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夏めく箱庭

#アックス&ウィザーズ #戦後

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#戦後


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●夏めく箱庭
 耳に届く、波のさざめき。
 燦々と照りつける、真夏のひかり。
 海の向こうには何もなかった。
 白い砂浜の先に広がるそれは空を映し、どこまで青く輝いていた。
 見上げればふわふわとした雲が呑気に空を泳いでいる。
 果てがないようにさえ思える空と海の眩しさに目を細め振り返れば。
 そこに存在するのは未開の地。大海に存在する無人の島。
 鳥の歌声に耳を澄ます――汗滲む肌に風が心地よく吹き付けた。


「とあるフェアリーが、ユーベルコードで自慢のフェアリーランドを作ったんだって」
 今回、浮世・綾華(千日紅・f01194)が案内するのはそのフェアリーランドなのだという。
「そのフェアリー……シュシュちゃんって言う女の子なんだケドも――その子がそこで無人島生活にチャレンジしてくれって」
 言っている意味が分からないかもしれないが、俺も分からん。
 なんて冗談めかしながらも、綾華は何処か楽し気に意図や詳細を説明し始めた。
 そのフェアリーランドを一言で説明するなら、真夏の無人島。
 島の内へと進んでいけば、きっとたくさんの不思議に出会える。食べると不思議な効果があらわれる果実や、見たこともない小さな生物。遺跡のような場所があるかもしれないし、打ち上げられた難破船を見つけたなら、その中を探索するのだってきっと楽しい。筏を作って海へ出て釣りをするのもいいし、海に潜って魚を捕ったって構わない。
「兎に角こう、色々出来る――が、ひとつ条件があるんだってさ」
 そのフェアリーランドに持ち込める道具はひとりひとつまで。どこかの世界で、『無人島にひとつ持っていくとしたら?』なんて問いがあるかもしれないが、そんなイメージだ。シュシュの想いとしては、冒険初心者にひと夏の冒険を体験してほしい、という意味合いで創造した場所らしい。これはそのデモのようなものということで。
「冒険慣れした人たちにはこれくらいが丁度いいだろうって。そんで、三日間くらいその場所で無事過ごしてくれたら、その後にはちょっとしたご褒美をくれるらしいよ」
 そんなわけで、もし良かったら楽しんで来て。そう言って男は、手のひらのグリモアを輝かせた。


紗綾形
 紗綾形(さやがた)と申します。
 今回は一足早い『夏の思い出づくり』をご案内します。

●概要
【1章:冒険】
 無人島のようなフェアリーランドで楽しく三日間ほど過ごして下さい。フェアリーランドなので不思議なものや幻想的なものが色々とあります。また、現実では有り得ないことでも、出来ると思ってチャレンジすればできたりします。どうかお好きに楽しんでください!(持ち込む道具はひとつというルールですが、あくまでフレーバーなので、カウントされるかどうか……みたいなものはあまり悩まずお好きにして頂いて大丈夫です)

 このフェアリーランドの主のシュシュですが、無人島に普通にいます。なるべく探索を楽しんでもらいたいので島について色々質問するのはNGですが、声を掛ければ一緒に探索したり遊んでくれたりするでしょう。(16才ほどの青い髪と青い瞳をした女の子です。翅は透明で、お茶目な性格をしています)

【2章:日常】
 星空の下でのんびり+シュシュからのご褒美。詳細は断章をご確認ください。こちらのみの参加もどうぞ。(綾華が話し相手になることも可能です。ひとりでは寂しいという方がいましたらご利用ください)

●リプレイ
 一人当たり600~800文字程度の描写量になると思います。
 出来ることは多いですが、プレイングに記載する場面は1つか2つに絞って頂けた方が濃い内容になるかと思います。

●プレイング受付期間
 お手数をおかけしますが、プレイング受付期間や当シナリオに関する情報はタグ・MSページをご確認ください。

●採用数
 無理のない範囲での執筆となりますので参加人数が10人以上となった場合、問題がなくても採用を見送らせて頂くか、状況次第ですが再送のお願いをさせて頂く場合がございます。(※先着順ではありません)

 それでは、よろしくお願いします!
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第1章 冒険 『荒野のキャンプ』

POW   :    寝ずの番で警戒する

SPD   :    キャンプ技術や美味な料理で環境を整える

WIZ   :    キャンプ場所を探す、敵を誘う細工をする

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

都槻・綾
★◎

シュシュさんへ御礼
招待へ感謝

読書三昧と迷ったのだけれど
実際に見て触れる探検は
やはり胸の弾む想いがするから

滞在の日々あれこれを記して
私だけの冒険の書を作成するのですよ、と
楽しげに笑い
持参した帳面とペンの、筆記具一式を掲げて見せる

睡眠も食事も必要としない身なけど
珍しい景色や植生、或いは見慣れた草花や果樹でも
気候や地質によって違ってくるでしょうから
是非とも味わいたい

己の背丈よりも高い葉叢を
かき分けて歩くのも、わくわく
出逢った動物さん達へ
果実の在処を尋ねてみるのも素敵ね

不寝の特権は
宝石めいた星々や
明けの移り変わる空の色を
存分に堪能できることかしら

心の赴くに任せ
綴りに綴った一冊は
きっと私の宝物になる




 絵の具を零したような、真っ青の下であなたに告げるの。
「招いて下さって、ありがとうねぇ」
 見上げるそれより、少しだけ淡く。けれども優しい彩をした青磁を細める男、都槻・綾(絲遊・f01786)に、シュシュもまた、嬉しそうに頷いて見せた。
 読書三昧とも迷った。柔らかな紙を捲り、空想の――或いは現実と寄り添うような物語の世界に触れるのも有意義だ。けれどやはり、実際に見て触れる探検は胸の弾む想いがすると知っているから。
 ねぇ、それは何に使うの? 長い指が包む帳面を、背後からひょこりと覗き込み問う。そんなシュシュの視線に合わせるように持ち上げた帳面と、取り出したペン。筆記用具一式を掲げて見せた。
「滞在の日々あれこれを記して、私だけの冒険の書を作成するのですよ」
 楽しげに語る綾に、妖精の眸は小さな宝石のように輝く。
「! とっても素敵っ。ねぇ、綾」
 ――冒険の書ができたら、わたしにも見せてくれる?
 くるりと移動して、綾の目の前。こてりと首を傾げる愛らしい姿に、綾はうふふと微笑んで見せた。
「――勿論。あなたに、一番に」
「ありがとうっ、綾。ふふ、楽しみっ」
 自分の作った世界を冒険してくれて、それを書にしてくれる。綾が語ったそれは、シュシュにとっては夢のようなお話だったから。
「わたしも、綾にとっておきのお返しがしたいわ」
 だから、三日目を楽しみにしていてね。
 星を見上げる時のような気持ちで――約束。
 絡ませるには難しいけれど、小さく小指を触れ合わせた。
 花鳥紋が施された、香炉。本来青磁の器であった男は、睡眠も食事も必要としない身なけど。珍しい景色や植生、或いは見慣れた草花や果樹でも、気候や地質――何よりこの不思議な空間ではきっと違ってくるはずだから、是非とも味わいたいと思う。
 決して低くはない綾の背丈よりも高い葉叢を掻き分けて歩くのも、わくわくと踊るような気持ちになって、抜けた先で道が分からなくなってしまっても。
「ねぇ、果実の在処はご存知?」
 栗鼠のような姿に翅を生やした子へと声を掛けてみれば、珍しいひとの姿にはしゃいだように空に跳ねて見せて。それならあっち、それからこっちよなんて。
「これは――どんぐり?」
 栗鼠の案内した場所に生るのは、帽子を被ったような果実。
 なれど人齧りしてみれば、それは林檎のような甘酸っぱさと、爽やかな味わいのもの。
「初めて頂くお味」
 ありがとう。栗鼠に礼を告げて、赤めいてきた空を映せば、そろそろ休む場所を探した方がいいかしら、と。
 栗鼠は余程綾がが気に入ったのか、休憩場所にまで案内してくれた。空が、海が一等良く見える、大樹の幹の上。
「移り変わる景色、」
 素敵ね。赤く侵されたような海に落ちる、一滴の煌き。見上げれば瞬いたのは、今日一番の星。不寝の特権は、宝石めいた星々や明けの移り変わる空の色を存分に堪能できることかしら。今日、そんなことを改めて実感して、ゆるりと流れる時を過ごす。そう、こうして心の赴くに任せ、綴りに綴った一冊は。
 綾の――そしてきっと少女の宝物になる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユノ・フィリーゼ
【★/◎】

目覚めたばかりの不思議な島
わくわく心が弾むのはきっとみんなも同じよね
何が眠っているのか今から楽しみだわ…!

無人島といえば、…やっぱり海かしら
この本にもそう書いてあるし
家の倉庫から持ってきた無人島マニュアル
…随分古びてるけど、大丈夫。よね。きっと平気

そ、それに海辺に行けば
見たことない海鳥たちとも会えるか、も…
……!?

視界を横切った虹色の彩鳥達
煌めく光の軌跡を空へ描き、大海原に姿は消え

こんな美しい鳥がいるだなんて、まるで夢みたい…!
―あの子達、海に、いったわ
今から行けば間に合うはず!

素敵な出会いの予感に
白い砂浜を風と共にかけてゆく

嗚呼、ねぇ、素敵な虹の君方
どうか私も輪にいれてくださいな!




 目覚めたばかりの不思議な島。
 見渡せば自然に溢れるその景色に――空の青に。
 わくわく心が弾む……のはきっとみんなも同じ。
(「何が眠っているか、今から楽しみだわ……!」)
 無人島と言えば、思い浮かべるのはやはり海。
 何故ってそれは、ユノ・フィリーゼ(碧霄・f01409)が手にする本に書いてるから。
 その本は、ユノが家の倉庫から持ってきた無人島マニュアルだった。
「……随分と古びてるけど、大丈夫。よね」
 きっと平気。そう言い聞かせるように呟く。
 無人島でひとり過ごす。その事実はユノの心を少しだけ不安にさせる。あくまで冒険初心者の為の世界。身に危険が及ぶようなもの危ないものはないと聞いている――けれど、胸に落ちる仄かな寂しさは何なのだろう。
 ユノは首を振った。呑まれてはだめだと、振り切るように脚を進める。海辺に行けば、きっと。きっとこの寂しさも消えるはずと信じて。
 潮風と波の音を頼りに進んだ。この先にでは、見たことのない海鳥たちと会えるかもしれない、そんな気持ちの弾むような空想を浮かべた、その時だった。
「……!?」
 視界を遮るのは、虹色の彩。
 風? ――否。一瞬にして心奪われた、それの正体は。
 うつくしい虹の彩を持つ、彩鳥の群れ。
 それは冴えわたる青の景色の中、煌く光の軌跡を描いて大海原へと消え。
 唖然と立ち尽くすユノの前に、ふわりと舞ったのは。
「――わぁ、きれい」
 思わず零して、その一片を手に駆け出す。だって、だって。
「こんなに美しい鳥がいるだなんて、まるで夢みたい……!」
 あの子たちは海へと向かった。それなら、きっと。
 今から向かえば間に合うはず――。
 天蒼を映した髪は、解けるように風と戯れて――ユノは風を切る。
 素敵な出会いの予感を感じながら、白い砂浜へと足を踏み入れたならば。
 歌う鳥たちに、無邪気に挨拶するように白い腕を振って。嗚呼。
「ねぇ、素敵な虹の君方」
 空を駆ける。
 跳ねて、跳ねて、青を駆けあがって、翼のように手を広げる。
「どうか私も、輪に入れてくださいな!」
 青の中、うつくしく駆けるあなたたちと友達になりたい。
 きれいと思ったのは、どちらだったのだろう。
 虹の鳥たちが、優しく鳴いた気がした。
 彼らもまた、ユノをみて同じように――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加

無人島の三日間のサバイバルか。夏もそろそろ本格的になってきたし、家族3人で懐かしい野外生活をしてみるのもいい。戦場を駆け回る生活してるので、ここら辺で原点に返ってみるのも大事だ。

持ち込むのは鍋。子供達が採ってきた魚などの海鮮物を料理するよ。竈さえ作ればなんだってできる。家族でディナーを楽しんだ後焚火を絶やさないようにして暫く語り合えば、心地よい眠気も来る。明日はアタシも魚を採るのを手伝うよ。ああ、前はこうして焚火を囲んだねえ。確かにアタシ達家族の戦いの原点はこれだった。こういう日々こそ、大切にしないとねえ。


真宮・奏
【真宮家】で参加

フェアリーランドで無人島生活提供ですか。シュシュさん、もしかして気が合うかも。今はいろんな世界の戦場を駆け回っていますが、前は家族3人で野営する生活でした。改めて、前の事を振り返るのもいいかもですね。

魚とか海鮮物を一杯採るので、持ち込むのは肩に吊るして運べる籠にします。海に潜って魚を採るのは兄さんがやってくれるので、私は浜辺で貝とか蟹を採りますね!!母さん、大漁です~!!ああ、焚火を囲んで夜ご飯はやっぱり楽しい。折角なので一杯お話しましょう!!ああ、野営の日々こそ私達家族の原点なんですね。

明日は母さんも採取手伝ってくれるんですか?なら明日に備えて沢山寝ておかなきゃ!!


神城・瞬
【真宮家】で参加

今は戦いの日々ですけど、前は家族で野営でしたよね。色んな戦場で色んな経験を家族でしましたが、今一度、原点を振り返るのもいいですよね。

持ち込む道具はサバイバルナイフ。予め母さんに渡しておきますね。奏、海に潜って魚を採るのは僕がやりますので(上半身の服を脱いで海に潜る)採れましたよ。家族3人分なので少し多めに採りました。

焚火を囲んで家族3人で食べるご飯は極上の味。この味、忘れかけていたような。思い出せて良かった。そうだ、この何気ない日々を護ることが僕の戦う意義だ。改めて、確信します。

母さんも加わるとなると、明日も忙しくなりますね。しっかり寝ておかないと。おやすみなさい。




 無人島での三日間のサバイバル。
 青い空から照り付ける真夏の日差しに眩しそうに目を細めたのは真宮・響(赫灼の炎・f00434)。手に持つのは大きな石。それらを運んで、手際よく組み立てながら思う。
 この世界でなくとも、夏もそろそろ本格的になってきたところだった。家族三人で懐かしい野外生活をまたしてみるのもいい。最近は戦場を駆けまわる生活をしてきたから、原点に立ち返るのもいいだろう、と。
「――よし」
 組み立てた石は、中々立派な竈へと姿を変える。無人島にひとつだけ持ってくるもの――響が選んだのは鍋だった。竈は作ればいい。そうすれば、鍋さえあればなんだって出来るのだ。完成したころには、空も赤く色づき始めていた。もうすぐ、あの子たちも戻ってくるだろうか――。

 響が懸命に石で竈を作っていた頃、彼女の子である真宮・奏(絢爛の星・f03210)と神城・瞬(清光の月・f06558)は食料の調達をすべく、浜辺へと足を運んでいた。
「フェアリーランドで無人島生活の提供なんて、シュシュさん、もしかして気が合うかも」
「今は戦いの日々ですけど、前は家族で野営でしたよね」
 瞬が返せば、そうでした、と昔を懐かしむように奏が笑う。そんな奏の表情に、瞬も同じ思いを懐いていたのだろう。こくりと頷き、微かに笑い合った。
 戦いばかりの日々を嫌うわけではないけれど。それでも、あの頃。楽しかったと思えることが確かにあって。だからこそ、この機会を思い切り楽しめればいいと思うのだ。
「奏、海に潜って魚を採るのは僕がやりますので」
 早速、と上着だけ脱いで、海に潜り漁を始める瞬。この島の海は大層うつくしかった。透んだ水は青を映し輝いて、見たこともない魚たちが群れを成して泳いでいる。その美しさに、目を奪われるようだったけれど。生きる為に、と感謝を捧げながら――。
 海中での漁は兄に任せ、奏もまた、浜辺で食べられる生物を探し始めた。岩場を探せば、張り付く貝を見つけることが出来たし、何処かでみたことがあるような横歩きの蟹も発見。無人島にもってきたひとつ、肩に吊るして運べる籠に、それらをほいっと放っていけば、なかなか大漁と大満足だった。
 夕陽の海辺をゆっくりと歩き、そして母の待つ場所へ。
「母さん、大漁です~!!」
「採れましたよ、家族三人分なので少し多めに採りました」
 無事帰ってきた二人におかえりと手を振り迎える。辺りは少し暗くなり始めていたものの、起こしておいた火のおかげで灯りに困ることはないだろう。大漁の籠をみればすごいじゃないかと褒める響に、奏は得意げに笑い、瞬も表情には出ずとも、何処か満更でもない様子にも思えた。
 瞬が持ってきたサバイバルナイフを使って、響が自慢の腕を振るう。出来上がった料理たちはどれも美味しそうな香りを漂わせ食欲をそそった。
 竹の器に盛られた新鮮な海鮮料理を前に、家族そろっていただきますを。
 兄が採った魚も、自分で採ってきた貝も美味しくて、奏は頬を抑えた。焚火を囲んで夜ご飯はやっぱり楽しい。
  そんな奏の様子を横目に、瞬も食事を口へと運ぶ。口の中で解ける味――嗚呼、でもそれよりも。焚火を囲んで家族三人で食べるからこその、極上の味。想いは同じなのだ。そして。
「――この味、忘れかけていたような」
 思い出せて良かった。そう心から思う。
 だって、そうだ。この何気ない日々を護ることが僕の戦う意義――そう、改めて確信して。
「ああ、前はこうして焚火を囲んだねえ」
 確かにアタシ達家族の戦いの原点はこれだった。
 だからこそ、こういった日々を大切にしなければ、と。響もまた、同じように。
 ゆったりと食事を楽しんだ後も、焚火を絶やすことはない。揺れる炎に過去を懐かしみながら、様々な話に花咲かせていく。軈て心地良い眠気に襲われる頃。
「明日はアタシも魚を採るのを手伝うよ」
「明日は母さんも採取手伝ってくれるんですか?」
 響の申し出に、奏は嬉しそうに返した。それならば、明日に備えて沢山寝ておこう。
「お母さんも加わるとなると、明日も忙しくなりますね」
 しっかり寝て置こうと、瞬もまた。
 此処には誰かが命を落とすような危険は存在しない。戦いの日々の合間の――けれど、何より大切で、尊い時間。だから、三人寄り添って――この時だけは、穏やかにおやすみなさい。
 そうして、おはようと交わし合える明日を、力いっぱい楽しむために。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

檪・朱希
★◎
凄く、素敵な場所……。
私が持ってくるとしたら、このタロットカードだから……雪、燿、一緒に楽しもう?
『おうよ!』
『あぁ、構わない』

『あ、この島で一番綺麗な物を持ってきた人が勝ちとか、どうだ?』
そんな燿の発案で、二日くらいかけて島を探索して、それぞれ見つけたものをシュシュに見てもらおうかな。

私は、一見すると透明な木の実。でも、高く投げると、弾けて花火みたいに弾けて輝くんだ。
雪は、魚みたいな……? 空にも浮いていって、見ていると吸い込まれそうな感じになる。
燿は、空を飛ぶ生き物を捕まえようとしてて、あ、落ちた……
『何をやってるんだか』
『いててて……』

そんなこんなで、三日目まで楽しい日々を過ごそう。




 青く広い空を見上げれば黒に混じった赤が風に揺れる。
 ひとつに纏めた髪の下、吹き抜ける風が首元を通り抜ける感覚が心地良い。
 少し離れた場所で果物を取ろうとする二人の友人を見て、檪・朱希(旋律の歌い手・f23468)はくすりと微笑んだ。
 無人島にひとつだけ持っていくとしたら? その問いが提示された時も、迷うことはなかった。自分が持っていくなら、このタロットカード。櫟に蝶が集まる絵が描かれたそのカードと、朱希は常に共に在ったから。手放すなんて――離れるなんて選択肢は頭にない。勿論、守護霊たちも気持ちは同じ。朱希が共に楽しもうと提案すれば、燿は明るく『おうよ!』と答えたし、雪も『あぁ、構わない』なんて満更でもない表情で返すのだった。
 二人を連れて来たことを、間違いと思うことも有り得なかった。何故って今だって、ほら。視線の先で戯れる彼らを見れば、不安なんてひとつだって感じない。ただ穏やかに、この素敵な場所をただ楽しもうと思えるのだ。
「……私が見つけたものは、これだよ」
 手のひらに乗せた木の実は、水晶のように透明だった。
 雪と燿はぱちぱちと瞬き、朱希の手のひらのものを見つめる。
 ――三人はこの島に着いた時、とある勝負をはじめた。
『この島で一番綺麗な物を持ってきた人が勝ちとか、どうだ?』
 燿がそんなふうに提案したからだ。雪は呆れつつも、朱希が笑えばしょうがないと頷く。綺麗な物。雪は不思議な魚を見つけたらしい。それを放てば空を泳ぎ、青に溶け、吸い込まれていく。
『――消えてしまった』
『なんだったんだ? すげー!』
「……うん、でも、綺麗だったね。燿のは……?」
『それ聞く? 朱希も見てたろ?』
 頭をガシガシと掻いた理由。それは昨日のことだ。
 空飛ぶ龍のような生き物を捕まえようとして、木から落ちた。勿論成果はなし。
「でも、きれいな龍だったね」
『だろ!? 掴まえてたら、絶対勝ててたのになー!』
『よく言う』
 二人の話を聞いて、朱希はくすりと笑う。それから実はこの実には秘密があってね、と。でもそれを見て貰いたい人が、もうひとりいて。呼び出したこの世界の主の前で、透明な木の実を高く放てば。
「わぁ! きれいっ」
 嬉しそうに笑い飛び回るシュシュに、三人も満足そうに視線を合わせて。
 もう一度、と投げた先の空には、ひかりの花が眩く弾けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セト・ボールドウィン
★◎

そんじゃ、俺はいつもの鞄だけ持ってくかな
いろいろなくても何とかなるよね、たぶん

あっ、見たことない樹が生えてる
へー…結構でかいじゃん
見上げると、いろんな色の花が咲いてるみたい

(うずうず)
よしっ、登ってみよ!

