大祓百鬼夜行②〜限界なんてぶっ飛ばせ!!
●無限の可能性
目が覚めたら、今がいつで、ここがどこかもわからない。
「成長」してみたらまあこれが、世界を二つ賭けた一大事ってわけだ。
骸魂と合体してる俺自身も一大事? これから猟兵とやり合って殺されるかもって?
――上っっっ等だぜ
!!!!!!
●本気の本能
カクリヨファンタズム最深層に封じられていた最弱の竜神親分『碎輝(さいき)』。
雷を身に纏い、槍を装備した熱血少年の姿からは、確かに『かつて地球の邪神を滅ぼした』とされる竜神の長である威厳は感じにくいだろう。
だが、この碎輝こそは大祓骸魂(おおはらえむくろだま)を「そういうもの」と名付け、無限に成長する祝祭で縛った張本人なのである。
「それでな、お前達は俺と戦って勝たないといけないんだが。俺は戦ってる最中も成長を続けるし、中途半端な攻撃じゃ逆に返り討ちにしちまうんだよ。
お前達に大祓骸魂に打ち勝ってほしいのは確かだが、こればっかりは本気でやらなきゃ意味ないからな。俺も加減できないし。
……と言うか、だな」
それまでは比較的わかりやすく、親しげに話していた碎輝。
しかしここに来て、何かを堪えるように拳をを震わせる。
「猟兵? 生命の埒外の存在だって? そんなすごい奴ら――本気で戦ってみたいんだよ、俺が!!」
彼が本心を暴露するのに呼応するように、巨大な雷の場が生じて超電竜の咆哮が地響きを起こす。辺りを奔る稲妻に見えるものは、恐らくは彼が抱え込んでいた「虞(おそれ)」だろう。
「さあ来い! 俺も出し惜しみなしだ!! お前達の本気の力、魂の底まで見せ付けてみろ!!!」
旭吉
旭吉(あさきち)です。
碎輝は出さないといけないと思って(定型文)
竜神親分『碎輝』戦をお送りします。
●状況
カクリヨファンタズム最深層、最弱封印の祠近辺。
碎輝が身に纏う膨大な「虞(おそれ)」により、彼は一撃必殺の「超電竜撃滅形態」となって猟兵に勝負を挑みます。
この「虞(おそれ)」の影響で、猟兵も真の姿で挑むことが可能です。
竜神親分は派手に戦いたいって聞こえた気がする(幻聴)ので、旭吉にしてはかなり熱血寄りな台詞応酬とか演出とかになると思います。目指します。
(※いつも通りになったらすみません)
あんまり派手な怪我はしたくないとか、装備に万が一にも傷を付けたくないとか、そういう方には参加をお勧めできないかもしれません(判定次第では軽傷・無傷で済む場合もあります)
ご参加の前に、ご一考くださいませ。
どなたかとご一緒に参加される場合、お相手のIDか【】で括ったチーム名をお願いします。特殊な呼び名などあれば書いて頂けると助かります。
●プレイング受付
OP公開→断章追加後から受け付けます(本日中には追加します)
今回はできるだけスピード重視でいきたいと思います。プレイングが来たらなるはやで書き始めます。
結局全採用になる可能性もありますが、キャパ的事情により問題が無いプレイングでも流してしまうことがあります。
ご了承くださいませ。
●プレイングボーナス
真の姿を晒して戦う(🔴は不要)と、親分がうおおおお!!!となってくれると思います。
第1章 ボス戦
『竜神親分『碎輝』超電竜撃滅形態』
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POW : 撃滅放電槍
【紫電を帯びた槍】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : サンダーエンブレム
【加速度的に数を増す紫電の放射】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : 滅びの光
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する【雷】属性の【瞬時に成長し、自ら増殖するドラゴンブレス】を、レベル×5mの直線上に放つ。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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●未来だけを見て
昨日より今日! 今日より明日!
俺は、どこまでも強くなる……!
未来だけを見据える彼の姿勢は、本当に骸魂の影響を受けているのかはわからない。
ただ、彼を倒さねば大祓骸魂への道が開けないのは確かだ。
魂の底まで見せ付けろと言うなら、魂の底──真の姿を解放して、その全力を示すのみ。
薄荷・千夜子
本気には本気でお相手しましょう
全力です!!
真の姿解放、炎の神鳥の加護を受けた姿(真の姿イラスト参照)
本気の炎舞お見せしましょう
『燎花炎刀』の破魔刀と鉄扇それぞれに炎【属性攻撃】と【破魔】【浄化】の力を纏わせる
鉄扇へは【結界術】【オーラ防御】での防御力を高めて踊るように雷を打ち祓い【武器受け】ながら碎輝へ接近
怪我は恐れず【激痛耐性】全力の一撃を打ち込むまで足は止めない
私たちはここで止まるわけには行かないのです
護るべきもののため、先へ行かせて頂きます!!
破魔刀に今の己の全力を
風の力を勢いに変え、一気に詰め寄り刀に【全力魔法】で炎の力を強化
私の全力の炎お受け下さいませ!!
●神鳥と竜神
暴れ狂う稲妻に気圧されぬよう、呼吸を静める。
「本気には、本気でお相手しましょう」
呼び起こすは焔。象るは神鳥。
場を覆う虞を燃やすのは、優しくも猛る鬼灯の焔。
炎の神鳥の加護を宿した薄荷・千夜子(f17474)の真の姿が、そこに顕れる!
「……全力です!!」
「望むところだああっ!!!」
神鳥の巫女と雷電の竜神が吼える。
碎輝が紫電の紋章で周囲を埋め尽くしながら千夜子へと跳ぶのを、千夜子は『燎花炎刀』の扇を広げて迎え撃つ。破魔と浄化の力は虞をいくらか弱め、守りの力として宿した結界は碎輝の雷を撥ね除けた。
「いいじゃないか!! 奴に挑むならそれくらいはやって貰わないとな、猟兵!!!」
「まだまだ……本気の炎舞はここからです!」
紋章から降り注ぐ無数の雷を炎を宿した扇で払い除け、時に迫るその姿は、まさに艶やかな舞姿。
雷電が徐々に速度をあげて襲い来ようとも、炎は烈しさを増してなお燃えて輝く!
扇が、槍と雷を相手に渡り合って幾合か。速度も重量も更に増してきたそれらに、千夜子の爪先が、脚が射抜かれる。
「どうした、もうバテてきたか? 俺は手加減できない。お前を殺すことになってもな」
一瞬呼吸を整える間に装束を雷電が掠り、絡まる藤が焼け落ちる。
対して碎輝は、疲労の様子がない。『成長を続けている』のだから、『増える』ことはあっても『減らない』のだ。
だから――『一度』で『零』にするしかない。
「ここで止まるわけには……いかないのです
……!!」
生半可な攻撃では返り討ちにしてしまうと、彼は自分で言っていた。あれは事実なのだ。
だが、大祓骸魂に打ち勝って欲しいとも言っていた。それも本心なのだろう。
「護るべきもののため、先へ行かせて頂きます!!」
奉ずるは花炎の舞。傷の痛みは焔で焦がし、『燎花炎刀』に仕込まれた破魔刀へ残された全ての力を込める。
竜神の祠に吹き溜まる風を旋風に変えて、神鳥の炎は今至高の高みへと至った!
「私の魂――私の全力の炎。お受けくださいませ!!」
焔と化した魂そのものを扇に乗せ、破魔の刃を一閃。雷電の竜神と交差する。
「ぐっ……! は、は……やっぱ、すごいな、猟兵……!」
槍を支えに膝を付いた碎輝。
その肩には、千夜子の魂が灼き付けられていた。
成功
🔵🔵🔴
月夜・玲
どこまでも強くなる!
上限が無いって良いねえ…
じゃあガツン!と最強越えさせて貰おうじゃないか!
●
真の姿、解放
外装パーツ圧縮空間より転送開始
模造神器、リミッター解除
さあ神器四刀流こそ私の最得手
これで君を焼き尽くす!
4剣を携えて近接戦闘を仕掛ける!
4剣を駆使して槍の柄を叩いて直撃は避ける
狙うタイミングは一瞬、その時までは『武器受け』して切り払い耐える
狙うは渾身の突き…それを『オーラ防御』のシールドと私の持つ剣2つでガードして致命傷だけは避けて…受ける
これだけの威力…がなんぼのもんじゃい!
流した血だけ私の威力も上がる!
【断章・焔ノ杖】起動
蒼炎を纏わせた外装アームの剣で2剣『2回攻撃』を喰らわせてやる!
●疑似邪神と竜神
稲妻が乱れ飛ぶ。風が吹き荒れて轟と唸ると、場の中央へと雷を落とした。
「さあ、次はどいつだ!? 俺はまだまだ強くなるぜ……どこまでもな!!」
「上限が無いって良いねえ……」
落ちた雷光を纏い、一瞬で成長し復活した碎輝を羨む眼差しは月夜・玲(f01605)。彼女の主戦場のひとつであるメカというものは、得てして性能という上限が付きまとう。限定的ながらそれらを人力で向上させる努力もまた楽しみではあるが――それはそれとして、眼前のこの竜神は模造神器の使い手としても挑み甲斐がある。
「じゃあガツン! と最強越えさせて貰おうじゃないか!」
虚空より生じたるは、玲が圧縮空間から転送し実体化させた外装パーツ。キャバリアじみたメカの外装アームに握られる四剣こそは、彼女の模造神器だ。
「リミッター解除……この神器四刀流こそ私の最得手。これで君を焼き尽くす!」
パーツの重量を感じさせない速さで先に仕掛けたのは玲!
槍の長い間合いでまともに戦わせてはならない。玲が狙う『ある状況』に、あの竜神を誘い出さねばならない。
恐らくあの性格なら誘いには乗るだろう、それに自分が耐えられるか――否、耐えるのだ!!
「模造神器って言ったか。良い物だな、名前が良い! 威勢も良い!!」
楽しそうに玲の武装を褒めながら放たれる紫電の一撃は、褒め言葉に反応する余裕を与えない。槍の柄を払い落として直撃を避けても、外れた雷撃の余波だけで焼けそうな感覚がある。
(時間をかければ、かけただけ強くなる……狙うなら速やかに、でも見誤らないように……ッ!)
「お前の本気はそんなもんじゃないだろ! 次で来ないなら――死ぬぜ」
槍に集まる紫電が一層強まり、意志持つ生物――世界を呑み込む雷竜の如く成長していく。
「あれを越える……?」
対策はある。これまでの経験もある。不可能ではないという確信もある。
ただ、これを凌駕する程の『代償』、となると。
「……行っても死ぬかもしれない、行かなければ確実に死ぬ、か。じゃあ――行くしかないよね!!」
「これで終わりだ! 撃滅放電槍――!!!」
雷光が眩く輝く黄金の槍が鋭く繰り出される。玲はこの時を待っていたのだ!
「はああああああああぁっ!!!」
発したオーラと、四剣のうち直接持つ二剣を交差させて体勢を整え攻撃に備える。
衝突。
オーラの一部が刺すように抉られ、内で構える二剣と槍が激しく火花を散らした。
二剣から伝わる衝撃だけでも凄まじい。肩まで痺れて感覚が薄い。逆に痛みを感じなくていいかもしれない。
紫電の余波は地面を抉り、外装の脚で踏みしめている部分がめり込んでいく。体勢が崩れそうになる。
「俺の撃滅放電槍を直接受けて、よくもってるじゃないか。だが、俺は更に成長するぜ――!」
言葉通り、剣で受けた槍が重くなる。守りのオーラすら喰らうように成長する紫電が、玲のシャツに、頬に、赤い色を作って広げていく。
これ以上はもたないだろう。
もたせる必要も――無い!
「これだけの威力……が……なんぼのもんじゃい!!」
染みでしか無かった赤が、量を増して流れる。迸る血潮が外装パーツの腕に握られた二剣へ流れると、激しく猛る蒼炎を纏う剣へと変じた。
「流した血だけ私の威力も上がる……偽書・焔神起動! 断章・焔ノ杖閲覧! システム起動――」
碎輝の紫電ではないプラズマが奔る。成長電流への耐久に対する出力に加え、リミッターを解除した偽書へのアクセスはあまりにも過負荷だ。血液を代償にする玲の体力消耗も激しい。
だが今、この心だけは――どうしようもなく燃え滾っているのだから!!
「断章・焔ノ杖(フラグメント・レーヴァテイン)――ッ!!」
彼女の精髄が一。焔の疑似邪神の力の一部。
振りかぶった外装の二剣を一撃、二撃と振り下ろすと、浄化の蒼炎が槍の穂先を取られている碎輝へと襲いかかった。
「うおっ!? ぐ、あああぁっ!!」
炎に包まれながら弾き飛ばされた碎輝は、槍を手放して地に落ちた。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。
第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:黒燭炎、四天流星
真の姿ver.2『紅炎狼』(生前の姿。狼な真の姿参照)
はっはっはっ!つまりは似た者同士だのう!ああ愉快!
というか、武器の性質上、間合い同じだのう。
油断はせぬよ。全力で参る。
先制攻撃。四天流星を投擲して視認させ、錯誤呪詛を発動。
さらには絶縁結界術を内部三人が張っておる。
そして…第六感と見切りを活用して、一撃を避ける!
性質が一緒のUCであるからな!
相手が振りきる前に、一撃目に炎属性攻撃つきで下から上へのかち上げ。
そして、二撃目に石突きの方を活用したUCつきの突きである。
殺すつもりなぞないがな!
●狗貌と竜神
猟兵に打ち負かされ、派手に燃えて悶絶していた雷竜の竜神。
やがて膝を付き、力尽きる――かと思えば。巨大な超電竜の咆哮が響き渡り、紫電が渦を巻くとその底へ碎輝が復活した。
「さて、仕切り直しといくか。楽しくなってきたぜ!!」
「はっはっはっ! 強者と本気で戦いたいか、つまりは似た者同士だのう!」
応えたるは馬県・義透(f28057)。正確には、『そのような顔を持つひとつ』に集まった悪霊の一、赤備えの甲冑に赤毛の狼の顔をした武者『侵す者』である。
「ああ愉快、愉快! というか、武器の性質上、間合いも同じだのう」
「何だ、お前も槍使いか! そいつは確かに比べ甲斐がありそうだ!」
はっはっはっは、と響く笑い声ふたつ。
これから命を賭けた殺し合いをするとは思えないほどの、共感を抱いた強者同士が持つ妙な空気がそこにあった。
「――油断はせぬよ。全力で参る」
ひとしきり笑って、『侵す者』は声を低くする。
「おう! 手抜いたら即殺すぜ」
戦意を受け取った碎輝は、槍の構えと共に殺意で返す。
不敵に告げられる言葉は誇張ではない。彼は強敵相手に一切の加減をしない。できない。その上で、猟兵に打ち勝って欲しいとも本心から願っている。
互いに槍の間合いの外から窺うこと一歩。二歩。
歩を進める間にも碎輝の槍には紫電の稲妻が集い、爆ぜる時を待っている。
三歩、踏み出した片足を軸に体を捻ったのは『侵す者』。ただし繰り出したのは黒槍『黒燭炎』ではなく鏢の『四天流星』である!
物の大きさも、攻め方も違う――しかし、その程度見切れぬ竜神ではない!
「これじゃないんだろ、本命はよ!」
軽々と弾き落とされ地に落ちる『四天流星』。迫り来る黄金の槍。
「見せてみろよ! お前の全力って奴を!!」
烈しさを増す紫電は一層膨れあがり、ついに立ちはだかる者を破壊せんと振るわれた。
――その程度、見通せぬ武人ではない!
「かかったな、竜神碎輝!」
それは幾重にも巡らされた『侵す者』と、彼に力を貸す三体の悪霊達による罠。
初めに投げた『四天流星』は、認識したものに錯誤の呪詛をもたらす。
呪詛に嵌まった碎輝は、本来『侵す者』がいる場所とはずれた場所を狙うことになる。
そして、『侵す者』が動き出すのは碎輝の初撃の後ではない。その槍が振り下ろされる『最中』、『槍』であるなら行動を変えられないその瞬間だ。
「な、――!」
予想外の方向からの攻撃に驚くしかできないその身へ、初撃の不意打ちには炎を宿した『黒燭炎』の一撃を。下から上へ力の限りかち上げた衝撃から立ち直る前に、すかさず二撃目を叩き込む!
『黒燭炎』の穂先ではなく、石突きによる破壊のユーベルコード。奇しくもその性質は碎輝の撃滅放電槍とほぼ同じものであり、不意打ちにより体勢を崩していた彼には致命傷に近いダメージを与える事となった。
勝負は、静から動へ移ったほんの一瞬で決した。
その一瞬を見出すまでの戦いこそが、彼らにとって勝負の全てだったのだ。
「が、――ッ! ……い、痛(つ
)……!!」
「殺すつもりはなかったからな。酷く痛むだろうが、許せよ」
地に倒れ伏し、突かれた脇腹を押さえて悶絶する碎輝。穂先であれば肺を貫いていたであろう。
「ハ、……殺す、気もない……奴に……っ、負けたのか……俺は」
笑おうとすると痛むのか、言葉が途切れ途切れになる。
「手は抜いておらぬぞ。武人として、これで終わりにしたくなかった。それだけのことよ」
「は、は……っ 今度は、吠え面……かかせてやる。その為にも、行けよ」
未だ痛みに呻きながらも、強気な物言いが減らない碎輝に背を押され。
『侵す者』は最弱封印の祠を後にした。
成功
🔵🔵🔴
御剣・刀也
真の姿、いしはま絵師のJC参照
ははは。本気でやりあいたい?
大いに結構。なら、俺の一撃、受け止められるなら受け止めて見せろ!
撃滅放電槍は第六感、見切り、残像で避けながら、槍の間合いで勝負されないよう、引き際にダッシュで飛び込み、勇気で被弾を恐れず、グラップルで槍の凪ぎ払いを足の裏で受け止め、踏みつけて防御に全てを使えないようにして捨て身の一撃で斬り捨てる
「限界なんてないか。限界を作るのは己の慢心と諦め。俺はまだまだ強くなる。俺が倒した連中の強さが偽物だなんて言わせないために。俺が堕ちたら、俺と闘った連中も堕ちり。真っ向勝負をした奴等を俺は忘れない。お前のこともな」
●修羅と竜神
御剣・刀也(f00225)の片眼を燃やし、刀に宿り、全身に踊る蒼炎は。彼の闘志そのものであった。
「ははは。本気でやりあいたい? 大いに結構」
強者との戦いに歓喜を見出すのは、彼もまた同じであった。
直前の一戦から復活している最中なのか、未だ稲妻の集束した光から姿を現さない碎輝の前で呟くように告げる。
「限界なんてない、か。限界を作るのは己の慢心と諦めだ」
それは、『もう充分頑張った』という安全装置。『これ以上は危険だ』という警告。『普通』なら従うべきものかもしれない。
だが、生憎こちらは『普通』ではいられない。『普通』ではない以上、刀也は『限界』をそのように定義する。
「俺はまだまだ強くなる。俺が倒した連中の強さが偽物だなんて言わせないために」
倒した相手を貶めないために。己がそれを打ち破るに足る力の持ち主であると証明するために。それが武人としての矜持――!
「――いいな、矜持を持った戦士って奴。気に入ったぜ!」
光が弾け、復活した碎輝が槍を手に跳び降りる。
「世界を救うために戦い続ける猟兵! しかも根っからの戦士と来ちゃあな!! こんな所で俺に殺されるんじゃないぜ?」
「そっちこそ。今まで何度やられてようが手は抜かない。俺の一撃、受け止められるなら受け止めてみせろ!」
どう、と地を蹴るのは同時。碎輝の放電槍に集まる紫電の輝きと、刀也の眼に宿る蒼炎の煌めきが流星の軌跡のごとく尾を引いた。
槍の間合いで勝負されては近付くこともできずに敗北するのは明らかだ。刀也の得物での仕掛け所は、碎輝が大技を出した直後。問題は、その大技を『必ず見切って』『必ず避ける』必要がある点だ。
「大技の直後は隙があるってのは、間違ってないんだが。俺は『無限に成長する』からな」
槍の動きを読みつつ、残像を残しながら紙一重での回避を続けていた刀也に碎輝の声がすれ違う。
「これでも隙を狙えるか、猟兵!」
紫電を帯びた撃滅放電槍が穿ったのは、刀也――ではなく、大地だ!
地面は大きく振動し、槍が刺さった箇所から崩落していく。空飛ぶ術を持たない刀也は体勢を崩しかけたが、直前の碎輝の挙動から予測できており転倒は避けられた。
体勢を持ち直す間に、碎輝は退いて間合いを保とうとする。次の一撃が本命だろう。
その刹那を――逃してはならない!
「!?」
退く碎輝に対して飛び込み、間合いを空けさせない。
「そっちが詰めてくるんなら!」
槍を短く持ち替えようと碎輝の手から力が抜かれたその瞬間。刀也は高々と槍を蹴り飛ばし、使用不能にしてしまった。
更に碎輝に肉迫しながら、刀也は愛刀『獅子吼』に全ての力を込めて振りかぶる。
「俺が堕ちたら、俺と闘った連中も堕ちる。真っ向勝負をした奴等を俺は忘れない。お前のこともな」
あらゆるものを『切断』する一閃。耳を劈く咆哮をあげたのは、戦いを見下ろしていた巨大な超電竜だった。
成功
🔵🔵🔴
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
もちろん倒さなければいけない相手だから慣れあうつもりはない。
それでも、せめて最期に奴の望みは叶えてやりたい。
【覚悟】を決めて、真の姿で立ち向かう。
(※真の姿は龍の角と尾を生やした龍人形態。2019年の南瓜SDみたいなイメージです)
【ダッシュ】で一気に間合いを詰め、シャーリーと連携して【料理の鉄刃】で攻撃を仕掛ける。
奴の槍の動きを【見切り】ながら【フェイント】を交えた【二回攻撃】を繰り出し奴に反撃の暇を与えない。
同時に【物を隠す】で奴の視界を俺に集める事でシャーリーが罠を仕掛ける動きから注意を逸らす。
そして罠に足を取られた瞬間を逃さず【捨て身の一撃】で【料理の鉄刃】を全力で叩き込む!
シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
(真の姿はキャラシー参照です)
何となくウィーリィくんに似てるんだよね、あの敵
だから正直やりづらいけど、それでもやるしかない
真の姿で、全力で行くよ!
片手にフォースカトラス、片手にブランダーバスを構えてウィーリィくんと連携攻撃
ウィーリィくんの攻撃の合間を縫うように【クイックドロウ】+【零距離射撃】で攻撃しながらフォースカトラスを持った方の手で【ロープワーク】+【罠使い】で足元にワイヤーを張り巡らせて簡単なスネアトラップを作る
準備が整ったらウィーリィくんにアイコンタクトで合図を送り、体勢を崩したところへウィーリィくんの攻撃と同時に【ラスト・チェーンソー】で致命的な箇所を狙って切りつける!
●パートナー達と竜神
カクリヨファンタズムという世界の最深層に封じられていた竜神の親分というから、さぞかし厳格でそれらしい、古風な相手かと思っていたら。
「何となく……ウィーリィくんに似てるんだよね、あの敵。正直やりづらいけど……」
直情的で、親しげな少年で。敵対しているのも、協力したいからで。横にいるパートナーとは似ている所が多くて、シャーリー・ネィド(f02673)には困惑する気持ちが無いではなかった。
「……それでも、やるしかないんだよね」
「倒さなければいけない先には行けないみたいだからな。慣れ合うつもりはない。
だから、これは……」
ただ倒すのではなくて。体を、命を張ってくれている彼に応えるため。
その最期の望みを叶えるために全力を尽くすのだ。
ウィーリィ・チゥシャン(f04298)に竜の角と尾が生じ、シャーリーにも宇宙海賊の外套が羽織られる。
彼らの心を映す真の姿だ。
そして、碎輝は。
「ててて……『殺されても成長できる』とは言え、流石は猟兵か……」
戦場を浮遊する巨大超電竜が、竜神の彼の回りでとぐろを巻く。ほどなくしてそれが解けると、紫電を帯びた槍を手にした碎輝が立っていた。
「……おお、今度は二人か! いいぜいいぜ、信頼できる仲間ってのも!」
二人で現れたウィーリィとシャーリーを見て、碎輝は殊更機嫌よく笑った。
「その絆の強さ、大祓骸魂(あいつ)に通用するかどうか――死ぬ気でかかってこいよ!!」
そしてその機嫌のよさのまま、彼は一足で間合いを詰めてくる。
「シャーリー! 俺に合わせて!」
「わかってるよウィーリィ!」
迎え撃つように駆け寄ったウィーリィは、槍の動きの一歩先を見切りながら戦闘用の万能包丁を繰り出す。フェイントの動きも織り交ぜた連撃での基本攻撃は、碎輝が攻撃に転じるのを許さない!
また、碎輝としてはウィーリィの攻撃を防ぎ続けるわけにもいかなかっただろう。
「ちぃっ!」
その肩へ銃弾が跳ぶ。ウィーリィの背に隠れながらブランダーバスの射撃で援護するシャーリーだ。片手で銃を操る彼女のもう片方には、光り輝くフォースカトラスが握られている。仕切り直そうとすればどちらかが更に仕掛けてくる――そう思える材料は揃っていたはずだ。
「退けないが、前にも行けないとはな」
「考え事なんて余裕だな」
「余裕が無いから考えてんだよ! ――で、見えたぜそこ!」
次にウィーリィがフェイントをかけた時、碎輝はそれに乗らなかった。次の攻撃――二人を巻き込んでの槍か――を予測したウィーリィは、シャーリーへ攻撃が及ぶことだけは避けねばと思った。
「うおおおおお!!!」
見えたと言っていた、あの一瞬の余裕。フェイントの後に攻撃をするだけでは彼が何かをしてくると思った。
だから、ウィーリィは――如何なる動作も許さぬよう、体当たりで自由を封じた。
「ウィーリィくん!!」
「シャーリー!! そっちは!!」
振り返るウィーリィが目線だけで指すのは、シャーリーの手元。
気付いたシャーリーは、声には出さず何度も頷いた。
ウィーリィが碎輝の気を引く間に、シャーリーがフォースカトラスを持っていた手で作っていたもの。それは。
「仲間に狙わせるつもりか!! なら――っとぉ!?」
碎輝の足元。ワイヤーで作られた輪の中に足が収まった瞬間、突然足首まで締まり彼を引き摺り倒した。祠の土台とワイヤーを利用した簡易のスネアトラップだ!
完全に無防備な姿勢で倒れた碎輝を、逃す手は無い。
「これが俺達の……全力! だ!!」
食材を切る手つきで振り下ろされる、ウィーリィの鉄刃(大包丁)。間を置かずにシャーリーもフォースカトラスを変形させたチェーンソーで追撃する。
畳みかける二つの刃が、その肉体を完全に『切った』。
彼が倒れていた場所はとても、赤く、赤く。
今は閉じられている彼の目も、このように赤かったような――。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
檪・朱希
○☆
WIZ
成長する親分……一気に攻めないといけないね。
真の姿を解放。
「空中浮遊」をして、狙いをつけにくくしておく。
碎輝はとても、強い『音』がする。それもどんどん、どんどん力強くなって……。これが、成長するあなたの『音』なんだね。
でも、私も負けない。
「限界突破」する「覚悟」で向かうよ。
UC発動。まずはそこかしこに攻撃の蝶を配置すると同時に、槍は防御の蝶と「オーラ防御」で防ぐ。
まだ蝶で攻撃はしない。
飛んで移動する先を学ばれたら、移動の蝶を纏って、変則的に移動しよう。
攻撃する時の『音』が要。
私に集中するその瞬間、攻撃の蝶で攻撃!
この時だけは負傷しても、構わない。
でも、私は、もっと前に進みたい……!!
クロム・ハクト
○☆
先ずは糸状の拷問具を複数囲むように放ち、巻きつけ断つ形で攻撃。
敵の攻撃は糸を絡めたり払い、威力や軌道を反らす(武器受け)。
敵の攻撃で出血あればそれを用い、そうでなければ掌を切り、
UC【紅き月の昏き夜を裂くもの】を発動、紅き帳に身を包み大狼に変身する。
敵の攻撃は先の攻撃から判断して中途半端に避けて体勢を崩してしまうようならそのまま向かい、相手に喰らいつくor爪で切り裂く。
「(自分or相手の2撃目の命中具合などを見て)
なるほど、成長し続けるというだけあるな」
「熱い戦いってやつは得意じゃないが…、周囲を気にせず全力で行くのは望むところだ!」
アドリブOK
●探すもの達と竜神
――雷の重圧が、いくらか薄れてきたような気がする。
猟兵達と碎輝が戦ったことで、『虞(おそれ)』が薄れつつあるのだろうか。
とは言え、無くなったわけではない。
こちらに協力するための戦いとは言え、気を抜けば確実に殺されるだろう。
「成長する親分……一気に攻めないといけないね」
蝶が蛹から羽化するように、二色の翅を生じさせる檪・朱希(f23468)。
クロム・ハクト(f16294)も同じ場にいて彼女の変化を見ていた、が――彼は真の姿を晒すことはしなかった。できなかったのだ。
(魂の底……ってなんだ?)
考える間に、宙の一点から烈しい稲光が眼前に落ちる。そこから現れた碎輝が二人を見回し、ふとクロムの姿に疑問を覚えた。
「んん……? 何だ、そっちの猟兵はそれが全力の姿か?」
クロムには、過去の記憶がない。この手にあるのは名前と、パンダのような絡繰り人形だけ。何がしたいとか、何になりたいとか、そういうものはわからない。わからない姿を形にすることはできない。
「……ああ。今の俺にできる全力だ」
「経験が浅いって訳じゃあ無さそうだが……よし!」
何を思ったか、彼は槍の間合いから少し離れて猟兵達に声高に告げる。
「昨日より今日! 今日より明日!!
お前達だって成長するだろ? 成長してれば、きっといいことあるぜ!」
それは竜神親分としての、彼なりの激励なのだろうか。これから殺し合いをするというのに。
「成、長……」
――するのかな。こんな、人であって人でない強化人間でも。
その激励に迷いが生まれたのは、朱希だった。
己の根幹に巣喰っていた迷いは乗り越えつつある。それがこの蝶の姿だ。
(昨日より今日。今日より明日……)
一度だけ心の内で反芻して。全てがそうとは限らない、とは思いながらも。
「……あるのかもね。そういうことも」
自分が成長した、というより。出会った皆が助けてくれて、前に進みたいと思えたから。
「ああ、あるとも! 成長しないと死んでしまう時、とかな」
激励に不穏な『音』が混ざった、と感じた瞬間。朱希は本能的に宙へ飛び立った。
その朱希を真っ直ぐ追って、碎輝の紫電の槍が迫る!
(速い!!)
――『成長しないと死んでしまう時、とかな』
今が、そうなのかもしれない――!
「おっと!?」
糸状の拷問具を咄嗟に放ち、碎輝を縛ったのはクロム。真の姿ではないクロムの、全力の妨害だ。更にこの糸は、ただ縛るだけではなく食い込んで肉を断つ。
「全力を示すのに、姿を変える必要は無い……」
クロムが縛り上げる度、竜神の黄金の衣に赤が滲む。
彼が縛られている間に、朱希はユーベルコードの蝶の群れを呼び出す。
(碎輝はとても、強い『音』がする。言葉だけじゃない……雷鳴の音。それもどんどん、どんどん力強くなって……)
朱希が聞き取った通り、碎輝はこの僅かな間に成長を果たしていた。
「猟兵の、あの異形の姿。あれはただの全力じゃない。言葉通りの『真の姿』じゃないかと、俺は感じたんだが。今日戦っただけでも滅茶苦茶強いからな、あの姿の猟兵は!」
縛られているのに楽しそうに話し、黄金の槍を――指一本触れていないはずなのに――その矛先を、地上のクロムへと向ける。
「死にかけてみれば、わかるかもしれないぜ」
「……!!」
地上へ向けて落とされるであろう槍を、『音』で感じた。朱希の青い蝶が壁となって防ごうとするが、槍が帯びた紫電だけで蝶は少しずつ減ってゆく。
宙にいる碎輝へも赤い蝶が攻撃を加え、緑の蝶で自分の位置を変えながら攻撃を逸らそうとした。
「彼が、それを受けたら……死んでしまう……!」
「最初から言ってたはずだぜ! 俺に勝てないようじゃ、大祓骸魂への道は開かれないってな!」
「でも、それで、本当に死んでしまったら! あなたは、それでいいの……?」
(本気で……心配されている……?)
こちらへ向かおうとしていた槍を必死に留めている様子を、見上げるしか無かったクロム。自分の真の姿がわからないばかりに、心配されている。
(真の姿は、ただの全力じゃない。そうなんだろうとは思う。だが、なれないものはなれない)
ただ、今の姿が本当に持てる力の全てかと言われれば――本当はもう少し『出せる』。
「熱い戦いって奴は得意じゃないが……。周囲を気にせず全力で行くのは、望むところだ!」
掌を牙で食い破り、傷から零れた赤は紅き帳となって体を覆う。
帳から出でたるは大狼――人狼であるクロムにとっては、『本来の姿』に近いと言えるだろう。
『オオオオオオッ』
人型のクロムの三倍もの大きさに変じた黒毛の大狼は、壁を軽やかに蹴って碎輝に迫る。
「おう、歯応えありそうな姿になったじゃないか!」
満足げな竜神の言葉に応えるように、黄金槍と大狼が空中で交錯する。返す刃で、朱希の残りの蝶も紫電の稲妻で弾いていく。
(なるほど、この対応……成長し続けるというだけあるな)
クロムは片方の眼を破壊され、朱希は防御用の蝶達がいなくなってしまう中。
「そ……れ、でも……!」
「それでも、私は、もっと前に進みたい
……!!」
それは、魂からの叫び。ユーベルコードを越えた心の底。
彼女の願いは、赤の蝶を完全無敵なものと成したのである――!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
水鏡・多摘
成程な。直接目にした事はなかったがこれが親分たる所以か。
無限に成長する電流と力…出がらしの様な我の身なれど越えねばならぬなら在りし日の力で上回って見せようぞ。
可能なら浮遊し空中戦を挑む。
祟り縄で牽制しつつ最大の一撃の為竜脈から力を吸い上げ我の身に蓄積。
その間龍符に式神を降霊、仙術も重ね力を吸収する補助を行う。
敵の攻撃には結界を展開して重ねてオーラで防御、碎輝の攻撃で致命傷になるものを軽減。
可能な限り力を蓄えた所で一気に距離を詰め限界まで力込めたUCの尾の一撃で真っ向から突き崩す。
※アドリブ絡み傷その他お任せ
真の姿は水龍、通常姿の龍の体、服や装飾が清浄な水に変化し雷雲を羽衣のようにして纏っている
●竜神と竜神
水鏡・多摘(f28349)にとって、そこはどちらかと言えば心地良かった。
『虞(おそれ)』がほぼ薄れた、竜脈と竜神の神気が満ちる場所。
視点を上げれば、黄金の超電竜が咆哮を上げ。
目の前では、流石に息が荒い黄金の竜神が槍に縋っている。
「……お疲れか、親分」
「……そう見えてんなら格好悪いな。やっぱ凄いぜ、猟兵」
成長しなければ生まれたての竜神よりも弱い、とは言え。彼は親分で在り続けたいのだ。
昨日より今日。今日より明日。
それだけを信じて、この最深層で眠りについたのだろうから。
「成程な。直接目にした事はなかったが、これが親分たる所以か」
その彼が、ここまで身を削って猟兵達を送り出したのだから。
同じ竜神族の猟兵である自分は、その親分に敬意を表さねば。
「出がらしの様な我の身なれど、越えねばならぬなら。在りし日の力で上回ってみせようぞ」
「はっ、猟兵やってて出がらしはないぜ! いいぜ、最後に胸貸してやろうじゃないか」
凪ぎかけていた雷鳴が再び猛る。
頭上の超電竜は威嚇するように一層激しく咆哮を響かせ、風と稲妻が碎輝の槍に集まる。
雷が勢いを取り戻すのに合わせて、多摘も本来の姿を取り戻してゆく。装束は清浄な水流へと形を変え、雷雲を羽衣として纏う――その姿、まさしく守護神水龍!
「いざ!!」
「きっちりトドメ刺すつもりで来な!! 返り討ちにされたくなきゃな!!!」
戦端が開かれるとともに、水龍の多摘は宙を飛んだ。最大の一撃のためこの地の竜脈から力を取り込むべく、少しでも長く多くこの地の空気に触れる必要がある。
途中、これまで咆哮をあげるばかりで直接の攻撃はしてこなかった超電竜と目が合った。純粋な雷の力だけで構成されたその体――あの碎輝に竜の体があるとしたら、このような形だろうか。
「こいつは俺の『息』だ! 下手するとカクリヨファンタズムに穴が開くからな、使わなくてよかったかもな!」
その超電竜――自身の『息』の背に乗って現れたのが碎輝だ。何やら恐ろしいことをさらりと笑い流していたが、それも親分の器の大きさなのか。
「未だ力が足りぬのでな。もう少し大人しくして貰おう」
纏う雷雲より繰り出された祟り縄が、碎輝を縛ろうと幾重にも襲いかかる。碎輝を乗せた超電竜は意志を持って祟り縄を躱し、時に雷の息で焼き払わんとした。
碎輝が祟り縄に手間取っている間に、多摘は持ちうる龍符に式神を降ろす。仙術を応用した吸収の術をかけ、更に力を取り込もうとこの地へ散らした。
無限成長の竜神を封じるなら、ここには相応の力が眠っているはず――それこそ、無限の。
「昨日より今日……今日より明日……」
瞬間、碎輝の神力が爆発的に膨れあがる。明らかに『成長』したのだ。
「俺は……どこまでも強くなる
……!!」
碎輝の手を離れて宙に掲げられた黄金の槍は、その穂先に宿った紫電が眩く輝く。周囲の破壊の痕は、祟り縄をこの槍で破壊したのか。
「そろそろ力は大丈夫か、竜神の猟兵」
「……無論。その力、全力で受け止めようぞ」
竜脈に張り巡らせた龍符の式神達が防御の結界を張る。更に自らの神気を以て、この黄金雷光の竜神への守りの布陣とする。
「精々死なないようにしとけ。俺はこの一撃で――お前を倒す!!」
雷雲から落ちる一条の稲光の如く、多摘へ向けて投げられる撃滅放電槍。
まずはこの地の力を吸収した結界と、槍の先端が境界で激しくぶつかる。初めは拮抗していたが、一点を集中して貫く力が更に成長するとこれが破られる。
次に多摘自身の護りの神気。勢いを得た槍は彼の胸を狙っていた。
「我は――ここでは止まれぬ!!」
槍の進路を逸らすことに全力を注ぎ込む。すると槍は胸を逸れ、多摘の腕の付け根を深く抉り骨ごと破壊した。
「とんだ出がらしだぜ!! 腕の一本で済ますとはな! まだまだいけるじゃないか」
「ぐ……ぬぅ……」
手元に戻ってきた槍を回収した碎輝は、致命傷を避けた多摘の様子に感銘を受けているようだった。多摘にとっては決して軽い代償ではないが――機会は、今だ。
「親分……今こそ、越えさせて貰うぞ……!」
「ああ、しっかり越えてけ! 昨日より今日、今日より明日、だ」
間近まで距離を詰めた多摘が、水龍の尾を高らかに振り上げる。この地の神気を充分に吸収した、龍の『息』にも等しいユーベルコードとなった尾だ。
「――絶対に勝てよ」
尾がぶつかる刹那、最後に届いた親分の言葉だった。
成功
🔵🔵🔴