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レイン・ドロップに誘われて

#アルダワ魔法学園 #猟書家の侵攻 #猟書家 #書の悪魔ダンタリオン #迷宮大図書館 #2章プレイング締め切り済

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#迷宮大図書館
#2章プレイング締め切り済


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●お菓子が好きな災魔のおはなし
 ――その本には、古代に存在したある災魔の話が記されていた。
 銀の髪の狼少女、引き連れるは南瓜ランタン。愛らしい瞳で甘い物を求める災魔は、人々の集落を群れで襲っては食べ物を奪っていったという。
「ふふ、素敵な災魔ですわ」
 埃被った本を開き、記された内容を目で追って。角を尻尾を生やした長髪の女性――『書の悪魔ダンタリオン』は、愛おしそうに書物を抱き締めるとゆるり微笑んだ。
「書物に書かれたことは現実のものになりますわ」
 取り出す物にくちづけを、それは禍々しき『災魔の卵』。近付ければ卵は書物へとずぶずぶ沈み込んで、一体となったそれを女は積み上がった本の上に目立つように置いていった。

 それからしばらくして、この場所――『迷宮大図書館』を訪れた学生達は、災魔の卵が埋め込まれたとは知らず本を持ち出す。貴重な古代の災魔の話をじっくり読もうと本持って、アルダワの迷宮を上へ上へ。
 しかしその途中、お菓子でできた不思議な『飴降るお菓子部屋』へと入った時、その本は突然震え出したのだ。
 開く本、飛び出すは少女型の災魔達。彼女らは頭上を見上げて――銀色の瞳を輝かせ、歓声上げる。
『お菓子! お菓子がいっぱいだよ!』
『キャンディが降ってくる! 全部全部、わたしにちょうだい!』
 きゃっきゃとはしゃぐ災魔達、突然の出来事に慌てる学生達。
 彼らの戦いはすぐにも始まりそうだが、学生達だけではとても対処しきれる数ではないようだった。

●レイン・ドロップに誘われて
「皆様、お菓子……特にキャンディはお好きでしょうか!」
 プリズムの瞳を輝かせ、楽しそうに微笑んで。アリア・アクア(白花の鳥使い・f05129)が語るのは、猟書家の一人が起こした事件だった。
「先の『アルダワ魔王戦争』で、地下迷宮アルダワのファーストダンジョン内に『迷宮大図書館』が発見されたことは覚えてらっしゃいますか? あちらの施設にはとても貴重な資料が眠っているとかで、今も学園の学生や教師達が調査を進めているのですが……どうやらここに、幹部『書の悪魔ダンタリオン』が現れたようです」
 ダンタリオンは迷宮大図書館内の書物に、災魔の卵を埋め込んだ。生徒にこの本を持ち出させて、その先――うまくいけばアルダワ学園内で、災魔を大量発生させるためだ。
「しかし今回は、学園に辿り着く前に災魔達が生まれ出たようです。場所は地下迷宮の一室、『飴降るお菓子部屋』――雨ではなくて飴、そうキャンディの降るお部屋です!」
 色とりどりのキャンディが雨のように降ってくる、不思議な不思議な部屋。身体に当たればちょっと痛いけれど、猟兵達にとって戦闘の支障となるようなものではないだろう。
 出現した災魔は、『ハロウィニカルパレード』。季節外れの『ハロウィンの魔法』を操る、お菓子に目がない少女型の災魔の群れだ。
「ハロウィニカルパレードは、お菓子を持っていたり、食べている方を狙ってきます。その場には本を運んでいた学生さん達も数人いるのですが、集団に狙われたら無事では済まないでしょう。なので……お菓子をうまく使って、彼らを守り、協力してください!」
 学生達は猟兵に敬意を抱き、従ってくれる。猟兵達ほどではないが戦闘力もあるので、共に戦うのもいいだろう。それになりより――迷宮の地理に詳しい彼らは、この災魔を倒した後に『迷宮大図書館』へと迷うことなく案内してくれるはずだ。
「ハロウィニカルパレードとの戦闘が終わったら、『迷宮大図書館』へと向かい、ダンタリオンも撃破する必要があります。そうすれば、災魔の卵が埋め込まれた本も元通りになり、二度と災魔を生み出すことはなくなります」
 迷宮大図書館は、その名の通り大量の書物があり本棚の立ち並ぶ場所だ。狭い場所もあるだろうから、学生達の知識も借りてうまく立ち回り戦ってほしいと告げて、白花のグリモア猟兵は微笑んだ。
「皆様なら、大丈夫です! あ、それから。お菓子部屋のキャンディは持ち帰ることもできるそうなので、ぜひ記念に集めてきてくださいね!」
 戦いも大事だけれど、楽しむことだって大切だから。ああ、どんな素敵なキャンディがあるんでしょう――呟きを零しながら、アリアは花のグリモアを展開して猟兵達を送り出すのだった。


真魚
 こんにちは、真魚(まな)です。

●お願い
 プレイングの受付につきましては、マスターページの「お知らせ」ならびにTwitterにて都度ご案内します。
 期間外に届いたプレイングは不採用とさせていただきますので、お知らせをご確認の上ご参加ください。

●シナリオの流れ
 第1章:集団戦(ハロウィニカルパレード)
 第2章:ボス戦(書の悪魔ダンタリオン)
 当シナリオは2章構成です。

●第1章について
 学園迷宮内、『飴降るお菓子部屋』での戦闘です。
 広さは十分にあり、あちこちに大きなお菓子の建造物がありますが、戦闘に支障はありません。
 部屋内は常に色とりどりのキャンディが降り注いでいますが、猟兵や敵にダメージとなることはありません。キャッチして食べるとおいしいです。どんなキャンディなのか、プレイングで指定があればそれが降ってきたものとして扱います。
 また、ハロウィニカルパレードは『お菓子を持っていたり食べていたりする人を優先的に狙う』という特性があります。ぜひ活用して、たくさんお菓子を召し上がってください。

●第2章について
 『迷宮大図書館』へ移動すると、書の悪魔ダンタリオンが現れます。
 詳細は、第2章公開時の冒頭文にてお伝えします。純戦です。
 書の悪魔ダンタリオンとは会話可能ですが、情報を聞き出すことはできません。

●プレイングボーナス
 このシナリオフレームには、下記の特別な「プレイングボーナス」があります。これに基づく行動をすると有利になります。
 プレイングボーナス(全章共通)……学生達と協力する(学園や迷宮の地理には詳しいです)。

●その他
 ・ペアやグループでのご参加の場合は、プレイングの冒頭に【お相手のお名前とID】か【グループ名】をお書き下さい。記載なき場合は迷子になる恐れがあります。プレイング送信日を同日で揃えていただけると助かります。
 ・許容量を超えた場合は早めに締め切る、または不採用とさせていただく場合があります。

 それでは、皆様のご参加、お待ちしております。
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第1章 集団戦 『ハロウィニカルパレード』

POW   :    お菓子をくれたら、もっとイタズラしちゃうぞ
全身を【ハロウィンの魔力】で覆い、自身の【獲得したお菓子の量】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    お菓子をちょうだい(⋈◍>◡<◍)。✧♡
【お菓子を頂戴とおねだり】を向けた対象に、【ハロウィンの魔法】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    お菓子がない子はリタイヤだ
【お菓子を奪いつくす盗み攻撃】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●飴降るお菓子部屋にて
 あちらに降るのはカラフルなロリポップ、こちらには硝子みたいな花弁型飴細工。
 ぱらりぱらりと飴が降り注ぐその部屋に猟兵達が足を踏み入れれば、学生達から歓声が上がった。
「ああ、猟兵達が来てくれた! 助かった!」
「すみません、俺らじゃ倒し切れなくて! 力を貸してください!」
 かかる声は救いを求めるもの、そこには全幅の信頼が置かれている。
 その向こうには、楽しそうに跳ねる災魔――『ハロウィニカルパレード』の姿がある。
『お菓子! お菓子だよ!』
『キャンディ、もっとちょうだい!』
『くれたらもーっと、イタズラしちゃうぞ!』
 はしゃぐ声は無邪気だが、その力が油断ならないものであることは猟兵達も、学生達も知っている。
 まずは学生達が狙われぬよう――降り注ぐキャンディを手に入れるのもまた、この戦いに必要なことだろう。
浮世・綾華
飴の雨なんて素敵
可愛らしい花飴を口へ

桜味かな
これで敵の気を引けるかしら
ね、手伝ってちょうだい
折角鍛えて出て来て貰えるよーになったんだもの
いいだろ?

☆しょうがニャい
手を貸してやるニャ!

さんきゅー
そいじゃ、あんたにも
頭にひょいと乗せる飴玉ひとつ

学生たちには下がっててと視線を送り使うUC
複製した扇を操り扇ぎお菓子を引き寄せて山に

ほーら、こっち
集まった子らには油断させるつもりでお菓子あげちゃう
魔法は扇で跳ね返しそのまま炎付与で攻撃

こんな感じ?
…ってゴルにゃん
めちゃお菓子食ってる
戦った?

☆お菓子を集めて引き寄せてたのニャ

――はいはい
次はちゃんと働いて下さいねぇ
おうちに帰ったら、ちゃんと構ってやるからさ




 ぽとり、と。漆黒の髪の上へと落ちるのは、薄紅色の花模した飴。指先で摘まみ上げてそれ確かめた浮世・綾華(千日紅・f01194)は、楽しそうに微笑んだ。
「飴の雨なんて素敵」
 口へを運べば、ふわり広がる甘さと花の香り。どうやら、この飴は桜味だったようだ。
(「これで敵の気を引けるかしら」)
 からころ、口の中で転がしながら、綾華は金色のレジェンドあやかしメダルを取り出す。ピン、と指で弾いて宙へ放れば、それはたちまち煙を纏い、金色の猫又へと姿を変えた。
『ニャ、お主か。何か用かニャ?』
 ぱたり、尻尾を揺らして綾華を見上げるのは、レジェンド猫又ゴールドの『ゴルにゃん』だ。
 こうして召喚に応じてくれるようになるまでには、多くの時間がかかった。たくさんの経験を積み、力をつけて――やっと会えたのは、先の大祓百鬼夜行の最中だった。
 だから綾華も、まだどこか試すような気持ちで――ゴルにゃんへと、言葉を紡ぐ。
「ね、手伝ってちょうだい。折角鍛えて出て来て貰えるよーになったんだもの」
 金色の猫又は、フン、と小さく鼻を鳴らした。それから腕組み踏ん反り返って、勿体つけたように口を開くのだ。
『しょうがニャい。手を貸してやるニャ!』
「さんきゅー。そいじゃ、あんたにも」
 ゆるり微笑み、左右の猫耳の間へと飴玉ひとつ。『ニャ!?』と声上げ落ちないようにバランスとるゴルにゃんを横目に、綾華は学生達へと顔を向けた。
「下がってて」
 言葉に応じて下がる学生達には礼篭めた笑み浮かべ、宙へと滑らせる指。懐からは扇の『夏ハ夜』を取り出し、ユーベルコードを発動する。
「――コレをこうして、こうな?」
 輝きを増す黄金の扇、広がる様は花のように。複製されたそれは綾華の周囲に展開されて、一斉に動き、風を生み出した。
 ゴウ、と空気が鳴る音を、学生達も耳にしただろう。その風は周囲に落ちる飴を集めて、ひとところに山を作り上げた。
「ほーら、こっち」
 楽しそうに声上げて、手を鳴らして呼びかける。すると気付いた災魔――ハロウィニカルパレード達は、瞳輝かせて駆けてきた。
『わあっ! キャンディの山だあ!』
『ちょうだいっ! ちょうだい!』
 おねだりの声と共に、くるくる手を回せばそこから放たれるハロウィンの魔法。その攻撃は扇でもって跳ね返し、あるいは相殺し、そのまま風に炎纏わせ少女型災魔へと向ける。
『きゃー!?』
 炎に包まれた狼少女達はかき消えて、綾華はほっとひと息。
 しかしふと見ればゴルにゃんが飴の山へと顔を突っ込んでいるから、ヤドリガミの男は思わず眉を寄せた。
「……ってゴルにゃん、めちゃお菓子食ってる。戦った?」
 問いかければ、金色猫又の顔が上がる。バリボリ、頬張る飴を?み砕いて――どれだけ食べたのだろうと疑問を顔に浮かべれば、ゴルにゃんは取り繕う様子もなく得意げに声を発した。
『お菓子を集めて引き寄せてたのニャ』
 見れば確かに、飴だけではなく周囲の建物から持ってきたらしいビスケットのレンガやチョコレートの花もある。彼の言葉に嘘はないのだろうけれど――綾華は苦笑すると、扇を閉じながら頷いた。
「――はいはい。次はちゃんと働いて下さいねぇ」
 おうちに帰ったら、ちゃんと構ってやるからさ。言葉続けつつ歩き出す綾華は、災魔の多い場所狙って再び飴の山を作り出すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニオ・リュードベリ
わーっ!
キャンディがいっぱいだーっ!
これが災魔のトラブルじゃなかったら完璧なのに……
学生さん達を守るためにも頑張らないとだねっ

悪い災魔よりもいっぱいお菓子を食べちゃうんだから!
全力ダッシュで周囲を駆け回り、どんどんキャンディを食べていくよ
お花の花びらみたいなのが可愛いな
キャッチして食べたら甘い果物の風味に微かに花の香りがする
えへへ、美味しいなぁ

こっちのロリポップは紅茶の味がする
こっちも甘くて美味しいなぁ
戦闘中だけどリラックスしちゃいそう……

甘いものいっぱい食べてるあたしは無敵だもん
学生さん達だってしっかり庇っちゃうよ!
悪い災魔にはアリスランスでお仕置きしちゃうね!
お菓子パワーなら負けないから!


フリル・インレアン
ふわぁ、飴が降っているなんて、さすがアルダワですね。

災魔さん達も狙っているみたいですので、アヒルさん頑張って回収しましょうね。
空中でキャッチできそうな物はアヒルさんお願いしますね。
私は地面に落ちそうな物をキャッチします。

ふえ!?落ちてくる飴に集中しすぎて災魔さんと正面衝突してしまいました。
ついでに恋?物語まで発動してしまって、大丈夫でしょうか?




「わーっ! キャンディがいっぱいだーっ!」
 色とりどりの飴が降る光景を見て、ニオ・リュードベリ(空明の嬉遊曲・f19590)は歓声を上げる。
 部屋にふわんと漂うは、甘い香り。それ感じるだけですっかり気持ちが高揚するニオだけれど――その視界には、はしゃぎ回る災魔達の姿も映っている。
(「これが災魔のトラブルじゃなかったら完璧なのに……」)
 そっと心の中で零して、薄青色髪の少女は飴の転がる地を蹴り駆ける。ポニーテールを揺らしながら、ハロウィニカルパレード達と学生達の間に割って入って。手を伸ばし取るのは、もちろん降り注ぐ飴達だ。
「悪い災魔よりもいっぱいお菓子を食べちゃうんだから!」
 学生さん達を守るためにも、頑張らないと。想うニオの足取りは軽やかに、飴を掴み取っては口へと運んでいく。
『ずるい、ずるい! ちょうだいよー!』
 横から飴を取られたことに怒ったのか、災魔達は学生達には目もくれずにニオを追ってくる。誘い出せたことに安堵しながら頭上を見上げたら、今度は花弁みたいな繊細な飴がふわり降ってくるところで。
「可愛い!」
 表情綻ばせてキャッチして、口にすれば甘い果物の風味と、微かな花の香りが広がって。幸せの塊みたいな味に、ニオの口角が上がっていく。
「えへへ、美味しいなぁ」
 次に手にしたのは琥珀色のロリポップ。舌で転がせば紅茶の味、程よい甘さを楽しめば戦闘中でもリラックスしそうになる。
 飴をたくさん集めようとしていたのは、ニオだけではない。学生達から離れようと少女が駆けるうち、その先に現れたのは銀髪の少女と玩具のアヒルみたいなガジェットで。
「ふわぁ、飴が降っているなんて、さすがアルダワですね」
 迷宮の神秘に感嘆するのは、フリル・インレアン(大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)。彼女の腕の中ではガジェットの『アヒルさん』が一声鳴いて警告して、フリルはこくんと頷いた。
「はい、災魔さん達も狙っているみたいですので、頑張って回収しましょうね」
 空中はお願いします、と言ってフリルが解放すれば、アヒルさんはぱたぱた飛んで飴降る中へ。くちばしでつんつん、あるいはぱっくり。器用に飴をキャッチすると、アヒルさんはそれを一か所に集めていく。
 フリルは、アヒルさんが取れなくて地面に落ちそうな飴の担当だ。ひとつひとつ集めれば、たちまち手の中は宝石の山みたいにキラキラ輝く飴に満たされて。
 ――そして、飴集めに夢中になったフリルは気付いていなかった。床を見つめる彼女の正面から、ニオの引き連れた災魔達が迫っていることに。
『お菓子くれたら、もっとイタズラしちゃうぞ!』
 声を上げながら突進してくるのは、一体のハロウィニカルパレード。彼女もまた、フリルとアヒルさんの集めた飴しか目に入っていないようで――。
「ふえええええ!?」
 フリルの悲鳴、少女と災魔は正面衝突していた。体格は然程変わらぬ二人だが――一方的に弾き飛ばされたのは、ハロウィニカルパレードの方だ。
「ふえっ、『恋?物語』がっ……大丈夫でしょうか?」
 慌てて災魔の様子を伺ってしまうフリルは、今の衝突の瞬間にユーベルコードを発動していたのだ。突進によりダメージ与えるその攻撃に、ぶつかった狼少女はゆっくり姿を消していった。
「大丈夫! 悪い災魔にはお仕置きしちゃおう!」
 躊躇うフリルに明るく声掛けたのはニオだ。ぽん、と空中に飴放り投げて、それ狙って向かってくるハロウィニカルパレード達へ、少女はアリスランスを構える。
「甘いものいっぱい食べてるあたしは無敵だもん!」
 高らかな声と共に、ユーベルコードで鎧を纏って。槍持つニオは、渾身の力でそれを揮い、繰り出し、災魔達を倒していく。
 手に入れたお菓子の数が少ない故に戦力強化されていないハロウィニカルパレード達は、数が多くても二人の脅威にはならない。そうしてそれぞれが力を発揮した二人のアリス適合者は、周囲の災魔を一体残らず撃破するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加

いや、ハロウィンには4か月程早いんじゃないかね?飴が降り注ぐのはサプライズでいいが、流石に多すぎる。飴とはいえ怪我する人もでそうだね?いたずらが過ぎる子達はお仕置きだ!!

こちらが集団ならこちらも集団だ!!あ、真紅の騎士団と共にお菓子も頂く。美味しい飴ちゃんだねえ。舐めながら【残像】【見切り】で攻撃を回避しながら、真紅の騎士団と共に【衝撃波】【範囲攻撃】で集団を吹き飛ばしし、【気合い】【怪力】【重量攻撃】【グラップル】敵の一人を蹴っ飛ばして集団敵のど真ん中に放り込んでやる。

あ、学生の皆は真紅の騎士の集団と一緒に攻撃してくれればいい。早くこの事態を解決しないとねえ!!


真宮・奏
【真宮家】で参加

飴が一杯降ってくる!?何この夢のような状況?ただ図書館に大量の飴が降ると確実に邪魔ですよね・・・図書館で作業している生徒さんが怪我するといけないので、この状況を何とかしないと。

あ、幾らでも食べれるので飴どんどんください、美味しい!!飴食べるのに片手塞がるので盾だけ持って、敵の攻撃を【オーラ防御】【盾受け】【拠点防御】【ジャストガード】【受け流し】で敵の攻撃を捌き、彗星の一撃で攻撃しようとしますが、あ~っ!!お菓子持って行かないでください~!!お菓子奪取の為、手っ取り早く【怪力】【シールドバッシュ】で強引にプレスします!!


神城・瞬
【真宮家】で参加

ハロウィンの恰好をしていますね?4か月程早いですね?季節外れ甚だしいですし、図書館に飴が沢山降るとここで作業している人の怪我もありますし・・・静かに本を読む所が荒らされますね。

あ、甘味は好きですので頂けるなら喜んで(もぐもぐ)まあ、甘味をくれるのは嬉しいですが、それとこれとは話は別ですので!!【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】【目潰し】【部位破壊】【武器落とし】を仕込んだ【結界術】を【範囲攻撃】化して敵集団に展開。氷晶の矢で攻撃・・・あ、お菓子は死守させて頂きます!!あ、【オーラ防御】【第六感】で防御の備えはしておきますね。

あ、学生の皆さんは僕とタイミングを併せて攻撃してください!!




 『飴降るお菓子部屋』へ入れば、漂ってくるのは甘い香り。周囲にはお菓子でできた建造物が並び、天井からはパラパラと――。
「飴が一杯降ってくる!? 何この夢のような状況?」
 思わず天へと腕を伸ばしながら真宮・奏(絢爛の星・f03210)が声を発すれば、共にやってきた家族の二人は戸惑いの表情を浮かべた。
 視線の先には、降り注ぐ飴にはしゃぐ災魔――ハロウィニカルパレード達の姿がある。
「ハロウィンの恰好をしていますね?」
「いや、ハロウィンには四か月程早いんじゃないかね」
 神城・瞬(清光の月・f06558)が呟けば、真宮・響(赫灼の炎・f00434)の言葉は苦笑交じり。銀色の狼少女達に付き従うは南瓜ランタン。その姿はどう見てもハロウィンの仮装だ。それが、なぜこの初夏に。疑問に思うのも当然だ。
 けれど、それより真宮家の三人には気になるものがあった。先程からパラパラと降り注ぐ、色とりどりの飴達だ。
「大量の飴が降ると、確実に邪魔ですよね……」
「ああ、飴が降り注ぐのはサプライズでいいが、流石に多すぎる。飴とはいえ怪我する人もでそうだね?」
 猟兵達にとっては障害となるようなものではないけれど――彼らは別だろう。
 ちらり、視線送ったのはこの場に居合わせた学生達へ。この場での戦闘が長引けば、彼らの中には当たり所が悪く怪我する者もいるかもしれない。三人は助けを求める彼らに頷いて、災魔へと向き直った。
「いたずらが過ぎる子達はお仕置きだ!!」
 高らかに声を上げる響は、赤き武器を手にユーベルコードを発動する。切っ先に集う力はやはり赤。それは彼女の周囲に人型をとり、たちまち真紅の鎧の騎士となって戦場に居並ぶ。
「さあ、アンタ達、出番だよ!! そちらが集団ならこちらも集団だ!!」
 号令一下、騎士達はハロウィニカルパレード達目指して突撃する。その最中、降ってくる飴を手に取ることも忘れずに――もちろん、それも響の指示だ。
『わあ、立派な騎士さん! お菓子持ってる!』
『ちょうだいちょうだい! キャンディ大好き!』
 狙い通り、災魔達はユーベルコードの騎士達狙って駆けてくる。繰り出されるハロウィンの魔法が騎士の何体かをかき消していくけれど、それで勢いは止まらない。
 振るわれる槍に剣、悲鳴上げて消滅する災魔達。その攻撃は響のものだけではなく、学生達も援護していて。
『わわわっ!? 痛いよー!』
 声上げて混乱する災魔達だが、その頭上より迫るのは飴だけではなかった。彼女達が気付かぬうちに、天井へと放たれたのは無数の魔法の矢。
「さて、これを見切れますか?」
 涼し気な声を響かせて、瞬が操るは氷晶の矢。それは飴より素早く降り注いで、周囲のハロウィニカルパレード達を射抜いていく。
 さらに、畳み掛けるように戦場を駆けるのは奏だ。
「あ、幾らでも食べれるので飴どんどんください、美味しい!!」
 言葉の通り、片手に飴をキャッチしては口へと放り込みながらも、もう一方の手はしっかりと盾を握り締めている。敵の攻撃を受け止め、あるいは弾いて受け流して、反撃のユーベルコードを編み上げようとするが――。
『お菓子がない子はリタイヤだ!』
「あ~っ!! お菓子持って行かないでください~!!」
 災魔の一体が発動した、お菓子を盗む攻撃に奏の意識は完全に奪われた。全ての飴を盗まれる前に、盾をぐっと構えるとそのまま突撃して圧し潰す。
『きゃー!?』
 潰れて消えるハロウィニカルパレードから飴を取り返すと、今度こそ奏の指はユーベルコードを発動する。それは、星の光を纏った無数の剣。降り注ぐ飴を縫うように飛翔するそれは、光の軌跡を描きながら災魔達へと迫って。
「ちょっとぶっ飛ばしますよ~!! いっけ~!!」
 声と共に降り注いだ剣は、奏の飴を狙う災魔達を次々と撃破していく。
 その様を見ながら、響と瞬もまた飴を頬張った。
「美味しい飴ちゃんだねえ」
「あ、甘味は好きですので頂けるなら喜んで」
 もぐもぐ。戦いの最中の甘味は、ちょっとした息抜きにもなる。それ見てまた新たな災魔が近付いてくれば、二人は武器を手に飴も、学生も、家族も守って。
 三人と、それを援護する学生達。彼らの戦いは、ハロウィニカルパレードを倒し尽くすまでまだ少し続くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

