大祓百鬼夜行㉕〜永遠
●グリモアベース:予知者、ムルヘルベル・アーキロギア
大祓骸魂はその膨大な虞(おそれ)を使い、東京上空を変化させた。
カクリヨのごとくうつろう不安定な空間――そこが、決戦の舞台だ。
UDC組織の苦労を思うと頭が痛くなるが、猟兵がすべきはそこではない。
大祓骸魂を討つ。
そのために必要なものを、ムルヘルベルはシンプルに語った。
「端的に言うと、大祓骸魂はこれまでの妖怪すべての手管を利用できる相手である。
……そう、すべてだ。これまでオヌシらが攻略してきた戦場、すべての方法を、だ。
虞を纏って戦うことも、珍妙奇天烈な戦いと呼べぬ方法も、すべてを利用する。
であれば。我々が彼奴を打ち破る方法も、これまでのすべてが生かせるということ」
賢者の目元が微笑みを浮かべた。
「これまでの戦いは何一つ無駄ではなかった、ということであるな。善き哉。
あやつが「待っている」というならば、こちらも馳せ参じようではないか。
真正面からの戦いでもよい、気が抜けるような乱痴気騒ぎでもよい。
オヌシらのやりたいようにやれ。こうなればもう祭りに乗ってやるしかあるまい」
祭り。
たしかに振り返れば、この一ヶ月は盛大なお祭りのようなものだった。
邪悪下劣なオブリビオンの非道だけではなく、好き放題に歌い騒いだり。
とても戦いとは思えないような、遊戯のような舞台もいくつもあっただろう。
結果として猟兵たちは多くの妖怪たちを救い、そして最後の戦いに挑む。
「――まあ、あやつめは究極妖怪。太古の邪神の一。救える手合いではないが」
賢者は本を閉じた。
「世界ひとつを愛で永遠にしようとするような輩には、拳骨でもくれてやれ。
骸の海に還るべきは人々の住む未来ある世界ではなく、邪神のほうだとな」
グリモアが光を放つ。
「オヌシらの健闘を祈る。……せっかくの最後だ。楽しんでくるとよい」
永遠となるは未来ある世界か、はたまた大いなる邪神か。
最後の大舞台が、いざ、始まる。
唐揚げ
●プレイングボーナス
全ての戦場のプレイングボーナスから好きなものを選び、使用できます。
というわけではちゃめちゃ戦争のラストははちゃめちゃシナリオです!
これまでのすべてなんで、真の姿を晒すことでもボーナスを得られますし、
大祓骸魂が出し続ける料理をひたすら食べまくることでもいけますし、
カード勝負をしたり番組企画に乗ったり線路を有効活用してもいけます。
逆に言うと、皆さんが利用したいボーナスによって敵の攻撃方法は変わります。
プレイング冒頭に、適用したい戦場の数字を書いて頂けるとわかりやすいです。
戦場一覧『https://tw6.jp/html/world/event/020war/020_setumei.htm』
(たとえば「真の姿を晒して戦う(🔴は不要)なら、②・④・⑮のいずれかです)
『戦場:②』とかでもいいですし数字だけどんと書いてもらってもいいです。
シリアスにしようと思えばシリアスに、ネタにしようと思えばネタになります。
ただ当然「やや難」かつ最後のボスらしい判定基準になっておりますので、
そのへんはご了承ください。やるならひたすらにやりきるのがいいと思います!
このシナリオでは頂いたものはなるべく採用したいなと思っています。
(完結数を加速させるためのシナリオは別に出す予定です)
あくまで希望なので、不採用になることは十分あり得ますのでご了承ください。
リプレイ執筆は30日の夕方頃から着手します。よろしくお願いします。
第1章 ボス戦
『大祓骸魂』
|
POW : 大祓百鬼夜行
【骸魂によってオブリビオン化した妖怪達】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[骸魂によってオブリビオン化した妖怪達]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD : 生と死を繋ぐもの
自身が装備する【懐刀「生と死を繋ぐもの」】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ : 虞神彼岸花
【神智を越えた虞(おそれ)】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を狂気じみた愛を宿すヒガンバナで満たし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
イラスト:菱伊
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
神元・眞白
【SPD/割と自由に】 戦場⑩
日頃大変な世界になっている妖怪の世界。今はさらに大変なようです。
動き続けている猟兵の皆さんにお勧めする今日のお店は……?
今回の眞白'sチャンネルは真心こもった手料理のお店にお邪魔します。
店主さんはとても若く見えますね。
いつからこのお店を開いているのでしょう?
こんな見晴らしのいい場所にお店もあるとなって、併せて気になりますね。
究極、ですか。理想が高いのはいいことです。
さて、華やかなお店の雰囲気も楽しんで次は料理に移りましょう。
....流石、自負するレベルがあります。
料理だけでなく立地や食事状況の総合力。
今回は文句無しの☆5のお店。また、次回にお会いしましょう
●眞白'sチャンネル、一体どこで配信されてるんだろう
いつものジングル、そしていつもの構図。
「皆さん、こんましろー」
神元・眞白はカメラに向かい、無表情でいつものポーズをする。
「日頃大変な世界になっている妖怪の世界、今はさらに大変なようです。
動き続けている猟兵の皆さんにおすすめする今日のお店は……?
というわけで今回の眞白'sチャンネルは、私神元・眞白と」
「……符雨でお送りしましろー」
隣でめちゃくちゃやる気のない符雨がいつものポーズを取った。
「どうしたの、符雨。開幕からそのテンションでは先が思いやられるわ」
「いや……なんであたしがパーソナリティになってるの? おかしくない?」
「でも視聴者さんからの人気がすごいのよ」
「そうじゃなくて! ていうかこのチャンネル普通に視聴者いたの!?」
このノリツッコミが軽快で見ていて楽しい、とはコメント欄(?)より。
「おかしいな、あたしツッコミ役のはずなんだけど……いや役とかないけど……」
「もちろんこのやりとりも切らずに流します。このチャンネルはライブ感がウリなので」
「編集はしてよ!? おかしくない!? ていうかこれ最後の戦いだよね!?」
「それではいってみましろー」
「ていうかそのフレーズ、あんまり汎用性なくない!?」
飛威は何も言わない。だって彼女が撮影役だから。
で、やってきたのはスカイツリーゲイン塔。
……の上に作り出された、大祓骸魂が運営する屋台である。えっ?
「いらっしゃいませ……愛の籠もった品々をご賞味あれ」
大祓骸魂はたすき掛けをし、髪を結った給仕スタイルでにこりと微笑んだ。
なぜかパーソナリティをやらされている符雨より、よほど給仕らしい姿である。
「店主さんはとても若く見えますね。いつからこのお店を?」
「つい先日、虞で環境を書き換えまして。店を開きました」
「なるほど……こんな見晴らしのいい場所にあるのはそれが理由なんですね」
「私は究極妖怪。ならば、料理もまた究極であるべき……そう考えています」
「理想が高いのはいいことです。華やかなお店の雰囲気も素晴らしいですね」
「なんでお嬢は普通にオブリビオンと会話してるの???」
そんなやりとりをしていると、ことり、とテーブルに置かれる料理。
いかにも小料理店に出てきそうな、酒のつまみになりそうな品のいい料理だ。
「いただきます」
「いやだからなんで普通に食べるの???」
「どうぞ、おあがりください」
「なんでそっちも普通に受け入れてるの???」
眞白は一口食べ……ほう、とため息をついた。
「さすが、自負するレベルが上がります。立地や内装も素晴らしい出来栄え。
今回は文句なしの☆5のお店。究極のお味が楽しめる屋台、皆様もどうぞ」
「これから倒すんだから来店とかなくない!?」
「次の品が出来上がりました。おあがりくださいまし」
「普通に料理出てきてるし!? ……ああもう、あたしも食べる!」
「それでは皆さん、また次回に」
結局、飛威も含めてたんとごちそうになったそうです。いやこれ何?(素)
大成功
🔵🔵🔵
ナミル・タグイール
㉓トレンディ
なんでもありにゃ!?なら金ぴかいっぱい出してもらうにゃ!
超どでか金ぴか斧に超どでか金ぴか王冠にー!ジャラジャラ金ぴかアクセもほしいにゃ!
全身金ピカで埋めても満足できないにゃ!金ピカ想像しまくって金ぴかお宝の雨を降らすデスにゃー!
全然金ぴかじゃない奴には負けないにゃ。
敵がなにか出してきても金ぴかパワーと物量で押しつぶすにゃ!
金ぴかは最強デスにゃ!
【呪詛】で欲望を増やして全部全部出してもらうにゃー!
でっかい斧とか剣とかも想像して降り注がせてザクザクにゃ!
全部ナミルのだからにゃ!
敵がなにか良い金ぴか想像したら強奪にゃ!欲しいにゃー!
周りの金ぴかと呪詛パワー全部乗せの突撃ざっくりにゃ!
●Gold is strong.
そこはバズリトレンディの御殿めいた、豪華な空間だった。
ライスシャワーのように溢れ出すのは札束である。そう、Money!
「にゃー!! ここはもしかして、なんでも手に入るというアレですにゃ!?」
ナミル・タグイールはふたつの色を持つ目をキラキラ輝かせた。
お宝、黄金、レア物。そういう言葉にナミルは目がない。
であるからして、彼女は大祓骸魂を倒すということなどすっかり忘れていた。
「金ぴか出てこいデスにゃ! 超どでか金ぴか斧に超どでか金ぴか王冠にゃ!!」
ナミルのストレートすぎる欲望が働き、出てくるわ出てくるわ黄金の山!
ナミル以外には振るえないであろう重さの純金の大斧やら、
巨人の首でも折れてしまいそうなほどの巨大かつ鈍重な黄金の王冠などなど。
「にゃはー!! 最高デスにゃー!! でもまだまだ黄金がほしいにゃー!!
ジャラジャラ金ぴかアクセにー、金ぴかブーツに金ぴか手袋デスにゃーっ!!」
黄金は非常に重い。なので、出てくる品はどれもずしん!! と床を割る。
ナミルはウキウキキラキラした表情でそれらをひょいと拾い上げるのだ。
鬼に金棒、猫に怪力。呪詛を複合付与されてもへこたれない女は無敵だった。
「……醜いものですね。なんて浅ましい欲望でしょうか……」
次々に黄金アイテムを生み出すナミルを、大祓骸魂は軽蔑した。
そんな彼女を飾り立てるのは、色とりどりの七宝の数々。
身に纏う虞もあって、その姿はまさしく神智を超えた邪神のそれ。
「何言ってるにゃ、金ぴかは最強デスにゃ! 文句は言わせないですにゃーっ!!」
ふしゃーっ!! と毛並みを逆立て、ナミルは大斧で飛びかかった。
がちん! とヤマーラジャ・アイビーと、黄金の大斧とがぶつかり合う。
宿した霊力の差か、黄金はビシビシとひび割れ……砕け散った!
「にゃーっ!?」
「浅ましい欲望が生み出したものなど、その程……」
「金ぴかたくさんにゃ! 持ち帰りやすくなって最高にゃー!!」
「……え?」
予想していたのとまったく違う反応に、大祓骸魂は目が点になった。
「もっともっともっと金ぴか出てこいにゃ! 全部全部出すにゃー!!」
飛び出す斧! 剣! 槍! 盾! 様々な黄金の武具の数々!
それらは恐るべき重さを持ち、避けねばならない飛来物として降り注ぐ!
「な……!」
「むふふーもっともっとデスにゃー! 金ぴかで埋め尽くすですにゃー!!」
そしてナミル自身も攻撃がどんどん鋭くなっていく。呪詛と黄金パワーだ!
大祓骸魂は妖怪たちを集めて力を高めようとするが、ナミルの欲望は底なしだ!
「突撃いくデスにゃー!! うりゃりゃりゃーっ!!」
「こ、こんな浅ましい存在に、私が……っ!?」
究極妖怪をすら困惑させる欲望は、ある意味最強なのかもしれない。
ともあれ呪詛を載せた必殺の突撃を受け、大祓骸魂は大ダメージを喰らった!
大成功
🔵🔵🔵
秋山・軍犬
※屋台グルメを食べまくる
という訳で、店主(大祓骸魂)のおすすめお願いね!
折角だから店主も一緒に飲んで色々と話そうず!
でさ~、色んなグリモア猟兵さんが
アンタの事、救えないって言ってんすけど~ひどくな~い?
【Q】出したりギャグ方面に振り切れれば
ワンチャンあるなんて事は~?
ま、無理なら無理で残念だけど
それならせめて軍犬はアンタの事を忘れない
その為にプレボ:屋台グルメを選んだんだよぉ!
美味しい飯を食べさせたくれた奴を忘れない
一緒に楽しく飯を食べた奴を忘れない
それがフードファイターッ!
…おっと、店主に作らせてばっかじゃ悪いっすね
折角だから自分も何か作るわ、何かリクエストある?
さあ、楽しく食べて飲もうぜ!
●そこはもう揺るぎないので……
「あのさ~、ひどいと思わな~い?」
スカイツリーゲイン塔……になぜか出現した屋台で、秋山・軍犬が管を巻く。
「アンタのこと、色んなグリモア猟兵さんが救えないって言ってんすよ~。
こんな美味い料理に酒出してくれるし、いけると思うんすけどねえ~!」
「ふふ……面白いことを言うのですね、猟兵よ」
一緒にお酒を飲みつつ、大祓骸魂はにこりと笑った。
「私は骸魂そのもの……骸魂を生み出す根源であり、究極妖怪にして邪神です。
私は何を言われようと、この愛しきUDCアースを滅ぼすつもりなのですよ……?」
たとえギャグに振り切れようがなんだろうが、そこは変わらない柱だ。
ゆえにこそ大祓骸魂はフォーミュラ足り得、そして強大な邪神足る。
軍犬は取り付く島のない言葉に、はぁーと酒臭い息を吐いた。
「じゃー仕方ないっすねー、せめてアンタのことを忘れないようにするっす」
「忘れられていたからこそここまでこれた私に対して、そのようなことを……」
「そんなの関係ないんすよ! 美味しい飯には国境も敵味方もなしッ!」
軍犬はぐっと拳を握って力説した。
「美味しい飯を食べさせてくれた奴を忘れない!!
一緒に飯を楽しく食べた奴を忘れない! それがフードファイター!」
「そうですか……なら、あなたも骸の海で永遠になってみるのはどうです?」
「あ、いやそれは勘弁っす。だってうまい飯食べれなくなるし」
調理姿の大祓骸魂がスッとヤマーラジャ・アイビーを取り出すとさすがに引いた。
軍犬はため息をつく。なぜ世界はもっと飯で平和になれないのかと……。
「まあ今は食いまくるっすよ! いくらでもグルメを出してこいっす!」
「では……私が愛しい世界を埋め尽くせるか、あなたが食べつくせるか……」
「楽しく勝負と行こうじゃないっすか! 負けないっすよ!!」
敵と味方、仇敵同士。変わらない、変えられない関係。
まったく気の抜けた状況だが、だからこそふたりは楽しげに見えた。
そこには軍犬なりの、フードファイターとしての敬意と信念があるのだろう。
成功
🔵🔵🔴
アルトリウス・セレスタイト
最後なれば手は抜かん
戦況は『天光』で逐一把握
攻撃には煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し阻み逸らし捻じ伏せる
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給
★真の姿
能力行使時に僅か、背後に覗く亀裂の向こう
無限に広がる透明な空虚
真なる全が故の絶無こそ灰色の男の本質
絢爛を起動
起点は目の前の空気
破壊と因果の原理を以て戦域の空間を支配
範囲内全てを隙間なく破壊の原理の刃で斬断する
因果の原理を以て「オブリビオンとその攻撃」のみを討つ
虞、刀、妖怪。一切逃さず斬滅するのみ
かの赤い瞳の姫にはやや怒られそうだが
手を抜けぬ故、勘弁願うしかあるまい
※アドリブ歓迎
●一切斬滅
――大祓骸魂。
大いなる邪神の一にして太古の究極妖怪。骸魂を生み出す諸悪の根源。
これと和合する道は一切なく、そもそもからして他の妖怪と構成が異なる。
カクリヨファンタズムにおけるオブリビオンとは、妖怪と骸魂の複合体だ。
未練ある骸魂が妖怪を喰らうことで、結果としてオブリビオンが生ずる。
だが大祓骸魂は違う。ゆえに、救済の余地は存在しない。
――そもそも、尋常の戦士であれば、そんなことを考えている暇がない。
荒れ狂う彼岸花と、神智を超えた膨大なる虞。
このふたつを前にして、救済などという考えを抱ける余裕を持つかどうか。
その時点で大きな選別が行われる。残れるものはそうそう居まい。
アルトリウス・セレスタイトのような強者ですら、遊ぶ余地はないのだから。
「ああ、愛しきUDCアース。あと一刺しで私の願いは叶います――」
「させん。この世界も、カクリヨも、その他も。何もお前は滅ぼせはしない。
滅ぶのはお前であり、虞もその刀も、妖怪を集めたとて一切逃さん」
アルトリウスの掌握した空間と、虞とが見えないままにぶつかり合う。
大祓骸魂は蠱惑的に踏み込み、アルトリウスに手招きした。
「ならば、来るがいいでしょう猟兵。この私の愛を否定してごらんなさい」
「――手は抜かん。全力で行くぞ」
ぶわっ、とアルトリウスの纏う無限の圧が増した。
破壊の原理の刃が振るわれるたび、わずかに開いた亀裂の絶無が煌めく!
脳裏によぎるは赤い瞳の姫――だが、これは必要経費というものだ。
「勘弁願うしか、あるまいな」
狂い咲く彼岸花と虞のヴェールを切り裂き、アルトリウスが到達した。
原理の刃は因果の原理を以て、大祓骸魂の存在のみを斬り裂くのだ!
「かは……!?」
親分たちですら太刀打ちできぬ虞を超えたものに、大祓骸魂は瞠目した。
これが猟兵。オブリビオンの天敵にして、生命と世界に祝福されしもの……!
成功
🔵🔵🔴
森宮・陽太
【WIZ】
アドリブ大惨事大歓迎
選択:⑯
あ、あー…どこかで見たテレビ番組の予感
って ま た お ま え か !
(「大祓百鬼夜行⑯〜オブリであそぼ!」で登場したワーズ・キュレイっぽいメイド姿の敵が登場 ※メイド姿の大祓骸魂でも可)
何かあの時のメイドと違う気もするが
もう幼児化はごめんだ
三度目の正直、真面目にやらせてもらうぜ!
「高速詠唱」+指定UCでスパーダ召喚
スパーダの紅の短剣1000本全てに「属性攻撃」で炎を纏わせ
「制圧射撃、蹂躙」で炎の豪雨のように降らせてやらあ!
俺自身は炎の豪雨の隙間を「見切り」ながら一気に走り抜け
大祓骸魂に接近後「ランスチャージ、串刺し」で心臓ぶち抜き
とっとと骸の海に還れ!
●オブリであそぼ! 2nd season
「皆さん、オブリであそぼ! の時間ですよ」
「「「わ~!!」」」
優しく笑う大祓骸魂に群がる、ちびっこ(骸魂に喰われた妖怪の皆さん)たち。
その光景に激しい既視感を覚えた森宮・陽太は、頭を抱えた。
「どこかで見たテレビ番組の予感がしたと思ったら、またこれかぁ~~~!!」
そう、オブリであそぼ! すでに討滅されたあの変態メイド野郎の番組だ!
……大祓骸魂は、なんでこんなもんを選んでしまったんだろうか?
「さあ、猟兵。あなたも折り紙とかダンボール工作とかをするのです。
そして戦う理由を忘れて、骸の海で永遠になるとよいでしょう……」
大祓骸魂は笑顔でにじりよる。陽太は激しい恐怖を感じた。
「くっ、もう幼児化はごめんだ! 三度目の正直、真面目にやらせてもらうぜ!」
陽太が紅き短剣を召喚すると、大祓骸魂は彼岸花を生やしそれを防御!
「この番組はよい子が工作したり歌を歌う番組なのですよ、猟兵……」
「それが世界の破壊とどう関係あるんだよ!?」
「このままいけば、私の愛しいUDCアースがそういう世界になります」
「それが目的なのか!? それでいいのかフォーミュラーッ!!」
陽太はよくなかった。なので、断固拒否の姿勢で短剣を生み出しまくった。
大祓骸魂は少しずつにじり寄ってくる。その笑みが、コワイ!
「うおおお、心臓をぶち抜いて――!!」
突き出した一撃、しかしヤマーラジャ・アイビーでいなされた!
「諦めなさい、猟兵。さあ、まずは楽しいダンボール工作から始めましょうね」
「や、やめろ! 俺はそんな形で永遠になりたくない!
せめてシリアスに戦って倒れるのがまだマシだろ! 正気に戻れ!!」
「怪我をしないように軍手をしておきましょうね。ふふふ」
「ウワーーーーーッ!!」
その後陽太がどんな目に遭ったのか……それは書き記すことは出来ない。
とにかく陽太が「もうあんな教育番組はごめんだ」とトラウマを負ったことは間違いない……。
苦戦
🔵🔴🔴
水鏡・多摘
⑳電話ボックスを壊さない(以下略)
邪神滅ぶべし。虞などに負けぬ必ずこの世界から滅ぼしてくれようぞ。
…この電話ボックスから大祓骸魂が実体化するのか?
龍符に式神を降霊、周囲を囲ませ龍脈からエネルギーを吸収させ結界術の準備を行う。
準備完了したら電話をかけ召喚、同時に祟り縄で縛り遠くに放り投げつつ結界を構築。
結界の維持は式神達に任せ祟り縄で大祓骸魂の攻撃を叩き落す、或いは空中浮遊と空中機動で自在に飛び回り回避。
ただしボックス集中して狙われるなら結界張りつつ庇い破壊を防ぐ。
攻撃は祟り縄に紛れさせ龍符でUC起動、念動力で操り貼り付け、封印出来たら全力の火炎ブレスを吹き付けてくれよう。
※アドリブ絡み等お任せ
●電子の世界より
大祓骸魂の生み出した世界は、カクリヨの鏡像めいていた。
UDCアースでは忘れ去られたものが、あちこちに散乱するゴミ捨て場めいた光景。
その中には、携帯端末の発達で使われなくなった公衆電話も存在する。
「……なるほど、この端末を通じてUDCアースの情報社会を破壊しようてか。
たしかに大祓骸魂が社会上に実体化してしまえば、致命的な一刺しになろうな」
水鏡・多摘はひとつうなずき、結界の準備をした上で例の番号を鳴らす。
「メリーさんの電話」は、本来であれば使われない、ありふれた都市伝説だ。
しかしそれが、電子の世界から彼奴を呼び戻すアリアドネの糸となる!
「――これは」
バチバチバチバチ! と電光を放ち、大祓骸魂が実体化した。
多摘はその身を即座に祟り縄で捕縛し、電話ボックスから引きずり出す。
「なるほど、猟兵――あなたが、私の一刺しを邪魔したのですね?」
大祓骸魂は全身を祟り縄で戒められてなお、不敵に笑っていた。
直後、その小柄な身体から、膨大な虞が噴出し祟り縄を破壊してしまう。
式神たちが張る結界も、虞のプレッシャーに引き裂けんばかりだ!
「……邪神滅ぶべし。いまさら虞などに負けはせぬ!」
これまでの戦いが、多摘に力を貸してくれた。
虞の圧力に負けることなく、多摘は危険な攻撃を空中浮遊によって回避。
見た目は美しい彼岸花の数々は、その実獲物を呪い殺す呪詛の塊だ。
蔓延る根を竜の神力が引き裂き、掲げた龍符から膨大な霊力が溢れ出した!
「その身、封印させてもらうぞ。この世界から滅ぼしてくれようぞ!」
「……く……!」
多摘が瞬間的に見せた爆発力は、大祓骸魂の想像をすら超えていた。
七星七縛符がその身を戒め、今度こそ完全に身動きを奪う。
たった数秒のチャンスを逃す多摘ではない。肺いっぱいに息を吸い込み――。
「……かぁっ!!」
鋼鉄すらも飴細工めいて融かす、憤怒の龍息を解き放った。
「私の愛を、邪魔しないで……!」
「汝のひとりよがりな愛など認められるものか。この世界は、この世界の人間たちのものじゃ!」
火炎が大祓骸魂を包み込み、燃え盛る龍炎の中から絶叫が響き渡る――!
成功
🔵🔵🔴
リーオ・ヘクスマキナ
戦場:⑨(大群かぐや姫)
アドリブ歓迎
止めるよ、その愛。止めるとも、その滅び!
……って、勇んで来たんだけども。俺じゃやっぱり力不足か
数が多い上に本体も強いと来た
悔しいけど仕方ない
赤頭巾さんも随分やる気になってるし、今回はお任せするよ
UCを使用後、気絶したリーオの身は"赤の女王"が確保
一旦空中に退避して距離を取り、妖怪達を視界の中に
魔眼で石化させて意識諸共封じ込め、無力化
リーオに貸していた障壁魔術を"足場"代わりに空中での急な方向転換や
障壁=方向転換と印象付けた上でのフェイントを織り交ぜつつ
高速の大鎌の斬撃で攻め続ける
*
言いたい事は多いけれど、今はこの言葉だけ送るわね
……墜ちて貰うわ、"先輩"!
●かぐや姫が来る!
カクリヨめいた空間に蔓延るのは、無数の竹、竹、竹。
それらはまるで蛍のように淡く輝き、共鳴するように明滅している。
明らかに尋常の事態ではない。リーオ・ヘクスマキナは身構えた。
「この空間も再現してるってわけか……となると、出てくるのは!」
彼が警戒した瞬間、竹が内側から爆ぜ、小さな妖怪たちが飛び出した。
ただしそれは、カクリヨで異常発生したかぐや姫たちとは似ても似つかない。
どれもが醜悪なカリカチュアライズめいた、邪悪な人形の群れである!
「ふふ……待っていましたよ、猟兵。この大群、あなたに止められますか?」
人形の群れを率いるのは、無論大祓骸魂である。
いわばこれは百鬼夜行。ならば、大祓骸魂の力が強まるのは自明の理か!
「くそ、さすがに数が多い……それに、本体も……ッ!」
圧倒的な数の差で追い詰められたリーオは、悔しげに呻いた。
力不足が身に染みる。勇み足だったことを認めざるを得ないことが歯がゆい。
前に立ってかぐや人形の猛攻を払う"赤頭巾"の背を、リーオは諦めた顔で見つめた。
「――仕方ない。今回はおまかせするよ、赤頭巾さん」
瞬間、膨大な虞がリーオの意識を刈り取る。そして彼は闇に沈んだ……。
――直後!
「言いたいことは多いけど……それでいいのよ、今は!」
赤の女王へと変じた赤頭巾が、魔眼の力でかぐや人形を封じ込める。
さらに障壁魔術で空中に足場を作り出し、大群を超えて大祓骸魂本体へ!
「堕ちてもらうわ、先輩! さあ、喰らいなさいッ!!」
「その力は――くっ!」
予想外の猛追に、大祓骸魂の作り出した虞の防壁も切り裂かれた。
血まみれの大鎌が少女の姿をした邪神を切り裂き、彼岸花が血に染まる。
赤の女王の怒りは、フォーミュラを相手取ったとてなんら減じることはない。
人ならざる化け物同士のぶつかり合いが、月の見下ろす中で開幕する――!
大成功
🔵🔵🔵
御門・白
④真の姿
夜闇が溢れるキャバリアと共に
殲禍炎剣が狂わなければ、故郷もこんな世界だったのかな
行こう、ツクヨミ
道術で空を踏みしめ大祓骸魂へ
こわい武器
地雲薙剣を携え【切り込み】、攻撃を【見切り】切り払う
これは永遠をも絶つ神器
死という永遠があなたの武器なら私はそれを分かつ
そのまま大祓骸魂へ【呪詛】を飛ばして攻撃
さぁ、あなたを骸の海へ還すときが来た
全てがひとつでは詰まらない
全部が同じになったときに、そこに残るのって本当に愛?
私は、違うと思う
どの世界へでも妖怪と人間が再び共存するのは難しいかもしれない
でももう一度繋がったのだから
不可能だとも思わない
かつて夜に互いの存在を感じたように
私はそんな夜を見守る妖怪
●夜の闇のしじまに
ツクヨミの関節部から、夜の闇が溢れる。
墨めいた黒は、光を通さぬ闇。だがそれは、静かなる癒やしの色でもある。
人は夜に眠る――眠りとは死のきょうだいであり、ゆえに魂を癒やす。
そして妖怪たちが、人の寝入った闇にひそかに暗躍するのだ。
昼と夜。交わらぬも両立した陰と陽めいたそのふたつが、世界を構成する。
どちらが駆けてもならぬ。どちらも有益で、どちらも害ある側面を持つのだ。
昼だけが続けば、作物は枯れ人々は安らぎを見いだせず妖怪の居場所はない。
夜だけが続けば、人々は通りを歩けず恐れ震えているしかないだろう。
生と死もまた同じ――それは両立されるべきもので、繋げるものではない。
ゆえに、夜を率いて御門・白は空を駆ける。
いびつなる仮初の幽世は、アトランダムで……それゆえに美しい。
「殲禍炎剣が狂わなければ、故郷もこんな世界だったのかな――」
世界を分断した狂った空の暴君。人々の交流を妨げるもの。空のあるじ。
それがある世界では、白とツクヨミはこうして空を歩くことすら出来ぬ。
……もっともこの幽世にもまた、不遜なる王は君臨する。
招き入れるように彼岸花に包まれたもの。神智を超えた虞まとうもの。
「あなたは……不思議ですね? 妖怪でありながら、人の血も感じる……」
大祓骸魂は超然と微笑み、手に持つ短剣を無数に複製した。
それは鈍ら刃だ――だが本質は切れ味ではない。"こわい武器"だ。
「来るのですね、大祓骸魂」
白を受け入れたツクヨミは、地雲薙剣を構え、飛来する刃を弾いた。
がきん、がきんと火花が散り、夜の闇を星のように照らす。
「これは永遠をも絶つ神器。死という永遠があなたの武器なら、私はそれを分かつ」
「いいえ、そんなことは出来ません。まもなくこの愛しい世界は永遠となる」
「――あなたの願う終焉(とき)は、決して訪れない」
呪詛が大祓骸魂を襲う。見えざる虞のバリアが受け止め、炸裂した。
漆黒の稲妻めいた呪詛の残滓が飛び散り、大気を揺らす。
「あなたは骸の海に還り、この世界には昼と夜とが分かれたまま戻るのですから」
ふたつの刃がぶつかり合う。火花越しに女たちは睨み合った。
「すべてがひとつに、永遠に眠ることこそが幸福なのに」
「すべてがひとつではつまらない。私はそう思います」
「あなたは、私の愛を理解してはくれないのね」
「――いいえ、違う。あなたのそれは、愛ではない」
夜が彼岸花を呑んだ。気づけば、刃の複製はどこにもない。
その縁を、因果を――虞すらも、ツクヨミは断ち切ってしまったのだ。
「これは――!」
「妖怪と人間が再び共存する世界は、とても難しいかもしれない」
ツクヨミが刃を両手で握りしめる。
「でもこの戦いは、異なる世界を繋げた。なら、不可能だと私は思わない。
……かつて夜に互いの存在を感じたように、そんな世界も、いつかは」
ならば己は、夜のはざまに立ち、しじまの中から人と妖怪とを見守ろう。
その思いを込めた刃が、大祓骸魂をぐさりと貫いた!
大成功
🔵🔵🔵
ティオレンシア・シーディア
戦場㉓:トレンディ形態
「この戦争でやってきたことなら何でもあり」ねぇ。
…一説には現代価値に直して建造費用およそ15兆円、強化するには十分。
新し親分さんの時にはスペースの問題で自重したけれどここなら問題なし。
…うん、やらない理由はないわねぇ。
――お出でなさいな、
「戦艦大和」!
まあ、さすがに操縦はできないけれど上から落っことせば妨害程度にはなるでしょ。…ゴールドシーンにお願いしたら46㎝砲一発ぐらい打てたりしないかしらねぇ?
その隙を縫ってラド(車輪)と韋駄天印で強化したミッドナイトレースに○騎乗、最大戦速の●轢殺で○騎乗突撃かけるわぁ。
狙いは敵将唯一つ、有象無象は無視して一気に本丸叩くわよぉ。
●戦艦だって金の賜物
「……これ、新し親分さんの時にはスペースの問題で自重したのよねえ」
バズリトレンディ御殿を再現した空間で、ティオレンシア・シーディアは言った。
「自重……? いったい何を生み出そうというのです?」
大祓骸魂は余裕の表情だ。なにせ彼女は太古の邪神、最強の妖怪。
たとえ虞知らずで猟兵が攻撃可能になったとて、彼女の力は膨大である。
ティオレンシアは見たところ術者でも異能者でもない、ただの人間だ。
ならば、神にして妖怪たる己が、何を恐れようか。油断といってもいい。
「そう? だったら遠慮なくやらせてもらうわぁ。やらない理由もないし」
ティオレンシアはにたりと笑った。
「現代価値に直しておよそ15兆円、強化するには十分よねぇ。
……そう、莫大な建造費用がかかったんだから、生み出すことも出来るはず」
「……?」
大祓骸魂は訝しむ。ティオレンシアは……叫んだ。
「――お出でなさいな、「戦艦大和」!!」
すると大祓骸魂の頭上、彼女を影で覆うほどの巨大な質量が顕現した。
そう、戦艦とて金の賜物。この御殿の力を再現したなら生み出せぬはずはない。
まさしく超質量は、それ自体が大祓骸魂にとって脅威となりうる!
「こ、こんなものを――!?」
しかしさすがは究極妖怪にして邪神か。虞の力は落下する大和をすら受け止めた。
だが、そこに間隙がある。それを逃すティオレンシアではない!
「隙を見せたわねぇ? なら、いただくわぁ」
BLAMBLAMBLAMBLAM!! 魔弾が虞を貫き、身動き取れぬ大祓骸魂を貫いた!
「ぐは……!?」
「大将首、いただくわよぉ。これ、戦争だものねぇ?」
女ガンナーの酷薄な笑みは、神さえも恐れさせる!
大成功
🔵🔵🔵
月凪・ハルマ
『戦場:②』
世界を滅ぼしかねないとか、愛が重すぎだろ……
生憎だけど、そっちの望み通りにはさせないよ
◆SPD
即座に真の姿を開放、同時に【瞬身】も発動
UC含む敵の攻撃は【見切り】【武器受け】【第六感】で躱しつつ、
【残像】を残す速度で敵周囲を駆け、手裏剣を【投擲】しまくる
戦闘中は常に【忍び足】で敵の死角へ
同時に敵の様子も【情報収集】
大きな隙があれば【早業】で接近して魔導蒸気式旋棍、または
多少離れた距離からエンジンを起動した天墜を叩き込む
倒しきれなければ再度手裏剣での攻撃に転じる
手裏剣を含む武器一式には【武器改造】【属性攻撃】で
破魔属性を追加しとこう。多少は効果があるといいけど
※アドリブ・連携歓迎
●刃を抜け
手裏剣と鈍ら刃がぶつかり合い、耳障りな金属音の音叉が共鳴した。
悲鳴のようにも聞こえる音の雨のなかを、月凪・ハルマは走り、跳び、伏せる。
あの鈍らには絶対に触れてはならない……ハルマの本能がそう警告していた。
一方で、『生と死を繋ぐもの』を複製し、操る大祓骸魂は、薄く笑っていた。
人の形をしていながら、その表情は人のものから程遠い。
「なぜ私の愛を否定するのです、猟兵よ。私はただ愛しいものを永遠にしたいだけ」
「……世界を滅ぼしかねない愛とか、重すぎるだろ」
真の姿となったハルマの、長い髪がスピードでなびく。
「愛しいと思う気持ちは否定できないよ。けど、問題はそのやり方だ。
どんな理由であれ、世界を滅ぼすようなことを俺は認められない」
「であれば、あなたも骸の海で永遠となればいい」
生と死を繋ぐものが動きを変えた。大祓骸魂を護るように渦巻く。
敵の死角に回り込もうと様子を伺っていたハルマは、舌打ちする。
(こっちの狙いは筒抜けか。派手に動いても意味がない)
ハルマはわざと隙の大きい動きで、敵の注意を散漫にしようとしていた。
そうすることで相手を攻撃に駆り立て、以て間隙を突こうとしていたのだ。
だが、大祓骸魂は、ハルマの狙いをいかにしてか読んでいたらしい。
伊達に究極妖怪ではないということか。腹芸では分が悪いようだ。
ハルマは魔導蒸気式旋棍を構え、鈍ら刃の迎撃に専念した。
複製とてそれは神の武器、喰らえば物理的な傷以上の致命的影響があろう。
必然、ハルマは足を止めざるを得ない。徐々に、攻防の勢いが逆転する。
「永遠となったあなたを、この世界と同じように愛するのもまた一興でしょう」
「……」
「――天敵よ。さあ、静かな眠りの如き死へと……!」
大祓骸魂が直接仕掛けた。ハルマの心臓を狙い、逆手に構えた刃を突き出す!
――だが、ハルマの狙いはそこにこそあった。
「あいにくだけど、そっちの望み通りにはさせないよ」
「!」
ハルマは複製を迎撃しながら、敵が仕掛けてくるタイミングを狙っていたのだ。
一瞬にして大祓骸魂の死角に回り込んだハルマは、旋棍を叩きつける!
「ぐ……!」
オブリビオンの甘言に、ハルマがつけこまれることはない。
敵は必ず倒す。その決意を胸に、ハルマは戦場に立っているからだ。
大成功
🔵🔵🔵
御狐・稲見之守
2:ヒトと同じ故郷を持ちそれを愛す奴
ヒトの熱い心が好きな奴
ヒトのため身を粉にして尽くす奴
ヒトに己と同じ無限の可能性を見る奴
そしてヒトの世界と心中したがる奴
ふふ、どいつもこいつも。
さあ祭りの始まりである、[結界術]で鬼門を開き
こちらから百鬼夜行の音頭を取ろうではないか。
口ある者は声を上げよ 手のある者は打ち鳴らせ
足ある者は踏み鳴らせ さあさあ皆々出ておいで
今宵は宴 百鬼夜行
彼岸の果てまで天下御免の大行列よ
和魂顕現、この幽世で荒唐無稽でないことなどあるものか。
例え彼奴の軍門に下った者であろうと妖怪達の願いはただひとつ。
そしてその願いの力を以て彼奴の纏う虞を祓いのけてくれる。
おい鈍刀、出番だ。
無銘・飯綱丸
2:随分と楽しそうなことだな、女狐。
俺は連中の住処がどうなろうと知ったことではない。
ああそうだな、鈍刀ゆえ百鬼夜行の連中を斬ることは叶わん。
しかし『あれ』は斬らねばならぬ。
鈍刀なれど悪鬼悪霊化生外道ならば是非もなし。
憑鬼断ち、あれが如何なる存在であろうと
骸魂、憑物の類であるならば斬れぬ道理はない。
そのために打ち鍛えられし天狗刀、此処に在り。
腕の一つ二つくれてやる。
例え足や頭をもがれ我が身砕かれ
切っ先の一欠片になろうとあれにこの身を突き立てん。
それこそが我が生、我が理なり。
その末に死するならば無念などない。
――ふ、俺も女狐や連中のように生まれていればな。
●鈍ら、ふたつ
ヒトの熱い心に恋したもの。
ヒトのため身を粉にして尽くすもの。
ヒトに己と同じ無限の可能性を見るもの。
――そして、ヒトの世界と心中したがるもの。
「……ふふ、どいつもこいつも」
御狐・稲見之守は、こみあげてくる笑いをこらえきれなかった。
妖怪というのはなんと愚かで、考えなしで、向こう見ずな輩ばかりなのか。
そのために愛しい世界を離れることを選んだばかりか、身を投げて。
「ふたつの故郷のためなら」などとほざいて、己の最期さえもあっさり受け入れる。
「……ずいぶんと楽しそうなことだな、女狐」
無銘・飯綱丸は硬骨漢めいた無表情のまま、稲見之守を横目に見やる。
感情を押し殺しているとか、そもそも感じない……というよりも、最初からそういう形で造られているというべき、文字通りの鉄面皮である。
「それはそうだろう、鈍刀。なにせこれは祭りの最高潮、クライマックスというやつだ。それになにより、妖怪どもはどいつもこいつも面白いおかしい連中ばかりぞ」
「……俺は、連中の住処がどうなろうと知ったことではない」
飯綱丸は皮肉めかすでも露悪的に振る舞うでもなく、端的に言った。
心の底から興味がない、そういう声音だ。事実、彼はそういうモノである。
稲見之守は飯綱丸をちらりと一瞥すると「そうだろうな」とにべもなく言った。
「どのみちお前に、百鬼夜行(ようかい)どもは斬れまいよ」
「ああ、そうだな。俺は鈍刀だ。斬れるはずもなし」
ぴくりとも動かぬ飯綱丸の表情が、しかし、わずかに動いた。
――見据えるは大祓骸魂。
「しかし、『あれ』は斬らねばならぬ」
悪鬼、悪霊、化生、外道。
人に仇なし悪縁因果をばらまく「害悪なるもの」こそ、飯綱丸の獲物。
太古の邪神?
忘れ去られた究極妖怪?
御大層な二つ名など知ったことなし。斬るべきものであることが重要だ。
ならば、斬る。
是非もなく斟酌もなく、慈悲もなく躊躇もなく斬る。斬らぬ斬れぬ道理もなし。
そのために打ち鍛えられたる天狗刀、瞳に宿すは珠散る氷の如き峻烈な剣気なり。
義憤や義務感、あるいは欲求から来るものではない。
風になびく雲のように、そうであるから斬るという断定的な殺意である。
その在りようもまた面白いとばかりに、稲見之守はくすりと笑った。
稲見之守が見据えるは大祓骸魂――たち。然り、"たち"である。
大祓百鬼夜行。
骸魂に喰われた妖怪たちの集い。
この戦いのためになくてはならなかった敵(もの)たち。
彼らが居たからこそ、猟兵たちは見えざる敵を見ることが出来る。
彼女らが在ったからこそ、今こうして相対することが出来る。
それが大祓骸魂の力になるとは、なんと無情。なんたる皮肉。なんという残酷。
鈍刃にあれは斬れぬ。ならば、千を超える妖怪たちを救う術は非ざるや。
――否。
「大祓骸魂よ」
稲見之守の背後に、荘厳にして古めかしい鳥居が出現した。
見れば彼女の立つ方角は、丑と寅のはざま。北東。すなわち……鬼門!
「祭りはまだまだこれからぞ。百鬼夜行を謳うならばその程度では足るまいよ」
「……ほう?」
大祓骸魂の目が細まった。邪悪害意を隠しもしない、おぞましい笑みである。
何をするのかと値踏みするような、死にかけの虫を見るような目だ。
稲見之守は鼻で笑う。そして彼女は……なんたることか、鬼門を開いたのだ!
「さあ、祭りの始まりである」
ぞろりぞろりと、鳥居をくぐって現れたるは魔縁魔性。
飯綱丸はぴくりと柳眉を揺らす。されどそれらもまた、鈍らには斬れぬもの。
骸魂に喰われた妖怪たちを、稲見之守は自ら招き入れたのだ。
それは大祓骸魂を強めるだけの愚行――だが待て、いや、しかし。
口ある者は声上げよ。
手のある者は打ち鳴らせ。
足ある者は踏み鳴らせ。
サアサア皆ゝ、出ておいで。
今宵は宴、百鬼夜行。
此岸の奥から彼岸の果てまで、天下御免の大行列なり!
「――……これ、は」
大祓骸魂の表情から邪悪害意が消えた。見開かれたその眼は驚愕と云う。
「なぜです。なぜ、私の虞が弱まっている……!?」
然り。本来であれば、妖怪たちの集いは大祓骸魂を強化する。
百鬼夜行が長く恐ろしくなればなるほど、虞はいや増しに強まっていく。
だが。妖怪が来れば来るほど、骸魂が集えば集うほど、力は弱まるばかり!
之は一体何事ぞ? 困惑する大祓骸魂を見、稲見之守は高らかに笑った。
「言ったであろう、これは祭りぞ。この幽世に、荒唐無稽でないことなどあるものか」
稲見之守は云う。
「たとえお前の軍門に降ったとて、妖怪たちの願いはただひとつ。
骸魂だの虞だの関係あるか。これは、妖怪たちの、妖怪たちによる宴ゆえな」
骸魂に喰われようと、軍門に降ろうと、彼らがそうした理由は変わらない。
ふたつの故郷を救う。そのためにこそ彼らは命を賭けた。
ならば稲見之守はその思いを糧に、虞を払うという奇跡を起こす!
「莫迦な……!」
「ありきたりな台詞、実によし。――さて」
ちらりと、稲見之守が男を見た。
大祓骸魂に与する妖怪たち……否、骸魂が溢れかえる。
まさに波濤。
まさに暴威。
咲き乱れる彼岸花の中を、鉄面皮の男はこともなげに歩みだした。
「出番だ、鈍刀。せいぜい斬ってやれ」
「――応」
飯綱丸は歩む。駆ける! 邪怪精魅の只中を!
鈍刀に妖怪は斬れぬ。ゆえに飯綱丸の手足は裂けて砕けて折れて曲がった。
頭を打たれて目玉をほじられ、耳を削がれ肉を剥がされ骨身に届いても、なお。
「な、何故です――何故、そこまでして、止まらないのですか!」
大祓骸魂は恐れた。人も妖怪さえも畏れさせるものが、恐れたのだ。
理解が出来ぬ。それは覚悟や使命感などでかたがつく話ではない。
四肢をもがれ砕かれてもなお止まらず、我が身を狙う? 狂っている!
「これこそ我が生、我が理なり」
まっすぐに、寸分の狂いなく、研ぎ澄まされた声が言った。
「その末に死するならば、無念などない。だが、お前は斬る」
「何故――」
「俺は、そのための器物(もの)だからだ」
竹を割ったような、快刀乱麻を断つばかりの言葉である。
憑鬼断ち。
憑物を斬り、魔縁を断ち、邪怪を絶つ、そのためだけの技。そのためだけの力。
それ以外に理由などない。
それ以外に興味などない。
それ以外に宿業などなし。
――だが。
「…………ふ」
大祓骸魂の寸前に至った男の口元に、笑みらしきものがあった。
「俺も、女狐や連中のように、生まれていればな」
死闘の刹那、泡沫めいて浮かんで消えた、他愛もない思考。
ありえざる可能性、考えたところで意味のない戯れじみたただの暇。
だが、あゝ。
祭りに騒ぐあれらの、なんとまあ……。
「俺にしては、珍しいこともあるものだ」
剽……と。
飯綱丸が、大祓骸魂の背後に降り立った。
「鬼を斬るにあって、よそ事を考えるなど」
遅れて剣閃がほとばしる。その様、地平線より昇る旭の如し。
太古の邪神何するものぞ、これなるはただ魔を斬るための天狗刀。
その刃は、生死を超えて――邪神の核へと、然と届いたのである。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
尾守・夜野
②連係の方
「あら理解出来てしまうのだわ」
凄く共感するし心苦しいわねぇ
私も好きな相手は殺したくなる口だから
まぁ理解も納得出来ても受け入れるかは別問題だし仕舞われる趣味はないのだけど
此度は他の人格より思考トレースしやすそうという事で私(女性人格)が行かせて貰うわ
懐刀には十分気をつけるわ
私は別人格みたいに希死念慮とかないし
御免被るのだわ
他の妖怪も死なぬよう目を配るわ
むむ増えたわね…
こちらも頭数を増やしましょう
既に死した彼らであれば貫かれようと死にはしないでしょう
まぁ操ってる私も含め私の頭は一つだから疲れるけど
手に持つ物や飛んでる物への盾班
攻撃班
陽動班にわけ他の猟兵と連係し戦うわ
カタリナ・エスペランサ
②
この世を滅ぼす愛というものかしら
なら、その愛を得られなかった者は貴女を屠るにはお似合いかもね?
【失楽の呪姫】発動、魔神の魂の《封印を解く》事で真の姿(※イラスト参照)を解放
骸の海に未来の居場所は無いの
未来(私)を否定する過去(貴女)を。未来(私)から世界を奪う愛(貴女)を、赦しはしない
敵の攻撃は《見切り》《空中戦》の機動力で回避
劫火の《焼却+ハッキング+属性攻撃》と黒雷の《鎧砕き+貫通攻撃+属性攻撃》を合成
《天候操作+地形破壊+神罰》の嵐と為して空間ごと《薙ぎ払い・吹き飛ばし》て敵UCの懐刀に対処
仕上げに《全力魔法》でそれを束ね敵本体に叩き付けるわ
聖暁の威を此処に。過去の残影は消え去る時よ
ユエイン・リュンコイス
戦場② アドリブ連携歓迎
愛故に、か。生憎とボクは未だその様な情動を抱いた事は無い。故にその想いの深さを真の意味で理解する事は難しいだろう。
だが、その熱量ならば。刃を交える事によって識る事も出来ようさ。
全身に灼熱の装甲を纏い、迸る絶焔によって彼岸花を焼き払いながら戦おう。火は古来より邪を祓うとされる存在。取り分けこの刀は焔と言う点では一級品だ。相手にとって不足もないだろう。どれ、その懐刀と一つ勝負と行こうか。
異能はギリギリまで発動の機を窺う。生半な熱量では逆に呑まれるのがオチだ。こちらも全身全霊の一刀をこそ放つべきだろう。
ボクの経て来た道程も決して軽いものではない。
故に……神へ叛逆仕る、ってね。
蛇塚・レモン
戦場:②(真の姿&連携して戦う)
遂に……ここまで来たよ、大祓骸魂っ!
あたい達は無限に成長して、連携して、どんな強大な壁だって超えられるって学んだっ!
碎輝くん、あたい達をどうか見守っててっ!
真の姿『旭日の竜神』に
そしてUCで535体の埴輪兵団を乗せた巨大化した蛇神様……有翼八首の八岐大蛇を召喚!
あたいも蛇神様も真の姿に!
虞は埴輪兵団の水盾で遮るよ
あたいの鏡盾も使ってオーラ防御+全力魔法+結界術の三重壁で遮って破魔+浄化
足元の彼岸花は兵団の霊剣とあたいの蛇腹剣の斬撃波の弾幕乱れ撃ちで切断!
トドメは蛇神様の八首ブレス(衝撃波+なぎ払い)とあたいのオーラガンの呪殺弾!
これがっ!
成長と結束の力だぁーっ!
●連撃の果て
「――来なさい、私の愛しい仔らよ。百鬼夜行を此処に……」
ぞわりと"虞"が膨れ上がり、カクリヨめいた空間に次元の門が開かれた。
闇よりもなお濃い黒の奥、溢れ返るは魔物の群れ。
……すなわち骸魂に喰われた妖怪たちの成れの果て、百鬼夜行のごく一部。
いまだ調伏されぬ妖怪たちが、大祓骸魂の手となり足となり、力を与える。
「……ついに、ここまで来たよ、大祓骸魂っ!」
まるで海の波濤じみた大群に、真っ向立ち向かうは蛇塚・レモン。
「あたいたちは無限に成長して、連携して、どんな強大な壁だって超えられると学んだっ! 碎輝くん、あたいたちをどうか見守ってて……っ!」
祈るレモンの髪が力になびき、金色が内なる輝きに太陽の如く発光した。
かくして降臨するは、旭日を背負いし霊幻晴妙なる竜の神。
さらに彼女の背後には、翼を持ち八つの首をうねらせた神話の大蛇が顕現する!
「――八岐大蛇、竜神の血。なるほど、またしても私に歯向かうのですね」
大祓骸魂はすっと目を細め、忌々しき旭の輝きに薄い笑みを浮かべた。
「何故、誰も私の愛を理解してくださらないのでしょう。この胸を焼く愛おしさを。
私はただ、愛するものを永遠にしたい……それだけを願っているというのに」
「……愛ゆえに、か」
謳うような大祓骸魂の言葉に、ユエイン・リュンコイスが反応した。
「あいにくと、ボクはいまだそのような情動を抱いたことはない。
だから、キミの言う想いの深さを、真の意味で理解することは難しいだろう」
ミレナリィドール――造られしものである彼女は、妖怪とはまた違い人ではない。
身を焦がすような情動を、塔の上の人形は知らぬ。だから怒りも憎めもしない。
彼女が此処に立つのは、猟兵であるがゆえであり、そして……もう一つ。
「だが、その熱量ならば、刃を交えることによって識ることも出来ようさ」
ゴウ――!! と、ユエインの身体を超高熱が包み込んだ。
身に纏うは灼熱の装甲、漆黒の瞳は火眼に染まり、手に持つ刀は天を焦がすよう。
……理解。たとえ相手が邪神であろうと究極妖怪であろうと、ユエインは理解を求む。
それが、彼女らを骸の海へと還す己の責任であると、考えているがゆえに。
大祓骸魂がヤマーラジャ・アイビーを鞘走ると、それは無数に分裂した。
複製品でありながら、空中に浮かぶ刃はどれもが同じ権能を持つ。
"生と死を繋ぐもの"の銘――つまりは、世界さえも「殺す」絶対的異能を。
「――行きなさい」
刃の群れが殺到した。切れ味は鈍ら以下、だがその刃は受けてはならない!
「……この世を滅ぼす愛。永遠にしたいという願い。そういうのもあるのでしょう」
だがその刃の雨は、割って入ったカタリナ・エスペランサによって弾かれた。
彼女の姿もまた、常と異なる光輪と白い神衣――真の姿へと変じている。
「なら、その愛を得られなかった者は、貴女を屠るにはお似合いかもね?」
にこりと微笑む表情は、輝くような神威と裏腹にあまりにも酷薄だった。
ユエインが理解を求め、レモンが背負うもののためにここに立つのだとすれば、
カタリナが抱くものは純然なる敵意――和合不可能の天敵に対する殺意。
「骸の海に未来の居場所はないの。未来(わたし)を否定する過去(あなた)を、
未来(わたし)から世界を奪う愛(あなた)を、私は決して赦しはしないわ」
追放されし魔神の欠片を宿したその身の力は、永遠さえ終焉させるほどだ。
過去を、神というものを憎悪するカタリナにとって、目の前の少女は不倶戴天。
大祓骸魂ほどのオブリビオンでもなければ、相対するだけで消し飛ぶ神気。
それを浴びてなお、邪神は嗤っていた――なおも流入する妖怪たちの力が此処に。
「……理解できてしまうのも困りものだわ」
そんな三者と裏腹に、尾守・夜野は心苦しいといった面持ちで零した。
彼女――彼の肉体は紛れもなく男性のものだが、多重人格者である夜野は女性人格を表出させているゆえにこう記す――には、大祓骸魂の理屈が理解できる。
いや、共感してすらいた。彼女もまた、好意と殺意が一体になっているゆえに。
だからこそこの人格が表に出てきた、という事情もあるにはあるが、
あまりにも理解出来てしまうがゆえに、彼女は少々の気まずさを感じていた。
「まあ、理解と納得が出来ても、受け入れるかは別問題だわ」
夜野は飛来した鈍ら刀をキン! と弾き、殺意で澄んだ瞳で大祓骸魂を見る。
「おとなしく仕舞われる趣味も私にはないの。だから、あなたを殺してあげる」
「それは、私の愛を奪うということですね。そんなこと認めません」
大祓骸魂の虞が圧を増す。可視化されるほどの圧倒的質量……!
ただ其処にあるだけで空間が悲鳴を上げ、天地が恐れ慄き震え上がった。
だが、猟兵たちは怯まない。彼女たちには伝授された虞知らずの力がある。
「あたいたちに、そんな虚仮威しは通用しないよっ!!」
「――ボクたちの経てきた道程は、決して軽いものではないんだ」
「神威で気圧されるほど、ヤワな戦いはしていないのよ」
「言ったでしょう。私にとって、あなたは恐れる相手ではないのだわ」
……否、訂正しよう。
虞知らずの力。親分たちの課してきた試練と、妖怪たちの覚悟に対する報い。
それはある。だが、彼女らがまっすぐと前に進むのは、それだけではない。
彼女たちが、猟兵が持つ信念の強さと、鍛え上げてきた力。
それがあるからこそ、想いと覚悟を背負って彼女たちは相対しているのだ――!
鈍ら刃の雨。
無数の妖怪たちの跳梁跋扈。
そして、具現化した虞とそれによって蔓延る狂気の彼岸花。
どれ一つとて無視できる規模の攻撃ではなく、またいずれも致命的だ。
「私の愛で、あなたたちを包み込んであげましょう」
地に、いや空間に根を張り、彼岸花が猟兵たちを飲み込まんとする。
「そんな攻撃、あたいたちの盾があれば!」
衝撃波じみた虞は、レモンと彼女に従う埴輪兵団が前に出て盾で受け止めた。
三重の結界壁は、発狂あるいは圧死を招く虞にすらも堅牢、揺るぎなし!
「七代永海筆頭八本刀が六、煉獄・赫――邪神の狂い花とて焼き切ってみせる!」
ユエインは燃え盛る剣を振るい、狂気満ち満ちた彼岸花を灼いていく。
火とは古来より、邪を払うとされる存在。人類が手にした始原最強の「力」。
炎は水際で彼岸花を食い止めるどころか、逆に虞をその熱量で脅かす。
「あたいも、蛇神様も、みんなも! こんなところで、止められはしないよっ!!」
そう、防ぐのではない。レモンの盾は突き進む破城槌でもあるのだ。
いのちを塵芥のごとくに押し潰そうとする悪意を、跳ね除け進む生命の矛。
絶焔が渦巻、霊剣と蛇腹剣が乱れ飛び、狂気の雲霞を払い除け、前へ、前へ!
「私の慈愛さえも、受け入れてくださらないなんて……ひどい人たちですね」
大祓骸魂は少女めいた形をしていたが、浮かべる表情は人のそれではない。
喜・怒・哀・楽の軛を外れた、人と似たしかしまったく異なる精神。
それが邪神。
それが究極妖怪。
それが、大祓骸魂……!
虞による攻撃が通用しないと考えた大祓骸魂は、さらなる複製体を出現させた。
未だ開かれたままの門からは無数の妖怪が雪崩込み、猟兵に襲いかかる。
無論、大祓骸魂が、妖怪たちをわざわざ避けてやる義理も人情もない。
猟兵の足止めをさせつつ、妖怪ごとヤマーラジャ・アイビーで貫くつもりだ。
「……私はあいにく、他の人格と違って希死念慮とかないの。
それに、あなたのさせるがままに、妖怪たちを殺させるのも気に入らないわ」
夜野はその悪意を見抜き、妖怪たちを庇うようにして刃を撃ち落としていく。
だがいくら切り払っても叩き落としても、鈍ら刃は増えていくばかり。
夜野は舌打ちし、刻印から死したるキメラの群れを"還元創造"した。
「こちらも頭数を増やしましょう……つかの間の外よ、堪能なさいな!」
解き放たれた合成獣の群れは咆哮し、自ら盾となって刃を受け止めた。
その間に夜野は『怨剣村斬丸』を振るい、妖怪ではなく骸魂だけを斬る。
「闇雲に動いても埒が明かないわ。陽動班が攻撃をひきつけなさい。
タイミングを合わせて攻撃班が大祓骸魂を叩くのよ。言うことを聞く!」
暴れ狂うキメラの群れを、たったひとつの脳で制御するのはひどいハードワークだ。
ずきずきと痛む頭に顔をしかめながら、夜野はひたすらに防御を続けた。
ただの一体も妖怪を殺させない。それがこの戦争の至上の勝利だ。
「いつまでも、調子に乗っているんじゃあないよ――!」
レモンとユエインによる制圧に乗じ、カタリナが空を舞う。
虹色の翼がはためくたび、水の飛沫めいて劫火と黒雷が空間を焦がした。
ひときわ強く翼を打てば、炎と稲妻は巨大な嵐と化して大祓骸魂を飲み込む!
「なんて恐ろしい力……ですが、それさえも殺してみせましょう」
生と死を繋ぐものが嵐を切り裂く。鈍らとて神の器か!
「甘いわね。こっちに意識を向けた時点で、詰んでいるのよ」
「――!」
今しがたの攻撃は、大祓骸魂をして無視できぬ規模の一撃だった。
それゆえに妖怪たちや複製体ではなく、本体が直接防御した。必然の行為だ。
そこに間隙がある――虞が薄らいだ瞬間、レモンは猛進し制圧圏確保!
「な……」
「逃さないよ! これがっ! 成長と結束の力だぁーっ!!」
無数の霊剣が防御壁めいた虞を切り裂き、大祓骸魂を縫い止める。
そこに八岐大蛇のブレスが凝縮され、レモン渾身の呪殺弾が赤黒い球体となって放たれた!
「が、は……ッ!?」
虞というヴェールを失った大祓骸魂は、この強烈な攻撃に耐えきれない。
たまらず吐血しダメージに身悶えし、隙を晒す。続けざまのユエイン!
「燃え立つ焔は天を焦がし、邪を討つ輝閃は空を断つ――受けよ、焔閃」
神へ叛逆仕りし必殺の刃が、ごうっ!! と炎の円弧を描いた。
練り上げた絶焔が、肉体を……いやさ、神の核とも言える存在を焦がす。
「ああああああっ!!」
味わったことのないすさまじい熱量に、大祓骸魂は苦しげに叫んだ。
「今よ、合わせるのだわ!」
さらに機会を伺っていたキメラたちの一斉攻撃が怒涛となる!
趨勢は逆転し、妖怪たちを吐き出していた空間の虚門は薄らぎ消えた。
もはや大祓骸魂を護る力のソースはない――そこへ! 駄目押しのカタリナの嵐!
「聖暁の威を此処に――過去の残影は、消え去る時よ」
絶殺の刃を砕き、骸魂を滅ぼし、彼岸花を引き裂き、嵐が神を貫いた。
「わ、私の、愛が、永遠が、ああああ……っ!!」
大祓骸魂は苦痛と恐怖に悲鳴を上げた。
無数の骸に君臨せし無敵の究極妖怪は、もはや此処に非ず。
此処に在るは天敵にして仇敵。猟兵に狩られるべき、一匹の獲物に過ぎぬ――!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
御影・しおん
【ボーナス:㉒カード弾幕に対処する】
あら、これは……紙札?
いえ、これは……虞を込め「呪符」としたのね
確かに「召喚」や「魔法」と書いてあるようだし、
今のこの地なら本当にそういう力を持ったとしてもおかしくはない
…でも、そう簡単にこの世界を汚染させる訳にいかないのよ?
『暁の翼影』からの集束光にUCの封剣も使い弾幕を張って迎撃する
落しきれなくても、彼岸花は封剣での封鎖と境界線で囲み隔離するわ
ふふ、確かにわたしは防ぐので手一杯
でも『影刃縛』『影竜』による不意打ちはどうかしら?
……それに、この物語を終わらせるに相応しいのは
過去の残滓(わたしたち)ではなく、猟兵(かれら)だと思わない?
※アドリブ他歓迎です
●ピリオドの資格
「あら、これは……紙札?」
御影・しおんが拾い上げたのは、「デュエリストブレイド」のカードだ。
当世から長く離れたしおんにとっては、得体の知れない紙束にしか見えない。
だがそこから感じる「虞」に、しおんはなるほどと合点した。
「この玩具に虞を込め呪符としたのね。そして――」
空を仰ぐ。……降り注ぐ、無数のカード。いや、虞を纏う呪符!
「そう簡単に、この世界を汚染させるわけにはいかないのよ?」
しおんの隣に浮かぶ結晶体が、翼のような形をした影法師を伸ばす。
そこから溢れた光はレンズのように集束し、レーザーめいて呪符を焼き払った。
もうもうと立ち込める煙の向こう、浮かび上がるのは彼岸花の影……!
「……御影・しおんが命ず。閉じ、絶ち、封じよ!」
背中から飛び出すように出現した封剣が、呪符を切り裂いて飛んだ。
電子のように乱舞する封剣が、空間に這う彼岸花の根を切り裂く切り裂く切り裂く!
「……無駄なあがきをいつまでも続けるのですか、堕ちた竜神よ」
大祓骸魂は、余裕の表情でしおんを見下ろした。
完全なる邪神と、かつての力のほとんどを失った抜け殻。
どちらが上かは言うまでもない……呪符の物量までも向こうにあるのだ。
「いつまで、ね。それはもちろん、あなたを倒して戦いを終わらせるまでよ」
しおんは不敵に笑った。ふたたび呪符が溢れ、境界を徐々にこじ開けていく。
神智を超えた虞の前には、しおんの権能とて役に立たないというのか!?
「諦めなさい、そして受け入れるのです。世界を終わらせる私の愛を……」
「――それはわたしが決めることではないわ」
しおんの眼は、死んでいない。
「あなたの愛を受け入れるのも、拒むのも、いまを生き未来を掴む生命の権利。
わたしはただ、その手助けをするだけ……あなたはそもそも考え違いをしてる」
境界線がはちきれんばかりに広がる。だが!
「わたしは、過去の栄光にすがるような三流と違うのよ?」
「――!!」
大祓骸魂の身体を、影の刃が縛り、貫いていた。
「わたしの力が失われているなんて、そんなこととっくに分かってるわ」
防戦一方のように見せかけて、しおんは不意打ちを画策していたのだ。
大祓骸魂は、強い。だがそれゆえに獲物を見下す癖がある。
強大な存在がかならず持つ隙……それは太古の邪神とて例外ではない。
「わたしもあなたも、過去の残滓。この物語では脇役もいいところなのよ。
物語を終わらせるにふさわしいのは、猟兵(かれら)だと思わないかしら?」
「……か、は……ッ」
「一方的な愛って、醜いわね」
封剣が領域を拡大する。呪符と虞を、完全に封鎖し、封印し、滅殺した!
しおんの強みは権能ではない――強かさと、意思の強さにこそある。
大成功
🔵🔵🔵
九頭竜・聖
②
真の姿にてお相手を
今一度世界を守護するためにどうか偉大なる御身の威光を御見せくださいませ……
【祈り】と共に身を捧げ、乞い願う龍神様の名は優鉢羅様
意識すら手放し、お呼び致す姿は十二柱
その御力にて咲き誇るは無数の草木
複製される懐刀すべてを草木の根が、蔓が、枝が捕らえましょう
死してもまた別の草木が捕らえるのみ
草木の奔流にてその姿も沈めましょう
貴女様の愛した花はきっと限りある生の中だからこそ美しかったのです
そうでなくなれば、きっとその花はもう貴女様の愛した花ではなくなる
そう、わたくしめは思います
※真の姿は完全なトランス状態
外見に大きな変化はないが召喚した龍神の意識へ完全に体全てを明け渡しています
●花の美
――草木が咲いている。
生と死を繋ぐものを優しく抱きとめ、厳しくも戒める草木が。
生命迸る草木は、たとえ鈍ら刀で斬られ払われてもまた萌え出る。
自然とはそういうものだ。生と死は常に表裏一体で、循環することで完成する。
生と死を繋ぐもの、という銘を与えられたそれを、自然が絡め取り無力化する。
なんとも皮肉めいた話だ。生と死は繋がらないからこそ完全なのだ。
大祓骸魂は、端正な顔を苦渋に顰めた――それは認めがたい結論ゆえに。
「――偉大なる桃の龍神様。優鉢羅様」
九頭竜・聖の目は遠くを見ていた。四肢はゆるゆるとそよぐように舞う。
「御身の御力を此処に。偉大なる御身の威光を、どうかお見せくださいませ。
いま一度世界を守護するため。未完成で未熟なる世界を終わらせぬために……」
もはや、聖の身体は一縷たりとて彼女のものではなくなっている。
意識さえも手放した聖は、ある意味で龍神の操り人形と化していた。
――指先が大祓骸魂を指し示せば、草木はめきめきと大樹に拠り合わさっていく。
枝を払い、根を斬ろうとする鈍ら刀を取り込んで、長く、高く、太く伸びゆく。
「こんな……忌々しい、龍の力ごときで……」
「――貴女様の愛した花(せかい)は」
聖が言葉を紡ぐ。それは、龍神が言葉を紡ぐことを許したため。
完全なる供物と化した聖には、呼吸をする権利さえ存在しない。
言葉を発するなどもってのほか。彼女の五体と魂は龍のためにこそある。
「きっと、限りある生(とき)の中だからこそ、美しかったのです」
「何を――」
「そうでなくなれば、きっとその花はもう、貴女様の愛した花ではなくなる」
草木が、芽吹く。
折られた枝の断面から新たな枝が萌え出て、花を咲かせる。
美しい花だった。生命力に満ち溢れた、燃えるような、輝くような花。
「そう、わたくしめは思います――」
「認めません……私の愛は、永遠は、間違ってなど」
揺るがぬはずの太古の邪神が、畏れを抱いた。
草木は繁茂し続ける。究極妖怪を飲み込み、滋養とし、さらに高く、高く。
天まで手を伸ばすように伸び続ける。どこまでもどこまでも。
愚かで傲慢で、命短く、だが美しいいのちを描くように。
どこまでもどこまでも、高く、高く――いのちは紡がれていく。
大成功
🔵🔵🔵
アリス・レヴェリー
戦場⑮
わたしの真の姿は背中から棺の別れ花のように生えたホルンや、丈の長いドレスなこともあってあまり動き回れないけれど、どの道彼女の懐刀をわたしが避けきるのは難しいもの。正面から立ち向かうわ
まずは背面のホルン達『友想器』を用いてその音色でお友達の幻獣の力を借りながら牽制しつつ、『刻命の懐中時計』の結界で懐刀を一時的に遮断
その隙に【交響鈴舞曲『真鍮』】を発動
重なる音によって懐刀を少しの間でも無効化できたら全力で全ての『友想器』を奏でて、獅子が吼えるような大地の炎を、鯨が歌うような海の波濤を、空を往く大鷲のような星の輝きを一斉にぶつけるわ
……救えないとわかっていても、わたしはあなたを絶対忘れないから
●救えずとも
この戦争が常のものと異なる最大の点は、「救える」ということだ。
そもそもカクリヨにおけるオブリビオンは、他の世界とは厳密には異なる。
骸魂が妖怪を喰らい変化したものを指すのであり、妖怪とイコールではない。
ゆえに、救える――そして事実、猟兵たちはすべての命を受け止めてきた。
ただひとつの例外が、目の前に立つもの――すなわち大祓骸魂。
太古の邪神にして究極妖怪たるその身は、始原の一、つまりはフォーミュラ。
救う、救えないの話ではない……「これ」自体が、骸魂の大元なのだ。
ゆえに強大であり、
ゆえに邪悪であり、
ゆえに、救えない。
――ゆえに、アリス・レヴェリーは戦う。
嵐のように渦を巻く刃の壁を前に、アリスは背中のホルンから勇壮な音を奏でた。
幻獣たちが音の波に応え、焔や雷、あるいはその身で刃を防ぐ。
かそけき努力ではある……複製の数はひとつふたつで効くものではない。
十二層の結界をもってして受け止め、それでもなお足りるかという波濤だ。
アリスがもっと機敏な猟兵であれば、他の方法があったかもしれない。
しかし、彼女にはこれしかない……ゆえにこうするしかないのだ。
なによりも。
「交わし、響かせ、ひとつの音へ――!」
音の波は空間に反響し、寄せては返し、重なり、交わり、より大きな波へ。
共鳴と連鎖が旋律を無限に高めていく。アリスそのものがひとつの楽器となる。
義憤? いいや、アリスの心に怒りなどない。
ならば、使命感? それも違う。
彼女をひたむきに戦わせるものは、たったひとつの願いにある。
「――救えないと、わかっていても」
アリスは歌(ことば)を紡いだ。
「わたしは、あなたを絶対忘れないから――」
「……!」
視線が交錯する。神と人形との視線が。
オブリビオン。
忘却の名を与えられたもの。
世界が未来へ進むために生まれる、必然の廃棄物。
倒さねばならない。そこに異論はない。これは世界を護るための戦い。
猟兵(おのれ)はそういうものであり、さもなくば世界が滅びる。
必然の戦いに異議はない。だから、せめて。
「……わたしは、正面からあなたに立ち向かうわ。この心に刻むために」
音の波動が、生と死を繋ぐものを砕き、吹き飛ばした。
一瞬の静寂――次いで、万雷の音が空間をひずませた。
「すべての力を、叩きつけてあげる――ッ!!」
獅子の咆哮のような大地の炎が、
鯨が歌うような海の波濤が、
空を征く大鷲のような星の輝きが、ひとつところに。
「私は――愛のために、帰ってきたのに……」
威力に、神が呑まれた。
「……誰もがあなたを忘れなければ、違う結末もあったのかしら」
最後に溢れた言葉は、音の波にさらわれて消えていった。
大成功
🔵🔵🔵
スサノオ・アルマ
【戦場18】
・戦法
ユーベルコードで昔に存在した英雄たちを呼びだしてUDC-Nullへの対抗をする
鬼を退治したという武者
天狗を斬ったという剣豪
大百足を討った武士
大妖狐を追い詰めた軍勢
人間を守るため戦った英雄たちを呼び、いにしえの合戦を再現
同じユーベルコードで同時に呼び出した数多の妖怪たちを使い、民間人の救助と大祓骸魂との戦いに挑む
◆
どうかな、懐かしい?
ぼくはこの世界の神じゃないから彼らのことよく知らないけど、きみは知ってるのかな
それじゃお祭りをしよう
きみは彼岸花を出す、ぼくは昔の人間たちを出す
きみは妖怪を呼ぶ、ぼくも昔の妖怪を呼ぶ
みんなで大喧嘩だ。きっと楽しいね
●祭りも喧嘩も派手でこそ
「来たれ、来たれや……私の配下。私のしもべ。私に従う百の鬼たち。
来たりて戦え。来たりて群れなせ。私のために、私の愛のために……」
骸魂に喰われた妖怪たちが、文字通り列を……いや、波となって溢れ出した。
それだけではない。空間そのものに根を張る狂気の彼岸花が咲き誇る。
大祓骸魂の虞は最高潮にあった。矮小な存在ならば消し飛ばすほどの威圧感。
――これに対するは、こちらもまた黄泉帰った者たちである。
鬼を退治したという武者もいれば、
天狗を斬ったという剣豪、
はたまた大百足を射殺した武士。
大妖狐を追い詰めた勇ましき軍勢……。
いにしえの昔、この日本で、人間と陽の世界を護るために戦った者ら。
すなわち、英雄英傑。眠りし英霊の魂が、ここに化身していた。
「――どうかな、懐かしい?」
スサノオ・アルマは、こてんと首を傾げてみせる。
「ぼくはこの世界の神じゃないから、彼らのことはよく知らないんだ。
けれど、かつてこの世界に、おそらくはこの国に居たきみは知ってるのかな」
「……よくもまあ、旧い者たちを呼んだもの」
大祓骸魂は目を細めた。
「けれども数に明らかな違いがありましょう。その程度で何ができると?」
「お祭りだよ」
スサノオはけろりと言った。
「……は?」
「足りないならもっと呼ぼう。人間だけじゃない、妖怪たちもだ。
きみは彼岸花を出す。ぼくは昔の人間たちを出す。
きみは妖怪を呼ぶ。ぼくも昔の妖怪を呼ぶ。みんなで大喧嘩だ」
今度は、スサノオのほうが目を細めた。
「――きっと、楽しいね」
鬨の声が響く。英傑たちは妖怪と肩を並べ、死を恐れずに雪崩を打った。
世界のため、人間のため、信じるもののために命を落としたもののふどもである。
いまさら二度死ぬのが怖いはずもなし。その意気たるや、軒昂!
虞など欠片ほども抱かずに、骸を斬る。穿つ! 祓う! そして進む!!
「こ、れは――」
大祓骸魂の脳裏に、在りし日の決戦が去来した。
己を呪った碎輝と親分たち。多くの妖怪と、人間と、その他のものども。
世界は彼女を忘れた。だが彼女は忘れてはいない。
ゆえに大祓骸魂は識る。追い詰められた人間たちの、底意地の恐ろしさを。
「さあ、もっともっと派手にやろう。だって、これはお祭りなんだから」
スサノオは微笑んでいた。その笑みからは意図は読み取れない。
「きみの愛した世界で、お祭りをしよう。――きみも、楽しいだろう?」
趨勢は逆転した。虞が、消えていく。
時を超えてなお、世界を守ろうとする意思が、邪悪の愛を否定する!
大成功
🔵🔵🔵
薬師神・悟郎
カイム(f08018)
プレイングボーナス:②
他の猟兵と連携して戦うことで得られる恩恵
その相手が親友であるなら、俺には効果的なはず
頼りになる相棒と共に挑もう
中衛にて初手UC使用
毒使い、マヒ毒を矢に付与し弓にて攻撃
また暗殺の容量で敵の致命傷になりそうな箇所を積極的に狙いつつ、部位破壊を試みる
敵の技は野生の勘、第六感で察知からの咄嗟の一撃、カウンターにて迎え撃つ
破魔による属性×範囲攻撃で一気に叩き落とす
回避不可であればオーラ防御でダメージ軽減
万が一、カイムの負担が大きくなればタイミングを合わせて立ち位置を交代
彼が態勢を立て直すまで前衛を努めよう
だが、出来るだけ早く戻ってきてくれると助かる…!
カイム・クローバー
悟郎(f19225)
②
共に行こうぜ、親友。
止められますか?だって?逆に聞かせて貰うぜ。
――俺達に止められねぇと思うか?
魔剣を構えて前衛で。悟郎の動きは手に取るように分かる。
【挑発】して、注意はこちらに。永遠にしたいだって?世界はアンタのモンじゃねぇ。其処に生きる全ての人のモンだ。独占したいってのは子供の我儘だぜ?
黒銀の炎を纏わせて【属性攻撃】。懐刀は魔剣を一薙ぎして【焼却】しつつ、入れ替わるように悟郎と立ち位置を変えて。
一瞬の間の後で、UC。距離を無視して悟郎のすぐ隣に出現。紫の閃光は相対する大祓骸魂には随分、眩しく映るんじゃないか?
フィナーレだ、悟郎!派手に一緒に決めるぜ!【串刺し】を放つ。
●最高にして最強の力
「なぜ、私の愛を否定するのです? あなたたちにも愛はあるでしょう」
生と死を繋ぐもの、ヤマーラジャ・アイビーを手に、大祓骸魂は言う。
謀りや戯言などではない。心からの、本当に、心底不思議そうな顔で。
「愛しきものと永遠にいっしょにいたい。愛するものに永遠でいてほしい。
それがひとの望みでしょう。それがひとのねがいでしょう。
ならば私も同じこと――ただ、そのために世界を殺すというだけなのに」
「……だとさ。皆無、お前はどう思う?」
薬師神・悟郎に水を向けられ、カイム・クローバーはくくっと笑った。
「ああ、たしかにそれはある。だが、叶わねえ願いってのが世の中にはあるのさ。
そもそもだ。永遠にしたいだって? 世界はアンタのモンじゃねえんだよ!」
黒銀の炎がまっすぐに薙いだ。遅れて、剣閃が飛来する懐刀を切り払う。
「世界ってのは、そこに生きるすべての人のモンだ。
独占したいってのは子どものワガママだぜ? 手がつけられねえよ、なあ?」
「……子どもね。言い得て妙だ。厄介ってところも含めてな」
悟郎は苦笑した。彼は子どもの類がどうにも苦手なのだ。
あの邪神の目はよく似ている。穢れを知らぬ無垢な連中の眼差しに。
だが、悟郎は大祓骸魂を恐れてはいない……なぜなら似ているが「違う」からだ。
子どもには、仕方ないなと思わされるものがある。人は愛嬌と言うのだろう。
あいにく健やかに愛でて見守れるほどまともな人間ではないが、あれは「違う」。
「――子どもよかタチが悪い。付ける薬がないとは、このことさ」
澄み切った邪悪。和合不可能の狂気。そういうものだ。
太古の邪神。究極妖怪。なるほど、救えないというのも納得できる。
対して大祓骸魂は、悲しむでも憤るでもなく、くすりと笑った。
「なら、止めてみせてください。私の愛を否定し、拒絶するのなら」
さらなる複製が無数に出現する。鈍らとて油断できたものではない。
世界をすら「殺す」刃は、喰らうすなわち死である。それが生と死を繋ぐもの!
「来るぞ、カイム!」
「わかってるさ、親友。ともに行こうぜッ!」
ガキン、ガキ――ゴォウッ!!
カイムの豪剣が懐刀を切り払い、黒銀の炎が鋼を融かす。男は燃えていた。
義憤? 使命感? 名誉欲? 否・否・否。そんなものは些末な話だ。
「俺らの流儀でやるだけさ! 相手が神だろうが妖怪だろうが悪魔だろうが!」
「ああ、隣にいるのがカイムで、本当によかったよ」
相棒/親友と肩を並べて戦う。一切の気兼ねなく、全力で、全霊で。
それが楽しいのだ。たまらなく! なにせ、どんな敵にも負ける気がしない。
太古の究極妖怪? 何するものぞ。ここに在るは最強のタッグなり。
言葉を交さずとも、視線を向けずとも、ふたりは一心同体のように連携する!
「……あなたたちのその力は、一体――?」
大祓骸魂は訝しんだ。
常に立ち位置を入れ替え戦う悟郎とカイムの動きは、一切の淀みがない。
思考を察する隙もない。そもそも意思確認を行う様子までもが。
神は思う――あれは何かのユーベルコードによるものなのか、と。
そうでなければ、彼らは霊的に繋がりを持つのか、あるいは呪いによるものか。
どれも否だ。そんな御大層なものでも、頼りない繋がりでもない。
信頼と、理解。男たちにはそれがあり、それだけで十分なのだ。
剣が焼く。
矢が射抜く。
鋼の嵐をくぐり抜け、男たちは狂気の大元へとまっすぐに進む。
弱き生命ならば存在さえも許されない虞など、蚊ほども効いていない。
「そろそろ仕掛けるか――タイミングは合わせろよ、カイム」
「言われなくてもそのつもりさ。そっちこそ遅れるなよ?」
最高にして最強の力は、とっくにふたりの手の中にあるからだ。
訝しむ神の視界を、太陽の如き紫電の閃光が灼いた。
「く――!?」
「フィナーレだ、悟郎! 派手に決めるぜ、一緒にな!」
「ああ――こいつで終わりだ。受け取れ!」
ぎりぎりと引き絞られた弓弦が解き放たれ、矢が迸った。
大祓骸魂はとっさに撃ち落とそうとする。だが、そこで気がつく。
まったく同じタイミングに、カイムの魔剣が突き出されていたことを。
どちらかしか防げぬ。
――ならば、どちらも防げない。
「あ――」
鏃と剣とが、同時に神を貫いた。
太古から巣食う狂気など、男たちの友情を揺るがすにはあまりにも足りない。
邪神さえも討ち倒す。それが、悟郎とカイムというタッグの力だ!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルヴトー・シフトマン
クラリスさん(f30400)と
真の姿+連携
相手はこの戦争の首魁、失敗は許されない
だから──たとえ危険でも、やるしかない
時間障害が来ようと、開放するッ!!行くぞォッ!
クラリスさんに支援を任せて、前に出る
90秒を超える未来視が俺にはある
飛んでくる懐刀の悉くを弾き、撃ち落とすッ!!
クラリスさんに飛ぶであろうそれは、最優先で対処だ
タイミングを合わせて、一気に仕掛ける!
<霹靂剛拳>の出力を限界まで引き上げて、拳圧で懐刀の群れを吹っ飛ばす
同時に一気に接近して、<烈震砕牙>を両手持ち、全リソースを注ぎ込む
一発が必殺の破壊力を持つコイツを、9連発だ
その狂おしいまでの愛ごと叩き切って、この戦争を終わらせるッ!
クラリス・クレスト
【戦場②:連携・真の姿】
ルヴトーさん(f31792)と
これでこの戦いの趨勢が決まる
だから絶対に負けられない
機体との接続を深化・完全同期
学習力で戦場地形と敵陣容を把握
瞬間思考力で最適行動を導き出し
十全の力で彼を援護する
彼が撃ち落としきれない刀はボクが落とす
ルヴトーさんへ向けられた攻撃は絶対に通さないし
相手が彼の射程外へ逃れるのも許さない
クラウ・ソラスのチャージが完了したら
斉射で刀を吹き飛ばして、彼の行く道を空けるよ
戦いが終わったとき、ボクの今持っているもののいくつが残るだろう
なくすのが、今はこわい
でも、それでもいいと思えたんだ
このヒトを絶対に死なせたくない
それが叶うなら、なんだって捧げられるって
信念。
こだわり。
義務。
欲求。
ヒトは、礎にするなにかがある。
ボクにはない。
あるとすればそれは、何度差し出しても残るたったひとつの景色だけ。
青い、青い空――真っ青で、澄んだ、誰も邪魔するものの居ない、空。
夢の源泉。
でも叶うことなら、いまだけは――。
●ねがい
どんなものにも代償はある。
得たならば与えねばならない。
掴んだぶんだけ失わなければならない。
時間(いま)を。
記憶(じかん)を。
それでもふたりは戦う。
ルヴトー・シフトマンは刻を超えに超え、90秒先の未来を見る。
次の代償は何日続く? どれほど時間は「ちぐはぐ」になる?
知ったことか。負けられない戦いに負けることだけは、許せない。
狼として。
猟兵として。
男として。
だからやるしかない――いいや、そうしたい。だから、そうする。
刀が来る。生と死を繋ぐもの。ヤマーラジャ・アイビー。
ことごとくを弾き、撃ち落とし、切り払い、青い鳥を守り庇いひたすら防ぐ。
「負け、て――」
弾く。
撃ち落とす。
切り払う。
「たまる、か」
護る。
庇う。
防ぐ。
「負けて! た・ま・る・かァアアアアアアアッ!!」
弾く撃ち落とす切り払う護る庇う防ぐ戦う戦う戦う戦う戦う戦う!!
時の流れをなぞり破り逆らい従い導き導かれ、狼が咆哮する!
「――……」
クラリス・クレストには、何もなかった。
深化・完全同期により、部品(かのじょ)から人間性は一切奪われた。
感情も、
情動も、
懊悩も、
恐怖も、
喜・怒・哀・楽の一切を差し出し、薪として、闘志という名の炎を……いや。
人間性はガソリンだ。駆動するための燃料であり、火種ではない。
最適な行動を脳(ぶひん)が弾き出す。それに従い部品(からだ)が動く。
機体(じぶん)がどこまでも一体化していく。重力から解き放たれる。
解放感すらもない。それで当然、それが必然。もう彼女には何もない。
「死なせたくないんだ」
否。
「このヒトは、このヒトだけは、絶対に死なせたくない」
こわいという気持ちを、「それでもいい」と思えた。
「だから、なくしてもいい。ボクがボクでなくなってしまってもいい」
クラリス・クレストは部品であり、自我の有無は問題ではない。
人間めいたその名は製造番号と変わらず、アイデンティティは性能にこそ。
「ボク」が揺らぐことなどない。むしろ人間性を萌芽させることがイレギュラーなのだ。
いずれなくなるものを惜しむ必要はない。機能を発揮できない部品は、ゴミだ。
それでも。
「だからボクは、なんだって捧げる。心も、記憶も、いのちだって」
刀を撃ち落とす。ルヴトーが彼女を護るように、彼女もルヴトーを護る。
負けられない。負けることを機体は想定していない。
――違う。この世界が滅びることだってイヤだ。でも、一番は。
(このヒトのねがいを、叶えてあげたい)
不敗剣(クラウ・ソナス)が時を告げた。
ルヴトーにはすでに見えていた。だから、互いに言葉はない。
(行くよ、ルヴトーさん。ボクが道を拓くから)
(わかってるよクラリスさん、俺が決めに行く)
そんな言葉も、必要ない――ただ、光芒が必然の灼熱を放ち、鋼を焼き切る。
88秒前に見えていた景色が今に追いつく。ルヴトーの意識は89秒先にある。
「お――オオオオオオオッ!! 行くぞォッッッ!!」
拳を握りしめる。
信念を、怒りを、命を、覚悟を――想いを、そこに込める。
「その狂おしいまでの愛ごと! 俺たちの牙で!! 叩き切ってやらァッッ!!」
拳がすべてを吹き飛ばし、狼の牙が神に届いた。
勝利を目指し、若者たちが命を燃やした力が、届いた!
「ああああ――!?」
悲鳴。ルヴトーはさらに牙を深く、鋭く、重く、抉りこむ。
今このときは、これでいい。だからこそこの九撃は成った。
時間がバラバラになるとしても。
記憶が白く消えていくとしても。
後悔はない――ただ、ねがいと恐怖だけが、心に残っていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎
プレボ…屋台グルメを食べまくる
やっほー!
よかったー、まだやってた
あんまり楽しくて、ここに来るまで時間がかかっちゃった
間に合わないかと思ったよ
ほらほら!美味しいもの食べさせてくれるんでしょ?
ボクはブリトーがいいな!
最近南米料理にはまっててー〆はぜったいそれにしようって決めてたんだー
南米って知ってる?地球…UDCアースの南にあるらしいよ!
●ごちそうさま またいつか
ん~!美味しかった~!
ねえ、次はいつ来る?
こんなイベント、一度で終わらせるのはもったいないよ
そうだねー、千年に一度くらい…じゃ待ち飽きちゃうな
そうだ百年!百年に一度にしよう!
だからさ
百年たったら、また帰っておいで!
●百年経ったら
「やっほー!」
なぜかスカイツリーゲイン塔に作られた妖怪屋台に、ロニ・グィーの影。
本当に決戦に来たのかってノリだが、決戦に屋台って時点でアレな話だ。
「ようこそ、私の究極妖怪屋台へ……」
そして大祓骸魂も乗り気だった。味も究極ということらしい(?)
「よかったー、まだやってた。あんまり楽しくてここまで時間かかっちゃってさ」
ロニはツッコミを入れるでもなく、ニコニコした顔で席に座った。
「究極の屋台っていうなら、どんなものでも出してくれるんだよね?」
「ええ。ただし、世界を埋め尽くす勢いですが……」
「ボクはブリトーがいいな! 最近南米料理にハマっててねー」
〆は絶対それにしようと思ってたんだ―、などと言いながら注文する。
南米……それもUDCアースの一つ。大祓骸魂が知らぬはずもない。
「他にも南米料理をお作りしましょうか……? それとも、別の国のもののほうが?」
と言っている間にも、暴走した印刷機めいた勢いで屋台グルメが飛び出す。
ロニは胃袋も神様ということなのか、ものすごい勢いでもりもり食べていた。
「いいよいいよ、どんどん出しな! ボクはいくらでも食べれちゃうからね!
どうせなら食事もお祭りみたいに楽しくいこうよ! キミもどう?」
「私は屋台のあるじですので……」
「あーそっかー! じゃあそのぶんもボクが食べちゃおうかなー!」
敵と味方とは思えない会話である。
……まあ屋台のカウンター挟んでる時点で大概なのだが。
そんな具合で、ロニは常人には絶対できない勢いで食事を消化していった。
その最中、ロニはふとこんなことを言う。
「ねえ、キミさ。次はいつくる?」
「……は?」
思わず大祓骸魂も手を止めた。
「だってこんなイベント、一度で終わらせるにはもったいないじゃん!
そうだなあ、千年に一度くらい……じゃ、待ち飽きちゃうかな」
ロニはケロッとした顔で言った。
「そうだ百年! 百年に一度にしよう!」
「……」
「だからさ。百年経ったら、また帰っておいで!」
「……不思議な神ですね、あなたは。あなたも猟兵でしょうに」
「まあね! でもそれ以前にボク、神だし。楽しいことは大好きだから!」
大祓骸魂が浮かべた笑みの意味はわからない。
呆れか、喜びか、あるいは……それはロニにしかわからないのだろう。
成功
🔵🔵🔴
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
【指定:④(真の姿)】
大祓骸魂さん。
本当はよォ、アンタの想いも分からなくもねぇんだわ。
アンタに似た想いを持ったオブリビオン、アタシは知ってるのさ。
アタシのダチだった奴なんだけどな、帰りたい、帰りたいってね。
けれど……帰って何かを台無しにするんじゃ、
どこに浮かぼうにも浮かばれねぇよ。
だから準と同じく……骸の海で待ってやがれ!
『騎乗』しているカブを漆黒の形態へ変化させ、
一直線に『ダッシュ』し突っ込む。
加速で生じた『衝撃波』を『範囲攻撃』として、集まろうとする妖怪どもを蹴散らし、大祓骸魂への道を切り拓く!
後ろに乗る奴ぁ乗っとくれ、【サイキック・ブレイカー】でカチ込むよ!
●骸の海で待っていて
「――本当はよォ、アンタの想いもわからなくもねぇんだわ」
溢れ出す妖怪と戦い戦い、倒し倒し、それでも立ち続ける数宮・多喜。
ライダースーツはあちこちが裂け、顔は土で汚れ、口の端からは血が流れる。
そんな状態で多喜が口にした一言は、猟兵として驚くべき言葉だった。
「アタシのダチだった奴なんだけどな……そいつはずっと言ってたんだよ。
帰りたい、って……UDCになってまで、そいつはこの世界に帰ろうとしていた」
大祓骸魂はにこりと笑みを浮かべた。
「ならば、何故私に抗うのです? 何故、私の愛を否定するのです?
あなたにもまた、愛していたものがあったのでしょう。猟兵よ」
「……"だからこそ"だよ」
多喜は拳を握りしめる。
「帰りたいって気持ちはわかるさ。けど、そのために何かを台無しにするんじゃ、
帰れなかったとしても、たとえ帰れたとしても何もかも意味がなくなっちまう。
どこに浮かぼうにも浮かばれねぇ……だから、アタシはアンタにやらせない!」
ゴアアオオン! と轟音をあげて、相棒のカブが駆けつけた。
それは漆黒の形態へと変じ、多喜は軽やかにその背に跨る。
群がる妖怪どもをサイキックエナジーで吹き飛ばし、多喜は進む!
「この世界には、アンタと同じように愛するものを持つ人がたくさんいるんだよ!
その人たちの愛を無駄にはさせねぇ、だから! 骸の海で待っていやがれ!!」
真の姿となった多喜とカブのエナジーは、あらゆる骸魂を吹き飛ばす。
撥ねられた妖怪たちからは害悪なるものだけが吹き飛び、骸の海へと還した。
スピードは加速する。目指すべきはその中心、大祓骸魂のみ!
「喰らいな、サイキック・ブレイカァーッ!!」
膨大なエナジーが虞れを吹き飛ばして、嵐めいて大祓骸魂を飲み込んだ。
妖怪たちの跳梁跋扈で強化されたパワーをして、なおも一方的なダメージ!
それが多喜の決意であり、今日までの歩みであり、覚悟の表れだ!
「ああ、猟兵……相容れないもの……あなたたちは――!」
大祓骸魂は切なげに顔を歪め、膨大なエナジーに飲み込まれた。
多くの骸魂が消し飛び妖怪は弾き飛ばされ、空いた空間で多喜はドリフトする。
ギャキキ! とブレーキ音を響かせて、多喜は悲しげに邪神を見た。
「……準と同じようにさ。いつか永遠になる日を、そこで待っていてくれよ」
彼女に殺意や憎悪はない。
かつての友と同じように、送ってやりたいという強い思いだけが、胸に燃えていた。
大成功
🔵🔵🔵
マオ・ブロークン
⑱
『襲われている人々が、妖怪に殺されないようにする。』
……これは。今の、あたしの。存在する、意味だ。
望まないまま、突然。奪われる、こと、は。苦しい。悲しい……
だから、あたしは……守る。殺されそうな、人を。ものを。
世界を。……あたしが、かつて、生きていた、世界を。
丸ごと、殺そうって、いうのなら。ぜったいに、ゆるさない……
……ここは、半分、カクリヨ。骸魂も、漂っている……
かつては、ひとと、共にあった、たましい。
……おねがい、力を貸して。
たとえ、過去の、存在に、なったって……
お前の、思うような、つめたい、永遠になんて、なるものか。
"あたしたち"は、未来を、繋ぐ……ために!あらがう!
●たとえ過去の存在になったって
幽世めいた空間はさらに拡大し、東京の一部を飲み込みつつあった。
そうなると当然、何も知らずに暮らしていた人々が戦いに巻き込まれることになる。
溢れ出した妖怪たちは、彼らの覚悟など何の関係もなしに人々を襲う。
命を賭して守ろうとしたもう一つの故郷を、人々を、その手で。
「……だめ、させない……!」
マオ・ブロークンは涙を零し、バズソーを振り回す。
助けられた人々は、そもそも妖怪=骸魂を正しく知覚出来ない。
本来であれば、猟兵がその外見で人々に違和感を与えることはないのだが……。
「し、死体!? うわあああっ!!」
激闘の最中であるゆえか、ここが幽世めいた空間になっているからか。
マオがデッドマンであることを理解してしまった男が、悲鳴を上げて逃げ出した。
「…………これは。今の、あたしの。存在する、意味だ」
マオは奥歯を噛み締めて、己に言い聞かせるように呟いた。
望まないままに突然、抗いようもない力にすべてを奪われる。
それは苦しいし、哀しいことだ。涙の海に沈む彼女がそれを証明している。
「だから、あたしは……護る。殺されそうな、人を。ものを。……世界を」
かつて己が生きていた世界を。妖怪たちを同じように。
「ぜったいに、ゆるさない……この世界は、ぜったいに、殺させない……!!」
マオは空に浮かぶ大祓骸魂を睨み、煮えたぎるような声で呻いた。
だが、マオひとりの力では、この無数の妖怪たちを倒すことは出来ぬ。
それどころか大祓骸魂は、手に持つ「生と死を繋ぐもの」を複製召喚した。
あれが降り注げば、マオはもとより多くの人々が「殺され」てしまうだろう。
「……おねがい。かつては、ひとと、ともにあった、たましいたちよ」
マオは呼びかける――人々を守ろうとした妖怪たちと、さまよう骸魂に。
「おねがい、力を貸して。いま、この世界を……人々を、まもるため……!」
ここがUDCアースであれば、彼女の言葉はむなしくこだましていたろう。
だが、ここは半ば幽世めいた空間――ゆえにその言葉は、たしかに届いた。
いくつもの思念が、解放された妖怪たちが、マオに力を貸し、融合する!
「なんという無茶を……あなた自身がオブリビオンになろうというのですか?」
大祓骸魂はその愚行を哀れみ、死刑のギロチン代わりに鈍ら刀を飛ばす。
マオはバズソーで刀を吹き飛ばし、ぎっ、と邪神を睨んだ。
「たとえ、過去の、存在に、なったって……お前の、想うような、つめたい、永遠になんて、なるものか」
刃を弾き、砕き、吹き飛ばし、マオは、死者たちは進む。
「"あたしたち"は、未来を、繋ぐ……ために! あらがう!!」
たとえ、永遠になってしまったモノでも、抗うことは出来る。
未来に進めなくなってしまったとしても、未来を拓くことは出来る。
己のためではなく、名も知らず何も知らぬ人々の明日を掴むために。
「あたしは――あたしは! あんた、お前みたい、に、あきらめたい……しない!!」
大祓骸魂が瞠目した。
華奢な体に鋸刃が食い込み、めりめりと肉と骨をこそぎ取る――!
大成功
🔵🔵🔵
シャルファ・ルイエ
④㉓
大事な相手との永遠を望むのも愛かもしれませんけど、相手の同意が無いのは駄目です。アウトです。
それに、大事な相手の未来を望むのだって愛でしょう?
お祭りだっていうのなら、今度こそ誰も忘れられないくらい、うんと派手に行きましょう!
その愛を成就はさせられなくても、覚えていることは出来ます。
《高速詠唱》に《多重詠唱》、《全力魔法》に《範囲攻撃》をめいっぱい込めて、【星を呼ぶ歌】を歌います。
空を覆うような流星群ならバズる?くらいのインパクトはあるんじゃないでしょうか。
ヒガンバナが咲くのなら流星の熱で燃やします。
どちらの世界もまだ色々と見てみたいんです。
あなたに星が届くまで、歌い切ってみせますから。
●あなたに星が届くまで
夜空を照らすは無数の星。
まるで宝石をぶちまけたような、まばゆいほどの綺羅星の群れ。
「大事な相手との永遠を望むのは、たしかに愛かもしれません」
けれど、とシャルファ・ルイエは紡ぐ。
「相手の同意がないのは駄目です。アウトです。たとえそれが世界でも。
あなたがこの世界を永遠にしたいなら、まずするべきは理解と手を取り合うこと」
「……? 何故そんなことをしなければいけないのですか?」
大祓骸魂は、ガラス玉めいた瞳をぱちぱちと瞬かせた。
「私の揺るぎない愛があれば、それだけで十分でしょう。他には何も要りません」
「……ええ、そうでしょうね。あなたはオブリビオンなのですから」
シャルファは少しだけ悲しげに吐息を漏らして、迷いを振り払うように顔を上げた。
「大事な相手の未来を望めないあなたに、おしおきをします」
見よ――空にきらめく星が輝きを増した。星の輝きは消える寸前の灯火だ。
……いや違う。輝きを増しているのではない。近づいてきている!
「たとえ手を伸ばさなくたって、今なら星には届きます――!」
真の姿となったシャルファの歌声は、遠き空の星を無数に落とすことも出来る。
幾百年あっても見られぬであろう流星群に、人々は湧いた。
彼らは妖怪を忘れ去っているため、この異常事態を知覚出来ないが、
それでもシャルファの星の輝きは見えた――そして、笑顔を見せたのだ。
その思いが、シャルファにさらなる力を与える。
空間に蔓延る彼岸花の根を燃やし、虞の膜を貫いて。
「わたしは、どちらの世界もまだ色々と見てみたいんです」
流星が降り注ぎ、その熱が大祓骸魂の身体を焦がす。
「あなたに星が届くまで、歌いきってみせましょう。そして、覚えています。
あなたの愛を成就させられなくても、記憶に持っていくことは出来るんですよ」
「私は――」
そんなものは認めていない、と邪神は言おうとした。
星は否応なしに降り注ぎ、拒絶の意思もまとめて貫いてしまう。
相容れぬとも、せめてもう忘れることなく、旅の伴にその記憶を。
シャルファの歌声は、まるで大祓骸魂を葬送するようだった。
大成功
🔵🔵🔵
緋翠・華乃音
『戦場:⑤上』
……実を言えば、君の気持ちが分からないこともないんだ。
愛しいひと、愛しいもの、愛しいせかい。
愛を求め、愛を与える。
理性ある生命ならば必ず持つ感情だと思うから。
――恋は分からずとも、愛なら分かる。
そう宣って。
建ち並ぶ連ね鳥居を、ただ前へ歩み続ける。
歩む道を妖怪が立ち塞がるのなら、銃爪とナイフを閃かせて。
俺は、世界を救おうとは思わない。
……けれど、この世界に失いたくない人が居るんだ。
たったそれだけが立ち塞がる理由。
世界を守るとか、悪を否定するとか、大それた理由は無くて。
でも、俺にとっては唯一無二の理由だから。
逆鱗が心臓にあることは見切っている。
『星焰の柩』の中で、君に一発の銃弾を。
●救世主にはなれずとも
無限に思えるほどの連ね鳥居の中を、緋翠・華乃音が駆け抜ける。
いや、ほとんど歩むような速度で、はるか上に待ち受ける邪神へと向かう。
「……実を言えば、君の気持ちがわからないこともないんだ」
襲いかかる妖怪=骸魂を銃爪とナイフで切り払い、華乃音は言う。
「愛しいひと、愛しいもの、愛しい世界――愛を求め、愛を与える。
それは、理性ある生命ならば必ず持つ感情、どうしようもない本能だ」
「……ならば何故、ただ愛のために動く私の行いを、否定するのです。
私はただ、愛しいものを永遠としたいだけ。何故それを止めるのです?」
「俺は、救世主なんかじゃない。なろうとも思わない」
闇の中に、白銀の刃がぎらりときらめく。
「――けれど、この世界に失いたくないひとがいるんだ」
「……ただ、それだけのために……?」
「そう。たったそれだけが、俺が立ちふさがる理由だ」
連ね鳥居が、途切れる。
カクリヨめいた空間に生まれた霊山の模造物の頂上、二人は相対す。
「それは、私の行いと、何が違うのですか?」
「…………そうだね」
何も違わない。
世界のためとか、正義のためとか、人々のためとか。
そんなおためごかしは言えない。言うつもりも、ない。
「だからこれは、お互いの、どうしようもなくエゴイスティックな戦いだ。
俺も、君も、感情のために戦う。――その責任を、せめて俺は背負うよ」
けして相容れず、互いに殺し合うしか亡いならば。
その存在を、所業を、思いを記憶する。それが華乃音なりのけじめ。
ふたつの影が交錯した。
「かは……っ」
「君にとって、愛が唯一無二の理由であるように」
血を吐いて崩折れた大祓骸魂を、華乃音は肩越しに一瞥する。
「これが、俺にとって唯一無二の理由なんだ」
腕を振って銃の硝煙を消し、華乃音は瞑目した。
わがままのために戦うことは辛く、苦しい。
それでも華乃音は、己の感情(おもい)を貫くと、決めたのだから。
成功
🔵🔵🔴
キルシ・キュマライネン
ボーナス⑧『思い人の描写』
わたくし、正直いってカクリヨの命運はどうでも良かったのです。騒がしい中に飛び込んでこそのメイドなので。でもUDCはダメです。絶対にダメです。あそこにはわたくしの思い出があります。大事な大事なただ一人の『ご主人様』の思い出が。それを消すことは何人も許しません。
ああ、不器用で引きこもりでお勉強ばかりの優しいご主人様。だから、真面目に戦争って好きじゃないんです。カクリヨくらいふざけてたほうが…それを、それを!!…失礼取り乱しました。わたくしの「あの日々」を汚すなら、消そうとするなら。わたくしは許しません。踏みにじられた過去の為にも世界は次に進まなくては!ではお覚悟を。
●メイドの嫌いなもの
キルシ・キュマライネンは、自他ともに認める騒がし好きのメイドだ。
騒がしくて楽しそうなところがあればひょこっと現れるさまは、ぬらりひょんか。
もっとも彼女は西洋妖怪なのだが……まあ、それはともかく。
「わたくし、正直言って、カクリヨの命運なんてどうでもよかったのです」
戦いの最中、キルシはとんでもないことを言い出した。
「――でも、UDCアースは駄目です。この世界だけは、絶対にダメです」
モノクルの奥の瞳は、いつもらしくなく鋭く敵意を浮かべていた。
「此処にはわたくしの思い出があります。大事な大事なご主人様の思い出が!」
周囲の無機物が絹糸に変わり、鋼以上の硬度と鋭さで彼岸花を切り裂く。
糸の結界は虞れのヴェールを超えて、大祓骸魂にまで届いた。
「それを消すことは、何人にも許しません。たとえ邪神であろうと、です」
「安心してください、猟兵よ。あなたの想い出もすべて永遠になるのですよ。
なぜなら、その口ぶり、その振る舞い――主人とやらは、いないのでしょう?」
「…………」
キルシは呻いた。
こんな真面目に、感情を剥き出しにして戦うのは、彼女らしくない。
もっとへらへらとふざけて、騒いで、楽しく笑っている方が好きなのだ。
それを、この邪神は――この妖怪は! いちいち神経を逆撫でする!
「……ああ、不器用で引きこもりで、お勉強ばかりの優しいご主人様」
キルシを絡め取ろうと咲き誇る花々を糸で拒絶し、キルシは呟いた。
「この世界は、ご主人様の生きた場所、生きた証なんです。それを、それを!!」
ぎしりと、糸が大祓骸魂を絡め取る。
「く……っ」
苦しげな呻きに、キルシははあ、と息を吐く。らしくないことだ。
「わたくしの「あの日々」を汚し消そうとするなら、わたくしは許しません」
これほどの怒りが、彼女の中に眠っていたのか、と思わせられるほどの凄烈さ。
「踏みにじられた過去のためにも、世界は次に進まなくてはなりません。
あなたの愛を、わたくしめは絶対に認めませんし、叶わせもしませぬ」
――ゆえに、お覚悟を。
その殺意に応えて、きゅっと糸が神を切り裂き、血が噴き出した。
大成功
🔵🔵🔵
ネグル・ギュネス
【アサルト】2+15
愛の為に世界を、か
少し前なら理解を示してはやれたかも知れないが、…残念、今はもうsold outだ
黒く染まる真の姿を見せながら、指を鳴らす
──来い、幻影よ。疾走の時間だ。
騎乗スキルを活かした操縦で、敵の念力操作の弾幕を回避し、弾き、或いは足を振り上げ蹴り返す
如何に悪路であっても走り抜き、数多の攻撃も見切り、残像で欺いて走り抜いては、銃を撃って牽制。相手の視線を此方に釘付けにしてやろう
我ら人機一体となりて、ギリギリまで喰らい付く
自慢の愛機の力、貴様の愛にぶつけてやる
さあ、フィナーレだ
この馬鹿騒ぎもお祭りも、そろそろ仕舞いにしてやろうぜ
…どんなものにも、終わりは来るんだからな
ヴィクティム・ウィンターミュート
【アサルト】想い人+連携
…愛、ねぇ
御大層な言葉だ
俺にはその気持ちは分らんよ
分からねえし、分かりたくねえから…ここで排除する
おう野郎ども、強襲の時間だ
ニューロリンクスタート──演算を貸してやる
ネグル、前を頼むぜ、俺は支援を──あん?
この、気配……そうか、『起きた』かよ。馬鹿騒ぎがうるさくてさ
なぁチューマ、一夜限りの飛び入りゲストをやらねえか?
今のチームの具合を確かめてみてくれ
2人に懐刀の予測軌道を送信
クロスボウを駆使して撃ち落としておこう…チューマ、匡!お前らが頼りだ
さぁそろそろ頃合いだ
お前の『起源』をこの銃に込めてくれ
『停滞』をくれてやるさ、狂った愛に
あとは匡に任せるさ
『終わり』をくれてやれ
鳴宮・匡
【アサルト】
戦場②
また会ったな、《Jackpot》
唐突で悪いが頼らせてもらうよ
俺たちと協働なんだ、楽できないと思ってくれ
ヴィクティムからくる軌道予測をこちらの知覚情報で補正
全体の指示の援けにしてもらう
無駄弾を撃つ趣味はない
一撃で一つ、或いはそれ以上を撃ち落とし
こちらが反攻の手を撃つ間隙を生む
『停滞』が成るまで一瞬たりと気を抜かずに迎撃を続けるよ
本体の位置はネグルが捉え続けてる
俺もそれをずっと知覚してる
だから、停滞は一瞬で十分
その一瞬で違いなく撃ち抜いてみせる
残念だけど、お前とは相容れない
愛、と名を付けるなら
死という永遠に繋ぎ止めることじゃなく
生きて幸いに笑む姿を守ることを
俺は、そう呼びたいから
――愛。
その言葉に対して、チームの中でもスタンスは様々だ。
たとえばネグル・ギュネスは、愛を尊ぶ。
愛するものと誓いあい、多くの友を愛するからこそ、彼は戦える。
力を失い、それでも戦えているのは、ネグルの根底に親愛と友愛があるから。
そのよすがこそが彼の力で、どこまでも立ち向かえる原動力だ。
一方で、ヴィクティム・ウィンターミュートは愛を嫌う。
彼にとって愛は不要で、理解も出来ず、求められたとして応えられない。
それが狂っていることを、ヴィクティムは自覚している。だが変えられない。
己を愛する者は、自ら遠ざける――そうしなければ苦しめるだけだからだ。
ならば、鳴宮・匡はどうだろうか。
……彼にとっては、尊ぶものとも、遠ざけたいものとも言いがたい。
そもそも人間的感情のことごとくが、匡にとっては揺らめく蜃気楼めいている。
己の中のそれらは擦り切れて、砕けたピースを拾い集め直しているようなもの。
愛、と呼ぶべき感情は、もしかしたらこの海の何処かにあるのかもしれない。
それを厭とは思わない。ただ、もしそう名付けるのだとしたら――。
●魔弾とともに
「――またか」
瞑目した「それ」は、呆れたように嘆息した。
「……そうか、『起きた』かよ。悪いな、バカ騒ぎがうるさくてよ」
戦いの最中出現した「それ」――つまりかつての相棒に、ヴィクティムは笑う。
対するJackpotは呆れ返った様子で、戦場を一瞥し、全てを理解した。
これは夢。己は本当の自分ではない幻に過ぎず、吹けば消える蝋燭の灯火。
そして彼の視界には、激しく戦う匡とネグル――"チームメイト"が映っている。
「なぁチューマ、一夜限りの飛び入りゲストをやらねえか?」
ヴィクティムが皮肉げな笑みを浮かべた。見飽きた顔だ。
「今のチームの具合を、お前のその目と腕で確かめてみてくれよ」
「……わかりましたよ」
あんな別れ方をしておいて、こうも何度も起こされては敵わない。
「あなたの指示に入ります。どうぞ自由に使ってください」
「ああ。当然だ――さあ、強襲(アサルト)の時間といこうじゃねえか」
最強の3に1が加わる。それは邪神をも殺す、終わりを意味していた。
無数の刃が嵐めいて乱舞し、四方八方には彼岸花の根が空間を侵食している。
どれも触れれば致死的な攻撃。そして、充満する圧倒的なこの「虞」。
「行くぞ、幻影(ファントム)。疾走の時間だッ!」
ギャ――ギャルルルッ!! ガガガガガッ!!
根を削り取り、壁を地面をときには空さえも斬りつける幻影の名を持つマシン。
圧倒的スピードで敵を翻弄し、飛来する弾幕を弾き、蹴り落とす。
いかなる悪路だろうと関係ない。路がなかったとしても作り出すのがネグルだ。
邪神の攻撃などどれほどのものか。神も悪魔も竜も、彼らは殺してきた。
「私の愛を、そうまでして認めないのは何故です? 愛を理解できないのですか?」
「いいや、理解できるさ――だが、あいにくもう売り切れ(Sold out)だ」
ネグルはきざったらしく言い、首狙いの刀をスピンで弾き飛ばした。
彼の後ろでは匡が冷静にスナイプし、飛来する弾幕をすべて撃ち落としている。
ぬかりはない。仕損じもない。すべては端役が「完成」させるまでの準備だ。
ニューロンリンクされた知覚情報が三人――いや、四人の間で共有される。
「あなたも大変ですね」
何気なく、魔弾は言った。
「そっちもな。楽は出来ないぜ、俺たちと協働なんだ」
「ほとほと思い知っていますよ。あなたたちは、騒がしすぎる」
大祓骸魂はふたりを本格的に攻撃しない――否、出来ない。
常にとらえどころなく暴れ続けるネグルが、大祓骸魂の攻撃を惹きつける。
そこに間隙が生まれる。ヴィクティムもまたクロスボウを引き抜いた。
一瞬。
一瞬があれば、それで事足りる。
戦いとは必然の積み重ねであり、趨勢を決定するのはたったひとつの小石だ。
邪神? 究極妖怪? ああ、たしかに奴は「おおいなるもの」なのだろう。
只人ではその思考を理解できず、ひれ伏すしかなく、抗えもしないのだろう。
「――上等だ」
誰かが言った。
それは皮肉めいた笑みを浮かべるヴィクティムかもしれないし、
嵐の中で激しい人機一体のダンスを繰り広げるネグルかもしれないし、
あるいは銃を構え、その時に備える匡かもしれない。
もしかすると、眠りから目覚めた魔弾の言葉かもしれなかった。
なにせ、彼ら全員がそう思っていた。
太古の邪神。世界を愛で滅ぼそうとする理解不可能和合不可能の存在。
上等だ。その愛とやらを、この力(だんがん/やいば/いし)で砕いてやろう。
そのために此処へ来た。
そして前へ行く。
「――本当に、騒がしい人たちだ」
魔弾はふっと笑った。呆れでもあり、感服でもあり、憧憬でもあった。
「チューマ! そろそろ頃合いだぜ」
それ以上の言葉はいらない。ヴィクティムの銃に、『起源』が込められた。
停滞。
狂った愛を眠らせるもの。何人たりとて抗えぬ一等星の輝き。
「さあ、フィナーレだ。この馬鹿騒ぎも祭りも、そろそろしまいにしてやろうぜ」
ネグルが食らいついた。ギャルルル、とエンジンが吠える。
「――どんなものにも、終わりは等しくやってくるのさ」
その猛攻を、大祓骸魂は自ら防がざるを得ない。
だから、魔弾を防ぐことも、出来ない。
「――」
虞れが。
彼岸花の侵食が。
嵐のような弾幕が、何もかも「停滞」した。
「俺が愛と呼びたいのは、お前が愛と呼ぶものと違う。だから」
――俺たちは、相容れない。
匡は死という永遠を否定する。繋ぎ止めることを否定する。
生きて、幸いに笑むこと。それだけが――それを護ることこそが。
「だから、お前はここでおしまいだ」
影の魔弾が、停滞の魔弾に続いた。
その魔弾の名を、「終焉(フェイタル)」と言った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ミコトメモリ・メイクメモリア
◆レン(f02381)と/戦場②
「実は結構、分の悪い勝負だったりするのかな? これは」
「――なんて」
「ボクの隣にキミがいて、キミの隣にボクが居る」
「敗北なんてありえない、世界を救おうじゃないか!」
そう告げて、自らの“真の姿”を曝け出す。
「ボクが歩み、ボクが知り、ボクが得た全ての記憶をここに!」
この体全てを“記憶の欠片(メモリアピース)”に変える
身体は七色に光る結晶体に包まれて、一つの大きな魔力源となる
『さあ、レン。どんな攻撃も心配いらない。全ての容赦は不要。キミの負担は全てボクが背負う』
何も失わないのが最低条件
記憶も、ボクも、キミも全て無くさない
『我が騎士よ。――――ボクに勝利を捧げたまえ!』
ジャガーノート・ジャック
◆メメと/戦場②
(熱線・爆撃で焼き払えど
咲誇る彼岸花
虞るべき敵は依然揺るがず健在
姫と自分は消耗が激しい)
いつかと似た展開だ
だけど今日は
あの日の様に君を悲しませるつもりはない
行こうメメ
僕らを、世界を救う為に
《――此は何かを護る為の戦いである》
(お前を破る事が僕らを
そしてUDCを護る事になるならば――)
イエス
肯定。
《規定条件を達成、最適化実行》
《Lv.4β――Mode:Knight》
仰せの侭に――
行くぞ骸魂
此処からは"騎士"が相手だ
(姫から授かった魔力を騎士剣二振りにありったけ注ぎ込む
「剣狼・轟」で彼岸花を浄化し切祓いつつ)
姫に捧ぐ勝利、貰い受ける!!
(「騎士の切札」にて、大祓を両断する――!)
●ボク/僕の隣にキミ/君が居て
劣勢も劣勢。
窮地も窮地。
ふたりが置かれた状況は、あまりにも苦しく、危険で、追い詰められていた。
狂気の愛を宿した彼岸花の根は、地と言わず宙(そら)にさえも蔓延る。
つまり死角が存在しないということで、時間をかけるほどに侵食は強まる。
そしてそれに応じて、大祓骸魂の虞……力もまた、同じだけ強まる。
オブリビオン・フォーミュラ。始原の一は当然のように強大だ。
これまでいくつの世界を救ってきたふたりでさえ、追い詰められるほど。
「……実はけっこう、分の悪い勝負だったりするのかな? これは」
なんて、と、ミコトメモリ・メイクメモリアはくすりと笑った。
窮地に追い詰められている者とは思えない、不敵で余裕を浮かべた笑み。
それも当然のことだろう。
なにせ彼女の隣に立つのは、そんじょそこらの戦士ではない。
《――いつかと似た展開だ》
ジャガーノート・ジャック。圧倒的破壊をもたらす鋼の豹。
その仮面の下を、彼の名を、誓いを、想いを、何もかもを彼女は知る。
忘却の悪魔にすべてを奪われてなお、彼らの想いはすべてを取り戻し返した。
これはまさしく「その時」のリフレイン。灼熱の竜の姿が脳裏をよぎる。
『……だけど、今日は』
ジャックは戦士としてではなく、「彼」として言葉を紡いだ。
『あの日のように、君を悲しませるつもりはない』
「――レン」
彼女だけに許された名を、ミコトメモリは紡いだ。
『行こうメメ。僕らを、世界を救うために』
電子の悪魔にその手を借りるのではなく、
忘却の力で無理矢理に立つのではなく。
すべてを記憶し、すべてを携え、すべてを背負って。
「……ああ! ボクの隣にキミがいて、キミの隣にボクがいるなら」
敗北なんて、ありえない。負ける可能性が見当たらない。だから!
「世界を救おう。ボクが歩み、ボクが知り、ボクが得たすべての記憶をここに!」
ミコトメモリの身体すべてが、"記憶の代わり(メモリアピース)"に変わる。
その身体を七色に光る結晶体が包み込み、彼女自身が大きな魔力の源となった。
溢れ返る生命の力。未来を紡ぐ希望の力を、大祓骸魂は本能的に警戒した。
周囲をじりじりと囲んでいた彼岸花が、植物の魔物めいて襲いかかる。
だが――そのすべてを、騎士の剣が一息に叩き切り、薙ぎ払った。
『僕の姫に、触れるな』
"彼"は決然たる声音で言い、そして内なる声に応えた。
《――此は、何かを護るための戦いである》
世界を、己を、そして姫を。
あの邪悪から護る。それこそが騎士の務め。ならば。
『――肯定(イエス)』
《規定条件を達成、最適化実行》
《Lv.4β――Mode:Knight》
その姿が黒と白の騎士のそれへと変じ、ふたつの剣を両手に携える。
力が溢れる。ミコトメモリが、進むための力(おもい)をくれる。
「……忌々しいですね。その輝き、その意思。その力――」
大祓骸魂は吐き捨てた。
「私の愛を否定し、私を滅ぼそうとする。過去をすべてなかったことにする。
そうして骸の海は昏さを増すのです。真に残酷なのは、あなたたちのほう」
「それは違うよ、太古の邪神よ」
七色の輝きに包まれた姫が言った。
「ボクらは未来へ進むために過去を消費する。けどなかったことになんてしない。
痛みも、後悔も、苦しみも……すべてをこの胸に刻んで、前に進むんだから」
ミコトメモリは騎士を見た。
「さあ、レン。どんな攻撃も心配要らない。そして、すべての容赦も不要。
キミの負担はボクが背負う――記憶もボクも、すべてをその手で守り抜くんだ」
『ならば、僕は何を捧げれば?』
騎士の言葉に、ミコトメモリは微笑んだ。
「勝利を」
そして敵を睨む。指し示し、命じる!
「我が騎士よ。――ボクに、勝利を捧げたまえッ!」
彼岸花が溢れ返る! さらに虚空の門より殺到する妖怪の群れ!
挙げ句に無数の鈍ら刀が複製分裂し、弾幕となって立ちはだかった!
『――仰せのままに』
騎士が、駆ける。
まっすぐに、揺るぎなく、流星のように。
ただそれだけで、立ちはだかるすべてはこともなくすべて斬り裂かれた。
「……そんな」
太古の邪神をして、そんな光景、否、現象は初めて目の当たりにするものだ。
己の力。
己の虞。
己の愛。
そのすべてが、たかが人間、たかが定命のものに、斬り捨てられるなど!
『行くぞ骸魂(オブリビオン)。姫に捧ぐ勝利――貰い受ける!!』
だが大祓骸魂には、理解できていなかった。
彼女の原動力が愛なのであれば、ふたりが戦うのもまた愛のため。
護るべきものを背にした騎士は無敵だ。七色の残影を描き、吶喊する。
そして騎士の切り札が、太古より巣食う邪悪を、真っ二つに斬り捨てた――!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
深山・鴇
【七宮】
最終決戦の場で花見ってのも乙なもんだな
人と人じゃないもんが楽しくやってんだ、いい餞になるだろうさ
雲珠君が弁当、朱酉君が酒。俺はどうしたもんか…駄菓子と酒にしておこうか
お稲荷はしっかり味が染みてるし、天ぷらもさくさく、花見弁当としちゃあ上等
美味いぞ雲珠君
(食えぬ友人の分も食べ)
桜か、帝都じゃ見ない日はないが、現代地球のこの場所で見る桜も乙なもんじゃないか
立派な桜…立派な桜になりゃ大人の姿になるのかい?
ああこら、杯に顔を突っ込むんじゃない(盃を置いてやり)
まぁいいさ、折角だからな乾杯しようじゃないか(朱酉の盃と、雲珠のコップにかちんと合わせ)
恋、恋ねぇ、淡い恋心なんざ可愛いもんじゃないか
雨野・雲珠
【七宮】⑥で全力お花見
ちゃんとお花見感を出すために、
早起きして【料理】して、お弁当も持ってきました。
素人仕事ですがお稲荷さんに筑前煮、出汁巻き卵にきんぴら。
ここ数日幽世で揚げまくった天ぷらは、
冷えてもさっくりです!
いっぱい作ってきてよかった、どうぞ召し上がってください
見事な桜ですねえ…
俺も昔はなかなか立派な桜だったんですよ。
んん。今盆栽サイズなので、先は長そう…
(カップを合わせながら)
愛しているから殺して永遠にしたい、って俺よくわからなくて。
大事な方を傷つけるのは嫌ですし…
自分の中で永遠なら、もう永遠じゃないですか?
かみさまの尺度につられたら駄目です深山さん。
世界ふたつ滅びかけてるんですから
朱酉・逢真
【七宮】⑥
心情)宴もたけなわ戦もしまい、花見をするなら派手にやろう。彼岸と此岸の境目に、いざ咲き誇れや古桜。愛に焦がれる忘れの御魂に、一夜の夢を見せようぞ。
行動)メシは食えんが見目だけでもと、自前の酒(*純粋毒・無味無臭)を持参したよ。賑やかしもホレ、周りにどっさりいるだろう。ああ平安の夜に戻ったようだ。坊の弁当にろくろ首が伸び、兄さんの酒に九尾が寄り付く。俺も朱盃を傾けよう。その気持ち、俺もわからんなぁ。どう思うお前たち。(怪物たちがげらげら笑う) ひ、ひ。定命の語る永遠が、永遠だった試しは終ぞナシ。男子(*おのこ)がチョコとっときたがるとおンなじさ。淡く青い恋心(*エゴ)だよ。じゃ、乾杯!
●宴もたけなわ、祭りの終わり
がやがや、ざわざわ。
桜咲き誇る此方と彼方の境目に、怪物どもがひしめく。
ろくろくびに九尾に赤鬼、手の目に入道、百々目鬼、むじなに一本だたら。
まさしく百鬼夜行――されどこれは大祓骸魂のものではない。
カクリヨですらない仮初の空間に、朱酉・逢真が喚ばった影の怪物ども。
まさに幽世。今このときだけに許された、この世ならぬ景色。
「花見をやるなら派手でねェと。愛に焦がれる忘れの御魂に一夜の夢を、てなァ」
彼らは大祓骸魂が生み出した空間より、一つ「上」の場所(レイヤ)にある。
大祓骸魂と戦う猟兵たちの姿を肴に、桜を生やして呑み騒ぐ。
まさに天上の神々の如き暇潰し。それもまた虞を祓う一助になっていた。
「ちゃんとお花見感を出すために、早起きしてお弁当を作ってきたんですよ」
素人仕事、と断り雨野・雲珠が開いた重箱の中には、料理がたくさん。
稲荷に筑前煮にだし巻き卵、きんぴらごぼうやひじきの煮物やら。
特に雲珠は天ぷらが自慢のようで、「冷たくても美味しいです」と力説する。
「しっかし、最終決戦の場で花見ってのも乙なもんだ。
ああ、俺は駄菓子を持ってきたよ。あと、ちゃんとお酒もね」
深山・鴇はくすりと笑い、盃を満たしつつ雲珠の作った稲荷をひょいと一口。
「ど、どうでしょうか深山さん。一応、頑張ってみたのですが……」
「うん、しっかり味が染みてるし、こっちの天ぷらも……さくさくじゃないか。
花見弁当としちゃあ上等だ。いや、むしろ美味い。頑張ったな雲珠君」
「そ、そうですか! よかった……」
雲珠が安堵して胸をなでおろすのを、鴇はにこりと微笑して見守る。
そんなふたりを眺めて、逢真は飲めないくせに酒の真似事なぞしていた。
まったくおかしな話だが、この戦いはそんな「おかしなこと」続きだ。
であれば、それはいずれ祭りになる。この喧騒がその証拠である。
「おっと、ありゃア痛そうだ。ひひ……どいつもこいつも張り切ってら」
無味無臭の酒を飲むふりをしながら、逢真はくすくす笑った。
「ああ、だが実にいい。祭りってのァこうでねェと。戦ももう終いだからなァ。
最期ってのは静かでも派手でもいい。奴さんは認めねェかもしれんがね、ひひ」
「……しかし、愛か。いや、あれは恋と呼ぶべきものかな」
鴇は盃をくいっと傾け、目を細めた。
「世界を滅ぼすほどの恋心。そこらの物語でもたびたび出るもんだがね。
こうして実際目の当たりにしてみると、意外と可愛らしく思えてくるよ」
「深山さん、ダメですよかみさまの尺度につられたら……」
鴇の言葉に、雲珠は困ったように、呆れたように眉をハの字にした。
「世界がふたつ滅びかけているんですよ? 恋心どころの話じゃないですって」
「そうかね? 案外話は単純なのかもしれないぞ、雲珠君」
ふたりのやりとりに、逢真はけらけらと笑う。
「そォさ、兄さんはよくわかってる。ま、俺はさっぱりわからンけどな」
剽げた言葉に、影の怪物どもがげらげら笑った。
「いやいや、分からないのかい。まったく」
「……そうですね。俺も正直、ピンとこないんです」
呆れる鴇に対し、雲珠は言った。
「愛しているから殺すっていう理屈が、まずまったくわかりません、
大事な方を傷つけるのは厭ですし、永遠であることなんて大事でしょうか?」
「……というと?」
「だって、自分の中で永遠であるなら、それはもう永遠じゃないですか?
あえて殺して、骸の海に鎮めることに、意味があるんでしょうか」
「ひひひ!」
「……ふむ」
雲珠の言葉に、逢真は意味もなく笑い、鴇は顎をさすった。
「そうだな……雲珠君の言葉も、またひとつの真理であると俺は思うよ。
けれど大事だからこそ、誰かに奪われたくないという気持ちもあるだろう。
ならばいっそ自分の手で永遠にしてしまう――なんてのは、まあよくある話さ」
「そうなんですか?」
「少なくとも人間のあいだではね。痴情のもつれというやつだよ」
鴇はちらりと、笑い続ける逢真を見やった。
「ただまあ、永遠なんてのは君の言う通り、主観的な考え方でしかない。
心にとどめて永遠にしたと思い、それで納得できるならそれが一番だ。
どう解釈したところで、人間の言う永遠が永遠だったことはない。そうだろう?」
「ひひひ! ああ、ああ、まったくその通り。兄さんはようわかってら」
逢真がけらけら笑うのは、「永遠」などと口にする"いのち"の愚かしさ。
それは嘲りというより、稚児が戯れて転ぶのを見守るようだ。
「ヒトに限りゃしねェ。定命の語る永遠てのが、永遠だった試しは終ぞナシさ。
男子がチョコとっときたがるのとおンなじさ。熱病みてェなもんさね」
「それは、かみさま以外の神でも、ですか?」
「そォだなァ。邪神だろうが究極妖怪だのだろうが、変わりゃしねェさ」
――なにせ妖怪てェのは、これ以上なくヒトに似てるからなァ。
逢真の言葉に、鴇と雲珠は顔を見合わせ、首を傾げた。
本質的にわかろうはずもない。それが彼らの、埋めがたい「違い」だ。
だが、それでいいと男は言う。すべては結局エゴなのだと。
「淡く青い恋心(エゴ)に乾杯しようじゃねェか。だってこれは宴だぜ?」
「……まあ、そうだな。この世界で見る桜も乙なものだ……っと」
盃に顔を突っ込む怪物を「こらこら」となだめつつ、鴇は笑った。
「俺も昔はなかなかに立派な桜だったんですよ。まあ、今は盆栽サイズですが……」
「ははは。じゃあ、雲珠君がまた立派になれる「いつか」にも乾杯しようか」
「それ、いいんでしょうか。あれもこれもと多すぎるような……」
「いいじゃアねェか、坊。"いのち"てのは欲深いぐらいがちょうどいいのさ」
盃とコップが、かちんと音を鳴らした。
「淡く青い恋心(エゴ)に」
「未来ある若者の明日に」
「……明日も続く、この世界に」
「「「――乾杯!」」」
宴もたけなわ、やがてすべては終わっていく。
その儚さを、終わりを、始まりを、男と桜と人は等しく祝った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ロラン・ヒュッテンブレナー
【書庫組】
相手を滅ぼして永遠にする愛ってぼくには理解できないの
ぼくは思うだけじゃなくて、思って欲しい
寄っては離れて、また近寄って
そういう営みが、愛だって思うの
だから、ぼくは仲間と一緒に、あなたに抗うよ
※②仲間と連携する
システムの【封印を解く】よ
アルターギアを高速形態に変形(UC発動)
※頭腕脚部を収納、各スタビライザーを展開
超音速で【空中戦】
プラズマを圧縮した光【属性攻撃】魔術レーザーで【索敵】した懐剣たちや本体に【全力魔術】【誘導弾】なの
露払いしつつ、【オーラ防御】の【結界術】を前面に展開
そのまま体当たりして仲間の攻撃を援護
アンおねえさん、様子が変なの
ソニックブームで道を作るね
みんな、お願い!
アン・カルド
⑮(真の姿)
【書庫組】。
ああ、自分の中を覗くためそれを望んだが…この姿、僕自身が『ライブラ』か。
全くお笑いだ、それ以外の僕は要らないって事じゃないか…こんな姿皆に見せたくないよ、怖い。
全部、全部、塗りつぶして…【書換】。
インクよ広がれ、僕の心も、狂愛の華も、あの子の願いも、全部塗りつぶしてしまえ。
僕の姿が消えるくらい、誰を愛していたか忘れるくらい、黒く。
一閃、眼前の黒が切り開かれ皆の顔が見える…なんだ、誰も気にしちゃあいない。
当然だ、友達なんだから。
骸魂、インクは踏まないことだ、自分の大切なものを…自分を忘れたくなければ。
物語が終わっても僕らは続くんだ、末永く幸せに暮らしましたってやつさ。
二條・心春
【書庫組】
戦場:⑮ 真の姿を晒して戦う
真の姿は召喚に特化した状態、戦闘能力を失い霊体になりUDCへの指示のみ行う。
私はこの世界を失いたくありません。私や助けてくれた妖怪さん達……UDCアースを愛しているのは貴方だけではないんです!
【召喚:彫刻獣】でガーゴイルさん達を召喚して戦ってもらいます。私は聖堂の中から指示を。まずは皆さんを守って!石の体で虞も効きづらそうだし、再生もできます。今回は真の姿で強化もされてるから守り切れるはず。
アンさんの様子が……?いえ、鏡介さんがいれば大丈夫ですね。
あとは残った子達の槍投げで、動きを封じて仲間を援護します。
私はこの世界で、この子達と生き続けると決めたから。
夜刀神・鏡介
【書庫組】
戦場:⑮ 真の姿を晒して戦う(IC参照)
神刀の封印を解いて紫紺の神気を纏う。限界を越えた力を引き出して、真の姿へと変身
地を高速で移動。懐刀を叩き壊し、大祓骸魂を牽制して回っている所でアンが広げたインクを踏む
何か嫌なモノを感じ、アンの方を振り向けばインクに覆われた彼女の姿
それを見て、思わず彼女の方へと駆け寄る
アンが何を考えているかは知らないが――勝手に閉じこもっているんじゃない
神気を込めた一刀で、アンの身体を傷付けずにインクのみを切り開く
アンが何を考えていたのかは、後でちゃんと聞かせて貰うからな、と告げて改めて大祓骸魂へと向き直り一気に切り込む
浄化の一刀で、その虞ごと断ち切ろう
ルゥ・グレイス
【書庫組】
※②仲間と連携する
過去という永遠、興味はありますが、果たしてこの世界を滅ぼすほどの価値でしょうか。
昨日より今日、今日より明日…。進み続ける永遠をこそを僕は望みます。
術式を起動。復元魔術はこの幽世のごとき空間であらゆるものを再現する。
屋台に橋に鳥居、刀剣、灯篭、カード、駄菓子、超常光線砲に至るまで。
多くのカクリヨの遺産を操って、懐刀の群れを撃墜。
並行してアウラさんの防衛。詠唱完了まで時間稼ぎ。
ソニックブームで開かれた空間に鳥居の道を作る。
インクを払った夜刀神さんを大祓骸魂のもとへ送る不可侵の道。
その中を一気呵成に切り込む姿、アウラさんの魔術をみて僕はこの戦争の終わりを確信した。
アウラ・ウェネーフィカ
【書庫組】
※②仲間と連携する
空間を変質させる程の力、流石は究極妖怪と言ったところか
だがこちらも退くわけには行かなくてな
妖怪達に報いる為、そして大切な友人達の故郷を滅ぼそうというのなら
私も本気で抗わせてもらう
■戦闘
本来ならこんな悠長に詠唱などしている余裕など無いんだがな……
全く、私は仲間に恵まれたよ
仲間達によって稼いだ時間で詠唱を行い、機を見て【UC】による魔法で攻撃しよう
む?アンさんは一体……?
あれはあまり良くないな……どうする?詠唱を中断して救出に――
――!
ふふ、そうか、無用な心配だったか
さぁ、贋作とはいえ、真に迫る威力まで再現してみせた大魔法だ
我が故郷に君臨せし竜の王の力、存分に思い知れ!
●永遠
――終わりが近づいていた。
度重なる猟兵たちの攻撃は、いよいよ大祓骸魂を追い詰めていた。
そしてその最期の階を駆け抜けるは、忘れられた書庫に集う猟兵たち。
「何故、私の愛を否定するのです。何故、私のねがいをさまたげるのです……」
大祓骸魂は謳うように言い、地には彼岸花を、空には無数の刃を生んだ。
さらにその背後、虚空の門より現れたるは骸魂に喰われし妖怪ども。
「過去という永遠、興味はありますが、この世界を滅ぼすほどの価値でしょうか。
僕にはそれが疑問ですし、僕が肯定し望む永遠はあなたのそれと違います」
ルゥ・グレイスは端的に言い、術式を起動。
復元魔術により、これまでの戦争で見てきたすべてを再現する。
屋台、橋、鳥居、刀剣、灯籠、カード、駄菓子、超常光線砲……。
これまで猟兵に脅威や試練として立ちはだかったものは、すべて味方となる。
カクリヨの遺産。その力で、弾幕めいて飛来する刀を受け止め、弾いた。
「僕が願うのは、昨日より今日、今日より明日……進み続けることで生まれる永遠。
ただ一方的に世界を終わらせようとするあなたとは、相容れないでしょう」
「……それは、永遠などではありません。かりそめのものに過ぎませんよ」
「世界を私利私欲で滅ぼそうとするあなたに、そんなことは言われたくないです!」
大祓骸魂の諭すような言葉を、二條・心春の激高が跳ね除けた。
「私はこの世界を失いたくありません。私や助けてくれた妖怪さんたちもです。
あなたが世界を愛しているというなら、他にもたくさんの愛があります!
だから、あなただけの願いで、それ以外のすべてを失わせたりなんてしない!」
心春はガーゴイルたちを召喚し、同時に真の姿を解放。
戦闘能力を失った代わり、心春はより召喚の維持と援護に特化する。
生み出された石の怪物たちは、空間に根を張る彼岸花を受け止め引き裂いた。
「そもそも、相手を滅ぼして永遠にする愛って、ぼくには理解できないよ。
ぼくは思うだけじゃなくて、思ってほしい。そういう営みが愛のはずだよ」
寄せては返し、離れては触れ合う――波のような心のゆらめき。
それは時として、愛が醒めてしまうことも意味している。
愚かだが、けれども尊い、人間のいのちの煌めき。意思の輝き。
ロラン・ヒュッテンブレナーは、変わらぬ永遠よりもそれを選んだ。
その身を纏うアルターギアが高速形態に変形、スタビライザーを展開する。
一瞬にして音の壁を超え、弾幕をレーザーで焼き払い本体に肉薄する!
「だから、ぼくは仲間と一緒に、あなたに抗うよ。そして、世界を護るの!」
「……そうまでして、私の愛を拒むのですね、あなたたちは……」
大祓骸魂は悲しそうな表情をするが、それは人間的な表情と一致しない。
見かけが幼い少女めいていても、奴は太古の邪悪であり究極妖怪だ。
それらしい見た目をしているだけで、本質的に猟兵を理解できるはずがない。
であればその言葉はすべて繰り言で、受け入れる必要などなかった。
「俺にとっては、御託など関係ない。お前はふたつの世界を滅ぼそうとしている。
ならば、ただ斬るのみだ。世界を滅ぼすものは、俺達にとっての敵なのだから」
夜刀神・鏡介はその手に持つ刀と同じく、決然たる面持ちで斬って捨てた。
真の姿を解放した彼は、ロランに負けず劣らぬ超高速の域へと踏み込む。
輝く神刀『無仭』は、仲間の血を求める――だが、鏡介は応じない。
たとえ寿命が減ろうと関係ない。彼の剣は、仲間を斬るためのものではない!
「その虞ごと、お前の愛とやらを斬ってくれる――!」
紫紺の神気が、フィルムに焼き付いた光のように残像を生んだ。
蔓延る彼岸花を叩き切り、飛来する懐刀を叩き壊し、稲妻めいて進む。
彼が退くことはない。背中に、同じ仲間の存在を感じているから。
それでも足を止めることがあるとすれば――それは彼らが危機に瀕した時だけ。
――そしてそのときは、意外な形でやってきていた。
滲み出て広がるインクの中心、彫像めいて佇むアン・カルドは呟く。
「ああ、こんな姿はみんなには見せたくないな――」
恐怖がある。拒まれること、恐れられること、軽蔑されることへの恐れが。
だがインクは広がり、それがすべてを……そう、アンの心さえも塗りつぶす。
自分の中を覗いた結果、変じたこの姿――自らが『ライブラ』と化した姿。
真の姿の解放に伴い溢れた力(インク)は、何もかもを黒で染め上げる。
狂愛の華も、砕けては飛来する無数の弾幕も、喰われた妖怪たちでさえ。
憑依した骸魂だけを塗りつぶし、書き換え、当然のようにアンもまた呑まれる。
「僕の姿が消えるくらい、誰を愛していたか忘れるくらい、黒く――」
大事な仲間たちに恐れられるぐらいなら、いっそ閉じこもったほうがいい。
そうだ、敵とともに己も、この人らしい心も塗りつぶして消してしまおう。
沈んでいく、黒の中に沈んでいく――最後まで残るのは哀しみだけ。
(む? アンさんは一体……? あれはあまり"良くない"な……)
最初にその異変に気付いたのは、後方で肩を並べ詠唱を続ける魔女だ。
アウラ・ウェネーフィカは顔を顰め、戦術的判断を懸案する。
敵の防御を突破するため、極限まで練り上げた魔力の一撃は必須。
この詠唱を途切れさせてしまえば、必殺の一撃は二度とは練られないだろう。
そもそもこうして詠唱に集中できている状況自体、仲間たちが命懸けで生んでくれているものだ。
それを最初からもう一度、と望むのは、彼我の戦力差的に不可能であり。
(――なにより、みんなにとっても不誠実だ)
アウラはそう考えた。同時に、アンを失いたくないという気持ちも当然にある。
仲間と敵を天秤にかけるなら、アウラは当たり前のように仲間を選ぶ。
しかし、それで他の仲間を危険に晒すのか? それこそ元の木阿弥だ。
どうすればいい。どうすれば、彼女を救い敵を倒すことが出来る?
聡明な頭脳に懊悩が駆け抜け――絡み合う思念を、鏡介が斬り捨てた。
「……何を考えているかはわからないが、勝手に閉じこもっているんじゃない」
鏡介の振るった剣は、アンの身体を切り捨てることなくインクだけを斬った。
アンは目を見開く――彼女の視界に入ったのは、戦う仲間たちの姿と眼差し。
(――なんだ、誰も気にしちゃあいない。ああ、当然じゃないか)
だって彼らは、友達なんだから。
「……何を考えていたのかは、あとでちゃんと聞かせてもらうからな」
鏡介の言葉に、アンはゆっくりと頷いた。
「そうだ、そうだね。物語が終わっても僕らは続く。それこそ、永遠に。
骸魂よ、太古の邪神よ。僕は、みんなとともにその愛とやらに抗うよ」
黒がすべてを染め上げていく。ただし、奪い去るのは敵のそれだけ。
愛を、名前を、何もかもを忘却させる――かつて忘れ去られていたように!
「この物語は、"彼らは末永く幸せに暮らしました"で終わるのだからね」
「そんな結末、私は認めません――!」
「ううん、そうなるの――僕らがそうするの!」
超高速の体当たりが、大祓骸魂の虞と妖怪たちの跳梁を吹き飛ばした。
「みんな、お願い!」
「ええ、任せてください!」
ロランの意地が活路を拓く。心春は頷き、命じた。
その命令に従い、ガーゴイルたちが一斉に槍を投げ、大祓骸魂を縫い止める。
身動きを封じられ、虞のヴェールを払われた大祓骸魂は、もはや無力だ。
「――道を作ります。夜刀神さん、アウラさん、とどめを!」
「ああ!」
浄化の一刀が、彼岸花の根を、ことごとく断ち切った。
(――ふふ。余計な心配だったな)
アウラは心のなかで微笑み、表には決然たる面持ちを浮かべ、口訣を結んだ。
「さあ、贋作とは言え、真に迫る威力まで再現してみせた大魔法だ。
わが故郷に君臨せし竜の王の力、存分に思い知れ――終焉をもたらす力をッ!」
空中に5つの魔法陣が浮かび上がり、そこから炎・水・土・氷・雷の力が溢れる。
光芒は鳥居をくぐり抜け、切り開かれた活路を抜け、神を貫いた。
「ああああああ――!?」
虞で己を守ろうとする。だがそれは、すべて黒が奪い去ってしまった。
胸に残る愛も、狂気も、何もかもを焼かれ、砕かれ、邪神は悲鳴を上げた。
それが断末魔であり、永遠の終わりであり、戦いの幕切れともなった。
やがて空に浮かんだ異空間は霧めいて消え去り、東京に静寂が訪れる。
あとに残されたのは、傷つき疲れ、それでも誇らしげに笑う猟兵たちの姿。
――戦いは終わった。
ふたつの世界は、永遠になることなく、彼らの手で救われたのだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