――結構高くまで来ちゃった
太い枝に腰掛けてひとやすみ
風が気持ちいい

おやつ入れてなかったかな。鞄を探りつつ
ふと視界の端で花が動いた気がして
何となく手で触れてみる

って…うわっ!?
花が開くように姿を変えて…小鳥だったんだ

ごめんね、驚かせちゃって
俺も驚いたけど
この樹の花、ぜんぶお前の仲間たちなの?
ふーん…そっか。へへ、すげーな

ねえ
今度はびっくりさせたりしないから
も少しここに居させてよ。いーい?




 青く茂る木々の中、柔らかな色の髪がふわふわと跳ねる。
 木漏れ日がきらきらと注ぐ、とてもきれいな森。
 そこはセト・ボールドウィン(木洩れ陽の下で・f16751)が過ごしてきた場所とは違うけれど、それでも森の中を歩くことには自信があって。
 ひとりの冒険。なんだか一人前になれたような気がして、ちょっぴり誇らしい気持ちで歩幅が広くなった。
 たったひとつのアイテムは、いつも持っている鞄。どんな便利なものよりきっと使い慣れたそれがいい。たぶん何とかなる。そんな気持ちで道なき道を歩む。少年セトの小さな大冒険のはじまりだ。
「あっ」
 足を止めたのは、見たことのない樹が生えていたから。幹は太くて、少し白っぽい。
「へー……結構でかいじゃん」
 見上げると、いろんな色の花が咲いているのが目に入る。ひとつの樹なのに、花は一色じゃないんだ……! こんな樹、はじめて。青空から降る陽射しが、きらきらとそれらを輝かせてより一層魅力的にみせていた。
「よしっ、登ってみよ!」
 うずうずを抑える事なんてできないと。樹の瘤や枝に足を掛けながらすいすい。木登りは朝飯前とばかりに、登り続ければ――。
「わあ」
 結構高いところまで来ちゃった。
 少し太めの幹の上に腰を下ろして、一休み。
 遠くに海が見えて、青い空がすぐ傍にある。吹き抜ける風が気持ちよくて、知らない場所なのになんだかとても落ち着く心地がした。
「――……んーっ」
 両手を延ばして伸びをして。なんだか少しお腹が空いてきたことに気づく。
(「おやつ、いれてなかったかな」)
 鞄に手を掛けて中を確かめていると、ふと視界の端で花が動いた気がして。
「あれ?」
 手を延ばし、ちょんと触れてみれば――。
「うわっ!?」
 セトが触れた鮮やかな青をした花は、内から咲きこぼれるように姿を変化させて、やがて花びらのような翼をぱたぱたと羽搏かせた。
「うわー、小鳥だったんだ!」
 瞬き、まずは驚かせてごめんねと謝る。自分も驚いたけれど、彼らの住処にお邪魔したのは自分だったから。セトの優しい言葉を受けて、鳥は気にしていないように周りをくるくる。すると、どうしたどうしたと、辺りに咲いていた花たちも、次々と姿を変え。
「この樹の花、ぜんぶお前の仲間たちなの?」
 ちゅんと小さく鳴いた青は、そうだよ。なんて言っている気がして、周りの彼らを、改めて見渡す。
「ふーん……そっか。へへ、すげーな」
 不思議な花の、不思議で綺麗な鳥たちと一緒に。
「ねえ」
 もう少しだけこの場所にいたいと、そう思ったから。
 今度はびっくりさせたりしないから、ね。
「も少しここに居させてよ。いーい?」
 尋ねれば、傍ら。心地良く。響く、重なる。鳥花の唄――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

砂羽風・きよ
★◎

何を持って行く?と聞かれたら屋台1択だろ!
なんてたって、俺の屋台にはなんでも入ってるからな!

…って思ってたら裏切りやがったなちくしょー!
くそ、マジで屋台しかねーじゃねぇか

それを押しながら
あー、腹減った喉乾いた

おぉ!あんな場所に旨そうな実が生ってんじゃん!
結構大きいし食いでありそうだな
うおおい!今とっただろ?!

おい、そこの猿!俺が先に目を付けたんだぞ!
うるせーうるせー!そこで待ってろ!今行くからな!
おいおい、逃げんじゃねー!

こうして猿との戦いが始まる

魚獲る時に手掴みなんてむりむり
木の枝で釣り竿作ってやりゃ釣れやすいぞ
ふはは、なんだなんだ悔しいのか?

猿と絆を深めてく
ウキ?!

きよは猿語を習得した




 ガラガラ、ゴトゴト、ガタンッ……。
「あーー! また止まった! くそっ、道のことまで考えてなかった!!」
 青空の下、無人島の森の中。屋台をゴロゴロと引く男がいた。
 砂羽風・きよし(タコヤキカレー・f21482)は、頭が良くない。
 だから良い考えを思いついた! とばかりに、無人島へ持って行けるひとつのものを、『何でも揃っている自慢の屋台』――にしたのだけれど。
「くそっ、マジで屋台しかねーじゃねぇか!」
 俺、道具も揃えてたよな!? 何でだ!? うだうだうだうだ文句を零す。この男、きっとどこぞやの猫型ロボットの道具をひとつ貰えるなら? なんて質問に、真っ先にポケットと答えるに違いない。けれど、そんなのはズルなのだ。御茶目なシュシュは、この男なら許してくれる――むしろ、困難な状況でこそミラクルを起こすような気がして。こっそりと屋台以外の道具を没収していたのだった。加えてこの悪路である。無人島の地面はきよが普段生活している場所と違い、整備されているわけではないのだ。ちょっとした窪みに嵌ってしまった屋台を、うおおと唸りながら救出した。
「はぁ……ちくしょー、腹減ったー! 喉乾いたー!」
 屋台に常設された椅子を下ろすと、うんしょと腰を掛ける。
 照りつける日差しが眩しい。汗がきらきら光る。
 なんで俺、こんなことしてるんだろう――きよが我に返りそうになったその時だった。見上げた視界の隅に映る、黄色い果実。
「バナナ!! しかも普通のよりでけぇ!」
 お腹を押さえて見上げるバナナっぽい果実。
 きよは一目散に駆け、木を猿のように素早く登りそのバナナっぽいやつを手にした。
「うおおおー! バナナ、とったど」
 とったどー! 叫ぼうとしたきよの手にあったはずの黄色のやつが消えている。近くの枝の上にいたのは――。
「サル!? うおおい、それは俺のだ!!」
 俺が先に目を付けたんだ!! と猿が持つバナーナを指さすきよ。
「ウキ? ウキー!! ウキウキウキー! ウッキー!!」
(なに? ちがう!! おれのなわばり! おれのもの!)
「うるせーうるせー!! そこで待ってろ! 今行くかんな!」
「ウキキッ、ウッキー!」
(やだねっ、ばいばい!)
「おいおい、逃げるんじゃねー!」
 こうして猿ときよの戦いははじまった。
 バッナーナを奪い返すことができなかったきよは、仕方なく釣りで魚を獲ることにしたが。恨めしそうに見つめる猿は対抗するようにバシャンと川に入る。
「魚獲る時に手掴みなんてむりむり!」
 この魚が羨ましいのか? 悔しいのか? とめちゃくちゃ煽るきよに、猿は思い切り水をかける。
「うわああ、つめてーつめてー! やめろ!! やめてください!!!」
 何とか水かけ攻撃をやめて貰ったきよは、木の枝で釣竿を作って釣り方を教えてあげることにした。
 そうして猿との絆を深め――三日目にを迎えた頃には……。
「ウキウキ! ウッキー!」
(あいぼう! いこうぜ!)
「ウキ! ウキッキキーー!」
(猿吉! 食料はあっちか?)
 ――きよは猿語を習得したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベル・ルヴェール
まどか(f18469)◎★

僕は木の枝と糸の代わりに蔦のようなお菓子で釣り竿を作ろう。
ここがフェアリーランド。僕は初めてだ。
実は釣りも初めてなんだ。砂漠に魚はいないからな。

引いているのか?僕にも分からないな。
糸が動くと聞いた事があるけどまどかの糸は動いているか?
分からない。試しに引き上げてみるか?


まどかの持つ竿を一緒に持って引っ張る。
まどか!すごいな!
これは魚か?風船?それとも泡か?
ラムネを食べて膨らんだみたいだ。
ここは僕の住む砂漠よりも変な生き物が沢山いるな。
食べれるか不安だがまどかの釣り上げた魚だ。
今晩のおかずにしよう。
この魚は甘そうだ。美味しいご飯なら任せろ!


旭・まどか
ベル(f18504)◎★

無人島でサバイバル、か
沢山の自然に囲まれて過ごすのは構わないけれど
不便さが勝ると考え物だな

辺りを見渡し、浜に刺さったクッキーを手に取る
アイシングされた其は水につけても平気そう
細く伸ばした飴の先にラムネを括り付けたら
即席釣り竿の出来上がり

へぇ、てっきり旅をしているからお手の物かと
お互い、ビギナーズラックを祈ろうか

普通の釣りだったら生餌は勿論
ワームを触る事すら嫌だけれど此処は妖精島
そうだね。どんな魚が釣れるのか楽しみだ

僅かに沈む先端に
これ、引いてるの?
慣れないが故小さな反応には気付けない
君の手を借りて釣り上げた魚は――うん、よくわからないな

そうだね
下ろすのと味見は任せたよ




 壺に触れれば辿り着いた場所は、青い海の上、ぽつんと存在する未開の土地。
 無人島でサバイバル。沢山の自然に囲まれて過ごすのは構わないけれど、不便さが勝ると考えものだ。少年、旭・まどか(MementoMori・f18469)は甘いピンクサファイアの眸を眩しそうに細める。太陽を直接見ては危ない。そう言葉を掛けたのは共にこの場を訪れたベル・ルヴェール(灼熱の衣・f18504)だった。分かっているよ。そう返す言葉の先の男は、さらさらな白い砂を手のひらで掬っていた。海に来たことが無いわけではないけれど、まじまじと見れば、砂漠の砂より粒子が細かいのだなと。立ち上がれば手のひらから零れ落ちた砂がさらさらと風に流れていった。
 まどかが辺りを見渡せば、浜に刺さる何かを見つけた。近づいてみても良く分からない、何やら愛らしい見た目をしている。手に取った方が早いとすっと引き抜けばそれはアイシングされたクッキーで。
「こんな場所にクッキーがあるなんて驚いた」
「まどか? 何か見つけたか?」
「クッキー」
 近寄って来たベルに、手にしたクッキーを見せる。水につけても平気そうなんて試して見せれば、ベルの双眸は梅雨の若葉のように煌いて。
「すごいな! この辺りのものはお菓子で出来ているのか」
 自分も何か探してみよう、と辺りを探してみれば、木の枝と糸の代わりに、蔦のようなお菓子を見つけることが出来た。何で出来ているのだろう……緑で半透明な――グミのような。
「僕はこれで釣り竿を作る」
 早速と釣り竿作りに取り掛かるベルを横目に、自分もと。手にしたのは細く伸ばした飴。その先にラムネを括りつけたら――まどかも即席の釣り竿を完成させた。準備が出来たなら、のんびりと釣りができそうなスポットを探して、ふたり岩場へと腰掛ける。
「フェアリーランドも僕は初めてだが、実は釣りも初めてなんだ」
「――へぇ、てっきり旅をしているからお手の物かと」
「砂漠に魚はいないからな」
「ふぅん。それじゃあ、お互いビギナーズラックを祈ろうか」
 お菓子で出来た糸を垂らして、のんびりと魚を待つ。
 普通の釣りならば生餌は勿論、ワームを触る事すら嫌だけれど、此処は妖精島。
 まどかが嫌うそれらに触れる必要はなく、エサさえも菓子で済ませることができた。
 どんな魚が釣れるのだろう。楽し気な様子をみせるベルの傍ら、まどかも分かりづらくもどこか柔らかな雰囲気を纏って。
「……ねぇ。これ、引いてるの」
 くい、とベルの袖を引く。見れば僅かに先端が沈んでいるように見えたが、これが魚が掛かっているかどうか、釣りの経験がないふたりには分からずに。
「引いているのか? 僕にも分からないな」
 けれど。糸が動くと聞いたことがある。まどかのそれは動いているかと尋ね、ふたりじぃと糸を見つめるけれど。
「……分からない」
「分からないな。試しに引き上げてみるか」
 手伝ってもいいだろうかとベルが尋ねれば、頷くまどかの竿を、二人で手にした。
 少しずつ、ゆっくりと引いて行けば……軈て海面に映る影。瞬き、視線が勝ち合えばそれが合図。思いっきり竿を引いて――。
 ぱしゃんと空を裂くように浮かび上がった魚はなかなか大きい。まぁるくて、ぷっくりとした姿をしていて……竿を持つまどかの代わりに糸の先端を持ったベルが、その魚をまどかの方へと向ける。
「まどか! すごいな! これは魚か? 風船? それとも泡か?」
 ラムネを食べて膨らんだみたいだ。
 子供のようにはしゃぐベルの代わりに、まどかは冷静に返すのだ。
 君の手を借りて釣り上げた魚は――。
「――うん、よくわからないな」
 良く分からないけれど、でも。心に何かが灯るような感覚がして。
「ここは僕の住む砂漠よりも変な生き物が沢山いるな」
 近くで拾ったバケツに海水を入れ魚を放れば、ぷくぷくと膨らんだりしぼんだり。そんな様子をみて、ベルは楽しそうに笑っていた。
「食べられるかは不安だが、まどかの釣り上げた魚だ」
 まどかが。そんなふうに言うベルに、まどかは。
「ふたりで釣り上げた魚でしょ」
「! そうだな。ふたりで釣った魚だ! 今晩のおかずにしよう」
 お菓子で釣ったぷくぷくの魚。とても甘そうなそれを、どう料理しようかとベルは考える。
「美味しいご飯なら任せろ!」
「そうだね。下ろすのと味見は任せたよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

飛砂・煉月
【月陽】


今日のキミは飾らないキミ
強いて言うならオレの妹かな、へへ
はいはい、ハクはオレ達のお兄ちゃんだよ

あっは、羊毛ってメリーらしいや
無人島でベッドはちょー大切だかんね
ぽふぽふ、よく出来ましたの撫でひとつ
…そんなオレは其のベッドを守るテントを持ってきたよ
テントの中、ふわふわさせちゃお!

お、珍しい果物だね
食べれそうだけど一応オレが先に食べて
確認してからメリーとハクに渡そっと
あ、美味し
でも何か違和感? ん?
声、そう声だ
自分の声なのに自分じゃないみたい
はは、ハクは一寸雄々しく
メリーは一段と可愛らしくなったね

ヘンテコ果物達を三人で少しずつ摘んでは
その度に笑い零れて
あっは、ホント三日じゃ全然足りなさそ!


メリル・チェコット
【月陽】


ひつじは暑いのが苦手だから弟妹はお留守番
『お姉ちゃん』のわたしも今回はおやすみ
今はお兄ちゃんの『妹』!
ふふ、勿論ハクくんもお兄ちゃん

まずは寝る場所の確保!
じゃーん、メリルは羊毛を持ってきたよ!
これを地面に敷くだけで、ふわふわベッドができあがり!
……
サ、サバイバル用品とかの方がよかったかなあ…
あ、テント、賢い!
すごい、あわせ技で寝心地が最強だよお兄ちゃんっ

食べ物も調達しなきゃだね
見て見て、食べられそうな果物がいっぱい!
これとかどうだろ?
……おいしい!
あれ、声が高くなってる?
お兄ちゃんも、ハクくんまで……ふふ、変なの!

他にも色々摘んでいこう
こんなに楽しい島、三日間じゃ遊び足りないかも!




 ぽかぽか太陽の下、うんと背伸びをする。
 今日はメリル・チェコット(ひだまりメリー・f14836)の大切な、弟や妹はお留守番。だってひつじは暑いのが苦手なのだ。弟や妹がいない。つまり『お姉ちゃん』のメリルも、ちょこっとだけお休み。今日はお兄ちゃんの『妹』! と、傍らの青年をにこにこと見やる。
 愛らしい笑顔を向けてくるお日さまみたいな子に自然と表情が綻ぶ。今日のキミは、飾らないキミ。そう考えるとなんだか嬉しい気持ちになる。飾らない君。何者でもない――否。しいて言うなら。
「オレの妹かな、へへ」
 煉月が照れくさそうに笑えば、傍らの白銀がぐるりとふたりの周りを飛んで見せた。うつくしい紅玉を目に、ふたりは顔を合わせ笑い合う。
「はいはい、ハクはオレ達のお兄ちゃんだよ」
 な、メリー。こてりと問えば、勿論とメリルも頷いて。
「ふふ、勿論。煉月くんも、ハクくんもメリルの大切なお兄ちゃんだよ」
 真っすぐな言葉に僅かだけ瞬いて、でもやはりただ、嬉しそうに笑うのだ。
「まずは寝る場所の確保!」
 のんびりと休むことのできる場所の確保。それはとても大切なことだ。
「じゃーん、メリルは羊毛を持ってきたよ!」
 無人島にひとつだけ持ってくるとしたら? その問いに、どうしようかと悩みながらもメリルが持ってきたものは羊毛だった。
「これを地面に敷くだけで、ふわふわベッドができあがり!」
 ふわふわもふもふのそれをみて、煉月はふはとふきだす。
「あっは、羊毛ってメリーらしいや」
 口元を抑えて笑う煉月に、あれ? 何かずれてたかな? そうちょっぴり不安そうに覗き込むメリル。
「サ、サバイバル用品とかの方がよかったかなあ……」
 今は引っ込めている羊耳が、しょもんと垂れ下がっているような錯覚。
 いや、ごめんと首を振って、大丈夫だよと兄は答えた。
「無人島でベッドはちょー大切だかんね」
 ぽふぽふ、よく出来ました。優しくひだまりの髪を撫でれば、メリルはきゅと目を瞑って。
「ほら、そんなオレは其のベッドを守るテントを持ってきたからさ」
 これとメリーの羊毛が合わさったら、最強なんだと示すように畳んであるテントをどーんと見せて。
「あ、テント、賢い!」
「テントの中、ふわふわさせちゃお!」
「すごい、あわせ技で寝心地が最強だよ」
 流石お兄ちゃんっ。すっかり笑顔が戻った妹に、兄は安心した様子で頷く。ふわふわベッドで寝床は完璧! 後必要なのは――。
「食べ物も調達しなきゃだね」
 食料探しにれっつごー!
 鳥の鳴き声を耳に森の中を進んでいけば、星のかたちをした果物を見つける。
「見て見てっ、お星さまっ。かわいい!」
「星が生ってる。珍しいかたちの果物だね」
「これ、食べられるかな?」
 メリルの問いに、多分大丈夫そうだけれど、と。
 それでも何かがあったら大変。兄は妹が口にする前にそれをひとつもいでぱくり。
「あ、美味し」
 どうやら毒はないようだ。甘くて、さっぱりしていて、とてもジューシーなそれは何個だって食べられそう。でも、自分の声に不思議な違和感を覚えて。
 煉月が口にしたことで、メリルもそれをぱくりと口にする。
「……おいしい!」
 そして気づく。自分の声が、いつもと違うこと。
「あれ、声が高くなってる?」
「声、そう声だ」
 自分の声なのに、自分じゃないみたいな声がして。メリー! メリル、妹ー! と叫んでみる。それらはやはりいつもの煉月の声とは違っていて、傍らの竜もそれを口にしたらしく、いつもより雄々しい鳴き声となっていた。
「お兄ちゃん、声っ。ハクくんまで……ふふ、変なの!」
 お腹を抱えて笑うメリルの声は、何時もよりふわりと愛らしいもので。勿論いつも愛らしい声なのだけれど。
「メリーは一段と可愛らしくなったね」
 煉月の言葉に、メリルは口元を抑えて、少し照れたように頬を紅くさせるのだった。
 ヘンテコ果物達を三人で少しずつ摘んではその度に笑い零れて、まだまだ探検ははじまったばかりなのに。
「こんなに楽しい島、三日間じゃ遊び足りないかも!」
「あっは、ホント、三日じゃ全然足りなさそ!」
 これからどんなに楽しいことが待っているんだろうと胸が弾んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オズ・ケストナー
【咲日花】★◎

わたしはシュネーがいっしょだからだいじょうぶっ
それに、クロバもいっしょだもの

コクテイともツムギともいっしょにあそびたいから
はんそくじゃないない

みてみて
みたことない花がさいてる

ツンとつつけば泡がぽぽぽ

わあっ
しゃぼん玉みたい
中は種かなあ

風に乗って流れて

おいかけてみよっ
クロバの手を取り

すごい、花もくだものもいっぱいだよっ
あの実、花のかたちしてる
ちょっとさくらににてるね

うーん
コクテイの背を借りるけど少し届かない
シュネー、おねがいっ

いただきますっ
おいしいとほころんだら
あれ
クロバの周りに花が咲く
すぐ消えたけど
わたしもさいてた?

クロバ、もういっかいっ

ふふ、わかった
クロバがうれしいとさくんだね


華折・黒羽
【咲日花】★◎

成程、オズさんはシュネーを
であれば俺も、身ひとつとしましょうか
俺の身には、黒帝と紬が居ますから
……というのは反則になるでしょうか?

花、
泡、
オズさんの言葉に単語のみが返って
視線は雄弁に上下左右
鼻先でぱちんと弾けた泡に獣耳がぴんと立つ
落ちてくる種を受け止めようと伸ばした手が取られて
種はそのまま大地に帰っていった

果物、ですか
良いにおいがします
桜に…

両手で受け取ればオズさんとシュネーと黒帝に礼を言って
頂きます
齧ればふわりと瑞々しい甘さが広がる
美味しい、と綻ぶ心地

花、ですか?
…あ、今オズさんの周りにも咲きました

言われもう一齧り
…なんだか、恥ずかしいですね
食べる度咲く花を自分で見て縮こむ黒猫




 何を手に発とうかという時に、オズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)は、小さな少女を抱えて微笑む。
「わたしはシュネーがいっしょだからだいじょうぶっ」
 それに。シュネーだけじゃないんだよ、と弾むように口にするのだ。
 ――クロバもいっしょだもの。
 だいすきなクロバがいっしょだから、きっとそれだけで何だって楽しくなる。
 オズはそう確信していて、そんな真っすぐなオズの言葉に、華折・黒羽(掬折・f10471)は少し照れくさそうに。けれど、そのあたたかな言葉に、嬉しさを隠せずに頷く。
「オズさんはシュネーを」
 であれば俺も、身ひとつとしましょうか。
 ふむと考えるような仕草をしてから、答えを導く黒羽。
「俺の身には、黒帝と紬が居ますから」
 ……というのは反則になるでしょうか?
 どうなんだろう。首を傾げる黒羽に、オズはふふと笑って答える。
「はんそくじゃないない」
 だって、コクテイとも、ツムギともいっしょにあそびたいから。
 そう思う気持ちが反則だなんて思えないから。
 言葉を聞けば黒羽も安心した様子で頷く。
 そうと決まれば、ほら、一緒に。
 手を差し伸べるオズの手に、ふわりと重なるやわらかな手。
 そうして触れた壺の先、広がる景色。
 ふたりは大きく空気を吸い込んだ。
「クロバ、きれいっ」
「……自然豊かな場所ですね」
「みてみて、みたことない花がさいてる」
「――花」
 てててと移動したオズがしゃがみ込んだ先、咲いていたふたりの眸に似た空色の花。黒羽が近づこうとする前に、オズがそれをツンとつつけば。
「わあっ、しゃぼん玉みたい」
「泡」
「中は種かなあ」
 楽しそうに笑うオズの言葉に、単語のみをぽつぽつと返す黒羽。その言葉とは裏腹に、視線は雄弁に上下左右へと移ろって――軈て鼻先でぱちん。弾けた泡に耳がぴんと立てば、だいじょうぶ? とオズが駆け寄る前に、落ちてくる種を反射的に受け止めようとした手は宙を掻き、種はそのまま大地へと帰っていった。
 ふわふわと、風に乗って流れていくしゃぼん玉。おいかけてみようと手を取られるままに、ふたり軽やかに駆けていく。
「すごい、花もくだものもいっぱいだよっ」
 森の中には美しい花々や鮮やかな果物で豊かに彩られ、目を奪われるほどだった。
「果物、ですか。良いにおいがします」
 食いしん坊な黒猫は、そわりとお腹を抑えて。
「あの実、花のかたちしてる」
 あっちこっちと移り変わる興味に、黒羽の視線もいったりきたり。
 そのうちオズが見上げた先で見つけたのは、ふっくらと愛らしい薄紅が五つ連なった花のような実。
「ちょっとさくらににてるね」
「桜に……」
 確かに似ている。ふわりと落ちる春の温度。食べられるかな? 採ってみよう。そうして黒帝の背を借りたオズがえいと手を延ばすけれど。
「シュネー、おねがいっ」
 オズの手に乗ったシュネーが、薄紅の実を優しく摘み取った。
 三人へとしっかり礼を告げ、摘んだ実を早速いただきます。
「おいしい」
 そう二人が綻べば、ふわふわ。
「あれ」
 黒羽の周りに花が咲いたのに気づいて、オズが瞬く。
「クロバ、はなっ」
 それはすぐに消えてしまったけれど、自分の周りにも咲いていただろうか、と周りをきょろきょろ。
「花、ですか?」
 こくりと頷き、もう一粒ぱくり。するとオズの周りにまたふわふわと。
「……あ、今オズさんの周りにも咲きました」
「わあっ。クロバ、クロバ、もういっかいっ」
 オズに強請られるまま、もう一齧り。すればまた咲く花に、オズは閃いたと笑って。
「ふふ、わかった」
 クロバがうれしいと、さくんだね。
「……なんだか、恥ずかしいですね」
 食べる度咲く花を見て縮こむ黒猫に、オズは嬉しそうに笑う。
 だって、だってね。
 クロバがうれしいと、わたしもうれしいからっ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

終夜・嵐吾

【雅嵐】

持込む物…せーちゃんでええのでは?
なんでもどうにかしそうな箱じゃし
炎は狐火でぱっぱっとできるしの~
…特に、ない?

さて何をせねばいかんかの~
まずは寝床の確保…島のどこにどんなもんがあるか知るのも大事そうじゃ
なんか小さい生物もおるらしいし、不思議な効果の果実もあるらしい
耳と尻尾がはえるのもあるかもしれんよ
もふもふさんもおるかもしれんな
では食えるものを探しつつ探検じゃ!

大収穫じゃ!って
ホイップ!?も、もちこんだのはそれか…!
わしはそのまま、そのま、ああああ~~~~
くっ…!耳も尻尾もまだじゃよ!

まだ甘…七味を持ち込むべきじゃったか
そじゃね、魚釣りしよか
(…まさか、魚にもホイップはせんよな…)


筧・清史郎

【雅嵐】

無人島生活か
初めての経験なので心躍るな
ふむ、何か一つだけ…
火や水は二人いれば事足りるし
狩りも身ひとつで十分だしな
ならば…やはりこれか(一人頷きつつ

ああ、まずはお散歩だな(るんるん
島を巡り、果物等集めつつ
寝床や釣りができそうな場所を探そう

!耳と尻尾、だと
それは見つけなければ(きり
小さい生物さん…もふもふだろうか(そわ

果物も沢山集まったな、食してみようか
やはり甘い物は必要だ
なので俺はホイップクリームを沢山持参した(微笑み
らんらんもさぁ、遠慮せず(激甘盛りもり~
ふふ、甘い物は良いな
ところで…耳尻尾は生えただろうか?(わくそわ

この後は釣りでもしようか、らんらん
にこにこと楽し気に友へと笑み返し




「無人島生活か。初めての経験なので心躍るな」
 説明を聞けば、筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)はにこにこと胸を弾ませる。傍らの終夜・嵐吾(灰青・f05366)も、キャンプなどをすることはあるが無人島というのはまた違った楽しさがあるだろうと頷いた。
 妖精の話では、無人島に持っていけるものはひとつだけらしい。ふたりはどうしようかと顔を見合わせ考える。
「ふむ、何か一つだけ……」
「持ち込む物――せーちゃんでええのでは?」
「俺か?」
 真剣に紡いだ嵐吾に清史郎は瞬くも。友に、自分がいれば十分と言われているようで素直に嬉しいと感じている様子だった。「なんでもどうにかできそうな箱じゃし」そんな言葉にも「嗚呼、任せてくれ」なんて少しだけ得意げだ。
「炎は狐火でぱぱっとできるしの~」
 だから、清史郎が箱――アイテムのひとつとしてカウントされないのならば、特にはないのだ。何かを持ち込めば確かに少しは過ごしやすくなるのかもしれない。でも無人島にはいろんなものがあると聞いたし、多少の不便もまた、醍醐味というものだ。
 そこについては、清史郎としても考えは同じ。火は嵐吾がどうにかしてくれるし、水は自分が。狩りだって、身一つあればなんてことない。
 そう考えた時、それでも、持っていくものがあるとするならば――。
「……やはり、これか」
「せーちゃん?」
(「せーちゃんは何を準備してるんじゃろ……」)
 この時の嵐吾は気づかなかった。だってまさか、無人島にまで――否。
 よく考えれば分かったはずなのだ。でも、この時の嵐吾また、無人島での生活を楽しみにしていたから気づくことが出来なかった。(気づいたところで何かが出来たかは――)

「さて何をせねばいかんかの~」
 無人島は晴天。晴れ渡る青空を見上げれば、心地良い夏の風に、嵐吾の尾はふわりと揺れる。
 何をしようかと考えて、まず浮かんだのは寝床の確保。それから島の何処にどんなものがあるのか、把握しておくのも大事そうだと考えて。
「ゆるり歩いて、色々見てまわるかの」
「ああ、まずはお散歩だな」
 嵐吾の提案に、淡々とした口調を僅かに弾ませて答える。楽しそうな清史郎の様子に目を細め、では食えるのものを探しながら、早速探検に出ようと。ふたり、島の内部へと進んでいく。
「なんか小さい生物もおるらしいし、不思議な効果の果実もあるらしい」
 耳と尻尾がはえるのもあるかもしれんよ。
 そんな素敵なもしもに、清史郎はぴくと反応し。
「! 耳と尻尾、だと」
 動物やもふもふラブな清史郎にとって魅力的すぎる言葉。絶対に見つけたいと表情ときりりとさせて、見たこともない果物を見つければ回収しつつ、ずんずんと歩いて行く。
「小さい生物さん……もふもふだろうか」
 ぽつり呟く清史郎に「きっともふもふもおるよ」嵐吾はそう優しく返した。

「果物も沢山集まったな。食してみようか」
「大収穫じゃ!」
 ゆっくりと休めそうな場所も確保して、大量の果物をゲット! 目の前に摘まれた果物たちを前に、ふたりのお腹もぐうと鳴る。さて、食べてみよう。そう果物を手に――したかと思えば。
「やはり甘いものは必要だ。なので俺はホイップクリームを沢山持参した」
 ホイップクリームを持参したのではない。たくさん、持参した。
「って、ホイップ!? も、もちこんだのはそれか……!」
 何かと思っていた、ふっくらと膨らんだ鞄の中。それってもしかして――全部? 今は考えないようにしよう。そうしよう。自分の果物にホイップをくるくるとトッピングする清史郎を「せーちゃん……ああ、そんなに……」と見つめる嵐吾。
「わ、わしはそのまま、」
「らんらんも、さぁ」
「そのま、」
「遠慮せず」
「ああああ~~~~」
 回避する前に、くるくると盛られていくホイップに成す術もなく。
「ふふ、甘い物は良いな」
 疲れも取れるというもの。幸せそうに果物を頬張る清史郎。流石に食べ慣れているのか、あんなにホイップを盛ったにも関わらず口元にクリームが付く気配はまったくない。綺麗なものだ。
 そして激甘ホイップ盛りもりにされてしまったそれを、ええいと口に含む嵐吾。美味しいけど! 美味しいけど! そのままも食べたかったし、乗せるなら少しでいい。
「ところで……耳尻尾は生えただろうか」
「くっ……! 耳も尻尾もまだじゃよ!」
 わくそわと尋ねてくる清史郎に、やけくそのように答える。
 そうしてお腹を満たし、次はどうしようかと清史郎が口を開く。
「この後は釣りでもしようか、らんらん」
 まだ口に残る甘さに、七味でも持ち込むべきじゃったか。などと考えていた嵐吾はふうと息を吐き頷いて。
「そじゃね、魚釣りしよか」
 にこにこと楽し気に笑む表情に。まさか、魚にもホイップしたりせんよな……そうふるり震える嵐吾なのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱赫七・カムイ
⛩神櫻


美しい島だね、サヨ
カグラだけ連れてきた

カグラは色んな事を知っている
人手が多いと助かる事もあるよ
カグラはやる気でいる
見てくれ
さばいばるという感じの出で立ちをしている
サヨは私と二人きりが良かった?
可愛い
真っ赤な頬をつつく

サヨは何を持ってきたの?
頼もしいね

出発しようか
カグラが色んなものを収集するのを後目に島を探検

木の実から虹が生まれ
水が空を舞う?
不思議で楽しい島だ
そして鬱蒼とした森に桜咲く
はしゃぐ巫女が可愛い

此処で眠るのだね
火?私は焔神では無い故…
カグラが素早く火をつけ色んな物体を焼く
其れは
食べられない!

明日はもっと楽しい
3日後には私達もすっかり島に馴染み
狩りもこなせるようになっているだろう


誘名・櫻宵
🌸神櫻


青い空!青い海
素敵な無人島でかぁいい神様とのアバンチュール…なのに
何故カグラが一緒なの!?
むうう…確かに一人で生き残るって格好してるしおじいちゃんの知恵袋が……いやでも!へ?…2人きりがってそ、そんなこと!
図星
真っ赤な顔をぷいと背け

私は屠桜
何でも斬るわ

茂みをなぎ払いながら進む
木の実があるわ
カラフルで毒々しくてかぁいい
摘んで夜ご飯にしましょ
弾けた木の実から虹が!
見て!綺麗な風景!
水場も…浮かんでるわ?!
カムイこっちよ
不思議な光景にはしゃぎまわる

此処を野営地とする
カムイ
火を起こすの

カグラ!?虫の串焼きなんて嫌よ
助けてカムイ!

なんて
過ごす一時も楽しくて堪らない
ふふ
そんな野生的になれるかしら




「青い空! 青い海!」
「美しい島だね、サヨ」
 見上げる青も、広がる青も絶景で、吹き抜ける風が心地良い涼しさを誘う。鳥の鳴き声が耳に響く――そんな素敵な無人島で、かぁいい私の神様、朱赫七・カムイ(約倖ノ赫・f30062)とのアバンチュール……そう思っていたのに。誘名・櫻宵(爛漫咲櫻・f02768)は両手をきゅっと握り、わなわなと震えた。
「何故カグラが一緒なの!?」
 視線の先に居たのは、桜竜神「イザナイカグラ」の荒御魂が宿る人形。何かを持ち込むならば、他は考えられなかったというふうにカムイはカグラをみた。
「カグラは色んな事を知っている」
 それに人手が多いと助かる事もあるよ。ほら、みてくれ。
「さばいばるという感じの出で立ちをしている」
 もう完全にやる気満々でいる。
 カムイが言う通り、カグラは少しカジュアルめのサバゲー風の恰好をして、キャップをくいと被り直していた。一体どこでこんな服を用意してきたのだろう。(妖精のシュシュが、希望者には服装を貸し出ししていたと知ったのは冒険が終わる頃の事)
「むうう…確かに一人で生き残るって格好してるしおじいちゃんの知恵袋が……」
 カムイとカグラを交互にみる。いやでも! やはり何か違う気がする! と否定しようとしたその時だった。
「――サヨは私と二人きりが良かった?」
 ふわりと微笑み、カムイが尋ねるものだから。
「へ? ……2人きりがってそ、そんなこと!」
 本当は図星。だけれど、素直になることがどうしてか出来なくて。
 真っ赤な顔をぷいと背けて見せる櫻宵が、あんまりにも愛らしいものだから。
「――可愛い」
 カムイは真っ赤な頬を、ついとつついた。
「そういえば、サヨは何を持ってきたの?」
「……そう、そうだわ。私が持ってきたのは屠桜」
 話題が変わったことにほっと一安心しつつ、愛用の太刀を光らせる。
「頼もしいね」
 それじゃあ、出発しようか。カムイの言葉に頷いて、道なき道へと踏み出す。傍らにいたはずのカグラだが、辺りでせっせと何かを収集してから、ふたりの後を追いかけた。
 茂みをなぎ払うのは櫻宵の役目。ひかりのような太刀筋は目の前を一気に切り開き、視界を明るくした。
「木の実があるわ。カラフルで毒々しくて、かぁいい」
 摘んで夜ご飯にしましょ。水玉模様の木の実を片手にウィンクをする櫻宵。この島の木の実は殆どのものが食べられると聞いていたから、毒などの心配はない。ただ――。
「ひゃ!」
 弾けた木の実から、空に向かって架かるのは七色の虹。
 そう、この島の木の実には不思議な効果を持つものが数多存在する。
「見て! 綺麗な風景――あら? 水場も……浮かんでるわ?!」
「水が、空を舞う?」
 空に浮かぶのは雲でも大陸でもない。透明な水が、何もない場所に浮かび、そこからさらさらと流れ落ちている。息をするのも忘れるほどの絶景に、ふたりは眸を煌かせて。
「カムイ、こっちよ」
 ほら、と華奢な手が、神の手を引いた。
 不思議で楽しい島だ。歩けば、鬱蒼とした森に芽吹く美しい桜。
 何よりはしゃぐ巫女が可愛くて、カムイは柔らかく綻ぶのだった。

 すっかりと日も落ちた頃。野営地に決めた場所でふたり。
「此処で眠るのだね」
「カムイ、火を起こすの」
「火? 私は焔神では無い故……」
 視線を向ければ任せろと言わんばかりに、素早く火を点けて見せるカグラ。そうして集めてきた様々なものを串に刺し、焼き始めた。
「それは果物? こっちは魚かしら」
「果物もいい香りがするね――あれ、其れは」
「カグラ!? 虫の串焼きなんて嫌よ」
 焼きあがったと言わんばかりに差し出されるのは何かの幼虫、と思わしきものの串焼き。きっと淡泊で美味しいはずだと、ぐいと櫻宵に差し出し詰め寄って。
「助けてカムイ!」
「其れは! 食べられない!」
 虫は無事回避した。
 嗚呼、こんなふうに騒ぎながら過ごすひと時も、楽しくて堪らない。
「明日はきっと、もっと楽しい」
 三日後には私たちもすっかり島に馴染み、狩りもこなせるようになっているだろう。そんなふうに微笑むカムイに、櫻宵もまたその甘い彩を細めて。
「ふふ、そんな野性的になれるかしら」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メル・パペット
メイ(f31143)とです。

◎★

メルはメルのパペットを持ち込みます。
やみくもに動くとまいごになるので目印をつけながらあるきます。
メイと羊さんとメルたちの秘密基地を作るのですから。
秘密基地作りにメイの相棒は必須ですね

メイ。葉っぱが光っています。
メルは光る葉っぱをみた事がありません。
メイは光る葉っぱをごぞんじですか?

こちらの石は甘くていいにおいがします。
いいにおいの石は秘密基地に持ち込みたいです。
メルのパペットは木の実をみつけました
羊さんやりました。パペット仲間です。
メイは何か見つけましたか?
しゅわしゅわの水にメルは驚きます。
甘いにおいの石と水があればメルたちにこわいものはないのです。


盟・アスタロト
メル(f27227)と一緒に

◎★

サバイバルですね
メイが持ってきたのは相棒のシャベルです

めー、と肩の上で鳴いた羊さんパペットは
アイテムではなく…友達、です
メイは一体だれに言い訳をしているのでしょう?

ふむふむ、さすがはメルです
しばらく歩いたら穴を掘って
わかるようにしておきます
秘密基地にぴったりの場所、きっと見つけましょう
えいえい、おー

メイも光る葉っぱは初めてです
つんつん、触ると光が瞬きました

羊さんも木の実を見つけてきました
パペットどうし、おそろいですね

メイはこれです
地中から水が湧いてきたのです
甘くてしゅわしゅわ
おかしなジュースも
拾った瓶に詰めていきましょう

あっ
拓けた場所が見えてきました!




「サバイバルですね」
 きらきら輝く太陽の下、ツギハギの少女たちは天を仰ぐ。
 壺の中に広がるフェアリーランド。それはふたりの見たこともない世界。
 無人島で生活をするなら、まずは無人島の地形を知ることが大切。探検をしながら落ち着ける場所を見つける。盟・アスタロト(灰色の墓守・f31143)とメル・パペット(heart・f27227)。ふたりの意志は重なり、早速と森の中を歩いて行く。
 手頃な木の棒を見つけたならそれを手に、度々地面に印を描いていくメル。
「それは何かの目印ですか?」
「やみくもに動くだけでは迷子になるので、目印をつけながらあるくのです」
「ふむふむ、さすがはメルです」
 めー、と肩の上で鳴いた羊のパペットも、何処か感心した様子。そういえば、と盟の手元を見るメル。
「メイが持ってきたのは、やっぱりシャベルでしたか」
「はい、相棒のシャベルです――羊さんパペットは、アイテムではなく……友達、です」
 一体誰に言い訳をしているのかなんて思う盟だったけれど、メルも、この場所にふたりを誘った妖精も。そんなことを咎めたりはしない。むしろ、嬉しいとすら思うのだ。
「秘密基地づくりに、メイの相棒は必須ですね」
 だってその羊さんは、メルが贈ったものだったから。それを友達と言って傍らに置いてくれることを、嬉しく思わないメルではないから――。
「秘密基地にぴったりの場所、きっと見つけましょう」
 えいえい、おー! と拳をつきあげる盟に合わせて、メルとメルのパペットたちも拳を天へ。そう、メルが持ち込んだのはメルのパペット。いつも一緒、ということもあるけれど、盟とまた会えるなら。パペットと一緒という選択肢以外は考えられなかったのだ。
 暫く歩いたなら、盟もメルに習って穴を掘って目印をつくる。木の枝で描いた印では、消えてしまうこともあるかもしれないけれど。穴ならばそう簡単に消えることはないだろうと。それでも少しの手間はかかるから、使い分けて進んでいけばいいのだ。
「メイ。葉っぱが光っています」
 道すがら、見つけた大樹に芽吹く葉が淡く輝いていた。
 メルは光る葉っぱを見たのはこれがはじめてだという。そうして盟に、そちらはどうかと尋ねた。
「メイも光る葉っぱは初めてです」
「そうでしたか。きらきらしていますね」
「夜になったら、もっときらきらして見えるかもしれません」
「それなら、また来ましょう」
「メル、名案です! これだけきらきらしていれば、夜でも見失うことはないですね」
 メイがつつけば、光が瞬く。
 夜の景色を思いながら進めば、今度は甘く香る石。
「こちらの石は甘くていいにおいがします」
 傍らではメルのパペットが、木の実を見つけ――盟のパペットもてててと大きな木の実を運んできて、ふたり楽しそうにそれを見せ合っている。
「パペットどうし、おそろいですね」
「メイは何か見つけましたか?」
 すっかり仲良しのパペット同士の傍ら、しゃこしゃこと不思議な色をした地面を掘り進めていた盟。
「メイはこれです」
 どうやらそこで何かを見つけたようで。
「地中から水が湧いてきたのです」
 ふたり掬って口にしてみれば、甘くてしゅわしゅわ。
 メルはしゅわしゅわの水に驚いて、ぱちぱちと瞬いた。
 おかしなジュースも拾った瓶に詰めていこう。甘いにおいのする石と、水があればこわいものはない。たくさんの戦利品を手にもう少しだけ歩いて行こう――そうすれば、ほら。
「あっ、拓けた場所が見えてきました!」
 海が臨める、大樹の麓。さあ、無敵の仲間たちで、秘密基地づくりに挑戦だ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

持ち込む道具は一つとな…
宵、衣類は道具に入るのだろうか…と
念の為《物凄く大きな布》を持ってゆこう
これならばテントにもハンモックにも、そして何も衣類を纏って居らぬとも衣類も作れるゆえに…!

現地につき衣類を着ておれば安堵しつつ宵と島の探索を
無ければ【武器の本分】で呼び出したナイフにて貫頭衣を作り着用

肉の確保は任せて貰おうと海鳥に【武器の本分】ナイフを投げ狩を
その後は見晴らしの良い場所にて【武器の本分】で布地を切りテント、ハンモックを作ってゆこう
宵とスープを作り腹を満たした後は宵とハンモックに横たわり昼の島をゆっくりと楽しめればと思…
…何やら音がしたが、き、気のせいだろう?宵…?


逢坂・宵

ザッフィーロ(f06826)と
ザッフィーロが布もユベコでナイフも準備してくれるそうなので
僕は《キャンプ用鍋》を持っていきましょう
食は生活の基本ですし、鍋があれば調理に困ることもないでしょう

かれとともに島を探索しつつ
ココナッツや食べられそうな根菜類を探し 可能なら狩りをして海鳥など肉も手に入れたいですね
収穫できたらかれのナイフで刻み鍋に入れ、採取した水を蒸留やろ過させて作った飲み水で煮込みます
香りづけには柑橘の葉かレモングラスがあれば
さあ、野菜ココナッツスープの完成です

腹ごしらえの後はかれとのんびりハンモックでくつろぎましょう
ああ、とても心地良……、……
いや木が折れかけてますよザッフィーロ!?




「持ち込む道具は一つとな……」
 ザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)は、ふむと口元を抑えて考える。
 持ち込んで良いものはたったひとつだけ。
 妖精からそれを聞いて、ザッフィーロと逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)もまた、何を持って行こうかと思考を重ねていた。
「宵、衣類は道具に入るのだろうか……」
「衣類ですか、どうなんでしょう」
 何が道具ひとつとカウントされるのだろう。実際、衣服などは道具にはカウントされない。そもそも、道具ひとつというのも大分緩いカウントとなっているのだが、真面目なザッフィーロは至極真剣な様子だった。
「念の為、物凄く大きな布、を持ってゆこう」
 ザッフィーロの意図はこうだ。
 それがあればテントを張ることも出来るし、ハンモックを作ることも出来る。それに何より、万が一の時の為――。
「何も衣類を纏って居らぬとも、衣類も作れる故に……!」
 そしてサバイバルに必要そうな短剣なら、技を使えば手にすることも出来る。名案だろう。眸の銀が、宵を見つめた。
 宵は柔く深宵を細め、それならば自分はと道具を決めたようだ。
「ザッフィーロが布とナイフを準備してくれるなら、僕はキャンプ用鍋を持っていきましょう」
 生きていくためには食は必要不可欠。生活の基本である食を確保するならば、鍋ひとつあればきっと十分だと考えたのだ。
「鍋があれば、調理に困ることもないでしょう」
 そうしてふたりは其々の道具を手に、壺へと触れた。

 光に包まれるような感覚の中、思わず閉じた眸を開けば広がるのは青い青い景色。見上げれば青い空が広がり、地平線には何もない海だけがどこまでも続いている。
 ザッフィーロの視界に映ったのは、きちんと衣服を纏っている星の姿。ぽんと自分のそれも確認するように胸を叩けば、纏う衣服に安堵した様子で一息。
 早速と踏み出す島の内側。宵は辺りを注意深く観察しながら歩いた。そんな中で見つけたのは食べられそうな根菜類、それにどこかで見たことのある木の実――ココナッツ。摘み取ればそれは確かに覚えのある香りがして、一個二個と回収していく。
「海鳥など、肉も手に入れたいですね」
「肉の確保は任せてもらおう」
 宵のリクエストに応えようと生み出し放つのは宝石纏う美しい宝飾短剣。それは空を飛んでいた海鳥を華麗に捕え打ち落とす。
 収穫出来たら、見晴らしの良い場所を見つけ、今夜はその場所で過ごすことにした。
 調理をするのは宵の役目。ザッフィーロから借りたナイフを手に、手際良く収穫物を捌いていく。採取した水を丁寧に蒸留やろ過させて作った飲み水を使い、ぐつぐつと煮込み、最後は香りづけと本格的だ。途中で見つけた柑橘の香りがする葉を入れれば、出来上がり。
 宵が調理をしている間、ザッフィーロは持ち込んでいた布地を切り、こちらもまた手際よくテントやハンモックを作っていった。
 美味しそうな香りがしたところで、出来ましたよ、と声がして。実の殻を器代わりにスープをよそった。
「野菜ココナッツスープですよ」
「――うまいな。栄養もたっぷり取れそうだ」
 しっかりお腹を満たした後は、木洩れ日が光るハンモックでゆるりと楽しもう。隣り合う其れらに、宵が。
「ああ、とても心地良……、……」
 そしてザッフィーロが身を預けたならば――バキりと。
「……何やら音がしたが、き、気のせいだろう? 宵……?」
「いや、木が折れかけてますよザッフィーロ!?」
 ちょっとしたハプニングもまた、きっと無人島生活の醍醐味だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルーシー・ブルーベル


【月光】

無人島ってワクワクね
ゆぇパパはお道具何持ってきたの?
ナイフ?便利そう!
ルーシーはコレよ
スコップ!(ドヤッ

あのね
ルーシー、無人島に行ったらお家を作るの
やってみたかったの!

先ず穴を掘って
大きな木の枝を立てて骨組みを作るわ!
木を…重くて動かない
パ、パパ
手伝って頂ける?
だって2人分の大きさだもの
うん、穴の大きさバッチリ

後は大きな葉を編んで
屋根と壁にするの
あ、丁度良い大きさの葉っぱ見っけ!

間に光るお花を差し込んで…
このお花?
そこに咲いてた
光るキノコもあった
食べてみる?

2人のひみつきち完成!
早速入ろう?
一緒に入れば一杯だけど特別な場所に感じて
ふふ、パパ
色々お手伝いありがとうね

うん、探しにいくわ!


朧・ユェー
【月光】★

そうですね、無人島とは楽しそうです
道具はナイフです
色々便利ですよ。
スコップ?
ドヤァとした顔に可愛らしいとくすりと笑って

穴を掘る??
彼女の行動を不思議そうに眺めていると
彼女の声に慌てて
はい、こうですか?と手伝って
おやおや、こんな大きな木は動かせすのは大変ですよ?
なるほどと何を作るのかわかると
こっそりと穴を大きく掘って
ナイフで木を切り、屋根の葉などを揃えて置いておく

綺麗な屋根のや壁
光る花やキノコ?
それは凄いですね
キノコは食べれるのでしょうか?

おやおや、こらは立派な秘密基地
ここでしたら雨風しのげますね

一緒に入る
素敵な場所をありがとうねぇ
じゃ、次は食ですか
魚や山の幸など…探しましょうね
ふふっ




「無人島ってワクワクね」
「そうですね、楽しそうです」
 少女、ルーシー・ブルーベル(ミオソティス・f11656)の青がわくわくと煌き、男に向けられた。
「ゆぇパパはお道具何持っていくの?」
 無人島に持っていける道具はひとつだけと聞いた。彼はどんなものを持っていくんだろう。幼い眸は期待のような感情を乗せている。
「道具はナイフです」
「ナイフ? 便利そう!」
 はい、色々便利ですよ。きらりと光るそれをちらと見せて朧・ユェー(零月ノ鬼・f06712)は柔和に微笑んだ。貴方は何を持っていくんでしょう。そんな視線に気づいたのか、ルーシーはへへんとそれを両手に抱えてユェーにお披露目。
「ルーシーはコレよ」
 ――スコップ!
 スコップ? そう瞬いたユェーだったけれど。ドヤと得意げに披露する様子があんまり可愛かったものだから。くすと口元を抑え微笑んだ。
 道具をひとつだけ持って触れた壺の先。
 広がる景色にわぁと空を仰ぐ少女が、二つ結びの金を揺らし振り返る。
「風が気持ちぃね」
 はにかむように綻ぶ娘にそうですね、と。揺すられる白銀を耳に掛けながら、ユェーも鏡合わせのように金色を細め。
「あのね。ルーシー、無人島に来たら、お家を作りたかったの」
 やってみたかったの!
 ぐっと握った手には、大きなスコップ。陽射しが適度に注ぐ木の麓。ルーシーはざくざくと穴を掘り始めた。
「穴を掘る??」
 家を作るのに穴を――?
 ユェーはルーシーの行動を不思議そうに眺めていた。
 近くで大きな木の枝を見つけたルーシーはそれを骨組みにしたいと持ち上げようとしたけれど――んん。力いっぱい持ち上げようとしても、小さな少女には動かすことは難しく。
「パ、パパ……」
 手伝って頂ける?
 ぷるぷると震えながら尋ねるルーシーに、ユェーは慌てて駆け寄り、大きな木の枝をよいしょと持ち上げ、こうですかと尋ねるも。
「こんな大きな木を動かすのは大変ですよ?」
「だって、二人分の大きさだもの」
 ルーシーと、パパの。にっこり告げるルーシーになるほどと納得する。
 少女が周辺で葉や花を集めては運んでくる間、ユェーはこっそりと穴を大きく掘ったり、ナイフで木を切ったり、少女が集めた葉などを揃えておく。
「材料も――穴の大きさもバッチリ」
 組み立てた木をはめ込んでいけば、テントの枠組みが完成。そうしたら後は大きな葉を丁寧に編んで、屋根と壁にするのだと説明する。何となく使い道は察していたから、こくりと頷き。今度は二人、壁づくりの作業を開始した。
 編んだ葉を掛けて、止めて。その間には近くで見つけた光る花を指し込んでいく。
「光る花――」
「このお花? そこに咲いてた。光るキノコもあった」
「それは凄いですね」
「――食べてみる?」
 ひょいと差し出すキノコは黄金に輝いていて、ユェーはその色に似た眸をぱちぱち。
「キノコは……食べられるのでしょうか?」
 ぴかぴか光るキノコ。後で焼いて食べてみようかなんて話しながら作業を進めれば、葉っぱと花で出来たあたたかなテントの完成。
「二人のひみつきち、完成!」
「おやおや、これは立派な秘密基地。ここでしたら、雨風しのげますね」
「早速入ろう?」
 入り口は暖簾のようなかたちになっていて、ルーシーが入ろうとすればユェーがそれを持ちあげてエスコート。自然いっぱいのテントの中、ふたり一緒に入れば、中は決して広くはないけれど。それは特別な場所のように感じて。
「素敵な場所をありがとうねぇ」
「ふふ、パパ」
 やわく頭を撫でれば、きゅと結ばれた眸が嬉しそうに和らいだ。
 パパこそ、色々お手伝いありがとうね。
 感謝を交わし合えば、心まであたたかくなっていく心地。
「――じゃ、次は食ですか」
「うん、探しに行くわ」
 魚や山の幸を探そうと提案するユェーに、ルーシーは元気よく頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィズ・フレアイデア
★◎

無人島に一つ持っていくとしたら?
このクーゼに決まっておろう
あたしの大切な魔杖だぞ

という訳で、楽しい冒険タイムだ!
おあつらえ向きの難破船を見つけたぞ!
船といえばお宝だが、お宝には興味ない
あたしは船長室のベッドで寝たいんだ!
地図や羅針盤に囲まれて眠るのだ
夢とロマンに満ち溢れている!そうだろう?

いい感じに朽ちて、水の気が満ちておるな…
水気を払う強さを失くした船とはこんなに儚げなものなのか
邪魔な木材はクーゼで払いながら進み
きっと船長室は奥に…あった!
埃だらけのベッドだが…はは!
なんというか、こう…自由だな!それがよい!
何もかもが楽しいな!




 他の猟兵達たちを次々とフェアリーランドへと送るシュシュが、次に声をかけたのはヴィズ・フレアイデア(棺を創ろう・f28146)だった。あなたが無人島に持っていくものはなあに? シュシュが問えば、ヴィズは何を分かり切ったことを。そんな表情でふふりと微笑む。
「このクーゼに決まっておろう。あたしの大切な魔杖だぞ」
 とんと抱える魔杖。それは魔女の箒にも、強力な武器にもかたちを変える、万能とも言っていい道具だった。それひとつ携えていけば、確かに三日間の生活にはかなり役立ちそうだと妖精は納得した表情で頷き、彼女を壺の中へと誘った。
 真っ白な光に包まれたかと思えば、視界一面に広がったのは青の景色。
 心地良い風が吹いたなら、ヴィズのうつくしい髪が風に揺れ景色に溶けだしそうに戯れる。
「楽しい冒険タイムだ!」
 気持ちよいほどの晴天に海辺の道を進んでいけば。眸の星が捕えたのは酷く古びた船――浜に打ち上げられたまま、きっともう動くことのない難波船で。おあつらえ向きだと、迷うことなくその船の探検に挑むことに決める。何処なら入りやすいだろうか。くるりと船の周りを歩けば、鍍金が剝がれかけた鳥のようなディティールの船首を見つける。その先に見えた扉から、中に入ることができそうだとクーゼを変形させ船の上へと飛び乗った。
「ふむ、此処にもない……か」
 船内を探索するヴィズは、何を探しているのだろう。船と言えば、普通ならば思い浮かべるものはお宝。けれど、ヴィズはお宝には全く興味がなかった。それじゃあ、一体何を……そして何故この船に――?
「此処もない……あたしは船長室のベッドで寝たいんだ!」
 ドンと開いた扉の先も、船長室ではない。
 そう、ヴィズが求めていたのは船長室のベッド。
 正確には、地図や羅針盤に囲まれたその空間での、一夜。
 それは彼女にとって、高価なものに勝る宝物のような時間に成り得る。
(「夢とロマンに満ち溢れている! そうだろう?」)
 我ながら素敵なことを考える。そんなことを思いながら廊下を進んでいく。
 改めてみると、船は長い月日をかけ朽ち、ぽつぽつと落ちる水滴が味わいのある雰囲気を醸し出している。
「――水気を払う強さを失くした船とはこんなに儚げなものなのか」
 ぽつりと落ちる水滴に瞬くも、瞳の煌を細め、行く手のを阻む木材はクーゼで払って歩いた。軋む床の音さえも、何故だろう。心地良い。そうして歩んだ先に、きっとそれは――。
「……あった!」
 ひと際厳重な扉に、そこが求めていた場所だと確信して。開けば広がる思い描いた光景に、星が瞬く。惹き込まれるようにダイブすれば、埃が舞って軽く咳をすることになったけれど、それでも。
「埃だらけのベッドだが…はは!」
 仰ぐ先に広がる、古びた天井には船に纏わるあらゆるものが飾られ。傍らにも、作業台にも、地図やコンパスが――。ふふ。笑いながら、横に転がれば青がシーツに散った。何故だかは分からない、それでも感じる。此処は自由でそれが本当に心地良い、と。
「何もかもが、楽しいな!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

クレア・オルティス
ネロ(f02187)と

持ち物はランタン
サバイバルも仲間と一緒なら楽しい
頼りにしてるね、リーダー!

3日間過ごせる場所…雨風凌げる所ってないかなぁ
食べ物も集めなきゃね。果物なら水分補給もできるしいっぱい採っていこ!
私も一つ食べよっと、ん~すっぱい!
洞窟はひんやり涼しいし絶好の場所だね!

ふふ、こういう生活も悪くないよね
ねぇこの洞窟どこまで続いてるのかな?ちょっと探検してみようよ

ランタンで照らしてはいるけどやっぱり暗いね…
え、ヤバいヤツって…まさかモンスター…
わぁぁどうしようネロ…!

ふぅ、ネロが一緒で良かった…
わぁ…綺麗な空間…この石きっとこの島のお宝だよ
うん、持ち帰ろう
素敵な思い出がまた増えました


ネロ・バロック

クレア(f20600)と

無人島サバイバル生活かァ…ワクワクするぜ
持ち物は相棒(折れた魔剣)だけ
コイツが有ればなんだって怖くねェ

まずは寝床探し…暫く周辺を探索だ
食いもんが採れそうな所もチェックだ!
お、果物発見。食いながら行こうぜ。
丁度良さそうな洞窟もあったぜ!

…暗がりで良く見えねェな
ヤバいヤツがいるかもしれねェから気をつけろよ
(前に出ていざとなればクレアを守れるように歩く)

って、やっぱ普通にバケモンがいやがるな!
強くはねェけど用心するに越したことはねェ…
しかし奥にいったい何が有るんだ?

鉱石の空間?知らない石だけどなんだか力を感じるな
丁度いいサイズのを二つ持って帰ろうぜ
この島の思い出だな!




 眩いひかりに包まれた後、ふたりが転送されたのはどうやら島の内側だったらしい。
海の音は遠い。その代わり、鳥の囀りが木々のさざめく音が耳に届いた。見上げれば、木の隙間から見える青とちらつく木洩れ日があたたかい。そんな景色に、少年ネロ・バロック(餓狼・f02187)と、少女クレア・オルティス(宵闇・f20600)は自分たちが無人島へと降り立ったことを実感して。
「無人島サバイバル生活かァ……ワクワクするぜ」
 サバイバルという響きに、島の景色にわくわくと胸が高鳴る少年は、準備運動とばかりにぴょんぴょんと身軽に飛び跳ねた。
 そんなネロの様子に、クレアは柔く目を細める。ひとりだったら何をしていいか分からないかもしれないし、寂しさが勝るかもしれない。けれど、今日はネロが一緒。サバイバルも仲間が一緒なら、きっと楽しい。
「ネロ。私ね、ランタンを持って来たの」
 これがあれば暗い場所も探索できるし、陽が落ちて来ても安心でしょう? クレアの言葉にネロはなるほどなと頷く。
「――俺は相棒だけ」
 どん、と地を叩くように見せるそれは名無しの魔剣。黒色の無骨なそれは、呪力を宿すルーンが刻まれている。
「コイツが有れば、なんだって怖くねェ」
 どんな危険がおとずれようとも跳ねのけることができる。
「頼りにしてるね、リーダー!」
 自信満々なネロの心強さに、クレアは綻ぶように笑った。
「まずは寝床探し……暫く周辺を探索だ」
「三日間過ごせる場所……雨風凌げる場所ってないかなぁ」
「それも探した方がいいな――っと」
 周囲を注意深く観察していたネロが見つけたのは、草木に擬態したような緑色の果物。
「果物発見!」
 何となく形がマスカットにも似ている。ひょいと摘み取れば、くんと確かめるように鼻を近づければ、甘く豊かな香り。
「果物! 食べられそう? 果物なら水分補給も出来るし、いっぱい採っていこ!」
「嗚呼、食いながら行こうぜ」
「私も食べよっと……ん~すっぱい!」
 いくつかそれを摘み取って食べ歩きながらも進む。
 やがて見えてきたのは岩山……否、入り口がある。
「丁度良さそうな洞窟だな!」
「洞窟はひんやり涼しいし、絶好の場所だね!」
 少しだけ入り口を覗いてみれば、先ほどまでの暑さが嘘だったようにひんやりとした空気が流れている。
「ふふ、こういう性格も悪くないよね」
 一息つきながら話すクレアに、ネロは辺りに落ちていた鉱石を片手間に観察しながら、そうだなと答える。洞窟の奥から、風が鳴くような音。視線を向けるネロに、クレアは。
「ねぇこの洞窟どこまで続いてるのかな? ちょっと探検してみようよ」
 ひょいとランタンを持ち上げてにこり。灯りをつける。勿論とネロは賛成し、脚を進めるけれど。ランタンで照らしているとはいえ、此処は天然の洞窟。
「……暗がりで良く見えねェな」
「うん、ランタンで照らしてはいるけどやっぱり暗いね……」
「ヤバいヤツがいるかもしれねェから気をつけろよ」
「え、ヤバいヤツって……まさか、」
 いざという時。クレアを咄嗟に守ることができるようにとネロが彼女より少し前へと踏み出した時だった。現れたのは少し小ぶりではあるが、今のクレアを驚かすには十分のモンスター。それはゴブリンのような――けれど少し変わった出で立ちをしていて、冒険初心者の招待に向けてシュシュが用意した試練のひとつだった。
「わぁぁどうしようネロ……!」
「って、やっぱ普通にバケモンがいやがるな!」
 勢いの儘駆け、相棒を振るえばそれは簡単に消滅して。
「強くはねェけど用心するに越したことはねェ……」
「ふぅ、ネロが一緒で良かった……」
 今回のモンスターは簡単に対処できたが、この先にどんな敵が待ち受けているとも限らない。
「しかし奥にいったい何が有るんだ?」
 そうして警戒しながらも進んだ最奥にあったのは――。
「わぁ……綺麗な空間……」
 道が途切れた場所に広がっていた小さな空洞。
 そこ一面に淡く輝いていたのは――夏の海のような色を宿した、鮮やかな鉱石。
「鉱石の空間? 知らない石だけどなんだか力を感じるな」
「この石きっとこの島のお宝だよ」
「丁度いいサイズのを二つ持って帰ろうぜ」
 ネロの提案に、クレアはこくこくと頷いて。
「この島の思い出だな!」
 ふたり一緒の、手のひらサイズの素敵な思い出がまたひとつ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『美しく遠きミルキィ・ウェイ』

POW   :    大の字になって星空を見上げる

SPD   :    星空を見上げて物思いに浸る

WIZ   :    のんびりと天の川を眺める

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 三日目の夜――島内で一番高い丘。
 妖精に案内されたとっておきの其処から望めるのは、満天の星。
 それらは空を海の境すら曖昧に見せるけれど。――彼らが言葉を持っていたならば『惑わすつもりなんてない。ただ思うままに瞬いているだけ』そんなふうに眩く笑ったに違いない。
 この星空だけでも、十分のご褒美と思う者もいるかもしれない。
 けれども妖精は「これだけじゃないよ」と。傍らの大きな鞄に用意された様々なかたちの小瓶を示し、好きなものを選んで欲しいと話した。そうして透き通る翅を羽ばたかせ――広がる青の花々の中、小さく湧いた泉の上でくるり。
「量は半分くらい! 入れすぎるとダメだからねーっ。そうそう、そのくらいっ」
 泉のそれを小瓶の半分くらいまで入れて、星空に掲げながら軽く振る。
 すると……ぱしゃぱしゃと鳴っていた音が、次第にカラコロと楽し気な音に変わって――。
「ふふー、驚いた? それ、食べられるんだよ」
 蓋を開ければ甘く香るそれは――愛らしい飴玉。
 色はどれも、夏の海を現したような青。
 けれど形も数も大きさも人それぞれで、口に含めば味も違っているが、どれも蕩けるような美味。それは勿論、大切に少しずつ食べるのもいいし、宝物のように瓶の中に閉じ込めたままにしておけば、劣化することはないというから。この島での思い出として残すのも悪くないはず。
「――これがわたしのとっておき」
 喜んでくれたなら、いいなぁ。そんなふうに、柔く綻ぶ。
「今日が最後の夜だから、ゆっくり楽しんで過ごしてね」
 少し早い、夏の思い出のひとつとなればいい。
 甘い思い出を手に、ゆるりと過ごすこの時が――。
砂羽風・きよ


ウキ!ウキキー!!
(おぉ!綾華ー!)

って、間違えたわ
綾華、こっちだこっち!

すっかりマブダチになった猿吉と肩を組んで
楽しく空を見上げていた

へへ、折角だからマブダチのこと紹介したくてな
猿吉って名前だ
いやー、この島で色々あってさ
それも後で話すわ!多分4時間くらい掛かるかね

んで、猿吉。こいつは綾華
あー…兄弟みたいなもんだな!(猿語)

つか、聞いてくれよ綾華!
ついに猿語覚えちまったぜ!凄くね?
いやいや、すげーだろ!!

しかもさっきそこで飴玉作って来たんだよ!食おうぜ!
まぁ、猿吉待て待て暴れるなって

綾華にイチゴの形をした飴を渡し
ほれ、めちゃくちゃ旨そうじゃね?

おいおい、猿吉!全部食いやがったな!
俺の分は?!




「ウキ! ウキキー!!」
(おぉ! 綾華ーー!!)
 岩場に腰掛けのんびり星を仰いでいた紅纏う男を呼ぶ鳴き声――声は良く聞き覚えのあるもので。けれど人語とは受け取ることのできないその響きに、男は無視を決め込んだ。
「って、間違えたわ! 綾華、こっちだこっち!」
 今度はきちんとした人語が聞こえた。猿語じゃ呼ばれたってわかんねーわな! はは! 綾華? 寝てんのか? 綾華!! そんなふうに背後に浴びせられ続ける声。周りに迷惑になる。綾華は諦めたように、首だけ動かして視線を向けた――が、見なければ良かったとすぐに後悔することになった。何故なら、一応ギリギリで友人と認識している男が、上半身裸で腰みのを付け、猿と肩を組んで座っていたからだ。断固として動くことはしない綾華に、仕方ねーな! ときよは猿と肩を組んだまま歩き、綾華の隣でどすんと腰を下ろす。
「へへ、折角だからマブダチのこと紹介したくてな」
 きよはそう言って島で友達になった猿を見て笑う。猿も満更でもなさそうだった。
「猿吉って名前だ」
「お前……」
 俺のこともよくマブダチっていうが、猿と同レベルってこと? そんなふうに眉間に皺を寄せる綾華にきよは気づく様子もなく、アホのようにわははと笑っている。なんならマブダチふたりに囲まれて超ご機嫌ですらあった。
「……まぁいいや」
「なんだよ! いやー、実はこの島でかなり色々あってさ! まず猿吉との出会いから話すと」
「聞いてねえ」
「そんなこと言わないで聞いてくれよ! ――いやでもやっぱ後でじっくり話すわ」
 順を追って話すと、多分四時間くらいかかるかね。
 そんな恐ろしいことを抜かすきよに、綾華は絶対にやめてくれと返す。ふたりの様子を見ていた猿吉は、その人は誰? とウキウキきよの腕を引いた。
「ウキウキッキ。ウッキキ――ウキ、ウッキーウキウキウキ!」
(こいつは綾華。マブダチ――いや、兄弟みたいなもんだな!)
 な! 綾華! そう勿論猿語で語り掛けるきよ。
「つか、聞いてくれよ綾華! ついに猿語を覚えちまったぜ! すごくね?」
「やば」
「な!! すげーよな!?」
「やば」
「やばってどっち!? すげーってこと!? まあそんなこんなで、さっき飴玉作って来たんだ。食おうぜ」
 カラコロ。腰みのにぶら下げた硝子瓶を星空に掲げると、それはきらきらと星を映すように輝いた。すると猿吉は自分にもよこせとそれをジャンプして奪い取ろうとする。
「猿吉待て待て暴れるなって! どーどー! 待て! 待てよ! 待てって!!」
 立ち上がって猿吉から逃げながらやっとのことで猿吉を落ち着かせたきよしはゼェゼェと息を切らしながら綾華のもとへと戻ってくる。
「ほれ、めちゃくちゃ旨そうじゃね?」
「ひとに食べ物を渡す時にほれはどうかと思うぞ。俺を猿だと思ってんのか」
「ちげーちげー! つーかほら、イチゴの形! 綾華好きだろ?」
「……」
 確かに美味そうではある。それに綺麗だ。とりあえず瓶を受け取って一粒口に含めば、広がる味わいも苺のものでなかなか満足のできる美味しさだった。
「よし、俺も食お――ってあれ、綾華。瓶は??」
「瓶? あ、盗られた」
「ああああーー!! ウッキーーーーー!!!」
 俺の分! そう叫びながらもう一度猿吉を追いかけるきよ。
 それは騒がしくも賑やかな――夏の星夜のこと。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クレア・オルティス

ネロ(f02187)と

わぁお星さまいっぱい!流れ星も!
吸い込まれそうな星空の下
くるくるステップを踏んでみたくなる
え、私の目って夜空みたい?ちょっと嬉しい

もう一つ、ご褒美があるんだっけ
選んだ小瓶は雫型
水を半分入れてシャカシャカ振って
まさか湧き水が飴玉に変わるなんて…びっくりだよね
どんな味がするのかな、早速食べてみよう
きっと甘酸っぱくてシュワシュワ
ネロの飴はどんな味?いくつか交換しようよ

この島での生活もこの夜で終わっちゃうんだね
あっという間だったなぁ…ネロは楽しかった?私は楽しかったよ
ね、いつかまた…一緒に冒険してくれる…?
小指を差し出しゆびきりげんまん
これから先も思い出を作っていきたいから


ネロ・バロック
クレア(f20600)と

夜空の綺麗さに暫し時間を忘れて天を仰ぐ
星空が近く感じるぜ
横を見ると夜空とクレアが絵になってるなァと見つめ
クレアの瞳ってこの夜空みたいだよな

湧き水が飴になるってスゲェ魔法だな!
一つ食べてみると俺のは枇杷みたいな豊かな甘さだ
素が水だったからか果物みたいに瑞々しい味わい
交換してみるか?クレアのも美味そうだよなー
シュワシュワして面白いなこれ!

ああ、俺も楽しかった
こういう時間ってすぐ過ぎちゃうんだよな
それにクレアと一緒だったから…楽しかったんだと思う、へへ!
いつかなんて言わず、いつでもまた一緒に出掛けような
差し出された指に応じて、二人の思い出を夜空に想い返し大切に胸に仕舞う




「わぁお星さまいっぱい! 流れ星も!」
 見上げる空の濃紺に、星たちが瞬くのを見つめる。
 輝くそれらを眺めることに飽きることが無いのは何故なんだろう。時間を忘れて、何時までだってこうしていられる気さえして。
「星空が近く感じるぜ」
 吸い込まれそうな星空。ネロは手のひらを天へと伸ばした。だって、そうすれば掴めそうな気がするほどだったから。
 夜空を背景に楽しそうな表情を浮かべるクレアの姿を認めれば、絵になっていると感じられるほどに似合いで。ネロは浮かんだ言葉をぽろと零した。
「――クレアの瞳ってこの夜空みたいだよな」
 あんまり星空がきれいなものだから、輝く星のステージで、くるくるとステップを踏んでみたい。そんなふうに考えていたクレアだったけれど。ネロの言葉に双眸を瞬かせた後、次の時には柔く目を細めていた。そんなふうに言われるのははじめてで。でも。
「……ふふ。うれしい」
 こんなにうつくしい空に例えて貰えることが嬉しいと、素直にそう感じたから。
「そうだ、ネロ」
 もうひとつ、ご褒美があると聞いた。辺りを見渡せば、こっちとふたりを招く妖精の姿。ふたりは招かれるまま彼女の傍へと足を進める。妖精の舞う傍には泉と、それから様々な種類の小瓶が並べられた鞄が用意されていた。
 鞄の前にしゃがみこむと、クレアは愛らしい雫型のそれを手に取り、ネロも手近なまるい瓶を手にする。教えられるままにそれを泉へと浸し、半分ほどまで注いだことを互いに確認し合えば。先ほど空を見上げていたように瓶を空へと翳しながら、左右にゆっくりと。
 からから、ころころ――次第に耳に届いた音と共に、視界に映っていた液体もやがて。小さく愛らしい青の甘い宝石へと姿を変えていた。
「まさか湧き水が飴玉に変わるなんて…びっくりだよね」
「ああ、スゲェ魔法だな!」
 どんな味がするだろうか。ぽんと栓を抜き一粒ずつ口へと転がせば。
 ネロのそれは、枇杷のような豊かな甘さを感じさせる青。素が水だったからだろうか。本当の果物の様に瑞々しい味わいをしていた。
 クレアのそれは、甘酸っぱくてシュワシュワと楽しい青。波がさざめく夏の海をそのまま飴玉にしたような、遊び心いっぱい楽しい味だった。
「ネロの飴はどんな味?」
「交換してみるか? クレアのも美味そうだよなー」
「それじゃあ、いくつか交換しようよ」
「! シュワシュワして面白いな、これ!」
「ネロのも、おいしい」
 互いのそれを少しずつ交換し合って、一粒含んでは笑い合った。
「この島での生活もこの夜で終わっちゃうんだね。あっという間だったなぁ……ネロは楽しかった?」
 あのね、私は。とっても楽しかったよ。
 そんなふうに話すクレアにネロも満面の笑顔で頷く。
「おお、俺も楽しかった」
 楽しい時間ほど、すぐに過ぎてしまう。だから、あっという間だった。そう思ったということは、きっと。
「それにクレアと一緒だったから……楽しかったんだと思う、へへ!」
 他でもない、君と一緒だったから。だから告げるのだ。いつかまた、と控えめに問う君に。いつか何て言わず、いつでもまた一緒に、と。
 ふにゃりと微笑みながら差し出されるクレアの小指に応えるように、自分のそれを絡ませるネロ。これから先も、ふたりたくさんの思い出を――そんな気持ちはきっと互いに変わらない。夜空を見上げ想い返す。そうして今日という日もまた、ふたりの思い出の一つとして、大切に心に仕舞う。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加

シュシュ、案内ありがとう。空気が綺麗な環境の星空は最高だっていうね。これを3人で見れただけでも最高だが・・・ふむ、瓶貰おうか。

慎重に泉の水を小瓶にいれて示された通りに星空に掲げて振ってみれば・・・素敵なハート型の青い飴玉が。一つ舐めてみれば少し酸味が効いた心地よい甘さ。まさに家族で過ごした三日間をそのまま閉じ込めたような美味しさだねえ。

奏も瞬も美味しいかい?そうだね、3人で大事に持って帰ろう。棚に3個並べればいつでも今回の事が思いだせる。最高の日々だったねえ。


真宮・奏
【真宮家】で参加

うわあ、綺麗な星空・・・これを家族3人で見れただけでも幸せなんですが、何かサプライズがあるようですね?(小瓶を受け取り)

泉の水を小瓶にいれて星空に掲げて振ればいいんですね?うわあ・・・泉の水が星型の青い飴になりました!!素敵です!!一つ頂きます・・・凄く甘いんですが、しつこくない・・・この飴美味しいです!1

母さんはハート型、瞬兄さんは満月のような丸型ですか?全部食べるのはもったいないので家に帰って棚に並べましょう!!瓶を見ながらの思い出話も楽しくなりそうでワクワクするなあ!!また、こういう機会があったら一緒に出掛けましょうね!!


神城・瞬
【真宮家】で参加

3人でシュシュさんの案内で来てみた先は満天の星空。それを家族で見れただけでも嬉しいんですが・・・ふむ。(小瓶を受け取る)

泉の水を小瓶に入れて星空に掲げて振ればいいんですね。・・・おや、不思議。泉の水が丸い青い飴に変わりました。何というか、胸が躍りますね。一つ舐めてみると、しつこくない甘さ。この飴、美味しいですね。

母さんと奏が楽しそうにしているのを見て微笑んで、そうですね、この三つの瓶、家に持って帰って棚に飾りましょう。青い煌めきをみながらの思い出話はきっと楽しいものになるはずです。




「シュシュ、案内ありがとう」
 妖精へと礼を告げた響は、腰に手をやって満天の星空を仰いだ。島で過ごす日々はどの時も煌くようだったけれど、妖精が案内する丘から望む景色は一等特別で。奏は柔らかな髪を揺らし、鮮やかなその眸をより輝かせて見せる。
「うわあ、綺麗な星空……」
「空気が綺麗な環境の星空は最高だっていうね」
 この場所は特別空気が澄んでいるということだろう。
 響きの言葉に、大きく深呼吸をしたのは瞬だった。吸い込む空気は体に染みわたり、この夏の空の中にいることを改めて実感させるよう。
 この景色を家族で見られただけでも幸せ。その想いは家族三人、共通のもの。
「ふふ。気に入ってもらえて良かった! でもね、それだけじゃないよ」
 妖精が示すのは、自分の身体よりうんと大きな旅行鞄。それにはあらゆる形の小瓶が並べられていた。三人に向けて、まずはそれを選んで欲しいと説明する。どれでも好きなものを、と。
「……ふむ、それじゃあ瓶を貰おうか」
 響が瓶をひとつ手にすれば、瞬もではお言葉に甘えて、と手ごろなひとつを手にする。どれがいいでしょう。悩みながらも最後に瓶を手に取ったのは奏だ。
「何かサプライズがあるようですね?」
 それから泉の水を掬って、星空に掲げて優しく振ってみて。そんな説明を受けて、三人はそれぞれの瓶を泉に浸す。
「泉の水を小瓶に入れて星空に掲げて振ればいいんですね」
 瓶の丁度半分ほどまで水を汲み取りながら、確かめるように奏と響を見る瞬。奏はこくりと頷き、響はと言えば、慎重に水を汲み取っていたので少し遅れてから瞬の確認に頷いた。
 それじゃあと、三人はそれを星空へと掲げる。
 そうして優しく左右へと振るえば――から、から、ころり。
 優しい音が瓶の中で響き、それぞれの耳へと届いて。
 気づいた頃には瓶の中には愛らしい飴玉たちが姿を現していた。
「わあ……泉の水が星型の青い飴になりました!」
「おや、不思議。此方も――」
「こっちは素敵なハート型だ」
 魔法のように液体から個体へと姿を変えた飴玉たちに、三人は興奮を隠し切れない。奏は勿論、穏やかな瞬さえも瞳を僅かに輝かせ、胸を躍らせて、響もその愛らしい姿と美しい彩に目を奪われたようだった。
 瞬のそれは、青くまあるい、満月のような飴玉。ひとつ舐めてみればそれはしつこくない程よい甘さで、口の中に幸せが広がる。
「この飴、美味しいですね」
 響のそれは、愛らしいハート型をした飴玉。それは少し酸味の効いた心地良い甘さで、島で過ごした日々を閉じ込めたような美味しさだった。
「奏も瞬も美味しいかい?」
 奏でのそれは、あの空に輝くような煌く星のかたち。それは凄く甘いのに、しつこすぎず。ほんのりと頬が染まるような優しい甘さをしていた。
「はい、とても美味しいです!」
 こんなにも美味しいのは、三人で過ごした夏の思い出がたくさん詰まった飴玉だから。そう思えば、全部食べるのはもったいないと思ってしまう。だから奏は、ふたりにある提案をした。
「家に帰って棚に並べましょう!!」
「そうだね、3人で大事に持って帰ろう」
 ふたりの言葉に、瞬も賛成と頷いて。
「青い煌めきをみながらの思い出話はきっと楽しいものになるはずです」
「瓶を見ながらの思い出話も楽しくなりそうでワクワクするなあ!!」
 また、こんな機会があったら家族三人で出かけましょうね!
 そう口にする奏に、ふたりは柔く微笑む。
「最高の日々だったねえ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルーシー・ブルーベル
【月光】

ああ、たのしかった!
ゆぇパパはお料理だけじゃなく食べ物見つけるのもお上手ね
テントは館の様に大きくは無いけれど
お家っていいな

パパこっちよ!

ごろんと丘の上に寝転がって
髪に草がついても構わず大の字
草原に寝転がるのって楽しい
みて
星がキレイ

星空に翳した小瓶の中にはアメ玉3つ
星みたいにキラキラね

ひとつは、もちろんパパへ
はい、あーん!
もうひとつは自分で頂くわ
残った一つは思い出を忘れない為に
ん、ブルーベリー味!

パパのも頂けるの?
パカっと開けた口に、ほろ苦くて甘いお味
ふふ、ルーシーこのお味すき

くしゃん!とくしゃみひとつ
うん、そうね
パパの腕はあたたかくて凄く安心する

わ、何時の間に?
ミルクコーヒー楽しみだな


朧・ユェー
【月光】◎

えぇ、とても楽しかったですねぇ
ありがとう、ルーシーちゃんも沢山見つけてくれましたよ
えぇ、自分達だけの家は良いものですね。

はい?どうしましたか?
彼女に呼ばれて近くへ寝転ぶ姿を見て
おやおや、僕もお隣良いですかね
隣で寝転ぶと

カランコロン。
小瓶の中の小さな星飴
おや?僕に下さるのですか?
ありがとうねぇ
パクリと食べて、ブルーベリーの甘酸っぱい味
じゃお返しに、彼女の口の中へ一つ
ちょっとほろ苦く甘いミルクコーヒー

おやおや、肌寒くなりましたし
テントに帰りましょうね
そっと抱き上げて

コーヒー豆に似たのを見つけたので
あたたかいミルクコーヒーを淹れましょうね




「パパ、こっちよ!」
「はい? どうしましたか?」
 丘を無邪気に駆けて手招く少女に、パパと呼ばれた男は招かれるまま足を進める。やがて広がる草原の上、ごろんと寝転がる少女は男を見上げて柔らかに微笑んだ。
「おやおや、僕もお隣良いですかね」
「もちろんよ」
 さらさらと綺麗な金に草がつくのも、今はお構いなし。だってこんなに綺麗な星空だから、と。大の字に寝転ぶ少女は、空を仰いで静かに呟いた。
「みて、星がキレイ」
 掲げるのは先ほど泉の水を注いだ小瓶。透明な液体は、星空を透かして、ぼんやりと滲ませて。星空を閉じ込めているようにも思えた。
 ゆるゆると瓶を振るルーシーを見て、ユェーも同じように手にした瓶を空に掲げる。軽く左右に揺すれば――嗚呼、妖精の言っていた通り。
 ――カラン、コロン。
「わぁ、本当に飴が出来たわ!」
「ええ、すごいですね」
「――星みたいにキラキラね」
 小さな手に握られた瓶の中にも、細く長い指の中にある瓶も、星空の様に煌いていたけれど。ユェーは思うのだ。少女の眸も、負けないくらい輝く星のようだと。
 起き上がって、瓶を開けて。三つあるうちのひとつの飴玉を手にしたルーシーは、ユェーの口元へとそれを差し出した。
「パパ、はい。あーん!」
「おや? 僕に下さるのですか?」
 ありがとうねぇ。その優しさに綻んで、ぱくりと唇で挟み、口内へと転がす。そんなユェーの様子を見て満足そうに微笑んだルーシーは、「もうひとつは自分で頂くわ」と瓶からひとつの飴玉を口へと放った。
「ん、ブルーベリー味!」
「甘酸っぱくて美味しいですね」
 自分の名に似たその飴の味を美味しいと言って貰えて、何だかとても嬉しい。それだけですごく幸せな気持ちになるのに、ころころと飴を食べ終えれば、お返しと口元へ運ばれたのは、星の形をしたユェーの飴玉。
「パパのも頂けるの?」
 ぱかっと開けた口の中、頬を膨らませながら転がせば広がるのはほろ苦い味。
「こちらはミルクコーヒーですね」
「ミルクコーヒー。ふふ、ルーシーこのお味すき」
 ふにゃりと微笑む表情の愛らしさに、ユェーは愛おしげに目を細めた。
 飴玉を転がしながら、ふたり空を見上げて思い返す島での日々。
「パパ、ルーシーね。とっても楽しかったの」
「……えぇ、とても楽しかったですねぇ」
「ゆぇパパはお料理だけじゃなく食べ物見つけるのもお上手だったわ」
「ありがとう。けれど、ルーシーちゃんも沢山見つけてくれましたよ」
「ふふ。テントは館の様に大きくは無かったけれど――お家っていいな」
「えぇ、自分達だけの家は良いものでしたね」
 思い出話に花を咲かせていれば、くしゃん! と小さなくしゃみをひとつ零すルーシー。
「おやおや、肌寒くなりましたし、テントに帰りましょうね」
 立ち上がりながら小柄な少女をそっと抱き上げるユェー。
「うん、そうね」
 その腕のなかはあたたかくて、心地良くて。心の底から安心できる、そんな場所。
「コーヒー豆に似たのを見つけたので、あたたかいミルクコーヒーを淹れましょうね」
「わ、何時の間に? ミルクコーヒー楽しみだな」
 楽しみ。もう一度零しながら、ユェーの服をきゅっと摘まむルーシーのもう一方の手には。
 ころん、からんと飴玉がひとつ。
 二人過ごしたこの島での思い出を忘れない為の、甘いあまぁい夏の雫。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

終夜・嵐吾
【雅嵐】

わし、これにしーよぉ
まぁるいラインがかわいらしい小瓶
泉の水をちょちょい…これくらいかの?
せーちゃんも入れたかの?
これをそろって、星空にむけてふりふり(尻尾も)

不思議じゃね!
ぱしゃぱしゃいいよったのがからころと
わしのは金平糖のようじゃ~
早速ひとつ…さわやかさっぱりな味が甘いものに麻痺した味覚にやさしい…
せーちゃんも食べるかの?
ではひとつ…甘っ…!

楽しい夏のひと時じゃったね~
いや本当にいろいろと…苦しい思い出もちょっとあるが(ぼそり)
無人島に硯箱はいらんかもじゃがせーちゃんはいてもらわんとな
汝とともに過ごすのはいつでも楽しいんよ

あー…
次は耳と尻尾がにょきっとするところを探さんといかんね


筧・清史郎
【雅嵐】

らんらんの選んだ小瓶は愛らしい形だな
では俺は、このインク瓶に似た形のものに
友に倣い、水をそっと掬って
ああ、万全だ(こくり
ふりふり揺れる友の尻尾を何気に見つめた後
俺も一緒にふりふりと

ふふ、素敵な贈り物だな
俺の飴には動物さんのお耳が
有難う、らんらん
では交換こだ(激甘な飴

無人島生活とは楽しいものだな
そして楽しさのひとつではあったが
モノがあると便利だということも
道具である俺としては、はじめて身を以って知れたことだった
無人島に硯箱が必要かは分からないがな(微笑み
ああ、俺もらんらんと過ごす時間は楽しい
これからも様々なことを沢山共にしようか、らんらん

ところで、そろそろ俺にも耳と尻尾が生えただろうか?




 きらきらと輝く星たちが見守る夜空の下。
 妖精が用意した小瓶が並ぶ鞄の前で、肩を並べるふたつの背。
「わし、これにしーよぉ」
 嵐吾が手にしたまぁるいラインがかわいらしい小瓶を目に、ふむりと口元を抑えて。どれにしようか迷うが、清史郎はふとめについたインク瓶に似た形のものを手にした。
「では、俺はこれに」
 友が瓶を選んだのを確認し合って、今度は傍らの泉の前へ。
 じぃと見てみても、その泉は何ら変わった様子はない。見上げる空を鏡のように映すほど澄んだうつくしい泉ではあるけれど、そうと瓶を浸してみても。甘い香りが漂うでもなく、ただひんやりとした冷たさが心地良いだけだった。
 これくらいだろうか。嵐吾はまぁるい瓶を持ち上げて、教えられた通り半分くらいまで注がれた水によしと頷く。
「せーちゃんも入れたかの?」
「ああ、万全だ」
 嵐吾に倣い、水をそっと掬って頷く。
 清史郎の瓶に入れられた水も、丁度良い量だった。
 準備が出来たことを確認したならば、並びあって小瓶を空へと翳す。ゆるゆると左右へ揺らす瓶は星空を透かして――なんだか水の中に、星を溶かしているよう。
 瓶を振るのと一緒に、無意識に揺れる嵐吾の尾。
 視界に入るふわりとした友の愛らしいそれを横目に見たけれど、清史郎も今ばかりは瓶の中へと意識を集中させた。
 すれば次第に、ぱしゃぱしゃと音を立てていた水が、からころ――鮮やかな青へと姿を変え。ふたりは顔を見合わせた。
「不思議じゃね! ぱしゃぱしゃいいよったのがからころと……」
「ふふ、素敵な贈り物だな」
「わしのは金平糖のようじゃ~」
「俺の飴には動物さんのお耳が」
 嵐吾のそれは金平糖のような、星型をした飴。
 清史郎のそれは、動物のような耳がひょっこりと飛び出た飴。
 それはどちらも愛らしく、そして同じ色の青をしていた。
 早速一つ食べてみよう。嵐吾は瓶の中から星を取り出してぱくりと口に含んだ。味はさっぱりとした爽やかな夏の海にぴったりの味。この島であらゆるものにホイップホイップされ麻痺した味覚に、とても優しい味をしていて。
「せーちゃんも食べるかの?」
「有難う、らんらん。では、交換こだ」
 ――ひょい、と手渡されたそれは。
「……甘っ」
 清史郎の味覚には優しい、激甘な飴だった。
 ころころ、口の中で飴玉を転がしながら、とっておきの丘の上で星空を仰ぐ。
「無人島生活とは楽しいものだな」
「楽しい夏のひと時じゃったね~」
 こくりと頷いた清史郎は、無人島ならではの不便である楽しさを説きながらも、やはりモノがあると便利だということも。道具である自分としては、はじめて身を以って知れたことと語る。そうじゃね、と頷く嵐吾も。この島での日々を思い出し、ぐぅと大きく背伸びをしてから肩から力を抜いて。
「いや本当にいろいろと……」
 苦しい思い出もちょっとあるが。とは、小さくだけ零して。
「無人島に硯箱が必要かは分からないがな」
「無人島に硯箱はいらんかもじゃがせーちゃんはいてもらわんとな」
 ――汝とともに過ごすのはいつでも楽しいんよ。
 一緒に過ごす時間は一等楽しいものだから。嵐吾がくしゃりと笑めば。
「ああ、俺もらんらんと過ごす時間は楽しい」
 だから、これからも様々なことを沢山共にしようか。
 紡げば返る言葉は――勿論ひとつ。
「ところで、そろそろ俺にも耳と尻尾が生えただろうか?」
「あー…次は耳と尻尾がにょきっとするところを探さんといかんね」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱赫七・カムイ
⛩神櫻

サヨ、もう最後の夜だ
帰路に着く時も近い
ここには住めない

美しくも逞しい私の巫女は無人島に慣れたようだ
カグラと協力し狩りに探索に繰り出し
寒ければ私を鳥の姿に変え暖をとり羽毛布団にして眠る
あんなに嫌がっていた虫まで食せるようになって
(私は無理だ)

このままでは私の可愛い巫女が野生化してしまう

サヨ、カグラ
狩りよりいいものがある

習った通りに小瓶に水をいれて飴にかえる
透き通った青は夏空のよう
サヨが驚き笑うのが嬉しい
私の飴をひとつ
口に放りこむ

美味しい?
サヨの好きな味かな
よかった
おかわりは家に帰ってからね

サヨの飴を舐めながら星空を眺める
噫、楽しかった
きみと二人なら何処だって
サヨの居る場所が私の居場所なのだ


誘名・櫻宵
🌸神櫻

住めば都っていうのはホントだったわ
ふ……カムイ!
ここに住むわよ!
もう?

カグラと獲物を捕らえに行くのもようやく慣れてきたとこなのに
カムイがいれば暖かいし何も問題はないわ
虫は外見気にしなければなかなかいける
カムイも食べればいいのに

この泉がいい所?
魚はとれるかしら
何て水面を見つめていたら…不思議
瓶の中の水が飴玉になったわ!
ぽんと口の中に放り込まれた神の飴玉は……私の大好きな柘榴の味で
カムイ、もひとつ頂戴と強請ってしまう
……もう
じゃあ帰るわ!

星空にかざした私の飴は春の青空色
甘い桜蜜の味
カムイがあまりに美味しそうに食べるから
つられて笑う

楽しかった!
私はカムイの巫女よ
何時だってあなたの居場所になる




「住めば都っていうのはホントだったわ」
 うきうきと竹を裂いて作った器を並べながら、櫻宵はそれはそれは楽しそうに笑った。この島で生活して三日目の夜。ようやくここでの生活にも慣れて――否。慣れるどころか順応し、自然豊かな場所で過ごすのも悪くない。櫻宵はそう思い始めていたから。
「……カムイ! ここに住むわよ!」
「サヨ、もう最後の夜だ。帰路に着く時も近い」
 ここに住むことは出来ない。
 カムイはウキウキとした巫女の姿から目を逸らしながらも、ふるふると首を横に振る。
 カムイはそう言うけれど、折角楽しくなってきたところなのに、と櫻宵はぷくと頬を膨らませる。カグラと獲物を捕らえに行くのもようやく慣れて来たところだし、寒さならばカムイを鳥の姿に変えて暖をとれば何の問題もない。虫は外見さえ気にしなければなかなか美味であったし、何より栄養価は非常に高いと聞く。
 けれど――カムイとて引き下がることは出来ないのだ。
(「このままでは私の可愛い巫女が野生化してしまう」)
 あんなに嫌がっていた虫までも、食せるようになるとは思わなかった。カグラがスープにした幼虫を知らず口にしたが最後。意外といけるわ! と眸を輝かせ、自分にもしきりにそれを進めてくる巫女に、カムイは目眩を覚えた。
「……サヨ、カグラ。狩りよりもいいものがある」
 だからカムイは、妖精に紹介された場所にふたりを誘うことにした。

 丘の上に広がる星空は、華やかな中にも淑やかな雰囲気さえ併せ持つ、それは美しい景色だった。カムイは櫻宵の手を引き、泉の傍らへと腰を下ろす。手には先ほど手に入れた小瓶を持って。
「この泉が良い場所?」
 魚はとれるかしら。
 じぃと水面を見つめてみても、そこに魚が泳ぐ影はなく。
 映るのは美しい星空と、自分と、それから傍らの愛しい彼の姿。なんて水面を見つめていれば、ころりと音がして揺れる赫を視界に瞬いた。
「不思議。瓶の中の水が飴になったわ!」
 カムイの手に握られた小瓶の中には青い夏空のような飴玉がころころ。驚く巫女の麗しい口元に、カムイはその青をちょこんと差し出して。櫻宵は迷うことなくそれをぱくりと含み、ころころと口内で転がした。
「美味しい? サヨの好きな味かな」
 味は櫻宵の好きな柘榴味。こんなに真っ青な色をしているのに、不思議で――けれど本当に美味しくて。もひとつと強請れば返される言葉は。
「よかった。おかわりは家に帰ってからね」
「……もう。じゃあ帰るわ」
 拗ねた口ぶりも、形だけ。だって本当は、カムイと一緒ならば、何処で過ごしたって構わないのだから。
 同じように空に翳して、優しく振った瓶の中に生まれたのは、春の爽やかな青空の色。それは櫻蜜香る優しい甘さで、お返しと彼の口元へ差し出せば。カムイがあまりにも美味しそうに――幸せそうに綻ぶものだから、櫻宵も鏡合わせのように咲んだ。
 星空を眺め、ふたり肩を寄せ合い紡ぐ。
「楽しかったわ」
「噫、楽しかった」
 カムイは傍らの艶やかな髪を掬い、唇を寄せた。
 そうして薄紅に染まる頬を見て、また笑うのだ。

 きみと二人なら何処だって。
 サヨの居る場所が私の居場所なのだ。

 私はカムイの巫女。
 何時だってあなたの居場所になる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

旭・まどか
ベル(f18504)と◎

嗚呼
幾度となく星空を見て来たけれど
此処の景色も一等美しい

感嘆の息を零せど同意の声無く
同行者を探せば小瓶選びに必死な丸い背中を見つけ
特に拘りがある訳では無い
手近な所にあった自立する丸型の物を選び
僕の所でもそうだよと

瓶の半ば程を満たし
星を移す様な水面を揺らす
嗚呼、手の中で星を揺らしている様
隣から聞こえる魅力的な声には是非とも臨みたい所、と希望を零し

カラコロ
瓶を打つ音を捉えたなら完成の合図
丁度口に含めば少しだけ頬が引っ張られる位のまぁるい形
本当。僕のよりも君の方が食べ易そう
言うが早いか口許に差し出されたそれをぱく、
うん、あまい
口の中で転がしながら、僕のも食べなよと差し出す一粒


ベル・ルヴェール
まどか(f18469)と ◎

砂時計のような形をした小瓶を選ぶ
面白い形の小瓶だな。まどかはどんな小瓶だ?
この小瓶に半分か。ちょうどへこんでいる部分だな。
泉の水が飴玉になるなんて夢のようだな。

こうやって振ると星空が映って綺麗だ。
砂漠の星はここの星に負けないくらい綺麗だ。
空を見ていると砂漠のオアシスを思い出す。

そろそろ良いだろうか。
キレイな青色だ。僕の飴玉は少し小さいな。
食べやすい形になってくれたのだろうか。
まどかも上手くできたか?
僕の飴玉を見てくれ。まどかのよりもちいさいぞ。
まどかに僕の作った飴をあげよう。
どうだ。うまいか?
ああ、ありがとう。まどか




 連れられた場所はこの島で一等見晴らしが良いという。
(「嗚呼――幾度となく星空を見て来たけれど」)
「……此処の景色も一等美しい」
 情報通り、ただ立っているだけで視界に広がる景色は心から美しいと思えるもの。そんな風景を目に、まどかは感嘆の息を零した――けれど、同意の声が届くことはなく。
(「――何処に」)
 甘やかな眸が、新緑の彩が散る彼を探し移ろった。
 不安や寂しさなんてものは、多分懐いてはいない。数日、傍らの彼を当たり前のように思っていたから、自然とそれを追ってしまうだけ。
 そうして軈て視界に入った丸い背中。
 どうやら同行者は小瓶選びに必死になっていたらしい。
 ほっと胸を撫で下したのは無意識で、まどかはベルのもとへと足を進める。
「へぇ、たくさんあるんだね」
「まどか! 面白い形の瓶を見つけた。僕はこれにする」
 ひょこっと背から覗き込んだ友人の、柔らかな髪が視界の隅に落ちて、ベルは見つけた砂時計のような形の小瓶を得意げに見せた。
「まどかはどれにする?」
 問われれば後ろからでなく、ひょいと隣にしゃがみこんで手近にあった小瓶を手にする。
「これでいい」
 特に拘りがある訳ではない。ただ、目についたから。
 そうまどかが手にしたものは、自立する丸い形のものだった。

 瓶を選んだ後は、傍らの泉の水を掬う。
「泉の水が飴玉になるなんて、夢のようだな」
 丁度半分なら、瓶の凹んでいる部分までだな。不思議な水を掬いながら話すベルに、まどかは大体でいいんでしょと同じように半円ほどまで水を掬った。
 準備は出来ただろうか。互い視線を交わし合えば、試してみようとそれを空へと翳した。
 白く細い指が、星を映すような水面をゆうらりと揺らす。
「こうやって振ると星空が映って綺麗だ」
 ベルが紡げば、同じことを思っていたと。まどかがちらりとだけ傍らを見たならば、ベルは楽しそうに瓶詰の星空を見つめていた。
「砂漠の星はここの星に負けないくらい綺麗だ」
 空を見ていると、砂漠のオアシスを思い出す。
「それは――」
 今度はまどかもてのひらの星だけを見つめ、想い馳せた。
「是非とも、臨みたい所」
 零せば遊びに来るか? なんて嬉しそうに返るから。
 行ってあげる。そう、愛らしい言葉が贈られて。
「そろそろ良いだろうか」
 カラコロと鳴る音が完成の合図。まどかの手には、口に含めば少しだけ頬が引っ張られるくらいの大きさとなったまぁるい飴玉がコロコロ。
「キレイな青色だ。僕の飴玉は少し小さいな」
 そう零すベルの瓶の中には、小さめのコインのようなかたちをした飴玉がカラカラと。
「まどかも上手くできたか?」
「出来たよ」
 でも少し大きい気がする。まどかが告げれば、ベルは自分のを見てくれと。
「まどかのよりもちいさいぞ」
「本当。僕のよりも君の方が食べ易そう」
「まどかに僕の作った飴をあげよう」
 言うが早いか、口元に差し出されたコイン型の飴をぱくと受け取って、広がる甘さを味わう。
「どうだ。うまいか?」
「うん、あまい」
 口の中で転がしながら、僕のも食べなよと差し出される一粒を、今度はベルが受け取って。
「ああ、ありがとう」
 ベルの頬が、小さくふくれる。それはどこか、柔らかく懐かしい味わいのするものだった。
 おいしいな、とベルが零せば、まどかも。
 折角だから、後でひとつ食べてみようかなんて考えながら過ごす、宵夏の箱庭。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

忍冬・氷鷺
★◎
柔らかな夏草の褥に身を沈め
輝く星空をぼぅっと眺める
最後にこうして空を見上げたのは何時だったか
何処か遠い過去の様にも思える

「昔はあれだけ、星に願いをかけたものだというのに」

ふと聞こえた足音
視線の先に友の姿を捉えたなら自然と声は弾み

綾華じゃないか
お前も星を見に来てたのか?
良ければ一緒にどうだ
寝転んだ身体を起こし、手招き

良い所だな。此処は
誰も彼もが笑顔で、ひかりで満ちている
一夏の冒険もあったせいだろうか、
不思議と俺も童心にかえったような心地だ

……そうだ。丁度時も良い
綾華。お前に良いことを教えよう

”流れ星に願いをかけると叶う”
星が消える前に願いをだな…
何、知ってる?
そうか……全くお前にはかなわんな




 指先に触れるそれは、夜の下ではひんやりとした温度を落としてくれる。柔らかな夏草の褥に身を沈め、忍冬・氷鷺(春喰・f09328)はただぼぅっと天を仰いでいた。輝く星たちを映せば、紫水晶の双眸もきらきらと煌めきを宿す。最後にこうして空を見上げたのは何時だったか――どこか、何故か。それは遠い過去の様にも思えて。
「……昔はあれだけ」
 ――星に願いをかけたものだというのに。
 小さく零れ落ちていた音は、誰に届くこともなく夜風に攫われていってしまったけれど――やわり、流れる銀の向こう側で聞こえた足音に視線をやれば。重なる緋が瞬いて、ひらと手をあげる。
「綾華じゃないか。お前も星を見に来てたのか?」
 見知った友の姿に、氷鷺は自然と声を弾ませた。
「嗚呼。案内するだけじゃ、つまんねーから」
 それに――。言いかけてからいや、と口籠ったのは。「お前がいるのが見えたから」なんて。教えてやらないとばかりに隣にどんと腰を下ろして。
 夏の夜の澄んだ空気が、沈黙さえも心地良いものに変えた。見上げる星が瞬くのを追い駆ける視線は、自然と重なっていたかもしれない。
「良い所だな。此処は」
 ちらりと銀を向けた先では、他の猟兵や、島に住む動物たちがのんびりと各々の時を穏やかに過ごしている。誰も彼もが笑顔で、ひかりに満ちている場所。一夏の冒険もあったせいだろうかと零しながら、不思議と自分も童心にかえったような心地だと呟いた。
「……そうだ。丁度良い」
 何が? と尋ねるような表情が向けられて得意げに笑む口元。
「綾華。お前に良いことを教えよう」
「へえ、そりゃあよっぽどなことなんだろうな?」
 煽るように軽口を吐いたのはきっと今だけというわけでなく。繰り返される日々の中で、重ねて来た時がそうさせるのだろう。
 勿論だ。告げる口から続けられたのは、きっと誰もが知るような、なんてことのない迷信染みたもので。
「星が消える前に、願いをだな……」
 綾華が小さくふき出すように笑った。氷鷺は首を傾げる。
 氷鷺があんまり真剣に話すものだから、何かと思った、と。
「何、知ってる?」
「うん、知ってたよ」
「そうか……全くお前にはかなわんな」
「……でも、そうだな」
 ――流れ星に願いをかけると叶う。
 お前もそれを信じるのなら、と空を見上げた。
 つられるようにして、氷鷺もまた。
「お前の願いは聞いてみたいから」
 流れる星を見つけたなら、お前が願いをかけてくれ。
 綾華はからりと笑って、いいだろ? なんて尋ねる。答えは聞いていないとばかりの言い草だったけれど、曇りなき眼もう、空だけを向いていた。
「綾華が見つけられたらな?」

大成功 🔵​🔵​🔵​

檪・朱希

海色の飴玉が、こんなに沢山。
……綾華も、貰ったのかな? 貰ってなかったら、一緒に食べないかな? と誘ってみたい。
それと、守護霊の二人も居るけれど、綾華も一緒に星空、見ない?

こんなに静かだから、ヘッドホンも外せるかな……なんて思って、ゆっくり外してみる。
風や泉、花、島にある様々な『音』はやっぱり聞こえるけれど、聞いていると楽しくなる。
あ……歌にしたら、分かりやすい、かな?
歌ってみても、いい?

そんな思いつきではあるけれど、大切な旋律に、『音』を乗せて歌ってみる。
風の『音』、泉や花の『音』も、ゆっくり。

この三日間は、本当に素敵な思い出になったよ。
ありがとう、綾華。




 妖精が用意した鞄から手頃な瓶を選び、宵を映すうつくしい泉へとそれを浸した。背後から、興味津々に覗いてくる守護霊たちは「飴になるんだろ? 泉の水自体も甘いのか?」「普通の水と言っていたはずだ。聞いていなかったのか?」などと、何時もの如く戯れて。賑やかな声を背に受けて、振り返る。そうして汲み取った水をふたり越しの空へと掲げた。
「こうして――どうかな?」
 右へ左へ、優しくそれを揺すれば、ゆらゆらと波を立てていたそれはある瞬間、ころりと丸い個体へと変化し始めた。雪と燿は、顔を見合わせて瞬く。
「わ……すごい」
 からりころり。音を立てたそれは、やがて鮮やかな海の色をした飴玉へと変化した。そうして思う。
(「……綾華も、貰ったのかな?」)
 瓶を見つめた。こんなに沢山出来たのだから、この場所へ案内してくれた彼にも声を掛けたい。そうして朱希は、紅纏う背を探した。
「――綾華」
「お、朱希ちゃんに……燿と雪も」
 聞き覚えのある穏やかな声が降れば、星空を眺めてぼんやりと座り込んでいた男は首だけ動かして振り返り、ひらり片手をあげる。
「綾華も一緒に星空、見ない?」
 なんて尋ねてくる朱希に、男は勿論と傍らの草原を叩いた。
 朱希が作った海色の飴玉は、爽やかな酸味と、程よい甘味の不思議な――夏にぴったりの味がした。それをころころ、舌に転がしながら空を仰ぐ。会話は無理にしなくてもいい。誰かと共に見上げるだけで、星は何倍にも輝いて見えるから。
(「こんなに静かだから、ヘッドホンも外せるかな……」)
 ちょこんと座っていた朱希はいつも耳にしているヘッドホンにそっと手を掛けた。
 下ろしたヘッドホンの先に広がるのは、風や泉、花に鳥。島にある様々な音。ゆっくりと瞼を閉じればそこはもう鮮やかな音の世界で――聞いていると胸が弾むような心地がした。
「……朱希ちゃん?」
 楽し気に目を閉じる姿に、こてりと首を傾げた男は、小声で名を呼んだ。何か聞いてたの? 尋ねれば、聞こえた音のことを話そうと思ったけれど、嗚呼、きっとそれよりも。
「あ……歌にしたら、分かりやすい、かな?」
 歌ってみても、いい?
 問いには最初に声を掛けられた時と同じ言葉を返す。駄目だなんて言うはずがない。君の歌が心地良いことを、知っているから。
 音を待つように、男はゆっくりと瞼を閉じる。その姿を認めれば、すぅと空気を吸い込んで胸に手を当てた。
 音を乗せるのは、神楽歌。朱希にとって、大切な旋律。
 風の『音』は、きっとこんなふうに心地良いもの。
 泉の『音』は、涼し気で、それでいて澄んでいて。
 花の『音』は、それらに鮮やかな色を乗せていく。
 歌い終えれば、紡ぐのは。
「この三日間は、本当に素敵な思い出になったよ。ありがとう、綾華」
 この島で過ごした時間への感謝で。
 男はふと笑った。だって、自分は何もしていないし、何より礼を言うのはこっちのほうだと。
「優しい歌を、ありがとう」

大成功 🔵​🔵​🔵​

セト・ボールドウィン

どれでもいいの?
シュシュに尋ねつつ選んだのはまんまるな小瓶
わくわくして、瓶を振る手についチカラが入っちゃう

あっ、すごい!
小粒な丸い飴玉は、ちょっとだけ尖ってて嘴みたい
花の小鳥たちを思い出して嬉しい
そうだ、綾華にも見せに行こう

すごく綺麗な景色だから、大きな声を出すのは
何となく控えたほうがいい気がして
内緒話みたいにこっそり呼びかける

これ、俺が作った飴玉。いっこあげる
へへ。どう?うまい?

でっかい樹があってさ、登ってきたんだ
うん。知らない樹があったらとりあえず登るじゃん?

でね、いろんな色の花が咲いてるなーって思ったら
鳥だったんだ。ぜんぶ
俺、そいつらと友達になったんだ

…え?うん、楽しかったよ。すごく!




「どれでもいいの?」
 シュシュはセトの質問に勿論と満面の笑みで答える。
 たくさんある小瓶に、悩みながらもセトが手にしたのはまんまるなかたちをしたものだった。星空を映した泉は確かにとっても綺麗だったけれど、これを瓶に入れて振ると飴玉ができるだなんて不思議で。泉を見つめれば真剣な表情をした自分の影を揺らすようにして、瓶を浸し持ち上げた。
「このくらいかな?」
 丁度半分くらい。栓を確り締めてから、瓶を星空に翳して揺らす。優しく揺らせば十分なのだけれど、どうしたってわくわくしてしまうから。瓶を振る手にはついつい力が籠ってしまった。――すれば、やがてカラコロと鳴り始めた音。
「あっ、すごい!」
 瓶の中で、液体が姿を変えたのは小粒な丸い飴玉。けれどそれはただの丸ではなくて、先端が少し尖ったような――。
「なんか嘴みたいだ」
 揺らせばころんと鳴る尖がり型の飴。思い出すものは勿論、この島で出会った、花の小鳥たちだった。この島で出来た友達を連想させるかたちの飴玉に、とても嬉しくなって――そうだ、と思い浮かべたのはまた別の。
「綾華にも見せに行こう」
 ――兄のような友人の姿だった。
 カラコロ、瓶を手にしながら少し歩けば、丘の一等見晴らしの良い場所に座る紅の背を見つけて。大きく声を掛けて駆け寄りたい気持ちを抑え乍ら、ゆっくりと進んだのは。この綺麗な景色の中では、何となく控えた方が良い気がしたから。
「――綾華っ」
 小さく、内緒話みたいに。それでも弾む気持ちは抑えられずに紡ぎながら、すとんと傍らに座った小さな友人に。男はくすりと笑う。
「セト。ひとりで寂しくなかった?」
「また子供扱いしてーっ。大丈夫だったよ、友達もいっぱい出来たし!」
 ぷくと頬を膨らませるセトに、男はからから悪戯に笑う。
「ね、これ。俺が作った飴玉」
 いっこあげる。手渡された飴玉を、綺麗だなと見つめる。食べるのが勿体ないと思いながらも、わくわくとした表情を向けられればひょいと口に放って、ころり。
「へへ。どう? うまい?」
「――めちゃめちゃうまい」
 答えに満足そうに笑って、自分もひとつ口へと転がした。星空の下、細やかな甘い幸せを頬張って。少年はたくさん聞いてほしいことがあるんだと男を見て。
「見たこともないでっかい樹があってさ、登ってきたんだ」
「木登り? 好きネ」
「うん。知らない樹があったらとりあえず登るじゃん?」
 当然とばかりに口にするセトに面白いと思いながらも、男は相槌を打ちながら続きを促す。
「でね、いろんな色の花が咲いてるなーって思ったら――鳥だったんだ。ぜんぶ」
「――鳥? 花が? すげぇ」
「だろ! ふふ。俺、そいつらと友達になったんだ」
 身振り手振り話して、得意げに告げてから。後で会いに行く? なんて無邪気に尋ねる。綾華にも会って貰いたい! そんな想いが見えて、温かな気持ちになる。男はそれじゃあ紹介して貰おうかなと笑った。
「――本当に楽しかったんだな。良かった」
「……え? うん、楽しかったよ。すごく!」
 ひとりで大丈夫だっただろうか。そんな心配を跳ねのけるくらい楽しそうに話すから。ぽつり呟く綾華に不思議そうにしながらも、セトは楽しかったと心から告げて。――でも、と。
「綾華が一緒ならもっと楽しかったと思う!」
 くしゃり無邪気に。そんなふうに続けるものだから。――男は瞬いて、少しだけ照れ臭そうに少年の柔らかな髪をわしゃり撫でた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メル・パペット
メイ(f31143)とです。



メルのパペットは水を含むとしおれます。
水が苦手でした。メイの羊さんはどうでしょうか。
羊さんのじまんの毛がしおれてしまうのでしょうか。
メルは丸い小瓶をえらびます。
丸い小瓶が一番ちかくにあったのでえらんでみました。

半分ですよ。泉の水は半分です。
メルのパペットがよくばろうとしていました。
ダメです。半分だけです。
これを振ったらあめだまができるみたいですね。
メイは持って帰りますか?
メルは……もう一つつくります。
メルはあめだまを食べたです。でも思い出に持ち帰りたいです。

これは今日の思い出の分です。こっちは今から食べます。
思い出のあじはおいしいですね。
サバイバルはたのしいです。


盟・アスタロト
メル(f27227)と一緒に



羊さんの毛並みもごわごわしてしまいます
でも、羊さん自身はあまり気にしていないみたいです
めーめーって泉に興味津々ですね

メイは少し角張った瓶にしましょう
星空を透かせば宝石みたいです

半分、半分ですね
羊さんに瓶を支えてもらって
シャベルでそーっと水を注ぎます

みんなでよーく振りましょう
しゃかしゃか
からころ

メイももう一つ作って…はっ
メル、メル
メイはひらめきました
思い出のぶんは、交換しませんか
そうすれば、おいしいの思い出と
みんなでたのしいの思い出と
どちらも持って帰れる気がするのです

はい!
メルが贈ってくれた羊さんと
メルと、メルのパペットと一緒で
とってもきらきらのサバイバルでした




 星々が輝く丘の上。メルと盟のふたりも、妖精に導かれる儘、最後の夜をその場所で過ごすことにした。けれど、説明を聞けばメルは足元のパペットを見て。
「メルのパペットは水を含むとしおれます」
 メルのパペットは水がとても苦手だったから――メルは思ったのだ。盟の羊さんは他でもない、メルが贈ったものであったから。羊さんはどうなのだろうかと。
「羊さんのじまんの毛がしおれてしまうのでしょうか」
 こてと首を傾げると、盟は真剣な顔でメルを見る。
「羊さんの毛並みもごわごわしてしまいます」
 いつか水に濡れてしまった時、いつもより肌触りが悪くなってしまったことを思い出す。けれども、羊さん自身はそんなことはおかまいなしのようだった。ごわごわしてしまうことよりも、きらきらと星空を映すそのうつくしい泉のそばでぴょこぴょこ。
「めーめーって興味津々ですね」
 落ちないように気を付けて下さいね。
 盟が羊さんに声を掛ければ、めーめー。何やらはやくと急かす様だったから。ふたりは顔を見合わせて、こくりと頷き合い妖精が用意をした鞄の前へ。
「メルはこれにします」
 殆ど迷うことなく手にしたのは、丸い小瓶。
 選んだ理由は一番手近にあったものだったからという理由だ。それに、どれも妖精が用意してくれたものに違いはない。そう、はずれはないのだ。
「それでは、メイは少し角張った瓶にしましょう」
 メルと一緒のものを選ぶのも良かったけれど、折角ならと考えた盟はメルとは対称的な四角い形の瓶を選んだ。
「星空を透かせば、宝石みたいです」
 透き通った空へ翳せば、瓶の中は星空を閉じ込めたような空間となる。宝石みたいで、きらきら綺麗です。紡ぐ盟に、メルも真似をするように瓶を空へ翳した。
「半分ですよ。泉の水は半分です」
「半分、半分ですね」
 盟は羊さんに瓶を支えてもらいながら、シャベルで掬いあげた水を丁寧に、零さないように少しずつ注いでいく。途中で少しだけ羊さんに水がかかってしまったけれど、羊さんは気持ちよさそうだった。乾いたらきっと元通りになるのだし、ちょっぴりくらいならごわごわな羊さんでもいいだろう。大切な羊さんには変わりないし、何より羊さんが楽しいのが一番なのだから。
 半分まで注いだところで盟がメルの手元を見ると、瓶の中にはたっぷりの水が注がれていて。
「ダメです。半分だけです」
 水は苦手でも、何とかして注いだのだろう。傍らでしゅんとしおれかけているのはメルにダメと言われてしまったからだろうか。それとも水に濡れてしまったから? 何にしてもダメなものはダメだと、メルは妖精の教え通りに水を少し泉へと戻して。
「これを振ったらあめだまができるみたいですね。メイ、準備はできましたか?」
「はい。メルはどうでしょう」
「メルもばっちりです」
「それでは、みんなでよーく振りましょう」
 持ち上げた瓶を、星空に透かしてしゃかしゃかすれば、次第にころころ――中には夏の海のような青く美しい飴玉が生まれて。
「出来ました! メイ!」
「できましたね。すごいです」
 瓶を傾ければころり転がる飴玉をじぃと見つめる。パペットもそれが気になった様子でぴょこぴょこと飛び跳ねていた。
「メイは持って帰りますか? メルは……もう一つつくります」
 メルは飴玉を食べたかった。けれど、思い出にも持ち帰りたいと思って。それじゃあとふたり、もうひとつずつ瓶を手に、しゃかしゃか、ころころ。
「これは今日の思い出の分です。こっちは今から食べます」
 もうひとつの飴玉が完成し、両手に瓶を握るメルをみて。盟は何かを思いついた様に動きを止め、傍らの彼女の名前を呼ぶ。
「メル、メル。メイはひらめきました」
「はい、なんでしょう」
 首を傾げるメルに、盟は星のような眸を向け。
「思い出のぶんは、交換しませんか」
 だってそうすれば、おいしいの思い出と、みんなでたのしいの思い出とを。
「どちらも持って帰れる気がするのです」
「メイ、めいあんです。そうしましょう」
 ふたり飴玉を交換こ。それから飴玉を頬張りころころと転がせば。じわりと伝わる爽やかな甘さが口いっぱいに広がって。
「思い出のあじはおいしいですね」
 そして、サバイバルはとてもたのしい、と続ければ。盟もまた、ふわりと笑って大きく頷くのだ。メルが贈ってくれた羊さんと、メルと、メルのパペットと一緒でとってもきらきらのサバイバルでした、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メリル・チェコット
【月陽】


ころりと草の上に寝そべってみる
絶景という言葉がぴったりの景色
ご褒美ってこれかなあ、なんてふわんと笑って

小瓶、いろんな形があるね
なんとなく手にしたお星さまの形の瓶
空に透かせば、まるで星のなかに星を閉じ込めたみたい
きれい……メリル、これにしようかな
ねね、よかったらおそろいに――ふふ、言うまでもなかった!
お星さま、好きなんだね

泉を汲んで、優しく振るう
やがてコロコロと新たに生まれる青い星
すごい、ふしぎ……!
小さい星……金平糖みたい
お兄ちゃんとハクくんとひとつずつ分け合って
お兄ちゃんのもちょうだい、なんて妹らしくおねだり
ふふ、おいしい

残りは思い出とともにコルクを閉めて
大切に、大切に


飛砂・煉月
【月陽】


満天の星が抱く三日夜の丘
妹と視線同じく仰ぐ空に
きっとご褒美と同意を乗せて

途中白竜が妖精の小瓶を覗くから
メリーと音紡いで
一緒に噺聞こって誘いひとつ

オレが選ぶのは迷わず星の形
仲良しの相手とする星廻りを思い出したから
…あっは、見てメリー
もうお揃いってキミの手の中の星を見て咲う

泉の水で半分満たし
そっと振ればころり生まれる数々の青
オレの好きな蒼い星
確かに金平糖みたいだ
お、ハクも上手く出来てんじゃん

可愛いおねだりには隣の緋色と目配せして
ふたりの兄から一粒ずつの交換こ
へへ、美味し
つい頬も緩む甘さ

残る星は味と思い出と共に瓶の中
何時だって楽しい思い出が蘇る様に
帰ったら狼と羊と竜の集うタグでも添えようか




 妖精に誘われて訪れた丘の上。
 そこから臨むことのできる景色はまさに絶景。煌く数多の星は、数えていたらきりがないほどで。それを映し何処まで続く海の果てなどあるのだろうか。
 いつもは高さの違う目線も、ふたり草原へと背を預ければ、同じ景色を臨むことが出来た。それが嬉しい、と感じたのはきっとお互い様だ。
「ご褒美ってこれかなあ」
「うん。きっとご褒美」
 だって、こんなにも綺麗なんだから。
 ふわんと笑い軽く横を向いたメリルに、煉月は視線だけ向けて柔らかな同意を乗せた。
 暫く星を眺めていると、白竜が妖精の小瓶を覗くから。
「メリー」
 煉月は妹の名を紡ぎ、一緒に噺を聞こうと誘いひとつ。
 ふたりが足を運んだ先、妖精は小瓶がたくさん並べられた旅行鞄を示して、好きなものを選んで欲しいと笑った。
 ふたりは隣り合ってしゃがみ、どれにしようかと瓶を選び始める。
「小瓶、いろんな形があるね」
 どんな瓶があるかな。メリルが形を確かめている傍ら、煉月が迷わず手に取ったのは星の形だった。選んだ理由。それは仲良しの相手とする星廻りを思い出したから。
 そんな中、メリルが選んだものも星の形をした瓶だった。
 手に取って空に透かして見れば、まるで星のなかに星を閉じこめたみたいで――。
「きれい……メリル、これにしようかな。ねね、よかったらおそろいに――」
「……あっは、見て、メリー」
 もうお揃い。手の中の星を妹のそれにこつんと触れさせて、隣り合わせ。瞬く眸は柔く弧を描いて、煉月の赤を見つめた。
「もうお揃い」
「お星さま、好きなんだね」
 それぞれの星を、互いの星を見て咲う。
 偶然でも同じ星を手し綻び合う姿は、本当の兄妹のようにあたたかいものだった。

 泉に星を浸して、澄んだ魔法の水を掬う。それは普通の水のようだったけれど、特別な力を秘めているらしい。
 互いに半分ほどまで瓶を満たしたのを確認して、空に翳して優しく振るえば。
 ころり、からりと生まれる星たち。
「すごい、ふしぎ……!」
 深い海のような、優しい空のような。
 見る人によって捉え方が変わる、そんなあおをした星を見て思う。
(「オレの好きな蒼い星」)
 くるとゆっくり回せば、転がる星が空の星の合間で輝く。
「小さい星……金平糖みたい」
「確かに金平糖みたいだ」
 ――と、傍らでもうひとつの音がした。
 見上げた先にいたのは、ふたりの兄。その手には、いつの間にか小瓶があって。
「お、ハクも上手く出来てんじゃん」
 煉月はそれを見て、ふと笑う。
 出来た星をおすそ分け、とふたりの兄へと手渡して。
 それから紡ぐのは――。
「ね。お兄ちゃんのもちょうだい」
 今日はお姉ちゃんはお休みだから、妹らしく兄へとおねだり。
 可愛いおねだりを受けた兄たちは目配せし、一粒ずつ、大切な妹の手のひらへ。
 そうしてひとつずつ、味わうように口の中で転がして。
「ふふ、おいしい」
「へへ、美味し」
 つい頬も緩んでしまう甘い幸せに、二人と一匹は楽し気に声を出して笑い合った。
 其々残る星たちは、失くさぬように、忘れぬようにきゅっとコルクをしめて。大切な思い出を閉じ込めるように瓶の中。何時だって楽しい思い出が蘇る様に、と。
 大切そうに瓶を見つめる妹を見て、兄は思うのだ。

 ――帰ったらこの思い出の星に、狼と羊と竜の集うタグでも添えようか、なんて。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と

ちょっとしたハプニングもありましたが、とても楽しかったです
この島で過ごす最後の夜も、素晴らしいものになる予感がして

示された鞄から細身の瓶を取り出し、泉の水を半ばほどまで汲んで入れ
振れば涼やかな音とともに出来上がるのは、かれの髪のような美しい青色の飴

見惚れる青色に食べるのがもったいないですねと笑えば、差し出されたのはかれの手元でつくられた飴
良いのですかと目を丸くしつつも、その手からぱくりといただきます

ソーダのような爽快感とほどよい甘さのそれは、とても好ましく美味で
おいしいですと笑ってから、手元の瓶を見下ろして

これは住まいに持ち帰り、この夜の思い出といたしましょう


ザッフィーロ・アドラツィオーネ

宵f02925と

もう夜か…名残惜しいなとそう思わず口にしつつも、宵の瞳の色に似た紫の瓶を手に水の入った瓶を振ろう
このような形で良いのだろうか…と
そう宵と話しながらも、瓶いっぱいに現れた青の飴玉を見れば思わず瞳を見開き眺めてしまう
今日の昼にハンモックから見上げた青空のような色の飴玉に見惚れながらも、宵の言の葉を聞けば勿体無いのならば俺の物を食すか?と瓶から一つ摘み宵の口元へ差し出さんと試みようか
瞳を丸くした後己の指から飴玉を口にした宵が笑えばつられるように笑みを向けつつ俺も一つ口にしようか
ふと、天を見れば出会った時の星空を思い出しついぞ宵の手を握ってしまうやもしれん
本当に幸せな夜だな、宵




 星が灯らないなら、きっとこの場所は見渡すことができないほどの暗闇に満ちていただろう。けれどふたりを見守るように輝くのは、空一面の星々。この島で過ごす最後の夜と思えば「名残惜しいな」と思わず口にしたのはザッフィーロだった。
「ちょっとしたハプニングもありましたが、とても楽しかったです」
 掛けられた言葉に、貴方といると飽きることなどありませんね。そんな響きを宿した声が楽し気に返されて、ザッフィーロは柔らかく眸を細める。この島で過ごす最後の夜は名残惜しく、けれど素晴らしいものになる予感を覚えたのは、多分ふたり同じだ。
 無意識か、意識的か。手にしていた彼の瞳の色に良く似たうつくしい色の瓶を手に、ザッフィーロは泉の水をそうっと掬う。宵もまた、鞄に並べられた瓶から細身の瓶を手に取ると、教えられたとおりにちゃぽんと優しく。瓶の半ばほどまで水を掬った。
 準備が出来たなら、早速振ってみようかと顔を見合わせて、星空へと翳しながら左右へと揺らす。
「このような形で良いのだろうか……」
 本当にこれが飴玉に――。どういった原理なのだろう。そんな考えの先で、液体だったそれは次第に形を成していく。ころころ、からからと瓶の中で涼やかで愛らしい音を立てて。
 瓶いっぱいに現れた甘い青の宝石たち。
 みればザッフィーロは目を見開いてまじまじとそれを見つめた。そうして本当に飴が出来た、と宵に視線をやれば。
「――……」
「――宵?」
 宵が、見惚れるほどの青色だったのは。
 傍らの彼の、髪のような――それはそれはうつくしい青色をしていたから。言葉をなくした宵に、ザッフィーロがこてりと首を傾げれば、軈て向けられた愛しさを込められた視線から目が逸らせなくなる。
「……食べるのが、勿体ないですね」
 見惚れていたものは、何だっただろう。
 返された言葉にはっとなって、誤魔化すように。慌てたように自分の小瓶から飴玉を取り出す。それは昼に共に。ハンモックから見上げたような爽やかな空の青をした飴玉。
「勿体ないのならならば、俺の物を食すか?」
 勿体ないと口にしたのは、ただそれが綺麗だったからではない。貴方の髪にそっくりだったから。そんな意図を知る由もなく。ザッフィーロは彼の口元へと小さな空を差しだした。
「――良いのですか?」
「嗚呼」
 差し出されたそれに、ぱちりと瞬いた宵だったけれど。その飴玉が――否。彼の指先の空が、魅力的に見えたから。ぱくり、と。邪魔にならないように髪を耳に掛けながら、空を口にした。瞼のもとの長い睫毛が下を向く。
 宵の仕草に奪われながらも、ザッフィーロはふと笑って自分もひとつ、青を口に放った。ふたりの口内に広がるのは、ぱちぱちと弾けるソーダのような爽快感と、程よい甘さの爽やかな味。
「おいしいです。これは住まいに持ち帰り、この夜の思い出といたしましょう」
 そう笑って手元の瓶を見下ろす宵に頷いてからザッフィーロは天を仰いだ。瞬く星の数多に、出会った時の星空を思い出せば、自然と触れていた。――細く愛しい指先に。
「本当に幸せな夜だな、宵」
 触れる温度に、小さく指先を動かして。
 辿る彼の熱に宵もまた、天を仰いだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

兎乃・零時
★◎
💎🌈

めっちゃ綺麗な星空だな!
島の上から見上げる星空は
確かにすごく輝いて見える

ご褒美に飴玉貰えるなんて思わなかったよな
これ美味しいらしいし…!
その色身が何とも鮮やかで、見てるだけでも楽しい
しかもビンの中に入れてりゃ劣化しないときた!
凄いよなぁ

ふふふ、当然!
無人島生活は初めてだったけど…心結と一緒だったし凄く楽しかったぜ!


心結も楽しいなら良かったぜ!
…そこまで言われると嬉しさ余って少し照れる気がする
ずっと二人でも…それも案外良いかもなぁ、なぁんて

ん?目を瞑る……?まぁ良いけど
気持ちとは何だろうなんて思いながら
飴玉が口の中へと消えていく

…なんだかすごく、蕩けるぐらい甘い味
忘れらない、味だった


音海・心結
★◎
💎🌈


綺麗な星空ですね
今まで見たどの星空よりも輝いている気がします

深い煌めきが衰えない青色の飴玉
小瓶の其れを大事に両手で抱き

ふふり
ご褒美まで貰って来た甲斐がありましたっ
勿体なくて食べれそうにないですけどね

……零時は楽しかったのでしょうか?
無人島生活でみゆとふたり
友達も話し相手も限られた人のみ
だから、気になる

みゆはとっても楽しかったですよ
零時が居たから
零時だったから
このままずっとふたりでもよいと思ってしまうくらい
……喩えですけどね

あの、少し目を瞑って貰ってもよいですか?
みゆの気持ち、です

彼の唇に一つ飴玉を
大切な飴を大切な人に
此の生活が終わっても、みゆのことを忘れないで
――想いに気付く日まで




 夏草の上に座り込む、星降る丘の上。
 心地良い風が吹き抜ければ揺れる鮮やかな互いの髪を視界に笑い合った。
「綺麗な星空ですね」
「ああ、めっちゃ綺麗だな!」
 今まで見たどの星空よりも輝いている気がします。
 ぽつり、心結が零せば。改めてと仰いだ空に輝く星たちは、儚くもその目に、確かな煌きを焼き付けるから。
「確かに――すごく輝いてみえる」
 何でだろう。なんでかな。ぽぅとふたり、星を見つめていれば。手元の瓶がころり小さな音を立てた。
 華奢な指先が握る瓶の中は、深い煌きが衰えない青がいくつも重なって鮮やかだ。心結はそれを改めて大切に両手に抱く。そんな姿を認め、零時もまた小瓶の青を手に空へと翳した。
「ご褒美に飴玉が貰えるなんて思わなかったよな」
「ご褒美迄、頑張って来た甲斐がありましたっ」
「これ、美味いらしいし、しかもビンの中に入れてりゃ劣化しないときた!」
 凄いよなぁ。色味だけでも鮮やかで、見ているだけでも楽しくて。飴玉に負けないくらいきらきらした眸で瓶を見つめる零時に、心結もつられるようにして目を細め「勿体なくて食べれそうにないですけどね」なんて零すのだった。

 星空を、飴玉を楽しみながらも思い返すのは無人島での日々。
「……零時は楽しかったのでしょうか?」
 問いかけた意味。
 それは無人島生活で自分とふたり。友達も、話し相手だって限られているこの空間で、たったふたり。だから、だから気になる。
 不安げな指先が、さわと夏草を撫でるのに瞬いてから。零時はくしゃりと至極明るく告げた。
「ふふふ、当然! 無人島生活は初めてだったけど…心結と一緒だったし凄く楽しかったぜ!」
 そんな言葉に、とくんと揺れるこころ。長い睫毛を伏せながら、続けた言葉は。
「みゆは――みゆも。とっても楽しかった、ですよ」
「心結も楽しかったなら良かったぜ!」
 快活に放たれる彼らしい音に笑みながらも、続けるのは。
 零時が居たから。他の誰でもない、零時――だったから。
 このままずっとふたりでもよいと思ってしまうくらい――なんて。それが喩えだと告げたとしても。
「……」
 瞬く眸は、次の時には少し照れ臭そうに頬を掻いた。
「……そこまで言われると嬉しさ余って少し照れる気がする」
 でも、けれど。――ずっと二人。
「ずっと二人でも……」
 ……それも案外良いかもなぁ。
 その言葉にどんな意味が含まれているのだろう。
 心結は白い頬をぽと染めて――嬉しさにふにゃり表情を緩ませた。
「あの、少し目を瞑って貰ってもよいですか?」
「ん? 目を瞑る……? まぁ良いけど」
「……みゆの気持ち、です」
 気持ちって? そう考えた先で、唇に触れるのは――甘い甘い飴ひとつ。ころりと口に含んだそれは、零時にとってきっと忘れることのできない味。蕩けるくらい、甘い味。
(「ねぇ、零時」)
 此の生活が終わっても、どうか。
 みゆのことを忘れないで。
 食べてしまうのが勿体ないと思うほどの飴玉を、あなただけにあげる意味。――想いに気づく、その日まで。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オズ・ケストナー
【咲日花】◎
わあっ
空を見上げてくるり

こう、だね
向かい合わせで耳澄ます
目を閉じて音をきいていたい気もするし
かわるしゅんかんだって気になる
じーっ

少し大きめのコロコロまあるい飴玉は
魚が泳いでいるのが見えそうなくらいの、澄んだ海の色

わたしもできてるっ
みてみて

クロバのおほしさまだっ
きれい
ふふ、星空がとけこんだみたいだね

うんうん、こうかんこっ
ころりとその手に落として
指先でつまんで掲げながら口の中へ

口に含めば目が輝く
おいしいっ
クロバに笑み返し

おすそわけと聞けばすぐに浮かぶ姿
うん、いこうっ
すてきな提案に綻ぶ
わたしのあめだまも食べてほしいし
ふたりともに笑ってほしいから

アヤカーっ
瓶持つ手をからころ振りながら駆けて


華折・黒羽
【咲日花】◎

こう、ですか?
教わるまま四角い小瓶を泉の上
半分程に浸してくるり回す
何度か回せばしゃらりからり
金平糖の様な大きさの飴玉が姿を見せ音鳴らす

あ、オズさん
出来ましたっ
はしゃぐ耳はたり動かし
黒い掌に出した小さな青の星屑

オズさんのはどんな飴玉になりました?
そわり手元を覗き込む

互いの一粒交換して口にすれば
美味しいですと綻ぶ頬
あなたの笑顔にもまた花が咲いた様に見えた

オズさんあの…
…お裾分け、しに行きませんか?
小瓶にまだまだ残る飴玉
ふと赤い羽織の背を思い出す

美味しいものは分け合えばもっと美味しいと
オズさんが教えてくれたから

綾華さん、
その背を見つけたなら
オズさんと二人手を取り合って駆けて行こう




「わあっ」
 この島で過ごし越した夜は、この場所からでなくともうつくしいものだったけれど、妖精に案内された丘から見る景色はまた格別だった。
 空を見上げ、シュネーと手を繋ぎくるり。楽しそうに景色を楽しむオズを見て、黒羽はふと表情を和らげた。
 シュシュが用意した鞄から瓶を選んだふたりは、泉の傍にちょこんと寄り添うようにしゃがみ込む。
「はんぶんくらいっていってた」
「半分くらい」
「このくらいかな?」
 優しく水面を揺らしながら掬う水。まんまるの瓶に半分ほどそれを掬うオズを見て、黒羽も教わるまま四角い瓶を泉に浸し、くるりと回してから持ち上げた。
 準備が出来たことを確認したならば、向かい合わせで耳を澄ます。目を閉じてその音を聞いていたい気もするけれど、水が魔法のように飴玉に変わる瞬間も見ていたい。悩ましいと思いながらも、オズは好奇心に勝てずに瓶を見つめることにした。黒羽も一緒。
「こう、だね」
「こう、ですか?」
 ぱしゃ、ぱしゃ。――から……から、ころ。
 じーと見つめていると、それは段々と姿を変える。
「あ、オズさん。出来ましたっ」
 ふたりの眸が、輝く。黒猫は耳をはたりと動かしはしゃいだ。
「わたしもできてるっ」
「オズさんのはどんな飴玉になりました?」
「これっ。みてみてっ」
 オズのそれは、少し大きめのまあるいかたち。もしそれが海だったならば、魚が楽しそうに泳いでいるのが見えそうなくらい澄んだ海の色。
 そうして黒羽が黒い手のひらに出したのは、青の星屑。金平糖のような愛らしい姿の飴玉は本当に星のようで。手にしていた瓶の中はまるで、今日の星空を詰め込んだような、プラネタリウムのような空間になっていたに違いない。
「クロバのおほしさまだっ。きれい。ふふ」
 星空がとけこんだみたいだね。
 ふにゃりと笑うオズに、からんとそれを揺らして。黒羽も嬉しそうに笑う。
 交換こをしようとお互いのそれを一粒ずつころりと手に落として、せーので口にすれば。
「美味しいです」
「おいしいっ」
 綻ぶ表情が重なって、また嬉しくなる。
 きらきらと輝く瞳に――オズの笑顔にもまた花が咲いたように見えたのは、きっと気のせいじゃないはずだ。
「オズさんあの……」
 甘い幸せを口の中でころころと転がしながら。少したどたどしく――けれど意を決したように紡ぐ言葉。
「……お裾分け、しに行きませんか?」
 小瓶にはまだまだ飴玉が残っている。
 美味しいものは分け合えば、もっと美味しい。
 それは他でもない、オズが教えてくれたことだった。
「うん、いこうっ」
 ふと、赤い羽織の背を思い出して口にした黒羽。
 瞬くもすぐにオズもすぐに同じ人物を思い浮かべ、素敵な提案と表情を綻ばせた。自分の飴玉も食べて欲しい。それに、優しい思いを口にした黒羽にも、思い浮かべた友人にも。ふたりともに笑って欲しいと思ったから。
「アヤカーっ」
 からころと響く音の先、見えた赤い背にオズは大きく手を振って。
「綾華さん、」
 手は上げずとも、ゆらりと尾を揺らし、黒羽も小さく名を紡ぎ。
 夏の星空の下、手を取り合って駆け寄る姿に。
 先にいた男は軽く手をあげて、くしゃりと笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

都槻・綾


綴り終えた手記を
約束通り
シュシュさんへ御覧に入れましょ

存分に楽しませて頂いたのだもの
御礼を述べるのは此方こそ

其れから
綾華さんにも案内の礼をしたいな

一緒に御覧になりますか、と開いた帳面
記した文字も
描きし海も空も貝殻も
植物だって――みんな、青

捲れど捲れど
濃淡の違う青の彩りが游ぶ一冊

ね、
此れもまた
夏めく青の箱庭かしら

悪戯な笑みで片目を瞑り
お二人の手に一粒ずつ差し上げるのは
青き星の欠片、金平糖

夜空にみっつ翳して
祝杯の代わりに「頂きます」の唱和も楽しい

かりりと噛めば
檸檬曹達がぱちりと弾ける爽やかさ

夏は此れからまだまだ深まり行くから
西瓜にお祭り、花火も素敵ね
沢山の「楽しい」を――青写真を、増やしていこう




 ――冒険の書ができたら、わたしにも見せてくれる?
 ――勿論。あなたに、一番に。

 眩い星灯りの下。三日目の夜。約束の時。
「シュシュさん」
 此方にと誘う肩の上。お言葉に甘えて。妖精は身を預け、わくわくと彼の手元を覗いた。綾は綴り終えた手記を手に。宝物のような日々の物語を、一枚、また一枚と捲っては重ねていく。
「綾。綾。素敵、とっても素敵ね」
 妖精は小さな胸に両手を添えて噛締める様に零し、そうして「ありがとう」と輝く青を細めた。
「存分に楽しませて頂いたのだもの」
 素敵な時を過ごすことが出来たのも、それをこのような形に記すことが出来たのも、シュシュが作り上げたこの場所があってのこと。だから、お礼を述べるのは此方こそ。綾もまた、少女に有り余る感謝を伝えた。
 移ろう綾の青磁が探すのは、流れ星ではなく。似た名を持つ、この場所への案内人。岩場に寄り掛かってひとり。ゆるりと過ごす男を認めれば、綾は柔和に微笑み声を掛けた。
「綾華さん」
 聞き慣れぬ声に、紅纏う男は振り向いて。綾が案内の礼を告げたならば、ふると首を横に振ったけれど。楽しめたなら良かったと飄々と笑みを返した。
「どんなことをしたの」
 問われれば傍らに腰を下ろし、開く手記。
「一緒に御覧になりますか」
 この島での日々を詰め込んだのだと綾が話せば、男は興味深いと頁を捲る手元を見つめた。未だ綾の肩に身を預けた儘の妖精は、先ほどの感動を思い出しながらも。綾華の反応を気にしてか、何処かそわそわとした様子を見せながら。二度目でも、三度目でも。きっと何度だって楽しむことが出来る物語のはじまりを待つ。
 開いた帳面に映るは、うつくしい青。
 記した文字は勿論、描いた海は深い群青。ころりと転がる貝殻も、気持ちよさそうにその身を浸し。空はどこまでも高く、流れる雲さえも滲むように染まり……植物さえも――みんな、青。
 捲れど捲れど、濃淡の違う青の彩りが游ぶ一冊に。妖精はふふと笑みを零し、紅纏う男もまた、心奪われたように瞬きも忘れ。
「――きれーじゃん」
 零せば、やや得意になって。ね、と。

 ――此れもまた、夏めく青の箱庭かしら。

 悪戯な笑みで片目を瞑り、ぱたんと手記を閉じてから。かららと鳴る瓶の栓を抜き、シュシュに、そして綾華のてのひらに預けるのは、青き星の欠片。
 掲げれば、空に馴染むように煌くその星に導かれるように妖精と男もまた。
「頂きます」
 祝杯の代わりの唱和を紡ぐ綾をみて。
「いただきます!」
 元気に紡ぐ妖精に、綾華も続く。それを口に含むのは、三人ほぼ同時だった。かりりと噛めば檸檬曹達がぱちりと弾ける爽やかさに、其々頬を緩ませて笑う。
「夏は此れからまだまだ深まり行くから、西瓜にお祭り、花火も素敵ね」
 どれも夏の楽しみだなぁと返す綾華に、綾は頷き、瓶詰の青をころりと転がした。今年も沢山の「楽しい」を――青写真を、増やしていこう。心に灯る青に、そっと胸を抑えて。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年06月26日


挿絵イラスト