岩元・雫
【海朋】

ティア、綺麗なのは解るけれど
上ばかり見てないで――噫ほら、言った先から
ね、厭で無ければ手を貸してあげる
一緒に転けたら、笑って頂戴

降る飴を、もう片方の掌で受けて
口へ放れば、程好い甘さに吐息が零れ
咲う華から強請られたなら、揃いの飴玉を口許に運んで遣る
本当に、世話を焼かせるのが上手い仔ね
妹が出来た様
恥ずかしいけれど、御返しも素直に受けましょうか
あー、ん
うん、美味しい


何、邪魔しないで頂戴
行儀の悪い餓鬼は嫌いなの
強請るべきは、此方じゃ無いでしょう?
――ほら、隣人はずるい仔ばかりよ
嫉妬、羨望、憎悪を誘えば、同士討ちの出来上り
存分に、奪い合って居なさい
何もかも失くす迄

おれ達は此処で、わらって居るから


ティア・メル
【海朋】

わあわあっ
飴が降ってるよ
雫ちゃん、見て見て
すごいね
…あう!
はしゃぎまわって、転けそうに

ふふふー危なかったんだよ
ありがとう、雫ちゃん
2人で転べば怖くないよ
彼の手をとって

降り注ぐ飴をもう片手で受け止め口へ運ぶ
弾ける甘味に頬は緩むばかり
ねえねえ、雫ちゃんが食べたやつは美味しかった?
あーんしてっておねだりしちゃおう
んにんに、美味しいね
食べさせて貰ったから美味しさも倍増
雫ちゃんも、あーん

んふふ
雫ちゃんに構って欲しいのかな?
でも、だーめ
今はぼくが独り占めしてるから
誘惑蕩かせ病飴を歌ってしまえば
―――ほら、掌の上
存分に貶め合って、戯れ合っててよ
何もかも空っぽにして

ぼく達は此処で、わらってるから




 パラパラとカラフルな飴が降る部屋を、それに負けぬ甘い容姿の娘が進んでいく。
「わあわあっ、飴が降ってるよ。雫ちゃん、見て見て、すごいね」
 輝く瞳に映すのはただ飴模様だけ。ティア・メル(きゃんでぃぞるぶ・f26360)が掌伸ばして明るい声上げれば、宵色髪の人魚が心配げに口を開く。
「ティア、綺麗なのは解るけれど上ばかり見てないで――」
「……あう!」
 岩元・雫(亡の月・f31282)が最後まで告げる前に、目の前の少女は何かにつまずいて手をぱたぱた。急いで雫が近付けば、体勢立て直したティアは恥ずかしそうに笑っていた。
「噫ほら、言った先から」
「ふふふー危なかったんだよ」
 転ばなくてよかった。安堵に胸を撫で下ろして、雫はそっとその白い手を差し出す。
「ね、厭で無ければ手を貸してあげる」
「ありがとう、雫ちゃん」
 優しい申し出を、断るはずがない。ふわり咲くように笑った砂糖菓子の娘に笑みを返して、それから雫は冗談交じりに言葉を紡ぐ。
「一緒に転けたら、笑って頂戴」
「二人で転べば怖くないよ」
 言葉交わせば、心もふわふわ浮き立つようで。
 手を繋ぎ進む二人は、互いの空いた手でもって降り注ぐ飴を受け止めた。
 雫が手にしたのは、深い宵色に月みたいな金箔が輝く飴玉。摘んで口へと運べば、程よい甘さに吐息が零れる。
 見れば、ティアも飴を頬張っていた。こちらが選んだのは、桃にも水色にも煌めくプリズムみたいな一粒だ。弾ける甘味にすっかり頬を緩めたティアは、その円らな瞳で真っ直ぐ雫を見つめてくる。
「ねえねえ、雫ちゃんが食べたやつは美味しかった?」
 言いながら、すでに口を開いてあーん、とおねだり。そんな愛らしい強請り方に思わず笑って、雫は彼女の望むままに宵色の飴玉を再び摘み取った。
「本当に、世話を焼かせるのが上手い仔ね」
 妹が出来た様。続けて言葉紡いで微笑めば、甘味堪能するティアもまた表情を綻ばせて。
「んにんに、美味しいね」
 食べさせてもらったから、美味しさも倍増。そう無邪気に笑った少女は、プリズムの飴が降ってきたのをすかさずキャッチして雫へと差し出した。
「雫ちゃんも、あーん」
 一瞬、雫は月の如き瞳を瞬かせた。けれどすぐに微笑んで、彼はその『お返し』を素直に受け止める。
「あー、ん。うん、美味しい」
 同じ味を共有すれば、甘さと幸せはさらに広がって。ああ、好いものだと思ったところで――二人は、他の声を耳にする。
『お菓子だ! 飴だ!』
『ねーねーねー、ちょうだい!』
 無邪気な声は、災魔のもの。ハロウィニカルパレード達は楽しそうに笑っているが、近付く敵の姿に雫とティアはうっすら瞳を細めて。
「何、邪魔しないで頂戴。行儀の悪い餓鬼は嫌いなの」
「んふふ。雫ちゃんに構って欲しいのかな?」
 冷たく言い放つ雫と、蕩けるように笑うティア。そうしてティアは雫の手に自身の指をしっかり絡ませて、ふふっと笑みを零す。
「でも、だーめ。今はぼくが独り占めしてるから」
 言葉、共に紡ぎ出すはユーベルコード篭めた歌。
「廻り溶けた 恍惚の甘みをひとつ」
 その歌は、敵の心を絡め取り支配するもの。さらにそこに、雫の幻夢がゆっくりゆっくり、シーツに包み込むように現れる。
「聴いて、わらって。此方に、堕ちて」
 囁くような言葉もまた、ユーベルコードを発動するものだ。対象の思考を自在に操作できるその力、揮う雫はゆるりと笑って。
「強請るべきは、此方じゃ無いでしょう? ――ほら、隣人はずるい仔ばかりよ」
 す、と細長い指で示せば、ハロウィニカルパレード達は互いに見合って――それから、互いに敵意をむき出しにし始めた。
『あーっ、あなたお菓子持ってる! ちょうだいよ!』
『あなたこそ! ずるいんだずるいんだ!!』
 そうして始まる、いがみ合いと同士討ち。それが、彼と彼女の掌の上とも知らず。
 存分に貶め合って、戯れ合っててよ。
 存分に、奪い合って居なさい。
 ――おれ達は、ぼく達は、此処で、わらってるから。
 そっと目配せし合って、わらう二人。次の飴玉をゆっくり味わうそのうちにも、災魔達は同士討ちでその数を減らしていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱赫七・カムイ
⛩神櫻
建造物が菓子だなんて素敵だね
サヨ、食べてしまったら無くなってしまうよ

サヨ!大丈夫?
おや……これは雨──飴?
巫女の頭にこつんと当たった青い飴を口に含めば
そぉだの味がした
和傘をサヨにかざして守る

童子の様に楽しげに笑う無邪気な姿に心が和むよ
噫、青はそぉだで橙は蜜柑だ
桜色は桜だね
サヨの好きな柘榴飴を探すよ
甘やかな宝石を楽しんで

結界を張り敵からサヨを庇いながら斬撃派で切り裂き切断して──わ、
巫女の指先で口に放りこまれたのは、蜂蜜飴だね
サヨは悪戯っ子だ
美味しい

少女よ
其れはサヨの菓子
おいたはさせない

サヨの咲かせた桜飴が咲き誇る中
いっとうに紅い…柘榴の飴をひとつ捕まえて
サヨの口に放り込む
さっきのお返しだ


誘名・櫻宵
🌸神櫻

カムイ、みて!すごいわ、お菓子が沢山!
食べちゃいたいくらいかぁいいわね

きゃっ
こつんと頭に当たる飴雫
カムイが開いた傘のなかにそうとおさまりながら見上げ手を伸ばす

カムイ、雨でなく飴が降っているわ!
赤は苺で緑はメロン?
紫は葡萄やも!

傘を逆さまにしたくさんの飴を受け止める
まるで宝石の欠片のようで美しいわ
私の好きな柘榴の飴はあるかしら?

カムイのお口に金色の飴を押し込む
美味し?

私の集めたたくさんの飴に誘われてきてるのかしら
かぁいいハロウィンのあなた
あなたも甘くて美味しい桜飴にしてあげる

─喰華

カム?!
口の中に広がる甘酸っぱい果実の味
これ、柘榴飴ずっと探しててくれたの?
ありがとう、カムイ
一番美味しいわ




 部屋へと足を踏み入れれば、甘い香りが鼻をくすぐり愛らしい建造物が目の前に広がる。
「カムイ、みて! すごいわ、お菓子が沢山! 食べちゃいたいくらいかぁいいわね」
 桜色の瞳を輝かせて誘名・櫻宵(爛漫咲櫻・f02768)が声上げれば、隣を歩く朱赫七・カムイ(約倖ノ赫・f30062)も穏やかに頷いた。
「サヨ、食べてしまったら無くなってしまうよ」
 声掛ければ、楽しそうに笑う櫻宵が駆け出す。けれど桜龍はすぐに『きゃっ』と声上げて、カムイの元へと戻ってきて。
「サヨ! 大丈夫? おや……これは雨──飴?」
 艶やかな髪を彩るように乗った青い珠を、カムイが摘まみ上げる。口に含めば広がるは、爽やかなソーダの味。
 カムイの広げた和傘に守られて、おずおずと傘の外へと手を伸ばす櫻宵。その手にころんと落ちる真っ赤な一粒――それ見れば桜龍はぱっと華やぐように笑顔を浮かべた。
「カムイ、雨でなく飴が降っているわ!」
 口にすれば苺の味。緑はメロン。紫は葡萄やも! と傘の中から手を伸ばす、その無邪気な姿に硃桜の男の表情もまた綻んで。
「噫、青はそぉだで橙は蜜柑だ。桜色は桜だね」
 二人一緒の傘の中、落ちる飴粒を指差しながら語り合う。すると今度はたまらないと言うように櫻宵が傘に手を伸ばして――くるり、逆さまにする。
 ぽとり、ぽとり。落ちてくる飴をたくさん受け止めれば、宝石の欠片を集めたようで。美しい輝きを前にした櫻宵の瞳があちこちに動いているのを見て、カムイもまた桜龍の求める味を探して甘やかな宝石へと手を伸ばした。
 しかし、そんな幸せなひと時に忍び寄る影があることもカムイはわかっている。視界の端に災魔を捉えて、彼は周囲へ結界を張る。飴玉狙うかのように近付いてくる少女型災魔を、斬撃波で切り裂き撃破して。
 大切な櫻宵を――二人の時を守るため。その朱砂の瞳は神罰与える険しいものへと変わっていくが、不意に、目の前に桜霞の瞳が現れたからカムイは思わず小さく仰けぞった。
「わ、」
「ふふ、美味し?」
 小首を傾げて尋ねる櫻宵。カムイの口に広がるは甘い味。口に押し込まれたのは――金色の飴だったか。
 敵の接近に気付いてなお、無邪気な姿見せる桜霞の君。毒気を抜かれた神は、また笑ってその甘味を舌で転がすのだ。
「サヨは悪戯っ子だ。美味しい」
 言葉紡ぐカムイが、傘に落ちた飴をまた一つ摘む。しかし次の瞬間、その手から飴は奪われて。
『えへへ、お菓子がない子はリタイヤだ!』
 悪戯に笑う、ハロウィニカルパレード。それが敵の盗み攻撃と理解して、カムイは即座に災魔の腕を掴んだ。
「少女よ、其れはサヨの菓子。おいたはさせない」
 吹き抜ける風、狼少女を切り裂く斬撃波。しかし、災魔はまだまだ集まってくる。
「私の集めたたくさんの飴に誘われてきてるのかしら」
『そうだよ! そのキャンディちょうだい!』
 櫻宵の呟きに頷いたのは、傘に飛びつこうとしている少女だった。可笑しそうに笑う南瓜ランタンと共に迫る災魔――しかし、その手は飴には届かない。
 桜龍の瞳が、蠱惑の色を宿す。つい、と睨めばそれだけでハロウィニカルパレードは動きを止めて――櫻宵のユーベルコードに心蕩かせる。
「かぁいいハロウィンのあなた。あなたも甘くて美味しい桜飴にしてあげる」
 歌うように紡ぐ言葉。視線が捕らえるは周囲の災魔全て。
「想愛絢爛に戀ひ綴る――私の桜にお成りなさい」
 存在を、力を、絡め取って吸い上げて。それらを養分に戦場に咲くは、薄紅の花。
『!!??』
 声も上げることなく、桜飴となる呪を受けて。一帯の災魔が姿消すのを見届けた後――カムイは、いっとうに紅い飴玉を櫻宵の口へと押し付けた。
「カム?!」
「さっきのお返しだ」
 驚く桜龍に、表情を緩める硃桜の神。ころり、転がる飴が甘酸っぱい果実の味纏うことに気付けば、櫻宵の顔が喜びに染まっていく。
「これ、柘榴飴ずっと探しててくれたの?」
 言わずとも、伝わっていたのだ。櫻宵の好きな味、一番食べたい味。
「ありがとう、カムイ。一番美味しいわ」
 感謝の言葉と、とびきりの笑顔。それが見られればカムイの心も温かくなり、二人はまた笑顔を交わし合うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リタ・キャバリエーレ
葎さん(f01013)と一緒に
ハロウィン!
トリックオアトリート。お菓子と悪戯どっちが良い?ってやつよね。
お菓子を配る合言葉と勘違いした昨年の失敗を元に、今回はやる気十分

とはいえ悪い子にはお菓子はあげられないわよね

相手の邪魔をするように【怪力】で巨大なハンマーに変化させた武器を振り回す勢いのまま鈴蘭の花に変化させ
【衝撃波】と併せて相手や相手が奪おうとしたお菓子ごと吹き飛ばさせてもらうわ

少しでも動きを鈍らせれば…!
葎さんへの露払いも兼ねて
学生さん達とも協力して……あ、ちゃんと巻き込まないように気をつけるわよ?

余裕があれば飴も舐めてみたいかも
どんな味があるのか
ふふっ、楽しみだわ


硲・葎
リタさん(f22166)と。
さて、と。まずは学生さんたちから情報収集して、部屋内の構造とかルートとか聞いておこう。
お部屋の構造を頭に入れておけば戦闘時に動きやすいかな。
「わあ……めちゃくちゃロリポップ降ってる……」
「そそ!トリックオアトリート、だね!」
リタさん……一体去年はなにが……
ちょっと気になるけど。
よし、ロリポップは大食いで大量に食べちゃおう!
「ほら、バイクさんも!食べて食べて!嫌な顔しない!あとでガソリンあげるから!」
できるだけおびき寄せて、彼岸花之葬で捨て身の一撃を当てよう。
「お菓子より、イタズラあげるね♪バイクさん!」
UC発動でバイクさんにトドメしてもらおう。




「わあ……めちゃくちゃロリポップ降ってる……」
 パラパラと、色とりどりの飴が天井から降ってくる。その光景を見上げて、思わず声を漏らしたのは硲・葎(流星の旋律・f01013)だ。
 そして、その飴を受け止めきゃっきゃとはしゃぐ少女型災魔達。銀の髪の狼少女、南瓜ランタン引き連れたその姿は――やはり、ハロウィンを思い起こさせて。
「トリックオアトリート。お菓子と悪戯どっちが良い? ってやつよね」
「そそ! トリックオアトリート、だね!」
 傍らのリタ・キャバリエーレ(空を夢見た翼・f22166)が確かめるように言ったから、葎は笑顔で頷いた。その言葉を本来使うのは、秋のイベントのはずだけれど。
「お菓子を配る合言葉と勘違いした昨年の失敗を元に、今回はやる気十分よ!」
 ぐっと小さく拳を握って、リタが張り切る様子を見せる。そう、彼女にとっては、季節外れのリベンジのチャンス――!
(「リタさん……一体去年はなにが……」)
 その『失敗』の詳細がちょっと気になる葎だけれど、今は目の前の敵を倒さなければならない。そして、そのためにも――今は、ロリポップをたくさん食べるのだ。
 目の前に降ってきた紫色の飴を手に取り、ぱくり一口。これは、ブルーベリー味だろうか。次に手にしたのは黄緑色、マスカット味だ。
「ほら、バイクさんも! 食べて食べて! 嫌な顔しない! あとでガソリンあげるから!」
 葎が笑顔で声掛けるのは、彼女の愛車である宇宙バイクの『バイクさん』だ。AI搭載した相棒は少し後退り抵抗を見せた気がするけれど、これも学生達を守るため。最後には葎の差し出す飴を次々と飲み込んで、災魔達の気を引くことに協力してくれた。
『あっ、キャンディいっぱい!』
『ちょうだい! ちょうだい!』
 次々と飴を食べる葎とバイクさん見て、周囲のハロウィニカルパレード達が集まってくる。そこへ、リタが割って入る。
「悪い子にはお菓子はあげられないわよね」
 言葉紡ぐ彼女の、手の中にはオカリナ型の獣奏器、『カダル』がある。それは彼女の意思受けてたちまち巨大なハンマーへと変化して、そのまま振り回せば解けるように鈴蘭の花弁となって空に舞っていく。
『わー!?』
 花弁の嵐に包まれて、倒れる災魔、吹き飛ぶ災魔。葎を守るように立ち回るオラトリオは、その彩ある翼翻して学園を生徒達に声掛けた。
「学生さん達も、協力してくれる?」
「は、はいっ! もちろんです!」
 求めに応じ、学生達も持てる力を狼少女達へ向ける。魔法が、蒸気機械が、放たれれば少しずつ災魔の体力を奪っていって。反撃に転じようとする者は、リタがハンマーによる一撃とユーベルコードで押し返した。
 仲間と学生達の援護を受けながら、葎は変わらず多くのハロウィニカルパレード達を引き付けていた。ロリポップを口に含みながら、戦場駆ける足は軽やかに。緑のポニーテールをなびかせ辿り着いた先は、お菓子の建造物が密集する場所で。袋小路へと入り込んで振り返れば、災魔の群れが『追い詰めた!』と言わんばかりに高揚している。
『お菓子、ちょうだい!』
 ハロウィンの魔法を放つ災魔に、サイボーグの娘は『彼岸花之葬』を構える。そのまま真正面から突撃して、赤い妖刀閃かせて――捨て身の斬撃と同時に、彼女はたん、と跳躍して袋小路の外へと飛び出した。
 追い詰めたのは、葎の方。彼女は事前に学生達から情報提供を受けていたのだ。このお菓子部屋の構造、ルート――狭い場所へハロウィニカルパレード達を集めて、まとめて倒す。それが、彼女の採った作戦だった。
「お菓子より、イタズラあげるね♪ バイクさん!」
 明るい声、呼びかけるのはここまで共に走ってきた愛車へ。すると、発動したユーベルコードの力がバイクさんへと収束して――代わりに現れたのは、スーツを着込んだ長身の男性。それが――百二体。
『手を貸そう』
 かけたサングラスを押し上げて、男全てが口を開く。集めた災魔の数もかなりのものだが、このバイクさんの数には敵わない。瞬く間にも撃破されていくハロウィニカルパレード達へ葎も妖刀揮っていれば、そのうちにリタがやってきた。
「こっちは終わったわよ」
「リタさんお疲れ様! 私ももう終わるよ!」
 乱戦の中で声掛け合い、彼女達は頷き合う。この災魔が片付いたら、二人一緒に飴を舐めよう。
(「ふふっ、楽しみだわ」)
 微笑むリタは、たまたま降ってきた赤いロリポップを受け止めた。葎の好きな飴――これをあげれば、きっと喜ぶだろうと思いながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミアステラ・ティレスタム
アルダワを訪れるのは久しぶりですね
あら、これは飴……?
手のひらに落ちてきたのは青色の星型キャンディ
ころん、と口の中に転がして
これは美味しいソーダ味

次から次にお星さまの飴が降ってきます
こちらは赤色、ストロベリー味の星
橙の星はオレンジ味
黄色の星はレモン味
そして白色の星はミルク味
これは夜空の星の色に見立てているのですね、素敵です

飴を食べながらハロウィニカルパレードを学生さん達から離すように、意図的に誘導して動きましょう
ほら、こちらですよ
相手の攻撃にはわたしの加護の水で妨害
持ち前の幸運の良さもきっと助けてくれるでしょう

わたしからハロウィニカルパレード達には星の雨を
イロトリドリの星の雨をどうぞ召し上がれ




 ふわり、お菓子部屋へ現れたのは水のような薄青の少女。ミアステラ・ティレスタム(Miaplacidus・f15616)は透き通る瞳を揺らめかせて、ゆっくりと周囲を見回した。
「アルダワを訪れるのは久しぶりですね」
 以前に来たのは、猟書家が現れる前だったか。魔法と蒸気の文化を感じさせる迷宮眺めて記憶を振り返るけれど、彼女の思考はそこで中断される。突然、その手の中に青い星が落ちてきたからだ。
「あら、これは飴……?」
 指で摘んで見てみれば、青色の星型キャンディは食べてくれと言わんばかりにキラキラ輝いている。ころん、と口の中に転がせば、爽やかなソーダ味がしてミアステラは思わず瞳を見開いた。
 天井を見上げれば、降ってくる星はひとつではなくて。赤い色の星を食べれば、ストロベリー味。橙の星はオレンジ味で、黄色の星はレモン味。さらにミルク味の白色星まで見つけて、水宝玉の少女は嬉しそうに微笑む。
「これは夜空の星の色に見立てているのですね、素敵です」
 ならばそれを全て集めた彼女の掌は、夜空に負けない煌めきを持っているのだろう。新たな一粒を口にしながら、ミアステラはちらりと災魔へ視線を巡らせた。ハロウィニカルパレード達も、彼女を――否、彼女の手の中の飴を狙っている。ならば学生達から距離取り守ろうと、ゆるゆる歩けば災魔達も追ってきて。
「ほら、こちらですよ」
 摘まみ上げた星型の甘味をかざせば、敵は迷うことなく突っ込んできた。
『キャンディ!』
 その攻撃は、ミアステラの飴を全て奪おうとするもの。強欲な心篭めた一撃は、しかし水色の少女へ到達する前に顔面に水をかけられたことで止まった。
『わぷっ』
 慌てて顔を左右に振るハロウィニカルパレード、見ればその水はミアステラが纏う加護の水であった。さらにそこへ畳み掛けるように、水宝玉の少女はそっと指を折り重ね、祈る。
「祈りを以て謐奏の時を齎しましょう」
 捧げる祈り、応えるユーベルコード。それは無数の星の雨となり、災魔達の頭上より降り注ぐ。
『わああっ、雨だ!』
 慌てるハロウィニカルパレードだが、彼女らには不幸なことにミアステラの攻撃を凌げるような場所は周囲にない。その星雨は災魔を濡らし、力を奪い――ゆっくりと、狼少女達は無効化されていく。
「イロトリドリの星の雨をどうぞ召し上がれ」
 穏やかに語るミアステラ。彼女の周囲に降る星雨は、共に降る星型の飴を濡らしてキラキラと輝かせているのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

千家・菊里
【花守】
お菓子を食べるのも仕事の内とは、またまた腕もお腹も鳴るお話ですねぇ
(早速ちゃっかり飴の味見しつつ)
勿論、手だって休めはしませんよ――何たってこの騒動を平らげつつ、お菓子も奪われる前に平らげねばならぬのですから(きりり)

学生さんを庇う様に立ちつつ
霊符舞わせ結界術も張り手厚く護衛

更に早業で趣味と仕事を両立――
片手で飴を食べたり集めたり食べたりしつつ
片手でUC狐火操りお菓子代わりに敵へと大サービスを
盗み食いや独り占めは駄目ですよ

ああ、打上のお茶会も良いですねぇ
ふふふ、では益々気合いを入れて仕事(飴収集含)に励まねば

故郷は大雨で困る日もあるこの頃ですが、此方の大飴は幸せな気分にしてくれますねぇ


呉羽・伊織
【花守】
ウン、食道楽にゃ誂え向き過ぎるネ
つかお前ホント最近そのセリフばっかだな!
飴を楽しんで敵を誘って一粒で二度美味しい~ってか?兎も角ちゃんと手も動かせよ!
(早速の食気に肩竦め)
…んでまた平らげるの意味も両立させるか(最早笑うしかない)

とか軽く言い合いつつも
学生庇う布陣意識し交戦

飴を手玉に取って遊んで見せ
敵の注意を引き付けつつ
早業で闇と毒属性のUC放ち先制
目潰しや麻痺毒で易々盗みを働けぬよう妨害し散らす
(何気に雛やら亀やらのころんとした飴を懐にしまい――ウン、特にコレは奪わせまい!)

そーだ、後でキミら(学生)も一緒にお茶する?この飴でさ

ああ
その為にも災魔の大洪水を防いで憂いは晴らすとしよう!




 ぱらり、ぱらりと飴が降る部屋に、響き渡るは災魔のはしゃぎ声。
 落ちる飴を一粒手に取り、ぐるり周囲を見回して――千家・菊里(隠逸花・f02716)は、楽しそうに微笑んだ。
「お菓子を食べるのも仕事の内とは、またまた腕もお腹も鳴るお話ですねぇ」
「ウン、食道楽にゃ誂え向き過ぎるネ。つかお前ホント最近そのセリフばっかだな!」
 食い気もやる気も十分な彼の言葉、最近共に向かう戦場ではすっかり聞き馴染みのあるものになってしまった。呉羽・伊織(翳・f03578)は苦笑しながらも、掌を天に向けて飴の一欠片を握り締める。
「飴を楽しんで敵を誘って一粒で二度美味しい~ってか? 兎も角ちゃんと手も動かせよ!」
 念押すように一言添えれば、菊里は得意げな顔で手の中の飴玉を口へ放り込んで。
「勿論、手だって休めはしませんよ――何たってこの騒動を平らげつつ、お菓子も奪われる前に平らげねばならぬのですから」
「……んでまた平らげるの意味も両立させるか」
 伊織が肩を竦めるのは、早速の食い気への呆れであり、言葉遊びへの可笑しさであり。
 菊里にとってここはきっと――二重の意味で、戦場なのだ。そして、そんな彼とこういう場へ赴くのは、伊織だって楽しくて。
 軽く言い合ううちにも、二人の男は飴玉を持ち、食べて、災魔の気を引いていた。自然な振る舞いで、学生達を背に庇い。
 菊里が、紅色の飴を噛み砕きながら霊符を取り出す。空へと放れば舞うそれが、光と共に学生達に結界を張り――瞬間、伊織のユーベルコードが暗器を作り出してハロウィニカルパレード達へと飛び掛かる。
『わわ!?』
「自由気儘が取り柄でな」
 先手で不意を突かれ、災魔達が浮足立つ。彼の暗器が帯びるは麻痺毒。目潰しも合わせて狙えば、彼女達の盗み攻撃の妨害となる。敵の攻撃は命中すればユーベルコードを封じる厄介なものなのだ、精度を落としておくのは重要な戦法。
 ――と、真面目に交戦しつつも、天井より降る飴も決して無視しない。ユーベルコードを操るその手でごく自然に受け止めるのは、雛やら亀やらの形したころんと愛らしい飴玉達で。
(「――ウン、特にコレは奪わせまい!」)
 固い決意と共に、こっそり懐に仕舞い込む。伊織は、戦いとお楽しみは別にしておくつもりなのだ。
 対して、菊里は趣味と仕事を両立する派だ。
 片方の手で飴を受け止め、口へ運んで次々と食べて。
 もう片方の手で、ユーベルコードの狐火を複数生み出し、操って。
 彼の両手はせわしなく動き、どちらも目的を達成するための的確な働きをしていた。
『わーん! こっちは近付けないのに、たくさん食べてずるい!』
 焦れたように狼少女達が声上げるほど、菊里の立ち回りは素晴らしかった。
「盗み食いや独り占めは駄目ですよ」
 そう言葉紡ぎながら次の飴をぱくりと口へ、次の瞬間には飛び来る狐火が災魔を包んで骸へ還していく。
 その鮮やかな動きを傍で見る伊織は、可笑しそうに口元緩めながら背に庇う学生達に声掛けるのだ。
「そーだ、後でキミらも一緒にお茶する? この飴でさ」
「えっ! いいんですか!」
 それは、学生達にとっても魅力的な誘いだったのだろう。高揚した彼らは、ならばお役に立たねばと持てる力を揮って伊織と菊里を援護してくれる。
「打上のお茶会も良いですねぇ。ふふふ、では益々気合いを入れて仕事(飴収集含)に励まねば」
「ああ、その為にも災魔の大洪水を防いで憂いは晴らすとしよう!」
 彼らの支援を、追い風に。二人の男は、飴を集めながらもハロウィニカルパレード達を次々に撃破していく。舞うは狐火、麻痺毒の暗器、災魔に近付くことを決して許さず、それらは戦場を駆け抜けていく。
(「故郷は大雨で困る日もあるこの頃ですが、此方の大飴は幸せな気分にしてくれますねぇ」)
 ぽとん、と、また落ちてきたとびきり大きな飴をしっかり確保して。ゆるりと微笑む菊里は、新たな狐火を災魔へと放つ。
 それは最後のハロウィニカルパレードを包み火柱となり、塵ひとつ残さず消し去ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『書の悪魔ダンタリオン』

POW   :    あなたの技をお返しいたします。
【魔導書】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、魔導書から何度でも発動できる。
SPD   :    尻尾乱舞
【尻尾】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ   :    レインボー・ロード
【七色の竜巻】を放ち、レベルm半径内の指定した対象全てを「対象の棲家」に転移する。転移を拒否するとダメージ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はラウラ・クラリモンドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●待ち受けるは書の悪魔
 全てのハロウィニカルパレードを倒して、猟兵達も学生達もほっと息をついた。賑やかな災魔が消えた今、飴降る部屋は平和な静けさを取り戻していたが――まだ、このままでは完全な平和とは言えない。
「えっ? 『迷宮大図書館』へ行くんですか?」
 猟兵達の申し出に、学生達は瞳を瞬かせた。元凶はそこに巣食う『書の悪魔ダンタリオン』、それを倒さなければハロウィニカルパレードもいずれ復活してしまうと、語れば彼らは道案内を請け負ってくれて。
 迷宮の中を、奥へ奥へ。進んだ彼らが辿り着いた扉の先は――背の高い本棚の立ち並ぶ空間だった。
 猟兵達が入った扉の前は、読書スペースなのだろう。長テーブルと椅子がいくつも並んでいるが、そのテーブルの上には学生や教師達が調査し仕訳けたらしい本の山が積み上がっている。天井の高い部屋の奥へと目をやれば、壁に沿って作られた階段で二階へと繋がっているのが見えた。その壁ももちろん本棚になっているのだが――さらに二階は、本棚が所狭しと並んでいる。あちらで戦闘となれば、位置取りに悩むかもしれない。
 猟兵達が周囲を確認していると、ふわり、目の前に一冊の本が飛んできた。禍々しいその本は彼らの前でひとりでに開き――頁の中から、一人の女が現れる。
「あら、残念。災魔を倒してしまったのですわね」
 優しげな瞳の書の悪魔は、しかし尻尾をゆらゆらと揺らして猟兵達の様子を伺っている。
「お前が、本に災魔を……!」
 猟兵達が庇う背より覗き込んで、学生の一人が声を上げる。貴重な本で悪事を働かれた怒りは、猟兵達にもわかるものだ。
 だから、決して逃すわけにいかない――彼らはそれぞれに態勢を整えて、この猟書家へと戦いを仕掛けるのだった。
ティア・メル
【海朋】

んふふ、そうだね
一緒にやっつけちゃおうよ

んに?なーに?
耳打ちされた言葉に笑みを深める
なんて楽しそうなんだろうっ
どきどきわくわくして、大きく頷いた
ポケットに入りきらないくらい
いっぱいの飴玉を持ち帰っちゃおう
怪我をしないで、2人で手を繋いで帰ろうね
―――もちろん、雫ちゃんの分まで歌うから、任せて
小指を結んで、指きりげんまん!
雫ちゃんにも、任せたよ

現れ出る骨魚たちに眸を輝かせて
ぼくもぼくもと口を開く
誘惑のせて歌うは溺飴
ひいらり舞い散る花に攻撃力を蕩かせて
UCを封じちゃおう
魚たちが悠々自適に泳げるようにね
理想の舞台は魚たちが満足出来るように

さあ、歌えや謳え
骸に喰われてうたに溺れちゃえ


岩元・雫
【海朋】

書物に潜む悪魔だなんて、随分性根が曲ってるのね
おれ、然う云うの好きじゃないわ

ねえティア、耳を貸して
触れ合って居た掌が、きみの鼓膜に届けるは
ふたりの為の内緒話と、浮かれ零れた淡い展望
ポケットに、キャンディ詰めて帰りましょう
ふたりとも、怪我をしないで帰りましょう
だからその為に、――おれの分迄、歌って頂戴
結ぶ小指に、信頼乗せて

つきり奔った痛みと共に
今だけ聲と御別れをして
喚び出したのは朽ちた躯
きみの舞わせる聖樹と真逆の、朧に濁った骨魚
此様なに優しい花の海を、死した後も游げるなんて
幸せものね、おまえ達

ゆるりと骸を撫ぜてやって
差し向けるのは悪魔の肢体
惑え、狂えよ、理解らぬ侭
謳う魚に、喰われて仕舞え




 見上げれば、本から身を乗り出した女が穏やかに笑っている。その光景に、雫は思わず眉を寄せた。
「書物に潜む悪魔だなんて、随分性根が曲ってるのね」
 おれ、然う云うの好きじゃないわ。はっきり言葉を紡ぎ出せば、隣でティアもゆるりと頷いて。
「んふふ、そうだね。一緒にやっつけちゃおうよ」
 愛らしい瞳を煌めかせながら無邪気に言う彼女。そんな砂糖菓子の娘が歌を紡ごうと小さく息吸い込んだのを見て、雫は彼女の肩にそうっと触れた。
「ねえティア、耳を貸して」
「んに? なーに?」
 小首を傾げながら、小さな耳を寄せて。ひそひそ、耳打ちされた内緒話にティアの表情が輝く。
(「なんて楽しそうなんだろうっ」)
 もちろん引き受けるに決まっていると、桃色髪の娘は大きくひとつ頷いて。それから、二人はふわふわ笑って約束を交わす。
 ポケットに、キャンディ詰めて帰りましょう。
 ポケットに入りきらないくらい、いっぱいの飴玉を。
 ふたりとも、怪我をしないで帰りましょう。
 怪我をしないで、二人で手を繋いで――。
「だからその為に、――おれの分迄、歌って頂戴」
「――もちろん、雫ちゃんの分まで歌うから、任せて」
 差し出す互いの小指は、すぐに絡まり合う。指切りげんまん、そこに篭められるは信頼で。
 ――そうして、雫は空へと手を伸ばしてユーベルコードを発動した。
「訊いて、嗤って。此方に、墜ちて」
 言葉を紡ぎ終えた瞬間、つきりと奔る喉の痛み。今だけ、力の代償に聲と別れて。指先を空中に滑らせれば、それを標に朽ちた躰の魚達が泳ぎ出す。
 骨だけの躰を自在に操り、書の悪魔ダンタリオンを目指す魚達。それ見て瞳を輝かせたティアは、ぼくもぼくもと口を開いた。
「涯の海へ還す沙羅双樹、甘やかな馨を伴に」
 奏でるは歌、甘く甘く、蕩けるように。それは戦場に白花弁を舞わせて、この窮屈な迷宮大図書館を甘やかな香りで満たしていく。
 ――魚たちが悠々自適に泳げるように。ティアの願い乗せた花弁の海を、骨魚は楽しそうに進んでいく。その光景は幻想的で、雫は目を細めてそれを見上げる。
(「幸せものね、おまえ達」)
 此様なに優しい花の海を、死した後も游げるなんて。聲は上げられなくても、自然と唇は動いていた。誘うように傍を泳ぐ一匹には、そうっと骸を撫でてやって。そのまま指先を猟書家へと向ければ――骨魚達は一斉に敵を狙う。
 骨だけの口がぱくぱく動けば、生み出されるは思考を惑わす音波。雫の代わりに謳う魚はダンタリオンをよろめかせる、けれど。
「あなたの技をお返しいたします」
 骨魚の攻撃を、魔導書で受け止めて。書の悪魔は微笑み浮かべたまま、彼のユーベルコードを真似て操った。現れる骨魚は、真っ直ぐ雫へ向けて泳いでくる。
 しかし、その道には白い花弁が立ち塞がる。
 ひらりひらりと舞い散っていた花弁達は、急に意思持つように敵の魚へ飛び掛かり。触れれば、骨魚は形を保てず弾けて消え去った。
「あら……」
 書の悪魔が声を漏らす。彼女も気付いたのだ、この部屋中に舞う白花弁の役割に。それは雫の骨魚達の泳ぎやすい舞台を創造するものであり、ティアの強化を行うものであり――また、敵のユーベルコードを打ち消すものでもあったのだ。
 気付いた時には、もう遅い。花弁はダンタリオンの魚だけを消して、その陰から雫の魚が敵へと牙剥く。悪魔の潜む魔導書は千切れ、喰われて、惑うオブリビオンを前に二人は手を緩めない。
「さあ、歌えや謳え。骸に喰われてうたに溺れちゃえ」
(「――謳う魚に、喰われて仕舞え」)
 ティアの蕩けるような歌声に、骨魚の音波がリズムを重ねて。図書館に響く歌は、書の悪魔ダンタリオンに大きなダメージを与えてやっと止んだのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加 

こいつが黒幕か。皆が大事にする本に災魔を取り憑かせるとは許し難いね。図書館の皆はどれくらい苦労して図書館を管理してると思ってるんだ。絶対ぶちのめす。


学生の皆は本を片付けてくれると助かる。戦闘に巻き込まれて本が破損すると大変だからね。

戦闘は竜巻の転移を断固拒否してシンフォニック・キュアでダメージを回復させながら戦う。【オーラ防御】で歯を食いしばって踏ん張り、渾身の【怪力】【気合い】【串刺し】【重量攻撃】で渾身の【槍投げ】で攻撃する。

この図書館はアルダワの皆のものだ!!不法侵入者のアンタが好き勝手していい所ではないよ!!


真宮・奏
【真宮家】で参加

あ、本から何か出てきました。何か勝手な事いってますが、ここは貴方が暴れていい場所ではありませんよ。不法侵入者は退去して貰いましょう。

学生の皆さんには戦いやすい場所を聞きます。母さん、ちょっと待って。一階で戦いませんか?

トリニティ・エンハンスで防御力を上げます。少々敵が防御力を上げたとて、ぶち抜けばいいだけですので。【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】【拠点防御】【ジャストガード】【受け流し】で敵の攻撃を受け止めながら接近、【怪力】【二回攻撃】【グラップル】で正拳→蹴り飛ばしで攻撃します。

アルダワの皆さんの大事な図書館を荒らした罰です。ここは貴方の占有場所ではありません!!


神城・瞬
【真宮家】で参加

学生さんの大事な図書館を荒らすとは。ここは自分のものであるような口ぶりで。不法侵入者に過ぎない敵のこれ以上の暴挙は許しません。

学生さんに戦いやすい場所を聞きます。母さん、一階で戦いましょう。

僕は敵の動きを止めます。【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】【目潰し】【部位破壊】【武器落とし】を【高速詠唱】で敵に向かって展開、更に裂帛の束縛を使用。巨大化する尻尾まで拘束できるかは賭けですが、全身を拘束する事で尻尾の勢いを止めることはできるはず。

【誘導弾】で攻撃しながら【オーラ防御】【第六感】で攻撃を凌ぎます。

この図書館は貴女が好き勝手していい場所ではありません。退去願います!!




 猟兵達が戦い仕掛ければ、衝撃に積み上げられた本が揺れる。その様子にいち早く気付いたのは、響だった。
「学生の皆は本を片付けてくれると助かる。戦闘に巻き込まれて本が破損すると大変だからね」
 背に庇う学園の生徒達へと声掛ければ、彼らは素直に応じて周辺の本へと手を伸ばす。
 そんな学生達を守ろうと、図書館を奥へ――踏み入っていこうとする響だったが、それは奏が引き留める。
「母さん、ちょっと待って。一階で戦いませんか?」
「二階は狭くなっていて戦いにくいそうですよ」
 言葉を継いだのは瞬。二人の兄妹は、先にこの図書館の設備について学生達に確認していたのだ。奥へ行くほど戦いづらく、入り口付近の読書スペースが一番戦闘に適しているというのが、二人の判断だった。
「なるほど、じゃあ作戦はこうだね」
 子供達の頼もしさに微笑みながら、響は学生達への指示を重ねる。本の片付けは続けてもらうが、場所を限定――読書スペースの一部分を、完全に本のない戦闘用のスペースにしてしまうのだ。
 本を別の場所へ移して、長テーブルと椅子も撤去して。粗方片付いたところで、三人は先に進んだ猟兵達を追う。
 猟書家はすぐに見つかった。本の中から体を出すようにして、浮遊する女性型の悪魔。その姿を確かめて、響は拳を打ち鳴らす。
「こいつが黒幕か。皆が大事にする本に災魔を取り憑かせるとは許し難いね。絶対ぶちのめす」
 この場の大量の本達を、どれだけ苦労して学園の者達が管理しているか。先程の本の移動でもその一端を感じ取ったからこそ、彼女の言葉には怒りが篭もっていた。
 その声を聞いたダンタリオンは、悪びれる風もなくクスクスと笑っている。
「まあ、怖い。私はただこの場所で、本に書かれた素晴らしい出来事を現実のものにしているだけですわ」
「何か勝手な事いってますが、ここは貴方が暴れていい場所ではありませんよ。不法侵入者は退去して貰いましょう」
 被せるように言い放ったのは奏。彼女はユーベルコードを発動し、掌に三属性の魔力を集め守りを固める。敵はユーベルコードをコピーする能力を持っているようだが、防御力の強化を真似られたところでぶち抜けばいいだけだ。
 そうして敵の注意を引いたところで、三人はじりじりと後退する。書架に近いこの場所ではなくて、戦うために用意した場所へとダンタリオンを誘い出すため――。
 書の悪魔が動く。指先を宙で滑らせて、くるくる回せば巻き起こるのは虹色の竜巻。それは響を中心に三人の家族を襲い、転移せよと告げてくる。
「誰が転移するか……!」
 決意を言葉に、敵の要求を拒否して。響は即座に、ユーベルコード編み上げた歌を歌う。竜巻により傷付けられた三人の体は母の歌で癒されて、その間にも移動を続けていた彼女らはついに用意した場所へと辿り着いた。
「まあ、強情ですわね」
 言葉と裏腹に眉ひとつ動かさない猟書家は、次に自身の尻尾を巨大化させた。しかし揮おうとした瞬間に、それは飛んできたアイヴィーの蔓に絡め取られる。
「あら……?」
「動きを縛らせて貰います!! 覚悟!!」
 見れば、杖振り上げた瞬の放つユーベルコードが悪魔を狙っていた。続けて放たれるヤドリギの枝と藤の蔓。それらは複雑に絡み合ってダンタリオンの自由を奪い、ついにはユーベルコードまで封じてしまって。
「母さん、奏!」
 家族に呼びかけつつ、誘導弾を放つ。そんな瞬の声を聞くより早く、二人は動いていた。移動は済んだ、敵は動けない、今こそ畳み掛ける時だという思考は、後からついてくる。
 響は手にした槍を、渾身の力で猟書家へと投げ放つ。
「この図書館はアルダワの皆のものだ!! 不法侵入者のアンタが好き勝手していい所ではないよ!!」
 声は想いとして槍に宿り、その穂先を赤く燃え上がらせる。瞬の弾に続けて敵へと到達したその槍撃は、ダンタリオンの体を串刺しにした。
「この図書館は貴女が好き勝手していい場所ではありません。退去願います!!」
 瞬の声が響く中、奏は地を蹴り書の悪魔へと接近していた。
「っ……!」
 動揺しながらも、猟書家が腕を揮う。しかしそんな攻撃、奏は体を僅かに横にずらすだけで躱してしまって。その些細な動きすらも勢いに乗せて、彼女は敵の胸目掛けて真っ直ぐに拳を繰り出した。
「アルダワの皆さんの大事な図書館を荒らした罰です。ここは貴方の占有場所ではありません!!」
 気合いの言葉と共に、振り回す足蹴り。それは見事に敵の脇腹を捉え、ダンタリオンを吹き飛ばしたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱赫七・カムイ
⛩神櫻

見事な書架だね、サヨ
私?私は本が好きだよ
数多の物語や生き様や知識が宿されているからね

きみとの日々を綴っている私の旅行記だってそうさ
今日の出来事だってちゃんと記しておく
櫻宵との、大切なたからものだ
書を災におとすわけにはいかないのだよ

サヨ、大切な本を傷つけないように気をつけようか
結界を書架に張り巡らせてサヨを庇うように前に出る
第六感で悪魔の動きを察して、災禍の神罰で絡め捕らえて攻撃を阻害させてもらおう
その尾で私の可愛い巫女を叩くなんてさせないよ
早業で駆け、斬撃波と共になぎはらい切断をする

サヨ、ご褒美
ひとつ先程の飴を口に放りこむ
甘くて美味しい?
噫、私はね……サヨの笑顔が一番に、甘くて美味しいよ


誘名・櫻宵
🌸神櫻

本当!どの本もかけがえの無い宝物なのね
カムイは本が好きなの?

問いかけに答える神の姿はかぁいらしくて思わず頬が緩むわ
ええ記しておいて
永遠に私を忘れないよう
あなたの書にも刻みつけて

勿論よカムイ
大切な本を私達が傷つけては元も子もない
桜吹雪のオーラも重ね本とカムイを守るわ
悪魔の生命も美味しいかしら?
美しい本に寄生したならば
物語の味がしたりして
カムイの太刀筋に合わせ、傷を抉るように薙ぎ切り桜化の神罰巡らせて生命を喰らって桜と咲かせる

不味いわ…もっと美味ものが
食べたいと言いかけて、口の中に転がるのはカムイが捕まえた飴?

甘くて美味しい
カムイの愛の味がする
ふふ、悪魔さん
いい所なの
お邪魔はしないで頂戴ね




 戦いの喧騒が響く中でも、貴重な書物達はただ静かに書架に収められている。その光景に圧倒されたカムイは、傍らの櫻宵へと思わず語り掛けていた。
「見事な書架だね、サヨ」
「本当! どの本もかけがえの無い宝物なのね」
 先を行った猟兵達に、書物の保護を任されたと言う学生達。彼らが慌ただしく、けれど丁重に本を運び出す様子を見れば、これらが守られるべきものであることは明らかで。
「大切な本を傷つけないように気をつけようか」
「勿論よカムイ。大切な本を私達が傷つけては元も子もない」
 言葉交わして、二人はそっと手を広げる。周囲へ展開されるカムイの結界と、櫻宵の桜吹雪。それは書架も書物を傷付けないように、優しい守りのベールとなった。
「カムイは本が好きなの?」
 ふいに、桜龍が朱桜の神を見つめて問いかける。するとカムイは柔らかく笑み、頷きで応えた。本が好き。数多の物語や生き様や知識が、そこには宿されているから。
「きみとの日々を綴っている私の旅行記だってそうさ。今日の出来事だってちゃんと記しておく」
 それは、櫻宵との大切なたからものだから。書を災におとすわけにはいかない。
 語る瞳に宿る光は真っ直ぐで、そんな神の姿が『かぁいらしく』、櫻宵の頬は思わず緩んだ。染まる色は桜、ゆっくりと首を縦に振れば、桜霞の瞳が呪の光を灯す。
「ええ記しておいて。永遠に私を忘れないよう」
 あなたの書にも刻みつけて。そっと囁き瞳を閉じれば――そんな櫻宵の身に迫る、黒い影。それはダンタリオンの尾だった。結界の展開により二人に気付いた猟書家は、不意を突こうと攻撃してきたのだ。
 しかし尾の打撃が櫻宵に届くより、カムイの反応の方が早い。朱砂の太刀へと手を伸ばし、抜き放つと共に一閃。その赫き一撃は書の悪魔の尻尾の先を見事切り落とし、敵は短く悲鳴を上げた。
「その尾で私の可愛い巫女を叩くなんてさせないよ」
 男の瞳が、鋭く細められる。言の葉紡ぐ間に、護られた桜龍の君はそっと微笑んだ。瞳を、開く。視界に捉えるは書の悪魔ダンタリオンのみ。尻尾切られた衝撃に身を捩る敵のその背に、血桜の太刀が揮われる。
「悪魔の生命も美味しいかしら?」
 くすりと笑むは、生命喰らう桜化の神罰を巡らせながら。美しい本に寄生したならば、物語の味がしたりして。そんな期待を胸にユーベルコードを放った櫻宵は、しかしすぐに子供みたいに眉を顰めた。
「不味いわ……もっと美味ものが」
「サヨ、ご褒美」
 唇尖らせ不満を告げようとする櫻宵だったが、次の瞬間ころり口の中に転がり込んだ甘味に言葉が切れる。見れば呪いの桜花咲く光景を背に、カムイが微笑んでいる。
(「――カムイが捕まえた飴?」)
 ああ、この味は知っている。飴降る部屋で口にした、それよりもっと、口直しには最高の――。
「甘くて美味しい。カムイの愛の味がする」
 愛おしそうに呟いて、櫻宵はとん、と地を蹴った。飴が、カムイの愛が、桜龍に更なる力を与える。軽やかに舞うように、繰り出す刃は書の悪魔を切り裂いて。
「ふふ、悪魔さん。いい所なの、お邪魔はしないで頂戴ね」
 艶やかな笑み、桜舞うこの場所は今、櫻宵のもの。
 そんな姿を見つめて、カムイもまた笑みを浮かべる。
(「噫、私はね……サヨの笑顔が一番に、甘くて美味しいよ」)
 朱砂の彩宿す瞳は優しく、愛する者を見て。二人の太刀に傷付いたダンタリオンは、息を切らせて書架の奥へと逃げていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フリル・インレアン
ふええ、本でいっぱいです。
図書館なのですから本がいっぱいあるのは当然なんですけど、こういうところは何故か本棚より本が多すぎて溢れかえっているんですよね。

ふええ、猟書家さんです。
えっと、この七色の竜巻は対象を住処へ帰す効果があるんですよね。
でしたら、そこら辺に落ちている本に使って本棚に戻してもらえるとありがたいんですけどね。
そうも言ってられませんよね。
私が戻される訳にはいきませんから、必死に抵抗しましょう。
ふえ?アヒルさん、ここに来てからどこに行ったのかなあと思っていたのですが隠れていたんですね。
しかも私を囮にして攻撃するなんてずるいですよ。




 迷宮大図書館へと辿り着いたフリルは、居並ぶ書架に誘われるように奥へと進んでいた。
「ふええ、本でいっぱいです」
 感嘆の声を漏らしながら、そっと棚の本へ触れて。そのまま二階へと上がっていけば、一階よりも狭い間隔で書架がずらり並んでいるのが見える。
 棚の中にはもちろん様々な本がびっしりと収められているのだが――よく見ると、棚の上や足元などに積み上げられた本もある。
(「こういうところは何故か本棚より本が多すぎて溢れかえっているんですよね」)
 苦笑しながら、しゃがみ込んで床の本へと手を伸ばす。図書館なのだから、本がいっぱいあるのは当然だけれど。表紙に積もった埃を払いながら、フリルはこの溢れた本達もきちんと棚に戻したいと考える。
 しかし、彼女の行動はすぐに中断させられる。一階で猟兵達に追い込まれたダンタリオンが、フリルのいる二階の書架へと逃げ込んできたのだ。
「ふええ、猟書家さんです」
「あら、こんなところにも猟兵が?」
 傷付いた猟書家は、新たな猟兵の姿に身構えた。しかしフリルの怯えた様子を見ると、くすりと笑みを浮かべてその手をかざす。
「あらあら、そんなに震えて。私がおうちへ帰して差し上げますわ」
 紡ぐ言葉と共に放たれたのは、七色の竜巻。それは周囲を巻き込み唸りを上げて、フリルに迫ってくる。対象を住処へと転移する力を持つ、敵の攻撃。おどおどしながらも足に力入れて、竜巻に飲まれないよう必死に抵抗する少女は赤く円らな瞳でダンタリオンを見つめて。
「そこら辺に落ちている本に使って本棚に戻してもらえるとありがたいんですけど」
「うふふ、その要望にはお応えできませんわ。私が興味あるのは、書物に書かれた内容だけ」
 本がどこに置かれていても、構わない。そう微笑む書の悪魔は、竜巻の力を増して抵抗するフリルの体に傷を刻み付けていくけれど――次の瞬間。
「――!」
 アヒルの鳴くような声と共に、突如現れたのは白い鳥。それはダンタリオンへと死角から襲い掛かり、そのくちばしと翼でもって猛攻を仕掛けていく。
「ふえ? アヒルさん?」
「っ……!?」
 驚いたのは、フリルも猟書家も同様だ。鳥の正体は、フリルの相棒アヒルさん。愛くるしい姿のガジェットは、迷宮大図書館へとやってきた時から姿を隠し、攻撃のタイミングを伺っていたのだ。
「私を囮にして攻撃するなんてずるいですよ」
 傷だらけのフリルがそう声掛けても、つーんと知らないふり。しかし強力な相棒の攻撃に退く書の悪魔を見送れば、フリルはほっと安堵の息を漏らしたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニオ・リュードベリ
よーし、あとはボスだね!
やっつけちゃおう!

準備のためにUC発動
無敵の鎧を作って着込む
鎧で直接攻撃する訳じゃないから、これなら魔導書にもコピーされないはず
手にはアリスランスを握り、いざ勝負!

相手の攻撃は尻尾や魔術かな
何がこようと鎧を信じて突っ切るよ
衝撃は激痛耐性で受け止めてひたすらダッシュだ
敵に狙いを定め、勢いを殺されないように

なるべく本も傷つけないようにしたいな
本が危ないならあたしが盾になる
本の悪魔なのに本を傷つけちゃ駄目でしょ!

どうにか接近できたらそのままの勢いでランスチャージ!
思いっきり串刺しにしてやろう
甘いものいっぱい食べたから元気もいっぱい
全力で敵を攻撃してやっつけるよ!




 青い髪を揺らしながら、ニオは迷宮大図書館の中を駆ける。
「よーし、あとはボスだね! やっつけちゃおう!」
 気合十分の声と共に、書架の間を巡って逃げ回る猟書家を探す。それと同時に、解き放つは守り固めるユーベルコード――アリスナイト・イマジネイション。想像より無敵の鎧生み出し着込むこの力は、敵に向けるものではないからコピーされる心配もないだろう。
 そうして彼女の体が完全に鎧に守られた時、金の瞳が書の悪魔を捉える。
「見つけた!」
 弾むのは声だけではなく、足取りも。とん、と軽やかに地を蹴る少女は、白銀の槍を握り締めて真っ直ぐダンタリオンへと突っ込んだ。
「いざ勝負!」
「なっ……!?」
 一切の迷いのない踏み込みは、猟書家にとっては完全な不意打ちだった。思わず声上げた悪魔は咄嗟に尻尾を振り回して――足元にあった本を空中へ躍らせ、それを目くらましに身を捻る。
「わあっ!?」
 本を傷付けるのは意に反する。ニオは慌てて槍を振り回し、軌道逸らせて飛び退った。
「本の悪魔なのに本を傷つけちゃ駄目でしょ!」
 頬を膨らませて水色髪の少女が叱咤すれば、ダンタリオンはくすくすと微笑む。
「仕方ないですわ。確かに書物は大切ですが……それを現実のものとするためには、私がいなければ始まらないのですから」
 言葉と共に、敵の魔導書からは衝撃波が放たれる。狭い書架の間、避ければ周囲の本が巻き込まれるかもしれない――だから、ニオはそのまま真っ直ぐに踏み込んでいく。
(「本が危ないならあたしが盾になる!」)
 決意の篭もる瞳には、ただ猟書家の姿を映して。無敵の鎧も穿つ攻撃に一切退くことなく、進むその勇猛を前に書の悪魔が狼狽えるのがわかる。大切にするもの、犠牲にするもの。真逆のスタンスを持つニオは、彼女にとって脅威だったのだろう。
「っ……そんな!」
 今度はカウンターを繰り出す余裕も与えず、ニオの体はダンタリオンへと届いた。前進する力を全て篭めて、繰り出す白銀の槍は敵の胸を貫く。たくさん食べた甘いキャンデイ、その幸福感さえ力にして。
 猟書家の悲鳴が、迷宮大図書館に響き渡る。身悶えながら書架の向こうへ消えていく敵を見送って、ニオは確かな手応えを感じたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

硲・葎
リタさん(f22166)と。
えー、下半身本なの?
それなのに本を大事にしないとか。
ガサツはよくないなー!
よーし、じゃあ君のしっぽをガサツに扱うことにしよう!
まあ、人のこと言えないけどさ。
相手の攻撃は見切りと残像、ダッシュで避けつつ、隙を見つけよう。リタさんが引き付けてる間にじわじわと斬りつけて。リタさんの合図でUC発動し、捨て身の一撃を入れつつ、格物致知を使って目潰ししてやる。
「本を大事に扱わなかった罰、身をもって知るといいよ!唱え、彼岸花!!」


リタ・キャバリエーレ
前回に引き続き、葎さん(f01013)と一緒に

本の悪魔、なんて名乗る癖に本に手を出すなんて…
許せないわ

葎さん、私が隙を作るから任せるわよ、とばかりに踏み込んで
周りの本などに被害がなるべく出ないように位置取りには留意しつつ
【見切り】【怪力】【フェイント】【オーラ防御】などを生かしつつなるべく多くの攻撃(uc)を相手に当て動きや技を封じてみせるわ

ついでに尻尾も一つ二つへし折っておきたいところだけれど!

葎さん!今よ!




 先に猟兵達と戦い、二階へと消えて行った書の悪魔ダンタリオン。一階の読書スペースに残ったリタと葎は、猟書家が再びここへ戻ってくるのを待ち構えていた。仲間を信じる彼女達は、傷付いた敵がたまらずここへと逃げ戻ることを確信していたのだ。
「本の悪魔、なんて名乗る癖に本に手を出すなんて……。許せないわ」
 呟くリタは拳をぎゅうっと握り締め、二階へと続く階段を見つめる。すると、誘われたかのように書の悪魔がふわり階段を降りてきた。
「ああ、まだこちらにもいらっしゃるのですか。猟兵の皆様は、思ったよりしつこいのですわね」
 穏やかな表情と裏腹に、その言葉には棘がある。姿を見ればあちらこちらが傷付き血が滲んでいて、最早この猟書家に余裕などはないことが見て取れた。だから、二人の猟兵は頷き合ってすぐさま戦いを仕掛けようと動き出す。
「えー、下半身本なの? それなのに本を大事にしないとか」
 挑発的な声を発するのは葎だ。腰の妖刀『彼岸花之葬』をすらりと抜けば、鮮やかな赤の刀身が光を反射する。空を切るよう翻すのを見たダンタリオンも警戒強め尻尾を揺らす、けれど葎の方は変わらぬ明るい笑顔で言葉を続けて。
「ガサツはよくないなー! よーし、じゃあ君のしっぽをガサツに扱うことにしよう!」
 瞬間、駆け出したのはリタの方だった。
(「葎さん、私が隙を作るから任せるわよ」)
 言葉にはしない、踏み込む姿を見せればそれだけで伝わると信じているから。軽やかなステップで敵の背後を取ったリタは、その場でターンすると共に書の悪魔の胴体へと蹴りを繰り出した。
「こんなダンスはいがが?」
 踊るような動きとは反して、その一撃は鋭く重い。息を詰まらせ踏みとどまるダンタリオンに、今度は葎が尻尾狙って斬りつける。
「くっ……せっかく実現した物語を壊すばかりか、私をこんなにも傷つけるなんて……」
 猟書家が憎らし気に言葉を紡ぐ。その感情に呼応するように、振り上げた尻尾は大きくなり――瞬間、その黒き尾をリタが掴んだ。
「葎さん! 今よ!」
 声と共に、オラトリオの娘が掴んだ尻尾へと膝蹴りを当てる。周囲に響くは、骨の砕ける音。たまらず悲鳴を上げ仰け反る書の悪魔へと、赤い刃が迫って。
「本を大事に扱わなかった罰、身をもって知るといいよ! 唱え、彼岸花!!」
 凛と張り上げる葎の声、応えて輝く彼女の瞳。その光がダンタリオンの目を灼くと同時に、敵の体には幾筋もの斬撃が刻まれる。手負いの猟書家では、最早猟兵達に勝つことも逃げることもできない――鮮やかな連携の手応え感じて、二人は思わず視線を交わして微笑み合うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

呉羽・伊織
【花守】1階
元気もやる気も何なら腹も一杯そーで何よりで!
ともあれ、後の予定の邪魔は――んでもって学生達の本分の邪魔は許すまい!

学生達には書と共に避難頼みつつ、比較的広い場所も聞いておき、敵を其方に押し込むように攻勢を
…ってお前はそういう方向(美食手帖)にもホントちゃっかりしてんな!
ああもう――そんじゃ俺にも一つ、オススメの本を見繕って待っててくれ!
君らの気持ちは代わって思い切りぶつけてくるから
と、明るく背を押して

その傍ら先制で敵にUC仕掛け
闇で目潰しや虹の塗り潰しを
毒で麻痺させ逃げ隠れして回れぬよう牽制を
早業で重ね打ち攻勢担う

ああ、とんだ悪女にゃお別れを
涙の雨は降らせまい
明るい笑顔を取り戻そう


千家・菊里
【花守】1階
さてさて、お菓子のお陰で鋭気も十分
後は楽しいお茶会の為にも、腹ごなしにもう一仕事と参りましょう

学生さん達はどうか大切な本と共に、後方へ避難を
あ、魔法の美食手帖の様な書を見つけたら、後で是非見せてくださいね
なんて敢えて笑い掛けて、怒りばかりに囚われぬようフォロー

伊織が先行する間に、俺は霊符舞わせて結界術張り巡らせ、此方や書への被害封じを
竜巻の気配あれば九尾扇をひらり――重ねて闇属性の妖気込め扇ぎ、七色打ち消す様に

基本は護りを担いつつも、学生さんや書が遠退き、伊織の牽制で隙生じれば、ここぞとばかりにUCを敵へ

良からぬ書は焚き上げてしまいましょうね
魔の暗雲を晴らし、明るい日常を再び此処に




 男二人の前に佇むは、傷付き息も絶え絶えといった様子の書の悪魔。そのダメージの大きさを見れば、戦いの終わりが近いことも感じられて――菊里は笑いながら、自身の唇をなぞった。
「さてさて、お菓子のお陰で鋭気も十分」
 ぽん、と腹に手を添えれば、満足げな表情浮かべて。そんな腐れ縁の男に思わず表情崩しながらも、伊織は袖の下へと手を潜り込ませた。
「元気もやる気も何なら腹も一杯そーで何よりで!」
 軽口たたくヤドリガミの彼だが、その懐では忍ばせた飴玉が音を立てる。この後の予定――学生達と交わした約束の邪魔はさせまいと、思う伊織だって弾む心が表情に出ている。それがわかっているから、菊里も霊符を手に取りながら言葉を紡ぐのだ。
「後は楽しいお茶会の為にも、腹ごなしにもう一仕事と参りましょう」
「んでもって学生達の本分の邪魔は許すまい!」
 声を継いで、伊織が放つは無数の暗器『風切』。それは図書館の影に溶けるように中空を翔けて、未だ先のダメージに苦しむダンタリオンへと降り注ぎ――その瞳に闇を、手足に麻痺を、身体に毒を巡らせていく。
 先制の攻撃を仕掛ける内に、菊里は霊符舞わせて周囲へ結界術を施していく。戦う菊里と伊織はもちろん、護るべき学生達も、そして周囲の本達も傷付けぬように。
「あ、魔法の美食手帖の様な書を見つけたら、後で是非見せてくださいね」
「……ってお前はそういう方向にもホントちゃっかりしてんな!」
 結界術をぽかんと眺める学生達へ、片目瞑って声掛ける。そんな菊里に思わず呆れた声上げた伊織だが、その手はひらりと中空を泳いで数増やした暗器を操っている。
「ああもう――そんじゃ俺にも一つ、オススメの本を見繕って待っててくれ!」
 告げる言葉は、二人とも楽しげに。しかし戦う背中が語る意味に、学生達は気付く。
 ――君らの気持ちは代わって思い切りぶつけてくるから。
 彼らが怒りばかりに囚われぬよう気遣う二人は、頼もしくて。だから学生達は次々に頷くと、本を抱えて退避していく。
「はいっ! 必ず本をお持ちしますので……よろしくお願いします!」
 その声が、今度は二人の背中を押す。並び立てば猟書家は眉間に皺寄せ男達を見つめて、不快感も露わに口を開く。
「ああ、全く私の計画が台無しですわ。お二人とも今すぐおうちへお帰りくださいませ!」
 そうして大きく手を揮えば、生まれる虹色の竜巻。それは見る間に大きくなって、二人も周囲も巻き込もうとするけれど。菊里の九尾扇が妖気の風で仰ぎ、伊織の暗器が闇で飲み込めば、その力は削がれていく。
「そんなっ……!」
 狼狽えるダンタリオンに、間髪を入れず襲い掛かるは幾つもの狐火。妖狐の男が放つそれは、彼の性質と裏腹に熱く非情で――その熱に灼かれ、猟書家が悲鳴を上げる。
「良からぬ書は焚き上げてしまいましょうね」
「ああ、とんだ悪女にゃお別れを」
 魔の暗雲を晴らし、明るい日常を再び此処に。
 涙の雨は降らせまい、明るい笑顔を取り戻そう。
 その想いは、二人だけのものではない。此度の戦場へ赴いた猟兵達も、そして居合わせた学生達もきっと同じように――。
 やがてその炎が消えた時、残ったのは悪魔が潜んだ書の焼け焦げた一頁だけだった。
 ――猟書家、書の悪魔ダンタリオンは、骸の海へと還ったのだ。
 二人の男が笑顔を交わせば、退避していた学生達からわっと歓声が沸き起こる。彼らの上げる感謝の声は、力を貸してくれた全ての猟兵達へ向けられたものだった。

 飴降る部屋と、迷宮大図書館。二つの場所の平和を取り戻した猟兵達の戦功は、学園内で語られることになるだろう。本を愛する学生達の口伝、その物語はきっと図書館の蔵書にも負けぬ冒険譚として伝えられる――傍らには、色とりどりの飴をそっと添えて。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月12日


挿絵イラスト