2
大祓百鬼夜行㉕〜未来へ

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行


 猟兵に世界の命運を託して四名の親分は去った。
 時を同じくして古の究極妖怪が姿を現した。骸魂の元凶であり、すべての知的生命体に忘れられていた大祓骸魂は、今や誰の目にも可視化された姿でゲイン塔からUDCアースを見下ろしている。
 邪神の一柱と伝えられる存在だが、その思いは驚くほど純粋だった。愛しいUDCアースを永遠としたい。強い想いと執着が彼女をこの地に蘇らせた。
 邪なる者が望む永遠。その答えは胸に抱いた懐刀「生と死を繋ぐもの」が示している。誰でも、何でも殺す鈍が、世界を殺し、UDCアースは骸の海で永遠となる。
 大願を阻止せんと奮闘する猟兵の姿が大祓骸魂の目に映る。多くの妖怪が彼らを信じて身を捧げた。愛する故郷を猟兵に託して敵の軍門に下った。
「猟兵たちよ、止められますか」
 眼下を走る猟兵たちに問い掛ける。誰よりも長い時間、UDCアースを愛し続けてきた。その答えが死による永遠であった。
「違う答えを持つのであれば私の元に来なさい。誰よりもUDCアースを愛していると自負するのであれば、私を止めてみなさい」
 弱き者に世界は守れない。思いだけでも守れない。審判の時は迫っていた。
「電波塔の頂上で、あなたたちを待っています」

「ついに、東京スカイツリーの最上部に設置されたゲイン塔に、大祓骸魂が現れました」
 いつも以上に緊迫した面持ちでプルミエール・ラヴィンス(はじまりは・f04513)が告げた。
「もはや私から言えることはありません。皆さんがこの戦いで経験したすべてが大祓骸魂を祓う手段となるでしょう」
 大祓骸魂との戦いでは大祓百鬼夜行の戦場で起きたすべての現象が発生しうる。これまでの戦いは言わば前哨戦。邪悪なる力の一端であった。
「大変ではありますが、どの現象も一度は経験したことです。後は、手の内をすべてさらけ出した相手を倒すだけです」
 プルミエールは力強くうなずいて見せる。勝利は目前だと猟兵たちに言葉をかけた。
「この戦いに二つの世界の命運がかかっています。大祓骸魂を祓い、世界と妖怪さんたちを助け、英雄になりましょう。勝利と無事をお祈りしています」


百目
 百目(ひゃくめ)です。
 よろしくお願いします。

 大祓骸魂との決戦シナリオとなります。
 この戦いでは大祓百鬼夜行で起きたすべての現象が発生する可能性があります。
 どの戦場を選んだのかを明記していただければその戦場で起きたことが発生します。
 特に明記が無い場合は大祓骸魂とのガチンコバトルとなります。

 プレイングボーナスは「全ての戦場のプレイングボーナスから好きなものを選び、使用できます」
7




第1章 ボス戦 『大祓骸魂』

POW   :    大祓百鬼夜行
【骸魂によってオブリビオン化した妖怪達】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[骸魂によってオブリビオン化した妖怪達]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD   :    生と死を繋ぐもの
自身が装備する【懐刀「生と死を繋ぐもの」】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    虞神彼岸花
【神智を越えた虞(おそれ)】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を狂気じみた愛を宿すヒガンバナで満たし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
岩永・勘十郎
【⑮真の姿を晒して戦う(🔴は不要)】

「お前さんに恨みはないが……斬らせてもらうぞ」

マント脱ぎ捨て本気の姿で戦う。その彼の背後にはワシミミズクの姿をした覇気が現れ【恐怖を与える】【殺気】として燃え上がる。

「いざ参る!」

敵の怒涛の攻撃を【見切り】回避する。これも勘十郎の【瞬間思考力】の賜物。妖怪たちと戦った戦闘で培った【戦闘知識】から導き出されるそれは、ほぼ確実に起こる事象。それを様々なパターンで予測し回避しているのだ。

