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大祓百鬼夜行㉓〜ゴージャスバブリートレンディーナイト

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行


● 1990年代前半のディスコ
 キラッキラなミラーボールが、ギラッギラな光を周囲に向けて投げつけていた。
 流れる音楽は賑やかできらびやかでアップテンポで騒々しい。お立ち台の上に立った新し親分バズリトレンディは、トレンディ形態になると舞扇を手にキレッキレのダンスを踊りまくっていた。
「世の中は金や! 金なんや! 金で買えるモンは、みんなワイちゃんが買うたるでー!」
 一度は言ってみたい成金趣味なことを叫んだバズリトレンディは、それを証明するかのように足元から溢れ出す高額紙幣を扇のように手に持つと、ヒラヒラさせながらディスコダンスを踊った。
 ノリッノリに踊り狂うワイちゃんことバズリトレンディは、肩で息をすると膝をつき栄養ドリンクを口にする。元気を前借りしたバズリトレンディは、再び立ち上がるとパラパラダンスを踊り始めた。
「さあ! 金で買えるモンなんでも想像しいや! ワイちゃんが買うたるでー! 虞知らずなワイちゃんと、バブリーでトレンディーな一夜を過ごそうやないか!」
 空中に向けて投げキッスを放つバズリトレンディは、増え続ける高額紙幣の上に大の字になると高笑いを上げた。

● グリモアベースにて
「いやー、景気が良いね! さすがはバズリトレンディ!」
 乱痴気騒ぎに興ずる様子に笑いを堪えたリオン・リエーブルは、グリモアに映し出された光景に笑いを強引に収めると集まった猟兵達に説明を始めた。
「このバズリトレンディはね、お金で買えるものをイメージすると無限に吹き出すお金と引き換えにそれを実現させてくれるのさ。この消費金額が大きければ大きいほど、皆はパワーアップしてそれにふさわしい姿に変身するよ。思いっきりゴージャスでバブリーでビューリホーでハイクラスなものを想像すれば勝利さ!」
 そう。ここはお金を使えば使うほどゴージャスになり強化される戦場。バズリトレンディを上回るゴージャス度でお金を使って使って使いまくり、バブルパワーで圧倒すると、ほぼ戦闘無しで勝利を収めることができるのだ。
 逆に言えば、質素倹約に徹してしまうとバズリトレンディに勝つことはできなくなってしまう。
「もうね! 想像しうる限りゴージャス! な感じでバブリーにやっちゃってよ! 皆のゴージャスに期待してるね!」
 楽しそうに笑ったリオンは、グリモアで戦場(?)への道を開いた。


三ノ木咲紀
 オープニングを読んでくださいまして、ありがとうございます。
 今回は戦争シナリオです。
 概要はオープニングの通り。とにかくゴージャスにバブリーにイメージしていただければ、その通りに強化されて戦闘を有利に運べます。

 プレイングボーナス……お金で買えそうなものを買いまくりパワーアップする(買ったもので攻撃するのもOK)。

 プレイングは5/24(月)8:31から受付。
 少人数採用で進めさせていただきますが、参加者多数の場合は同じフレームで再度募集させていただくこともあります。

 それでは、良きゴージャスバブリーなひとときを。
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第1章 ボス戦 『新し親分バズリトレンディ・トレンディ形態』

POW   :    竹やぶで拾ってきたわ!
【多額の現金】を籠めた【大きなカバン】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【戦闘意欲】のみを攻撃する。
SPD   :    何があろうと戦い続けんと!
【栄養ドリンク】を給仕している間、戦場にいる栄養ドリンクを楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
WIZ   :    ワイちゃんと踊ろうか!
【召喚したミラーボールから光】を降らせる事で、戦場全体が【1990年代前半のディスコ】と同じ環境に変化する。[1990年代前半のディスコ]に適応した者の行動成功率が上昇する。
👑11
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大町・詩乃
WIZ

舞台に合わせ、封神武侠界で入手したチャイナドレスと中華風扇姿で優雅に登場。でも少し恥ずかしそう。

(人の歴史を見てきた生活慎ましやかな神としては)あの頃は呆れたものですが、今となってはあの騒がしさが懐かしくもありますね。
尤も、意味無い贅沢は性に合いませんが…。

「では手始めに(与えられた予算1億円の使い道に困った自治体が製造依頼して展示した)1億円金塊アタック!」
呼び出した大きな金塊を念動力で親分さんに投げつけてダメージ与える。

「次が本番です。(花の静物画を呼び出し)ゴッホのひまわりクラッシュ!」両手で額縁を持って、親分さんの頭部めがけて絵画を振り下ろします。

こんな感じで良かったでしょうか?



● 1億円金塊とゴッホのひまわり
 高額紙幣の海で大の字になるバズリトレンディの前に立った大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)は、チャイナドレスの裾を捌きながら波打ち際まで歩み出た。猟兵の気配に体を起こしたバズリトレンディは、増え続ける紙幣の上であぐらをかくと楽しそうに笑った。
「よう来たな猟兵! 最初はえらい別嬪さんやんけ」
「あ、あんまり見ないでください」
 少し恥ずかしそうに緑と金をベースにしたチャイナドレスの裾を押さえた詩乃は、赤い中華風扇で口元を隠す。その優雅な所作に、バズリトレンディは頭をぺちりと一つ叩いた。
「たはぁ! そんな仕草、ナウなヤングにバカ受けやん」
「あの頃は呆れたものですが、今となってはあの騒がしさが懐かしくもありますね。尤も、意味無い贅沢は性に合いませんが……」
「あかんあかん! 贅沢に意味なんていらんねん! 人生ゴージャスバブリーに楽しんだモン勝ちや!」
「そんなものですか」
 困惑気味に眉を潜めた詩乃には構わず、バズリトレンディはバブリシャスなダンスをノリッノリに踊っている。その端からどんどん高額紙幣が湧き出していて、バズリトレンディの力が増すばかり。人の歴史を見てきた生活慎ましやかな神としては共感しづらいところもあるのだが、ここで倒して虞れ知らずの力を授けて貰わなければ最終決戦に臨むこともできはしない。詩乃は手を握るとバブル時代を象徴した品を思い浮かべた。
「では手始めに! 与えられた予算1億円の使い道に困った自治体が製造依頼して展示した、1億円金塊アタック!」
「がふぅっ!」
 平成初期の某事業で作られた巨大な金の延べ棒が、勢いよく回転しながらバズリトレンディの頭に直撃する。バブル時代を象徴する金塊に、バズリトレンディは頭からだくだく血を流すと遠い目をした。
「ああ、懐かしいなぁ一億円金塊。あの時の一億円を高金利な金融商品でも買うとけば、後でなんやかんや増えとったのに」
 何やら過去に想いを馳せるバズリトレンディに、詩乃は再び金色の四角い品を手にとった。今度は金塊ではない。誰でも知っている超有名な静物画を手にした詩乃に、バズリトレンディは慌てて手を振った。
「そ、それは芸術的価値いう、お金では換算できん価値があるんやで分かっとる!?」
「分かっていますよ。大丈夫です、安心してください。原状復帰費用までがトレンディーですから」
 ゆらありと両手でひまわりの額縁を手にした詩乃は、後ずさるバズリトレンディの頭に大きく振りかぶった。
「次が本番です。ゴッホのひまわりクラッシュ!」
「あうちこれが53億円相当のダメージぃっ!」
 ひまわりの絵が頭に直撃したバズリトレンディが、目を回して倒れ込む。壊れてしまった絵画を手に、詩乃はゆっくり言い放った。
「こんな感じで良かったでしょうか?」
 首を傾げ絵画を修復した詩乃に、バズリトレンディは倒れたまま親指を立てた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

葛籠雄・九雀
SPD

レグちゃん(f02517)と

成程理解したである。とりあえず成金悪役をやればよいのであるな!
…いや、本当か? まあよい。

よし、ひとまずバズリトレンディの栄養ドリンクはもらって肉体に飲ませておき、オレは都会の一等地にマンションを買ってもらうとしようぞ。最上階の部屋にはジャグジーなどもつけておいてくれ。
オレは窓から外を見つつ高笑いでもしておく。ハァーハッハッハッハ!

レグちゃんが車を買うならゴージャスな方がよりよいのであろうし、塗装屋を雇って塗る。赤や金…メタリックな青などもいいか…?

最後はレグちゃんと一緒にそれでバズリトレンディを轢いてもらうとするであるか。
轢かずとも勝てるならそれでいいがな。


レッグ・ワート
葛籠雄(f17337)と向かうよ。
そんじゃ俺も遠慮なく。

装甲車とトラックとドクワゴンを買って貰うかな。猟兵仕事に耐えないんじゃ困るが、運転席の規格は俺で。特にドクワゴンは、各現地一般人への状態確認で要り得る仕様や道具、薬剤類は一通り。溢れた分はトラックに積んどいて。ほら実用わかる奴にはわかる仕様に糸目無しに金掛け倒すのも格好良いだろ。え、ゴージャス?……見てくれも要る、よな。いいぜ塗りの指定は任せた。お前結構ノリ良いよね。
栄養ドリンクは寄越される数を楽しむ予定。中身問題なけりゃ後でどっかに差入れる。まあ薄めて飲め24時間働き倒すな生体と思いつつ殺さん程度に貰った車で轢くぜ。大丈夫、処置はする。



● 装甲車両とドグワゴンとデコトラ
 こんこんと湧き出す高額紙幣の上でバブリーダンスを踊り、踊り疲れて栄養ドリンクを飲み干すバズリトレンディに、装甲車両が突っ込んだ。
「薄めて飲め24時間働き倒すな生体」
 スピーカーから流れる声が、一息にツッコミを入れるのが早いか。
 どーん! と盛大な音を立てて高額紙幣と共に雑魚吹っ飛びしたバズリトレンディは、札束をクッションに起き上がると盛大にツッコミを入れた。
「なんやなんや唐突に!」
「これがノリツッコミという奴だ」
 冷静な声を上げたレッグ・ワート(脚・f02517)が、今度はドクワゴンでツッコんだ。物理的なツッコミに再び雑魚吹っ飛びに吹っ飛ぶバズリトレンディが、クッションにした高額紙幣から体を起こす。その姿にドグワゴンの運転席から降りたレッグは、2メートルを優に超える体を余裕で支える運転席に満足げな顔をした。
「いやデカいんかーい!」
「運転できない車に何の価値がある? ウォーマシンのこの体、やろうと思えば運転席に合わせて小型化するのも不可能じゃない。だが無論改造させてもらったさ」
「ま、そらそやわな」
「こだわりはそれだけじゃないぞ。特にドクワゴンは、各現地一般人への状態確認で要り得る仕様や道具、薬剤類は一通り。溢れた分はこの……」
 再び轟音。三度目に吹っ飛ばされたバズリトレンディは、だいぶ減った札束の海からよろりと体を起こす。だくだくと血を流すバズリトレンディの姿に、再び運転席から現れたレッグはおもむろに彼女の体を担ぎ上げた。
「ほうほう車両三連続かい。特殊仕様車はお値段跳ね上がるさかい……ってわわ何すんねん!」
「何って、処置だが?」
 傷だらけのバズリトレンディをドグワゴンに放り込んだレッグは、中にずらりと並んだ最新鋭の機材達に満足そうに頷くとバズリトレンディに処置を開始した。惜しげもなく使われる薬剤や器具を見渡したバズリトレンディは、不思議そうに首を傾げた。
「おお……。怪我させといて治療するやなんて、ええマッチポンプや」
「実用わかる奴にはわかる仕様に、糸目無しに金掛け倒すのも格好良いだろ」
「なかなかハイレベルなゴージャスやな。それにしたかて……なかなかええ趣味の内装やな」
 最新鋭の機材を積んだドグワゴンの内装は、キラッキラ仕様になっていた。ダイヤモンドで縁取りされた液晶画面に黄金のベッド。シーツはシルクといった具合の内装は、少々眩しいが使用感は問題ない。
「ああ。内装と外装は……」
『ハァーハッハッハッハ!』
 言いかけたレッグとバズリトレンディの耳に、高笑いが響く。慌てて外に出たバズリトレンディは、雨後の筍のようにニョキニョキと伸びる高層ビルをあんぐりと見上げた。

