大祓百鬼夜行②〜竜神は剛撃に試練と想いを乗せる
●逆境を超える者よ
「はっきり言って状況はちょーっとキツいね」
水島・可奈(少女自由に夢幻を掴め・f01117)がうーん、と首をひねりながら語りだした。
「まだ親分の1人が出てない中でもう残り10日を切った。少し今回は負けの可能性も考えてる」
ざわめく猟兵たち。それはそうだ、負けたら今までやってきたことが水泡に帰す。
「ただ、まだ時間はないわけではない。1戦1戦を大事に落ち着いて戦ってこう」
――そこまで言うと可奈は真の姿に変身した。
「というわけで私から竜神親分についての依頼を出させて頂きます。この依頼は『高難度依頼』と認定されています。
皆様に倒してきてもらいたいのは『超電竜撃滅形態』としての竜神親分です。
ちなみにこの竜神親分、名を『碎輝』といいます」
碎輝はこの形態では膨大な虞を身に纏い、一撃必殺の威力を誇る攻撃をしてくるらしい。
「雷の放射と雷を帯びた吐息は隙や前兆が大きいですが威力はけた違いです。
また、槍による攻撃は隙が少ないので注意してください」
そしてこの形態では碎輝は膨大な虞を身に纏う、ということはつまり。
「ええ、皆様は最初から『真の姿』で戦うことができます。
むしろしなければ戦いは相当厳しいものになるでしょう」
――だが、碎輝の攻撃は何より一撃必殺級。もしも下手に喰らおうものなら、つまり。
「……ただ『真の姿』で戦うだけではなく、相手の高威力にどのように応じるが重要でしょう。
下手な防御やゴリ押しをしてはクリティカルヒットを受けて苦戦するでしょうね」
いかに相手の攻撃に対応しつつ、戦っていくか。それが重要となりそうである。
「私からは以上です。
……彼が骸魂の影響を受けているかは少々わかりにくい節もありますが、理性を保っているにしろいないにしろ倒さないといけない事実に変わりはありません。皆様の奮戦を期待しています。ご武運を」
●今こそ力を見せる時
転送された猟兵たちを待っていたかのように槍を振り回し雷を纏う碎輝。
「昨日より今日! 今日より明日!
竜神親分『碎輝』ったあ俺のことだ!
待っていたぜお前らを!」
槍を構えなおせば今にも襲い掛かって来そうな碎輝。
「今の俺の攻撃はいわば一撃必殺!
だがここで俺を超えられないようじゃあ、大祓骸魂に挑むのは困難だ。
お前らをもってしても止められるかはわかんねえ」
膨大な虞が碎輝から噴出した。
「――だが、『昨日より今日、今日より明日』ってやつだ。
俺を超えてみせな。お前達は、今よりもっと強くなれる。
――無論、俺よりもずっと……!
そのためならこの竜神親分『碎輝』、どれだけだって体張ってやる!」
結衣謙太郎
彼は試したいのだろう。猟兵という存在を。
結衣(戦争モード)です。
試練の時がやってきたようです。
以下詳細。
●メイン目標
『竜神親分『碎輝』超電竜撃滅形態』の撃破。
●章構成
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「大祓百鬼夜行」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
ロケーションは平地です。遮蔽物などはありません。
碎輝もガチンコで臨みたいようなので。
●重要
今回、最初から『真の姿』で戦うことができます(🔴は不要です)!
むしろ真の姿を晒すと特別プレイングボーナスが入ります!
なるべく真の姿で行くことを推奨します。
……が、それでも碎輝の攻撃は一撃必殺級です。
ただ真の姿で押し切るだけでは間違いなく碎輝の攻撃で再起不能になるでしょう。
間違いなく苦戦や失敗判定になると思います。というか容赦なく出します。
碎輝の攻撃は先制攻撃ではありません。
そのうえで、どう攻撃に対応するか。それが重要になります。
その点も考えたうえでのプレイングを期待しています。
……いつもの高難度依頼より判定は厳しいのでご注意を。
●備考
プレイングはオープニング公開後から受け付け開始します。
ただし全採用できない可能性がいつもより大きい点、ご了承ください。
また、このシナリオは高難度依頼、かつ戦争ボス依頼です。
……が、今回は判定が1段階だけではなくさらに辛くなります。
どのくらいかというと銀河帝国攻略戦のボスくらいのシビアな判定で行きます。
強くご注意ください。
以上です。
それでは、強い心で立ち向かう皆様のご参加をお待ちしております。
第1章 ボス戦
『竜神親分『碎輝』超電竜撃滅形態』
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POW : 撃滅放電槍
【紫電を帯びた槍】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : サンダーエンブレム
【加速度的に数を増す紫電の放射】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : 滅びの光
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する【雷】属性の【瞬時に成長し、自ら増殖するドラゴンブレス】を、レベル×5mの直線上に放つ。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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シン・コーエン
真の姿(尊敬できる強敵との戦いに歓喜する修羅)にて臨む。
碎輝殿、それでは挑ませて頂く(一礼)。
最初の交戦で全力を尽くして倒す。
腰の村正に手を掛け、居合斬りの体勢に。
真の姿効果による瞬発力に、足の裏から衝撃波を放って加速しつつのダッシュで一気に接敵し、神速の一撃を叩き込む!
…では、返り討ちに会うのがオチだな。
故に、突進しつつ槍の迎撃タイミングを第六感と見切りで読み、その場に残像を残して突かせ、自身への念動力行使と空中戦能力による、無茶な空中機動で一気に相手の背後に回り込む。
早業で炎の属性攻撃を籠めた灼星剣を具現し、UC&2回攻撃(袈裟懸けに斬り、そのまま斬り上げ)で斬る。
これが今日の俺の全力です
●修羅の双撃
啖呵を切った碎輝に歩む1人の猟兵。彼は修羅としての姿で碎輝の前に姿を現す。
「碎輝殿、それでは挑ませて頂く」
一礼するシン・コーエン(灼閃・f13886)。だが、その礼をする口元は早くもにやけていた。嗚呼、それはそうだ。尊敬できる強敵との戦い、それが今から始まろうとしているのだから。目の前の戦いをただ楽しむ在り方を持つ者としても、歓喜できないわけがない。
礼をしながら腰の村正に手を掛け、居合斬りの体勢に。そのまま頭も上げずに一気に碎輝に肉薄を図ろうと足から衝撃波を放ち勢いで加速、碎輝に接近するシン。
「ははっ、礼の途中に攻撃開始とか、どんだけ無礼なんだよ!」
碎輝も笑いながら槍を構え、紫電を走らせる。そして目の前に見えたシンの姿に――
「おら、カウンターだ、受けてみな!」
一閃! 稲妻と共に槍の突きが走った! 稲妻が槍先から直線上に駆け抜ける。それはこの攻撃の強烈さを表すかのように長く伸びていった――が、それとは対照的に感触は軽かった。
――碎輝は気づいた。『成長』した。
「……へえ、残像か!」
槍が貫いたのはあくまで残像。本体は実は槍の来るタイミングを直感で見切り、念動力で強引に体を押すように動かして回避したのだ。本当に寸前の寸前、そして肉薄している状況だからこそ、残像は大きな効果を発揮する――! この方針もなく無策で叩きこもうとしたらカウンターを喰らいこの残像のように貫かれ、串刺しにされていただろう。
……ではその本体はいったいどこに?
「灼光の刃よ!」
碎輝が残像について呟いたとほぼ同時、その背後から声がする。言うまでもなくシンによるものだ。その間僅か2.4秒、無茶な空中機動で、一気に背後を取った――! 素早く炎の力を籠めた灼星剣を具現すれば、袈裟懸けの一閃!
「んなっ!?」
攻撃を喰らい碎輝が体を翻す――が、そのころにはもう追撃の斬り上げが来ている!
「があっ!」
碎輝が槍で防ごうとするも間に合わず、2度の攻撃を喰らい軽く後ろに吹き飛ぶ。
シンは荒い吐息のまま――それは疲れたからではなく歓喜、興奮しているからだが――灼星剣を構え直した。
「一撃必殺の威力が怖いからこそ、最初の交戦で全力を尽くして倒す。これが『今日』の俺の全力です」
「なるほどな……やるじゃねえか!」
槍に再び紫電を纏わせながら碎輝はシンの『二撃必殺』を耐え、そして称えた。
成功
🔵🔵🔴
吉柳・祥華
やかましいのぉ…
そう…吠えるでない、糞餓鬼…いや、鬼ではなく竜じゃったな
(空中遊泳しいながら人の姿でゆらゆらと)
なに、今回は妾もちぃーとばかり、気合入っておる
ちゃんと、少しばかりだが楽しませてやるぞ…覚悟致せよ?
(轟音と同時に…覇気を纏いリミッター解除と限界突破のぶっち切りモードで、真の姿である龍神へと)
◆一撃必殺のもと攻撃に転じる
少しでも手数を増やすために
霊符から降霊と称して紅蓮を纏った鬼神を呼び出し
式神の冥風雪華を解放
※UCも合わせて一斉発射
妾はブレス攻撃のみかな
貫通攻撃・呪殺弾・衝撃波・鎧砕き・傷口をえぐる・毒使い・焼却
とまぁ、あらゆる攻撃&ダメージ手段を使う
相殺出来れば吉
押し切れば僥倖
紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
碎輝の親分さん、その祈り、確かに受け取ったのでっす!
ならばこそ藍ちゃんくんも真の姿でプライベートライブなのでっす!
歌うのでっす! 昨日より今日、今日より明日!
ええ、ええ。藍ちゃんくんもまた、その意気で自らを磨いてきたのでっすから!
昨日を積み重ね今日へと至り、明日を拓く歌を、文化をお聞かせするのでっす!
雷よりも煌めく星の歌を!
高速で距離を取る?
いいえ! 雷相手に距離は無意味!
ならば槍が来るその方向にこそ活はあるのでっす!
飛び込むのでっす、最高速に至る前に!
