「かっこいい」を物語る霧亥の仕種は、いつしか碎輝へまばたきを忘れさせた。
 霧亥のしなやかな動きひとつひとつが、影と化す。
 己の地力を熟知しているからこそ、眠る力や意欲をも糧に、霧亥は秘技を佳景へ刻む。
 ――美しくも儚い、カクリヨの夜に。
「ひたすら輝いてみせるのも、いいと思う。俺には、無いものだ」
 そこで一際目映く存在する碎輝へ、彼は告げた。
「光が強ければ強いほど、紛れられる」
 静かに忍び寄る死への歩み。それが碎輝の光輝さを利用し、気配を断った。
 一瞬の出来事だ。碎輝が少しでも目線を外そうものなら、闇は瞬く間に溶けてゆく。反対にじっと直視を続けたとて、乾くまなこが潤みを求めれば、まばたきという一瞬のうちで霧亥は行方を眩ませる。
 そうしてひとたび霧亥の姿かたちを見失えば、もはや悔やむにも悔やみきれぬ場面へ移行せざるを得ない。
「無防備にも程がある」
 一言は碎輝の後背へとかかった。
 反射的にかれが振り向けば、指で素早くつまんだ毒の欠片が、その真っ直ぐな視線を奪う。
「うおぉっ!? なんだこれは!?」
 想定外の、否、想像もしていなかった『カッコいい』技に碎輝の面差しが露骨に戸惑って。
 しかし痛覚ははっきりしているのか、両目を押さえ込んでじたばたともがき出す。
 そんな碎輝を前にして霧亥は、まだまだ色濃く毒の匂いが残る手を払った。
 そう、毒と一口に言ってもこれは――目に滲みる、というより滲みすぎる赤き毒。
「カッコいい登場……には程遠いが、戦法としては真っ当だ」
 つんとした香気を拭ったところで、霧亥が紡ぐ。
「戦いを有利に進め、己の意のままに相手を翻弄する。……嵌まると気分爽快だぞ」
「な、なるほど! 相手を翻弄するというのは、ゾクゾクする格好よさだな。うう、それにしても痛い!」
 視界を手で塞いだまま、碎輝は声を震わせることしかできなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御狐・稲見之守
挨拶は大事である。
敵が強ければ強いほど、格があればあるほど
相対する敵を認め名乗ることが大事じゃナ。
古事記にもそう書かれている。

その上で名前負け、口上負けしてしまってはカッコがつかん。
ありがたいことにワシには肩書きや名がいっぱいあってナ。
違う、野良猫の親分さんではない。

『魂喰卿』『人喰い魂呑みの外道』
『斯くあれかしと願われるがゆえのカミ』
『夢と現つの水面に立つ者』『クソプレ狐』
…ふふ、肉を喰み魂を啜る化生にして、夢幻を操るアヤカシの狐
そしてヒトの願い想いにより奉られし和魂たるカミ。
このいずれもワシであるゾ。カッコいいじゃろう。

あ? 子どもじゃないかって?
ハハハ。ガキが、舐めてると潰すゾ。



「相対する敵の強さ、格。それらの度合いを認め、名乗ることが大事じゃナ」
 古事記にもそう書かれている。
 神妙な面持ちで語り出したのは、御狐・稲見之守(モノノ怪神・f00307)だ。
「名乗りか! 確かに格好よく名乗れば、更に強くなれる」
 碎輝にも異論はないようで、稲見之守の続きを期待してかきらきらとしたまなこで見つめてくる。
 見目に違わぬあどけなさを残したかれに、稲見之守もふと口角をもたげた。幼稚とまではいかずとも、「かっこいい」を追求しつつ猟兵との対峙を望んだかれの在り方は、稲見之守にとっては幼さの証。なればこそ知らしめてやらねばと、稲見之守はこほんと咳ばらいをひとつ落とした。
「その上で名前負け、口上負けしてしまってはカッコがつかん」
「ああ、負けたくない部分だ」
 かれもまたうんうんと頷き、同意を示す。だから稲見之守も揚々と耳を立てて続けた。
「ありがたいことにの、ワシには肩書きや名がいっぱいあってナ」
「ミァ」
 まるで応じるように、猫又が稲見之守に擦り寄れば、碎輝がなるほどと何故か唸る。
「猟兵は猫又の親分になるのか」
「違う、そうではない」
 足元で微笑む猫又を気に留めもせず、稲見之守は指折り肩書きをあげ始める。
「魂喰卿、人喰い魂呑みの外道、斯くあれかしと願われるがゆえのカミ……」
「おお……?」
「夢と現つの水面に立つ者、クソプレ狐」
「お、お?」
 連ねた響きに碎輝が首を傾ぐも、稲見之守はやはり気にしない。ふふ、と吐息混じりに笑って。
「肉を喰み魂を啜る化生にして、夢幻を操るアヤカシの狐。そしてヒトの願い想いにより奉られし、和魂たるカミ」
 神々しさを背負いながら稲見之守は告げる。音で織り成す肩書きがどれも琴線に触れたのか、碎輝の目許へ徐々に興奮が射していく。かれの反応を眼前にして、紡いだ方もまた眦へ朱を添える。
「いずれもワシ。ワシであるゾ。どうじゃ、カッコいいじゃろう」
 胸を張った稲見之守の誇らしさは、碎輝にとっても理解が及ぶものなのだろう。
 すごいな、とかれの声が一際つよく弾んだ。
「見かけは俺より幼いというのに、しかと世界が見えているのか!」
「あ? なんじゃ? 子どもと見て舐めてかかるのは、けしからん態度じゃナ」
 背丈こそ小柄ながら、振り撒く威は竜神よりも世を圧す。周りのもふもふたちが毛を逆立てて怯えるほど、稲見之守の様相はカクリヨの世界を震撼させるものだったが、碎輝はものともせず――ただただ、稲見之守の織り成す姿勢に感心していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レパル・リオン
かっこよくなりたいもふもふ!?だったらあたしが行かなきゃね!

かっこよくなりたいみんなー!今日も元気にはりきってるー!?
あたしはレパル!またの名を!
魔法猟兵!イェーガー・レパルよ!
(後ろで爆発)

こんな感じで名乗りながら変身よ!

ヒーローをやるからには、かっこいいヒーローでありたい!人を助ける事も、そのための強さも大事だけど…一番大切なのは!立ち上がる事よ!
どんなにボコボコにされても、血とドロにまみれても、絶対諦めない!
かっこいいヒーローとは、立ち上がる者の事よ!強さも美しさも、善悪すら関係ないわ!

で、今言ったかっこよさのためにはトレーニングあるのみよ!
さあ、満月に向かってダッシュよ!!!



 かれの金色にも勝る輝きを赤に宿して、レパル・リオン(魔法猟兵イェーガー・レパル・f15574)はもふもふ一行を観客に、いつもの演出を披露する。気負う必要もない。ただ平時と同じように魅せるだけ。
「かっこよくなりたいみんなー! 今日も元気にはりきってるー!?」
 アリーナまで届くほどの声量で呼びかければ、応じる声援が各所から響く。目の当たりにした碎輝でさえ、何が起きたのかすぐには理解できずぱちくりと目を丸くして眺めるばかりだ。けれどレパルは止まらない。
 いつ見ても真新しく感じる衣装は、今日も綺麗に整っていた。色彩も鮮やか、動きに合わせて鏤める光の粒だって、今日はカクリヨに沿った光量になっている。もふもふたちがキュウキュウ鳴いてレパルを呼べば、渦中のひとは片目を瞑って応えたのち。
「あたしはレパル! またの名を!」
 くるりと踵を頼りにひとつ踊り、腕をこれでもかと伸ばしてポーズを決める。
「魔法猟兵! イェーガー・レパルよ!」
 ドカァァァン、と盛大に弾けた音と衝撃が一帯を包み込んだ。仕込んだ爆発の勢いもあってか、観衆からあがるのは歓喜の悲鳴。
 かっこよくなりたいもふもふのため、かっこよさを求める碎輝のため、レパルは惜し気もなく変身シーンを景色に刻み付けた。
「どう? こんな感じで名乗りながら変身するの、かっこいいわよ!」
「おお、そうだな! 名乗りと変身……華麗な融合技だ!」
 碎輝がぐっと拳を握りしめて、感動を口にする。素直な反応にレパルの頬も自然と緩んだ。
「かっこいいヒーローとは、立ち上がる者のこと。強さも美しさも、善悪すら関係ないわ!」
「ヒーローか、ヒーロー。いい響きだ」
 たった四つの音で構成されたものを、碎輝はしみじみと受けとる。レパルから贈られた一連の流れも、ヒーローたる者の行動も、すべてがかれにとっては「かっこいい」と呼べるものなのだろう。
「で、今言ったかっこよさのためにはトレーニングあるのみよ!」
 びしりと天を指差して告げたレパルの目映いばかりの色彩に、碎輝も深く頷く。
「トレーニングはわからないが、俺もかっこよさのためなら尽力する!」
「よーっし、なら、まずは満月に向かってダッシュよ!!」
 こうして、レパルによる猛特訓が幕を開けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メリル・チェコット
わあっ
もふもふの妖怪がたくさん!
かわい……あっ、かっこいいがいいんだったね
可愛さもかっこよさももふもふ具合も、うちのひつじたちだって負けてないよ
はいみんな、かっこいい顔してみて?
ふふーん、どう?

かっこいいシチュエーション、考えてみたんだけどね
ライバル同士の対決ってかっこよくて燃えると思わない?
碎輝くんの傍にも、わたしにも、素敵な仲間がたくさんいるからさ
今日だけわたしたちはライバルってことで
チーム戦なんてどうでしょう!

チームだとね、こんなかっこいいこともできるんだよ
フルートを奏でれば組体操よろしくひつじたちが集まって
みんなでビシッとかっこいいポーズ!
ふふ、ね?
あなたたちの決めポーズも考えよう!



 一人の若者が、狐や狸たちに四囲を許している。その事実がメリル・チェコット(ひだまりメリー・f14836)には眩しくて、わあっ、と歓声をあげながらひだまり宿る眸を細めた。
「もふもふがこんなにたくさん! かわい……あっ」
 言いかけた感想を、ふるふると頭を振って途切れさせる。
「かっこいいもふもふ具合なら、うちのひつじたちも負けてないよっ」
 彼女の発言を耳にした碎輝が、首を捻った。
「もふもふ。俺には縁のなかったものだが、どうかっこいいんだろうか?」
 本来は硬くもしなやかな竜鱗を持つ男。目覚めて間もないかれは『もふもふ』が秘める力を熟知していない。
 だから任せてと言わんばかりにメリルは、鼻を鳴らす。幼子が見せるそれのような仕種に、化け狸たちがキュッキュと楽しげに跳ねた。
「じゃあ、かっこいいを知るためのチーム戦なんてどうでしょう!」
「チーム戦か!」
 途端に碎輝の目が色付く。そう、と肯ったメリルもまた声を弾ませて。
「今日だけわたしたちはライバルってことで。はいみんな、ちゅーもーく!」
 メリルが整列させたのは、夢寐にも忘れぬ羊たち。すると羊に倣ったもふもふ一行も、彼女の前でぺたんと尻を下ろす。綺麗に並んだ羊と妖怪の集いは、碎輝でさえ「微笑ましい」という感想を抱く光景だった。
「かっこいい顔、はじめ!」
 少女の掛け声を機に、ふかふか羊たちが一世一代の大勝負に出る。つぶらな瞳をキラリと光らせ、表情をキリリと引き締めて。碎輝も負けじと、妖しと並んで決め顔を捻り出すが、その間にもメリーフォーメーションは羊飼いのフルートに沿って変形していく。メェメェと歌いながら。
「かっこいいポーズ、びしっ!」
 次なる一声で、ぽふんぽふんと転がる羊たち。こうして碎輝たちの眼前に築かれたのは――ピラミッド。
 羊たちが積み重なってできたそれは、かれらのイケている顔と何処からか射す後光も相まって、神々しいものとなった。
 ね、とメリルが頭を傾けて笑顔を咲かせる。
「チームだと、こんなかっこいいこともできるんだよ。次は碎輝くんたちの決めポーズ、考えよう!」
「なるほど、素晴らしくかっこいいな。……今日だけはライバルだとお前は言ったが……」
 言いながら、碎輝の双眸が爛々と輝く。
「未来永劫、俺たちはライバルだ!」
 堂々たる宣告に、メリルと羊たちはふくふくと頬をもたげて笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

煙晶・リリー
カッコいい、つまり私ね。私の出番ねこれは。(パリコレみたいな歩き方で登場)

私が登場した時点でもう場にカッコいいが溢れてるけど・・・ふむ。カッコいい必殺技とな。それなら最近覚えたのがあるんだよ。

カッコいい力といえば・・・そう、力の暴走!ぐっ、右眼が・・・(別に痛くないけど抑えて蹲る)
ぐぁあああ!!・・ふふ。溢れ出る力の暴走。カッコいいでしょ。

あ、石化しちゃったもふもふ妖怪さんたちはすぐ戻すよ。ごめんね怖かった?



 大地と陽の狭間を映した煙晶・リリー(クール・スモーキーガール・f21371)の双眸が、月よりも鮮やかな色を放ってやまない碎輝を捉える。カツリカツリと踵で打ち鳴らし、道を歩む少女を照らし出すスポットライトもまた、カクリヨの月明かり。
「カッコいいを、つくる。つまり私の出番ね」
 かきあげた前髪が風を孕み、少女の明るいかんばせをかれへ届けた。
 突然の登場にまじろぐ碎輝をよそに、リリーはふっと吐息で笑って空を仰ぎ見る。
「……カッコいい必殺技。伝授しにきたの」
 彼女の指先が、招くように碎輝へと向けられた。
「必殺技か、燃えそうだ!」
 ひりつく電撃を帯びて碎輝が期待をあらわにする。だからリリーも悠揚たる物腰で煙の骸を――喚んだ。
「ぐっ、ぅ……ッ!」
 前触れなくリリーが右目を押さえて蹲ったものだから、碎輝がぎょっとした。
「お、おい! どうした猟兵!」
 取り憑かれたかのような発狂の予兆。そして沸きあがる感覚へ蓋をし、押さえ付ける素振り。そのひとつひとつが碎輝やもふもふ妖怪たちを震わせた。彼女が呼び覚まそうとした力の一端が垣間見え、狐や狸たちの毛がぶわっと広がる。けれどリリーは止まらない。
「ぐぁ、あぁああ!!」
 喉をさらけ出して絶叫した。天地だけでなく空気をも揺るがす大音声は、生きとし生けるものを石像へと変える呪いと共に拡がっていく。ふふ、と次に彼女が笑ったときにはもう、緊迫を模った妖怪たちの彫刻がそこかしこにできあがっていて。
 美しき彫刻の呪いを免れた碎輝が、かれらの代わりに目を真ん丸にした。だからリリーもかれを直視して告げる。
「溢れ出る力の暴走。これ、カッコいいでしょ」
 最近覚えたんだ、と無邪気に笑う少女の顔はいつも通りだ。
 一部始終を目の当たりにした碎輝の心も浮き立つ。
「苦悶に耐えながら暴れ狂う力を得る……なんとかっこいい演出だろう!」
 血が騒いだのか、碎輝は疼く衝動を唇に刷いた。
 かっこいい猟兵との対峙が、竜神の今を彩色していく。リリーもまた、格好良さを発揮できる舞台で碎輝とぶつかりあえる瞬間を待ち遠しく思い、笑みを寄せる。
「でしょ? 身体も温まってきたところで、まずは……」
 リリーは話しながら、妖怪たちを呪縛から解放して。
「ごめんね、怖かった?」
 最後に囁きかけた声音は、かっこよさの片鱗を感じさせるイケメンボイスだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加

おやおや。ノリがどこかの誰かに似ているね。(目をキラキラさせる奏を見ながら)正直こうして話せる機会が来るなんてねえ。かっこいい事がふむ。

アタシの必殺技に赤い竜の翼で飛んで攻撃してする技があってねえ。正直自分でもかっこいいと思ってる。竜であるアンタも通じるところがあるだろ?後正面からぶつかって渾身の拳!!あれが決まると嬉しい。こうして気合いをいれて力を溜めてぶち込むんだ。アタシと碎輝の得物は槍だが小回りが利かないからこういう手段を持ってると助かる・・・なんだかもう一人息子が出来た気分だねえ。

まあ、碎輝も色々学べばいい。こうしてもふもふと触れ合うのも大事だよ。


真宮・奏
【真宮家】で参加

もふもふさんも物凄く惹かれるんですが、本当に碎輝さんと語り合える日がこようとは!!気が合いそうなのでお話してみたかったんです!!かっこいい事ですね!!

「かっこいい登場の仕方」とは高い所から登場して必殺フォームに変身してかっこいい言葉をいうに限ると思います!!私なら「私の信念を貫くために、貴方には負けません!!」ですね。そしてキラキラしたエフェクトを散らしながら攻撃!!碎輝さんは元々キラキラしてますし、素質あると思いますよ!!

それにもふもふも物凄くお勧めです!!(ぐぐっ!!)至上の幸福を得られますので、体験してみるといいです!!


神城・瞬
【真宮家】で参加

まあ、自由の身になりましたからね。碎輝さんも色々経験した方がいい。見た目は僕より年下ですから、弟のような目で見てしまいますね。ふむ、かっこいい事ですか。ふむ。

僕は冷静に振る舞う事を心がけています。感情のままに振る舞うこともいいですが、状況を良く見て「ふむ、たいしたことない」とクールに言い放ち、迅速に対応する男もかっこいいですよ。後ろからさり気なく支えるのも地味ですがかっこいいと思います。

まあ、かっこいいは人それぞれですし、碎輝さんの求めるかっこいいとは違うと思いますが、色々試してみるといいかと。このもふもふも。



 ――まさか本当に語り合える日がこようとは!
 驚きと興奮を包み隠さず、真宮・奏(絢爛の星・f03210)は手を叩く。
 戦争中には考えられなかったかたちで願いが叶ったのだ。浮き立つ心を抑えられない。
「碎輝さん! 私、あなたとお話してみたかったんです!」
「俺もだ猟兵! やはり互いの成長を促す者同士、気が合うな!」
 碎輝も碎輝で、遠慮や恥じらいなく言い切るものだから奏はますます喜んだ。
 喉で笑う真宮・響(赫灼の炎・f00434)も、碎輝から溢れる逞しさを認めていた。
「おやおや。ノリがどこかの誰かに似ているね」
 誰なのかは、あえて言うまでもない。零れんばかりに眼をキラキラさせた奏を前に、響は幾度も頷く。
 すると。
「自由の身になりましたからね。碎輝さんの経験に、良い影響を与えられたらと」
 静かな語りで神城・瞬(清光の月・f06558)が祝福した。奏のはしゃぎようも、瞬にとっては喜ばしいことだ。
(それにしても……かの竜神親分も、こうして改めて見ますと……)
 外見というのは、思いのほか印象に影響する。瞬が大人びているのもあるが、碎輝のよく動く目も大きく開かれた口も、あどけなさが残っているように感じた。だからだろうか。まるで弟を見るような、そんな意識が先行してしまう。弟など居やしないのに。
(手のかかる義妹はいますけどね)
「何か言いましたか!!」
「何も言っていませんよ」
 視線を向けたわけでもないのに、奏が感づいたかのように首を傾ぐ。
 その頃響はというと。己の必殺技について、動きを交えて碎輝に説明していた。
「竜であるアンタも、通じるところがあるだろ?」
 赤き竜の翼で大空を支配し、挑む響の奥義。空の美と自由を知る同士として、碎輝も共感を抱く。
「ああ。飛翔、滑空、突撃。そうした攻撃手段はやはり滾る!」
「だろうね。アタシもさ、アレで終いに渾身の拳が決まると嬉しいもんだ」
 思い返してしみじみと話した響が、ぐっと腕を引き、拳を構える。
「気合いは一点に。で、力を溜めて……」
 ――ぶち込む。
 言葉より速く突き出した腕が、風も空気も突き飛ばす。
 瞬きもせず捉えた碎輝の両目が爛々となる。
「か、かっこいい!」
「正直、自分でもかっこいいと思ってる」
 真正面から感想をぶつけられて、響は満更でもなさそうに頬を緩めた。
「なんせアタシと碎輝の得物は、小回りが利かない槍だからね」
 響の一言に、碎輝もこくりと首肯する。
「竜の翼を頼るにせよ、そうでないにせよ、拳で語れたらどれほどかっこいいか!」
「そういうことだね」
 やる気満々の碎輝を目前に響が頷けば、突如として奏の声が響き渡る。
「かっこいい登場の仕方でしたら、お任せあれ、ですよ!!」
 自信を笑顔に宿して奏は早速、実演に走った。
 カクリヨの空へ届きそうな高さへ登り、得意のパフォーマンスをベースに、変身ポーズを決める。ただのポーズではない。ここ一番で覚悟が発露した必殺フォームを思わせる、見事な『決め』だ。高所という舞台も重なってか、その一場面は奏の陰影をより強調し、居合わせた者たちへ鮮烈に印象づける。
「そしてそして! ここでかっこいい言葉をいうに限ると思います!!」
「ああ、ぜひ盛大に放ってくれ! 俺も参考にするぞ!」
 他でもない碎輝から期待を投げられ、奏は胸の底までいっぱいに息を吸う。そして。
「私の信念を貫くために! 貴方には負けません!!」
 世界をも驚愕させる大声で、胸中で眠るかっこいい言葉を解放した。際立つ光の粒を、一帯へ鏤めながら。さながらヒーローが魅せるワンシーンだろうか。碎輝も奏の仕種を真似して。
「ふむ、かっこいい事、ですか。ふむ」
 賑やかなやりとりを眺めた瞬は、目線を右へ左へ流しつつ、弟のような若者の願いに寄り添おうとする。
「そうですね、僕は冷静に振る舞う事を心がけています」
「冷静……」
 なんだか自分とは縁が薄い気もして、碎輝が縮こまる。
 そんなかれの思考を掬い、瞬はゆっくりかぶりを振った。
「あなたは冷静さを保っていると思いますよ。自分で認識しているよりもずっと」
 言いながら瞬はほんの少し、口端を緩める。
「ですがもう少し状況を良く見て、クールな一言を言い放つのかっこいいでしょう」
「おお。クールな一言。決め台詞みたいなものか!」
 先ほど奏の披露したものが気勢に満ちているのなら。瞬が教えるのは、いかなる状況においても態度を崩さず、落ち着き払ったままで迅速に対処する男の様子。
「ふむ、たいしたことない」
 目線は流し、さらりと髪をなびかせる。それだけで、ため息のごとく零した一声に意味が増す。
 おおお、と碎輝が唸った。感心を含んだ唸り声だ。
「さすが猟兵、クールなかっこよさも強そうだ」
「じゃ、お次はこれなんかどうだい? もふもふと触れ合うんだ」
 ここで響に促され、碎輝が周りへ目線を落とす。化け狸や猫又たちが、わくわく顔でかれをじっと見上げていた。
 そこへぐっと身を乗り出して、奏が推しもふをアピールし出した。
「物凄くお勧めです!! ささ、どうぞどうぞ!」
「……まあ、かっこいいの基準や在り方は、人それぞれですしね」
 肩をやんわり竦めて、瞬は眼差しで二人を示す。
「色々試してみるといいかと。このもふもふも」
「至上の幸福を得られますので、体験してみるといいです!!」
 瞬と奏の連携プレイに、ならばと碎輝も腕まくりをしてもふもふを捕まえる。
 こうしてキュウとかニァァとかの嬉々とした鳴き声がいくつも重なり、辺りを明るくさせていく。
「……なんだか」
 響は言いかけたものを一度咀嚼してから、呟きへと換えた。それはそれは嬉しそうな面差しで。
「もう一人、息子が出来た気分だねえ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『竜神親分『碎輝』成長電流形態』

POW   :    成長電流放射
【黄金竜】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【状態から次第に強くなっていく電流】を放ち続ける。
SPD   :    黄金竜神
【体に雷を纏う】事で【無限に成長を続ける黄金竜の姿】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    超電竜撃滅衝
自身が装備する【槍】から【無限に成長する巨竜型の雷電】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【感電】の状態異常を与える。

イラスト:108

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「うおおぉぉお!! きたきた、きたぞ!!」
 のけ反った碎輝が、天へと声を走らせる。あらゆるかたちの『かっこいい』を記憶に刻み、その身に宿し、向き合ったかれの内で迸るものは、ただひとつ。
 自らを『倒せる』力を持った猟兵たちへの、猛り。
 血湧き肉踊る戦いが正しく今、起ころうとしている。その予感が碎輝を奮わせた。疼いてやまない感覚がかれを支配していく。しかしもはや躊躇する必要はないと、知っている。
「やろう、猟兵。またここで、これでもかとカッコよく……」
 手の平へ拳を打ち付けて、碎輝は片頬をめいっぱい上げた。
「俺とお前の、魂の戦いをもう一度!」

 相手は、竜神親分『碎輝』――成長電流形態。
 さあ、かっこいい戦いをしよう。
亞東・霧亥
最弱から急速に最強に至る。
そんな暇を与えると思うか?

【UC】
過去と言うには些か早いが、到達者となった超電竜撃滅形態の碎輝に変身する。

・放たれる電流は数多の『残像』に誘導し、黄金竜を仕止めるために最善を尽くす。

・『索敵』で得た正確な位置情報を元に、『情報収集』と『戦闘知識』で無軌道に見える竜の動きを探る。

・瞬間的な超『集中力』と『息止め』で鼓動によるブレを無くし、紫電を帯びた槍を『スナイパー』の技量を用いて『投擲』する。

「電流は紫電で相殺し、残った竜槍がお前を貫く。」



 一目見て驚かずにいられなかった。
 いざ尋常に勝負、と火蓋を切ったその直後。碎輝は亞東・霧亥(夢幻の剣誓・f05789)の択んだ戦法に素っ頓狂な声をあげる。
「ど、どうなっているんだ!?」
 瞠目するかれと違い、細まる霧亥の眼。
 竜神たる男が驚いたのも無理はない。何故なら相対してまもなく、鋭い電槍を操る『碎輝』を、霧亥が己で模ったのだから。
「これが超電竜撃滅形態、だよな」
 霧亥ががちらりと碎輝を一瞥し、確かめるように唇を震わす。
 すると碎輝は、眉間へ人差し指をこれでもかと押し付けて。
「待ってくれ。いま成長する……そうか、かつての経験が生きているのか」
 理解が及ばずにあった思考を、どうにか現実に追いつかせた。
 そんなかれを目前に霧亥も、よく似通った姿かたちで話しかける。
「過去は俺の武器にもなるからな。最弱から最強に至る。そんな暇、お前には与えない」
「それなら俺も……成長電流、放射!」
 碎輝が叫ぶや、向き合っていた二つの光は同時に地を蹴る。碎輝が黄金の竜へ変姿した途端、二種の雷電が呼応しあうように唸り、戦場を激しく照らす。ばちばちと音が弾けるたび随所に色濃い影が残った。目が眩まんばかりの光景だが、霧亥は眼裏の痛みも何のその、天を支配せんとする竜に立ち向かう。
 碎輝がはばたいたら、風塵に紛れて残像を生む。
 砕輝が鎌首をもたげたら、波濤のごとき電流へ飛び込み、足元の揺らがぬ地点を探って。
(ここだ。ここなら)
 霧亥は姿と力を最大限に活用していた。かの者の姿ならば、強まる眩しさの中でも怯まない。そして近しい電流が混ざり合った世界でほんの一瞬、碎輝の挙動が淀んだ。好機とばかりに霧亥は呼吸を停め、四辺の音が聞こえなくなるほど集中する。
 やがて彼は、翔ける竜へ紫電を送った。渾身の力で槍を投げて。
「電流は紫電で相殺。そして……残った竜槍が、お前を貫く」
 溶ける程の明るさを持つ穂先が、瞬く間に黄金竜を貫いたのは言うまでもない。
 鮮やかな紫電の一手に、碎輝が盛大に朗笑した。
「忍ばずに戦う道を選ぶとは! さっきまでの記憶に見事に阻まれたぞ」
 霧亥の披露した『かっこいい』戦い方が、碎輝の脳裏からまだ消えていない。
 かれの素直な反応を前に、霧亥は口端をそっと持ち上げる。
「こういう戦い方も『かっこいい』の素材になる。怠らずに動けばな」

大成功 🔵​🔵​🔵​

レザリア・アドニス
砕輝さんのこと、嫌いじゃなかったけど
敵である以上、しょうがないんです
カッコいい談義、本当に楽しかったの
敬意を持って、カッコよく戦い、カッコよく倒します

アドリブ歓迎
ひょいっと高所に飛び上がり、翼を広げながら杖を揚げ、
【全力魔法】と【高速詠唱】などの能力で増幅した炎矢の雨を降らせる
一点集中して、砕輝さんを狙って攻撃
ダメージを受けたら【生命力吸収】をつけた魔法の矢で少しでもその無限に成長する生命力を吸い取る
感電などね…これはこれは、もっとカッコよく見えるじゃないかね
電流を纏うこの翼も、色が、良い感じに見えるよね



 ありありと現れた碎輝の情に、レザリア・アドニス(死者の花・f00096)は絹のような睫毛を震わせる。
(碎輝さん……嫌いじゃなかった、けど)
 遮るものも阻むものも存在しない環境で、猟兵との戦いをひたすら楽しみにしてくれていた碎輝。その姿は、たとえ電流を放っていなかったとしても彼女には眩しすぎただろう。そう思わずにいられないぐらい、碎輝から真っ直ぐに飛んで来る期待と興奮が、突き刺さる。
(どうして、そんなに楽しそうなの?)
 問い掛けたい気持ちもありつつ、芽生えた想い出の一葉のおかげで、聞けずにいた。
 少女自身、碎輝とのひとときに胸を突かれていたのかもしれない。
 倒す相手だとわかっていながら。止めねばならない存在と知っていながら――。
(確かに私も、楽しかった……カッコいい談義が。本当に)
 カッコいい初心者ながら、奮闘を見せたレザリア。
 そんな彼女もまた、先刻の出来事を翼を広げる理由にして、高みへひょいと飛び上がる。軽やかな足取りとゆったりした翼の動きが、仰いで見届けた碎輝にはなんとも優雅に見えて、おお、と感嘆の息を零す。
「それでこそ天地を統べる有翼の猟兵。さあ、一戦を始めよう!」
「……はい」
 初手で首肯を交わし、レザリアが杖を天へ捧げた。血が内側を巡っていると感じるのに似た熱と速さで、魔力が片端から杖へと至る。レザリアは集わせたすべての力を意のままに操り、炎の矢雨を降らせた。優しい雨音は、ここに無い。あるのは息遣いさえも射抜く――魔法の矢弾だけ。
 巨大な雷電を裂いた火矢が、碎輝を襲う。そして無限の成長力を吸い取っていった。解き放たれた超電竜撃滅衝が総身を苦しめようとも、彼女は厭わず魔矢を創り続ける。感電した拍子に、灰をかぶったかのような両翼が金色を纏う。
 輝いた翼を、彼女は惜し気もなく広げた。
「っ、まだまだ……カッコよく戦います」
「ああ、頼むぞ!」
「カッコよく、倒します。……敬意を持って」
「ああ、是非そうし……敬意?」
 連なる言の中に、不思議な音を聞いたのだろう。碎輝が首を傾げた。
 するとレザリアは、走る電流に痺れながらも薄い唇で心境をかたち作る。
「それが私なりの、カッコいい、ですから」
 言い終えた少女は再び魔法を編んでいく。
 レザリアの目許が和らいだことに気付いた碎輝も、揚々と光を紡ぐだけだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加

よし、派手に闘ろうか!!気合い充分だね。碎輝。アタシも年甲斐もなくパワー全開でいくよ!!元気な子は見てて気持ちいいねえ。

まあ、話を振ったからには赤竜飛翔を使わないとダメだろう。飛ぶ速度や攻撃の威力は流石に力負けするかもしれないが、ただで負けるつもりはない。【残像】【目立たない】で姿を分身させたり、目の前から消えたりして判断を迷わせるか。捉えられるか分からないが、【戦闘知識】で碎輝の飛ぶ軌道を観察、【二回攻撃】【衝撃波】で牽制した後、【気合い】【怪力】【串刺し】で渾身の【槍投げ】だ!!

伸び盛りの子は大好きだ。子供を持つ親としては当然の感情だと思うが。


真宮・奏
【真宮家】で参加

そうですね、カッコよく戦いましょう、碎輝さん!!戦うからには負けませんよ!!ああ、楽しみだなあ。

前に見せた通り高い所に登って必殺フォーム(蒼の戦乙女)を発動!!「戦うからには負けません!!いざ!!」と宣言しながら【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】【拠点防御】【ジャストガード】【受け流し】【電撃耐性】で攻撃に耐え、「これが必殺技です!!」と【属性攻撃】で風の属性を纏わせた【衝撃波】で攻撃します!!

碎輝さん、これが私の全力です!!全力を尽くす事こそ、かっこいいと思うんです!!


神城・瞬
【真宮家】で参加

はい、かっこいい戦いしましょう、碎輝さん!!全力で!!負ける気は全くないですので!!行きますよ!!

はっきりいって【オーラ防御】【第六感】で凌いでも、喰らう雷は物凄く痛いかと。感電状態になっても「付け入る隙はある」と言って、【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】【目潰し】【部位破壊】【武器落とし】を併せた【結界術】を敵に向かって展開、「これが貴方の全力ですか?対抗は可能ですよ」とクールに呟きながら、【高速詠唱】【魔力溜め】【多重詠唱】【全力魔法】を併せた月光一閃で攻撃します。

碎輝さん、貴方はまだまだ伸びしろがあります。もっとこの世界の事、学んでみませんか?



 紫の瞳を揺らめかせて、真宮・響(赫灼の炎・f00434)は掌へ拳を打ち付ける。
 快い音を合図に、真宮・奏(絢爛の星・f03210)と神城・瞬(清光の月・f06558)、そして碎輝が振り向いた。
「よし、派手に闘ろうか!!」
 響の声に、応、と皆一様に返す。
 かっこいい戦いを。そう願った碎輝への返事を、瞬も違えようがない。
「僕としても、負ける気は更々ありません。いきますよ、全力で!」
「ああ、全力で。それがかっこいいものだよな、猟兵!」
 瞬からの言を受け、碎輝は今を謳歌する奏へ呼びかけた。
「はい!! 全力を尽くす事こそ、かっこいいと思うんです!」
「なら俺も全力をモットーにやらせてもらうぞ!」
 話しながら準備体操らしく腕や脚を伸ばす碎輝に、響も満悦そうに笑みを浮かべる。
「想像していたよりも気合いは充分だね、碎輝」
「勿論だ。しがらみなく、そしてかっこよく闘り合えるのは楽しいからな!」
 軽く跳ねながら告げるかれも、用意はバッチリのようだ。
 だから響は首肯で始まりを告げ、それに響の大声がどこからともなく答える。
「そうですね、カッコよく戦いましょう、碎輝さん!」
 碎輝が声を辿ってみると、高所を自陣とした彼女がそこにいた。
「戦うからには負けません! いざ!!」
 歓呼の声をあげた奏が両腕を広げ、絢爛を糸にして編んだかのような、美しい青のドレス姿へと変身する。流れんばかりの青で染め上げたドレスは、戦の地に似つかわしくないぐらいに麗しい。だがそれほど鮮麗だからこそ、奏の戦装束として申し分ない光彩を放った。
 おお、と気付かぬうちに碎輝の喉が鳴る。そしてかれは共鳴して。
「かっこよすぎる姿だ! くっ、いいぞ燃えてきた。いざ勝負!」
 何のためらいもなく叫んだ。
 直後、奏は透る翼で天を翔け、碎輝が彼女の気配を追う。その一方で。
「それじゃ、アタシも……」
 笑んだ響の後背に、朱が射した。一筋の色はやがて彼女へ赤き竜の双翼を生やす。
「年甲斐もなくパワー全開でいくよ!!」
 細身ながら体幹に優れた響はすぐさま大地を蹴り、空へと羽ばたく。紛うことなき赤の竜騎士に、碎輝も後れを取るまいと黄金の竜へ変姿した。二種の眩しい輝きが競い合って駆け巡る様を、奏も瞬も、それぞれの位置で見守る。響の赤光と碎輝の金色。二つが混ざり合い、朝焼けとも黄昏とも言い難い、美しい彩りがカクリヨの空を塗っていった。
 碎輝から溢れる電流の凄まじさを感じながら、響は対抗する。いいねえ、と口端を緩めながら。
「気持ちのいい相手となら、尚のこと盛り上がるよ!」
「天を衝くぐらいに盛り上げようか!」
 響へ、金の竜はそう返した。
 不意に、染め上げた大空の狭間で、響は傾いだ身体を戻す勢いを利用し、めいっぱい羽ばたく。彼女の羽ばたきは竜巻を起こし、残像となって碎輝の視界から消えた。きょろきょろと頭を回す黄金の竜めがけ、今度は奏が立ち向かう。
 ずっとずっと楽しみだった。待ち望んでいたからこそ、奏の頬は緩みっぱなしだ。
「碎輝さん! 戦乙女の動き、見切れますか!?」
 叫ぶ奏に、爛々と目を輝かせた碎輝が肯う。
「どんなにかっこよくても捉えてやる。そしてお見舞いするんだ、俺の超電竜撃滅衝をッ!!」
 ライトニングドラゴンブラスターなる喚声が、戦場に轟いた。同時にかれの槍から巨大な雷竜が出現し、三人を丸呑みにせんと口を開く。牙を剥く電竜が眼前にいるのに、真宮一家は思わず目線を重ね合わせていた。互いに気持ちは同じ方角へ、碎輝が放った歓楽の叫びへ向いている。
 ぴり、と肌膚の下を流れる電流を味わいつつも、奏は気合いのままにブレイズセイバーを振るって。
「ではこれが必殺技、これが私の全力です!! 碎輝さん!!」
 刃と意志とが解け合い、彼女の元を離れて波打つ。衝撃波と化した力は、狙い過たず電気の竜と碎輝を叩く。
 ふらつく竜神の元へ、今度は瞬がゆく。
 瞬も同じく、咄嗟に纏った気の力で迸る電流を耐え抜いた身。けれど限界以上に成長する碎輝の雷電を、完全には防げない。防げないと理解していたからこそ、瞬は微塵も動じず、次の一手へ繋げられた。
「付け入る隙はある」
「なんだって!? 隙だと!?」
 彼の呟きを耳ざとく掬い、碎輝が目を丸くする。
 ふ、と呼気で笑った瞬は、幾重にも要素を注ぎ築いた結界を展開しだす。余裕綽綽な素振りで。
「これが貴方の全力ですか? この程度でしたら、対抗は可能ですよ」
 瞬が端的に煽れば、碎輝も不敵さを顔へ乗せた。
「なら対抗してみてくれ! 俺も無限に付き合うからな!」
「では、お言葉に甘えて」
 美々しい立ち方で瞬が抜き放ったのは、月明かりの一閃。鞘がなくとも清かな月光の刃は、瞬く間に疾走する。清かな軌跡が戦地に刻まれるよりも早く、かの光は碎輝の翼を折った。
 ――そこへ。
「いい感じじゃないかアンタたち!」
 響の朗々たる声音が、こだました。
 僅かに傾いた太陽の光を反射して、彼女の翼が煌めいたかと思いきや、直後に彼女が飛び込んで来る。碎輝は響を見失ったが、響は碎輝の飛翔を具に捉えていた。だから相手の軌道を読んで、赤き翼を背負った響が槍を投擲する。まもなく穂先は、黄金の鱗を貫いた。
「グッ、ゥ……あと一歩早ければ……」
 碎輝が後ずさる。よしんば碎輝が先に彼女へ触れたとしても、大いなる羽をもぐことは叶わなかっただろう。
 此度の戦いは、響の動きの方が一枚上手だった。
「言ったろ碎輝。翔けて翔けて、その終いに渾身の一打が決まると嬉しいってね」
「ははは、ちゃんと覚えているぞ! おかげでより楽しめた」
 これでもかと大口を開けて碎輝が笑う。
 こうして一脈、真宮家の攻撃が連鎖し、黄金竜も巨竜のいかずちも――打ち砕いた。
「……碎輝さん」
 一息つくかつかないかのタイミングで呼びかけた瞬の声色は、戦いの最中で紡いだものより随分と落ち着いていた。
「貴方はまだまだ伸びしろがあります。どうでしょう。もっとこの世界のこと、学んでみませんか?」
 彼からの提案を受けて碎輝が笑ったのは、言うにや及ぶ。
「世界のことか。時間がいくらあっても足りなさそうだ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御狐・稲見之守
我、"モノノ怪神"御狐稲見之守。
移ろい行く夢幻を愛で、ヒトを化かし、魂を喰らう
アヤカシの狐にしてカミの名をいただくモノノ怪也。

竜神親分"碎輝"殿、ひとつ御手合わせ願いたく候。

[UC真姿変身]――ちゃんばらも久しぶりであるな。
[電撃耐性][結界術]にて電撃を防ぎながら彼奴に接近
[化術]で符を薙刀へと変じさせて彼奴の槍と打ち合おうぞ。

しかしさて、正直なところ正面から戦うのは
我の真たる戦い方ではなくてな。
予告はしてあるがゆえ、搦め手失礼。

[呪詛][催眠術]による我の幻姿を貫かせて
その隙に薙刀を捨てて彼奴を掴み
[生命力吸収][捕食]にて成長した力を喰らうこととす。

肩書きは伊達ではないぞ、ふふ。



 御狐・稲見之守(モノノ怪神・f00307)は耳をそばだてた。戦場に鏤められた数々の音が、喜々として弾んでいるように思えてならない。ゆらりと、月光に似た彼女の瞳が踊る。その色が映した碎輝の姿は、先刻と大して変わらない。
 ただひとつ、活き活きとした眼差しを除いて。
「実に感興をそそる姿じゃナ」
「俺も同じことを思っているぞ。お前に対して」
 身体も充分に解れた碎輝は、今にも跳躍し、仕掛けてきそうな勢いを蓄えている。
 だから稲見之守も時間を惜しんだ。魂をぺろりと平らげるときのように、指の腹で唇を撫でて。
 いたいけな童女の見目でありながら、仕種はなんとも艶やかだ。碎輝も自然と驚いてしまうほどに。
「とくと見よ。これぞワシの御粧し姿……」
 遊んだ言の葉と指先は、いつしか稲見之守の容姿を少女から大人へと変えさせる。
「惚れてくれるなよ?」
 ろうたける彼女の一手は、若者が生んだ雷の竜を痺れさせた。感電ではなく、その妖艶さに見惚れたかのように。
「瞬き程の時間で一気に……お前も無限の成長ができるのか!」
 目を丸くしたまま碎輝が尋ねるものだから、稲見之守は小さく笑う。
「我、モノノ怪神――御狐稲見之守。アヤカシの狐にしてカミの名をいただくモノノ怪也」
 夜より深い黒髪を指に絡ませて告げた彼女は、会釈の代わりに瞼を落とす。
「竜神親分『碎輝』殿、ひとつ御手合わせ願いたく候」
「受けて立とう。よろしく頼む!」
 拳を鳴らして碎輝が応じる――それが、合図となった。
 瞼を押し上げて稲見之守が宙へ描いた結界は、碎輝の矛から放たれた雷竜を尚も惑わす。化かしに化かし夢幻を愛でるモノ、それが稲見之守だ。少々かの者の気を逸らすぐらい、造作もなかった。髄まで滲みそうないかずちの余韻は、拭えなくとも。
「では打ち合おうぞ。心ゆくまでな」
 稲見之守は、霊気の篭った符を瞬時に薙刀へと変じさせる。幼き時分の口調もどこへやら、優美な笑顔のまま稲見之守は距離を詰めた。己が幻姿を、よそへと放ちながら。すると碎輝がそれを追おうとして、動きを鈍らせる。
 稲見之守はそこで動揺すら見せず、薙刀を捨てた。カラランと唄った薙刀へ碎輝の視線が落ちる瞬間、稲見之守は顔を寄せて育つばかりの力を――補食する。
「肩書きは伊達ではないぞ、ふふ」
 彼女が咲かせた笑みや言動は、肝心の碎輝に「か、かっこいいな……!」と感激の声を起こし、震えさせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レパル・リオン
よーっし!思いっきりやるわよ!

愛と正義と笑顔のために、燃えろ拳!
変身っ!とおっ!
魔法猟兵!イェーガー・レパル!

真っ直ぐ走って肉弾バトル!碎輝ちゃんとシンプルな殴り合いよ!攻撃は腕と脚でいなし、パンチ!キック!チョップ!スキを見てストレート!!!
吹っ飛んだ碎輝ちゃんを追いかけ…ない!起き上がるのを待つ!

うおわーーっ!!どんどん強くなる碎輝ちゃん!だけど折れない諦めない!何度でも立ち上がるヒーローを、あたしがやらんでどーするのっ!

ラストは黄金竜化した碎輝ちゃんに、空からのカミカゼキックで真っ向勝負よ!
うおおおおっ!いっけぇぇぇーー!!!



「愛と正義と笑顔のために、燃えろ拳!」
「よし、燃え尽きるまで戦おう、猟兵!」
 レパル・リオン(魔法猟兵イェーガー・レパル・f15574)の掛け声に碎輝も呼応した。ノリノリで対応してもらえたことで、レパルも気後れせず続けられる。
「変身っ! とおっ!」
 誰が見ても伝わる速さで、誰が聞いても覚えやすいはきはきとした口振りで――今こそ魔法猟兵として立ち上がるとき!
「魔法猟兵イェーガー・レパル! 悲鳴の源、消してあげるわ!」
 この場に訴えかけてくる悲鳴はないが、決めポーズと決め台詞はやはりテンションが上がるもの。魔法猟兵がいかなる理由で得物を取り、挑んできたかを視聴者が察する場面だ。そしてレパルはパンチやキックの応酬の中、真っ向からかれの光を浴びる。そして。
「うおわぁーーっ!!」
「うおっ!?」
 レパルの絶叫に碎輝がびくりと震える。
 一度目のぶつかり合いを元に動いたレパルだったが、二度目の衝突は具合も響いた音も違い――だからこそ、碎輝の成長力を痛感したレパルは、行き着いた結果を自身の胸中で繰り返す。
(折れないめげない諦めない! 負けないしょげない挫けない!)
 わかりやすい呪文を、空気ごと飲み込んで。
(何度でも立ち上がるヒーローを、あたしがやりきらんでどーするのっ!)
 他の誰かへ託せやしないのに、絡み合った感情たちが、レパルを彷徨わせていた。万感こもごも至るレパルは頬を両手でぺちんと挟み、気合いを注入し直す。
「碎輝ちゃんさっきより十二倍ぐらい強くなってるね!? 薄めたら丁度良さそう!」
 希釈できぬ成長っぷりを目の当たりにして、彼女が叫ぶ。すると。
「俺も追い越し追い越されるのを待つ身だからな。十二倍ぐらいあっという間だ」
 発破をかけたのか否か、レパルへ笑いかけた碎輝の纏う雷が、ばちばちと勇ましさを奏でる。そしてまもなく黄金竜へと変じたかれは、依然として嬉しそうで。
「うおおおぉぉ!! これで終わりよ! カミカゼキーーーーーック!」
 大空より竜へと舞い降りたレパルの蹴撃が、碎輝の軸を崩す。
 一瞬の出来事だった。覚束ない足取りになった碎輝も、自身を奮い立たせるようにかぶりを振って。
「魔法猟兵……覚えたぜ、その勇姿!」
 ぐっと親指を突き出して笑う在り方を、碎輝はレパルへ示した。
 そんな碎輝へ、レパルも魔法猟兵らしいポーズののち、笑みを傾ける。
 戦いを通してかっこいいを分かち合った、その瞬間だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メリル・チェコット
碎輝くん、我が永遠のライバル……
ここで会ったが百年目!
長きに渡るインネンに決着をつけるときがやってきたね!
いざ尋常に勝負、だよ!
(ここでみんなでビシッとかっこいいポーズ)

……ふふふ、キマった
碎輝くんたちはどうかな
かっこいい決めポーズ、できた?

おっと、かっこいいのは何もポーズだけじゃないんだからね
うちの子の本当のかっこよさはここからだよ!
オーラ防御をみんなに纏わせたら、一斉に全力突進!
みんな、彼はお友達だけれど遠慮はいらないよ
ここで全力を出し合えるのがきっと、ライバルだもの!
碎輝くんもきっとそのつもりでしょう?
へへ
ライバルっていいものだね!

かわいいだけじゃないもふもふの魅力、とくとごらんあれ!



 少女がひだまりに歌う存在ならば、彼は烈日にひた走る存在だろう。
 近しくも遠い両者が相対した今、砂塵が吹き荒れ、風は見守り、羊たちはきりりとした面持ちをがんばって保つ。
「碎輝くん……我が永遠のライバル」
 少女――メリル・チェコット(ひだまりメリー・f14836)は静かに口を開く。
 すると向かい合う男がふっと笑った。
「長かった。この時を待ちあぐねたぞ」
「そう、長かった。長きに渡るインネンに、決着をつけるときがきたね」
 瞬きすら忘れるほどの真剣さ。
 けれど口許に湛えた笑みは、逸る気持ちを表すもので。
 メリルは羊と足並みを揃え、ポーズを取った。そして高らかに叫ぶのだ。
「ここで会ったが百年目! いざ尋常に勝負、だよ!」
 集中線を幻視しそうなカットイン。一連の流れは碎輝の心をも疼かせた。
「ああ、決着のときだ。お前とぶつかりあった想い出を胸に、俺は高みへ向かう!」
 互いの宣言と決めポーズが、決闘開始の合図となる。
 二人して小さく笑うや、碎輝は黄金竜へと変じ、メリルは羊たちをぽむぽむと撫でた。竜は目にも止まらぬ速さで翔け、勢いと羽ばたきによって巻き起こした嵐で存在感を主張する。
「おっとと!」
 放射し続ける電流と暴風を浴びて、メリルと羊はコロロンと転倒するもすぐに立ち上がって。
「うちの子の本当のかっこよさはここからだよ!」
「めへ!」
「みんな、彼はお友達だけれど遠慮はいらないからね!」
「まぅ!」
「よーし、いっけぇー!」
 ドドドと唸る地響きは羊の群れが起こしたもの。怒涛の突進が砂埃を上げて碎輝へ向かった。黄金色の竜が雷で羊を焼こうにも、優しくも強かな陽光を纏うかれらを抑えられるはずもない。
 碎輝のまなこに、羊を誇らしげに見送ったメリルの姿が映る。彼女の顔が何よりも物語っていた。
 全力を出し合えるのがライバルで――。
 碎輝くんも、そのつもりでしょう?
 表情から伝わる意志に、碎輝も応える。
「ぐぉあ!」
 短い悲鳴をあげ、竜は突撃してきた羊に埋もれた。
「うははは! くすぐっ……柔らか過ぎるだろう!」
「めっ」
「わーッ待てそんなとこ潜り込むな!」
 鳴きやまぬ羊たちから猛攻、いや、もふを受けた彼は耐え切れず転がり出した。地に伏せたといえる碎輝のあわれな――幸せそうな末路にメリルは流れる微風の中、不敵に笑う。
 キマった、と。それはもう満足げに。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エルザ・メレディウス
アドリブ大・大歓迎です…! 連携〇

遂に――戦いの時がやってきたみたいね。
さぁ、あなたの全力を見せてちょうだい...?

□戦闘□
焔を剣に纏い、戦わせて頂きますね。
残像を生み出しながら、電流を避けながら……碎輝と切り結べる距離まで接近して戦います。
きっと――彼ならこの戦いに応じてくれるはずよね。
お互いに、全力で戦いあいましょう、碎輝様...?

満身創痍な私は――きっと先ほど、お話した武将の様に映ったら嬉しいですね...。
あなたと視線と視線をかわして、胸の内をお互いに伝えあい。この素晴らしい一瞬を互いの記憶に焼き付けましょう?
自分を鼓舞して、最後まで倒れることなく、互いにこの剣を振り続けましょう…。



「遂に。遂に戦いの時がやってきたみたいね」
「そう、来たるべき運命の時が来たというわけだ」
 エルザ・メレディウス(執政官・f19492)の開幕宣言に、碎輝も同じ調子で答える。
「言を俟たないことでしょうけど……お互いに全力よね、碎輝様?」
 続けたエルザに今度は首肯で返して、彼の姿かたちは瞬く間に気高き竜へと変わる。旭日を思わせる輝きを前にして、エルザはやはり微笑みを湛えたままだ。その穏やかな眼差しが射抜くのも、やはり目映い竜。迷いはなく、躊躇も持たない。エルザは刀を振り抜き、死線へと踊り出た。
 傾けた刀身は紅く、竜の黄金の光を反射しては煌々と世を照らす。碎輝が羽ばたこうものなら、風に煽られた刀から火の粉が散り、ぱちぱちと小気味よい歌を奏でて戦場が燃える。燃えたように見える辺りの景色は、正しく。
(まるで、武将が背を預け、命を託し合った合戦場の様……)
 ふと自らが演じきった一場面を想起して、エルザは笑みを刷く。
「さぁ、あなたの全力を見せてちょうだい……?」
 彼らが末期に視たものは、ここにある。そう考えたら心も弾むもの。だから彼女は電流という名の刃めがけて走り、丁々発止と切り結ぶ。竜がいかに力強く翼で払おうと、彼女の軽やかな足運びが勝った。翼の裏へ回り込み、翼の挙動に沿って陰をゆく。残像があまりにも間近で碎輝を阻害したのもあり、成長をし続ける碎輝でもエルザを捉えきれない。
 代わりに雷電が好敵手を飲み込んだとて、斬撃は途切れず碎輝を圧す。
 おかげで、ぐっ、と呼気と痛みを飲んだのは碎輝だ。一方のエルザは息こそ乱れているものの、一振りに篭めた意志を決して緩めぬまま立っている。だから碎輝は思わず笑った。
「ッはは、愉しい……愉しいな、猟兵!」
 鋭く煌めいたのは彼の眼光。それを目にしてエルザは肯い、考えた。これもまた、あの武将たちが見て感じた情なのだろうと。だから交わした視線越しに、碎輝へ胸の内を伝える。

 ――この素晴らしい一瞬を、互いの記憶に焼き付けましょう?

 応えた竜の紫電は、エルザの刀が呼んだ閃光と混じり合って弾けた。
 そして反動により均衡を損なった巨躯へと飛び込む、ひとつの焔。満身創痍な状況にも怯まずエルザは己を奮い立たせ、黄金の竜へ一太刀を浴びせた。こうして彼女の身から一閃を通して届いた炎こそ――白王煉獄。焼かれた竜は光輝を失わぬまま縮まり、気付けば。
「あら……? もしかして……」
 エルザが確かめるまでもなかった。
 死闘を繰り広げた末に彼女が見たのは、あどけない少年の姿。
「うおっ、スッキリしたと思ったらこんなになっていたとは!」
 当事者ですら驚く変身っぷり。そう、猟兵たちとの『かっこいい戦い』によって危うき力をそぎ落とした小学生形態の碎輝が、そこにいて。
 事態を把握した碎輝は、喉を晒して笑ったのち猟兵へこう呼びかける。
「またいつか魂の戦いをしてくれ! 俺とお前の、果てしなくかっこいい戦いを」

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年06月13日


挿絵イラスト