● 都会と一等地に建つマンション最上階ジャグジー付き
「ふむ。悪役成金というのも悪くないのである」
 都会の一等地に建ったマンションの最上階の窓から三連続車両ツッコミを満足そうに見下ろした葛籠雄・九雀(支離滅裂な仮面・f17337)は、羽織ったシルクのガウンに超高級ワイングラスをくゆらせると中の液体を一口含んだ。濃厚なベルベットを思わせる芳醇な赤ワイン……と思ったら栄養ドリンクで。
「こんなところは律儀であるなバズリトレンディ」
『何があろうと戦い続けんと! てか都会の一等地のマンション最上階って、都会も込みかい! ここは! バズリトレンディー御殿やで! 都市開発までしおってからにホンマ!』
「マンションの価値は立地も大きかろう?」
 さも当然のように言う九雀の背後では、巨大な円形ジャグジーが心地よい音でお湯を沸かして誰かの入浴を待っている。後で入ろう。
 ジャグジーから丁度見える位置に設置された巨大モニターに、レッグとバズリトレンディの姿が映し出される。その背景に見える三台のデコ車両の出来栄えに、九雀は満足そうにワイングラスを掲げると栄養ドリンクを口にした。
「おおレグちゃん。いい感じに仕上がったであるなその車両」
『うむ。別に外装はどうでも良かったのだが、これはこれで気に入っている』
 満更でもなさそうなレッグの姿に、九雀も満足そうに頷く。
「その赤や金やメタリックブルーは綺麗に塗れているではないか。さすがはオレの見立てであるな」
『お前結構ノリ良いよね』
「どうせやるなら見た目も大事であるからな。世界最高峰の腕を持った塗装屋に任せて安心である。……さてレグちゃん」
『何だ?』
「せっかくだからジャグジーでひとっ風呂入って帰るのである。丸の内の夜景を見ながら汗を流すのも悪くなかろう」
『……良かろう』
 九雀の提案に頷いたレッグは、踵を返すと超高級タワーマンションの最上階へと向かう。
 バズリトレンディはとりあえず放置した九雀は、特等席から猟兵達の戦いを見物しながら悪役成金ムーブを楽しむのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シルヴィエート・ラーヴル
【鴉葉】
まぁまぁまぁ!!買えるものならなんでもですって!?
ここは私のお嬢様装備を整える絶好の好機ではなくって!?
さぁ、アギト様!アドバイザーとしてどんどん意見も言ってくださいまし!
えぇ、まずはドレスですわね
豪華に華麗にいきましてよ!
色違いとバリエーション豊かに365日別のドレスですわね
なるほど、帽子!
移動手段は馬車ですわね、完璧ですわ!!黒塗りの高級車のような馬車で親分様に追突これですわ!
馬車で向かう先も必要ですわね…舞踏会の会場となるような豪華宮殿ですわ!!
って宮殿吹っ飛んだー!?
いえ、驚いてませんわよ?宮殿を吹き飛ばしてこそバブリーお嬢様、吹き飛んだならまた建てればいいじゃないですわ!


霧鵺・アギト
【鴉葉】

お嬢様装備を…整える?
ふむ、僕にかかればその程度の助言など容易いよ。

シルヴィ君、貴族はドレスだけではなく帽子にも気を遣うのだよ。
特注の帽子を365日分用意させよう。

馬車移動には護衛も必要。
傭兵を1万人雇おう。

宮殿か。
やはり近年の流行は高層な建物だな。
違法建築でも構うな。
100年経っても完成しない規模のものを用意しよう。

さて、僕の計算によると…あれとこれの土台を吹き飛ばすと…(UC発動)

建てたばかりの豪華な宮殿を秒で破壊する。
特に意味はない。
何故なら、これは「暇を持て余したお嬢様の遊び」なのだからな。
馬車馬に轢かれているワイちゃんも、ついウッカリ宮殿破壊に巻き込んでしまったよ、テヘペロ。



● お嬢様365日
じゃんじゃん増えていく高額紙幣のプールでクロールするバズリトレンディをよそに、シルヴィエート・ラーヴル(お姫様Lv1・f25627)は溢れんばかりのバブリーに目を輝かせた。
「まぁまぁまぁ!! 買えるものならなんでもですって!? ここは私のお嬢様装備を整える絶好の好機ではなくって!?」
「おお、お嬢様装備かいな。ええねええね! 買うたろ買うたろ何でも買うたろ! ……で、具体的には何を買うん?」
「そうですわね……」
 高額紙幣プールサイドまで泳ぎ寄ってきたバズリトレンディの問に、シルヴィエートは腕を組み手を頬に当てた。なにせ現在、シルヴィエートのお嬢様レベルはまだ1。理想のお嬢様と言われても、まず何から手をつけたらいいのやら。
 そんなシルヴィエートに、霧鵺・アギト(叡智を求めし者・f32015)は一つ頷いた。
「お嬢様装備を……整える? ふむ、僕にかかればその程度の助言など容易いよ」
「まぁ、アギト様。助言をしてくださるので」
「勿論。シルヴィ君を着飾らせるのは面白そ……もとい、君の役に立ちたいんだ」
 不敵な含み笑いを浮かべたアギトは、心の声を漏れさせながらも違和感を感じさせない笑顔でシルヴィエートに手を差し伸べる。そんなアギトに気付いているのかいないのか。ぱあっと顔を明るくしたシルヴィエートは、差し出された手に自分の手をそっと置いた。
「ありがとうございますわアギト様! わたくし、自分の思いつくまま想像していきますので、アドバイザーとしてどんどん意見も言ってくださいまし!」
「あぁ。それでいこう」
「話はまとまったんかいな? ほな見せてもらおか! アンタらの、ゴージャスでバブリーでトレンディーなナイトを!」
 プールの上でくるくる回るバズリトレンディを、ミラーボールが照らし出す。途端にじゃんじゃん湧き上がる高額紙幣の海にテンションを上げたシルヴィエートは、ウキウキしながら指を折った。
「えぇ、まずはドレスですわね。豪華に華麗にいきましてよ!」
 シルヴィエートが言ってしばし。最高級の素材をふんだんに使ったドレス姿になったシルヴィエートは、上質なシルクの肌触りに頬を染めると更に指を折った。
「まあ、素晴らしいですわ! 理想のお嬢様ドレスですこと! 次は色違いとバリエーション豊かに365日別のドレスですわね」
「シルヴィ君、貴族はドレスだけではなく帽子にも気を遣うのだよ。特注の帽子を365日分用意させよう」
 アギトの助言に、くるりと振り返ったシルヴィエートはこくこくと頷く。その瞬間、小さくとも華麗なデザインの帽子が現れると、シルヴィエートの頭にぽん! と被せられた。
 とても素晴らしいと思っていたドレス姿が、帽子一つで印象がガラリと引き締まってまた違った表情を見せてくれるのが面白い。365着の豪華絢爛なドレスと365個の帽子が収められたクローゼットを見渡したシルヴィエートは、満足そうに微笑んだ。
「なるほど、帽子! 確かにこれは良いですわね。次は移動手段! 移動手段は馬車ですわね、完璧ですわ!!」
「馬車移動には護衛も必要。傭兵を1万人雇おう」
 いつの間にか執事服になったアギトが、モノクルをくいっと上げると手を振りかざした。同時に現れた1万人の完全武装の傭兵達が整列し、アギトの指示を待っている。
「お嬢様を狙う不届き者が、現れないとも限らないからね」
「さすがですわアギト様! 安全が確保されたところで、早速馬車の試乗ですわ!」
 黒塗りの高級車のような馬車に乗り込んだシルヴィエートとアギトが、四頭建ての馬車を走らせる。馬車特有の音と振動を上げながら走る姿に、バズリトレンディが楽しそうに高額紙幣プールから這い出てきた。
「ドレスに帽子に執事に馬車にお嬢様! クラシカルな感じでええやないかい!」
「ほっほほほ! 馬車で向かう先も必要ですわね」
「ふむ。御者、とりあえずバズリトレンディの向こう側まで全速力だ」
「え、ち、ちょお待ちぃ!」
 慌てたバズリトレンディが回避しようとするが遅い。ドーン! と吹っ飛ばされて落ちた先は、大分札深が浅くなったプールで。
 視界から消えたバズリトレンディには構わず、シルヴィエートは首を傾げた。
「馬車が向かう先といえば……舞踏会の会場となるような豪華宮殿ですわ!!」
「宮殿か。やはり近年の流行は高層な建物だな。違法建築でも構うな。100年経っても完成しない規模のものを用意しよう」
 そう言ったアギトの頬が、怪しげに歪んだのを見咎めた者はいただろうか。やがてサグラ○ファミリアもかくやという巨大な宮殿がでーん! とできあがると、馬車は優雅に正門前に止まった。
「さあ、アギト様。優雅な舞踏会に……」
「ちょおっと待ったぁ! ここを通りたかったら、ワイちゃんの特製ドリンクを……」
 プールから這い出したバズリトレンディが、正門前に仁王立ちすると怪しげな色のドリンクをどーん! と突き出す。その様子には構わず、アギトは宮殿の基礎に目をやった。
「さて、僕の計算によると…あれとこれの土台を吹き飛ばすと……」
 アギトの言葉が終わるが早いか。豪華絢爛な宮殿は、直後大爆発を起こした。地震のような轟音が上がり、華麗な装飾が秒で瓦礫の山と化す。外側から内側に向けて崩れる様子に、アギトは満足そうに微笑んだ。
「ふむ。計算通り」
「って宮殿吹っ飛んだー!? 一体どうしてですの!?」
「特に意味はない。何故なら、これは「暇を持て余したお嬢様の遊び」なのだからな。何か問題でも?」
「いえ、問題はありませんし驚いてもいませんわよ? 宮殿を吹き飛ばしてこそバブリーお嬢様、吹き飛んだならまた建てればいいじゃないですわ!」
「それでこそお嬢様だ」
「お、お嬢様の定義が、なんや間違うてへんか……がく」
「おお。ワイちゃんもついウッカリ宮殿破壊に巻き込んでしまったよ、テヘペロ」
「テヘペロですわ」
「テヘペロ……がく」
 額をぺちりと叩く二人の前で、バズリトレンディががっくりと力尽きた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

館野・敬輔
【一応POW】
アドリブ連携カオス叩き込み大歓迎

新し親分、いざ尋常に…ってナンダコレ!?
(あまりのトレンディかつカオスさに思考フリーズ)

…コホン

さて、ごーじゃすにばぶりーにいめーじ、と言われても
里では自給自足、旅では質素を旨とする俺には難題すぎる…

ひとまずは…そうだな
考えられる限り固い金属の刀身と
きらっきらの最高級な宝石で飾り立てられた片手剣を想像してみよう
あとは超硬度の金属製の全身鎧か
ばぶりーだと黄金色だろうが、流石に俺には似合わんからな

ところでこの武器、実際に使えるんだよな?
というわけで最後は指定UCでワンパン

…うん
俺にはやっぱり慎ましく生きるのが向いている…ばた
(メンタルダメージでダウン)