それでも足りぬのなら後は運!
藍ちゃんくんの、青い鳥の運を、そして。
超えて行けと祈って親分さんの幸運を信じるのでっす!
●敵も成長していく
「藍ちゃんくんでっすよー! 碎輝の親分さん、その祈り、確かに受け取ったのでっす! ならばこそ藍ちゃんくんも真の姿でプライベートライブなのでっす!」
おおう、いきなり大声が響いたかと思ったら来たね藍ちゃんくんこと紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)……ん? この手元のデータによると歌唱1000レベルオーバー……あれー?
「はいなのでっす! リハーサルにリハーサルを重ねたのでっす! 昨日より今日、今日より明日! ええ、ええ。藍ちゃんくんもまた、その意気で自らを磨いてきたのでっすから! 昨日(リハーサル)を積み重ね今日(オーディション)へと至り、明日を拓く歌を、文化をお聞かせするのでっす! 雷よりも煌めく星の歌を!」
「なるほど……歌と武術、形は違えど精神は同じ……面白れぇな!」
あっ、同調のおかげで碎輝がすごいやる気出した。
「やかましいのぉ……」
と、2人そろっての大声に空中遊泳していた龍神さんこと吉柳・祥華(吉祥龍彩華・f17147)が苦しい顔をした。
「そう……吠えるでない、糞餓鬼……いや、鬼ではなく竜じゃったな」
「なんと藍ちゃんくんを糞餓鬼呼ばわりですか!? 確かに藍ちゃんくんは男ですけど」
「おぬしではない」
一言で真っ二つにしたよこの龍神。
「へっ、同じ竜神ってかぁ? 力比べといこうか!」
「ふむ、まあ悪くない」
祥華は人の姿で――今まで龍神と書いていたが今はまだ人の姿である――空に浮かんだまま止まると紫電を放つ槍を見る。
「なに、今回は妾もちぃーとばかり、気合入っておる。
ちゃんと、少しばかりだが楽しませてやるぞ……覚悟致せよ?」
突如、轟音が鳴り響き覇気が祥華を覆う。そのオーラの壁をぶち破るように現れたのは――まさに『龍神』としての祥華。羽衣を纏った白き龍である。
「おおー、あれが」
「お前の本当の姿か!」
この神々しさには2人揃って驚嘆する。
「朱霞露焔、降霊せよ。冥風雪華、来たれ」
紅蓮を纏った鬼神と雪鬼女と呼ばれる鬼神を召喚すれば朱霞露焔が碎輝に肉薄し攻撃を始め、冥風雪華が氷の吐息で槍を放とうとする碎輝の動きを止めようとする。そこに祥華が神の力を乗せた広範囲ブレスを乗せて押し切る作戦だ。碎輝はといえば槍を回し朱霞露焔に対応しつつ、祥華の方へ歩みを進めようとする。どうも勢いで強引に突破しようと踏ん張っているようだ。
「動きが止まってる、これは好機なのでっす!」
と、藍ちゃんくんがいきなり歌いながら駆け出した! 青い鳥の守護を纏いながら!
「高速で距離を取る? いいえ! 雷相手に距離は無意味!
ならば槍が来るその方向にこそ活はあるのでっす!
飛び込むのでっす、最高速に至る前に! それでも足りぬのなら後は運! 藍ちゃんくんの、青い鳥の運を、そして――超えて行けと祈った親分さんの幸運を信じるのでっす!」
ステージ衣装のような真の姿で碎輝に突撃する藍ちゃんくん。まさかまさかの体当たりだ――!
「甘いな! もう『成長』した!」
一斉発射したブレスに打ち勝つように槍から紫電がほとばしれば、雷光一閃、体当たりしてきた藍ちゃんくんに突き刺さる! さすがに先手カウンター狙いは無理があったか……!
そのまま藍ちゃんくんを振り落とせばブレスの中を強引に少しずつ、しかしだんだん加速しつつ突破していき冥風雪華に攻撃すればブレスが一瞬止まる。そこを見逃さず跳び出せば祥華に向かい、一閃!
「ぐっ――っ」
碎輝の一撃の威力に大きく怯み、空から落ちて倒れるしかなかった祥華。
ふう、と息をつき一つ汗をぬぐうと碎輝も笑う。
「いや、なかなかよかったぜ。だが、ずっと浴び続ければこちらも『成長』できるってもんだ」
――そう、祥華がやられた原因はジリ貧である。あらゆる技能などを駆使したはいいが、ブレス攻撃に式神たちを合わせただけでは決定打に欠けた。それを見て藍ちゃんくんが突撃したのだが――
「ま、堂々と槍の方向に行ったのは評価するが――勇気と無謀は別もんだ。……もし最初の突撃で歌いながらの体当たりじゃなくなんか決定打的な攻撃が飛んできて俺が怯んでたら対応遅れて一気に飲まれてただろうがな」
倒れた2人の猟兵を前にそう評する碎輝だった。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
岩永・勘十郎
「本気で参る。お互いに斬られても恨みっこ無しで行こうぜ」
と口調も変わり、羽織っているマントを脱ぎ棄て刀を抜く。
勘十郎の本気の姿だ。その目には敵に【恐怖を与える】【殺気】が燃え上がる。【幸運】も味方するだろう。
「なるほど確かに速い、だがそれだけだ」
敵の攻撃を今までに培った【戦闘知識】を駆使し【瞬間思考力】で敵の様々な攻撃パターンを予測。それは幾千幾兆となり、その中で最も起こりうる事象を導き出す。まるで敵の攻撃を知っているかの如くで【残像】が残る程の速度で【見切り】回避。
「一撃必殺ならワシも得意だ」
敵の攻撃を見切り【受け流し】た瞬間、UCを発動し敵の魂その物を斬り裂くべく居合斬りを繰り出した。
●夷険一節、竜をも驚かす
「本気で参る。お互いに斬られても恨みっこ無しで行こうぜ」
「俺どっちかって言うと刺突のほうなんだけどな」
岩永・勘十郎(帝都の浪人剣士・f23816)の言に苦笑する碎輝。それを見ることもなく勘十郎はマントを外し抜刀、目に殺気が浮かぶ。常人なら震え上がりそうなその殺気だが、碎輝に怯える様子は微塵もない。
「その目――いいぞ猟兵、そうこなくっちゃな!」
むしろやる気満々だ。
先手を仕掛けたのは勘十郎、駆ければ碎輝が槍を構え一閃――それをギリギリで見切って回避できた。ここができるかどうか、即ち相手の手の内を読めるかどうかがポイントだったが――
「なるほど確かに速い、だがそれだけだ」
――幸運にも、それはうまくいったようだった。相手の攻撃の特徴は見えた、ならあとは己の戦闘知識と瞬間思考でパターンを瞬時に考えるのみ。戦いにおいて相手を分析し臨機応変に対応することは最重要だ。何億何兆、あるいは何京にも及ぶパターンの中から、一番起こりうるだろう展開。それを一つ考えればそこに勘十郎は張ることにした。
「アンタの技はもう見切った」
もちろん幾多のパターンがあるのはわかっている。見栄かもしれない。それでも、悟らせないためでもあった。
「へえ? 面白いじゃねえか!」
そんなことも気づかない碎輝が紫電を纏わせ、突撃してくる――
「なら、こいつはどうだよ!」
と、駆けながら槍を上空に投げた! そのまま蹴りを勘十郎に浴びせて勘十郎が後ろにのけぞれば跳躍、落ちてきた槍を掴み、勢いそのまま投げ飛ばす! 雷が大地に走り、大地が抉れる!
――それはまさに一撃必殺の大技。碎輝の視界に勘十郎の姿はどこにもない。
「もう終わりかよ」
碎輝が槍を持ち直しながらつまらなさそうにぼやく。勘十郎はいったい何処に。やられたのか――
「否、まだ終わりではない。一撃必殺ならワシも得意だ」
瞬間、碎輝の身に斬撃が走る! だがそれに切り傷はなく、むしろ――
「な、なんだこれは? 体が軽くなるぞ? というかどこにいた!?」
「ふっ、見切ったといっただろう。お前さんの穿ったあれは残像よ。見切って受け流した後、死角より六道・龕灯返しの太刀を叩き込んだ」
六道・龕灯返しの太刀。それは肉体を傷つけず、それ以外のもののみを攻撃する――否、『上書きする』攻撃――それを用い、骸魂そのものを斬り裂いたのだ。取り憑いたものがなくなれば体が軽くなるのは自明。
まるで敵の攻撃を知っているかの如くカウンターの居合切りを繰り出した勘十郎。まさに夷険一節、一太刀浴びせて見せた。
「……はー。また変わった技だな」
距離を取り、息をつきながらも碎輝の顔は笑っていた。もう次はどんなのが来るか楽しみで仕方がなかった。
成功
🔵🔵🔴
蛇塚・レモン
あたいの真の姿は『旭日の竜神』だよっ!
竜神同士のガチンコ勝負、いくよっ!
すかさずUCで高次元の幻影化した真の姿へ変身!
第六感と学習力+情報収集でブレスの方向を読み解いて
時速520kmで空中戦で回避!
高次元の幻影と化したあたいに、三次元の滅びの光は透過しちゃうよっ!
でも慢心はしないっ!
鏡盾を媒介に黄金色の結界術とオーラ防御と全力魔法の三重展開!
碎輝くんの成長が追いつく前にカウンター+咄嗟の一撃!
全力魔法+属性攻撃(水)+呪殺弾+衝撃波をブレスにぶつけ濃霧発生
濃霧にマヒ攻撃+呪詛で目潰しと捕縛
催眠術+残像で標的を誤認させるよ
あとは一気に念動力で操る槍で貫通攻撃+不意撃ち!
神罰で骸魂だけを壊すよっ!
●竜神二柱相対すれば
「勝負だ、竜神親分!」
堂々と碎輝の前に立った一人の少女。蛇塚・レモン(白き蛇神憑きの金色巫女・f05152)だ。
「あたいの真の姿は『旭日の竜神』だよっ! いざっ!」
言うや否や幻影のようなものを纏えば巫女のような姿と化したレモン。それを見て碎輝がニヤリとした。
「おもしれえ、竜神同士のガチンコ勝負ってか!」
碎輝もまた竜神だ。竜神相まみえ、そしてこれより戦うとなれば、燃えない存在がどこにいようか。
かくして二柱の勝負は始まった――嗚呼、だが碎輝とは違いレモンの姿は幻のように掻き消える。無理もない、520km/hの速さで空中を飛び回るその姿は簡単にとらえられるものではない。
「へっ、どこにいようが――」
碎輝の吐息に雷が混ざり始める。呼吸の『吸』の方が多くなっていく――レモンはそこから察知した。
「あのブレスだねっ!」
真剣な顔になった。来る。強烈な威力と範囲を両立させる、あのブレスが――!
「耐えてみな、旭日の竜神! こいつが『竜神親分』の吐息だぁぁぁ!」
咆哮を上げるかのように雷のブレスがレモンを襲う! 移動しながら放つその吐息は徐々に自己増殖しその範囲を広げていく! レモンもその方向を読み解いて空中を飛び回り回避していた――が、それでも限界はある。ついにブレスがレモンに命中――
――しない! ブレスは確かにレモンに当たった、が! まるで位相が違うように重なってすり抜けていった!
「なっ――どういうことだ!?」
驚く碎輝にレモンが笑う。
「残念だね――高次元の幻影と化したあたいに、三次元の滅びの光は透過しちゃうよっ!」
次元が違う。人がすれ違うように、ブレスとレモンがすれ違う。だが、幻影が等位相にいることで碎輝を惑わしたのだ。ある種の残像、否、これはもはや影分身にも近き業――!
「……なるほどな。それじゃ、敵う筈がねえ――が!」
しかしなおも碎輝は諦めない! むしろ吐息を強めた!
「どんな頑張ったって、『一瞬』実体と化してしまう隙はあるはずだ!」
一瞬、刹那でも当たればいい――果たして碎輝のその読みは当たっていた。一瞬、レモンが同じ次元になった瞬間があった――が! 真なる神は慢心をしない!
「蛇塚家三種の神器の一つ、白蛇の鏡盾! あたいを守る結界を!」
その瞬間、黄金色の展開された結界が碎輝のブレスとぶつかり合い、激しい音を立てる! 結界はいつ壊れるかわからず、横に雷は漏れる――!
「くっ……ぐぅぅっ――!」
レモンも必死の形相で展開し続ける。どこか、どこか一瞬でも隙があれば再び存在次元を変えられるのだが――!
「大したもんだぜ、旭日の竜神! ここまで耐えるなんてよ!」
碎輝は諦めるどころかむしろ強気だ――!
「でも――これで、終いだっーー!」
一層、ブレスの勢いが増した! 全力全開、一瞬に賭ける。甲虫が力を籠めるときは一瞬であるように、一気に押し切ろうと全力を出したのだ!
だが、全力は慢心と隙を生む!
「今だ……! 水の波動、いっけーー!!」
レモンが少し退避しながら水の波動を雷のブレスにぶつける! 水が雷のブレスと反応し、そこにできるのは――
「――なっ!? 霧だと!?」
――碎輝を躊躇わせる、濃霧だった。
勢いが少しやんだ。この状態でもし派手にやろうものなら逆に自分が感電してしまう! というか今も少し感電してしびれている。顔に出さないようにしているが。
レモンもこの隙に再び別次元に戻る――そして、相手の攻撃が少しやんだここからレモンの反撃が始まった。まず、槍が牽制も兼ねて碎輝の目を狙い別次元から放たれる――!
「ぐあっ! ってぇー、目潰しかよ!」
目つぶしをもろに喰らった碎輝のおぼろげな視界に映るのは多数の幻影。碎輝からすればどれが本物かわからないしいつ実体化するかもわからない――だが待機していてはジリ貧だ……
「……一か八かだ!」
幻影全てを片っ端からローラーでブレス攻撃する手段に出た! 広範囲にしてしまうと自分のしびれが悪化してしまうからだ。しかしそれは完全に誤認、レモンの作戦通り!
「この一撃に賭ける――全ては、このためにあった!」
碎輝の死角で本体が一瞬実体化すれば海神の黒槍が碎輝を襲う――!
――貫いた。
碎輝のその体を、貫いてみせた。
「……は、ははっ、やるじゃねえか」
貫かれながらも碎輝は喜んでいた――否、それどころか、腕と体を動かして強引に槍から抜け出した! 貫通された部分が痛々しく残る。
「俺がここまでやられるとはな――認めてやる『旭日の竜神』、お前は間違いなく強い! だが、どんなに強くても足元をすくわれるときはある――今の俺のようにな」
と、含蓄あることを言ってなんかカリスマ保とうとする碎輝。
「ま、俺は無限に成長するからあんまりそんなことないんだけどな!」
やもすれば自惚れにも見えるその言葉だが、レモンはその言葉に笑みを浮かべていた。
大成功
🔵🔵🔵
空亡・劔
最弱にして最強の竜神親分
あんたが相手だろうとあたしはこういうわ
この最強の大妖怪である空亡劔を差し置いての大異変!生意気過ぎよ!
真の姿
紅き太陽を背景に背負ったかの如き姿
即応で時刻みを使用!
【戦闘知識】で是までの戦いと動きの癖を全力で【見切り】
【残像】を残しながら全力回避!
かすっただけでもあれは落ちる…!
うん…まさに命がけの弾幕ごっこね!
【天候操作】で純水による豪雨発生
超高速で飛び回りながら【属性攻撃】で凍結弾を作り出し【弾幕】でその動きの封鎖を行う
時空をも切り裂く斬撃で骸魂を狙って【二回攻撃】による【切断】
格好いいよあんた
あんたが不屈の意志で来るなら最強の大妖怪はそれを超える!
超えて見せる!!
●これは異変かそれとも弾幕ごっこか
(最弱にして最強の竜神親分。あんたが相手だろうとあたしのいうことは変わらない)
空亡・劔(本当は若い大妖怪・f28419)が碎輝に最初に言う言葉はもう決まっていた。
「この最強の大妖怪である空亡劔を差し置いての大異変! 生意気過ぎよ!」
と。
「へえ? 最強の大妖怪かよ」
しかし全くそれに恐れることのない碎輝。当然だ、この程度で恐れていては親分など務まらない。仮にも竜神親分なのだから。お互い譲れないところがある。
「ええ、あたしは最強なんだから!」
紅き太陽を背景に背負ったかの如き少女の姿は大妖怪と言われれば恐らく疑念を抱く者と抱かない者の二者に分かれよう。
「我が身、我が真体は時を統べし魔剣なり! 今こそその力を解放せん!! 『時刻み(クロノスブレイド)』!」
――だが、先手で放たれたその一撃は、紛れもなく大妖怪の如き強烈な一撃だ。突然の攻撃に碎輝が斬られて少し後ずさる、が。
「それが『最強』かよ! なら、『最弱』の俺でも勝てそうだよな!」
碎輝の左手から雷がほとばしる! 全力で見切って回避していく劔だが、それらは数と範囲を徐々に増やしていく。
(かすっただけでもあれは落ちる……!)
身に染みる恐怖。まるで生死の境に立たされるような思いをする劔。だが。
「うん……まさに命がけの弾幕ごっこね!」
その目は、輝いていた。
「でも、これでどうっ!」
かわしながらも素早く天岩戸乃縄を腰にまけば増加した己の霊力で天候を操作する。その天候は雨天――しかも、ゲリラ豪雨!
「おっ、雷にぴったりな天気にしてくれたな!」
そう、雨天といえば雷、しかも水の中で雷はよく通る。だが劔は飛び回ることでどうにかそれらの影響から逃れ――さらに雨を凍結弾にしていく。むしろこちらが目的だ。双方に有利な天候と言える中で目の前の猟兵への雷の放射に夢中な碎輝、やや上で起きているその『異変』に気づかない――!
「これで、決める!」
上空の劔が天から両手を振り下ろせば、凍結弾が一斉に碎輝を襲う! もちろん碎輝も回避する、が――
「……足止めか!」
気づいた時には時すでに遅し。まるで『弾幕』のようになったそれは、碎輝の足の動きを完全に止めていた。それこそが劔の狙い!
「もらったわ! 時刻み!」
「っ!」
雷を放っている間は中止できない。長いヒットストップを突かれた碎輝は2回目の斬撃を喰らってよろける。そのまま劔の返す刃が来る、が、碎輝も意地なのかそこで素早く態勢を立て直すとを槍で防御! 火花が散り、2人の顔が急接近する。
「……格好いいよあんた」
「そうだろ? 有言実行、そして『最弱』だ。『最弱』が不屈の意志で『最強』を超えるのは、熱くないか?」
「ああ、熱いね! でも!」
劔が両手に力を籠め、鍔迫り合いを押し切ろうとする――!
「あんたが不屈の意志で来るなら、最強の大妖怪はそれを超える!
超えて見せる!!
『昨日より今日、今日より明日』の通り……!」
「ああ、そうだ猟兵! 大妖怪! お前は、お前達は俺より強くなくちゃ困る!
だが! だからって手加減して下手な自尊心を持たせるわけにはいかねえ!
全力でやり合って、そして認められるときにこそ、本当の強さへの自尊心は生まれる! 少なくとも俺はそう信じてる! それもあってこうしてお前らのために体を張ってるんだ!」
碎輝もまた踏ん張る! 激しい攻防の中、競り勝ったのは――!
「だぁぁぁらぁぁぁぁ!!」
「っ――!!」
劔だ――!
「これで――終わりっっ!!」
大きくよろけた碎輝に、劔の斬撃が深い傷を与える! 大きく碎輝が後ろにノックバックし、荒い息をする。呼吸も荒いまま、碎輝は言葉を放つ。
「ははは、いい一撃だ大妖怪! その意気があればあいつにも一泡吹かせられるだろうよ!」
それは心から彼女を『認めた』証だった。
成功
🔵🔵🔴
ナイ・デス
真の姿「光」となって
「光」が黒剣と、彫像と融合し「鎧」の体を得る
一撃必殺、受けて立ってこそ、示せるでしょう
お願いします
肉を斬らせて骨を断つ
【カウンター】を叩き込む構えで、待つ
弱かった私は、救えなかった
どれ程強くなっても、上には上がいる
一撃必殺の上、受けるしかない程の、圧倒的格上がきっと
それと対した時、どうする
私は、いつか壊れるその日まで
どんなに敵が強くても、救うには
【覚悟、激痛耐性、継戦能力】倒れない、諦めない
消滅に抗う、再生してみせる
未だわたしは此処にいる
そうして壊れ再生する程に、強くなる
成長する
フロンティア・ライン
過去から今を、救うために
【生命力吸収】相手の力も、取り込んで
必ず、救うのです
●守り切ることへの意志
次に碎輝の前に現れたのは一つの光だった。
光の正体はナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)。己が真の姿、聖なる光。
それが黒剣、そしてダイウルゴスの彫像に宿れば、黒剣と彫像と光が融合し合い、一つの騎士――というより、『鎧』の体を得る。
「碎輝さん、私は、こちらからは、出ません」
「……へえ?」
槍に雷を纏わせながら不思議そうに碎輝が問う。
「いいのか? 俺の攻撃は一撃必殺級だぜ? そんな鎧なんか簡単に壊せちまうぞ?」
「構わないです。一撃必殺、受けて立ってこそ、示せるでしょう。
――お願いします」
最後通告にも似たその言葉に、それでも尚『受ける』選択をしたナイ。
ここまで堂々としてると、碎輝もやりがいがあるというものだ。口元に笑みが浮かぶ。
「じゃあいくぜ――簡単に壊れてくれるなよっ!」
碎輝の紫電を纏った槍が、鎧と化したナイに深く突き刺さる! ナイはといえばただカウンターを叩き込むだけ。本当に、自分からは出ないつもりだ。肉を切らせて骨を断つ、まさにそれと言えようか――
鎧が、壊れる。強烈な一撃に耐え切れず。
「言わんこっちゃない。無謀にもほどが――」
――だが一瞬呆れた碎輝の顔には次の瞬間、驚嘆が浮かぶ。
「――へえ」
壊れた個所が、瞬時に再生していく。それも、より硬くなって――
「……聞いてみてえな、お前はどうして……」
守りを取るのか、と。言い切る前に槍の一撃が鎧を壊せばまた瞬時に再生する。
「……かつて、弱かった私は、救えなかった。
どれ程強くなっても、上には上がいます……一撃必殺の上、受けるしかない程の、圧倒的格上がきっと。それと対した時、どうするか……」
「……それがこの、すげえ防御ってのかよ……それがお前の答えだってのか」
ゆっくりと、ナイが頷く。
「私は、『いつか壊れるその日まで』――守りたい。
どんなに敵が強くても、救うには、倒れない、諦めないこと。
消滅に抗う、再生してみせること。
それを私に、教えてくれた方も、いました」
――『未だわたしは此処にいる』。
そうして壊れ再生する程に、強くなる。
――成長する。
嗚呼、そうだ、本質的に碎輝と同じなのだ。やられて、成長して、強くなる。
大いなる災厄から護りきるために。
鎧はついに碎輝の槍を弾くほどまで『成長』した。してしまった。
もちろん碎輝も『成長』している。だが、ナイの方が速い。
「フロンティア・ライン――『文明守護』。
過去から今を、救うために、時には、相手の力も、取り込んで――」
「なっ……俺の、雷の勢いが……!」
自分のペースに戦闘を持ち運べないまま己の生命力を奪われる碎輝、さらに守りを固めるナイ。こうなれば、もうナイから積極的に攻めない限りは――
「必ず、救うのです」
――千日手だ――!!
「……」
ふと碎輝が目をつぶり、何かを考えてるのか、それとも無心なのかわからないまま、ナイを攻撃する。嗚呼、だけどもやはり攻撃は届かない。それは文明を守護する鎧。絶対でこそないものの、救うために、護りきるために、強くなった『鎧』――
「……ああ、思いはよくわかった」
――碎輝が攻撃の手を止めた。
「そういう在り方も確かに、あるんだろうな。だが――覚えとけ。世界はそんなに、甘っちょろくできちゃいねえ。時にはお前でも守り切れないときとかもあるだろうよ。そんな時――」
――お前はどうする?
それが、ナイへの最後の質問。
「……それでも、可能な限りは」
護りきってみせます、と。今はそうとしか言えない、が。彼の意志のこもった答えだった。
「そうかよ」
槍を構え直しながら碎輝はそれだけ呟いた。それは肯定的にとらえたのか、或いは――
成功
🔵🔵🔴
月夜・玲
ふふん、ガチンコ真っ向勝負
良いじゃん
さあ、やろうよ
●
期待させて悪いけど、見た目はそんなに変わらないタイプでね
その代わり出力に演算力は上がるから、それで勘弁してね
外装展開、真の姿解放
神器四刀流で行かせてもらうよ
【光剣解放】起動
光剣の半分を完全オート、ランダム軌道で逐次攻撃!
長々と詠唱はさせない!
同時に残りの光剣に軌道セット
後は私が突っ込む!
四剣四発の『斬撃波』で牽制、体勢を崩させる狙いで此方に注意を向けさせる
さあこい、最強!
そのブレスを打ち破り、君を越える!
前面に『オーラ防御』でシールド展開、更に神器四剣重ねて『武器受け』して耐える
そしてブレスを放っている所を狙って光剣で『串刺し』にする!
●そして戦いの果てに
「ふふん、ガチンコ真っ向勝負、良いじゃん。
さあ、やろうよ」
月夜・玲(頂の探究者・f01605)が碎輝の前で挑発気味に跳ねてみせる。こんなのに乗るのかと思えたが。
「ガチンコ、いいじゃねえか! 手加減しねえからな!」
碎輝、あっさりと乗ってきた。そもそも、真面目で不真面目な玲ではあるが、ことこういう難しい戦いについては好きで燃えるタイプだった。ずっと楽しみにしていたのだろう。
玲の外装――4つの剣が玲の両腕の上下に展開される。
「期待させて悪いけど、私は見た目はそんなに変わらないタイプでね。
その代わり出力に演算力は上がるから、それで勘弁してね」
「お、おう……? 演算だか何だか知らねえけど、強いんだろうな?」
「ふふ、強いとも。私の神器四刀流、なめてもらっちゃ困るよ?
『機能解放』、光剣よ舞い踊れ!」
と言葉が出れば4つの剣の間を縫うように光の剣がレインボーに輝きながら変則的な軌道で碎輝を襲う! これらはしかも完全オート、玲の操作なしで飛んで攻撃している!
「っかー、これじゃあ集中できねえな!」
ブレスを吐こうとしている碎輝だが、こうも完全に変則的に攻撃が来てはブレスを溜めることもしにくい。この時間稼ぎできている間に玲はレインボーの光の剣を4つの剣の間にセットしていた。――実は飛ばしているのは全体の半分。牽制用のものだ。そしていま設置しているもう半分が、本命である。
「――よし、セット完了、後は私が突っ込む!」
飛んでいたレインボーの光の剣が散開すれば玲の神器四刀から四剣四発の斬撃波が碎輝を襲う。違う形の遠距離攻撃であるそれらに碎輝はまた翻弄され、ついには体勢を崩しかけるがギリギリ踏ん張った。とはいえこのままではジリ貧だ。
――先の剣はともかく、こちらの斬撃波は本体から来てるものだ、なら。
「お前を倒せば、済む話だよな! いくぜ!」
碎輝の注意が玲の方に向いた。だが、驚くなかれ、これも含めてすべて玲の演算通り――!
「さあこい、最強! そのブレスを打ち破り、君を越える!」
真っ向から挑発する玲!
「上等じゃねえか、なら――とびっきりの、お見舞いしてやる!」
それに応える碎輝!
今、両者のぶつかり合いが起きた! 碎輝が渾身の雷のブレスを吐けば、玲がシールドを展開しながら4つの剣で耐える! しかしそれでもさすが一撃必殺級の威力なだけはある、徐々に玲の踏ん張っている脚が後ずさっていき、顔に余裕がなくなっていく。
(このままではまずい――なら――ここで『切る』か!)
玲は今しかないと見た。ブレスを放っているこの時こそ、残しておいたレインボーの光の剣を放つチャンスだと――!
決まれば行動は迅速だった。一瞬4つの剣の切っ先が碎輝の方を向けば、その隙間から光の剣が放たれ――瞬間、勝負は決した。碎輝に次々と刺さる光の剣。串刺しで地面に縫い付けられた碎輝、光の剣の消失でその体が一瞬宙に浮けば、神器四刀流、4つの剣が一気に碎輝を畳みかけた!
「ぐっ……はっ、あはは、ははっ!」
落ちながらもなおも笑う碎輝。そのまま自由落下し、大地に強く体を打ちつけた。慌てて駆け寄る玲。
「大丈夫か? かなり強く打ってしまったようだけど」
「ああ、こんくらい、少し休みゃあ……問……だ……」
……これまでの戦いの傷が限界だったのか、碎輝はそのまま意識を失ってしまった。玲が慌てて手を伸ばせば、骸魂が彼から抜けていくのが見える。それでも尚彼に変化はなく、眠っているのを見てうん、と一安心したようにうなずいた。
「さて、お仕事完了っと。でもまぁ……」
もう一つ、君の代わりにやるべき『大きなお仕事』が残ってるよね、と。碎輝の安心しきった寝顔を見ながら玲はそっと彼の頬をなでた。安心してほしい、絶対私達猟兵は期待に応えてみせる、と言わんばかりに。
成功
🔵🔵🔴