「そろそろ終わりにするぞ」

【残像】が残る程の【早業】で攻撃を【受け流し】ながら斬り裂き、親分の間合いまで入り込む。そのままUCを発動し敵の魂や存在その物を斬り裂いた。



 ゲイン塔にたどり着いた途端、景色が一変した。
 これまで戦い抜いてきた戦場が、見世物小屋が、マヨヒガが、公衆電話が、現れては消え、また別の景色に変わっていく。
 岩永・勘十郎(帝都の浪人剣士・f23816)は不安定な世界の中心に少女の姿を認めた。和服姿の少女は和傘で目元を隠したまま、自らの前に立つ猟兵へとほほ笑みかける。
 薄ら寒いものを感じながらも、勘十郎は怯まず義父の形見である小銃兼正を鞘から引き抜いた。
「虞を感じぬのは蛮勇ゆえか、それとも愚かさか」
 傘を閉じた少女、少女の姿をした妖怪、大祓骸魂は、初めて対面する猟兵と視線を合わせる。
 邪神とまで呼ばれた究極妖怪を前にしても勘十郎は決して引き下がることはない。夷険一節、それが心に刻んだ流儀であった。
「お前さんに恨みはないが……斬らせてもらうぞ」 
 マントを脱ぎ捨て、本気の姿へと変化する。変貌した勘十郎の背後ではワシミミズクの姿をした覇気が殺気を放ちながら燃え上がっている。
「私の前に立ちはだかる資格があるのか、試して差し上げましょう」
 閉じた和傘を軽く手のひらに
叩き付ける。カクリヨファンタズムが如き空間となった東京上空のあちこちから、骸魂によってオブリビオン化した妖怪たちが集まって来た。
「いざ参る!」
 立ちはだかる巨体の妖怪を一刀のもとに斬り伏せる。
 上空を飛ぶ妖怪軍団が電撃を放つ。着弾点を見極めて右へ、左へ、的を絞らせないよう向きを変え、怒涛の攻撃を避け続けた。
 思考と知識、それに経験。大祓百鬼夜行を戦い抜いてきた勘十郎にとって、カクリヨの戦場と妖怪の攻撃パターンは予測のしやすいものだった。
 一体の妖怪が祓われるごとに敵の攻勢は弱まっていく。ムラができた隙を見計らって一気に踏み込んだ。
「そろそろ終わりにするぞ」
 残像が残るほどの速さで戦場を駆け抜ける。突き出された和傘を受け流し、真横に刀を振るった。
「万有を返す!」
 勘十郎の一文字斬りが、絶対的存在である大祓骸魂に届いた。
 顔をしかめた大祓骸魂が太刀筋をなぞる。肉体に傷は無い。邪神という概念そのものに損傷を与える必殺の太刀筋であった。
「痛みなど、とうの昔に失った感覚だと思っていましたが」
「これからゆっくりと思い出すことになるだろう。お前さんが止まらぬ限り、わしの刀も鞘には納まらぬ」
 再び呼び寄せられた妖怪たちを相手に刀を振るう。
 猟兵と大祓骸魂。世界の命運を賭けた戦いは始まったばかりである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
②の戦場

UDCアースを愛してるときたかー
ま、好きではあるよ
あそこは愛しき邪悪、邪神共がのさばってるからね
私は神を造る頂を目指す者
邪神を殺す神を造ろうとする者
だからこそ、あの世界を壊させる訳にはいかないね


やるからにはガチンコといこうじゃない
真の姿…といっても姿は変わんないんだけどね
けれども出力、演算力桁違いだよ
外装展開
模造神器、4刀抜刀

【Code:F.F】起動
外装のアームの持つ剣から『斬撃波』を放ち懐刀を『吹き飛ばし』ながら高速移動で大祓骸魂へ接近
移動しながら私の持つ剣は『エネルギー充填』
先ずは外装の剣で『なぎ払い』、大勢を崩させて充填したエネルギーを開放
至近距離からエネルギー球を撃ち放つ!