● ダイヤモンドの剣と黄金の鎧
 黒剣を抜き放った館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)は、バズリトレンディ御殿を駆け抜けると最深部へ続くドアを開いた。
「新し親分、いざ尋常に……ってナンダコレ!?」
「おー、青年よう来たやん。一緒に札束ダンスでも踊らんか?」
 札束を手にしたバズリトレンディは、扇のように広げるとノリノリに踊っている。それだけでは飽き足らず、スカートに札を挟み胸パッドのように胸元に詰め、ナイスバディになって踊っている。
「と、トレンディー?」
「そや! これが、トレンディーや!」
 ニコニコ笑顔でサムズアップするバズリトレンディに、一体何が言えただろうか。そもそもトレンディーの意味もよく分かっていない敬輔は、辛うじてサムズアップを返すのが精一杯だった。
 思考がフリーズした敬輔は、鳴り響くノリノリの音楽に我を取り戻すと一つ咳払いで自分を取り戻した。いけないいけない。一応ここはやや難戦場だ。何もしないで立ちすくむ訳にはいかない。
「……コホン。さて、ごーじゃすにばぶりーにいめーじ、と言われても……」
 言われても、である。
 ダークセイヴァー出身の敬輔は、生まれた時から質素倹約が身についている。里では自給自足、旅では質素を旨とするのは当然のことだった。
 かの世界で贅沢ができるのは、ヴァンパイアか、ヴァンパイアと癒着した貴族どもだけで。バズリトレンディの浪費もその類と思うと反吐が出るのだが、世界が違えば常識が違うのは身に沁みて理解している。分けて考えるべきだろう。
 意外なところで意外すぎる難題にぶち当たった敬輔は、それでも考えを巡らせた。身近なところだと衣食住。住居は今の家で十分過ぎるし、食もすぐにイメージできない。ならば、自分にとって必要なものをランクアップするのが早道か。
「ひとまずは……そうだな」
「お? 何や何や? 何でも言うてみ買うたろ買うたろ」
「考えられる限り固い金属の刀身と、きらっきらの最高級な宝石で飾り立てられた片手剣を」
 想像を膨らませてしばし。抜き放っていた黒剣はいつの間にか鞘に収まり、手の中にあるのはダイヤモンドの刀身をした片手剣だった。透き通った刀身は鋭く研がれていて、柄も鞘も色とりどりの宝石でこれでもか! と飾り立てられている。
「いや確かにダイヤモンドは硬いけど!」
「ほうほう、ええ趣味しとるやんけ! そんだけ大きな原石をカットするんは、めっちゃ高いでぇ」
「そもそも! こんな原石あるのか!?」
「兄ちゃん、そういうことは言うたらアカン! トレンディーに! 贅沢に! イメージしたモン勝ちや! 今回は大負けに負けて、ダイヤモンドの剣はそのまんまにしといたろ。英雄や熟練した冒険家を示す真の証やし」
「何の話だよ何の……ってそ、そうか。ツッコミも封印しなければならないのか。難しいな」
 困惑した敬輔は、ダイヤモンドの剣を手に取ると再びイメージを巡らせた。剣ができたなら、次は鎧だろう。
「超硬度の金属製の全身鎧か。ばぶりーだと黄金色だろうが、流石に俺には似合わんからな」
「ハイキタ超高度金属製金ピカ鎧、入りまーす!」
「え、金ピカはしないって……!」
 慌てて止める敬輔の声は軽やかに無視したバズリトレンディが、虚空に向けて声を掛けると同時に敬輔の全身が金色の光に包まれた。
 果たして。そこに現れたのは金ピカの鎧だった。超高度の金属製の最高ランクの聖なる鎧は黄金色に輝き、それは世界に12しか存在しない黄道十二宮を守護する……。
「わ、わー! それ以上は危険な匂いしかしないからよせ!」
 慌てて止める敬輔は、改めて自分の姿を見下ろすとがっくしと膝をついた。動きを阻害しない黄金の鎧は、見掛け倒しではないことが分かる。分かるが、あまりに金ピカキラキラな鎧は見ているだけで心にダメージが来る。
 ……この鎧のひとかけらで、どれだけの人が飢えずに生きられるのか。考えた敬輔は、腹の底からふつふつと沸き上がる怒りにゆらりと立ち上がった。
「いやー、兄ちゃんよう似合うてるでホンマ! 鏡で見てみい写真撮ったろ……」
「ところでこの武器、実際に使えるんだよな?」
「え? そら使えるけど……って、兄ちゃん目! 目が据わっとる! こっわ! って、そないな物騒な剣を振りかざさんとって! 贅沢なモン想像したら戦闘無しでもええって……」
「問・答・無・用!」
 八つ当たり気味なユーベルコードを乗せたダイヤモンドの剣が、バズリトレンディを切り裂く。すっかり少なくなった札束の上に倒れたバズリトレンディの姿に、肩で息をした敬輔はダイヤモンドの剣を鞘に収めた。
「……うん。俺にはやっぱり慎ましく生きるのが向いている……ばた」
 再び目に入った自分の姿にメンタルダメージを食らった敬輔は、その場でダウン。トレンディー効果が切れるのを待ってからグリモアベースへ帰還するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎!

待っててくだサイ、バブリー殿! 最高級の料理をお見せしマスヨ!
バルターン、クッキーング!(キッチン展開)

本日は依頼主の糸目に付けない予算で調理しマース!
まずは一粒一粒が鶏卵のように味わい深いという超希少食材、黄金米を炊きマス。
合わせるのは猟兵でも狩るのが難しいAAAランク野生鶏、キングビッグチキンのもも肉! 丹念に下ごしらえをしたのがこちらデス。
隕石が落ちてきた衝撃で作り出された塩、メテオライト・ソルトをかけて完成デース!
付け合わせはキャビア・ウニ・黒トリュフのペーストソース。味変にお付けくだサーイ!

このお値段ビックリ親子丼を!
10秒で107個作りマス。
ご賞味あれ!


馬飼家・ヤング
なんか新しいんか懐かしいんかよく分からん親分やのう
まあええわ。こんな可愛い娘相手にしたらわいも絶賛フィーバーするし!
しかもなんかナニワソウル的に気が合いそうやし!

ほな早速「回らないお寿司」や
今でこそ回る寿司屋のおかげで庶民のプチ贅沢になった感あるけど
昔はお寿司ゆーたら時価ウン千円とか当たり前な時代もあったんやで!

大トロにウニにイクラに鯛、伊勢海老に蟹も贅沢に使うてな!
それも安物のフェイクや養殖ものはあかん
ホンマモンのとれとれピチピチ天然物を頼むで!
この口の中でとろける食感!
ああ~、やっぱええわぁ~

魚肉かて肉は肉!
何なら馬刺しや黒毛和牛の炙りもネタにしてええんやで!
高級寿司でパワーアップや!



● 回らないお寿司と黄金親子丼
 猟兵のトレンディーな連続攻撃に大ダメージを受けたバズリトレンディは、よろりと立ち上がると栄養ドリンクをぐいっとやり、その場に膝をついた。
「ワイちゃん、なんやさっきから吹っ飛ばされたりしてばっかやな。さすがにお腹すいてきたでホンマ」
「オウ、それはいけマセーン! 腹ペコを放置したとなっては、メイドの名折れデース!」
 メイドエプロンを翻し現れたバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は、胸を張るとふふん♪ と笑みを浮かべた。
「なんや、家政婦さんかいな」
「なんか新しいんか懐かしいんかよく分からん親分やのう」
 顔を上げたバズリトレンディの前に立った馬飼家・ヤング(テレビウムのちっさいおっちゃん・f12992)は、懐かしいものが色々混ざったバズリトレンディの姿に笑みの画面を映し出した。
「まあええわ。こんな可愛い娘相手にしたらわいも絶賛フィーバーするし! しかもなんかナニワソウル的に気が合いそうやし!」
「せやな! 通天閣の前で一晩中語り明かせそうな感じやな! せやけどお腹すいたでホンマかなんわあ」
「待っててくだサイ、バブリー殿! 最高級の料理をお見せしマスヨ! バルターン、クッキーング!」
 しゃきーん! とポーズを取ったバルタンは、格納型メイド用キッチン和風バージョンを展開すると寿司屋のカウンター風の席を用意した。超高級寿司店の風格を出したバズリトレンディは、料理人の顔でカウンターに立つとふふん♪ と笑みを浮かべた。
「本日は依頼主の糸目に付けない予算で調理しマース!」
「ホンマ? ごっつ旨いの食わせたってや!」
「バルタンちゃんバルタンちゃん! ワイも回らない寿司頼むで! お代はバズリトレンディにつけたってや!」
「ワイちゃんもお寿司! それだけやのうて、こうさっぱりガッときて腹にドーン! ってくるのを頼んだで!」
「お寿司とガっときてドーン! デスネ。お安い御用デース!」
 ちゃっかりカウンター席に座ったヤングも、バルタンクッキングにリクエストする。二人のワクテカ超期待な眼差しに、満更でもない笑みを浮かべたバルタンは早速調理に取り掛かった。
「まずは一粒一粒が鶏卵のように味わい深いという超希少食材、黄金米を炊きマス」
 かまどの窯に入っているのは、金色に輝く黄金米。その「お米は一粒300万円」とでも言いたげな米を惜しげもなくかまど炊きしたバルタンは、続けて肉の支度に取り掛かった。
「合わせるのは猟兵でも狩るのが難しいAAAランク野生鶏、キングビッグチキンのもも肉! 丹念に下ごしらえをしたのがこちらデス」
「おお! ピカピカ輝いとるやん! これでワイちゃんに何食べさせてくれるん?」
「それは秘密デス。鶏肉だけじゃありマセンよ。もちろんお寿司のお魚もスタンバイOKデース!」
「やった寿司! 魚沼産のコシヒカリで握ったってや!」
 お魚の登場にテンションを上げたヤングは、ワクワクしながらカウンターを叩いた。
「お客さん、何握りマショウ?」
「大トロにウニにイクラに鯛、伊勢海老に蟹も贅沢に使うてな! それも安物のフェイクや養殖ものはあかん。ホンマモンのとれとれピチピチ天然物を頼むで!」
「ワイちゃんも同じのを5貫ずつ握ったって!」
「任せてくだサイ! 最高級天然モノをご用意デース!」
 いつの間にかねじりはちまき姿になったバルタンは、サササッと握り寿司をヤングとバズリトレンディの前に出した。嬉しそうに早速手を伸ばしたヤングは、大トロを一貫手に取ると思い切り頬張った。
 口の中に広がる甘いトロは、その名の通り口の中でほどけてとろけるように消えてなくなる。寿司酢の程よい甘酸っぱさと醤油の旨味をわさびがきゅっと引き締めて、後味よくまとめあげてくれている。
「この口の中でとろける食感! ああ~、やっぱええわぁ~」
「ホンマにこの寿司は旨いなぁ。ワイちゃん元気でるで」
「今でこそ回る寿司屋のおかげで庶民のプチ贅沢になった感あるけど、昔はお寿司ゆーたら時価ウン千円とか当たり前な時代もあったんやで!」
「あったなぁ。懐かしのバブリー時代や」
 うんうん頷くバズリトレンディと一緒に頷けば、ウニにイクラに次々手が伸びて。あっという間に空になった寿司下駄に、ヤングは早速おかわりを注文した。
「海鮮旨かったでごっそさん! せやけど何なら馬刺しや黒毛和牛の炙りもネタにしてええんやで!」
「肉も受け入れるのはさすが寿司デスネ!」
 第二陣とばかりに続々出てくる肉寿司の数々。寿司は和食だけれども、肉にはレモンやオリーブオイルがよく似合う。
 鼻を抜ける旨いの香りを存分に堪能したヤングとバズリトレンディは、同時にあがりを飲むと満足の息を吐いた。
「旨かったでごっそさん!」
「ワイちゃんもだいぶ満足や!」
「おおっと、満足するのはまだ早いデース! ワタシの料理がまだデスヨ!」
 立ち上がろうとするバズリトレンディの肩をガシッと掴んだバルタンは、有無を言わせぬ勢いでバズリトレンディを座らせると料理の仕上げに取り掛かった。
「炊きあがった黄金米を丼によそいよそい。下ごしらえした鶏肉に隕石が落ちてきた衝撃で作り出された塩、メテオライト・ソルトをかけて完成デース!」
「おお! 見た目は焼き鳥丼やな」
 座り直したバズリトレンディは、丼を受け取ると一口頬張った。同じく丼に箸をつけたヤングは、口の中に広がる卵の風味と鶏肉の芳醇な旨味に画面を旨い! に切り替えた。「これ、ホンマ旨いな! 塩だけっちゅー味付けやけど、それで十分なくらい鶏と黄金飯がええ味出しとる! ホロホロに柔らかいけど食感もちゃんとあって、満足感半端ないで!」
「お褒めに預かり光栄デース! 付け合わせはキャビア・ウニ・黒トリュフのペーストソース。味変にお付けくだサーイ!」
「味変キタコレ! こんなんいくらでも食べれてまうやん。ワイちゃんもホンマ満足や!」
 同時に平らげた二人は、二杯目のあがりを同時に飲むと美味しいの息を吐き出した。
「さ、今度こそごっそさん! ワイちゃん満足……」
「まだまだデース!」
 ガシッとバズリトレンディの肩を掴んだバルタンは、二杯目の黄金親子丼をバズリトレンディの前に置いた。質も量もさっきと寸分変わらぬ一人前。その様子に、バズリトレンディは冷や汗をかいた。
「いや、寿司思いきし堪能した後に親子丼2杯はさすがに……」
「2杯? ノンノン! 107杯デース!」
「107杯!?」
 顔を青くしたバズリトレンディは、目の前にずらりと並んだ黄金親子丼の川の流れに絶望的な顔で天を仰いだ。
「さすがにこれは食べ切れへんで! ヤングはん、一緒に……」
 縋るようなバズリトレンディの視線に、立ち上がったヤングは再び席へとついた。本当ならば全部食べさせた方がダメージは大きいだろう。だが、ナニワの友情は敵味方を超えるのだ。
「よっしゃ! ワイもフードファイターの端くれや! はちきれるまで食べたろやないか!」
「それでこそデース! じゃんじゃんいきマスヨー!」
 ウキウキ顔のバルタンが、二人の前に次々に丼を出す。
 何とか食べきった二人は、ぱんぱんになったお腹を抱えると仲良くひっくり返るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レパイア・グラスボトル
彼の世界の住人に紙幣の価値を理解できるであろうか
とはいえ貰える物は貰う

高額な医療機械とかいっそのこと病院を買ってもらう
白衣も新品
院長の大名行列回診だってやる
患者も付属
勿論治す
高額治療や公開オペだってやる

家族も医者っぽく小綺麗に
崩壊前は医者だったヤツもいるかもしれない

レパイアも家族も
患者が多ければ多いほど栄養ドリンクを喜んで飲む
泡の様な一夜だったとしても己の技量を十全以上に振るえるのは楽しいのだから

お約束の派閥を争う医者とかも付いてくる
残念であるがこの病院は暴力が支配しているのだ

よし、患者が増えた
可愛がってやれ
患者がいるのに下らん事するヤツは患者をやってろ

所詮は物の価値を理解せぬ荒野の獣である



● グラスボトル総合病院
 山のような食事を食べ尽くし、お腹がはちきれんばかりになったバズリトレンディは、歩み寄るレパイア・グラスボトル(勝利期限切れアリス・f25718)の姿に高額紙幣のベッドの上に体を起こした。
「おお……。その白衣、お医者さんかいな。堪忍やけど、胃薬くれへんか? ワイちゃん、ちょお食べすぎてもうて……」
「ほう、幸せな病人だな。ワタシの世界じゃもはや悪の領域だぞそれは」
 歩み寄ったレパイアは、故郷であるアポカリプスヘルの惨状を思い出すとシニカルな笑みを浮かべた。かの世界の住人であるレパイアに、紙幣の価値を理解できるであろうか。
 理解できてもできなくても、ここではほとんどのものが手に入る。それだけ理解できていれば十分で、貰える物は貰う心意気に変わりは無かった。
「まあいいや。高額な医療機械とかいっそのこと病院を買ってもらおう」
「おお病院かいな。そら高いわぁ」
「白衣も新品。医者も看護師も技師も一流どころをふんだんに揃えとけ」
 レパイアが言うのが早いか。最新設備を取り揃えた白い巨塔がどーん! と建つと、有象無象の人々が忙しく出入りを始めた。
『グラスボトル総合病院』と書かれた看板の前を通り、満足げな笑みを浮かべたレパイアは新品の白衣に袖を通すと病棟の中へと立ち入った。
 レパイアを先頭に病棟内を歩けば、道行く医師や看護師がうやうやしく頭を下げる。「院長先生の回診です!」の声が掛かり、お付きの医師看護師がサッと患者の許へと通す。
 不治の病に冒された子供を診察し、一回500万円はする高額治療を施せばたちどころに治り、病室内を元気に走り回る。その姿に気を良くしたレパイアは、家族を召喚すると医者っぽく小綺麗な格好をさせた。
「ヒャッハー! みんな、公開オペの時間だよ!」
「「「「ヒャッハー!」」」」
 腕を振り上げたヒャッハー医師軍団が、我先にとオペ室へとなだれ込む。オペ室の前に立ったレパイアは、同時にドアノブに手を伸ばした顔見知りのレイダーの姿にヒクリと頬を歪めた。
「ワタシの前にまた姿を現すとは、いい度胸してるねえ」
「つれないなレパイア。せっかく派閥争いしに来てやったのに」
 肩を竦めたレイダーに飛び蹴りを食らわせてやると、派手に痛がっては楽しそうに転がる。その飄々とした笑顔がまた癪に障ったレパイアは、後ろに控えるレイダーに視線を投げた。
「よし、患者が増えた。可愛がってやれ」
「いやお前が加害者だろうレパイア!」
 派閥争いのレイダーに氷点下の視線を投げたレパイアは、骨折した足を鼻で笑うと肩を竦めて言い放った。
「残念であるがこの病院は暴力が支配しているのだ。患者がいるのに下らん事するヤツは患者をやってろ」
「ヒャッハー! さあ、お注射の時間ですよー☆」
「い、いやちょっと待てなんだそのゴン太な注射器は!」
 引きずられながら隣の手術室に消えるレイダーを見送ったレパイアは、残ったレイダー達に両手を広げた。
「さあ、公開オペの時間だよ! 泡の様な一夜だったとしても、ここで見聞きした技術はアンタ達のものだからね! 無駄にしたら承知しないよ!」
「ヒャッハー! 治療して治療して治療しまくるぜー!」
 叫び声を上げたレイダーもレパイアも、栄養ドリンクを喜んで飲むと患者の治療に没頭する。アポカリプスヘルではケチケチしながら使っている消毒薬は使い放題だし、絶対手に入らない、文献にしか出てこない薬だって思う存分に使えるのだ。
 今までやりたくてもできなかったことができる。己の技量を十全以上に振るえる。
 これが楽しくなくて、何が楽しいというのか。
 公開オペ室へ入ったレパイアは、治療を終えると次の患者の許へと駆けてゆく。
 夢のような治療の様子を、貰った胃散を飲んだバズリトレンディは静かに見守るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

蛇塚・レモン
お金使いたいホーダイ!?
やったーっ!
親分さん、ありがとう~っ!
とりあえず、あたい、イージス艦3隻がほしいなぁ~っ!
あと戦闘ヘリのアパッチ、一個師団分っ!
勿論、全部金ピカで!

あ、踊っちゃう?
あたい、90年代クラブミュージック大好きっ!
ユーロビートでもテクノでも何でも来~いっ!
ジャングルもいいよねっ!
蛇神様もライムも、一緒に踊ろ~っ?
(踊りながらUCを発射)
(1040本の霊光線がミラーボールに乱反射)
(親分は全身を貫かれてダメージ&不幸体質になっちゃうぞ!)

でも、もっと重低音が欲しくない?
そうだっ!
イージス艦の砲撃とアパッチの機関砲の弾幕音で低音追加っ!
親分さんを爆撃して、勝利の決めポーズだよっ!



● イージス艦とヘリ一個師団
 よろりと立ち上がったバズリトレンディに駆け寄った蛇塚・レモン(白き蛇神憑きの金色巫女・f05152)は、目をキラキラさせると上目遣いに見上げてはしゃいだ声を上げた。
「お金使いたいホーダイ!? 本当に?」
「ホンマもホンマや! 金で買えるモンはなーんでも買うたろ!」
「やったーっ! 親分さん、ありがとう~っ!」
 嬉しそうにぴょんとジャンプしたレモンは、バズリトレンディの手を取ると一緒に踊りだした。ノリノリのステップにノリノリになったバズリトレンディと一緒にダンスダンスダンス!
 ノリノリなレモンに、バズリトレンディは嬉しそうにステップを踏んだ。
「ワイちゃんのヒップホップについてこれるやなんて、ええダンステクや!」
「あたい、90年代クラブミュージック大好きっ! ユーロビートでもテクノでも何でも来~いっ! ジャングルもいいよねっ!」
「よっしゃよっしゃ! 踊ったろ! ノンストップメガミックスや!」
 調子に乗ったバズリトレンディが、ギラッギラなミラーボールの下で踊り狂う。ノリノリな音楽にワクワクが止まらないレモンは、ユーベルコードを詠唱すると蛇神様と妹のライムを呼び出した。
「二人とも、一緒に踊ろ~っ?」
「もう、しょうがないわね!」
 現れたライムは、口では文句を言いながらもアップテンポのナンバーに臆することなくついてくる。現れた白蛇の白蛇様も、器用に音楽に合わせて踊っている。ノリノリに踊るレモン達の姿に対抗心を掻き立てられたのか。バズリトレンディはアップテンポの音楽に合わせて更にステップを加速した。
「見たってや! これがワイちゃんの超スーパーウルトラノリノリノンストップステップや!」
「ヒュウ! やるわね! 負けてられないわ!」
 華麗なステップを踏むバズリトレンディに、レモンも負けずにノリノリに踊る。曲が始まって1時間。ひたすら踊り明かした三人と一匹は、ミラーボールの真下で肩で息をしながら大の字になった。
「やるやないけ!」
「あなたもね!」
 大の字になったまま視線を交わして拳を合わせるライムとバズリトレンディに、起き上がったレモンは指を組むとおねだりモードに入った。
「ねえバズリトレンディ。とりあえず、あたい、イージス艦3隻がほしいなぁ~っ!」
「ええでええで! 何でも……って、えげつないお願いやなあ!」
「あと戦闘ヘリのアパッチ、一個師団分っ! 勿論、全部金ピカで!」
 レモンがお願いした直後、バズリ御殿の天井が取り払われた。青空の下、爆音を上げながらホバリングしているのは戦闘ヘリのアパッチ一個師団。金ピカ塗装されたヘリが降下する中、遥か沖合から悠然とやってくる地平線の如き巨大な船が、バズリトレンディに向けて戦闘態勢を整えている。
「かわいい顔してなんてモンおねだりするんや! ワイちゃんビックリや! もっとこうかわいくて高価なモンがいくらでも……」
「んー、いい音」
「でも、もっと重低音が欲しくない?」
「って聞いて! ワイちゃんの話も聞いたって!」
 バズリトレンディのツッコミを軽やかに無視したレモンが、ヘリとイージス艦が立てる音に目を閉じる。同じく爆音鑑賞していたライムが、首を傾げるとレモンに提案した。
「そうだっ! イージス艦の砲撃とアパッチの機関砲の弾幕音で低音追加っ! それじゃ一斉に……攻撃、開始!」
「えげつないわぁ~~~!」
 バズリトレンディの声に向けて、1040本の霊光線がミラーボールに放たれる。乱反射した霊光線は、不幸体質になったバズリトレンディに一本残らず突き刺さると、バズリトレンディー御殿ごと叩き壊した。
 瓦礫と化したバズリトレンディー御殿を前にしたレモンは、ライムと蛇神様と目を見交わすと頷きあった。
「それじゃ、いくよ。せぇの……」
「「「勝利のポーズ、決めっ!」」」
 瓦礫と化したバズリトレンディー御殿の前で勝利のポーズを決めた三人の姿は、バッチリ写真に残され青春の1ページに収まるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月27日


タグの編集

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 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#カクリヨファンタズム
🔒
#大祓百鬼夜行


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト