大祓百鬼夜行㉕〜愛のデュエルキング・大祓骸魂!
●故郷に捧ぐ闘いの詩
愛しきUDCアース。
あなたを思う 私の愛は揺るがない。
だから 私は帰って来たのです。
猟兵たちよ、今こそ私は問いましょう。
闘いとは何かを。
右手にカードの剣を 左手に電卓の盾を、
携えし 誇り高き決闘者達よ。
私は待っています。
この電波塔の頂上で。
我が名は大祓骸魂。
骸魂たちの王にして、
最強のデュエリストブレイド使い
......。
●UDCアースのすべてを破壊する。それらは再生できない。
「ついにオブリビオン・フォーミュラ『大祓骸魂(おおはらえむくろだま)』が姿を現しましたわ! 彼女はUDCアースのスカイツリーを占拠し、謎のポエムを配信しています! これはきっとわたくしたち猟兵への挑戦状ですの!」
お嬢様風グリモア猟兵、ミネルバが何やらカードゲームのデッキらしきものを手に声を張り上げている。
「皆様、これをご覧下さいませ」
ミネルバの後ろには、いつの間にか『デュエリストブレイド』のカードが入ったショーケースや、カードファイルが満載された本棚、そして未開封のブースターパックが大量に用意されていた。いつからグリモアベースはカードショップになったのか。
「今回出現した大祓骸魂はカードゲーマー、つまりデュエリストとしての側面が強く顕現している状態であると推察されます。彼女は『デュエリストブレイド』で猟兵達と決着をつける気です」
デュエリストブレイド。それは何度か今回の戦場でも使われた、カクリヨファンタズムでメジャーなカードゲームだ。とても複雑なルールを内包したカオスなカードゲームであり、カードゲームと聞いて思い付くルールはだいたい何でもあると言う。
カードの種類もアホほど多い。オーソドックスなグッドスタッフデッキから、騎士やロボットなどに統一したテーマデッキ、特殊な勝利条件を使ったデッキ、果ては対戦相手にジュースを買いに行かせるカードまで、なんでもござれだ。
「カクリヨの妖怪のみなさんに協力をお願いしてカードリストとカードはいっぱいここに用意いたしました! さあ、デッキが組み上がった方からすぐ現地に向かって下さいませ!」
今まさに、UDCアースの命運を賭けた、史上最大のデュエルが始まろうとしていたーー。
大熊猫
こんにちは。おおくまねこです。オブリビオン・フォーミュラ戦ですが、ルールがルールなので今回はコメディ寄りにしてみました。
ちなみにオープニングで挙げられていた「対戦相手にジュースを買いに行かせるカード」は某カードゲームに実在します。私自身がとあるMSに使って買いに行かせたことがあります(笑)
●敵のユーベルコードについて
大祓骸魂はユーベルコードにちなんだ戦術のカードを繰り出してきます。虞パワーで(双方の)カードが実体化するので、ユーベルコードで攻撃しているのと結果はあまり変わりません。
●プレイングボーナス
デュエリストブレイドで戦う。
●デュエリストブレイドについて
めちゃくちゃ複雑なルールのTCGです。
思いつくようなルールは全部存在しますので、「こういうルールがある」とプレイングで主張すれば、そのルールは存在することになります。
●ルールの例(そのまま省略記号としても使えます)
①スタンダードルール。HPが0になったら負け。
②マスターズルール。デッキから5枚カードをめくって壁にする。壁を全部割られた状態でダイレクトアタックされたら負け。
③タクティクスルール。カードを陣地に見立て、相手のデッキ=本陣を攻め落とせば勝ち。
④レーシングデュエル。首都高で併走しながらカードゲームする。
⑤競馬デュエル。競馬場でモンスターを走らせ、命(ライフポイント)を賭ける。
⑥死亡遊戯。デッキを握った状態でリアルファイト。デッキから手を離したら負け。
※これらは例です。他に奇想天外なルールがあっても構いません。
●文字数省略用記号
アドリブ歓迎→☆、連携歓迎→★、何でも歓迎→◎(☆★と同じ)、ソロ描写希望→▲。
●合わせプレイングについて
グループ参加の場合は、迷子防止の為プレイング冒頭にグループ名をご記載下さい。
●執筆・採用人数について
執筆速度はゆっくりめです。なるべくいっぱい採用できるように頑張ります。
以上です。皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『大祓骸魂』
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POW : 大祓百鬼夜行
【骸魂によってオブリビオン化した妖怪達】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[骸魂によってオブリビオン化した妖怪達]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD : 生と死を繋ぐもの
自身が装備する【懐刀「生と死を繋ぐもの」】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ : 虞神彼岸花
【神智を越えた虞(おそれ)】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を狂気じみた愛を宿すヒガンバナで満たし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
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鏑木・桜子
☆
「おい、デュエルしましょうよ!」
ーデュエリストブレイドーそれはブシドーたちの時代が終わりを告げた時決闘を禁止された(いわゆる決闘罪)ブシドーたちがカードゲームを隠れ蓑に決闘を行うため考案された剣とカードを組み合わせた全く新しい決闘(デュエル)!(一王(わんわん)書房刊、脳筋剣士でもわかる決闘の歴史より)
というわけでわたしはデュエリストブレイドのルルブにも書かれてない第二のルールを発動します…だぜ!
手袋の代わりに相手に自分の魂を込めたカードを投げつけることにより決闘フェイズに移行します!
このフェイズでは全てのカードをそのへんに捨てて剣で決着をつけます!
敗北者は強制的にライフがゼロになりますよ!
●古のルール!
「――来ましたね」
来訪者を歓迎するように、大祓骸魂は口元に笑みを浮かべた。真っ先にスカイツリーの頂上までやってきたのは、鏑木・桜子だ。
二人は数メートルの距離を保ったまま、静かに睨み合う。一分ほどそうしていただろうか。先に口を開いたのは桜子だった。
「おい、デュエルしましょうよ!」
「その言葉を待っていました」
大祓骸魂は微笑み、懐からデッキを取り出した。桜子も不敵に笑い、デッキを取り出す。二人が取り出したのはデュエリストブレイドのデッキ。そう、これは宿命の決闘だ!
スカイツリーに渦巻く謎の旋風に煽られながら、二人はデッキを『籠手』に固定した。これはデュエリストガントレット。立ったまま決闘する為のサプライグッズなのだ。そして、ライフポイントがゼロになると爆発する。敗者には死の制裁が与えられるのだ(本当に死ぬかどうかは個人による)。
「わたしから行きます! 『ポメラニアンのケルベロス』を召喚!」
大祓骸魂との決闘では、虞のパワーでカードが実体化する。桜子の前には、三つの頭を持つ小型犬が召喚された。
「私のターン……水陸両用花子さんを召喚し、ポメラニアンに攻撃を仕掛けます」
ドゥン! 花子さんの口から焔が吹き出し、ポメラニアンは黒焦げになってしまった。
「くっ! 今度は『シベリアンハスキーの暗殺者』を召喚! 花子さんに攻撃します!」
「おっと、私は場に伏せていたアイテムカード、『筋肉増強剤Ω』を使い、花子さんを強化。ハスキーを返り討ちにします」
「ああっ! よくもわたしの可愛いわんこ達を!」
最強を名乗るだけあり、大祓骸魂はやはり強い。桜子の召喚するモンスターは片っ端から倒されていく。しかし、桜子には逆転の秘策があった。桜子はわんこ達で必死に場を繋ぎ、チャンスを待つ。
「『大祓百鬼夜行』発動! 百体の妖怪を召喚! 次のターンで終わりです。投了を認めましょう。逃げ帰るなら命までは取りません」
「まだです! わたしのターン!」
いよいよ敗北かと思われた桜子だったが、まだ諦めていない。決闘者だからだ。降伏を拒否し、最後のドローに賭ける。
そして、デッキは彼女に応え、魂のカードを引かせた! そのカードの名は、ネオサクラモチ!
「わたしはデュエリストブレイドのルルブにも書かれてない第二のルールを発動します……だぜ!」
桜子はなんと、ドローしたカードを大祓骸魂に向かって手裏剣のように投げつけた!
そして桜子は決闘者にとって命の次に大切なデッキを床にぽーいと投げ捨てると、大祓骸魂に向かってダッシュし、背中にしょっていた異様に長い太刀を抜いて斬りかかる!
「……乱心しましたか。決闘中にいきなり斬りかかってくるとは」
端正な顔を歪め、桜子に抗議する大祓骸魂。しかし桜子は胸を張って言い返す。
「デュエリストブレイド『一期』ルール第七条! 手袋の代わりに相手に自分の魂を込めたカードを投げつけることにより決闘フェイズに移行します! このフェイズでは全てのカードをそのへんに捨てて剣で決着をつけます!」
「なっ……!」
デュエリストブレイドの起源は一説にはこう語られている。
――デュエリストブレイドーーそれはブシドーたちの時代が終わりを告げた時決闘を禁止された(いわゆる決闘罪)ブシドーたちがカードゲームを隠れ蓑に決闘を行うため考案された剣とカードを組み合わせた全く新しい決闘(デュエル)!
――王々(わんわん)書房刊、『脳筋剣士でもわかる決闘の歴史』より。
ちなみに現在でもこのルールは、主に曖昧だったり複雑だったりするカードの効果処理の裁定で揉めに揉めた時、決着を付ける為に使われることがある。
「というわけでいざ、尋常に勝負だぜ!」
「これではリアルファイトではないですか……! 私はもっと、エンタメでエレガントな決闘を……! きゃああああ」
「これがわたしの切り札だああああ!」
一閃。
桜子の大太刀は大祓骸魂の胴を見事切り裂き、敵のライフポイントは0になった。ピボピボピボ。
その瞬間、大祓骸魂の籠手が爆発し、大祓骸魂はスカイツリーから真っ逆さまに落下していった。
成功
🔵🔵🔴
シャルロット・シフファート
☆
オベロンズ・オデュッセイアに関する設定を生やして下さっても構いません
せっかく立ち上げたエレクトロニクスに偽装した電脳魔術師達による世界間級魔術結社の本部がある世界を潰されちゃ困るのよ
そう言って、数日前にUDCアースの世界各国の有望なベンチャー企業が複合したコングロマリット
そのCEOに就任した少女が歩み出る
④
SSW担当の魔術師達に作らせたホイール型レースバイクに乗り込み、デュエル開始
電脳魔術師を束ねる者として選んだ構成は白青緑
コントロールとマナ管理等のリソース確保を主体として長期戦を想定して戦っていくわ
(背後は全くTCGが分からないのでさわりだけになりますので、詳しい描写はお任せします)
●デュエル&チェイス
ぶぉんぶおんぶおんぶおん!
ギャリリリリリ! パラリラパラリラ!
無人の首都高に、大音量の演歌と車の走行音だけが響いている。
一人の猟兵と大祓骸魂が首都高で戦っているのだ。
「ちょっと、それは反則じゃないの!? カードゲーム対決って聞いてたんだけど!?」
シャルロット・シフファートは必死にバイクをジグザグ走行させ、大祓骸魂が乗ったトラックの執拗なタックルを躱していた。
「これは ただの決闘ではありません レーシングデュエルです」
大祓骸魂は悪びれずに言い放つと、大音量で流している演歌のメロディを口ずさみ始めた。古臭いメロディだが、彼女にとっては馴染んだ曲なのだろう。
そう、レーシングデュエル。それはデュエリストブレイドの数あるルールの中でも一際特殊な対戦ルールだ。このルールは、車でレースを行いながらカードゲームでも対決するという、摩訶不思議なルールなのである!
「普通のレースバイクだったらとっくにお釈迦になってるわよ……!」
シャルロットが乗っているホイール状のレースバイクは、『オベロンズ・オデュッセイア』が開発したものだ。O・O(オベロンズ・オデュッセイア)は表向きはエレクトロニクス会社を母体とし、世界各国の有望なベンチャー企業が複合したコングロマリットということになっているが、魔術師達の秘密結社という裏の顔を持つ。先日この会社のCEOに就任したシャルロットは、社長権限で対UDC用の試作兵器を取り寄せていたのだ。
シャルロットのバイクは電脳魔術の粋を集めて作られた傑作機であり、オートパイロットも完備している。シャルロットは運転には意識を割かず、カードゲームだけに集中できるはずだったのだが――。
ギャリギャリギャリ!
派手にハンドルを切り、大祓骸魂はシャルロットをバイクごと引き潰そうとデコトラの車体を寄せてきた。そう、彼女の車はなんと、電飾でゴテゴテに改造された改造トラック、いわゆるデコトラであったのだ!
しかもただのデコトラではないらしく、恐るべきスピードでシャルロットのバイクを追い、文字通り突撃してくる。これは流石に防御にも意識を割かざるを得ない。
「やはり 演歌はいいですね 懐かしい 私のターン 『走り回る大型トラック』に『よじれたエンジン』を装備して ダイレクトアタックです」
大祓骸魂が今回選んだデッキは『黒』の速攻。詳細はトラックの燃料と自分のライフを犠牲にする代わりに速さと火力を高め、早期決着を狙う戦術だ。
ぎゅおおおおん!
黒いオーラを纏いながら、実体化した妖怪トラックが突っ込んでくる。ライフポイントどころかリアルに生命すら失いかねない強力な攻撃だ。
「魔法カード、『聖なる鎖』! トラックを食い止めて!」
シャルロットは虎の子の白のカードをカウンターで発動し、光の鎖でトラックを封印した。
「私のターン! ようやく魔力が溜まったわ! 覚悟しなさい!」
シャルロットは聖なる白と植物の緑を惜しげなく使い、大祓骸魂の速攻を凌ぎ切ったのだ。そして、今、シャルロットの白青緑の必殺三色コンボが発動する!
「錬鉄から蒸気へ、蒸気から電子へ、電子から鋼鉄へ、鋼鉄から宇宙に。その連鎖は叡智の申し子を産みだし我が手に万能の聖名をもたらす」
シャルロットの手が青く光る。彼女は今、己のユーベルコードをモチーフとした切り札のカードを創造しているのだ!
「聖杯機譚、電子と鋼鉄の申し子は拝跪する(グレイルバース・ユニバーサルマシン)発動! 出でよ、決戦兵器O・O(ダブルオー)・グレイル!」
シャルロットが叫ぶと、黄金色に輝く巨大な鋼の巨人が召喚された。
「これが私の切り札よ! 喰らいなさい!」
シャルロットを肩に乗せた巨人は拳を振り降ろし、デコトラへと叩きつけた。
トラックは爆発炎上し、火だるまになった大祓骸魂が車から脱出していくのが見えた。
「しぶとい……せっかく立ち上げた秘密結社の本部がある世界を潰されちゃ困るのよ。あ、オベロンズ・オデュッセイアに隠蔽工作させなくちゃ。UDC組織とも協力しなくちゃね」
大急ぎで巨大ロボ(のカード)を送還したシャルロットは、溜息をつきながらスマートフォンを取り出したのだった。
成功
🔵🔵🔴
空亡・劔
この最強の大妖怪である空亡劔を差し置いての大異変とは生意気よ
それはそれとしてデュエルするわ!
①
この最強の人間デッキであんたを倒す!
あたしのターン!
低コストの人間系モンスターを沢山出すわ
強いモンスターより物量よ!
そう言いながら増やしての物量作戦をぶつけ
え…?
大祓骸魂の殲滅魔法と強力なモンスターであっさり消し飛ばされる人間モンスター
だが!
そうすると思ってたわ!
五人以上の人間が撃破された処で
マジックカード発動!
「人類の脅威判定」!
このカードは場のモンスター全てに人類の脅威属性を付与
此処で神殺しの魔王発現!
このカードは人間モンスター相手だと一撃で倒れる
だが人類の脅威相手では…!
之が我が神殺しデッキよ!
●最強VS最強!
「この最強の大妖怪である空亡劔を差し置いての大異変とは生意気よ。それはそれとしてデュエルするわ!」
三番手の決闘者として大祓骸魂に対決を挑んだのは、空亡・劔だ。
「どちらが最強なのかは 決闘にて 決めるとしましょう」
スカイツリーに戻ってきていた大祓骸魂は微笑み、デュエリストガントレットから慣れた手つきでデッキを取り出した。連戦のダメージを感じさせない優雅な佇まいだ。
「あたしのターン! この最強の人間デッキであんたを倒す! 『若き訓練兵』を召喚!」
「『気高き重装歩兵』を召喚!」
「さらに『騎馬隊の兵長』、『練達の投石戦士』、『殿軍する老獅子』を召喚! これであたしの場にはモンスターが五体! 強いモンスターより物量よ!」
劔は軽量の人型モンスターを連続召喚していく。彼女の戦術は質より量を重視する物量作戦のようだ。
「提灯オバケ 防御」
「唐笠オバケ 防御。『異端審問官』と相討ちです」
それに対し、大祓骸魂の手は精彩を欠いていた。ちょこちょことモンスターは出してくるが、相討ちを取るのがせいぜいで、決闘中盤になっても劔のライフにはまだ傷一つ付いていない。
(単に引きが悪いのか……それとも……)
劔は油断せず、手札にマジックカードを温存しながら有利に戦いを進めていった。
そして、8ターン目――。
「数が多くとも 所詮は雑兵 まとめて滅ぼしてあげます」
大祓骸魂はくすりと笑うと、一枚のマジックカードを取り出した。絵柄がプリズム加工された、とてもレアそうなカードだ。
「殲滅魔法カタストロフ」
「え……」
ゴウッ!
黒い破壊の風が吹き荒れ、フィールド上のモンスターを包み込む。大祓骸魂の放った殲滅魔法は、たった一枚で場のモンスターを全て消し飛ばした。
「さらに 『大祓百鬼夜行』 相手の墓地のモンスターの数まで 妖怪モンスターを召喚します」
ぞろぞろと大祓骸魂のデッキから湧き出す妖怪モンスターたち。形勢逆転だ。あっという間に劔は敵の妖怪軍団に包囲されてしまった。
「だが! そうすると思ってたわ!」
劔は最初の数ターンで大祓骸魂のデッキが長期戦仕様のコンボデッキであると見抜いていた。そこで、相手の切り札を先出しさせる為、わざと人間モンスターを大量展開したのだ。彼女の真の戦術は、物量作戦に非ず!
「マジックカード発動! 『人類の脅威判定』! このカードは場のモンスター全てに人類の脅威属性を付与するカードよ!」
「そのカードは……!」
終始すまし顔だった大祓骸魂の表情に焦りが生じた。
「此処で『神殺しの魔王発現』!」
劔は魂のカードを堂々を掲げ、フィールドに召喚した!
現れたモンスターは先ほどまでの人間モンスターとは異なり、圧倒的な迫力を備えたレアカード! 禍々しき黒い甲冑を纏った長髪の剣士だった。
「このカードは人間モンスター相手だと一撃で倒れる。だが人類の脅威相手では……!」
神殺しの魔王は人間に対しては無力な代わりに、人類の脅威属性を持つモンスターとの戦闘では相手の能力すらも無視し、確実に相手を破壊する。さらに、戦闘に勝利し続ける限り、何度でも戦闘を繰り返すことができるのだ。人類の脅威を駆逐するまで。
「く……」
今回の決闘ルールでは、壁となるモンスターが一体でも立っている限り、プレイヤーを直接攻撃することはできない。大祓骸魂の百鬼軍団はたった一体のモンスターの前に無力と化した。
「打つ手無しかしら? さあ、神殺しの魔王よ! 神に仇為す剣で人類を守るのよ!」
「ウオオオオッ!」
魔王は幾度も大剣を振るい、「人類の脅威」である妖怪たちの軍勢を壊滅させた。さらに、その戦闘ダメージが大祓骸魂まで貫通し、大祓骸魂のライフポイントは一瞬でゼロとなる。
「きゃあああ わたしの モンスターが 全滅」
ピボピボピボ。ドカーン。
大祓骸魂は爆発に飲み込まれ、地面で数度バウンドした。ここに真の最強デュエリストが決したのだ。
劔は敗者の無様な姿を見下ろし、腕を組んで魔王と背中合わせのポーズを取る。
「之が我が神殺しデッキよ!」
大成功
🔵🔵🔵
夢幻・天魔
◎【厨二ならなんでもOK】
ククク……大祓骸魂
貴様もまたデュエリストだったということか
いいだろう……
かつて第22の世界でカードと共に世界を救ったこの俺の力
今こそ見せる時が来た!
ルール:集団デュエル
(メンバーの勝敗でリーダーの勝負に援護が入る。最終的な勝敗はリーダーの勝負で決まる)
『時空超越夢幻転生陣』!
ククク……俺のチームメンバーは並行世界の俺自身だ
貴様の百鬼夜行ごと潰してやろう
(各々の異世界で)最強のカードゲーマーの設定を付与した分身達が、百鬼夜行如きに負けるはずが無い
フハハハハハ!!
援護のおかげで、貴様のフィールド変化は無効化された!
機神メカトンケイル(宿敵)の百連続攻撃で、俺の勝ちだ!!!
●天魔・ユニバース
「貴様もまたデュエリストだったということか。いいだろう……かつて第22の世界でカードと共に世界を救ったこの俺の力、今こそ見せる時が来た!」
カードバトルアニメのラスボスのようなキメキメの衣装に身を包み、ノリノリで登場した男の名は夢幻・天魔。そのソウルは永遠の中学二年生であった。無論、第22の世界をカードと共に救ったという話は創作(もうそう)である。
「素敵な お洋服 ですね」
「フッ……。オブリビオンにしては分かっているではないか。こちらこそ褒めてやろう」
大祓骸魂の賛辞をニヒルな笑みで受け止め、天魔は上から目線で返答した。カクリヨの大妖怪的には彼のファッションセンスは「アリ」だったらしい。
「では大祓骸魂よ。俺との戦いは五対五の集団デュエルで行ってもらおう。大将はもちろん俺だ」
「了承します。こちらは 配下の妖怪を チームメイト とします 大将は 私です」
大祓骸魂は頷くと、四体一組の部下を呼び寄せた。朱雀、白虎、玄武、青龍。いわゆる四神である。
「フッ……。神の名を冠する獣達か。相手にとって不足はない! 出ろっ! ミステリアス・チームメイトたちよ!」
天魔がパチンと指を鳴らすと、後ろに控えていたマントを纏った者達が一斉に外套を脱ぎ捨てた。その下にあった素顔は――なんと、全員天魔とそっくりであった。
「オレの名は夢幻・天魔。この写真の男を見たことはないか(一枚の写真を懐から取り出す)。こいつはオレから全てを奪った男だ」
「ワタシの名は夢幻・天魔。かつて世界を滅ぼした罪を償う為、あてのない旅を続けている」
「僕の名は夢幻・天魔。人型決戦兵器『ヘカトンケイル』のパイロットだ。戦うのは本当は嫌いだけど、みんなを守る為に戦っているんだ」
「拙者の名は夢幻・天魔。我が劔は次元すらも切り裂く」
一斉に自己紹介をする天魔たち。顔も声も同じだが、設定はそれぞれ違うらしい。
「これは」
不思議な光景に大祓骸魂はぽかんとしている。
「『時空超越夢幻転生陣』! ククク……俺のチームメンバーは並行世界の俺自身だ!」
そう、この四人の天魔たちは全て本物。並行世界の天魔の姿なのだ。ちなみに全員一人称が「俺」だとややこしいので、今回は一人称が違う天魔に絞って召喚した。そしてもちろん、全員カードゲーマーである。
「「チーム名は『第六天魔五芒星』だ! 貴様の百鬼夜行ごと潰してやろう。いくぞッ!」」
ジャキン!
五人の天魔が一斉にデッキを構える。そしてチームデュエルが始まった!
●
天魔たちと大祓骸魂チームの戦いは熾烈を極めた。戦績は二対二のまま大将戦にまでもつれこみ、この世界の天魔と大祓骸魂の戦いも一進一退の接戦だ。
そして、いよいよ大祓骸魂が切り札を出し、戦いは最終局面となった。
「虞神彼岸花 フィールドを彼岸花畑に 全ての妖怪モンスターが パワーアップします」
「フハハハ! やるではないか! だが、貴様は忘れている! この戦いがチームデュエルだということをな!」
「援護するよ! もう一人の僕!」
パイロット(設定)の天魔は、この世界の天魔に向けて一枚のカードを投げる。天魔は回転しながら飛んできたカードを片手でキャッチすると、そのまま発動した!
そう、このチームデュエルでは、各選手一度ずつだけ、チームメイトとのカードの受け渡しが許可されている。パイロット設定の天魔は早々に敗れていたので、存在自体が天魔のサイドボードとなっていた!
「礼を言うぞ、並行世界の俺よ! 俺はマジックカード『天魔・ユニバース』を発動! 大祓骸魂よ、貴様のフィールド効果を無効化し、俺のルールに上書きしてやろう!」
「なんと」
バシュウウ!
大祓骸魂の彼岸花畑は消し飛び、周囲は黒いオーラが渦巻く謎の異空間となった。さらに、空間の彼方から何か巨大なモノが飛来してくる!
「これが俺の切り札だ! 行け『機神メカトンケイル』! 天魔と名の付くモンスターが場にいるのでずっと俺のターン! 百連続攻撃!」
天魔の宿敵を模した巨大な阿修羅像型のロボットが腕を飛ばした。複雑な軌道を描いて飛翔する阿修羅の腕は大祓骸魂の妖怪モンスター達を一瞬で切り刻み、叩き潰し、壊滅させた。
「これで俺の勝ちだ!」
ザシュッ!
「こんな負け方が ありますか……! きゃあああ」
メカトンケイルの光の剣でダイレクトアタックを決められた大祓骸魂は、ゆっくりと大地に崩れ落ちた。
「これが絆の力だ」
成功
🔵🔵🔴
月夜・玲
◎
むう、あの複雑怪奇なカードバトル…
良いじゃんやってやろうじゃん!
ただし、ルールはこっちで決めさせてもらうよ!
私の得意なルールで行かせて貰うから
最強のデュエリストブレイド使いなんだし、それくらい良いよね
私が選ぶルールは…資産バトル!
自分の持つデッキの中の合計価値で挑むバブリーバトル!
正直、最強のデュエリストブレイドのデッキはさぞ良いカードを使っているんだろう…
けど、所詮は対戦の為のデッキ
私が用意したこの投機デッキには敵わないはず!
だけど通常コモン、アンコモン中心の私のデッキは価値は無い…
けれども最後の1枚、このカードがある限り私の勝ちは揺らがない
現れよ!私の切り札!
ちから9!
これで私の勝ちだ!
●仁義なきカードマネー・バトル!
「むう、あの複雑怪奇なカードバトル……良いじゃんやってやろうじゃん! ただし、ルールはこっちで決めさせてもらうよ!」
月夜・玲はスカイツリーの入口でカードファイルを取り出した。いそいそとデッキを組み、エレベーターで最上階へ。まっとうなデュエルならば恐らく勝てないだろうが、ルールを選択できるなら自分にも勝機はある。玲はそう判断したのだ。
「私の得意なルールで行かせて貰うから。最強のデュエリストブレイド使いなんだし、それくらい良いよね」
「構いません デュエルキングとして 貴女の挑戦に 応えましょう」
大祓骸魂は玲の申し出を快諾した。ここからが本番だ。
「私が選ぶルールは……資産バトル! 自分の持つデッキの中の合計価値で挑むバブリーバトルよ!」
「良いでしょう 王に 資産で挑むことの 愚かしさを 教えて差し上げましょう」
大祓骸魂の口元には小馬鹿にするような微笑みが浮かんでいた。
資産バトル。それは数あるデュエリストブレイドのルールの中でも、一際特異なルールの一つである。なんかさっきからそういうのばかりのような気がするが、ともかく奇妙なルールなのだ。このルールでは、お互いの40枚~60枚のデッキの『資産価値』を競う。
「正直、最強のデュエリストブレイドのデッキはさぞ良いカードを使っているんだろう……けど、所詮は対戦の為のデッキ。私が用意したこの『投機』デッキには敵わないはず!」
二人は専用の計算機を使い、それぞれのデッキの値段を査定していった。
「6000 1万 3万 5万」
計算機にカードを一枚スライドさせるごとに、大祓骸魂のデッキの資産価値がどんどん上昇していく。やはり最強を名乗るだけあり、彼女のデッキは多額の予算がかけられていた。1枚につき平均1万円程度。恐るべきことに、本来なら10円20円のものであるはずの魔力カードまで、特別な絵柄でお高いもので統一されていた。これにより、想定される彼女のデッキの資産価値は、約60万円!
「30円、130円、300円……」
それに対し、玲のデッキのカードは当たりやすいコモンやアンコモンのカードが大半だ。レアリティが低くとも強力なカード自体はいくらでも存在するが、資産価値という点ではやはり弱い。
「どうやら 期待外れだった ようですね」
先に全てのカードの読み込みを終えた大祓骸魂はくすりと笑う。彼女のデッキの最終価格はやはり60万円ちょいだった。それに対し、玲のデッキは残り数枚の時点で未だ1万円にも達していない。だが、玲の顔には自信がありありと浮かんでいた。
「そいつはどうかな。現れよ! 私の切り札!」
ピピー。玲が一枚のカードを計算機にスライドさせた瞬間、いきなり彼女のデッキの資産価値が跳ね上がった。
「なんですって」
計算機の数値はどんどん上昇していき、あっという間に玲のデッキの資産価値は大祓骸魂を大きく上回った。最終的なお値段はなんと、三千万円。家が買える値段である。
「計算機の 故障ですか」
「違うわ。私のデッキにはこれが入っているのよ。あの『ちから9』の頂点、『ノワール・チューリップ』が!」
玲は不敵な笑みを浮かべ、黒い球根が描かれた1枚のカードを大祓骸魂に見せた。
「ちから9 なぜ貴女が それを」
大祓骸魂は目を見開く。なぜ、人間風情がこれほどのレアカードを!
玲が見せたカードは通称「ちから9」の一枚。ちから9とは、デュエリストブレイドの黎明期に収録されたパックに封入されていた、9種類の超強力カードの総称だ。強力であるが故にそれを求めるブレイダーも多いが、一度も再録されていないせいで値段は天井知らずに上昇し続けている。その結果、それを持っていることを公言すれば、カクリヨファンタズムの警備会社や詐欺師から鬼電がかかって来るほどの代物と化していた。噂ではこれらを巡り、闇のハンターたちと正義のブレイダーが日夜暗闘を繰り広げているという。
「参りました そのカード 大切にするのですよ」
潔く負けを認める大祓骸魂。だが、玲はこう言い放った。
「え、投機目的で手に入れたからそのうち売るんだけど」
「そ ん な」
大祓骸魂は敗北のショックと玲の言葉で深く傷ついた。
大成功
🔵🔵🔵
音取・ゼラ
①◎
よもや大祓骸魂すらデュエリストブレイドをするとは新し親分侮りがたしであるっ
だが、デュエリストブレイド最強を名乗るとは不遜であるな!
最強のデュエリストはこの神々の王ゼウスの転生たる余である!
ふははっ!完璧な手札である!やはり余はカードの精霊に愛されているのであるな!
余の手札には「封印されし神王ゼウス」に封印されし神王パーツの右腕・左腕・右足・左足が初手から揃っているのである!
そう!この5枚を手札に揃えた瞬間に余の勝利は確定する、特殊勝利である!
降臨せよ、神王ゼウス!そして裁きをくだせ!
喰らえ、怒りの神王の雷霆(ケラウノス)!
ふははっ!強靭!無敵!最強!粉砕!玉砕!大喝采!である!
●ゼロターンキル!
「よもや大祓骸魂すらデュエリストブレイドをするとは新し親分侮りがたしであるっ。だが、デュエリストブレイド最強を名乗るとは不遜であるな! 最強のデュエリストはこの神々の王ゼウスの転生たる余である!」
またしても、最強を名乗るデュエリストブレイダーがスカイツリーへとやってきた。名は音取・ゼラ。ギリシャ神話の主神ゼウスの転生体を名乗る『神』の少女である。
「余とはスタンダードルールで勝負してもらおう!」
「良いでしょう ようやく まともな デュエリストブレイドが できそうです」
そこはかとなく疲労の色が顔に浮かんでいる大祓骸魂は、にっこり笑い、快くゼラの挑戦を受けた。
「では、先攻後攻を決めましょう。ジャンケンで よろしいですね」
「うむ」
「最初はグー ジャンケン……」
大祓骸魂はグー。ゼラはチョキだった。大祓骸魂は先攻を選んだ。
「では 始めましょう。私は」
「そいつはどうかの」
先攻第一ターンを始めようとする大祓骸魂を、ゼラは静かに制止した。
「ふははっ! 完璧な手札である! やはり余はカードの精霊に愛されているのであるな! 余の手札には『封印されし神王ゼウス』に「封印されし神王パーツ」の右手・左手・右脚・左脚が初手から揃っているのである! そう!この5枚を手札に揃えた瞬間に余の勝利は確定する、特殊勝利である!」
ドヤ顔で初手に揃った五枚の必殺カードを見せるゼラ。一生に一回あるかないかぐらいの低確率だが、出たものは仕方ない。神の剛運恐るべし。ちなみに自分のターンが回ってくる前に勝つこの勝ち方は、ワンターンキルならぬゼロターンキルと呼ばれている。
「ふざけるな さては積み込み しやがったな 『大祓百鬼夜行』」
内心スタンダードルールでの対決にウキウキしていた大祓骸魂は激怒した。怒りの余り、デュエリストブレイド対決という縛りも、たおやかな雰囲気すらもかなぐり捨て、いきなりユーベルコードを発動した。ぞろぞろと手下の妖怪たちがスカイツリーに集まってくる。
「おっと、それは反則じゃぞ。よって罰ゲーム! 降臨せよ、神王ゼウス! そして裁きを下すが良い! 喰らえ、怒りの神王の雷霆(ケラウノス)!」
彼女自身が試合放棄しても、この場に作られた『デュエリストブレイドで勝敗を決する』という虞の結界は失われていなかった。封印から解き放たれた最強の神は、最強の大妖怪に神罰を下す!
ゴロゴロゴロゴロ!
「きゃああああ」
手下の妖怪ともども、落雷を受けた大祓骸魂はスカイツリーから落下していったのだった。
成功
🔵🔵🔴
ニコリネ・ユーリカ
④
相手は最強のデュエリストブレイダー
生半可な腕じゃ魂を抜かれてお終いよ
予めデュエリスト道場に通い1日1万回素振り
音を置き去りにするまでドロー力を鍛える
それでも足りないって分ってる
魂を闇に傾けヘルフラワーニコリネとなり
ダークフラワーデッキで挑むわ
相棒の営業車Floral Fallalを究極改造してバイクに
漆黒のコートを翻して首都高爆走!
自慢のドラテクで第一コーナーを制して先攻奪取
スリップストリームで敵機を揺るがす
鍛え上げたドロー力で引き当てるカードは闇黒睡蓮!
このカードはスピードカウンターを一気に3つ貯めるの
そしてカウンターの数だけ花の守り人を召喚!
三位一体の合体技「百花繚乱」をお見舞いするわ!
●疾走! ヘルフラワーニコリネ!
「私の名はヘルフラワーニコリネ。分かっているわね、大祓骸魂。これは宿命の決闘よ」
「次の相手は 貴女ですか 黒いお嬢さん」
スカイツリーの頂上に逆巻く疾風に、漆黒のコートがはためく。ヘルフラワーことニコリネ・ユーリカは若草色のエプロンドレスの上から漆黒のコートを纏っていた。このコートこそは、彼女が闇のデュエリストブレイダーへと覚醒した証である。
「レーシングデュエルで勝負よ。互いの魂をかけて」
「闇のデュエル ですか よいでしょう」
大祓骸魂はニコリネの提示したルールを受諾する。闇のデュエル。それはお互いのライフが減るたびにプレイヤー本体にもダメージが入る極めて危険なルールだ。
ニコリネと大祓骸魂はサイバースーツ(電流が流れる)をインナーに着こみ、首都高へと場所を移した。
ドルンドルンドルン。デュエル用の決戦車輛に乗り、二人は並んだ。ニコリネは「Floral Fallal」と極太の墨文字が書かれたのぼりを掲げた漆黒の二輪車に跨っている。闇に染まってなお、彼女の商魂は失われてはいなかった。恐るべき守銭奴……じゃなかった、商人魂である。
対して、大祓骸魂の車はアポカリプスヘルのレイダーとかの車についてそうなトゲトゲ付きのタンクローリーだった(一台目のデコトラは大破したので骸の海から新しく引っ張ってきた代車である)。可憐な容姿に反してワイルドなチョイスであった。
(相手は最強のデュエリストブレイダー生半可な腕じゃ魂を抜かれてお終いよ。さあ修行の日々を思い出すの、ニコリネ)
ニコリネ・ユーリカの脳裏に修行時代の思い出が蘇る。彼女は一週間、予めカクリヨファンタズム内にあるデュエリスト道場に週五で通い、素振りも毎日一日一万回やっていたのだ。音を置き去りにするほどのドロースピードを獲得したニコリネの練習時間は減ったが、代わりに商売繁盛を祈る時間が増えた。
「試合開始を 宣言しなさい 半魚人」
「決闘開始!」
審判役に呼ばれた大祓骸魂の手下の妖怪が決闘開始を宣言した。二人はフルスロットルでエンジンを回し、夜の首都高を爆走する。
加速しつつ、カードをドロー。まずは静かな立ち上がりだ。ニコリネは自慢のドラテクで第一コーナーを制して先攻を奪取した。続いて直線でのコースの奪い合いの最中、ニコリネはスリップストリームを浴びせ、敵のタンクローリーを揺るがした。
「やってくれましたね お返しです」
ギャリギャリギャリ!
第二コーナーで大祓骸魂は反撃を仕掛けてきた。派手にハンドルを回してわざと幅寄せし、ニコリネのバイクを叩き潰そうとしてきたのだ。躱し切れなかったニコリネのバイクから火花が散り、車体に一条の傷が付いた。
「相棒ぉ―――――!!」
そう、このバイクこそは、ニコリネの営業車『Floral Fallal』が改造された姿なのだ。純白の5MT4WDは検費用、保険料金、板金代金を代償にした究極改造を施され、漆黒のデュエルバイクになっていた。
「六月の献立は毎日三食、お豆腐ともやしだけになってもいいわ! だからありったけを!」
それほどの覚悟の大改造だ。
「よくもやったわね! 私のターン! ドロー!」
第二コーナーも制したニコリネはカードをドローした。道場で鍛え上げたドロー力で引き当てたカードは『闇黒睡蓮』! このカードはスピードカウンターを一気に3つ貯める強力な制限カード!
「スピードカード『花盛りの季節』発動! カウンターの数だけ『花の守り人』を召喚よ! そして合体攻撃! 百花繚乱!」
召喚されたニコリネそっくりな黒い妖精達は三位一体の攻撃を仕掛けた。三方向からの同時攻撃はさすがにドライビングテクニックでは躱し切れず、大祓骸魂のタンクローリーに穴が空いた。
ボウッ!
石油タンクに火が付き、車体が炎に包まれる。
「そこまで! レース続行不可能により、この決闘はヘルフラワーニコリネの勝利とする!」
即座に審判はニコリネのKO勝利を宣言した。
「まだ 私のターンは 終了していません」
大祓骸魂は最後の手段とばかりに、炎上するトラックで勝ち名乗りを受けているニコリネ本体へと突っ込んできた。
「はっ!」
ニコリネはスタントマン顔負けの緊急回避を披露し、大祓骸魂のダイレクトアタックを回避した。大祓骸魂は審判役の手下を巻き込み、そのまま高速道路から落下して大爆発の炎に消えた。
「危うく異世界転生してしまうところだったわ……この戦いが終わったら貴女も来世に進めるといいわね」
大成功
🔵🔵🔵
水鏡・多摘
◎①
TCGまでできるとは…もはや何でもありじゃな。
だがこの形式の勝負を挑まれた以上受けぬは竜神としての名折れ。
我もそこまで得意ではないが…勝つぞ。
向こうはビートダウンデッキか?
此方のデッキはカード特殊効果での時間経過勝利を狙う。
序盤は敵除去魔法等で守りを固めコストを支払う為の準備を整える。
…占術の魔法カード、これこそが切り札。
場に出し7ターン維持できれば特殊勝利できるという効果。
当然除去を狙ってくるじゃろうがそこはランデスでコストになるもの自体削りつつ、対抗の打ち消しカードで徹底的に守り抜く。
完全に守備寄りの効果で固め、その上でターン操作系のカードで短縮させる。
さあ時間はどちらに味方するか…
●最後の戦い
「TCGまでできるとは……もはや何でもありじゃな。だがこの形式の勝負を挑まれた以上受けぬは竜神としての名折れ。我もそこまで得意ではないが……勝つぞ」
大祓骸魂の多芸さに、水鏡・多摘は溜息をついた。多摘はカードゲームにそれほど詳しいわけではないが、だからと言って引くわけにはいかない。UDCアースを守護する竜神の一柱として、大祓骸魂の愛(ほろび)を認めるわけにはいかないのだ。
「今度の お相手は 竜神様ですか 相手にとって 不足はありませんね」
猟兵たちの容赦ない攻撃を受け続け、もはや大祓骸魂は満身創痍だ。恐らくあと一度決闘で破れば、霊力を使い果たして消滅するだろう。
「汝の愛は重すぎる。我が引導を渡してやろう、大祓骸魂よ」
そして二人はテーブルに着く。最後の闘いが始まった。
「我は『白神霊山』を場に出してターン終了だ」
「私は『一つ目小僧』を召喚いたします」
「我のターンだな。『霊山の滝壺』を出し、ターンを終了する」
第一ターン、第二ターンと多摘は魔力を溜めるカードのみを場に出した。
「モンスターを 出さないのですか 私は 一つ目小僧を 『怨念の具足』で強化 して攻撃です」
「我は『退魔の霊符』を発動し、一つ目小僧を破壊する。その攻撃は無効だ」
「私のターン 『祟り神・黒穢』で攻撃です」
「その前に我は『龍神の激怒』で全てのモンスターを破壊する。我の場に元々モンスターはいないがな」
その後も多摘は手堅い守備で大祓骸魂の攻撃をいなしつつ、魔力を順調に溜めていった。
「よし、魔力が溜まったぞ。結界魔法カード、『龍神の占術』を発動!」
そして第六ターン。ついに多摘は切り札を発動した。このカードは、攻撃にも防御にも役に立たないが、場に出てから毎ターン、運命カウンターを乗せる効果を持つ。そして、カウンターが七つ乗った時点でゲームに勝利できるのだ。
「これは 珍しいカードを ドラゴン・ランプでは なかったのですね」
ランプとは、コストの概念があるカードゲームでコスト支払い能力を強化することで早期に強力なモンスターを出そうとするデッキの総称である。大祓骸魂は多摘が見た目通りのドラゴン使いだと思っていたらしい。
「特殊勝利など 所詮はロマン 叩き潰して 差し上げます」
大祓骸魂は多摘の占術カードを叩き潰すべく、対魔法カードを発動した。多摘はカウンターカードで大祓骸魂の魔法を対消滅させ、それを妨害する。
「ならば 全てを破壊するカードで 消し去ってあげましょう」
「そうはさせぬ。 我は『地ならし』を使い、汝の魔力の源を全て破壊する!」
多摘が繰り出したカードもまた、お互いのカードを大量破壊するカードだ。しかし、破壊されたのはお互いの魔力の源のみ。お互いにコストの支払いが不可能となった以上、勝負は振り出しだ。否、七ターン凌げば勝負が終わる以上、この膠着状態は多摘が圧倒的有利である。
「さあ時間はどちらに味方するか……」
大祓骸魂は恐るべき速度で場を立て直し、再びモンスターを召喚した。多摘はモンスター破壊カードやバウンスカードで時間を稼ぐが全てを凌ぎ切ることはできず、ライフは減っていった。そして、運命を決する第六ターン。
「『忘れられし神』で直接攻撃します。この攻撃が通れば私の勝ちです」
「……我は『終局を告げる鐘』を発動し、この戦闘フェイズを終わらせる」
そして七ターン目が到来し、運命の鐘は多摘の勝利を告げた。戦場に派手な特殊勝利演出が巻き起こり、スカイツリーに降り注いだ神聖な光が虞を浄化していく。
「私の愛は 成就 しませんでしたか」
「去らばだ、大祓骸魂。在るべき所に還るが良い。童は家に帰る時間だ」
「無念です でも誰かと こんなに 遊んだのは 久しぶりでした」
ついに力を使い果たした大祓骸魂の姿が薄れていく。一日猟兵達と遊び倒して満足したのか、永い間人々に忘れ去られていた少女は穏やかな表情を浮かべながら、骸の海へと消えていった。
成功
🔵🔵🔴