大祓百鬼夜行㉕〜この世を滅ぼす歪んだ愛
●いざ、最後の戦いへ
「間に合った……間一髪、本当にギリギリのところでだよ」
水島・可奈(少女自由に夢幻を掴め・f01117)の第一声がそれだった。
「どうにか、間に合った。大祓骸魂……見つけた。もう、本当に、カタストロフを覚悟してたから。
みんなの頑張りのおかげ。本当にありがとう。
――さ、もうひと頑張りしよう」
その歩みを、皆の頑張りを、水泡に帰さないためにも。待ち構える彼女を倒さないといけない。
「大祓骸魂がいる場所は――東京スカイツリーの頂点にさらにできたゲイン塔って言う場所。ここで大祓骸魂はみんなを待ち構えてる。
――あと数日。あと数日で、カタストロフを起こすために」
そして彼女が恐ろしいのはその膨大な虞だ。
「彼女の虞は、世界を狂わせる」
今、スカイツリー付近の上空はカクリヨファンタズムのような空間になっている。大祓骸魂はその中で、あらゆる手段を用いて攻撃してくるらしい。
「まさに世界を狂わす愛――っていうやつだね。でも、この愛は歪んだ愛だ。私たちが受け入れるにはとても重すぎて、そして拒絶反応が起きてしまう」
だから、倒すしかない。そう。倒すしかないのだ。彼女は『救えない』。救えないほど、歪んでいる。
「こうなると――もはや彼女の救済はできない。救うことなんか考えないで、討滅こそが救済だ、と考えてほしい」
可奈は、もう一つ、と指を立てる。
「……みんなが行く時には、大祓骸魂は過去の戦場を再現してくる」
過去の多彩な戦場、それらの再現。それは即ち無策では簡単にやられてしまうことを示す。だが、それがわかればいい。刻一刻と変わる大祓骸魂の周囲に、対応するように策を練って挑めばいい。
どんな状況に立つ大祓骸魂をどう対応するか。それも今回のポイントだと可奈は付け足した。
「……生と死。過去と現在。繋がってはいけないものが繋がろうとしている」
それが起きたら如何なることが起きようか、考えるだけで恐ろしい。
「行くよ――Alea jacta est(賽は投げられた)。 みんなを、信じているから。
幽世の妄執と過去に――別離を。そして――現在(いま)を生きる、生命ある者に――祝福を!」
今、グリモアと共にゲイン塔への――『大祓骸魂』への道は、開かれた。
結衣謙太郎
祝福されない帰還、その愛の行く場所は。
結衣(最終決戦モード)です。
……泣いても笑っても、これが大祓骸魂との最終決戦です。
以下詳細。
●メイン目標
大祓骸魂を討滅せよ!
(救出はできません)
●章構成
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「大祓百鬼夜行」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
●重要
今回は特別プレイングボーナスを今までの戦場の中から好きなものを選ぶことができます! なお、結衣が過去に書いた戦場じゃなくても構いません。お好きなものをぜひ。
プレイング冒頭に戦場番号(2パターンある戦場はさらに⛺🏠👾👿のマークもお願いします)があると結衣がわかりやすくなって助かります。
●ロケーション
スカイツリー・ゲイン塔。
ただし、大祓骸魂の影響で風景などが時と場合により様々に変化します!
具体的には、皆様の選んだ特別プレイングボーナスの内容と同じものになります。
つまり、TCGで挑むなら見えざる闘技場に。懐かし遊びなら超芸術トマソンに。ビックリ身体能力なら見世物小屋に。そんな感じに風景が変化します。
大祓骸魂もそれに合った風に行動してきます。どの戦場のを選ぶかは慎重に考えることをお勧めします。
●備考
プレイングは5月29日12時より受付開始します。
導入の断章はありません。
また、このシナリオは高難度依頼、かつ戦争最終決戦依頼です。
判定が2段階辛くなります。容赦なく苦戦や失敗出すのも覚悟してます。ご注意ください。
祓え、生と死の接続という、最悪の悪夢を。
それでは、勇敢に立ち向かう皆様のご参加をお待ちしております。
第1章 ボス戦
『大祓骸魂』
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POW : 大祓百鬼夜行
【骸魂によってオブリビオン化した妖怪達】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[骸魂によってオブリビオン化した妖怪達]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD : 生と死を繋ぐもの
自身が装備する【懐刀「生と死を繋ぐもの」】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ : 虞神彼岸花
【神智を越えた虞(おそれ)】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を狂気じみた愛を宿すヒガンバナで満たし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
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イスラ・ピノス
👾駄菓子屋迷宮
こっちも向こうも大詰め。
駄菓子屋の姿が見えたら突撃するよ!
敵も先制してきそうだからオーラ防御と第六感を頼みに駄菓子屋に飛び込むよ!
選ぶのは粉末ソーダのすごいやつ
もこもこ力を吸うとかばちばちするとかそういう感じのフレーバーだと思う!
ゲットしたら迷わずシェイプ・オブ・ウォーター!
深海にご案内
ヒガンバナが綺麗で強そうでも、その上に立てなくしちゃえばいいよね。
高速泳法で攻撃をかわしながら、ソーダ水槍と渦潮で相手が地面には立てないように攻撃していくよ!
水槍の中に駄菓子兵器を入れて大祓骸魂の所で封が切れるようにしたり、投げ置いて大祓骸魂がそこに来たところで渦潮で封を切って威力アップさせるね
●まさかの展開
「愛しきUDCアース、あなたにはかつてこのようなものがあったのでしょう」
大祓骸魂が目をつぶり囁くように言霊を紡げば想起が虞を介し再現される駄菓子屋迷宮。カクリヨファンタズムにあったものが形を変えこのUDCアースに現れた――
「おおっ、駄菓子屋駄菓子屋ー♪」
あっ、駄菓子屋が出るや否やイスラ・ピノス(セイレーンの冒険商人・f26522)が飛び込んでいった! 商人の血が騒いだか?
「いーや? こっちも向こうも大詰めだからね。駄菓子屋の姿が見えたら突撃しようと思ってた!」
あっ、割と計算高い所あった。さすが商人。
さて、駄菓子屋迷宮で駄菓子兵器を吟味するイスラ。
「相手も先制してきそうだけど……んー、これで!」
イスラが選んだのは、『一度は口で味わったことのあるパチパチが力を吸うモコモコとごいっしょに!』――とかパッケージに書かれている粉末ソーダ。粉末ソーダとはオレンジジュースとかグレープジュースとか書いてあり、普段は粉末だが水を入れるとそれに書いてある飲み物になるという面白い駄菓子だ。……なんだが、兵器になったこれ『でんじゃー』とか『取扱イ注意サレタシ』とか書かれている。
「んー、どれだけ危険かわかんないけど……まあ、開封すればわかるよね!」
冒険商人だけに『冒険』するイスラである。そんなウキウキ気分で大量に腕に抱えるイスラのもとに、
「見つけました、猟兵」
大祓骸魂が麩菓子の大砲を持って現れた! イスラがそっちの方向を見れば即放たれる膨大な虞に足をすくませてしまう。
「くうっ……でも、僕も駄菓子兵器は手に入れた! ここからは僕のターン!」
迷わず放たれるソーダ水の雨! 降り出した雨が駄菓子屋迷宮をあっという間に深海へと変える!
「深海にご案なーい!」
ここからがイスラの真骨頂――!
「が、がぼばぼぼがぼぼぼ」
「あれ?」
――が、目の前の大祓骸魂が何やら苦しそうな顔をする。イスラが不思議そうな顔をする中、大祓骸魂が必死で逃げようと――駄菓子屋迷宮の外に出ようとしている。強い虞を放ってイスラを近づけまいとはしながらも。
「どうしちゃったんだろ?」
何が起こったかもわからず時折虞にやられながらも追いかけるイスラ。そして脱出しようと必死にもがく大祓骸魂を見て、あー、と苦笑いした。
――何が起きたか説明しよう。
駄菓子屋迷宮はあくまで『天井がある』場所だ。もともと駄菓子屋なのだから。
そんな場所で、深海と同じように水に満たされたらどうなるか?
そう――駄菓子屋迷宮は完全に水没する。大祓骸魂、酸欠のピンチなのだ!
このコードは味方は自由に動けるが敵はそれがない。つまり、大祓骸魂は今、深海から浮かぼうとする人間のように、酸素を補充しようと溺れるピンチを犯しながらも水面に浮かぼうとしている状態!
イスラとしては最初は「ヒガンバナが綺麗で強そうでも、その上に立てなくしちゃえばいいよね」と考えてやった作戦なのだが、まさかこうなるとは誰が思っただろうか。ちなみにヒガンバナは水中で綺麗に咲いております。上に立てるわけがないけど。
だが酸欠狙いだけではいざ脱出された時に面倒だ。
イスラは大祓骸魂を追いかければ、数回虞を喰らえばもう慣れたといわんばかりに放たれる虞を泳いでかわしつつ、ソーダ水槍と渦潮をいくつか作り出し仕入れた駄菓子兵器をそれらに混ぜていく。そしてそれらをそのまま大祓骸魂に向かって送り出す!
「いってらっしゃーい!」
他方、大祓骸魂はピンチだった。どうにか地上に、空中に、水面に出ないと、酸欠で死んでしまう。もはや飛んでくるソーダ水槍や渦潮に気を払う余裕などなかった。そして大祓骸魂の近くで、槍や渦潮により混ざっていたその駄菓子兵器が『開封』される――すると、一瞬大祓骸魂の視界が白い粉末に埋もれ、次の瞬間には、ソーダ水に粉末が溶け、そして――
「!?」
まるでパチパチいう駄菓子を口に入れた時のようなバチバチとした衝撃が大祓骸魂を襲う! これには大祓骸魂の集中が大きく乱れる! しかも何気に殺傷能力がある駄菓子兵器だ、粉末が勢いよく飛び交えば大祓骸魂の肌に傷を与えていく!
「あはは、思ったより強かったかなこれ……」
離れた位置から苦笑いするイスラに睨みを返す大祓骸魂、そして一瞬強い虞が噴出すると――風景がもとのスカイツリー・ゲイン塔に戻り、水が勢いよく流れ、大祓骸魂もようやく水面に顔が出る。荒い呼吸をしながら大祓骸魂は呟く。
「愛しきUDCアース、ですが今度から海には入りません」
――トラウマができてしまったようだ。
大成功
🔵🔵🔵
隣・人
14
「んんんんn……これもしかしてボーナスステージですかね?」
ふと見たらたくさんの耳、耳、耳、どんな音も逃さない、そんな大祓骸魂さんが居ました。じゃあ自意識過剰に行きましょう
懐刀に対応するなら如何しましょうか、生死関係ない『生きてない』ものを盾にしましょう。取り出したるはコーヒーカップ、大きな大きな、人ひとり入るような遊具
刀を弾きながら突撃しましょうか。え? 相手が強化されているですって? 問題ありませんよ、そんなに蝸牛生えてたら『耳石』めっちゃくちゃにしてやります。跪いて嘔吐するのです!!!
接敵したら回転椅子掲げて撲りましょうね。それで倒せなかったら仕方ありません、どっきり目回し仕掛けて撤退
●ぐーるぐる、ぐーるぐる
ようやく息が整った大祓骸魂、流れを変えようと別の風景を映し出す。
「愛ゆえに、私は如何様な体にもなり得ましょう」
それは殺戮の見世物小屋。中で骸魂が苦悩していたその場所を映し出せば大祓骸魂に数多の『耳』が生える。ビックリ身体能力だ――!
「私の『耳』は如何なる音も逃さない……嗚呼、数多の『愛』が聞こえてきます」
「んんんんn……これもしかしてボーナスステージですかね?」
隣・人(🌈・f13161)!? 怪奇メイドが来たー!?
「怪奇メイドじゃないですよ隣人ちゃんは隣人ちゃんですよ隣人ちゃんと呼んでくd」
「喧しい猟兵がいるようですね」
ほら地の文に反応なんかするから大祓骸魂気づいちゃった。数多の耳の隙間から懐刀が隣人に飛んでくる!
「なるほど生と死を繋ぐ懐刀とでは元から『生きてない』ものであればいいんですよね」
隣人が取り出したのは――コーヒーカップ。大きな大きな、人ひとり入るような遊具だ。遊園地にあるあれとは少し趣が違うが似たようなものだろう、たぶん。懐刀弾きながら突撃できてるし。
「ではこの辺で」
と、肉薄一歩手前で突撃が止まり防戦体勢。大祓骸魂も不思議そうだ。このまま肉薄すると思ったから。
「何をするつもりです?」
「ふっふっふ、さあ回りましょう?」
瞬間、大祓骸魂の視界は歪んだ。否――これは、まるで、目を回したときのように、視界が歪んでいる――! 歩くのもおぼつかない!
「そんなに蝸牛生えてたら耳石もめっちゃくちゃにできましょうね三半規管ずたずたにぐるぐるにしてやりたいですねやりましょう。跪いて嘔吐するのです!!!」
「ぐ、ぐっ、こんな、ものに……!」
隣人のコードで大祓骸魂の大量の耳の大量の三半規管に耳石を生やしたのだ! そして三半規管が弄られれば例え回転していなくても回転した時のような気持ち悪さを感じるものである。――実際これは有効打で、大祓骸魂は視界は朧気で、気分を悪くしている。今にも🌈を吐いてしまいそうなところをギリギリ持ちこたえている現状である。……隣人もいつの間にか用意している回転椅子で凄い回転をしながら大祓骸魂のその様子を愉悦気味に見ている。
「もとより隣人ちゃんに生と死を繋ぐものなんざ――ああいやこれはどうでもいい話ね」
――生きてるのか死んでるのかも曖昧な、[削除済]だったのだから。
一瞬、口調が変わった気がしたが恐らく気のせいだろう。そうでなければきっと[削除済]なのだろう。
「ま、隣人ちゃんに当たったのが運のツキですよ、そこでずっと眠って吐いてな!」
自分が先ほどまで回転していた回転椅子からぴょんと立ち上がるとそれを持ち上げ、気分を悪くしている大祓骸魂に肉薄、からの殴打! 脳天に回転椅子が当たれば血と共に🌈を吐く大祓骸魂! これ報告書に残して大丈夫な奴? モザイクかけとこうか?
「ううっ……愛しきUDCアースに私の一部を……」
あ、大祓骸魂が服の下の方で🌈を拭いている……が、それを見た隣人はさらに後頭部に一撃!
「あっ――」
憐れ赤い血と🌈の海に大祓骸魂は頭から倒れた! 殺オブリビオン・フォーミュラ現場か! 第一発見者隣人か!
「隣人ちゃん殺人鬼で六六六番外の[削除済]なので」
じゃあ問題ないのか、あーよかっ――いやいいのか?
「……今のは良い一撃でした」
あ、大祓骸魂普通に起き上がった。無数の耳こそなくなったが、皮肉にも二撃目で正気に戻れたようだった。
成功
🔵🔵🔴
芦谷・いろは
【⑥ 幻朧桜の麓にて(🏠)】
全力でお花見楽しみます!
いろは今回お花見出来なかったんで!
いいですよね、だってできるんですもん。少しぐらい楽しんだってバチ当らないですよね
さて、では宴会の準備です
飲み物にお菓子や食べ物類。取り皿にコップも準備して!
レッツ宴会ですよ~
大祓骸魂さんもどうですか?
貴女にとってこの地は愛してやまない地なんですよね
この地に咲くお花を一緒に愛でませんか?
貴女の愛をいろはだけじゃ全部受け止める事は出来ないかもしれません
だけど一緒に少しだけ愛でる事は出来ると思うんですよね
緋翠・華乃音
⑥幻朧桜の麓にて🏠
地を満たす彼岸花
美しさも過ぎれば狂気となる
悠然と佇む幻朧桜
世界の行く末を見守るかのように
――故に、此処は幻朧桜と彼岸花の戦場
……実を言うと、君の気持ちは分からなくもないんだ。
俺は世界そのものを愛している訳ではないけれど。
生と死を繋ぎ止めたいという心情は理解出来てしまう。
俺が此処にいる理由は、世界の為とか今を生きる人々の為とか。
……そういう大層な理由じゃない。
この世界にたった一人、連れて行かれては困る人が居るから。
――違うよ。
その人はもう、目を覚ましてはくれない。
俺は、黄泉路から――死者を取り戻したいんだ。
だから君とは相容れない。
――彼岸花の朱が、瑠璃の焰に包まれる。
●桜下、宴の席で
「愛しきUDCアースよ、あなたにはかつてこのようなものがあったのでしょう」
大祓骸魂が一つ虞を放てば幻朧桜が一つ咲く。葉桜も越えたこの時期に異様に存在感を放ちながらも悠然と佇む桜一つ。その下には大祓骸魂のコードの影響で彼岸花が咲き誇り、まさしく死体の一つでも埋まっていそうなほどだ。――そんな桜の陰から一人の猟兵が。
「――地を満たす彼岸花……美しさも過ぎれば狂気となる」
緋翠・華乃音(終奏の蝶・f03169)だ、しかし彼が現れたその傍から芦谷・いろは(傀儡使い・f04958)も現れる。
「――故に、此処は幻朧桜と彼岸花の戦場――」
「んー、いろは難しいことわかんないです! とりあえずお花見しましょう!」
華乃音が脇から言葉を差し込んできたいろはに呆気にとられる中、いろははといえばいつの間にか大祓骸魂の服を引いている。
「大祓骸魂さんもどうですか? お花見」
「え、今それ聞くんだ。そして誘うんだ」
「だっていろは今回お花見出来なかったんで!
いいですよね、だってできるんですもん。少しぐらい楽しんだってバチ当らないですよね」
「じゃあなんで大祓骸魂を」
「え、だって――貴女にとってこの地は愛してやまない地なんですよね。この地に咲くお花を一緒に愛でませんか?」
「今一面彼岸花だけどね」
華乃音が冷静に突っ込む中なおも大祓骸魂の服を引きながら問いかけるいろは。――だが実はこの時いろははコードを使って大祓骸魂のコードを封じていた。それに気づいたのか少しはっとした顔になった大祓骸魂は一拍おいて、
「……良いでしょう、たまにはそのようなものも風流かもしれません」
「やったー!」
乗ってきた。途端にいろはが上機嫌になる。
「さて、では宴会の準備です! 飲み物にお菓子や食べ物類。取り皿にコップも準備して! レッツ宴会ですよ~」
華乃音はそれを複雑な気持ちで眺めるしかできなかった。――嗚呼、これは自分が考えすぎなだけか、それとも――
「それじゃ、かんぱーい!」
「「乾杯」」
3人が乾杯する(ジュースで)。桜の下でまさかの大祓骸魂を交えながらの宴会が始まり、目を輝かせるいろはと冷静に語りあう2人。そして話題は大祓骸魂の唱える『愛』という、この場ではデリケートな話題へ。
「大祓骸魂さんの愛って、どれくらい大きいんですかね?」
「私のUDCアースへの愛はあなた達猟兵には計り知れないほど大きいものです――幽世ができるほどには」
「なるほど……」
ジュースを飲みながら言葉に悩むいろは。
「大祓骸魂さん、貴女の愛をいろは達だけじゃ全部受け止める事は出来ないかもしれません。
だけど一緒に少しだけ愛でる事は出来ると思うんですよね……どういえばいいか難しいけど」
いろはがどこか難しい顔をしながら言う中、華乃音もまた呟く。
「……実を言うと、君の気持ちは分からなくもないんだ」
「分からなくもない、と言いますと」
「……俺は世界そのものを愛している訳ではないけれど。
生と死を繋ぎ止めたいという心情は理解出来てしまう。
俺が今此処にいる理由は、世界の為とか今を生きる人々の為とか……そういう大層な理由じゃない」
――この世界にたった一人、連れて行かれては困る人が居るから。
それは華乃音の心からの想いであり、彼なりの『愛』でもあった。
規模は違えども、同じ単体を愛する存在として、大祓骸魂と華乃音はある種似たようなものだったのかもしれない。もしかしたら、仲良くなれた世界線もあったかもしれない。だがそれはif(くうそう)の話だ。
「……その方は、今も生きてるんですよね? でしたら一緒に過ごしてあげれば」
「違う」
「――違う、と言いますと」
「――違うんだよ。
……その人はもう、目を覚ましてはくれない」
死人。過去の存在。
「俺は、黄泉路から――死者を取り戻したいんだ」
――その言葉は、悲壮な決意さえも帯びていて。
現在(いま)を楽しもうとするいろは、失った過去を己の手で手に入れようとする華乃音、そして過去から戻り未来を汚染しようとする大祓骸魂。この場にいる3人は、それぞれが別のかみ合わないだろう思いを持っており、嗚呼、故に――
「――だから君とは相容れない」
――彼岸花の朱が、瑠璃の焰に包まれる。大祓骸魂が一歩後ずさる。
「私達も少しだけなら愛でられます。ですが、『少しだけ』なんです」
――愛が、重すぎるんですよ、と。いろはもまた、大祓骸魂を完全には受け入れられない、と。拒絶の意思を示した。
「……やはり、こうなってしまうのですね」
覚悟はしていた大祓骸魂――否、もうオブリビオン・フォーミュラとなった時点で覚悟はしていたのだろうが――それでも尚、心に来るものがあった。
大成功
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岩永・勘十郎
【⑮真の姿を晒して戦う】
「お前さんに恨みはないが、斬らせてもらうぞ」
そう言って羽織っているマントを脱ぎ棄て、本気の姿に。
そして刀を後ろに構えて、敵を見定める。
「妖怪たちの無念は、ワシが晴らす」
次に来る敵の攻撃を五感では得られない仏の境地【第六感】で感じ取り【瞬間思考力】を駆使し様々なパターンで予測、培った【戦闘知識】も合わさり確実に起こる事象を導き出せたはずだ。敵の攻撃を全て【見切り】【受け流し】ながら、そのパワーを【残像】が残る程の【早業】で返す!
UCの敵の魂や存在その物を斬り裂く斬撃として。
「終わりだ」
勘十郎の奥義が炸裂する。きっと【幸運】も彼に味方するだろう。
夜刀神・鏡介
⑮真の姿を晒す
世界を滅ぼす程に、と強く一つのものを愛せるのは素晴らしい事だろうが、滅ぼされる方にとってはたまらない。であれば、この決戦は当然か
強大な虞に神刀が反応しているのか、封印が自然と解放される。その強い神気を身に纏って真の姿へと変身(IC参照)それにより、限界を越えた力を振るえるようになる
まず道をこじ開ける為に妖怪軍団へと切り込んでいく。彼らは骸魂に憑依されているだけが故に、あくまで殺さないように。声をかけて、大祓骸魂に抗おうとする意志を鼓舞できないか試みつつ、浄化の神気を込めた斬撃や斬撃波で骸魂を祓う
道を開いたのなら、一気に大祓骸魂へ接近
渾身にして最速の一刀――壱の型【飛燕】を叩き込む
亞東・霧亥
②👿超電流撃滅形態
真の姿を解放。
数多の『残像』を囮にして敵の死角へ『目立たない』様に『忍び足』で移動。
『武器改造』と『毒使い』の技術で、吹き矢の針を極小サイズの劇毒針に改造する。
気配を断ち『暗殺』を実行。
【UC】
骸魂に直接撃ち込めば一撃必殺の可能性は十分にある。
UCの能力だけでなく『スナイパー』と『戦闘知識』も加味して、大祓の骸魂を狙う。
「せめてもの手向けに、容姿、声、有り様、お前の全てを心に刻もう。」
●決着
「やはり最終的には雌雄を決するしかないようですね」
湧き上がる膨大な虞。元に戻る風景。もはや大祓骸魂は下手なことをせず、己が虞と共に真っ向勝負する手に出た。
それに毅然と立ち向かうは3人の戦士達。
「ああ、お前さんに恨みはないが、斬らせてもらうぞ」
マントを脱いだ岩永・勘十郎(帝都の浪人剣士・f23816)と、
「世界を滅ぼす程に、と強く一つのものを愛せるのは素晴らしい事だろうが、滅ぼされる方にとってはたまらない。であれば、この決戦は当然か」
神刀に炎を纏わせた夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)と、
「俺達が貴様を倒す。貴様の愛を成就させないためにも」
胸に時計が埋め込まれている亞東・霧亥(夢幻の剣誓・f05789)だ。
「そうですか、しかし私もここまで来たのです。あと少しのところまで来たのです。愛するUDCアースを永遠にできるその瞬間まで」
大祓骸魂のもとに百鬼夜行と大量の懐刀が現れ、3人に襲い掛かる。その量はまさに総力戦と言わんばかりに多い――!
「負けるわけにはいかないのです」
「くうっ、ある程度は予測はできる、が……!」
「数が多い、な!」
最初の威勢とは裏腹に3人は苦戦していた。何分相手の戦力が多く、大祓骸魂まで近づけない。勘十郎が直感で予測をして行動を見抜くが、そこから体が動くまでのラグの間に戦況が変わってしまい再予測を迫られる。数が多い乱戦だとこれが厄介だ……
勝負は拮抗したまま、このままだとジリ貧か――そう悟ったか、鏡介が一つ案を出した。
「皆、少しいいか? このままではまずい、だから、俺が囮になろうと思う」
囮作戦。相手の百鬼夜行を一手に引き受け、その隙に脇から2人に攻めてもらうという作戦だ。
「勝機はあるのか?」
「神刀の封印がいつの間にか解けている。大方、大祓骸魂の強大な虞に反応しているのだろうが……これを使わない手はない。こいつの強い神気を身に纏っている今ならば、やろうと思えば限界を越えた力を振るえる」
まだ本当の本気はこんなものじゃないとばかりに言う鏡介。真の手の内は相手に肉薄するまで取っておこうかと思ったが、こうなっては仕方ないか。
「作戦はどんな感じだ?」
「まず俺が道をこじ開ける為に百鬼夜行へ切り込む。彼らは骸魂に憑依されているだけだから、どうにかできないかと思う」
百鬼夜行の戦力を、呼びかけなどで少しでも削減で来たら僥倖だ。そうでなくても一騎当千していれば自然と囮の役割を果たせる。
「だからその隙に2人は」
「否、ワシも行く」
言葉を遮って勘十郎が囮に名乗りを上げた!
「ワシの直感と知識なら万が一があっても備えられるだろう。お前さんが食い止めてる間にワシは突破を試みる」
百鬼夜行の突破。成功すれば2方向から攻め込める上に百鬼夜行の分断や困惑も狙えるだろう。試みる価値はありそうだ。
「……なら俺は直接大祓骸魂を狙う」
霧亥は吹き矢を構えて横を抜ける気満々だ。流石に3人全員百鬼夜行に突撃しては囮の意味がない。
「準備はいいな? じゃあ、いくぞ」
「何を仕掛けてくる気かわかりませんが、私の百鬼夜行――『大祓百鬼夜行』に敵う者などおりますまい」
大祓骸魂は後方から百鬼夜行を見守りつつ刀を動かす。ふと、手元にある本物の懐刀をつー、と撫でれば軽く笑みを浮かべた。
その百鬼夜行に、鏡介と勘十郎が斬りこんでいく!
「お前らこんな奴の言いなりになっている場合か! 抗うんだ! 自分の意思でUDCアースに戻りたいのもいるだろう!」
「ああ、お前さんらは誰かの言いなりでいいのか!? 己が身を骸魂に操られて良いのか!? 否であろう!?」
2人は百鬼夜行を構成する妖怪らに声をかけて、大祓骸魂に抗おうとする意志を鼓舞できないか試みつつ、勘十郎の予測を聞いた鏡介が浄化の神気を込めた斬撃や斬撃波で骸魂を祓っていく。その間を縫い、勘十郎が妖怪たちからの攻撃を受け流しながら百鬼夜行の突破を図る!
「あの百鬼夜行を突破しようなど……」
その光景を見た大祓骸魂はそんなの到底無理だ、命を捨てに行くようなものだと思っていた。
慢心していた。
が、慢心は隙を生む。
「……それにしても先ほどから気分が悪い……毒でしょうか」
――気づかぬうちに大祓骸魂は弱っていた。
(まだか、まだ抜けれないのか)
死角から吹き矢を再び放ちながら霧亥は舌打ちしていた。早々に百鬼夜行の脇を抜けていった霧亥は残像を囮に飛んでくる懐刀をかわしながら猛毒の吹き矢で墜落させ、さらに隙を見て吹き矢を大祓骸魂に当てていた。
――気配を絶ち、骸魂に直接撃ち込めば一撃必殺の可能性は十分にある。そう見込み骸魂部分を探すが、見当たらないし、手ごたえがない。隠れた部分にあるのかそれとも――
(大祓骸魂自体が『巨大な骸魂』――いや、ないか)
一つよぎった可能性。だがそれをすぐにひっこめた。そもそも一撃でダメなら二撃三撃と当てればいい話だ。なら、突破してくるだろう仲間の為に少しでも大祓骸魂を弱らせておくのが己の役割だろう。
――そしてついに機は訪れた。
「どぉぉぉりゃぁぁぁ!!」
咆哮と共に勘十郎が百鬼夜行を突破してきた! 眼前にいる大祓骸魂は驚愕の顔をしている!
「……馬鹿な。私の百鬼夜行が」
「絶対なんて存在しない。自惚れたのが敗因だ、大祓骸魂」
遅れて鏡介も百鬼夜行を突破! 霧亥が待ってましたとばかりに吹き矢の先を大祓骸魂の心臓に向ける。そして一発の吹き矢が大祓骸魂の心臓に向かい、命中! 大祓骸魂の体勢が一瞬崩れたのを2人は見逃さない! 頷き合い、2人は刀を構える。
「終わりだ。妖怪たちの無念は、ワシが晴らす」
「渾身にして最速の一刀、味わえ」
そして一気に肉薄――!
「六道・龕灯返しの太刀!」
「壱の型――【飛燕】!」
勘十郎の太刀が袈裟斬りに、鏡介の神刀が下段から斬り上げれば、大祓骸魂を斬る斬撃が、2人が交差し――その斬撃の前に、赤い血を流しながら大祓骸魂は膝をついた。
「ああ、どうして、どうして――あと、もう少し、だったのですが――これが、猟兵の意地というものですか――」
立ち上がることもできず、頭を大地に打ち、流れる血の中に横たわる大祓骸魂。
「ですが、大いなる邪神は私一人だけに非ず……私が倒されようと、いずれ――」
それが、大祓骸魂の最期の言葉となった。
もはや冷たくなった大祓骸魂のその遺体の右腕を持ち上げながら霧亥は呟く。
「せめてもの手向けに、容姿、声、有り様、お前の全てを心に刻もう」
それは、他の2人も――否、この戦いに参戦した猟兵皆も、同じ気持ちだったかもしれない。
誰からも忘れられることがもう二度とないように。それは彼女にとっては最悪で、でも、最高なのだから。
成功
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