「UDCアースを愛してるときたかー。その目に映る今の世界がどう見えるのかには、少し興味があるかな」
 かつて邪神の一柱と呼ばれた大祓骸魂を前にした月夜・玲(頂の探究者・f01605)は、同じく邪神と呼ばれる存在がのさばっている現実の世界を思いながら独り言ちた。
 少女の姿をした究極妖怪は猟兵の疑問に答えることはなく、和傘を手に冷笑を浮かべる。
「UDCアースを愛するがゆえに、私を止めに来たのでしょう?」
「ま、好きではあるよ。あそこは愛しき邪悪、邪神共がのさばってるからね」
 皮肉めいた口調にも反応は無く、傘で目元を隠したまま玲の出方を伺っている。
「私は神を造る頂を目指す者。邪神を殺す神を造ろうとする者。だからこそ、あの世界を壊させる訳にはいかないね」
 ほほ笑みながら傘を閉じた大祓骸魂の周囲に懐刀「生と死を繋ぐもの」の複製が浮かび上がる。ゆうに百を超える数のなまくら刀が一斉に飛び交った。
「やるからにはガチンコといこうじゃない。私の研究が太古の邪神にも通用するのか、試させてもらうよ」
 真の姿となった玲の背中でガジェットが展開する。外装は二本の巨大なアームとなり、関節部位まで忠実に再現された機械の手で二振りの剣を掴んだ。
 玲の手にも神器を模した剣が握られる。四刀を手に大祓骸魂を迎え撃った。
「最終公式起動、全てを零に!」
 個別に操作された刀が高速で走り出す玲を狙う。
 外装アームの右手が剣を振り下ろす。放たれた斬撃波が前面の障害を取り除いた。
 背後からも刀は迫る。今度は左の外装アームが剣を振り上げた。
 四方八方から迫る驚異を玲は眉ひとつ動かさずに取り除く。両手の剣はエネルギーの高まりを受けて輝き出した。
 手を伸ばせば届く位置に邪神の姿を捉える。和傘を外装の剣で薙ぎ払い、無防備になった身体にエネルギー弾を放射した。
 直撃を受けた大祓骸魂が身をかがめて距離を取る。不敵な笑みは消え、わずかに眉を釣り上げて自らを傷つけた相手を睨み付けた。
 Code:F.Fを解いた玲が大きく息を吐く。起動からエネルギーの放出まで二秒足らず。最小限とはいえ、高い戦闘力の代償は確実に行使者の寿命を削っていた。
「対等な相手と認めてくれたかな。次はもっと、効くよ?」
 再びユーベルコードを起動する。寿命を削り切るのが先か、相手が倒れるのが先か。愛しき邪神を前に、玲は一歩も引かなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

久遠寺・遥翔
⑮西洋親分

この世界は俺の愛する人が暮らす世界だ
身勝手な愛で永遠になんてさせるものか

イグニシオンに【騎乗】
真の姿となりUCを起動
装甲を犠牲に攻撃特化の形態をとる

【戦闘知識】による予測を【視力】による観測と【第六感】で補正した心眼で敵軍の動きを【見切り】
【残像】を織り交ぜて回避
避けきれない部分は【オーラ防御】を【結界術】でコーティングした多重防御壁で受け薄い装甲を補いつつ
被ダメージは結界で受けた敵の攻撃から【生命力吸収】で回復

【空中戦】で碧き劫焔を纏った両掌による【斬撃波】【範囲攻撃】でその統率を乱つつ骸魂だけを【焼却】していくぜ

数が減り弱体化したら本体を焔の太刀で断ち切る
さよならだ



 影が、晴天の空で輝く陽の光から少女を覆い隠した。
 和傘を避けて見上げた大祓骸魂の目に人形兵器の姿が映る。真の姿となった久遠寺・遥翔(焔黒転身フレアライザー/『黒鋼』の騎士・f01190)が騎乗したクロムキャバリア、イグニシオンは背中から翼を思わせるような青白いエネルギーを放出しながら、古代の究極妖怪を見下ろしていた。
「これも猟兵の力の一端ということですか。心無きからくり人形に私の相手が務まるのですか?」
 大祓骸魂の元に骸魂によってオブリビオン化した妖怪たちが集まってくる。ユーベルコード大祓百鬼夜行によって力を与えられた妖怪は本来の姿とは似ても似つかない邪悪な様相へと変貌した。
「この世界は俺の愛する人が暮らす世界だ。身勝手な愛で永遠になんてさせるものか!」
 心の奥底に眠る情熱を吐き出すとともに、イグニシオンの拳が碧き劫焔に覆われる。
 無策に突撃してきた妖怪の群れを相手に拳を突き出し、乱れ飛ぶ青い炎によってまとめて焼き祓った。
「ならば、これはいかがでしょう」
 ばらばらに動いていた複数の妖怪が寄り集まってひとつになる。イグニシオンの倍ほどにまで巨大化した妖怪が重々しく手のひらを振り下ろした。
 空気を押しつぶすほどの圧力を感じながらも、遥翔は紙一重のところで攻撃を避ける。空振った妖怪の手はカクリヨを模した空間から外れ、スカイツリーの側面をかすった。
「お前達の骸魂、残らず焼却してやるぜ!」
 鈍重な巨大妖怪に拳の乱打を浴びせる。
 再び振り上げた手が叩きつけられることはなく、同化を解かれた妖怪たちは骸魂を失って解放された。
「SYSTEM-IGNIS起動!」
 敵の軍勢が途切れたタイミングを見計らってイグニスモードへと変形する。装甲を捨て去り、出力を全開にして敵に迫った。
「さよならだ」
 焔の太刀が和傘ごと身を断ち切る。
「これほど、とは……」
 大祓骸魂から初めてうめき声が漏れた。遥翔とイグニシオンの力が邪神にも通用しうることを示す何よりの証拠であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

杓原・潤

もしかしたら永遠にしてもらった方がいいのかも知れない。
それでもUDCアースを殺させたりなんかしない。
だって、この世界はまだまだうるう達がキラキラにして行くんだから!

と言う事でカクリヨファンタズムから持って来た駄菓子兵器でチャンスを掴むぞ!
まずはユーベルコードでサメを召喚。
そしてこの虞を受け止めるにはおせんべいシールド!
いっぱい持って来たから【念動力】でサメ達にくっつけておいて、うるうはそのサメに守ってもらおう。
命中はしてるからヒガンバナだって咲かないはず。
サメの一匹に乗って、おせんべいと【オーラ防御】で守りながら突撃!
なんでかサメに生えてる回転ノコギリですれ違い様に【切断】してやるー!



「永遠かぁ。UDCアースがずっと存在し続けられるなら、それはいいことかもしれないね」
 箒で空に浮かびながら戦況を見守っていた杓原・潤(星と鮫の魔法使い・f28476)は、愛の名の下に戦う究極妖怪の主張に一定の理解を示した。
 その愛情は歪んでいる。しかし生まれ育った世界が永遠であってほしいという願いは潤も同じだった。
 敵である猟兵から思わぬ言葉が出たことで、大祓骸魂は笑みをこぼした。
「そうでしょう。そうあるべきなのです。放っておけば世界は心無い者たちの手によって汚され、滅びの道を歩んでいきます。それを防ぐことこそ真に愛するということなのです」
「うん。それはよくわかるよ。そこまでだったら、うるうも大賛成なんだけど」
 同じ目線まで高度を下げた潤はびしりと指を突き付けた。
「骸の海に沈むのって、ぜんぜん輝いてないよね。諦めるのはまだ早すぎるよ。UDCアースを守りたいんだったら出来ることはいっぱいあるはずだよ」
 和服少女の頭を振る。幼い魔法少女の想いは、長い時を生きる妖怪には届かなかった。
「あなたはまだお若く、世界の無常をご存じないのでしょう。もはや一刻の猶予も無いのです」
 丁寧な言葉遣いながら語気が強まる。
 妖力の高まりを感じた潤は無数のサメを呼び出した。
「妖怪さん達だけじゃない。カクリヨの世界だって、うるう達を助けてくれるんだ!」
 カクリヨの駄菓子屋から持ち出したおせんべいを掲げる。
 硬質化したおせんべいは念動力によってサメ一匹一匹に張り付き、身を守る盾となった。
「戯言を」
 焼け付くような赤い瞳が見開かれる。
 神智を越えた虞がおせんべいシールドを砕き、サメを悶え苦しませた。
 次々とサメが倒れる中、無事に残る個体も数多く存在した。カクリヨ製の駄菓子武器は防御を高めるだけではなく、潤のユーベルコードを大きく強化していた。
「狙い通り! ここがチャンスだ!」
 周囲をおせんべいシールドで囲んだ潤が無傷のサメにまたがる。
 大軍とともに突撃し、すれ違いざまに大祓骸魂の身体を切り刻んだ。
「カクリヨが、私に反旗を翻したと言うのですか」
 再び虞を放つことで大祓骸魂はサメの群れから逃れる。カクリヨの叡智が活用されたことは見た目以上のダメージを与えていた。
「うるうは絶対に負けないよ。この世界はまだまだうるう達がキラキラにして行くんだから!」
 駄菓子武器の力を借りて、潤は再び突撃した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サンディ・ノックス
プレイングボーナス:真の姿を晒して戦う(🔴は不要)

UDCアースを大祓骸魂より愛しているとは言わない
でもこの世界にお世話になって、住んでいるヒト達にもお世話になっているんだ、滅ぼすことはさせないよ

真の姿開放、金眼の赤い竜人と化す
UC青風装甲を発動、翼を広げ空を舞い、大祓骸魂の懐に飛び込んで一太刀浴びせる
この速度なら妖怪達も俺に追いつけないだろうし、仮に追いつかれても風圧で飛んでいくんじゃないかな
妖怪達を傷つけるのは気になるけど、戦闘不能にすることで骸魂から解放できることは同じはずだから

続けて大祓骸魂のことは高速でヒット&アウェイをして斬りつける
攻撃が効果的かは気にしない、とにかく攻め立てるよ



 和服の少女はまだ、立っていた。
 傘を失い、傷付き、カクリヨに否定されながらも、その目は生きている。
 歪んだものとはいえ、大祓骸魂の抱くUDCアースへの深い愛情は本物だとサンディ・ノックス(調和する白と黒・f03274)は感じ取っていた。
「UDCアースを愛している。その想いの強さでは、負けているかもしれないね」
 大祓骸魂はサンディを睨み付ける。胸中を察するような言葉にも笑顔を返すことはない。倒すべき敵として猟兵の前に立ちはだかっている。
「あなたにも理解はできないのでしょう。だからこそ電波塔を登ってきた」
「その通りだよ。この世界にお世話になって、住んでいるヒト達にもお世話になっているんだ。滅ぼすことはさせないよ」
 真の姿を解放する。全身が赤褐色に染まり、背中には竜族を象徴するような翼が広がる。青く透き通る穏やかな瞳は金色に輝き、ねめつけるように相手を見据えた。
「私の世界に想いを馳せる者がこれだけ居ることには感謝を申し上げます。しかしUDCアースは私のものです。私の与える永遠の中でしか幸せを見出すことは無いのです」
 大祓骸魂の執念を受けてオブリビオン化した妖怪たちが集まる。かなりの数を祓い、解放したが、骸魂に取り込まれている妖怪はまだ数え切れないほどカクリヨファンタズムを漂っている。
「違うね。UDCアースは、この世界に住むみんなのものだ!」
 翼を広げたサンディが空を舞う。呼び寄せられた妖怪たちは各々の武器を構えながらその後を追った。
 多種多様な妖怪が獲物を取り囲む。その毒牙が喉元に食らいつこうかという瞬間、サンディの全身が瑠璃色の旋風で覆われた。
「平和な世界で、また会おう」
 音を置き去りにする速度で一直線に大祓骸魂を狙う。配下の妖怪は追い掛けるどころの話ではなく、風圧によってカクリヨの外まで吹き飛ばされていった。
 はるか遠くに見えていた少女の輪郭が、一秒とかからずはっきりと浮かび上がる。大祓骸魂は懐刀「生と死を繋ぐもの」を手に迎え撃つも、刀が繰り出されるよりも先に異型化した暗夜の剣が突き刺さっていた。
 一撃を食らわせた後は深追いせず、踵を返して距離を置く。一手遅れて懐刀がサンディの居た場所に突き出された。
「逃しはしないよ。UDCアースが二度と同じ驚異に晒されることのないよう、ここで確実に仕留めてみせる」
 顔を上げた大祓骸魂の懐に飛び込み、斬り付ける。そして離れる。
 世界のため、妖怪達の覚悟に報いるため、サンディはただひたすらにヒット&アウェイでの攻撃を繰り返し続けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

空亡・劔
この最強の大妖怪である空亡劔を差し置いての大異変とは生意気よ!
あんたの愛が世界を滅ぼすなら今を生きる人達の「死にたくない」という虞にあたしは応える!

ボーナス
真の姿を晒す(全身参照)
赤き太陽を背にしたかの姿
それは百鬼夜行の…

神殺しの魔王発現
この凄まじい力の高まり…それはあんたが世界の恐るべき脅威という事ね

【戦闘知識】で妖怪達と大祓骸魂の位置の把握
【天候操作】で猛吹雪を引き起こしてその動きを緩め集合妨害

攻撃は【残像】を無数に残して集中をそぎ
高まったか測量で襲い掛かる
神殺しの魔剣で【二回攻撃】からの【切断】
そのあとも己の体が尽きるまでの全霊の猛攻を捧げ
之が我が全霊よ

撃破後
【天候操作】で太陽を昇らせる


水鏡・多摘
②他の猟兵と連携して戦う
止めるか、と聞かれれば否。
邪神は滅ぼす、その歪んだ愛が世界を殺してしまう前に徹底的にな。

可能な限り他の猟兵との連携を意識、支援重視で動く。
龍符に式神を降霊し背に乗せ結界術での結界構築の補助を行わせる。
大祓骸魂の攻撃には空中浮遊と空中機動、空中戦と展開する結界で回避か逸らすかで対抗。
攻撃直後にカウンターで護符装束の一部を解き破魔の力宿す符を撒いて念動力で操作、大祓骸魂の逃げ場を塞ぐよう取り囲むようにして攻撃。
僅かでもダメージ通ればUC起動し祟り縄を伸ばし巻き付け距離を離されぬよう捕縛。
この状態で降りかかる不幸…他の猟兵の攻撃は汝には躱せぬじゃろう。

※アドリブ絡み等お任せ



「この最強の大妖怪である空亡劔を差し置いての大異変とは生意気よ!」
 居丈高に謳い上げた空亡・劔(本当は若い大妖怪・f28419)が自らの本体である殺神魔剣『空亡・紅』を手に大祓骸魂の前に躍り出る。
 もう一方の手には永久凍剣『二世氷結地獄・極』が握られる。二刀流の剣豪は強大な妖怪が放つ虞にもたじろぐことはなく、真っ向から対峙した。
「私から見れば赤子に過ぎないあなたが、大妖怪を名乗るのですか」
 向かい合う大祓骸魂の身は痛々しいほど損傷している。切り裂かれた和服から覗く肌には深い傷跡が残り、幼い少女のような容姿も今や刀傷によって醜く変貌していた。
「年月だけが強さの証じゃないわ。あたし達がこの場に立った。それが何よりの証よ」
「ならばその思い上がりを正して差し上げましょう」
 最後の力を振り絞って残る妖怪たちを呼び寄せる。百や二百ではない。作り物のカクリヨファンタズムに漂うすべての妖怪が大祓骸魂の元に集結した。
 一体一体は劔に遠く及ばない配下の妖怪たちだが、大祓骸魂のユーベルコード大祓百鬼夜行によって猟兵を脅かすほどの存在へと強化されていた。
「往生際の悪さもまた邪神ゆえか。その執念を断ち切ってくれよう」
 水鏡・多摘(今は何もなく・f28349)は憎い仇を見るように邪神を睨み付ける。
「邪神は滅ぼす、その歪んだ愛が世界を殺してしまう前に、徹底的にな」
 止めるのではなく、滅ぼす。いくら言葉を重ねようとも、いびつな愛に暴走に多摘の心を惑わす力は無かった。
「あんたの愛が世界を滅ぼすなら、今を生きる人達の死にたくないという虞にあたしは応える!」
 劔が真の姿となる。外見にほとんど変わりはないが、その背には赤い太陽が浮かび上がっていた。
「日輪を背負うか。この戦いに決着をつけるには相応しい武士かもしれんのう」
 つぶやいた多摘が龍符に式神を宿す。
「配下は我が引き受けよう。劔よ、汝は速やかに邪神を討つのじゃ」
「言われるまでもないわ!」
 気勢を上げる劔にうなずき、高く空へと舞い上がる。
 戦場を余すところなく包み込むように結界を張り巡らせる。力の及ばない妖怪は結界に阻まれて進行を止められ、潜り抜けた者も妖力を削り取られて大祓百鬼夜行による強化の大部分を失っていた。
 守りをさらに強固なものにせんと劔によって戦場に猛吹雪が吹き荒れる。結界による妨害と吹雪による視界不良は確実に敵の戦力を削いでいた。
 特に強大な一匹の妖怪が十重二十重の防御を掻い潜って多摘に迫る。振りかざされた腕を結界で逸らし、反撃の霊力を叩き込んだ。
「我もかつては邪神を滅ぼせし竜神。意思を奪われた操り人形に遅れはとらん」
 意識を失ってよろける妖怪の爪が多摘の龍装束をかする。剥がれた護符は念動力によって密かにばらまかれ、大祓骸魂の逃げ場を塞いだ。
 結界に触れた大祓骸魂の顔がわずかに強張る。好機を逃さず多摘は祟り縄を伸ばした。
 凍てつくような寒さに晒された少女の身に荒縄が巻き付く。縄を媒介にかつて強大な邪神を祓った多摘の呪いが究極妖怪に降り掛かった。
「予言しておこうかのう。次の攻撃を、汝は躱せぬじゃろう」
 視線を地上に向ける。荒れ狂う吹雪の中で劔の身体は太陽の如きオーラに覆われていた。
「この凄まじい力の高まり……それはあんたが世界の恐るべき脅威という事ね」
 何者も追いすがることのできない速度で戦場を走る。多摘の結界と呪いは大祓骸魂が逃れることを許さなかった。
「我が身、我が存在……今こそ、その意義を果たす時! 我が名は空亡剱! 世界の脅威を滅ぼす者なり!!」
 二刀の魔剣が次々と振り下ろされる。抵抗もままならずに全身を斬り裂かれた大祓骸魂は声も上げずに地面に横たわった。
「私の愛しき、UDCアース……」
 伸ばした手は何も掴めぬまま、雪に埋もれて姿を消す。

 戦いを終えた剱が太陽を昇らせる。
 劔と多摘、二人の猟兵は祝福を受けるかのように陽の光を背負っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月31日


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#カクリヨファンタズム
🔒
#大祓百鬼夜行


30




種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト