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大祓百鬼夜行㉓〜勝ちまくり！モテまくり！

作者：納斗河 蔵人

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●それってネズ……
「あんな、ワイちゃんすっごい話を聞いたんよ」
　新し親分バズリトレンディは『虞知らず』を求めて集った猟兵たちへ向けて耳打ちする。
「なんとこの電気石のネックレスを首にかけるとな、そりゃあもうものすんごいパワーで幸運が舞い込んでくるんや！」
　バズリトレンディは札束を扇状に開き、仰ぐ。くるりと振り向けばそこにあったのはバスタブだ。しかし満たされていたのは水ではない。札束である。
「こんなふうに札束風呂も夢やない！　あ、お風呂シーンはないで！　ワイちゃんそんな安い女やないんや……残念だったな。でも他にもな、幸運を呼ぶツボとか……」
　そうやって、ずらずらと商品を並べていく新し親分。なんだかいやな予感がしてきたぞ。
「でも、この幸運を独り占めしたらあかん！　皆に分け与えるんや！　お金で買えない価値がある……買えるものは親分カードで」
　どう考えてもネズミ講です。本当にありがとうございました。
「それはそれとして、ちょっぱやでやらないとケツカッチンや！　サクサクやってこうかー！」

●でも札束にまみれられるのは本当です。
「諸君！　聞いてくれたまえ！　大祓骸魂との決戦に向けて、諸君は「虞知らず」を習得せねばならぬ！」
　ゴッドオブザゴッド・ゴッドゴッドゴッド（黄金存在・f16449）が猟兵達に語りかけた。
「その為には新し親分との戦いが必要不可欠！　故に諸君は虚空に生み出された、あらゆる流行の最終到達地点、煌びやかな「バズリトレンディ御殿」へと向かうのだ！」
　当然彼の地で待ち受けるのはバズリトレンディ。
　この御殿でははまるでバブル時代のイメージ映像のように、無尽蔵に「お金」が噴出し続けるという。
「その金で買えるものをイメージすると、金の消費と引き換えにそれが出現する！　しかも、だ！　買えば買うほど、消費金額に応じて諸君はパワーアップするのだ！」
　つまり、こういうことです。
　お金を使えば使うほどゴージャスになり強化される戦場で、バズリトレンディを上回るゴージャス度でお金を使って使って使いまくり、バブルパワーで圧倒しましょう！
「ゴッドもまた金を司るもの……この戦場、一筋縄ではいかぬとよく分かっている！　無限に湧き出す金に負けぬ想像力こそが勝利の鍵だ！　諸君の欲望を解き放ち、バズリトレンディを越えよ！　それこそが大祓骸魂へとつながるのだ！」
　勢いよくゴッドは告げた。有り余る財を使いまくり、バズリトレンディを倒して虞知らずを手に入れよ！

第1章 ボス戦 『新し親分バズリトレンディ・トレンディ形態』

POW   :    竹やぶで拾ってきたわ！ 【多額の現金】を籠めた【大きなカバン】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【戦闘意欲】のみを攻撃する。 SPD   :    何があろうと戦い続けんと！ 【栄養ドリンク】を給仕している間、戦場にいる栄養ドリンクを楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。 WIZ   :    ワイちゃんと踊ろうか！ 【召喚したミラーボールから光】を降らせる事で、戦場全体が【1990年代前半のディスコ】と同じ環境に変化する。［1990年代前半のディスコ］に適応した者の行動成功率が上昇する。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「バズリトレンディ御殿へ行くの？」
「いや、買い物の時間だ」
　デェェェェェェン
　何処かで聞いたＢＧＭをバックに、泉・星流（人間のマジックナイト・f11303）はガラガラとショッピングカートを転がす。
　その手にはリストアップされた兵器群。
「あと必要なものは、これと……」
「あー、あー、全警備員へ。不審者を発見。特徴は女性と間違われる、ゴシック、髪を纏めている、とんでもない甘党、読書好き。大体そんな感じの猟兵や」
　ガン・ショップの壁はフォークリフトで破壊し、銃器を掴み、弾薬を放り込んでいく。
　一体どれほどの被害総額になるのだろうか。やがてカートが山盛りになった頃。星流は告げる。
「会計お願いします」
「いや、筋肉式の買い物やないんかーい！」
　そう、何処かから女の声が聞こえた。お金使わないとパワーアップできないからしょうがないね。

「と、まあそんな感じに回想シーンを繰り広げてたわけなんやけど」
　新し親分、バズリトレンディは焦れていた。買い物を終えたはずの星流がいつまで経ってもやってこないからだ。
「これはあれやろか、巌流島ってやつやろか。でもワイちゃんは刀持ってないから捨てる鞘はないんやで！」
　などと空しいひとりごと。もういっそ寝っ転がってせんべいでもつまんでやろうかと思ったその時だった。
　突然に爆発が起こったのは。
「なんじゃーこりゃー！」
　もくもくと立ち上る煙。
　その中心でなんだかぼろっちくなったバズリトレンディが叫ぶ。
　御殿の入り口へと視線を向ければ、星流がきょとんとした顔で首をかしげた。
「……えっ！？　……戦争しに来たんだけど？」
　その肩に乗っかっていたのはロケットランチャーだ。
「そんなもん……どこで使い方を習ったんや！？」
「説明書を読んだんだよ」
　第二射。第三射。親分の嘆きを気にもとめず、星流は満載のショッピングカートから次々と銃火器を取り出し攻撃を続ける。
「来いや猟兵！　武器なんか捨ててかかってこい！」
「いいや、僕はこれしかできないんだ」
　瞳に魔力を宿し、大変いい笑顔でぶっ放す。弾薬費も無尽蔵。『魔眼の射手（マガンノシャシュ）』とはいえ、こんな大盤振る舞いそうそうできるものではないのだ。
　ああ、虞知らずって素晴らしい。当然武器を捨てるはずもなく……巻き起こる爆炎の中、ひっくり返る親分の姿が見えた。
「最後にひとつだけ、これだけは言わせて欲しい」
　アフロのバズリトレンディは口から煙を吐き出しながら、言う。
「こんなん戦争じゃないわ！　ただのトレンディー名言集よ！　……てなわけで、ワイちゃんを起こさないでやってくれ。死ぬほど疲れてる」
　そして彼女は宣言通り、大の字になってぶっ倒れるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「お嬢ちゃん、今日はどうしてここに？」
「お金使い放題していいと聞いて！」
　スッ、とマイクを向けられた桜咲・廻（次世代（？）バーチャルライバー・f23320）は満面の笑みで答える。
　インタビュアーは深く頷き、次の質問へ。
「成程なぁ……それを聞いたとき、どう思いましたか？」
「こういうの一度やってみたかった！」
　むふーっ、という声が聞こえそうだ。期待に胸を躍らせているのだろう。
　そんな彼女に、インタビュアー……新し親分バズリトレンディは満足げに宣言する。
「では、買い物を初めて貰いましょう！　バズリトレンディ御殿、ハンマープライス！」

　さてはて、廻は溢れ出すお金を元に、何を手に入れたのか。
　そこにあったのは一機のキャバリア。
「ほほー、これはキャバリアって奴やな。これの火力でワイちゃんを蹂躙しよう、そう考えたわけやな」
　キャバリアは当然高価だ。とはいえ、猟兵ならば入手すること自体は難しくない。
　つまり、お金をかけるならば装備やカスタマイズ……そういった部分を高性能にする為に使ったのだろう。
　バズリトレンディはそう考えた。だが。
「えっ？」
「えっ？」
　廻は全くそんな事を考えていなかった。いや、正確にはキャバリアは徹底的に改造されているのだが……
「まずこのカメラね。最新式で画質が64Kもあるんだ！　そしてこのマイクは一キロ先で針が落ちた音も……」
「いやいやいや、待ってや！　このロボット、戦闘能力は？」
「そんなものないよ！　これで史上最高の撮影・編集・配信能力を備えたキャバリアですよ！」

「ま、ええわ。しっかりお金使ってパワーアップしとるみたいやし……始めよか～」
　こうやって買い物をしたのも虞知らずを会得するため。バズリトレンディはHPAHを担ぎ上げて戦いの始まりを告げる。
「よーし、ダウンロード開始だよ。キーワード、『桜咲三変化（マワリ・モードチェンジ）』！　美少女ストリートファイターに変身！」
　対する廻はきらびやかな光と共にその姿を拳闘士ヘと変えた。
「まずは挨拶代わりのジャブ！」
「おおおおっ！？」
　一閃。突き抜ける拳。だが親分の視線はそのキラキラと輝く拳へと向けられていた。
「なんやそれ！　宝石がジャラジャラと……親のダイヤの結婚指輪のネックレスでもはめとるんか！？」
「アニメや漫画で見ただけだけど、本物の宝石でやってみたかった！」
　無邪気というかなんというか。笑顔のまま、続けて廻は蹴りを繰り出す。
「それそれ、続けていくよー！」
「ひょえーっ、靴もイタリー製やないか！　なんや、しっかりとゴージャスにきめとったんやな！？」
　だが、その動きはぎこちない。そりゃそうだ、革製のこの靴は運動するためのものではないのだ。
　うーん、と唸ると廻は靴を脱ぎ捨て、次なる『買い物』を実施する。
「今度はプレミアのスニーカーにしよう！　これだったらうまく動けるよね！　これぞ贅沢！」
「うーん、靴を履きつぶすどころか一蹴りで取っ替える。まさしく虞知らずやなぁ……」
　意図してか、それとも。ともあれ、バズリトレンディの言うように、廻は大祓骸魂と戦うための力を手に入れたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　扉を開けば波の如く押し寄せる万札。そう、ここはバズリトレンディ御殿。
　そんな光景を前に、桃登勢・サラスティ（金神喚びの厄使い　～神魔の眼鏡～・f27163）は眼鏡の奥の瞳をキラリと輝かせた。
「おー、変なお金の流れ方がするなー、と思ったらこりゃド派手だね」
「せやろ？　これはワイちゃんの夢なんや……」
　しみじみと語るのは勿論新し親分バズリトレンディ。なんだか視線をちらちらと桃登勢に向けている。夢とは何かを語りたいのだろう。
　しかし彼女はそんな事を気にもとめず問いかける。
「で、これ使っていいの？」
「お？　おう……なんや聞いてくれへんのか……。まま、ええわ。これからお嬢ちゃんにはこの金を使ってお買い物をしてもらいます！」
　虞知らずを身につけてもらう。その為に新し親分はこの御殿へと猟兵を招いたのだから。
「そっかー、そういう事なら先生もいないし！　やるよー！」
「先生？　よーわからんけどやる気があるんはええ事やな」
　うんうんと頷くバズリトレンディをよそに、桃登勢は買い物をイメージする。

「バブルで買うものといえばもちろん――『土地』と『物件』！」
「ほうほう、なるほどなぁ」
　彼女達のの脳裏に浮かぶのは双六のような日本地図と駒代わりの列車。
　ももとせ社長の番です！　サイコロを振ってください！　なんてテキストも浮かんでくる。
「そして、私が購入するのは……」
「購入するのは……？」
　ゴクリ、と唾を飲み込む音。果たしてその選択は――
「バズリトレンディ御殿の各種権利書を購・入！！」
「ほうほう……ってちょい待ちーや！」
　バサリと桃登勢の前に現れた書類。それは確かに権利書であった。
「いやいやいやいや、それはアカンやろ！　そんなことしたらバズリトレンディ御殿ちゃんがメガネサラスティ御殿ちゃんになっちゃうやろ！　返しなさい！」
「えー、そういわれてもなぁー。もう買っちゃたから、ただでは返せないよ」
　親分の抗議に桃登勢はポチポチと巨大な電卓を叩き始める。こちらも御殿のお金で購入いたしました。
　さあ、鑑定やいかに！
「お代は66兆2000億だね！」
「ひょえーっ、国賀予算並みやないか！　でもワイちゃんの夢にはお金に換えられない価値があるんや！　買ったるわ！」
「まいどあり！」
　ぽん、と権利書は親分に手渡される。さて、次の買い物は……
「では、その倍の値段でもういっかいバズリトレンディ御殿を買うよ！」
「アカンアカンアカン！　この御殿ちゃんは先祖代々の土地や！」
　が、駄目……っ！　不意打ちの初回はともかく二度目はない……っ！　この御殿では親分がルール……っ！
「いくら積まれても売らへんで！　ワイちゃんは銀座で牛を飼う夢があるんや！」
「だったら売った方がいいんじゃないの？」
「そもそもそのやり方バブル崩壊待ったなしや！　ワイちゃんはずっとずっと贅沢に暮らすんじゃーい！　がっぽがっぽするんじゃーい！」
　二人は権利書を引っ張り合う。仕方がない。予定より金額は少ないがここでやってしまおう。
　桃登勢はひっそりと、親分の手に触れた。
「じゃあ……そんなあなたに幸運がありますように！　あ、燃え尽きて真っ白にならないでね？」
　桃登勢がそういった瞬間、不思議なことが起こった。
　バズリトレンディの宝くじは当たり、お菓子から眉毛のコアラが現れ、福引きで人参ではなく温泉が当たった。
　が、幸運の代償は大きい。それ即ち、『金運炎上・吉【金霊】（カナダマ・バーニング）』。
　突然、親分めがけて積み上げられた札束が津波のように襲いかかったのだ。
「なんじゃーこりゃー！」
「お金っていうのは海と似てる。どんなに計算しつくしても、運の要素は無視できないよ！」
「ワイちゃんも流石にこれはテンサゲやわ～。この子ホント虞知らずやわ～。ちゃんと大祓骸魂を倒してな～」
　札束の波はすさまじい勢いで二人の距離を引き離していく。
　バズリトレンディの押し流されていく姿を見送り、桃登勢は満足げに親指を立てたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　巨大な門扉が開かれ、一台の高級車がゆっくりと走り出す。
　長い長い森を抜け、見えてきたのは豪華絢爛たるバズリトレンディ御殿。
　黒塗りの高級車はその扉の前でピタリと止まる。
　タキシードを身に纏った運転手が赤い絨毯を転がし、車のドアを開いた。
　コツン、とヒールが鳴る。
「ゴージャス！　なのです！」
　現れたのは、サギリ・スズノネ（鈴を鳴らして願いましょう・f14676）。
　そして、もう一人。サギリとはまた違った雰囲気を纏った女。そう、ミルラ・フラン（Incantata・f01082）である。
　二人は全身を豪奢にコーディネート。
　大きく開いた胸元に、深いスリット。
　しかし下品ではなくむしろ品のある佇まい。その理由は、一目で一級品だとわかる毛皮のコート。
　決して背の高くはない二人を、よりスマートに印象づけているのは高く伸びたピンヒールだ。お洒落は足元からというのも頷ける。
　さらにその姿を印象づけるのは、大きな唾の帽子からほんのささやかに覗かせるサングラス。
　その下には、どのような美しいかんばせが秘められているのか。想像は膨らむばかり。
「サギリさん、優雅に参りますわよ」
「はいなのです、ミルラお姉さん！」
　レッドカーペットの上を二人は進む。
　纏うドレスは色違い。彼女たちを知る者でもその姿にはため息を漏らすだろう。
　ミルラは銀色に輝くドレスを主体に、金色の縁取り。
　明るさを前面に押し出した、豪華でありながら落ち着きのある絶妙なバランスで見るものを魅惑の渦に巻き込んでいく。
　一方のサギリは金のドレスに、銀の彩り。
　可憐さの中に秘められた、未来への羨望。蕾が花開く未来を見守りたい。そう思わせる姿だ。
「姉妹は色違い……これこそがエレガントの基本なのです！」
　違うことで、互いを引き立てる。だが、ただ一つ。その首元に光るネックレスだけは全く同じもの。
　光を反射し輝く薔薇が二人の繋がりを強く感じさせる。言うなれば……スーパーファビュラスシスターズ！
「お招きいただき感謝いたしますわ、新し親分バズリトレンディ様」
「バズリトレンディのお姉さん、よろしくお願いしますです！」
「こ、これや……これがワイちゃんのファビュラスや……！　いーい買い物しましたねぇ～」
　その姿に、バズリトレンディもご満悦。テンションアゲアゲ、笑顔もMAX。
「パワーアップしたオーラが見えそうになっとる！　こんなん踊るしかないわ！　そうやろ！？」
　流れ出すのはダンスミュージック。天井から伸びたミラーボールが三人を照らす。
　そう、ここは今からディスコだ。ファビュラスの踊る、バズリトレンディディスコだ。

「さあ、ワイちゃんと踊ろうか！」
　バズリトレンディは光を背にお立ち台へと登る。
　流石はあらゆる流行りを身につけた新し親分。そのステップは極まっており見るものを熱狂の渦へと巻き込んでいく。
　一方のスーパーファビュラスシスターズもまたステージへと一歩を踏み出した。
　その度に辺りにはシャラララ～～ンとゴージャスさを引き立てる音色と共に紅い薔薇が舞い、その期待を高めていく。
「ディスコには些かゴージャスかもしれませんけど、踊りなら負ける気がしませんわよ！」
　お立ち台の上で相対し、ミルラはびしり、と突きつける。
　二人はサングラスを取り払い、帽子を、毛皮のコートを脱ぎ捨てた。
「へっへ、ええなぁ……だが、ワイちゃんも古今東西の流行りを極めし者……二対一だからって負けたりしないんだからねっ！」
「グッドルッキングではあるけど、ガイではないあなたに負ける気がしませんの」
「サギリ達のダンスは見るものを魅了するのです！」
　かくして始まるダンスタイム。
　バズリトレンディが激しくその身を躍らせれば、応えるようにミルラが全身でその情熱を弾けさせる。
　バズリトレンディが軽やかなステップを踏めば、神楽の如き繊細さでサギリは空気を支配する。
　様々な彩り、果てなき宴。
　彼女たちは皆虞知らず。その事を示すのは、最高のゴージャス。
「ご覧あそばせ、皆々様！　あたしに惚れたら怪我いたしますわよ！！」
「鈴を鳴らして舞いましょう」
　舞い続ける三人を、深紅の花弁が取り囲む。『Attraente Cremisi（アットゥラエンテ・クレミージ）』――いつしか巨大な薔薇が彼女たちのステージを彩っていた。
　そして耳に響くのは、心を燃やす鈴の音。『火ノ神楽（ヒノカグラ）』はチリンチリンとファビュラスを奏でていく。
「おっ、こいつはますますダンスが激しくなってまうなぁ」
　親分は負けじとダンスステージを次の段階へと進めた。
　音楽のテンポが上がっていき、お立ち台を照らす光も激しくなる。
「バズリトレンディのお姉さんも、ファビュラスの香りを感じるのです！　だけどサギリ達の薔薇の香りも負けていないのですよ！」
　サギリの鼻腔をくすぐったファビュラスの香りはアップルとパイナップルの香り。
　バズリトレンディはHPAHを両手に薔薇をなぎ払い、金色の炎をかき消していく。
「ほれほれー！　どんなもんじゃーい！」
　絶好調の新し親分。だが、相手はスーパーファビュラスシスターズ。
「サギリさん、同時攻撃で参りましょう！」
「はいなのです、ミルラお姉さん！　ファビュラスでゴージャスになったサギリ達の攻撃をお喰らいあそばせなのです！」
「わーお、アカンアカン！」
　一人一人では届かずとも、二人なら。紅い薔薇はゴージャスを奏で、金の鈴がファビュラスを彩る。
　ぼふん、という音と共に二人のユーベルコードがバズリトレンディへと突き刺さった。
「うーん、見事や！　よくぞ虞知らずを手に入れた……だが第二第三のワイちゃんが……」
　大祓骸魂への道は開かれた。この世界に訪れた危機を祓うことができるのは猟兵達だけ。
「頑張ってなー、スーパーファビュラスシスターズ。ワイちゃんも応援しとるわ」
　そんな言葉を背に、二人は、ゴージャス姉妹は。気高く戦場に降り立つ。
　

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2021年05月28日